説明

画像形成装置

【課題】 結露に起因するディフェクトなどの問題を引き起こすことなく、トナー像が定着した記録媒体を十分冷却して排出する。
【解決手段】 冷却能力が高い冷却ロール114を用いると、記録用紙Pを十分冷却することができる。しかし、定着後の記録用紙Pによって暖められた周囲の空気との大きな温度差によって、冷却ロール114の表面が結露する。つまり、表面に水滴Kが付着する。しかし、この水滴Kは、冷却ロール114の回転に伴い、記録用紙Pから遠ざかり、スクレーパー118によってかきとられて除去される。除去された水滴Kはケース112の下部に溜まる。よって、冷却ロール114に付着した水滴Kに起因する問題、例えば、水滴Kが記録用紙Pに付着することによるディフェクト等は発生しない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置は、記録用紙に転写されたトナー像が熱定着装置によって記録用紙に定着し、排紙トレイに排出されスタックしていく。
【0003】
熱定着装置でトナー像が定着した記録用紙は熱くなっており、十分冷却される前に排紙トレイに記録用紙がスタックされていくと、重なった記録用紙間に蓄熱が生じ、定着したトナー像が粘着性を持つ。このため、上に重ねられた記録用紙の裏面に張り付く、所謂、ブロッキング現象が発生する。
【0004】
特に、高速機では、記録用紙が次々と排紙されて排紙トレイにスタックされていくので、ブロッキング現象が発生しやすい。また、印字カバレッジ率が高い場合(トナー像が占める面積が大きい場合)も、ブロッキング現象が発生しやすい。
【0005】
このようなブロッキング現象を防ぐ為、特許文献1の構成のように、搬送ロールと記録用紙に空気を送ることで記録用紙を冷却する構成が提案されている。(特許文献1参照)。
【0006】
しかし、特許文献1の構成(特許文献1の公報の図3を参照されたい)のように、記録用紙の搬送方向に対して直交するように空気を送っても、記録用紙に対する冷却能力は低い。特に、搬送速度300mm/sec程度の高速機では能力が殆ど期待できない。さらに、搬送されている記録用紙の先端部の挙動が、空気を吹きつけられることで不安定になる。よって、記録用紙の先端部の折れや紙詰り等が発生し易い。
【0007】
そこで、用紙ガイドにヒートパイプを設け、記録用紙を冷却する構成が提案されている。(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開平3−19617号公報
【特許文献2】特開平4−260065号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1の特開平4−260065号公報の構成のように、記録用紙の冷却能力を高めるためヒートパイプで用紙ガイドを冷却すると、用紙ガイドに結露が生じる。つまり、用紙ガイドに水滴が付着する。そして、この水滴が、例えば、記録用紙に付着して白抜けなどのディフェクトを引き起こす。
【0009】
本発明は、上記問題を解決すべく成されたもので、結露に起因するディフェクトなどの問題を引き起こすことなく、トナー像が定着した記録媒体を十分冷却して排出することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に記載の画像形成装置は、記録媒体にトナー像を転写する画像形成部と、前記画像形成部で前記記録媒体に転写された前記トナー像を、該記録媒体に定着させる熱定着部と、前記熱定着部で前記トナー像が定着した前記記録媒体が排出される排出部と、前記定着部と前記排出部との間の搬送経路部に設けられ、前記記録媒体を搬送するとともに冷却する搬送冷却手段と、を備え、前記搬送冷却手段は、前記記録媒体に当接し、回転して該記録媒体を搬送するともに、該記録媒体を冷却する回転冷却部材と、前記回転冷却部材に発生した結露を除去する結露除去手段と、前記除去手段で除去された結露を捕獲する結露捕獲手段と、を備えることを特徴としている。
【0011】
請求項1に記載の画像形成装置は、画像形成部で記録媒体に転写されたトナー像を、熱定着部で定着する。熱定着部でトナー像が定着した記録媒体は、搬送経路部に設けられた回転冷却部材によって、搬送されるとともに冷却され、排出部から排出する。
【0012】
よって、記録媒体は十分冷却されたたのち、排出部にスタックしていくので、ブロッキング現象が発生しない。
【0013】
さて、回転冷却部材は記録媒体を十分に冷却するので、定着後の熱を持った記録媒体で暖められた周囲の空気との温度差が大きい。このため、回転冷却部材が結露する。しかし、結露除去手段によって結露(によって生じる水滴)を除去するとともに、結露捕獲手段によって除去された結露(水滴)を捕獲している。
【0014】
したがって、結露に起因する問題、例えば、記録媒体に水滴が付着して起こるディヘクトなどが発生しない。
【0015】
請求項2に記載の画像形成装置は、請求項1に記載の構成において、前記回転冷却部材は、前記記録媒体の前記トナー像が定着した面に当接することを特徴としている。
【0016】
請求項2に記載の画像形成装置は、回転冷却部材は記録媒体のトナー像が定着した面に当接するので、定着したトナー像に対する冷却効果が高い。
【0017】
請求項3に記載の画像形成装置は、請求項1、又は請求項2に記載の構成において、前記回転冷却部材は、前記記録媒体の搬送方向に複数並んでいること特徴としている。
【0018】
請求項3に記載の画像形成装置は、記録媒体の搬送方向に並んだ複数の回転冷却部材で冷却するので、冷却能力が格段に高い。また、順番に徐々に冷却していくので、グロスむらも少なくなる。
【0019】
請求項4に記載の画像形成装置は、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の構成において、前記搬送冷却手段は、前記回転冷却部材を冷却する送風手段を備えることを特徴としている。
【0020】
請求項4に記載の画像形成装置は、送風手段が回転冷却部材を冷却するので、回転冷却部材の冷却能力が向上する。
【0021】
なお、この送風手段が送る空気が搬送中の記録媒体には当らないようにすることで、搬送中の記録媒体が搬送不良を起こすことはない。
【0022】
請求項5に記載の画像形成装置は、請求項4に記載の構成において、前記送風手段は、前記排出部に排出された前記記録媒体にも空気を吹き付けることを特徴としている。
【0023】
請求項5に記載の画像形成装置は、送風手段が排出部に排出された記録媒体にも空気を吹き付けるので、排出後も記録媒体が冷却される。よって、ブロッキング現象がより防止される。
【0024】
請求項6に記載の画像形成装置は、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の構成において、前記回転冷却部材は、冷却ロールであることを特徴としている。
【0025】
請求項6に記載の画像形成装置は、冷却ロールによって記録媒体を搬送するとともに、冷却する。
【0026】
請求項7に記載の画像形成装置は、請求項6に記載の画像形成装置は、前記冷却ロールは金属製であることを特徴としている。
【0027】
請求項7に記載の画像形成装置は、金属製の冷却ロールで記録媒体を搬送して冷却している。金属製の冷却ロールは熱伝導率が良いので、冷却能力が高い。
【0028】
請求項8に記載の画像形成装置は、請求項7に記載の構成において、前記金属製の冷却ロールは、円柱であることを特徴としている。
【0029】
請求項8に記載の画像形成装置は、円柱の金属製の冷却ロールで、記録媒体を搬送し冷却している。円柱の金属製の冷却ロールは熱伝導率が良く熱容量も大きいので、冷却能力が高い。
【0030】
請求項9に記載の画像形成装置は、請求項7に記載の構成において、前記金属製の冷却ロールは、中空であり、内壁に冷却フィンを備えることを特徴としている。
【0031】
請求項9に記載の画像形成装置は、内壁に冷却フィンを備えている。よって、冷却ロールがこの冷却フィンで放熱されるので、冷却能力が向上する。
【0032】
請求項10に記載の画像形成装置は、請求項9に記載の構成において、前記冷却フィンは、前記冷却ロールの回転に伴い、該冷却ロールの内部に軸方向の空気流を発生させるスパイラルフィンであることを特徴としている。
【0033】
請求項10に記載の画像形成装置は、スパイラルフィンが冷却ロールの回転に伴い、冷却ロールの内部に軸方向の空気流を発生させるので、放熱効果がより高くなる。よって、冷却ロールの冷却能力が更に向上する。
【0034】
請求項11に記載の画像形成装置は、請求項1から請求項10に記載の構成において、一方の面にトナー像が定着した前記記録媒体を裏表反転して、前記画像形成部に再度記録媒体を搬送する反転搬送部を備え、前記反転搬送部にも、前記搬送冷却手段を備えることを特徴としている。
【0035】
請求項11に記載の画像形成装置は、反転搬送部にも、搬送冷却手段を備えているので、画像形成部で他方の面にトナー像を転写する際、記録媒体が冷却されている。よって、記録媒体へのトナー像の転写が安定する。
【0036】
請求項12に記載の画像形成装置は、請求項11に記載の構成において、前期反転搬送部は、一方の面にトナー像が定着した前記記録媒体を裏表反転したのち、前記画像形成部に搬送せずに前記搬送部に搬送することも可能としたことを特徴としている。
【0037】
請求項12に記載の画像形成装置は、一方の面にトナー像が定着した記録媒体を反転搬送部で冷却し裏表反転したのち、現像部に搬送せずに搬送部に搬送して冷却し、排出部に排出することもできる。つまり、反転搬送部の搬送冷却手段と搬送部の搬送冷却手段との両方で記録媒体を冷却することができる。よって、冷却能率が格段に高い。
【発明の効果】
【0038】
以上説明したように本発明によれば、結露に起因するディフェクトなどの問題を引き起こすことなく、トナー像が定着した記録媒体を十分冷却して排出できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
図1は、本発明の第一実施形態に係る画像形成装置100を示している。
【0040】
画像形成装置100は、図示しないパーソナルコンピュータ等の画像データ入力装置から送られてくるカラー画像情報に基づいて画像処理を行い、電子写真方式によって記録用紙Pにカラー画像を形成する。また、画像形成装置100は、搬送速度300mm/sec程度の高速機である。
【0041】
画像形成装置100は、画像形成部102と、給紙部104と、排紙部106と、で構成している。
【0042】
画像形成部102には、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のトナー像を形成する画像形成ユニット10Y,10M,10C,10Kを備えている。なお、以降、YMCKを区別する必要がある場合は、符号の後にY、M、C、Kの何れかを付し、YMCKを区別する必要が無い場合は、Y、M、C、Kを省略する。
【0043】
画像形成ユニット10Y,10M,10C,10Kは、バックアップロール34と複数の張架ロール32によって張架された無端状の中間転写ベルト30の進行方向Wに一列に並んで配列されている。また、中間転写ベルト30は、各画像形成ユニット10Y,10M,10C,10Kの潜像担持体としての感光体ドラム12Y,12M,12C,12Kと、各感光体ドラム12それぞれに対向して配設される一次転写ロール16Y、16M,16C,16Kと、の間を挿通している。
【0044】
つぎに、各画像形成ユニット10Y,10M,10C,10Kの構成と中間転写ベルト30への画像形成の動作とを、イエロートナー画像を形成する画像ユニット10Yを代表して説明する。
【0045】
まず、感光体ドラム12Yが、帯電器13Yにより表面が一様に帯電される。つぎに、露光装置14Yによりイエロー画像に対応する像露光がなされ、感光体ドラム12Yの表面にイエロー画像に対応する静電潜像が形成される。
【0046】
イエロー画像に対応する静電潜像は、現像装置15Yによって現像され、イエロートナー画像となる。イエロートナー画像は、一次転写ロール16Yに印加された転写バイアスによる静電吸引によって、中間転写ベルト30上に転写される。一次転写後、感光体ドラム12Yに残留した未転写残留イエロートナーは、感光体ドラムクリーニング装置17Yで除去される。そして、感光体ドラム12Yの表面は、除電装置(図示略)によって除電された後、つぎの画像形成サイクルの為、帯電器13Yで再び帯電される。
【0047】
本画像形成装置100では、各画像形成ユニット10Y,10M,10C,10Kの相対的な位置の違いを考慮したタイミングで、上記と同様の画像形成工程が各画像形成ユニット10Y,10M,10C,10Kにおいても行われ、中間転写ベルト30上に、順次、Y,M,C,Kの各色トナー像が重ねられ、フルカラートナー像が形成される。
【0048】
中間転写ベルト30に形成されたフルカラートナー像は、所定のタイミングで二次転写位置Aへと搬送される記録用紙Pに、中間転写ベルト30を支持するバックアップロール34に圧接する二次転写ロール36に印加された転写バイアスによる静電吸引力によって転写される。
【0049】
記録用紙Pは、画像形成部102の側方に配置された給紙部104の給紙カセット60、61に収容されている。そして、記録用紙Pが、給紙カセット60、61のいずれか一方から画像形成部102に給紙される。給紙された記録用紙Pは、搬送機構64の複数の搬送ロール66及びレジストロール68によって、所定のタイミングで二次転写位置Aに送られる。そして、前述したように、バックアップロール34と二次転写ロール36とによって、中間転写ベルト30からフルカラートナー像が一括して記録用紙Pに転写される。
【0050】
バックアップロール34と二次転写ロール36とによって、記録用紙Pに転写されなかった中間転写ベルト30上の未転写の残留トナーは、中間転写ベルトクリーニング装置40のクリーニングブレード42で掻き取られ、除去される。
【0051】
さて、中間転写ベルト30からフルカラートナー像が転写された記録用紙Pは、中間転写ベルト30から分離した後、二次転写位置Aの下流側に配設された搬送ベルト38によって定着装置50へと搬送される。
【0052】
定着装置50は、熱伝導性の高い金属性コアの内部にハロゲンランプなどの加熱源を備える加熱定着ロール52を備えている。また、加熱定着ロール52と対になる加圧ロール56の加熱定着ロール52にニップしている。
【0053】
そして、フルカラートナー像を担持した面が加熱定着ロール52側となって、記録用紙Pが加熱定着ロール52と加圧ロール56とで把持搬送される際に、熱と圧力とでフルカラートナー像が記録用紙Pに定着する。
【0054】
定着装置50でカラートナー像が定着した記録用紙Pは、排紙部106に送られる。そして、排紙部106の排紙機構110によって、記録用紙Pが排紙トレイ72に排出され、スタックされていく。なお、排紙機構110についての詳細は後述する。
【0055】
さて、本画像形成装置100は、一方の面にカラートナー像が定着された記録用紙Pの表裏を反転し、再び記録用紙Pを二次転写位置Aへと搬送し、他方の面にも中間転写ベルト30から新たなフルカラートナー像を転写し、記録用紙Pの両面に画像を形成可能な、いわゆる、両面印刷機能を備えている。
【0056】
具体的には、記録用紙Pは排紙部106の反転搬送機構70で反転された後、反転搬送路74を介して搬送機構64に搬送され、再度、搬送機構64によって所定のタイミングで記録用紙Pの他方の面が中間転写ベルト30側となって二次転写位置Aに送られる。
【0057】
そして、記録用紙Pの他方の面にフルカラートナー像が転写された後、定着装置50で同様に他方の面にもカラートナー像が定着され、排紙部106の、今度は排紙機構110によって排紙トレイ72に排出される。
【0058】
次に、排紙機構110について説明する。
【0059】
図2に示すように、排紙機構110は、箱形状のケース112を備え、このケース112に、回転冷却部材としての金属製の円柱(中空でない棒状)の冷却ロール114が回転自在に軸支されている。なお、この冷却ロール114は、記録用紙Pの搬送方向Sに複数(本実施形態では5つ)平行に並んでいる。また、ケース112は、記録用紙Pの搬送方向Sに傾いている。更に、ケース112の底面(斜面)には、複数の孔116が形成されており、この孔116から冷却ロール114が露出している。
【0060】
冷却ロール114にはそれぞれ対となる駆動ロール180がニップしている。駆動ロール180は駆動機構(図示略)によって回転し、また、この駆動ロール180の回転によって冷却ロール114も従動回転する。そして、駆動ロール180と冷却ロール114とによって、記録用紙Pを把持搬送する。
【0061】
また、ケース112の内部では、固定部材115に固定されたスクレーパー118が冷却ロール114に当接している。スクレーパー118には、ウレタンやシリコンなどのゴムブレードや金属板などを用いる。なお、図1では、固定部材115及びスクレーパー118の図示を省略している。
【0062】
つぎに、本実施形態の作用について説明する。
【0063】
図1に示すように、中間転写ベルト30からフルカラートナー像が転写された記録用紙Pは、中間転写ベルト30から分離した後、二次転写位置Aの下流側に配設された搬送ベルト38によって定着装置50へと搬送される。この定着装置50に送られた記録用紙Pは、加熱定着ロール52と加圧ロール56とで把持搬送される際に、熱と圧力とでフルカラートナー像が記録用紙Pに定着する。定着装置50によってカラートナー像が定着した記録用紙Pは、排紙部106に送られる。
【0064】
図2に示すように、排紙部106に送られた記録用紙Pは、排紙機構110の冷却ロール114と駆動ロール180とで把持搬送される。このとき、冷却ロール114に記録用紙Pが当接する面が、フルカラートナー像が定着した面である。
【0065】
そして、冷却ロール114と駆動ロール180とで記録用紙Pが把持搬送される間に、冷却ロール114によって記録用紙Pの熱が奪われ、記録用紙Pが急速に、及び、十分冷却する。
【0066】
したがって、記録用紙Pは十分冷却された後、図1に示すように排紙トレイ72に排紙される。よって、記録用紙Pはカールしない。さらに、記録用紙Pは十分冷却されているので、排紙トレイ72に記録用紙Pがスタックされ重なっても、ブロッキング現象は発生しない。
【0067】
なお、金属製の円柱の冷却ロール114は、熱伝導率が良く、熱容量も大きいので、冷却能力が高い。さらに、複数の冷却ロール114で順番に徐々に冷却していくことで、冷却能力が格段に高くなっている。また、トナー像のグロスむらも抑えられる。
【0068】
さて、このような冷却能力が高い冷却ロール114を用いると、記録用紙Pを十分冷却することができる。しかし、図2に示すように、定着後の熱を持った記録用紙Pによって暖められた周囲の空気との大きな温度差によって、冷却ロール114の表面が結露する。つまり、表面に水滴Kが付着する。
【0069】
しかし、この水滴Kは、冷却ロール114の回転に伴い、記録用紙Pから遠ざかり、スクレーパー118によってかきとられて除去される。除去された水滴Kはケース112の下部に溜まる。よって、冷却ロール114に付着した水滴Kに起因する問題、例えば、水滴Kが記録用紙Pに付着することによるディフェクト等は発生しない。
【0070】
このように、表面に付着した水滴Kをスクレーパー118によって除去しケース112の下部に溜めるので、記録用紙Pを十分に冷却するため冷却能力の高い金属製の円柱(中空でない棒状)の冷却ロール114を使用できる。
【0071】
なお、冷却ロール114に付着する水滴Kの量は僅かであるので、ケース112の下部に溜められた水滴Kの量も僅かである。よって、自然に蒸発してなくなる。
【0072】
また、図示は省略するが、ケース112の下部にスポンジなどの吸収体を設けて水滴Kを吸収させ、装置が傾いたり振動したりしてもケース112外に漏れ出さない構成としても良い。あるいは、ポンプ等で装置外に排出する機構を設けても良い。
【0073】
なお、上述したように、冷却ロール114は回転するので、スクレーパー118を当接させることで、水滴Kを容易に除去できる。しかし、例えば、記録媒体に当接するだけの固定ガイド等で冷却した場合、付着した水滴Kを除去することは非常に困難である。
【0074】
つぎに、冷却ロールの変形例について説明する。
【0075】
第一変形例は、図3(A)に示すように、冷却ロール124は、筒状の中空の金属性のパイプの内壁に軸方向に長い板状の冷却フィン126が形成されている。
【0076】
このような構成としたので、第一変形例の冷却ロール124は、冷却フィン126によって表面積が大きくなるとともに、回転に伴い冷却フィン126が空気に当たるので、放熱効果が大きい。したがって、冷却ロール124は放熱して温度が下がるので、冷却能力が高い。
【0077】
第二変形例は、図3(B)に示すように、冷却ロール134は、パイプの内壁に螺旋状となったスパイラルフィン136が形成されている。よって、冷却ロール134の回転に伴い、スパイラルフィン136によって、冷却ロール134の内部に軸方向に流れる空気流が発生する。
【0078】
このような構成としたので、第二変形例の冷却ロール134は、第一変形例の効果に加え、回転に伴い軸方向の空気流が発生するので、放熱効果がさらに高くなっている。したがって、冷却ロール134は、より放熱されて温度が下がるので、冷却能力もより高くなる。
【0079】
つぎに、本発明の第二の実施形態に係る画像形成装置について説明する。
【0080】
図4は、本発明の第二の実施形態に係る画像形成装置200を示している。画像形成装置200は、画像形成部102と、給紙部104と、排紙部206と、で構成している。
【0081】
なお、画像形成部102及び給紙部104は、第一実施形態と同様の構成であるので説明を省略する。また、排紙部206も第一実施形態で説明した同様の構成や部材については説明を省略する。
【0082】
排紙部206には、フルカラートナー像が定着した記録用紙Pを搬送する排紙機構210を備えている。
【0083】
図5に示すように、排紙機構210は、箱形状のケース212を備え、このケース212に、金属製の円柱の複数の冷却ロール114が回転自在に軸支されている。また、ケース212は、記録用紙Pの搬送方向Sに傾いている。さらに、ケース212の底面(斜面)には、複数の孔216が形成されており、この孔216から冷却ロール114が露出している。冷却ロール114にはそれぞれ対となる駆動ロール180がニップしている。駆動ロール180は駆動機構(図示略)によって回転し、また、この駆動ロール180の回転によって冷却ロール114も従動回転する。そして、駆動ロール180と冷却ロール114とによって、記録用紙Pを把持搬送する。ケース212の内部では、固定部材115に固定されたスクレーパー118が冷却ロール114に当接している。なお、図4では、固定部材115とスクレーパー118の図示を省略している。
【0084】
さらに、ケース212の、記録用紙Pの搬送方向Sの上流側端部には、記録用紙Pの搬送方向Sと同方向に送風する冷却ファン220が取り付けられている。
【0085】
この冷却ファン220で送られた空気は、矢印R1で示すように各冷却ロール114に吹きつけられる。さらに、矢印R2で示すように、ケース212の搬送方向Sの下流側端部に開けられた排出口212Aから吹き出し、排紙トレイ72に排出された記録用紙Pに吹き付ける。
【0086】
さらに、図4に示すように、排紙部206の反転搬送機構170の各ロールのいくつかも、金属製の円柱の冷却ロール114となっている。
【0087】
図6に示すように、同様に、金属製の円柱の複数の冷却ロール114は箱形状のケース252に回転自在に軸支されている。ケース252の両側面には、複数の孔254が形成されており、この孔254から冷却ロール114が露出している。冷却ロール114にはそれぞれ対となる駆動ロール180がニップしている。駆動ロール180は駆動機構(図示略)によって回転し、また、この駆動ロール180の回転によって冷却ロール114も従動回転する。そして、駆動ロール180と冷却ロール114とによって、記録用紙Pを把持搬送する。ケース252の内部では、固定部材256に固定されたスクレーパー258が冷却ロール114に当接している。
【0088】
さらに、図4に示すように、反転搬送機構170は、記録用紙Pを表裏反転した後、反転搬送路74に送らないで、搬送経路76を介して排紙機構210に搬送し、排紙トレイ72に排出することも可能となっている。
【0089】
つぎに、本実施形態の作用について説明する。
【0090】
前述したように、定着装置50でカラートナー像が定着した記録用紙Pが、排紙部206に送られる。
【0091】
図5に示すように、排紙部206に送られた記録用紙Pは、排紙機構210の冷却ロール114と駆動ロール180とで把持搬送される。そして、冷却ロール114と駆動ロール180とで記録用紙Pが把持搬送される間に、冷却ロール114によって記録用紙Pの熱が奪われ、記録用紙Pが急速に、及び、十分冷却する。
【0092】
したがって、記録用紙Pは十分冷却された後、排紙トレイ72に排紙される。よって、記録用紙Pはカールしない。さらに、記録用紙Pは十分冷却されているので、排紙トレイ72に記録用紙Pがスタックされて重なっても、ブロッキング現象は発生しない。
【0093】
また、周囲空気との大きな温度差によって、冷却ロール114の表面が結露し、表面に水滴Kが付着しても、スクレーパー118によってかきとられて除去される。除去された水滴Kはケース212の下部に溜まる。よって、冷却ロール114に付着した水滴に起因する問題、例えば、水滴Kが、記録用紙Pに付着することによるディフェクト等は発生しない。
【0094】
さらに、冷却ファン220によって送風された空気が冷却ロール114に吹き付けられるので、冷却ロール114の放熱が促進される。つまり、冷却ロール114の冷却能力が向上している。
【0095】
また、冷却ファン220からの風は、ケース212の、搬送方向Sの下流側端部に開けられた排出口212Aから吹き出し、排紙トレイ72に排出された記録用紙Pに吹き付けて冷却する。よって、排紙トレイ72に排出された後も更に記録用紙Pは冷却されるので、ブロッキング現象がより防止される。
【0096】
なお、冷却ファン220から送風された空気は、搬送中の記録用紙Pに当らないか、当っても非常に弱くしかあたらないので、記録用紙Pの搬送不良を招くことはない。
【0097】
さて、図6に示すように、反転搬送機構170も同様の冷却ロール114、スクレーパー258、ケース252等を備えているので、反転されて反転搬送路74を介して、二次転写位置Aに搬送される記録用紙Pも冷却している。よって、二次転写位置Aでの転写が安定する。
【0098】
さらに、図4に示すように、この反転搬送機構170で、記録用紙Pを反転するとともに冷却した後、反転搬送路74に送らないで、搬送経路76を通して排紙機構210に搬送し、更に記録用紙Pを冷却して、排紙トレイ72に排出することも可能となっている。
【0099】
なお、この場合、反転搬送機構170の冷却ロール114は、トナー像が定着した一方の面が当接する。そして、表裏反転されて排紙機構210に送られるので、排紙機構210の冷却ロール114は、他方の面(一方の面の反対面)が当接する。つまり、記録用紙Pの両方の面に冷却ロール114が当接して冷却する。
【0100】
なお、このように反転搬送機構170と排紙機構210との両方で、記録用紙Pの両面を冷却する方法であるが、常にこのような搬送経路で記録用紙Pを搬送して冷却しても良いし、通常は、排紙機構210のみで記録用紙Pを冷却し、特定の場合のみ反転搬送機構170と排紙機構210との両方で記録用紙Pを冷却しても良い。
【0101】
なお、特定の場合とは、印字カバーレジが高い場合、記録用紙Pが厚い場合、搬送速度が速い場合(搬送速度が可変可能な装置の場合)等がある。
【0102】
なお、本実施形態も第一実施形態の変形例で説明した第一変形の冷却ロール124、第二変形例の冷却ロール134(図3参照)を用いても良い。
【0103】
つぎに、本発明の第三の実施形態に係る画像形成装置について説明する。
【0104】
図7は、本発明の第二の実施形態に係る画像形成装置300を示している。画像形成装置300は、画像形成部102と、給紙部104と、排紙部306と、で構成している。
【0105】
なお、画像形成部102及び給紙部104は、第一実施形態と同様の構成であるので説明を省略する。また、排紙部306も第一実施形態で説明した同様の構成や部材については説明を省略する。
【0106】
排紙部306には、フルカラートナー像が定着した記録用紙Pを搬送する排紙機構310を備えている。
【0107】
図8にも示すように、排紙機構310には、箱形状のケース312を備え、このケース312に金属製の中空の冷却ロール314が回転自在に軸支されている。ケース312は、記録用紙Pの搬送方向Sに傾いている。更に、ケース312の底面(斜面)には、複数の孔316が形成されており、この孔316から冷却ロール314が露出している。冷却ロール314にはそれぞれ対となる駆動ロール180がニップしている。駆動ロール180は駆動機構(図示略)によって回転し、また、この駆動ロール180の回転によって冷却ロール314も従動回転する。そして、駆動ロール180と冷却ロール314とによって、記録用紙Pを把持搬送する。なお、図示は省略しているが、第一の実施形態と同様にケース312の内部では、固定部材に固定されたスクレーパーが冷却ロール314に当接している。(図2を参考)
さらに、ケース312の、記録用紙Pの搬送方向Sの上流側端部の側面には、冷却ロール314の軸方向に空気を送る冷却ファン320が取り付けられている。また、冷却ロール314の端部間がダクト322で繋がっている。したがって、冷却ファン320から送られた空気は、矢印R3で示すように、冷却ロール314とダクト322との中を通り、排出ダクト330にまで送られる。
【0108】
排出ダクト330には、記録用紙Pの搬送方向Sに空気を吹き出す排出口330Aが形成されており、排出された記録用紙Pに空気を吹き付ける。
【0109】
図9は図8のA−A断面図であり、ダクト322と冷却ロール314との結合部の構成を示している。
【0110】
冷却ロール314の端部には、ケース312に固定されたフランジ340が嵌め込まれている。また、冷却ロール314の内壁とフランジ340との間には、ベアリング342が設けられている。フランジの外側には、ダクト322が設けられている。なお、ダクト322とフランジ340との隙間はゴムなどのシール部材344でシールされている。
【0111】
このような構成としたので、中空の冷却ロール314を回転自在に支持するとともに、ダクト322から冷却ロール314の内部に軸方向に空気を通すことができる。
【0112】
つぎに、本実施形態の作用について説明する。
【0113】
図8に示すように、冷却ファン320によって送られた空気が冷却ロール314の内部を通過することで、冷却ロール314の放熱が促進される。つまり、冷却ロール314の冷却能力が向上する。
【0114】
また、冷却ファン320から送風された空気は、排出ダクト330の排出口330Aから吹き出し、排紙トレイ72に排出された記録用紙Pに吹き付けて冷却する。よって、排紙トレイ72に排出された後も更に記録用紙Pは冷却されるので、ブロッキング現象がより防止される。
【0115】
なお、本発明は上記実施形態に限定されない。
【0116】
例えば、上記実施形態では、冷却ロール114,124,134,314で記録用紙Pを冷却していたが、これに限定されない。
【0117】
例えば、図10に示すように、ロール714の間に帳架された搬送ベルト720と、駆動ロール780に帳架され駆動する駆動ベルト782と、で把持搬送する構成であっても良い。なお、水滴Kの除去はスクレーパー718で行い、除去された水滴Kはケース712の下部に貯める構成とすればよい。
【0118】
また、このような構成の場合、ロール714を、円柱又は中空(筒状)の金属ロールとし搬送ベルト720を薄膜の金属からなる無端状の金属ベルトとすると冷却能力が高くなる。
【0119】
また、更に、図中の点線で示すように、ペルチェ素子などからなる冷却部材800を搬送ベルト720の内壁に当接するようにして冷却すると、格段に冷却能力が高くなる。
【0120】
このように、冷却部材800で冷却能力を格段に高くすると、その分非常に結露しやすくなる。しかし、上述したように、スクレーパー718で水滴Kを除去し、除去された水滴Kをケース712の下部に貯める構成となっているので、結露に起因する問題は生じない。
【図面の簡単な説明】
【0121】
【図1】本発明の第一実施形態に係る画像形成装置の概略構成を示す図である。
【図2】本発明の第一実施形態に係る画像形成装置の排紙機構の概略構成を示す図である。
【図3】(A)は第一変形例の冷却ロールを示す図であり、(B)は第二変形例の冷却ロールを示す図である。
【図4】本発明の第二実施形態に係る画像形成装置の概略構成を示す図である。
【図5】本発明の第二実施形態に係る画像形成装置の排紙機構の概略構成を示す図である。
【図6】本発明の第二実施形態に係る画像形成装置の反転搬送機構の概略構成を示す図である。
【図7】本発明の第三実施形態に係る画像形成装置の概略構成を示す図である。
【図8】本発明の第三実施形態に係る画像形成装置の排紙機構の概略構成を示す図である。
【図9】図8のA−A断面の図である。
【図10】本発明のその他の例の排紙機構を示す概略構成図である。
【符号の説明】
【0122】
50 熱定着装置(熱定着部)
72 排出トレイ(排出部)
100 画像形成装置
102 画像形成部
106 排紙部(搬送経路部)
112 ケース(結露捕獲手段)
114 冷却ロール(回転冷却部材)
118 スクレーパー(結露除去手段)
126 冷却フィン
136 スパイラルフィン
170 反転搬送機構(反転搬送部)
200 画像形成装置
212 ケース(結露捕獲手段)
220 ファン(送風手段)
300 画像形成装置
320 ファン(送風手段)
720 搬送ベルト(回転冷却部材)
P 記録用紙(記録媒体)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体にトナー像を転写する画像形成部と、
前記画像形成部で前記記録媒体に転写された前記トナー像を、該記録媒体に定着させる熱定着部と、
前記熱定着部で前記トナー像が定着した前記記録媒体が排出される排出部と、
前記定着部と前記排出部との間の搬送経路部に設けられ、前記記録媒体を搬送するとともに冷却する搬送冷却手段と、
を備え、
前記搬送冷却手段は、
前記記録媒体に当接し、回転して該記録媒体を搬送するともに、該記録媒体を冷却する回転冷却部材と、
前記回転冷却部材に発生した結露を除去する結露除去手段と、
前記結露除去手段で除去された結露を捕獲する結露捕獲手段と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記回転冷却部材は、前記記録媒体の前記トナー像が定着した面に当接することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記回転冷却部材は、前記記録媒体の搬送方向に複数並んでいること特徴とする請求項1、又は請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記搬送冷却手段は、前記回転冷却部材を冷却する送風手段を備えることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記送風手段は、前記排出部に排出された前記記録媒体にも空気を吹き付けることを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記回転冷却部材は、冷却ロールであることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記冷却ロールは金属製であることを特徴とする請求項6に記載画像形成装置。
【請求項8】
前記金属製の冷却ロールは、円柱であることを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記金属製の冷却ロールは、中空であり、内壁に冷却フィンを備えることを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記冷却フィンは、前記冷却ロールの回転に伴い、該冷却ロールの内部に軸方向の空気流を発生させるスパイラルフィンであることを特徴とする請求項9に記載の画像形成装置。
【請求項11】
一方の面にトナー像が定着した前記記録媒体を裏表反転して、前記画像形成部に再度記録媒体を搬送する反転搬送部を備え、
前記反転搬送部にも、前記搬送冷却手段を備えることを特徴とする請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記反転搬送部は、一方の面にトナー像が定着した前記記録媒体を裏表反転したのち、前記画像形成部に搬送せずに前記搬送部に搬送することも可能としたことを特徴とする請求項11に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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