説明

画像形成装置及び画像形成方法

【課題】高濃度の固形分が含有される液体現像剤を用いる画像形成方法と、当該画像形成方法を実施するコンパクトな画像形成装置を提供する。
【解決手段】感光体、感光体を帯電させる帯電部材、帯電させられた感光体上に静電潜像を形成する書き込み部材、感光体上の像を記録部材に転写する転写部材、及び、記録部材に転写された像を定着する定着部材が設けられた画像形成装置を、書き込み部材の感光体回転方向下流側に感光体に対向してダイヘッドが設けられ、固形分とキャリア液が含まれる液体現像剤が、ダイヘッドにより静電潜像が形成された感光体に塗布されて現像が行われるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、ファクシミリ、プリンタ等の電子写真方式画像形成装置と画像形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
画像支持体上に形成された静電潜像をトナーによって現像する静電潜像の液体現像装置であって、トナーが絶縁性液体中に高濃度に分散された100〜10000mPa・sの高粘度の液体現像剤が、複数のローラに支持された現像ベルト上に5〜40μmの厚みに薄層化されて塗布され、現像ベルトに塗布された液体現像剤が前記画像支持体に接触させることにより、前記画像支持体の潜像面に前記液体現像剤を供給する現像手段を備える静電潜像の液体現像装置が検討された(例えば、特許文献1参照)。当該液体現像装置を備える画像形成装置は、少量の液体現像剤により画像を形成するが、現像ベルト上に液体現像剤の薄層を形成する機構が複雑で、メンテナンスが容易でないという問題を有する。
一方、現像剤担持体上の高濃度の液体現像剤を潜像担持体に供給して静電潜像を現像する画像形成装置であって、上記現像剤担持体と間隙を有して対向配置され、上記現像剤担持体上に高濃度の液体現像剤層を形成する現像剤薄層手段と、現像剤担持体上の液体現像剤層と上記潜像担持体との接触前に、該液体現像剤層中の余剰現像液を除去する余剰液除去手段を備え、該現像剤担持体と該現像剤薄層手段との間に、該現像剤担持体と現像剤薄層手段との間隙に供給された液体現像剤中のトナー粒子を現像剤担持体表面に向かって電気泳動させる電界を形成させる画像形成装置が検討された(例えば、特許文献2参照)。上記現像剤担持体表面で電気泳動され、余剰液が除去された液体現像剤のトナー粒子は凝集されており、現像に付されていない液体現像剤を回収して再使用するには液体現像剤の解砕工程が必要とされる。従って、当該画像形成装置は大型であった。
ところで、ダイヘッドからインク等の塗液が塗工面に塗布され、均一な塗布層が形成される技術(例えば、特許文献3参照)は一般的であったが、ダイヘッドの画像形成装置への応用は検討されなかった。
【特許文献1】特開平7−209922号公報
【特許文献2】特開平10−339990号公報
【特許文献3】特開2006−281103号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の課題は、高濃度の固形分が含有される液体現像剤を用いる画像形成方法と、当該画像形成方法を実施するコンパクトな画像形成装置の提供である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、感光体、感光体を帯電させる帯電部材、帯電させられた感光体上に静電潜像を形成する書き込み部材、感光体上の像を記録部材に転写する転写部材、及び、記録部材に転写された像を定着する定着部材が設けられた画像形成装置であって、書き込み部材の感光体回転方向下流側に感光体に対向してダイヘッドが設けられ、固形分とキャリア液が含まれる液体現像剤が、ダイヘッドにより静電潜像が形成された感光体に塗布されて現像が行われる、画像形成装置である。
本発明の画像形成装置は、固形分濃度及び粘度が高い少量の液体現像剤により画像を形成でき、コンパクトな構成を有している。
本発明の好ましい実施態様では、上記画像形成装置の感光体が、有機感光体又はアモルファスシリコン感光体である。
本発明の別の好ましい実施態様では、上記画像形成装置の感光体が正に帯電される。上記画像形成装置の感光体の正帯電は、オゾンの発生を抑制する。
本発明の別の好ましい実施態様では、上記画像形成装置のダイヘッドと感光体の間に形成される隙間が20〜100μmである。ダイヘッドと感光体の間に形成される隙間が上記範囲に設定された本発明の画像形成装置は、かすれが無く、鮮鋭度が高い均質な画像を形成する。
【0005】
本発明は、感光体が帯電部材により帯電させられる工程、静電潜像が書き込み部材により帯電させられた感光体上に形成される工程、固形分とキャリア液が含まれる液体現像剤が、書き込み部材の感光体回転方向下流側に感光体に対向して設けられたダイヘッドにより静電潜像が形成された感光体に塗布され、現像が行われる工程、感光体に形成された像が記録部材に転写され、次いで、記録部材に転写された像が定着される工程、が行われる画像形成方法である。
【0006】
以下に本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。図1は本発明の実施の形態に係るタンデム式画像形成装置の全体構成を説明する図である。
イエロー顔料(Y)、シアン顔料(C)、マゼンタ顔料(M)、ブラック顔料(K)のそれぞれが使用されて作製された各色液体現像剤が、液体現像剤貯蔵制御ユニット6Y、6C、6M、6Bに貯蔵されている。像担持体である感光体1Y、1C、1M、1Bは、帯電器2により一様に帯電される。画像信号により変調されたレーザ光が、書き込み用LED3から一様に帯電された感光体1Y、1C、1M、1Bに対して照射され、感光体1Y、1C、1M、1B上に静電潜像が形成される。液体現像剤貯蔵制御ユニット6Y、6C、6M、6Bに貯蔵されている各色液体現像剤が、ダイヘッド7から静電潜像が形成されている感光体1Y、1C、1M、1B上に供給され、現像が行われる。その際、バイアスが、ダイヘッド7と感光体1Y、1C、1M、1Bの間に印加される。
【0007】
感光体1Y、1C、1M、1B上の像は、1次転写ローラ5と感光体1Y、1C、1M、1Bが中間転写ベルト8を介して当接する1次転写位置において、中間転写ベルト8に転写される。1次転写後、現像されなかった液体現像剤は感光体クリーニング手段16により除去され、除去された液体現像剤が液体現像剤循環パス19を経て液体現像剤貯蔵制御ユニット6Y、6C、6M、6Bに回収される。液体現像剤が除去された感光体1Y、1C、1M、1B表面の残留電荷は、次の帯電に備えて除電用LED4により除電される。中間転写ベルト8は、無端ベルトであり、駆動ローラ9、従動ローラ10間に渡って張架されている。1次転写位置において転写された中間転写ベルト8上の像は、駆動ローラ9と2次転写ローラ11が中間転写ベルト8を介して当接する2次転写部において、記録部材上に2次転写される。記録部材は、給紙カセット12から供給され、搬送経路13を通って2次転写部に搬送され、2次転写後、定着ローラ対14に搬送されて像が定着される。両面印字の場合、記録部材は定着後に反転して両面印字時搬送経路15を経由して再度2次転写部へ搬送されて裏面への記録が行われる。2次転写後、中間転写ベルト8は中間転写ベルトクリーニング手段18によりクリーニングされ、2次転写ローラ11は2次転写ローラクリーニング手段17によりクリーニングされる。
【0008】
図2は本発明の実施の別の形態に係るタンデム式画像形成装置の全体構成を説明する図である。
イエロー顔料(Y)、シアン顔料(C)、マゼンタ顔料(M)、ブラック顔料(K)のそれぞれが使用されて作製された各色液体現像剤が、液体現像剤貯蔵制御ユニット6’Y、6’C、6’M、6’Bに貯蔵されている。像担持体である感光体1’Y、1’C、1’M、1’Bは、帯電器2’により一様に帯電される。画像信号により変調されたレーザ光が、書き込み用LED3’から一様に帯電された感光体1’Y、1’C、1’M、1’Bに対して照射され、感光体1’Y、1’C、1’M、1’B上に静電潜像が形成される。液体現像剤貯蔵制御ユニット6’Y、6’C、6’M、6’Bに貯蔵されている各色液体現像剤が、ダイヘッド7’から静電潜像が形成されている感光体1’Y、1’C、1’M、1’B上に供給され、現像が行われる。その際、バイアスが、ダイヘッド7’と感光体1’Y、1’C、1’M、1’Bの間に印加される。
【0009】
搬送ベルト20は、無端ベルトであり、駆動ローラ9’、従動ローラ10’間に渡って張架されている。記録部材は、給紙カセット12’から供給され、搬送経路13’を通って搬送ベルト20に搬送される。感光体1’Y、1’C、1’M、1’B上の像は、感光体1’Y、1’C、1’M、1’Bと対向して設けられている転写ローラ21とこれらの感光体が搬送ベルト20を介して当接する転写位置において記録部材に転写される。転写後、像が転写された記録部材は定着ローラ対14’に搬送され、像が定着される。両面印字の場合、両面印字切替装置22が作動され、記録部材は定着後に両面印字時搬送経路15’を経由して反転され、給紙カセット12’上から再度転写部へ搬送されて裏面への記録が行われる。転写後、現像されなかった液体現像剤は感光体クリーニング手段16’により除去され、除去された液体現像剤が液体現像剤循環パス19’を経て液体現像剤貯蔵制御ユニット6’Y、6’C、6’M、6’Bに回収される。液体現像剤が除去された感光体1’Y、1’C、1’M、1’B表面の残留電荷は、次の帯電に備えて除電用LED4’により除電される。
【0010】
隙間がダイヘッドと感光体の間に形成されている。ダイヘッドと感光体の間の隙間が小さすぎても、大きすぎても、良好な印刷画像が得られない。ダイヘッドと感光体の間の隙間は、20〜100μmに設定される。
感光体は、筒状又はシート状の導電性支持体上に、有機感光層又は無機感光層が形成された構造を有している。導電性支持体の具体例は、(1)アルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ステンレス、鉄、真鍮などの金属材料からなる支持体、(2)ポリエステル、ポリイミド、ポリカーボネート、ガラス等の絶縁性基板上に、上記金属、金属酸化物等の導電性材料が蒸着等により蒸着された支持体である。
【0011】
(有機感光体)
有機感光層の具体例は、(1)電荷発生層と電荷輸送層が順次積層されている機能分離型の積層感光層、(2)単層型の感光層である。以下、単層型の有機感光層について説明する。導電性支持体上に電荷発生剤、電荷輸送剤、増感剤等の添加剤とバインダー樹脂からなる塗布液が塗工される。電荷発生剤の具体例は、フタロシアニン系顔料、アゾ系顔料、キノン系顔料、ペリレン系顔料、キノシアトン系顔料、インジゴ系顔料、ビスベンゾイミダゾール系顔料、キナクリドン系顔料である。好ましい電荷発生剤は、フタロシアニン系顔料、アゾ系顔料である。電荷輸送剤の具体例は、ヒドラゾン系、スチルベン系、フェニルアミン系、アリールアミン系、ジフェニルブタジエン系、オキサゾール系等の有機正孔輸送化合物である。増感剤の具体例は、パラジフェキノン誘導体、ナフトキノン誘導体、クロラニル等の電子吸引性有機化合物である。バインダー樹脂の具体例は、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエステル樹脂等の熱可塑性樹脂である。好ましいバインダー樹脂は、ポリカーボネート樹脂である。
【0012】
各成分の組成比は、バインダー樹脂40〜75質量%、電荷発生剤0.5〜20質量%、電荷輸送剤10〜50質量%、増感剤0.5〜30質量%である。好ましい組成比は、バインダー樹脂45〜65質量%、電荷発生剤1〜20質量%、電荷輸送剤20〜40質量%、増感剤2〜25質量%である。各成分はトルエン、メチルエチルケトン等の有機溶剤と共にホモミキサー、ボールミル、サンドミル、アトライター、ペイントコンディショナー等の攪拌装置で粉砕され、分散混合され、塗布液が作製される。塗布液は、導電性支持体上に塗布され、次いで乾燥される。塗布方法の具体例は、ディップコート、リングコート、スプレーコートである。乾燥後の有機感光層の厚さは15〜40μmであり、好ましい厚さは20〜35μmである。
【0013】
(アモルファスシリコン感光体)
無機感光層の具体例は、アモルファスシリコン(a−Si)系光導電層である。a−Si系光導電層を有するa−Si系感光体の光導電層を構成する材料の具体例は、a−Si、アモルファスシリコンカーバイド(a−SiC)、アモルファス窒化シリコン(a−SiN)、アモルファス酸化シリコン(a−SiO)、アモルファスシリコンゲルマニウム(a−SiGe)、アモルファス窒化シリコンカーバイド(a−SiCN)、アモルファス窒化酸化シリコン(a−SiNO)、アモルファス酸化シリコンカーバイド(a−SiCO)、アモルファス窒化酸化シリコンカーバイド(a−SiCNO)等のa−Si系又はa−Si合金系光導電材料である。これらの光導電材料による成膜形成方法の具体例は、グロ−放電分解法、スパッタリング法、蒸着法、ECR法、光CVD法、触媒CVD法である。成膜形成に当たって、ダングリングボンド終端用に水素(H)、フッ素(F)及び/又は塩素(Cl)を膜中に1〜40モル%含有させる。
【0014】
周期律表第IIIa族元素(以下、IIIa族元素と略す)、第Va 族元素(以下、Va 族元素と略す)、炭素(C)、窒素(N)、酸素(O)等の元素を膜中に含有させ、光導電層の電気的特性(暗導電率、光導電率等)、光学的バンドギャップなどの特性を調整することができる。膜中にC、N、O等の元素を含有させる場合、IIIa族元素の含有量は0.1〜20,000ppmであり、Va 族元素の含有量は0.1〜10,000ppmである。膜中にC、N、O等の元素を含有させないか又は微量含有させる場合、IIIa族元素の含有量は0.01〜200ppmであり、Va族元素の含有量は0.01〜100ppmである。IIIa族元素、Va 族元素、C、N、O等の元素濃度分布は、層厚方向にわたって勾配を設けてもよく、その場合には層全体の平均含有量が上記範囲内であればよい。IIIa族元素及びVa 族元素の望ましい具体例は、それぞれ、ホウ素(B)、リン(P)である。ホウ素及びリンは、共有結合性に優れ、半導体特性を敏感に変え、優れた光感度を与えることができる。
【0015】
a−Si系光導電層は、微結晶シリコン(μc−Si)を含んでいてもよい。μc−Siの含有は、光導電層の暗導電率および光導電率を高め、光導電層の設計自由度が増す。μc−Siを含むa−Si系光導電層は、上記と同様の形成法で、成膜条件を変えることによって形成される。例えば、グロ−放電分解法によるμc−Si含有a−Si系光導電層の形成は、グロ−放電分解法によるμc−Si非含有a−Si系光導電層の形成よりも、基体温度および高周波電力が高めに設定され、希釈ガスとしての水素流量が大きくなる。また、μc−Si含有a−Si系光導電層に、上記不純物元素を添加できる。
【0016】
より優れた電子写真特性を得るために、a−Si系光導電層と基体の間にキャリア注入阻止層を形成したり、光導電層の表面に表面層を形成できる。キャリア注入阻止層及び表面層は、上記a−Si系光導電材料により形成される。a−Si系光導電材料により形成されたキャリア注入阻止層及び表面層は、a−Si系光導電層とのマッチング性がよく、a−Si系光導電層形成時に使用された成膜装置によって、a−Si系光導電層形成に引き続き連続して成膜形成される。
【0017】
a−Si系光導電材料により形成されたキャリア注入阻止層は、光導電層より多くのIIIa族元素及び/又はVa 族元素を含有し、キャリア注入阻止層の導電型が調整されている。a−Si系光導電材料により形成されたキャリア注入阻止層は、光導電層より多くのC、N、O等の元素を含有し、キャリア注入阻止層の抵抗は高い。a−Si系光導電材料により形成された表面層は、光導電層よりより多くのC、N、O等の元素を含有し、表面層の抵抗は高い。キャリア注入阻止層及び表面層の積層により、帯電能、光感度特性、耐久性、耐磨耗性及び耐環境性を高め、a−Si系光導電層の優れた電子写真特性をさらに向上させられる。
【0018】
a−Si系光導電層の厚みは、5〜100μm、好適には15〜80μmである。また、キャリア注入阻止層の厚みは、0.1〜10μm、好適には0.3〜5μmである。表面層の厚みは、0.05〜5μm、好適には0.1〜2μmである。
【0019】
本発明の画像形成装置で使用される液体現像剤のキャリア液は、植物油、シリコーンオイル、流動パラフィン等の不揮発性油である。植物油の具体例は、アマニ油、MOヒマワリ油、菜種油、デバイダーオイル、HOLLキャノーラ、紅花油、オリーブ油、落花生油、ゴマ油、コーン油、大豆油、綿実油、サフラワー油である。植物油は、1種類であっても複数種の混合物であってもよい。
オレイン酸、リノール酸、リノレン酸等の不飽和結合の割合が多い脂肪酸組成からなるトリグリセライドは酸化重合を起こすので、本発明の画像形成装置の定着手段は簡素化され得る。更に、本発明の画像形成装置が長期間使用されない場合、不揮発性油がキャリア液である液体現像剤は、転写部材、クリーニング部材、感光体等の、液体現像剤と接触する本発明の画像形成装置の部材表面で固着しない。
本発明の液体現像剤に使用される植物油中のトリグリセライドを構成する脂肪酸中の各種脂肪酸の割合(質量%)は、表1のとおりである。
【0020】
【表1】

【0021】
本発明の画像形成装置で使用される液体現像剤に含まれる固形分の濃度は10〜50質量%である。当該液体現像剤に含まれる顔料は、樹脂と塩基性高分子分散剤で処理された塩基性顔料である。
本発明の画像形成装置で使用される液体現像剤は、塩基性顔料とともに、電荷制御剤、樹脂、分散剤、酸化防止剤等を含有していてもよい。電荷制御剤の具体例は、テトラエチルチタネート、テトライソプロピルチタネート、テトラ−n−プロピルチタネート、テトラ−n−ブチルチタネート、テトラ−tert−ブチルチタネート、テトラ−2−エチルヘキシルチタネート、テトラオクチルチタネート、テトラメトキシチタン;チタニルアセチルアセテート等のチタンキレート;イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリデシルベンゼンスルホニルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルピロホスフェート)チタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、テトラ(2,2−ジアリルオキシジルメチル−1−ブチル)ビス(ジ−トリデシル)、ビス(ジオクチルパイロフォスフェート)エチレンチタネート、イソプロピルトリオクタノイルチタネート、イソプロピルジメタクリルイソステアロイルチタネート、イソプロピルイソステアロイルジアクリルチタネート、イソプロピルトリ(ジオクチルホスフェート)チタネート、イソプロピルトリクミルフェニルチタネート、イソプロピルトリ(N−アミノエチル−アミノエチル)チタネート等のチタネートカップリング剤である。
【0022】
樹脂の酸価は4〜15である。樹脂の具体例は、エチレン・酢酸ビニル共重合体、ポリエステル樹脂、スチレン・アクリル樹脂、ロジン変性樹脂、ポリエチレン、エチレン・アクリル酸共重合体、エチレン・無水マレイン酸共重合体、ポリビニルピリジン、ポリビニルピロリドン、エチレン・メタクリル酸共重合体、エチレン・アクリル酸エステル共重合体である。上記樹脂から選ばれる1種もしくは2種以上の樹脂を用いることができる。
塩基性顔料、キャリア液、オレイン酸等が配合された混合物を、アトライター、サンドミル、ボールミル、振動ミル等の分散機で分散して、本発明の画像形成装置で使用される液体現像剤が得られる。本発明の画像形成装置で使用される液体現像剤の着色微粒子の好ましい一次粒子径は、個数平均粒径として1μm以下である。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0023】
(シアンMOヒマワリ油現像剤の調整)
Pigment Blue15:3 35質量部を、ポリエステル樹脂(大日本インキ化学工業(株)製プラスディックDL−90)と高分子系分散剤(味の本ファインテクノ(株)製アジスパーPB−822)が8対2の質量比で混合された混合物65質量部を混練粉砕してシアン顔料を作製した。次いで、容量500mlのステンレス容器に直径5ミリのジルコニアボール450g、MOヒマワリ油(日清オイリオグループ(株)製、トリグリセライドのオレイン酸成分は60.5質量%)150g、オレイン酸(関東化学(株)製)50g、分散剤(味の素ファインテクノ(株)製アジスパーPA111)0.11g、シアン顔料35gを入れて、市販の攪拌機トルネードSM型プロベラ攪拌羽根を用い、回転数504ppmで24時間分散混合して着色剤分散液であるシアンMOヒマワリ油現像剤を作製した。
【0024】
(マゼンタMOヒマワリ油現像剤の調整)
シアンMOヒマワリ油現像剤の調整におけるPigment Blue15:3に代えて、Pigment Red57:1が用いられる以外は、シアンMOヒマワリ油現像剤の調整と同じ操作が行われ、マゼンタMOヒマワリ油現像剤が作製された。
【0025】
(イエローMOヒマワリ油現像剤の調整)
シアンMOヒマワリ油現像剤の調整におけるPigment Blue15:3に代えて、Pigment Yellow74が用いられる以外は、シアンMOヒマワリ油現像剤の調整と同じ操作が行われ、イエローMOヒマワリ油現像剤が作製された。
【0026】
(ブラックMOヒマワリ油現像剤の調整)
シアンMOヒマワリ油現像剤の調整におけるPigment Blue15:3に代えて、塩基性処理カーボンブラック(粒子径40nm、窒素吸着比表面積55m2/g)が用いられる以外は、シアンMOヒマワリ油現像剤の調整と同じ操作が行われ、ブラックMOヒマワリ油現像剤が作製された。
【0027】
上記4色のMOヒマワリ油現像剤の作製直後の粘度と電気抵抗が表2に示されている。粘度は、25℃、湿度49%で粘度計(CBC(株)製VM−100A)により測定された。電気抵抗は、エレクトロメーター((株)川口電機製作所製MMAII−17B)、測定電極液体用((株)川口電機製作所製LP−05)、測定箱((株)川口電機製作所製P−618)により印加電圧100Vで測定された。
【0028】
【表2】

【0029】
各顔料の塩基度の違いにより、酸塩基相互作用の基づく顔料の分散性が異なるため、各色のMOヒマワリ油現像剤の粘度が異なっていると考えられる。
【0030】
(シリコーンオイル現像剤の調整)
MOヒマワリ油現像剤の調整におけるMOヒマワリ油に代えて、シリコーンオイル(信越シリコーン(株)製KF−96−20)が用いられる以外は、MOヒマワリ油現像剤の調整と同じ操作が行われ、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックのシリコーンオイル現像剤が調整された。4色のシリコーンオイル現像剤の作製直後の粘度と電気抵抗が表3に示されている。
【0031】
【表3】

【0032】
(流動パラフィン現像剤の調整)
MOヒマワリ油現像剤の調整におけるMOヒマワリ油に代えて、流動パラフィン(和光純薬工業(株)製)が用いられる以外は、MOヒマワリ油現像剤の調整と同じ操作が行われ、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの流動パラフィン現像剤が調整された。4色の流動パラフィン現像剤の作製直後の粘度と電気抵抗が表4に示されている。
【0033】
【表4】

【0034】
(正帯電用有機感光体ドラムの作製)
ポリカーボネート樹脂(帝人化成(株)製、TS−2020)21質量部、無金属フタロシアニン(大日本インキ化学工業(株)製)2質量部、ヒドラゾン化合物(アナン(株)製)10質量部、3,5−ジメチル−3′,5′−ジ(t)ブチル−4,4′−ジフェノキノン5質量部及びトルエン180質量部が、ペイントコンディショナー中で10時間分散混合され、塗布液が作製された。
上記塗布液がΦ40mmのアルミ素管にリングコート法で塗工され、次いで乾燥されて、膜厚20μmの感光層が形成された。
【0035】
(実施例1)
図1に示されるタンデム式画像形成装置の感光体1として上記正帯電用有機感光体ドラムが装着され、液体現像剤貯蔵制御ユニット6に上記4色のMOヒマワリ油現像剤が入れられた。そして、各色5%の色画像が含まれる印字パターンが用いられ、1000枚の転写紙(三菱製紙(株)製EP−L微塗工81.4gsm)に連続印字が行われた。その際、ベタ濃度が測定されるように、6箇所の1.5cm角ベタ部がカラー画像原稿中に設けられた。印字条件は、次のとおりであった。
ダイヘッドと有機感光体ドラムの間のバイアス;400V
プロセス速度;206m/min
スコロトロンの印加電圧;5.5kV
メッシュ電極電位;600V
ダイヘッドからの現像剤吐出量;0.75mg/cm2
1次転写電圧;650V
2次転写電圧;1.5kV
定着ローラ温度;120℃
【0036】
ダイヘッドと有機感光体ドラムの間の隙間は20μm、30μm、40μm、50μm、70μm、100μm、130μm、150μm、200μmに設定された。
1000枚目の印字物における各色のベタ濃度(ベタOD値)及び印字品質(かずれ、鋭鮮度)が評価された。ベタ濃度は反射濃度計(X-Rite社製モデル530型)により測定された。かすれは目視により評価された(○;かすれなし、△;印字面の一部にかすれ有り、×;印字面の全体にかすれ有り)。鋭鮮度は、印字部の1.5cm角のエッジ部の凹凸をレーザー顕微鏡(キーエンス社製VK−9700)で測定して求められた。結果が表5に示されている。
ダイヘッドと有機感光体ドラムの間の隙間が狭すぎても、広すぎても、印字品質が低下すると言える。
【0037】
【表5】

【0038】
(実施例2)
図1に示されるタンデム式画像形成装置の感光体1としてa−Si感光体ドラム(京セラ(株)製、Φ40mm)が装着され、ダイヘッドとa−Si感光体ドラムの間の隙間が50μmに設定されて、印字条件が下記のとおりに変更される以外は実施例1と同じ印字試験が行われた。結果が表6に示されている。
ダイヘッドとa−Si感光体ドラムの間のバイアス;400V
プロセス速度;206m/min
スコロトロンの印加電圧;5.0kV
メッシュ電極電位;700V
ダイヘッドからの現像剤吐出量;0.70mg/cm2
1次転写電圧;650V
2次転写電圧;1.5kV
定着ローラ温度;120℃
a−Si感光体ドラムを備える画像形成装置により形成された画像は、かすれがなく、鮮鋭度が高くなり得ると言える。
【0039】
【表6】

【0040】
(実施例3)
図2に示されるタンデム式画像形成装置の感光体1’として上記正帯電用有機感光体ドラムが装着され、搬送ベルト20としてポリイミド製ベルト(厚み150μm、体積電気抵抗2.1×1010Ω・cm)が装着され、液体現像剤貯蔵制御ユニット6’に上記4色のMOヒマワリ油現像剤が入れられた。ダイヘッドと有機感光体ドラムの間の隙間は50μmに設定された。そして、各色5%の色画像が含まれる印字パターンが用いられ、10枚の転写紙(三菱製紙(株)製EP−L微塗工81.4gsm)に連続印字が行われた。印字条件は次のとおりであった。結果が表7に示されている。
ダイヘッドと有機感光体ドラムの間のバイアス;400V
プロセス速度;200m/min
スコロトロンの印加電圧;5.5kV
メッシュ電極電位;600V
ダイヘッドからの現像剤吐出量;0.65mg/cm2
転写電圧;850V
定着ローラ温度;120℃
【0041】
【表7】

【0042】
(実施例4)
図1に示されるタンデム式画像形成装置の感光体1として上記正帯電用有機感光体ドラムが装着され、液体現像剤貯蔵制御ユニット6に上記4色のシリコーンオイル現像剤が入れられた。ダイヘッドと有機感光体ドラムの間の隙間は50μmに設定された。そして、各色5%の色画像が含まれる印字パターンが用いられ、1000枚の転写紙(三菱製紙(株)製EP−L微塗工81.4gsm)に連続印字が行われた。印字条件は次のとおりであった。結果が表8に示されている。
ダイヘッドと有機感光体ドラムの間のバイアス;400V
プロセス速度;206m/min
スコロトロンの印加電圧;5.5kV
メッシュ電極電位;600V
ダイヘッドからの現像剤吐出量;0.75mg/cm2
1次転写電圧;650V
2次転写電圧;1.5kV
定着ローラ温度;120℃
【0043】
【表8】

【0044】
(実施例5)
図2に示されるタンデム式画像形成装置の感光体1’として上記正帯電用有機感光体ドラムが装着され、搬送ベルト20としてポリイミド製ベルト(厚み150μm、体積電気抵抗2.1×1010Ω・cm)が装着され、液体現像剤貯蔵制御ユニット6’に上記4色の流動パラフィン現像剤が入れられた。ダイヘッドと有機感光体ドラムの間の隙間は50μmに設定された。そして、各色5%の色画像が含まれる印字パターンが用いられ、10枚の転写紙(三菱製紙(株)製EP−L微塗工81.4gsm)に連続印字が行われた。印字条件は実施例3と同じであった。結果が表9に示されている。
【0045】
【表9】

【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】タンデム式画像形成装置の模式図
【図2】タンデム式画像形成装置の模式図
【符号の説明】
【0047】
1、1’…感光体、2、2’…帯電器、3、3’…書き込み用LED、4、4’…除電用LED、5…1次転写ローラ、6、6’…液体現像剤貯蔵制御ユニット、7、7’…ダイヘッド、8…中間転写ベルト、9、9’…駆動ローラ、10、10’…従動ローラ、11…2次転写ローラ、13、13’…搬送経路、14、14’…定着ローラ対、15、15’…両面印字時搬送経路、16、16’…感光体クリーニング手段、17…2次転写ローラクリーニング手段、18…中間転写ベルトクリーニング手段、19、19’…液体現像剤循環パス、20…搬送ベルト、21…転写ローラ、22…両面印字切替装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
感光体、感光体を帯電させる帯電部材、帯電させられた感光体上に静電潜像を形成する書き込み部材、感光体上の像を記録部材に転写する転写部材、及び、記録部材に転写された像を定着する定着部材が設けられた画像形成装置であって、
書き込み部材の感光体回転方向下流側に感光体に対向してダイヘッドが設けられ、
固形分とキャリア液が含まれる液体現像剤が、ダイヘッドにより静電潜像が形成された感光体に塗布されて現像が行われる、画像形成装置。
【請求項2】
感光体が、有機感光体又はアモルファスシリコン感光体である、請求項1に記載された画像形成装置。
【請求項3】
感光体が正に帯電される、請求項1又は2に記載された画像形成装置。
【請求項4】
ダイヘッドと感光体の間に形成される隙間が20〜100μmである、請求項1〜3のいずれかに記載された画像形成装置。
【請求項5】
感光体が帯電部材により帯電させられる工程、
静電潜像が書き込み部材により帯電させられた感光体上に形成される工程、
固形分とキャリア液が含まれる液体現像剤が、書き込み部材の感光体回転方向下流側に感光体に対向して設けられたダイヘッドにより静電潜像が形成された感光体に塗布され、現像が行われる工程、
感光体に形成された像が記録部材に転写され、次いで、記録部材に転写された像が定着される工程、が行われる画像形成方法。

【図1】
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【図2】
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