説明

画像形成装置

【課題】長尺サイズの画像形成媒体を貯留するための貯留手段を備えた画像形成装置において、画像形成媒体に効率良く画像形成が行えるようにする。
【解決手段】ペーパーP上に走査露光を行う露光エンジン7よりも下流側に、ペーパーPを一時的に収容するためのペーパー貯留機構50を設ける。このペーパー貯留機構50は、複数の筒状部材51,51,…と、それらを連結する連結部材52と、該連結部材52を回転させるモータ等とからなる。前記筒状部材51には、露光されたペーパーPがロール状に一旦、収納され、下流側の搬送ユニット12へ渡されるようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成媒体を搬送機構により搬送しつつ、画像形成面上に画像形成を行う画像形成部を備えた画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、写真の現像等に用いられる画像形成装置として、レーザー光によりペーパー(例えば印画紙等の画像形成媒体に相当)に画像露光を行う装置が知られている。このような装置の構成例を図12に示す。この装置は、現像済みネガフィルムに形成されたコマ画像の画像データや、種々の記憶メディアに格納されている画像データを読み取り、これらの画像データに基づいてペーパーの乳剤面に画像を焼付露光するように構成されている。
【0003】
前記図12において、ペーパーマガジン100には、ペーパーがロール状に巻き取られた状態で収容されている。該ペーパーマガジン100から引き出されたペーパーは、搬送経路に沿って搬送され、ペーパーカッター101により所定のプリントサイズに切断される。この切断されたペーパーPは、搬送ユニット102により、画像部103へ向かって搬送される。この画像形成部103は、露光用の搬送ローラ104によりペーパーPを挟持した状態で所定速度で搬送しつつ、レーザー光を主走査方向(搬送方向である副走査方向に直交する方向)に繰り出し走査することで、ペーパーPの表面に画像(潜像)を露光形成していくものである。露光用搬送ローラ104は、搬送方向に沿って2ユニットが配置されており、上流側の搬送ローラ104と下流側の搬送ローラ104との間にはレーザー光による走査位置が設定されている。画像が焼付露光されたペーパーPは、その後、画像形成部103の下流側に配置される別の搬送ユニット105,106に受け渡され、現像処理部に送り込まれる。
【0004】
ここで、上述のようにレーザー光によって走査露光を行う場合、画像露光中にペーパーPに対して大きな振動や負荷変動が生じると、露光ムラなどが生じるためプリント画像の画質に対して悪影響を及ぼす。従って、例えば特許文献1に開示されるように、画像形成部103の上流側若しくは下流側に、搬送路を長くしたいわゆる露光前バッファまたは露光後バッファを設けて、露光ムラの発生を抑えるような工夫がなされている。
【0005】
また、前記図12のように、画像形成部103の下流側にペーパーPを一時的に収容する露光後バッファとしての収容空間部107を設け、この収容空間部107内にペーパーPを送り込むようにしたものも知られている。このものでは、画像形成部103における画像露光が終了すると、収容空間部107内に収容されたペーパーPを搬送ユニット105,106によって搬送し、現像処理部へと搬送するようにしている。このような収容空間部107を設けることにより、ペーパーPに対して大きな負荷が作用しないようにして、安定した負荷状態で画像露光が行われるようにしている。
【特許文献1】特開平10−325983号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、前記図12のような画像形成装置では、読み取った画像データに基づいて走査露光するため、従来よりも長尺サイズのプリントを行うことが可能になるが、そのような長尺プリントを行う場合でもそのプリントサイズに応じた露光前バッファ若しくは露光後バッファを設ける必要があるため、その分、搬送路が長くなったり収容空間部107が大きくなったりして、画像形成装置全体の大型化を招くという問題がある。
【0007】
これに対し、例えば、長尺ペーパーをロール状に巻き取って一時的に貯留することが考えられるが、このようにペーパーを巻き取って貯留する構造のものでは、ペーパーが次工程に進むまで次のペーパーの処理を行うことができないため、その貯留部分で処理が滞ってしまい、装置全体の処理能力を低下させることになる。
【0008】
本発明は斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、長尺サイズの画像形成媒体を貯留する貯留手段を備えた画像形成装置において、画像形成媒体に効率良く画像形成が行えるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するために、第1の発明に係る画像形成装置では、下流側搬送機構の搬送路上に、画像形成媒体を貯留可能な複数の貯留部を備えた貯留手段を設けるようにした。
【0010】
具体的には、請求項1の発明では、画像形成媒体を搬送しながら画像形成部にて走査露光し、その後、現像処理部に搬送するようにした画像形成装置を対象とする。そして、前記画像形成部から下流側の前記現像処理部まで画像形成媒体を搬送する下流側搬送機構を備え、前記下流側搬送機構の搬送路上には、前記画像形成媒体を一時的に貯留するための複数の貯留部を備えた貯留手段が設けられているものとする。
【0011】
以上の構成により、長尺の画像形成媒体を下流側搬送機構の搬送路上に設けられた貯留手段により貯留できるようになるため、装置全体を大型化することなく、長尺サイズの画像形成媒体の露光ムラ発生を十分に防止できるような露光後バッファを確保することができる。
【0012】
そして、前記貯留手段は、複数の貯留部を備えているため、該複数の貯留部によって複数の画像形成媒体をそれぞれ貯留することができるようになる。すなわち、画像形成媒体が貯留手段内に一旦貯留されて次工程に移るのを待つことなく、次の画像形成媒体を貯留させることができるようになるため、貯留手段での待ち時間によるロスを最小限にすることができ、装置全体の処理の効率化を図れる。
【0013】
上述の構成において、下流側搬送機構における搬送路の長さが、画像形成媒体の最大処理可能長さ以下であるのが好ましい(請求項2の発明)。ここで、前記最大処理可能長さとは、その装置で処理することのできる画像形成媒体の最大搬送方向長さを意味する。このように、下流側の搬送路長さが装置における画像形成媒体の最大処理可能長さと同じかそれよりも短い場合には、露光ムラの発生防止の観点から下流側搬送路にバッファを設ける必要があるが、請求項1のような構成にすることで、処理能力を低下させることなく露光ムラの発生を確実に防止できるようなバッファを確保することができる。
【0014】
ここで、例えば、画像形成媒体がロール状に巻き取られて貯留される場合、後端側から引き出されて現像処理部へ搬送されることになるため、巻取り後に続けて現像処理部へ搬送すると、最後に画像形成された後端側では十分に潜像進行の行われないまま現像されることになり、プリント品質の悪化を招くことになる。
【0015】
そのため、貯留手段は、画像形成媒体をロール状に巻き取るように構成されているとともに、画像形成部による画像形成後から画像形成媒体が現像処理部に到達するまでの間に少なくとも潜像進行時間が経過するように、該画像形成媒体を貯留部内に貯留するのが好ましい(請求項3の発明)。このように、画像形成媒体に画像形成してから少なくとも潜像進行が終了するまでの間、現像処理が行われないようにすることで、上述のように最後に画像形成の行われた後端側から現像処理が行われてもプリント品質の悪化を招くことはない。
【0016】
第2の発明に係る画像形成装置では、画像形成媒体をシート状に切断する切断部から画像形成部までの上流側搬送機構の搬送路上に、画像形成媒体を貯留可能な複数の貯留部を備えた貯留手段を設けるようにした。
【0017】
具体的には、請求項4の発明では、画像形成媒体を搬送しながら切断部にて所定の大きさのシート状に切断し、画像形成部にて走査露光するようにした画像形成装置を対象とする。そして、前記切断部から画像形成部まで画像形成媒体を搬送する上流側搬送機構を備え、前記上流側搬送機構の搬送路上には、前記画像形成媒体を一時的に貯留するための複数の貯留部を備えた貯留手段が設けられているものとする。
【0018】
以上の構成により、長尺の画像形成媒体を上流側搬送機構の搬送路上に設けられた貯留手段により貯留できるようになるため、装置全体を大型化することなく、長尺サイズの画像形成媒体の露光ムラ発生を十分に防止できるような露光前バッファを確保することができる。これにより、切断部によって画像形成媒体を所定の長さに切断する際の振動等が露光部位に伝達されるのを防止することができ、振動や負荷変動による露光ムラの発生を確実に防止することができる。
【0019】
しかも、前記貯留手段は、複数の貯留部を備えているため、該複数の貯留部によって複数の画像形成媒体をそれぞれ貯留することができるようになる。すなわち、画像形成媒体が貯留手段内に一旦貯留されて次工程に移るのを待つことなく、次の画像形成媒体を貯留させることができるようになるため、貯留手段での待ち時間によるロスを最小限にすることができ、装置全体の処理の効率化を図れる。
【0020】
上述の構成において、上流側搬送機構における搬送路の長さが、画像形成媒体の最大処理可能長さ以下であるのが好ましい(請求項5の発明)。ここで、前記最大処理可能長さとは、その装置で処理することのできる画像形成媒体の最大搬送方向長さを意味する。このように、上流側の搬送路長さが装置における画像形成媒体の最大処理可能長さと同じかそれよりも短い場合には、露光ムラの発生防止の観点から上流側搬送路にバッファを設ける必要があるが、上述の請求項4のような構成にすることで、処理能力を低下させることなく露光ムラの発生を確実に防止できるようなバッファを確保することができる。
【0021】
さらに、以上の構成において、前記貯留手段は、複数の貯留部のうち一つの貯留部が画像形成媒体の送り込まれる第1位置に、他の一つの貯留部が該画像形成媒体を搬送下流側に送り出す第2位置に、それぞれ同時に位置付けられるように、前記複数の貯留部を移動させる移動手段を備えているものとする(請求項6の発明)。こうすれば、第1位置で一つの貯留部に画像形成媒体を貯留する一方で、第2位置で画像形成媒体の貯留されている他の貯留部のうちの一つから該画像形成媒体を搬送下流側に送り出すことができるため、貯留部への貯留及び下流側への送り出しを待つことなく、複数の画像形成媒体をスムーズに下流側に搬送することができ、装置全体の処理速度を向上することができる。
【発明の効果】
【0022】
以上より、本発明に係る画像形成装置によれば、上流側搬送機構若しくは下流側搬送機構の搬送路上に、画像形成媒体を貯留するための複数の貯留部を備えた貯留手段を設けるようにしたため、該貯留手段での貯留及び次工程への送り出しを待つことなく、複数の画像形成媒体に対して続けて処理を行うことができ、装置全体での処理の効率化を図れる。特に、上流側搬送機構や下流側搬送機構の搬送路長さが画像形成媒体の最大処理可能長さ以下である場合には、バッファを設ける必要があるが、上述のような構成にすれば、装置全体の処理能力の低下を防止しつつバッファを確保できる。
【0023】
そして、前記貯留手段を画像形成部よりも搬送下流側に設けた場合には、画像形成部での処理が滞って装置の処理能力が低下するのを確実に防止することができる一方、前記貯留手段を画像形成部よりも搬送上流側に設けた場合には、画像形成媒体を切断部によって切断する際の振動が露光部分に伝達するのを防止することができ、露光ムラの発生を確実に防止することができる。
【0024】
さらに、前記貯留手段は、画像形成媒体をロール状に巻き取って、画像形成終了時から少なくとも潜像進行終了時間が経過するまで画像形成媒体が現像処理部に入らないように該画像形成媒体を貯留しておくため、潜像進行時間不足によるプリント品質の悪化を確実に防止することができる。
【0025】
さらにまた、前記複数の貯留手段は、一つの貯留部が画像形成媒体を貯留する第1位置に、他の一つの貯留部が画像形成媒体を搬送下流側に送り出す第2位置に、同時に位置付けられるようになっているため、画像形成媒体の貯留や送り出しを効率良く行うことができ、スムーズに下流側に搬送することができる。したがって、装置の処理速度を向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0027】
−実施形態1−
<写真処理システムの全体構成>
図1は、本発明に係る画像形成装置Aを備えた写真処理システムの構成を示す部分断面図である。この図1に示す写真処理システムは、画像データを取得し、この画像データに基づいてペーパー(画像形成媒体に相当)の乳剤面(画像形成面に相当)に画像を焼付露光し、写真プリントを作成する機能を備えている。この写真処理システムは、現像済みの写真フィルムに形成されているコマ画像をスキャニングし、画像データを取得するためのフィルムスキャナー(図示省略)や、デジタルカメラ用の記憶メディアや、その他の記録媒体に格納されている画像データを読み取るためのメディア読取部(図示省略)を備えている。
【0028】
前記図1に示すペーパーマガジン3,3には、それぞれ、長尺のペーパーがロール状に巻かれたロールRとして収容されており、該ペーパーマガジン3,3は、画像形成装置A本体に着脱可能に取り付けられている。そして、該画像形成装置A本体に取り付けられた2台のペーパーマガジン3,3のうち、一方のペーパーマガジン3がプリントサイズ等に応じて選択され、該選択された方のペーパーマガジン3から引き出されたペーパーPが、所定の搬送経路に沿って搬送されるようになっている。すなわち、ペーパーマガジン3から引き出されたペーパーは、アドバンスローラユニット4により方向変換され、搬送ユニット6(上流側搬送機構)により前端側を挟持された状態で搬送されて、ペーパーカッター5により所定のプリントサイズに切断される。そして、切断されたペーパーPは、前記搬送ユニット6によって下流側に位置する露光エンジン7(画像形成部に相当)へと搬送される。
【0029】
ここで、前記所定のプリントサイズは、この写真処理システムにおいて処理可能な搬送方向長さ(最大処理可能長さ)よりも小さくなるように設定される。なお、この最大処理可能長さは、前記ペーパーカッター5から露光エンジン7による露光位置までの露光前搬送長さ(上流側搬送機構の搬送路長さ)や該露光位置から現像処理部までの露光後搬送長さ(下流側搬送機構の搬送路長さ)以上の長さであってもよく、このような場合には、露光前や露光後の位置に、後述するようなペーパー貯留機構(貯留手段)を設けて、ペーパーの露光部分に搬送時やペーパーカット時の振動が伝達されないようにすればよい(本実施形態では、最大処理可能長さは露光後搬送長さよりも長いが、露光前搬送長さよりも短いものとする)。
【0030】
前記露光エンジン7には、上流側露光搬送ローラ9a(上流側搬送機構)及び下流側露光搬送ローラ9b(下流側搬送機構)が設けられている。これらの露光搬送ローラ9a,9bの間には、ペーパーPをレーザー光によって露光処理するための露光位置が設定されている。露光搬送ローラ9の上流側には、ペーパー検出センサー10が設けられており、ペーパーPが送り込まれてくると、その先端(前端)部分を検出して信号を出力するようになっている。このペーパー検出センサー10は、赤外光を出力する発光素子と、これを受光する受光素子とにより構成される。このペーパー検出センサー10によってペーパーPの位置を検出することで、前記露光位置における露光開始タイミングを決めることができる。
【0031】
前記露光エンジン7は、公知の構造からなるもので、レーザー光源(レーザーダイオード等)から出力されるレーザー光を画像データに基づいて光変調し、この光変調されたレーザー光をペーパーPに照射することで、画像露光を行う。画像露光を行う際には、ペーパーPは、露光搬送ローラ9a,9bにより挟持された状態で、所定速度(一定速度)で搬送される。前記レーザー光は、ペーパーPの搬送方向(副走査方向)と直交する主走査方向に走査されるため、ペーパーP上には1ラインごとに画像(潜像)が焼付露光される。
【0032】
そして、上述のような画像露光が行われながら、ペーパーPは、下流側の露光搬送ローラ9bによって露光位置よりも下流側へ送り出されていく。前記露光エンジン7の下流側には、ペーパー貯留機構50が設けられている。詳しくは後述するが、このペーパー貯留機構50は、複数の筒状部材51,51,…(貯留部)を備えていて、下流側の露光搬送ローラ9bにより受け渡されたペーパーPを該筒状部材51,51,…内に一時的に貯留できるようになっているとともに、該ペーパーPを搬送ユニット12に受け渡す機能も有している。なお、前記搬送ユニット12は、搬送経路に沿うように配置された複数の挟持搬送ローラ対12aと、搬送経路を形成するためのガイド板12bとを備えており、該挟持搬送ローラ対12aは図示しない駆動機構によって駆動されるようになっている。
【0033】
このように、露光後のペーパーPを一時的に貯留することで、該ペーパーPにおける潜像進行時間を稼ぐことができるとともに、長尺ペーパーの場合には、露光中のペーパーの前端側が現像処理部に入って該現像処理部での処理によって発生する振動等が該ペーパーの露光部分に伝達するのを確実に防止することができる。これにより、露光ムラの発生などを防止して、プリントの品質低下を確実に防止することができる。
【0034】
<ペーパー貯留機構の構成>
次に、図1におけるペーパー貯留機構50の構成を図2に基づいて説明する。このペーパー貯留機構50は、搬送されてくる複数のペーパーP,P,…を順次、貯留するように構成されたもので、ペーパーPの幅方向(主走査方向)に筒軸が延びるように配置される複数(図2の例では4つ)の円筒状の筒状部材51,51,…と、それらを互いに連結固定する側面視で略十字状の連結部材52と、該連結部材52を所定の方向(図の例では反時計回り)に回転させるモータなどの図示しない駆動装置と、を備えている。
【0035】
前記各筒状部材51は、例えば金属材料や樹脂材料からなる円筒状の部材において、その外周部分に筒軸方向に亘って開口する開口部51aが形成されたもので、その外周面上には、ペーパーPを開口部51aへスムーズに導入できるように筒軸方向に亘って接線方向に膨出する導入部51bが形成されている。
【0036】
前記導入部51bは、対向配置された2枚の板部材によって構成されていて、それぞれの板部材には、該導入部51bの内方に突出する挟持搬送ローラ対54が設けられている。この挟持搬送ローラ対54は、筒状部材51内にペーパーPを導き入れる際や該筒状部材51からペーパーPを次工程へ送り出す際に該ペーパーPを挟持して搬送するとともに、後述するように前記筒状部材51,51,…が回転移動している間は、ペーパーPが移動しないように該ペーパーPの後端側を挟持するように構成されている。
【0037】
そして、前記筒状部材51,51,…は、それぞれの筒軸が略平行になるように略菱形状に並べられた状態で前記連結部材52によって連結されており、該連結部材52の回転に伴って上側に位置する筒状部材51の導入部51bは、上方に向かって開口し、且つ露光搬送ローラ9bの下流側に設けられたガイド53の出口下方に位置付けられるようになっている。一方、前記連結部材52の回転に伴って筒状部材51が搬送下流側(図の例では左側)に位置する場合には、前記導入部51bは、搬送ユニット12の挟持搬送ローラ対12aと同じ高さ位置になるように設定されている。なお、前記導入部51bの先端側には、ガイド53からのペーパーPの受け入れが容易になるように拡大部51cが設けられている。
【0038】
ここで、前記ガイド53は、ペーパーPの搬送方向を下向きに変更するように側方から見て略円弧状に形成された2枚の板状部材からなり、該2枚の板状部材は、搬送方向上流側から下流側に向かうにつれて両者の隙間が徐々に拡がるように配設されている。
【0039】
これにより、前記露光搬送ローラ9bによって搬送下流側に送られるペーパーPは、前記ガイド53を介して筒状部材51,51,…のうちの一つの導入部51bから該筒状部材51の内部に送り込まれることになる。そして、筒状部材51内に送り込まれたペーパーPは、例えば図5に示すように、該筒状部材51の内壁に沿うように丸められる。
【0040】
前記連結部材52は、例えば金属材料や樹脂材料からなる側面視で十字状の部材であり、その中心部分には、図示しないモータに連結される回転軸52aが設けられている。これにより、モータが回転駆動すると、回転軸とともに連結部材52が回転して、該連結部材52に連結固定された筒状部材51,51,…も一緒に回転することになる。なお、前記連結部材52は、側面視で略十字状のものに限らず、複数の筒状部材51,51,…を連結し、回転させるものであればどのような形状のものであってもよく、例えば円板状の部材であってもよい。
【0041】
なお、前記筒状部材51,51,…の数及び配置、連結部材52の回転速度等は、潜像進行時間と処理速度との関係により決められる。すなわち、ペーパーPの後端に画像形成された後、必要な潜像進行時間(例えば3分程度)が経過するまでは、下流側の現像処理部に搬送されないように、且つ装置の処理速度を大きく損なわないように、筒状部材51,51、…の数や配置、回転速度が決められる。
【0042】
上述の構成により、露光後のペーパーPを筒状部材51内に貯留することができるため、該ペーパーPが長尺サイズであっても、露光中に前端側が現像処理部に送られて現像処理による振動が露光部分に伝達されるのを確実に防止することができる。そして、上述のように筒状部材51,51,…を複数設けて、それらを連結部材52によって連結し、回転させることで、複数のペーパーPが送り込まれてきた場合でも、ペーパーPが筒状部材51内に収納されて更に下流側に送り出されるのを待つことなく、順次、筒状部材51内に貯留させることができるようになるため、処理速度を向上することができる。
【0043】
また、露光処理されたペーパーPは、露光終了から潜像進行時間が経過するまで現像処理部へ搬送されないように、所定期間、前記筒状部材51内に貯留されることになるので、後述するように、ペーパーPの後端側から現像処理が行われる場合でも、プリントの品質が低下するのを確実に防止することができる。
【0044】
<制御ブロック図>
次に、画像形成装置Aの制御ブロック構成を図3に基づいて説明する。この図3において、ペーパー先端検出手段30は、ペーパー検出センサー10からの出力信号によってペーパーPの先端(前端)を検出して、ペーパーPが到来したことを検出するものである。また、このペーパーPの先端が検出されるタイミングに応じて、後述するペーパー位置検出部33で、現在、ペーパーPが下流側のどの位置にあるかを認識することも可能になる。ローラ駆動手段31は、露光搬送ローラ9を駆動するための駆動機構や駆動回路等により構成される。さらに、搬送量検出手段32は、露光搬送ローラ9の回転量を検出することで、ペーパーPの搬送量を検出するように構成されている。すなわち、露光搬送ローラ9は、一定速度で回転するように制御されているため、エンコーダ等により搬送量をモニターすることができるようになっている。
【0045】
ペーパー位置検出部33は、前記ペーパー先端検出手段30により検出されたペーパーPの先端位置と、前記搬送量検出手段32により検出されたペーパーPの搬送量とに基づいて、ペーパーPの種々の位置を演算して求める機能を有する。具体的には、前記ペーパー位置検出部33は、露光開始タイミング検出手段33a、ペーパー後端脱出検出手段33b及びペーパー後端到達検出手段33cを備えている。
【0046】
前記露光開始タイミング検出手段33aは、ペーパー先端検出手段30によって検出されたペーパーPの先端位置に基づいてレーザー光による露光開始タイミングを検出するように構成されている。すなわち、ペーパー検出センサー10の位置及びレーザー光による露光位置は、設計的に定まっているため、ペーパーPの先端位置が分かれば前記露光開始タイミング検出手段33aによって露光位置における露光開始タイミングを演算することができる。前記ペーパー後端脱出検出手段33bは、ペーパーPの後端が露光位置から脱出したことを検出するためのものである。前記ペーパー後端到達検出手段33cは、ペーパーPの後端が筒状部材51の拡大部51c付近に到達したことを検出するためのものである。
【0047】
露光制御部34は、露光開始タイミング検出手段33aによる露光タイミングの演算結果に基づいてレーザー光による画像露光を開始するように構成されている。これにより、ペーパーPの乳剤面に画像データにより光変調されたレーザー光を走査して、潜像を形成することができる。
【0048】
搬送ローラ駆動部35は、ペーパー貯留機構50を駆動するための機構を有する。具体的には、前記搬送ローラ駆動部35は、各筒状部材51に設けられた挟持搬送ローラ対54を圧着状態と非圧着状態とに切り替えるための圧着駆動手段35aと、前記挟持搬送ローラ対54を回転駆動させるローラ駆動手段35bと、を備えている。ここで、前記圧着駆動手段35aは、露光エンジン7により画像露光が行われているときは、搬送ローラ対11aを非圧着状態とし、ペーパーPに負荷が作用しないようにする。
【0049】
搬送ユニット駆動部36は、搬送ユニット12を駆動するための機構を有するもので、挟持搬送ローラ対12aを回転駆動させるローラ駆動手段36aを備えている。
【0050】
搬送ローラ駆動制御手段37は、前記搬送ローラ駆動部35及び搬送ユニット駆動部36に対して駆動制御を行うように構成されている。例えば、ペーパー後端脱出検出手段33bによってペーパーPの後端が露光位置から脱出したことが検出された場合には、搬送ローラ駆動部35の圧着駆動手段35aを作動させて挟持搬送ローラ対54を圧着状態に切り替える一方、前記ペーパー位置検出部33によってペーパーPの搬送方向前端側が搬送ユニット12の挟持搬送ローラ対12aと同じ高さ位置に到達したことが検出された場合には、搬送ユニット駆動部36のローラ駆動手段36aを作動させて該挟持搬送ローラ対12aを回転駆動させる。
【0051】
回転駆動手段38(移動手段)は、複数の筒状部材51,51,…を連結する連結部材52を所定量、回転させるように構成されたもので、連結部材52の回転軸を回転させるための駆動機構や制御手段としての駆動回路等によって構成される。例えば、前記ペーパー後端到達検出手段33cによってペーパーPの後端が筒状部材51の拡大部51cに到達したことが検出された場合には、前記連結部材52を所定量、回転させて、ペーパーPの収容されている筒状部材51を下流側の搬送ユニット12へ受け渡すことができるような位置に位置づける。
【0052】
プリントサイズ設定手段40には、画像露光されるペーパーPのプリントサイズのデータが設定記憶される。そして、このプリントサイズ設定手段40に記憶されているプリントサイズデータに基づいてペーパー貯留機構50に対する制御が行われるようになっている。例えば、該プリントサイズ設定手段40に記憶・設定されているプリントサイズのデータなどに基づいて、挟持搬送ローラ対54の回転及び停止制御を行う。
【0053】
ここで、図3に示す制御ブロックは、コンピュータソフトウェアやハードウェアの機能により構築することができる。どの機能をソフトウェアで実現し、どの機能をハードウェアにより実現するかについては、ペーパー処理の能力等に応じて適宜決めることができる。
【0054】
<ペーパー貯留機構の動作>
次に、ペーパーPに対して画像露光を行ってから現像処理部へ送り出すまでの動作について、図4のフローチャート及び図5〜図8により説明する。
【0055】
まず、所定のプリントサイズに切断されたペーパーPの先端がペーパー検出センサー10及びペーパー先端検出手段30により検出される(ステップS1)。ペーパーPの先端が検出されてから所定タイミングが経過して、露光開始タイミング検出手段33aによって露光開始のタイミングであることが検出された後、露光制御部34によってペーパーPの乳剤面に対するレーザー光の走査露光が開始され、画像が形成されていく(ステップS2)。
【0056】
このようにレーザー光による走査露光が行われながら、ペーパーPは露光搬送ローラ9により下流側に向かって搬送されて、ペーパーPの先端は、略円弧状のガイド53内やペーパー貯留機構50の筒状部材51の導入部51b内を通過する。このとき、前記導入部51bの挟持搬送ローラ対54は圧着が解除された状態であるため、ペーパーPに大きな負荷が作用することなく、該ペーパーPは導入部51bの位置を通過することができる。
【0057】
そして、前記ペーパー貯留機構50の筒状部材51は、図5に示すように予めガイド53の出口の下方(第1位置)に位置付けられているため、上述のように該筒状部材51の導入部51bを通過したペーパーPは、そのまま筒状部材51内に向かって搬送されることになる。これにより、ペーパーPは、前記図5に示すように筒状部材51の内壁に沿って丸められた状態で収納される。
【0058】
続くステップS3では、ペーパーPの後端が露光位置から脱出したかどうかの判定を行う。具体的には、ペーパー検出センサー10による検出結果とペーパーPの搬送量とに基づいてペーパー位置検出部33によりペーパーPの位置を演算し、この演算結果からペーパー後端脱出検出手段33bによってペーパーPの後端が露光位置から脱出したか否かを判断する。
【0059】
なお、本実施形態では、露光位置前に設けられた前記ペーパー検出センサー10によってペーパーPの先端を検出して、この検出結果と該パーパーPの搬送量とに基づいて該ぺーパーPの後端位置を演算することで、ペーパーPが露光位置から脱出したことを判定するようにしているが、この限りではなく、該露光搬送ローラ9b付近にセンサー等を設けて、ペーパーPの後端脱出を直接検出できるようにしてもよい。
【0060】
前記ステップS3でペーパー後端脱出検出手段33bによりペーパーPの後端が露光位置から脱出したことが検出された場合(YESの場合)には、筒状部材51の導入部51bに設けられた挟持搬送ローラ対54を非圧着状態から圧着状態に切り換える(ステップS4)。そして、該挟持搬送ローラ対54は、ペーパーPをさらに筒状部材51内に送り込むように回転駆動する(ステップS5)。一方、前記ステップS3でペーパーPの後端が露光位置から脱出していないと判定された場合(NOの場合)には、脱出したと判定されるまでこのステップS3での判定を繰り返す。
【0061】
そして、ステップS6では、ペーパー後端到達検出手段33cによってペーパーPの後端が図6に示すように筒状部材51の拡大部51c付近に到達したか否かの判定を行う。ペーパーPの後端が到達したと判定された場合(YESの場合)には、前記挟持搬送ローラ対54の回転駆動を停止する(ステップS7)。一方、ペーパーPの後端がまだ筒状部材51の拡大部51cに到達していないと判定された場合(NOの場合)には、到達したと判定されるまで前記挟持搬送ローラ対54を回転駆動させてこのステップS6での判定を繰り返す。
【0062】
なお、前記ステップS6では、ペーパー後端到達検出手段33cによってペーパーの位置を推定するようにしているが、この限りではなく、上述のステップS3でのペーパー後端脱出の判定と同様、前記筒状部材51の拡大部51c近傍にセンサー等を設けて、ペーパーPの後端が該拡大部51c付近に到達したことを直接検出するようにしてもよい。
【0063】
前記ステップS7で挟持搬送ローラ対54の回転駆動を停止した後に進むステップS8では、図7に示すように、連結部材52によって連結された筒状部材51,51,…を回転駆動手段38により所定の方向に所定量、回転(図の例では反時計回りに90度回転)させて、ペーパーPの収容された筒状部材51の導入部51bを搬送ユニット12へのペーパー受け渡し位置(第2位置)まで移動させる。
【0064】
続くステップS9では、前記ペーパーPの収容された筒状部材51の導入部51bが、搬送ユニット12へペーパーPを受け渡すことのできる所定位置まで到達したかどうかを判定する。具体的には、回転駆動手段38が所定の回転量、連結部材52を回転させたかどうかで判定する。ここで、当該所定位置とは、筒状部材51の導入部51bの搬送面と搬送ユニット12の搬送面との高さ位置がほぼ同じで一列に並んだ状態を意味する。
【0065】
前記ステップS9において、前記所定位置まで筒状部材51が回転移動して到達したと判定された場合(YESの場合)には、該筒状部材51の挟持搬送ローラ対54を回転駆動(ステップS10)させ、図8に示すように、ペーパーPを搬送ユニット12へ受け渡して(ステップS11)、このフローを終了する(エンド)。なお、このように、前記筒状部材51が所定位置まで到達したと判定された場合には、前記図8に示すように、ガイド53の出口下方に位置する筒状部材51内へ、露光処理された次のペーパーPが搬送されるようになっている。
【0066】
以上のような動作により、ペーパーPは搬送ユニット12の上側に搬送され、図示しない現像処理部に送り込まれて現像処理が施される。すなわち、ペーパーPは、ペーパー貯留機構50の筒状部材51内に収納される前と、搬送ユニット12によって搬送されるときとでは、搬送方向における先端側と後端側とが入れ替わった状態で搬送されることになる。
【0067】
上述のような搬送ユニット12へのペーパーPの受け渡しが完了すると、当該筒状部材51の導入部51bに設けられた挟持搬送ローラ対54が圧着状態から非圧着状態に切り換えられる一方、次のペーパーPの収納された隣りの筒状部材51が回転して搬送ユニット12へのペーパー受け渡し位置まで移動し、上述のフローによる動作を繰り返す。
【0068】
以上より、本実施形態によれば、露光位置よりも搬送路下流側に、ペーパーPを貯留することのできる複数の筒状部材51,51,…を備えたペーパー貯留機構50を設けたので、装置全体を大型化することなく、露光後のペーパーPのためのバッファを確保することできる。しかも、前記筒状部材51,51,…を複数、設けることで、複数のペーパーPを同時に露光後に貯留することができるため、ペーパーPの筒状部材51への貯留及び次工程への送り出しを待つことなく、次のペーパーPの露光処理を行うことができ、装置全体の処理速度を向上することができる。
【0069】
また、ペーパーPは、該ペーパーPの露光処理から潜像進行が終了するまで現像処理部にペーパーPが搬送されないように所定期間、前記ペーパー貯留機構50の筒状部材51,51,…内に貯留されることになるため、本実施形態のように最後に露光処理されたペーパーPの後端側から現像処理が行われる場合でも、十分な潜像進行時間を確保することができ、プリント品質の悪化を確実に防止することができる。
【0070】
−実施形態2−
図9に実施形態2に係る画像形成装置A’を備えた写真処理システムの構成を示す。この実施形態2では、露光エンジン7の上流側にペーパー貯留機構60を設けた点が実施形態1と異なるだけなので、同じ部分には同じ符号を付して説明を省略し、以下で異なる部分についてのみ説明する。なお、この実施形態では、ペーパーの最大処理可能長さが、露光前搬送長さ及び露光後搬送長さよりも長いものとする。
【0071】
すなわち、ペーパーカッター5(切断部)によって所定のサイズに切断されるペーパーPを下流側に搬送するための搬送ユニット6と、露光エンジン7との間には、ペーパー貯留機構60が設けられている。このペーパー貯留機構60は、円筒状の複数の筒状部材61,61,…と、これらの筒状部材61,61,…を連結する略十字状の連結部材62と、該連結部材62を所定の方向(図の例では反時計回り)に回転させるモータなどの図示しない駆動装置と、を備えており、それらの構成は前記実施形態1のペーパー貯留機構50と同様の構成であるため、詳しい構成については説明を省略する。
【0072】
前記ペーパー貯留機構60と搬送ユニット6との間には、該ペーパー貯留機構60へペーパーPを受け渡し可能なように円弧状のガイド63が配設されている。すなわち、前記ガイド63は、搬送ユニット6によってペーパーPの搬入される位置に入り口が位置付けられるとともに、出口側は下方に向かって開口するように配設されていて、該ガイド63の出口の下方には、前記ペーパー貯留機構60の筒状部材61の拡大部61cが位置づけられるようになっている。
【0073】
前記搬送ユニット6の上流側には、ペーパー検出センサー14が設けられており、ペーパーPが送り込まれてくると、その先端部分を検出して信号を出力するようになっている。このペーパー検出センサー14は、ペーパー検出センサ10と同様、赤外光を出力する発光素子と、これを受光する受光素子とにより構成される。このペーパー検出センサー14によってペーパーPの位置を検出することで、搬送ユニット6及びペーパー貯留機構60の駆動制御が行われるようになっている。
【0074】
また、前記ペーパー貯留機構60の搬送下流側には、該ペーパー貯留機構60からペーパーPを露光位置まで搬送するための搬送ユニット13が設けられている。この搬送ユニット13は、搬送経路に沿うように配置された複数の挟持搬送ローラ対13aと、搬送経路を形成するためのガイド板13bとを備えており、該挟持搬送ローラ対13aは図示しない駆動機構によって駆動されるようになっている。
【0075】
ここで、前記連結部材52の回転に伴って筒状部材61が搬送下流側(図の例では左側)に位置する場合には、該筒状部材61の導入部61bが、搬送ユニット13の挟持搬送ローラ対13aと同じ高さ位置になるように設定されている。
【0076】
次に、画像形成装置A’の露光位置よりも上流側部分に対応する制御ブロック構成を図10に基づいて説明する。この図10において、ペーパー先端検出手段70は、ペーパー検出センサー14からの出力信号によってペーパーPの先端を検出して、ペーパーPが到来したことを検出するものである。また、このペーパーPの先端が検出されるタイミングに応じて、後述するペーパー位置検出部73で、現在、ペーパーPがどの位置にあるかを認識することも可能になる。ユニット駆動手段71は、搬送ユニット6を駆動するための駆動機構や駆動回路等により構成される。さらに、搬送量検出手段72は、搬送ユニット6の移動量を検出するように構成されている。
【0077】
ペーパー位置検出部73は、前記ペーパー先端検出手段70により検出されたペーパーPの先端位置と、前記搬送量検出手段72により検出されたペーパーPの搬送量とに基づいて、ペーパーPの種々の位置を演算して求める機能を有する。具体的には、前記ペーパー位置検出部73は、ペーパー先端到達検出手段73a及びペーパー後端到達検出手段73bを備えている。
【0078】
前記ペーパー先端到達検出手段73aは、ペーパーPの先端が筒状部材61の導入部61bに到達したことを検出するためのものである。前記ペーパー後端到達検出手段73bは、ペーパーPの後端が筒状部材61の拡大部61c付近に到達したことを検出するためのものである。
【0079】
搬送ローラ駆動部75は、上述の実施形態1と同様、ペーパー貯留機構60を駆動するための機構を有する。具体的には、前記搬送ローラ駆動部75は、各筒状部材61に設けられた挟持搬送ローラ対64を圧着状態と非圧着状態とに切り替えるための圧着駆動手段75aと、前記挟持搬送ローラ対64を回転駆動させるローラ駆動手段75bと、を備えている。
【0080】
搬送ユニット駆動部76は、搬送ユニット13を駆動するための機構を有するもので、挟持搬送ローラ対13aを回転駆動させるローラ駆動手段76aを備えている。
【0081】
搬送ローラ駆動制御手段77は、前記搬送ローラ駆動部75及び搬送ユニット駆動部76に対して駆動制御を行うように構成されている。例えば、ペーパー先端到達検出手段73aによってペーパーPの先端が筒状部材61の導入部61bに到達したことが検出された場合には、搬送ローラ駆動部75の圧着駆動手段75aを作動させて挟持搬送ローラ対64を圧着状態に切り替える一方、前記ペーパー位置検出部73によってペーパーPの搬送方向前端側が搬送ユニット13の挟持搬送ローラ対13aと同じ高さ位置に到達したことが検出された場合には、搬送ユニット駆動部76のローラ駆動手段76aを作動させて該挟持搬送ローラ対13aを回転駆動させる。
【0082】
回転駆動手段78(移動手段)は、複数の筒状部材61,61,…を連結する連結部材62を所定量、回転させるように構成されたもので、連結部材62の回転軸を回転させるための駆動機構や制御手段としての駆動回路等によって構成される。例えば、前記ペーパー後端到達検出手段73bによってペーパーPの後端が筒状部材61の拡大部61cに到達したことが検出された場合には、前記連結部材62を所定量、回転させて、ペーパーPの収容されている筒状部材61を下流側の搬送ユニット13へ受け渡すことができるような位置に位置づける。
【0083】
プリントサイズ設定手段40は、前記実施形態1と同じ構成のもので、画像露光されるペーパーPのプリントサイズのデータが設定記憶される。そして、このプリントサイズ設定手段40に記憶されているプリントサイズデータに基づいてペーパー貯留機構60に対する制御が行われるようになっている。例えば、該プリントサイズ設定手段40に記憶・設定されているプリントサイズのデータなどに基づいて、挟持搬送ローラ対64の回転及び停止制御を行う。
【0084】
ここで、図10に示す制御ブロックは、コンピュータソフトウェアやハードウェアの機能により構築することができる。どの機能をソフトウェアで実現し、どの機能をハードウェアにより実現するかについては、ペーパー処理の能力等に応じて適宜決めることができる。
【0085】
次に、ペーパーPを所定のサイズに切断してから露光位置に搬送するまでの動作について、図11のフローチャートにより説明する。なお、ペーパーPがペーパー貯留機構60の各筒状部材61,61,…に貯留される様子は、前記実施形態1の図5〜図8とほぼ同じである。
【0086】
まず、ペーパーマガジン3から引き出されたペーパーの先端がペーパー検出センサー14及びペーパー先端検出手段70により検出される(ステップST1)。その後、ステップST2で、ペーパーカッター5によって所定のサイズに切断されたペーパーPの先端がペーパー貯留機構60の筒状部材61の導入部61bに到達して、挟持搬送ローラ対64による挟持位置にあるかどうかの判定を行う。このステップST1で、ペーパーPの先端が挟持搬送ローラ対64の挟持位置にあると判定された場合(YESの場合)には、ステップST3に進んで、挟持搬送ローラ対64を圧着状態にする。一方、前記ステップST2でペーパーPの先端が挟持位置に到達していないと判定された場合(NOの場合)には、到達したと判定されるまでこのステップST2での判定を繰り返す。
【0087】
そして、ステップST4で前記挟持搬送ローラ対64を回転駆動させて、ペーパーPをペーパー貯留機構60の筒状部材61内に貯留していく。このとき、前記ペーパー貯留機構50の筒状部材51は、図5と同じく予めガイド53の出口の下方(第1位置)に位置付けられているため、上述のように該筒状部材51の導入部51bを通過したペーパーPは、そのまま筒状部材51内に向かって搬送されることになる。これにより、ペーパーPは、筒状部材51の内壁に沿って丸められた状態で収納される。
【0088】
なお、本実施形態では、搬送ユニット6前に設けられた前記ペーパー検出センサー14によってペーパーの先端を検出して、この検出結果と該パーパーの搬送量とに基づいて該ぺーパーの先端位置を演算することで、ペーパーの先端が挟持位置に到達したことを判定するようにしているが、この限りではなく、前記挟持搬送ローラ64付近にセンサー等を設けて、ペーパーの先端到達を直接検出できるようにしてもよい。
【0089】
また、本実施形態では、筒状部材61の挟持搬送ローラ対64によってペーパーの先端を挟持する際にはペーパーは所定のサイズに切断されているが、この限りではなく、前記筒状部材61内にペーパーの一部が貯留された状態でペーパーカッター5によって所定のサイズに切断するようにしてもよい。
【0090】
続くステップST5では、ペーパー後端到達検出手段73bによってペーパーPの後端が筒状部材61の拡大部61c付近に到達したか否かの判定を行う。ペーパーPの後端が到達したと判定された場合(YESの場合)には、前記挟持搬送ローラ対64の回転駆動を停止する(ステップST6)。一方、ペーパーPの後端がまだ筒状部材51の拡大部51cに到達していないと判定された場合(NOの場合)には、到達したと判定されるまで前記挟持搬送ローラ対64を回転駆動させてこのステップST5での判定を繰り返す。
【0091】
なお、前記ステップST5では、ペーパー後端到達検出手段73bによってペーパーPの位置を推定するようにしているが、この限りではなく、上述のステップST2でのペーパー先端到達の判定と同様、前記筒状部材61の拡大部61c近傍にセンサー等を設けて、ペーパーPの後端が該拡大部61c付近に到達したことを直接検出するようにしてもよい。
【0092】
前記ステップST6で挟持搬送ローラ対64の回転駆動を停止した後に進むステップST7では、連結部材62によって連結された筒状部材61,61,…を回転駆動手段78により所定の方向に所定量、回転(図の例では反時計回りに90度回転)させて、ペーパーPの収容された筒状部材61の導入部61bを搬送ユニット13へのペーパー受け渡し位置(第2位置)まで移動させる。
【0093】
続くステップST8では、前記ペーパーPの収容された筒状部材61の導入部61bが、搬送ユニット13へペーパーPを受け渡すことのできる所定位置まで到達したかどうかを判定する。具体的には、回転駆動手段78が連結部材62を所定の回転量、回転させたかどうかで判定する。ここで、当該所定位置とは、筒状部材61の導入部61bの搬送面と搬送ユニット13の搬送面との高さ位置がほぼ同じで一列に並んだ状態を意味する。
【0094】
前記ステップST8において、前記所定位置まで筒状部材61が回転移動して到達したと判定された場合(YESの場合)には、該筒状部材61の挟持搬送ローラ対64を回転駆動(ステップST9)させ、ペーパーPを搬送ユニット13へ受け渡して(ステップST10)、このフローを終了する(エンド)。なお、このように、前記筒状部材61が所定位置まで到達したと判定された場合には、ガイド63の出口下方に位置する筒状部材61内へ、露光処理された次のペーパーPが搬送されるようになっている。
【0095】
上述のような搬送ユニット13へのペーパーPの受け渡しが完了すると、当該筒状部材61の導入部61bに設けられた挟持搬送ローラ対64が圧着状態から非圧着状態に切り換えられる一方、次のペーパーPの収納された隣りの筒状部材51が回転して搬送ユニット13へのペーパー受け渡し位置まで移動し、上述のフローによる動作を繰り返す。
【0096】
以上より、本実施形態によれば、露光位置よりも搬送路上流側で、該露光位置とペーパーPを所定のサイズに切断するペーパーカッター5との間にペーパーPを貯留することのできる複数の筒状部材61,61,…を備えたペーパー貯留機構60を設けたので、装置全体を大型化することなく、ペーパーPのためのバッファを確保することできる。したがって、このように露光前の位置にペーパー貯留機構を設けることで、ペーパーマガジン3,3からペーパーが引き出される際や、ペーパーカッター5によって所定の長さに切断される際の振動等が露光部位に伝達されることはないので、振動や負荷変動による露光ムラの発生を確実に防止することができる。
【0097】
しかも、前記筒状部材61,61,…を複数、設けることで、複数のペーパーPを同時に貯留することができるため、ペーパーPの筒状部材61への貯留及び次工程への送り出しを待つことなく、次のペーパーPの露光処理を行うことができ、装置全体の処理速度を向上することができる。
【0098】
(その他の実施形態)
本発明の構成は、前記各実施形態に限定されるものではなく、それ以外の種々の構成を包含するものである。すなわち、前記実施形態2では、露光位置の上流側及び下流側にそれぞれペーパー貯留機構50,60を設けるようにしているが、この限りではなく、露光位置よりも上流側にのみペーパー貯留機構60を設けるようにしてもよい。
【0099】
また、前記各実施形態では、ペーパー貯留機構50,60を複数の筒状部材51,51,…,61,61,…によって構成したが、この限りではなく、ペーパーPを巻き取るローラによって構成するようにしてもよい。
【0100】
さらに、前記各実施形態では、複数の筒状部材51,51,…,61,61,…を連結部材52,62によって連結し、該連結部材52,62を回転させるようにしているが、この限りではなく、各筒状部材51,61を異なるタイミング、速度で移動させることができるように、筒状部材51,61毎に移動機構を設けるようにしてもよい。また、筒状部材51,51,…,61,61,…を移動させるのではなく、該筒状部材51,51,…,61,61,…を固定しておき、ペーパーPを搬送機構によってそれぞれの筒状部材51,51,…,61,61,…まで搬送するようにしてもよい。
【0101】
さらにまた、前記各実施形態では、画像形成部としてレーザー光を用いる露光エンジンについて説明したが、この限りではなく、例えば、液晶シャッターを用いた画像露光や、インクジェットプリンタであってもよい。したがって、画像形成媒体についても、写真感光材料だけでなく、それ以外の材料からなるペーパーであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0102】
以上説明したように、本発明における画像形成装置は、露光位置よりも搬送下流側に複数のペーパーを貯留可能なペーパー貯留機構を設けたことにより、装置全体の処理速度を向上することができるようになるから、例えば、長尺プリントを行う画像形成装置に特に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0103】
【図1】実施形態1に係る画像形成装置を備えた写真処理システムの構成を示す部分断面図である。
【図2】実施形態1に係るペーパー貯留機構の構成を示す図である
【図3】実施形態1に係る画像形成装置の制御ブロック構成を示す図である。
【図4】実施形態1に係る画像形成装置の動作を示すフローチャートである。
【図5】実施形態1に係る画像形成装置の動作(その1)を示す図である。
【図6】実施形態1に係る画像形成装置の動作(その2)を示す図である。
【図7】実施形態1に係る画像形成装置の動作(その3)を示す図である。
【図8】実施形態1に係る画像形成装置の動作(その4)を示す図である。
【図9】実施形態2に係る図1相当図である。
【図10】実施形態2に係る図3相当図である。
【図11】実施形態2に係る図4相当図である。
【図12】従来技術に係る画像形成装置の構成を示す図である。
【符号の説明】
【0104】
A 画像形成装置
P ペーパー(画像形成媒体)
5 ペーパーカッター(切断部)
6 搬送ユニット(上流側搬送機構)
7 露光エンジン(画像形成部)
9a 露光搬送ローラ(上流側搬送機構)
9b 露光搬送ローラ(下流側搬送機構)
12 搬送ユニット(下流側搬送機構)
38 回転駆動手段(移動手段)
50 ペーパー貯留機構(貯留手段)
51 筒状部材(貯留部)
52 連結部材
53 ガイド
54 挟持搬送ローラ対

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成媒体を搬送しながら画像形成部にて走査露光し、その後、現像処理部に搬送するようにした画像形成装置であって、
前記画像形成部から下流側の前記現像処理部まで画像形成媒体を搬送する下流側搬送機構を備え、
前記下流側搬送機構の搬送路上には、前記画像形成媒体を一時的に貯留するための複数の貯留部を備えた貯留手段が設けられていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1において、
下流側搬送機構における搬送路の長さが、画像形成媒体の最大処理可能長さ以下であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1または2のいずれか一つにおいて、
貯留手段は、画像形成媒体をロール状に巻き取るように構成されているとともに、画像形成部による画像形成後から画像形成媒体が現像処理部に到達するまでの間に少なくとも潜像進行時間が経過するように、該画像形成媒体を貯留部内に貯留することを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
画像形成媒体を搬送しながら切断部にて所定の大きさのシート状に切断し、画像形成部にて走査露光するようにした画像形成装置であって、
前記切断部から画像形成部まで画像形成媒体を搬送する上流側搬送機構を備え、
前記上流側搬送機構の搬送路上には、前記画像形成媒体を一時的に貯留するための複数の貯留部を備えた貯留手段が設けられていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項4において、
上流側搬送機構における搬送路の長さが、画像形成媒体の最大処理可能長さ以下であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一つにおいて、
貯留手段は、複数の貯留部のうち一つの貯留部が画像形成媒体の送り込まれる第1位置に、他の一つの貯留部が該画像形成媒体を搬送下流側に送り出す第2位置に、それぞれ同時に位置付けられるように、前記複数の貯留部を移動させる移動手段を備えていることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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