説明

画像形成装置

【課題】画像形成装置の大型化やコスト増大を抑制しつつ、画像形成装置から排出される有害な排出ガスの浄化が可能であると共に、画像形成装置が設置された室内の空気の浄化も可能な画像形成装置を提供する。
【解決手段】記録用紙に対する画像形成処理を行う本体を備えた画像形成装置100の本体の外部に、イオンを発生して外部に放出するイオン発生手段71Aを、画像形成装置100の本体から上向きに突設された支持部材72を用いて、この画像形成装置100の本体から離間して取付ることにより、備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ装置等の画像形成処理を行う装置にイオン発生機能を備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、複写機やプリンタ、ファクシミリ装置等、画像形成を可能とした電子写真方式の画像形成装置が開発されている。これらの画像形成装置は、例えば、静電潜像を感光体ドラム表面に形成し、トナーにより現像して感光体ドラム表面にトナー像を形成し、このトナー像を感光体ドラムから記録用紙に転写し、この記録用紙を加熱及び加圧して、トナー像を記録用紙上に定着させる、いわゆる、記録用紙に対する画像形成処理を行う装置である。
【0003】
このような画像形成装置においては、記録用紙に対する画像形成処理中に有害な排出ガスが生じることがある。この排出ガスの主成分は、記録用紙から発生するロンギフォレン等であることが知られている。
【0004】
しかし、画像形成装置は、オフィス等においては必要不可欠なOA機器であって、殆どのオフィスに設置され、更には家庭や病院にも普及しつつある。そのため、画像形成装置から排出される有害な排出ガスは、多くの利用者に不快感を与える。
【0005】
そこで、画像形成装置におけるこのような有害な排出ガスの浄化を図るべく、各種の提案がなされている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1には、送風ファン、マイナスイオン発生部、及びプラスに帯電されたフィルター等を、画像形成装置の内部に設け、装置内部で発生したトナー粉、塵埃をマイナスに帯電させて、マイナス帯電のトナー粉、塵埃をプラス帯電のフィルターに吸着させ、装置外部に放出される有害物質を低減する画像形成装置が記載されている。
【0006】
一方、オフィス、家庭、病院等においては、室内の空気を浄化する空気清浄機が普及しており、このような空気清浄機には、各種のものが存在する(例えば、特許文献2参照)。特許文献2に記載の空気清浄機は、正イオン及び負イオンを同時に発生して、正イオン及び負イオンにより空気中の浮遊細菌を効果的に除去する空気清浄機である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005−4144号公報
【特許文献2】特開2002−58731号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載の画像形成装置では、この画像形成装置の画像形成機能に直接必要でないマイナスイオン発生部やプラス帯電のフィルター等を、画像形成装置の内部に設ける必要があり、これらが画像形成装置の大型化やコスト増大の要因となっている。
【0009】
また、特許文献2の空気清浄機では、室内の空気を浄化することができても、この画像形成装置から排出される有害な排出ガスを浄化することを、主眼としているわけではない。
【0010】
更に、特許文献1に記載のような高いコストの画像形成装置と、特許文献2に記載のような空気清浄機を、共に設けるのは、経済的に負担が大きい。
【0011】
そのため、画像形成装置における上記のような有害な排出ガスを浄化することにより、有害な排出ガスの排出抑制が可能であると共に、画像形成装置が設置された室内の空気の浄化も可能であり、従って、この画像形成装置が設置された室内に、空気清浄機の設置を必要としない画像形成装置が要望されていた。
【0012】
そこで、この発明は、上記のような要望に対処するためになされたものであって、画像形成装置の大型化やコスト増大を抑制しつつ、画像形成装置から排出される有害な排出ガスの浄化が可能であると共に、画像形成装置が設置された室内の空気の浄化も可能な画像形成装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の発明者は、画像形成装置から排出される有害な排出ガスの浄化に関し、特許文献1に記載の画像形成装置におけるような、画像形成装置の内部にマイナスイオン発生部やフィルター等を設けてイオンを発生させるのではなく、代わりに、画像形成装置の外部においてイオンを発生させ、放出させても、イオンの放出方法によっては、画像形成装置から排出される有害な排出ガスを浄化することが可能であることを見出した。本発明は、このような着想に基づいてなされたものである。
【0014】
このようにして創案された本発明の画像形成装置は、次のような特徴を備えている。即ち、本発明の画像形成装置は、記録用紙に対する画像形成処理を行う本体を備えた画像形成装置であって、この画像形成装置の本体の外部に、イオンを発生して外部に放出するイオン発生手段を備えている。
【0015】
上記の画像形成装置において、画像形成装置の本体は、画像形成装置における画像形成処理を行う部分であり、この画像形成装置の本体には、イオン発生手段は含まれない。通常、この画像形成装置の本体は、独立した筐体を備えて構成される。
【0016】
上記の画像形成装置によれば、画像形成装置の本体の外部にイオン発生手段を備えることで、画像形成装置の内部にイオン発生手段を設ける必要がなく、画像形成装置が大型化するのを抑制することができる。
【0017】
そのため、画像形成装置の大型化やコストの増大を抑制しつつ、後述するように、画像形成装置から排出される有害な排出ガスを浄化することが可能であると共に、画像形成装置が設置された室内の空気の浄化も、可能とすることができる。即ち、1台で画像形成装置からの排出ガスの浄化と室内の空気の浄化の2役を果たすことができる。従って、画像形成装置が設置された室内に、空気清浄機を別途設ける必要性をなくすることができる。
【0018】
上記の画像形成装置において、イオン発生手段は、画像形成装置の本体から離間して取付るようにしてもよい。
【0019】
この場合に、イオン発生手段は、画像形成装置の本体から上向きに突設された支持部材により支持するようにしてもよい。
【0020】
さらに、支持部材は、画像形成装置の本体の後面の上側角部から上向きに突設されると共に、該支持部材に対して垂直に配置されたイオン発生手段の基端部を、該支持部材の先端部で支持するようにしてもよい。
【0021】
或いは、支持部材は、画像形成装置の本体の後面の上側中央部から上向きに突設されると共に、該支持部材に対して垂直に配置されたイオン発生手段の中央部を、該支持部材の先端部で支持するようにしてもよい。
【0022】
尚、上記の画像形成装置では、この画像形成装置の操作を行う操作者が操作を行う側の画像形成装置の本体の面を、画像形成装置の本体の前面と称し、この前面と対面する反対側の面を、画像形成装置の本体の後面と称する。一般的に、この画像形成装置の本体の前面側には、画像形成装置の操作を行うのに用いられる操作パネルが設けられる。また、イオン発生手段の長手方向は、画像形成装置の本体の前後方向に対して水平面上で垂直に交差する方向と同じである。
【0023】
上記のようにして、イオン発生手段を取付ることにより、イオン発生手段を、容易に、画像形成装置の本体の外部に設けることができる。また、画像形成装置を操作するのに必要なスペースを、十分確保することができ、画像形成装置の操作性が損なわれないようにすることができる。
【0024】
上記の画像形成装置において、イオン発生手段は、画像形成装置が動作中であるか待機中であるかに応じて、このイオン発生手段が発生して放出するイオンの量を、可変可能とするのが、好適である。上記の画像形成装置が動作中とは、画像形成装置の本体が記録用紙に対する画像形成処理を行っているときであり、待機中とは、それ以外のときである。
【0025】
上記のようにすることにより、後述するように、画像形成装置から排出される有害な排出ガスの浄化や、画像形成装置が設置された室内の空気の浄化を、効率的に行うことができる。
【0026】
上記のイオン発生手段が発生して放出するイオンの量を可変可能とするには、具体的には、例えば、イオン発生手段に、ファンを備えると共に、このファンの風量を変化させることにより、放出するイオンの量を可変するようにする。
【0027】
或いは、イオン発生手段は、複数のイオン発生器を備えており、動作させるイオン発生器の個数を増減することにより、放出するイオンの量を可変するようにする。
【0028】
このようにすることにより、イオン発生手段が発生して放出するイオンの量を、容易に、且つ、確実に可変することができる。
【0029】
上記の画像形成装置において、このイオン発生手段が発生して放出するイオンの量は、画像形成装置の動作中よりも、画像形成装置の待機中の方が少なくなるようにしてもよい。このようにするのは、次の理由による。
【0030】
即ち、画像形成装置において、この画像形成装置100の動作中は画像形成装置100が動作している。そこで、画像形成装置100が設置されている室内の空気の浄化のみならず、画像形成装置100から排出される有害な排出ガスの浄化の双方を行う必要がある。
【0031】
そのため、上記のようにすることにより、イオン発生手段は、画像形成装置の動作中では、画像形成装置の待機中に比べて、多くのイオンを外部に放出することができ、画像形成装置から排出される有害な排出ガスの浄化のみならず、画像形成装置が設置された室内の空気の浄化の双方を、十分に行うことができる。
【0032】
これに対して、画像形成装置の待機中には、画像形成装置から排出される有害な排出ガスの浄化を行う必要がなく、画像形成装置が設置された室内の空気の浄化のみでよい。そのため、また、画像形成装置の待機中では、画像形成装置の動作中に比べて、イオン発生手段によるイオンの放出を少なくすることができる。従って、画像形成装置における効率的なイオンの放出を行うことができる。
【0033】
上記の画像形成装置において、上述した対処とは逆に、次のようにしてもよい。即ち、イオン発生手段は、このイオン発生手段が発生して放出するイオンの量が、画像形成装置の待機中よりも、画像形成装置の動作中の方が少なくなるようにするのである。
【0034】
このような対処においては、例えば、画像形成装置の待機中よりも、画像形成装置の動作中の方がファンによる風量が少なくなるようにすることにより、画像形成装置の周りにイオンを漂わせるようにする等の方法を採用することができる。
【0035】
即ち、イオンを含んだ空気を、エアーカーテンのようにして画像形成装置の周囲を覆うようにするのである。このようにすることにより、画像形成装置から排出される有害な排出ガスの浄化を、確実に行うことができる。
【0036】
上記の対処は、次のような状態が想定される場合に使用されることを基本としている。即ち、画像形成装置の動作中には、主として、画像形成装置から排出される有害な排出ガスの浄化に専念し、画像形成装置の待機中に、画像形成装置が設置された室内の空気の浄化を行うようにするのである。
【0037】
通常、画像形成装置の容積は、画像形成装置が設置される室内の容積に比べて小さいことから、画像形成装置から排出される有害な排出ガスの浄化に必要なイオンの量は、画像形成装置が設置された室内の空気の浄化を行うのに必要なイオンの量よりも少なくてよいと考えられる。そこで、イオン発生手段が発生して放出するイオンの量を、画像形成装置の動作中よりも、待機中の方が少なくなるようにするのである。
【0038】
一般的に、画像形成装置が動作中となる時間は、画像形成装置が待機中である時間に比べると、かなり少ない傾向が見られる。そうすると、画像形成装置の動作中には、主として、画像形成装置から排出される有害な排出ガスの浄化に専念し、画像形成装置の待機中に、画像形成装置が設置された室内の空気の浄化を行うようにしても、画像形成装置の動作中に画像形成装置が設置された室内の空気の浄化が効果的に行われないことによる弊害は、ほとんど生じないと考えられる。上記の対処は、このような観点から考えられたものである。
【0039】
上記のように、イオン発生手段が発生して放出するイオンの量が、画像形成装置の待機中よりも、動作中の方が少なくなるようにすることにより、上述した対処におけるのとは異なる観点から、画像形成装置における効率的なイオンの放出を行うことができる。
【0040】
また、イオン発生手段が発生して放出するイオンの量が、画像形成装置の待機中よりも、画像形成装置の動作中の方が少なくなるようにした上記の画像形成装置において、イオン発生手段を、次のように構成してもよい。
【0041】
即ち、イオンの放出方向を、画像形成装置の本体に向ける方向と、該本体に向ける以外の方向とに切替可能とする。そして、このイオンの放出方向が、画像形成装置の動作中は、該画像形成装置の本体に向ける方向にすると共に、画像形成装置の待機中は、該画像形成装置の本体に向ける以外の方向にする。
【0042】
上記のように、イオンの放出方向を、画像形成装置の本体に向ける方向とすることにより、上述したイオンを含んだ空気をエアーカーテンのようにして画像形成装置の周囲を覆うようにするのを、さらに、効果的に行うことができる。従って、このようにすることで、画像形成装置から排出される有害な排出ガスの浄化を、さらに、確実に行うことができる。
【0043】
また、イオンの放出方向を、画像形成装置の本体に向ける以外の方向とする場合としては、例えば、イオンの放出が部屋の上方に向かって行われるように、イオンの放出方向を上向きにする。このようにすることにより、イオンが室内全体に流れて拡散し、空気の浄化が広い範囲で行われ、そのため、室内の空気を効率的に浄化することができる。
【0044】
従って、上記のように、イオンの放出方向を、画像形成装置の本体に向ける方向と、該本体に向ける以外の方向とに切替可能とすることで、画像形成装置において、画像形成装置の待機中に上記のイオンによりなされる室内の空気の浄化や、画像形成装置の動作中に上記のイオンによりなされる画像形成装置から排出される有害な排出ガスの浄化を、効率的に行うことができる。
【0045】
また、イオン発生手段が発生して放出するイオンの放出方向を、画像形成装置の本体に向ける方向と、該本体に向ける以外の方向とに切替可能とした上記の画像形成装置において、イオン発生手段を、次のように構成してもよい。
【0046】
即ち、イオン発生手段に、首振機構を備えると共に、この首振機構により、イオンの放出方向を、画像形成装置の本体に向ける方向と、該本体に向ける以外の方向とに切替するのである。
【0047】
このようにすることにより、画像形成装置におけるイオン発生手段の構成を、シンプルにすることができる。
【0048】
或いは、イオン発生手段の内部に可動壁を備えると共に、この可動壁の位置を変更することにより、イオンの放出方向を、画像形成装置の本体に向ける方向と、該本体に向ける以外の方向とに切替するようにしてもよい。
【0049】
このようにすることにより、画像形成装置におけるイオン発生手段を、上記の首振機構を備えるような、イオン発生手段全体が可動する構成とする必要がなく、イオン発生手段を不動に固定して取付ることができる。
【0050】
また、上記の画像形成装置において、次のようにするのが一般的である。即ち、画像形成装置の待機中から動作中への移行は、該画像形成装置に対する画像形成処理の開始を指示する信号が、該画像形成装置に対するマニュアル操作により、または、該画像形成装置に接続された外部装置からの伝送により、発生することで行われるようにする。
【0051】
また、上記の画像形成装置において、イオン発生手段は、イオンとして、正イオン、及び、負イオンを同時に発生して放出するようにしてもよい。このようにすることで、空気中の浮遊細菌を効率的に除去できることが知られている。
【発明の効果】
【0052】
本発明によれば、画像形成装置において、この画像形成装置の本体の外部にイオン発生手段を備えることで、画像形成装置の大型化やコスト増大を抑制しつつ、画像形成装置から排出される有害な排出ガスの浄化が可能であると共に、画像形成装置が設置された室内の空気の浄化も可能とすることができる。即ち、1台で画像形成装置からの排出ガスの浄化と室内の空気の浄化の2役を果たすことができる。
【0053】
また、画像形成装置が動作中であるか待機中であるかに応じて、このイオン発生手段が発生して放出するイオンの量を、可変可能とすることができ、後述するように、画像形成装置から排出される有害な排出ガスの浄化や、画像形成装置が設置された室内の空気の浄化を、効率的に行うことができる。
【0054】
即ち、例えば、画像形成装置において、イオン発生手段が発生して放出するイオンの量を、画像形成装置の動作中よりも、画像形成装置の待機中の方が少なくなるようにする。
【0055】
そうすることで、画像形成装置の動作中では、イオン発生手段は、画像形成装置の待機中に比べて、多くのイオンを外部に放出するので、画像形成装置から排出される有害な排出ガスの浄化のみならず、画像形成装置が設置された室内の空気の浄化の双方を、十分に行うことができる。
【0056】
また、画像形成装置の待機中では、イオン発生手段は、画像形成装置の動作中に比べて、イオンの放出を少なくする。この場合、画像形成装置の待機中には、画像形成装置から排出される有害な排出ガスの浄化を行う必要がなく、画像形成装置が設置された室内の空気の浄化のみでよいことから、画像形成装置における効率的なイオンの放出を行うことができる。
【0057】
或いは、上述したケースとは逆に、次のようにすることもできる。即ち、イオン発生手段は、このイオン発生手段が発生して放出するイオンの量が、画像形成装置の待機中よりも、画像形成装置の動作中の方が少なくなるようにするのである。
【0058】
このケースは、次のような状態が想定される場合に適用するのが好適である。即ち、画像形成装置の待機中では、画像形成装置が設置された室内の空気の浄化を行うべく、イオン発生手段は、放出するイオンの量を、画像形成装置の動作中よりも多くする。また、画像形成装置の動作中では、画像形成装置から排出される有害な排出ガスの浄化のみを行うべく、イオン発生手段は、放出するイオンの量を、画像形成装置の待機中よりも、少なくする。
【0059】
このようにすることにより、上述したケースとは異なる観点から、画像形成装置における効率的なイオンの放出を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本実施の形態における画像形成装置の断面図である。
【図2】実施の形態1におけるイオン発生装置の取付状態を示した斜視図である。
【図3】実施の形態1におけるイオン発生装置の構造を示した断面図である。
【図4】実施の形態1におけるイオン発生装置に内蔵されるイオン発生素子の平面図である。
【図5】実施の形態1におけるイオン発生装置の動作状態を示した断面図である。
【図6】実施の形態1におけるイオン発生装置の他の取付状態を示した斜視図である。
【図7】実施の形態3におけるイオン発生装置の取付状態を示した斜視図である。
【図8】実施の形態3におけるイオン発生装置の取付状態を示した斜視図である。
【図9】実施の形態3におけるイオン発生装置の構造を示した断面図である。
【図10】実施の形態3におけるイオン発生装置の動作状態を示した断面図である。
【図11】実施の形態3におけるイオン発生装置の動作状態を示した断面図である。
【図12】実施の形態4におけるイオン発生装置の構造を示した断面図である。
【図13】実施の形態4におけるイオン発生装置の構造を示した断面図である。
【図14】実施の形態4におけるイオン発生装置の動作状態を示した断面図である。
【図15】実施の形態4におけるイオン発生装置の動作状態を示した断面図である。
【図16】本実施の形態における画像形成装置に使用される操作パネルの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0061】
次に、本発明の実施の形態における画像形成装置について、図面に基づき詳細に説明する。本実施の形態における画像形成装置は、記録用紙に対する画像形成処理を行う画像形成装置であって、この画像形成装置の本体の外部に、イオンを発生して外部に放出するイオン発生装置を備えていることを特徴としている。
【0062】
そこで、本実施の形態における画像形成装置として、最初に、記録用紙に対する画像形成処理を行う装置としての画像形成装置の本体について説明した後、次に、この画像形成処理に備えられているイオン発生装置について、説明する。
【0063】
本実施の形態における画像形成装置において、画像形成装置の本体は、画像形成装置における画像形成処理を行う部分である。この画像形成装置の本体は、独立した筐体を備えて構成されている。即ち、画像形成装置の本体は、この画像形成装置の筐体及びこの筐体に内蔵されている部分(画像形成処理を行う部分)の双方を含んだ概念である。
【0064】
<画像形成装置の本体の説明>
まず、最初に、記録用紙に対する画像形成処理を行う装置としての画像形成装置の本体について、説明する。図1は、本実施の形態における画像形成装置100の断面図である。尚、本実施の形態においては、画像形成装置100は、上記の画像形成装置の本体とイオン発生装置の双方を含んだ全体を意味するものとする。
【0065】
この画像形成装置100は、原稿読取装置101により読取られた原稿の画像又は外部から受信した画像をカラーもしくは単色で記録用紙に記録する装置である。
【0066】
原稿読取装置101は、原稿搬送部42により搬送されている原稿画像を読取る。原稿搬送部42では、原稿が原稿セットトレイ41にセットされると、原稿ピックアップローラ44が原稿表面に押し付けられて回転され、原稿が原稿セットトレイ41から引き出され、原稿がサバキローラ45と分離パッド46間を通過して1枚ずつに分離されてから搬送経路47へと搬送される。
【0067】
この搬送経路47では、原稿の先端が原稿レジストローラ49に当接して、原稿の先端が原稿レジストローラ49と平行に揃えられ、この後に原稿が原稿レジストローラ49により搬送されて読取ガイド51と読取ガラス52間を通過する。更に、原稿は、搬送ローラ57により搬送され、排紙ローラ58を介して排紙トレイ59に排出される。
【0068】
原稿読取装置101では、原稿が読取ガイド51と読取ガラス52間を通過するに際し、第1走査部53の光源の光が読取りガラス52を介して原稿表面に照射され、その反射光が読取ガラス52を介して第1走査部53に入射し、この反射光が第1走査部53、及び、第2走査部54のミラーで反射されて結像レンズ55へと導かれ、結像レンズ55によって原稿の画像がCCD(Charge Coupled Device)56上に結像される。CCD56は、原稿の画像を読取り、原稿の画像を示す画像データを出力する。
【0069】
また、原稿台ガラス61上に載置された原稿を読取ることができる。原稿搬送部42は、原稿読取装置101の後面側で開閉可能に枢支されており、この原稿搬送部42が開かれると、原稿台ガラス61が解放されて、原稿台ガラス61上に原稿を載置することができる。原稿が載置されて、原稿搬送部42が閉じられると、第1走査部53、及び、第2走査部54が副走査方向に移動されつつ、第1走査部53によって原稿台ガラス61上の原稿表面が露光され、第1走査部53、及び、第2走査部54によって原稿表面からの反射光が結像レンズ55へと導かれ、結像レンズ55によって原稿の画像がCCD56上に結像される。このとき、第1走査部53、及び、第2走査部54が相互に所定の速度関係を維持しつつ移動されて、原稿表面→第1走査部53、及び、第2走査部54→結像レンズ55→CCD56という反射光の光路の長さが変化しないように第1走査部53、及び、第2走査部54の位置関係が常に維持され、これによりCCD56上での原稿の画像のピントが常に正確に維持される。
【0070】
こうして読取られた原稿の画像全体は、画像データとして画像形成装置100のレーザ露光装置1へと送受され、画像形成装置100において画像が記録用紙に記録される。
【0071】
一方、画像形成装置100は、レーザ露光装置1、現像装置2、感光体ドラム3、帯電器5、クリーナ装置4、中間転写ベルト装置8、定着装置12、用紙搬送経路S、給紙トレイ10、及び、用紙排出トレイ15等により構成されている。
【0072】
画像形成装置100において扱われる画像データは、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色を用いたカラー画像に応じたもの、又は単色(例えばブラック)を用いたモノクロ画像に応じたものである。従って、現像装置2、感光体ドラム3、帯電器5、クリーナ装置4は各色に応じた4種類の潜像を形成するようにそれぞれ4個ずつ設けられ、それぞれがブラック、シアン、マゼンタ、及びイエローに対応付けられて、4つの画像ステーションPa、Pb、Pc、Pdが構成されている。
【0073】
感光体ドラム3は、画像形成装置100のほぼ中央に配置されている。
【0074】
帯電器5は、感光体ドラム3の表面を所定の電位に均一に帯電させるための帯電手段であり、接触型であるローラ型やブラシ型の帯電器のほか、チャージャー型の帯電器が用いられる。
【0075】
レーザ露光装置1は、レーザダイオード及び反射ミラーを備えたレーザスキャニングユニット(LSU)であり、帯電された感光体ドラム3表面を画像データに応じて露光して、その表面に画像データに対応する静電潜像を形成する。
【0076】
現像装置2は、感光体ドラム3上に形成された静電潜像を(K、C、M、Y)のトナーにより現像する。クリーナ装置4は、現像及び画像転写後に感光体ドラム3表面に残留したトナーを除去及び回収する。
【0077】
感光体ドラム3の上方に配置されている中間転写ベルト装置8は、中間転写ベルト7、中間転写ベルト駆動ローラ21、従動ローラ22、中間転写ローラ6、及び中間転写ベルトクリーニング装置9を備えている。
【0078】
中間転写ベルト駆動ローラ21、中間転写ローラ6、従動ローラ22等は、中間転写ベルト7を張架して支持し、中間転写ベルト7を矢印C方向に周回移動させる。
【0079】
中間転写ローラ6は、中間転写ベルト7近傍に回転可能に支持され、中間転写ベルト7を介して感光体ドラム3に圧接され、感光体ドラム3のトナー像を中間転写ベルト7に転写するための転写バイアスを印加されている。
【0080】
中間転写ベルト7は、各感光体ドラム3に接触するように設けられており、各感光体ドラム3表面のトナー像を中間転写ベルト7に順次重ねて転写することによって、カラーのトナー像(各色のトナー像)を形成する。この転写ベルトは、厚さ100μm〜150μm程度のフィルムを用いて無端ベルト状に形成されている。
【0081】
感光体ドラム3から中間転写ベルト7へのトナー像の転写は、中間転写ベルト7裏面に圧接されている中間転写ローラ6によって行われる。中間転写ローラ6には、トナー像を転写するために高電圧の転写バイアス(トナーの帯電極性(−)とは逆極性(+)の高電圧)が印加されている。中間転写ローラ6は、直径8〜10mmの金属(例えばステンレス)軸をベースとし、その表面は、導電性の弾性材(例えばEPDM、発泡ウレタン等)により覆われているローラである。この導電性の弾性材により、記録用紙に対して均一に高電圧を印加することができる。
【0082】
上述の様に各感光体ドラム3表面のトナー像は、中間転写ベルト7で積層され、画像データによって示されるカラーのトナー像となる。このように積層された各色のトナー像は、中間転写ベルト7と共に搬送され、中間転写ベルト7と接触する2次転写装置11の転写ローラ11aによって記録用紙上に転写される。
【0083】
中間転写ベルト7と2次転写装置11の転写ローラ11aとは相互に圧接されて、ニップ域を形成する。また、2次転写装置11の転写ローラ11aには、中間転写ベルト7上の各色のトナー像を記録用紙に転写させるための電圧(トナーの帯電極性(−)とは逆極性(+)の高電圧)が印加される。さらに、そのニップ域を定常的に得るために、2次転写装置11の転写ローラ11aもしくは中間転写ベルト駆動ローラ21の何れか一方を硬質材料(金属等)とし、他方を弾性ローラ等の軟質材料(弾性ゴムローラ、または発泡性樹脂ローラ等)としている。
【0084】
また、2次転写装置11によって中間転写ベルト7上のトナー像が記録用紙上に完全に転写されず、中間転写ベルト7上にトナーが残留することがあり、この残留トナーが次工程でトナーの混色を発生させる原因となる。このため、中間転写ベルトクリーニング装置9によって残留トナーを除去及び回収する。中間転写ベルトクリーニング装置9には、例えばクリーニング部材として、中間転写ベルト7に接触して残留トナーを除去するクリーニングブレードが設けられており、クリーニングブレードが接触する部位で、従動ローラ22により中間転写ベルト7裏側が支持されている。
【0085】
給紙トレイ10は、記録用紙を格納しておくためのトレイであり、画像形成装置100の画像形成部の下側に設けられて、トレイ内の記録用紙を供給する。
【0086】
画像形成装置100には、給紙トレイ10から供給された記録用紙を2次転写装置11や定着装置12を経由させて用紙排出トレイ15に送るための、Sの字形状の用紙搬送経路Sが設けられている。この用紙搬送経路Sに沿って、用紙ピックアップローラ16、用紙レジストローラ14、定着装置12、及び記録用紙を搬送する搬送ローラ等が配置されている。
【0087】
用紙ピックアップローラ16は、給紙トレイ10の端部に設けられ、給紙トレイ10から記録用紙を1枚ずつ用紙搬送経路Sに供給する呼び込みローラである。搬送ローラは、記録用紙の搬送を促進補助するための小型のローラであり、複数個設けられている。
【0088】
用紙レジストローラ14は、搬送されて来た記録用紙を一旦停止させて、記録用紙の先端を揃え、中間転写ベルト7と2次転写装置11の転写ローラ11a間のニップ域で中間転写ベルト7上のカラーのトナー像が記録用紙に転写されるように、感光体ドラム3及び中間転写ベルト7の回転にあわせて、記録用紙をタイミングよく搬送する。
【0089】
例えば、用紙レジストローラ14は、図示しないレジスト前検知スイッチの検出出力に基づき、中間転写ベルト7と2次転写装置11の転写ローラ11a間のニップ域で中間転写ベルト7上のカラーのトナー像の先端が記録用紙の画像形成領域の先端に合うように、記録用紙を搬送する。
【0090】
定着装置12は、加熱ローラ31及び加圧ローラ32等を備えている。加熱ローラ31及び加圧ローラ32は、中間転写ベルト7と2次転写装置11の転写ローラ11a間のニップ域を通過して来た記録用紙を挟み込んで搬送する。
【0091】
加熱ローラ31は、図示しない温度検出器の検出出力に基づき、所定の定着温度となるように制御されており、加圧ローラ32とともに記録用紙を熱圧着することにより、記録用紙に転写されたトナー像を溶融、混合、圧接し、記録用紙に対して熱定着させる機能を有している。
【0092】
各色のトナー像の定着後の記録用紙は、搬送ローラによって用紙排出トレイ15上にフェイスダウンで排出される。
【0093】
<イオン発生装置の説明>
上述したように、本実施の形態における画像形成装置100は、この画像形成装置100の本体の外部、即ち、この画像形成装置の筐体の外部に、イオンを発生して外部に放出するイオン発生装置71を備えていることを特徴としている。そこで、次に、このイオン発生装置71について、説明する。
【0094】
上記の画像形成装置100における状態としては、一般的に、記録用紙に対する画像形成処理を行う動作中と、この画像形成処理を行わない待機中とに区別される。上記のイオン発生装置71は、後述するように、これらの動作中と、待機中とでは、多少異なる作用をする。
【0095】
本実施の形態では、イオン発生装置の構造や動作によって、実施の形態1〜実施の形態4の4種類の実施の形態おけるイオン発生装置71A〜イオン発生装置71Dが構成される。そこで、これらについて、以下、順に説明する。尚、これらの実施の形態1〜実施の形態4において、記録用紙に対する画像形成処理を行う装置としての画像形成装置100の本体は、上述した画像形成装置100の本体が用いられる。また、図1に示したイオン発生装置71、及び、支柱72は、実施の形態1〜実施の形態4におけるイオン発生装置、及び、支柱を代表して表している。
【0096】
<実施の形態1におけるイオン発生装置の説明>
次に、実施の形態1におけるイオン発生装置71Aについて、説明する。図2は、画像形成装置100の筐体に、この実施の形態1におけるイオン発生装置71Aを取付けた状態を示した斜視図、図3は、このイオン発生装置71Aの構造を示した断面図、図4は、イオン発生装置71Aに内蔵されているイオン発生素子85を示した平面図、そして、図5は、イオン発生装置71Aの動作状態を示した断面図である。尚、図中の帯状の矢印、および、線状の矢印は、空気の流れる方向を示している。
【0097】
また、画像形成装置100には、図2に示すように、この画像形成装置100における画像形成処理の開始を指示する操作が行われる、操作パネル75が設けられている。図16は、この操作パネル75を示した平面図である。
【0098】
画像形成装置100の筐体において、この操作パネル75が設けられている側を、画像形成装置100の筐体の前面と称し、この前面と対面する反対側の面を、画像形成装置100の筐体の後面と称する。この画像形成装置100の操作を行う操作者は、画像形成装置100の筐体の前面側から、画像形成装置100の操作を行う。この点は、以下に述べる実施の形態2〜実施の形態4においても、同じである。
【0099】
図2において、実施の形態1におけるイオン発生装置71Aは、画像形成装置100の筐体の外部に備えられている。具体的には、イオン発生装置71Aは、画像形成装置100の筐体の後面の上側の角部100aから、上向きに突設された支柱72により画像形成装置100の筐体に取付られている。即ち、イオン発生装置71Aは、画像形成装置100の筐体に、該画像形成装置100の筐体から離間して取付られている。
【0100】
このようにして、イオン発生装置71Aを支柱72により画像形成装置100の筐体に取付ることにより、イオン発生装置71Aを、容易に、画像形成装置100の筐体の外部に設けることができる。また、画像形成装置100を操作するのに必要なスペースを、十分確保することができ、画像形成装置100の操作性が損なわれないようにすることができる。
【0101】
上記のイオン発生装置71Aは、図2に示すように、支柱72に対して垂直な、即ち、水平方向に細長い形状をしており、支柱72の先端部でこのイオン発生装置71Aの基端部が支持されている。この支柱72によるイオン発生装置71Aの支持は、イオン発生装置71Aが支柱72に対して、動かないように、即ち、不動に、支柱72に取付られている。また、このイオン発生装置71Aの長手方向は、画像形成装置100の筐体の前後方向に対して水平面上で垂直に交差する方向と同じである。
【0102】
このイオン発生装置71Aは、図3に示すように、断面の形状が、後面方向に屈曲した略L字形をしている。尚、図3では、向かって左側が、前面側、向かって右側が、後面側である。
【0103】
上記のイオン発生装置71Aは、次のように構成されている。まず、イオン発生装置71Aの内部の下部には、ファン82aを装着したファンユニット82が内蔵されている。また、イオン発生装置71Aの下部の後面には、複数の吸入孔81aが形成されていると共に、イオン発生装置71Aの上面には上面吹出し口81b、また、イオン発生装置71Aの前面上部には、前面吹出し口81cが、それぞれ形成されている。
【0104】
また、吸入孔81aとファンユニット82との間には、吸入孔81aから吸入された空気をファンユニット82へ導く吸入ダクト83が形成されている。また、ファンユニット82と、上面吹出し口81b、及び、前面吹出し口81cとの間には、ファンユニット82から送出された空気を、上面吹出し口81b、及び、前面吹出し口81cへ導く吹出しダクト84Aが、形成されている。
【0105】
この吹出しダクト84Aは、固定ダクト前壁91と固定ダクト後壁92とを備えている。固定ダクト前壁91は、上面吹出し口81bの前端から前面吹出し口81cの前方斜め下に向かって伸びると共に、上方側に僅かに膨らんだ板状をしている。また、固定ダクト後壁92は、ファンユニット82の上面の中央部から上面吹出し口81bの後端にかけて伸びると共に、前面側に僅かに膨らんだ板状をしている。
【0106】
また、イオン発生装置71Aの内部の下部には、ファンユニット82の前面側に、イオン発生素子85が備えられている。このイオン発生素子85は、プラズマクラスターイオン(登録商標)発生素子(PCI)で構成されている。このイオン発生素子85は、図4に示すように、イオン発生装置71Aの長手方向に沿って、複数個、配設されている。
【0107】
このイオン発生素子85は、図4に示すように、正イオンを発生する1対の正イオン発生素子85aと、負イオンを発生する1対の負イオン発生素子85bとで構成されている。これらの正イオン発生素子85aと負イオン発生素子85bを用いることによって、正イオン、及び、負イオンを同時に発生することができる。
【0108】
このように、正イオンと、負イオンとを同時に発生することにより、空気中の浮遊細菌を効率的に除去することが、知られている。このイオン発生素子85に関しては、本発明と同一の出願人による出願済の発明が記載された特開2002−58731号公報に詳しく記載されている。
【0109】
上記のファン82a、及び、イオン発生素子85は、図1に示す画像形成装置100の制御部74に接続されており、この制御部74により、ファン82a、及び、イオン発生素子85が制御される。この制御により、イオン発生装置71Aから放出されるイオンの量の増減が制御される。
【0110】
このイオン発生装置71Aから放出されるイオンの量の増減の制御は、2種類の方法で行われる。第1の制御方法は、ファン82aの風量を増減することで行われる。このファン82aの風量の増減は、ファン82aの回転数の増減により行われる。第2の制御方法は、動作させるイオン発生素子85の個数を増減することで行われる。
【0111】
このようにすることにより、イオン発生装置71Aが発生して放出するイオンの量を、容易に、且つ、確実に可変することができる。
【0112】
上記のイオン発生装置71Aでは、図3に示すように、ファンユニット82に装着されたファン82aが、回転方向を示す矢印87の方向に回転することにより、吸入孔81aから吸入された空気が、ファンユニット82を介して、この空気にイオン発生素子85で発生された正イオン、及び、負イオンが含まれ、上面吹出し口81b、及び、前面吹出し口81cから外部へ放出される。
【0113】
この内、上面吹出し口81bから放出された空気は、上方に向かって放出されて拡散される。従って、この上面吹出し口81bから放出された空気は、画像形成装置100が設置されている室内に拡散される。
【0114】
これに対して、前面吹出し口81cから放出された空気は、吹出しダクト83の固定ダクト前壁91が上面吹出し口81bの前端から前面吹出し口81cの前方斜め下に向かって伸びた形状をしていることにより、前面吹出し口81cの前方斜め下に向かって放出されて拡散される。この前方斜め下の方向の先は、画像形成装置100の筐体の上部である。従って、前面吹出し口81cから放出された空気は、画像形成装置100の筐体の周囲に拡散される。
【0115】
上記のように構成されたイオン発生装置71Aは、画像形成装置100における記録用紙に対する画像形成処理を行う動作中と、この画像形成処理を行わない待機中とにおいて、次のような動作を行う。
【0116】
即ち、イオン発生装置71Aが発生して放出するイオンの量は、画像形成装置100における動作中よりも、待機中の方が、少なくなるようにする。このイオンの量の増減の制御は、上述したように、図1に示す画像形成装置100の制御部74により行なわれる。この制御の内容としては、上記の第1の制御方法、または、上記の第2の制御方法のいずれか一方、或いは、双方が同時に並行して、行われる。
【0117】
この制御は、画像形成装置100の状態に基づいて行われるが、画像形成装置100の待機中から動作中への移行は、該画像形成装置100に対する画像形成処理の開始を指示する信号が発生されることにより行われる。又、画像形成装置100の動作中から待機中への移行は、画像形成装置100における画像形成処理が終了することにより行われる。
【0118】
この該画像形成装置100に対する画像形成処理の開始を指示する信号の発生は、操作者により、図16に示す画像形成装置100の操作パネル75を用いて行われる。或いは、図1に示す画像形成装置100の制御部74に接続されたI/F(インターフェイス)を介して接続されているネットワークN上の外部装置からの信号伝送により、発生される。
【0119】
上記のイオン発生装置71Aにおいて、イオン発生装置71Aが発生して放出するイオンの量が、画像形成装置100における動作中よりも待機中の方が、少なくなるようにしているのは、次の理由による。
【0120】
即ち、画像形成装置100の動作中では、画像形成装置100が動作しているので、画像形成装置100が設置されている室内の空気の浄化のみならず、画像形成装置100の筐体から排出される有害な排出ガスの浄化の双方を行う必要がある。そのため、画像形成装置100の待機中に比べて、動作中では、多くのイオンを外部に放出するのである。
【0121】
上記のイオン発生装置71Aによれば、この画像形成装置100の筐体の外部にイオン発生装置71Aを備えることができるので、画像形成装置100の大型化やコスト増大を抑制しつつ、画像形成装置100の筐体から排出される有害な排出ガスの浄化が可能であると共に、画像形成装置100が設置された室内の空気の浄化も、可能とすることができる。即ち、1台で画像形成装置100の筐体からの排出ガスの浄化と室内の空気の浄化の2役を果たすことができる。
【0122】
また、イオン発生装置71Aは、画像形成装置100の動作中では、この画像形成装置100の待機中に比べて、多くのイオンを外部に放出することができ、画像形成装置100の筐体から排出される有害な排出ガスの浄化のみならず、画像形成装置100が設置された室内の空気の浄化の双方を、十分に行うことができる。
【0123】
また、画像形成装置100の待機中では、この画像形成装置100の動作中に比べて、イオン発生装置71Aによるイオンの放出を少なくすることができる。上述したように、画像形成装置100の待機中には、この画像形成装置100の筐体から排出される有害な排出ガスの浄化を行う必要がなく、画像形成装置100が設置された室内の空気の浄化のみでよい。従って、画像形成装置100における効率的なイオンの放出を行うことができる。
【0124】
上記のイオン発生装置71Aでは、イオン発生装置71Aは、画像形成装置100の筐体の後面の上側の角部100aから、上向きに突設された支柱72により画像形成装置100の筐体に取付られている。しかし、次のようにしてもよい。
【0125】
即ち、図6に示すように、イオン発生装置71Aを、画像形成装置100の筐体の後面の上側中央部から上向きに突設された支柱72Aにより画像形成装置100の筐体に取付るようにするのである。
【0126】
このようにしても、イオン発生装置71Aが支柱72により画像形成装置100の筐体に取付られるのと同様に、イオン発生装置71Aを、容易に、画像形成装置100の筐体の外部に設けることができる。また、画像形成装置100を操作するのに必要なスペースを、十分確保することができ、画像形成装置100の操作性が損なわれないようにすることができる。
【0127】
<実施の形態2におけるイオン発生装置の説明>
次に、実施の形態2におけるイオン発生装置71Bについて、説明する。この実施の形態2におけるイオン発生装置71Bのハードウエア構成、及び、画像形成装置100の筐体に対する取付は、上記の実施の形態1におけるイオン発生装置71Aと全く同じである。実施の形態2におけるイオン発生装置71Bが、実施の形態1におけるイオン発生装置71Aと異なるのは、次の点である。
【0128】
即ち、実施の形態1におけるイオン発生装置71Aでは、イオン発生装置71Aが発生して放出するイオンの量が、画像形成装置100における動作中よりも待機中の方が、少なくなるようにしている。
【0129】
これに対して、実施の形態2におけるイオン発生装置71Bでは、実施の形態1におけるイオン発生装置71Aとは逆に、イオン発生装置71Bが発生して放出するイオンの量が、画像形成装置100における待機中よりも動作中の方が、少なくなるようにするのである。
【0130】
この実施の形態2におけるイオン発生装置71Bでは、例えば、画像形成装置100の待機中よりも、動作中の方がファンによる風量が少なくなるようにすることにより、画像形成装置100の筐体の周りにイオンを漂わせるようにすることができる。
【0131】
即ち、イオンを含んだ空気を、エアーカーテンのようにして画像形成装置100の筐体の周囲を覆うようにすることができる。このようにすることで、画像形成装置100の筐体から排出される有害な排出ガスの浄化を、確実に行うことができる。
【0132】
上記のイオン発生装置71Bの制御、即ち、ファン82a、及び、イオン発生素子85の制御は、実施の形態1におけるイオン発生装置71Aと同様、図1に示す画像形成装置100の制御部74により行われる。また、この制御の内容も、実施の形態1におけるイオン発生装置71Aと同様に、第1の制御方法、または、第2の制御方法のいずれか一方、或いは、双方が同時に、並行して行われる。
【0133】
上記の実施の形態2におけるイオン発生装置71Bは、次のような状態が想定される場合に使用されることを基本としている。即ち、画像形成装置100の動作中には、主として、画像形成装置100の筐体から排出される有害な排出ガスの浄化に専念し、画像形成装置100の待機中に、画像形成装置100が設置された室内の空気の浄化を行うようにするのである。
【0134】
通常、画像形成装置100の筐体の容積は、画像形成装置100が設置される室内の容積に比べて小さいことから、画像形成装置100の筐体から排出される有害な排出ガスの浄化に必要なイオンの量は、画像形成装置100が設置された室内の空気の浄化を行うのに必要なイオンの量よりも少なくてよいと考えられる。そこで、イオン発生装置71Bが発生して放出するイオンの量を、画像形成装置100の動作中よりも、待機中の方が少なくなるようにするのである。
【0135】
一般的に、画像形成装置100が動作中となる時間は、画像形成装置100が待機中である時間に比べると、かなり少ない傾向が見られる。そうすると、画像形成装置100の動作中には、主として、画像形成装置100の筐体から排出される有害な排出ガスの浄化に専念し、画像形成装置100の待機中に、100が設置された室内の空気の浄化を行うようにしても、画像形成装置100の動作中に画像形成装置100が設置された室内の空気の浄化が効果的に行われないことによる弊害は、ほとんど生じないと考えられる。実施の形態2におけるイオン発生装置は、このような観点から構成されたものである。
【0136】
上記のイオン発生装置71Bによれば、実施の形態1におけるイオン発生装置71Aと同様、この画像形成装置100の筐体の外部にイオン発生装置71Bを備えることができるので、画像形成装置100の大型化やコスト増大を抑制しつつ、画像形成装置100の筐体から排出される有害な排出ガスの浄化が可能であると共に、画像形成装置100が設置された室内の空気の浄化も、可能とすることができる。即ち、1台で画像形成装置の筐体からの排出ガスの浄化と室内の空気の浄化の2役を果たすことができる。
【0137】
また、上述したように、イオン発生装置71Bが発生して放出するイオンの量が、画像形成装置100の待機中よりも、動作中の方が少なくなるようにすることにより、上述した実施の形態1におけるイオン発生装置71Aにおけるのとは異なる観点から、画像形成装置100における効率的なイオンの放出を行うことができる。
【0138】
また、上記のイオン発生装置71Bは、イオン発生装置71Aが、図6に示すように、画像形成装置100の筐体の後面の上側中央部から上向きに突設された支柱72Aにより画像形成装置100の筐体に取付られるのと同様にして、支柱72Aにより、イオン発生装置71Bを画像形成装置100の筐体に取付ることができる。
【0139】
<実施の形態3におけるイオン発生装置の説明>
次に、実施の形態3におけるイオン発生装置71Cについて、説明する。図7、図8は、画像形成装置100の筐体に、この実施の形態3におけるイオン発生装置71Cを取付けた状態を示した斜視図、図9は、このイオン発生装置71Cの構造を示した断面図、図10は、画像形成装置100が待機中のイオン発生装置71Cの動作状態を示した断面図、そして、図11は、画像形成装置100が動作中のイオン発生装置71Cの動作状態を示した断面図である。尚、図中の帯状の矢印、および、線状の矢印は、空気の流れる方向を示している。
【0140】
上記のイオン発生装置71Cは、上述した実施の形態2におけるイオン発生装置71B、即ち、実施の形態1におけるイオン発生装置71Aと同様に、図7、図8に示すように、画像形成装置100の筐体の後面の上側の角部100aから、上向きに突設された支柱72により画像形成装置100の筐体に取付られている。また、イオン発生装置71Cの外観も、実施の形態2におけるイオン発生装置71Bと略同じである。
【0141】
上記の実施の形態3におけるイオン発生装置71Cの構成は、実施の形態2におけるイオン発生装置71B、即ち、実施の形態1におけるイオン発生装置71Aと略同じである。実施の形態3におけるイオン発生装置71Cが、実施の形態2におけるイオン発生装置71Bと異なる点は、次のとおりである。
【0142】
実施の形態2におけるイオン発生装置71Bでは、イオン発生装置71Bの上面における上面吹出し口81bと、イオン発生装置71Bの前面上部における前面吹出し口81cの双方が形成されているのに対して、実施の形態3におけるイオン発生装置71Cでは、前面吹出し口81cは形成されておらず、図8に示すように、イオン発生装置71Cの上面における上面吹出し口81bのみが形成されている。
【0143】
即ち、イオン発生装置71Cのファンユニット82と、上面吹出し口81bとの間には、ファンユニット82から送出された空気を、上面吹出し口81bへ導く吹出しダクト84Cが、形成されている。
【0144】
この吹出しダクト84Cは、図9に示すように、固定ダクト前壁93と固定ダクト後壁94とを備えている。固定ダクト前壁93は、ファンユニット82の上面の前端から上面吹出し口81bの前端にかけて伸びると共に、前面側に僅かに膨らんだ板状をしている。また、固定ダクト後壁94は、ファンユニット82の上面の中央部から上面吹出し口81bの後端にかけて伸びると共に、前面側に僅かに膨らんだ板状をしている。
【0145】
また、実施の形態2におけるイオン発生装置71Bでは、イオン発生装置71Aが支柱72に対して、動かないように、即ち、不動に、支柱72に取付られているのに対して、実施の形態3におけるイオン発生装置71Cでは、図7、図8、及び、図10、図11に示すように、イオン発生装置71Cが支柱72に対して、可動するように、即ち、イオン発生装置71Cが首振可能に、支柱72に取付られている。
【0146】
このイオン発生装置71Cの首振を行わせるために、図示しない首振用の駆動モータが、支柱72の先端部に内蔵されている。また、このイオン発生装置71Cは、図7、図8、及び、図10、図11に示すように、回動用の回動軸71cを備えており、この回動軸71cが上記の首振用の駆動モータの回転軸と連動するように、構成されている。
【0147】
また、このイオン発生装置71Cの首振の制御は、図1に示す画像形成装置100の制御部74により行われる。
【0148】
上記のイオン発生装置71Cの首振は、イオン発生装置71Cの姿勢として、イオン発生装置71Cの前面吹出し口81cが、図7、及び、図10に示すように、上方に向いている状態と、図8、及び、図11に示すように、画像形成装置100の筐体の上面の方向に向いている状態との間で、行われる。
【0149】
上記のイオン発生装置71Cでは、上記以外は、上述したように、実施の形態2におけるイオン発生装置71Bと同じである。即ち、イオン発生装置71Aの内部の下部には、ファンユニット82の前面側に、イオン発生素子85が備えられている。このイオン発生素子85、及び、その配設は、実施の形態2におけるイオン発生装置71Bと全く同じである。
【0150】
また、上記のイオン発生装置71Bの制御に関しては、上記の首振用の駆動モータの制御のほか、ファン82a、及び、イオン発生素子85の制御は、実施の形態2におけるイオン発生装置71Bと同様にして、図1に示す画像形成装置100の制御部74により行われる。また、この制御の内容も、実施の形態2におけるイオン発生装置71Bと同様に、第1の制御方法、または、第2の制御方法のいずれか一方、或いは、双方が同時に並行して行われる。
【0151】
上記の実施の形態3におけるイオン発生装置71Cでは、実施の形態2におけるイオン発生装置71Bと同様、図9に示すように、ファンユニット82に装着されたファン82aが、回転方向を示す矢印87の方向に回転することにより、吸入孔81aから吸入された空気が、ファンユニット82を介して、正イオン、及び、負イオンが含まれた空気となって、上面吹出し口81bから外部へ放出される。
【0152】
但し、上記の実施の形態3におけるイオン発生装置71Cでは、実施の形態2におけるイオン発生装置71Bとは異なり、上面吹出し口81bが向く方向が、画像形成装置100の動作状態によって異なる。
【0153】
即ち、画像形成装置100が待機中は、イオン発生装置71Cの前面吹出し口81cが、図7、及び、図10に示すように、上方に向いている状態にする。また、画像形成装置100が動作中は、図8、及び、図11に示すように、画像形成装置100の筐体の上面の方向に向いている状態にする。
【0154】
また、上記と同時に、イオン発生装置71Cが発生して放出するイオンの量は、画像形成装置100における待機中よりも、動作中の方が、少なくなるようにする。
【0155】
即ち、画像形成装置100が待機中は、イオン発生装置71Cの前面吹出し口81cが、図7、及び、図10に示すように、上方に向いていると共に、画像形成装置100における動作中よりも、イオン発生装置71Cが発生して放出するイオンの量を多く放出する。
【0156】
これに対して、画像形成装置100が動作中は、イオン発生装置71Cの前面吹出し口81cが、図8、及び、図11に示すように、画像形成装置100の筐体の上面の方向に向いていると共に、画像形成装置100における待機中よりも、イオン発生装置71Cが発生して放出するイオンの量を少なく放出する。
【0157】
上記のようにするのは、実施の形態3におけるイオン発生装置71Cにおいても、実施の形態2におけるイオン発生装置71Bと同様に、次のような状態が想定される場合に使用されることを基本としているからである。
【0158】
即ち、画像形成装置100の動作中には、主として、画像形成装置100の筐体から排出される有害な排出ガスの浄化に専念し、画像形成装置100の待機中に、画像形成装置100が設置された室内の空気の浄化を行うようにするのである。
【0159】
上記のイオン発生装置71Cによれば、実施の形態2におけるイオン発生装置71Bと同様、この画像形成装置100の筐体の外部にイオン発生装置71Cを備えることができるので、画像形成装置100の大型化やコスト増大を抑制しつつ、画像形成装置100の筐体から排出される有害な排出ガスの浄化が可能であると共に、画像形成装置100が設置された室内の空気の浄化も、可能とすることができる。即ち、1台で画像形成装置100の筐体からの排出ガスの浄化と室内の空気の浄化の2役を果たすことができる。
【0160】
また、実施の形態2におけるイオン発生装置71Bが備えておらず、実施の形態3におけるイオン発生装置71Cが備えている首振機能を用いることで、実施の形態2におけるイオン発生装置71Bに比べて、さらに、実施の形態2におけるイオン発生装置71Bと同様の作用、効果の増進を図ることができる。
【0161】
尚、上記のイオン発生装置71Cでは、イオン発生装置71Cが発生して放出するイオンの量を、画像形成装置100における待機中よりも、動作中の方を、少なくしているが、画像形成装置100の待機中と、動作中のいずれにおいても、同じイオンの量とするようにした運用方法もあり得る。
【0162】
また、上記のイオン発生装置71Cにおいて、このイオン発生装置71Cの取付姿勢を、常時、イオン発生装置71Cの前面吹出し口81cが、図8、及び、図11に示すように、画像形成装置100の筐体の上面の方向に向いている状態とする。そして、イオン発生装置71Cが発生して放出するイオンの量が、画像形成装置100における待機中よりも、動作中の方が、少なくなるようにしてもよい。
【0163】
このようにすることにより、画像形成装置100の待機中は、イオン発生装置71Cから放出された空気が、画像形成装置100が設置されている室内に拡散されるようにすると共に、画像形成装置100の動作中は、エアーカーテンのようにして、画像形成装置100の筐体の周りにイオンを漂わせ、画像形成装置100の筐体の周囲を覆うようにすることができる。
【0164】
従って、上記のようにしても、室内の空気の浄化、及び、画像形成装置100の筐体から排出される有害な排出ガスの浄化を行うことができる。
【0165】
また、上記のイオン発生装置71Cは、イオン発生装置71B、即ち、イオン発生装置71Aが、図6に示すように、画像形成装置100の筐体の後面の上側中央部から上向きに突設された支柱72Aにより画像形成装置100の筐体に取付られるのと同様にして、支柱72Aにより、イオン発生装置71Cを画像形成装置100の筐体に取付ることができる。
【0166】
この場合は、支柱72Aに、イオン発生装置71Cの首振用の駆動モータを内蔵すると共に、イオン発生装置71Cを首振させるための機構を、イオン発生装置71C、及び、支柱72Aに備える。
【0167】
例えば、イオン発生装置71Cを中央で分割した構造とすると共に、両者が支柱72Aに近接する側のイオン発生装置71Cの端部に、回動用の回動軸を備えて、この回動軸を、支柱72Aに内蔵した首振用の駆動モータの回転軸と連動するように、構成する。
【0168】
<実施の形態4におけるイオン発生装置の説明>
次に、実施の形態4におけるイオン発生装置71Dについて、説明する。図12は、画像形成装置100が待機中のイオン発生装置71Dにおける構造を示した断面図、図13は、画像形成装置100が動作中のイオン発生装置71Dにおける構造を示した断面図、図14は、画像形成装置100が待機中のイオン発生装置71Dの動作状態を示した断面図、そして、図15は、画像形成装置100が動作中のイオン発生装置71Dの動作状態を示した断面図である。尚、図中の線状の矢印は、空気の流れる方向を示している。
【0169】
上記のイオン発生装置71Dは、上述した実施の形態3におけるイオン発生装置71C、即ち、実施の形態1におけるイオン発生装置71Aと同様に、画像形成装置100の筐体の後面の上側の角部100aから、上向きに突設された支柱72により画像形成装置100の筐体に取付られている。また、イオン発生装置71Cの外観も、実施の形態3におけるイオン発生装置71Cと略同じである。
【0170】
上記の実施の形態4におけるイオン発生装置71Dの構成は、実施の形態3におけるイオン発生装置71Cと略同じである。実施の形態4におけるイオン発生装置71Dが、実施の形態3におけるイオン発生装置71Cと異なる点は、次のとおりである。
【0171】
実施の形態3におけるイオン発生装置71Cでは、イオン発生装置71Cに首振機能を備えており、イオン発生装置71Cに首振を行わせることにより、画像形成装置100が待機中は、イオン発生装置71Cの前面吹出し口81cを、図10に示すように、上方に向けると共に、画像形成装置100が動作中は、図11に示すように、画像形成装置100の筐体の上面の方向に向けている。
【0172】
これに対して、実施の形態4におけるイオン発生装置71Dでは、図12、図13に示すように、イオン発生装置71Dには首振機能を備えず、代わりに、イオン発生装置71Dに、上面吹出し口81b、及び、前面吹出し口81cの2つの吹出し口を設けて、機構的にこれらの吹出し口の切替を行うようにしている。
【0173】
即ち、画像形成装置100が待機中は、図12、図14に示すように、上面吹出し口81bからイオンを含んだ空気が吹出されるように、機構的に切替を行い、画像形成装置100が動作中は、図13、図15に示すように、前面吹出し口81cからイオンを含んだ空気が吹出されるように、機構的に切替を行う。
【0174】
具体的には、図12、図13において、イオン発生装置71Cのファンユニット82と、上面吹出し口81b、及び、前面吹出し口81cとの間には、ファンユニット82から送出された空気を、上面吹出し口81b、または、前面吹出し口81cへ導く吹出しダクト84Dが、形成されている。
【0175】
この吹出しダクト84Dは、図12、図13に示すように、可動ダクト前壁95と可動ダクト後壁96とを備えている。可動ダクト前壁95は、上面吹出し口81bの前端からファンユニット82の上面の前端にかけて伸びると共に、前面側に僅かに膨らんだ板状をしている。この可動ダクト前壁95には、この可動ダクト前壁95の上端に可動ダクト前壁支持軸95aが備えられており、この可動ダクト前壁支持軸95aは、上面吹出し口81bの前端で、回動可能に支持されている。図12〜図15の97は、可動ダクト前壁の回動方向を示す矢印である。
【0176】
また、可動ダクト後壁96は、ファンユニット82の上面の中央部から上面吹出し口81bの後端にかけて伸びると共に、前面側に僅かに膨らんだ板状をしている。この可動ダクト後壁96には、この可動ダクト後壁96の下端に、可動ダクト後壁支持軸96aが備えられており、この可動ダクト後壁支持軸96aが、ファンユニット82の上面の中央部で、回動可能に支持されている。図12〜図15の98は、可動ダクト後壁の回動方向を示す矢印である。
【0177】
上記の可動ダクト前壁95、及び、可動ダクト後壁96は、上述したように回動可能であり、この回動を行うために、図示しないダクト移動用モータが、吹出しダクト84D内に備えられている。このダクト移動用モータは、図1に示す画像形成装置100の制御部74により行われる。
【0178】
イオン発生装置71Dでは、上記以外は、上述したように、実施の形態3におけるイオン発生装置71Cと同じである。即ち、イオン発生装置71Dの内部の下部には、ファンユニット82の前面側に、イオン発生素子85が備えられている。このイオン発生素子85、及び、その配設は、実施の形態3におけるイオン発生装置71Cと全く同じである。
【0179】
また、上記のイオン発生装置71Dの制御に関しては、上記のダクト移動用モータの制御のほか、ファン82a、及び、イオン発生素子85の制御は、実施の形態3におけるイオン発生装置71Cと同様にして、図1に示す画像形成装置100の制御部74により行われる。また、この制御の内容も、実施の形態3におけるイオン発生装置71Cと同様に、第1の制御方法、または、第2の制御方法のいずれか一方、或いは、双方が同時に並行して行われる。
【0180】
上記の実施の形態4におけるイオン発生装置71Dでは、実施の形態3におけるイオン発生装置71Cと同様、図12、図13に示すように、ファンユニット82に装着されたファン82aが、回転方向を示す矢印87の方向に回転することにより、吸入孔81aから吸入された空気が、ファンユニット82を介して、正イオン、及び、負イオンが含まれた空気となって、後述するように、上面吹出し口81b、または、前面吹出し口81cから外部へ放出される。
【0181】
上記のイオン発生装置71Dでは、画像形成装置100が待機中は、図12に示すように、可動ダクト前壁95は、この可動ダクト前壁95の下端が、ファンユニット82の上面の前端に位置する状態で静止している。また、可動ダクト後壁96は、この可動ダクト後壁96の上端が、上面吹出し口81bの後端に位置する状態で静止している。
【0182】
そこで、画像形成装置100が待機中は、図14に示すように、上述した状態で静止している可動ダクト前壁95と可動ダクト後壁96とを備えた吹出しダクト84Dにより、ファンユニット82から送出されたイオンを含んだ空気は、可動ダクト前壁95、及び、可動ダクト後壁96に沿って上昇して、上面吹出し口81bから外部へ放出される。
【0183】
この上面吹出し口81bから放出された空気は、上方に向かって放出されて拡散される。従って、この上面吹出し口81bから放出された空気は、画像形成装置100が設置されている室内に拡散され、これにより、室内の空気の浄化が行われる。
【0184】
これに対して、画像形成装置100が動作中は、図13に示すように、可動ダクト前壁95は、この可動ダクト前壁95の下端が、前面吹出し口81cの前方斜め下に位置する状態で静止している。また、可動ダクト後壁96は、この可動ダクト後壁96の上端が、上面吹出し口81bの前端に位置する状態で静止している。
【0185】
そこで、画像形成装置100が動作中は、図15に示すように、上述した状態で静止している可動ダクト前壁95と可動ダクト後壁96とを備えた吹出しダクト84Dにより、
ファンユニット82から送出されたイオンを含んだ空気は、可動ダクト後壁96に沿って上昇すると共に、可動ダクト前壁95に衝突し、この可動ダクト前壁95に沿って、前面吹出し口81cから外部へ放出される。
【0186】
この前面吹出し口81cから放出された空気は、前面吹出し口81cの前方斜め下に向かって放出されて拡散される。この前方斜め下の方向の先は、画像形成装置100の筐体の上部である。従って、前面吹出し口81cから放出された空気は、画像形成装置100の筐体の周囲に拡散され、これにより、画像形成装置100の筐体から排出される有害な排出ガスの浄化が行われる。
【0187】
上記のようにするのは、実施の形態4におけるイオン発生装置71Dにおいても、実施の形態3におけるイオン発生装置71Cと同様に、次のような状態が想定される場合に使用されることを基本としているからである。
【0188】
即ち、画像形成装置100の動作中には、主として、画像形成装置100の筐体から排出される有害な排出ガスの浄化に専念し、画像形成装置100の待機中に、画像形成装置100が設置された室内の空気の浄化を行うようにするのである。
【0189】
上記のイオン発生装置71Dによれば、実施の形態3におけるイオン発生装置71Cと同様、この画像形成装置100の筐体の外部にイオン発生装置71Dを備えることができるので、画像形成装置100の大型化やコスト増大を抑制しつつ、画像形成装置100の筐体から排出される有害な排出ガスの浄化が可能であると共に、画像形成装置100が設置された室内の空気の浄化も、可能とすることができる。即ち、1台で画像形成装置100の筐体からの有害な排出ガスの浄化と室内の空気の浄化の2役を果たすことができる。
【0190】
また、実施の形態4におけるイオン発生装置71Dが備えている可動ダクト前壁95、及び、可動ダクト後壁96を用いることで、実施の形態3におけるイオン発生装置71Cと同様の作用、効果を得ることができる。
【0191】
尚、上記のイオン発生装置71Dでは、イオン発生装置71Dが発生して放出するイオンの量を、画像形成装置100における待機中よりも、動作中の方を、少なくしているが、画像形成装置100の待機中と、動作中のいずれにおいても、同じイオンの量とするようにした運用方法もあり得る。
【0192】
また、上記のイオン発生装置71Dは、イオン発生装置71C、即ち、イオン発生装置71Aが、図6に示すように、画像形成装置100の筐体の後面の上側中央部から上向きに突設された支柱72Aにより画像形成装置100の筐体に取付られるのと同様にして、支柱72Aにより、イオン発生装置71Dを画像形成装置100の筐体に取付ることができる。
【0193】
<実施の形態に関するその他の説明>
以上、添付図面を参照しながら本実施の形態について説明したが、本発明は上述した実施の形態に限定されないことは言うまでもない。
【0194】
例えば、上記の本実施の形態では、画像形成装置100の動作状態としては、待機中と動作中の2つの状態について説明している。しかし、画像形成装置100の動作状態としては、これには限られず、次のような場合もあり得る。
【0195】
即ち、画像形成装置100の動作が行われない状態が長く続いたとき等には、待機中から消費電力の少ない省電力の状態へと移り、更にこの省電力の状態から、さらに消費電力の少ない状態であるスリープ状態へと移り、画像形成処理の指示があったときに、再び動作中に戻るという節電制御を採用することもできる。
【0196】
このような場合に、上記の省電力の状態やスリープ状態においても、待機中と同様に、室内の空気の浄化を行うべく、上面吹出し口81bからイオンを含んだ空気が吹出されるようにすることもできる。
【0197】
また、上記のイオン発生装置71を、オプション装備として、後付けすることが可能なようにしてもよい。この場合は、イオン発生装置71に、このイオン発生装置71を制御するための制御部を設けておき、この制御部と画像形成装置100の制御部74とをシリアル通信用のケーブルで接続する。
【0198】
そして、両者の制御部間の通信により、画像形成装置100の制御部74からイオン発生装置71の制御部へ指示を送信して、イオン発生装置71の制御部により、イオン発生装置71の制御を行うようにする。
【0199】
さらに、画像形成装置100の構造や使用状況等に応じて、イオン発生装置71の取付位置を変更するようにしてもよい。例えば、画像形成装置100の構造や使用状況によっては、画像形成装置100の筐体の側面を壁等に向けて配置することがあり得る。
【0200】
この場合に、支柱72を画像形成装置100の筐体の側壁から突設すると共に、この支柱72の上端にイオン発生装置71を支持するようにすると、イオン発生装置71が壁際等に配置されても、イオン発生装置71が画像形成装置100の操作の障害にならないようにすることができる。
【0201】
或いは、支柱71を用いずに、イオン発生装置71を垂直に形成して、画像形成装置100の筐体に直接に取付るようにしてもよい。また、イオン発生装置71を複数用いて、これらを分散して画像形成装置100の筐体に取付るようにしてもよい。
【符号の説明】
【0202】
1 レーザ露光装置
2 現像装置
3 感光体ドラム
4 クリーナ装置
5 帯電器
6 中間転写ローラ
7 中間転写ベルト
8 中間転写ベルト装置
9 中間転写ベルトクリーニング装置
10 給紙トレイ
11 2次転写装置
11a 転写ローラ
12 定着装置
14 用紙レジストローラ
15 用紙排出トレイ
16 用紙ピックアップローラ
21 中間転写ベルト駆動ローラ
22 従動ローラ
31 加熱ローラ
32 加圧ローラ
41 原稿セットトレイ
42 原稿搬送部
44 原稿ピックアップローラ
45 サバキローラ
46 分離パッド
47 搬送経路
49 原稿レジストローラ
51 読取ガイド
52 読取ガラス
53 第1走査部
54 第2走査部
55 結像レンズ
56 CCD
57 搬送ローラ
58 排紙ローラ
59 排紙トレイ
61 原稿台ガラス
71 イオン発生装置
71A イオン発生装置
71B イオン発生装置
71C イオン発生装置
71c 回動軸
71D イオン発生装置
72 支柱
72A 支柱
74 制御部
75 操作パネル
76 I/F(インターフェイス)
81a 吸入孔
81b 上面吹出し口
81c 前面吹出し口
82 ファンユニット
82a ファン
83 吸入ダクト
84A 吹出しダクト
84C 吹出しダクト
84D 吹出しダクト
85 イオン発生素子
85a 正イオン発生素子
85b 負イオン発生素子
87 回転方向を示す矢印
91 固定ダクト前壁
92 固定ダクト後壁
93 固定ダクト前壁
94 固定ダクト後壁
95 可動ダクト前壁
95a 可動ダクト前壁支持軸
96 可動ダクト後壁
96a 可動ダクト後壁支持軸
97 可動ダクト前壁の回動方向を示す矢印
98 可動ダクト後壁の回動方向を示す矢印
100 画像形成装置
100a 筐体の後面の上側の角部
101 原稿読取装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録用紙に対する画像形成処理を行う本体を備えた画像形成装置であって、
前記本体の外部に、イオンを発生して外部に放出するイオン発生手段を備えていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1記載の画像形成装置において、
前記イオン発生手段は、前記画像形成装置の本体から離間して取付られている画像形成装置。
【請求項3】
請求項2記載の画像形成装置において、
前記イオン発生手段は、前記画像形成装置の本体から上向きに突設された支持部材により支持されている画像形成装置。
【請求項4】
請求項3記載の画像形成装置において、
前記支持部材は、前記画像形成装置の本体の後面上側角部から上向きに突設されると共に、該支持部材に対して垂直に配置された前記イオン発生手段の基端部を、該支持部材の先端部で支持している画像形成装置。
【請求項5】
請求項3記載の画像形成装置において、
前記支持部材は、前記画像形成装置の本体の後面上側中央部から上向きに突設されると共に、該支持部材に対して垂直に配置された前記イオン発生手段の中央部を、該支持部材の先端部で支持している画像形成装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の画像形成装置において、
前記イオン発生手段は、前記画像形成装置が動作中であるか待機中であるかに応じて、発生して放出する前記イオンの量を、可変可能である画像形成装置。
【請求項7】
請求項6記載の画像形成装置において、
前記イオン発生手段は、ファンを備えており、該ファンの風量を変化させることにより、放出する前記イオンの量を可変する画像形成装置。
【請求項8】
請求項6または7記載の画像形成装置において、
前記イオン発生手段は、複数のイオン発生器を備えており、動作させる該イオン発生器の個数を増減することにより、放出する前記イオンの量を可変する画像形成装置。
【請求項9】
請求項6〜8のいずれか1項に記載の画像形成装置において、
前記イオン発生手段は、発生して放出する前記イオンの量が、前記画像形成装置の動作中よりも、前記画像形成装置の待機中の方が少ない画像形成装置。
【請求項10】
請求項6〜8のいずれか1項に記載の画像形成装置において、
前記イオン発生手段は、発生して放出する前記イオンの量が、前記画像形成装置の待機中よりも、前記画像形成装置の動作中の方が少ない画像形成装置。
【請求項11】
請求項10記載の画像形成装置において、
前記イオン発生手段は、
前記イオンの放出方向を、前記画像形成装置の本体に向ける方向と、該本体に向ける以外の方向とに切替可能であり、該イオンの放出方向は、前記画像形成装置の動作中では、前記本体に向ける方向、また、前記画像形成装置の待機中では、前記本体に向ける以外の方向である画像形成装置。
【請求項12】
請求項11記載の画像形成装置において、
前記イオン発生手段は、首振機構を備えており、該首振機構により、前記イオンの放出方向を、前記画像形成装置の本体に向ける方向と、該本体に向ける以外の方向とに切替する画像形成装置。
【請求項13】
請求項11記載の画像形成装置において、
前記イオン発生手段は、内部に可動壁を備えており、該可動壁の位置を変更することにより、前記イオンの放出方向を、前記画像形成装置の本体に向ける方向と、該本体に向ける以外の方向とに切替する画像形成装置。
【請求項14】
請求項6〜13のいずれか1項に記載の画像形成装置において、
前記画像形成装置の前記待機中から前記動作中への移行は、該画像形成装置に対する前記画像形成処理の開始を指示する信号が、該画像形成装置に対するマニュアル操作により、または、該画像形成装置に接続された外部装置からの伝送により、発生することで行われる画像形成装置。
【請求項15】
請求項1〜14のいずれか1項に記載の画像形成装置において、
前記イオン発生手段は、前記イオンとして、正イオン、及び、負イオンを同時に発生して放出する画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2010−181790(P2010−181790A)
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−27352(P2009−27352)
【出願日】平成21年2月9日(2009.2.9)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】