説明

画像形成装置

【課題】トレイの破損を抑制しつつ、使用者の意図しない接触によっても延長板の突出位置を保つことができるトレイを備える画像形成装置を提供する。
【解決手段】筐体と、筐体から突出する第1位置と筐体に近接する第2位置との間で回動可能に取り付けられるトレイと、を備え、トレイは、第1回動部が形成された第1基端部を有する基台板と、第2回動部が形成された第2基端部を有する載置台と、基台板に沿って移動可能な延長板と、を含み、基台板は、先端部に向かう延長板の移動を妨げるとともに延長板を基台板の先端部から突出した突出位置に保持するストッパを含み、突出位置に保持された延長板は基台板から離間した離間位置に存し、トレイが第1位置から第2位置に回動されるとき、載置台の先端部は、基台板に向かう力を延長板に加え、ストッパによる延長板の保持を解除することを特徴とする画像形成装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筐体外からシートを供給するためのトレイを備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
コピー機、プリンタ、ファクシミリ装置やこれらの機能を備える複合機といった画像形成装置は、多くの場合、画像形成装置の筐体外から筐体内へ送り込まれるシートを支持するトレイを備える。トレイは、筐体内に配設されるカセットと較べて、簡単なシートの設置を使用者に提供することができる。
【0003】
多くの場合、トレイは、画像形成装置の筐体に回動可能に取り付けられる。トレイが使用されていない間、トレイは、筐体の外面に沿う位置に配設される。トレイが使用されるとき、筐体から突出した位置に配設される。このような回動式のトレイは、不使用時における画像形成装置の省スペース化に寄与する。
【0004】
いくつかの画像形成装置が備えるトレイは、延長板を備える。延長板は、トレイに入れ子式に組み込まれ、トレイの伸縮を可能にする(例えば、特許文献1参照)。伸縮式のトレイは、必要に応じて、延長板をトレイ本体から引き出す構造であるので、不使用時において、画像形成装置の筐体からのトレイの突出量を比較的小さくすることが可能である。また、筐体の外面に沿う位置に配設されるときのトレイの寸法が低減されるので、伸縮式のトレイは画像形成装置全体の小型化に貢献する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−312904号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
伸縮式のトレイは、上述の如く、省スペース化及び画像形成装置の小型化に貢献するが、いくつかの課題を有する。例えば、使用者の誤操作に起因して、伸長されたトレイが画像形成装置の筐体に沿う位置に回動されると、トレイの延長板が画像形成装置の筐体に衝突し、トレイ及び/又は筐体が破損される可能性がある。
【0007】
トレイ及び/又は筐体の破損を回避するために、画像形成装置の筐体に沿う位置にトレイが回動されると、延長板の自重によって、自動的に、トレイが短縮するように設計されることも考えられる。このような設計によれば、トレイ及び/又は筐体の破損は抑制されるが、使用者が意図せず延長板に接触した場合には、延長板がトレイ本体内に収容されることとなる。この結果、トレイ上のシートに対する支持が不十分になり、トレイからのシートの落下及び/又は画像形成装置の筐体内でのシートの搬送不良が引き起こされることとなる。
【0008】
本発明は、上記の問題を解決するためになされたものであり、使用者の誤操作に起因するトレイ及び/又は筐体の破損を抑制しつつ、使用者の意図しない接触によっても延長板の突出位置を保つことができるトレイを備える画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一局面に係る画像形成装置は、シートに画像を形成する画像形成部を収容する筐体と、前記筐体から突出するとともに前記画像形成部へ供給される前記シートが載置される第1位置と該第1位置よりも前記筐体に近接する第2位置との間で回動可能に前記筐体に取り付けられるトレイと、を備え、該トレイは、前記筐体に回動可能に接続される第1回動部が形成された第1基端部を有する基台板と、前記第2位置において前記シートが載置されるとともに前記筐体に回動可能に接続される第2回動部が形成された第2基端部を有する載置台と、前記基台板に沿って移動可能な延長板と、を含み、前記基台板は、前記基台板の先端部に向かう前記延長板の移動を妨げるとともに前記延長板を前記基台板の先端部から突出した突出位置に保持するストッパを含み、前記突出位置に保持された前記延長板は前記基台板から離間した離間位置に存し、前記トレイが前記第1位置から前記第2位置に回動されるとき、前記載置台の先端部は、前記基台板に向かう力を前記延長板に加え、前記ストッパによる前記延長板の保持を解除することを特徴とする(請求項1)。
【0010】
上記構成によれば、筐体から突出する第1位置にあるトレイに載置されたシートは筐体に収容された画像形成部による画像形成処理を受けることとなる。トレイは画像形成装置の筐体に近接する第2位置に回動される。この結果、トレイが使用されていない間の画像形成装置の省スペース化が図られることとなる。トレイは、第1回動部を介して筐体に回動可能に接続される基台板と、第2回動部を介して筐体に接続される載置台とを含む。トレイが第2位置にあるとき、載置台上にシートが載置される。基台板は第1回動部を軸にして回動し、載置台は第2回動部を軸にして回動する。この結果、基台板と載置台は互いに異なる回転軌跡を描きながら回動することとなる。延長板は基台板に沿って移動可能である。基台板の先端部へ向かう延長板の移動は、基台板のストッパによって妨げられる。ストッパは、延長板を基台板の先端部から突出した突出位置に保持する。したがって、使用者が意図せず延長板に接触したときに、ストッパは延長板を突出位置に留める役割を担う。突出位置において、延長板は基台板から離間する。トレイが第1位置から第2位置に回動されるとき、上述の如く、基台板及び載置板は互いに異なる回転軌跡を描いて回動するので、載置台の先端部は基台板に向かう力を延長板に加えることとなる。この結果、延長板は基台板に近接する位置に戻され、ストッパによる延長板の保持が解除される。かくして、延長板が基台板及び/又は載置板の基端部に向けて移動することとなる。したがって、使用者が誤操作により、延長板を突出位置に配設したままトレイを第2位置に回動させても、延長板は筐体に衝突せず、トレイ及び/又は筐体の破損が抑制されることとなる。
【0011】
上記構成において、前記ストッパは、第1挟持部と、該第1挟持部に隣接して配設される第2挟持部と、を含み、前記延長板は、前記突出位置において、前記第1挟持部及び前記第2挟持部のうち少なくとも一方を弾性変形させつつ、前記第1挟持部と前記第2挟持部との間に嵌入される嵌入片を備えることが好ましい(請求項2)。
【0012】
上記構成によれば、第1挟持部及び第2挟持部のうち少なくとも一方が弾性変形しつつ、延長板の嵌入片を挟持するので、延長板は突出位置に、しっかりと保持されることとなる。したがって、使用者が意図せず延長板に接触したときに、ストッパは延長板を突出位置に留める役割を好適に担うこととなる。
【0013】
上記構成において、前記第2挟持部は、前記突出位置に向けて移動する前記延長板を前記基台板に近接した近接位置から前記離間位置に案内するように傾斜して形成されることが好ましい(請求項3)。
【0014】
上記構成によれば、突出位置に向けて移動する延長板は、第2挟持部によって、基台板に近接した近接位置から、基台部から離間した離間位置に好適に案内されることとなる。
【0015】
上記構成において、前記基台板は、前記延長板に対向する主面から突出する側壁を含み、該側壁には、前記延長板の移動方向に沿うスリットが形成され、前記載置台は、前記スリットに挿入されるボスを含み、前記第1位置から前記第2位置に向けて前記トレイが移動されるとき、前記ボスは前記スリットに沿って移動可能であることが好ましい(請求項4)。
【0016】
上記構成によれば、延長板に対向する周面から突出する基台板の側壁に形成されたスリットに載置台のボスが挿入されることによって、基台板と載置台とが連結される。第1位置から第2位置に向けてトレイが移動するとき、延長板の移動方向に沿うスリットが形成されるので、基台板に対する載置台の回動軌跡が一定になる。したがって、載置台はストッパによる延長板の保持を好適に解除することが可能となる。
【0017】
上記構成において、前記突出位置に存する前記延長板の基端部は、前記載置台の前記先端部に近接する位置に配設されることが好ましい(請求項5)。
【0018】
上記構成によれば、基台部へ向かう力はストッパに近接する延長板の基端部に加えられるので、延長板の撓み変形の影響をほとんど受けることなく、載置台はストッパによる延長板の保持を解除することができる。
【0019】
上記構成において、前記載置台の前記先端部は、前記シートの幅方向に延びる先端縁と、該先端縁よりも前記基台板の前記先端部に向けて突出する押圧片と、を含み、該押圧片は、前記基台板に向かう前記力を前記突出位置に存する前記延長板の前記基端部に加えることが好ましい(請求項6)。
【0020】
上記構成によれば、載置台の先端部を形成する先端縁から突出する押圧片を用いるので、押圧片から延長板に集中的に、基台板へ向かう力を加えることが可能となる。したがって、載置台はストッパによる延長板の保持を好適に解除することができる。
【0021】
上記構成において、前記押圧片の縁部は、前記突出位置に存する前記延長板の前記基端部と接触可能に形成されるとともに、前記主面の法線に対し前記延長板の前記基端部との接触点から前記基台板に向けて前記第1基端部の方向へ傾斜する傾斜縁を含み、前記トレイが前記第1位置から前記第2位置に向けて回動されるとき、前記ボスは、前記基台板の前記先端部に向けて移動し、前記傾斜縁は、前記突出位置に存する前記延長板の前記基端部に接触し、前記基台板に向かう前記力を前記延長板の前記基端部に加えることが好ましい(請求項7)。
【0022】
上記構成によれば、押圧片の縁部は、傾斜縁を含む。傾斜縁は、突出位置に存する延長板の基端部と接触可能に形成される。また、傾斜縁は、主面の法線に対し延長板の基端部との接触点から基台板に向けて第1基端部の方向へ傾斜する。トレイが第1位置から第2位置に向けて回動されるとき、ボスは、基台板の先端部に向けて移動する。この結果、傾斜縁は、突出位置に存する延長板の基端部に接触する。押圧片の傾斜縁は、上述の如く、主面の法線に対し延長板の基端部との接触点から基台板に向けて第1基端部の方向へ傾斜するので、基台板に向かう力を延長板の基端部に好適に加えることとなる。
【0023】
上記構成において、前記押圧片は、前記ストッパに近接する位置に配設されることが好ましい(請求項8)。
【0024】
上記構成によれば、ストッパに近接する押圧片によって、延長板に集中的に基台板へ向かう力を加えることができるので、延長板の撓み変形の影響をほとんど受けることなく、載置台はストッパによる延長板の保持を解除することができる。
【0025】
上記構成において、前記側壁は、前記主面と協働して前記嵌入片を収容する空間を形成する収容壁を含み、該収容壁の少なくとも一部は前記第1挟持部を形成し、前記第2挟持部は前記主面から前記第1挟持部に向けて延びるとともに、前記突出位置にある前記延長板の前記嵌入片により押圧され弾性変形することが好ましい(請求項9)。
【0026】
上記構成によれば、収容壁と主面とで形成される空間内に嵌入片が収容されるので、延長板の移動範囲が収容壁及び主面との間の空間によって定められることとなる。主面から第1挟持部に向けて延びる第2挟持部は、突出位置にある延長板の嵌入片により押圧され弾性変形する。かくして、第1挟持部及び第2挟持部は、嵌入片をしっかりと保持することとなる。したがって、使用者が意図せず延長板に接触したときに、ストッパは延長板を突出位置に留める役割を好適に担うこととなる。
【0027】
上記構成において、前記基台部は、前記突出位置に向けて移動する前記延長板の先端部と接触しつつ前記延長板を前記離間位置に案内するとともに前記突出位置にある前記延長板を前記離間位置で支持する案内片を含むことが好ましい(請求項10)。
【0028】
上記構成によれば、延長板は案内片によって好適に離間位置で支持されることとなる。したがって、延長板は、載置台とともに好適にシートを支持することが可能となる。
【0029】
上記構成において、前記第1位置に存する前記トレイは、前記筐体に向けて下方に傾斜することが好ましい(請求項11)。
【0030】
上記構成によれば、使用者がストッパによる延長板の保持を解除すると、延長板の自重により、延長板は基台板及び/又は載置台の基端部に向かう力が加わることとなる。したがって、トレイの短縮が効率よく行われることとなる。
【0031】
上記構成において、前記トレイは、前記第1位置から前記第2位置に上方に回動することが好ましい(請求項12)。
【0032】
上記構成によれば、第1位置から第2位置にトレイを回動させるとき、延長板に加わる重力によって、延長板は基台板及び/又は載置台の基端部に向かい、トレイが好適に短縮されることとなる。
【発明の効果】
【0033】
本発明は、使用者の誤操作に起因するトレイ及び/又は筐体の破損を抑制しつつ、使用者の意図しない接触によっても延長板の突出位置を保つことができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の一実施形態に係る画像形成装置を概略的に示す外観斜視図である。
【図2】図1に示される画像形成装置の内部構造を概略的に示す図である。
【図3】図1に示される画像形成装置のトレイの斜視図である。
【図4】図1に示される画像形成装置のトレイの斜視図である。
【図5】図3及び図4に示されるトレイの基台板の斜視図である。
【図6】図3及び図4に示されるトレイの載置台の斜視図である。
【図7】図3及び図4に示されるトレイの延長板の斜視図である。
【図8】第1位置にあるトレイの断面図である。
【図9】図8に示されるトレイの収容空間の構造を示す拡大断面図である。
【図10】第1位置にあるトレイの断面図である。
【図11】図10に示されるトレイの押圧片周囲の拡大断面図である。
【図12】第1位置から第2位置へ向かう途中のトレイの断面図である。
【図13】図12に示されるトレイの押圧片周囲の拡大断面図である。
【図14】第1位置から第2位置へ向かう途中のトレイの断面図である。
【図15】図14に示されるトレイの収容空間の構造を示す拡大断面図である。
【図16】第1位置にあるトレイの断面図である。
【図17】第1位置にあるトレイの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、図面を参照しつつ、本発明の一実施形態について説明する。尚、以下の説明で用いられる「上」、「下」、「左」や「右」などの方向を表す用語は、単に、説明の明瞭化を目的とするものであり、何ら本発明を限定するものではない。また、以下の説明において、「シート」との用語は、コピー用紙、コート紙、OHPシート、厚紙、葉書、トレーシングペーパや画像形成処理を受ける他のシート材料を意味する。「シートの幅方向」との用語はシートの搬送方向に対して直交する方向を意味する。「シートの先頭縁」との用語は、シートの搬送方向において、先頭に位置するシートの縁を意味する。以下の説明で用いられる「上流」、「下流」及びこれらに類する用語は、シートの搬送方向における「上流」、「下流」及びこれらに類する概念を意味する。
【0036】
図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置の外観斜視図である。尚、図1の画像形成装置は、プリンタであるが、他の実施形態において、コピー機、ファクシミリ、これらの機能を備える複合機やシートに画像を形成可能な他の装置であってもよい。
【0037】
画像形成装置1は、略直方体形状の筐体2と、筐体2の正面側に突出するトレイ600と、トレイ600の下方に配設されるカセット300とを備える。筐体2は、シートに画像を形成するのに必要な様々な機器(例えば、後述される画像形成部を構成する要素)を収容する。トレイ600は、筐体2に回動可能に取り付けられる。以下の説明において、筐体2の正面側に突出するトレイ600の位置は、便宜的に、第1位置と称される。使用者は、第1位置に存するトレイ600上に、筐体2内の画像形成部によって画像形成処理を施与されるシートを載置することができる。第1位置に存するトレイ600は、筐体2に向けて下方に傾斜している。筐体2の正面壁には、凹領域21が形成される。使用者は、第1位置に存するトレイ600を上方に回動させ、筐体2に近接させると、トレイ600は凹領域21に収容されることとなる。以下の説明において、凹領域21内に収容されるトレイ600の位置は、便宜的に、第2位置と称される。第2位置に存するトレイ600は、筐体2の前面の一部を形成する。凹領域21内に形成された位置決め部26は、トレイ600を第2位置に好適に保持する。位置決め部26に対して、トレイ600を筐体2の壁面に沿う位置に保持する任意の機構が採用される。
【0038】
カセット300は、筐体2に対して、挿脱可能に形成される。使用者は、カセット300を筐体2から正面側に引き抜き、カセット300内にシートを収容することができる。カセット300内に所望のシートを収容した後、使用者はカセット300を筐体2内に挿入することができる。以下の説明において、トレイ600に載置されたシートは第1のシートと便宜的に称され、カセット300内に収容されたシートは、第2のシートと便宜的に称される。画像形成装置1は、第1のシート及び第2のシートを画像形成部に選択的に搬送し、シートにトナー画像を形成することができる。
【0039】
トレイ600の上方に操作パネル22が配設される。使用者は、操作パネル22を操作し、画像形成装置1の所望の動作をさせることができる。操作パネル22は、例えば、トナー画像の濃さを調節するためのボタンを含んでもよい。画像形成装置1は、操作パネル22への使用者による入力及び外部装置(例えば、パーソナルコンピュータ)から送られる画像信号(印刷対象となる画像に関する情報を含む信号)に従って、シートにトナー画像を形成する。
【0040】
トレイ600又はカセット300から給紙されたシートは、画像形成部によってトナー画像の形成がなされた後、筐体2の上面に形成された排紙トレイ23上に排出されることとなる。排紙トレイ23の上側には、略三角柱状の空間が形成され、当該空間内に画像形成処理が施与されたシートが蓄積されることとなる。
【0041】
図2は、画像形成装置1の内部構造を概略的に示す。図2と併せて、図1を参照しつつ、画像形成装置1が更に説明される。
【0042】
トレイ600又はカセット300から搬送されたシートは、筐体2内で形成された搬送路に案内されつつ、シートにトナー画像を形成する画像形成部410及びトナー画像をシートに定着させる定着部430へ搬送される。その後、シートは、排出部450を通じて、排紙トレイ23上に排出される。
【0043】
搬送路は、第1シートを筐体2内へ引き込み、画像形成部410に給紙する給紙構造体520を上流端として、筐体2の背面壁24に向けて延びる第1給紙搬送路530と、第1給紙搬送路530の下方に位置するカセット300の下流端(図2中、右端)から上方に向けて延びる第2給紙搬送路310とを含む。第1給紙搬送路530及び第2給紙搬送路310は、画像形成部410の画像形成工程とタイミングを合わせて、画像形成部410にシートを送るレジストローラ対320の上流で合流する。
【0044】
搬送路は更に、レジストローラ対320から定着部430までの区間、シートを案内する主搬送路330と、定着部430から排出部450までの区間、シートを案内する排出搬送路340とを含む。主搬送路330に沿って移動するシートに画像形成部410はトナー画像を形成し、定着部430は、シートにトナー画像を定着させる。使用者が片面印刷を画像形成装置1にさせるとき、定着部430から排出搬送路340へ送り出されたシートを排出部450は筐体2外へ排出する。排出されたシートは、排紙トレイ23上に積層されることとなる。
【0045】
使用者が両面印刷を画像形成装置1にさせるとき、排出部450は、定着部430から排出搬送路340へ送り出されたシートを所定量だけ筐体2外へ送り出した後、筐体2内へ引き戻すスイッチバック動作を実行する。搬送路は更に、排出部450によって引き戻されたシートを案内するための戻し搬送路350を含む。戻し搬送路350は、排出部450から筐体2の背面壁24へ向かって延び、その後、下方に向けて延びる。更にその後、戻し搬送路350は、第2給紙搬送路310に向けて延び、第2給紙搬送路310と合流する。
【0046】
第1給紙搬送路530、第2給紙搬送路310、主搬送路330、排出搬送路340及び戻し搬送路350の適所には、これら搬送路に案内されるシートを搬送するための搬送ローラ対360が配設される。
【0047】
上述の如く、トレイ600上に載置されたシートは、給紙構造体520によって、第1給紙搬送路530に送り込まれる。給紙構造体520は、筐体2に向けて下方に傾斜したトレイ600上のシートの先頭縁を押し上げるリフト板521と、リフト板521によって押し上げられたシートの先頭縁と接触可能に配設された給紙ローラ522と、給紙ローラ522の下方に配設された分離パッド523とを含む。給紙ローラ522が回転すると、シートは、給紙ローラ522と分離パッド523との間を通過し、第1給紙搬送路530内へ送り込まれる。分離パッド523は、給紙ローラ522と分離パッド523との間を通過するシートに対して摩擦力を与える。したがって、給紙ローラ522が複数枚のシートを第1給紙搬送路530へ送り込もうとするとき、分離パッド523は最上位にあるシート(給紙ローラ522と直接的に接触するシート)以外のシートに搬送方向と逆方向に作用する摩擦力を与え、第1給紙搬送路530内への搬送を妨げる。この結果、シートは1枚ずつ第1給紙搬送路530内へ送り込まれることとなる。
【0048】
他のもう1つの給紙源として用いられるカセット300は、第2シートを支持するリフト板305を含む。リフト板305は、カセット300内の第2シートの先頭縁を上方に押し上げるように傾斜する。リフト板305の下流端の上方には、ピックアップローラ311が配設される。ピックアップローラ311は、リフト板305が押し上げた第2シートの先頭縁に接触する。この結果、ピックアップローラ311が回転すると、第2シートはカセット300から下流へ送り出されることとなる。
【0049】
ピックアップローラ311の下流には、給紙ローラ312及び給紙ローラ312の下方に位置する捌きローラ313が配設される。ピックアップローラ311は、給紙ローラ312と捌きローラ313との間に第2シートを送り込む。給紙ローラ312は、第2シートを更に下流へ送り出すように回転する。一方、捌きローラ313は、第2シートをカセット300に戻す方向に回転する。したがって、ピックアップローラ311が複数枚の第2シートを送り出したとき、捌きローラ313は最上位にあるシート(給紙ローラ312と直接的に接触するシート)以外の第2シートをカセット300に押し戻す。この結果、第2シートは1枚ずつ第2給紙搬送路310へ送り込まれることとなる。
【0050】
第2給紙搬送路310へ送り込まれた第2シートは、第2給紙搬送路310に設けられた搬送ローラ対360によってレジストローラ対320に向けて送り出される。上述の戻し搬送路350は、第2給紙搬送路310の搬送ローラ対360の上流で合流する。したがって、第2給紙搬送路310の搬送ローラ対360は、戻し搬送路350を通じて第2給紙搬送路310に供給されたシートも同様にレジストローラ対320へ送り出す。レジストローラ対320の上流で、第1給紙搬送路530及び第2給紙搬送路310は合流する。したがって、レジストローラ対320は、第1給紙搬送路530又は第2給紙搬送路310を通じて搬送されたシートを画像形成部410へ供給する。
【0051】
画像形成部410は、イエロー用トナーコンテナ900Y、マゼンタ用トナーコンテナ900M、シアン用トナーコンテナ900C、ブラック用トナーコンテナ900Kを含む。これらコンテナの下方には、YMCK各色に対応する現像装置10Y、10M、10C、10Kがそれぞれ配設される。画像形成部410は、これらトナーコンテナ900Y、900M、900C、900Kに収容されたトナーを用いて、シートに画像を形成する。
【0052】
画像形成部410は、各色のトナー像を担持する感光体ドラム17(電子写真方式で潜像が形成される感光体)を含む。感光体ドラム17として、アモルファスシリコン(a−Si)系材料を用いた感光体ドラムを用いることができる。各感光体ドラム17には、トナーコンテナ900Y、900M、900C、900Kからそれぞれイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのトナーが供給される。
【0053】
感光体ドラム17の周囲には、帯電器16、現像装置10(10Y、10M、10C、10K)、転写器(転写ローラ)19及びクリーニング装置18が配置される。帯電器16は、感光体ドラム17の表面を均一に帯電する。帯電後の感光体ドラム17の表面は、露光ユニット94によって露光され、静電潜像が形成される。露光ユニット94は、例えば、外部装置からの画像信号(画像情報を含む信号)に基づき、レーザ光を照射する。現像装置10Y、10M、10C、10Kは、それぞれトナーコンテナ900Y、900M、900C、900Kから供給される各色のトナーを用いて、各々の感光体ドラム17上に形成された静電潜像を現像(可視像化)する。転写ローラ19は、中間転写ベルト921を挟んで感光体ドラム17とニップ部を形成し、感光体ドラム17上のトナー像を中間転写ベルト921上に一次転写する。クリーニング装置18は、トナー像転写後の感光体ドラム17の周面を清掃する。
【0054】
各現像装置10Y、10M、10C、10Kは、現像筐体20を備える。現像筐体20の内部には、磁性キャリアとトナーとを有する2成分現像剤が収納される。また、現像筐体20内には、現像筐体20の底部近傍に長手方向を軸方向として並列に2本の攪拌ローラ11、12(現像剤攪拌部材)が回転可能に配置される。
【0055】
現像筐体20の内部底面には、現像剤の循環経路が設定されており、攪拌ローラ11、12は循環経路内に配設される。攪拌ローラ11、12の間の軸方向には、現像筐体20の底部から立設された仕切り壁201が設けられる。仕切り壁201は、循環経路を区画する。仕切り壁201の周囲を周回するように、循環経路が形成される。2成分現像剤は、循環経路を攪拌ローラ11及び12によって攪拌、搬送されながら帯電される。
【0056】
2成分現像剤は、攪拌ローラ11及び12によって攪拌されつつ現像筐体20内を循環し、トナーが帯電される。攪拌ローラ11上の2成分現像剤は、上側に位置する磁気ローラ14に吸引されて搬送される。吸引された2成分現像剤は、磁気ローラ14上に磁気ブラシ(図示せず)を形成する。磁気ブラシは、ドクターブレード13によって層厚規制される。現像ローラ15上のトナー層は、磁気ローラ14と現像ローラ15との間の電位差によって形成される。トナー層によって感光体ドラム17上の静電潜像が現像される。
【0057】
露光ユニット94は、光源やポリゴンミラー、反射ミラー、偏向ミラーなどの各種の光学系機器を有し、画像形成部410の各々に設けられた感光体ドラム17の周面に、画像信号に基づく光を照射して、静電潜像を形成する。
【0058】
中間転写ユニット92は、中間転写ベルト921、駆動ローラ922及び従動ローラ923を備える。中間転写ベルト921上には、複数の感光体ドラム17からトナー像が重ね塗りされる(一次転写)。重ね塗りされたトナー像は、カセット300又はトレイ600から供給されるシートに二次転写部98において二次転写される。中間転写ベルト921を周回駆動させる駆動ローラ922及び従動ローラ923は、筐体2によって回転自在に支持される。
【0059】
レジストローラ320から送り出されたシートは、二次転写部98を構成する中間転写ベルト921及び転写ローラ981との間に供給される。その後、シートは二次転写部98によって転写されたトナー画像を担持しつつ、定着部430へ送り出される。
【0060】
定着部430は、ヒータ431を内蔵する加熱ローラ432と、加熱ローラ432に圧接される加圧ローラ433とを含む。二次転写部98から送り出されたシートは、加熱ローラ432と加圧ローラ433との間に送り込まれる。シート上のトナーは加熱ローラ432からの熱エネルギを受け溶融し、加圧ローラ433からの圧力を受けることにより、シートに定着されることとなる。定着部430は、シートにトナーを定着した後、排出搬送路340を介してシートを排出部450へ送る。
【0061】
排出部450は、排出ローラ対451を含む。排出ローラ対451は正転・逆転可能に形成される。これにより、上述のスイッチバック動作が達成されることとなる。
【0062】
図3及び図4は、トレイ600の斜視図である。図4に示されるトレイ600は、図3に示されるトレイ600よりも伸長されている。図3及び図4と併せて、図1を参照しつつ、トレイ600が説明される。
【0063】
トレイ600は、略矩形状の基台板610と、基台板610上に配設される略矩形状の載置台630と、基台板610と載置台630との間に配設される略矩形状の延長板650と、を含む。トレイ600が第1位置に存するとき、載置台630及び/又は延長板650に対向する基台板610の主面611は、載置台630及び/又は延長板650を支持する。トレイ600が第2位置に存するとき、基台板610の主面611と反対側の面612は、筐体2の外面を形成する。トレイ600が第2位置に存するとき、使用者は載置台630及び/又は延長板650上にシートを載置することができる。
【0064】
基台板610は、筐体2に形成された回動シャフト(図示せず)と回動可能に噛み合う一対の略C型の第1回動部613を含む。基台部610は第1回動部613を回動中心軸として第1位置及び第2位置の間で回動する。載置台630は、基台板610の主面611から離間する方向に延びるC型のアーム部631の先端部に形成されるとともにトレイ600上に載置されるシートの幅方向内方に突出する一対の円柱状の第2回動部632を含む。第2回動部632は、筐体2に形成された穴部(図示せず)と嵌合する。載置台630は、第1回動部613の上方に位置する第2回動部632を回動中心軸として、第1位置及び第2位置の間で回動する。以下の説明において、第1回動部613が形成された基台板610の部分に対して、基台板610の基端部(第1基端部)或いはこれに類する用語が用いられ、基端部に対向する基台板610の部分に対して、基台板610の先端部或いはこれに類する用語が用いられる。同様に、第2回動部632が形成された載置台630の部分に対して、載置台630の基端部(第2基端部)或いはこれに類する用語が用いられ、基端部に対向する載置台630の部分に対して、載置台630の先端部或いはこれに類する用語が用いられる。同様に、トレイ600と筐体2との間の接続部に近い側に存する延長板650の部分に対して、延長板650の基端部或いはこれに類する用語が用いられ、トレイ600と筐体2との間の接続部に遠い側に存する延長板650の部分に対して、延長板650の先端部或いはこれに類する用語が用いられる。
【0065】
基台板610は、主面611から突出する略台形筒状の一対の案内片615を含む。案内片615は、トレイ600上に載置されるシートの幅方向に整列する。以下の説明において、図3に示される如く、案内片615に対して、トレイ600と筐体2との接続部に近い側に配設された延長板650の位置は、便宜的に、退却位置と称される。図4に示される如く、延長板650の先端縁651が基台板610の先端縁614から突出した延長板650の位置は、便宜的に、突出位置と称される。延長板650の先端部の略中央には略矩形状の開口部652が形成される。使用者は、開口部652に指を引っかけて、延長板650を基台板610の主面611に沿って移動させることができる。
【0066】
基台板610及び/又は載置台630の基端部に対向する案内片615の斜面616は、退却位置から突出位置に向かう延長板650の先端縁651と接触しつつ、徐々に延長板650を基台板610から離間させるように案内する。案内片615の上底縁617は、基台板610から離間した離間位置にある延長板650を支持する。基台板610から離間する延長板650は、載置台630に接近する。したがって、離間位置に支持された延長板650は、載置台630と協働して、比較的長い寸法を有するシートを好適に支持することができる。案内板615が突出位置から退却位置に移動するとき、案内片615の斜面616は、徐々に延長板650を基台板610に近接した近接位置に案内する。
【0067】
図5は、基台板610の斜視図である。図5と併せて、図3及び図4を参照しつつ、基台板610が説明される。
【0068】
基台板610は、主面611から突出するとともに基台板610の側縁621(或いは、トレイ600上に載置されたシートの側縁)に沿って延びる一対の側壁618と、主面611から突出するとともに基台板610の基端縁619(或いはトレイ600上に載置されたシートの先頭縁)に沿って延びる基端壁620とを含む。基端壁620の両端は一対の側壁618に接続され、延長板650が収容される空間を形成する。基端壁620及び側壁618の一部の上縁622は、載置台630を支持する。基端壁620と基端縁619との間に、第1回動部613が形成される。側壁618には、延長板650の移動方向に沿う方向に延びるスリット623が形成される。スリット623は、載置台630と基台板610との接続に用いられる。
【0069】
図6は、載置台630の斜視図である。図6と併せて、図1、図3乃至図5を参照しつつ、載置台630が説明される。
【0070】
載置台630は、シートが載置される載置面633を形成する主板634と、載置面633から突出するとともに主板634の側縁に沿って形成される一対の側壁635とを含む。アーム部631は、側壁635と一体的に突出し、その後、筐体2に向けて略C型の外形輪郭を描くように湾曲する。載置台630は、側壁635の先端部636の外面(基台板610の側壁618と対向する面)から突出するボス637を含む。図3及び図4に示される如く、ボス637は、基台板610のスリット623に挿入される。かくして、載置台630は、筐体2及び基台板610に連結される。
【0071】
使用者がトレイ600を第1位置と第2位置との間で回動させるとき、基台板610及び載置台630は互いに連動して回動する。スリット623とボス637との間の噛み合いは、基台板610と載置台630との間の連動を可能にし、トレイ600が第1位置と第2位置との間で回動されるとき、ボス637はスリット623に沿って移動する。かくして、互いに異なる回動中心軸周りに回動する基台板610及び載置台630は、好適に連動しつつ回動動作を行うこととなる。
【0072】
載置台630の先端部は、主板634の先端縁638と、側壁635の先端部636から先端縁638を超えて基台板610の先端縁614に向けて突出する押圧片639を含む。第1位置と第2位置との間のトレイ600の回動の間になされるスリット623に沿うボス637の移動に連動して、押圧片639は、突出位置に存する延長板650に対して、基台板610に向かう力を加える役割を担う。
【0073】
主板634には、載置台630上に載置されたシートの幅方向に延びる一対のスリット640が形成される。一対のスリット640には、トレイ600から搬送されるシートの幅方向の変位を規制する一対の滑子641が取り付けられる。スリット640は、シートの幅方向における滑子641の移動を可能にする。かくして、使用者は滑子641を載置面633上で移動させ、シートの側縁に滑子641を近接させることができる。側壁635の中央部は、側縁633の上縁が載置面633に近づくように窪んでいる。かくして、使用者は、トレイ600の側方から滑子641に容易に接触することができる。
【0074】
図7は、延長板650の斜視図である。図6と併せて、図1、図3乃至図5を参照しつつ、延長板650が説明される。
【0075】
延長板650の基端部は、延長板650の両側縁653それぞれから突出する略矩形板状の嵌入片654を含む。基台板610の側壁618は、基台板610の主面611と協働して嵌入片654を収容する略ブーツ形状の収容空間を形成する収容壁624を含む。収容壁624及び主面611は、外方に突出する閉空間を形成する。この結果、延長板650の可動範囲が定められることとなる。
【0076】
図8は、基台板610の先端部から突出した突出位置に存する延長板650を含むトレイ600の断面図である。図9は、図8に示される収容壁624及び主面611で囲まれる収容空間内の構造を示す拡大断面図である。図8及び図9と併せて、図3乃至図5並びに図7を参照しつつ、収容空間内の構造が説明される。
【0077】
収容空間内には、基台板610の先端部へ向かう延長板650の移動を妨げるストッパが形成される。ストッパは、収容壁624の上側輪郭を形成する第1壁625を含む。第1壁625のうち上方に湾曲した後、主面611に沿って延びる部分が、延長板650の嵌入片654を挟持する第1挟持部626として用いられる。第1挟持部626として用いられる収容壁624の内面には主面611に向けて突出する突出部627が形成される。ストッパは更に、主面611から突出部627に向けて延びる第2挟持部628を含む。第2挟持部628は、基台板610の先端部へ向かう延長板650を主面611から離間させる方向に案内するように、主面611に対して傾斜して延び、ストッパを構成する突出部627に隣接する。したがって、使用者が延長板650を退却位置から突出位置に移動させるとき、主面611に形成された案内片615と協働して、主面611に近接した近接位置から主面611から離間した離間位置へと延長板650を案内する。延長板650が突出位置に到達すると、嵌入片654の厚みによって、第2挟持部628は突出部627から離間する方向に弾性変形する。この結果、嵌入片654は、第1挟持部626と第2挟持部628との間でしっかりと保持されることとなる。かくして、延長板650は、ストッパによって、突出位置に保持されることとなる。
【0078】
図10は、基台板610の先端部から突出した突出位置に存する延長板650を含むトレイ600の断面図である。図11は、図10に示される押圧片639の周囲の構造を示す拡大断面図である。図10及び図11と併せて、図3乃至図7を参照しつつ、押圧片639が説明される。
【0079】
図10に示される如く、突出位置にある延長板650の基端縁655は、載置台630の先端部を形成する押圧片639に近接する。押圧片639の先端縁は、傾斜縁642と傾斜縁642の上方に形成される最先端縁643とを含む。傾斜縁642は、延長板650の基端縁655よりも載置台630の基端縁644側に位置する下端を有し、当該下端から、基台板610の先端部に向かって、基台板610から離間するように傾斜する(即ち、突出位置に存する延長板650の基端部との接触点から基台板610に向けて、主面611の法線に対して、基台板610の基端部の方向へ傾斜する)。最先端縁643は、突出位置に存する延長板650の基端縁655よりも基台板610の先端部側で、主面611に対して略直角方向に延びる。
【0080】
図12は、基台板610の先端部から突出した突出位置に存する延長板650を含むトレイ600の断面図である。図12は、図10に示される第1位置に存するトレイ600を、第2位置へと回動されている途中のトレイ600を示す。図13は、図11に示される押圧片639の周囲の構造を示す拡大断面図である。図12及び図13と併せて、図3乃至図7並びに図10及び図11を参照しつつ、第1位置から第2位置へトレイ600が回動される間の押圧片639の動作が説明される。
【0081】
上述の如く、基台板610は第1回動部613を回動中心軸として上方に回動し、載置台630は、第2回動軸632を回動中心軸として上方に回動する。図11及び図13に示される如く、上方への回動の間、スリット623に挿入されたボス637は、スリット623に案内され、基台板610の先端部に向けて移動する。基台板610の先端部へ向かうボス637の移動によって、押圧片639の傾斜縁642は、延長板650の基端縁655と接触し、延長板650の基端縁655に基台部610の主面611に向かう力を加えることとなる。
【0082】
図14は、図12に示されるトレイ600の収容壁624と主面611とで囲まれる収容空間における断面図である。図15は、図14に示される収容空間内の拡大断面図である。図14及び図15と併せて、図3及び図4並びに図12及び図13を参照しつつ、ボス637のスリット623に沿う移動に起因する延長板650の動作が説明される。
【0083】
図12及び図13に関連して説明された如く、ボス637のスリット623に沿う移動により、延長板650の基端縁655に、基台板610の主面611に向かう力が加えられる。この結果、第1挟持部626と第2挟持部628との間で挟持された延長板650の嵌入片654は、基台板610の主面611に向けて移動することとなる。また、図3及び図4に示される如く、押圧片639は、ストッパに近接する位置に配設される。したがって、押圧片639からの力は、ストッパにより保持される嵌入片654に好適に伝達される。かくして、トレイ600が第1位置から第2位置に回動されると、ストッパによる延長板650の保持が好適に解除されることとなる。
【0084】
図16及び図17は、第1位置に回動されたトレイ600の断面図である。図16は、収容壁624と主面611とで囲まれる収容空間に沿うトレイ600の断面図である。図17は、押圧片639に沿うトレイ600の断面図である。図16及び図17と併せて、図1を参照しつつ、第1位置に回動されたトレイ600が説明される。
【0085】
図12乃至図15に示される位置から更に第1回動部613周りに基台板610を回動させ、第2回動部632周りに載置台630を回動させると、トレイ600は第1位置に到達する。図12乃至図15に関連して説明された如く、収容壁624と主面611とで囲まれる収容空間内に形成されたストッパによる延長板650に対する保持は、第1位置から第2位置へトレイ600が回動される途中で解除されることとなる。延長板650の保持が解除された後、延長板650は重力作用によって、延長板650は、基台板610の基端部に向けて降下することとなる。延長板650の降下は、主面611から収容壁624の第1壁625の端部に向けて延びる第2壁629と延長板650の嵌入片654との衝突によって停止される。
【0086】
このとき、図17に示される如く、延長板650の基端部から略半分の領域は、載置台630と基台板610との間に配設され、延長板650の先端部は、基台板610の案内片615の斜面616に隣接する。かくして、延長板650は、トレイ600を第1位置から第2位置に回動させると自動的に退却位置に移動することとなる。かくして、トレイ600は好適に筐体2に形成された凹領域21に収容されることとなる。
【産業上の利用可能性】
【0087】
本発明は、シートに画像を形成する画像形成装置に好適に適用可能である。
【符号の説明】
【0088】
1・・・・・画像形成装置
2・・・・・筐体
410・・・画像形成部
600・・・トレイ
610・・・基台板
611・・・主面
613・・・第1基端部に形成された第1回動部
615・・・案内片
618・・・側壁
623・・・スリット
624・・・収容壁
625・・・第1壁(ストッパ)
626・・・第1挟持部(ストッパ)
627・・・突出部(ストッパ)
628・・・第2挟持部(ストッパ)
630・・・載置台
632・・・第2基端部に形成された第2回動部
637・・・ボス
638・・・先端縁(載置台の先端部)
639・・・押圧片(載置台の先端部)
642・・・傾斜縁
650・・・延長板
654・・・嵌入片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートに画像を形成する画像形成部を収容する筐体と、
前記筐体から突出するとともに前記画像形成部へ供給される前記シートが載置される第1位置と該第1位置よりも前記筐体に近接する第2位置との間で回動可能に前記筐体に取り付けられるトレイと、を備え、
該トレイは、
前記筐体に回動可能に接続される第1回動部が形成された第1基端部を有する基台板と、
前記第2位置において前記シートが載置されるとともに前記筐体に回動可能に接続される第2回動部が形成された第2基端部を有する載置台と、
前記基台板に沿って移動可能な延長板と、を含み、
前記基台板は、前記基台板の先端部に向かう前記延長板の移動を妨げるとともに前記延長板を前記基台板の先端部から突出した突出位置に保持するストッパを含み、
前記突出位置に保持された前記延長板は前記基台板から離間した離間位置に存し、
前記トレイが前記第1位置から前記第2位置に回動されるとき、前記載置台の先端部は、前記基台板に向かう力を前記延長板に加え、前記ストッパによる前記延長板の保持を解除することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記ストッパは、第1挟持部と、該第1挟持部に隣接して配設される第2挟持部と、を含み、
前記延長板は、前記突出位置において、前記第1挟持部及び前記第2挟持部のうち少なくとも一方を弾性変形させつつ、前記第1挟持部と前記第2挟持部との間に嵌入される嵌入片を備えることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記第2挟持部は、前記突出位置に向けて移動する前記延長板を前記基台板に近接した近接位置から前記離間位置に案内するように形成されることを特徴とする請求項2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記基台板は、前記延長板に対向する主面から突出する側壁を含み、
該側壁には、前記延長板の移動方向に沿うスリットが形成され、
前記載置台は、前記スリットに挿入されるボスを含み、
前記第1位置から前記第2位置に向けて前記トレイが回動されるとき、前記ボスは前記スリットに沿って移動可能であることを特徴とする請求項3記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記突出位置に存する前記延長板の基端部は、前記載置台の前記先端部に近接する位置に配設されることを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記載置台の前記先端部は、前記シートの幅方向に延びる先端縁と、該先端縁よりも前記基台板の前記先端部に向けて突出する押圧片と、を含み、
該押圧片は、前記基台板に向かう前記力を前記突出位置に存する前記延長板の前記基端部に加えることを特徴とする請求項5記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記押圧片の縁部は、前記突出位置に存する前記延長板の前記基端部と接触可能に形成されるとともに、前記主面の法線に対し前記延長板の前記基端部との接触点から前記基台板に向けて前記第1基端部の方向へ傾斜する傾斜縁を含み、
前記トレイが前記第1位置から前記第2位置に向けて回動されるとき、前記ボスは、前記基台板の前記先端部に向けて移動し、前記傾斜縁は、前記突出位置に存する前記延長板の前記基端部に接触し、前記基台板に向かう前記力を前記延長板の前記基端部に加えることを特徴とする請求項6記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記押圧片は、前記ストッパに近接する位置に配設されることを特徴とする請求項6又は7記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記側壁は、前記主面と協働して前記嵌入片を収容する空間を形成する収容壁を含み、
前記収容壁の少なくとも一部は前記第1挟持部を形成し、
前記第2挟持部は前記主面から前記第1挟持部に向けて延びるとともに、前記突出位置にある前記延長板の前記嵌入片により押圧され弾性変形することを特徴とする請求項4乃至8いずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記基台部は、前記突出位置に向けて移動する前記延長板の先端部と接触しつつ前記延長板を前記離間位置に案内するとともに前記突出位置にある延長板を前記離間位置で支持する案内片を含むことを特徴とする請求項1乃至9いずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記第1位置に存するトレイは、前記筐体に向けて下方に傾斜することを特徴とする請求項1乃至10いずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記トレイは、第1位置から前記第2位置に上方に回動することを特徴とする請求項1乃至11いずれか1項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2011−173701(P2011−173701A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−40074(P2010−40074)
【出願日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】