説明

画像形成装置

【課題】 音や振動を生じることなく、回収トナーの滞留やつまりを防止するとともに、回収トナーの帯電不良を改善する。
【解決手段】 感光体ドラム11は、非画像形成時に、非画像形成領域において、キャリア付着電位を超える電位の静電気を帯電し、マグネットロール16からトナー回収容器21側にキャリアを搬送する。トナー回収容器21側に搬送されたキャリアは、キャリア捕集ロール71により捕集され、そこに堆積する。所定時間の経過後、キャリア捕集ロール71は回動し、捕集したキャリアをキャリア回収ロール721に搬送する。キャリア回収ロール721が有する磁力によりキャリア回収ロール721に移動したキャリアはスクレーパ722によりキャリア回収ロール721から剥離され、トナー回収容器21に落下する。トナー回収容器21に落下したキャリアは、回収トナーと撹拌されながら、回収トナーの搬送経路を搬送される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式による画像形成装置において、回収トナーの滞留やつまりを防止するとともに、回収トナーの帯電不良を改善する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
図12は、従来技術による画像形成装置9の主要な構成を示した図である。画像形成装置9は以下の構成部を備えている。
表面に静電気を帯電し光の照射により帯電した静電気を放電する感光体ドラム11。
感光体ドラム11の表面に静電気を帯電させる帯電ロール12。
LED等を備え、感光体ドラム11に対し画像を示す光の照射を行うイメージバー13。
例えば、上方に配置された新規トナー容器(図示略)から自由落下してくる新規トナーを、回収トナー搬送オーガ22から供給される回収トナーと混合した後、撹拌しつつ供給オーガ15に搬送する撹拌オーガ14。
撹拌オーガ14により供給されるトナーをマグネットロール16に供給する供給オーガ15。
磁極を備え、供給オーガ15を収容する現像器内においてトナーに混合されている磁性粉であるキャリアを表面に付着することにより、キャリア表面に静電気により付着したトナーを担持した後、回動により担持したトナーを感光体ドラム11の表面付近まで搬送するマグネットロール16。
感光体ドラム11の表面に付着したトナーを中間転写体である転写ベルト18に転写する転写ロール17。
転写ロール17により感光体ドラム11の表面から転写されたトナーを印加された電圧により担持して、紙等の記録媒体へトナーを再転写するための再転写ロール(図示略)の位置まで搬送する転写ベルト18。
感光体ドラム11の表面に付着したトナーのうち、転写ベルト18に転写されずに感光体ドラム11の表面に付着しているトナーを剥離するクリーニングブレード19。
クリーニングブレード19により剥離されたトナーを回収しつつ回収トナー搬送オーガ22まで搬送する回収オーガ20。
回収オーガ20を収納するトナー回収容器21。
回収オーガ20により回収されたトナー(以下、「回収トナー」という)を撹拌オーガ14まで搬送する回収トナー搬送オーガ22。
【0003】
図12を参照しつつ、画像形成装置9の動作を説明する。画像形成装置9は画像形成の指示を受け取ると、感光体ドラム11の回転を開始するとともに、帯電ロール12による静電気の生成および帯電ロール12の回転を開始する。その結果、感光体ドラム11の表面には一様に静電気が帯電する。
【0004】
画像形成装置9は、イメージバー13を用いて、形成されるべき画像の明部に対応する感光体ドラム11上の位置に光を照射する。その結果、感光体ドラム11上に帯電していた静電気のうち、画像の明部に対応する位置に帯電していた静電気は放電され、その位置の電位が低下する。その結果、静電気の帯電により画像を示す潜像が感光体ドラム11上に形成される。
【0005】
また、画像形成装置9は画像形成の指示を受け取ると、感光体ドラム11上に形成された潜像の先端にトナー供給が間に合うタイミングで、撹拌オーガ14、供給オーガ15およびマグネットロール16の回転を開始する。その結果、撹拌オーガ14で撹拌されたトナーが供給オーガ15によりマグネットロール16に供給され、マグネットロール16の表面に担持されたトナーが感光体ドラム11の表面付近まで搬送される。
【0006】
感光体ドラム11の表面付近に搬送されたトナーは、感光体ドラム11の表面に形成されている潜像の静電気によりマグネットロール16の表面から感光体ドラム11の表面に移動する。その結果、感光体ドラム11の表面に潜像に応じたトナー像が形成される。
【0007】
また、画像形成装置9は画像形成の指示を受け取ると、感光体ドラム11上に形成されたトナー像の先端の到着に間に合うタイミングで、転写ロール17に所定の電圧値の電圧を印加するとともに、転写ロール17の回転を開始する。また、画像形成装置9は感光体ドラム11の表面の移動速度と一致する速度で転写ベルト18の循環を開始する。その結果、感光体ドラム11の表面に形成されたトナー像は転写ロール17の表面に転写され、再転写ロールの位置まで搬送される。
【0008】
転写ベルト18により再転写ロールの位置まで搬送されたトナー像は再転写ロールにより記録媒体上に再転写される。トナー像の再転写を受けた記録媒体は定着器(図示略)に搬送される。定着器は記録媒体上のトナー像を記録媒体へ押圧しつつ加熱することにより、トナー像を記録媒体上に定着させる。その結果、記録媒体上に目的とする画像の形成が行われる。
【0009】
感光体ドラム11の表面に付着したトナーの中には、転写ベルト18に転写されずに転写ロール17付近を通過してしまうものがある。そのような未転写トナーは、クリーニングブレード19により感光体ドラム11から剥離され、トナー回収容器21に自由落下する。画像形成装置9は回収オーガ20の回転を行い、未転写トナーを回収しつつ回収トナー搬送オーガ22に搬送する。また、画像形成装置9は回収トナー搬送オーガ22の回転を行い、回収オーガ20により回収された回収トナーを撹拌オーガ14まで搬送する。その結果、回収トナーは新規トナーと混合されて再利用される。
【0010】
ところで、回収トナーの平均粒径は新規トナーの平均粒径よりも小さかったり、トナー表面に付着させた外添剤が脱離または埋没しているため流動性が悪い。そのため、回収トナーの回収および搬送の経路において、トナーの滞留や詰まりが生じやすい。また、新規トナーの帯電性と比較して、回収トナーの帯電性は全体とし低下している。
【0011】
回収トナーが滞留すると、ある程度滞留した回収トナーがまとめて撹拌オーガ14に供給されるため、現像剤の特性にムラを生じ画質低下をもたらす。また、回収トナーが詰まると、トナー回収容器21に回収トナーが溜まり感光体ドラム11の回転を妨げ、画質低下をもたらす。さらにトナー回収容器21に滞留した回収トナーが転写ロール17の位置まで達すると、それ以上の運転が不可能となる。さらに、回収トナーの帯電不良は、かぶりや噴出し等の原因となり、画質低下をもたらす。
【0012】
上述した画像形成装置9の問題点を解決するために、特許文献1には、トナー回収容器に新規トナーを補給し撹拌することにより、回収トナーの流動性および帯電性を向上させる技術が提案されている。
【特許文献1】特開2000−338836号公報
【0013】
また、特許文献2には、トナー回収容器を叩くことにより、回収容器の壁面に回収トナーが滞留することを防止する技術が提案されている。
【特許文献2】特開2000−19922号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
上記の特許文献1に提案されている技術による場合、新規トナーと回収トナーが撹拌されることにより一定の効果がもたらされるが、粒径差の小さい新規トナーと回収トナーを十分に撹拌することは容易ではない。また、いったん回収トナーが撹拌部材や回収経路の壁面等に付着すると、粒径差が小さく重量が小さい新規トナーにより付着した回収トナーを剥離することは困難である。その結果、回収トナーの滞留やつまりを十分に防止することができない、という問題がある。そのような問題は、特に付着トナーが成長しやすい高温多湿の環境下において生じやすく、また回収トナーの搬送路における自由落下部分において生じやすい。
【0015】
また、上記の特許文献2に提案されている技術による場合、トナー回収容器が叩かれる際に生じる音がユーザにとって耳障りとなる。そのような叩き音が画像形成装置の外に漏れることを抑制するために防音材等を画像形成装置内に設けることが考えられるが、コスト高となるだけでなく、機内の高温化をもたらし、かえってトナーの流動性を低下させる可能性もある。また、叩き音の発生自体を抑制するために、例えば叩き部材やトナー回収容器の材料の硬度を低くすることが考えられるが、その場合、トナーの付着防止の効果は低下する。
【0016】
さらに、上記の特許文献2に提案されている技術による場合、トナー回収容器が叩かれる際に生じる振動が感光体ドラム11、帯電ロール12、イメージバー13、マグネットロール16、転写ロール17、転写ベルト18等に伝播し、画質低下をもたらすおそれもある。
【0017】
上述の事情に鑑み、本発明は、電子写真方式による画像形成装置において、音や振動を生じることなく、回収トナーの滞留やつまりを効果的に防止するとともに、回収トナーの帯電不良を改善するための手段を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上述の課題を解決するため、本発明は、表面に帯電された静電気により、現像剤に含まれるトナーおよびキャリアを付着して搬送する現像剤搬送手段と、前記現像剤搬送手段の表面に付着したトナーを転写媒体に転写する転写手段と、前記現像剤搬送手段の表面に付着したトナーのうち前記転写手段により前記転写媒体に転写されなかったトナーを回収する回収手段と、前記回収手段により回収されたトナーを搬送する回収トナー搬送手段と、前記現像剤搬送手段の表面に付着したキャリアを捕集し、捕集したキャリアを前記回収トナー搬送手段に排出する捕集排出手段とを備える画像形成装置を提供する。
【0019】
好ましい態様において、前記捕集排出手段は、時間および捕集したキャリアの量の少なくともいずれかに関する所定の条件が満たされたタイミングで前記排出を行ってもよい。
【0020】
また、好ましい態様において、前記捕集排出手段は、前記現像剤搬送手段の搬送における前記転写手段の下流側かつ前記回収手段の上流側の位置で前記現像剤搬送手段に一部が接するように配置され前記現像剤搬送手段の表面に付着したキャリアを捕集する捕集手段と、前記捕集手段に一部が接するかもしくは所定距離で近接する位置に配置され前記捕集手段により捕集されたキャリアを前記回収トナー搬送手段に排出する排出手段とを備えてもよい。
【0021】
また、好ましい態様において、前記捕集手段は、前記現像剤搬送手段に接する部分が不織布もしくはブラシで構成され、回動または移動して、前記不繊布もしくはブラシにより捕集したキャリアを前記排出手段に搬送してもよい。
【0022】
また、好ましい態様において、前記キャリアは磁性粉であり、前記排出手段は、前記捕集手段により捕集されたキャリアを表面に付着して回動するマグネットロールと、前記マグネットロールの表面に付着したキャリアを剥離するスクレーパとを備えてもよい。
【0023】
また、好ましい態様において、前記捕集排出手段は、非画像形成時に前記捕集を行ってもよい。
【0024】
また、好ましい態様において、前記現像剤搬送手段は、非画像形成時にキャリアを感光体に付着して搬送してもよい。
【0025】
また、好ましい態様において、前記現像剤搬送手段は、感光体表面の非画像形成領域にキャリアを付着して搬送してもよい。
【0026】
また、好ましい態様において、前記現像剤搬送手段に現像剤を供給する供給手段を備え、前記回収トナー搬送手段は、前記回収手段により回収されたトナーおよび前記捕集排出手段により排出されたキャリアの少なくとも一部を、前記供給手段に搬送してもよい。
【0027】
かかる構成の画像形成装置によれば、トナーよりも粒径の大きいキャリアが、回収されたトナーの搬送経路を搬送される際に、搬送経路の壁面等に付着しているトナーを掻き落とすため、トナーの滞留やつまりが効果的に防止される。また、回収されたトナーが搬送中にキャリアとの間の摩擦により帯電するため、回収されたトナーの帯電性が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
[1.実施形態]
図1は、本発明の実施形態にかかる画像形成装置1の主要な構成を示した図である。画像形成装置1は従来技術にかかる画像形成装置9が備える構成部を全て備えている。従って、以下の説明において、画像形成装置1と画像形成装置9が共に備える構成部には、画像形成装置9において用いた符号と同じ符号を用いる。
【0029】
画像形成装置1は、画像形成装置9と異なり、感光体ドラム11に付着したキャリアを捕集するキャリア捕集ロール71と、キャリア捕集ロール71により捕集されたキャリアをキャリア捕集ロール71から付着した後にトナー回収容器21に排出するキャリア排出ユニット72とを備えている。
【0030】
キャリア捕集ロール71は、図1に示されるように、感光体ドラム11の回動方向における転写ロール17より下流、クリーニングブレード19より上流の位置xで感光体ドラム11に接するように配置されている。
【0031】
図2は、キャリア捕集ロール71の一例であるキャリア捕集ロール71aの構造を示した図である。キャリア捕集ロール71aは、軸棒711の周りを不繊布712で被覆した構造を備えている。軸棒711は例えばモータ(図示略)により駆動され、図1の矢印aの方向に回動可能となっている。また、不繊布712の素材としては、トナーは容易に繊維間を通過するがキャリアは通過しないような繊維密度の不繊布が用いられている。
【0032】
図3は、キャリア捕集ロール71の他の例であるキャリア捕集ロール71bの構造を示した図である。キャリア捕集ロール71bは、軸棒711の周りにブラシ713を設けた構造を備えている。キャリア捕集ロール71aの場合と同様に、軸棒711は例えばモータ(図示略)により駆動され、図1の矢印aの方向に回動可能となっている。また、ブラシ713の毛は、感光体ドラム11と接する毛先において、トナーは容易に毛の間を通過するがキャリアは通過しないような密度で植毛されている。
【0033】
図4はキャリア排出ユニット72の構造を示した図である。キャリア排出ユニット72は、キャリア捕集ロール71により捕集されたキャリアを磁力により付着するキャリア回収ロール721と、キャリア回収ロールの表面に付着したキャリアを剥離するスクレーパ722とを備えている。
【0034】
キャリア回収ロール721は、図1に示されるように、キャリア捕集ロール71を中心に感光体ドラム11と反対側の位置yで、キャリア捕集ロール71に接するか、もしくはキャリア回収ロール721の磁力によりキャリア捕集ロール71に捕集されたキャリアを付着可能な距離を保ってキャリア捕集ロール71に近接するように配置されている。
【0035】
キャリア回収ロール721は、固定された軸棒7211の周りに磁界発生器7212を固定し、管形状のスリーブ7213で磁界発生器7212の周りを覆った構造を備えている。スリーブ7213は例えばモータ(図示略)により駆動され、図1の矢印bの方向に回動可能となっている。磁界発生器7212は、複数の磁石が組み合わされた構造を有し、キャリア捕集ロール71と接する位置yの付近でキャリアを付着し、スクレーパ722と接する位置zの付近でキャリアを離すような磁力分布を生じる。
【0036】
図5は、感光体ドラム11、キャリア捕集ロール71およびキャリア排出ユニット72を下方から観た図を示している。図5に示されるように、キャリア捕集ロール71は感光体ドラム11の画像形成領域、すなわち記録媒体の全幅に対応する領域の外側部分において感光体ドラム11に接している。キャリア捕集ロール71が感光体ドラム11と接している領域は、感光体ドラム11によりキャリアが搬送される領域であるキャリアバンドをカバーしている。なお、キャリアバンドについては後述する。
【0037】
キャリア回収ロール721は、キャリア捕集ロール71の全幅をカバーするように、キャリア捕集ロール71に接するか、もしくは近接している。スクレーパ722はキャリア回収ロール721の全幅をカバーするように、キャリア回収ロール721に接している。
【0038】
続いて画像形成装置1の動作を説明する。図6は、画像形成時において感光体ドラム11の表面に形成される静電気層の電位を示したグラフである。図6において横軸は感光体ドラム11の表面における軸方向の位置を示し、縦軸は電位(直流成分、−V)を示している。なお、以下に示す電位の正負は逆であってもよい。
【0039】
本実施形態におけるトナーは負に帯電している。マグネットロール16には現像バイアス電圧値Aの電圧が印加されている。そのため、感光体ドラム11の表面の電位が現像バイアス電圧値Aよりも低ければ、トナーは電位が低い感光体ドラム11側に移動し、感光体ドラム11の表面に付着する。一方、感光体ドラム11の表面の電位が現像バイアス電圧値Aよりも高ければ、トナーは電位が低いマグネットロール16側に留まる。
【0040】
また、本実施形態におけるキャリアは正に帯電している。しかしながら、キャリアは磁性粉であるため、キャリアが感光体ドラム11側に移動するか、それともマグネットロール16側に留まるかはマグネットロール16の磁力と、感光体ドラム11とマグネットロール16との間の電位差との関係により定まる。すなわち、感光体ドラム11の表面の電位がキャリア付着電位Bを超えれば静電気による力が磁力に打ち勝ち、キャリアが感光体ドラム11側に移動するが、感光体ドラム11の表面の電位がキャリア付着電位Bを超えなければ、磁力によりキャリアはマグネットロール16側に留まる。
【0041】
画像形成時には、帯電ロール12により、感光体ドラム11の表面には電位pの静電気が一様に帯電される。その後、画像の明部を示す位置にイメージバー13による露光が行われ、露光部の電位が電位qに低下する。その結果、静電気による潜像が感光体ドラム11の表面に形成される。
【0042】
上記のように潜像が形成された感光体ドラム11の表面付近にマグネットロール16に担持されたキャリアおよびトナーが供給されると、電位pの位置においてはトナーがマグネットロール16から移動して感光体ドラム11の表面に付着し、電位qの位置においてはトナーおよびキャリアのいずれもマグネットロール16から移動せず、感光体ドラム11の表面には何も付着しない。その結果、感光体ドラム11の表面にはトナー像が形成される。
【0043】
上記のように感光体ドラム11の表面に形成されたトナー像は、従来技術にかかる画像形成装置9における場合と同様に転写および再転写の後、記録媒体上に定着される。
【0044】
感光体ドラム11上に付着したトナーのうち、転写ロール17により転写ベルト18に転写されなかった未転写トナーは、感光体ドラム11の回動に伴いキャリア捕集ロール71の位置に到達するが、その多くはそのまま通過しクリーニングブレード19の位置に到達して、クリーニングブレード19により感光体ドラム11から剥離された後、トナー回収容器21に自由落下する。
【0045】
一方、未転写トナーのうち、一部のものはキャリア捕集ロール71により剥離されキャリア捕集ロール71と感光体ドラム11との接する位置xに滞留するが、いずれは感光体ドラム11とキャリア捕集ロール71との間を通過してトナー回収容器21に直接自由落下するか、もしくは再度、感光体ドラム11に付着してクリーニングブレード19の位置まで移動した後、クリーニングブレード19に剥離されてトナー回収容器21に自由落下する。
【0046】
上記のように、画像形成中に感光体ドラム11はキャリアの搬送を行わないため、キャリア捕集ロール71およびキャリア回収ロール721は特段の働きをしない。従って、画像形成中にキャリア捕集ロール71およびキャリア回収ロール721を回動する必要はない。
【0047】
図7は、非画像形成時において感光体ドラム11の表面に形成される静電気層の電位を示したグラフである。非画像形成時には、帯電ロール12により、感光体ドラム11の表面には電位rの静電気が一様に帯電される。その後、画像形成領域、すなわち記録媒体の全幅に相当する領域にイメージバー13による露光が行われ、露光部の電位が電位pに低下する。
【0048】
上記のように非画像形成領域においては電位r、画像形成領域においては電位pの静電気層の形成された感光体ドラム11の表面付近にマグネットロール16に担持されたキャリアおよびトナーが供給されると、電位rの位置においてはキャリアがマグネットロール16から移動して感光体ドラム11の表面に付着し、電位pの位置においてはキャリアおよびトナーのいずれもマグネットロール16から移動せず、感光体ドラム11の表面には何も付着しない。このように、キャリアを付着する電位rの領域をキャリアバンドと呼ぶ。
【0049】
上記のように感光体ドラム11のキャリアバンドに付着したキャリアは、感光体ドラム11の表面に付着したまま転写ロール17の位置を通過する。負に帯電したトナーを転写ベルト18側に移動させる転写ロール17は正に帯電したキャリアを転写ベルト18側に移動させることはないためである。その結果、感光体ドラム11の表面に付着したキャリアはキャリア捕集ロール71と接する位置xに到達する。
【0050】
位置xにおいて、キャリアはキャリア回収ロール721に捕集される。より具体的には、不繊布712の繊維間もしくはブラシ713の毛先間を通過することができず、そこに留まる。
【0051】
非画像形成時においては、キャリア捕集ロール71は連続的に、もしくは所定時間間隔で断続的に、矢印aの方向に回動する。キャリア捕集ロール71の回動に伴い、キャリア捕集ロール71に捕集されたキャリアはキャリア回収ロール721と接する位置yまで搬送され、キャリア回収ロール721の磁力によりスリーブ7213側に移動する。
【0052】
非画像形成時においては、スリーブ7213は所定時間間隔で断続的に、矢印bの方向に回動する。スリーブ7213が停止している間、キャリア捕集ロール71から移動したキャリアは位置yに堆積していく。その後、所定時間が経過してスリーブ7213が回動すると、堆積したキャリアは位置zまで搬送され、磁界発生器7212による磁力の低下(または反発磁力)により自然にスリーブ7213から剥離するか、もしくはスクレーパ722によりスリーブ7213から剥離されて、トナー回収容器21に自由落下する。
【0053】
トナー回収容器21に落下したキャリアは、回収オーガ20および回収トナー搬送オーガ22により撹拌オーガ14まで搬送される。その搬送の間、キャリアは回収トナーと撹拌されつつ移動するので、回収トナーの搬送経路の壁面等に付着しようとする回収トナーを掻き落とす。また、搬送中に回収トナーとキャリアは互いに擦れ合い静電気を生じる結果、回収トナーの低下した帯電性が回復する。
【0054】
以上のように、画像形成装置1によれば、感光体ドラム11によりトナー回収容器21側まで搬送されたキャリアが回収トナーの搬送経路を移動しつつ回収トナーを壁面等から掻き落とすため、回収トナーの滞留やつまりが効果的に防止される。その際、回収トナーの搬送経路の部材を叩く等により雑音や振動を発生させることはない。
【0055】
また、キャリア捕集ロール71により捕集されたキャリアはすぐさまトナー回収容器21に排出されることなく、ある程度堆積した後にまとめてトナー回収容器21に排出されるため、キャリアはより強力に回収トナーを掻き落とすことができる。
【0056】
さらに、回収トナーの搬送経路を移動するキャリアは、摩擦により回収トナーに静電気を生じさせ、その帯電性を回復させる。
【0057】
[2.変形例]
上述した実施形態は様々に変形することができる。以下にそのような変形例を示す。
【0058】
[2.1.第1変形例]
図8は、第1変形例にかかる画像形成装置1が、画像形成時に感光体ドラム11の表面に形成する静電気層の様子を示した図である。第1変形例においては、帯電ロール12は感光体ドラム11の表面に電位rの一様な静電気層を形成する。また、イメージバー13は感光体ドラム11の回動方向に垂直に2列に配置された露光部を備えている。イメージバー13の露光部の一列目は、感光体ドラム11の画像形成領域をカバーする第1段露光領域に露光し、第1段露光領域の電位を一様に電位pまで低下させる。その後、イメージバー13の露光部の二列目は、画像の暗部の領域に露光し、電位を電位qまで低下させる。
【0059】
上記のように3段階の電位を有する静電気層を表面に形成された感光体ドラム11は、電位rの領域(キャリアバンド)においてはキャリアのみを付着し、電位pの領域においてはトナーおよびキャリアのいずれも付着せず、電位qの領域においてはトナーのみを付着する。
【0060】
第1変形例においては、キャリア捕集ロール71およびキャリア回収ロール721の回動は画像形成時に行われる。すなわち、画像形成時にキャリアのトナー回収容器21への搬送が行われる。そのため、非画像形成時に、キャリアの搬送のために感光体ドラム11の回動を行う必要がない。
【0061】
[2.2.第2変形例]
第2変形例においては、感光体ドラム11の全幅において感光体ドラム11に接するキャリア捕集ロール71が用いられる。また、第2変形例においては、キャリア捕集ロール71の全幅においてキャリア捕集ロール71に接するか、もしくは近接するキャリア回収ロール721が用いられる。さらに、第2変形例においては、キャリア回収ロール721の全幅においてキャリア回収ロール721に接するスクレーパ722が用いられる。
【0062】
第2変形例においては、非画像形成時において、イメージバー13による露光は行われない。その結果、感光体ドラム11は、画像形成領域を含む全領域において電位rの静電気層が形成された状態でマグネットロール16の位置まで回動する。その結果、感光体ドラム11の表面には全領域においてキャリアが付着する。感光体ドラム11はそのように付着したキャリアをトナー回収容器21側に搬送する。
【0063】
感光体ドラム11の全幅にわたり感光体ドラム11に接しているキャリア捕集ロール71は、感光体ドラム11に付着しているキャリアを全て捕集し、キャリア回収ロール721に搬送する。キャリア回収ロール721は所定時間の経過を待って、十分に堆積したキャリアを回動により位置zまで搬送し、トナー回収容器21に排出する。第2変形例においては、上述した実施形態の場合と比較して、キャリアの搬送効率が高い。
【0064】
[2.3.第3変形例]
第3変形例においては、キャリア回収ロール721の軸棒7211および磁界発生器7212が、スリーブ7213とともに回動する。第3変形例においては、スリーブ7213に付着したキャリアは、位置z付近において磁力の低下もしくは反発磁力により自然とスリーブ7213から剥離することはなく、常にスクレーパ722により強制的にスリーブ7213から剥離される。
【0065】
第3変形例における磁界発生器7212が生じる磁界分布がスリーブ7213の周回方向において不均一であるような場合、キャリア回収ロール721はスリーブ7213の表面における磁力の強い部分が位置yに到達したところで回動を停止する。その結果、キャリア捕集ロール71からキャリア回収ロール721へのキャリアの移動が常に効率的に行われる。
【0066】
第3変形例によれば、スリーブ7213を軸棒7211および磁界発生器7212に固着した後、軸棒7211を駆動する構成とすればよいので、スリーブ7213を軸棒7211および磁界発生器7212から分離し駆動する上記実施形態の場合と比較して、キャリア回収ロール721の製造が容易である。なお、キャリア回収ロール721の耐久性を問題とする必要がない場合、スリーブ7213を設けずに磁界発生器7212に直接、キャリアを付着するようにしてもよい。
【0067】
[2.4.第4変形例]
第4変形例においては、位置yに堆積したキャリアの量を計測もしくは推計するセンサが設けられている。このセンサは、例えばキャリアの重量を計測する重量計であってもよいし、例えば光センサにより堆積したキャリアの嵩を計測するものであってもよい。また、直接的にキャリアの量を計測する代わりに、感光体ドラム11の回動時間を計時する計時手段や、感光体ドラム11の回動回数をカウントするカウンタにより、位置yに堆積したキャリアの量を推計するものであってもよい。
【0068】
第4変形例においては、キャリア回収ロール721の回動、すなわちキャリア捕集ロール71によるキャリアのトナー回収容器21への排出は、所定時間間隔ではなく、センサにより計測もしくは推計されたキャリアの量が所定の閾値を超えた時点で行われる。
【0069】
第4変形例においては、堆積したキャリアの量が所定量に達した場合にのみ、キャリアの排出が行われるため、例えばキャリアの堆積がほとんどない状態でキャリア回収ロール721の回動が行われる、という無駄をなくすことができる。
【0070】
[2.5.第5変形例]
第5変形例においては、画像形成装置1は、キャリア捕集ロール71およびキャリア排出ユニット72の代わりに、それらの役割を担うキャリア捕集排出ユニット73を備えている。図9は、キャリア捕集排出ユニット73の構成を示した図である。
【0071】
キャリア捕集排出ユニット73は、キャリア捕集ロール71bと同様の構造のキャリア捕集ロール731の位置xと反対側の位置y’に、刃先がブラシの毛間に所定の深さで入るようにブレード732を配置した構造を有している。ブレード732は例えばゴム製である。
【0072】
キャリア捕集ロール731は、位置xにおいてキャリアを捕集し堆積した後、所定時間間隔で回動する。キャリア捕集ロール731のブラシの毛先は、キャリア捕集ロール731の回動によりブレード732の位置を通過する際にブレード732の刃先ではじかれ、捕集していたキャリアをトナー回収容器21に落下させる。
【0073】
第5変形例によれば、上記実施形態におけるキャリア捕集ロール71およびキャリア排出ユニット72と比較し、より簡易な構成で同様の機能を実現できる。
【0074】
[2.6.第6変形例]
第6変形例においては、画像形成装置1は、キャリア捕集ロール71およびキャリア排出ユニット72の代わりに、それらの役割を担うキャリア捕集排出ユニット74を備えている。図10は、キャリア捕集排出ユニット74の構成を示した図である。
【0075】
キャリア捕集排出ユニット74は、固定されたプラスチック製の軸棒741の周りを、回動可能なプラスチック製のスリーブ742で覆い、スリーブ742の周りを不繊布743で被覆した構造を備えている。さらに、軸棒741の表面には、位置xと反対側の位置に、正の電圧を印加された電極板744が固定されている。また、電極板744に対向する位置に電極板745が配設されている。
【0076】
不繊布743は、位置xにおいてキャリアを捕集し堆積した後、所定時間間隔で回動する。不繊布743に捕集されたキャリアは正に帯電しているため、位置y’’において電極板744と電極板745に所定の電圧を印加し、キャリアが電極板745にむかって移動するよう電界を形成することによって、キャリアは不繊布743から離れて電極板745に達し、トナー回収容器21に落下する。なお、電極板745に静電的に付着したキャリアは、例えば所定時間間隔で電極板745への電圧の印加を停止することによりトナー回収容器21に落下するようにすればよい。
【0077】
第6変形例によれば、上記実施形態におけるキャリア捕集ロール71およびキャリア排出ユニット72と比較し、よりコンパクトな構成で同様の機能を実現できる。
【0078】
[3.補足]
上記の実施形態においては、回収トナーを回収トナー搬送オーガ22により撹拌オーガ14に搬送し再利用する画像形成装置に本発明を適用した場合を説明したが、回収トナーを廃トナーボックスに排出する画像形成装置に本発明を適用してもよい。その場合、廃トナーボックスへの搬送路における回収トナーの滞留やつまりが防止される。なお、そのような画像形成装置においては、キャリアが廃トナーボックスに排出されるため、同量の新規キャリアを現像器に補充するか、廃トナーボックスにおいてキャリアを回収トナーから分離した後、現像器に搬送することになる。
【0079】
また、上記の実施形態においては、単色で画像形成を行う画像形成装置に本発明を適用した場合を説明したが、複数色で画像形成を行う画像形成装置に本発明を適用してもよい。その場合、各色に対応するトナー回収容器21内にキャリア捕集ロール71およびキャリア排出ユニット72を設けることになる。図11にそのような構成の画像形成装置を示す。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明の実施形態にかかる画像形成装置の構成を示した図である。
【図2】本発明の実施形態にかかるキャリア捕集ロールの構造を示した図である。
【図3】本発明の実施形態にかかるキャリア捕集ロールの構造を示した図である。
【図4】本発明の実施形態にかかるキャリア排出ユニットの構造を示した図である。
【図5】本発明の実施形態にかかる感光体ドラム、キャリア捕集ロールおよびキャリア排出ユニットを示した図である。
【図6】本発明の実施形態にかかる感光体ドラムの表面に形成される静電気層の電位を示したグラフである。
【図7】本発明の実施形態にかかる感光体ドラムの表面に形成される静電気層の電位を示したグラフである。
【図8】本発明の実施形態の変形例にかかる感光体ドラムの表面に形成される静電気層の電位を示したグラフである。
【図9】本発明の実施形態の変形例にかかるキャリア捕集排出ユニットの構成を示した図である。
【図10】本発明の実施形態の変形例にかかるキャリア捕集排出ユニットの構成を示した図である。
【図11】本発明の実施形態の変形例にかかる画像形成装置の構成を示した図である。
【図12】従来技術にかかる画像形成装置の構成を示した図である。
【符号の説明】
【0081】
1・9…画像形成装置、11…感光体ドラム、12…帯電ロール、13…イメージバー、14…撹拌オーガ、15…供給オーガ、16…マグネットロール、17…転写ロール、18…転写ベルト、19…クリーニングブレード、20…回収オーガ、21…トナー回収容器、22…回収トナー搬送オーガ、71・731…キャリア捕集ロール、72…キャリア排出ユニット、73・74…キャリア捕集排出ユニット、711・741・7211…軸棒、712・743…不繊布、713…ブラシ、721…キャリア回収ロール、722…スクレーパ、732…ブレード、742・7213…スリーブ、744・745…電極板、7212…磁界発生器。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に帯電された静電気により、現像剤に含まれるトナーおよびキャリアを付着して搬送する現像剤搬送手段と、
前記現像剤搬送手段の表面に付着したトナーを転写媒体に転写する転写手段と、
前記現像剤搬送手段の表面に付着したトナーのうち前記転写手段により前記転写媒体に転写されなかったトナーを回収する回収手段と、
前記回収手段により回収されたトナーを搬送する回収トナー搬送手段と、
前記現像剤搬送手段の表面に付着したキャリアを捕集し、捕集したキャリアを前記回収トナー搬送手段に排出する捕集排出手段と
を備える画像形成装置。
【請求項2】
前記捕集排出手段は、時間および捕集したキャリアの量の少なくともいずれかに関する所定の条件が満たされたタイミングで前記排出を行う
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記捕集排出手段は、前記現像剤搬送手段の搬送における前記転写手段の下流側かつ前記回収手段の上流側の位置で前記現像剤搬送手段に一部が接するように配置され前記現像剤搬送手段の表面に付着したキャリアを捕集する捕集手段と、前記捕集手段に一部が接するかもしくは所定距離で近接する位置に配置され前記捕集手段により捕集されたキャリアを前記回収トナー搬送手段に排出する排出手段とを備える
請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記捕集手段は、前記現像剤搬送手段に接する部分が不織布もしくはブラシで構成され、回動または移動して、前記不繊布もしくはブラシにより捕集したキャリアを前記排出手段に搬送する
請求項1乃至3のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記キャリアは磁性体であり、
前記排出手段は、前記捕集手段により捕集されたキャリアを表面に付着して回動するマグネットロールと、前記マグネットロールの表面に付着したキャリアを剥離するスクレーパとを備える
請求項1乃至4のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記捕集排出手段は、非画像形成時に前記捕集を行う
請求項1乃至5のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記現像剤搬送手段は、非画像形成時にキャリアを付着して搬送する
請求項1乃至6のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記現像剤搬送手段は、表面の非画像形成領域にキャリアを付着して搬送する
請求項1乃至7のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記現像剤搬送手段に現像剤を供給する供給手段を備え、
前記回収トナー搬送手段は、前記回収手段により回収されたトナーおよび前記捕集排出手段により排出されたキャリアの少なくとも一部を、前記供給手段に搬送する
請求項1乃至8のいずれかに記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2007−86425(P2007−86425A)
【公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−275292(P2005−275292)
【出願日】平成17年9月22日(2005.9.22)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】