説明

画像形成装置

【課題】温度検知手段や能動的な制御手段を使用しない簡易な構成により、部品点数を軽減して製造コスト低減できる。
【解決手段】用紙通過センサ71の検知結果から所定位置を用紙先端が通過したタイミングを計測し、搬送速度で用紙を搬送する場合に、画像が転写位置に到達する予定タイミングに用紙先端が転写位置に到達するために所定位置を用紙先端が通過すべき用紙先端通過の理想タイミングと、用紙先端通過の計測タイミングとの時間差を求め、該時間差と搬送速度から、予定タイミングにおける用紙先端位置の転写位置との誤差を予測して、この予測結果に基づいて、予定タイミングにおける用紙先端位置の転写位置との誤差を0とするように搬送速度を変更し、画像形成装置内の温度変化に応じて、用紙通過センサ71の検出位置を所定位置から用紙搬送方向と平行な方向に移動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式を利用して用紙に画像を形成して出力する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置では、はじめに画像情報に対応した信号に基づいて感光体に静電画像を形成して、現像部にてトナー像に現像する。次に、このトナー像を、中間転写ベルトなどの像担持体、もしくは直接用紙へ転写する。前者の場合は、像担持体上のトナー像をさらに用紙へ転写する(二次転写)。その後、用紙上に転写されたトナー像を定着部で定着して画像が形成された用紙を出力する。
【0003】
そのような画像形成装置において、用紙を、トナー画像を用紙へ転写する位置である転写位置へ搬送するためには、転写位置から搬送方向上流に、レジストローラなどの用紙搬送部を備えているが、トナー画像が転写位置へ到達するタイミングと用紙が転写位置へ到達するタイミングとがずれてしまうと、用紙上の画像位置が狙いの位置からずれたり、さらに余白の広さもずれてしまい、出力物(印刷物)の品質が低下してしまう。このため、従来から、感光体への静電画像の形成開始を基準としてトナー画像が転写位置へ到達するタイミングを予め算出しておき、算出したタイミングに合わせて用紙が転写位置に到達するように用紙搬送部のローラなどの駆動タイミングやローラ回転速度などを制御している。
【0004】
しかし、用紙搬送部のローラと用紙の間でのスリップ、像担持体である中間転写ベルトと中間転写ベルトを駆動するローラの間でのスリップ、または温湿度変化などによる部品の変形に伴う用紙の搬送経路の長さやトナー画像が転写位置まで移動する距離の変化などの要因により、トナー画像と用紙とが転写位置へ到達する相対的なタイミングがずれてしまう可能性がある。そのため、トナー画像が転写位置へ到達するタイミング、または用紙が転写位置へ到達するタイミングを調整する機構や方法が多数開示されている。
【0005】
例えば、像担持体ベルトの周長またはベルトの周速の変化を検知する手段や、温度検知手段による画像形成装置内の温度検知結果から像担持体ベルトの周長変化を予測検知する手段を設けて、これらの手段による検知結果に基づいて用紙搬送や画像形成を制御することで、像担持体上の画像の位置を検知するセンサを使用せずに、トナー画像が転写位置へ到達するタイミングと用紙が転写位置へ到達するタイミングを合わせる画像形成装置が開示されている(特許文献1参照)。
【0006】
また、例えば、用紙搬送部のローラの直径や周長の変化を直接測定、または用紙搬送部の周囲温度の測定結果からローラの直径や周長の変化を算出して、測定結果、または算出結果に基づいて用紙搬送を制御することで、環境変化や経時変化による用紙搬送部の外形変化に起因するトナー画像や用紙が転写位置へ到達するタイミングのずれを抑える画像形成装置が開示されている(特許文献2参照)。
【0007】
また、例えば、用紙搬送部のレジストローラの温度、またはその周囲温度を測定して、測定した温度に基づいて温度変化による影響を打ち消すようにレジストローラの駆動を制御、または感光体への露光開始タイミングを制御することで、トナー画像が転写位置へ到達するタイミングと用紙が転写位置へ到達するタイミングを合わせる画像形成装置が開示されている(特許文献3参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記特許文献1〜3の画像形成装置では、画像形成装置内部の環境変化(温度や湿度の変化)に起因する誤差を抑えるために、用紙搬送部の周囲温度やローラ径、周長などを測定して、測定した温度に基づいて温度変化による影響を打ち消すように用紙搬送、または感光体への静電画像の形成開始タイミングを制御している。このため、能動的に制御する手段や温度検出手段などの部品を搭載しなければならないため、部品点数が増加して製造コストが増加してしまうという問題があった。
【0009】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、温度検知手段や能動的な制御手段を使用しない簡易な構成により、画像形成装置内部の環境変化(温度や湿度の変化)に起因するトナー画像が転写位置へ到達するタイミングと用紙が転写位置へ到達する相対的なタイミングにおけるずれを抑えることで、部品点数を軽減して製造コスト低減できる画像形成装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の画像形成装置は、画像を形成する画像形成手段と、前記画像形成手段で形成された画像が表面に転写され、無端移動する像担持体と、前記像担持体上の画像を転写位置にて用紙上に転写する転写手段と、前記転写手段の転写位置へ用紙を搬送する搬送手段と、前記転写手段と前記搬送手段の間の所定位置に有り、用紙先端の通過を検知する用紙通過検知手段と、前記画像形成手段で形成された画像が前記転写手段の転写位置に到達する予定タイミングに用紙先端が転写位置に到達するために前記所定位置を用紙先端が通過すべきタイミングを用紙先端通過の理想タイミングとして予め設定した設定手段と、前記搬送手段が予め定められた所定の搬送速度で用紙を転写位置へ搬送するように制御して、かつ前記用紙通過検知手段の検知結果から前記所定位置を用紙先端が通過したタイミングである計測タイミングを計測し、前記搬送速度で用紙を搬送する場合に、前記計測タイミングと前記理想タイミングとの時間差を求め、この時間差と前記搬送速度から、前記予定タイミングにおける用紙先端位置の転写位置との誤差を予測して、この予測結果に基づいて、前記予定タイミングにおける用紙先端位置の転写位置との誤差を0とするように搬送速度を変更し、さらに用紙が転写位置に到達するまでに搬送速度を予め定められた所定の速度になるように前記搬送手段の用紙搬送動作を制御する搬送制御手段と、前記画像形成装置の装置内温度変化に応じて、前記用紙通過検知手段の検出位置を前記所定位置から用紙搬送方向と平行な方向に移動させる用紙通過検知位置移動手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、画像形成装置内部の環境変化(温度や湿度の変化)に起因するトナー画像が転写位置へ到達するタイミングと用紙が転写位置へ到達する相対的なタイミングのずれを抑えることで、温度検知手段や能動的な制御手段を使用せず簡易な構成を実現し、部品点数を軽減して製造コストを低減することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、本実施の形態にかかる画像形成装置の機構を示す概要図である。
【図2】図2は、用紙が転写位置へ到達するタイミングを調整する機構の一例を示す図である。
【図3】図3は、図2の機構が動作した時の用紙先端位置を示す説明図である。
【図4】図4は、搬送ローラの直径が膨張した場合の用紙先端位置を示す図である。
【図5】図5は、搬送ローラの直径が膨張した場合の用紙通過センサの移動方法の説明図である。
【図6】図6は、駆動ローラの直径の膨張等により中間転写ベルトの無端移動速度が速くなった場合の用紙通過センサの移動方法の説明図である。
【図7】図7は、従来技術における中間転写ベルト駆動制御系の概略図である。
【図8】図8は、搬送速度と中間転写ベルトの無端移動速度が速くなった場合の用紙通過センサの移動方法の説明図である。
【図9】図9は、用紙通過センサの位置を移動する機構に用紙通過センサ固定部材を使用した一例を示す説明図である。
【図10】図10は、用紙通過センサの位置を移動する機構に開口部形成部材を使用した一例を示す説明図である。
【図11】図11は、用紙通過センサの位置を移動する機構に開口部形成部材を使用した他の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる画像形成装置の最良な実施の形態を詳細に説明する。本発明の画像形成装置は、プリンタ、複写機、ファクシミリ装置、スキャナ装置や、コピー、ファックス、プリンタなどの複数の機能を一つの筐体に収納したMFP(マルチ ファンクション装置、複合機、Multi Function Peripherals)等、出力機能を備えた装置に適用可能である。
【0014】
図1は、本実施の形態にかかる画像形成装置の機構を示す概要図である。この画像形成装置は、4つの作像ユニットを備えるタンデム型カラー画像形成装置である。画像形成装置は、給紙テーブル2上に装置本体1を載置している。その装置本体1の上にはスキャナ3を取り付けると共に、その上に自動原稿給送装置(ADF)4を取り付けている。装置本体1内には、その略中央にベルト状の無端移動部材である中間転写ベルト10を有する転写装置20を設けており、中間転写ベルト10は駆動ローラ9と2つの従動ローラ15、16の間に張架されて図1中、モータ等の駆動力伝達部からの駆動力により駆動ローラ9が回転することで、時計回り方向に回動するようになっている。
【0015】
また、この中間転写ベルト10は、従動ローラ15の左方に設けられているクリーニング装置17により、その表面に画像転写後に残留する残留トナーが除去されるようになっている。その中間転写ベルト10の駆動ローラ9と従動ローラ15の間に架け渡された直線部分の上方には、その中間転写ベルト10の移動方向に沿って、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の4つのドラム状の感光体40Y、40C、40M、40K(以下、特定しない場合には単に感光体40と呼ぶ)が所定の間隔を置いて配設されている。そして、中間転写ベルト10の内側に各感光体40に対向して中間転写ベルト10を挟むように、4個の一次転写ローラ62が設けられている。
【0016】
4個の各感光体40は、それぞれ図1で反時計回り方向に回転可能であり、その各感光体40の回りには、それぞれ帯電装置60、現像装置61、上述した一次転写ローラ62、感光体クリーニング装置63、除電装置64を設けており、それぞれ作像ユニット18を構成している。そして、その4個の作像ユニット18の上方に、共用の露光装置21を設けている。そして、その各感光体上に形成された各画像(トナー画像)が、中間転写ベルト10上に直接重ね合わせて順次転写されていくようになっている。
【0017】
一方、中間転写ベルト10の下側には、その中間転写ベルト10上の画像を記録紙である用紙に転写する転写部となる二次転写装置22を設けている。その二次転写装置22は、2つのローラ23、23間に無端ベルトである二次転写ベルト24を掛け渡したものであり、その二次転写ベルト24が中間転写ベルト10を介して従動ローラ16に押し当たるようになっている。
【0018】
この二次転写装置22は、二次転写ベルト24と中間転写ベルト10との間に送り込まれる用紙に、転写位置A(図2参照)で中間転写ベルト10上のトナー画像を一括転写する。そして、二次転写装置22の用紙搬送方向下流側には、用紙上のトナー画像を定着する定着装置25があり、そこでは無端ベルトである定着ベルト26に加圧ローラ27が押し当てられている。
【0019】
なお、二次転写装置22は、画像転写後の用紙を定着装置25へ搬送する機能も果たす。また、この二次転写装置22は、転写ローラや非接触のチャージャを使用した転写装置であってもよい。その二次転写装置22の下側には、用紙の両面に画像を形成する際に用紙を反転させる用紙反転装置28を設けている。このように、この装置本体1は、間接転写方式のタンデム型カラー画像形成装置を構成している。
【0020】
このカラー画像形成装置によってカラーコピーをとるときは、自動原稿給送装置4の原稿台30上に原稿をセットする。また、手動で原稿をセットする場合には、自動原稿給送装置4を開いてスキャナ3のコンタクトガラス32上に原稿をセットし、自動原稿給送装置4を閉じてそれを押える。
【0021】
そして、図示していないスタートキーを押すと、自動原稿給送装置4に原稿をセットしたときは、その原稿がコンタクトガラス32上に給送される。また、手動で原稿をコンタクトガラス32上にセットしたときは、直ちにスキャナ3が駆動し、第1走行体33及び第2走行体34が走行を開始する。そして、第1走行体33の光源から光が原稿に向けて照射され、その原稿面からの反射光が第2走行体34に向かうと共に、その光が第2走行体34のミラーで反射して結像レンズ35を通して読取りセンサ36に入射して、原稿の内容が読み取られる。
【0022】
また、上述したスタートキーの押下により、中間転写ベルト10が回動を開始する。さらに、それと同時に各感光体40Y,40C,40M,40Kが回転を開始して、その各感光体上にイエロー(Y),シアン(C),マゼンタ(M),ブラック(K)の各単色トナー画像を形成する動作を開始する。そして、その各感光体上に形成された各色のトナー画像は、図5で時計回り方向に回動する中間転写ベルト10上に重ね合わせて順次転写されていき、そこにフルカラーの合成カラー画像が形成される。
【0023】
一方、上述したスタートキーの押下により、給紙テーブル2内の選択された給紙段の給紙ローラ42が回転し、ペーパーバンク43の中の選択された1つの給紙カセット44から用紙(図1におけるP)が繰り出され、それが分離ローラ45により1枚に分離されて給紙路46に搬送される。その用紙は、搬送ローラ47により装置本体1内の給紙路48に搬送され、レジストローラ49に突き当たって一旦停止する。
【0024】
また、手差し給紙の場合には、手差しトレイ51上にセットされた用紙が給紙ローラ50の回転により繰り出され、それが分離ローラ52により1枚に分離されて手差し給紙路53に搬送され、レジストローラ49に突き当たって一旦停止状態になる。そのレジストローラ49は、中間転写ベルト10上の合成カラー画像に合わせた正確なタイミングで回転を開始し、一旦停止状態にあった用紙を中間転写ベルト10と二次転写装置22との間に送り込む。そして、その用紙上に二次転写装置22でカラー画像が転写される。なお、レジストローラ49の代わりにストッパにより用紙を一旦停止させてもよい。
【0025】
そのカラー画像が転写された用紙は、搬送装置としての機能も有する二次転写装置22により定着装置25へ搬送され、そこで熱と加圧力が加えられることにより転写されたカラー画像が定着される。その後、その用紙は、切換爪55により排出側に案内され、排出ローラ56により排紙トレイ57上に排出されて、そこにスタックされる。また、両面コピーモードが選択されているときには、片面に画像を形成した用紙を切換爪55により用紙反転装置28側に搬送し、そこで反転させて再び転写位置Aへ導き、今度は裏面に画像を形成した後に、排出ローラ56により排紙トレイ57上に排出する。
【0026】
次に、用紙が転写位置Aへ到達するタイミングの調整について説明する。図2は、用紙が転写位置へ到達するタイミングを調整する機構の一例を示す図である。また、図3は、図2の機構が動作した時の用紙先端位置を示す説明図である。レジストローラ49やストッパ(不図示)などに用紙先端を当接させて一旦用紙を停止させた後、感光体40への静電画像形成開始などを基準とした所定のタイミングでレジストローラ49の再駆動やストッパ解除などにより用紙の搬送を再開する。搬送されてきた用紙は図2の搬送ローラ70に到達し、さらに二次転写装置22の転写位置Aへ搬送される。搬送速度Vrefは、中間転写ベルト10の無端移動速度と所定の比となる速度に設定されるが、中間転写ベルト10の無端移動速度Vref_beltとほぼ同じ速度である。この比は用紙の種類によって変化し、用紙の搬送速度の方が、無端移動速度よりも遅くなるように予め定められている。用紙に対応した比で搬送速度を制御することによって、中間転写ベルト10から用紙への画像の転写性を上げることが出来るが、搬送速度を無端移動速度と同じ速度になるように制御しても問題はない。
【0027】
搬送ローラ70と二次転写装置22の転写位置Aとの間における所定位置には、用紙が搬送された場合に、その用紙先端の通過を検知する用紙通過センサ71が設けられている。搬送制御部72は、感光体40への静電画像形成を開始すると、タイマのカウントを0から開始する。その後、用紙通過センサ71によって用紙先端の通過を検知したときのタイマの値(通過タイミング)を計測する。ここで、タンデムカラー機の場合、感光体40が複数あるが、一番下流側にある感光体(本実施の形態では、感光体40K)を基準とすると、感光体40Kから転写位置Aまでの間の長さは、他の感光体(40M、40C、40Y)から転写位置Aまでの長さと比較して最短となるため、本実施の形態では、一番下流側の感光体40Kを基準としていることとする。従って、感光体40への静電画像形成開始タイミングとは、この基準とする感光体40Kへの静電画像形成開始タイミングのこととする。但し、他の感光体を基準として構成してもよい。
【0028】
搬送制御部72は、計測した用紙先端の通過を検知したときのタイマの値(通過タイミング)と、予め設定しておいた用紙先端通過の理想タイミング、すなわち搬送速度Vrefで用紙を搬送する場合に、感光体40上で形成された画像が二次転写装置22の転写位置Aに到達する予定タイミングに用紙先端が転写位置Aに到達するために用紙通過センサ71が設けられた所定位置を用紙先端が通過すべきタイミングとの時間差△tを算出する。
【0029】
搬送制御部72は、時間差△tと搬送速度Vrefとから、感光体40上で形成された画像が二次転写装置22の転写位置Aに到達する予定タイミングにおける用紙先端位置と転写位置Aとの誤差△dを予測する。そして、搬送制御部72は、この予測結果に基づいて、画像が転写位置Aに到達する予定タイミングにおける用紙先端位置と転写位置Aとの誤差を0(ゼロ)とするように搬送速度を増加、または減少させ、さらに用紙が転写位置Aに到達するまでに搬送速度を中間転写ベルト10の無端移動速度との比が所定の値となるように、搬送ローラ70の駆動を制御する(位置制御を行う)。
【0030】
次に、画像形成装置内の温度が上昇した場合について説明する。図4は、画像形成装置内の温度が上昇して搬送ローラの直径が膨張した場合の用紙先端位置を示す図である。画像形成装置内の温度(特に搬送ローラ70周囲の温度)が上昇すると、搬送ローラ70の材質が熱膨張して、搬送ローラ70の直径D_rolが伸びてしまう。
【0031】
搬送ローラ70の直径が、例えば、α倍に伸びると、π・D_rolの関係にある搬送ローラの周長も伸びてしまう(π・α・D_rol)。ここで、搬送ローラ70の駆動制御を、搬送ローラ70の回転角速度を検出する搬送ローラ回転角速度検出部(不図示)の検出結果に基づいて、搬送ローラ回転角速度を一定に保つことで搬送速度を所定の目標値Vrefに制御する方法をとっていれば、搬送ローラ回転角速度を一定に保っていたとしても、周長がα倍伸びた分、搬送速度が速くなってしまう(α・Vref)。
【0032】
この場合、用紙が搬送ローラ70に到達した後は搬送速度α・Vrefで搬送されるようになり、図4における△t分だけ早く所定位置(用紙通過センサ71の位置)に到達する。さらに、このまま位置補正を行わないと、画像が転写位置Aに到達する予定タイミングには二次転写装置22の転写位置Aよりも△L[=(α−1)・(L1+L2)]だけ進んでしまう。
【0033】
ここで、搬送制御部72では、所定位置を用紙先端が通過したタイミングのずれ△tから用紙先端の位置ずれ△d(=Vref・△t)を算出して位置補正を行うが、搬送ローラ70の熱膨張により搬送速度が速くなっていることは把握できないため、d_error =△L−△dだけ用紙先端位置と画像の位置がずれてしまう。
【0034】
従って、本実施の形態の画像形成装置では、画像形成装置内の温度が上昇して搬送ローラの直径が膨張した場合に、用紙通過センサの位置誤差を補正している。図5は、画像形成装置内の温度が上昇して搬送ローラの直径が膨張した場合の位置誤差を補正するための用紙通過センサの移動方法の説明図である。
【0035】
上記のd_error =△L−△dを0(ゼロ)にするためには、搬送制御部72での位置補正量を△L[=(α−1)・(L1+L2)]とすればよいことになる。搬送制御部72が位置補正を行うために使用する搬送速度(Vref)の値を変更しないとするならば、用紙通過センサ71の位置を所定位置から移動(移動量:d_adj)させることで、見かけ上、用紙先端が所定位置を早く通過したようにする方法が考えられる。このとき理想タイミングからの時間差は△t´となる。
【0036】
理想タイミングからの時間差△t´を生じさせるための用紙通過センサ71の位置の所定位置からの移動量d_adjは、次の関係式(式1)〜(式4)から算出することができる。
【数1】


【数2】


【数3】


【数4】


△L:用紙を搬送速度α・Vrefで搬送した場合の予定タイミングにおける用紙先端位置と転写位置Aの距離
△d´:用紙を搬送速度α・Vrefで搬送した場合の理想タイミングにおける用紙先端位置と所定位置の距離
Vref:用紙の搬送速度
α:搬送ローラ70の熱膨張倍数
1:転写位置Aと所定位置との距離
2:所定位置と搬送ローラ70との距離
△t:用紙を搬送速度α・Vrefで搬送した場合の用紙先端位置が所定位置を通過するタイミングと理想タイミングとの差
【0037】
上記関係式(式1)〜(式4)から、移動量d_adjについて解くと次の関係式(式5)となる。
【数5】

【0038】
また、搬送ローラ70の線膨張係数をa、搬送ローラ70の周囲温度の変化量を△T1とすると、搬送ローラ70の熱膨張倍数αは次の(式6)のようになる。
【数6】

【0039】
また、搬送ローラ70の熱膨張時と同様に、本実施の形態の画像形成装置では、画像形成装置内の温度が上昇して駆動ローラ9の直径の膨張等により中間転写ベルト10の無端移動速度が速くなり画像が転写位置に到達するタイミングが早くなった場合に、用紙通過センサ71の位置誤差を補正している。図6は、画像形成装置内の温度が上昇して駆動ローラの直径の膨張等により中間転写ベルトの無端移動速度が速くなり画像が転写位置に到達するタイミングが早くなった場合の位置誤差を補正するための用紙通過センサの移動方法の説明図である。
【0040】
中間転写ベルト10の駆動ローラ9についても搬送ローラ70と同様に、画像形成装置内の温度(特に中間転写ベルト10を移動させる駆動ローラ9の周囲温度)が上昇すると、駆動ローラ9の材質が熱膨張して駆動ローラの直径D_ beltが伸びてしまう。
【0041】
駆動ローラ9の直径が、例えば、β倍に伸びると、π・D_beltの関係にある駆動ローラの周長も伸びてしまう(π・β・D_belt)。ここで、駆動ローラ9の駆動制御を、中間転写ベルト駆動制御部(不図示)による駆動力伝達部の駆動制御により、駆動ローラの回転角速度を検出する駆動ローラ回転角速度検出部(不図示)の検出結果に基づいて、駆動ローラ回転角速度を一定に保つことで中間転写ベルト10の無端移動速度を所定の目標値Vref_beltに制御する方法をとっていれば、駆動ローラ回転角速度を一定に保っていたとしても、周長がβ倍伸びた分、無端移動速度が速くなってしまう(β・Vref_belt)。
【0042】
この場合、画像が二次転写装置22の転写位置Aに図の△t早く到達する。用紙が搬送速度の目標値Vrefで搬送されていたとしても、画像が二次転写装置22の転写位置Aに到達したタイミングには、用紙先端は△L(=Vref・△t)だけ転写位置Aの搬送ローラ70側に位置している。
【0043】
そこで、図5と同様に、搬送制御部72での位置補正量を△Lとすれば位置の誤差を0(ゼロ)にできる。用紙が搬送速度の目標値Vrefで搬送されていたとすると、図6に示すように画像が転写位置Aに早く到達する分の時間△tだけ用紙通過センサ71の位置を用紙が通過するタイミングを遅らせるように、用紙通過センサ71の位置を所定位置から移動(移動量:d_adj)させることで、搬送制御部72での位置補正量を△Lとすることができる。
【0044】
この時の用紙通過センサ71の位置の所定位置からの移動量d_adjは、次の関係式(式7)から算出することができる。
【数7】


△L:中間転写ベルトを無端移動速度β・Vrefで移動した場合に画像が転写位置Aに到達するタイミングに搬送速度Vrefで搬送した用紙の用紙先端位置と転写位置Aの距離
Vref:搬送速度
△t:中間転写ベルトを無端移動速度β・Vrefで移動した場合に画像が転写位置Aに到達するタイミングと予定タイミングとの差
【0045】
ここで、用紙通過センサ71の位置を移動させる方向は、図5の場合とは所定位置Aを挟んで逆方向となる。また、駆動ローラ9の周長が伸びて無端移動速度が速くなったことによる画像が二次転写装置22の転写位置Aに早く到達する分の時間△tは、次の関係式(式8)から算出できる。
【数8】


L_belt:感光体40Kから中間転写ベルト10にトナー像を転写する一次転写の位置から二次転写装置22の転写位置Aの長さ
Vref_belt:中間転写ベルト10の無端移動速度
β:駆動ローラ9の熱膨張倍数
【0046】
そして、上記のd_adjの関係式(式7)の△tへ、上記の△tの関係式(式8)を代入すると、d_adjは次の関係式(式9)で表される。
【数9】

【0047】
また、駆動ローラ9の線膨張係数をb、駆動ローラ9の周囲温度の変化量を△T2とすると、駆動ローラ9の熱膨張倍数βは次の(式10)のようになる。
【数10】

【0048】
ここで、中間転写ベルトの駆動制御の方法について説明する。図7は、従来技術における中間転写ベルト駆動制御系の概略図である。中間転写ベルトの駆動制御の方法は、例えば、特開2006‐139217や特開2006‐160512に記載されており、図7に示すように、中間転写ベルト1000上に形成されたマークを2つ(または2つ以上)のマークセンサ1001で検知することで、中間転写ベルト1000の伸縮の影響を受けずに中間転写ベルト1000の無端移動速度を精度良く検知して中間転写ベルト1000を精度良く制御する方法もある。この場合、2つ(または2つ以上)のマークセンサ1001の間隔の長さを基準として中間転写ベルト1000の伸縮量を補正しているので、マークセンサ1001の間隔の長さが熱膨張すると中間転写ベルト1000の無端移動速度を正しく検知できずに、制御された中間転写ベルト1000の無端移動速度も目標速度から偏差を持ってしまう。なお、特開2008‐51801には、センサの間隔の長さの熱膨張量を抑える方法が記載されている。
【0049】
ここで、マークセンサ1001の間隔の長さL_sensがγ倍となると、中間転写ベルト1000の無端移動速度もγ倍となってしまう(γ・Vref_belt)。2つ(または2つ以上)のマークセンサ1001を固定しているセンサ固定部材の線膨張係数をc、センサ固定部材の周囲温度の変化量を△T3とすると、γは次の(式11)のようになる。
【数11】


このように、中間転写ベルトの駆動制御方法によって、上記のd_adjの関係式のβをγで置き換えることができる。
【0050】
次に、本実施の形態の画像形成装置では、画像形成装置内の温度が上昇して搬送速度と中間転写ベルトの無端移動速度が速くなった場合に、用紙通過センサの位置誤差を補正している。図8は、画像形成装置内の温度が上昇して搬送速度と中間転写ベルトの無端移動速度が速くなった場合の位置誤差を補正するための用紙通過センサの移動方法の説明図である。特に、中間転写ベルトの無端移動速度が速くなったことによる影響が大きい場合について説明する。
【0051】
搬送速度と中間転写ベルトの無端移動速度が共に速くなった場合、それぞれの影響が打ち消し合うように働き、それぞれが単独で影響するよりも画像と用紙先端の位置のずれは小さくなる。さらに用紙通過センサ71を図の△d’だけ所定位置よりも転写位置A側へ移動させることにより、これまでに説明してきた理由により、搬送制御部72での位置補正量を0(ゼロ)とすることができるので、搬送速度が速くなったことによる打ち消し合う効果をさらに引き出すことができる。ただし、中間転写ベルトの無端移動速度が速くなったことによる影響が大きい場合は、それでも画像と用紙先端の位置のずれは残ってしまう(図の△d“)。
【0052】
そこで、搬送速度の目標値Vrefで△d“を移動するのにかかる時間分、用紙通過センサ71の用紙検知タイミングを遅らせるように、用紙通過センサ71の位置をさらに△d’’’だけ移動することで、搬送制御部72での位置補正量を△d“とすることができ、画像と用紙先端の位置のずれを0(ゼロ)とすることができる。
【0053】
ここで、所定位置からの用紙通過センサ71の移動量の合計d_adjは次の関係式(式12)〜(式15)から算出することができる。
【数12】


【数13】


【数14】


【数15】

【0054】
上記関係式(式12)〜(式15)から、移動量の合計d_adjを求めると次の関係式(式16)となる。
【数16】

【0055】
そして、図5の説明で求めた、搬送速度のみが速くなった場合に位置誤差を打ち消すように用紙通過センサ71を移動させる移動量をd_adj_paperと、図6の説明で求めた、中間転写ベルト10の無端移動速度のみが速くなった場合に位置誤差を打ち消すように用紙通過センサ71を移動させる移動量をd_adj_beltとすると、搬送速度と中間転写ベルト10の無端移動速度が共に速くなった場合、かつ中間転写ベルト10の無端移動速度が速くなったことによる影響が大きい場合に位置誤差を打ち消すために必要な用紙通過センサ71の移動量d_adjは、次の(式17)のようになる。
【数17】

【0056】
また、搬送速度が速くなったことによる影響が大きい場合も、同様にして位置誤差を打ち消すために必要な用紙通過センサ71の移動量d_adjを求めると、次の(式18)のようになる。
【数18】

【0057】
次に、用紙通過センサ71の位置を移動する機構について説明する。図9は、用紙通過センサの位置を移動する機構に用紙通過センサ固定部材を使用した一例を示す説明図である。
【0058】
用紙通過センサ固定部材73は、用紙通過センサ71を固定することで、用紙通過センサ71を画像形成装置の筐体等の支持部材(不図示)に固定するものである。具体的には、この用紙通過センサ固定部材73の熱膨張による用紙搬送方向と平行な方向への外形寸法(長さ)の変化に伴って、用紙通過センサ71の検出位置を用紙搬送方向と平行な方向に移動させるように、用紙通過センサ固定部材73を介して用紙通過センサ71を画像形成装置の筐体等の支持部材に固定する。
【0059】
用紙通過センサ固定部材73の画像形成装置の筐体等の支持部材への固定位置73aは、用紙通過センサ71の検出位置に対して用紙搬送方向と平行な方向の下流側、もしくは上流側にずらした位置とする。なお、各部品の熱膨張の組み合わせによっては、用紙搬送方向と平行な方向成分について用紙通過センサ71の検出位置と同じ位置でもよい。用紙通過センサ固定部材73の支持部材への固定位置73aを、上流側または下流側のいずれかに固定する選択は、搬送速度の誤差と、中間転写ベルト10の無端移動速度の誤差の影響の度合いによって行う。また、用紙通過センサ71の位置の移動量d_adjは、用紙通過センサ固定部材73の周囲温度を△T1 ’ とすると、次の(式19)のようになる。
【数19】


x:用紙通過センサ固定部材73の線膨張係数
l:用紙通過センサ固定部材73の支持部材との固定位置73aと用紙通過センサ71の検出位置の長さ
【0060】
また、搬送ローラ70と用紙通過センサ固定部材73の位置は比較的近いので、△T1≒△T1’としてもよい場合がある。なお、この△T1は、搬送ローラ70の周囲温度の変化量である。
【0061】
次に、用紙通過センサ71の位置を移動する他の機構について説明する。図10は、用紙通過センサの位置を移動する機構に開口部形成部材を使用した一例を示す説明図である。
【0062】
用紙通過センサ71は、平行光を投光する発光部711と、光を受光することで受光量に応じた電気信号を出力する受光部712が対向して配置された透過型の光センサ710である。この透過型センサの場合、発光部711からの光を用紙が遮ることによる受光部712での受光量変化から用紙先端の通過を検知する構成である。
【0063】
開口部形成部材74は、発光部711からの光の一部のみを受光部712側へ通過させる開口部74bを有している。また、開口部形成部材74は、用紙通過センサ71の光路上に開口部74bが配置されるように画像形成装置の筐体等の支持部材に固定されている。また、開口部形成部材74は、開口部形成部材74の熱膨張による用紙搬送方向と平行な方向への開口部74bの位置変化に伴って用紙通過センサ71の検出位置を用紙搬送方向と平行な方向に移動させるように、画像形成装置の筐体等の支持部材に固定してある。
【0064】
開口部形成部材74の画像形成装置の筐体等の支持部材への固定位置74aは、用紙通過センサ71の検出位置に対して用紙搬送方向と平行な方向の下流側、もしくは上流側にずらした位置とする。なお、各部品の熱膨張の組み合わせによっては、用紙搬送方向と平行な方向成分について用紙通過センサ71の検出位置と同じ位置でもよい。開口部形成部材74の支持部材への固定位置74aを、上流側または下流側のいずれかに固定する選択は、搬送速度の誤差と、中間転写ベルト10の無端移動速度の誤差の影響の度合いによって行う。また、用紙通過センサ71の位置の移動量d_adjは、開口部形成部材74の周囲温度を△T1“とすると、次の(式20)のようになる。
【数20】


y:開口部形成部材74の線膨張係数
l:開口部形成部材74の支持部材との固定位置74aと開口部74b(用紙通過センサの検出位置)の長さ
【0065】
また、搬送ローラ70と開口部形成部材74の位置は比較的近いので、△T1≒△T1“としてもよい場合がある。なお、この△T1は、搬送ローラ70の周囲温度の変化量である。
【0066】
さらに、用紙通過センサ71の位置を移動する他の機構について説明する。図11は、用紙通過センサの位置を移動する機構に開口部形成部材を使用した他の一例を示す説明図である。
【0067】
用紙通過センサ71は、平行光を投光する発光部と、光を受光することで受光量に応じた電気信号を出力する受光部が対向して配置された透過型の光センサ、もしくは反射型の光センサである。透過型の光センサの場合は、発光部からの光を用紙が遮ることによる受光部での受光量変化から、用紙先端の通過を検知する構成である。また、反射型の光センサの場合は、発光部からの光を用紙が反射することによる受光部での受光量変化から、用紙先端の通過を検知する構成である。
【0068】
第1開口部形成部材75は、発光部からの光の一部のみを受光部側へ通過させる長方形状の開口部75bを有し、第2開口部形成部材76は、発光部からの光の一部のみを受光部側へ通過させる長方形状の開口部76bを有している。
また、第1開口部形成部材75と第2開口部形成部材76は、用紙通過センサ71の光路上にそれぞれの開口部75b、76bが重なって配置され、発光部からの光はそれぞれの開口部75b、76bを通過して受光部まで到達するように画像形成装置の筐体等の支持部材に固定されている。
【0069】
また、第1開口部形成部材75と第2開口部形成部材76は、用紙の面と平行な面内の用紙搬送方向と直角な方向にずらした位置で固定され、さらにそれぞれの開口部75b、76bは、第1開口部形成部材75、第2開口部形成部材76の支持部材との固定位置75a、76aからの用紙搬送方向と直角な方向が逆になるように形成されている。
【0070】
第1開口部形成部材75の長方形状の開口部75bは、開口部75bの長い辺と平行な線が用紙搬送方向と平行な線と直角以外の角度θで交差するように設けられている。そして、第2開口部形成部材76の長方形状の開口部76bは、用紙の面と垂直で用紙搬送方向と平行な面に対して反転した形状である。これにより、第1開口部形成部材75と第2開口部形成部材76の熱膨張による用紙搬送方向と直角な方向への開口部の位置変化(それぞれの開口部75b、76bの移動方向は逆となる)に伴って、それぞれの開口部75b、76bが交差する位置が用紙搬送方向と平行な方向へ移動することによって用紙通過センサ71の検出位置を用紙搬送方向と平行な方向に移動させる。
【0071】
用紙通過センサ71の検出位置の移動量d_adjは、開口部形成部材75、76の周囲温度を△T1‘‘‘とすると、およそ次の(式21)のようになる。
【数21】


z:第1開口部形成部材75と第2開口部形成部材76の線膨張係数
l:第1開口部形成部材75と第2開口部形成部材76の支持部材との固定位置75a、75bと検出位置の長さ(用紙搬送方向と直角な方向成分)
【0072】
また、搬送ローラ70と第1開口部形成部材75と第2開口部形成部材76の位置は比較的近いので、△T1≒△T1‘‘‘としてもよい場合がある。なお、この△T1は、搬送ローラ70の周囲温度の変化量である。
【0073】
このように、本実施の形態の画像形成装置は、画像形成装置内部の搬送ローラ70の膨張による用紙の搬送速度の変化や駆動ローラ9の膨張による中間転写ベルト10の無端移動速度の変化に基づいて、用紙通過センサ71の位置を用紙搬送方向と平行な方向へ移動させることで、用紙が所定の位置を通過するタイミングを見かけ上ずらすことができる。その結果、搬送制御部72は、見かけ上のタイミングのずれに基づいて用紙の搬送速度や位置を補正するため、画像形成装置内部の環境変化に起因する「トナー画像と用紙が転写位置へ到達する相対的なタイミングのずれ」を抑えることができる。
【0074】
また、上述したように、用紙通過センサ71を固定する部材(用紙通過センサ固定部材73や、開口部形成部材74、第1開口部形成部材75および第2開口部形成部材76)を介して用紙通過センサ71を画像形成装置の筐体などに固定することで、用紙通過センサ71を固定する部材の熱膨張を、用紙通過センサ71を移動させる力に利用することができるので、画像形成装置内部の環境変化に起因する「トナー画像と用紙が転写位置へ到達する相対的なタイミングのずれ」を打ち消すことができる。
【符号の説明】
【0075】
1 装置本体
2 給紙テーブル
3 スキャナ
4 自動原稿給送装置(ADF)
9 駆動ローラ
10 中間転写ベルト
15 従動ローラ
16 従動ローラ
17 クリーニング装置
18 作像ユニット
20 転写装置
21 露光装置
22 二次転写装置
23 ローラ
24 二次転写ベルト
25 定着装置
26 定着ベルト
27 加圧ローラ
28 用紙反転装置
30 原稿台
32 コンタクトガラス
33 第1走行体
34 第2走行体
35 結像レンズ
36 センサ
40(40Y、40C、40M、40K) 感光体
42 給紙ローラ
43 ペーパーバンク
44 給紙カセット
45 分離ローラ
46 給紙路
47 搬送ローラ
48 給紙路
49 レジストローラ
50 給紙ローラ
51 トレイ
52 分離ローラ
53 給紙路
55 切換爪
56 排出ローラ
57 排紙トレイ
60 帯電装置
61 現像装置
62 一次転写ローラ
63 感光体クリーニング装置
64 除電装置
70 搬送ローラ
71 用紙通過センサ
72 搬送制御部
73 用紙通過センサ固定部材
73a 固定位置
74 開口部形成部材
74a 固定位置
74b 開口部
75 第1開口部形成部材
75a 固定位置
75b 開口部
76 第2開口部形成部材
76b 開口部
710 光センサ
711 発光部
712 受光部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0076】
【特許文献1】特開2000−238931号公報
【特許文献2】特開2000−351472号公報
【特許文献3】特開2007−206406号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を形成する画像形成手段と、
前記画像形成手段で形成された画像が表面に転写され、無端移動する像担持体と、
前記像担持体上の画像を転写位置にて用紙上に転写する転写手段と、
前記転写手段の転写位置へ用紙を搬送する搬送手段と、
前記転写手段と前記搬送手段の間の所定位置に有り、用紙先端の通過を検知する用紙通過検知手段と、
前記画像形成手段で形成された画像が前記転写手段の転写位置に到達する予定タイミングに用紙先端が転写位置に到達するために前記所定位置を用紙先端が通過すべきタイミングを用紙先端通過の理想タイミングとして予め設定した設定手段と、
前記搬送手段を予め定められた所定の搬送速度で用紙を転写位置へ搬送するように制御して、かつ前記用紙通過検知手段の検知結果から前記所定位置を用紙先端が通過したタイミングである計測タイミングを計測し、前記搬送速度で用紙を搬送する場合に、前記計測タイミングと前記理想タイミングとの時間差を求め、この時間差と前記搬送速度から、前記予定タイミングにおける用紙先端位置の転写位置との誤差を予測して、この予測結果に基づいて、前記予定タイミングにおける用紙先端位置の転写位置との誤差を0とするように搬送速度を変更し、さらに用紙が転写位置に到達するまでに搬送速度が予め定められた所定の速度となるように前記搬送手段の用紙搬送動作を制御する搬送制御手段と、
前記画像形成装置の装置内温度変化に応じて、前記用紙通過検知手段の検出位置を前記所定位置から用紙搬送方向と平行な方向に移動させる用紙通過検知位置移動手段と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記用紙通過検知位置移動手段は、前記用紙通過検知手段を前記画像形成装置の筐体等の支持部材に固定する用紙通過検知手段固定部材であり、前記用紙通過検知手段固定部材の熱膨張による用紙搬送方向と平行な方向への外形寸法の変化に伴って前記用紙通過検知手段の検出位置を用紙搬送方向と平行な方向に移動させるように、前記用紙通過検知手段固定部材を介して前記用紙通過検知手段を前記画像形成装置の筐体等の支持部材に固定してあることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記用紙通過検知手段固定部材は、前記用紙通過検知手段固定部材に固定した前記用紙通過検知手段の検出位置に対して用紙搬送方向と平行な方向成分にずらした位置であり、かつ用紙搬送方向下流側で前記画像形成装置の筐体等の支持部材に固定してあることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記用紙通過検知手段固定部材は、前記用紙通過検知手段固定部材に固定した前記用紙通過検知手段の検出位置に対して用紙搬送方向と平行な方向成分にずらした位置であり、かつ用紙搬送方向上流側で前記画像形成装置の筐体等の支持部材に固定してあることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記搬送手段は、用紙を挟み込み回転することで搬送する搬送ローラ対を備え、
前記搬送制御手段は、搬送ローラの回転角速度を検出する搬送ローラ回転角速度検出手段を備え、前記搬送ローラ回転角速度検出手段の検出結果に基づいて搬送速度を所定の目標値に制御しており、
前記搬送ローラの熱膨張量を決める第1因子と、前記搬送ローラ対と転写位置の間の長さと、前記用紙通過検知手段固定部材の熱膨張量を決める第2因子を、前記搬送ローラの熱膨張での直径の変化による用紙の搬送速度誤差に起因する用紙が転写位置へ到達するタイミングのずれを打ち消すような組み合わせに設定されていることを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記像担持体は、複数のローラに掛け渡された無端状ベルトであり、
前記複数のローラにおける1つのローラは、前記無端状ベルトを無端移動させる駆動ローラであり、
前記駆動ローラに駆動力を伝達するための駆動力伝達手段と、
前記駆動ローラの回転角速度を検出する駆動ローラ回転角速度検出手段と、
前記駆動ローラ回転角速度検出手段の検出結果に基づいて前記像担持体の無端移動速度を所定の速度となるように前記駆動力伝達手段を駆動制御する像担持体駆動制御手段と、を備え、
前記駆動ローラの熱膨張量を決める第3因子と、前記画像形成手段から前記像担持体へ画像が転写される位置と前記転写手段による用紙への画像の転写位置の間の距離と、前記第2因子を、前記駆動ローラの熱膨張での直径の変化による前記像担持体の無端移動速度誤差に起因する画像が転写位置に到達するタイミングのずれを打ち消すような組み合わせに設定されていることを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記搬送手段は、用紙を挟み込み回転することで搬送する搬送ローラ対を備え、
前記搬送制御手段は、搬送ローラの回転角速度を検出する搬送ローラ回転角速度検出手段を備え、前記搬送ローラ回転角速度検出手段の検出結果に基づいて搬送速度を所定の目標値に制御しており、
前記像担持体は、複数のローラに掛け渡された無端状ベルトであり、
前記複数のローラにおける1つのローラは、前記無端状ベルトを無端移動させる駆動ローラであり、
前記駆動ローラに駆動力を伝達するための駆動力伝達手段と、
前記駆動ローラの回転角速度を検出する駆動ローラ回転角速度検出手段と、
前記駆動ローラ回転角速度検出手段の検出結果に基づいて前記像担持体の無端移動速度を所定の速度となるように前記駆動力伝達手段を駆動制御する像担持体駆動制御手段と、を備え、
前記第2因子を、前記搬送ローラの熱膨張での直径の変化による用紙の搬送速度誤差に起因する用紙が転写位置へ到達するタイミングのずれと、前記駆動ローラの熱膨張での直径の変化による前記像担持体の無端移動速度誤差に起因する画像が転写位置に到達するタイミングのずれの差を打ち消すような組み合わせに設定されていることを特徴とする請求項3または4に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記搬送ローラ対と転写位置の間の長さと、前記画像形成手段から前記像担持体へ画像が転写される位置と前記転写手段による用紙への画像の転写位置の間の距離と、前記第1因子と、前記第3因子を、前記搬送ローラの熱膨張での直径の変化による用紙の搬送速度誤差に起因する用紙が転写位置へ到達するタイミングのずれと、前記駆動ローラの熱膨張での直径の変化による前記像担持体の無端移動速度誤差に起因する画像が転写位置に到達するタイミングのずれの差を打ち消すような組み合わせに含めて設定されていることを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記搬送手段は、用紙を挟み込み回転することで搬送する搬送ローラ対を備え、
前記搬送制御手段は、搬送ローラの回転角速度を検出する搬送ローラ回転角速度検出手段を備え、前記搬送ローラ回転角速度検出手段の検出結果に基づいて搬送速度を所定の目標値に制御しており、
前記像担持体は、複数のローラに掛け渡され、かつ無端移動方向に所定間隔で連続する複数のマークが設けられた無端状ベルトであり、
前記複数のローラにおける1つのローラは、前記無端状ベルトを無端移動させる駆動ローラであり、
前記駆動ローラに駆動力を伝達するための駆動力伝達手段と、
前記無端状ベルトに設けられた複数のマークを検出することで前記無端状ベルトの無端移動によるマークの有無に対応した信号を出力する第一無端移動検出手段と、
前記無端状ベルトに設けられた複数のマークを検出することで前記無端状ベルトの無端移動によるマークの有無に対応した信号を出力して、かつ前記第一無端移動検出手段から前記無端状ベルトの無端移動方向に所定の距離を隔てて設置される第二無端移動検出手段と、を備え、
前記第一無端移動検出手段と前記第二無端移動検出手段は、同一の固定部材である無端移動検出手段固定部材で固定され、
前記第一無端移動検出手段と前記第二無端移動検出手段から出力される信号と、前記第一無端移動検出手段と前記第二無端移動検出手段の間の前記所定の距離の値に基づいて前記駆動力伝達手段の駆動制御を行い、それによって前記無端状ベルトの速度制御又は位置制御を行なう速度・位置制御手段を備え、
前記搬送ローラ対と転写位置の間の長さと、前記第1因子と、前記第2因子と、前記画像形成手段から前記像担持体へ画像が転写される位置と前記転写手段による用紙への画像の転写位置の間の距離と、前記第一無端移動検出手段と前記第二無端移動検出手段の間の距離の熱膨張量を決める第4因子を、前記搬送ローラの熱膨張での直径の変化による用紙の搬送速度誤差に起因する用紙が転写位置へ到達するタイミングのずれと、前記第一無端移動検出手段と前記第二無端移動検出手段の間の距離の熱膨張による前記像担持体の無端移動速度誤差に起因する画像が転写位置に到達するタイミングのずれの差を打ち消すような組み合わせに含めて設定されていることを特徴とする請求項3または4に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記用紙通過検知手段は、平行光を投光する発光部と、光を受光することで受光量に応じた電気信号を出力する受光部とが対向して配置された透過型、もしくは反射型の光センサであり、透過型の場合は発光部からの光を用紙が遮ることによる受光部での受光量変化から、反射型の場合は発光部からの光を用紙が反射することによる受光部での受光量変化から用紙先端の通過を検知し、
前記用紙通過検知位置移動手段は、前記発光部からの光の一部のみを前記受光部側へ通過させる開口部を有する開口部形成部材であり、かつ前記用紙通過検知手段の光路上に前記開口部が配置されるように前記画像形成装置の筐体等の支持部材に固定されるものであり、さらに、前記開口部形成部材の熱膨張による用紙搬送方向と平行な方向への前記開口部の位置変化に伴って前記用紙通過検知手段の検出位置を用紙搬送方向と平行な方向に移動させるように、前記開口部形成部材は前記画像形成装置の筐体等の支持部材に固定してあることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記用紙通過検知手段は、平行光を投光する発光部と、光を受光することで受光量に応じた電気信号を出力する受光部とが対向して配置された反射型の光センサであり、発光部からの光を受光部へと反射させる反射部材を備え、発光部からの光を用紙が遮ることによる受光部での受光量変化から用紙先端の通過を検知し、
前記用紙通過検知位置移動手段は、前記発光部からの光の一部のみを前記受光部側へ通過させる開口部を有する開口部形成部材であり、かつ前記用紙通過検知手段の光路上に前記開口部が配置されるように前記画像形成装置の筐体等の支持部材に固定されるものであり、さらに、前記開口部形成部材の熱膨張による用紙搬送方向と平行な方向への前記開口部の位置変化に伴って前記用紙通過検知手段の検出位置を用紙搬送方向と平行な方向に移動させるように、前記開口部形成部材は前記画像形成装置の筐体等の支持部材に固定してあることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記開口部形成部材は、開口部の位置に対して用紙搬送方向と平行な方向成分にずらした位置であり、かつ用紙搬送方向下流側で前記画像形成装置の筐体等の支持部材に固定してあることを特徴とする請求項10または11に記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記開口部形成部材は、開口部の位置に対して用紙搬送方向と平行な方向成分にずらした位置であり、かつ用紙搬送方向上流側で前記画像形成装置の筐体等の支持部材に固定してあることを特徴とする請求項10または11に記載の画像形成装置。
【請求項14】
前記用紙通過検知手段は、平行光を投光する発光部と、光を受光することで受光量に応じた電気信号を出力する受光部とが対向して配置された透過型、もしくは反射型の光センサであり、透過型の場合は発光部からの光を用紙が遮ることによる受光部での受光量変化から、反射型の場合は発光部からの光を用紙が反射することによる受光部での受光量変化から用紙先端の通過を検知し、
前記用紙通過検知位置移動手段は、前記発光部からの光の一部のみを前記受光部側へ通過させる長方形状の開口部を有する第一開口部形成部材と、前記発光部からの光の一部のみを前記受光部側へ通過させる長方形状の開口部を有する第二開口部形成部材を備え、
前記第一開口部形成部材と前記第二開口部形成部材は、前記用紙通過検知手段の光路上にそれぞれの開口部が重なって配置され、前記発光部からの光はそれぞれの開口部を通過して前記受光部まで到達するように前記画像形成装置の筐体等の支持部材に固定され、
前記第一開口部形成部材と前記第二開口部形成部材は、さらに、用紙の面と平行な面内の用紙搬送方向と直角な方向にずらした位置で固定され、それぞれの開口部は、開口部形成部材の支持部材との固定位置からの用紙搬送方向と直角な方向が逆になるように形成されており、
前記第一開口部形成部材の長方形状の開口部は、開口部の長い辺と平行な線が用紙搬送方向と平行な線と直角以外の角度で交差するように設けられており、
前記第二開口部形成部材の長方形状の開口部は、用紙の面と垂直で用紙搬送方向と平行な面に対して反転した形状であり、
前記第一開口部形成部材と前記第二開口部形成部材の熱膨張による用紙搬送方向と直角な方向への前記開口部の位置変化に伴って、それぞれの開口部が交差する位置が用紙搬送方向と平行な方向へ移動することによって前記用紙通過検知手段の検出位置を用紙搬送方向と平行な方向に移動させることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項15】
前記搬送手段は、用紙を挟み込み回転することで搬送する搬送ローラ対を備え、
前記搬送制御手段は、搬送ローラの回転角速度を検出する搬送ローラ回転角速度検出手段を備え、前記搬送ローラ回転角速度検出手段の検出結果に基づいて搬送速度を所定の目標値に制御しており、
前記第1因子と、前記搬送ローラ対と転写位置の間の長さと、前記開口部形成部材の熱膨張量を決める第5因子、もしくは前記第一開口部形成部材と前記第二開口部形成部材の熱膨張量を決める第6因子を、前記搬送ローラの熱膨張での直径の変化による用紙の搬送速度誤差に起因する用紙が転写位置へ到達するタイミングのずれを打ち消すような組み合わせに設定されていることを特徴とする請求項12または14に記載の画像形成装置。
【請求項16】
前記像担持体は、複数のローラに掛け渡された無端状ベルトであり、
前記複数のローラにおける1つのローラは、前記無端状ベルトを無端移動させる駆動ローラであり、
前記駆動ローラに駆動力を伝達するための駆動力伝達手段と、
前記駆動ローラの回転角速度を検出する駆動ローラ回転角速度検出手段と、
前記駆動ローラ回転角速度検出手段の検出結果に基づいて前記像担持体の無端移動速度を所定の速度となるように前記駆動力伝達手段を駆動制御する像担持体駆動制御手段と、を備え、
前記第3因子と、前記画像形成手段から前記像担持体へ画像が転写される位置と前記転写手段による用紙への画像の転写位置の間の距離と、前記第5因子、もしくは前記第6因子を、前記駆動ローラの熱膨張での直径の変化による前記像担持体の無端移動速度誤差に起因する画像が転写位置に到達するタイミングのずれを打ち消すような組み合わせに設定されていることを特徴とする請求項13または14に記載の画像形成装置。
【請求項17】
前記搬送手段は、用紙を挟み込み回転することで搬送する搬送ローラ対を備え、
前記搬送制御手段は、搬送ローラの回転角速度を検出する搬送ローラ回転角速度検出手段を備え、前記搬送ローラ回転角速度検出手段の検出結果に基づいて搬送速度を所定の目標値に制御しており、
前記像担持体は、複数のローラに掛け渡された無端状ベルトであり、
前記複数のローラにおける1つのローラは、前記無端状ベルトを無端移動させる駆動ローラであり、
前記駆動ローラに駆動力を伝達するための駆動力伝達手段と、
前記駆動ローラの回転角速度を検出する駆動ローラ回転角速度検出手段と、
前記駆動ローラ回転角速度検出手段の検出結果に基づいて前記像担持体の無端移動速度を所定の速度となるように前記駆動力伝達手段を駆動制御する像担持体駆動制御手段と、を備え、
前記第5因子、もしくは前記第6因子を、前記搬送ローラの熱膨張での直径の変化による用紙の搬送速度誤差に起因する用紙が転写位置へ到達するタイミングのずれと、前記駆動ローラの熱膨張での直径の変化による前記像担持体の無端移動速度誤差に起因する画像が転写位置に到達するタイミングのずれの差を打ち消すような組み合わせに設定されていることを特徴とする請求項12〜14のいずれか一つに記載の画像形成装置。
【請求項18】
前記搬送ローラ対と転写位置の間の長さと、前記画像形成手段から前記像担持体へ画像が転写される位置と前記転写手段による用紙への画像の転写位置の間の距離と、前記第1因子と、前記第3因子を、前記搬送ローラの熱膨張での直径の変化による用紙の搬送速度誤差に起因する用紙が転写位置へ到達するタイミングのずれと、前記駆動ローラの熱膨張での直径の変化による前記像担持体の無端移動速度誤差に起因する画像が転写位置に到達するタイミングのずれの差を打ち消すような組み合わせに含めて設定されていることを特徴とする請求項17に記載の画像形成装置。
【請求項19】
前記搬送手段は、用紙を挟み込み回転することで搬送する搬送ローラ対を備え、
前記搬送制御手段は、搬送ローラの回転角速度を検出する搬送ローラ回転角速度検出手段を備え、前記搬送ローラ回転角速度検出手段の検出結果に基づいて搬送速度を所定の目標値に制御しており、
前記像担持体は、複数のローラに掛け渡され、かつ無端移動方向に所定間隔で連続する複数のマークが設けられた無端状ベルトであり、
前記複数のローラにおける1つのローラは、前記無端状ベルトを無端移動させる駆動ローラであり、
前記駆動ローラに駆動力を伝達するための駆動力伝達手段と、
前記無端状ベルトに設けられた複数のマークを検出することで前記無端状ベルトの無端移動によるマークの有無に対応した信号を出力する第一無端移動検出手段と、
前記無端状ベルトに設けられた複数のマークを検出することで前記無端状ベルトの無端移動によるマークの有無に対応した信号を出力して、かつ前記第一無端移動検出手段から前記無端状ベルトの無端移動方向に所定の距離を隔てて設置される第二無端移動検出手段と、を備え、
前記第一無端移動検出手段と前記第二無端移動検出手段は、同一の固定部材である無端移動検出手段固定部材で固定され、
前記第一無端移動検出手段と前記第二無端移動検出手段から出力される信号と、前記第一無端移動検出手段と前記第二無端移動検出手段の間の前記所定の距離の値に基づいて前記駆動力伝達手段の駆動制御を行い、それによって前記無端状ベルトの速度制御又は位置制御を行なう速度・位置制御手段を備え、
前記搬送ローラ対と転写位置の間の長さと、前記第1因子と、前記第5因子、もしくは前記第6因子と、前記画像形成手段から前記像担持体へ画像が転写される位置と前記転写手段による用紙への画像の転写位置の間の距離と、前記第4因子を、前記搬送ローラの熱膨張での直径の変化による用紙の搬送速度誤差に起因する用紙が転写位置へ到達するタイミングのずれと、前記第一無端移動検出手段と前記第二無端移動検出手段の間の距離の熱膨張による前記像担持体の無端移動速度誤差に起因する画像が転写位置に到達するタイミングのずれの差を打ち消すような組み合わせに含めて設定されていることを特徴とする請求項12〜14のいずれか一つに記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−217789(P2010−217789A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−67089(P2009−67089)
【出願日】平成21年3月18日(2009.3.18)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】