説明

画像形成装置

【課題】塗布ローラに処理液が供給されていない状態から動作を開始するとき、塗布ローラとスクイーズローラが線速差を持って回転すると、ローラ間でスリップせずにローラが損傷する.
【解決手段】用紙100を搬送する搬送ローラ235と、搬送ローラ235に対向して用紙100に処理液201を塗布する塗布ローラ232と、塗布ローラ232に処理液201を供給して液膜を薄くするスクイーズローラ233とを有し、処理液塗布時には塗布ローラ232とスクイーズローラ233が線速差を持って回転し、動作開始時には、スクイーズローラ233に設けたトルクリミッタ236により、塗布ローラ232とスクイーズローラ233が等速度で回転する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像形成装置に関し、特に処理液を塗布する装置を備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタ、ファクシミリ、複写装置、プロッタ、これらの複合機等の画像形成装置として、例えばインク液滴を吐出する記録ヘッドを用いた液体吐出記録方式の画像形成装置が知られている。この液体吐出記録方式の画像形成装置は、記録ヘッドからインク滴を、搬送される用紙(紙に限定するものではなく、OHPなどを含み、インク滴、その他の液体などが付着可能なものの意味であり、被記録媒体あるいは記録媒体、記録紙、記録用紙などとも称される。)に対して吐出して、画像形成(記録、印字、印写、印刷も同義語で使用する。)を行なうものであり、記録ヘッドが主走査方向に移動しながら液滴を吐出して画像を形成するシリアル型画像形成装置と、記録ヘッドが移動しない状態で液滴を吐出して画像を形成するライン型ヘッドを用いるライン型画像形成装置がある。
【0003】
なお、本願において、液体吐出方式の「画像形成装置」は、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックス等の媒体に液体を吐出して画像形成を行う装置を意味し、また、「画像形成」とは、文字や図形等の意味を持つ画像を媒体に対して付与することだけでなく、パターン等の意味を持たない画像を媒体に付与すること(単に液滴を媒体に着弾させること)をも意味する。また、「インク」とは、インクと称されるものに限るものではなく、吐出されるときに液体となるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、DNA試料、レジスト、パターン材料なども含まれる。また、「画像」とは平面的なものに限らず、立体的に形成されたものに付与された画像、また立体自体を3次元的に造形して形成された像も含まれる。また、「画像形成装置」には液体吐出方式のものに限らず、電子写真方式で画像形成を行なうものなども含まれるが、以下では液体吐出方式の画像形成装置で説明する。
【0004】
このような液体吐出方式の画像形成装置においては、色材を含むインクを液滴化して画像形成を行うために、液滴で形成されるドットがひげ状に乱れるフェザリング、異なる色のインク滴が隣接して用紙に打たれた場合に、各色が相互に混ざり合って色境界が不鮮明になるカラーブリード等の不具合が生じることがあり、更に印字後の紙上の液滴が乾くまでに時間がかかるという問題がある。
【0005】
そこで、従来から特許文献1に記載されているようにインクと反応して滲み防止を促す前処理液を塗布ローラで塗布したり、特許文献2に記載されているように前処理液を液体吐出ヘッドからミスト状に吐出させて塗布したりすることが行われる(その他、特許文献3も参照)。また、処理液を泡にして塗布する装置も知られている(特許文献4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−137378号公報
【特許文献2】特開2005−138502号公報
【特許文献3】特開2003−205673号公報
【特許文献4】特開2009−012394号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述したような処理液を塗布する装置において、被記録媒体を搬送する搬送ローラと、被記録媒体に処理液を塗布する塗布ローラと、塗布ローラに接し、塗布ローラ上の処理液の膜を薄くするスクイーズローラとを備え、塗布ローラの回転とスクイーズローラの回転に線速差を持たせて互いのローラをスリップさせることで、被記録媒体への処理液の塗布量を調節することが考えられる。
【0008】
しかしながら、塗布ローラに処理液が供給されていない状態から塗布装置の動作を開始するとき、スクイーズローラには処理液が付着していないために、塗布ローラとスクイーズローラを線速差を持たせて回転させると、ローラ間でスリップせずにローラが削れてしまい、ローラが損傷するおそれがある。
【0009】
一般的な塗布の場合には、この対策として処理液を供給し、塗布ローラとスクイーズローラ間に十分に行き渡ってから回転を開始する方法や、ローラ間を一旦離間させて処理液を加える方法がとられるが、紙等の記録媒体に塗布する処理液の場合は記録媒体表面に留めるために比較的高粘度の材料が多いため、ローラの回転動作なしではローラ全面に展延することが難しく、展延が完了するまでに処理液を大量に消費してしまうという問題がある。また同様に、ローラ間を離間させた状態では処理液をローラ軸方向に伸ばす力が働かずに展延ができないという問題もある。
【0010】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、塗布ローラとスクイーズローラとを線速差を持たせて回転させる場合でもローラの損傷を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するため、本発明に係る画像形成装置は、
被記録媒体に画像を形成する画像形成手段と、
前記被記録媒体に処理液を塗布する塗布装置と、を備え、
前記塗布装置は、
複数のローラを有し、
前記複数のローラは、少なくとも、前記被記録媒体を搬送する搬送ローラと、前記被記録媒体に処理液を塗布する塗布ローラと、前記塗布ローラに接し、前記塗布ローラの回転と線速差を持って回転され、前記塗布ローラ上に前記処理液の膜を形成するスクイーズローラとを含み、
前記塗布ローラに前記処理液がない状態で前記塗布ローラに前記処理液を供給する前記塗布装置の動作開始時に、前記塗布ローラと前記スクイーズローラとを等速度で回転させる
構成とした。
【0012】
ここで、前記塗布ローラ及び前記スクイーズローラの少なくともいずれかの回転トルクが予め定めた所定値以下になったことを検知した後に、線速差を持たせて前記塗布ローラと前記スクイーズローラとを回転させる構成とできる。
【0013】
また、前記塗布ローラと前記スクイーズローラの接触部の上方に溜まった前記処理液の液面が所定位置に達したことを検知した後、線速差を持たせて前記塗布ローラと前記スクイーズローラとを回転させる構成とできる。
【0014】
また、前記塗布ローラに前記処理液を補給するときには、前記塗布ローラと前記スクイーズローラとを等速度で回転させる構成とできる。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る画像形成装置によれば、塗布ローラに処理液がない状態で塗布ローラに処理液を供給する塗布装置の動作開始時に、塗布ローラとスクイーズローラとを等速度で回転させる構成としたので、塗布ローラとスクイーズローラに線速差を持たせて塗布量を調節するようにした場合でも、ローラの損傷を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1実施形態に係る画像形成装置の一例を示す全体構成図である。
【図2】同装置の塗布部の模式的側面説明図である。
【図3】本発明の第2実施形態における塗布装置の塗布部の模式的側面説明図である。
【図4】同じく平面説明図である。
【図5】第1実施形態における印刷動作の説明に供するフロー図である。
【図6】図5に続く画像出力動作の説明に供するフロー図である。
【図7】図5に続く塗布なし印字モードの説明に供するフロー図である。
【図8】第2実施形態における印刷動作の説明に供するフロー図である。説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して説明する。まず、本発明の第1実施形態に係る画像形成装置の一例について図1を参照して説明する。なお、図1は同画像形成装置の全体構成図である。
この画像形成装置は、被記録媒体である用紙100に液滴を吐出して画像を形成する画像形成手段としての記録ヘッドユニット101と、用紙100を搬送する搬送ベルト102と、用紙100を収容する給紙トレイ103と、記録ヘッドユニット101よりも用紙搬送方向上流側で被塗布部材である用紙100に処理液を塗布する塗布装置200とを備えている。
【0018】
記録ヘッドユニット101は、液滴を吐出する複数のノズルを用紙幅相当分の長さに配列したノズル列を有するライン型液体吐出ヘッドから構成され、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のインク滴を記録ヘッド101y、101m、101c、101kを備えている。なお、シリアル型画像形成装置として記録ヘッドをキャリッジに搭載する構成とすることもできる。
【0019】
搬送ベルト102は、無端状ベルトであり、搬送ローラ121とテンションローラ122との間に掛け渡されて周回するように構成している。この搬送ベルト102に対する用紙100の保持は、例えば静電吸着、空気の吸引による吸着などを行う構成とすることやその他の公知の搬送手段を用いることができる。また、ローラ対による搬送手段を用いることもできる。
【0020】
給紙トレイ103に収容された用紙100はピックアップローラ131で1枚ずつ分離給紙されて搬送ローラ対132によってレジストローラ対133に送られ、レジストローラ対133から所定のタイミングで搬送ローラ対134によって搬送路135を介して塗布装置200に送られ、塗布装置200で処理液が塗布されて搬送ベルト102上に送り込まれて保持される。
【0021】
そして、搬送ベルト102の周回移動で搬送されてヘッドユニット101から各色の液滴が吐出されて画像が形成され、その後排紙トレイ104に排出される。
【0022】
塗布装置200は、処理液201を収容した容器202と、この容器202から処理液201を圧送するポンプ203と、ポンプ203で供給路204を介して供給された処理液201を被記録媒体である用紙100に塗布する塗布部208とを備えている。
【0023】
ここで、処理液201は、用紙100の表面に塗布することで用紙100の表面を改質する改質材である。例えば、処理液201は、予め用紙100(前述したように材質としての紙に限定されない。)にムラなく塗布しておくことで、インクの水分を速やかに用紙100に浸透させると共に色成分を増粘させ、更には乾燥も早めることによって滲み(フェザリング、ブリーディング等)や裏抜けを防止し、生産性(単位時間当たりの画像出力枚数)をあげることを可能にする定着剤(セット剤)である。
【0024】
この処理液201は、組成的には、例えば界面活性剤(アニオン系、カチオン系、ノニオン系のいずれか、若しくはこれらを2種類以上混合させたもの)に対して、水分の浸透を促進するセルロース類(ヒドロキシプロピルセルロース等)とタルク微粉体の様な基剤を加えた溶液等を挙げることができる。更に微粒子を含有することもできる。
【0025】
次に、塗布装置200の塗布部208の詳細について図2を参照して説明する。なお、図2は同塗布部の模式的側面説明図である。
塗布部208は、用紙100を搬送する搬送ローラ235と、搬送ローラ235に対向して用紙100に処理液201を塗布する塗布ローラ232と、塗布ローラ232に処理液201を供給して液膜(処理液201の膜)を薄くするスクイーズローラ233とを有している。なお、各ローラの回転方向は図2の矢示方向である。
【0026】
これらのローラは、搬送ローラ235に塗布ローラ232が接し、塗布ローラ232にスクイーズローラ233が接して配置されている。
【0027】
このように構成したので、図2にも示すように、塗布装置200によって用紙100に処理液201を塗布するときには、スクイーズローラ233が矢示方向に回転することで、液トレイ234内の処理液201がスクイーズローラ233の表面ですくい上げられ、液膜層201aの状態でその回転によって移送され、スクイーズローラ233と塗布ローラ232との谷部分(接触部:ニップ部)上に溜まる(処理液201b)。
【0028】
ここで、スクイーズローラ233と塗布ローラ232は一定の加圧力で接しており、谷部分に溜められた処理液201bは両ローラ233、232の間を通過する際に圧力でしごかれ、処理液201の液膜層201cが形成されて塗布ローラ232の回転によって搬送ローラ235側に移送される。
【0029】
塗布ローラ232で移送される液膜層201cは図2では図示を省略する用紙100に塗布される。
【0030】
このとき、塗布ローラ232とスクイーズローラ233に線速差を持たせることで、塗布量を調節することができる。
【0031】
また、スクイーズローラ233はトルクリミッタ236を備えている。このトルクリミッタ236は、スクイーズローラ233にかかるトルクが予め定めた値を超えたときにトルクをキャンセルして、塗布ローラ232とスクイーズローラ233とを等速度で回転させ、トルクが予め定めた値以下に達したときには、そのトルクをキャンセルしないで、塗布ローラ232とスクイーズローラ233との間に線速差があってもスクイーズローラ233を、線速差を持たせたまま回転させる。
【0032】
ここで、塗布装置200のスクイーズローラ233に処理液201が供給されていない状態から処理液201の供給を開始する動作開始時(起動時)は、塗布ローラ232とスクイーズローラ233がスリップし難いので、2つのローラ232、233間にトルクが発生する。このとき、トルクリミッタ236によってそのトルクがキャンセルされるので、2つのローラ232、233は等速度で回転し始める。これにより、起動時に2つのローラ232、233がスリップしないために生じるローラの損傷が防止される。
【0033】
その後、スクイーズローラ233と塗布ローラ232の間に液膜が形成されると、2つのローラ232、233はスリップするようになり、所定のトルク以下になるため、トルクリミッタ236が解除されて、2つのローラ232、233は設定された線速差で回転することになる。
【0034】
このように、塗布ローラに処理液がない状態で塗布ローラに処理液を供給する塗布装置の動作開始時に、塗布ローラとスクイーズローラとを等速度で回転させる構成とすることで、塗布ローラとスクイーズローラに線速差を持たせて塗布量を調節するようにした場合でも、ローラの損傷を防止することができる。
【0035】
次に、本発明の第2実施形態について図3及び図4を参照して説明する。なお、図3は同実施形態における塗布装置の塗布部の模式的説明図、図4は同じく平面説明図である。 ここでは、駆動モータ238の回転を、ギヤ239c、239dを介して塗布ローラ232に伝達するとともに、ギヤ239c、239b、239aを介してスクイーズローラ233に伝達している。
【0036】
そして、スクイーズローラ232のギヤ239aにはクラッチ237を設けて、クラッチ237をON(有効)/OFF(無効)することで、ギヤ239dをスクイーズローラ233に対してロックし(ON状態)、あるいはフリー状態にする(オフ状態)ことができる。
【0037】
また、ギヤ239dとギヤ239bの歯数(ギヤ比)は、スクイーズローラ233が回転するときに、スクイーズローラ233の回転速度と塗布ローラ232の回転速度で所定の線速差が生じる歯数に設定されている。
【0038】
ここで、クラッチ237のオン/オフ制御は、スクイーズローラ232が所定の回転をしたとき、例えば、所定の回転角度に達したとき、あるいは、スクイーズローラ233と塗布ローラ232の接触部に溜まる処理液201bの液面が所定の位置に達したことを検知したときに、オフからオンに切り替える。
【0039】
このように構成したので、塗布装置の起動時(動作開始時)には、クラッチ237をオフ状態にしてスクイーズローラ233を自由回転可能な状態にする。ここで、駆動モータ238が駆動されていることで、ギヤ239c、239dを介して塗布ローラ232が回転し、この塗布ローラ232に接触しているスクイーズローラ233は、塗布ローラ232に従動して回転するので、起動時(動作開始時)には2つのローラ232、233は等速度で回転を始める。
【0040】
これにより、起動時に2つのローラ232、233がスリップしないために生じるローラの損傷が防止される。
【0041】
そして、スクイーズローラ233が所定の回転をした後、クラッチ237をオン状態にすることで、ギヤ239aがスクイーズローラ233に対してロックされ、駆動モータ238から伝達されてきた動力がスクイーズローラ233に伝わり、ギヤ239dとギヤ239bのギヤ比設定により、スクイーズローラ233と塗布ローラ232が線速差を持って回転する。このときには処理液201が塗布ローラ232に補給されているので、スリップを生じ、ローラの損傷は発生しない。
【0042】
次に、前記第1実施形態における印刷処理の一例について図5ないし図7に示すフロー図を参照して説明する。
図5を参照して、画像出力要求を受信したときに、処理液(セット剤)塗布機能が有効に設定されているか否かを判別する。
【0043】
そして、処理液塗布機能が有効設定であるときには、液トレイ234内に所定量以上の処理液201が入っているか否かを判別する。このとき、液トレイ234内に所定量以上の処理液201が入っていなければ、ポンプ203を駆動して容器(タンク)202から処理液201を液トレイ234内に補給した後、また、所定量以上の処理液201が入っていれば、そのまま、塗布部208の動作を開始する。
【0044】
そして、塗布部208の塗布ローラ232とスクイーズローラ233の回転を開始する。このとき、スクイーズローラ233は塗布ローラ235に対して線速差をもって回転するように設定されているが、スクイーズローラ233に処理液201の液膜が形成されていない起動時には、2つのローラ232、233が互いにグリップし合うことで、トルクが発生する。このときのトルクの値Aに対してトルクリミッタ236には規定値Bが設定されている。ローラ233、232の回転初期は、A>Bとなり、トルクリミッタ236が起動するため、スクイーズローラ233は塗布ローラ232と等速度で回転を開始する。
【0045】
その後、スクイーズローラ233に液膜が形成され、塗布ローラ232とスリップを始めると、2つのローラ233、232間のトルク値Aが減少してきて、トルクリミッタ236に設定されている規定値(規定トルク値)Bを下回る(A≦B)ようになる。これにより、トルクリミッタ236が解除され、スクイーズローラ233は設定された線速度で回転するようになり、スクイーズローラ233と塗布ローラ232は線速差を持って回転する。
【0046】
その後、図6に示す処理に移行して画像出力動作を開始する。画像出力動作では、給紙部(給紙トレイ103)からの被記録媒体(用紙)100の給紙を行って搬送ベルト102に被記録媒体100を送り込み、塗布ローラ232によって被記録媒体100上に処理液201を塗布し、当該被記録媒体100の先端がヘッドユニット101による印字位置に到達したときから印字動作を開始する。そして、印字が終了した被記録媒体100を排紙した後、印字枚数分の印字が終了するまで上記給紙からの処理を繰り返し、所定の印字枚数に達したら印字を終了する。
【0047】
一方、図5において、例えば特別な被記録媒体を使用することで処理液を塗布する必要がない場合などには処理液塗布機能が無効に設定されるので、図7に示す塗布なし印字モードに移行して、処理液201の塗布なしでの印字を行う。この塗布なし印字モードでは、給紙部(給紙カセット103)からの被記録媒体(用紙)100の給紙を行って搬送ベルト102に被記録媒体100を送り込み、当該被記録媒体100の先端がヘッドユニット101による印字位置に到達したときから印字動作を開始する。そして、印字が終了した被記録媒体100を排紙した後、印字枚数分の印字が終了するまで上記給紙からの処理を繰り返し、所定の印字枚数に達したら印字を終了する。
【0048】
次に、前記第2実施形態における印刷処理の一例について図8に示すフロー図を参照して説明する。
まず、前記第1実施形態の印刷処理と同様に、画像出力要求を受信したときに、処理液(セット剤)塗布機能が有効に設定されているか否かを判別する。
【0049】
そして、処理液塗布機能が有効設定であるときには、液トレイ234内に所定量以上の処理液201が入っているか否かを判別する。このとき、液トレイ234内に所定量以上の処理液201が入っていなければ、ポンプ203を駆動して容器202から処理液201を液トレイ234内に補給した後、また、所定量以上の処理液201が入っていれば、そのまま、塗布部208の動作を開始する。
【0050】
そして、塗布部208の塗布ローラ232とスクイーズローラ233の回転を開始する。このとき、前記第2実施形態で説明したように、回転初期ではクラッチ237がOFF状態にされているので、スクイーズローラ233は塗布ローラ232に連れ回りするので、スクイーズローラ233は塗布ローラ232と等速度で回転を開始する。
【0051】
その後、スクイーズローラ233と塗布ローラ232との接触部に処理液201bが溜まり、液面が所定の位置に達したときに、クラッチ237をON状態にする。これにより、スクイーズローラ233がギヤ列から伝わってきた駆動力で回転し始め、スクイーズローラ233と塗布ローラ232は線速差を持って回転する。
【0052】
なお、その後の画像出力動作及び処理液塗布有効設定が無効のときの塗布なし印字モードは前記図6及び図7で説明したのと同様であるので、説明を省略する。
【0053】
なお、上記実施形態では処理液塗布装置が画像形成前の用紙に対して処理液を塗布する構成で説明しているが、記録ヘッドユニットの下流側で画像形成が行われた用紙上に処理液を塗布する構成とすることもできる。
【0054】
また、本発明に係る画像形成装置は、例えば電子写真方式の画像形成装置にも適用することができる。例えば、紙等の媒体上のトナー等の樹脂を含有する微粒子を乱すことなく、かつ当該樹脂微粒子を付着した媒体に定着液を塗布後は素早く樹脂微粒子の媒体への定着が行われ、更に媒体に残油感が発生しない程度の微量塗布が可能な樹脂微粒子の定着液を用いた、定着方法及び定着装置、並びに画像形成方法及び画像形成装置にも適用できる。
【符号の説明】
【0055】
100 被記録媒体(用紙)
101 記録ヘッドユニット
102 搬送ベルト
103 給紙トレイ
200 処理液塗布装置
201 処理液
208 塗布部
232 塗布ローラ
233 スクイーズローラ
235 搬送ローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被記録媒体に画像を形成する画像形成手段と、
前記被記録媒体に処理液を塗布する塗布装置と、を備え、
前記塗布装置は、
複数のローラを有し、
前記複数のローラは、少なくとも、前記被記録媒体を搬送する搬送ローラと、前記被記録媒体に処理液を塗布する塗布ローラと、前記塗布ローラに接し、前記塗布ローラの回転と線速差を持って回転され、前記塗布ローラ上に前記処理液の膜を形成するスクイーズローラとを含み、
前記塗布ローラに前記処理液がない状態で前記塗布ローラに前記処理液を供給する前記塗布装置の動作開始時に、前記塗布ローラと前記スクイーズローラとを等速度で回転させる
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記塗布ローラ及び前記スクイーズローラの少なくともいずれかの回転トルクが予め定めた所定値以下になったことを検知した後、線速差を持たせて前記塗布ローラと前記スクイーズローラとを回転させることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記塗布ローラと前記スクイーズローラの接触部の上方に溜まった前記処理液の液面が所定位置に達したことを検知した後、線速差を持たせて前記塗布ローラと前記スクイーズローラとを回転させることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記塗布ローラに前記処理液を補給するときには、前記塗布ローラと前記スクイーズローラとを等速度で回転させることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−173320(P2011−173320A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−38988(P2010−38988)
【出願日】平成22年2月24日(2010.2.24)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】