説明

画像形成装置

【課題】給紙カセットの装着状態の異常を,リフトアップモータやその駆動伝達系などに異常が発生している場合と区別して検出して表示することのできる画像形成装置を提供すること。
【解決手段】リフトモータ32からリフト機構12への駆動力の伝達経路の最終段に設けられたギア33eの駆動の有無を検知し(S4),前記リフトモータ32の駆動が開始されてから所定時間が経過するまでの間に供給可能位置検知センサ35によりリフト板11の最上部に載置された用紙を画像形成装置Xに供給可能な位置に該リフト板11が位置していることの検知が行われないこと(S6のYes側),且つ前記リフトモータ32の駆動中に前記ギア33eの駆動が検知されていること(S9のYes側)を条件に,給紙カセット1の装着状態に異常が生じている旨を操作表示部10に表示する(S11)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,用紙を収容する給紙カセットが着脱可能に設けられた画像形成装置に関し,特に,前記給紙カセットの装着状態の異常を検出する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から,複写機やプリンタ装置,ファクシミリ装置,これらの複合機などの画像形成装置には,用紙を収容する給紙カセットが着脱可能に設けられている(例えば,特許文献1参照)。前記給紙カセット内の用紙の残量がなくなると,該給紙カセットはユーザによって前記画像形成装置から引き出され,用紙が補充された後,再度前記画像形成装置に装着される。
以下,図1の模式図を用いて,前記のように構成された画像形成装置Zの概略構成について説明する。
図1に示すように,前記画像形成装置Zは,ユーザによる各種の操作入力が行われるキースイッチやタッチパネル等の操作部や各種の情報を表示する液晶パネル等の表示部が設けられた操作表示部10と,入力された画像データに基づいて用紙に画像を形成する画像形成部20と,前記画像形成部20に供給する用紙が収容される給紙カセット1及び2と,前記給紙カセット1及び2が装着されるカセット装着部3及び4と,を備えて概略構成されている。前記給紙カセット1及び2は,前記カセット装着部3及び4に対して着脱可能である。
また,前記画像形成装置Zには,CPUやRAM,ROM等を有してなり,当該画像形成装置Zを統括的に制御する制御部(不図示)が設けられている。
【0003】
以下,前記給紙カセット1及び前記カセット装着部3について説明する。なお,前記給紙カセット2及び前記カセット装着部4は,前記給紙カセット1及び前記カセット装着部3と同様に構成されるため説明を省略する。
前記給紙カセット1は,用紙が載置されるリフト板11(用紙載置部の一例)と,前記リフト板11を上方に移動させるリフト機構12と,を備えている。前記リフト機構12は,回転軸12a及び連結部12bを有しており,後述するリフトモータ32(図2参照)から前記回転軸12aに回転力が伝達されることによって前記リフト板11を上方に移動させるものである。
前記カセット装着部3は,前記給紙カセット1の装着の有無を検知するリミットスイッチや光学式スイッチ等からなる装着状態検知センサ31(装着状態検知手段の一例)と,前記リフト機構12に駆動力を作用させるDCモータ等のリフトモータ32(図2参照)及び該リフトモータ32から前記リフト機構12に駆動力を伝達する複数のギア33a〜33e(図2参照)を有する駆動部34と,前記リフト板11の最上部に載置された用紙を前記画像形成部20へ供給可能な位置(以下「供給可能位置」という)に該リフト板11が位置することを検知するリミットスイッチや光学式スイッチ等からなる供給可能位置検知センサ35(供給可能位置検知手段の一例)と,を備えている。
【0004】
ここで,図2を用いて,前記駆動部34の内部構成について説明する。ここに,図2(a)は前記駆動部34の内部構成の模式図,図2(b)は前記駆動部34の正面図,図2(c)は前記駆動部34の側面図,図2(d)は前記駆動部34に前記リフト機構12が連結された状態を示す図である。
図2(a)に示すように,前記駆動部34には,前記リフトモータ32と,該リフトモータ32の回転軸に嵌挿されたギア33aと,該ギア33aから順に噛合されたギア33b〜33eと,回転検知スイッチ36a,36b(回転角度検出手段の一例)と,が設けられている。
また,図2(b),(c)に示すように,前記ギア33a〜33e(伝達部材の一例)のうち前記リフトモータ32(所定の駆動モータの一例)から前記リフト機構12への駆動力の伝達経路の最終段に設けられた前記ギア33e(最終伝達部材の一例)には,前記リフト機構12の連結部12bと係合する係合部40aが90°毎に形成された被連結部40が設けられている。
図2(d)に示すように,前記リフト機構12の連結部12bと前記被連結部40の係合部40aとは,前記給紙カセット1が前記カセット装着部3に装着されることにより係合される。ここで,前記係合部40aと前記連結部12bとは,必ず前記係合部40aが水平方向及び垂直方向に指向された状態で係合するように構成されている。
そして,前記連結部12bと前記係合部40aとが係合した状態で前記リフトモータ32の回転が開始されると,前記ギア33a〜33eを介して前記リフト機構12の回転軸12aに駆動力(回転力)が伝達されて前記リフト板11が上方に移動される。
【0005】
また,図2(a)に示すように,前記ギア33eには,90°毎に突起部37a,37bが設けられている。下記表1に示すように,前記突起部37a,37bは,前記ギア33eの傾き角度に応じて前記回転検知スイッチ36a,36bに接触して該回転検知スイッチをON/OFFする。なお,前記傾き角度とは,前記係合部40aと前記連結部12bとの係合時に,垂直方向に位置する二つの前記係合部40aを結ぶ直線の水平線に対する傾きを示している。したがって,前記係合部40aと前記連結部12bとが係合されたとき,前記傾き角度は必ず90°になる。
【表1】

前記ギア33eの傾き角度によって異なる前記回転検知スイッチ36a,36bの検知信号(ON/OFF)は,前記制御部に入力される。
【0006】
前記制御部では,前記回転検知スイッチ36a,36bから入力される検知信号に基づいて,前記給紙カセット1のリフト板11に載置された用紙の残量が判断される。なお,このように用紙の残量を検出するための判断処理を実行するときの前記制御部が用紙残量検出手段に相当する。
具体的には,上記表1に示すように,前記リフト板11が前記供給可能位置に達するまでの前記ギア33eの傾き角度が小さい場合,即ち前記ギア33eが少し回転するだけで前記供給可能位置検知センサ35による検知が行われた場合には,該リフト板11に載置された用紙の残量は多い状態であると判断される。
一方,前記ギア33eの回転角度が大きい場合,即ち前記ギア33eが大きく回転することにより前記供給可能位置検知センサ35による検知が行われた場合には,前記リフト板11に載置された用紙の残量は少ない状態であると判断される。
【0007】
以上説明したように構成された前記画像形成装置Zでは,前記給紙カセット1が前記カセット装着部3に装着されたことが前記装着状態検知センサ31によって検知されると,前記リフトモータ32の駆動が開始され,該リフトモータ32の駆動力が前記ギア33a〜33eを介して前記リフト機構12に伝達されることにより,前記リフト板11が徐々に上方に移動する。
そして,前記リフト板11が前記供給可能位置に位置したことが前記供給可能位置検知センサ35によって検知されると,前記リフトモータ31の駆動が停止され,当該画像形成装置Zにおける画像形成処理が実行可能な待機状態になる。
【0008】
但し,前記リフトモータ32の駆動が開始された後,所定時間が経過しても前記供給可能位置検知センサ35によって前記リフト板11が前記供給可能位置に位置したことが検知されない場合には,何らかの異常が生じていると考えられる。そのため,このような場合には,前記リフトモータ32の駆動が停止された後,例えば通信回線を介してメンテナンスを依頼する所謂サービスコールが行われる。なお,このとき生じている異常としては,例えば前記駆動部34に設けられた前記リフトモータ32や前記ギア33a〜33eの故障や破損,或いは前記給紙カセット1が正常に装着されていないこと等が考えられる。
ここで,前者の場合には,前記駆動部34を点検する必要があるが,後者のように前記給紙カセットの装着状態に異常がある場合には,ユーザによってその異常を容易に解消し得る場合がある。例えば,図1に示すように,前記給紙カセット1の装着時にその装着時の風圧などによって前記給紙ユニット2に収容された用紙Tが舞い上がって前記給紙ユニット1のリフト機構12と前記駆動部34との間に挟まって該駆動部34から前記リフト機構12への駆動力の伝達が正常に行われていない場合には,前記給紙カセット1を一度抜き出して,挟まった用紙Tを取り除き,前記給紙カセット1を再度装着することによって異常を解消することができる。
【特許文献1】特開2002−72646号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら,従来の前記画像形成装置Zでは,前記給紙カセット1の装着状態に異常が生じている場合であっても,そのことを前記駆動部34の故障や破損の場合と区別して検出することができない。したがって,前記のように単に前記リフト機構12と前記駆動部34との間に用紙Tが挟まっているような場合,即ちユーザによって容易に異常を解消し得るような場合にもサービスコールが行われてしまう。このような場合のサービスコールは無駄であり,例えばサービスマンによるメンテナンス等が行われるまでの間,前記画像形成装置Zの使用が制限されるという問題が生じる。
従って,本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり,その目的とするところは,給紙カセットの装着状態の異常を,リフトアップモータやそのリフトアップモータの駆動力の伝達部材などに異常が発生している場合と区別して検出して表示することのできる画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために本発明は,用紙が載置される用紙載置部及び所定の駆動モータから一又は複数の伝達部材を介して伝達される駆動力により該用紙載置部を上方に移動させるリフト機構を有してなり,当該画像形成装置に着脱可能な給紙カセットと,前記給紙カセットの前記用紙載置部の最上部に載置された用紙を当該画像形成装置へ供給可能な供給可能位置に該用紙載置部が位置することを検知する供給可能位置検知手段と,を備えてなる画像形成装置に適用されるものであって,前記伝達部材のうち前記所定の駆動モータから前記リフト機構への駆動力の伝達経路の最終段に設けられた最終伝達部材の駆動の有無を検知する駆動状態検知手段を設けておき,前記所定の駆動モータの駆動が開始されてから所定時間が経過するまでの間に前記供給可能位置検知手段による検知が行われないこと,且つ前記駆動状態検知手段により前記最終伝達部材の駆動が検知されていることを条件に,前記給紙カセットの装着状態に異常が生じている旨を所定の表示手段に表示することを特徴とする画像形成装置として構成される。
本発明によれば,前記給紙カセットの装着状態の異常を,前記所定の駆動モータや前記伝達部材などの異常と区別して検出することができ,その旨が前記所定の表示手段に表示されるため,ユーザは,前記給紙カセットの装着状態の異常である場合に,その旨を前記所定の表示手段の表示を参照することで認識することができる。したがって,前記所定の表示手段の表示を参照したユーザによって,前記給紙カセットの脱着動作や前述したように前記リフト機構と前記伝達部材との間に挟まった紙を除去する作業など,簡易な作業が行われることにより,前記給紙ユニットの装着状態の異常が解消されることが期待できる。また,これによりサービスコールの発生頻度を低減することができる。
【0011】
本発明の具体的な構成としては,前記所定の駆動モータの駆動が開始されてから所定時間が経過するまでの間に前記供給可能位置検知手段による検知が行われないことを条件に,前記所定の駆動モータの駆動を停止させた後,前記給紙カセットの装着の有無を検知する装着状態検知手段により前記給紙カセットが脱着されたことが検知されたことを条件に,前記駆動モータの駆動を再度開始させるように構成される。
ここで,前記給紙カセットの装着を何度脱着しても,その脱着後,前記所定の駆動モータの駆動が開始されてから所定時間が経過するまでの間に前記供給可能位置検知手段による検知が行われない場合には,前記給紙カセットの装着状態の異常以外の異常が生じている可能性がある。そこで,前記モータ再駆動手段による前記所定の駆動モータの駆動の開始処理が所定の回数以上行われた後でも,前記供給可能位置検知手段による検知が行われないこと,且つ前記駆動状態検知手段により前記最終伝達部材の駆動が検知されている場合には,その後の前記カセット装着状態異常表示手段による表示や前記モータ再駆動手段による前記所定の駆動モータの駆動の開始を実行させないように処理することが考えられる。
【0012】
ところで,前記駆動状態検知手段の具体的な構成としては,前記最終伝達部材の回転角度の変化を検出することにより,該最終伝達部材の駆動の有無を検出することが考えられる。
また,前記最終伝達部材の回転角度の変化に基づいて前記給紙カセット内の用紙の残量を検出する用紙残量検出手段を更に備えてなる構成であれば,前記最終伝達部材の回転角度の変化を検出する手段(回転角度検出手段)を前記用紙残量検知手段と兼用して用いることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば,前記給紙カセットの装着状態の異常を,前記所定の駆動モータや前記伝達部材などの異常と区別して検出することができ,その旨が前記所定の表示手段に表示されるため,ユーザは,前記給紙カセットの装着状態の異常である場合に,その旨を前記所定の表示手段の表示を参照することで認識することができる。したがって,前記所定の表示手段の表示を参照したユーザによって,前記給紙カセットの脱着動作や前述したように前記リフト機構と前記伝達部材との間に挟まった紙を除去する作業など,簡易な作業が行われることにより,前記給紙ユニットの装着状態の異常が解消されることが期待できる。また,これによりサービスコールの発生頻度を低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下添付図面を参照しながら,本発明の実施の形態について説明し,本発明の理解に供する。尚,以下の実施の形態は,本発明を具体化した一例であって,本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
ここに,図1は本発明の実施の形態に係る画像形成装置Xの概略構成を示す模式図,図2は前記画像形成装置Xに設けられた駆動部34の概略構成を示す模式図,図3は前記画像形成装置Xにおいて制御部により実行されるリフトアップ処理の手順の一例を説明するためのフローチャートである。なお,前記画像形成装置Xにおいて,既に説明した前記画像形成装置Zと同様の構成要素には同じ符号を付してその説明を省略する。
本発明の実施の形態に係る前記画像形成装置Xは,前記制御部によって実行される後述するリフトアップ処理(図3のフローチャート参照)において,前記給紙カセット1の装着状態の異常が,前記駆動部34に設けられた前記リフトモータ32や前記ギア33a〜33eなどの異常と区別して検出されて表示される点に特徴を有している。なお,本発明に係る画像形成装置Xは,例えば複写機やプリンタ装置,ファクシミリ装置,これらの複合機などである。
以下,図3のフローチャートに従って,前記画像形成装置Xにおいて前記制御部により実行されるリフトアップ処理の手順の一例について説明する。なお,図中のS1,S2,…は処理手順(ステップ)番号を表す。
前記画像形成装置Xでは,前記給紙カセット1(又は2)が前記カセット装着部3(又は4)に装着されたことが前記装着状態検知センサ31によって検知された場合に,以下のリフトアップ処理(図3のフローチャート参照)が実行される。なお,ここでは,前記給紙カセット1が前記カセット装着部3に装着された場合に実行される処理について説明するが,前記給紙カセット2が前記カセット装着部4に装着された場合も同様に処理される。
【0015】
まず,ステップS1では,前記制御部によって前記リフトモータ32の駆動が開始される。これにより,前述したように前記リフトモータ32の駆動力が前記ギア33a〜33eを介して前記リフト機構12に伝達され,前記給紙カセット1におけるリフト板11の上方への移動が開始される。
次に,ステップS2では,後段の処理(ステップS5)において異常を検知するためのエラー検知タイマT1の計時が前記制御部によって0から開始される。なお,前記エラー検知タイマT1は,前記制御部のRAMなどに記憶される。
【0016】
そして,ステップS3では,前記供給可能位置検知センサ35によって,前記リフト板11が前記供給可能位置に達したことが検知されたか否かが前記制御部によって判断される。
ここで,前記供給可能位置検知センサ35による検知が行われたと判断された場合(S3のYes側)には,処理はステップS31に移行し,検知が行われていないと判断された場合(S3のNo側)には,処理はステップS4に移行する。
【0017】
まず,前記ステップS3において前記供給可能位置検知センサ35による検知が行われたと判断された場合に実行される前記ステップS31以後の処理について説明する。
前記ステップS31では,前記制御部によって前記リフトモータ32の駆動が停止され,続くステップS32では,前記制御部によって前記ステップS2で開始された前記エラー検知タイマT1の計時が終了される。
そして,ステップS33では,前記制御部によって,前記回転検知スイッチ36a,36bから入力される検知信号に基づいて前記給紙カセット1の用紙残量などが検出され,該用紙残量が前記操作表示部10に表示された後(S34),当該リフトアップ処理は終了する。
【0018】
次に,前記ステップS3において前記供給可能位置検知センサ35による検知が行われていないと判断された場合に実行される前記ステップS4以後の処理について説明する。
前記ステップS4では,前記ギア33a〜33eのうち,前記リフトモータ32から前記リフト機構12への駆動力の伝達経路の最終段に設けられた前記ギア33eの駆動の有無が前記制御部によって検知される。具体的には,前記ギア33eが回転している場合には,その回転に伴って傾き角度が変動して前記回転検知スイッチ36a,36bの検知信号の組み合わせが変化するため,前記ステップS4では,前記回転検知スイッチ36a,36bから入力される検知信号の変化の有無によって,前記ギア33eの駆動の有無が検知される。ここに,前記ギア33eの駆動の有無を検知するときの前記制御部が駆動状態検知手段に相当する。このように,前記給紙カセット1の用紙残量の検出のために用いられる前記回転検知スイッチ36a,36bは,前記ギア33eの駆動の有無の検知のために兼用することができ,前記ギア33eの駆動の有無の検知のためだけに特別な構成要素を設ける必要はない。但し,前記ギア33eの駆動の有無を検知する手段を別途設ける構成も他の実施例として考えられる。
【0019】
そして,ステップS5では,前記ギア33eが駆動しているか否かが前記制御部によって判断される。
ここで,前記ギア33eが駆動していると判断された場合(S5のYes側)には,処理はステップS51に移行して,後段の処理(ステップS9)において判断指標に用いられる駆動フラグF1が立てられる(F1=1)。なお,前記駆動フラグF1の状態は,前記制御部のRAMなどに記憶されている。その後,処理はステップS6に移行する。
一方,前記ステップS5において,前記ギア33eが駆動していないと判断された場合(S5のNo側)には,処理はステップS6に移行する。この場合には,前記駆動フラグF1は立てられない(F1=0)。
【0020】
そして,ステップS6では,前記ステップS2において計時が開始された前記エラー検知タイマT1が予め定められた所定の時間(例えば12秒程度)以上であるか否かが前記制御部によって判断される。なお,前記所定の時間は,例えば前記給紙カセット1に用紙が収容されていない場合に,前記リフト板11が前記供給可能位置検知センサ35に接触するまでの時間よりも少し長い時間に設定される。
ここで,前記エラー検知タイマT1が前記所定の時間未満であると判断された場合(S6のNo側)には,処理は前記ステップS3に移行し,前記エラー検知タイマT1が前記所定の時間以上であると判断された場合(S6のYes側)には,処理はステップS7に移行する。
ステップS7では,前記制御部によって前記リフトモータ32の駆動が停止され,続くステップS8では,前記制御部によって前記ステップS2で開始された前記エラー検知タイマT1の計時が終了される。ここに,前記リフトモータ32の駆動の停止処理を実行するときの前記制御部が駆動モータ停止手段に相当する。なお,前記ステップS7において前記制御部により実行される前記リフトモータ32の駆動の停止は,後述するステップS11,S91,S101の前段で行われるものであってもよい。
【0021】
次に,ステップS9では,前記駆動フラグF1が立てられいるか否か,即ち前記リフトモータ32の回転中に前記ギア33eが駆動していたか否かが前記制御部によって判断される。
ここで,前記駆動フラグF1が立てられていない(F1=0)と判断された場合(S9のNo側),即ち前記リフトモータ32の駆動中に前記ギア33eが駆動していなかった場合には,前記リフトモータ32や前記ギア33a〜33eなどに異常が生じていると判断され,処理はステップS91に移行する。
ステップS91では,前記リフトモータ32や前記ギア33a〜33eなどを有する前記駆動部34に異常が生じている旨が前記操作表示部10に表示され,当該リフトアップ処理は終了する。なお,このときサービスコールなどが行われてもかまわない。
【0022】
一方,前記ステップS9において前記駆動フラグF1が立てられていると判断された場合(S9のNo側),即ち前記リフトモータ32の駆動中に前記ギア33eが駆動していた場合には,処理はステップS10に移行する。
ステップS10では,後述するリトライフラグR1が立てられているか否かが前記制御部によって判断される。ここに,前記リトライフラグR1の初期値は0(立てられていない状態)に設定され,当該リフトアップ処理の開始時にリセットされる。また,前記リトライフラグR1は,後述するステップS13において前記制御部によって立てられる(R1=1)。
ここで,前記リトライフラグR1が立てられていないと判断された場合(S10のNo側)には,処理はステップS11に移行する。
前記ステップS11では,前記給紙カセット1の装着状態に異常が生じている旨が前記制御部によって前記操作表示部10に表示される。即ち,前記リフトモータ32の駆動が開始されてから所定時間が経過するまでの間に前記供給可能位置検知センサ35による検知が行われていないこと(S6のYes側),且つ前記ギア33eの駆動が検知されていること(S9のYes側)を条件に,前記給紙カセット1の装着状態に異常がある旨が前記操作表示部10に表示される。これにより,ユーザは,前記給紙カセット1の装着状態に異常が生じていることを認識することができる。ここに,かかる表示処理を実行するときの前記制御部がカセット装着状態異常表示手段に相当する。
したがって,ユーザにより前記給紙カセット1の脱着などの対応作業が行われることが期待される。このとき,前述したように単に前記用紙Tが挟まっている場合などには,ユーザにより前記給紙カセット1が引き出されて前記用紙Tが取り除かれ,前記給紙カセット1が再度装着されることにより,前記異常が解消されて当該画像形成装置Xが使用可能な状態になる。
【0023】
続くステップS12では,前記給紙カセット1の脱着が行われたか否かが前記制御部によって判断される。具体的には,前記装着状態検知センサ31により前記給紙カセット1の取り外しが検知された後,前記給紙カセット1の装着が検知された場合に,該給紙カセット1の脱着が行われたと判断される。前記ステップS12は,前記給紙カセット1の脱着が行われるまで繰り返し実行される(S12のNo側)。
そして,前記ステップS12において,ユーザによる前記給紙カセット1の脱着が行われたと判断された場合(S12のYes側)には,処理はステップS13に移行して,前記リトライフラグR1が立てられる(R1=1)。
その後,処理はステップS14に移行し,前記制御部によって前記リフトモータ32の駆動が再度開始される。ここに,前記リフトモータ32の再駆動処理を実行するときの前記制御部がモータ再駆動手段に相当する。前記ステップS14において前記リフトモータ32の駆動が開始されると,処理は前記ステップS2に移行して該ステップS2以後の処理が実行される。このとき,前記給紙カセット1の脱着時に,該給紙カセット1の装着状態の異常,例えば前記用紙Tが挟まっている状態が解消されていれば,二度目の前記ステップS2以後の処理において,前記エラー検知タイマT1が所定時間を経過するまでの間に前記供給可能位置検知センサ35による検知が行われ,当該画像形成装置Xが使用可能な待機状態に移行する。
【0024】
しかし,前記給紙カセット1の脱着によってもまだ異常が解消されていない場合には,二度目の前記ステップS2以後の処理においても前記エラー検知タイマT1が所定時間を経過するまでの間に前記供給可能位置検知センサ35による検知が行われず,処理は再度前記ステップS10に移行することになる。
そして,前記ステップS10において,前記リトライフラグR1が立てられていると判断された場合(S10のYes側),即ち前記給紙カセット1の脱着が行われた後でも,前記エラー検知タイマT1が所定時間を経過するまでの間に,前記供給可能位置検知センサ35による検知が行われなかった場合には,処理はステップS101に移行する。即ち,前記リフトモータ32の駆動が再度開始されても,その後,前記供給可能位置検知センサ35による検知が行われず,且つ前記ギア33eの駆動が検知されている場合には,前記給紙カセット1の装着状態に異常が生じている旨の表示や,前記リフトモータ32の駆動の再開が実行されず,処理はステップS101に移行するように前記制御部によって処理される。ここに,かかる処理を実行するときの前記制御部が異常対応処理手段に相当する。
ステップS101では,前記給紙カセット1の装着状態や前記リフトモータ32,前記ギア33a〜33eの異常以外の異常が生じている旨が前記操作表示部10に表示され,当該リフトアップ処理は終了する。なお,このときサービスコールなどが行われてもかまわない。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施の形態に係る画像形成装置Xの概略構成を示す模式図。
【図2】本発明の実施の形態に係る画像形成装置Xに設けられた駆動部34の概略構成を示す模式図。
【図3】本発明の実施の形態に係る画像形成装置Xにおいて制御部により実行されるリフトアップ処理の手順の一例を説明するためのフローチャート。
【符号の説明】
【0026】
1,2…給紙カセット
11…リフト板(用紙載置部の一例)
12…リフト機構
12a…回転軸
12b…連結部
3,4…カセット装着部
31…装着状態検知センサ(装着状態検知手段の一例)
32…リフトモータ(所定の駆動モータの一例)
33a〜33e…ギア(伝達部材の一例)
34…駆動部
35…供給可能位置検知センサ(供給可能位置検知手段の一例)
36a,36b…回転検知スイッチ
37a,37b…突起部
10…操作表示部
20…画像形成部
40…被連結部
40a…係合部
S1,S2…,…処理手順(ステップ)番号
X,Z…画像形成装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙が載置される用紙載置部及び所定の駆動モータから一又は複数の伝達部材を介して伝達される駆動力により該用紙載置部を上方に移動させるリフト機構を有してなり,当該画像形成装置に着脱可能な給紙カセットと,
前記給紙カセットの前記用紙載置部の最上部に載置された用紙を当該画像形成装置へ供給可能な供給可能位置に該用紙載置部が位置することを検知する供給可能位置検知手段と,
を備えてなる画像形成装置であって,
前記伝達部材のうち前記所定の駆動モータから前記リフト機構への駆動力の伝達経路の最終段に設けられた最終伝達部材の駆動の有無を検知する駆動状態検知手段と,
前記所定の駆動モータの駆動が開始されてから所定時間が経過するまでの間に前記供給可能位置検知手段による検知が行われないこと,且つ前記駆動状態検知手段により前記最終伝達部材の駆動が検知されていることを条件に,前記給紙カセットの装着状態に異常が生じている旨を所定の表示手段に表示するカセット装着状態異常表示手段と,
を備えてなることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記所定の駆動モータの駆動が開始されてから所定時間が経過するまでの間に前記供給可能位置検知手段による検知が行われないことを条件に,前記所定の駆動モータの駆動を停止させる駆動モータ停止手段と,
前記給紙カセットの装着の有無を検知する装着状態検知手段と,
前記駆動モータ停止手段により前記駆動モータの駆動が停止された後,前記装着状態検知手段により前記給紙カセットが脱着されたことが検知されたことを条件に,前記駆動モータの駆動を再度開始させるモータ再駆動手段と,
を更に備えてなる請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記モータ再駆動手段による前記所定の駆動モータの駆動の開始処理が所定の回数以上行われた後,前記供給可能位置検知手段による検知が行われないこと,且つ前記駆動状態検知手段により前記最終伝達部材の駆動が検知されていることを条件に,その後の前記カセット装着状態異常表示手段による表示及び/又は前記モータ再駆動手段による前記所定の駆動モータの駆動の開始を実行させないように処理する異常対応処理手段を更に備えてなる請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記駆動状態検知手段が,前記最終伝達部材の回転角度の変化を検出する回転角度検出手段を含んでなる請求項1〜3のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記回転角度検出手段により検出された前記最終伝達部材の回転角度の変化に基づいて前記給紙カセット内の用紙の残量を検出する用紙残量検出手段を更に備えてなる請求項4に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−230689(P2007−230689A)
【公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−52705(P2006−52705)
【出願日】平成18年2月28日(2006.2.28)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】