説明

画像形成装置

【課題】簡単な操作によって画像形成装置を載置台に安定かつ強固に固定できるようにする。
【解決手段】装置本体1は載置台3の天板上に載置される。装置本体1の下部に形成した凹部7には、回転可能に外側に向けて係合片(係合部材)13を支持する。係合片(係合部材)13は、当該開放部側が下方に回転されたときその開放部がその天板の縁部に着脱可能に係合され、かつ当該開放部側が上方に回転されたとき凹部7に収納可能に配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は複写機、ファクシミリ機又はそれらの複合機(MFP:Multi Function Peripheral)等の画像形成装置に係り、特に、当該画像形成装置を載置する載置台(設置台)への固定構成を改良した画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像形成装置においては、例えば図6Aに示すように、その装置本体1を載置テーブルや給紙テーブル等の載置台3に載置して使用されるが、振動その他によって載置台3上で装置本体1が滑らないよう(同図B参照)、何らかの固定手段によって固定される場合が多い。
【0003】
例えば、特開平8−44132号公報(特許文献1)に示す画像形成装置は、設置台の設置面に吸着固定される吸盤部からなる滑り防止用の支脚を画像形成装置の底面に備え、設置作業が簡単かつ安全確実に行われるようにしたものである。
【0004】
また、特開平5−142871号公報(特許文献2)に示す複写機の連結固定機構は、複写機本体と、これを載置固定する載置テーブル又は給紙テーブルとを備えた複写機において、複写機本体の底面側に設けた底板から下方へ位置決め連結具を突出させ、載置テーブル又は給紙テーブルの位置決めされた個所に位置決め連結具と連結固定する位置決め固定具を形成してなり、連結強度および持ち運び操作性を向上させたものである。
【特許文献1】特開平8−44132号公報
【特許文献2】特開平5−142871号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した特許文献1の画像形成装置では、設置台の設置面に吸着固定される吸盤部を用いて、単に画像形成装置の滑りを防止する構成を示すのみであり、設置台に対する画像形成装置の固定強度が弱く、大きな振動等に対して転倒、落下の心配がある。
【0006】
また、特許文献2の複写機の連結固定機構では、複写機本体の底板から突出させた位置決め連結具と、載置テーブル又は給紙テーブルの位置決め固定具とを連結固定する構成を示すのみであるから、同様に、複写機の固定強度が不十分である。
【0007】
本発明はそのような課題を解決するためになされたもので、載置台に安定かつ強固に固定することが可能で、固定操作も簡単な画像形成装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そのような課題を解決するために本発明に係る画像形成装置は、載置台の天板上に載置される装置本体と、この装置本体下部にて回転可能に外側に向けて支持された係合部材であって当該開放部側を下方に回転させたときその開放部が上記天板の縁部に着脱可能に係合される係合部材とを具備している。
【0009】
本発明の画像形成装置では、上記係合部材が、その開放部側を上方に回転させたとき装置本体の下側部に形成された凹部に収納可能に形成される構成も可能である。
【0010】
本発明の画像形成装置では、上記係合部材が、その凹部において内外にスライド可能に支持されたスライド片の先端側に回転可能に支持された構成も可能である。
【0011】
本発明の画像形成装置では、上記係合部材が、その開放部側を下方に回転させたとき当該開放部が天板縁部を挟持するようこれに嵌る構成も可能である。
【0012】
本発明の画像形成装置では、上記係合部材が、その装置本体に向けて載置台の縁部を押圧する押圧部材をその開放部に有する構成も可能である。
【0013】
本発明の画像形成装置では、上記係合部材が、その装置本体に回転可能に支持された基部片にL字片をスライド可能に重ねて一体化形成されてなる構成も可能である。
【発明の効果】
【0014】
このような本発明に係る画像形成装置では、載置台の天板上に載置される装置本体の下部に係合部材を回転可能に外側に向けて支持し、その係合部材の開放部側を下方に回転させたときその開放部が上記天板の縁部に着脱可能に係合するから、その載置台に特別な加工を加えることなく、装置本体を載置台に安定かつ強固に固定することが可能で、係合操作も簡単である。
【0015】
本発明において、その開放部側を上方に回転させたとき装置本体の下側部に形成された凹部に上記係合部材を収納可能に形成する構成では、装置本体を載置台上に載置する必要がない場合、係合部材が邪魔になり難い。
【0016】
本発明において、その凹部において内外にスライド可能に支持されたスライド片の先端側に上記係合部材が回転可能に支持される構成では、係合部材やスライド片をほぼ完全に凹部に収納可能である。
【0017】
本発明において、その開放部側を下方に回転させたとき当該開放部が天板縁部に嵌ってそれを挟持するよう上記係合部材を形成する構成では、載置台への固定操作が特に簡単である。
【0018】
本発明において、上記係合部材が、装置本体に向けて載置台の縁部を押圧する押圧部材をその開放部に有する構成では、種々の厚みを有する天板に対しても簡単に対応可能である。
【0019】
本発明において、上記係合部材が、装置本体に回転可能に支持された基部片にL字片をスライド可能に重ねて一体化形成されてなる構成では、同様に、種々の厚みを有する天板に対しても簡単に対応可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明に係る画像形成装置の実施の形態を図面を参照して説明する。なお、従来例と共通する部分には同一の符号を付す。
【0021】
図1および図2は本発明に係る画像形成装置の実施の一形態を示す要部概略断面図および概略斜視図である。
【0022】
図1および図2において、装置本体1は、複写機、ファクシミリ機又はそれらの複合機等の画像形成装置を形成する例えば本体ケースであり、強化合成樹脂や金属性材料から成形されており、載置台3の天板5上に載置されて使用される。
【0023】
載置台3は、机等の単なる載置テーブルや印刷用紙を給紙する給紙テーブルであり、装置本体1の載置される天板5の縁部がフランジのようにせり出している。
【0024】
なお、装置本体1および載置台3の内部構成は、本発明の要部ではないので斜線で図示して詳細な説明や図示を省略するが、実際には種々の機構や電子回路が配置されている。
【0025】
装置本体1は、その対向する両側部における下部外周に、作業者の手が差し込める程度の直方体状又は立方体状の凹部7が形成されており、作業者が両手を左右の凹部7に差し込んで装置本体1の移動を可能にしている。凹部7は装置本体1の下面に開いていても良い。
【0026】
装置本体1にあって各凹部7を形成する対向内側壁には、図1および図3Aに示すように、装置本体1の下面近傍にて下面に平行な1対のスライド溝9が各々形成されており、図1および図3Bに示すように、それらスライド溝9に長方形状の金属製スライド片11がスライド可能に嵌められている。
【0027】
スライド溝9は装置本体1の両側部近傍まで各々形成されており、スライド溝9に配置されたスライド片11が装置本体1の両側部近傍までスライドしても、装置本体1の両側部から飛び出さないよう、装置本体1に位置規制された状態で支持されている。なお、図3では分かり易くするために、スライド溝9を装置本体1の両側壁まで延ばして図示した。
【0028】
各スライド片11の先端には、帯状の金属製L字形係合片13の一方の端部が公知のヒンジ機構15を介し外側に向けて回転可能に支持されている。
【0029】
係合片13は、他方の開放部すなわち開放片17側が下方に回転したとき、係合片13がスライド片11とともにコ字状の固定金具を形成し、その開放片17が天板5の縁部に嵌って縁部下面に係合され、天板5の縁部が挟持されており、係合部材として機能している。
【0030】
係合片13は、図4Aに示すように、その開放片17側が上方に回転したとき、スライド片11に重なり凹部7に収納可能になっており、更に、スライド片11が凹部7の奥にスライドした状態では、同図Bのように完全に凹部7に収納されてその奥に位置し、装置本体1の対向する両側部から突出しないようになっている。
【0031】
次に、本発明に係る画像形成装置の使用例を簡単に説明する。
【0032】
まず、装置本体1は、図4Bに示すように、スライド片11が凹部7の奥にスライドされて係合片13とともに完全に凹部7に収納された状態で、載置台3の天板5上に載置される。
【0033】
その後、図4Aに示すように、スライド片11を外側部に引き出すとともに、同図Cに示すように、スライド片11に連結された係合片13を下方に回転させ、係合片13の開放片17を天板5の縁部に嵌めて天板5を挟持する。
【0034】
この状態では、図1および図2に示すように、左右の係合片13が天板5を挟持するとともに、横方向の振動に対しても装置本体1が載置台3に固定される。
【0035】
そして、装置本体1を載置台3から移動させる場合には、天板5に対する係合片13の係合を外して上方に回転させ、スライド片11とともに係合片13を凹部7に収納させ、凹部7に作業者の手を掛ければ良い。
【0036】
このように本発明に係る画像形成装置では、載置台3の天板5上に載置される装置本体1と、この装置本体1の下部に形成した凹部7に内外にスライド可能に支持されたスライド片11と、このスライド片11の先端側に外側に向けて回転可能に支持された係合片(係合部材)13であって、当該開放片(開放部)17側を下方に回転させたときその開放片17がその天板5の縁部に着脱可能に係合して狭持し、かつ、当該開放片17側を上方に回転させたときその凹部7に収納可能に配置された係合片13とを具備している。
【0037】
そのため、装置本体1を載置台3に対して両側から挟むように固定するから、その載置台3に特別な加工を加えることなく載置台3に安定かつ確実に固定することが可能であるし、係合片13の開放片17側を下方に回転させて天板5に係合するだけであるから、固定操作も簡単であるうえ、載置台3側に特別な固定部材を配置したり用意する必要もない。
【0038】
また、係合片13が凹部7において内外にスライド可能に支持されたスライド片11の先端側に回転可能に支持されから、装置本体1を載置台3上に載置する必要がない場合、係合片13やスライド片11を凹部7に収納可能でそれらが邪魔にならず、外形もすっきりする。
【0039】
もっとも、本発明の画像形成装置では、必ずしもスライド片11が必須ではなく、装置本体1の下部にて回転可能に外側に向けて支持されていれば、本発明の目的達成が可能である。
【0040】
また、スライド片11と係合片13の連結構成も、ヒンジ機構15に限らず公知の構成で実施可能であり、機械的強度が保たれつつ屈曲可能であれば、例えばスライド片11と係合片13を一体化することも可能である。
【0041】
ところで、上述した画像形成装置では、係合片13の開放片17によって直接載置台3の天板5に圧接してそれを挟持する構成であったが、本発明ではこれに限定されない。
【0042】
例えば図5に示すように、係合片13の開放片17に締付け部材、例えばねじ19を備え、その開放片17が天板5の縁部に係合可能に対面したとき、ねじ19をねじ込んで天板5の縁部裏面を押圧する構成も可能である。
【0043】
すなわち、締付け部材としてのねじ19が押圧部材として機能させることが可能である。なお、押圧部材としては、良好な強度を維持する観点からねじ19が好適するが、これに限定されるものではなく例えばバネ等でも可能である。
【0044】
このような構成の画像形成装置では、装置本体1を載置台3から移動させる場合には、ねじ19を緩めてから係合片13を上方に回転させ、スライド片11とともに係合片13を凹部7に収納させれば良く、載置台3の天板5の厚みより大きい係合片13を用いれば、種々の厚みを有する天板5に対しても簡単に対応可能である。
【0045】
さらに、本発明の画像形成装置に用いる係合部材としては、例えば図5に示すように、スライド片11の先端側に回転可能に支持された基部片21に、L字片23をスライド可能に重ね、ねじ25にて一体化した構成も可能である。
【0046】
このように、基部片21にL字片23をスライド可能に重ね、ねじ25にて一体化した構成では、L字片23に設けるねじ25の挿通孔27の形状を上下方向に細長く形成すれば、基部片21とL字片23間の位置関係の調整を介して種々の厚みを有する天板5に対しても簡単に対応可能である。
【0047】
なお、本発明の画像形成装置では、必ずしも装置本体1の両側に係合片13等の係合部材を配置する構成に限定されず、片側のみに配置する構成であっても良いが、強固な固定を確保する観点から、複数箇所、特に対向位置に配置する構成が好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明に係る画像形成装置の実施の一形態を示す要部概略断面図である。
【図2】図1の画像形成装置の概略斜視図である。
【図3】図1の画像形成装置の概略側面図である。
【図4】図1の画像形成装置の使用例を説明する概略断面図である。
【図5】本発明の画像形成装置に係る他の実施の形態を説明する図である。
【図6】従来の画像形成装置を説明する概略図である。
【符号の説明】
【0049】
1 装置本体
3 載置台
5 天板
7 凹部
9 スライド溝
11 スライド片
13 係合片(係合部材)
15 ヒンジ機構
17 開放片(開放部)
19、25 ねじ
21 基部片
23 L字片
27 挿通孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
載置台の天板上に載置される装置本体と、
この装置本体下部にて回転可能に外側に向けて支持された係合部材であって、当該開放部側を下方に回転させたとき前記開放部が前記天板の縁部に着脱可能に係合される係合部材と、
を具備することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記係合部材は、前記開放部側を上方に回転させたとき前記装置本体の下側部に形成された凹部に収納可能に形成される請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記係合部材は、前記凹部において内外にスライド可能に支持されたスライド片の先端側に回転可能に支持されてなる請求項2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記係合部材は、前記開放部側を下方に回転させたとき前記開放部が前記天板の縁部を挟持するようこれに嵌る請求項1〜3いずれか1記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記係合部材は、前記装置本体に向けて前記載置台の縁部を押圧する押圧部材を前記開放部に有する請求項1〜4いずれか1記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記係合部材は、前記装置本体に回転可能に支持された基部片にL字片をスライド可能に重ねて一体化形成されてなる請求項1〜5いずれか1記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−134399(P2008−134399A)
【公開日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−319913(P2006−319913)
【出願日】平成18年11月28日(2006.11.28)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】