説明

画像形成装置及び画像形成方法

【課題】滑剤が像担持体面上に過剰に付着することにより生じるクリーニング不良の発生を防止すること。
【解決手段】潜像が形成される感光体ドラム33と、滑剤が添加されたトナーが充填されており、当該トナーを感光体ドラムに付着させて潜像を現像しトナー像を形成する現像装置32と、感光体ドラムに付着したトナーを除去するクリーニングブレード35aを有するクリーニング部35と、現像装置に充填されているトナーの入替量を算出し、当該算出したトナーの入替量が、ブレードが凝着磨耗を発生する前記像担持体面上の純水接触角度以上となるトナーの入替量となる場合、感光体ドラムの非画像領域にトナー強制排出用のパッチ画像に基づくトナー像を形成させる制御部110と、を備えた画像形成装置1。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置及び画像形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、電子写真方式の画像形成装置では、一定量のトナーを強制的に排出させ、新たなトナーを供給する制御が行われる。これは、トナー像が形成される像担持体(例えば、感光体ドラム等)の表面上にクリーニングブレード等を摺接させて像担持体の表面上に付着したトナーの除去を行なう際、クリーニングブレードの磨耗や感光体の表面上にキズがつくのを防止するために、トナーを潤滑剤として用いているためである。
【0003】
例えば、現像装置内のトナー濃度が検出され、トナー濃度が適正状態でない場合には、トナーを補給し、トナー濃度が適正状態となった場合には、感光体ドラムにトナーを付着させ、クリーニングブレードを当該感光体ドラムに付着したトナーに摺接させる技術(特許文献1参照)、画像情報に関係ない非画像部にトナー像を形成させることで、ブレードの潤滑剤として作用させる技術(引用文献2参照)が開示されている。
【0004】
また、感光体とクリーニングブレードの磨耗を防止するために、クリーニングブレードにより除去されるトナー量を検出し、検出したトナー量が少ない場合には、感光体上にトナー像を形成し、当該トナー像をクリーニングブレードにより除去させる技術が開示されている(特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平2−116883号公報
【特許文献2】特開平2−148084号公報
【特許文献3】特開平7−281490号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
更に、近年では、トナーに滑剤を混合して当該滑剤によって像担持体の表面上を潤滑させ、トナーのクリーニング性能の向上、クリーニングブレードの磨耗の低減、像担持体の表面上にキズがつくのを低減させている。
【0007】
しかしながら、像担持体の表面上において滑剤の付着量が過剰な状態となると、像担持体表面が鏡面化し、像担持体の表面とクリーニングブレードとの接触面積が増大する。そのため、クリーニングブレードが像担持体の移動方向(回転方向)に引き込まれ凝着磨耗し、像担持体と接触しているクリーニングブレードの一部が破損して、クリーニング不良が生じるという問題がある。
【0008】
本発明の課題は、上記問題に鑑みて、滑剤が像担持体の表面上に過剰に付着することにより生じるクリーニング不良の発生を防止することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載の発明は、潜像が形成される像担持体と、滑剤が添加されたトナーが充填されており、当該トナーを前記像担持体に付着させて潜像を現像しトナー像を形成する現像装置と、前記像担持体に付着したトナーを除去するブレードを有するクリーニング部と、前記現像装置に充填されているトナーの入替量を算出し、当該算出したトナーの入替量が、前記ブレードが凝着磨耗を発生する前記像担持体面上の純水接触角度以上となるトナーの入替量となる場合、前記像担持体の非画像領域にトナー強制排出用のパッチ画像に基づくトナー像を形成させる制御部と、を備えた画像形成装置である。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の画像形成装置において、前記制御部は、前記算出したトナーの入替量が前記ブレードが凝着磨耗を発生する前記像担持体面上の純水接触角度以上となるトナーの入替量となる場合、トナーの入替量に応じて前記トナー強制排出用のパッチ画像の大きさを設定する。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の画像形成装置において、前記トナー強制排出用のパッチ画像は、有色画素から構成され、主走査方向に延在する帯状のパッチ画像である。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項1から3のいずれか一項に記載の画像形成装置において、前記制御部は、前記トナー入替量を、前記像担持体の予め設定された駆動時間と、当該駆動時間内に前記像担持体に形成される画素数と、に基づいて算出する。
【0013】
請求項5に記載の発明は、請求項1から3のいずれか一項に記載の画像形成装置において、前記制御部は、前記トナー入替量を、前記像担持体の予め設定された駆動時間と、前記現像装置に補給されたトナー量と、に基づいて算出する。
【0014】
請求項6に記載の発明は、潜像が形成される像担持体と、滑剤が添加されたトナーが充填されており、当該トナーを前記像担持体に付着させて潜像を現像しトナー像を形成する現像装置と、前記像担持体に付着したトナーを除去するブレードを有するクリーニング部と、を備えた画像形成装置の画像形成方法において、制御手段が、前記現像装置に充填されているトナーの入替量を算出する工程と、前記制御手段が、前記算出したトナーの入替量が、前記ブレードが凝着磨耗を発生する前記像担持体面上の純水接触角度以上となるトナーの入替量となる場合、前記像担持体の非画像領域にトナー強制排出用のパッチ画像に基づくトナー像を形成させる工程と、を含む画像形成方法である。
【発明の効果】
【0015】
請求項1、6に記載の発明によれば、像担持体面上に過剰に付着した滑剤を、トナー強制排出用のパッチ画像に基づくトナー像を構成するトナーと共にクリーニング部にて除去でき、滑剤が像担持体面上に過剰に付着することにより生じるクリーニング不良の発生を防止することができる。
【0016】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1と同様の効果を得られるのは勿論のこと、像担持体面上の状態に応じてトナー強制排出用のパッチ画像の大きさを設定でき、滑剤を除去するために形成されるトナー像のトナー量の無駄を防止しつつ、像担持体面上の滑剤量の低減を図ることができる。
【0017】
請求項3に記載の発明によれば、請求項1又は2と同様の効果を得られるのは勿論のこと、トナー強制排出用のパッチ画像のパッチパターンを、有色画素のみから構成された主走査方向に延在する帯状のパッチ画像とすることで、露光されない部分を無くして無駄に滑剤を付着させず、トナーを多く感光体ドラムに付着させることができる。
【0018】
請求項4に記載の発明によれば、請求項1から3のいずれか一項と同様の効果を得られるのは勿論のこと、トナー入替量を、像担持体の予め設定された駆動時間と、当該駆動時間内に像担持体に形成される画素数と、に基づいて算出することができる。
【0019】
請求項5に記載の発明によれば、請求項1から3のいずれか一項と同様の効果を得られるのは勿論のこと、トナー入替量を、像担持体の予め設定された駆動時間と、現像装置に補給されたトナー量と、に基づいて算出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】画像形成装置の構成図である。
【図2】画像形成装置の機能的構成図である。
【図3】区間カバレッジに対する感光体ドラム表面の純水接触角度の関係を示すグラフの例である。
【図4】トナー強制排出用パッチの例を示す図である。
【図5】感光体ドラム表面の滑剤調整処理のメインフローチャートである。
【図6】紙間動作テーブルの例を示す図である。
【図7】トナー強制排出用パッチ設定処理のフローチャートである。
【図8】区間カバレッジとパッチ幅との関係を示すグラフである。
【図9】露光積算面積の算出処理のフローチャートである。
【図10】トナー補給モータ駆動積算時間の算出処理のフローチャートである。
【図11】従来の感光体ドラム表面の滑剤調整処理でのクリーニング不良検証結果を示す図である。
【図12】本実施の形態の感光体ドラム表面の滑剤調整処理でのクリーニング不良検証結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。
まず、構成を説明する。
図1に、本実施の形態における画像形成装置の構成を示す。
【0022】
図1に示す画像形成装置1は、単色のトナーを用いる画像形成装置である。
図1に示すように、画像形成装置1には、画像読取部2、プリント部3等が設けられている。画像読取部2には、原稿自動送り部21と、読取部22とが設けられている。プリント部3には、画像形成ユニット30、転写ユニット40、クリーニングユニット50、定着装置60、給紙ユニット70、レジストローラ80、紙端検知センサ90等が設けられている。
【0023】
原稿自動送り部21は、画像形成装置1の本体上部に設けられている。原稿自動送り部21は、搬送ローラを複数備え、原稿台に設置された原稿を読取部22の読取面であるスリットガラス22b上に搬送する。
【0024】
読取部22は、光源、レンズ、コンタクトガラス、イメージセンサ22a等が設けられたスキャナを備えて構成され、原稿に照射した光の反射光を結像して光電変換することにより原稿の画像を読み取り、光電変換により画像信号(アナログ信号)を生成する。ここで、画像とは、図形や写真等のイメージデータに限らず、文字や記号等のテキストデータ等も含む意である。
【0025】
画像信号は、図示しない信号処理部によってデジタル化され、必要に応じて各種信号処理が施されると、一旦メモリに格納される。その後、メモリから画像信号が読み出されて画像形成ユニット30に出力される。
【0026】
画像形成ユニット30は、露光装置31、現像装置32、像担持体である感光体ドラム33、帯電器34、クリーニング部35を備えている。
【0027】
画像形成時には、帯電器34が感光体ドラム33に電荷を付加し、予め定められた極性(例えば、負の極性)に帯電した感光体ドラム33に、露光装置31が画像データに応じた光を照射して静電潜像を形成する。そして、滑剤が添加されたトナーが充填されている現像装置32は、一定速度で移動する感光体ドラム33の表面に、予め定められた極性(例えば、負の極性)に帯電したトナーを付着させて静電潜像を現像し、感光体ドラム33上にトナー像を形成する。現像装置32により感光体ドラム33に形成されたトナー像は、感光体ドラム33が一定速度で回転されることにより一定速度で転写位置に移動し、当該転写位置で転写される。
【0028】
現像装置32の内部には、トナー補給装置32aから供給されたトナーが充填されている。トナーは、トナー表面の滑性化を図り、感光体ドラム33表面に付着したトナーを剥がれやすくしてクリーニング性能を確保するための滑剤が添加されている。この滑剤は、トナーに付着し易いようにトナーとは逆極性(例えば、正の極性)を有しており、現像時にトナーと共に感光体ドラムの表面に移動し、感光体ドラム表面の露光されていない部分(負に帯電している部分)に多く移動する。
【0029】
トナー補給装置32aは、多量のトナーを貯留可能なトナーボトルと、トナーボトルと現像装置32とを連結する連結部材とを備えている。
トナーボトルは、当該トナーボトルのトナーの流出口が連結部材に着脱自在に装着されている。連結部材は、トナーボトルの流出口と現像装置32内部とを繋ぐ円筒体と、当該円筒体内部に設けられたスクリュー部材等を備えている。そして、連結部材は、トナーボトルの流出口から流出したトナーをスクリュー部材の回転に応じて現像装置32内に流入させる。スクリュー部材は、トナー補給モータ(不図示)により駆動される。
【0030】
また、現像装置32の内部には、トナー濃度(現像剤に対するトナーの割合)を検出するためのトナー濃度センサ32bが設けられている。トナー濃度センサ32bとしては、例えば、コイルのインダクタンスの変化から透磁率を求めることにより現像剤に対するトナー濃度を測定するTCR(Toner Carrier Ratio)センサ等を用いることができる。
【0031】
クリーニング部35は、クリーニングブレード35aやブラシ、ローラ等を備え、感光体ドラム33の表面に付着しているトナー等を除去する。クリーニングブレード35aの端部は、感光体ドラム33の表面に摺接しており、当該端部にて感光体ドラム33に付着したトナーを直接的かつ物理的に剥ぎ取って削り落として除去している。
【0032】
転写ユニット40は、レジストローラ80によって搬送された用紙上に、感光体ドラム33上に形成されたトナー像を転写させた後、用紙を定着装置60に搬送する。
転写ユニット40は、複数のローラによって張設され回動する転写ベルト41等を備えて構成されている。転写ベルト41は、感光体ドラム33と当接し、感光体ドラム33に形成されたトナー像を用紙に転写する転写部として機能する。
【0033】
なお、本実施の形態では、転写部として転写ベルトを用いて説明するが、これに限らず、転写ローラ等の転写位置で感光体ドラム33と当接し、副走査方向(用紙搬送方向)に移動可能な部材であればよい。
【0034】
紙端検知センサ90により検知された用紙が、レジストローラ80により感光体ドラム33と転写ベルト41との間に搬送されると、転写ベルト41上の転写位置で感光体ドラム33上のトナー像が用紙上に転写される。その後、用紙は転写ベルト41の回転方向(用紙搬送方向)に従って定着装置60へと搬送される。
【0035】
クリーニングユニット50は、転写ベルト41に付着している残留トナーをブレード51等によりそぎ落し、除去する。
【0036】
定着装置60は、熱源を有する定着ローラ61と、加圧ローラ62とを備える。定着ローラ61と加圧ローラ62とにより、搬送された用紙に対して加熱及び加圧が行われ、定着処理が施される。定着処理された用紙は画像形成装置1の外部に設けられたトレイ上に排紙される。
【0037】
給紙ユニット70は、複数の給紙カセットや手差しトレイ、給紙ローラ等を備える。給紙カセット内には、給紙カセット毎にサイズや紙種毎に予め識別された規格サイズの用紙が収容されている。手差しトレイには、ユーザのニーズに合わせて様々な規格外のサイズの用紙がその都度積載可能となっている。
【0038】
給紙カセット又は手差しトレイに収容された用紙は、最上部から一枚ずつレジストローラ80まで搬送され、レジストローラ80によって転写ユニット40と感光体ドラム33間に搬送される。転写ユニット40と感光体ドラム33により用紙上にトナー像が転写されるが、その転写位置への用紙の進入タイミングは、レジストローラ80によって感光体ドラム33の回転によるトナー像の移動と同期するよう計られる。
【0039】
紙端検知センサ90は、レジストローラ80の下流に設けられた光学的なセンサ等から構成されており、レジストローラ80を通過した用紙の先端又は後端を検知すると、検知信号を発生し、当該検知信号を後述する制御部に出力する。
【0040】
図2に、本実施の形態における画像形成装置1の機能的構成図を示す。
図2に示すように、画像形成装置1は、本体制御部10と、画像読取部2と、プリント部3と、操作表示部4と、プリンタコントローラ5等を備えて構成される。
【0041】
本体制御部10は、制御部110、不揮発メモリ121、RAM(Random Access Memory)122、画像メモリ130、画像処理部140等を備え、各部は制御部110によって制御されている。
【0042】
制御部110は、CPU(Central Processing Unit)等から構成され、不揮発メモリ121に格納されているシステムプログラム及び各種アプリケーションプログラム、各種データの中から指定されたプログラムやデータを読み出してRAM122に展開し、RAM122に展開されたプログラムとの協働で、各種処理を実行し、画像形成装置1の各部を集中制御する。例えば、制御部110は、操作表示部4やプリンタコントローラ5を介して接続された外部装置6から入力される指示信号に従って、コピーモード、プリンタモード、スキャナモードを切り替え、複写、プリント、画像データの読取等の制御を行う。
【0043】
また、制御部110は、不揮発メモリ121から本実施の形態に係る感光体ドラム表面の滑剤調整処理プログラムや必要な各種データを読み出し、当該プログラム及び各種データとの協働により、感光体ドラム表面の滑剤調整処理を制御する。
【0044】
本実施の形態における感光体ドラム表面の滑剤調整処理では、現像装置に充填されているトナーの入替量が算出され、当該算出されたトナーの入替量が、予め定められたトナー入替量(第1トナー入替量)以上となる場合、感光体ドラムの非画像領域にトナー強制排出用のパッチ画像に基づくトナー像が形成される。また、算出されたトナーの入替量が、第1トナー入替量よりも少ないトナー入替量(第2トナー入替量)未満の場合、感光体ドラムの非画像領域にトナー強制排出用のパッチ画像に基づくトナー像が形成される。
以下、トナー強制排出用のパッチ画像を、トナー強制排出用パッチとも称す。
【0045】
第1トナー入替量は、感光体ドラムの表面に摺接するクリーニングブレード35aが凝着磨耗を発生する感光体ドラムの表面上の純水接触角度に対するトナー入替量である。
第2トナー入替量は、感光体ドラムの表面の滑剤量が最低限確保された状態の純水接触角度に対するトナー入替量である。
【0046】
図3に、区間カバレッジに対する感光体ドラム表面の純水接触角度の関係を示すグラフの例を示す。なお、区間カバレッジは、所定時間における感光体ドラムに形成されるトナー像の有色画素の印字率に相当し、現像装置のトナーの入替量と比例関係にある。
【0047】
図3に示すように、区間カバレッジが3.5[%]未満の場合、感光体ドラム表面の純水接触角度は95[°]未満となる。この場合には、感光体ドラム表面の滑剤量が低下し、クリーニング不良が発生する。また、区間カバレッジが10[%]以上の場合、感光体ドラム表面の純水接触角度は98[°]以上となる。この場合には、区間カバレッジが大きくなるに従って、クリーニングブレード35aに損傷が増大し、クリーニング不良が発生する。従って、例えば、区間カバレッジが10[%]となるトナー入替量を第1トナー入替量と設定し、区間カバレッジが3.5[%]となるトナー入替量を第2トナー入替量と設定できる。
【0048】
感光体ドラムの画像領域とは、1枚の用紙に転写するトナー像が形成される領域である。従って、感光体ドラムの非画像領域とは、画像領域の相互の間の領域であり、一般には「紙間」と称される。
【0049】
図4に、トナー強制排出用パッチの例を示す。
図4に示すように、トナー強制排出用パッチPT0は、用紙P1、P2に転写する各トナー像の間の非画像領域に形成された、主走査方向Xに延在した帯状のトナー像である。このトナー強制排出用パッチPT0の副走査方向(用紙搬送方向)Yの長さ(パッチ幅)は可変であり、区間カバレッジに応じて制御部により決定される。
図4に示すトナー強制排出用パッチPT0は、黒色画素のみで構成され、主走査方向に延在する帯状の黒ベタのトナー像(ソリッドパターン)であるが、これに限らない。
区間カバレッジに応じて、複数の黒色画素から構成され副走査方向に延在する帯状の画像(黒帯画像)と、複数の白色画素から構成される副走査方向に延在する帯状の画像(白帯画像)とが、主走査方向に交互に配置された縞状トナー像(縞状パターン)であってもよい。
【0050】
なお、本実施の形態では、黒色のトナーが充填されたモノクロの画像形成装置を例に挙げて説明するため、黒色画素のみから構成されるソリッドパターン、又は、黒色画素と白色画素とにより構成される縞状パターンを、トナー強制排出用パッチのパッチパターンとして用いて説明する。しかし、トナーを黒色から他の色に換えた場合には、黒色ではない有色画素のみから構成されるソリッドパターン、又は有色画素と白色画素で構成される縞状パターンを、トナー強制排出用パッチのパターンとして用いる。
【0051】
不揮発メモリ121は、画像形成に係る各種処理プログラム及びデータの他、本実施の形態に係る感光体ドラム表面の滑剤調整処理プログラム、当該プログラムを実行するために必要なテーブルやデータ、各種プログラムで処理されたデータ等を記憶する。
【0052】
RAM122は、制御部110により実行される各種プログラム及びこれらプログラムに係る各種データ等を一時的に記憶するワークエリアを形成する。
【0053】
画像メモリ130は、HDD(Hard Disk Drive)、DRAM(Dynamic RAM)等により構成され、画像データを読み書き可能に記憶する。画像メモリ130は、制御部110からの指示により、画像読取部2又はプリンタコントローラ5から入力された画像データを記憶して保存したり、画像メモリ130に記憶されている画像データを読み出して画像処理部140に出力したりする。
【0054】
画像処理部140は、画像読取部2、プリンタコントローラ5又は画像メモリ130から入力された画像データにスクリーン処理等の各種画像処理を施して制御部110又は画像メモリ130に出力する。画像処理部140は、例えば、画像読取部2から入力されたアナログの画像信号をデジタルの画像データに変換したり、デジタルの画像データを圧縮して画像メモリ130に出力したり、圧縮画像データを伸長して出力したりする。
【0055】
画像読取部2は、図1に示した原稿自動送り部21、読取部22、画像読取制御部等から構成される。画像読取制御部は、原稿自動送り部21、読取部22等を制御して、原稿面の露光走査を実行させ、光の反射光をイメージセンサ22aにより光電変換を行わせて画像を読み取る。読み取られた画像のデータは、画像処理部140に出力される。
【0056】
プリント部3は、図1に示した画像形成ユニット30、転写ユニット40、紙端検知センサ90等のプリント出力に係る各部やプリント制御部を備えて構成される。プリント制御部は、制御部110からの指示に従ってプリント部3の各部の動作を制御し、画像処理部140から入力された画像データに基づいて画像形成を行わせる。
【0057】
操作表示部4は、LCD(Liquid Crystal Display)やEL(Electro-Luminescence)ディスプレイ、タッチパネル、各種操作キー群、操作表示制御部から構成される。操作表示制御部は、制御部110から入力される表示信号に従って、各種設定条件を入力するための各種画面や各種処理結果等をLCDやELディスプレイに表示させる。また、操作表示制御部は、各種操作キー群又はタッチパネルから入力される操作信号を制御部110に出力する。
【0058】
プリンタコントローラ5は、画像形成装置1をネットワークプリンタとして使用する場合に、LAN(Local Area Network)等のネットワークNに接続されるPC(Personal Computer)等の外部装置6から画像形成装置1に送信されるジョブの管理及び制御を行う
。プリンタコントローラ5は、外部装置6からプリント対象のデータを受信し、当該データをジョブ情報として制御部110へ出力する。
【0059】
次に、本実施の形態の動作を説明する。
図5、7、9、19に、本実施の形態における感光体ドラム表面の滑剤調整処理に係るフローチャートを示す。図5、7、9、10に示すフローチャートは、制御部110と各部との協働によって実行される処理である。
【0060】
図5に、感光体ドラム表面の滑剤調整処理のメインフローチャートを示す。
制御部110は、紙端検知センサ90が用紙の後端を検知したか否かを判別する(ステップS1)。紙端検知センサ90が用紙の後端を検知していない場合(ステップS1;NO)、制御部110は、ステップS1の処理に戻る。
【0061】
紙端検知センサ90が用紙の後端を検知した場合(ステップS1;YES)、制御部110は、リングカウンタをカウントアップする(ステップS2)。制御部110は、リングカウンタのカウンタ値に応じて紙間動作を決定する(ステップS3)。
【0062】
本実施の形態におけるリングカウンタは、0〜9の値を順次カウントするカウンタである。また、不揮発メモリ121には、リングカウンタのカウンタ値(リングカウンタ値)毎に紙間動作が設定された紙間動作テーブルが記憶されている。ステップS3では、紙間動作テーブルが参照され、リングカウンタ値に対応する紙間動作が選出され、決定される。
【0063】
図6に、紙間動作テーブルの例を示す。
図6に示すように、リングカウンタ値毎に、紙間動作が設定されている。本実施の形態における紙間動作としては、例えば、トナー強制排出用パッチ形成動作、画像濃度検出動作、電位測定動作である。図6では、リングカウンタ値が0又は5の場合には画像濃度測定動作、リングカウンタ値が1、3、4、6〜9の場合にはトナー強制排出用パッチ形成動作、リングカウンタ値が2の場合には電位測定動作、が設定されている。
【0064】
制御部110は、ステップS3において決定した紙間動作がトナー強制排出パッチ形成動作か否かを判別する(ステップS4)。
【0065】
紙間動作がトナー強制排出パッチ形成動作である場合(ステップS4;YES)、制御部110は、後述するトナー強制排出用パッチ設定処理により設定されたトナー強制排出用パッチの露光を実行させ、感光体ドラム33の非画像領域にトナー強制排出用パッチのトナー像を形成させ、クリーニングブレード35aにより感光体ドラム33上に形成されたトナー像を除去させ(ステップS5)、本処理を終了する。
【0066】
紙間動作がトナー強制排出パッチ形成動作でない場合(ステップS4;NO)、制御部110は、ステップS3において決定した紙間動作が画像濃度測定動作か否かを判別する(ステップS6)。
【0067】
紙間動作が画像濃度測定動作である場合(ステップS6;YES)、制御部110は、予め設定された画像濃度測定用パッチの露光を実行させ、感光体ドラム33に画像濃度測定用のトナー像を形成させる(ステップS7)。そして、制御部110は、濃度検出センサ(不図示)等により感光体ドラム33上に形成されたトナー像の画像濃度を測定させ(ステップS8)、当該測定結果に応じた濃度補正処理等を実行し、本処理を終了する。
【0068】
紙間動作が画像濃度測定動作でない場合(ステップS6;NO)、制御部110は、電位測定センサ等により感光体ドラムの表面上の電位を測定させ(ステップS9)、当該測定結果に基づいて帯電器34による感光体ドラム33の電位分布を調整し、本処理を終了する。
【0069】
図7に、トナー強制排出用パッチ設定処理のフローチャートを示す。
図7に示すトナー強制排出用パッチ設定処理は、1[sec]毎に実行されるものとする。
【0070】
制御部110は、感光体ドラム33を回転駆動させる感光体駆動モータが駆動しているか否か判別する(ステップS11)。即ち、ステップS11では、感光体ドラム33が回転駆動しているか否かが判別される。
【0071】
感光体駆動モータが駆動していない場合(ステップS11;NO)、制御部110は、本処理を終了する。
【0072】
感光体駆動モータが駆動している場合(ステップS11;YES)、制御部110は、感光体ドラム33の駆動時間を計時する感光体タイムカウンタAをカウントアップ(A=A+1)する(ステップS12)。
【0073】
制御部110は、感光体タイムカウンタAのカウンタ値が30の倍数(30[sec]の倍数)か否かを判別する(ステップS13)。感光体タイムカウンタAのカウンタ値が30の倍数でない場合(ステップS13;NO)、制御部110は、本処理を終了する。
なお、本実施の形態では、ステップS13の判断基準を30の倍数としているが、これに限らない。
【0074】
感光体タイムカウンタAのカウンタ値が30の倍数の場合(ステップS13;YES)、制御部110は、トナー入替量の算出処理を実行する(ステップS14)。
【0075】
ステップS14では、制御部110は、感光体ドラム33の予め設定された駆動時間と、当該駆動時間内に感光体ドラム33に形成される画素数と、に基づいてトナー入替量を算出する。詳しくは、制御部110は、感光体ドラム33が駆動した所定時間(本実施の形態ではステップS13の判断基準である30[sec])の間に、露光装置が露光した面積(露光積算面積B)を、感光体ドラムが回転駆動した際の画像領域の面積Dで割った値(区間カバレッジ)を算出し、当該区間カバレッジに対応するトナー入替量を算出する。なお、露光積算面積Bの算出については、後述する。
【0076】
例えば、所定時間(30[sec])において、A4サイズの60枚の用紙に画像形成を行った場合には、画像領域の面積Dは、
D=(29.7×21)×60=37422[cm2]
と算出される。そして、露光積算面積Bを画像領域の面積Dで割ることにより、所定時間でのカバレッジ(区間カバレッジ)G[%]が算出される。
黒画素のトナー付着量を1[mg/cm2]とし、算出された区間カバレッジが1[%]である場合には、トナー入替量Pは、
P=D×(G/100)×1=37422×0.01×1=374.22[mg]
と算出される。
従って、区間カバレッジとトナー入替量とは比例関係となる。
【0077】
制御部110は、上記のトナー入替量の算出処理に替えて、感光体ドラム33の予め設定された駆動時間と、現像装置32に補給されたトナー量と、に基づいてトナー入替量を算出してもよい。詳しくは、制御部110は、感光体ドラム33が駆動した所定時間(本実施の形態ではステップS13の判断基準である30[sec])の間にトナー補給モータが駆動した時間(トナー補給モータ積算時間C)から、所定時間内でのトナー補給量を算出し、当該トナー補給量を、所定時間の間に感光体ドラムが回転駆動した際の画像領域の面積Dに付着可能なトナー量Dtで割った値(区間カバレッジ)を算出し、当該区間カバレッジに対応するトナー入替量を算出してもよい。なお、トナー補給モータ積算時間Cの算出については、後述する。
【0078】
例えば、所定時間(30[sec])において、A4サイズの60枚の用紙に画像形成を行った場合には、画像領域の面積Dは、
D=(29.7×21)×60=37422[cm2]
と算出される。黒画素のトナー付着量を1[mg/cm2]とした場合、画像領域の面積Dに付着可能なトナー量Dtは、
Dt=37422×1=37422[mg]
と算出される。トナー補給モータの駆動により現像装置に補給されるトナー量を300[mg/sec]とした場合、所定時間にトナー補給モータの駆動により補給されたトナー補給量Eは、
E=C×300[mg]
と算出される。そして、トナー補給量Eを画像領域の面積に付着可能なトナー量Dtで割ることにより、所定時間でのカバレッジ(区間カバレッジ)G[%]が算出される。
算出された区間カバレッジGが1[%]である場合には、トナー入替量Pは、
P=D×(G/100)×1=37422×0.01×1=374.22[mg]
と算出される。
従って、区間カバレッジとトナー入替量とは比例関係となる。
【0079】
制御部110は、ステップS14で算出したトナー入替量に対応する区間カバレッジが、第2トナー入替量に対応する区間カバレッジとして予め設定された3.5[%]未満か否かを判別する(ステップS15)。
【0080】
区間カバレッジが3.5[%]未満である場合(ステップS15;YES)、制御部110は、トナー強制排出用パッチのパッチパターンを縞状パターンに設定する(ステップS16)。パッチパターンを黒帯画像と白帯画像とから構成される縞状パターンに設定することで、白帯画像の部分、即ち、露光されない部分に滑剤が多く流れ込み付着しやすくなり、滑剤を効率的に感光体ドラムに供給することができる。
【0081】
制御部110は、不揮発メモリ121に記憶されているパッチ幅テーブルを参照して、算出したトナー入替量に対応する区間カバレッジに応じたトナー強制排出用パッチの副走査方向の長さ(パッチ幅)を設定し、トナー強制排出用パッチの大きさを設定する(ステップS17)。
パッチ幅テーブルには、複数の区間カバレッジに対するパッチ幅が設定されている。
【0082】
図8に、パッチ幅テーブルに基づいて、区間カバレッジとパッチ幅との関係を示したグラフの例を示す。図8は、横軸に区間カバレッジ[%]、縦軸にパッチ幅[mm]としたグラフである。
【0083】
図8に示すように、区間カバレッジが0〜3.5[%]の間は、区間カバレッジが小さくなるに従ってパッチ幅が長く設定されている。これは、図3に示すように、区間カバレッジが0〜3.5[%]の間は、感光体ドラムの表面上の純水接触角度が95[°]未満であり、区間カバレッジが小さくなるに従って(純水接触角度が小さくなるに従って)滑剤の不足が進む状態となる。そのため、純水接触角度が小さくなるに従ってパッチ幅を長く設定し、トナー強制排出パッチの面積を大きくする。
【0084】
また、図8に示すように、区間カバレッジが10〜16[%]の間は、区間カバレッジが大きくなるに従ってパッチ幅が長く設定されている。区間カバレッジが16[%]を超えると、パッチ幅が15[mm]で一定値に設定されている。これは、図3に示すように、区間カバレッジが10[%]を超えると、感光体ドラムの表面上の純水接触角度が98[°]以上となり、また、区間カバレッジが16[%]を超えると純水接触角度が100[°]近傍で略一定となり感光体ドラムの表面上での滑剤量が過剰状態となるからである。そのため、区間カバレッジが16[%]を超えるまでは、区間カバレッジに従ってパッチ幅を長く設定し、16[%]を超えた場合には、パッチ幅を一定とし、純水接触角度に従ってトナー強制排出パッチの面積を大きくする。
【0085】
制御部110は、ステップS17後、トナー入替量の算出処理で用いた値をクリアし(ステップS18)、本処理を終了する。
【0086】
区間カバレッジが3.5[%]未満でない場合(ステップS15;NO)、制御部110は、ステップS14で算出したトナー入替量に対応する区間カバレッジが、第1トナー入替量に対応する区間カバレッジとして予め設定された10[%]以上か否かを判別する(ステップS19)。区間カバレッジが10[%]以上でない場合(ステップS19;NO)、制御部110は、本処理を終了する。
【0087】
区間カバレッジが10[%]以上である場合(ステップS19;YES)、制御部110は、トナー強制排出用パッチのパッチパターンをソリッドパターンに設定する(ステップS20)。トナー強制排出用パッチのパッチパターンを黒色画素のみから構成されるソリッドパターンに設定することで、感光体ドラムの表面上に露光されない部分を無くして無駄に滑剤を付着させず、トナーを多く感光体ドラムに付着させることができる。
【0088】
制御部110は、不揮発メモリ121に記憶されているパッチ幅テーブルを参照して、算出したトナー入替量に対応する区間カバレッジに応じたトナー強制排出用パッチの副走査方向の長さ(パッチ幅)を設定し、トナー強制排出用パッチの大きさを設定する(ステップS21)。
【0089】
制御部110は、ステップS21後、トナー入替量の算出処理で用いた値をクリアし(ステップS22)、本処理を終了する。ステップS18、S22でクリアされる値としては、例えば、露光積算面積Bや、トナー補給モータ積算駆動時間Cである。
【0090】
図9に、露光積算面積Bの算出処理のフローチャートを示す。
図9に示す処理は、露光装置31による露光が終了した時点で実行されるものである。
【0091】
制御部110は、露光装置31による露光が終了すると、露光装置31により露光された画素数から露光面積B1を算出する(ステップS31)。
例えば、画像形成装置の書込解像度が1200[dpi]である場合、223200画素が1[cm2]となる。
【0092】
制御部110は、ステップS31で算出した露光面積B1を前回の露光終了時までに算出された露光積算面積Bに加算し、露光積算面積Bを算出し、算出した露光積算面積Bを不揮発メモリ121に記憶する(ステップS32)。
【0093】
図10に、トナー補給モータ駆動積算時間Cの算出処理のフローチャートを示す。
図10に示す処理は、所定時間(例えば、400[msec])毎に実行されるものである。
【0094】
制御部110は、現像装置32内のトナー濃度センサ32bから検出されたトナー濃度に基づいて、現像装置32内に補給すべきトナー量を算出する。そして、制御部110は、算出したトナー量を補給するためのトナー補給モータの駆動時間C1を算出する(ステップS41)。
【0095】
制御部110は、ステップS41で算出したトナー補給モータの駆動時間C1を前回までにトナー濃度センサの検出値に基づいて算出されたトナー補給モータ積算駆動時間Cに加算し、トナー補給モータ積算駆動時間Cを算出し、当該算出したトナー補給モータ積算駆動時間Cを不揮発メモリ121に記憶する(ステップS42)。
【0096】
図11に、従来の感光体ドラム表面の滑剤調整処理でのクリーニング不良検証結果を示し、図12に、本実施の形態の感光体ドラム表面の滑剤調整処理でのクリーニング不良検証結果を示す。従来の感光体ドラム表面の滑剤調整処理は、図7のステップS15がNOの場合には、図7の処理が終了するものであり、ステップS19以降の処理が実行されないものである。
【0097】
図11、図12には、A4サイズの高カバレッジ画像(区間カバレッジが30[%])
を1000プリント実行し、その後、A4サイズの低カバレッジ画像(区間カバレッジが1[%])を1000プリント実行する処理を繰り返した際の、感光体ドラム表面のクリーニング不良の発生状況の観察結果と、純水接触角度[°]の測定結果を示すものである。
【0098】
図11に示すように、従来の感光体ドラム表面の滑剤調整処理では、高カバレッジ画像のプリント実行時には、純水接触角度が98[°]以上となっている。そのため、高カバレッジ画像のプリントが繰り返されると、クリーニングブレードが凝着磨耗して損傷し、その後の低カバレッジのプリントが実行された際に、トナーを除去できずクリーニング不良が発生した。そして、以後のプリント実行時に、クリーニング不良が発生し続けるという問題が生じた。
【0099】
図12に示すように、本実施の形態の感光体ドラム表面の滑剤調整処理では、高カバレッジ画像のプリント実行時には、純水接触角度が98[°]未満となっている。そのため、高カバレッジ画像のプリントが繰り返されても、クリーニングブレードが凝着磨耗することなく、クリーニングブレードの損傷を防止できる。従って、クリーニング不良は発生しなかった。
【0100】
以上のように、本実施の形態によれば、トナー入替量に対応する区間カバレッジが、クリーニングブレード35aが凝着磨耗を発生する感光体ドラムの表面上の純水接触角度(本実施の形態では98[°])以上となるトナー入替量に対応する区間カバレッジ(本実施の形態では10[%])となる場合、感光体ドラムの非画像領域にトナー強制排出用パッチに基づくトナー像を形成させることができる。そのため、強制排出用パッチに基づくトナー像を構成するトナーをクリーニングブレードが剥ぎ取って削り落とす際、感光体ドラムの表面上に過剰に付着した滑剤が滑材と逆極性を有する当該トナーと共に除去され、滑剤が感光体ドラムの表面上に過剰に付着することにより生じるクリーニング不良の発生を防止することができる。
【0101】
更に、トナー入替量に対応する区間カバレッジに応じてトナー強制排出用パッチのパッチ幅を設定することで、トナー強制排出用パッチの大きさを設定することができるため、感光体ドラムの表面上の滑剤の付着状態に応じてトナー強制排出用パッチの大きさを設定でき、滑剤を除去するために形成されるトナー像のトナー量の無駄を防止しつつ、感光体ドラムの表面上の滑剤量の低減を図ることができる。
【0102】
また、トナー入替量を、感光体ドラムの予め設定された駆動時間(本実施の形態では、30[sec])と、当該駆動時間内に感光体ドラムに形成される画素数(露光積算面積B)又は現像装置に補給されたトナー量と、に基づいて算出することができる。
【0103】
以上の説明では、本発明に係るプログラムのコンピュータ読み取り可能な媒体として不揮発メモリ121を使用した例を開示したが、この例に限定されない。
その他のコンピュータ読み取り可能な媒体として、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリ、CD-ROM等の可搬型記録媒体を適用することが可能である。
また、本発明に係るプログラムのデータを通信回線を介して提供する媒体として、キャリアウエーブ(搬送波)も本発明に適用される。
【0104】
また、本発明は、上記実施の形態の内容に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0105】
1 画像形成装置
2 画像読取部
3 プリント部
4 操作表示部
5 プリンタコントローラ
6 外部装置
10 本体制御部
21 原稿自動送り部
22 読取部
22a イメージセンサ
22b スリットガラス
30 画像形成ユニット
31 露光装置
32 現像装置
32a トナー補給装置
32b トナー濃度センサ
33 感光体ドラム
34 帯電器
35 クリーニング部
35a クリーニングブレード
40 転写ユニット
41 転写ベルト
50 クリーニングユニット
51 ブレード
60 定着装置
61 定着ローラ
62 加圧ローラ
70 給紙ユニット
80 レジストローラ
90 紙端検知センサ
110 制御部
121 不揮発メモリ
122 RAM
130 画像メモリ
140 画像処理部
N ネットワーク
X 主走査方向
Y 副走査方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
潜像が形成される像担持体と、
滑剤が添加されたトナーが充填されており、当該トナーを前記像担持体に付着させて潜像を現像しトナー像を形成する現像装置と、
前記像担持体に付着したトナーを除去するブレードを有するクリーニング部と、
前記現像装置に充填されているトナーの入替量を算出し、当該算出したトナーの入替量が、前記ブレードが凝着磨耗を発生する前記像担持体面上の純水接触角度以上となるトナーの入替量となる場合、前記像担持体の非画像領域にトナー強制排出用のパッチ画像に基づくトナー像を形成させる制御部と、
を備えた画像形成装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記算出したトナーの入替量が前記ブレードが凝着磨耗を発生する前記像担持体面上の純水接触角度以上となるトナーの入替量となる場合、トナーの入替量に応じて前記トナー強制排出用のパッチ画像の大きさを設定する、
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記トナー強制排出用のパッチ画像は、有色画素から構成され、主走査方向に延在する帯状のパッチ画像である、
請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記トナー入替量を、前記像担持体の予め設定された駆動時間と、当該駆動時間内に前記像担持体に形成される画素数と、に基づいて算出する、
請求項1から3のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記制御部は、
前記トナー入替量を、前記像担持体の予め設定された駆動時間と、前記現像装置に補給されたトナー量と、に基づいて算出する、
請求項1から3のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
潜像が形成される像担持体と、滑剤が添加されたトナーが充填されており、当該トナーを前記像担持体に付着させて潜像を現像しトナー像を形成する現像装置と、前記像担持体に付着したトナーを除去するブレードを有するクリーニング部と、を備えた画像形成装置の画像形成方法において、
制御手段が、前記現像装置に充填されているトナーの入替量を算出する工程と、
前記制御手段が、前記算出したトナーの入替量が、前記ブレードが凝着磨耗を発生する前記像担持体面上の純水接触角度以上となるトナーの入替量となる場合、前記像担持体の非画像領域にトナー強制排出用のパッチ画像に基づくトナー像を形成させる工程と、
を含む画像形成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−59454(P2011−59454A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−209884(P2009−209884)
【出願日】平成21年9月11日(2009.9.11)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】