説明

画像形成装置

【課題】 オブジェクト属性毎に摘要されるハーフトーンを、透明トナーに摘要してしまうとコーティングの風合いが異なってしまう。
【解決手段】 透明トナーを有色トナーと独立してハーフトーン設定を行うことのできるユーザインターフェイスを設け、透明トナーに対して独立してハーフトーンを摘要する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関し、透明トナーの中間調技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真技術を用いた画像形成装置において、透明トナーや蛍光トナーといった特殊トナーを追加した多色印刷システムの開発が進んでいる。このうち、透明トナーについては有色トナーと異なり、たとえば印刷用紙全面に重ね合わせて用いられ、元画像に対して光沢を与え、あたかも銀塩写真のような効果を得ることができる。また印刷用紙全面に重ね合わせられるのみならず、特定のオブジェクトの上のみに重ね合わせて印字されることにより、特定のオブジェクトを視覚的および触覚的に目立たせる効果を得たり、さらには印刷用紙全面に文字として、ウォーターマークのように配置されて、やってはいけないコピーの防止の効果を得たりする目的で使用されている。
【0003】
一方、従来画像形成装置においては、イメージ・グラフィクス・テキストといった入力描画オブジェクトの属性に応じて、適用するハーフトーンの種類を変える画像形成装置が存在する。
【0004】
図1は、この入力オブジェクトの属性に応じて適用するハーフトーンの種類を変える画像形成装置について説明する図である。
【0005】
たとえばテキスト101に誤差拡散、イメージ102とグラフィクス103にディザを適用することにより、シャープな輪郭を持つテキストと階調性の良いイメージおよびグラフィクスを両立することができる。104は、テキスト105に重ねあわされた透明オブジェクトである。従来の技術では、同じ属性を持つオブジェクトに対しては同じハーフトーンが適用されるため、テキストの透明オブジェクトには誤差拡散、イメージとグラフィクスの透明オブジェクトにはディザが自動的に適用されていてそれを変更することができなかった。
【0006】
加えて、有色トナーのハーフトーン技術については、従来多くの画像形成装置において実現されているとおり、面積階調を用いて、面積により中間調を表現している。
【0007】
図2は、このハーフトーンの網点の適用方法について説明する図である。201は、各ハーフトーンスクリーン線角である。202はシアンの網点であり、水平に対して15°の線角を与えられている。203はイエローで30°、204はマゼンタで45°のスクリーン線角を与えられている。このように適切にスクリーン線角と線数を設定することにより、スクリーン同士が干渉して発生するモアレを最小限にする構成を有する。
【0008】
上記の例として、下記特許文献1をあげることが出来る。
【特許文献1】特開2005−176377号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、透明トナーの網点は無色であるため、有色トナーと干渉を起こすことは無いにもかかわらず、従来は各々のチャンネルのスクリーン線角と線数は画像形成装置固有にあらかじめ決められており、透明トナーのみ変更することはできなかった。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、本発明では、透明トナーに適用するハーフトーンとそれに関連するパラメータを、有色トナーと独立して制御させることにより、有色トナーによる印字結果に影響をおよぼさずにかつ透明トナーのハーフトーンの風合いを事細かに設定できる画像形成装置を提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明により、透明トナーに適用するハーフトーンを有色トナーと独立して制御することが可能になり、透明トナーによるコートの光沢感、触感等の風合いをユーザが好みのハーフトーンを用いて設定することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
次に、本発明の詳細を実施の形態の記述に従って説明する。
[第1の実施の形態]
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。
【0013】
図3は、本発明の第1の実施の形態における、独立して制御された透明トナーのハーフトーンについてあらわす模式図である。
【0014】
301は濃度100%、すなわちすばらしい光沢をもつ透明トナーである。この場合は全面に透明トナーでコーティングされるため、ハーフトーンは適用されない。触覚ではつるつる滑らかな状態を保持している。
【0015】
302は、濃度80%で線角が0°の場合の透明トナーによるハーフトーンである。所々に網点による透明トナーが適用されていない部分が存在するため、301と比較すると視覚的な光沢が落ちてすこしでこぼこして見える。また、触覚的にも少しざらざらして感じる。
【0016】
303は、302と同じ条件でスクリーン線角を45°に設定した場合である。触覚的には302と同等であるが、スクリーン線角が設定されているため、光沢の風合いが302とは少し異なる。
【0017】
304は、302と同じ条件で濃度を20%に設定した場合である。濃度が80%の場合とは異なり、透明トナーによる網点が所々に存在するのみであり、光沢感はほとんど見受けられないが、触覚的にはざらざら感が増している。
【0018】
従来、301のようにトナーの総量が多い場合、302にあるように全チャンネル等比率で減少させていた。
【0019】
図4は、本発明の第1の実施の形態の透明オブジェクトに対するハーフトーンを適用するための、画像形成装置が有するユーザインターフェイスの画面図である。
【0020】
401はタッチセンサーを有する液晶ディスプレイであり、ユーザに対して対話的に設定を変更させることができる。該画面には、3つのプルダウンメニュー402乃至404を備え、それぞれによりハーフトーンのタイプ、スクリーン線数、スクリーン角度について設定をすることができる。たとえば、タイプでは誤差拡散・階調優先ディザ・解像度優先ディザを選択可能であり、スクリーン線数と角度については任意の線数および角度を自由に設定することができる。この設定を該画像形成装置に適用するためには、OKボタン405を押すことで適用され、変更を廃棄する場合にはキャンセルボタン406を押すことによりキャンセルを行うことができる。
【0021】
図5は、本発明の第1の実施の形態のハーフトーン適用について説明するフローチャートである。
【0022】
ステップS501において開始し、ステップS502において描画オブジェクトの入力を行う。ステップS503において、前記入力された描画オブジェクトが透明トナーにより再現されるオブジェクトかどうかを判断する。ここで、該描画オブジェクトが透明オブジェクトではないと判断された場合には、従来の画像形成装置と同様のステップを辿る。すなわち、ステップS504において、入力された描画オブジェクトの属性がイメージかグラフィクスかテキストのいずれにあたるかどうかを判断する。この判断に基づいて、それぞれに最適に設計されたハーフトーンタイプをS505乃至S507において適用する。その後、ステップS508において該入力オブジェクトをCMYKの4色に分解し、それぞれの色の濃度に対してステップS509においてスクリーン線角を自動的に設定し、ステップS513においてチャンネル毎に画像を形成して終了する。
【0023】
ステップS503において該入力描画オブジェクトが透明オブジェクトであると判断された場合には、有色トナーで行われるハーフトーン処理とは独立してハーフトーン処理が行われる。すなわち、ステップS510において、ユーザが図4におけるユーザインターフェイスを用いてあらかじめ設定した、透明オブジェクト用にユーザ定義設定値をロードする。次にステップS511において、ユーザ定義されたハーフトーンタイプ402を該入力オブジェクトに対して適用する。図3の例では誤差拡散が適用される。次に、ステップS512において、ユーザ定義されたスクリーン線数403とスクリーン角度404を、該入力オブジェクトに対して適用する。この後、有色オブジェクトと同様にステップS513においてチャンネル毎に画像を形成し終了する。
【0024】
以上述べてきたように画像形成装置を制御することにより、有色トナーに影響を及ぼさない透明トナーについて独立してハーフトーン処理をおこなえるようになり、ユーザの好みに応じて様々な風合いの透明トナーへのハーフトーン適用が可能になる。
[第2の実施の形態]
第1の実施の形態では、画像形成装置の有するユーザインターフェイスを用いて、透明トナーに対するハーフトーン設定をユーザ定義させる方法についてのべたが、これが画像形成装置と通信することのできる外部装置から設定することができても同様の効果を奏することは言うまでもない。
[第3の実施の形態]
第1乃至第2の実施の形態では、ユーザインターフェイス等をもちいて透明トナーに対するハーフトーン設定をユーザ定義させる方法について述べたが、これをユーザに設定させず、画像形成装置が好適に処理することのできるハーフトーン設定を強制的に設定してもよい。
[第4の実施の形態]
第1乃至第3の実施の形態では、透明トナーにより表現される描画オブジェクトに対し、その属性は問わず一様にユーザ定義されたハーフトーン設定を適用していた。これをさらに細分化し、透明イメージ用、透明グラフィクス用および透明テキスト用というようにさらに詳細にハーフトーン設定をユーザ定義できるようなユーザインターフェイスおよび制御をおこなってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】入力オブジェクトの属性に応じて適用するハーフトーンの種類を変える画像形成装置について説明する図である。
【図2】ハーフトーンの網点の適用方法について説明する図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態における、独立して制御された透明トナーのハーフトーンについてあらわす模式図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態の透明オブジェクトに対するハーフトーンを適用するための、画像形成装置が有するユーザインターフェイスの画面図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態のハーフトーン適用について説明するフローチャートである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1種類以上の複数のトナーを重ね合わせることにより画像を形成する手段と、
前記複数のトナーは透明トナーを含むことを特徴とする画像形成装置であって、
前記透明トナーに適用するハーフトーンのパラメータを保持する手段と、
前記透明トナーに適用するハーフトーンのパラメータを、有色トナーと独立して前記透明トナーに適用する手段と、
を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記画像形成装置は、ユーザに対して対話的に印刷設定をさせることが可能なユーザインターフェイスを備え、
前記透明トナーに適用するハーフトーンのパラメータを前記ユーザインターフェイスによる変更する手段を有することを特徴とする、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記画像形成装置は、外部装置との通信インターフェイスを備え、
前記透明トナーに適用するハーフトーンのパラメータを前記通信インターフェイスを介して変更する手段を有することを特徴とする、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記透明トナーに適用するハーフトーンのパラメータは、ハーフトーン種類、スクリーン線数、スクリーン角度であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記透明トナーに適用するハーフトーンのパラメータは、イメージ、テキスト、グラフィクスのそれぞれに独立して保持する手段を有し、
前記透明トナーに適用するハーフトーンのパラメータを、イメージ、テキスト、グラフィクスのそれぞれに独立して摘要する手段を有することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−58766(P2009−58766A)
【公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−226062(P2007−226062)
【出願日】平成19年8月31日(2007.8.31)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】