説明

画像形成装置

【課題】内部を容易に清掃できる画像形成装置を提供する。
【解決手段】複数の現像カートリッジ8を回転軸周りに配列して着装可能な現像ロータリ9を有する画像形成装置1において、所定の被清掃部材7aを清掃するために、少なくとも1つの現像カートリッジ8を取り出し、現像ロータリ9を回転して、取り出した現像カートリッジ8が占有していた空間を被清掃部材7aの近傍に配置する清掃モードを設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
トナーを用いる電子写真方式の画像形成装置では、装置内部にトナーが飛散して、レーザ露光器の投光窓などに付着することで画像品質の低下を招いたり、センサの誤動作を引き起こしてトラブルを発生させる場合がある。
【0003】
特に、現像ロータリに複数の現像カートリッジを保持するタイプの画像形成装置では、レーザ露光器の投光窓が、現像ロータリの陰になり、装置の開口から見えにくい位置に配置されることが少なくない。このため、レーザ露光器の投光窓の清掃が容易ではなく、十分に清掃できたかどうかを確認することも難しい。さらに、レーザ露光器の投光窓の周囲に十分な空間がなく、清掃の際に手が他の部材に接触して、トナーで手を汚したり、手に掻き傷を付けてしまう危険性が高い場合も多い。
【0004】
特許文献1に記載されている画像形成装置は、カバーを開けることで、感光体を除電するための露光装置と光学センサとを装置の外部に引き出すことができるようにして、清掃を容易にしている。しかしながら、カバーの構造が複雑になりコストアップを招く結果となる上、感光体に静電潜像を形成するための露光器は、依然として装置の奥にあり、容易に清掃できない。
【特許文献1】特開平11−161118号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記問題点に鑑みて、本発明は、内部を容易に清掃できる画像形成装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明による画像形成装置は、円筒状の像担持体と、前記像担持体上に形成した静電潜像にトナーを供給してトナー像を現像できる複数の現像カートリッジと、前記複数の現像カートリッジを、回転軸周りに配列して着装可能であり、回転することで前記現像カートリッジのいずれかを選択して前記像担持体に対向させる現像ロータリとを有し、所定の被清掃部材を清掃するために、少なくとも1つの前記現像カートリッジを取り出し、前記現像ロータリを回転して、前記取り出した前記現像カートリッジが占有していた空間を前記被清掃部材の近傍に配置する清掃モードを備えるものとする。
【0007】
この構成によれば、現像カートリッジを取り外すことで生まれる空間を、被清掃部材の近傍に配置することで、被清掃部材を装置外から視認し易くし、清掃作業をするための空間を大きくして清掃を容易にすることができる。
【0008】
また、本発明の画像形成装置において、前記被清掃部材は、帯電した前記像担持体を選択露光して静電潜像を形成するレーザ露光器の投光窓、前記現像カートリッジに搭載された記憶媒体に導電接触する接点、または、前記現像ロータリの近傍に配設されたセンサであってもよい。
【0009】
また、本発明の画像形成装置において、ユーザが前記清掃モードを開始することを選択可能な操作部を有してもよい。
【0010】
また、本発明の画像形成装置において、前記被清掃部材は複数有り、前記操作部を介していずれの被清掃部材を清掃するかをユーザが選択可能であってもよい。
【0011】
また、本発明の画像形成装置において、前記現像ロータリを回転して、取り出した前記現像カートリッジが占有していた空間を、被清掃部材の近傍に配置する際に、ユーザに対して作業を指示するための表示を行う表示部を有してもよい。
【0012】
また、本発明の画像形成装置において、前記清掃モードにおいて、前記被清掃部材を清掃した後、前記被清掃部材の清掃状態を確認する確認動作を行ってもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、現像カートリッジを取り出して形成した空間を被清掃部材の近傍に配置するので、作業空間が大きく視認性がよいので、被清掃部材を容易に清掃できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
これより、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1に、本発明の1つの実施形態の画像形成装置1の概略構成を示す。画像形成装置1は、本体2の内部に、円筒状の表面にトナー画像を形成可能な像担持体である感光体3、感光体3に形成したトナー画像が1次転写される中間転写ベルト4、および、静電気力によってトナー画像を感光体3から中間転写ベルト4に移動させる1次転写ローラ5を保持する感光体ユニット6と、投光窓7aから感光体3にレーザ光を照射して、感光体3の表面に静電潜像を形成するレーザ露光器7と、それぞれを静電潜像にシアン、マゼンタ、イエローまたはブラックのトナートナーを供給してトナー画像を現像可能な4つの現像カートリッジ8を回転軸周りに環状に保持する現像ロータリ9と、記録紙を載置する給紙トレイ10と、給紙トレイ10から記録紙を1枚ずつ取り出す給紙ローラ11と、静電気力により中間転写ベルト4から記録紙にトナー画像を転写する2次転写ローラ12と、記録紙を加圧しながら加熱してトナー画像を記録紙に溶着する定着器13とを有する。
【0015】
各現像カートリッジ8は、それぞれの型式や収容しているトナーの色などの属性情報を記録した記憶媒体を備えるメモリ基板14を有し、画像形成装置1には、メモリ基板14に導電接触する接点を備え、記憶媒体から属性情報を読み取ることができる読取部材15が設けられている。また、本体2には、現像ロータリ9の近傍に、現像ロータリ9の回転位置を確認するためのセンサ(不図示)が配設されている。
【0016】
また、画像形成装置1は、本体2を開放する側部カバー16および上部カバー17と、複数の操作ボタンなどからなる操作部(不図示)と、液晶パネルなどからなる表示部(不図示)とを有している。
【0017】
画像形成装置1において、画像形成(プリント)時には、図示するように、現像ロータリ9は、現像する色のトナーを収容した現像カートリッジ8を感光体3に対向させるように回転位置が定められる。
【0018】
画像形成装置1は、ユーザが操作部を操作することで、レーザ露光器7の投光窓7aや読取部材15の接点等の中から清掃する対象である被清掃部材を選択して、選択した被清掃部材を清掃するための清掃モードに移行するようになっている。
【0019】
図2および図3に、画像形成装置1の清掃モードの制御の流れを示す。先ず、ステップS1でオペレータが操作パネルを操作して、被清掃部材を指定して清掃モードを開始させることを選択する。
【0020】
すると、ステップS2において、現像ロータリ9が回転し、図4に示す、所定の現像カートリッジ着脱位置に位置決めされ、1つの現像カートリッジ8が側部カバー16の近傍に位置することになる。
【0021】
現像ロータリ9を現像カートリッジ着脱位置に位置決めしたなら、ステップS3で表示部に側部カバー16を開けて、現像カートリッジ8を取り出すように、オペレータに対する指示を表示する。この指示は、側部カバー16を開ける必要があることや、現像カートリッジ8を取り出すために必要なロック解除レバーの位置など、必要な手順を分かりやすく表示することが好ましい。
【0022】
この表示を見たオペレータが、図5に示すように、側部カバー16を開けて現像ロータリ9から現像カートリッジ8を取り出したなら、ステップS5で側部カバー16が閉じられているか否かを確認し、側部カバー16が開いていれば、ステップS6で表示部に側部カバー16を閉じるようにオペレータに対してメッセージを表示する。
【0023】
ステップS5でカバーの閉鎖が確認されれば、ステップS7で、現像ロータリ9を回転して、取り出した現像カートリッジ8が占有していた空間を選択された被清掃部材の近傍に配置する清掃位置に位置決めする。図6では、被清掃部材がレーザ露光器7の投光窓7aである場合の清掃位置を示している。
【0024】
現像ロータリ9が清掃位置に位置決めされたなら、表示部に、オペレータに対して被清掃部材の清掃を指示する表示をする。例えば、被清掃部材がレーザ露光器7の投光窓7aである場合、図7に示すように、上部カバー17を開けるべきことや、感光体ユニット6を取り外してレーザ露光器7の投光窓7aを清掃をすべきこと等の清掃作業の詳細な手順を、分かりやすく表示することが好ましい。簡略的には、詳細手順をマニュアルの記載などに委ねて、LED点灯などの単純な表示をするだけであってもよい。
【0025】
この場合、現像カートリッジ8を取り外すことで生まれた空間を、被清掃部材であるレーザ露光器7の投光窓7aの上方に配置することで、被清掃部材を上部カバー17を開けて感光体ユニット6を取り外したときに、オペレータが上方から直接視認することができ、手や清掃用具を現像カートリッジ8を取り外すことで生まれた空間に差し入れて清掃作業を行うことができる。このとき、清掃作業のための空間が大きいので、手が他の部材に接触し、付着したトナーで汚れたり、掻き傷をつくる心配がなく、清掃作業が容易である。また、直接レーザ露光器7の投光窓7aを視認できるので、確実な清掃が可能である。
【0026】
ステップS9において、オペレータが被清掃部材を清掃したなら、ステップS10で全てのカバー16,17が閉じているかどうかを確認し、カバー16,17のいずれかが開いていれば、ステップS11で表示部にカバーを閉じるようにオペレータに指示する表示を行う。
【0027】
ステップS10でカバー16,17の閉鎖が確認されれば、ステップS12で現像ロータリ9を回転して、再び現像カートリッジ着脱位置に位置決めする。そして、ステップS13で、表示部に、オペレータに対して現像カートリッジ8の取り付けを促す表示をする。
【0028】
ステップS14でオペレータが現像カートリッジ8を取り付けたなら、ステップS15でカバー16,17の閉鎖を確認し、カバー16,17が全て閉じていなければ、ステップS16で表示部にカバー16,17の閉鎖を促す表示をする。
【0029】
ステップS15でカバーの閉鎖が確認できれば、ステップS17において、読取部材15で現像カートリッジ8のメモリ基板14にアクセスし、現像カートリッジ8の情報を読み取り、現像カートリッジ8の情報を確認する。適切な現像カートリッジが装着されていなければ、ステップS18で、表示部に、適切な現像カートリッジを取り付けるべきことを表示する。
【0030】
ステップS17で、適切な現像カートリッジ8の装着を確認できたなら、ステップS19で、画像形成動作を開始できるプリント待機状態に移行して、清掃モードを終了する。
【0031】
以上の説明では、清掃対象である被清掃部材が、レーザ露光器7の投光窓7aである例を示したが、例えば、オペレータが選択した被清掃部材が読取部材15の接点である場合、ステップS7における現像ロータリ9の清掃位置は図8に示すような位置であればよく、ステップS8において表示される清掃手順では、側部カバー16を開けて読取部材15の接点を清掃すべきことが表示される。
【0032】
画像形装置1では、他にも、現像ロータリ9の近傍に配設された光学センサなどを被清掃部材として選択でき、それぞれに最適な清掃位置と清掃手順とが設定されている。
【0033】
また、画像形成装置1において、ステップS19でプリント待機状態に移行する前に、清掃状態を確認するようにしてもよい。例えば、被清掃部材がレーザ露光器7の投光窓7aであれば、所定のパターン画像を現像して、主走査方向に一様なトナー画像が形成されているかをオペレータに確認させるようにすることができる。また、被清掃部材が読取部材15の接点である場合は、メモリ基板14の属性情報を読み取ることができるか否か、被清掃部材が現像ロータリ9の近傍に配設された光学センサであれば、現像ロータリ9を回転させて、光学センサがオン/オフするかどうかを確認すればよい。
【0034】
また、図9に示す本発明の第2実施形態のように、被清掃部材(レーザ露光器7の投光窓7a)の位置や形状などに応じて、複数の現像カートリッジ8を取り外してより大きな空間を形成し、被清掃部材の近傍に配置するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の第1実施形態の画像形成装置のプリント時を示す概略構成図。
【図2】図1の画像形成装置の清掃モードの制御の前半を示す流れ図。
【図3】図1の画像形成装置の清掃モードの制御の後半を示す流れ図。
【図4】図1の画像形成装置のカートリッジ着脱位置における概略構成図。
【図5】図1の画像形成装置の現像カートリッジ取り外しを示す概略構成図。
【図6】図1の画像形成装置の清掃位置を示す概略構成図。
【図7】図1の画像形成装置の被清掃部材の清掃状態を示す概略構成図。
【図8】図1の画像形成装置の異なる被清掃部材の清掃状態を示す概略構成図。
【図9】本発明の第2実施形態の画像形成装置の被清掃部材の清掃状態を示す概略構成図。
【符号の説明】
【0036】
1 画像形成装置
2 本体
3 感光体
6 感光体ユニット
7 レーザ露光器
7a 投光窓(被清掃部材)
8 現像カートリッジ
9 現像ロータリ
14 メモリ基板
15 読取部材
16 側部カバー
17 上部カバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒状の像担持体と、
前記像担持体上に形成した静電潜像にトナーを供給してトナー像を現像できる複数の現像カートリッジと、
前記複数の現像カートリッジを、回転軸周りに配列して着装可能であり、回転することで前記現像カートリッジのいずれかを選択して前記像担持体に対向させる現像ロータリとを有し、
所定の被清掃部材を清掃するために、少なくとも1つの前記現像カートリッジを取り出し、前記現像ロータリを回転して、前記取り出した前記現像カートリッジが占有していた空間を前記被清掃部材の近傍に配置する清掃モードを備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記被清掃部材は、帯電した前記像担持体を選択露光して静電潜像を形成するレーザ露光器の投光窓であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記被清掃部材は、前記現像カートリッジに搭載された記憶媒体に導電接触する接点であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記被清掃部材は、前記現像ロータリの近傍に配設されたセンサであることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項5】
ユーザが前記清掃モードを開始することを選択可能な操作部を有することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記被清掃部材は複数有り、前記操作部を介していずれの被清掃部材を清掃するかをユーザが選択可能であることを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記現像ロータリを回転して、取り出した前記現像カートリッジが占有していた空間を、被清掃部材の近傍に配置する際に、ユーザに対して作業を指示するための表示を行う表示部を有することを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記清掃モードにおいて、前記被清掃部材を清掃した後、前記被清掃部材の清掃状態を確認する確認動作を行うことを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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