説明

画像形成装置

【課題】 記録用紙を収容するマガジンを着脱自在に装着し、該マガジンから供給される記録用紙に画像を形成する画像形成装置であって、マガジンを別のものに取り替える、あるいは、切り替えるに当たり、時間のロスを極力抑えて生産性を向上させることができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】 マガジンには、記録用紙の製造に関する情報を記録するための記録手段が設けられ、装置本体には、セットアップデータを記憶しておくための記憶手段と、取り替えられる、あるいは、切り替えられるマガジンの記録手段から記録用紙の製造に関する情報を読み取るための読取手段と、該読み取った記録用紙の製造に関する情報と記憶手段に記憶されているセットアップデータに紐付けられる記録用紙の製造に関する情報とを比較して両者が一致するか否かを判定する判定手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感光材料、プリント紙、あるいは感熱紙といった記録用紙を収容するマガジン(あるいは、カートリッジ、以下、総称して「マガジン」という)を着脱自在に装着し、該マガジンから供給される記録用紙に画像を形成する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置の一形態として、ネガフィルム、ポジフィルムといった写真フィルム、CD−ROM、メモリカードといったメディアなどから読み込んだ画像を感光材料に露光処理し、次いで、現像処理を施して写真プリントを作製する写真処理装置が知られている。かかる写真処理装置では、長尺の感光材料をロール状に巻回して収容したマガジンを装置本体に装着し、使用に際して感光材料をマガジンから引き出して装置本体内に送り込む、いわゆるマガジン方式が記録用紙の供給手段として従来より採用されている。
【0003】
また、マガジン方式は、マガジンの取り替えを少なくすることにより長時間の連続自動運転を図る施策の一つとして、幅サイズが同一あるいは異なる感光材料を収容したマガジンを二つ並べて装置本体に装着する、いわゆるダブルマガジン方式が一般的であり、さらに、近年では、さらなる能力アップを目的として、マガジンを多数収容可能な供給装置を追加的に備える写真処理装置も提供されている(特許文献1)。
【特許文献1】特開2007−168991号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、この種の写真処理装置では、感光材料に露光処理するための例えばレーザ露光ユニットの状態や感光材料を現像処理するための現像処理液の状態が日々変動する。従って、この種の写真処理装置では、適正且つ安定した発色状態の写真プリントを作製するために、いわゆるデイリーセットアップを毎日の稼働前に行うようにしている(特許文献2)。デイリーセットアップでは、写真処理装置や現像処理液が持つ特性を平均化した値に基づいて基準セットアップデータを作成し、その基準セットアップデータに基づく露光条件でセットアップ用画像を感光材料に露光処理してテストプリントを作製し、このテストプリントの発色濃度を測色計で測定し、発色状態が適正でなければ、セットアップデータを調整して再度テストプリントを作製し、そして、テストプリントの発色状態が適正になるまでこの作業を繰り返し、最終的に適正なセットアップデータを求める。
【特許文献2】特開2005−59341号公報
【0005】
しかしながら、デイリーセットアップだけでは完全でない。感光材料が持つ特性(発色特性)は、感光材料のメーカ毎に異なり、また、同じメーカであっても、乳剤番号(製造番号あるいはロット番号)毎に異なっており、そのため、デイリーセットアップによって発色状態が整えられたとしても、感光材料における色の現れ方は互いに異なるものとなる。従って、例えばマガジン内の感光材料を全て使い切ることにより、別のマガジンに取り替える、あるいは、装置本体に複数のマガジンを装着できる写真処理装置であれば、装着されている別のマガジンに切り替えるに当たり、それら別のマガジンに収容されている感光材料が先に使用されていた感光材料と乳剤番号が異なっている場合、デイリーセットアップとは別個の特性補正用セットアップ(感光材料のロットが変わったときにその違いを吸収するために行われる乳剤番号変更セットアップ、要領は上記したデイリーセットアップと同様)が必要となる(特許文献3)。
【特許文献3】特開2003−233136号公報
【0006】
そして、従来の写真処理装置では、マガジンを取り替える、あるいは、切り替えるに当たり、乳剤番号の変更があるか否か、即ち、乳剤番号変更セットアップを行うか否かを(メッセージをモニターに表示して)オペレータに確認させるようにしていた。しかも、マガジンを取り替える、あるいは、切り替えるに当たり、乳剤番号が変更していようがいまいが、必ず乳剤番号変更セットアップを行うようにしていた。
【0007】
しかしながら、この方法では、マガジンを取り替える、あるいは、切り替えるに当たり、乳剤番号の変更がない場合であっても、オペレータへの確認や乳剤番号セットアップの実行が必ず入るので、不必要に時間のロスが発生し、また、乳剤番号セットアップを実行すると、テストプリントのために不必要に感光材料のロスが発生してしまう。
【0008】
特に、処理量が多く、複数のマガジンに乳剤番号が同じ感光材料をセットする場合のロスは顕著である。なぜなら、マガジンの取り替えを少なくすることにより長時間の連続自動運転を図るために、複数のマガジンを装着しているにも関わらず、明らかに必要ではないオペレータへの確認や乳剤番号セットアップの実行が必ず入ることで、不必要に処理の中断を余儀なくされるからである。
【0009】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたもので、マガジンを別のものに取り替える、あるいは、切り替えるに当たり、時間のロスを極力抑えて生産性を向上させることができる画像形成装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る画像形成装置は、上記課題を解決すべく構成されたもので、記録用紙を収容するマガジンを着脱自在に装着し、該マガジンから供給される記録用紙に対し、該記録用紙の製造に関する情報に紐付けられるセットアップデータを用いて画像形成処理を施す画像形成装置において、マガジンには、記録用紙の製造に関する情報を記録するための記録手段が設けられ、装置本体には、セットアップデータを記憶しておくための記憶手段と、マガジンが別のものに取り替えられる、あるいは、装置本体に複数のマガジンを装着可能であれば、切り替えられることに伴い、取り替えられる、あるいは、切り替えられるマガジンの記録手段から記録用紙の製造に関する情報を読み取るための読取手段と、該読み取った記録用紙の製造に関する情報と記憶手段に記憶されているセットアップデータに紐付けられる記録用紙の製造に関する情報とを比較して両者が一致するか否かを判定する判定手段とを備えることを特徴とする。
【0011】
かかる構成によれば、判定手段による判定結果が不一致である場合、マガジンが別のものに取り替えられる、あるいは、切り替えられることにより、それまで使用されていた記録用紙と製造に関する情報が異なる記録用紙が使用されるということになり、従来と同様、そのままでは画像形成処理を行うことはできない。しかしながら、判定手段による判定結果が一致する場合は、それまで使用されていた記録用紙と製造に関する情報が同じ記録用紙が使用されるということで、セットアップ処理あるいはこれに関連する処理は必要が無くなる。そのため、マガジンが別のものに取り替えられる、あるいは、切り替えられても、画像形成処理の連続処理が可能となる。
【0012】
また、本発明に係る画像形成装置は、判定手段による判定結果が不一致である場合、取り替えられる、あるいは、切り替えられるマガジンに基づく画像形成処理に先立ち、セットアップ処理を実行する構成を採用することができる。記憶手段に複数のセットアップデータが記憶されており、しかも、取り替えられる、あるいは、切り替えられるマガジンに基づく画像形成処理で必要なセットアップデータがその中にあるならば、アクティブなセットアップデータを切り替えるだけでよいので、セットアップ処理は不要であるが、そうでなければ、セットアップ処理を実行し、新規なセットアップデータを取得するわけである。
【0013】
また、本発明に係る画像形成装置は、記録手段には、記録用紙の残量に関する情報が記録され、装置本体は、読取手段によって記録手段から読み取った記録用紙の残量に関する情報と画像形成処理で用いられた記録用紙の使用量に関する情報とに基づいて記録用紙の現在の残量を求め、求めた記録用紙の現在の残量に関する情報を適宜のタイミングで記録手段に書き込むような構成を採用することが好ましい。かかる構成によれば、例えば、残量が所定量以下となれば、事前に一致・不一致の判定処理を行っておくことで、マガジンを別のものに取り替える、あるいは、切り替えるに当たり、時間短縮を図ることが可能となる。
【0014】
また、本発明に係る画像形成装置は、一例として、写真処理装置であり、記録用紙は感光材料であり、記録用紙の製造に関する情報は乳剤番号である。
【発明の効果】
【0015】
以上の如く、本発明は、マガジンを別のものに取り替える、あるいは、切り替えるに当たり、時間のロスを極力抑えて生産性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明に係る画像形成装置の一実施形態として、写真処理装置について説明する。まずは、本実施形態において特徴的なことを説明する前に、写真処理装置の全体構成について概略的に説明する。
【0017】
図1及び図2に示す如く、写真処理装置1は、画像データに基づいて感光材料Pを露光処理する露光処理部2と、露光処理された感光材料Pを現像処理する現像処理部3と、現像処理後の感光材料Pを乾燥処理する乾燥処理部4と、乾燥処理された感光材料Pを写真プリントとしてオーダー毎に仕分ける仕分部5とを備えている。
【0018】
この写真処理装置1は、別個の制御装置6が電気的に接続され、該制御装置6によって全体の制御が行われると共に、その制御装置6で読み取った画像データや編集した画像データに基づいて露光処理等を行うようになっている。制御装置6は、各処理の処理状況や操作案内等を表示するモニター60と、該モニター60の表示に基づいて入力操作を行うための入力手段61(キーボード61a及びマウス61b)と、露光処理部2で感光材料Pに露光処理を行うための画像データを読み取る読取手段62(フラットベッドスキャナ62a、フィルムスキャナ62b及びメディアドライブ62c)と、露光処理を行うに際し、各種処理や写真処理装置1の実質的な制御を行う演算処理装置63(CPU63a、RAM63b及びROM63c)とを備えている。
【0019】
露光処理部2は、ロール状に巻回された長尺な感光材料Pを収容する第一のマガジン20a及び第二のマガジン20bと、該マガジン20a,20b(あるいは後述するマガジン20c,20d)から供給された感光材料Pを所定の長さで切断してカットシートにする切断装置21と、該切断装置21で切断された感光材料Pを露光処理する露光ユニット22と、露光処理部2内の各構成間で感光材料Pを搬送し、マガジン20a,20b(あるいは後述するマガジン20c,20d)から供給された感光材料Pを下流側(現像処理部3)に搬送するための主搬送系23とを備えている。
【0020】
マガジン20a,20bは、ロール状の感光材料Pを回転可能に構成され、感光材料Pを長手方向に円滑に排出できるようになっている。また、露光処理部2、現像処理部3及び乾燥処理部4を一体的にする主筐体10に対し、オプション(追加)の第三のマガジン20c及び第四のマガジン20dを収容するための副筐体11を接続できるようになっており、主筐体10内のマガジン20a,20bから供給される感光材料Pの搬送経路に対し、オプションのマガジン20c,20dから供給される感光材料Pの搬送経路が主筐体10内で合流するようになっており、写真処理に際しては、何れか一つのマガジン20a〜20dから供給された感光材料Pが用いられる。
【0021】
露光ユニット22は、主搬送系23において搬送される感光材料Pの乳剤面を露光する露光エンジン(図示しない)を備えている。該露光エンジンは、レーザー光源(図示しない)や、該レーザー光源からのレーザー光を露光ポイントAにまで導く光学系(例えば、ポリゴンミラーやレンズ、図示しない)等を備えた、いわゆるレーザーエンジンが採用されている。尚、露光エンジンには、ハロゲンランプ等からなる光源と、該光源に光ファイバー束を介して接続された光シャッター(PLZT)とで構成されたもの等、その他のいわゆるデジタル露光エンジンであってもよい。
【0022】
現像処理部3は、露光処理部2から送り込まれてくる感光材料Pを現像するためのもので、現像処理液が貯留される現像処理液槽30と、該現像処理液槽30内の現像処理液に対して感光材料Pを浸漬して引き上げる動作を繰り返すように、感光材料Pを搬送する主搬送系32とを備えている。現像処理液槽30は、複数の液槽30a,30b…が横並びに配置されることで構成されている。各液槽30a,30b…には、感光材料Pに対して現像処理、漂白処理、定着処理、安定処理を行うための現像処理液が貯留されている。即ち、各液槽30a,30b…には、上流側から順に現像液(CD)、漂白・定着液(BF)、安定液(STB)、洗浄液が貯留されている。主搬送系32は、現像処理液槽30(各液槽30a,30b…)の現像処理液(現像液、漂白・定着液、安定液、洗浄液)中で感光材料Pを搬送する液中搬送系32aと、各液槽30a,30b…から引き上げられた感光材料Pを下流側で隣接する液槽30b…内に導きつつ搬送する外部搬送系32bとで構成されており、各搬送系32a,32bのそれぞれは、複数のローラ対により構成されている。
【0023】
乾燥処理部4は、上流側の現像処理部3から送り込まれる感光材料Pを搬送する主搬送系40と、該主搬送系40で搬送される感光材料Pを乾燥させる乾燥装置41とを備えている。主搬送系40は、現像処理部3から送り込まれてきた感光材料Pの搬送経路を方向転換しつつ搬送し、該感光材料Pに対する乾燥処理に必要な距離(実際には、乾燥処理に必要な時間)を担保するようになっている。
【0024】
仕分部5は、排出口から排出される写真プリントを搬送するコンベア50と、該コンベア50で搬送されてくる写真プリントをオーダー毎に仕分ける仕分ユニット51とで構成されている。そして、該仕分ユニット51は、コンベア50で搬送されてくる写真プリントを受けるための複数のトレー51a,51b…と、該複数のトレー51a,51b…のうち、所定(空)のトレー51a,51b…をコンベア50から写真プリントを受け取り可能な位置に移動させるための駆動手段(図示しない)とで構成され、トレー51a,51b…の配置を適宜変更することで、写真プリントをオーダー毎にそれぞれのトレー51a,51b…に排出できるようになっている。
【0025】
本実施形態に係る写真処理装置の概略的な説明は以上の通りであり、次に、本実施形態における特徴的な事項について以下に説明する。
【0026】
第一〜第四のマガジン20a〜20dは、上述の如く、感光材料がロールの形態で収容されており、各種の幅サイズ、各種の面質、各メーカの感光材料が収容されるようになっている。感光材料は消耗品であり、感光材料を全て使い切ると、交換をする必要がある。そのため、何れも図示しないが、各マガジン20には、ICタグ(記録手段)が設けられる一方、露光処理部2には、各マガジン20に対応して、マガジン20の装着を検出するセンサ(マガジン装着検出手段)と、ICタグ用のリードライタ(読取・書込手段)とが設けられる。
【0027】
ICタグは、例えば、マガジン20の本体(筐体)に取り付けられるか、感光材料のロールのコア(巻芯)に取り付けられる。ICタグは、例えば、RFID(Radio Frequency IDentification)タグである。このRFIDタグは、ラベル型、カード型、コイン型、スティック型など様々な形状があり、電磁界や電波などを用いた近距離(周波数帯によって数cm〜数m)の無線通信によって、タグに記録された情報を外部(リードライタ)から読み取ったり、外部(リードライタ)からタグに情報を書き込むことができる。通信距離は、数mm程度のものから数m程度のものまで幅広く提供されているため、マガジン20の適宜の箇所に設けられるICタグと、写真処理装置1(露光処理部2)の適宜の箇所に設けられるリードライタとの間の距離に応じて、各種のタグが選択される。
【0028】
ICタグには、写真処理に関する各種の情報が記録されるようになっている。記録される情報としては、例えば、そのICタグが取り付けられるマガジン20に関する情報(例えば、マガジン20の個体識別番号、マガジン20の装着回数、マガジン20の使用時間、マガジン20の使用履歴)などが挙げられる。また、マガジン20に収容される感光材料に関する情報として、感光材料の種類に関する情報(例えば、銘柄(メーカ名)、幅サイズ、面質に関する情報)、感光材料の製造に関する情報(例えば、乳剤番号)、及び、感光材料の残量に関する情報(例えば、残量初期値(使用可能量)、使用量、使用量の履歴、現在の残量、残量の履歴、残量の有無(エンドコードの有無))などがICタグに記録される。
【0029】
図3は、上記した制御装置6と、上記した特徴的な事項との関係を示すブロック図である。演算処理装置63の共通バスライン64には、上記したマガジン装着検出用のセンサ65と、ICタグ用のリードライタ66とが接続される。従って、マガジン20が写真処理装置1に装着されると、センサ65がONとなり、制御部6は、マガジン20が装着されたことを認識することができ、また、マガジン20が写真処理装置1から外されると、センサ65がOFFとなって、制御部6は、マガジン20が取り外されたことを認識することができる。尚、本実施形態の如く、マガジン20を複数装着できる写真処理装置1にあっては、マガジン20が装着されているのか、取り外されているのかをマガジン取り付け箇所(ポート)毎に認識することができるようになっている。
【0030】
そして、マガジン20が装着された状態にあっては、マガジン20におけるICタグ20’がリードライタ66と近接することで、無線による双方向通信が可能となる。即ち、制御部6は、リードライタ66を介して、ICタグ20’に記録された情報を読み取ったり、ICタグ20’に情報を書き込むことができる。尚、読み取った情報あるいは書き込むべき情報は、RAM63bに保管される。また、ICタグ20’へ書き込まれる情報は、モニター60上に展開されるユーザインターフェイスを介して、キーボード61aやマウス61bといった入力手段61を用いて入力することができ、あるいは、ICタグ20’から読み取った情報は、モニター60上に展開されるユーザインターフェイスを介して、モニター60上に表示させることもできる。
【0031】
ところで、本実施形態に係る写真処理装置1では、露光ユニット(露光エンジン)の露光条件を設定するセットアップ処理を毎日の稼働前に行うようにしている。このセットアップ処理は、露光処理部2で感光材料Pに所定のパターン(露光ユニットの光源の調整に必要な色パターン等)を露光処理し、それを現像処理部3で現像処理して作製したテストプリントの発色状態を測色計で計測し、その計測結果に基づいて露光ユニットを適正な状態に設定することによって行われる。そのため、本実施形態に係る写真処理装置1は、感光材料Pの発色を測定する測色計67を備える。測色計67は、バスライン64を介して演算処理装置63に接続され、演算処理装置63が測色計67の測色結果に基づいて露光ユニットを調整するようになっている。また、測色計67が乾燥処理部4から仕分部5の排出口に至る間における感光材料Pの搬送経路上に配置されることで、露光、現像、乾燥処理を経た感光材料Pは、測色計67に自動供給され、その結果、セットアップ処理の自動化が可能となる。
【0032】
本実施形態に係る写真処理装置1は以上の構成からなり、次に、この写真処理装置1におけるマガジン20(に収容された感光材料P)の取り扱いについて説明する。
【0033】
図4は、制御部6がマガジン(に収容された感光材料)の取り扱いに関して実行する処理のフローチャートである。制御部6は、写真処理装置1にマガジン20が装着(セット)されたか否かをチェックする(S1)。マガジン20が写真処理装置1にセットされたことは、マガジン装着検出用のセンサ65がOFFからONに変化することをもって判断することができる。また、制御部6は、S1がNOの場合、オペレータによってマガジン20の切り替えの指示があったか否か、あるいは、現在使用しているマガジン20における感光材料を使い切ってしまったために写真処理装置1にセットされている別のマガジン20に切り替える必要があるか否かをチェックする(S2)。そして、S1がYESの場合であれば、写真処置装置1にセットされたマガジン20(取り替えられたマガジン20)が、S2がYESの場合であれば、切り替えられたマガジン20が、制御部6によってアクティブなものとして指定される(S3)。尚、S2がNOの場合、S1に戻ることで、制御部6は、常時、S1とS2のチェックを行うものである。
【0034】
次に、制御部6は、リードライタ66を介して、ICタグ20’に記録された情報のうち、感光材料の残量に関する情報、より具体的には、残量の有無(エンドコードの有無)を読み取る。エンドコードは、感光材料を使い切ってしまったことにより、後述するS11において、制御部6がリードライタ66を介してICタグ20’に書き込むコードであり、これが付されたICタグ20’を備えるマガジン20は、使用できる感光材料が入っていないということを意味する。しかしながら、感光材料を使い切ると、新たな感光材料のロールをマガジン20内にセットし、そのマガジン20を使用可能とする上で、オペレータがICタグ20’の内容を書き換える(更新あるいは変更する)ようにはしていないので、エンドコードが付されたICタグ20’を備えるマガジン20は、使用できる感光材料が入っていないもののみならず、新品の感光材料が入っているものも含み得る。そこで、制御部6は、エンドコードが付されたICタグ20’を備えるマガジン20が指定されたか否かをチェックし(S4)、これがYESの場合、そのマガジン20に入っている感光材料は新品であると判断して、感光材料の残量初期値を現在の残量値として(RAM63bに)セットし、また、ICタグ20’に記録されている残量値を初期化すべく、リードライタ66を介して、ICタグ20’にも記録する(S5)。一方、S4がNOの場合、制御部6は、そのマガジン20は、使用継続中のものであって、使用可能な感光材料がまだ中に入っていると判断して、そのため、リードライタ66を介して、ICタグ20’に記録された情報のうち、感光材料の残量に関する情報、より具体的には、現在の残量値を読み取り、これを(RAM63bに)セットする(S6)。
【0035】
次に、制御部6は、セットアップ判定処理を行う(S7)。セットアップ判定処理とは、マガジン20内の感光材料を全て使い切ることにより、別のマガジン20に取り替える、あるいは、写真処理装置1にセットされている別のマガジン20に切り替えるに当たり、それら別のマガジン20に収容されている感光材料が先に使用されていた感光材料と乳剤番号が異なっている場合に行う必要がある特性補正用セットアップ(乳剤番号変更セットアップ)を行うべきか否か、より簡単に言えば、S3にてマガジン20が指定されることで、先に使用されていた感光材料の乳剤番号とは異なる乳剤番号の感光材料が使用されることとなるか否かに関する判断処理である。これについては、後述する。
【0036】
セットアップ判定処理を終えると、写真処理装置1は本稼働が可能な状態となる。そこで、制御部6は、オペレータによって写真処理の指示があったか否かをチェックする(S8)。そして、これがYESの場合、制御部6は、写真処理を実行し、顧客から注文を受けた写真プリントを作製する(S9)。尚、S8がNOの場合、S8を循環することで、制御部6は、常時、S8のチェックを行うものである。
【0037】
また、本実施形態においては、制御部6は、写真処理を終えて稼働が停止した状態が所定時間以上経過したか否か、即ち、写真処理装置1が稼働していない状態が所定時間以上継続したか否かをチェックし(S10)、これがYESの場合、取り敢えず、マガジン20から写真処理装置1内に引き出された感光材料をマガジン20内に収容させるべく、マガジン20を逆駆動して、感光材料をマガジン20内に巻き取らせるようにする(S11)。また、この際、制御部6は、写真処理に供された感光材料の使用量を把握しているため、S5にてセットされた残量初期値、あるいは、S6にてセットされた現在の残量値(S9を経た今となっては、過去の残量値)から使用量を減算して、現在の残量値を演算することができる。そこで、制御部6は、この演算値をリードライタ66を介してICタグ20’に書き込み、感光材料の残量に関する情報を更新する(S11)。
【0038】
ところで、この時点(S11)で、マガジン20におけるICタグ20’の情報(感光材料の残量に関する情報)を更新するのは、この時点以降で且つ写真処理が指示されることなく、当該マガジン20が写真処理装置1から取り外される可能性があるからである。現在の残量値に更新されることなくマガジン20が取り外されると、実際の残量値を写真処理装置1(の制御部6)が把握し得ない事態が生じるからである。
【0039】
全体的な流れを説明したところで、次は、セットアップ判定処理を具体的に説明する。図5は、セットアップ判定処理のフローチャートである。まず、制御部6は、S1がYESの場合であれば、写真処置装置1にセットされたマガジン20(取り替えられたマガジン20)、S2がYESの場合であれば、切り替えられたマガジン20、が備えるICタグ20’から、リードライタ66を介して、感光材料の製造に関する情報、より具体的には、乳剤番号を読み取る(S70)。
【0040】
次に、制御部6は、読み取った乳剤番号をモニター60上に表示させるべく、モニター60を制御する(S71)。そこで、オペレータは、表示された乳剤番号が、実際に指定されたマガジン20における感光材料の乳剤番号と一致しているか否かを判断し、一致していれば、そのまま、一致していなければ、モニター60上に展開されるユーザインターフェイス及び入力手段61を用いて情報を変更する。これは、上述したとおり、感光材料を使い切ると、新たな感光材料のロールをマガジン20内にセットし、そのマガジン20を使用可能とする上で、オペレータがICタグ20’の内容を書き換える(更新あるいは変更する)ようにはしていないので、ICタグ20’に記録されている乳剤番号が新たな感光材料の乳剤番号と一致しているとは限らないからである。尚、実際に指定されたマガジン20における感光材料の乳剤番号をオペレータがわからない場合、即ち、今から使用しようとする感光材料の乳剤番号が不明な場合、乳剤番号の代わりに、乳剤番号として用いられることがあり得ない番号(例えば、マガジン20の個体識別番号)を入力すればよいことになっている。
【0041】
次に、制御部6は、変更がなければ、その乳剤番号を、また、変更があれば、その変更後の乳剤番号を確定させる(S72)。尚、この「確定された乳剤番号」は、本発明に係る「読み取った記録用紙の製造に関する情報」とみなす。次に、制御部6は、現在、RAM63bに保管されている乳剤番号(先に使用されていた感光材料の乳剤番号であり、これを「有効乳剤番号」という)と、S72にて確定させた乳剤番号とが一致するか否かをチェックする(S73)。S73がYESの場合は、先に使用されていた感光材料の乳剤番号と同じ乳剤番号の感光材料が使用されるということである。また、そうであれば、感光材料が持つ特性(発色特性)は変わらず、今まで使用してきたセットアップデータ(RAM63bに保管)をそのまま継続して使用することができるため、セットアップ処理は不要である。従って、その場合、制御部6は、S7のサブルーチンを終了し、S8に移行する。
【0042】
一方、S73がNOの場合は、先に使用されていた感光材料の乳剤番号とは異なる乳剤番号の感光材料が使用されるということである。従って、その場合は、感光材料の発色特性が変わるため、セットアップデータを取り直さなければならない。そこで、制御部6は、セットアップ処理を開始する(S74)。セットアップ処理は、〔発明が解決しようとする課題〕欄で説明したように、感光材料が持つ特性を平均化した値に基づいて基準セットアップデータを作成し、その基準セットアップデータに基づく露光条件でセットアップ用画像を感光材料に露光処理してテストプリントを作製し、このテストプリントの発色濃度を測色計で測定し、発色状態が適正でなければ、セットアップデータを調整して再度テストプリントを作製し、そして、テストプリントの発色状態が適正になるまでこの作業を繰り返し、最終的に適正なセットアップデータを求める。
【0043】
S73がNOの場合は、制御部6は、さらに、S72にて確定された乳剤番号を新規な有効乳剤番号として(RAM63bに)セットする(書き換える)と共に、この有効乳剤番号に紐付けられるセットアップデータとして、S74にて求められたセットアップデータを(RAM63bに)セットする(書き換える)(S75)。そして、最後に、制御部6は、S7のセットアップ判定処理のサブルーチンを終了し、S8に移行する。
【0044】
以上、本実施形態に係る写真処理装置によれば、乳剤番号が同じ感光材料が引き続き使用される場合は、セットアップ処理が省略されるので、マガジン20を取り替える、あるいは、切り替えるに当たり、時間のロスを極力抑えて生産性を向上させることができる。
【0045】
尚、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0046】
例えば、上記実施形態においては、マガジン20を写真処理装置1にセットしてから、写真処理装置1上でユーザインターフェイス及び入力手段を用いてICタグ20’の情報(具体的には、乳剤番号)を書き換えるようにしているが、マガジン20が写真処理装置1にセットされる前に、事前にICタグ20’の情報を変更するようにしてもよい。その場合、ステップS71及びこれに伴う上記したオペレータの判断処理を省略することができる。
【0047】
また、上記実施形態においては、読み取った乳剤番号が適正なものであるかどうかをオペレータが判断する機会を与える趣旨で、読み取った乳剤番号をモニター60上に表示させるようにしているが、この場合、有効乳剤番号も合わせて表示するようにしてもよい。このとき、表示された乳剤番号を有効乳剤番号に変更する場合、有効乳剤番号を選択候補として入力の容易化を図ることができる。
【0048】
また、上記実施形態においては、確定させた乳剤番号と有効乳剤番号とが一致しない場合、ただちにセットアップ処理を開始するようにしているが、セットアップ処理を開始する前に、セットアップ処理を実施するか否かの確認メッセージをモニター60上に表示させるようにし、オペレータが実行の指示を与えた場合にのみ、セットアップ処理を開始するようにしてもよい。
【0049】
また、上記実施形態においては、確定させた乳剤番号と有効乳剤番号とが一致しない場合、セットアップ処理を実行するようにしているが、不一致である旨のメッセージをモニター60上に表示させ、オペレータに何らかの判断(例えば、乳剤番号が一致する感光材料が納められたマガジン20に取り替える等)を仰がすようにしてもよい。
【0050】
また、上記実施形態においては、現在使用しているマガジン20における感光材料を使い切ると、制御部6は、写真処理装置1にセットされている別のマガジン20に切り替える処理を行うようにしているが、本実施形態であれば、残りの3つのマガジン20,…のどれを選択するかの基準として、それらのICタグ20’,…から乳剤番号を予め読み取り、そのうちで同じ乳剤番号が記録されたICタグ20’を有するマガジン20を選択するようにすれば、セットアップ処理が入る機会が減るため、時間のロスをさらに無くすことができる。但し、この場合、ICタグ20’にエンドコードが付されているマガジン20は選択対象から除外するのが好ましい。このようなマガジン20は、上述の如く、ICタグ20’に記録された乳剤番号と実際に収容されている感光材料の乳剤番号とが異なることがあり、その場合はセットアップ処理を行う必要があるからである。
【0051】
また、上記実施形態においては、マガジン20が取り替えられた、あるいは、切り替えられた後に、セットアップ処理を行うようにしているが、装置本体に複数のマガジン20が装着される写真処理装置においては、次に使用するマガジン20を例えば上記した要領で予め選択した上で、そのマガジン20がセットアップ処理をすべきものであれば、そのセットアップ処理を現在行っている写真処理に割り込ませて行うようにしてもよい。例えば、本実施形態に係る写真処理装置は、感光材料の残量を管理しているので、残量が所定量以下となれば、次に使用するマガジン20を選択し、そのマガジン20がセットアップ処理をすべきものかを判断し、そうであれば、使用しているマガジン20に基づく写真処理を寸断し、その間に次に使用するマガジンに基づいてテストプリントを作製し、これに基づいてセットアップデータを作成し、また、元のマガジン20に戻して写真処理を再開する、といった具合でセットアップ処理を現在行っている写真処理に割り込ませる方法が考えられる。このようにすれば、現在使用しているマガジン20に基づく写真処理を終えた後、次に使用するマガジン20に基づく写真処理を即座に開始することができる。
【0052】
また、上記実施形態においては、マガジン20が装着されているか否かを検出するマガジン装着検出手段として、露光処理部2にセンサ65を設けるようにしているが、マガジン装着検出手段としては、露光処理部2側に設けられたリードライタ66とマガジン20側に設けられたICタグ20’との組み合わせであってもよい。具体的に言えば、リードライタ66は、マガジン20が装置本体に装着されると、ICタグ20’を検出し、これにより、ICタグ20’との無線通信が可能な状態(ステータス)となるが、この状態をもって、マガジン20が装置本体に装着されたと判断するようにしてもよい。
【0053】
また、上記実施形態においては、感光材料に露光・現像処理を施して画像を形成する写真処理装置を一例にして説明したが、これに限定されるものではなく、インクやトナーを用いて記録用紙に画像を形成する印刷機、プリンタ、コピー機などの画像形成装置であってもよい。
【0054】
また、上記実施形態においては、ロール状に巻回してマガジン20内に収容される連続紙を記録用紙として用いたが、予め所定のサイズにカットされた状態でマガジンに収容される枚葉紙であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本実施形態に係る写真処理装置の外観斜視図である。
【図2】同写真処理装置の概略構成図である。
【図3】同写真処理装置における制御装置とその周辺装置との関係を示すブロック図である。
【図4】同写真処理装置における制御装置がマガジン(に収容された感光材料)の取り扱いに関して実行する処理のフローチャートである。
【図5】図4におけるS7のセットアップ判定処理のフローチャートである。
【符号の説明】
【0056】
1…写真処理装置(装置本体)、10…主筐体、11…副筐体、2…露光処理部、20…マガジン(20a〜20d…第一〜第四のマガジン)、20’…ICタグ(記録手段)、21…切断装置、22…露光ユニット、23…主搬送系、3…現像処理部、30…現像処理液槽(30a,30b…液槽)、32…主搬送系(32a…液中搬送系,32b…外部搬送系)、4…乾燥処理部、40…主搬送系、41…乾燥装置、5…仕分部、50…コンベア、51…仕分ユニット、6…制御装置(制御部)、60…モニター、61…入力手段、62…読取手段、63…演算処理装置(演算処理部)、64…バスライン、65…センサ(マガジン装着検出手段)、66…リードライタ(読取・書込手段)、67…測色計(測色手段)、A…露光ポイント、P…感光材料

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録用紙を収容するマガジンを着脱自在に装着し、該マガジンから供給される記録用紙に対し、該記録用紙の製造に関する情報に紐付けられるセットアップデータを用いて画像形成処理を施す画像形成装置において、
マガジンには、記録用紙の製造に関する情報を記録するための記録手段が設けられ、
装置本体には、セットアップデータを記憶しておくための記憶手段と、マガジンが別のものに取り替えられる、あるいは、装置本体に複数のマガジンを装着可能であれば、切り替えられることに伴い、取り替えられる、あるいは、切り替えられるマガジンの記録手段から記録用紙の製造に関する情報を読み取るための読取手段と、該読み取った記録用紙の製造に関する情報と記憶手段に記憶されているセットアップデータに紐付けられる記録用紙の製造に関する情報とを比較して両者が一致するか否かを判定する判定手段とを備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
判定手段による判定結果が不一致である場合、取り替えられる、あるいは、切り替えられるマガジンに基づく画像形成処理に先立ち、セットアップ処理を実行する請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
記録手段には、記録用紙の残量に関する情報が記録され、装置本体は、読取手段によって記録手段から読み取った記録用紙の残量に関する情報と画像形成処理で用いられた記録用紙の使用量に関する情報とに基づいて記録用紙の現在の残量を求め、求めた記録用紙の現在の残量に関する情報を適宜のタイミングで記録手段に書き込むよう構成される請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
写真処理装置であり、記録用紙は感光材料であり、記録用紙の製造に関する情報は乳剤番号である請求項1〜3の何れか1項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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