説明

画像形成装置

【課題】現像器や現像剤補給部材の破損を防止することができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】回転型の現像装置3を備えるカラープリンタにおいて、制御部8は、現像器16を回転移動させる際、トナー供給パイプ検知部24によりトナー供給パイプ25が現像器16内に挿入されていると検知された場合には、トナー供給パイプ25を退避位置に移動させた後に現像器16を回転移動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置には、所謂、回転型現像器を備えるものがある(特許文献1参照)。回転型現像器は、複数の現像器と、現像器支持部とを有している。複数の現像器は、例えば、シアン、マゼンダ、イエロー、ブラックの4色の現像剤を収納する4つの現像器である。現像器支持部は、回転軸を有しており、複数の現像器をこの回転軸周りに回転可能に支持する。複数の現像器は、回転軸周りに回転移動することにより、潜像担持体に対向する位置に移動可能である。そして、現像器が潜像担持体に対向する位置に移動して潜像を現像することにより、潜像担持体上にトナー画像が形成される。
【0003】
また、このような画像形成装置には、現像剤補給部材が備えられたものがある。現像剤補給部材は、現像器に現像剤を補給するための部材であり、現像器内に挿入されることにより、現像剤を現像器に補給する。
【特許文献1】特開平10−198149号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の画像形成装置では、例えば、現像剤の補給動作中に電源が遮断されると、現像剤補給部材が現像器に挿入された状態のまま補給動作が停止される。この場合、電源が再投入されたときに、現像剤補給部材が現像器に挿入された状態のまま現像器が回転移動してしまい、現像器や現像剤補給部材が破損する恐れがある。また、現像剤の補給動作中にケーシングのカバー部材が開かれるなどの異常が発生したときにも、同様の不具合が生じうる。
【0005】
本発明の課題は、現像器や現像剤補給部材の破損を防止することができる画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1発明に係る画像形成装置は、潜像担持体と、複数の現像器と、現像器支持部と、第1駆動部と、現像剤補給部材と、第2駆動部と、第1検知部と、制御部と、を備える。潜像担持体は、潜像を担持することができる。複数の現像器は、現像剤を内部に収容し、潜像を潜像担持体で現像する。現像器支持部は、所定の回転軸を中心に回転可能に設けられ、この回転軸周りに現像器を回転移動可能に支持しており、任意の現像剤を潜像担持体に対向する位置に移動させることができる。第1駆動部は、現像器支持部を回転駆動する。現像剤補給部材は、現像器内に挿入されて現像器内に現像剤を補給する。第2駆動部は、補給位置と待避位置とに現像剤補給部材を移動させる。補給位置は、現像剤補給部材が現像器内に挿入された状態となる位置である。待避位置は、現像剤補給部材が現像器の外側に引き出された状態となる位置である。第1検知部は、現像剤補給部材が現像器内に挿入されているか否かを検知する。制御部は、現像器を回転移動させる際、第1検知部により現像剤補給部材が現像器内に挿入されていると検知された場合には、現像剤補給部材を待避位置に移動させた後に現像器を回転移動させる。
【0007】
この画像形成装置では、現像剤補給部材が現像器内に挿入されている状態を第1検知部によって検知することができる。そして、現像剤補給部材が現像器内に挿入されている場合には、現像剤補給部材が待避位置に移動した後に、現像器が回転移動するように制御される。このため、現像剤補給部材が現像器に挿入された状態のまま現像器が回転移動してしまうことが防止される。これにより、現像器や現像剤補給部材の破損を防止することができる。
【0008】
第2発明に係る画像形成装置は、第1発明の画像形成装置であって、制御部は、電源投入時において、第1検知部により現像剤補給部材が現像器内に挿入されていると検知された場合には、現像剤補給部材を待避位置に移動させた後に現像器を所定の初期位置に移動させる。
【0009】
この画像形成装置では、電源が投入されると、現像器を所定の初期位置に移動させる。このとき、第1検知部により現像剤補給部材が現像器内に挿入されていると検知された場合には、現像剤補給部材を待避位置に移動させた後に現像器を移動させる。このため、補給動作中に電源が不適切に遮断された後に電源が再投入された場合において、現像剤補給部材が現像器に挿入された状態のまま現像器が回転移動してしまうことが防止される。これにより、現像器や現像剤補給部材の破損を防止することができる。
【0010】
第3発明に係る画像形成装置は、第1発明または第2発明の画像形成装置であって、第2検知部をさらに備える。第2検知部は、異常の発生および解消を検知する。そして、制御部は、第2検知部により異常の発生が検知された場合には、現像器および現像剤補給部材の動作を停止させ、第2検知部により異常の解消が検知された際に、第1検知部により現像剤補給部材が現像器内に挿入されていると検知された場合には、現像剤補給部材を待避位置に移動させた後に現像器を所定の初期位置に移動させる。
【0011】
この画像形成装置では、異常の発生が検知されると、現像器および現像剤補給部材の動作が停止される。その後、異常の解消が検知されると、現像器を所定の初期位置に移動させる。このとき、第1検知部によって、現像剤補給部材が現像器内に挿入されていると検知された場合には、現像剤補給部材を待避位置に移動させた後に現像器を移動させる。このため、補給動作中に異常が発生し、その後に異常が解消された場合において、現像剤補給部材が現像器に挿入された状態のまま現像器が回転移動してしまうことが防止される。これにより、現像器や現像剤補給部材の破損を防止することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明では、現像剤補給部材が現像器に挿入された状態のまま現像器が回転移動してしまうことが防止される。これにより、現像器や現像剤補給部材の破損を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
1.構成
本発明の一実施形態による画像形成装置としてのカラープリンタ1の概略を図1に示す。
【0014】
このカラープリンタ1は、図示しないコンピュータ等に接続されており、コンピュータ等から送られてくる画像データに基づいてカラー画像を用紙に印刷可能な装置である。以下、説明の便宜上、図1における装置の右側を「前」、左側を「後」と呼ぶこととする。
【0015】
カラープリンタ1は、画像形成部12と、転写部7と、トナー補給部50と、定着部9と、用紙搬送部51と、給紙部52と、ケーシング21と、制御部8(図5参照)とを備える。
【0016】
1−1.画像形成部
画像形成部12は、トナー(現像剤)を用いて、後述する感光体ドラム2上に画像を形成するためのものである。画像形成部12は、感光体ドラム2と、レーザユニット4と、現像装置3と、トナー量検出部40(図5参照)とを有する。
【0017】
感光体ドラム2(潜像担持体)は、表面に静電潜像やトナー画像が形成されるものである。感光体ドラム2は、カラープリンタ1のほぼ中央に回転自在に設けられている。感光体ドラム2の上部には、帯電ローラ10が設けられている。帯電ローラ10は、感光体ドラム2の表面を一様に帯電させる。感光体ドラム2は、帯電ローラ10によって表面を一様に帯電された後、レーザユニット4によって露光されることにより、静電潜像を担持する。なお、感光体ドラム2の側方には、感光体ドラム2の表面に残留したトナーや付着物を清掃するためのドラムクリーニング装置11が設けられている。
【0018】
レーザユニット4は、感光体ドラム2にレーザ光を照射する。すなわち、レーザユニット4は、外部のコンピュータ等から送られてきた画像データに基づいて、感光体ドラム2を露光する。なお、レーザユニット4のレーザ光路の前方には、反射ミラー20が設けられている。図1の一点鎖線で示すように、レーザユニット4から発射されたレーザ光は、この反射ミラー20によって屈曲し、現像装置3の前側上方を通過し、感光体ドラム2の表面に照射される。
【0019】
現像装置3は、感光体ドラム2に隣接して配置されており、トナーを感光体ドラム2に供給する。トナーは、感光体ドラム2と逆極性に帯電しているため、感光体ドラム2上に引きつけられる。これにより、感光体ドラム2に形成された静電潜像がトナーによって現像される。現像装置3の全体斜視図を図2に示す。この現像装置3は、現像器支持部15と、4つの現像器16と、現像駆動部41(図5参照)と、を有している。
【0020】
現像器支持部15は、図2に示すように、回転軸15aを有する円筒形状の部材であり、回転軸15aを中心に回転可能に設けられている。回転軸15aは、感光体ドラム2の回転軸と平行に配置されている。また、現像器支持部15は、円周方向に4等分された4つの区画を有しており、各区画には、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの4つのトナー色に対応した現像器16が配置されている。従って、現像器支持部15は、回転軸15a周りに現像器16を回転移動可能に支持している。また、現像器支持部15は、回転軸15a周りに現像器16を回転移動させることにより、後述する現像ローラ17が感光体ドラム2に対向する位置に現像器16を移動させることができる。
【0021】
現像器16の断面図を図3に示す。なお、図3では、4つの現像器16のうちの1つのみが図示されているが、他の現像器16も、それぞれほぼ同様の構成である。現像器16は、現像ローラ17と、トナー搬送部材18と、トナー供給ローラ19と、容器本体14とを有する。
【0022】
現像ローラ17は、感光体ドラム2に対向可能に配置されており、感光体ドラム2にトナーを供給する。現像ローラ17は、円柱状の部材であり、現像器支持部15の回転軸15aと平行な回転軸を中心に回転可能ある。
【0023】
容器本体14は、内部にトナーを収容可能なスペースを有しており、トナー補給を行うためのトナー補給口22を備えている。トナー補給口22は、後述するトナー供給パイプ25が挿入可能な孔(図示せず)を有している。
【0024】
トナー搬送部材18は、容器本体14の内部に配置されており、容器本体14内のトナーが均一になるようにトナーを搬送・撹拌する。トナー搬送部材18は、回転軸に複数の羽状部材が取り付けられたスクリュー状の部材である。トナー搬送部材18の回転軸は、現像ローラ17の回転軸と平行に配置されている。
【0025】
トナー供給ローラ19は、現像ローラ17に接触するように配置されており、現像ローラ17に現像器16内の現像剤を供給する。
【0026】
図5に示す現像駆動部41(第1駆動部)は、モータ及びギア等を備え、現像器支持部15を回転させることにより、現像器16の位置を変化させることができる。
【0027】
トナー量検出部40は、各現像器16内のトナー量を検出する。トナー量検出部40は、例えば、各現像器16に設けられた光学センサである。
【0028】
1−2.転写部
図1に示す転写部7は、感光体ドラム2上に現像されたトナー画像を用紙上に転写するためのものであり、中間転写ベルト71、2次転写ローラ72、1次転写ローラ37a,37b、駆動ローラ35、従動ローラ36などを有する。
【0029】
中間転写ベルト71には、感光体ドラム2のトナー画像が転写される。すなわち、中間転写ベルト71には、感光体ドラム2に形成された各色のトナー画像が順次転写される。中間転写ベルト71は、感光体ドラム2及びトナー収容部5(後述)の下方に配置されている。この中間転写ベルト71は、駆動ローラ35と従動ローラ36との間に掛け渡されている。従動ローラ36は、バネ38によって駆動ローラ35から離れる側に付勢されている。また、中間転写ベルト71のうち感光体ドラム2と対向する部分は、1対の1次転写ローラ37a,37bによって感光体ドラム2に当接するように構成されている。
【0030】
2次転写ローラ72は、中間転写ベルト71のトナー画像を搬送されてきた用紙に転写する。2次転写ローラ72は、駆動ローラ35の下方に駆動ローラ35と対向するように配置されている。また、2次転写ローラ72には、図示しない電圧印加手段によって、用紙に対して、画像転写のためのバイアス電圧が印加されている。
【0031】
1−3.トナー補給部
トナー補給部50は、図1および図4に示すように、画像形成部12にトナーを補給するためのものであり、トナー収容部5と、複数のトナー供給装置6(図2参照)とを有する。なお、図4は、トナー補給部50の拡大図である。
【0032】
トナー収容部5は、現像装置3に供給するトナーを内部に収納する。すなわち、トナー収容部5は、各現像器16に対して供給するトナーを収容する。このトナー収容部5は、4つの収容部(図示せず)を有している。各収容部は、横方向(図1の紙面垂直方向)に並べて配置されており、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックのそれぞれの各色のトナーを収容する。トナー収容部5は、カラープリンタ1の内部空間における前側上部に配置されており、カラープリンタ1の前側に取り出しが可能となっている。
【0033】
トナー供給装置6は、トナー収容部5のトナーを現像装置3に供給する。ここでは、図2に示すように、4つの現像器16に対応して4つのトナー供給装置6が設けられており、各トナー供給装置6は、トナー収容部5に収容された各色のトナーを、対応する現像器16に供給する。トナー供給装置6は、感光体ドラム2の上方に配置されている。このトナー供給装置6は、図4に示すように、トナー供給パイプ25(現像剤補給部材)と、搬送パイプ26と、駆動機構27と、トナー供給パイプ検知部24(図5参照)を有している。
【0034】
トナー供給パイプ25は、現像器16内にトナーを補給するための部材であり、上方の待避位置と、下方の補給位置とに移動可能に設けられている。トナー供給パイプ25は、上端が前側に、下端が後側に位置するように傾斜している。トナー供給パイプ25は、先細りの形状となっており、補給位置に移動した際には、先端がトナー補給口22を通って現像器16の内部に挿入される。また、待避位置では、トナー供給パイプ25は、現像器16の外側に引き出された状態となり、現像器16の回転を妨げない。トナー供給パイプ25の内部には、トナーを搬送するためのスパイラル部材30が回転可能に設けられている。なお、図2に示すように、トナー収容部5の4つの収容部と4つの現像器16とに対応して、4つのトナー供給パイプ25が設けられている。図2では、省略されているが、搬送パイプ26および駆動機構27についても同様である。
【0035】
搬送パイプ26は、トナー収容部5とトナー供給パイプ25とを連結する。搬送パイプ26は、可撓性を有するパイプであり、トナー供給パイプ25の上下動に追従して移動可能である。搬送パイプ26の内部には、コイルスプリング31が配置されており、図示しない駆動機構によって回転させられる。これにより、トナーが搬送パイプ26内を通ってトナー供給パイプ25側に搬送される。
【0036】
駆動機構27(第2駆動部)は、トナー供給パイプ25を上下動させることにより、トナー供給パイプ25を待避位置と補給位置とに移動させる。駆動機構27は、トナー供給パイプ25の外周部に、軸方向に沿って設けられたラック32と、このラック32に噛み合うピニオンギア33と、モータ(図示せず)とを有している。ピニオンギア33は、カラープリンタ1のフレームに回転可能に支持されており、モータによって駆動される。
【0037】
トナー供給パイプ検知部24(第1検知部)は、トナー供給パイプ25が現像器16内に挿入されているか否かを検知する。詳細には、トナー供給パイプ検知部24は、現像器16のトナー補給口22近傍に設けられており、トナー供給パイプ25がトナー補給口22に挿入されているか否かを検知する。トナー供給パイプ検知部24は、例えば、光学センサであり、トナー供給パイプ25での反射光の有無により、トナー供給パイプ25がトナー補給口22に挿入されているか否かを検知する。
【0038】
1−4.定着部
定着部9は、用紙上に転写されたトナーを溶融定着するためのものであり、現像装置3の後側下方に配置されている。この定着部9は、加熱ローラ9aと、加圧ローラ9bとを有している。
【0039】
加熱ローラ9aは、ヒーターを内蔵しており、制御部8によって発熱を制御される。加熱ローラ9aは、現像装置3と平行に配置され、回転可能に設けられる。また、加熱ローラ9aは、モータおよびギア等を有する図示しない定着駆動部によって回転駆動される。
【0040】
加圧ローラ9bは、加熱ローラ9aと平行に配置されており、回転可能に設けられている。加圧ローラ9bは、加熱ローラ9aに圧接している。
【0041】
1−5.用紙搬送部および給紙部
用紙搬送部51は、後述する給紙カセット53に収納されている用紙を画像形成部12や定着部9等に搬送する。また、用紙搬送部51は、画像形成部12や定着部9においてカラー画像が印刷された用紙をケーシング21の上面部に設けられた排出口29(図1参照)まで搬送する。
【0042】
給紙部52は、給紙カセット53やローラ54などによって構成されている。給紙カセット53は、用紙が収納されている部分であって、カラープリンタ1の下側に配置されている。ローラ54は、給紙カセット53から用紙を引き出して用紙搬送部51に送る。
【0043】
1−6.ケーシング
ケーシング21は、箱状の部材であり、上述した各部を内部に収納する。ケーシング21の前面には、内部の空間に連通する開口23が設けられており、この開口23を開閉可能にカバー部材28が取り付けられている。また、開口23の近傍には、開口23の開閉状態を検知する開閉検知部42(図5参照)が設けられている。開閉検知部42(第2検知部)は、開口23がカバー部材28によって閉じられているのか、開口23が開かれているのかを検知する。開閉検知部42によって開口23が開かれていると検知されると、後述する異常発生時の動作が行われる。
【0044】
1−7.制御部
図5に示す制御部8は、操作部91や通信部92からの指令信号に基づいて、カラープリンタ1の各部を制御することにより、後述する印刷動作や、現像器16へのトナーの補給動作を行わせることができる。なお、操作部91は、タッチパネル式の表示パネルやハードキーなどを有しており、ユーザーによって操作される部分である。通信部92は、通信回線を介して外部のコンピュータ等と接続されており、指令信号を受信する。
【0045】
2.動作
以下、カラープリンタ1の各種の動作について説明する。
【0046】
2−1.印刷動作
カラー画像を印刷する際には、コンピュータ等からカラープリンタ1に画像データが送信され、画像形成部12において画像データに基づいた画像が形成される。具体的には、感光体ドラム2上に静電潜像が形成され、各色のトナーを収納する現像器16が感光体ドラム2に対向する位置に回転移動して順に感光体ドラム2上に各色のトナーを供給する。これにより、感光体ドラム2上にトナー画像が形成される。そして、感光体ドラム2上のトナー画像は、転写部7によって用紙上に転写される。トナー画像が転写された用紙は、定着部9に搬送され、定着部9でトナー画像が用紙に定着される。これにより、カラー画像が用紙に印刷され、排出口29から外部に排出される。
【0047】
2−2.トナー補給動作
次に、トナー補給動作について説明する。
【0048】
現像器16内のトナーが所定量まで減少すると、トナー補給が行われる。トナー補給は、トナー収容部5のトナーをトナー供給パイプ25によって現像器16内に供給することにより行われる。
【0049】
まず、印刷動作が中断される。そして、現像器支持部15が回転することにより補給対象の現像器16が所定の補給位置まで移動し、補給位置で停止する。
【0050】
次に、トナー供給パイプ25が補給位置に移動する。補給位置までトナー供給パイプ25が移動すると、トナー供給パイプ25の先端が、トナー補給口22を通って現像器16の内部に進入する。この状態で、トナー収容部5のトナーが、搬送パイプ26を通ってトナー供給パイプ25に搬送され、トナー供給パイプ25から現像器16内に供給される。
【0051】
そして、トナー量検出部40によって、現像器16内のトナー量が所定量以上となったことが検出されると、現像器16内へのトナーの供給が停止し、トナー供給パイプ25が待避位置に移動する。
【0052】
トナー供給パイプ25が待避位置に移動すると、現像器支持部15が回転して、現像器16が所定の初期位置に移動する。その後、印刷動作が再開される。
【0053】
2−3.電源投入時の動作
次に、カラープリンタ1の電源が投入された際の動作について説明する。
【0054】
カラープリンタ1の電源が投入されると、制御部8は、図6に示すように、電源投入時の処理を行う。
【0055】
まず、第1ステップS1において、初期動作が行われる。この初期動作では、2次転写ローラ72が中間転写ベルト71から離間した状態にされると共に、キャリブレーションのために中間転写ベルト71にクリーニングブラシ(図示せず)が圧接される。
【0056】
次に、第2ステップS2において、トナー供給パイプ25がトナー補給口22に挿入されているか否かが判断される。ここでは、トナー供給パイプ検知部24によって、トナー供給パイプ25がトナー補給口22に挿入されているか否かが検知され、その検知結果を制御部8が受信する。トナー供給パイプ25がトナー補給口22に挿入されている場合には、第3ステップS3に進む。トナー供給パイプ25がトナー補給口22に挿入されていない場合には、第4ステップS4に進む。
【0057】
第3ステップS3では、トナー供給パイプ25を待避位置に移動させる。ここでは、駆動機構27によって、トナー供給パイプ25が待避位置まで移動させられて、現像器16内から引き出される。
【0058】
次に、第4ステップS4において、現像器16の移動が行われる。ここでは、現像器16が現像駆動部41によって回転移動させられて、所定の初期位置に移動する。この初期位置は、カラープリンタ1が、印刷が行われていない待機状態である場合に、現像器16が待機する位置である。
【0059】
第5ステップS5では、前回の電源の遮断時にトナー補給が中断されたか否かが判断される。前回の電源の遮断がトナー補給動作中に行われた場合には、トナー補給が中断されているため、第6ステップS6に進む。前回の電源の遮断がトナー補給動作中に行われたのではない場合には、第7ステップS7に進む。
【0060】
第6ステップS6では、トナーの補給が行われる。ここでは、トナー補給動作中の電源の遮断により中断されていたトナーの補給が再開される。
【0061】
第7ステップS7では、所定のウォームアップ動作が行われる。このウォームアップ動作では、感光体ドラム2のリフレッシュや、中間転写ベルト71のクリーニングなど、印刷を開始するために必要な準備動作が行われるが、詳細な説明は省略する。
【0062】
2−4.異常発生時および異常解消時の動作
次に、カラープリンタ1において異常が発生した場合および異常が解消した場合の動作について説明する。なお、ここでいう異常とは、カバー部材28が開かれることを意味する。
【0063】
カバー部材28が開かれると、カバー部材28が開かれたことが開閉検知部42によって検知される。このとき、印刷動作やトナーの補給動作が行われている場合、制御部8は、行われている動作を中断させる。これにより、現像器16やトナー供給パイプ25は、カバー部材28が開かれた時点での位置で停止する。
【0064】
その後、カバー部材28が閉じられると、カバー部材28が閉じられたことが開閉検知部42によって検知される。このとき、制御部8は、異常が解消されたとして、図7に示すように、異常解消時の処理を行う。
【0065】
まず、第11ステップS11では、トナー供給パイプ25がトナー補給口22に挿入されているか否かが判断される。ここでは、トナー供給パイプ検知部24によって、トナー供給パイプ25がトナー補給口22に挿入されているか否かが検知され、その検知結果を制御部8が受信する。トナー供給パイプ25がトナー補給口22に挿入されている場合には、第12ステップS12に進む。トナー供給パイプ25がトナー補給口22に挿入されていない場合には、第13ステップS13に進む。
【0066】
第12ステップS12では、トナー供給パイプ25を待避位置に移動させる。ここでは、駆動機構27によって、トナー供給パイプ25が待避位置まで移動させられて、現像器16内から引き出される。
【0067】
次に、第13ステップS13において、現像器16の移動が行われる。ここでは、現像器16が現像駆動部41によって回転移動させられて、初期位置に移動する。
【0068】
第14ステップS14では、カバー部材28が開かれた際にトナー補給が中断されたか否かが判断される。カバー部材28がトナー補給動作中に開かれた場合には、トナー補給が中断されているため、第15ステップS15に進む。カバー部材28がトナー補給動作中に開かれたのではない場合には、第16ステップS16に進む。
【0069】
第15ステップS15では、トナーの補給が行われる。ここでは、トナー補給動作中にカバー部材28が開かれたことにより中断されていたトナーの補給が再開される。
【0070】
第16ステップS16では、復帰動作が行われる。この復帰動作は、上述したウォームアップ動作と同様の動作である。
【0071】
なお、以上に述べた制御部8の機能は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、及び必要に応じて用いられる他の記憶媒体等によって実現可能である。すなわち、CPUは、ROM等に格納されたプログラムを読み出し実行することによって、上述した各種制御を実行可能である。
【0072】
4.特徴
このカラープリンタ1では、電源投入時に、トナー供給パイプ25が現像器16内に挿入されているか否かが判断される。そして、トナー供給パイプ25が現像器16内に挿入されている場合には、トナー供給パイプ25を待避位置に移動させた後に現像器16を初期位置に移動させる。このため、トナーの補給動作中に電源が遮断され、その後、電源が再投入された際に、トナー供給パイプ25が現像器16内に挿入されたまま現像器16を移動させてしまうことを防止することができる。これにより、現像器16やトナー供給パイプ25の破損を防止することができる。
【0073】
また、このカラープリンタ1では、カバー部材28が閉じられた際に、トナー供給パイプ25が現像器16内に挿入されているか否かが判断される。そして、トナー供給パイプ25が現像器16内に挿入されている場合には、トナー供給パイプ25を待避位置に移動させた後に現像器16を初期位置に移動させる。このため、トナーの補給動作中にカバー部材28が開かれ、その後、カバー部材28が閉じられた際に、トナー供給パイプ25が現像器16内に挿入されたまま現像器16を移動させてしまうことを防止することができる。これにより、現像器16やトナー供給パイプ25の破損を防止することができる。
【0074】
5.他の実施形態
(a)
上記の実施形態では、画像形成装置の一例としてカラープリンタを挙げたが、本発明は、これ以外にも、複写機、ファクシミリ装置、これらの装置の機能を併せ持った複合機等に適用可能である。
【0075】
(b)
上記の実施形態では、4つの現像器16が設けられているが、現像器16の数はこれに限られるものではない。
【0076】
(c)
上述した異常が発生した場合および異常が解消した場合の動作は、カバー部材28が開閉された場合に限らず、他の異常が発生した場合および異常が解消した場合に行われてもよい。
【0077】
(d)
上記の実施形態では、現像剤としてトナーが用いられているが、トナー以外の現像剤が用いられる画像形成装置においても本発明の適用が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明は、現像器や現像剤補給部材の破損を防止することができる効果を有し、画像形成装置として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】カラープリンタの内部構成を示す概略断面図。
【図2】現像装置の外観斜視図
【図3】現像器の内部構成を示す概略断面図
【図4】トナー補給部の拡大図。
【図5】カラープリンタの構成を示す制御ブロック図。
【図6】電源投入時の制御内容を示すフローチャート。
【図7】異常解消時の制御内容を示すフローチャート。
【符号の説明】
【0080】
1 カラープリンタ(画像形成装置)
2 感光体ドラム(潜像担持体)
8 制御部
15 現像器支持部
16 現像器
24 トナー供給パイプ検知部(第1検知部)
25 トナー供給パイプ(現像剤補給部材)
27 駆動機構(第2駆動部)
41 現像駆動部(第1駆動部)
42 開閉検知部(第2検知部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
潜像を担持可能な潜像担持体と、
現像剤を内部に収容し潜像を前記潜像担持体で現像する複数の現像器と、
所定の回転軸を中心に回転可能に設けられ、前記回転軸周りに前記現像器を回転移動可能に支持しており、任意の前記現像剤を前記潜像担持体に対向する位置に移動させることができる現像器支持部と、
前記現像器支持部を回転駆動する第1駆動部と、
前記現像器内に挿入されて前記現像器内に現像剤を補給する現像剤補給部材と、
前記現像器内に挿入された状態となる補給位置と、前記現像器の外側に引き出された状態となる待避位置とに前記現像剤補給部材を移動させる第2駆動部と、
前記現像剤補給部材が前記現像器内に挿入されているか否かを検知する第1検知部と、
前記現像器を回転移動させる際、前記第1検知部により前記現像剤補給部材が前記現像器内に挿入されていると検知された場合には、前記現像剤補給部材を前記待避位置に移動させた後に前記現像器を回転移動させる制御部と、
を備える画像形成装置。
【請求項2】
前記制御部は、電源投入時において、前記第1検知部により前記現像剤補給部材が前記現像器内に挿入されていると検知された場合には、前記現像剤補給部材を前記待避位置に移動させた後に前記現像器を所定の初期位置に移動させる、
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
異常の発生および解消を検知する第2検知部をさらに備え、
前記制御部は、前記第2検知部により異常の発生が検知された場合には、前記現像器および前記現像剤補給部材の動作を停止させ、前記第2検知部により異常の解消が検知された際に、前記第1検知部により前記現像剤補給部材が前記現像器内に挿入されていると検知された場合には、前記現像剤補給部材を前記待避位置に移動させた後に前記現像器を所定の初期位置に移動させる、
請求項1または2に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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