画像形成装置及びプロセスユニット
【課題】潜像担持体の表面に潤滑剤を効率よく塗布することができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】表面に潜像を担持する潜像担持体7と、表面に現像剤を担持すると共に回転しつつ潜像担持体7上の潜像に現像剤を供給する現像剤担持体19と、潜像担持体7の表面に潤滑剤を塗布する潤滑剤塗布手段11を備え、非画像形成時に潤滑剤塗布手段11により潜像担持体7に潤滑剤を塗布する潤滑剤塗布モードを有する画像形成装置におけるものである。非画像形成時の潤滑剤塗布モード時に、現像剤担持体19を画像形成時とは異なる回転速度で回転させるように構成した。
【解決手段】表面に潜像を担持する潜像担持体7と、表面に現像剤を担持すると共に回転しつつ潜像担持体7上の潜像に現像剤を供給する現像剤担持体19と、潜像担持体7の表面に潤滑剤を塗布する潤滑剤塗布手段11を備え、非画像形成時に潤滑剤塗布手段11により潜像担持体7に潤滑剤を塗布する潤滑剤塗布モードを有する画像形成装置におけるものである。非画像形成時の潤滑剤塗布モード時に、現像剤担持体19を画像形成時とは異なる回転速度で回転させるように構成した。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ、あるいはこれらの複合機等の画像形成装置、及びこれに設けられるプロセスユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
複写機、プリンタ、ファクシミリ、あるいはこれらの複合機等に広く用いられている電子写真方式の画像形成は、光導電現象を利用して像担持体上に静電的な電荷の像(静電潜像)を形成し、この静電潜像に着色した帯電微粒子(トナー)を静電力で付着させて可視像とするプロセスによって行われる。
【0003】
この電子写真方式の画像形成装置において、その主要部品である潜像担持体や中間転写ベルトに、各種ワックスやフッ素系樹脂(ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン等)や高級脂肪酸金属塩(ステアリン酸亜鉛等)を潤滑剤として塗布する技術がある。この技術は、潜像担持体や中間転写体のクリーニングプロセス、すなわち、それらの表面に残留するトナーや不純物をクリーニングブラシやクリーニングブレードで掻き取るというプロセスにおけるクリーニング不良を解消するために用いられる。潤滑剤を潜像担持体や中間転写ベルトの表面に塗布することにより、表面の摩擦係数が減少し、表面に付着したトナー等の付着物を表面から容易に除去することができるようになり、クリーニング性が向上する。
【0004】
ところで、近年、重合法により調整された球形状トナーが用いられるようになってきている。この重合法により調整された球形状のトナーは粒径分布が揃っており、かつ、小粒径化も効率良く行えることから、画質が向上する一方で、像担持体上からのクリーニングが難しくなるという問題点がある。このような技術的背景からも、潤滑剤を用いることによるクリーニング性向上は、今後、さらに重要な技術になると考えられる。
【0005】
また、潜像担持体の表面に潤滑剤を塗布する目的としては、上記の表面摩擦係数の低減のほか、潜像担持体の表面の放電による酸化劣化を防止することもある。潜像担持体に静電的な電荷の像(静電潜像)を形成するには、帯電手段によって潜像担持体表面を一様に帯電させる。具体的な帯電手段としては、近年では帯電ローラ部材に高電圧を印加して潜像担持体に直接放電させて帯電させる手段がある。しかしながら、潜像担持体に対して直接放電すると、潜像担持体表面が劣化するという問題が発生する。特に、帯電ローラ部材を潜像担持体に接触させない、いわゆる非接触帯電ローラ方式においては帯電ローラ部材に交流電圧を印加するため、潜像担持体表面が劣化しやすくなることが知られている。劣化した潜像担持体表面は、主にクリーニング部材であるクリーニングブラシやクリーニングブレードとの機械的摺擦により、摩耗しやすくなる。そのため、潜像担持体表面に潤滑剤を塗布する技術は、放電による潜像担持体へのダメージを低減させるためにも重要な技術である。
【0006】
一般的に、潤滑剤は微量ずつ粉体の形態で潜像担持体表面に供給されるが、その具体的な方法としては、ブラシなどの塗布手段によりブロック上に固形成形された潤滑剤を削り取って粉体とし、ブラシに保持した粉体状の潤滑剤を潜像担持体に接触させて塗布する方法がある。通常、ブラシ部材はクリーニングブレードの手前に潜像担持体と接触して配置されている。ブラシ部材により潜像担持体に塗布された粉状潤滑剤はクリーニングブレードのニップ部に移動し、押しつぶされて潜像担持体表面に均一に薄膜化されて潤滑性を発揮する状態となる。この場合、ブラシ部材はクリーニングブレードの手前に配置されているので、潜像担持体に粉状潤滑剤を塗布すると同時に転写残トナーをクリーニングする機能を有する。つまり、ブラシ部材は潜像担持体からトナーを除去しながら潜像担持体に潤滑剤を塗布する。
【0007】
しかしながら、ブラシ部材によってトナーを除去しながら潤滑剤を塗布する構成では、ブラシ部材に付着した転写残トナーによって潤滑剤塗布量が大きく影響を受けるといった問題がある。詳しくは、ブラシ部材にトナーが付着すると固形潤滑剤を研磨する能力が増すため、ブラシ部材のトナーの付着した部分とトナーが付着していない部分とでは固形状の潤滑剤を研磨する能力に差が生じる。例えば、トナーが付着した縦帯部とトナーが付着しない白紙部とが混在する画像などを連続で出力されると、縦帯部と白紙部で潤滑剤の塗布状態が異なり、いわゆる塗布ムラが発生する。
【0008】
上記の不具合を解決するために、ブラシ部材を用いて潜像担持体に潤滑剤を塗布するときはトナーの影響を受けない状態、つまり非画像形成時に潜像担持体に塗布することが有効である。例えば、特許文献1〜3には、非画像形成時に潤滑剤を塗布する、いわゆる潤滑剤塗布モードを有する画像形成装置が提案されている。
【0009】
具体的には、特許文献1の画像形成装置は、潤滑剤塗布モードにおいて、最近の印刷情報に基づき、潜像担持体の摩擦係数が上昇しやすい高画像面積率の画像が多い場合は、潤滑剤の塗布量を多くして潜像担持体の摩擦係数を低減させ、潜像担持体とクリーニング手段との摩擦による異音の発生を防止するものである。
また、特許文献2の画像形成装置は、潤滑剤塗布モードにおいて、1回の印刷枚数や、1枚当たりの画像面積率等の使用状況に応じて、潤滑剤塗布量を最適化することにより、塗布量が過多、又は少なくならないようにするものである。
また、特許文献3の画像形成装置は、潤滑剤塗布モードに、少なくとも交流バイアス電圧をOFFにして、潤滑剤が新品の状態から潜像担持体の摩擦係数を低減し、クリーニング不良やフィルミングを防止するものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
また、画像形成装置においては、設置スペース上の問題から機器の小型化が要求されており、各ユニットの大きさには制限があるため、部品は極力小さくする必要があると同時に長寿命化の要請もある。斯かる理由から、潜像担持体の表面に潤滑剤を効率よく塗布する必要がある。このことは、上記特許文献1〜3などの画像形成装置においても同様であり、非画像形成時の潤滑剤塗布モードにおいて少ない潤滑剤を効率よく塗布するための更なる改善が求められる。
【0011】
本発明は、斯かる事情に鑑み、潤滑剤を効率よく塗布することができる画像形成装置、及びその画像形成装置に用いられるプロセスユニットを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1の発明は、表面に潜像を担持する潜像担持体と、表面に現像剤を担持すると共に回転しつつ前記潜像担持体上の潜像に現像剤を供給する現像剤担持体と、前記潜像担持体の表面に潤滑剤を塗布する潤滑剤塗布手段を備え、非画像形成時に前記潤滑剤塗布手段により前記潜像担持体に潤滑剤を塗布する潤滑剤塗布モードを有する画像形成装置において、非画像形成時の潤滑剤塗布モード時に、前記現像剤担持体を画像形成時とは異なる回転速度で回転させるように構成したものである。
【0013】
現像剤担持体を画像形成時とは異なる回転速度で回転させることにより、潤滑剤塗布手段による潤滑剤の塗布を効率よく行うことができるようになる。
具体的には、現像剤担持体の回転速度を、潜像担持体の回転に対して速度差をもたせるように変更することで、現像剤担持体上に担持される現像剤磁気ブラシを潜像担持体の表面に摺擦させて、潜像担持体上の異物を除去することが可能となる。この場合、異物除去後の潜像担持体の表面に潤滑剤を塗布することができるので、潤滑剤の塗布効率が向上する。
また、現像剤担持体の回転速度を、潜像担持体の回転速度と同じ速度となるように変更することで、現像剤担持体上の現像剤磁気ブラシによって潜像担持体上の潤滑剤を削り取らないようにすることができる。この場合、潤滑剤の無駄な消費を抑えることができるため、結果として、潤滑剤の塗布を効率よく行えるようになる。
【0014】
請求項2の発明は、請求項1に記載の画像形成装置において、非画像形成時の潤滑剤塗布モード時に、前記現像剤担持体を、その画像形成時の回転速度よりも速く、かつ、前記潜像担持体よりも速い速度で回転させるように構成したものである。
【0015】
現像剤担持体を、その画像形成時の回転速度よりも速く、かつ、潜像担持体よりも速い速度で回転させることにより、現像剤担持体と潜像担持体との間の回転速度差を大きくして、現像剤担持体上に担持される現像剤磁気ブラシを潜像担持体の表面に摺擦させることができる。これにより、現像剤磁気ブラシによって潜像担持体の表面が研磨され、潜像担持体上の異物を除去することが可能となる。
【0016】
請求項3の発明は、請求項2に記載の画像形成装置において、前記現像剤担持体を、その画像形成時の回転速度よりも速く、かつ、前記潜像担持体よりも速い速度で回転させている間、前記潤滑剤塗布手段による潤滑剤塗布量を画像形成時の潤滑剤塗布量よりも少なくするように構成したものである。
【0017】
現像剤担持体を、その画像形成時の回転速度よりも速く、かつ、潜像担持体よりも速い速度で回転させている間は、潜像担持体の表面に潤滑剤を塗布しても、現像剤担持体に担持される現像磁気ブラシによって潜像担持体上の潤滑剤が削り取られてしまう。そのため、この間は、潤滑剤塗布量を少なくすることで、潤滑剤の無駄な消費を抑えることができる。
【0018】
請求項4の発明は、請求項3に記載の画像形成装置において、前記潤滑剤塗布手段は、回転することにより潤滑剤を削り取って前記潜像担持体の表面に当該潤滑剤を塗布する潤滑剤塗布部材を有し、当該潤滑剤塗布部材の回転速度をその画像形成時の回転速度よりも遅くすることで、潤滑剤塗布量を少なくするように構成したものである。
【0019】
潤滑剤塗布部材の回転速度をその画像形成時の回転速度よりも遅くすることで、潤滑剤塗布量を少なくすることが可能である。
【0020】
請求項5の発明は、請求項1に記載の画像形成装置において、非画像形成時の潤滑剤塗布モード時に、前記現像剤担持体を、その画像形成時の回転速度よりも遅く、かつ、前記潜像担持体と同じ速度で回転させるように構成したものである。
【0021】
現像剤担持体を、その画像形成時の回転速度よりも遅く、かつ、潜像担持体と同じ速度で回転させることにより、現像剤担持体上の現像剤磁気ブラシが潜像担持体の表面に摺擦しなくなる。その結果、現像剤磁気ブラシによって潜像担持体の表面が研磨されなくなるので、潜像担持体上に塗布された潤滑剤が現像剤磁気ブラシによって削り取られないようにすることができる。
【0022】
請求項6の発明は、請求項5に記載の画像形成装置において、前記現像剤担持体を、その画像形成時の回転速度よりも遅く、かつ、前記潜像担持体と同じ速度で回転させている間、前記潤滑剤塗布手段による潤滑剤塗布量を画像形成時の潤滑剤塗布量よりも多くするように構成したものである。
【0023】
現像剤担持体を、その画像形成時の回転速度よりも遅く、かつ、潜像担持体と同じ速度で回転させている間は、潜像担持体上の潤滑剤が現像剤磁気ブラシによって削り取られないので、この間に潤滑剤塗布量を多くして積極的に塗布することにより、潜像担持体への潤滑剤塗布を効率よく行うことができる。
【0024】
請求項7の発明は、請求項6に記載の画像形成装置において、前記潤滑剤塗布手段は、回転することにより潤滑剤を削り取って前記潜像担持体の表面に当該潤滑剤を塗布する潤滑剤塗布部材を有し、当該潤滑剤塗布部材の回転速度をその画像形成時の回転速度よりも速くすることで、潤滑剤塗布量を多くするように構成したものである。
【0025】
潤滑剤塗布部材の回転速度をその画像形成時の回転速度よりも速くすることで、潤滑剤塗布量を多くすることが可能である。
【0026】
請求項8の発明は、請求項1に記載の画像形成装置において、非画像形成時の潤滑剤塗布モード時に、前記現像剤担持体を、その画像形成時の回転速度よりも速く、かつ、前記潜像担持体よりも速い速度で回転させた後、その画像形成時の回転速度よりも遅く、かつ、前記潜像担持体と同じ速度で回転させるように構成し、前記現像剤担持体を、その画像形成時の回転速度よりも速く、かつ、前記潜像担持体よりも速い速度で回転させている間、前記潤滑剤塗布手段による潤滑剤塗布量を画像形成時の潤滑剤塗布量よりも少なくし、前記現像剤担持体を、その画像形成時の回転速度よりも遅く、かつ、前記潜像担持体と同じ速度で回転させている間、前記潤滑剤塗布手段による潤滑剤塗布量を画像形成時の潤滑剤塗布量よりも多くするように構成したものである。
【0027】
まず、現像剤担持体を、画像形成時の回転速度よりも速く、かつ、潜像担持体よりも速い速度で回転させることにより、上記のように、現像剤担持体上に担持される現像剤磁気ブラシを潜像担持体の表面に摺擦させて、潜像担持体上の異物を除去することが可能となる。しかし、このとき、現像磁気ブラシによって潜像担持体上の潤滑剤が削り取られてしまうため、潤滑剤塗布量を少なくすることで、潤滑剤の無駄な消費を抑える。
その後、現像剤担持体を、画像形成時の回転速度よりも遅く、かつ、前記潜像担持体と同じ速度で回転させることにより、現像剤磁気ブラシによって潜像担持体上の潤滑剤を削り取らないようにした状態で、潤滑剤塗布量を多くして積極的に塗布することにより、潜像担持体の表面に潤滑剤を効率よく塗布することが可能となる。
また、この場合、潜像担持体上の異物が除去された状態で潤滑剤を塗布することができるため、少ない潤滑剤を潜像担持体上に均一に薄膜化して効率よく塗布することができるようになり、塗布時間も短くなる。
【0028】
請求項9の発明は、請求項1から8のいずれか1項に記載のベルト装置において、前記潤滑剤を、ステアリン酸亜鉛としたものである。
【0029】
潤滑剤をステアリン酸亜鉛とすることにより、少量の潤滑剤によって効果的に潜像担持体の表面を覆い潤滑性を発揮できる。
【0030】
請求項10の発明は、請求項1から9のいずれか1項に記載の画像形成装置が備える前記潜像担持体と、前記現像剤担持体と、前記潤滑剤塗布手段とを少なくとも一体的に有し、画像形成装置本体に対して着脱可能に構成されたプロセスユニットである。
【0031】
これにより、潜像担持体と、現像剤担持体と、潤滑剤塗布手段等が画像形成装置本体に対して一体的に着脱可能となり、メンテナンス性や利便性が向上する。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、非画像形成時の潤滑剤塗布モードにおいて、潜像担持体上に潤滑剤を効率よく塗布することができる。また、潤滑剤を効率よく塗布できるので、画像形成装置の小型化や長寿命化を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明を適用する画像形成装置の全体構成を示す概略断面図である。
【図2】前記画像形成装置に搭載された感光体の周辺構造を示す概略図である。
【図3】第1のモードにおける画像形成部の状態を示したものである。
【図4】第1のモード時のブラシ部材と感光体との接触部の拡大図である。
【図5】第1のモード時の現像ローラと感光体との接触部の拡大図である。
【図6】第2のモードにおける画像形成部の状態を示したものである。
【図7】第2のモード時のブラシ部材と感光体との接触部の拡大図である。
【図8】第2のモード時の現像ローラと感光体との接触部の拡大図である。
【図9】クリーニング装置のクリーニングブレードと感光体との接触部の拡大図である。
【図10】ステアリン酸亜鉛分子膜が感光体に付着した後の状態を示す断面拡大図である。
【図11】画像形成装置本体に着脱可能なプロセスユニットの構成を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、添付の図面に基づき、本発明について説明する。なお、本発明を説明するための各図面において、同一の機能もしくは形状を有する部材や構成部品等の構成要素については、判別が可能な限り同一符号を付すことにより一度説明した後ではその説明を省略する。
【0035】
まず、図1に基づいて、本発明を適用する画像形成装置の全体構成及び動作について説明する。
図1に示す画像形成装置1は、給紙部2と、画像形成部3と、転写部4と、定着部5と、排紙部6によって構成される。
給紙部2には、紙やOHP等のシート状の記録媒体Pを収容する給紙カセット20と、給紙カセット20から記録媒体Pを給送する給紙ローラ21が設けられている。定着部5には、定着装置50が配設されている。定着装置50は、例えば、加熱源によって加熱される定着回転体としての定着ローラ51と、定着ローラ51を加圧してその加圧部にて定着ニップを形成する加圧回転体としての加圧ローラ52等を有する。また、排紙部6には、記録媒体Pを機外に排出する排紙ローラ60と、排紙ローラ60によって排出された記録媒体Pをストックする排紙トレイ61とが配設されている。また、画像形成部3は、表面に静電潜像を担持する潜像担持体(又は像担持体)としてのドラム状の感光体7を有する。感光体7は、アルミニウム基体の外周面に有機感光体から成る感光層を形成したものを用い、そのドラム表層がポリカーボネート製のものである。
【0036】
図2は、上記感光体の周辺構造を示す概略図である。
図2に示すように、感光体7の周囲には、帯電手段としての帯電装置8と、潜像形成手段としての露光装置9と、現像手段としての現像装置10と、感光体7に潤滑剤を塗布する潤滑剤塗布手段としての潤滑剤塗布装置11と、転写部4に配設される転写手段としての転写装置14と、クリーニング手段としてのクリーニング装置12及び感光体7表面の残留電荷を除電する手段としての除電装置13が配置されている。
【0037】
上記帯電装置8は、感光体7の表面を一様に帯電するものである。この帯電装置8は、帯電部材を感光体7の表面に接触させ、又は感光体7の表面と微小な空隙を空けて配置し、これに帯電バイアスを印加することによって感光体7表面を所望の極性及び所望の電位に一様帯電する。この帯電部材としては、例えば弾性体からなる帯電ローラや、ワイヤー電極とグリッド電極を用いたスコロトロン帯電器などを用いることができる。本実施形態では感光体7と非接触に位置する帯電ローラを用いている。
【0038】
上記露光装置9は、帯電装置8によって帯電された感光体7の表面に、画像データに応じた静電潜像を形成するものである。この露光装置9は、例えば、発光素子としてLD(Laser Diode)あるいはLED(Light Emitting Diode)を使用し、一様に帯電された感光体7表面に対して画像データに基づく光を照射することにより、その感光体7の表面に静電潜像を形成する。なお、露光装置9としては、このような構成に限らず、広く公知のものを利用することができる。
【0039】
上記現像装置10は、感光体7の表面に形成された静電潜像にトナーを付着させて現像を行うものである。この現像装置10は、固定配置された磁界発生手段としてのマグネットローラを内部に有する現像剤担持体としての現像ローラ19を備えている。この現像ローラ19は、表面に現像剤を担持しながら感光体7の回転方向Aと順方向Cに回転することによって、現像剤を感光体7と対向する現像領域へ搬送する。本実施形態では、現像剤としてトナーとキャリアからなる二成分現像剤を用い、マグネットローラの磁力により現像領域でキャリアを穂立ちさせてブラシ状にして現像を行う磁気ブラシ現像方式を採用している。
【0040】
上記現像ローラ19には、現像バイアス電源から現像バイアスが印加される。これにより、現像領域において、現像ローラ19の表面の電位と感光体7の表面の静電潜像部分における電位との間に電位差が生じ、この電位差によって形成される現像電界の作用を受けて、現像剤中のトナーが静電潜像へ付着する。これにより、感光体7上の静電潜像がトナー像になる。
【0041】
上記転写装置14は、感光体7上のトナー像を、図中矢印の方向に搬送されてくる記録媒体P上へ転写するものである。この転写装置14は、転写ローラ等の転写部材を感光体7の表面に所定の押圧力で接触させ、その転写部材と感光体7との間に転写ニップを形成する。そして、この転写ニップで記録媒体Pを挟み込んだ状態で、転写バイアス電源からトナーとは逆極性の転写バイアスを転写部材に印加することによって形成される転写電界により、感光体7表面上のトナー像を記録媒体P上へ転写させる。なお、転写部材としては、例えば弾性体からなる転写ローラや転写ベルトを用いることができる。さらに、直接記録媒体Pに転写せず、複数のトナー像を重ねてから記録媒体Pに転写を行う中間転写ベルトを用いることができる。このようにしてトナー像が転写された記録媒体Pは、上記定着装置50へ搬送され、ここでトナー像が定着された後、機外へ排出される。
【0042】
上記クリーニング装置12は、転写されずに感光体7の表面に残留した転写残トナーを感光体7の表面から除去するものである。クリーニング装置12としては、感光体7表面上の転写残トナーを掻き取って除去するためのクリーニングブレード30を用いている。クリーニングブレード30はポリウレタンのブレード部材を金属支持体に貼り付けたものを用い、感光体7との当接方法は感光体7の回転方向Aに対してカウンタ方向に接触させる。クリーニングブレード30に関しては感光体7からのトナー除去のみならず、記録媒体Pとして紙を使用したときの紙粉、帯電装置8によって感光体7を放電により帯電するときの放電生成物、トナーに添加されている添加剤などの不純物を感光体7から除去する機能も有している。
【0043】
上記除電装置13は、感光体7表面の残留電荷を除去するものである。残留電荷が除去された感光体7の表面は、次の画像形成に寄与することになる。なお、この除電装置13は、LEDなどを用いた光除電方式を採用しているが、これに限られるものではない。
【0044】
上記潤滑剤塗布装置11は、固形潤滑剤15、固形潤滑剤15を研磨し感光体7に潤滑剤を塗布する潤滑剤塗布部材としてのブラシ部材16、ブラシ部材16に付着しているトナー及び潤滑剤を除去する除去部材としてのフリッカー部材17、固形潤滑剤15をブラシ部材16に押し付ける加圧手段としてのバネ部材18を備える。本実施形態では、ブラシ部材16は、感光体7の表面に接触しつつ感光体7の回転方向Aと順方向Bに回転する。なお、ブラシ部材16の回転方向は、感光体7の回転方向に対してカウンタ方向であってもよい。
【0045】
上記潤滑剤塗布装置11を構成するブラシ部材16は、固形潤滑剤15と接触するように設置され、ブラシ部材16が矢印B方向に回転することにより固形潤滑剤15をブラシ毛の先端部のエッジ部で削り取る。このとき、粉体となった潤滑剤はブラシ部材16を構成するブラシ繊維毛表面に付着して保持される。ブラシ部材16はナイロン、レーヨン、アクリル、ビニロン、ポリエステル、塩ビ等の樹脂繊維からなっており、必要に応じては樹脂繊維にカーボン等の導電付与剤を混ぜた導電繊維を使用してもよい。ブラシ部材16は金属からなる芯金に長さ0.2〜20(mm)、好ましくは0.5〜10(mm)の範囲のブラシ毛が基布上に植毛されたブラシをスパイラル上に巻き付けて構成している。ブラシ毛の長さが20(mm)以上では、稼動時間とともに固形潤滑剤15、感光体7、フリッカー部材17との繰り返し摺擦により、ブラシ体の逆方向の傾斜角が減少して倒毛し、固形潤滑剤15の掻き取り性、感光体7への潤滑剤塗布性が低下する。ブラシの毛の長さが、0.2(mm)以下では、固形潤滑剤15に対する物理的な力が不足する。したがって、0.2〜20(mm)、好ましくは0.5〜10(mm)の範囲にすることが好ましい。
【0046】
本実施形態の場合、ブラシ部材16はクリーニングブレード30の手前(感光体回転方向の上流側)に配置されているため、画像形成時にブラシ部材16は感光体7上の転写残トナーを回収しながら固形潤滑剤15を研磨し、粉状になった潤滑剤を感光体7表面に付着させる。しかしながら、作像する画像パターンの影響でブラシ部材16がトナーを除去し、トナーを保持する量がブラシ部材16の場所によって異なると、固形潤滑剤15を均一に研磨することができなくなり、感光体7へ潤滑剤を均一に塗布することができない。不均一にトナーが付着したブラシ部材16が固形潤滑剤15を均一に研磨することができない原因は、トナーも固形潤滑剤15を研磨する能力があるためである。
【0047】
そこで、本発明では、潤滑剤を感光体7に塗布する潤滑剤塗布モードを、通常の画像形成時以外の、非画像形成時においても行うようにしている。画像形成時以外に潤滑剤を塗布する動作を行えば、画像パターンによる影響を受けないので、均一に潤滑剤を感光体7に塗布することができる。さらに、本発明では、非画像形成時の潤滑剤塗布モードにおいて、まず、感光体7上の異物の除去を主として行う第1のモードと、感光体7上の異物が除去されてから感光体7上に潤滑剤を積極的に塗布する第2のモードが設定されている。
以下、第1のモードと第2のモードについて詳しく説明する。
【0048】
図3は、上記第1のモードにおける画像形成部の状態を示したものである。
通常の画像形成時は帯電、露光、現像、転写、クリーニング、除電という一連のプロセスを行うが、第1のモード(非画像形成時)では主に、帯電、クリーニング、除電のみが行われる。現像ローラ19は画像形成時と同様に回転し電圧が印加されるが、露光を行わないので感光体7に潜像が形成されず、トナーが感光体7に現像されることはない。また、このとき現像ローラ19にはトナーが感光体7に静電的に付着しない電圧を印加している。また、転写装置14は感光体7に現像トナーが無い状態なので感光体7とは離間している。なお、感光体7とは接触していても問題は無い。
【0049】
図3に示すように、第1のモードでは、ブラシ部材15と現像ローラ19のそれぞれの回転速度を、図2に示す画像形成時の回転速度Vb、VcからVb'、Vc'に変更する。具体的には、第1のモードでは、現像ローラ19の回転速度Vc'を、その画像形成時の回転速度Vcよりも速くする。一方、ブラシ部材16の回転速度Vb'は、その画像形成時の回転速度Vbよりも遅くする。また、第1のモード時のブラシ部材16及び現像ローラ19の回転速度Vb'、Vc'と、感光体7の回転速度Vaとの関係は、Vb'<Va<Vc'となっている。なお、感光体7の回転速度は、第1のモードにおいても通常の画像形成時と同じ速度Vaであり、変更しない。
【0050】
上記のように、第1のモードにおいて、現像ローラ19の回転速度Vc'を、画像形成時の回転速度Vcよりも速くするのは、現像ローラ19上に担持される現像剤磁気ブラシによって感光体7の表面を研磨してクリーニングするためである。
詳しくは、上述のように、現像ローラ19上にはキャリアを穂立ちさせてブラシ状にした現像剤磁気ブラシが担持されるが、第1のモードにおいて、現像ローラ19の回転速度Vc'を通常の画像形成時の回転速度Vcよりも速くすることにより、現像ローラ19と感光体7との間の回転速度差を大きくして、現像ローラ19上に担持される現像剤磁気ブラシを感光体7の表面に摺擦させる。これにより、現像剤磁気ブラシによって感光体7の表面が研磨され、感光体7上から異物を除去することができる。ここで、感光体7上の異物としては、感光体7に塗布された潤滑剤が帯電の放電で化学変化したもの、トナーの添加剤が固着したものなどがある。
【0051】
なお、通常の画像形成時における現像ローラ19の回転速度Vcは、感光体7の回転速度Vaよりやや速く設定されている。これは、現像時にトナーを感光体7に多く付着させるためである。従って、第1のモードでは、現像ローラ19の回転速度Vc'を、感光体7の回転速度Vaよりもやや速く設定されている画像形成時の現像ローラ19の回転速度Vcよりもさらに速くする。すなわち、第1のモードの現像ローラ19の回転速度Vc'は、その画像形成時の回転速度Vcよりも速く、かつ、感光体7の回転速度Vaよりも速い速度に設定されている(Va<Vc<Vc')。また、通常の画像形成時においては、感光体7の回転速度Vaと現像ローラ19の回転速度Vcとの速度差はあまりないため、現像剤磁気ブラシによって感光体7が研磨されることはほとんどない。
【0052】
また、現像ローラ19の回転速度を上げて感光体7の表面を研磨している間は、感光体7の表面に潤滑剤を塗布しても、現像磁気ブラシによって感光体7上の潤滑剤が削り取られてしまう。そのため、上記のように、第1のモードでは、ブラシ部材16の回転速度Vb'を画像形成時の回転速度Vbよりも遅くすることで、感光体7への潤滑剤の塗布量を通常の画像形成時の塗布量よりも減少させて、潤滑剤の無駄な消費を抑えるようにする。
【0053】
図4は、第1のモード時のブラシ部材と感光体との接触部の拡大図である。
第1のモードでは、ブラシ部材16を通常の画像形成時の回転速度Vbよりも遅い回転速度Vb'で回転させているため、固形潤滑剤15を研磨する作用が減り、感光体7に塗布する粉状潤滑剤の量が減ることになる。
【0054】
図5は、第1のモード時の現像ローラと感光体との接触部の拡大図である。
第1のモードでは、現像ローラ19を、その画像形成時の回転速度Vcよりも速く、かつ、感光体7の回転速度Vaよりも速い回転速度Vc'で回転させているため、キャリア100及びトナー200で構成される現像剤磁気ブラシにより感光体7の表面を削りやすい状態となる。
【0055】
このように、ブラシ部材16と現像ローラ19の両者の回転速度を通常の画像形成時の回転速度とは異ならせることによって、第1のモードでは、潤滑剤が感光体7に塗布されにくい状態で、かつ、感光体7上の異物を除去しやすい状態となり、潤滑剤の無駄な消費を抑えつつ感光体7上の異物を効果的に除去することが可能となる。
【0056】
次に、上記第2のモードについて説明する。
図6は、第2のモードにおける画像形成部の状態を示したものである。
ここでは、ブラシ部材15と現像ローラ19のそれぞれの回転速度をVb"、Vc"に変更する以外は、第1のモードと同様となっている。具体的には、第2のモードでは、現像ローラ19の回転速度Vc"を、その画像形成時の回転速度Vcよりもやや遅くして、感光体7の回転速度Vaと同じ速度にする。一方、ブラシ部材16の回転速度Vb"は、その画像形成時の回転速度Vbよりも速くする。なお、第2のモード時のブラシ部材16の回転速度Vb"と、感光体7の回転速度Vaとの関係は、Va<Vb"となっている。
【0057】
上記のように、第2のモードでは、ブラシ部材16の回転速度Vb"を、通常の画像形成時の回転速度Vbよりも上げているため、潤滑剤塗布量が多くなり、感光体7への潤滑剤塗布が積極的に行われるようになる。一方、現像ローラ19は、画像形成時の回転速度Vcよりもやや遅くして、感光体7の回転速度Vaと同じ速度で回転させることにより、現像ローラ19上の現像剤磁気ブラシが感光体7の表面に摺擦しなくなる。これにより、現像剤磁気ブラシによって感光体7の表面が研磨されなくなるため、感光体7上に塗布された潤滑剤が現像剤磁気ブラシによって削り取られて回収されることはない。
【0058】
図7は、第2のモード時のブラシ部材と感光体との接触部の拡大図である。
ブラシ部材16は、通常の画像形成時の回転速度Vbよりも速い回転速度Vb"で回転しているため、固形潤滑剤15を研磨する作用が大きく、感光体7に塗布する粉状潤滑剤の量が増える。
【0059】
図8は、第2のモード時の現像ローラと感光体との接触部の拡大図である。
現像ローラ19は、通常の画像形成時の回転速度Vcよりもやや遅く、かつ、感光体7の回転速度Vaと同じ回転速度Vc"で回転しているため、キャリア100及びトナー200で構成される現像剤磁気ブラシにより感光体7の表面が削れにくい状態となる。
【0060】
このように、ブラシ部材16と現像ローラ19の両者の回転速度を通常の画像形成時の回転速度とは異ならせることによって、第2のモードでは、潤滑剤が感光体7に塗布されやすい状態で、かつ、感光体7上の異物及び潤滑剤を除去しにくい状態となり、感光体7上に潤滑剤を効果的に塗布することが可能となる。
【0061】
以上のように、本発明によれば、非画像形成時の潤滑剤塗布モードにおいて、まず、第1のモードを実行してから、第2のモードを実行することにより、感光体7上の異物が除去された状態で潤滑剤を積極的に塗布することができる。これにより、少ない潤滑剤を感光体7上に均一に薄膜化して効率よく塗布することができるようになり、塗布時間も短くなる。また、潤滑剤を効率よく塗布できるので、画像形成装置の小型化や長寿命化を図れるようになる。
【0062】
また、上記固形潤滑剤15としては、ステアリン酸亜鉛を主成分とする潤滑油添加剤を溶解したもので、十分な潤滑性があるものを用いることが好ましい。
図9は、クリーニング装置のクリーニングブレードと感光体との接触部の拡大図である。
図9に示すように、クリーニングブレード30と感光体7の接触したニップ部Nの手前(感光体回転方向Aの上流側)には、ブラシ部材により塗布された粉状潤滑剤300が堆積している。この粉状潤滑剤300は、ニップ部Nでクリーニングブレード30により押しつぶされて薄膜化されることで、感光体7の表面には膜状になったステアリン酸亜鉛分子膜400が付着する。
【0063】
図10は、ステアリン酸亜鉛分子膜が感光体に付着した後の状態を示す断面拡大図である。
ステアリン酸亜鉛400は膜状になるとラメラ結晶構造を形成する。ラメラ結晶は両親媒性分子が自己組織化した層状構造を有しており、剪断力が加わると層間Dに沿って結晶が割れて滑りやすくなる。感光体7に付着したステアリン酸亜鉛分子膜400は、上記で説明した作用により少量であっても剪断力を受けて低摩擦係数化につながり、感光体7表面を覆うことが出来る。この低摩擦係数化によって、クリーニング手段としてのクリーニングブレード30がそのクリーニング性能を発揮することができる。
【0064】
図11は、画像形成装置本体に着脱可能なプロセスユニットの構成を示す概略断面図である。
図11に示すプロセスユニット31は、像担持体としての感光体7と、感光体7を帯電するための帯電装置8と、感光体7にトナーを現像する現像装置10と、感光体7に残留するトナーを除去するためのクリーニング装置12と、感光体7の表面に潤滑剤を塗布する潤滑剤塗布装置11を一体的に有している。本実施形態の画像形成装置において、このようなプロセスユニットを用いることで、その交換等が容易となり、メンテナンス性や利便性が向上する。
【0065】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加え得ることは勿論である。
図2に示す実施形態では、感光体上の画像を記録媒体に直接転写する直接転写方式の画像形成装置に本発明の構成を適用した場合を例に説明したが、複数の感光体上の画像を中間転写ベルト等を介して記録媒体に間接的に転写する間接転写方式の画像形成装置に本発明の構成を適用することも可能である。あるいは、本発明の構成を、その他のプリンタ、複写機、ファクシミリ、あるいはこれらの複合機等に適用することも可能である。
【符号の説明】
【0066】
7 感光体(潜像担持体)
11 潤滑剤塗布装置
16 ブラシ部材(潤滑剤塗布部材)
19 現像ローラ(現像剤担持体)
31 プロセスユニット
【先行技術文献】
【特許文献】
【0067】
【特許文献1】特開2010−79019号公報
【特許文献2】特開2008−180789号公報
【特許文献3】特開2006−106454号公報
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ、あるいはこれらの複合機等の画像形成装置、及びこれに設けられるプロセスユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
複写機、プリンタ、ファクシミリ、あるいはこれらの複合機等に広く用いられている電子写真方式の画像形成は、光導電現象を利用して像担持体上に静電的な電荷の像(静電潜像)を形成し、この静電潜像に着色した帯電微粒子(トナー)を静電力で付着させて可視像とするプロセスによって行われる。
【0003】
この電子写真方式の画像形成装置において、その主要部品である潜像担持体や中間転写ベルトに、各種ワックスやフッ素系樹脂(ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン等)や高級脂肪酸金属塩(ステアリン酸亜鉛等)を潤滑剤として塗布する技術がある。この技術は、潜像担持体や中間転写体のクリーニングプロセス、すなわち、それらの表面に残留するトナーや不純物をクリーニングブラシやクリーニングブレードで掻き取るというプロセスにおけるクリーニング不良を解消するために用いられる。潤滑剤を潜像担持体や中間転写ベルトの表面に塗布することにより、表面の摩擦係数が減少し、表面に付着したトナー等の付着物を表面から容易に除去することができるようになり、クリーニング性が向上する。
【0004】
ところで、近年、重合法により調整された球形状トナーが用いられるようになってきている。この重合法により調整された球形状のトナーは粒径分布が揃っており、かつ、小粒径化も効率良く行えることから、画質が向上する一方で、像担持体上からのクリーニングが難しくなるという問題点がある。このような技術的背景からも、潤滑剤を用いることによるクリーニング性向上は、今後、さらに重要な技術になると考えられる。
【0005】
また、潜像担持体の表面に潤滑剤を塗布する目的としては、上記の表面摩擦係数の低減のほか、潜像担持体の表面の放電による酸化劣化を防止することもある。潜像担持体に静電的な電荷の像(静電潜像)を形成するには、帯電手段によって潜像担持体表面を一様に帯電させる。具体的な帯電手段としては、近年では帯電ローラ部材に高電圧を印加して潜像担持体に直接放電させて帯電させる手段がある。しかしながら、潜像担持体に対して直接放電すると、潜像担持体表面が劣化するという問題が発生する。特に、帯電ローラ部材を潜像担持体に接触させない、いわゆる非接触帯電ローラ方式においては帯電ローラ部材に交流電圧を印加するため、潜像担持体表面が劣化しやすくなることが知られている。劣化した潜像担持体表面は、主にクリーニング部材であるクリーニングブラシやクリーニングブレードとの機械的摺擦により、摩耗しやすくなる。そのため、潜像担持体表面に潤滑剤を塗布する技術は、放電による潜像担持体へのダメージを低減させるためにも重要な技術である。
【0006】
一般的に、潤滑剤は微量ずつ粉体の形態で潜像担持体表面に供給されるが、その具体的な方法としては、ブラシなどの塗布手段によりブロック上に固形成形された潤滑剤を削り取って粉体とし、ブラシに保持した粉体状の潤滑剤を潜像担持体に接触させて塗布する方法がある。通常、ブラシ部材はクリーニングブレードの手前に潜像担持体と接触して配置されている。ブラシ部材により潜像担持体に塗布された粉状潤滑剤はクリーニングブレードのニップ部に移動し、押しつぶされて潜像担持体表面に均一に薄膜化されて潤滑性を発揮する状態となる。この場合、ブラシ部材はクリーニングブレードの手前に配置されているので、潜像担持体に粉状潤滑剤を塗布すると同時に転写残トナーをクリーニングする機能を有する。つまり、ブラシ部材は潜像担持体からトナーを除去しながら潜像担持体に潤滑剤を塗布する。
【0007】
しかしながら、ブラシ部材によってトナーを除去しながら潤滑剤を塗布する構成では、ブラシ部材に付着した転写残トナーによって潤滑剤塗布量が大きく影響を受けるといった問題がある。詳しくは、ブラシ部材にトナーが付着すると固形潤滑剤を研磨する能力が増すため、ブラシ部材のトナーの付着した部分とトナーが付着していない部分とでは固形状の潤滑剤を研磨する能力に差が生じる。例えば、トナーが付着した縦帯部とトナーが付着しない白紙部とが混在する画像などを連続で出力されると、縦帯部と白紙部で潤滑剤の塗布状態が異なり、いわゆる塗布ムラが発生する。
【0008】
上記の不具合を解決するために、ブラシ部材を用いて潜像担持体に潤滑剤を塗布するときはトナーの影響を受けない状態、つまり非画像形成時に潜像担持体に塗布することが有効である。例えば、特許文献1〜3には、非画像形成時に潤滑剤を塗布する、いわゆる潤滑剤塗布モードを有する画像形成装置が提案されている。
【0009】
具体的には、特許文献1の画像形成装置は、潤滑剤塗布モードにおいて、最近の印刷情報に基づき、潜像担持体の摩擦係数が上昇しやすい高画像面積率の画像が多い場合は、潤滑剤の塗布量を多くして潜像担持体の摩擦係数を低減させ、潜像担持体とクリーニング手段との摩擦による異音の発生を防止するものである。
また、特許文献2の画像形成装置は、潤滑剤塗布モードにおいて、1回の印刷枚数や、1枚当たりの画像面積率等の使用状況に応じて、潤滑剤塗布量を最適化することにより、塗布量が過多、又は少なくならないようにするものである。
また、特許文献3の画像形成装置は、潤滑剤塗布モードに、少なくとも交流バイアス電圧をOFFにして、潤滑剤が新品の状態から潜像担持体の摩擦係数を低減し、クリーニング不良やフィルミングを防止するものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
また、画像形成装置においては、設置スペース上の問題から機器の小型化が要求されており、各ユニットの大きさには制限があるため、部品は極力小さくする必要があると同時に長寿命化の要請もある。斯かる理由から、潜像担持体の表面に潤滑剤を効率よく塗布する必要がある。このことは、上記特許文献1〜3などの画像形成装置においても同様であり、非画像形成時の潤滑剤塗布モードにおいて少ない潤滑剤を効率よく塗布するための更なる改善が求められる。
【0011】
本発明は、斯かる事情に鑑み、潤滑剤を効率よく塗布することができる画像形成装置、及びその画像形成装置に用いられるプロセスユニットを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1の発明は、表面に潜像を担持する潜像担持体と、表面に現像剤を担持すると共に回転しつつ前記潜像担持体上の潜像に現像剤を供給する現像剤担持体と、前記潜像担持体の表面に潤滑剤を塗布する潤滑剤塗布手段を備え、非画像形成時に前記潤滑剤塗布手段により前記潜像担持体に潤滑剤を塗布する潤滑剤塗布モードを有する画像形成装置において、非画像形成時の潤滑剤塗布モード時に、前記現像剤担持体を画像形成時とは異なる回転速度で回転させるように構成したものである。
【0013】
現像剤担持体を画像形成時とは異なる回転速度で回転させることにより、潤滑剤塗布手段による潤滑剤の塗布を効率よく行うことができるようになる。
具体的には、現像剤担持体の回転速度を、潜像担持体の回転に対して速度差をもたせるように変更することで、現像剤担持体上に担持される現像剤磁気ブラシを潜像担持体の表面に摺擦させて、潜像担持体上の異物を除去することが可能となる。この場合、異物除去後の潜像担持体の表面に潤滑剤を塗布することができるので、潤滑剤の塗布効率が向上する。
また、現像剤担持体の回転速度を、潜像担持体の回転速度と同じ速度となるように変更することで、現像剤担持体上の現像剤磁気ブラシによって潜像担持体上の潤滑剤を削り取らないようにすることができる。この場合、潤滑剤の無駄な消費を抑えることができるため、結果として、潤滑剤の塗布を効率よく行えるようになる。
【0014】
請求項2の発明は、請求項1に記載の画像形成装置において、非画像形成時の潤滑剤塗布モード時に、前記現像剤担持体を、その画像形成時の回転速度よりも速く、かつ、前記潜像担持体よりも速い速度で回転させるように構成したものである。
【0015】
現像剤担持体を、その画像形成時の回転速度よりも速く、かつ、潜像担持体よりも速い速度で回転させることにより、現像剤担持体と潜像担持体との間の回転速度差を大きくして、現像剤担持体上に担持される現像剤磁気ブラシを潜像担持体の表面に摺擦させることができる。これにより、現像剤磁気ブラシによって潜像担持体の表面が研磨され、潜像担持体上の異物を除去することが可能となる。
【0016】
請求項3の発明は、請求項2に記載の画像形成装置において、前記現像剤担持体を、その画像形成時の回転速度よりも速く、かつ、前記潜像担持体よりも速い速度で回転させている間、前記潤滑剤塗布手段による潤滑剤塗布量を画像形成時の潤滑剤塗布量よりも少なくするように構成したものである。
【0017】
現像剤担持体を、その画像形成時の回転速度よりも速く、かつ、潜像担持体よりも速い速度で回転させている間は、潜像担持体の表面に潤滑剤を塗布しても、現像剤担持体に担持される現像磁気ブラシによって潜像担持体上の潤滑剤が削り取られてしまう。そのため、この間は、潤滑剤塗布量を少なくすることで、潤滑剤の無駄な消費を抑えることができる。
【0018】
請求項4の発明は、請求項3に記載の画像形成装置において、前記潤滑剤塗布手段は、回転することにより潤滑剤を削り取って前記潜像担持体の表面に当該潤滑剤を塗布する潤滑剤塗布部材を有し、当該潤滑剤塗布部材の回転速度をその画像形成時の回転速度よりも遅くすることで、潤滑剤塗布量を少なくするように構成したものである。
【0019】
潤滑剤塗布部材の回転速度をその画像形成時の回転速度よりも遅くすることで、潤滑剤塗布量を少なくすることが可能である。
【0020】
請求項5の発明は、請求項1に記載の画像形成装置において、非画像形成時の潤滑剤塗布モード時に、前記現像剤担持体を、その画像形成時の回転速度よりも遅く、かつ、前記潜像担持体と同じ速度で回転させるように構成したものである。
【0021】
現像剤担持体を、その画像形成時の回転速度よりも遅く、かつ、潜像担持体と同じ速度で回転させることにより、現像剤担持体上の現像剤磁気ブラシが潜像担持体の表面に摺擦しなくなる。その結果、現像剤磁気ブラシによって潜像担持体の表面が研磨されなくなるので、潜像担持体上に塗布された潤滑剤が現像剤磁気ブラシによって削り取られないようにすることができる。
【0022】
請求項6の発明は、請求項5に記載の画像形成装置において、前記現像剤担持体を、その画像形成時の回転速度よりも遅く、かつ、前記潜像担持体と同じ速度で回転させている間、前記潤滑剤塗布手段による潤滑剤塗布量を画像形成時の潤滑剤塗布量よりも多くするように構成したものである。
【0023】
現像剤担持体を、その画像形成時の回転速度よりも遅く、かつ、潜像担持体と同じ速度で回転させている間は、潜像担持体上の潤滑剤が現像剤磁気ブラシによって削り取られないので、この間に潤滑剤塗布量を多くして積極的に塗布することにより、潜像担持体への潤滑剤塗布を効率よく行うことができる。
【0024】
請求項7の発明は、請求項6に記載の画像形成装置において、前記潤滑剤塗布手段は、回転することにより潤滑剤を削り取って前記潜像担持体の表面に当該潤滑剤を塗布する潤滑剤塗布部材を有し、当該潤滑剤塗布部材の回転速度をその画像形成時の回転速度よりも速くすることで、潤滑剤塗布量を多くするように構成したものである。
【0025】
潤滑剤塗布部材の回転速度をその画像形成時の回転速度よりも速くすることで、潤滑剤塗布量を多くすることが可能である。
【0026】
請求項8の発明は、請求項1に記載の画像形成装置において、非画像形成時の潤滑剤塗布モード時に、前記現像剤担持体を、その画像形成時の回転速度よりも速く、かつ、前記潜像担持体よりも速い速度で回転させた後、その画像形成時の回転速度よりも遅く、かつ、前記潜像担持体と同じ速度で回転させるように構成し、前記現像剤担持体を、その画像形成時の回転速度よりも速く、かつ、前記潜像担持体よりも速い速度で回転させている間、前記潤滑剤塗布手段による潤滑剤塗布量を画像形成時の潤滑剤塗布量よりも少なくし、前記現像剤担持体を、その画像形成時の回転速度よりも遅く、かつ、前記潜像担持体と同じ速度で回転させている間、前記潤滑剤塗布手段による潤滑剤塗布量を画像形成時の潤滑剤塗布量よりも多くするように構成したものである。
【0027】
まず、現像剤担持体を、画像形成時の回転速度よりも速く、かつ、潜像担持体よりも速い速度で回転させることにより、上記のように、現像剤担持体上に担持される現像剤磁気ブラシを潜像担持体の表面に摺擦させて、潜像担持体上の異物を除去することが可能となる。しかし、このとき、現像磁気ブラシによって潜像担持体上の潤滑剤が削り取られてしまうため、潤滑剤塗布量を少なくすることで、潤滑剤の無駄な消費を抑える。
その後、現像剤担持体を、画像形成時の回転速度よりも遅く、かつ、前記潜像担持体と同じ速度で回転させることにより、現像剤磁気ブラシによって潜像担持体上の潤滑剤を削り取らないようにした状態で、潤滑剤塗布量を多くして積極的に塗布することにより、潜像担持体の表面に潤滑剤を効率よく塗布することが可能となる。
また、この場合、潜像担持体上の異物が除去された状態で潤滑剤を塗布することができるため、少ない潤滑剤を潜像担持体上に均一に薄膜化して効率よく塗布することができるようになり、塗布時間も短くなる。
【0028】
請求項9の発明は、請求項1から8のいずれか1項に記載のベルト装置において、前記潤滑剤を、ステアリン酸亜鉛としたものである。
【0029】
潤滑剤をステアリン酸亜鉛とすることにより、少量の潤滑剤によって効果的に潜像担持体の表面を覆い潤滑性を発揮できる。
【0030】
請求項10の発明は、請求項1から9のいずれか1項に記載の画像形成装置が備える前記潜像担持体と、前記現像剤担持体と、前記潤滑剤塗布手段とを少なくとも一体的に有し、画像形成装置本体に対して着脱可能に構成されたプロセスユニットである。
【0031】
これにより、潜像担持体と、現像剤担持体と、潤滑剤塗布手段等が画像形成装置本体に対して一体的に着脱可能となり、メンテナンス性や利便性が向上する。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、非画像形成時の潤滑剤塗布モードにおいて、潜像担持体上に潤滑剤を効率よく塗布することができる。また、潤滑剤を効率よく塗布できるので、画像形成装置の小型化や長寿命化を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明を適用する画像形成装置の全体構成を示す概略断面図である。
【図2】前記画像形成装置に搭載された感光体の周辺構造を示す概略図である。
【図3】第1のモードにおける画像形成部の状態を示したものである。
【図4】第1のモード時のブラシ部材と感光体との接触部の拡大図である。
【図5】第1のモード時の現像ローラと感光体との接触部の拡大図である。
【図6】第2のモードにおける画像形成部の状態を示したものである。
【図7】第2のモード時のブラシ部材と感光体との接触部の拡大図である。
【図8】第2のモード時の現像ローラと感光体との接触部の拡大図である。
【図9】クリーニング装置のクリーニングブレードと感光体との接触部の拡大図である。
【図10】ステアリン酸亜鉛分子膜が感光体に付着した後の状態を示す断面拡大図である。
【図11】画像形成装置本体に着脱可能なプロセスユニットの構成を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、添付の図面に基づき、本発明について説明する。なお、本発明を説明するための各図面において、同一の機能もしくは形状を有する部材や構成部品等の構成要素については、判別が可能な限り同一符号を付すことにより一度説明した後ではその説明を省略する。
【0035】
まず、図1に基づいて、本発明を適用する画像形成装置の全体構成及び動作について説明する。
図1に示す画像形成装置1は、給紙部2と、画像形成部3と、転写部4と、定着部5と、排紙部6によって構成される。
給紙部2には、紙やOHP等のシート状の記録媒体Pを収容する給紙カセット20と、給紙カセット20から記録媒体Pを給送する給紙ローラ21が設けられている。定着部5には、定着装置50が配設されている。定着装置50は、例えば、加熱源によって加熱される定着回転体としての定着ローラ51と、定着ローラ51を加圧してその加圧部にて定着ニップを形成する加圧回転体としての加圧ローラ52等を有する。また、排紙部6には、記録媒体Pを機外に排出する排紙ローラ60と、排紙ローラ60によって排出された記録媒体Pをストックする排紙トレイ61とが配設されている。また、画像形成部3は、表面に静電潜像を担持する潜像担持体(又は像担持体)としてのドラム状の感光体7を有する。感光体7は、アルミニウム基体の外周面に有機感光体から成る感光層を形成したものを用い、そのドラム表層がポリカーボネート製のものである。
【0036】
図2は、上記感光体の周辺構造を示す概略図である。
図2に示すように、感光体7の周囲には、帯電手段としての帯電装置8と、潜像形成手段としての露光装置9と、現像手段としての現像装置10と、感光体7に潤滑剤を塗布する潤滑剤塗布手段としての潤滑剤塗布装置11と、転写部4に配設される転写手段としての転写装置14と、クリーニング手段としてのクリーニング装置12及び感光体7表面の残留電荷を除電する手段としての除電装置13が配置されている。
【0037】
上記帯電装置8は、感光体7の表面を一様に帯電するものである。この帯電装置8は、帯電部材を感光体7の表面に接触させ、又は感光体7の表面と微小な空隙を空けて配置し、これに帯電バイアスを印加することによって感光体7表面を所望の極性及び所望の電位に一様帯電する。この帯電部材としては、例えば弾性体からなる帯電ローラや、ワイヤー電極とグリッド電極を用いたスコロトロン帯電器などを用いることができる。本実施形態では感光体7と非接触に位置する帯電ローラを用いている。
【0038】
上記露光装置9は、帯電装置8によって帯電された感光体7の表面に、画像データに応じた静電潜像を形成するものである。この露光装置9は、例えば、発光素子としてLD(Laser Diode)あるいはLED(Light Emitting Diode)を使用し、一様に帯電された感光体7表面に対して画像データに基づく光を照射することにより、その感光体7の表面に静電潜像を形成する。なお、露光装置9としては、このような構成に限らず、広く公知のものを利用することができる。
【0039】
上記現像装置10は、感光体7の表面に形成された静電潜像にトナーを付着させて現像を行うものである。この現像装置10は、固定配置された磁界発生手段としてのマグネットローラを内部に有する現像剤担持体としての現像ローラ19を備えている。この現像ローラ19は、表面に現像剤を担持しながら感光体7の回転方向Aと順方向Cに回転することによって、現像剤を感光体7と対向する現像領域へ搬送する。本実施形態では、現像剤としてトナーとキャリアからなる二成分現像剤を用い、マグネットローラの磁力により現像領域でキャリアを穂立ちさせてブラシ状にして現像を行う磁気ブラシ現像方式を採用している。
【0040】
上記現像ローラ19には、現像バイアス電源から現像バイアスが印加される。これにより、現像領域において、現像ローラ19の表面の電位と感光体7の表面の静電潜像部分における電位との間に電位差が生じ、この電位差によって形成される現像電界の作用を受けて、現像剤中のトナーが静電潜像へ付着する。これにより、感光体7上の静電潜像がトナー像になる。
【0041】
上記転写装置14は、感光体7上のトナー像を、図中矢印の方向に搬送されてくる記録媒体P上へ転写するものである。この転写装置14は、転写ローラ等の転写部材を感光体7の表面に所定の押圧力で接触させ、その転写部材と感光体7との間に転写ニップを形成する。そして、この転写ニップで記録媒体Pを挟み込んだ状態で、転写バイアス電源からトナーとは逆極性の転写バイアスを転写部材に印加することによって形成される転写電界により、感光体7表面上のトナー像を記録媒体P上へ転写させる。なお、転写部材としては、例えば弾性体からなる転写ローラや転写ベルトを用いることができる。さらに、直接記録媒体Pに転写せず、複数のトナー像を重ねてから記録媒体Pに転写を行う中間転写ベルトを用いることができる。このようにしてトナー像が転写された記録媒体Pは、上記定着装置50へ搬送され、ここでトナー像が定着された後、機外へ排出される。
【0042】
上記クリーニング装置12は、転写されずに感光体7の表面に残留した転写残トナーを感光体7の表面から除去するものである。クリーニング装置12としては、感光体7表面上の転写残トナーを掻き取って除去するためのクリーニングブレード30を用いている。クリーニングブレード30はポリウレタンのブレード部材を金属支持体に貼り付けたものを用い、感光体7との当接方法は感光体7の回転方向Aに対してカウンタ方向に接触させる。クリーニングブレード30に関しては感光体7からのトナー除去のみならず、記録媒体Pとして紙を使用したときの紙粉、帯電装置8によって感光体7を放電により帯電するときの放電生成物、トナーに添加されている添加剤などの不純物を感光体7から除去する機能も有している。
【0043】
上記除電装置13は、感光体7表面の残留電荷を除去するものである。残留電荷が除去された感光体7の表面は、次の画像形成に寄与することになる。なお、この除電装置13は、LEDなどを用いた光除電方式を採用しているが、これに限られるものではない。
【0044】
上記潤滑剤塗布装置11は、固形潤滑剤15、固形潤滑剤15を研磨し感光体7に潤滑剤を塗布する潤滑剤塗布部材としてのブラシ部材16、ブラシ部材16に付着しているトナー及び潤滑剤を除去する除去部材としてのフリッカー部材17、固形潤滑剤15をブラシ部材16に押し付ける加圧手段としてのバネ部材18を備える。本実施形態では、ブラシ部材16は、感光体7の表面に接触しつつ感光体7の回転方向Aと順方向Bに回転する。なお、ブラシ部材16の回転方向は、感光体7の回転方向に対してカウンタ方向であってもよい。
【0045】
上記潤滑剤塗布装置11を構成するブラシ部材16は、固形潤滑剤15と接触するように設置され、ブラシ部材16が矢印B方向に回転することにより固形潤滑剤15をブラシ毛の先端部のエッジ部で削り取る。このとき、粉体となった潤滑剤はブラシ部材16を構成するブラシ繊維毛表面に付着して保持される。ブラシ部材16はナイロン、レーヨン、アクリル、ビニロン、ポリエステル、塩ビ等の樹脂繊維からなっており、必要に応じては樹脂繊維にカーボン等の導電付与剤を混ぜた導電繊維を使用してもよい。ブラシ部材16は金属からなる芯金に長さ0.2〜20(mm)、好ましくは0.5〜10(mm)の範囲のブラシ毛が基布上に植毛されたブラシをスパイラル上に巻き付けて構成している。ブラシ毛の長さが20(mm)以上では、稼動時間とともに固形潤滑剤15、感光体7、フリッカー部材17との繰り返し摺擦により、ブラシ体の逆方向の傾斜角が減少して倒毛し、固形潤滑剤15の掻き取り性、感光体7への潤滑剤塗布性が低下する。ブラシの毛の長さが、0.2(mm)以下では、固形潤滑剤15に対する物理的な力が不足する。したがって、0.2〜20(mm)、好ましくは0.5〜10(mm)の範囲にすることが好ましい。
【0046】
本実施形態の場合、ブラシ部材16はクリーニングブレード30の手前(感光体回転方向の上流側)に配置されているため、画像形成時にブラシ部材16は感光体7上の転写残トナーを回収しながら固形潤滑剤15を研磨し、粉状になった潤滑剤を感光体7表面に付着させる。しかしながら、作像する画像パターンの影響でブラシ部材16がトナーを除去し、トナーを保持する量がブラシ部材16の場所によって異なると、固形潤滑剤15を均一に研磨することができなくなり、感光体7へ潤滑剤を均一に塗布することができない。不均一にトナーが付着したブラシ部材16が固形潤滑剤15を均一に研磨することができない原因は、トナーも固形潤滑剤15を研磨する能力があるためである。
【0047】
そこで、本発明では、潤滑剤を感光体7に塗布する潤滑剤塗布モードを、通常の画像形成時以外の、非画像形成時においても行うようにしている。画像形成時以外に潤滑剤を塗布する動作を行えば、画像パターンによる影響を受けないので、均一に潤滑剤を感光体7に塗布することができる。さらに、本発明では、非画像形成時の潤滑剤塗布モードにおいて、まず、感光体7上の異物の除去を主として行う第1のモードと、感光体7上の異物が除去されてから感光体7上に潤滑剤を積極的に塗布する第2のモードが設定されている。
以下、第1のモードと第2のモードについて詳しく説明する。
【0048】
図3は、上記第1のモードにおける画像形成部の状態を示したものである。
通常の画像形成時は帯電、露光、現像、転写、クリーニング、除電という一連のプロセスを行うが、第1のモード(非画像形成時)では主に、帯電、クリーニング、除電のみが行われる。現像ローラ19は画像形成時と同様に回転し電圧が印加されるが、露光を行わないので感光体7に潜像が形成されず、トナーが感光体7に現像されることはない。また、このとき現像ローラ19にはトナーが感光体7に静電的に付着しない電圧を印加している。また、転写装置14は感光体7に現像トナーが無い状態なので感光体7とは離間している。なお、感光体7とは接触していても問題は無い。
【0049】
図3に示すように、第1のモードでは、ブラシ部材15と現像ローラ19のそれぞれの回転速度を、図2に示す画像形成時の回転速度Vb、VcからVb'、Vc'に変更する。具体的には、第1のモードでは、現像ローラ19の回転速度Vc'を、その画像形成時の回転速度Vcよりも速くする。一方、ブラシ部材16の回転速度Vb'は、その画像形成時の回転速度Vbよりも遅くする。また、第1のモード時のブラシ部材16及び現像ローラ19の回転速度Vb'、Vc'と、感光体7の回転速度Vaとの関係は、Vb'<Va<Vc'となっている。なお、感光体7の回転速度は、第1のモードにおいても通常の画像形成時と同じ速度Vaであり、変更しない。
【0050】
上記のように、第1のモードにおいて、現像ローラ19の回転速度Vc'を、画像形成時の回転速度Vcよりも速くするのは、現像ローラ19上に担持される現像剤磁気ブラシによって感光体7の表面を研磨してクリーニングするためである。
詳しくは、上述のように、現像ローラ19上にはキャリアを穂立ちさせてブラシ状にした現像剤磁気ブラシが担持されるが、第1のモードにおいて、現像ローラ19の回転速度Vc'を通常の画像形成時の回転速度Vcよりも速くすることにより、現像ローラ19と感光体7との間の回転速度差を大きくして、現像ローラ19上に担持される現像剤磁気ブラシを感光体7の表面に摺擦させる。これにより、現像剤磁気ブラシによって感光体7の表面が研磨され、感光体7上から異物を除去することができる。ここで、感光体7上の異物としては、感光体7に塗布された潤滑剤が帯電の放電で化学変化したもの、トナーの添加剤が固着したものなどがある。
【0051】
なお、通常の画像形成時における現像ローラ19の回転速度Vcは、感光体7の回転速度Vaよりやや速く設定されている。これは、現像時にトナーを感光体7に多く付着させるためである。従って、第1のモードでは、現像ローラ19の回転速度Vc'を、感光体7の回転速度Vaよりもやや速く設定されている画像形成時の現像ローラ19の回転速度Vcよりもさらに速くする。すなわち、第1のモードの現像ローラ19の回転速度Vc'は、その画像形成時の回転速度Vcよりも速く、かつ、感光体7の回転速度Vaよりも速い速度に設定されている(Va<Vc<Vc')。また、通常の画像形成時においては、感光体7の回転速度Vaと現像ローラ19の回転速度Vcとの速度差はあまりないため、現像剤磁気ブラシによって感光体7が研磨されることはほとんどない。
【0052】
また、現像ローラ19の回転速度を上げて感光体7の表面を研磨している間は、感光体7の表面に潤滑剤を塗布しても、現像磁気ブラシによって感光体7上の潤滑剤が削り取られてしまう。そのため、上記のように、第1のモードでは、ブラシ部材16の回転速度Vb'を画像形成時の回転速度Vbよりも遅くすることで、感光体7への潤滑剤の塗布量を通常の画像形成時の塗布量よりも減少させて、潤滑剤の無駄な消費を抑えるようにする。
【0053】
図4は、第1のモード時のブラシ部材と感光体との接触部の拡大図である。
第1のモードでは、ブラシ部材16を通常の画像形成時の回転速度Vbよりも遅い回転速度Vb'で回転させているため、固形潤滑剤15を研磨する作用が減り、感光体7に塗布する粉状潤滑剤の量が減ることになる。
【0054】
図5は、第1のモード時の現像ローラと感光体との接触部の拡大図である。
第1のモードでは、現像ローラ19を、その画像形成時の回転速度Vcよりも速く、かつ、感光体7の回転速度Vaよりも速い回転速度Vc'で回転させているため、キャリア100及びトナー200で構成される現像剤磁気ブラシにより感光体7の表面を削りやすい状態となる。
【0055】
このように、ブラシ部材16と現像ローラ19の両者の回転速度を通常の画像形成時の回転速度とは異ならせることによって、第1のモードでは、潤滑剤が感光体7に塗布されにくい状態で、かつ、感光体7上の異物を除去しやすい状態となり、潤滑剤の無駄な消費を抑えつつ感光体7上の異物を効果的に除去することが可能となる。
【0056】
次に、上記第2のモードについて説明する。
図6は、第2のモードにおける画像形成部の状態を示したものである。
ここでは、ブラシ部材15と現像ローラ19のそれぞれの回転速度をVb"、Vc"に変更する以外は、第1のモードと同様となっている。具体的には、第2のモードでは、現像ローラ19の回転速度Vc"を、その画像形成時の回転速度Vcよりもやや遅くして、感光体7の回転速度Vaと同じ速度にする。一方、ブラシ部材16の回転速度Vb"は、その画像形成時の回転速度Vbよりも速くする。なお、第2のモード時のブラシ部材16の回転速度Vb"と、感光体7の回転速度Vaとの関係は、Va<Vb"となっている。
【0057】
上記のように、第2のモードでは、ブラシ部材16の回転速度Vb"を、通常の画像形成時の回転速度Vbよりも上げているため、潤滑剤塗布量が多くなり、感光体7への潤滑剤塗布が積極的に行われるようになる。一方、現像ローラ19は、画像形成時の回転速度Vcよりもやや遅くして、感光体7の回転速度Vaと同じ速度で回転させることにより、現像ローラ19上の現像剤磁気ブラシが感光体7の表面に摺擦しなくなる。これにより、現像剤磁気ブラシによって感光体7の表面が研磨されなくなるため、感光体7上に塗布された潤滑剤が現像剤磁気ブラシによって削り取られて回収されることはない。
【0058】
図7は、第2のモード時のブラシ部材と感光体との接触部の拡大図である。
ブラシ部材16は、通常の画像形成時の回転速度Vbよりも速い回転速度Vb"で回転しているため、固形潤滑剤15を研磨する作用が大きく、感光体7に塗布する粉状潤滑剤の量が増える。
【0059】
図8は、第2のモード時の現像ローラと感光体との接触部の拡大図である。
現像ローラ19は、通常の画像形成時の回転速度Vcよりもやや遅く、かつ、感光体7の回転速度Vaと同じ回転速度Vc"で回転しているため、キャリア100及びトナー200で構成される現像剤磁気ブラシにより感光体7の表面が削れにくい状態となる。
【0060】
このように、ブラシ部材16と現像ローラ19の両者の回転速度を通常の画像形成時の回転速度とは異ならせることによって、第2のモードでは、潤滑剤が感光体7に塗布されやすい状態で、かつ、感光体7上の異物及び潤滑剤を除去しにくい状態となり、感光体7上に潤滑剤を効果的に塗布することが可能となる。
【0061】
以上のように、本発明によれば、非画像形成時の潤滑剤塗布モードにおいて、まず、第1のモードを実行してから、第2のモードを実行することにより、感光体7上の異物が除去された状態で潤滑剤を積極的に塗布することができる。これにより、少ない潤滑剤を感光体7上に均一に薄膜化して効率よく塗布することができるようになり、塗布時間も短くなる。また、潤滑剤を効率よく塗布できるので、画像形成装置の小型化や長寿命化を図れるようになる。
【0062】
また、上記固形潤滑剤15としては、ステアリン酸亜鉛を主成分とする潤滑油添加剤を溶解したもので、十分な潤滑性があるものを用いることが好ましい。
図9は、クリーニング装置のクリーニングブレードと感光体との接触部の拡大図である。
図9に示すように、クリーニングブレード30と感光体7の接触したニップ部Nの手前(感光体回転方向Aの上流側)には、ブラシ部材により塗布された粉状潤滑剤300が堆積している。この粉状潤滑剤300は、ニップ部Nでクリーニングブレード30により押しつぶされて薄膜化されることで、感光体7の表面には膜状になったステアリン酸亜鉛分子膜400が付着する。
【0063】
図10は、ステアリン酸亜鉛分子膜が感光体に付着した後の状態を示す断面拡大図である。
ステアリン酸亜鉛400は膜状になるとラメラ結晶構造を形成する。ラメラ結晶は両親媒性分子が自己組織化した層状構造を有しており、剪断力が加わると層間Dに沿って結晶が割れて滑りやすくなる。感光体7に付着したステアリン酸亜鉛分子膜400は、上記で説明した作用により少量であっても剪断力を受けて低摩擦係数化につながり、感光体7表面を覆うことが出来る。この低摩擦係数化によって、クリーニング手段としてのクリーニングブレード30がそのクリーニング性能を発揮することができる。
【0064】
図11は、画像形成装置本体に着脱可能なプロセスユニットの構成を示す概略断面図である。
図11に示すプロセスユニット31は、像担持体としての感光体7と、感光体7を帯電するための帯電装置8と、感光体7にトナーを現像する現像装置10と、感光体7に残留するトナーを除去するためのクリーニング装置12と、感光体7の表面に潤滑剤を塗布する潤滑剤塗布装置11を一体的に有している。本実施形態の画像形成装置において、このようなプロセスユニットを用いることで、その交換等が容易となり、メンテナンス性や利便性が向上する。
【0065】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加え得ることは勿論である。
図2に示す実施形態では、感光体上の画像を記録媒体に直接転写する直接転写方式の画像形成装置に本発明の構成を適用した場合を例に説明したが、複数の感光体上の画像を中間転写ベルト等を介して記録媒体に間接的に転写する間接転写方式の画像形成装置に本発明の構成を適用することも可能である。あるいは、本発明の構成を、その他のプリンタ、複写機、ファクシミリ、あるいはこれらの複合機等に適用することも可能である。
【符号の説明】
【0066】
7 感光体(潜像担持体)
11 潤滑剤塗布装置
16 ブラシ部材(潤滑剤塗布部材)
19 現像ローラ(現像剤担持体)
31 プロセスユニット
【先行技術文献】
【特許文献】
【0067】
【特許文献1】特開2010−79019号公報
【特許文献2】特開2008−180789号公報
【特許文献3】特開2006−106454号公報
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に潜像を担持する潜像担持体と、表面に現像剤を担持すると共に回転しつつ前記潜像担持体上の潜像に現像剤を供給する現像剤担持体と、前記潜像担持体の表面に潤滑剤を塗布する潤滑剤塗布手段を備え、非画像形成時に前記潤滑剤塗布手段により前記潜像担持体に潤滑剤を塗布する潤滑剤塗布モードを有する画像形成装置において、
非画像形成時の潤滑剤塗布モード時に、前記現像剤担持体を画像形成時とは異なる回転速度で回転させるように構成したことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
非画像形成時の潤滑剤塗布モード時に、前記現像剤担持体を、その画像形成時の回転速度よりも速く、かつ、前記潜像担持体よりも速い速度で回転させるように構成した請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記現像剤担持体を、その画像形成時の回転速度よりも速く、かつ、前記潜像担持体よりも速い速度で回転させている間、前記潤滑剤塗布手段による潤滑剤塗布量を画像形成時の潤滑剤塗布量よりも少なくするように構成した請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記潤滑剤塗布手段は、回転することにより潤滑剤を削り取って前記潜像担持体の表面に当該潤滑剤を塗布する潤滑剤塗布部材を有し、当該潤滑剤塗布部材の回転速度をその画像形成時の回転速度よりも遅くすることで、潤滑剤塗布量を少なくするように構成した請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
非画像形成時の潤滑剤塗布モード時に、前記現像剤担持体を、その画像形成時の回転速度よりも遅く、かつ、前記潜像担持体と同じ速度で回転させるように構成した請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記現像剤担持体を、その画像形成時の回転速度よりも遅く、かつ、前記潜像担持体と同じ速度で回転させている間、前記潤滑剤塗布手段による潤滑剤塗布量を画像形成時の潤滑剤塗布量よりも多くするように構成した請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記潤滑剤塗布手段は、回転することにより潤滑剤を削り取って前記潜像担持体の表面に当該潤滑剤を塗布する潤滑剤塗布部材を有し、当該潤滑剤塗布部材の回転速度をその画像形成時の回転速度よりも速くすることで、潤滑剤塗布量を多くするように構成した請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
非画像形成時の潤滑剤塗布モード時に、前記現像剤担持体を、その画像形成時の回転速度よりも速く、かつ、前記潜像担持体よりも速い速度で回転させた後、その画像形成時の回転速度よりも遅く、かつ、前記潜像担持体と同じ速度で回転させるように構成し、
前記現像剤担持体を、その画像形成時の回転速度よりも速く、かつ、前記潜像担持体よりも速い速度で回転させている間、前記潤滑剤塗布手段による潤滑剤塗布量を画像形成時の潤滑剤塗布量よりも少なくし、前記現像剤担持体を、その画像形成時の回転速度よりも遅く、かつ、前記潜像担持体と同じ速度で回転させている間、前記潤滑剤塗布手段による潤滑剤塗布量を画像形成時の潤滑剤塗布量よりも多くするように構成した請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記潤滑剤を、ステアリン酸亜鉛とした請求項1から8のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか1項に記載の画像形成装置が備える前記潜像担持体と、前記現像剤担持体と、前記潤滑剤塗布手段とを少なくとも一体的に有し、画像形成装置本体に対して着脱可能に構成されたことを特徴とするプロセスユニット。
【請求項1】
表面に潜像を担持する潜像担持体と、表面に現像剤を担持すると共に回転しつつ前記潜像担持体上の潜像に現像剤を供給する現像剤担持体と、前記潜像担持体の表面に潤滑剤を塗布する潤滑剤塗布手段を備え、非画像形成時に前記潤滑剤塗布手段により前記潜像担持体に潤滑剤を塗布する潤滑剤塗布モードを有する画像形成装置において、
非画像形成時の潤滑剤塗布モード時に、前記現像剤担持体を画像形成時とは異なる回転速度で回転させるように構成したことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
非画像形成時の潤滑剤塗布モード時に、前記現像剤担持体を、その画像形成時の回転速度よりも速く、かつ、前記潜像担持体よりも速い速度で回転させるように構成した請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記現像剤担持体を、その画像形成時の回転速度よりも速く、かつ、前記潜像担持体よりも速い速度で回転させている間、前記潤滑剤塗布手段による潤滑剤塗布量を画像形成時の潤滑剤塗布量よりも少なくするように構成した請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記潤滑剤塗布手段は、回転することにより潤滑剤を削り取って前記潜像担持体の表面に当該潤滑剤を塗布する潤滑剤塗布部材を有し、当該潤滑剤塗布部材の回転速度をその画像形成時の回転速度よりも遅くすることで、潤滑剤塗布量を少なくするように構成した請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
非画像形成時の潤滑剤塗布モード時に、前記現像剤担持体を、その画像形成時の回転速度よりも遅く、かつ、前記潜像担持体と同じ速度で回転させるように構成した請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記現像剤担持体を、その画像形成時の回転速度よりも遅く、かつ、前記潜像担持体と同じ速度で回転させている間、前記潤滑剤塗布手段による潤滑剤塗布量を画像形成時の潤滑剤塗布量よりも多くするように構成した請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記潤滑剤塗布手段は、回転することにより潤滑剤を削り取って前記潜像担持体の表面に当該潤滑剤を塗布する潤滑剤塗布部材を有し、当該潤滑剤塗布部材の回転速度をその画像形成時の回転速度よりも速くすることで、潤滑剤塗布量を多くするように構成した請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
非画像形成時の潤滑剤塗布モード時に、前記現像剤担持体を、その画像形成時の回転速度よりも速く、かつ、前記潜像担持体よりも速い速度で回転させた後、その画像形成時の回転速度よりも遅く、かつ、前記潜像担持体と同じ速度で回転させるように構成し、
前記現像剤担持体を、その画像形成時の回転速度よりも速く、かつ、前記潜像担持体よりも速い速度で回転させている間、前記潤滑剤塗布手段による潤滑剤塗布量を画像形成時の潤滑剤塗布量よりも少なくし、前記現像剤担持体を、その画像形成時の回転速度よりも遅く、かつ、前記潜像担持体と同じ速度で回転させている間、前記潤滑剤塗布手段による潤滑剤塗布量を画像形成時の潤滑剤塗布量よりも多くするように構成した請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記潤滑剤を、ステアリン酸亜鉛とした請求項1から8のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか1項に記載の画像形成装置が備える前記潜像担持体と、前記現像剤担持体と、前記潤滑剤塗布手段とを少なくとも一体的に有し、画像形成装置本体に対して着脱可能に構成されたことを特徴とするプロセスユニット。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−103601(P2012−103601A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−253902(P2010−253902)
【出願日】平成22年11月12日(2010.11.12)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年11月12日(2010.11.12)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
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