説明

画像形成装置及びその制御方法

【課題】 最適なサーマルヘッドの蓄熱補正を行うことによって高品質の画像を形成できる制御方法と、画像形成装置を提供すること。
【解決手段】 蓄熱補正量設定モードと画像出力モードとを設け、蓄熱補正量設定モードにて、前記サーマルヘッドに前記発熱体の各々に同一の画像濃度情報を送る出力信号を出力して、前記記録シートにテスト画像を形成し、前記記録シートに形成された前記テスト画像の濃度を、前記画像形成装置による記録シートの送りピッチに合わせて測定し、測定によって得た濃度値を基に、サーマルヘッドの蓄熱補正量を算出して記憶し、画像出力モードにて、記憶された前記蓄熱補正量を参照して画像形成を行うことを特徴とする画像形成装置の制御方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サーマルヘッドの蓄熱補正を行い画像形成を行う熱昇華型の画像形成装置、及びその制御方法に係わる。
【背景技術】
【0002】
従来から、複数の発熱体を直線状に並べたサーマルヘッドを、搬送される記録シートの搬送方向に対し直角方向に載置して、該サーマルヘッドにより熱昇華性のインクが塗布されたインクリボンを加熱しながら記録シートに当接させて画像形成を行う画像形成装置が知られている。
【0003】
熱昇華性のインクリボンを用いる画像形成装置は、熱溶融性のインクリボンを用いる画像形成装置に比較して、多階調、例えば8ビットで表現できる256階調、あるいは、それ以上の階調を有する画像も出力することが可能なことから、階調性を問題にするような高画質の画像を出力する場合に多用されている。
【0004】
記録シートに形成される画像濃度の制御は、サーマルヘッドの各発熱体を加熱するための印加エネルギである通電時間、あるいは印加電圧を制御することによって行われ、所定の階調段数の濃度が表現される。
【0005】
ところが、所定のライン画像を形成するために加熱された各発熱体は、次のライン画像を形成する際に、全て同じように一定の温度から通電による加熱が開始されるとは限らない。即ち、前のライン画像形成において、所定の濃度に対応した通電によって個別に発熱した各発熱体は、印加エネルギである通電電力量により上昇する温度が異なっており、通電遮断後は、各発熱体の温度は一定の特性曲線に乗って周辺の温度に向けて低下するが、この温度低下の途中に次のライン画像形成のための通電が行われる。
【0006】
従って、目的とする画像濃度を得るためには、所定の画像濃度を得るための通電条件に、通電を開始する前の各発熱体の温度を考慮した補正を加える必要がある。例えば、一様な濃度領域を有する画像を前記補正を付与せずに記録シートに出力すると、出力された画像は等濃度にならず、徐々に濃度が上昇する画像となる。
【0007】
このような濃度変化は、低中濃度で、且つ、一様な濃度領域を持つ画像において特に目につくものであり、また、カラー画像においては色調の変化となって現れる場合もある。
【0008】
上述したような問題を解決するために、発熱体への通電の履歴を記憶し、履歴情報からサーマルヘッドの蓄熱量を演算して、演算結果を次の発熱体への通電に反映させる提案もなされている(例えば、特許文献1、2参照。)。
【0009】
しかしながら、上述したようなサーマルヘッドの蓄熱状態を考慮した補正は、実際に使用するインクリボンの昇華特性や、記録シートの表面性が変わった場合には対応が困難であり、所定の効果を上げられないこともある。
【特許文献1】特開平8−290602号公報(第1−2頁)
【特許文献2】特開2001−105648号公報(第1−2頁)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上述したような問題を解決するためになされたもので、使用するインクリボンの昇華特性、又は記録シートの表面性が変わった場合にも、最適なサーマルヘッドの蓄熱補正を行うことによって高品質の画像を形成できる制御方法と、画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題は、以下の請求項に記載される画像形成装置の制御方法、又は画像形成装置の実現により達成される。
(請求項1)
複数の発熱体が並べられたサーマルヘッドに出力信号を送り各発熱体を発熱させ、前記サーマルヘッドにより熱昇華性のインクが塗布されたインクリボンを記録シートに当接させて、前記記録シートに画像を形成する画像形成装置の制御方法において、
蓄熱補正量設定モードと画像出力モードとを設け、
蓄熱補正量設定モードにて、
前記サーマルヘッドに前記発熱体の各々に同一の画像濃度情報を送る出力信号を出力して、前記記録シートにテスト画像を形成し、
前記記録シートに形成された前記テスト画像の濃度を、前記画像形成装置による前記記録シートの送りピッチに合わせて測定し、
測定によって得た濃度値を基に、サーマルヘッドの蓄熱補正量を算出して記憶し、
画像出力モードにて、
記憶された前記蓄熱補正量を参照して画像形成を行うことを特徴とする画像形成装置の制御方法。
(請求項2)
前記蓄熱補正量設定モードにて、
測定により得た前記濃度値を基に、複数の前記発熱体の発熱ムラを補正する発熱ムラ補正量を算出して記憶手段に記憶し、
前記画像出力モードにて、
前記記憶手段に記憶された前記発熱ムラ補正量を参照して画像形成を行うことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置の制御方法。
(請求項3)
前記蓄熱補正量設定モードにて、
前記サーマルヘッドに、発熱体の並び方向に階段状に濃度が変化する濃度ウェッジが記録シートに形成されるように出力信号を送ることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置の制御方法。
(請求項4)
複数の発熱体を有するサーマルヘッドに出力信号を送り各発熱体を発熱させ、前記サーマルヘッドにより熱昇華性のインクが塗布されたインクリボンを記録シートに当接させて、前記記録シートに画像を形成する画像形成装置において、
蓄熱補正量設定モードと画像出力モードとを有し、
蓄熱補正量設定モードにて、
前記サーマルヘッドに前記発熱体の各々に同一の画像濃度情報を送る出力信号を出力して、前記記録シートに画像を形成する制御手段と、
前記記録シートに形成された前記画像の濃度を、前記記録シートの送りピッチに合わせて測定する濃度測定手段と、
測定によって得た濃度値を基に、サーマルヘッドの蓄熱補正量を算出して記憶手段に記憶させる蓄熱補正量算出手段と
を有し、
画像出力モードにて、
前記制御手段は、前記記憶手段に記憶された前記蓄熱補正量を参照して画像形成を行うことを特徴とする画像形成装置。
(請求項5)
前記蓄熱補正量設定モードにて、
前記濃度測定手段により得られた濃度値を基に、複数の前記発熱体の発熱ムラを補正する発熱ムラ補正量を算出して記憶手段に記憶させる発熱ムラ補正量算出手段を有し、
前記画像出力モードにて、
前記制御手段は、前記記憶手段に記憶された前記発熱ムラ補正量を参照して画像形成を行うことを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
(請求項6)
前記蓄熱補正量設定モードにて、
前記制御手段は、前記サーマルヘッドに、発熱体の並び方向に階段状に濃度が変化する濃度ウェッジが記録シートに形成されるように出力信号を送ることを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
(請求項7)
原稿画像を読み取る原稿画像読み取り手段を有し、
前記原稿画像読み取り手段が前記濃度測定手段を兼ねることを特徴とする請求項4乃至6のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載の発明によれば、実際に使用する、インクリボン、記録シートを用いて蓄熱効果による画像の濃度変化が測定され、測定値を基に最適な蓄熱補正量が算出され、算出結果が記憶されるので、記憶された蓄熱補正量を基に、画像濃度情報に最適な補正を施すことができ、また、特性の異なるインクリボン、又は記録シートを使用する場合にも、容易に、新たな蓄熱補正量を得ることができる画像形成装置の制御方法が実現される。
【0013】
請求項2に記載の発明によれば、サーマルヘッドの発熱体の発熱特性に起因する発熱ムラが検知されるので、発熱ムラ補正量を発熱体毎に記憶手段に記憶して、記憶された発熱ムラ補正量を基に、画像濃度情報に最適な補正を施すことができる請求項1に係わる画像形成装置の制御方法が実現される。
【0014】
請求項3に記載の発明によれば、1枚の記録シートに形成された画像を基に、画像の各濃度毎の蓄熱補正量を算出することができる請求項1に係わる画像形成装置の制御方法が実現される。
【0015】
請求項4に記載の発明によれば、実際に使用する、インクリボン、記録シートを用いて蓄熱効果による画像の濃度変化が測定され、測定値を基に最適な蓄熱補正量が算出され、算出結果が記憶されるので、記憶された蓄熱補正量を基に、画像濃度情報に最適な補正を施すことができ、また、特性の異なるインクリボン、又は記録シートを使用する場合にも、容易に、新たな蓄熱補正量を得ることができる画像形成装置が実現される。
【0016】
請求項5に記載の発明によれば、サーマルヘッドの発熱体の発熱特性に起因する発熱ムラが検知されるので、発熱ムラ補正量を発熱体毎に記憶手段に記憶して、記憶された発熱ムラ補正量を基に、画像濃度情報に最適な補正を施すことができる請求項3に係わる画像形成装置が実現される。
【0017】
請求項6に記載の発明によれば、1枚の記録シートに形成された画像を基に、画像の各濃度毎の蓄熱補正量を算出することができる請求項1に係わる画像形成装置が実現される。
【0018】
請求項7に記載の発明によれば、原稿画像読み取り手段が濃度測定手段を兼ねることにより、装置のコストダウンが実現される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、図を基に、本発明の実施の形態を説明する。
【0020】
図1は、本発明による画像形成装置の概念図である。
【0021】
画像形成装置Gは、自動原稿送り手段1、画像読み取り手段2、画像書き込み手段3、制御手段Cから構成され、複写機、プリンタの機能を持つ画像形成装置で、一般に、複合機と呼ばれている。
【0022】
自動原稿送り装置1は、原稿載置台10の上に載置された原稿Dを原稿搬送路11に送り出し、原稿排紙台12に排紙する。搬送中の原稿Dの画像面は、スリットガラス22を通過する際に、画像読み取り手段2によって走査されて画像が読み取られる。
【0023】
画像読み取り手段2は、原稿台ガラス20、光源ランプ21、スリットガラス22、第1ミラーユニット23、第2ミラーユニット24、結像レンズ25、CCD26等からなる。
【0024】
画像読み取り位置であるスリットガラス22の上を走行する原稿Dの画像は、光源ランプ21により照射され、その反射光は第1ミラーユニット23、第2ミラーユニット24、結像レンズ25に導かれてCCD26に結像され、光学的情報が電気的情報に変換される。変換された前記情報は、A/D変換、シェーディング補正、必要に応じた圧縮処理等が施され、制御手段CのメモリMに原稿画像情報として保存される。
【0025】
画像読み取り手段2の原稿台ガラス20に原稿Dが載置された場合には、図の右方に移動する第1ミラーユニット23、第2ミラーユニット24によって原稿画像を走査して、原稿画像情報を得る。
【0026】
画像書き込み手段3は、サーマルヘッドH、インクリボンR、元巻きローラ31、巻き取りローラ32、プラテンローラ40、リボンガイドローラ33、34、35、36、記録シート搬送ローラ41、42、43、44、45、46、記録シート載置台51、記録シート排紙台52等から構成される公知の熱昇華型のプリンタである。
【0027】
熱昇華型のインクが塗布されたインクリボンRは、元巻き状態で元巻きローラに装填され、リボンガイドローラ33、34、35、36に導かれて、巻き取りローラ32に巻き取られる。
【0028】
記録シート載置台51に載置された記録シートPは、1枚ずつ送り出され、サーマルヘッドH、インクリボンR,プラテンローラ40から成る画像転写部にて、画像が転写されて、記録シート排紙台52に排出される。
【0029】
サーマルヘッドHは、複数の発熱体がライン状に並べられており、そのラインの長さは記録紙の幅に大凡等しい。このサーマルヘッドHは、記録シートPが所定の位置に搬送されてきた時に下降して、インクリボンR、及び記録シートPをプラテンローラ40に押圧する。この状態でサーマルヘッドHの複数の発熱体には、制御手段Cから送られた画像情報に基づく電気的エネルギーが印加され、発熱量に応じた量のインクがインクリボンRから記録紙Pに昇華転写する。転写時には記録シートPとインクリボンRとは一体となって所定の送りピッチと速度で進行する。即ち、記録シートPには、サーマルヘッドHの発熱体の1ライン分の画像が、順次、前記送りピッチの間隔を持って並べられ、1頁分の画像が形成される。記録シートPへの画像の出力が終わると、サーマルヘッドHは再び上昇する。押圧が解かれ、インクリボンRから分離した記録紙Pは、所定の排紙速度に増速された記録紙搬送ローラ44、45、46により記録シート排紙台52に排出される。
【0030】
カラーの画像形成を行う場合には、YMCK(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)の各色のインクが、ほぼ記録シートの長さをもって順番に塗布されたインクリボンを使用して、サーマルヘッドHによる昇華転写位置を往復移動する記録シートPに各色の画像を順次転写して、所定のカラー画像を得る。
【0031】
図2は、画像形成装置Gの制御関係を示すブロック図である。
【0032】
制御手段Cは、CPUを中心としたコンピュータシステムで、メモリM、入出力インターフェイス、駆動回路、通信用インターフェイス等から構成される。画像形成装置Gの各手段の制御は、メモリMに格納されている所定のプログラムを実行させることによりなされる。
【0033】
他の情報処理機器から送られた画像情報、又は画像読み取り手段2により読み取られた原稿の画像情報は制御手段CのメモリMに格納される。格納された前記画像情報は、1ライン分の情報に分けられ、順次画像書き込み手段3のサーマルヘッドドライバ340に送られ、サーマルヘッドドライバ340は、サーマルヘッドHの複数の発熱体に、送られた画像情報に対応した電気的エネルギーを所定のタイミングで印加する。なお、サーマルヘッドドライバ340、及びサーマルヘッドHは一般的に用いられている公知の技術からなるものである。
【0034】
記憶手段Mには、画像読み取り手段2により読み取られた原稿の画像情報以外に、所定のパターンを出力するための複数の画像情報が画像ファイルに格納されており、ユーザは、操作表示手段4を用いて指示情報を入力することにより、所定のパターンを画像書き込み手段3に出力することができる。
【0035】
なお、本図では、本願発明の説明に直接関係しないブロックの記載は省略されている。
【0036】
図3(b)は、図3(a)に示すような一様濃度のパターンを出力して得られた出力画像の記録シートの搬送方向(副走査方向)の濃度変化を示すグラフである。なお、本例では制御手段CのメモリMに格納されている画像の濃度は8ビットで表現され、画像情報としてサーマルヘッドドライバに送られる。従って、表現できる濃度段階は0〜255となり、濃度0の場合は「0」で、最高濃度情報は「255」となる。また、横軸にて示される記録シートの搬送方向の長さは、既に説明した送りピッチで形成されるライン数で表現されている。
【0037】
記憶されている一様な濃度のパターンが出力される場合、制御手段Cからサーマルヘッドドライバ340にはサーマルヘッドHの各発熱体に同じレベルの電気的エネルギーを印加する情報が送られる。
【0038】
このようにして得られた出力画像は、一様な濃度を持つ画像であることが望ましいが、出力画像先端部よりも後端部の濃度が高くなる。これは、画像形成時の各発熱体の発熱によりサーマルヘッドHに熱が蓄積され、同じレベルの信号で各発熱体を駆動しても、各発熱体は同じ温度にはならないことに起因する。また、図に示すように、蓄熱の影響はパターンの濃度により異なる。
【0039】
図4は、一様な濃度のパターンを出力するための蓄熱補正量を算出する方法を説明する
図である。
【0040】
本図は、図3(a)にて示すような一様な濃度パターンのテスト画像を、各濃度段階で出力して、それらの画像濃度を副走査方向の1ライン毎に測定し、ラインの位置と出力濃度との関係を記録することにより得たものである。
所定の濃度のパターンは、予め設定されている対応するビット数の画像情報が制御手段Cからサーマルヘッドドライバ340に送られることにより記録シートPに出力されるが、サーマルヘッドの蓄熱により徐々に濃度が高くなる。
【0041】
この図から、1ライン目に、当初、画像情報による濃度が100で出力された記録シートP上の画像濃度は、1000ライン目では画像情報による濃度が98で出力されることがわかる。即ち、同一の画像濃度を記録シートPに出力するためには、出力ラインの位置に対応して元の画像情報に−2の補正を加える必要がある。
【0042】
図5は、補正のために参照される蓄熱補正量テーブルの例を示す図である。
【0043】
制御手段CのメモリMに格納されているソフトウエアである蓄熱補正量算出手段が実行されることにより、メモリMに格納されている画像情報はサーマルヘッドドライバ340に転送される前に、ある画像濃度が連続するライン数が計数され、画像濃度と計数結果から前記テーブルを参照して画像情報を補正する。
【0044】
蓄熱補正量テーブルの作成に当たっては、0から255の一様な濃度パターンを全て出力する必要はなく、0から255の間にあるいくつかの濃度パターンを選択し、数ライン毎に濃度を測定して、その他の濃度、及びその他のライン位置の濃度は測定された濃度値を按分して求めてもよい。
【0045】
また、記録シートPの送りピッチ毎(ライン毎)に画像濃度を測定する代わりに、予め設定されたピッチ数毎(ライン数毎)に測定を行い、得られた画像濃度から、間のピッチの画像濃度を補間計算により求めてテーブルを作成しても良い。即ち、記録シートPの送りピッチ、又はその整数倍のピッチに合わせて画像濃度の測定を行う。
【0046】
なお、蓄熱補正量テーブルのデータが多く、メモリMの容量が問題になる場合には、データの間隔を広げた蓄熱補正量テーブルを作成し、テーブルに登録されていないデータについては補間計算により求めても良いし、蓄熱補正量テーブルの代わりに、近似式を設けて、補正値を求めても良い。
【0047】
図6は、本発明による蓄熱補正量テーブルを作成する手順を示すフローチャートである。
【0048】
先ず、タッチパネルである操作表示手段4により、蓄熱補正量設定モードを選択する(ステップS1)、次にコピーボタンを押すと、メモリMの所定のエリアに記憶されている一様な濃度パターンの画像情報がサーマルヘッドドライバに送られ、記録シートに画像が形成される(ステップS2)。予め記憶されているN段階の濃度パターンが全て出力されると(ステップS3:Y)、これらの濃度パターンが形成されているN枚の記録シートを自動原稿送り手段1に載置して、順次画像を画像読み取り手段2に読み取らせる。読み取られた画像情報は、各ライン位置にて濃度値に変換され、図4にて示したようなグラフが作成される(ステップS6)。このグラフから蓄熱補正量算出手段により蓄熱補正量を算出して図5で示したようなテーブルを作成する(ステップS7)。
【0049】
なお、蓄熱補正量テーブルを作成する手順と同様な手順で、ステップ4,または5で得られた画像の濃度を、発熱体の並ぶ方向に各発熱体の位置に対応させて測定して、これらの濃度のバラツキを所定の範囲内に納める補正量を発熱ムラ補正量算出手段により算出して、発熱ムラ補正量テーブルを作成することもできる。
【0050】
図7は、図3で示されるパターンに代わる他のパターンを示す図である。
【0051】
図にて示されるパターンは、図3で示されるような一様な濃度を有するパターンと異なり、サーマルヘッドHの発熱体が並ぶ方向に階段状に濃度が変化する濃度ウエッジと呼ばれるものである。このパターンを出力して、前述したように、ライン位置と対応する濃度を測定することにより、各濃度ごとのサーマルヘッドの蓄熱の補正量を算出することができる。
【0052】
図8は画像出力モード(通常モード)における、画像出力の流れを示すフローチャートである。
【0053】
通常モードである画像出力モードにて(ステップS10)、画像を出力する場合、制御手段CのメモリMの所定のファイルに格納されていた所定の画像情報が読み出され(ステップS11)、プログラムである等濃度領域抽出手段が実行されることにより画像中の副走査方向に連続する等濃度領域が抽出される(ステップS12)、連続する等濃度領域が抽出されると、その領域の画像の濃度情報には、前述の蓄熱補正量テーブルを参照して得られた補正が加えられる(ステップS13)。同様に、発熱ムラ補正量テーブルを参照してさらなる補正を加えても良い(ステップS14)。補正を施された画像情報は、順次、サーマルヘッドドライバに出力される(ステップS15)。
【0054】
なお、上記説明は、画像読み取り手段2にて記録シートPに出力された画像の濃度を読み取ることができる画像形成装置Gを基になされているが、記録シートPの画像濃度を読み取る濃度測定手段を画像形成手段の画像形成後のシート搬送路に設けて記録シートPに出力された画像の濃度を読み取るように構成しても良いし、画像形成装置Gにより出力された記録シートPの画像濃度を測定要件を満たす濃度計で濃度を読み取り、測定結果を適宜な媒体、又は通信手段で制御手段Cに送るようにしても良い。前記濃度計で濃度を読み取る場合には、出力される記録シート上に所定の濃度画像以外に、適当な間隔でライン数を示す目印が形成されていると、測定に都合が良い。
【0055】
以上説明したように、本願発明により、インクリボンや記録シートの特性が変化しても、常に最適なサーマルヘッドの蓄熱補正を行うことによって高品質の画像を形成できる制御方法と、画像形成装置Gが実現される。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】画像形成装置の概念図である。
【図2】画像形成装置の制御関係を示すブロック図である。
【図3】出力画像の副走査方向の濃度変化を示すグラフである。
【図4】蓄熱補正量を算出する方法を説明する図である。
【図5】蓄熱補正量テーブルの例を示す図である。
【図6】蓄熱補正量を決定する手順を示すフローチャートである。
【図7】他のパターンを示す図である。
【図8】画像出力の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0057】
1 自動原稿送り手段
2 画像読み取り手段
3 画像書き込み手段
4 走査表示手段
C 制御手段
G 画像形成装置
H サーマルヘッド
P 記録シート
R インクリボン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の発熱体が並べられたサーマルヘッドに出力信号を送り各発熱体を発熱させ、前記サーマルヘッドにより熱昇華性のインクが塗布されたインクリボンを記録シートに当接させて、前記記録シートに画像を形成する画像形成装置の制御方法において、
蓄熱補正量設定モードと画像出力モードとを設け、
蓄熱補正量設定モードにて、
前記サーマルヘッドに前記発熱体の各々に同一の画像濃度情報を送る出力信号を出力して、前記記録シートにテスト画像を形成し、
前記記録シートに形成された前記テスト画像の濃度を、前記画像形成装置による前記記録シートの送りピッチに合わせて測定し、
測定によって得た濃度値を基に、サーマルヘッドの蓄熱補正量を算出して記憶し、
画像出力モードにて、
記憶された前記蓄熱補正量を参照して画像形成を行うことを特徴とする画像形成装置の制御方法。
【請求項2】
前記蓄熱補正量設定モードにて、
測定により得た前記濃度値を基に、複数の前記発熱体の発熱ムラを補正する発熱ムラ補正量を算出して記憶手段に記憶し、
前記画像出力モードにて、
前記記憶手段に記憶された前記発熱ムラ補正量を参照して画像形成を行うことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置の制御方法。
【請求項3】
前記蓄熱補正量設定モードにて、
前記サーマルヘッドに、発熱体の並び方向に階段状に濃度が変化する濃度ウェッジが記録シートに形成されるように出力信号を送ることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置の制御方法。
【請求項4】
複数の発熱体を有するサーマルヘッドに出力信号を送り各発熱体を発熱させ、前記サーマルヘッドにより熱昇華性のインクが塗布されたインクリボンを記録シートに当接させて、前記記録シートに画像を形成する画像形成装置において、
蓄熱補正量設定モードと画像出力モードとを有し、
蓄熱補正量設定モードにて、
前記サーマルヘッドに前記発熱体の各々に同一の画像濃度情報を送る出力信号を出力して、前記記録シートに画像を形成する制御手段と、
前記記録シートに形成された前記画像の濃度を、前記記録シートの送りピッチに合わせて測定する濃度測定手段と、
測定によって得た濃度値を基に、サーマルヘッドの蓄熱補正量を算出して記憶手段に記憶させる蓄熱補正量算出手段と
を有し、
画像出力モードにて、
前記制御手段は、前記記憶手段に記憶された前記蓄熱補正量を参照して画像形成を行うことを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
前記蓄熱補正量設定モードにて、
前記濃度測定手段により得られた濃度値を基に、複数の前記発熱体の発熱ムラを補正する発熱ムラ補正量を算出して記憶手段に記憶させる発熱ムラ補正量算出手段を有し、
前記画像出力モードにて、
前記制御手段は、前記記憶手段に記憶された前記発熱ムラ補正量を参照して画像形成を行うことを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記蓄熱補正量設定モードにて、
前記制御手段は、前記サーマルヘッドに、発熱体の並び方向に階段状に濃度が変化する濃度ウェッジが記録シートに形成されるように出力信号を送ることを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項7】
原稿画像を読み取る原稿画像読み取り手段を有し、
前記原稿画像読み取り手段が前記濃度測定手段を兼ねることを特徴とする請求項4乃至6のいずれか1項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−218794(P2006−218794A)
【公開日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−35783(P2005−35783)
【出願日】平成17年2月14日(2005.2.14)
【出願人】(303050159)コニカミノルタフォトイメージング株式会社 (1,066)
【Fターム(参考)】