説明

画像形成装置

【課題】 本発明は上記問題を解決するために、収納部材に収納されているマニュアルなどの冊子を、簡易な構成で容易に取り出すことができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【解決手段】 本発明の取手部は、前記収納部材に収納された冊子を取り出す際に、前記冊子内側への指の差し入れを容易化する冊子取出し補助手段を備えていることから、凹状の取手部と冊子の間に容易に指を差し入れることができるので収納されたマニュアルなどの冊子を容易に収納部材から取り出すことがきる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外装部材に操作マニュアル等の冊子を収納するための収納部材を備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機等の画像形成装置には、操作時の利便性などを考慮して、操作マニュアルなどの冊子を収納するための収納部材が外装部材側面に設けられているものがある。この冊子を収納するための収納部材は、厚みの薄い操作マニュアル等を収納するために設けられることから一般的に収納容量は小さく設計されている。そのため冊子と画像形成装置の側面との隙間が小さく、冊子の内側に指を入れることが難しいものとなり、冊子を取出しにくいという問題が発生していた。
【0003】
画像形成装置に備えられている用紙積載部等の用紙の取出し方法に関しては、多くの発明がなされている。例えば、特許文献1は、画像形成後の用紙を画像形成装置内の後部で略直立した状態で積載する用紙積載部が開示され、画像形成後の排出された用紙を容易に取り出し得ることが記載されている。しかしながら、画像形成装置の側面に設けられた収納部材から操作マニュアル等を容易に取り出すといった課題を解決するために利用され得るものでない。
【0004】
この問題を解決するために現在実施されている方法の一例を、図8を参照しながら説明する。
一般的に可搬性の画像形成装置は、画像形成装置の外側面の上部に画像形成装置を移動させるための凹状の添え型取手(A)を備えている。そこで上記問題を解決するために、従来においては、図8に示されるように収納部材(B)を添え型取手の下部であって且つ収納されている冊子の上端部が添え型取手(A)の範囲内にくるように設置していた。これにより、冊子を取り出す際に添え型取手(A)の凹状部に指を差し入れることができることから、ユーザが、冊子の内側に指を入れ、冊子を収納部材(B)から取り出すことが可能である。
【0005】
しかしながら、一般的に収納されるマニュアル本などの冊子の厚みは薄いため、上記方法では、図9に示されるように時間の経過とともに冊子(C)の上端が添え型取手(A)の凹状部に次第に内倒れしていくことになる。従って、冊子(C)の内側に指を差し入れにくくなり、冊子(C)が次第に取出しにくくなるという問題が発生していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平9−151014号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、本発明は上記問題を解決するために、収納部材に収納されているマニュアルなどの冊子を、簡易な構成で容易に取り出すことができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的を達成するために、本発明は以下の構成からなる。
請求項1に係る発明は、装置を持ち上げるための手掛かりとなる凹状の取手部を備えた外装部材と、前記外装部材の外面に付設された冊子収納用の収納部材を備えた画像形成装置であって、前記収納部材は、前記取手部の下方であってかつ収納された冊子の上端部が前記取手部の範囲内となる位置に設けられており、前記取手部は、前記収納部材に収納された冊子を取り出す際に、前記冊子内側への指の差し入れを容易化する冊子取出し補助手段を備えていることを特徴とする画像形成装置に関する。
【0009】
請求項2に係る発明は、前記冊子取出し補助手段が、前記凹状の取手部の下部に設けられる凸状部であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置に関する。
【0010】
請求項3に係る発明は、前記冊子取出し補助手段が、前記凹状の取手部の上端の一部に設けられる指案内用切欠き部であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置に関する。
【0011】
請求項4に係る発明は、前記凸状部が前記取手部の下部に複数箇所設けられ、前記凸状部の設置間隔が指を入れることができるように設定されていることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置に関する。
【0012】
請求項5に係る発明は、前記凸状部が、前記取手部の下部に少なくとも3箇所設けられ、前記凸状部の設置間隔が親指以外の四指の夫々を個々の間隙に入れることができるように設定されていることを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置に関する。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に係る発明によれば、装置を持ち上げるための手掛かりとなる凹状の取手部を備えた外装部材と、前記外装部材の外面に付設された冊子収納用の収納部材を備えた画像形成装置であって、前記収納部材は、前記取手部の下方であってかつ収納された冊子の上端部が前記取手部の範囲内となる位置に設けられており、前記取手部は、前記収納部材に収納された冊子を取り出す際に、前記冊子内側への指の差し入れを容易化する冊子取出し補助手段を備えていることから、凹状の取手部と冊子の間に容易に指を差し入れることができるので収納されたマニュアルなどの冊子を容易に収納部材から取り出すことがきる。
【0014】
請求項2に係る発明によれば、冊子取出し補助手段として凹状の取手部の下部に凸状部が設けられることから、簡易な構成でマニュアルなどの冊子の上端部が凹状の取手部の内部に内倒れすることを防止することができる。従って、冊子を収納部材から容易に取り出すことができる。
【0015】
請求項3に係る発明によれば、冊子取出し補助手段が、前記凹状の取手部の上端の一部に設けられる指案内用切欠き部であることから、マニュアルなどの冊子が凹状の取手部内に内倒れしたとしても、凹状の取手部の上端の一部に設けられた指案内用切欠き部から凹状の取手部と冊子との間に容易に指を差し入れることができるので、冊子を収納部材から容易に取り出すことができる。
【0016】
請求項4に係る発明によれば、凹状の取手部の下部に設けられる前記凸状部が複数箇所設けられているため、マニュアルなどの冊子の上端部が凹状の取手部の内部に内倒れすることを防止することができる。また、複数の凸状部の設置間隔が指を入れることができるように設定されていることから、スムーズに取手部に指を入れることができるため冊子を容易に収納部材から取り出すことができる。さらに、画像形成装置を移動させる際にも取手部に設けられた凸状部の形状が邪魔とならないので、凹状の取手部に指をスムーズに入れることができる。
【0017】
請求項5に係る発明によれば、凸状部が、前記取手部の下部に少なくとも3箇所設けられ、凸状部の設置間隔が親指以外の四指の夫々を個々の間隙に入れることができるように設定されていることから、マニュアルなどの冊子の上端部が凹状の取手部の内部に内倒れすることを防止することができる。またスムーズに取手部の凸状部に指を入れることができるため、冊子を容易に収納部材から取り出すことができる。さらに、画像形成装置を移動させる際にも取手部に設けられた凸状部の形状が邪魔とならないので、凹状の取手部に指をスムーズに入れることができるとともに、親指以外の四指の夫々を個々の間隙に入れることができるため凹状の取手部内での指のホールド感が高くなることから画像形成装置を容易に移動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係る画像形成装置の全体斜視図である。
【図2】本発明に係る画像形成装置の取手部の一実施形態を示す拡大側面斜視図である。
【図3】本発明に係る画像形成装置の取手部の一実施形態を示す拡大断面図である。
【図4】本発明に係る画像形成装置の取手部の一実施形態を示す拡大側面斜視図である。
【図5】本発明に係る画像形成装置の取手部の一実施形態を示す拡大側面斜視図である。
【図6】本発明に係る画像形成装置の取手部の一実施形態を示す拡大側面斜視図である。
【図7】本発明に係る画像形成装置の取手部の一実施形態を示す拡大断面図である。
【図8】従来の画像形成装置の取手部の拡大側面斜視図である。
【図9】従来の画像形成装置の取手部の一実施形態を示す拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の一実施形態に係る画像形成装置について、図面を参照して説明する。
図1は本発明の一実施形態に係る画像形成装置の全体斜視図であり、図2は本発明に係る画像形成装置の取手部に凸状部を設けた一実施形態を示す拡大側面斜視図であり、図3は本発明に係る画像形成装置の取手部に凸状部を設けた一実施形態を示す拡大断面図であり、図4は本発明に係る画像形成装置の取手部の下部左右両端に凸状部を設けた拡大側面斜視図であり、図5は本発明に係る画像形成装置の取手部に複数の凸状部を設けた拡大側面斜視図であり、図6は本発明に係る画像形成装置の取手部の上端部の一部に指案内用切欠き部を設けた拡大側面斜視図であり、図7は本発明に係る画像形成装置の取手部の上端部の一部に指案内用切欠き部を設けた拡大断面図である。
【0020】
図1に示すように、画像形成装置(1)は、原稿に形成された画像を読み取る原稿読取部(2)と、この原稿読取部(2)の下方に設けられた画像形成部(3)と、原稿読取部(2)から前方に向かって延設された操作部(4)と、画像形成部(3)のさらに下方に位置する用紙給紙部(5)と、用紙が排出される排出部(6)により構成されている。用紙が排出される排出部(6)は、原稿読取部(2)と画像形成部(3)の間に設けられている。
本明細書中では図1に示されている操作部(4)側の面を画像形成装置の前面とする。
【0021】
原稿読取部(2)は、原稿を読み取るための原稿読取台(7)と、原稿を固定するための原稿カバー(8)とから構成されている。原稿は、原稿読取台(7)の上に載置され、原稿カバー(8)により固定され、さらに原稿読取台(7)に内蔵されるスキャナーにより走査されることにより、原稿の情報が読み取られる。
原稿読取部(2)で読み取られた原稿の情報は、画像形成部(3)に送られる。画像形成部(3)は、用紙給紙部(5)から送られてくる用紙にその原稿の情報を転写・固定する。原稿情報を転写された用紙は、画像形成装置(1)の前面に設けられた排出部(6)に排出される。
【0022】
画像形成装置(1)の外装部材の側面には、画像形成装置(1)を持ち運びするための手掛かりとなる一対の凹状の取手部(9)が設けられている。この凹状の取手部(9)は、画像形成装置(1)の持ち運びが容易なように、外装部材の側面上部に設けられている。これにより、ユーザは、腰をかがめることなく画像形成装置(1)を容易に持ち運びすることができる。
外装部材の取手部(9)の下方には、画像形成装置(1)の操作マニュアルなどの冊子が収納される収納部材(10)が付設されている。この収納部材(10)は、収納された冊子の上端部が取手部(9)の範囲内となる位置に配されている。収納部材(10)は、画像形成装置(1)側面の片側だけに設置されていても両側面(図示せず)に設置されていてもよい。
【0023】
収納部材(10)に収納される冊子は、一般的にその厚みが薄いことから時間の経過とともにその上端部が凹状の取手部(9)内に内倒れする場合が多い。このため、ユーザは、冊子を収納部材(10)から次第に取出しにくくなる。従って、本発明に係る画像形成装置(1)では、この取出しにくさを解決するために凹状の取手部(9)と冊子の間に指を容易に滑り込ませることができるように、凹状の取手部(9)に冊子取出し補助手段(11)を設けている。
【0024】
図2〜図5を用いて、冊子取出し補助手段の具体的な実施形態の例を、以下に詳細に説明する。
【0025】
図2で示される実施形態では、外装部材に設けられた凹状の取手部(9)の下部に、冊子取出し補助手段として凸状部(12)が設けられている。これにより、図3に示すように収納されている冊子(C)の上端部が、取手部(9)の凹部内に内倒れすることを防止することができる。
取手部(9)の下部に設けられる凸状部(12)は、冊子(C)の内倒れを防止できるものであればよく、その形状に限定されるものではないが、冊子(C)の収納が阻害されるのを防ぐために外装部材の側面から突出しないことが好ましい。
【0026】
取手部(9)の下部に設けられる凸状部(12)は、複数箇所設けてもよい。この場合、取手部(9)内の凸状部(12)の設置間隔は、指を入れることのできる間隙であればよい。これにより、冊子(C)を取るために取手部(9)の凹部に指を入れた場合、設置された凸状部(12)が、差し入れる指の邪魔とならないため容易に冊子(C)を取り出すことができる。
図4は、取手部(9)の下部左右両端に凸状部(12)を設けた場合を示している。これにより、取手部(9)の下部中央に指を入れる間隙ができ、収納部材(10)から冊子(C)を取り出す際に凸状部(12)が邪魔とならない。
【0027】
図5は、取手部(9)の下部に5つの凸状部(12)を設けた図である。
この場合において、凸状部(12)の設置間隔は、親指以外の四指の夫々を個々の間隙に入れることができるように構成される。
図5に示されている凸状部(12)は5箇所に設けられているが、凸状部(12)は親指以外の四指を入れるために少なくとも3箇所に設ければよい。この場合において、人差し指と小指は左右両端に位置する2個の凸状部(12)と取手部(9)の左右両側面とで形成される夫々の間隙に指を入れることができ、中指と薬指は凸状部(12)同士の間隙に夫々指を入れることができる。凸状部(12)の設置間隔は、親指以外の四指を入れることができる間隔であればよいが、例えば、20−30mm程度に設定することが好ましい。これにより、指を取手部(9)の凹部に入れる際に凸状部(12)が邪魔とならないことから収納部材(10)から冊子をスムーズに取り出すことができる。凸状部(12)の設置数及び設置個所は、取手部(9)の大きさに合わせて適時決定される。
また、取手部(9)の下部に設けられる凸状部(12)の間隙の形状を4本の指の形状に対応するような滑らかな曲面形状とすることもできる。これにより、画像形成装置(1)を運ぶ際の指のホールド感もよくなるので画像形成装置(1)を容易に別の場所に移動させることができる。
【0028】
図6で示される実施形態では、外装部材に設けられた凹状の取手部(9)の上端部の一部に、冊子取出し補助手段として指案内用切欠き部(13)が設けられている。これにより、図7に示されるように収納されている冊子(C)の上端部が取手部(9)の凹部に内倒れしたとしても指案内用切欠き部(13)から指を、取手部(9)の凹部と冊子(C)の間に簡単に差し入れることができる。従って、冊子(C)を収納部材(10)から容易に取り出すことができる。
取手部(9)の上端部に設けられる指案内用切欠き部(13)の形状は、指がスムーズに取手部(9)の凹部に入る形状であれば限定されないが、その大きさは、取手部(9)の大きさに対応させて適宜決定され得る。
取手部(9)の指案内用切欠き部(13)以外の上端部には、画像形成装置(1)を移動させる際の指の滑り止めのための構造をさらに備えてもよい。この構造により、取手部(9)の上端部に切欠き部(13)があったとしても、画像形成装置(1)の重さで指が滑ることはない。従って、ユーザは、画像形成装置(1)を安全かつ容易に移動させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明に係る画像形成装置は、外装部材に操作マニュアルを収納する収納部材を備えた様々なコピー機、プリンター、FAXに好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0030】
1・・・画像形成装置
2・・・原稿読取部
3・・・画像形成部
4・・・操作部
5・・・用紙給紙部
6・・・排出部
7・・・原稿読取台
8・・・原稿カバー
9・・・取手部
10・・収納部材
11・・冊子取出し補助手段
12・・凸状部
13・・指案内用切欠き部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置を持ち上げるための手掛かりとなる凹状の取手部を備えた外装部材と、
前記外装部材の外面に付設された冊子収納用の収納部材を備えた画像形成装置であって、
前記収納部材は、前記取手部の下方であってかつ収納された冊子の上端部が前記取手部の範囲内となる位置に設けられており、
前記取手部は、前記収納部材に収納された冊子を取り出す際に、前記冊子内側への指の差し入れを容易化する冊子取出し補助手段を備えていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記冊子取出し補助手段が、前記凹状の取手部の下部に設けられる凸状部であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記冊子取出し補助手段が、前記凹状の取手部の上端の一部に設けられる指案内用切欠き部であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記凸状部が前記取手部の下部に複数箇所設けられ、
前記凸状部の設置間隔が指を入れることができるように設定されていることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記凸状部が、前記取手部の下部に少なくとも3箇所設けられ、
前記凸状部の設置間隔が親指以外の四指の夫々を個々の間隙に入れることができるように設定されていることを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−154219(P2011−154219A)
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−16064(P2010−16064)
【出願日】平成22年1月27日(2010.1.27)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】