説明

画像形成装置

【課題】記録媒体を曲げずに搬送すると共に、給排紙方向の装置寸法を小さくできる画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置10では、画像形成装置本体12の片側に給紙部16、及び排紙部18を配置し、給紙部16から供給した記録媒体20を画像形成装置本体12の内部で矢印R方向、矢印B方向、矢印L方向へと水平に搬送して排紙部18へ排紙している。したがって、給紙部、像形成装置本体、及び給紙部を一方向に配列した従来の画像形成装置に比較して、排紙部記録媒体の給排紙方向の装置寸法を短くすることができ、厚紙や封筒等の剛性(腰)の高い記録媒体20に画像を形成する場合であっても、記録媒体20にシワ、折れ、曲り等を発生することがなく、これらに起因するジャム等の搬送不良の発生も抑えられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録媒体に画像を記録する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ホーム、オフィス用の複写機やインクジェットプリンタ等の画像形成装置では、給紙トレイから印刷シートを供給する方式が一般的である。
このような画像形成装置では、設置面積を小さくするために、給紙トレイから印刷シートを送り出すための給紙用搬送路と、印刷用の搬送路とを、曲率を持った搬送路で接続することで、搬送手段を小型化している。
そして、搬送路の曲率は、通常のカット紙が問題なく通紙できる程度に比較的小さく設定されている。
【0003】
ここで、このような画像形成装置を用いて、厚紙や封筒等の剛性(腰)の高い印刷シートに印刷を行う場合、前述の曲率を有する搬送路を印刷シートが通過する際に、シワ、折れ、曲りが生じたり、斜めに搬送されて印刷位置がずれてしまう、ジャムが発生する等の問題が発生する。
【0004】
そこで、以下の文献のような方法で搬送路の曲率をできるだけ大きくすることで、剛性のあるシートを搬送し易くする手段が提案されているが、上記の問題を完全に解決するには至っていない(例えば、特許文献1、2参照)。即ち、ある程度の厚手の用紙には対応し易くなるものの、極端に厚い用紙や、中身の入った封筒等、剛性の極めて高いシートには対応できない。また、搬送路に曲率があるため、印刷物の曲り変形を防止することができない。さらに、厚紙、封筒用の給紙トレイ、及び搬送路が別途必要になるため、装置サイズの増大およびコストアップの原因になる。
【0005】
また、プリンタ本体の両側に給紙トレイと排紙トレイを設け、給紙トレイから給紙して、プリンタ本体内を水平搬送させて印刷を行った後、対面側にある排紙トレイに排出するプリンタもあるが(例えば、特許文献3参照)、この場合、給紙トレイ、プリンタ本体、及び排紙トレイが、一方向、即ち用紙の給排紙方向(例えば、装置正面に向かって横方向)に直列に配置されることになり、用紙の給排紙方向に長い設置スペースを必要とする問題がある。
【0006】
【特許文献1】特開2005−159817号公報
【特許文献2】特開平10−129883号公報
【特許文献3】特開2002−182493号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記事実を考慮し、記録媒体を曲げずに搬送すると共に、給排紙方向の装置寸法を小さくできる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の画像形成装置は、画像形成装置本体と、前記画像形成装置本体の第1の方向の側部に設けられ、記録媒体を前記画像形成装置本体内部へ供給する給紙部と、前記画像形成装置本体に設けられ、前記給紙部より供給された前記記録媒体を前記第1の方向、及び前記第1の方向と反対方向に直線状に搬送する第1の搬送手段と、前記画像形成装置本体に設けられ、前記第1の方向及び前記第1の方向と反対方向に対して交差する第2の方向へ向けて前記記録媒体を直線状に搬送する第2の搬送手段と、前記記録媒体に画像を形成する画像形成手段と、前記画像形成装置本体の第1の方向の側部で、かつ前記給紙部の前記第2の方向側に設けられ、前記画像形成装置本体から排出された画像形成後の前記記録媒体を受け取る排紙部と、を有する。
【0009】
次に、請求項1に記載の画像形成装置の作用を説明する。
画像形成前の記録媒体は、給紙部によって画像形成装置本体の内部へ供給される。
画像形成装置本体の内部に供給された記録媒体は、第1の搬送手段によって第1の方向とは反対方向に直線状に搬送される。
【0010】
第1の方向とは反対方向に搬送された記録媒体は、第2の搬送手段によって第1の方向と交差する第2の方向に直線状に搬送される。そして、第2の方向に搬送された記録媒体は、第1の搬送手段によって第1の方向へ直線状に搬送され、排紙部に排出される。
【0011】
なお、画像形成手段は、記録媒体が画像形成装置本体の内部にある間に、記録媒体に画像を形成する。なお、画像形成手段による画像の形成は、記録媒体を搬送しながらでも良く、記録媒体の搬送を一時的に停止した状態で行っても良く、画像形成手段の方式によって画像形成タイミングは異なる。
【0012】
この画像形成装置では、記録媒体を直線状に搬送するので、例えば、厚紙や封筒等の剛性(腰)の高い記録媒体に画像を形成する場合であっても、記録媒体にシワ、折れ、曲り等を発生することがなく、これらに起因するジャム等の搬送不良の発生も抑えられる。
【0013】
また、この画像形成装置では、記録媒体を画像形成装置本体の内部でUターンさせており、画像形成装置本体の片側に給紙部、及び排紙部を配置しているので、給紙部、像形成装置本体、及び給紙部を一方向に配列した従来の画像形成装置に比較して、排紙部記録媒体の給排紙方向の装置寸法を短くすることができる。
【0014】
また、この画像形成装置では、画像形成装置本体の片側に給紙部、及び排紙部が配置されているが、給紙部と排紙部とは給排紙方向とは交差する方向に並列して、記録媒体が給紙した位置とは異なる位置に排紙されるので、排出された記録媒体の有無に関係なく、複数枚の記録媒体に対して連続して画像の形成を行うことができる。
【0015】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の画像形成装置において、前記第1の搬送手段に連結され、前記第2の搬送手段で前記記録媒体を搬送する際に前記第1の搬送手段を前記記録媒体から離間させ、前記記録媒体を前記第1の方向及び前記第1の方向とは反対方向に搬送する際に前記第1の搬送手段を前記記録媒体に接触させる第1の接離駆動手段と、前記第2の搬送手段に連結され、前記第1の搬送手段で前記記録媒体を搬送する際に前記第2の搬送手段を前記記録媒体から離間させ、前記記録媒体を前記第2の方向に搬送する際に前記第2の搬送手段を前記記録媒体に接触させる第2の接離駆動手段と、を有する。
【0016】
次に、請求項2に記載の画像形成装置の作用を説明する。
請求項2の画像形成装置では、第2の搬送手段で記録媒体を搬送する際には、第1の接離駆動手段が第1の搬送手段を記録媒体から離間させ、記録媒体を第1の方向及び第1の方向とは反対方向に搬送する際には記録媒体に接触して記録媒体の搬送を行う。即ち、第2の搬送手段で記録媒体を搬送する際には、記録媒体に第1の搬送手段に接触させずに第2の搬送手段で第2の方向に確実に搬送することができる。
【0017】
第1の搬送手段で記録媒体を搬送する際には、第2の接離駆動手段が第2の搬送手段を記録媒体から離間させ、記録媒体を第2の方向に搬送する際には記録媒体に接触して記録媒体の搬送を行う。即ち、第1の搬送手段で記録媒体を搬送する際には、記録媒体に第2の搬送手段に接触させずに第1の搬送手段で第1の方向、及び第1の方向とは反対方向に確実に搬送することができる。
【0018】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の画像形成装置において、前記第2の搬送手段は、前記画像形成手段を前記第2の方向及び前記第2の方向とは反対方向に移動する移動手段と、前記画像形成手段に設けられ前記記録媒体を押す押部材と、押部材を前記記録媒体の搬送経路と接離する方向に移動する押部材駆動手段と、を備え、前記画像形成手段は、前記移動手段で前記第2の方向、及び前記第2の方向とは反対方向に移動する際に前記記録媒体に画像を形成し、前記記録媒体は、前記押部材を前記搬送経路に向けて突出させた状態の前記画像形成手段が前記第2の方向に向けて移動することで、前記第2の方向に搬送される。
【0019】
次に、請求項3に記載の画像形成装置の作用を説明する。
請求項3に記載の画像形成装置では、画像形成手段を第2の方向、及び第2の方向とは反対方向に移動することで記録媒体に画像を形成する。
【0020】
また、記録媒体を第2の方向へ搬送する際には、記録媒体と離間した位置において駆動手段で押部材を搬送経路に向けて突出させ、押部材を突出させた画像形成手段を移動手段で第2の方向へ移動する。これにより、押部材が記録媒体の端部に当接し、記録媒体は押部材で押されて第2の方向へ搬送される。
【0021】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の画像形成装置において、前記給紙部は、積層した前記記録媒体を一枚づつ前記画像形成装置本体内部へ供給する。
次に、請求項4に記載の画像形成装置の作用を説明する。
請求項4に記載の画像形成装置では、給紙部は、積層した記録媒体を一枚づつ画像形成装置本体内部へ供給する。これにより、作業者が1枚づつ記録媒体を供給する必要が無い。
【0022】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜請求項4の何れか1項に記載の画像形成装置において、前記画像形成手段は、液滴を吐出して画像の形成を行う液滴吐出装置である。
【0023】
次に、請求項5に記載の画像形成装置の作用を説明する。
請求項4に記載の画像形成装置では、液滴吐出装置が液滴を吐出して記録媒体に画像を形成する。
【発明の効果】
【0024】
本発明の画像形成装置は上記の構成としたので、記録媒体を曲げずに搬送すると共に、給排紙方向の装置寸法を小さくすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
[第1の実施形態]
以下に、図1〜5にしたがって、本発明の第1の実施形態に係る画像形成装置10について説明する。
(画像形成装置の全体構成)
図1に示すように、画像形成装置10は、箱状の画像形成装置本体12を備えており、矢印L方向側(装置左側)の側部には、矢印F方向側(本実施形態では装置正面側)に給紙部16が、矢印B方向側(本実施形態では装置奥側)には排紙部18が設けられている。なお、本実施形態の画像形成装置10では、画像形成装置本体12の矢印F方向側に、各種操作を行う操作スイッチ62(後述する。図10参照。)を備えた操作パネル(図示省略)が設けられている。
【0026】
本実施形態の給紙部16は、例えば、中身の入った封筒等の記録媒体20を積層し、1枚づつ給紙を行う一般的な構成のものであり、上部の開放されたボックス部22、ボックス部22の内部に配置される記録媒体搭載プレート24、記録媒体搭載プレート24を上方に付勢するスプリング26、上部の記録媒体20に接触して上部の記録媒体20を画像形成装置装置本体内部へ送り出す断面略半月状の送りローラ28、送りローラ28を回転させるモータ28A(図1では図示省略。図10参照)等から構成されている。なお、給紙部16の構成は、本実施形態の構成に限らず、1枚づつ給紙できれば他の方式のものであっても良い。
なお、排紙部18は、上部の開放されたボックスである。
【0027】
次に、画像形成装置本体12の内部構成を説明する。
画像形成装置本体12の内部には、記録媒体20を搬送する水平搬送装置30、直交搬送装置32、記録装置58が設けられている。
【0028】
(水平搬送装置)
水平搬送装置30は、画像形成装置本体12の矢印L方向側に、矢印F方向、及び矢印B方向を軸方向として水平に配置された給排紙ローラ35を備えており、給排紙ローラ35の矢印R方向側には、給排紙ローラ35と平行に、2本の下側水平搬送ローラ34が間隔をあけて配置されている。
下側水平搬送ローラ34は、軸受け36に支持されている。画像形成装置本体12の底板12Aには、第1のソレノイド38が配置されており、下側水平搬送ローラ34を支持した軸受け36は、第1のソレノイド38によって上下方向に移動されるようになっている。
【0029】
また、記録媒体20の搬送経路上側に、水平に配置された上側水平搬送ローラ40が、下側水平搬送ローラ34の上方に平行に配置されている。これらの上側水平搬送ローラ40は、軸受け42に支持されている。画像形成装置本体12の天板12Bには、第2のソレノイド44が配置されており、上側水平搬送ローラ40を支持した軸受け42は、第2のソレノイド44によって上下方向に移動されるようになっている。
【0030】
なお、本実施形態では、給排紙ローラ35がモータ35A(図1では図示省略。図10参照)で回転され、下側水平搬送ローラ34がモータ34A(図1では図示省略。図10参照)で回転されるようになっており、上側水平搬送ローラ40は従動ローラとなっているが、上側水平搬送ローラ40をモータで回転し、下側水平搬送ローラ34を従動ローラとしても良く、下側水平搬送ローラ34と上側水平搬送ローラ40を各々モータで回転しても良い。
【0031】
(直交搬送装置)
直交搬送装置32は、いわゆるベルトコンベアであり、矢印R方向及び矢印L方向を軸方向として水平に配置された1対の軸46を備え、各々の軸46には図示しないスプロケットが間隔をあけて4個取り付けられており、一方の軸46のスプロケットと他方の軸46のスプロケットに無端ベルト48が巻きかけられている。なお、一方の軸46がモータ46A(図1では図示省略。図10参照)で回転されるようになっている。
【0032】
この1対の軸46は、軸受け50に支持されており、軸46を支持した軸受け50は、画像形成装置本体12の底板12Aに取り付けられた第3のソレノイド52によって上下方向に移動されるようになっている。
【0033】
なお、一方の下側水平搬送ローラ34と他方の下側水平搬送ローラ34との間には、記録媒体20の下面を支持する平板状のプラテン54が水平に配置されている。
【0034】
(記録装置)
本実施形態の記録装置58は、一般的なインクジェット方式の記録装置であり、インクの液滴を下方に向けて吐出する記録ヘッド58Aを搭載したキャリッジ58Bを、記録媒体搬送経路の上方に備えている。記録ヘッド58Aからインクの液滴を吐出させる方式として、圧電素子を用いた方式のもの、ヒータ等の発熱体によりインク液を加熱して気泡を発生させ、その圧力でインク液を飛ばすサーマルジェット方式等があるが、その他の方式のものであっても良い。
【0035】
キャリッジ58Bは、矢印F方向及び矢印B方向を軸方向としたガイドレール(図示省略:本発明の移動手段)にスライド自在に支持され、モータ(図1では図示省略。図10参照。本発明の移動手段)で駆動されるキャリッジベルト(図示省略:本発明の移動手段)に連結されて矢印F方向及び矢印B方向に移動されるようになっている。
なお、図10に示すように、送りローラ28を回転させるモータ28A、水平搬送装置30の第1のソレノイド38、及び第2のソレノイド44、給排紙ローラ35を回転させるモータ35A、下側水平搬送ローラ34を回転させるモータ34A、直交搬送装置32のベルト駆動用のモータ46A、記録ヘッド58A等は、これらを制御する制御装置60に接続されている。また、制御装置60には、各種の操作スイッチ62が接続されている。
なお、制御装置60には、CPU、制御プログラムが記憶された記憶装置等が含まれている。
【0036】
(作用)
例えば、封筒等の複数枚の記録媒体20に印刷を行うには、先ず、封筒等の複数枚の記録媒体20を記録媒体搭載プレート24に搭載する。記録媒体搭載プレート24はスプリングによって上方に付勢されるので、一番上の記録媒体20に送りローラ28が接触することになる(図1(B)参照)。
【0037】
印刷指示用の操作スイッチ62が操作されて制御装置60に印刷指示が入力されると、制御装置60は送りローラ28を回転させ、一番上の記録媒体20を矢印R方向へ搬送する。これと共に、制御装置60は給排紙ローラ35、及び下側水平搬送ローラ34を回転させ、装置内にて、記録媒体20を曲げないように、矢印R方向に水平、かつ直線状に一定速度で搬送する。
【0038】
なお、記録媒体20を矢印R方向に搬送する際には、記録媒体20を上側水平搬送ローラ40と下側水平搬送ローラ34とで上下方向から挟持するように、制御装置60は、下側水平搬送ローラ34を上方に、上側水平搬送ローラ40を下方に移動させると共に、無端ベルト48が記録媒体20の下面に接触しないように、無端ベルト48を下方に退避させる(図2(B)参照)。
【0039】
本実施形態の画像形成装置10では、制御装置60が、記録媒体20を矢印R方向に搬送(副走査)しながら記録ヘッド58Aを矢印F方向、及び矢印B方向に往復に移動(主走査)させ、インク液を記録媒体20の上面に吐出させることで記録媒体20の上面に画像を形成する。
【0040】
記録媒体20への画像形成が終了すると、制御装置60は、給排紙ローラ35、下側水平搬送ローラ34の回転を停止し、直交搬送装置32を上昇させて無端ベルト48で記録媒体20を下側から支持させ、次に、下側水平搬送ローラ34を記録媒体20(搬送経路)から離間するように下方に退避させると共に、上側水平搬送ローラ40を上方に退避させる。次に、制御装置60は、無端ベルト48を駆動させ、記録媒体20を矢印B方向に所定距離搬送し、無端ベルト48の駆動を停止する(図3(B)参照)。
【0041】
制御装置60は、無端ベルト48の駆動を停止した後、下側水平搬送ローラ34を上昇させ、上側水平搬送ローラ40を下降させて記録媒体20を下側水平搬送ローラ34と上側水平搬送ローラ40とで挟持し、直交搬送装置32を下降させて退避させ記録媒体20から無端ベルト48が離間させる。その後、下側水平搬送ローラ34、及び給排紙ローラ35を回転させて記録媒体20を矢印L方向に搬送させ、画像の形成された記録媒体20を画像形成装置本体12から排紙部18へ排出させる。
【0042】
本実施形態の画像形成装置10では、装置内部で記録媒体20を曲げずに直線状に搬送できるので、例えば、記録媒体20の高い剛性を有している場合であっても、記録媒体20にシワ、折れ、曲り等を生じさせることがなく、これらに起因するジャム等の搬送不良の発生も抑えられる。
【0043】
図5に示すように、本実施形態の画像形成装置10では、記録媒体20を装置内部でUターンさせており、画像形成装置本体12の矢印L方向側の側部に給紙部16、及び排紙部18を並列させているので、給紙部、像形成装置本体、及び給紙部を一方向に配列した従来の画像形成装置に比較して、記録媒体20の給排紙方向(矢印R方向、及び矢印L方向とは反対方向の)の装置寸法を短くすることができ、幅の狭い設置スペースに画像形成装置10を配置することができる。
また、本実施形態の画像形成装置10では、装置の片側で記録媒体20の装填、取り出しを行えるので、操作性が良い。
【0044】
[第2の実施形態]
以下に、図6〜9にしたがって、本発明の第2の実施形態に係る画像形成装置10について説明する。なお、第1の実施形態と同一構成には同一符号を付し、その説明は省略する。
図6に示すように、本実施形態の画像形成装置10では、キャリッジ58Bの端部に、上下方向に移動するシャフト56Aを備えたソレノイド56が取り付けられている。
【0045】
このシャフト56Aは、下方に移動すると記録媒体20の搬送経路に干渉し、上方に移動すると記録媒体20と接触することが無いように記録媒体20の搬送経路から十分に離間するようになっている。
【0046】
なお、本実施形態では、プラテン54が3箇所に設けられており、第1の実施形態で設けられていた直交搬送装置32が取り除かれている。
【0047】
(作用)
本実施形態も第1の実施形態と同様に、封筒等の複数枚の記録媒体20を記録媒体搭載プレート24に搭載する(図6参照)。
【0048】
印刷指示が入力されると、送りローラ28が回転して一番上の記録媒体20を矢印R方向へ搬送する。これに伴って、給排紙ローラ35、及び下側水平搬送ローラ34が回転され、装置内にて、記録媒体20を曲げないように、矢印R方向に水平、かつ直線状に一定速度で搬送する。
【0049】
記録媒体20は、第1の実施形態と同様に、上側水平搬送ローラ40と下側水平搬送ローラ34とで上下方向から挟持して搬送する。本実施形態では、記録媒体20を矢印R方向に搬送する際に、ソレノイド56のシャフト56Aが記録媒体20に接触しないように、シャフト56Aは上方に退避させておく。
【0050】
本実施形態においても、第1の実施形態と同様に、記録媒体20を矢印R方向に搬送(副走査)しながら記録ヘッド58Aを矢印F方向、及び矢印B方向に往復に移動(主走査)させ、インク液を記録媒体20の上面に吐出することで記録媒体20の上面に画像を形成することができる(図7参照)。
【0051】
記録媒体20への画像形成が終了すると、給排紙ローラ35、及び下側水平搬送ローラ34の回転が停止し、記録媒体20はプラテン54、及び下側水平搬送ローラ34の上に支持される。
【0052】
その後、キャリッジ58Bを矢印F方向側に移動し、記録媒体20に当たらない位置でシャフト56Aが下降し、シャフト56Aが下降した状態でキャリッジ58Bが矢印B方向に所定距離移動する。これにより、記録媒体20の端部にシャフト56Aが当接し、記録媒体20はシャフト56Aに押されてプラテン上を矢印B方向に搬送される(図8参照)。
【0053】
キャリッジ58Bが矢印B方向に所定距離移動して停止すると、その後、シャフト56Aが上昇して搬送経路から退避し、キャリッジ58Bが矢印F方向に移動して停止する。その後、上側水平搬送ローラ40が下降して記録媒体20を下側水平搬送ローラ34と上側水平搬送ローラ40とで挟持し、下側水平搬送ローラ34、及び給排紙ローラ35が回転して記録媒体20を矢印L方向に搬送し、画像の形成された記録媒体20が画像形成装置本体12から排紙部18へ排出される(図9参照)。
【0054】
本実施形態の画像形成装置10では、キャリッジ58Bにソレノイド56を取り付けて、キャリッジ58Bの移動を利用して記録媒体20の矢印B方向の搬送を行っているので、第1の実施形態で用いた直交搬送装置32が必要なく、搬送装置の構成が簡単になる。
なお、その他の作用効果は、第1の実施形態と同様である。
【0055】
[その他の実施形態]
上記実施形態では、上側水平搬送ローラ40、下側水平搬送ローラ34、直交搬送装置32の上下方向の移動にソレノイドを用いたが、本発明はこれに限らず、上下に移動できるのであれば良く、エアシリンダ、モータ駆動機構等の他のアクチュエータを用いても良い。
【0056】
上記実施形態では、記録媒体20の矢印L方向及び矢印R方向の搬送にローラを用い、矢印B方向の搬送にベルトを用いたが、矢印L方向及び矢印R方向の搬送にベルトを用い、矢印B方向の搬送にローラを用いても良く、記録媒体20を曲げずに直線状に搬送できればローラ、ベルト以外の他の搬送手段を用いても良い。
【0057】
上記実施形態の画像形成装置10では、画像形成装置本体12の矢印L方向側からのみ給紙を行う構成であったが、矢印R方向側の側部に記録媒体20を挿入するための開口、及び給紙ローラを設けることで、矢印R方向側から記録媒体20を装置内部へ挿入し、矢印L方向へ記録媒体20を搬送しながら画像形成を行い、画像形成を終了した記録媒体20を矢印L方向へ排出することも可能である。
【0058】
また、上記実施形態では、画像形成装置本体12の矢印F方向側が装置正面となっていたが、本発明はこれに限らず、例えば、矢印L方向側の側面等、他の側面が装置正面となっていても良い。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】(A)は第1の実施形態に係る画像形成装置の構成を示す平面図であり、(B)は画像形成装置を正面側から見た断面図である。
【図2】(A)は第1の実施形態に係る画像形成装置の構成を示す平面図であり、(B)は画像形成装置を正面側から見た断面図である。
【図3】(A)は第1の実施形態に係る画像形成装置の構成を示す平面図であり、(B)は画像形成装置を正面側から見た断面図である。
【図4】(A)は第1の実施形態に係る画像形成装置の構成を示す平面図であり、(B)は画像形成装置を正面側から見た断面図である。
【図5】記録媒体の搬送経路を構成を示す画像形成装置の概略を示す斜視図である。
【図6】(A)は第2の実施形態に係る画像形成装置の構成を示す平面図であり、(B)は画像形成装置を正面側から見た断面図である。
【図7】(A)は第2の実施形態に係る画像形成装置の構成を示す平面図であり、(B)は画像形成装置を正面側から見た断面図である。
【図8】(A)は第2の実施形態に係る画像形成装置の構成を示す平面図であり、(B)は画像形成装置を正面側から見た断面図である。
【図9】(A)は第2の実施形態に係る画像形成装置の構成を示す平面図であり、(B)は画像形成装置を正面側から見た断面図である。
【図10】制御系のブロック図である。
【符号の説明】
【0060】
10 画像形成装置
12 画像形成装置本体
16 給紙部
18 排紙部
20 記録媒体
30 水平搬送装置(第1の搬送手段)
32 直交搬送装置(第2の搬送手段)
38 第1のソレノイド(第1の接離駆動手段)
44 第2のソレノイド(第1の接離駆動手段)
52 第3のソレノイド(第2の接離駆動手段)
58 記録装置(画像形成手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置本体と、
前記画像形成装置本体の第1の方向の側部に設けられ、記録媒体を前記画像形成装置本体内部へ供給する給紙部と、
前記画像形成装置本体に設けられ、前記給紙部より供給された前記記録媒体を前記第1の方向、及び前記第1の方向と反対方向に直線状に搬送する第1の搬送手段と、
前記画像形成装置本体に設けられ、前記第1の方向及び前記第1の方向と反対方向に対して交差する第2の方向へ向けて前記記録媒体を直線状に搬送する第2の搬送手段と、
前記記録媒体に画像を形成する画像形成手段と、
前記画像形成装置本体の第1の方向の側部で、かつ前記給紙部の前記第2の方向側に設けられ、前記画像形成装置本体から排出された画像形成後の前記記録媒体を受け取る排紙部と、
を有する画像形成装置。
【請求項2】
前記第1の搬送手段に連結され、前記第2の搬送手段で前記記録媒体を搬送する際に前記第1の搬送手段を前記記録媒体から離間させ、前記記録媒体を前記第1の方向及び前記第1の方向とは反対方向に搬送する際に前記第1の搬送手段を前記記録媒体に接触させる第1の接離駆動手段と、
前記第2の搬送手段に連結され、前記第1の搬送手段で前記記録媒体を搬送する際に前記第2の搬送手段を前記記録媒体から離間させ、前記記録媒体を前記第2の方向に搬送する際に前記第2の搬送手段を前記記録媒体に接触させる第2の接離駆動手段と、
を有する請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記第2の搬送手段は、前記画像形成手段を前記第2の方向及び前記第2の方向とは反対方向に移動する移動手段と、前記画像形成手段に設けられ前記記録媒体を押す押部材と、押部材を前記記録媒体の搬送経路と接離する方向に移動する押部材駆動手段と、を備え、
前記画像形成手段は、前記移動手段で前記第2の方向、及び前記第2の方向とは反対方向に移動する際に前記記録媒体に画像を形成し、
前記記録媒体は、前記押部材を前記搬送経路に向けて突出させた状態の前記画像形成手段が前記第2の方向に向けて移動することで、前記第2の方向に搬送される、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記給紙部は、積層した前記記録媒体を一枚づつ前記画像形成装置本体内部へ供給する、請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記画像形成手段は、液滴を吐出して画像の形成を行う液滴吐出装置である、請求項1〜請求項4の何れか1項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−82814(P2010−82814A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−251178(P2008−251178)
【出願日】平成20年9月29日(2008.9.29)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】