説明

画像形成装置

【課題】リフレッシュモード実行時のトナー消費を抑制しつつ、ドラム表面の研磨性も向上できる画像形成装置を提供する。
【解決手段】記録媒体への非転写時に、現像装置3a〜3d内の現像ローラ29上にトナー母粒子は極力残したまま、外添剤である酸化チタンを感光体ドラム1a〜1d側に優先的に移動させて摺擦ローラ30に供給し、感光体ドラム1a〜1dの表面を研磨するリフレッシュモードを実行可能とする。酸化チタンを感光体ドラム1a〜1d側に移動させる方法としては、トナー母粒子と酸化チタンの帯電性を異極性とし、酸化チタンと同極性のバイアスを印加するか、トナー母粒子と帯電性が同極性であり、且つトナー母粒子と比較して帯電性(単位重量当たりの帯電量)が小さくなるような酸化チタンを用い、通常の現像バイアス(トナー及び酸化チタンと同極性)よりも小さいバイアスを印加する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感光体ドラムを用いた画像形成装置に関し、特にアモルファスシリコン(以下、a−Siという)感光体ドラムを用いた場合の像流れを抑制することができる、感光体ドラム表面の研磨方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、電子写真プロセスを用いた画像形成装置の像担持体として、a−Si感光体ドラムが広く用いられている。a−Si感光体ドラムは、高硬度で優れた耐久性を有しており、長期間使用後も感光体としての特性がほとんど劣化せず高画質が保持できるため、ランニングコストも低く取り扱いも容易であるとともに、環境に対する安全性も高い優れた像担持体である。
【0003】
このようなa−Si感光体ドラムを用いた画像形成装置においては、その特性から像流れが発生しやすいことが知られている。つまり、帯電ユニットを用いて帯電を行うと、帯電ユニットの放電によりオゾンが発生する。このオゾンにより空気中の成分が分解され、NOxやSOx等のイオン生成物が生成される。このイオン生成物は水溶性であることにより、感光体ドラムに付着し、感光体ドラム表面の0.1μm程度の粗さ構造内に入り込むために、汎用機で使用されるクリーニングシステムでは取り除くことができず、さらに、これらが大気中の水分を取り込むことで感光体ドラム表面の抵抗が低下する。これにより、感光体ドラム表面に形成された静電潜像のエッジ部で電位の横流れが起こり、その結果、像流れを生じることがある。
【0004】
また、放電生成物の付着によって感光体表面の摩擦抵抗が上昇し、感光体から中間転写体への転写(一次転写)効率の低下、クリーニングブレード筋による画像劣化、クリーニングブレード端部の巻き上がり等の不具合が発生する。さらに、感光体の駆動負荷が増加するためジッタの原因にもなる。特に、低印字率の画像を連続して出力するなど、トナーの消費量が極めて少ない場合は感光体ドラム上にトナーが供給されず、外添剤(研磨剤)としての酸化チタンも十分に供給されないため、クリーニングシステムによる感光体ドラム表面の研磨が不足して上記不具合は一層顕著に発生する。
【0005】
そこで、簡易な構成で感光体ドラム表面の抵抗低下を抑えて像流れを低減する方法が提案されており、特許文献1、2には、研磨剤を混入させた現像剤(研磨トナー)と研磨部材(摺擦ローラ及びクリーニングブレード)の相互作用で感光体を研磨するリフレッシュモードを所定のタイミングで実行することにより、ヒータ等を用いることなくオゾン生成物を除去する方法が開示されている。上記特許文献1、2においては、非印字時(装置立ち上げ時や印字後の待機モード)に現像剤を印字または現像し、現像剤を記録媒体に転写させることなく感光体ユニット内の研磨手段に供給して感光体表面の研磨に使用する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10−63157号公報
【特許文献2】特開平11−3014号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1、2の方法では、実際の印字率以上に無駄にトナーを消費してしまうため、装置のランニングコストが上昇するという問題点があった。また、近年の環境保護志向の観点からも好ましいものではなかった。
【0008】
本発明は、上記問題点に鑑み、リフレッシュモード実行時のトナー消費を抑制しつつ、ドラム表面の研磨性も向上できる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために本発明は、表面に感光層が形成される像担持体と、該像担持体に非接触で対向配置されるとともにトナー母粒子と酸化チタンとを含むトナーを担持するトナー担持体を有する現像装置と、前記像担持体表面に所定の圧力で圧接されるとともに前記像担持体表面を研磨する研磨部材と、前記トナー担持体に所定の現像バイアスを印加することで前記像担持体上の静電潜像にトナーを付着させる電圧印加手段と、該電圧印加手段によるバイアスの印加を制御する制御手段と、を備え、前記制御手段は、非画像形成時に前記電圧印加手段を用いて像担持体上に酸化チタンが優先的に移動するバイアスを前記トナー担持体に印加することにより、前記像担持体側へ酸化チタンを供給して前記像担持体表面を研磨するリフレッシュモードを実行可能とした画像形成装置である。
【0010】
また本発明は、上記構成の画像形成装置において、前記酸化チタンは前記トナー母粒子と帯電性が異極性であり、前記電圧印加手段はリフレッシュモードの実行時に現像バイアスと逆極性のバイアスを印加することを特徴としている。
【0011】
また本発明は、上記構成の画像形成装置において、前記酸化チタンは前記トナー母粒子と帯電性が同極性であり、且つ前記トナー母粒子よりも単位重量当たりの帯電量が小さく、前記電圧印加手段はリフレッシュモードの実行時に現像バイアスと同極性で、且つ現像バイアスよりも小さいバイアスを印加することを特徴としている。
【0012】
なお、本明細書中において「帯電性が異極性」とは、帯電特性が正帯電と負帯電のように電気的極性が異なることを指し、「帯電性が同極性」とは、帯電特性が正帯電同士、或いは負帯電同士のように電気的極性が同じことを指すものとする。
【0013】
また本発明は、上記構成の画像形成装置において、像担持体の感光層としてアモルファスシリコン感光層を用いることを特徴としている。
【発明の効果】
【0014】
本発明の第1の構成によれば、トナー担持体上にトナー母粒子を残したまま、感光層の研磨に必要な酸化チタンを選択的に像担持体表面に移動させて研磨部材に供給することができる。その結果、印字動作以外で無駄にトナーを消費することなく感光層の研磨性を向上させることができる。
【0015】
また、本発明の第2の構成によれば、上記第1の構成の画像形成装置において、トナー母粒子と酸化チタンの帯電性が異極性である場合、通常の現像バイアスと逆極性(酸化チタンと同極性)のバイアスを印加することにより、酸化チタンを像担持体側へ選択的に移動させることができる。
【0016】
また、本発明の第3の構成によれば、上記第1の構成の画像形成装置において、トナー母粒子と帯電性が同極性であり、トナー母粒子と比較して帯電性が小さい酸化チタンを用いる場合、通常の現像バイアスよりも小さいバイアスを印加することにより、トナー母粒子を極力移動させずに、酸化チタンを像担持体側へ優先的に移動させることができる。
【0017】
また、本発明の第4の構成によれば、上記第1乃至第3の構成の画像形成装置において、感光層として耐久性に優れたアモルファスシリコン感光層を用いることにより、画像形成装置の高画質化、低ランニングコスト化に貢献するとともに、放電生成物による感光層表面の汚れや表面摩擦係数の上昇を長期間に亘って効果的に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1実施形態に係る画像形成装置の全体構成を示す概略断面図
【図2】図1における画像形成部Pa周辺の部分拡大図
【図3】第1実施形態の画像形成装置に搭載される現像装置の構成を示す側面断面図
【図4】現像ローラ及び磁気ローラに印加されるバイアス波形の一例を示す図
【図5】第1実施形態の画像形成装置の制御経路を示すブロック図
【図6】画像形成部Paがリフレッシュモード中の各工程にある状態を示す概略図
【図7】本発明の第2実施形態に係る画像形成装置の全体構成を示す概略断面図
【図8】第2実施形態の画像形成装置に搭載される現像装置の構成を示す側面断面図
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係る現像装置が搭載された画像形成装置の概略断面図であり、ここではタンデム方式のカラープリンタについて示している。カラープリンタ100本体内には4つの画像形成部Pa、Pb、Pc及びPdが、搬送方向上流側(図1では右側)から順に配設されている。これらの画像形成部Pa〜Pdは、異なる4色(シアン、マゼンタ、イエロー及びブラック)の画像に対応して設けられており、それぞれ帯電、露光、現像及び転写の各工程によりシアン、マゼンタ、イエロー及びブラックの画像を順次形成する。
【0020】
この画像形成部Pa〜Pdには、各色の可視像(トナー像)を担持する感光体ドラム1a、1b、1c及び1dが配設されており、さらに駆動手段(図示せず)により図1において時計回りに回転する中間転写ベルト8が各画像形成部Pa〜Pdに隣接して設けられている。これらの感光体ドラム1a〜1d上に形成されたトナー像が、各感光体ドラム1a〜1dに当接しながら移動する中間転写ベルト8上に順次一次転写されて重畳された後、二次転写ローラ9の作用によって記録媒体の一例としての転写紙S上に二次転写され、さらに、定着部13において転写紙S上に定着された後、装置本体より排出される。感光体ドラム1a〜1dを図1において反時計回りに回転させながら、各感光体ドラム1a〜1dに対する画像形成プロセスが実行される。
【0021】
トナー像が転写される転写紙Sは、装置下部の用紙カセット16内に収容されており、給紙ローラ12a及びレジストローラ対12bを介して二次転写ローラ9と後述する中間転写ベルト8の駆動ローラ11とのニップ部へと搬送される。中間転写ベルト8には誘電体樹脂製のシートが用いられ、継ぎ目を有しない(シームレス)ベルトが主に用いられる。また、中間転写ベルト8の回転方向において二次転写ローラ9の下流側には、中間転写ベルト8表面に残存するトナー等を除去するためのブレード状のベルトクリーナ19が配置されている。
【0022】
次に、画像形成部Pa〜Pdについて説明する。回転自在に配設された感光体ドラム1a〜1dの周囲及び下方には、感光体ドラム1a〜1dを帯電させる帯電器2a、2b、2c及び2dと、各感光体ドラム1a〜1dに画像情報を露光する露光装置5と、感光体ドラム1a〜1d上にトナー像を形成する現像装置3a、3b、3c及び3dと、感光体ドラム1a〜1d上に残留した現像剤(トナー)等を除去するクリーニング部7a、7b、7c及び7dが設けられている。
【0023】
パソコン等の上位装置から画像データが入力されると、先ず、帯電器2a〜2dによって感光体ドラム1a〜1dの表面を一様に帯電させ、次いで露光装置5によって画像データに応じて光照射し、各感光体ドラム1a〜1d上に画像データに応じた静電潜像を形成する。現像装置3a〜3dには、それぞれシアン、マゼンタ、イエロー及びブラックの各色のトナーを含む二成分現像剤が所定量充填されている。なお、後述のトナー像の形成によって各現像装置3a〜3d内に充填された二成分現像剤中のトナーの割合が規定値を下回った場合にはトナーコンテナ4a〜4dから各現像装置3a〜3dにトナーが補給される。この現像剤中のトナーは、現像装置3a〜3dにより感光体ドラム1a〜1d上に供給され、静電的に付着することにより、露光装置5からの露光により形成された静電潜像に応じたトナー像が形成される。
【0024】
そして、一次転写ローラ6a〜6dに所定の転写電圧を付与することにより、感光体ドラム1a〜1d上のイエロー、シアン、マゼンタ及びブラックのトナー像が中間転写ベルト8上に一次転写される。これらの4色の画像は、所定のフルカラー画像形成のために予め定められた所定の位置関係をもって形成される。その後、引き続き行われる新たな静電潜像の形成に備え、感光体ドラム1a〜1dの表面に残留したトナー等がクリーニング部7a〜7dにより除去される。
【0025】
中間転写ベルト8は、上流側の搬送ローラ10と、下流側の駆動ローラ11とに掛け渡されており、駆動モータ(図示せず)による駆動ローラ11の回転に伴い中間転写ベルト8が時計回りに回転を開始すると、転写紙Sがレジストローラ12bから所定のタイミングで駆動ローラ11とこれに隣接して設けられた二次転写ローラ9とのニップ部(二次転写ニップ部)へ搬送され、中間転写ベルト8上のフルカラー画像が転写紙S上に転写される。トナー像が転写された転写紙Sは定着部13へと搬送される。
【0026】
定着部13に搬送された転写紙Sは、定着ローラ対13aにより加熱及び加圧されてトナー像が転写紙Sの表面に定着され、所定のフルカラー画像が形成される。フルカラー画像が形成された転写紙Sは、複数方向に分岐した分岐部14によって搬送方向が振り分けられる。転写紙Sの片面のみに画像を形成する場合は、そのまま排出ローラ15によって排出トレイ17に排出される。
【0027】
一方、転写紙Sの両面に画像を形成する場合は、定着部13を通過した転写紙Sの一部を一旦排出ローラ対15から装置外部にまで突出させる。その後、転写紙Sは排出ローラ対15を逆回転させることにより分岐部14で用紙搬送路18に振り分けられ、画像面を反転させた状態で二次転写ニップ部に再搬送される。そして、中間転写ベルト8上に形成された次の画像が二次転写ローラ9により転写紙Sの画像が形成されていない面に転写され、定着部13に搬送されてトナー像が定着された後、排出トレイ17に排出される。
【0028】
図2は、図1における画像形成部Pa付近の拡大図である。なお、画像形成部Pb〜Pdについても基本的に同様の構成であるため説明を省略する。感光体ドラム1aの周囲には、ドラム回転方向(図2の反時計回り)に沿って帯電器2a、現像装置3a、クリーニング部7a、及び除電ランプ20が配設され、中間転写ベルト8を挟んで一次転写ローラ6aが配置されている。
【0029】
帯電器2aは、感光体ドラム1aに接触してドラム表面に帯電バイアスを印加する帯電ローラ21と、帯電ローラ21をクリーニングするための帯電クリーニングローラ23とを有している。
【0030】
現像装置3aは、2本の攪拌スクリュー25a、25bと、磁気ローラ27と、現像ローラ29とを有する二成分現像式であり、磁気ローラ27表面に起立する磁気ブラシを用いて現像ローラ29にトナー薄層を形成し、現像ローラ29にトナーと同極性(正)の現像バイアスを印加してドラム表面にトナーを飛翔させる。
【0031】
クリーニング部7aは、摺擦ローラ30、クリーニングブレード31、及び回収スクリュー33を有している。摺擦ローラ30は感光体ドラム1aに所定の圧力で圧接されており、図示しない駆動手段により感光体ドラム1aとの当接面において同一方向に回転駆動されるが、その周速は感光体ドラム1aの周速よりも速く(ここでは1.2倍)制御されている。摺擦ローラ30としては、例えば金属シャフトの周囲にローラ体としてEPDMゴム製でアスカC硬度55°の発泡体層を形成した構造が挙げられる。ローラ体の材質としてはEPDMゴムに限定されず、他の材質のゴムや発泡ゴム体であっても良く、アスカC硬度が10〜90°の範囲のものが好適に使用される。摺擦ローラ30は感光体ドラム1a表面の残留トナーを清掃する機能の他、感光体ドラム1aとの間に研磨剤(外添剤)入りのトナーを介在させてドラム表面を研磨する機能も有している。
【0032】
感光体ドラム1a表面の、摺擦ローラ30との当接面よりも回転方向下流側には、クリーニングブレード31が感光体ドラム1aに当接した状態で固定されている。クリーニングブレード31としては、例えばJIS硬度が78°のポリウレタンゴム製のブレードが用いられ、その当接点において感光体接線方向に対し所定の角度で取り付けられている。なお、クリーニングブレード31の材質及び硬度、寸法、感光体ドラム1aへの食い込み量及び圧接力等は、感光体ドラム1aの仕様に応じて適宜設定される。摺擦ローラ30及びクリーニングブレード31によって感光体ドラム1a表面から除去された残留トナーは、回収スクリュー32の回転に伴ってクリーニング部7aの外部に排出される。
【0033】
クリーニング部7aと帯電器2aの間には除電ランプ20が配置されている。除電ランプ20は、感光体ドラム1a表面に光照射することによりドラム表面の残留電荷を除去する。
【0034】
図3は、本実施形態の画像形成装置に搭載される現像装置の一構成例を示す側面断面図である。なお、ここでは図1及び図2の画像形成部Paに配置される現像装置3aについて説明するが、画像形成部Pb〜Pdに配置される現像装置3b〜3dの構成についても基本的に同様であるため説明を省略する。
【0035】
図3に示すように、現像装置3aは、二成分現像剤(以下、単に現像剤ともいう)が収納される現像容器33を備えており、現像容器33は仕切壁33aによって第1及び第2攪拌室33b、33cに区画され、第1及び第2攪拌室33b、33cにはトナーコンテナ4a(図1参照)から供給されるトナー(正帯電トナー)をキャリアと混合して撹拌し、帯電させるための第1攪拌スクリュー25a及び第2攪拌スクリュー25bが回転可能に配設されている。
【0036】
そして、第1攪拌スクリュー25a及び第2攪拌スクリュー25bによって現像剤が攪拌されつつ軸方向に搬送され、仕切壁33aに形成された現像剤通過路(図示せず)を介して第1及び第2攪拌室33b、33c間を循環する。図示の例では、現像容器33は左斜め上方に延在しており、現像容器33内において第2攪拌スクリュー25bの上方には磁気ローラ27が配置され、磁気ローラ27の左斜め上方には現像ローラ29が対向配置されている。そして、現像ローラ29は現像容器33の開口側(図3の左側)において感光体ドラム1aに対向しており、磁気ローラ27及び現像ローラ29は図中時計回りに回転する。
【0037】
なお、現像容器33には、第1攪拌スクリュー25aと対面してトナー濃度センサ(図示せず)が配置されており、トナー濃度センサで検知されるトナー濃度に応じて補給装置からトナー補給口31dを介して現像容器33内にトナーが補給される。
【0038】
磁気ローラ27は、非磁性の回転スリーブ27aと、回転スリーブに内包される複数の磁極を有する固定マグネット体27bで構成されている。本実施形態では、固定マグネット体27bの磁極は、主極35、規制極(穂切り用磁極)36、搬送極37、剥離極38、及び汲上極39の5極構成である。
【0039】
また、現像容器33には規制ブレード34が磁気ローラ27の長手方向(図3の紙面表裏方向)に沿って取り付けられており、規制ブレード34は、磁気ローラ27の回転方向(図中時計回り)において、現像ローラ29と磁気ローラ27との対向位置よりも上流側に位置付けられている。そして、規制ブレード34の先端部と磁気ローラ27表面との間には僅かな隙間(ギャップ)が形成されている。
【0040】
現像ローラ29は、円筒状の現像スリーブ29aと、現像スリーブ29a内に固定された磁石部材29bで構成されており、磁気ローラ27と現像ローラ29とはその対面位置(対向位置)において所定のギャップをもって対向している。磁石部材29bは、固定マグネット体27bの対向する磁極(主極)35と異極性である。
【0041】
磁気ローラ27及び現像ローラ29には、バイアス制御回路41を介して現像バイアス電源43(いずれも図5参照)が接続されており、現像ローラ29には直流電圧(以下、Vslv(DC)という)及び交流電圧(以下、Vslv(AC)という)が印加され、磁気ローラ22には、直流電圧(以下、Vmag(DC)という)及び交流電圧(以下、Vmag(AC)という)が印加される。
【0042】
前述のように、第1攪拌スクリュー25a及び第2攪拌スクリュー25bによって、現像剤が攪拌されつつ現像容器33内を循環してトナーを帯電させ、第2攪拌スクリュー25bによって現像剤が磁気ローラ27に搬送される。規制ブレード34には固定マグネット体27bの規制極36が対向するため、規制ブレード34として非磁性体或いは磁性体を用いることにより、規制ブレード34の先端と回転スリーブ27aとの隙間に引き合う方向の磁界が発生する。
【0043】
この磁界により、規制ブレード34と回転スリーブ27aとの間に磁気ブラシが形成される。そして、磁気ローラ27上の磁気ブラシは規制ブレード34によって層厚規制された後、現像ローラ29に対向する位置に移動すると、固定マグネット体27bの主極35及び現像ローラ側磁極23bにより引き合う磁界が付与されるため、磁気ブラシは現像ローラ29表面に接触する。そして、磁気ローラ27に印加されるVmag(DC)と現像ローラ29に印加されるVslv(DC)との電位差ΔV、及び磁界によって現像ローラ29上にトナー薄層を形成する。
【0044】
現像ローラ29上のトナー層厚は現像剤の抵抗や磁気ローラ27と現像ローラ29との回転速度差等によっても変化するが、ΔVによって制御することができる。ΔVを大きくすると現像ローラ29上のトナー層は厚くなり、ΔVを小さくすると薄くなる。現像時におけるΔVの範囲は一般的に100V〜350V程度が適切である。
【0045】
図4は、現像ローラ29及び磁気ローラ27に印加されるバイアス波形の一例を示す図である。図4(a)に示すように、現像ローラ29には、Vslv(DC)にピークツーピーク値がVpp1である矩形波のVslv(AC)を重畳した合成波形Vslv(実線)が第1バイアス回路40から印加される。また、磁気ローラ27には、Vmag(DC)にピークツーピーク値がVpp2であり、且つVslv(AC)と位相が異なる矩形波のVmag(AC)を重畳した合成波形Vmag(破線)が第2バイアス回路41から印加される。
【0046】
従って、磁気ローラ27及び現像ローラ29間(以下、MS間という)に印加される電圧は、図4(b)に示すようなVpp(max)とVpp(min)を有する合成波形Vmag−Vslvとなる。なお、Vmag(AC)はVslv(AC)よりもDuty比が大きくなるように設定される。実際には図4で示すような完全な矩形波ではなく、一部が歪んだ形状の交流電圧が印加される。
【0047】
磁気ブラシによって現像ローラ29上に形成されたトナー薄層は、現像スリーブ29aの回転によって感光体ドラム1aと現像ローラ29との対向部分に搬送される。現像ローラ29にはVslv(DC)及びVslv(AC)が印加されているため、現像ローラ29と感光体ドラム1aとの間(以下、SD間という)の電位差によってトナーが飛翔し、感光体ドラム1a上の静電潜像が現像される。
【0048】
さらに回転スリーブ27aが時計回りに回転すると、今度は主極35に隣接する異極性の剥離極38により発生する水平方向(ローラ周方向)の磁界により磁気ブラシは現像ローラ29表面から引き離され、現像に用いられずに残ったトナーが現像ローラ29から回転スリーブ27a上に回収される。さらに回転スリーブ27aが回転すると、固定マグネット体27bの剥離極38及びこれと同極性の汲上極39により反発する磁界が付与されるため、トナーは現像容器33内で回転スリーブ27aから離脱する。そして、第2攪拌スクリュー25bにより攪拌、搬送された後、再び適正なトナー濃度で均一に帯電された二成分現像剤として汲上極39により再び回転スリーブ27a上に磁気ブラシを形成し、規制ブレード34へ搬送される。
【0049】
次に、現像ローラ29を構成する現像スリーブ29aについて詳述する。現像スリーブ29aは、アルミニウムまたはアルミニウム合金製のスリーブや、スリーブ本体の外周面にコート層を形成したものが用いられる。コート層は、現像スリーブ29a上に供給されたトナーの固着を抑制し、現像ローラ29から感光体ドラム表面へのトナーの移送が比較的容易に行われるようにする。さらに、コート層が現像剤に与える機械的ストレスは金属表面に比べて少ないため、現像剤搬送量を増加させたときの現像ローラ29からのトナー回収性の向上と現像剤の劣化防止との両立を図ることができる。
【0050】
コート層の材質としては、シリコン変性ポリウレタンの他、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂、シリコン樹脂、フッ素樹脂等が挙げられるが、正帯電トナーの樹脂材料と帯電性が近く、トナーの剥離性が良好なウレタン樹脂、アクリル樹脂が好ましい。中でも、ウレタン樹脂の炭素の一部をケイ素に置換したシリコン変性ポリウレタン樹脂を用いた場合、ウレタン樹脂の吸湿性が改善されて環境変化に対するコート層の帯電特性の変化が抑制されるため好ましい。
【0051】
なお、コート層には抵抗調整剤として誘電率10以上の導電材を含有させて、コート層の体積抵抗値を調整し、且つ抵抗ムラを抑制している。抵抗調整剤としてはカーボンブラックやアセチレンブラック、酸化チタン、繊維形状のチタン酸カリウム等が挙げられる。これにより、トナー層の帯電状態の安定化とトナー回収時における剥離性の向上を図ることができる。体積抵抗値としては、現像ローラ23表面の残留電荷を適度に滞留可能な104〜108Ω程度が好ましい。
【0052】
また、コート層の表面粗さ(算術平均粗さ)Raは、コート剤をスプレー、ディッピング、ロールコート等により塗布した際に通常得られる表面粗さとするか、或いはウレタンビーズなどの表面粗さ調整剤を付与して0.4〜1.5μmに調製されている。
【0053】
また、コート層を形成する前に、スリーブ本体の外周面をアルマイト処理してアルマイト層を形成しても良い。この構成によれば、表面に形成されたアルマイト層が電荷のバリア層としての機能を有するため、現像ローラ29へ現像バイアスを印加する際のリークの発生を防止することができる。
【0054】
次に、本実施形態の画像形成装置の制御経路について説明する。図5は、第1実施形態の画像形成装置に用いられる制御経路の一例を示すブロック図である。なお、カラープリンタ100を使用する上で装置各部の様々な制御がなされるため、カラープリンタ100全体の制御経路は複雑なものとなる。そこで、ここでは制御経路のうち、本発明の実施に必要となる部分を重点的に説明する。
【0055】
制御部90は、中央演算処理装置としてのCPU(Central Processing Unit)91、読み出し専用の記憶部であるROM(Read Only Memory)92、読み書き自在の記憶部であるRAM(Random Access Memory)93、一時的に画像データ等を記憶する一時記憶部94、カウンタ95、カラープリンタ100内の各装置に制御信号を送信したり操作部50からの入力信号を受信したりする複数(ここでは2つ)のI/F(インターフェイス)96を少なくとも備えている。また、制御部90は、装置本体内部の任意の場所に配置可能である。
【0056】
ROM92には、カラープリンタ100の制御用プログラムや、制御上の必要な数値等、カラープリンタ100の使用中に変更されることがないようなデータ等が収められている。RAM93には、カラープリンタ100の制御途中で発生した必要なデータや、カラープリンタ100の制御に一時的に必要となるデータ等が記憶される。また、ROM92(或いはRAM93)には、後述するリフレッシュモードの実行の要否を判断する印刷枚数や環境条件(温湿度)及びリフレッシュモードの実行時間等が格納されている。カウンタ95は、印刷枚数を積算してカウントする。なお、カウンタ95を別途設けなくても、例えばRAM93でその回数を記憶するようにしてもよい。
【0057】
また、制御部90は、カラープリンタ100における各部分、装置に対し、CPU91からI/F96を通じて制御信号を送信する。また、各部分、装置からその状態を示す信号や入力信号がI/F96を通じてCPU91に送信される。制御部90が制御する各部分、装置としては、例えば、画像形成部Pa〜Pd、露光装置5、定着部13、用紙カセット16、画像入力部40、バイアス制御回路41、操作部50等が挙げられる。
【0058】
画像入力部40は、カラープリンタ100にパーソナルコンピュータ等から送信される画像データを受信する受信部である。画像入力部40より入力された画像信号はデジタル信号に変換された後、一時記憶部94に送出される。
【0059】
バイアス制御回路41は、帯電バイアス電源42、現像バイアス電源43、転写バイアス電源44と接続され、制御部90からの出力信号によりこれらの各電源を作動させるものであり、これらの各電源はバイアス制御回路41からの制御信号によって、帯電バイアス電源42は帯電器2a〜2d内の帯電ローラ21に、現像バイアス電源43は現像装置3a〜3d内の磁気ローラ27、現像ローラ29に、転写バイアス電源44は一次転写ローラ6a〜6d、及び二次転写ローラ9に、それぞれ所定のバイアスを印加する。
【0060】
操作部50には、液晶表示部51、LED52が設けられており、液晶表示部51及びLED52は、カラープリンタ100の状態を示したり、画像形成状況や印刷部数を表示したりするようになっている。カラープリンタ100の各種設定はパーソナルコンピュータのプリンタドライバから行われる。
【0061】
その他、操作部50には、画像形成を開始するようにユーザが指示するスタートボタン、画像形成を中止する際等に使用するストップ/クリアボタン、カラープリンタ100の各種設定をデフォルト状態にする際に使用するリセットボタン等が設けられている。
【0062】
次に、本実施形態の画像形成装置に用いられる二成分現像剤について説明する。二成分現像剤は、トナーとキャリアとを含有するものである。二成分現像剤におけるトナーとキャリアとの重量比(T/C)は、キャリア100重量部に対してトナー5〜20重量部が好ましく、8〜15重量部がより好ましい。
【0063】
トナーはトナー母粒子に外添剤を添加したものである。トナー母粒子は、結着樹脂および着色剤を含有するものである。トナー母粒子には、必要に応じて離型剤、電荷制御剤、磁性粉等を含有させてもよい。トナー母粒子の重量平均粒子径は、5〜12μmが好ましく、6〜10μmがより好ましい。トナー母粒子の重量平均粒子径は、粒度分布測定装置(例えば、コールター社製、マルチサイザーII型)によって測定する。トナー母粒子は、粉砕分級法、溶融造粒法、スプレー造粒法、重合法等の公知の方法で製造される。
【0064】
外添剤としては、極性(帯電性)の調整が容易で研磨剤としての効果も高い酸化チタンが用いられ、トナー母粒子表面に物理的或いは静電的に付着させて用いられる。酸化チタンの添加量は、トナー母粒子100重量部に対して、通常0.1〜5重量部である。
【0065】
キャリアとしては、磁性体の粒子、または結着樹脂中に磁性体を分散させた樹脂粒子が用いられる。磁性体としては、例えば、鉄、ニッケル、コバルト等の磁性体金属、これらの合金、あるいは希土類を含有する合金類、ヘマタイト、マグネタイト、マンガン−亜鉛系フェライト、ニッケル−亜鉛系フェライト、マンガン−マグネシウム系フェライト、リチウム系フェライトなどのソフトフェライト、銅−亜鉛系フェライト等の鉄系酸化物、これらの混合物が挙げられる。
【0066】
結着樹脂としては、例えば、ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、セルロース樹脂、ポリエーテル樹脂、これらの混合物等が挙げられる。磁性体の粒子は、焼結法、アトマイズ法等の公知の方法によって製造される。キャリアは、その表面に、コート樹脂からなる被覆層を有していてもよい。
【0067】
本発明の画像形成装置は、記録媒体への非転写時、例えば、画像形成装置を電源オフ状態やスリープ(省電力)モードからコピー開始状態まで立ち上げる際、或いは所定枚数の印刷が行われた時に、現像装置3a〜3d内の現像ローラ29上にトナー母粒子は極力残したまま、外添剤である酸化チタンを優先的に感光体ドラム1a〜1d側に移動させて摺擦ローラ30に供給し、感光体ドラム1a〜1dの表面を研磨する工程(以下、リフレッシュモードという)を実行可能に構成されている。
【0068】
酸化チタンを感光体ドラム1a〜1d側に優先的に移動させる方法としては、トナー母粒子と酸化チタンの帯電性を異極性とし、通常の現像バイアスと逆極性(酸化チタンと同極性)のバイアスを印加する方法が挙げられる。これにより、酸化チタンを選択的に感光体ドラム1a〜1d側に移動させることができる。
【0069】
また、トナー母粒子と帯電性が同極性の酸化チタンを用いる場合であっても、トナー母粒子と比較して帯電性(単位重量当たりの帯電量)が小さい酸化チタンを用い、通常の現像バイアスよりも小さいバイアスを現像ローラ29に印加することで、トナー母粒子は極力移動させずに酸化チタンを優先的に感光体ドラム1a〜1d側に移動させることができる。
【0070】
このような構成により、感光体ドラム1a〜1d表面の研磨に必要な酸化チタンを選択的に摺擦ローラ30に供給可能となるため、無駄にトナーを消費することなく感光体ドラム1a〜1d表面の研磨性を向上させることができる。従って、ドラム表面への放電生成物の付着による像流れ現象や、表面摩擦抵抗の上昇による中間転写体への転写(一次転写)効率の低下、クリーニングブレード筋による画像劣化、クリーニングブレード端部の巻き上がり等の不具合が効果的に抑制される。また、トナー消費量も節約できるため、装置のランニングコストの低下にも寄与する。
【0071】
次に、酸化チタン及びトナー母粒子の極性(帯電性)をコントロールする方法について説明する。酸化チタンの帯電性は疎水化処理の度合いによって調整することができる。即ち、疎水化処理の度合いが大きいほど、酸化チタン表面の水酸基(−OH基)が少なくなり正帯電性が大きくなる。逆に疎水化処理の度合いが小さいほど、酸化チタン表面の水酸基が多くなり負帯電性が大きくなる。
【0072】
疎水化処理の方法としては、酸化チタンをデシケータに保存して脱水処理した後、酸化チタン微粉末とシランカップリング剤とをトルエン中で反応させて酸化チタン表面の水酸基を疎水化処理する方法が挙げられる。シランカップリング剤としては、例えばヘキサメチルジシラザン、メチルトリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン等が挙げられる。
【0073】
トナー母粒子の帯電性は電荷制御剤(CCA)の種類や添加量によって調整することができる。即ち、正極性のトナー母粒子とする場合は正帯電用のCCAを使用し、負極性のトナー母粒子とする場合は負帯電用のCCAを使用すれば良い。また、帯電性の大きさはCCAの添加量を増減させて調整すれば良い。
【0074】
図6は、画像形成部Paがリフレッシュモード中の各工程にある状態を示す概略図である。なお、ここでは正帯電のトナー母粒子と負帯電の酸化チタンを用いる場合について説明しており、説明の便宜のため感光体ドラム1a、一次転写ローラ6a、中間転写ベルト8、現像ローラ29、摺擦ローラ30及びクリーニングブレード31のみを図示している。また、他の画像形成部Pb〜Pdについても全く同様であるため説明を省略する。
【0075】
図6(a)は、現像ローラ29から感光体ドラム1a上に酸化チタンが供給されている状態を示している。この工程では、現像ローラ29にトナー母粒子Tと逆極性で酸化チタンGと同極性である負のバイアスを印加することにより、現像ローラ29上にトナー母粒子Tを極力残した状態で、酸化チタンGを感光体ドラム1a表面に選択的に移動(飛翔)させる。
【0076】
図6(b)は、感光体ドラム1a表面に供給された酸化チタンGが摺擦ローラ30に到達して研磨が開始された状態を示している。この工程では、摺擦ローラ30と感光体ドラム1aとの間に酸化チタンGを介在させた状態で摺擦ローラ30を感光体ドラム1aに対し速度差を持って回転させることで、感光体ドラム1aの表面を研磨し、ドラム表面の水分や汚染物質を酸化チタンと共に除去する。なお、摺擦ローラ30に酸化チタンGを供給する間は、中間転写ベルト8上へ酸化チタンGが付着しないように、一次転写ローラ6aには酸化チタンGと同極性(負)のバイアス電圧が印加されている。
【0077】
図6(c)は、研磨中に現像ローラ29へのバイアス印加をOFFとして、酸化チタンGの供給を停止した状態を示している。現像ローラ29からの酸化チタンGの供給が停止した後も感光体ドラム1a及び摺擦ローラ30はしばらく予備回転を続ける。
【0078】
図6に示したリフレッシュモードを予め設定された時間だけ実行することにより、感光体ドラム1a表面の不純物を短時間で除去することができ、長期間に亘って像流れを効果的に防止するとともにドラム表面の感光層の研磨量も一定にできる有効な研磨システムとなる。なお、リフレッシュモードの実行時間は、使用する感光層の構成や装置の使用環境、リフレッシュモードの実行間隔等に応じて適宜設定される。
【0079】
なお、トナー母粒子と同極性(正)で帯電性の小さい酸化チタンを使用する場合は、現像ローラ29に通常の現像バイアス(正)よりも小さいバイアスを印加することにより、上記と同様に酸化チタンを感光体ドラム1a表面に優先的に移動させてリフレッシュモードを実行することができる。
【0080】
図7は、本発明の第2実施形態に係る画像形成装置の全体構成を示す概略構成図であり、右側を画像形成装置の前方側として図示している。図1と共通する部分には同一の符号を付している。図7に示すように、モノクロプリンタ101の本体下部には、積載された転写紙を収容する用紙カセット16が配置されている。この用紙カセット16の上方には、本体前方から本体後方へ略水平に延び、更に上方へ延びて本体上面に形成された排出トレイ17に至る用紙搬送路が形成されており、この用紙搬送路に沿って上流側から順に、給紙ローラ12a、レジストローラ対12b、画像形成部P、定着部13及び排出ローラ対15が配置されている。
【0081】
画像形成部Pは、図7において時計回りに回転可能に軸支された感光体ドラム1と、この感光体ドラム1の周囲に配置されるスコロトロン式の帯電器2、現像装置3、クリーニング部7、用紙搬送路を挟んで感光体ドラム1に対向するように配置される転写ローラ6及び感光体ドラム1の上方に配置される露光装置5から構成されており、現像装置3の上方には、現像装置3へトナーを補給するトナーコンテナ4が配置されている。
【0082】
帯電器2に所定の電圧を印加することにより、感光体ドラム1の表面が一様に帯電させられる。次いで、露光装置5からの光照射により感光体ドラム1上に入力された画像データに基づく静電潜像が形成され、現像装置3により静電潜像にトナーが付着されて感光体ドラム1の表面にトナー像が形成される。そして、レジストローラ対12bから感光体ドラム1と転写ローラ6とのニップ部(転写位置)に転写紙が所定のタイミングで供給され、転写ローラ6により転写紙上に感光体ドラム1の表面のトナー像が転写される。
【0083】
トナー像が転写された転写紙は、感光体ドラム1から分離されて定着部13に向けて搬送される。画像形成部Pにおいてトナー像が転写された転写紙は、定着部13に備えられた加熱ローラ及び加熱ローラに圧接される加圧ローラから成る定着ローラ対13aによって加熱、加圧され、転写紙に転写されたトナー像が定着される。
【0084】
そして、画像形成部P及び定着部13において画像形成がなされた転写紙は、排出ローラ対15によって排出トレイ17に排出される。一方、転写後に感光体ドラム1の表面に残留しているトナーはクリーニング部7により除去される。そして、感光体ドラム1は帯電器2によって再び帯電され、以下同様にして画像形成が行われる。モノクロプリンタ101の制御経路は、図5に示したカラープリンタ100の制御経路と基本的に同様であるため説明を省略する。
【0085】
図8は、第2実施形態の画像形成装置に搭載される現像装置の一例を示す側面断面図である。第1実施形態の図2と共通する部分には同一の符号を付している。図8に示すように、現像装置3は、磁性トナーから成る一成分現像剤が収容される現像容器33内に、第1攪拌スクリュー25a、第2攪拌スクリュー25b、現像ローラ29、規制ブレード33が備えられている。
【0086】
現像容器33の内部は、長手方向(図8の紙面方向)に延在する仕切壁33aによって第1攪拌室33bと第2攪拌室33cとに区画されており、第1攪拌室33bには第1攪拌スクリュー25aが、第2攪拌室33cには第2攪拌スクリュー25bがそれぞれ配設されている。また、仕切壁33aは現像容器33の長手方向両端部には設けられておらず、この部分が第1攪拌室33bと第2攪拌室33cの間をトナーが移動する通路(現像剤受け渡し部)となっている。
【0087】
現像ローラ29は、金属製の現像スリーブ29aと、現像スリーブ29aの内部に固定された複数の磁極(ここでは3極)を有する磁石部材29bで構成されており、第1攪拌スクリュー25a及び第2攪拌スクリュー25bと略平行となるように第1攪拌室33b内に回転可能に軸支されている。現像ローラ29には、Vslv(DC)及びVslv(AC)を印加する現像バイアス電源42(図5参照)がバイアス制御回路41(図5参照)を介して接続されている。
【0088】
感光体ドラム1の回転に応じて現像スリーブ29aが回転すると、磁石部材29bの磁力により現像スリーブ29aの表面にトナーが付着(担持)されてトナー層が形成される。そして、現像スリーブ29aに付着したトナーは、現像ローラ29と感光体ドラム1とが対峙する現像ニップ部において感光体ドラム1の表面電位と現像ローラ29に印加される現像バイアスとの電位差により感光体ドラム1へと飛翔して感光層に付着し、感光体ドラム1表面にトナー像が形成される。
【0089】
規制ブレード34は、感光体ドラム1に供給するトナー量、すなわち現像ローラ29へのトナー付着量を規制するものであり、例えばSUS(ステンレス)等の磁性体が用いられる。そして、規制ブレード34は、その先端と現像ローラ29との間に所定の隙間(0.2〜0.3mm)が形成されるように配設されており、この規制ブレード34と現像ローラ29との間隔及び隙間に発生する磁界によって現像ローラ29へのトナー付着量が規制され、現像ローラ29の表面には数十ミクロンのトナー薄層が形成される。他の部分の構成は第1実施形態と同様であるため説明を省略する。
【0090】
本実施形態においても、第1実施形態と同様に酸化チタン及びトナー母粒子の極性(帯電性)、並びに現像ローラ29に印加するバイアスをコントロールすることで、現像ローラ29から感光体ドラム1表面に酸化チタンを優先的に移動させて感光体ドラム1表面の研磨を行うリフレッシュモードを実行することができる。
【0091】
その他本発明は、上記実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、第2実施形態では磁性トナーのみからなる一成分現像剤を用いた例について説明したが、図8に示した第2実施形態の現像装置に二成分現像剤を使用することもできる。この場合、現像スリーブ29a上にキャリア粒子とトナーとが連なる磁気ブラシが形成され、磁気ブラシが感光体ドラム1の表面に接触することで静電潜像の現像が行われる。リフレッシュモードの実行時には現像ローラ29に酸化チタン及びトナー母粒子の極性に応じたバイアスを印加することで、感光体ドラム1表面に酸化チタンのみが移動する。
【0092】
また、本発明は図1に示したタンデム式のカラープリンタや図7に示したようなモノクロプリンタに限らず、デジタル或いはアナログ方式のモノクロ複写機、ロータリー現像式のカラープリンタ及びカラー複写機、ファクシミリ等、像担持体に非接触でトナーを飛翔させる現像装置を備えた種々の画像形成装置に適用可能である。以下、実施例により本発明の効果を更に詳細に説明する。
【参考例1】
【0093】
(酸化チタンの疎水化処理)
酸化チタン(チタン工業社製)100gをデシケータに24時間保存して脱水処理した後、酸化チタンとヘキサメチルジシラザン(有機合成薬品株式会社製)10gをトルエン500mL中で所定時間反応させ、酸化チタン表面の水酸基を疎水化処理した。
【0094】
その後、ノンコートのフェライトキャリア(PTK社製)10gと酸化チタン0.1gを50mLのガラス瓶に投入し、ボールミルにて30分間混合した。混合物の帯電量をQMメータ(トレック社製)にて測定した。疎水化処理時間をそれぞれ30分、60分、90分、120分、150分、及び180分とした酸化チタンA〜Fの帯電量(μC/g)を表1に示す。
【表1】

【0095】
表1から、疎水化処理時間が長くなるにつれて酸化チタン表面の水酸基が疎水化されて減少するため、帯電が負から正に変化することが確認された。
【参考例2】
【0096】
(トナー母粒子の帯電量測定)
トナー母粒子(京セラミタ社製)にCCAとしてE−81(オリエント化学社製)またはCopyChargePSY(クラリアント社製、以下PSYと略す)を、樹脂100部に対し所定部数添加し、トナー母粒子a〜dを調製した。
【0097】
その後、ノンコートのフェライトキャリア(PTK社製)10gとトナー母粒子0.5gを50mLのガラス瓶に投入し、ボールミルにて30分間混合した。混合物の帯電量をQMメータ(トレック社製)にて測定した。結果を表2に示す。
【表2】

【0098】
表2から、CCAとしてE−81を用いたトナー母粒子a、bは負帯電性を示し、PSYを用いたトナー母粒子c、dは正帯電性を示した。また、CCAの添加量が多くなると帯電量も増加することが確認された。
【試験例1】
【0099】
表2に示したa〜dのいずれかのトナー母粒子100重量部に対し、表1に示したA〜Fのいずれかの酸化チタン1.0重量部、シリカ(REA200、アエロジル社製)1.0重量部を添加してヘンシェルミキサー(ヘンシェル10B、三井鉱山社製)にて1000rpmで3分間混合し、トナー母粒子の表面処理を行った。
【0100】
表面処理後のトナー母粒子及びシリカコートフェライトキャリア(PTK社製)を、キャリアに対するトナーの混合比率(T/C)が8重量%となるように混合して二成分現像剤を調製した。この二成分現像剤を図2に示した現像装置3aに投入し、図1に示すような第1実施形態の試験機に搭載して耐久試験(印字率5%のテスト画像を10,000枚連続印字)を行い、連続印字中に1分毎に出力を強制的に停止させて、酸化チタンのみが感光体ドラム側に移動するようなバイアスを3秒間印加した場合(実施例1〜8)、バイアスの設定を通常の出力時(MS間250V、SD間70V)から変更せず、印字中以外はバイアスの印加を停止した場合(比較例1〜8)、連続印字中に1分毎に出力を強制的に停止させてバイアスを印加するが、バイアスの設定が不適当であった場合(比較例9〜17)について、耐久試験後に1昼夜放置した後の感光体ドラム表面の付着物及び像流れの有無、並びに累計のトナー消費量を調査した。試験結果を酸化チタン及びトナー母粒子の組み合わせ、MS間バイアス及びSD間バイアスと合わせて表3〜表5に示す。
【0101】
現像ローラへの電圧印加条件は、Vslv(DC)=50V、Vslv(AC)のVppを1.5kV、周波数を4kHz、Duty=50%とした。また、磁気ローラにはVmag(DC)=250V、Vmag(AC)のVppを2.0kVとして逆位相で印加した。
【0102】
【表3】

【0103】
【表4】

【0104】
【表5】

【0105】
表3から明らかなように、負帯電性の酸化チタンA〜Cと正帯電性のトナー母粒子c、dとを組み合わせた実施例1〜3、5〜7では、通常の現像バイアスと逆極性(負)のバイアスをMS間及びSD間に印加することで、負帯電の酸化チタンA〜Cを感光体ドラム側に選択的に飛翔させてドラム表面の研磨に用いることができ、ドラム表面への放電生成物の付着や像流れを効果的に防止することができた。また、トナー消費量も実際の印字による消費量とほぼ等しい16g〜18g程度に抑えられた。
【0106】
さらに、正帯電性の酸化チタンDと正帯電性のトナー母粒子c、dとを組み合わせた実施例4、8においても、通常の現像バイアスと同極性(正)で且つ小さいバイアス(50V、30V)をMS間及びSD間に印加することで、実施例1〜3、5〜7と同様にドラム表面への放電生成物の付着や像流れを効果的に防止することができ、トナー消費量も抑えることができた。これは、酸化チタンDの帯電量(5.9μC/g)がトナー母粒子c、dの帯電量(33.1μC/g、17.6μC/g)よりも小さいため、同極性(正)で且つ小さい現像バイアスをMS間及びSD間に印加することで帯電量の小さい酸化チタンが優先的に感光体ドラム側に飛翔したためである。
【0107】
これに対し、表4から明らかなように、印字中以外はバイアスの印加を停止した比較例1〜8では、負帯電性の酸化チタンA〜Cはもちろん、正帯電性の小さい酸化チタンDも感光体ドラム側に飛翔せず、ドラム表面の研磨が十分に行われなかった、その結果、ドラム表面への放電生成物の付着や像流れが発生した。
【0108】
また、表5から明らかなように、正帯電性の大きい酸化チタンE、Fを用いた比較例9〜14では、通常の現像バイアスと同極性(正)で且つ小さいバイアス(50V、100V)をMS間に印加し、同極性(正)で且つ小さいバイアス若しくは逆極性のバイアス(30V、−50V)をSD間に印加しても酸化チタンE、Fが感光体ドラム側に飛翔せず、ドラム表面への放電生成物の付着や像流れが発生した。一方、MS間のバイアスを150Vまで増加した比較例15〜17では酸化チタンE、Fを感光体ドラム側に飛翔させることができたが、同時にトナー母粒子も飛翔するためトナー消費量が大幅に増加した。
【試験例2】
【0109】
試験例1と同様の方法によりトナー母粒子の表面処理を行い、図8に示した現像装置3に一成分現像剤として表面処理後のトナーを投入し、図7に示すような第2実施形態の試験機に搭載した。試験例1と同様に、酸化チタンのみが感光体ドラム側に移動するようなバイアスを3秒間印加した場合(実施例9〜16)、バイアスの設定を通常の出力時(SD間200V)から変更せず、印字中以外はバイアスの印加を停止した場合(比較例18〜25)、連続印字中に1分毎に出力を強制的に停止させてバイアスを印加するが、バイアスの設定が不適当であった場合(比較例26〜34)について、感光体ドラム表面の付着物及び像流れの有無、並びに累計のトナー消費量を調査した。試験結果を酸化チタン及びトナー母粒子の組み合わせ、SD間バイアスと合わせて表6〜表8に示す。
【0110】

【表6】

【0111】
【表7】

【0112】
【表8】

【0113】
表6から明らかなように、負帯電性の酸化チタンA〜Cと正帯電性のトナー母粒子c、dとを組み合わせた実施例9〜11、13〜15では、通常の現像バイアスと逆極性(負)のバイアスをSD間に印加することで、負帯電の酸化チタンA〜Cを感光体ドラム側に選択的に飛翔させてドラム表面の研磨に用いることができ、ドラム表面への放電生成物の付着や像流れを効果的に防止することができた。また、トナー消費量も実際の印字による消費量とほぼ等しい16g〜18g程度に抑えられた。
【0114】
さらに、正帯電性の酸化チタンDと正帯電性のトナー母粒子c、dとを組み合わせた実施例12、16においても、通常の現像バイアスと同極性(正)で且つ小さいバイアス(50V)をSD間に印加することで、トナー母粒子c、dよりも帯電量の小さい酸化チタンDを感光体ドラム側に優先的に飛翔させてドラム表面の研磨に用いることができ、実施例9〜11、13〜15と同様にドラム表面への放電生成物の付着や像流れを効果的に防止することができ、トナー消費量も抑えることができた。
【0115】
これに対し、表7から明らかなように、印字中以外はバイアスの印加を停止した比較例18〜25では、負帯電性の酸化チタンA〜Cはもちろん、正帯電性の小さい酸化チタンDも感光体ドラム側に飛翔せず、ドラム表面の研磨が十分に行われなかった、その結果、ドラム表面への放電生成物の付着や像流れが発生した。
【0116】
また、表8から明らかなように、正帯電性の大きい酸化チタンE、Fを用いた比較例26〜31では、通常の現像バイアスと同極性(正)で且つ小さい現像バイアス(50V、100V)をSD間に印加しても酸化チタンE、Fが感光体ドラム側に飛翔せず、ドラム表面への放電生成物の付着や像流れが発生した。一方、SD間のバイアスを150Vまで増加した比較例32〜34では酸化チタンE、Fを感光体ドラム側に飛翔させることができたが、同時にトナー母粒子も飛翔するためトナー消費量が大幅に増加した。
【試験例3】
【0117】
試験例1と同様の方法によりトナー母粒子の表面処理を行い、表面処理後のトナー及びアクリルコートフェライトキャリア(PTK社製)を、キャリアに対するトナーの混合比率(T/C)が8重量%となるように混合した二成分現像剤を図8に示した現像装置3に投入し、図7に示すような第2実施形態の試験機に搭載した。なお、感光体ドラム1として負帯電性のOPCドラムを用いた。試験例1と同様に、酸化チタンのみが感光体ドラム側に移動するようなバイアスを3秒間印加した場合(実施例17〜24)、バイアスの設定を通常の出力時(SD間−250V)から変更せず、印字中以外はバイアスの印加を停止した場合(比較例35〜42)、連続印字中に1分毎に出力を強制的に停止させてバイアスを印加するが、バイアスの設定が不適当であった場合(比較例43〜51)について、感光体ドラム表面の付着物及び像流れの有無、並びに累計のトナー消費量を調査した。試験結果を酸化チタン及びトナー母粒子の組み合わせ、SD間バイアスと合わせて表9〜表11に示す。
【0118】
【表9】

【0119】
【表10】

【0120】
【表11】

【0121】
表9から明らかなように、正帯電性の酸化チタンD〜Fと負帯電性のトナー母粒子a、bとを組み合わせた実施例17〜19、21〜23では、通常の現像バイアスと逆極性(正)の現像バイアスをSD間に印加することで、正帯電の酸化チタンA〜Cを感光体ドラム側に選択的に飛翔させてドラム表面の研磨に用いることができ、ドラム表面への放電生成物の付着や像流れを効果的に防止することができた。また、トナー消費量も実際の印字による消費量とほぼ等しい16g〜18g程度に抑えられた。
【0122】
さらに、負帯電性の酸化チタンCと負帯電性のトナー母粒子a、bとを組み合わせた実施例20、24においても、通常の現像バイアスと同極性(負)で且つ小さい現像バイアス(−50V)をSD間に印加することで、実施例17〜19、21〜23と同様にドラム表面への放電生成物の付着や像流れを効果的に防止することができ、トナー消費量も抑えることができた。
【0123】
これに対し、表10から明らかなように、印字中以外はバイアスの印加を停止した比較例35〜42では、正帯電性の酸化チタンD〜Fはもちろん、負帯電性の小さい酸化チタンCも感光体ドラム側に飛翔せず、ドラム表面の研磨が十分に行われなかった、その結果、ドラム表面への放電生成物の付着や像流れが発生した。
【0124】
また、表11から明らかなように、負帯電性の大きい酸化チタンA、Bを用いた比較例43〜48では、通常の現像バイアスと同極性(負)で且つ小さい現像バイアスをSD間に印加しても感光体ドラム側に飛翔せず、ドラム表面への放電生成物の付着や像流れが発生した。一方、SD間のバイアスを−150Vまで増加した比較例49〜51では酸化チタンA、Bを感光体ドラム側に飛翔させることができたが、同時にトナー母粒子も飛翔するためトナー消費量が大幅に増加した。
【0125】
以上の結果より、本発明では二成分現像方式、一成分現像方式のいずれにおいても、酸化チタン及びトナー母粒子の極性(帯電性)、並びに現像装置に印加するバイアスをコントロールすることで、感光体ドラム表面に外添剤のみを供給して研磨に用いることができ、画像形成装置の利便性やコストパフォーマンスを低下させることなく、放電生成物の付着や像流れ等の不具合を効果的に防止できることが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0126】
本発明は、像担持体に非接触で対向配置されるトナー担持体を備えた現像装置が搭載される画像形成装置に利用可能であり、非画像形成時に電圧印加手段を用いて像担持体上に酸化チタンが優先的に移動するバイアスをトナー担持体に印加することにより像担持体側へ酸化チタンのみを供給して像担持体表面を研磨するリフレッシュモードを実行可能としたものである。
【0127】
これにより、トナー担持体上にトナー母粒子を極力残したまま、感光層の研磨に必要な酸化チタンを優先的に像担持体表面に移動させ、研磨部材に供給してリフレッシュモードを実行できるため、印字動作以外での無駄なトナーの消費も少なく、放電生成物による感光層表面の汚れや表面摩擦係数の上昇も抑制可能となる。従って、長期間に亘って高画質な画像出力が可能であり、且つランニングコストも低い画像形成装置を提供することができる。
【符号の説明】
【0128】
1、1a〜1d 感光体ドラム(像担持体)
2、2a〜2d 帯電器
3、3a〜3d 現像装置
7、7a〜7d クリーニング部
27 磁気ローラ
29 現像ローラ(トナー担持体)
30 摺擦ローラ(研磨部材)
31 クリーニングブレード
41 バイアス制御回路(電圧印加手段)
42 現像バイアス電源(電圧印加手段)
90 制御部(制御手段)
100 カラープリンタ
101 モノクロプリンタ
P、Pa〜Pd 画像形成部
T トナー母粒子
G 酸化チタン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に感光層が形成される像担持体と、
該像担持体に非接触で対向配置されるとともにトナー母粒子と酸化チタンとを含むトナーを担持するトナー担持体を有する現像装置と、
前記像担持体表面に所定の圧力で圧接されるとともに前記像担持体表面を研磨する研磨部材と、
前記トナー担持体に所定の現像バイアスを印加することで前記像担持体上の静電潜像にトナーを付着させる電圧印加手段と、
該電圧印加手段によるバイアスの印加を制御する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、非画像形成時に前記電圧印加手段を用いて像担持体上に酸化チタンが優先的に移動するバイアスを前記トナー担持体に印加することにより、前記像担持体側へ酸化チタンを供給して前記像担持体表面を研磨するリフレッシュモードを実行可能とした画像形成装置。
【請求項2】
前記酸化チタンは前記トナー母粒子と帯電性が異極性であり、前記電圧印加手段はリフレッシュモードの実行時に現像バイアスと逆極性のバイアスを印加することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記酸化チタンは前記トナー母粒子と帯電性が同極性であり、且つ前記トナー母粒子よりも単位重量当たりの帯電量が小さく、前記電圧印加手段はリフレッシュモードの実行時に現像バイアスと同極性であり、且つ現像バイアスよりも小さいバイアスを印加することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記像担持体の感光層は、アモルファスシリコン感光層であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−169995(P2011−169995A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−31953(P2010−31953)
【出願日】平成22年2月17日(2010.2.17)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】