画像形成装置
【課題】像担持体の表面の摩擦係数の検出を正確におこなって、その検出値に基づいて像担持体の表面への潤滑剤供給量を調整して像担持体の表面における摩擦係数を精度よく適正化することができる、画像形成装置を提供する。
【解決手段】像担持体8に当接する回転部材19を回転速度可変に回転駆動する第2駆動手段40と、像担持体8を駆動する第1駆動手段50に生じる駆動負荷を検出する検出手段60と、像担持体8に潤滑剤を供給する潤滑剤供給部と、潤滑剤供給部によって像担持体8に供給する潤滑剤供給量を可変する可変手段78と、を備える。そして、第2駆動手段40によって回転部材19の回転速度を変化させたときに検出手段60によって検出される検出値の変動に応じて、可変手段78が制御される。
【解決手段】像担持体8に当接する回転部材19を回転速度可変に回転駆動する第2駆動手段40と、像担持体8を駆動する第1駆動手段50に生じる駆動負荷を検出する検出手段60と、像担持体8に潤滑剤を供給する潤滑剤供給部と、潤滑剤供給部によって像担持体8に供給する潤滑剤供給量を可変する可変手段78と、を備える。そして、第2駆動手段40によって回転部材19の回転速度を変化させたときに検出手段60によって検出される検出値の変動に応じて、可変手段78が制御される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ、又は、それらの複合機等の電子写真方式を用いた画像形成装置に関し、特に、中間転写ベルト、感光体ベルト等の像担持体上に潤滑剤を供給する潤滑剤供給部が設けられた画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、複写機、プリンタ等の画像形成装置において、中間転写ベルト、中間転写ドラム、感光体ドラム、感光体ベルト、等の像担持体上に付着する未転写トナー等の付着物をクリーニング装置で確実に清掃するとともに、像担持体やクリーニングブレード等の磨耗を低減するために、像担持体上に潤滑剤を供給する潤滑剤供給部(潤滑剤供給装置)を用いる技術が知られている(例えば、特許文献1等参照。)。
【0003】
特許文献1等において、潤滑剤供給部(潤滑剤塗布装置)は、中間転写ベルト(像担持体)に摺接するブラシ状回転部材(塗布部材)、ブラシ状回転部材に当接する固形潤滑剤、固形潤滑剤をブラシ状回転部材に向けて付勢する加圧スプリング、等で構成される。そして、所定方向に回転するブラシ状回転部材によって固形潤滑剤から潤滑剤が徐々に削り取られて、ブラシ状回転部材によって削り取られた潤滑剤が中間転写ベルトの表面に塗布(供給)される。
ここで、中間転写ベルトの表面に過剰に潤滑剤が供給されて、中間転写ベルトの摩擦係数が低くなり過ぎてしまうと、感光体ドラムから中間転写ベルトへのトナー像の転写効率が低下して、出力画像上にボソツキ画像や虫食い画像が生じてしまうことが知られている。一方、中間転写ベルトの表面に供給される潤滑剤が不足して、中間転写ベルトの摩擦係数が高くなり過ぎてしまうと、中間転写ベルトに当接するクリーニングブレードに捲れや磨耗が生じてしまうことになる。そのため、中間転写ベルトの表面における摩擦係数を適正化することが必要になる。
【0004】
これに対して、特許文献1等には、中間転写ベルトの表面における摩擦係数を適正化することを目的として、中間転写ベルトを駆動する駆動ローラの駆動トルクを検知して、その検知結果に基づいて潤滑剤供給部から中間転写ベルト上に供給する潤滑剤量を調整する技術が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の画像形成装置は、中間転写ベルト(像担持体)の表面の摩擦係数の検出が正確におこなわれずに、中間転写ベルトの表面における摩擦係数を精度よく適正化することができない可能性があった。そのため、出力画像上にボソツキ画像や虫食い画像が生じてしまう不具合や、中間転写ベルトに当接するクリーニングブレードに捲れや磨耗が生じてしまう不具合が発生する可能性があった。
これは、中間転写ベルトを駆動する駆動ローラの駆動トルクと、中間転写ベルトの表面の摩擦係数と、が環境変動やトナー像の画像面積等の影響によって必ずしも1対1で対応しないためである。
【0006】
また、このような問題は、中間転写ベルトの表面に潤滑剤を供給する画像形成装置に限定されることなく、中間転写ドラム、感光体ベルト、感光体ドラム等のその他の像担持体の表面に潤滑剤を供給する画像形成装置においても、共通するものである。
【0007】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、像担持体の表面の摩擦係数の検出を正確におこなって、その検出値に基づいて像担持体の表面への潤滑剤供給量を調整して像担持体の表面における摩擦係数を精度よく適正化することができる、画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明の請求項1記載の発明にかかる画像形成装置は、所定方向に走行するとともに、その外周面にトナー像を担持する像担持体と、所定方向に回転するとともに、前記像担持体の外周面に当接する回転部材と、前記像担持体を駆動する第1駆動手段と、前記回転部材を回転駆動するとともに、前記回転部材の回転速度を可変できるように構成された第2駆動手段と、前記第1駆動手段に生じる駆動負荷を検出する検出手段と、前記像担持体の外周面に潤滑剤を供給する潤滑剤供給部と、前記潤滑剤供給部によって前記像担持体の外周面に供給される潤滑剤の単位時間当りの供給量を可変する可変手段と、を備え、前記可変手段は、前記第2駆動手段によって前記回転部材の回転速度を変化させたときに前記検出手段によって検出される検出値の変動に応じて制御されるものである。
【0009】
また、請求項2記載の発明にかかる画像形成装置は、前記請求項1に記載の発明において、前記可変手段は、前記第2駆動手段によって前記回転部材の回転速度を減速させたときの前記検出値の増加率が所定の範囲よりも小さい場合には前記潤滑剤の単位時間当りの供給量が減少して、前記第2駆動手段によって前記回転部材の回転速度を減速させたときの前記検出値の増加率が所定の範囲よりも大きい場合には前記潤滑剤の単位時間当りの供給量が増加するように制御されるものである。
【0010】
また、請求項3記載の発明にかかる画像形成装置は、前記請求項1又は請求項2に記載の発明において、前記像担持体を、無端状のベルト部材としたものである。
【0011】
また、請求項4記載の発明にかかる画像形成装置は、前記請求項3に記載の発明において、前記ベルト部材は、中間転写ベルトであって、前記回転部材を、前記中間転写ベルトに当接して記録媒体が搬送される2次転写ニップ部を形成する2次転写ローラ又は2次転写ベルトとしたものである。
【0012】
また、請求項5記載の発明にかかる画像形成装置は、前記請求項3に記載の発明において、前記ベルト部材は、中間転写ベルトであって、前記回転部材を、前記中間転写ベルトに当接して当該中間転写ベルト上にトナー像を1次転写するための1次転写ニップ部を形成する感光体ドラム又は感光体ベルトとしたものである。
【0013】
また、請求項6記載の発明にかかる画像形成装置は、前記請求項1〜請求項5のいずれかに記載の発明において、前記可変手段は、前記像担持体に対して前記潤滑剤供給部を接離して前記潤滑剤の単位時間当りの供給量を可変するものである。
【0014】
また、請求項7記載の発明にかかる画像形成装置は、前記請求項1〜請求項5のいずれかに記載の発明において、前記潤滑剤供給部は、前記像担持体と固形潤滑剤とに摺接するとともに、外周面にブラシ毛が周設されたブラシ状回転部材を具備し、前記可変手段は、前記ブラシ状回転部材の回転数を可変して前記潤滑剤の単位時間当りの供給量を可変するものである。
【0015】
また、請求項8記載の発明にかかる画像形成装置は、前記請求項1〜請求項5のいずれかに記載の発明において、前記潤滑剤供給部は、前記像担持体と固形潤滑剤とに摺接するとともに、外周面にブラシ毛が周設されたブラシ状回転部材を具備し、前記可変手段は、前記ブラシ状回転部材に対する前記固形潤滑剤の当接圧を可変して前記潤滑剤の単位時間当りの供給量を可変するものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、像担持体に当接する回転部材の回転速度を変化させたときの、像担持体を駆動する第1駆動手段の駆動負荷の変動に応じて、潤滑剤供給量を可変制御している。これにより、像担持体の表面の摩擦係数の検出が正確におこなわれて、その検出値に基づいて像担持体の表面への潤滑剤供給量が調整されて像担持体の表面における摩擦係数が精度よく適正化される、画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】この発明の実施の形態1における画像形成装置を示す全体構成図である。
【図2】作像部を示す断面図である。
【図3】中間転写ベルト及び2次転写ローラの近傍を示す上面図である。
【図4】潤滑剤供給部を示す構成図である。
【図5】潤滑剤供給部が中間転写ベルトから離間した状態を示す図である。
【図6】中間転写ベルトの摩擦係数と駆動トルク増加率との関係を示すグラフである。
【図7】潤滑剤供給部の接離制御を示すフローチャートである。
【図8】この発明の実施の形態2における潤滑剤供給部を示す構成図である。
【図9】図8の潤滑剤供給部における、ブラシ状回転部材の回転速度の制御を示すフローチャートである。
【図10】この発明の実施の形態3における潤滑剤供給部を示す構成図である。
【図11】図10の潤滑剤供給部における、ブラシ状回転部材に対する固形潤滑剤の当接圧の制御を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、この発明を実施するための形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図中、同一又は相当する部分には同一の符号を付しており、その重複説明は適宜に簡略化ないし省略する。
【0019】
実施の形態1.
図1〜図7にて、この発明の実施の形態1について詳細に説明する。
まず、画像形成装置全体の構成・動作について説明する。
図1に示すように、画像形成装置本体100の上方にあるトナー容器収容部31には、各色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)に対応した4つのトナー容器32Y、32M、32C、32Kが着脱自在(交換自在)に設置されている。
トナー容器収容部31の下方には中間転写ユニット15が配設されている。その中間転写ユニット15の中間転写ベルト8(像担持体)に対向するように、各色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)に対応した作像部6Y、6M、6C、6Kが並設されている。
図示は省略するが、トナー容器32Y、32M、32C、32Kの下方には、それぞれ、トナー補給装置が配設されている。そして、トナー容器32Y、32M、32C、32Kに収容されたトナーは、それぞれ、トナー補給装置によって、作像部6Y、6M、6C、6Kの現像装置内に供給(補給)される。
【0020】
図2を参照して、イエローに対応した作像部6Yは、感光体ドラム1Yと、感光体ドラム1Yの周囲に配設された帯電部4Y、現像装置5Y(現像部)、クリーニング部2Y、除電部(不図示である。)、等で構成されている。そして、感光体ドラム1Y上で、作像プロセス(帯電工程、露光工程、現像工程、転写工程、クリーニング工程)がおこなわれて、感光体ドラム1Y上にイエロー画像が形成されることになる。
【0021】
なお、他の3つの作像部6M、6C、6Kも、使用されるトナーの色が異なる以外は、イエローに対応した作像部6Yとほぼ同様の構成となっていて、それぞれのトナー色に対応した画像が形成される。以下、他の3つの作像部6M、6C、6Kの説明を適宜に省略して、イエローに対応した作像部6Yのみの説明をおこなうことにする。
【0022】
図2を参照して、感光体ドラム1Yは、不図示の駆動モータによって図2中の時計方向に回転駆動される。そして、帯電部4Yの位置で、感光体ドラム1Yの表面が一様に帯電される(帯電工程である。)。
その後、感光体ドラム1Yの表面は、露光装置7(図1を参照できる。)から発せられたレーザ光Lの照射位置に達して、この位置での露光走査によってイエローに対応した静電潜像が形成される(露光工程である。)。
【0023】
その後、感光体ドラム1Yの表面は、現像装置5Yとの対向位置に達して、この位置で静電潜像が現像されて、イエローのトナー像が形成される(現像工程である。)。
詳しくは、図2を参照して、現像装置5Y内には、トナーとキャリア(磁性キャリア)とからなる2成分現像剤Gが収容されている。現像装置5Y内の現像剤Gは、不図示の磁気センサによって検知されるトナー濃度(現像剤G中のトナーの割合である。)が所定の範囲内になるように調整される。すなわち、現像装置5Y内のトナー消費に応じて、トナー補給装置によってトナー補給口64Yを介して第2現像剤搬送部504Y内に、トナー(補給トナー)が補給される。
トナー補給装置は、図1に示すトナー容器32Yに接続されている。なお、図示は省略するが、トナー補給装置は、トナー容器32Y(トナーボトル)を回転駆動する駆動部や、トナー容器32Yから排出されたトナーを貯留するトナータンク部や、トナータンク部に貯留されたトナーをトナー落下経路に向けて搬送するトナー搬送部や、トナー搬送部によって搬送されたトナーを現像装置5Y(第2現像剤搬送部504Y)に向けて自重落下させるトナー落下経路、等で構成されている。
【0024】
図2を参照して、その後、トナー補給口64Yを介して第2現像剤搬送部504Y内に補給されたトナー(補給トナー)は、2つの搬送スクリュ505Y、506Yによって、現像剤Gとともに混合・撹拌されながら、仕切部材で隔絶された第1現像剤搬送部503Yと第2現像剤搬送部504Yとを循環する。
このように循環経路中を循環する現像剤G中のトナーは、キャリアとの摩擦帯電によりキャリアに吸着して、周囲に複数の磁極が形成された現像ローラ501Y上にキャリアとともに担持される。現像ローラ501Y上に担持された現像剤Gは、現像ローラ501Yの矢印方向の回転にともなって搬送されて、ドクターブレード502Yの位置に達する。そして、現像ローラ501Y上の現像剤Gは、この位置で適量に規制された後に、感光体ドラム1Yとの対向位置(現像領域である。)まで搬送される。そして、現像領域に形成された電界(現像電界)によって、感光体ドラム1Y上に形成された潜像にトナーが吸着される。
ここで、現像装置5Y内の現像剤は、現像剤中のトナーの割合(トナー濃度)が所定の範囲内になるように調整される。詳しくは、現像装置5Y内のトナー消費に応じて、トナーボトル32Yに収容されているトナーが、トナー補給装置によってトナー補給口64Yを介して第2現像剤搬送部504Y内に補給される。
【0025】
図2を参照して、上述した現像工程の後、感光体ドラム1Yの表面は、中間転写ベルト8及び第1転写バイアスローラ9Yとの対向位置(1次転写ニップ部である。)に達して、この位置で感光体ドラム1Y上のトナー像が像担持体としての中間転写ベルト8上に転写される(1次転写工程である。)。このとき、感光体ドラム1Y上には、僅かながら未転写トナーが残存する。
その後、感光体ドラム1Yの表面は、クリーニング部2Yとの対向位置に達して、この位置で感光体ドラム1Y上に残存した未転写トナーがクリーニングブレード2aによって機械的に回収される(クリーニング工程である。)。
最後に、感光体ドラム1Yの表面は、不図示の除電部との対向位置に達して、この位置で感光体ドラム1Y上の残留電位が除去される。
こうして、感光体ドラム1Y上でおこなわれる、一連の作像プロセスが終了する。
【0026】
なお、上述した作像プロセスは、他の作像部6M、6C、6Kでも、イエロー作像部6Yと同様におこなわれる。すなわち、作像部の下方に配設された露光部7から、画像情報に基いたレーザ光Lが、各作像部6M、6C、6Kの感光体ドラム上に向けて照射される。詳しくは、露光部7は、光源からレーザ光Lを発して、そのレーザ光Lを回転駆動されたポリゴンミラーで走査しながら、複数の光学素子を介して感光体ドラム上に照射する。
その後、現像工程を経て各感光体ドラム上に形成した各色のトナー像を、ベルト部材としての中間転写ベルト8(像担持体)上に重ねて転写する。こうして、中間転写ベルト8上にカラー画像が形成される。
【0027】
ここで、図1を参照して、中間転写ユニット15は、像担持体としての中間転写ベルト8、4つの1次転写バイアスローラ9Y、9M、9C、9K、2次転写対向ローラ12、第1テンションローラ13、第2テンションローラ14、中間転写クリーニング部10、第1対向ローラ11、第2対向ローラ17、等で構成される。中間転写ベルト8は、無端状のベルト部材であって、複数のローラ部材9〜14、17よって張架・支持されるとともに、1つのローラ部材12(2次転写対向ローラ)の回転駆動によって図1中の矢印方向に無端移動される。
なお、本実施の形態1では、像担持体としての中間転写ベルト8の走行速度(プロセス線速)が150mm/秒に設定されている。
【0028】
4つの1次転写バイアスローラ9Y、9M、9C、9Kは、それぞれ、中間転写ベルト8を感光体ドラム1Y、1M、1C、1Kとの間に挟み込んで1次転写ニップ部を形成している。そして、1次転写バイアスローラ9Y、9M、9C、9Kに、トナーの極性とは逆の転写バイアス(本実施の形態1では、+1800ボルトである。)が印加される。なお、1次転写バイアスローラ9Y、9M、9C、9Kは、不図示のスプリングによって、感光体ドラム1Y、1M、1C、1Kを圧接する方向に付勢されている。
そして、中間転写ベルト8は、矢印方向に走行して、各1次転写バイアスローラ9Y、9M、9C、9Kの1次転写ニップ部を順次通過する。こうして、感光体ドラム1Y、1M、1C、1K上の各色のトナー像が、中間転写ベルト8上に重ねて1次転写される。
【0029】
その後、各色のトナー像が重ねて転写された中間転写ベルト8は、回転部材としての2次転写ローラ19との対向位置に達する。この位置では、2次転写対向ローラ12が、回転部材としての2次転写ローラ19との間に中間転写ベルト8を挟み込んでニップ部(2次転写ニップ部)を形成している。そして、2次転写ローラ19に、トナーの極性とは逆の2次転写バイアスが印加される(又は、2次転写対向ローラ12に、トナーの極性と同極性の2次転写バイアスを印加してもよい。)。これにより、ベルト部材としての中間転写ベルト8(像担持体)上に担持されたカラートナー像は、この2次転写ニップ部の位置に搬送された転写紙等の記録媒体P上に転写される。このとき、中間転写ベルト8には、記録媒体Pに転写されなかった未転写トナーが残存する。
【0030】
その後、中間転写ベルト8は、中間転写クリーニング部10の位置に達する。そして、この位置で、中間転写ベルト8上の未転写トナーが回収される。詳しくは、中間転写クリーニング部10には、ウレタンゴムからなるクリーニングブレードが中間転写ベルト8に対して所定の角度及び圧力で当接するように設置されている。そして、中間転写ベルト8上に残留した未転写トナー等の付着物が、中間転写クリーニング部10のクリーニングブレードによって機械的に掻き取られて、中間転写クリーニング部10内に回収される。なお、クリーニングブレードに対向する位置には、中間転写ベルト8を介して第1対向ローラ11が設置されていて、これにより中間転写ベルト8に対するクリーニングブレードの接触圧が安定化されている。
【0031】
その後、中間転写ベルト8は、潤滑剤供給部16(潤滑剤供給装置)の位置に達する。そして、この位置で、中間転写ベルト8の外周面に潤滑剤が供給(塗布)される。なお、潤滑剤供給部16の構成・動作については、後で図4及び図5を用いて詳しく説明する。
こうして、中間転写ベルト8上でおこなわれる、一連の転写プロセスが終了する。
【0032】
ここで、2次転写ニップ部の位置に搬送された記録媒体Pは、装置本体100の下方に配設された給紙部26から、給紙ローラ27やレジストローラ対28等を経由して搬送されたものである。
詳しくは、給紙部26には、転写紙等の記録媒体Pが複数枚重ねて収納されている。そして、給紙ローラ27が図1中の反時計方向に回転駆動されると、一番上の記録媒体Pがレジストローラ対28のローラ間に向けて給送される。
【0033】
レジストローラ対28に搬送された記録媒体Pは、回転駆動を停止したレジストローラ対28のローラニップの位置で一旦停止する。そして、中間転写ベルト8上のカラー画像にタイミングを合わせて、レジストローラ対28が回転駆動されて、記録媒体Pが2次転写ニップに向けて搬送される。こうして、記録媒体P上に、所望のカラー画像が転写される。
【0034】
その後、2次転写ニップ部の位置でカラー画像が転写された記録媒体Pは、定着部20(定着装置)の位置に搬送される。そして、この位置で、定着ローラ及び加圧ローラによる熱と圧力とにより、記録媒体Pの表面に転写されたカラー画像(トナー像)が記録媒体P上に定着される。
その後、記録媒体Pは、排紙ローラ対29のローラ間を経て、装置外へと排出される。排紙ローラ対29によって装置外に排出された記録媒体Pは、出力画像として、スタック部30上に順次スタックされる。
こうして、画像形成装置における、一連の画像形成プロセスが完了する。
【0035】
なお、本実施の形態1において、像担持体としての中間転写ベルト8(ベルト部材)は、PVDF(フッ化ビニルデン)、ETFE(エチレン−四フッ化エチレン共重合体)、PI(ポリイミド)、PC(ポリカーボネート)、等を単層又は複数層に構成して、カーボンブラック等の導電性材料を分散させた無端状のベルト部材である。中間転写ベルト8は、体積抵抗率が108〜1012Ωcm程度に、表面抵抗率が109〜1013Ωcm程度に、厚さが80〜100μm程度に設定されている。
なお、必要に応じて中間転写ベルト8の表面に離型層をコートすることもできる。その際、コートに用いる材料として、ETFE(エチレン−四フッ化エチレン共重合体)、PTFE(ポリ四フッ化エチレン)、PVDF(フッ化ビニルデン)、PEA(パーフルオロアルコキシフッ素樹脂)、FEP(四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合体)、PVF(フッ化ビニル)、等のフッ素樹脂を使用できるが、これに限定されるものではない。
また、中間転写ベルト8の製造方法としては、注型法、遠心成形法、等があり、必要に応じてその表面を研磨する工程がおこなわれる。
【0036】
また、中間転写ベルト8の内周面に当接する2次転写対向ローラ12は、中間転写ベルト8を介して2次転写ローラ19(回転部材)に当接している。図3を参照して、2次転写対向ローラ12の軸部には、第1駆動手段としての第1駆動モータ50のモータ軸に設置された駆動ギア51に噛合するギア52が設置されている。そして、第1駆動手段としての第1駆動モータ50から2次転写対向ローラ12に駆動力が伝達されて、2次転写対向ローラ12が図1の反時計方向に回転することで、2次転写対向ローラ12との摩擦抵抗によって中間転写ベルト8が図1の反時計方向に駆動(走行駆動)されることになる。
【0037】
ここで、図3を参照して、第1駆動モータ50(第1駆動手段)のモータ軸には、第1駆動モータ50(第1駆動手段)に生じる駆動負荷(駆動トルク)を検出する検出手段としてのトルク検知部60(トルク検出装置)が設置されている。トルク検知部60(検出手段)は、第1駆動モータ50(第1駆動手段)に生じる電流値から駆動負荷(駆動トルク)を検出するものである。
【0038】
また、回転部材としての2次転写ローラ19は、ステンレス鋼等からなる芯金上に、ウレタン材料(ウレタンゴム)からなる弾性層(導電性ゴム層)が形成されたローラ部材であって、抵抗が106〜1010Ω程度に設定されている。2次転写ローラ19は、中間転写ベルト8を介して2次転写対向ローラ12に当接して、2次転写ニップ部を形成している。
そして、上述したように、2次転写ローラ19と2次転写対向ローラ12(又は、中間転写ベルト8)との間に所望の電界が形成されることで、中間転写ベルト8上に担持されたトナー像が2次転写ニップ部の位置で記録媒体P上に転写(2次転写)されることになる。具体的に、本実施の形態1では、不図示の電源部から2次転写ローラ19に向けて所定の電圧(2次転写バイアス)が印加されて、転写工程(2次転写工程)がおこなわれる。
【0039】
また、本実施の形態1では、図3に示すように、2次転写ローラ19(回転部材)の軸部に、第2駆動手段としての第2駆動モータ40のモータ軸に設置された駆動ギア41に噛合するギア42が設置されている。そして、第2駆動手段としての第2駆動モータ40から2次転写ローラ19に駆動力が伝達されて、2次転写ローラ19が図1の時計方向に回転駆動されることになる。
ここで、第2駆動モータ40(第2駆動手段)は、回転数可変型のモータであって、2次転写ローラ19(回転部材)の回転速度(回転数)を任意に可変することができる。なお、通常時において、第2駆動モータ40(第2駆動手段)は、2次転写ローラ19の線速度(2次転写ニップ部における線速度である。)が中間転写ベルト8の走行速度(150mm/秒である。)と同等になるように、2次転写ローラ19の回転速度を制御している。そして、中間転写ベルト8の外周面の摩擦抵抗を測定(検出)するときに、第2駆動モータ40(第2駆動手段)によって2次転写ローラ19の回転速度が減速制御されることになるが、これについては後で詳しく説明する。
【0040】
以下、本実施の形態1における、潤滑剤供給部16(潤滑剤供給装置)の構成・動作について詳しく説明する。
図4は、潤滑剤供給部16を示す構成図であって、潤滑剤供給部16(ブラシ状回転部材16a)が中間転写ベルト8(像担持体)に当接した状態を示す図である。これに対して、図5は、潤滑剤供給部16(ブラシ状回転部材16a)が中間転写ベルト8(像担持体)から離間した状態を示す図である。
図4を参照して、潤滑剤供給部16は、固形潤滑剤16b、中間転写ベルト8と固形潤滑剤16bとに摺接するブラシ毛が外周面に周設されたブラシ状回転部材16a(ブラシ状ローラ)、固形潤滑剤16bをブラシ状回転部材16aに向けて付勢する付勢手段としての圧縮スプリング16c、固形潤滑剤16bを保持する保持部16d、ブラシ状回転部材16aと固形潤滑剤16bと圧縮スプリング16cと保持部16dとを保持するホルダ16e、等で構成される。
【0041】
ブラシ状回転部材16aは、長さ(毛足)が4mm程度のポリエステルからなるブラシ毛(密度が約10万本/平方インチである。)が基布上に植毛されたものを芯金上にスパイラル状に巻き付けたものであって、その外径が12mm程度に設定されている。
【0042】
ブラシ状回転部材16a(回転部材)は、駆動モータ70によって、図4の左方向に向けて走行する中間転写ベルト8に対して順方向で接触するように回転する(図4の時計方向の回転駆動である。)。また、ブラシ状回転部材16aは、そのブラシ毛が固形潤滑剤16bと中間転写ベルト8とに摺接するように配置されていて、ブラシ状回転部材16aが回転することによって固形潤滑剤16bから潤滑剤を掻き取り、その潤滑剤を中間転写ベルト8の外周面に塗布する。なお、本実施の形態1では、駆動モータ70によって、ブラシ状回転部材16aの線速度(中間転写ベルト8との当接位置における線速度である。)が165mm/秒になるように設定されている(プロセス線速の150mm/秒よりも若干速く設定されている)。
また、固形潤滑剤16bの後方部には,ブラシ状回転部材16aと固形潤滑剤16bとの接触ムラをなくすために圧縮スプリング16cが保持部16dを介して配置されていて、固形潤滑剤16bをブラシ状回転部材16aに向けて付勢している。
【0043】
本実施の形態1では、固形潤滑剤16bを主としてステアリン酸亜鉛で形成している。詳しくは、固形潤滑剤16bは、ステアリン酸亜鉛を主成分とする潤滑油添加剤を溶解したもので、塗りすぎによる副作用がなく、充分な潤滑性があるものが好適である。
ステアリン酸亜鉛は、代表的なラメラ結晶紛体である。ラメラ結晶は両親媒性分子が自己組織化した層状構造を有していて、せん断力が加わると層間にそって結晶が割れて滑りやすい。したがって、中間転写ベルト8表面を低摩擦係化することができる。すなわち、せん断力を受けて均一に中間転写ベルト8表面を覆っていくラメラ結晶によって、少量の潤滑剤によって効果的に中間転写ベルト8表面を覆うことができる。
【0044】
なお、固形潤滑剤16bとしては、ステアリン酸亜鉛の他にも、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸鉄、ステアリン酸ニッケル、ステアリン酸コバルト、ステアリン酸銅、ステアリン酸ストロンチュウム、ステアリン酸カルシウム等のステアリン酸基を有するものを用いることができる。また、同じ脂肪酸基であるオレイン酸亜鉛、オレイン酸バリウム、オレイン酸鉛、以下、ステアリン酸と同様の化合物や、パルチミン酸亜鉛、パルチミン酸バリウム、パルチミン酸鉛、以下、ステアリン酸と同様の化合物を使用して良い。他にも、脂肪酸基として、カプリル酸、リノレン酸、コリノレン酸等を使用することができる。さらに、カンデリラワックス、カンルナウバワックス、ライスワックス、木ろう、おおば油、みつろう、ラノリン等のワックスを使用することもできる。これらは有機系の固形潤滑剤となりやすく、トナーとの相性が良い。
【0045】
また、本実施の形態1では、ブラシ状回転部材16aに対向する位置に、中間転写ベルト8を介して第2対向ローラ17(外径が16mm程度に設定されている。)が設置されていて、これにより中間転写ベルト8に対するブラシ状回転部材16aの接触圧が安定化されている。なお、本実施の形態1では、ブラシ状回転部材16aのブラシ毛が、中間転写ベルト8に1mm程度食い込むように設定されている。また、第2対向ローラ17は、中間転写ベルト8との摩擦抵抗によって、図4の反時計方向に従動回転(連れ回り)する。
【0046】
ここで、本実施の形態1では、潤滑剤供給部16によって中間転写ベルト8(像担持体)の外周面に供給される潤滑剤の単位時間当りの供給量(潤滑剤供給量)を可変する可変手段75、76、78(接離機構)が設置されている。
詳しくは、可変手段(接離機構)は、ホルダ16e(潤滑剤供給部16)に当接するカム75、カム75の回転軸75aに接続されたカム駆動モータ78、ホルダ16e(潤滑剤供給部16)を中間転写ベルト8から離間する方向に付勢する引張スプリング76、等で構成されている。そして、可変手段75、76、78によって、中間転写ベルト8に対して潤滑剤供給部16が接離されることで、中間転写ベルト8に供給される潤滑剤供給量(単位時間当りの供給量)が可変されることになる。
【0047】
具体的に、制御部80によるカム駆動モータ78の制御によって、カム75の回転方向の姿勢が図4の状態にあるときには、引張スプリング76の付勢力に抗するように、カム75によってホルダ16e(潤滑剤供給部16)が下方に押動されて、ブラシ状回転部材16a(潤滑剤供給部16)が中間転写ベルト8に当接することになる。そして、図4の状態(当接状態)で、先に説明したように潤滑剤供給部16から中間転写ベルト8への潤滑剤の供給がおこなわれる。
これに対して、制御部80によるカム駆動モータ78の制御によってカム75が矢印方向に回転駆動されて、カム75の回転方向の姿勢が図5の状態にあるときには、引張スプリング76の付勢力によって、カム75の下死点に当接する位置までホルダ16e(潤滑剤供給部16)が上方に移動して、ブラシ状回転部材16a(潤滑剤供給部16)が中間転写ベルト8に対して離間することになる。そして、図5の状態(離間状態)で、潤滑剤供給部16から中間転写ベルト8への潤滑剤の供給が遮断される。
このように、可変手段75、76、78によって、中間転写ベルト8に対して潤滑剤供給部16が接離されることで、中間転写ベルト8に供給される潤滑剤供給量(単位時間当りの供給量)が可変されることになることになるが、これらの可変制御はトルク検知部60(検出手段)によって検出される検出値の変動の大きさに応じておこなわれる。
【0048】
以下、本実施の形態1における画像形成装置において、特徴的な構成・動作について詳述する。
上述したように、潤滑剤供給部16によって中間転写ベルト8上に潤滑剤が塗布されることで、中間転写ベルト8の摩擦係数が低下することになる。中間転写ベルト8上に潤滑剤が塗布されない場合には、記録媒体P上に転写されなかった未転写トナーによって、中間転写ベルト8の摩擦係数が増大してしまう。しかし、中間転写ベルト8の摩擦抵抗は、低下し過ぎても問題があって、所定の適正範囲(0.25〜0.35である。)に維持されない場合には種々の不具合が生じてしまう。
具体的に、中間転写ベルト8の摩擦抵抗が0.35よりも大きくなってしまうと、そして、中間転写クリーニング部10のクリーニングブレードの位置を未転写トナーがすり抜けてクリーニング不良が生じたり、クリーニングブレードのエッジが捲れたりしてしまう。これに対して、中間転写ベルト8の摩擦係数が0.25よりも低くなってしまうと、中間転写ベルト8から記録媒体Pへの転写効率が低下して、出力画像上にボソツキ画像や虫食い画像(いずれも、画像の一部が欠落してしまう現象である。)が発生してしまう。
【0049】
そこで、本実施の形態1では、中間転写ベルト8(像担持体)の摩擦係数を正確に検出して、その検出結果に応じて潤滑剤供給部16による中間転写ベルト8への潤滑剤供給量を調整している。詳しくは、第2駆動モータ40(第2駆動手段)によって2次転写ローラ19(回転部材)の回転速度を変化させたときにトルク検知部60(検出手段)によって検出される検出値の変動に応じて、可変手段75、76、78(接離機構)が制御される。
【0050】
さらに詳しくは、可変手段75、76、78(接離機構)は、第2駆動モータ40によって2次転写ローラ19の回転速度を所定の割合(本実施の形態1では、2%である。)だけ減速させたときの、トルク検知部60の検出値の増加率が所定の範囲(102〜104%である。)よりも小さい場合には、潤滑剤供給量が減少するように潤滑剤供給部16を中間転写ベルト8から離間させる(図5の状態である。)。これに対して、第2駆動モータ40によって2次転写ローラ19の回転速度を所定の割合(2%)だけ減速させたときの、トルク検知部60の検出値の増加率が所定の範囲(102〜104%である。)よりも大きい場合には、潤滑剤供給量が増加するように潤滑剤供給部16を中間転写ベルト8に当接させる(図4の状態である。)。
【0051】
このような制御をおこなうことにより、中間転写ベルト8の表面の摩擦係数の検出が正確におこなわれて、その検出値に基づいて中間転写ベルト8の表面への潤滑剤供給量が調整されて中間転写ベルト8の表面における摩擦係数が精度よく適正範囲(0.25〜0.35である。)に維持されることになる。
このような制御が成立するのは、中間転写ベルト8の摩擦係数の変動が、第2駆動モータ40によって2次転写ローラ19の回転速度を変化させたときにトルク検知部60によって検出される検出値の変動に比例するためである。
【0052】
図6は、中間転写ベルト8の摩擦係数と、中間転写ベルト8の駆動トルク増加率と、の関係を示すグラフであって、本願発明者が本実施の形態1における画像形成装置を用いておこなった実験の結果を示すものである。
図6に関る実験は、摩擦係数が0.17〜0.45の範囲で異なる数種類の中間転写ベルト8を用意して、第2駆動モータ40によって2次転写ローラ19の回転速度を通常時(線速度150mm/秒)から減速(線速度147mm/秒)させたときの中間転写ベルト8の駆動トルク増加率をそれぞれの中間転写ベルト8に対して測定したものである。2次転写ローラ19の回転速度が減速されると、中間転写ベルト8が2次転写ローラ19の表面をスリップしながら第1駆動モータ50によって駆動されることになるため、中間転写ベルト8の駆動トルク(トルク検知部60の検出値)が増加することになる。図6において、横軸は中間転写ベルト8の外周面の摩擦係数を示す。また、図6において、縦軸は中間転写ベルト8の駆動トルク増加率を示すものであって、トルク検知部60にて検知される検出値の増加率(通常時の検出値を100%としたときの減速時の検出値のパーセンテージである。)である。
図6に示すように、中間転写ベルト8の摩擦係数と、中間転写ベルト8の駆動トルク増加率(トルク検知部60の検出値の増加率)と、には比例関係があることがわかる。そして、このような比例関係は、環境変動やトナー像の画像面積等に影響されることなく成立するものであるため、中間転写ベルト8の表面の摩擦係数の検出が正確におこなわれることになる。
【0053】
最後に、図7に示すフローチャートによって、可変手段75、76、78(接離機構)による潤滑剤供給部16の接離制御について説明する。
まず、所定のタイミングで中間転写ベルト8の摩擦係数が検出される(ステップS0〜S1)。具体的には、先に説明したように、第2駆動モータ40によって2次転写ローラ19の回転速度を2%だけ減速させたときの、トルク検知部60の検出値の増加率が検出される。その結果、中間転写ベルト8の摩擦係数が適正範囲内(0.25〜0.35)であると判別された場合には、そのまま本フローを終了する(ステップS7)。
【0054】
これに対して、中間転写ベルト8の摩擦係数が適正範囲内(0.25〜0.35)でないと判別された場合には、さらに摩擦係数が下限値(0.25)より小さいかが判別される(ステップS2)。その結果、摩擦係数が下限値(0.25)より小さいものと判別された場合には、潤滑剤供給部16(ブラシ状回転部材16a)が当接状態であるかが判別される(ステップS3)。そして、潤滑剤供給部16が当接状態であると判別された場合には、可変手段75、76、78によって潤滑剤供給部16(ブラシ状回転部材16a)が離間状態になるように制御されて(ステップS4)、本フローが終了する(ステップS7)。
【0055】
これに対して、ステップS2にて、中間転写ベルト8の摩擦係数が下限値(0.25)より大きいものと判別された場合には、摩擦係数が上限値(0.35)より大きいものとして、さらに潤滑剤供給部16(ブラシ状回転部材16a)が当接状態であるかが判別される(ステップS5)。そして、潤滑剤供給部16が当接状態でないと判別された場合には、可変手段75、76、78によって潤滑剤供給部16(ブラシ状回転部材16a)が当接状態になるように制御されて(ステップS6)、本フローが終了する(ステップS7)。
【0056】
ここで、上述した制御は、2次転写ローラ19の減速制御をともなう中間転写ベルト8の駆動トルク増加率の検出によっておこなうものであるため、画像形成装置100における画像形成動作(画像形成プロセス)がおこなわれないとき(例えば、ウォーミングアップ時やジョブ開始直前等である。)におこなわれることが好ましい。
これにより、2次転写ローラ19の減速制御による2次転写ニップ部での記録媒体Pの搬送不良を抑止しつつ、クリーニング不良やクリーニングブレードの捲れや、ボソツキ画像や虫食い画像の発生を抑止することができる。
【0057】
以上説明したように、本実施の形態1では、中間転写ベルト8(像担持体)に当接する2次転写ローラ19(回転部材)の回転速度を変化させたときの、中間転写ベルト8を駆動する第1駆動モータ50(第1駆動手段)の駆動負荷の変動に応じて、中間転写ベルト8上に供給される潤滑剤供給量を可変制御している。これにより、中間転写ベルト8の表面の摩擦係数の検出が正確におこなわれて、その検出値に基づいて中間転写ベルト8の表面への潤滑剤供給量が調整されて中間転写ベルト8の表面における摩擦係数を精度よく適正化することができる。
【0058】
実施の形態2.
図8及び図9にて、この発明の実施の形態2について詳細に説明する。
図8は、実施の形態2における潤滑剤供給部16を示す構成図であって、前記実施の形態1における図4に相当する図である。また、図9は、潤滑剤供給部16における、ブラシ状回転部材16aの回転速度の制御を示すフローチャートであって、前記実施の形態1における図7に相当する図である。
本実施の形態2における画像形成装置は、潤滑剤供給量を可変する可変手段の構成が、前記実施の形態1のものと相違する。
【0059】
本実施の形態2における画像形成装置100も、前記実施の形態1のものと同様に、中間転写ベルト8(像担持体)、2次転写対向ローラ12、第1駆動モータ50(第1駆動手段)、トルク検知部60(検出手段)、2次転写ローラ19(回転部材)、回転数可変型の第2駆動モータ40(第2駆動手段)、潤滑剤供給部16、等が設けられている。
そして、本実施の形態2においても、第2駆動モータ40(第2駆動手段)によって2次転写ローラ19(回転部材)の回転速度を変化させたときにトルク検知部60(検出手段)によって検出される検出値の変動に応じて、中間転写ベルト8上に供給される潤滑剤供給量が可変制御される。
【0060】
ここで、図8を参照して、本実施の形態2において、中間転写ベルト8上に供給する潤滑剤供給量を可変する可変手段は、ブラシ状回転部材16aの回転数を可変する回転数可変型の駆動モータ70である。すなわち、可変手段としての駆動モータ70は、ブラシ状回転部材16aの回転数を可変して潤滑剤供給量(単位時間当りの供給量)を可変する。そして、第2駆動モータ40(第2駆動手段)によって2次転写ローラ19(回転部材)の回転速度を変化させたときにトルク検知部60(検出手段)によって検出される検出値の変動に応じて、駆動モータ70(可変手段)が制御される。
【0061】
具体的に、駆動モータ70によって、ブラシ状回転部材16aの回転数は2段階に可変できるように構成されている。そして、中間転写ベルト8に供給する潤滑剤供給量を増加させたいときにはブラシ状回転部材16aの回転数を増速して、中間転写ベルト8に供給する潤滑剤供給量を減少させたいときにはブラシ状回転部材16aの回転数を減速する。なお、ブラシ状回転部材16aの回転数を多段階で可変できるように構成した場合には、段階的に潤滑剤供給量を調整することができる。
【0062】
図9に示すフローチャートによって、駆動モータ70(可変手段)による潤滑剤供給部16(ブラシ状回転部材16a)の回転数制御について説明する。なお、前記実施の形態1において図7を用いて説明したフローと重複する部分については、その説明を省略する。
ステップS2にて、中間転写ベルト8の摩擦係数が下限値(0.25)より小さいものと判別された場合には、潤滑剤供給部16(ブラシ状回転部材16a)の回転数が減速状態であるかが判別される(ステップS13)。そして、潤滑剤供給部16が減速状態でないと判別された場合には、駆動モータ70(可変手段)によって潤滑剤供給部16(ブラシ状回転部材16a)が減速状態になるように制御されて(ステップS14)、本フローが終了する(ステップS7)。
【0063】
これに対して、ステップS2にて、中間転写ベルト8の摩擦係数が下限値(0.25)より大きいものと判別された場合には、摩擦係数が上限値(0.35)より大きいものとして、さらに潤滑剤供給部16(ブラシ状回転部材16a)が増速状態であるかが判別される(ステップS15)。そして、潤滑剤供給部16が増速状態でないと判別された場合には、駆動モータ70(可変手段)によって潤滑剤供給部16(ブラシ状回転部材16a)が増速状態になるように制御されて(ステップS16)、本フローが終了する(ステップS7)。
【0064】
以上説明したように、本実施の形態2でも、前記実施の形態1と同様に、中間転写ベルト8(像担持体)に当接する2次転写ローラ19(回転部材)の回転速度を変化させたときの、中間転写ベルト8を駆動する第1駆動モータ50(第1駆動手段)の駆動負荷の変動に応じて、中間転写ベルト8上に供給される潤滑剤供給量を可変制御している。これにより、中間転写ベルト8の表面の摩擦係数の検出が正確におこなわれて、その検出値に基づいて中間転写ベルト8の表面への潤滑剤供給量が調整されて中間転写ベルト8の表面における摩擦係数を精度よく適正化することができる。
【0065】
実施の形態3.
図10及び図11にて、この発明の実施の形態3について詳細に説明する。
図10は、実施の形態3における潤滑剤供給部16を示す構成図であって、前記実施の形態1における図4に相当する図である。また、図11は、潤滑剤供給部16における、ブラシ状回転部材16aに対する固形潤滑剤16bの当接圧の制御を示すフローチャートであって、前記実施の形態1における図7に相当する図である。
本実施の形態3における画像形成装置は、潤滑剤供給量を可変する可変手段の構成が、前記各実施の形態のものと相違する。
【0066】
本実施の形態3における画像形成装置100も、前記各実施の形態のものと同様に、中間転写ベルト8(像担持体)、2次転写対向ローラ12、第1駆動モータ50(第1駆動手段)、トルク検知部60(検出手段)、2次転写ローラ19(回転部材)、回転数可変型の第2駆動モータ40(第2駆動手段)、潤滑剤供給部16、等が設けられている。
そして、本実施の形態3においても、第2駆動モータ40(第2駆動手段)によって2次転写ローラ19(回転部材)の回転速度を変化させたときにトルク検知部60(検出手段)によって検出される検出値の変動に応じて、中間転写ベルト8上に供給される潤滑剤供給量が可変制御される。
【0067】
ここで、図10を参照して、本実施の形態3において、中間転写ベルト8上に供給する潤滑剤供給量を可変する可変手段は、ブラシ状回転部材16aに対する固形潤滑剤16bの当接圧を可変する圧力調整機構16f、75、78である。圧力調整機構は、圧縮スプリング16cの他端側に接続された加圧板16f、加圧板16fに当接するカム75、カム75の回転軸75aに接続されたカム駆動モータ78、等で構成されている。そして、第2駆動モータ40(第2駆動手段)によって2次転写ローラ19(回転部材)の回転速度を変化させたときにトルク検知部60(検出手段)によって検出される検出値の変動に応じて、圧力調整機構16f、75、78(可変手段)が制御される。
【0068】
具体的に、中間転写ベルト8に供給する潤滑剤供給量を減少させたいときには、制御部80によって制御されたカム駆動モータ78によって、カム75の回転方向の姿勢が図10の状態に維持されて、ブラシ状回転部材16aに対する固形潤滑剤16bの当接圧が減圧される。このような場合には、ブラシ状回転部材16aによって削られる固形潤滑剤16bの量が少なくなるため、中間転写ベルト8に供給する潤滑剤供給量も減少することになる。
これに対して、中間転写ベルト8に供給する潤滑剤供給量を減少させたいときには、制御部80によって制御されたカム駆動モータ78によって、カム75が図10の状態から180度回転駆動される。これにより、カム75に押動されて加圧板16fが下方に移動して、圧縮スプリング16cの使用長さが短くなるため、ブラシ状回転部材16aに対する固形潤滑剤16bの当接圧が増圧される。このような場合には、ブラシ状回転部材16aによって削られる固形潤滑剤16bの量が多くなるため、中間転写ベルト8に供給する潤滑剤供給量も増加することになる。
【0069】
図11に示すフローチャートによって、駆動モータ70(可変手段)による潤滑剤供給部16(固形潤滑剤16b)の圧力制御について説明する。なお、前記実施の形態1において図7を用いて説明したフローと重複する部分については、その説明を省略する。
ステップS2にて、中間転写ベルト8の摩擦係数が下限値(0.25)より小さいものと判別された場合には、潤滑剤供給部16(固形潤滑剤16b)が減圧状態であるかが判別される(ステップS23)。そして、潤滑剤供給部16が減圧状態でないと判別された場合には、圧力調整機構16f、75、78(可変手段)によって潤滑剤供給部16(固形潤滑剤16b)が減圧状態になるように制御されて(ステップS24)、本フローが終了する(ステップS7)。
【0070】
これに対して、ステップS2にて、中間転写ベルト8の摩擦係数が下限値(0.25)より大きいものと判別された場合には、摩擦係数が上限値(0.35)より大きいものとして、さらに潤滑剤供給部16(固形潤滑剤16b)が増圧状態であるかが判別される(ステップS25)。そして、潤滑剤供給部16が増圧状態でないと判別された場合には、圧力調整機構16f、75、78(可変手段)によって潤滑剤供給部16(固形潤滑剤16b)が増圧状態になるように制御されて(ステップS26)、本フローが終了する(ステップS7)。
【0071】
以上説明したように、本実施の形態3でも、前記各実施の形態と同様に、中間転写ベルト8(像担持体)に当接する2次転写ローラ19(回転部材)の回転速度を変化させたときの、中間転写ベルト8を駆動する第1駆動モータ50(第1駆動手段)の駆動負荷の変動に応じて、中間転写ベルト8上に供給される潤滑剤供給量を可変制御している。これにより、中間転写ベルト8の表面の摩擦係数の検出が正確におこなわれて、その検出値に基づいて中間転写ベルト8の表面への潤滑剤供給量が調整されて中間転写ベルト8の表面における摩擦係数を精度よく適正化することができる。
【0072】
なお、前記各実施の形態では、像担持体として中間転写ベルト8を用いて、回転部材として2次転写ローラ19を用いた画像形成装置100に対して本発明を適用した。これに対して、その他の像担持体(例えば、中間転写ドラム、感光体ベルト、感光体ドラム等である。)を用いた画像形成装置であっても、本発明を適用することができる。そして、そのような場合であっても、像担持体に当接する回転部材の回転速度を変化させたときの、像担持体を駆動する第1駆動手段の駆動負荷の変動に応じて、像担持体上に供給される潤滑剤供給量を可変制御することで、前記各実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0073】
また、前記各実施の形態では、中間転写ベルト8に当接する回転部材として2次転写ローラ19を用いた画像形成装置100に対して本発明を適用した。これに対して、これに対して、中間転写ベルト8に当接する回転部材として2次転写ベルト(中間転写ベルト8に当接して2次転写ニップ部を形成するベルト状の2次転写部材である。)を用いた画像形成装置に対しても、本発明を適用することができる。さらには、中間転写ベルト8に当接する回転部材として感光体ドラム1Y、1M、1C、1K(又は、感光体ベルト)を用いた画像形成装置に対しても、本発明を適用することができる。
そして、そのような場合であっても、中間転写ベルト8に当接する回転部材の回転速度を変化させたときの、中間転写ベルト8を駆動する第1駆動モータ50の駆動負荷の変動に応じて、中間転写ベルト8上に供給される潤滑剤供給量を可変制御することで、前記各実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0074】
なお、本発明が前記各実施の形態に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、前記各実施の形態の中で示唆した以外にも、前記各実施の形態は適宜変更され得ることは明らかである。また、前記構成部材の数、位置、形状等は前記各実施の形態に限定されず、本発明を実施する上で好適な数、位置、形状等にすることができる。
【符号の説明】
【0075】
1Y、1M、1C、1K 感光体ドラム、
8 中間転写ベルト(ベルト部材、像担持体)、
12 2次転写対向ローラ、
16 潤滑剤供給部(潤滑剤供給装置)、
16a ブラシ状回転部材、
16b 固形潤滑剤、
16c 圧縮スプリング(付勢部材)、
19 2次転写ローラ(回転部材)、
40 第2駆動モータ(第2駆動手段)、
50 第1駆動モータ(第1駆動手段)、
60 トルク検知部(検出手段)、
75 カム(可変手段)、
76 引張スプリング(可変手段)、
78 カム駆動モータ(可変手段)、
100 画像形成装置本体(装置本体)、 P 記録媒体、
【先行技術文献】
【特許文献】
【0076】
【特許文献1】特開2008−139800号公報
【特許文献2】特開2009−15287号公報
【技術分野】
【0001】
この発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ、又は、それらの複合機等の電子写真方式を用いた画像形成装置に関し、特に、中間転写ベルト、感光体ベルト等の像担持体上に潤滑剤を供給する潤滑剤供給部が設けられた画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、複写機、プリンタ等の画像形成装置において、中間転写ベルト、中間転写ドラム、感光体ドラム、感光体ベルト、等の像担持体上に付着する未転写トナー等の付着物をクリーニング装置で確実に清掃するとともに、像担持体やクリーニングブレード等の磨耗を低減するために、像担持体上に潤滑剤を供給する潤滑剤供給部(潤滑剤供給装置)を用いる技術が知られている(例えば、特許文献1等参照。)。
【0003】
特許文献1等において、潤滑剤供給部(潤滑剤塗布装置)は、中間転写ベルト(像担持体)に摺接するブラシ状回転部材(塗布部材)、ブラシ状回転部材に当接する固形潤滑剤、固形潤滑剤をブラシ状回転部材に向けて付勢する加圧スプリング、等で構成される。そして、所定方向に回転するブラシ状回転部材によって固形潤滑剤から潤滑剤が徐々に削り取られて、ブラシ状回転部材によって削り取られた潤滑剤が中間転写ベルトの表面に塗布(供給)される。
ここで、中間転写ベルトの表面に過剰に潤滑剤が供給されて、中間転写ベルトの摩擦係数が低くなり過ぎてしまうと、感光体ドラムから中間転写ベルトへのトナー像の転写効率が低下して、出力画像上にボソツキ画像や虫食い画像が生じてしまうことが知られている。一方、中間転写ベルトの表面に供給される潤滑剤が不足して、中間転写ベルトの摩擦係数が高くなり過ぎてしまうと、中間転写ベルトに当接するクリーニングブレードに捲れや磨耗が生じてしまうことになる。そのため、中間転写ベルトの表面における摩擦係数を適正化することが必要になる。
【0004】
これに対して、特許文献1等には、中間転写ベルトの表面における摩擦係数を適正化することを目的として、中間転写ベルトを駆動する駆動ローラの駆動トルクを検知して、その検知結果に基づいて潤滑剤供給部から中間転写ベルト上に供給する潤滑剤量を調整する技術が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の画像形成装置は、中間転写ベルト(像担持体)の表面の摩擦係数の検出が正確におこなわれずに、中間転写ベルトの表面における摩擦係数を精度よく適正化することができない可能性があった。そのため、出力画像上にボソツキ画像や虫食い画像が生じてしまう不具合や、中間転写ベルトに当接するクリーニングブレードに捲れや磨耗が生じてしまう不具合が発生する可能性があった。
これは、中間転写ベルトを駆動する駆動ローラの駆動トルクと、中間転写ベルトの表面の摩擦係数と、が環境変動やトナー像の画像面積等の影響によって必ずしも1対1で対応しないためである。
【0006】
また、このような問題は、中間転写ベルトの表面に潤滑剤を供給する画像形成装置に限定されることなく、中間転写ドラム、感光体ベルト、感光体ドラム等のその他の像担持体の表面に潤滑剤を供給する画像形成装置においても、共通するものである。
【0007】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、像担持体の表面の摩擦係数の検出を正確におこなって、その検出値に基づいて像担持体の表面への潤滑剤供給量を調整して像担持体の表面における摩擦係数を精度よく適正化することができる、画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明の請求項1記載の発明にかかる画像形成装置は、所定方向に走行するとともに、その外周面にトナー像を担持する像担持体と、所定方向に回転するとともに、前記像担持体の外周面に当接する回転部材と、前記像担持体を駆動する第1駆動手段と、前記回転部材を回転駆動するとともに、前記回転部材の回転速度を可変できるように構成された第2駆動手段と、前記第1駆動手段に生じる駆動負荷を検出する検出手段と、前記像担持体の外周面に潤滑剤を供給する潤滑剤供給部と、前記潤滑剤供給部によって前記像担持体の外周面に供給される潤滑剤の単位時間当りの供給量を可変する可変手段と、を備え、前記可変手段は、前記第2駆動手段によって前記回転部材の回転速度を変化させたときに前記検出手段によって検出される検出値の変動に応じて制御されるものである。
【0009】
また、請求項2記載の発明にかかる画像形成装置は、前記請求項1に記載の発明において、前記可変手段は、前記第2駆動手段によって前記回転部材の回転速度を減速させたときの前記検出値の増加率が所定の範囲よりも小さい場合には前記潤滑剤の単位時間当りの供給量が減少して、前記第2駆動手段によって前記回転部材の回転速度を減速させたときの前記検出値の増加率が所定の範囲よりも大きい場合には前記潤滑剤の単位時間当りの供給量が増加するように制御されるものである。
【0010】
また、請求項3記載の発明にかかる画像形成装置は、前記請求項1又は請求項2に記載の発明において、前記像担持体を、無端状のベルト部材としたものである。
【0011】
また、請求項4記載の発明にかかる画像形成装置は、前記請求項3に記載の発明において、前記ベルト部材は、中間転写ベルトであって、前記回転部材を、前記中間転写ベルトに当接して記録媒体が搬送される2次転写ニップ部を形成する2次転写ローラ又は2次転写ベルトとしたものである。
【0012】
また、請求項5記載の発明にかかる画像形成装置は、前記請求項3に記載の発明において、前記ベルト部材は、中間転写ベルトであって、前記回転部材を、前記中間転写ベルトに当接して当該中間転写ベルト上にトナー像を1次転写するための1次転写ニップ部を形成する感光体ドラム又は感光体ベルトとしたものである。
【0013】
また、請求項6記載の発明にかかる画像形成装置は、前記請求項1〜請求項5のいずれかに記載の発明において、前記可変手段は、前記像担持体に対して前記潤滑剤供給部を接離して前記潤滑剤の単位時間当りの供給量を可変するものである。
【0014】
また、請求項7記載の発明にかかる画像形成装置は、前記請求項1〜請求項5のいずれかに記載の発明において、前記潤滑剤供給部は、前記像担持体と固形潤滑剤とに摺接するとともに、外周面にブラシ毛が周設されたブラシ状回転部材を具備し、前記可変手段は、前記ブラシ状回転部材の回転数を可変して前記潤滑剤の単位時間当りの供給量を可変するものである。
【0015】
また、請求項8記載の発明にかかる画像形成装置は、前記請求項1〜請求項5のいずれかに記載の発明において、前記潤滑剤供給部は、前記像担持体と固形潤滑剤とに摺接するとともに、外周面にブラシ毛が周設されたブラシ状回転部材を具備し、前記可変手段は、前記ブラシ状回転部材に対する前記固形潤滑剤の当接圧を可変して前記潤滑剤の単位時間当りの供給量を可変するものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、像担持体に当接する回転部材の回転速度を変化させたときの、像担持体を駆動する第1駆動手段の駆動負荷の変動に応じて、潤滑剤供給量を可変制御している。これにより、像担持体の表面の摩擦係数の検出が正確におこなわれて、その検出値に基づいて像担持体の表面への潤滑剤供給量が調整されて像担持体の表面における摩擦係数が精度よく適正化される、画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】この発明の実施の形態1における画像形成装置を示す全体構成図である。
【図2】作像部を示す断面図である。
【図3】中間転写ベルト及び2次転写ローラの近傍を示す上面図である。
【図4】潤滑剤供給部を示す構成図である。
【図5】潤滑剤供給部が中間転写ベルトから離間した状態を示す図である。
【図6】中間転写ベルトの摩擦係数と駆動トルク増加率との関係を示すグラフである。
【図7】潤滑剤供給部の接離制御を示すフローチャートである。
【図8】この発明の実施の形態2における潤滑剤供給部を示す構成図である。
【図9】図8の潤滑剤供給部における、ブラシ状回転部材の回転速度の制御を示すフローチャートである。
【図10】この発明の実施の形態3における潤滑剤供給部を示す構成図である。
【図11】図10の潤滑剤供給部における、ブラシ状回転部材に対する固形潤滑剤の当接圧の制御を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、この発明を実施するための形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図中、同一又は相当する部分には同一の符号を付しており、その重複説明は適宜に簡略化ないし省略する。
【0019】
実施の形態1.
図1〜図7にて、この発明の実施の形態1について詳細に説明する。
まず、画像形成装置全体の構成・動作について説明する。
図1に示すように、画像形成装置本体100の上方にあるトナー容器収容部31には、各色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)に対応した4つのトナー容器32Y、32M、32C、32Kが着脱自在(交換自在)に設置されている。
トナー容器収容部31の下方には中間転写ユニット15が配設されている。その中間転写ユニット15の中間転写ベルト8(像担持体)に対向するように、各色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)に対応した作像部6Y、6M、6C、6Kが並設されている。
図示は省略するが、トナー容器32Y、32M、32C、32Kの下方には、それぞれ、トナー補給装置が配設されている。そして、トナー容器32Y、32M、32C、32Kに収容されたトナーは、それぞれ、トナー補給装置によって、作像部6Y、6M、6C、6Kの現像装置内に供給(補給)される。
【0020】
図2を参照して、イエローに対応した作像部6Yは、感光体ドラム1Yと、感光体ドラム1Yの周囲に配設された帯電部4Y、現像装置5Y(現像部)、クリーニング部2Y、除電部(不図示である。)、等で構成されている。そして、感光体ドラム1Y上で、作像プロセス(帯電工程、露光工程、現像工程、転写工程、クリーニング工程)がおこなわれて、感光体ドラム1Y上にイエロー画像が形成されることになる。
【0021】
なお、他の3つの作像部6M、6C、6Kも、使用されるトナーの色が異なる以外は、イエローに対応した作像部6Yとほぼ同様の構成となっていて、それぞれのトナー色に対応した画像が形成される。以下、他の3つの作像部6M、6C、6Kの説明を適宜に省略して、イエローに対応した作像部6Yのみの説明をおこなうことにする。
【0022】
図2を参照して、感光体ドラム1Yは、不図示の駆動モータによって図2中の時計方向に回転駆動される。そして、帯電部4Yの位置で、感光体ドラム1Yの表面が一様に帯電される(帯電工程である。)。
その後、感光体ドラム1Yの表面は、露光装置7(図1を参照できる。)から発せられたレーザ光Lの照射位置に達して、この位置での露光走査によってイエローに対応した静電潜像が形成される(露光工程である。)。
【0023】
その後、感光体ドラム1Yの表面は、現像装置5Yとの対向位置に達して、この位置で静電潜像が現像されて、イエローのトナー像が形成される(現像工程である。)。
詳しくは、図2を参照して、現像装置5Y内には、トナーとキャリア(磁性キャリア)とからなる2成分現像剤Gが収容されている。現像装置5Y内の現像剤Gは、不図示の磁気センサによって検知されるトナー濃度(現像剤G中のトナーの割合である。)が所定の範囲内になるように調整される。すなわち、現像装置5Y内のトナー消費に応じて、トナー補給装置によってトナー補給口64Yを介して第2現像剤搬送部504Y内に、トナー(補給トナー)が補給される。
トナー補給装置は、図1に示すトナー容器32Yに接続されている。なお、図示は省略するが、トナー補給装置は、トナー容器32Y(トナーボトル)を回転駆動する駆動部や、トナー容器32Yから排出されたトナーを貯留するトナータンク部や、トナータンク部に貯留されたトナーをトナー落下経路に向けて搬送するトナー搬送部や、トナー搬送部によって搬送されたトナーを現像装置5Y(第2現像剤搬送部504Y)に向けて自重落下させるトナー落下経路、等で構成されている。
【0024】
図2を参照して、その後、トナー補給口64Yを介して第2現像剤搬送部504Y内に補給されたトナー(補給トナー)は、2つの搬送スクリュ505Y、506Yによって、現像剤Gとともに混合・撹拌されながら、仕切部材で隔絶された第1現像剤搬送部503Yと第2現像剤搬送部504Yとを循環する。
このように循環経路中を循環する現像剤G中のトナーは、キャリアとの摩擦帯電によりキャリアに吸着して、周囲に複数の磁極が形成された現像ローラ501Y上にキャリアとともに担持される。現像ローラ501Y上に担持された現像剤Gは、現像ローラ501Yの矢印方向の回転にともなって搬送されて、ドクターブレード502Yの位置に達する。そして、現像ローラ501Y上の現像剤Gは、この位置で適量に規制された後に、感光体ドラム1Yとの対向位置(現像領域である。)まで搬送される。そして、現像領域に形成された電界(現像電界)によって、感光体ドラム1Y上に形成された潜像にトナーが吸着される。
ここで、現像装置5Y内の現像剤は、現像剤中のトナーの割合(トナー濃度)が所定の範囲内になるように調整される。詳しくは、現像装置5Y内のトナー消費に応じて、トナーボトル32Yに収容されているトナーが、トナー補給装置によってトナー補給口64Yを介して第2現像剤搬送部504Y内に補給される。
【0025】
図2を参照して、上述した現像工程の後、感光体ドラム1Yの表面は、中間転写ベルト8及び第1転写バイアスローラ9Yとの対向位置(1次転写ニップ部である。)に達して、この位置で感光体ドラム1Y上のトナー像が像担持体としての中間転写ベルト8上に転写される(1次転写工程である。)。このとき、感光体ドラム1Y上には、僅かながら未転写トナーが残存する。
その後、感光体ドラム1Yの表面は、クリーニング部2Yとの対向位置に達して、この位置で感光体ドラム1Y上に残存した未転写トナーがクリーニングブレード2aによって機械的に回収される(クリーニング工程である。)。
最後に、感光体ドラム1Yの表面は、不図示の除電部との対向位置に達して、この位置で感光体ドラム1Y上の残留電位が除去される。
こうして、感光体ドラム1Y上でおこなわれる、一連の作像プロセスが終了する。
【0026】
なお、上述した作像プロセスは、他の作像部6M、6C、6Kでも、イエロー作像部6Yと同様におこなわれる。すなわち、作像部の下方に配設された露光部7から、画像情報に基いたレーザ光Lが、各作像部6M、6C、6Kの感光体ドラム上に向けて照射される。詳しくは、露光部7は、光源からレーザ光Lを発して、そのレーザ光Lを回転駆動されたポリゴンミラーで走査しながら、複数の光学素子を介して感光体ドラム上に照射する。
その後、現像工程を経て各感光体ドラム上に形成した各色のトナー像を、ベルト部材としての中間転写ベルト8(像担持体)上に重ねて転写する。こうして、中間転写ベルト8上にカラー画像が形成される。
【0027】
ここで、図1を参照して、中間転写ユニット15は、像担持体としての中間転写ベルト8、4つの1次転写バイアスローラ9Y、9M、9C、9K、2次転写対向ローラ12、第1テンションローラ13、第2テンションローラ14、中間転写クリーニング部10、第1対向ローラ11、第2対向ローラ17、等で構成される。中間転写ベルト8は、無端状のベルト部材であって、複数のローラ部材9〜14、17よって張架・支持されるとともに、1つのローラ部材12(2次転写対向ローラ)の回転駆動によって図1中の矢印方向に無端移動される。
なお、本実施の形態1では、像担持体としての中間転写ベルト8の走行速度(プロセス線速)が150mm/秒に設定されている。
【0028】
4つの1次転写バイアスローラ9Y、9M、9C、9Kは、それぞれ、中間転写ベルト8を感光体ドラム1Y、1M、1C、1Kとの間に挟み込んで1次転写ニップ部を形成している。そして、1次転写バイアスローラ9Y、9M、9C、9Kに、トナーの極性とは逆の転写バイアス(本実施の形態1では、+1800ボルトである。)が印加される。なお、1次転写バイアスローラ9Y、9M、9C、9Kは、不図示のスプリングによって、感光体ドラム1Y、1M、1C、1Kを圧接する方向に付勢されている。
そして、中間転写ベルト8は、矢印方向に走行して、各1次転写バイアスローラ9Y、9M、9C、9Kの1次転写ニップ部を順次通過する。こうして、感光体ドラム1Y、1M、1C、1K上の各色のトナー像が、中間転写ベルト8上に重ねて1次転写される。
【0029】
その後、各色のトナー像が重ねて転写された中間転写ベルト8は、回転部材としての2次転写ローラ19との対向位置に達する。この位置では、2次転写対向ローラ12が、回転部材としての2次転写ローラ19との間に中間転写ベルト8を挟み込んでニップ部(2次転写ニップ部)を形成している。そして、2次転写ローラ19に、トナーの極性とは逆の2次転写バイアスが印加される(又は、2次転写対向ローラ12に、トナーの極性と同極性の2次転写バイアスを印加してもよい。)。これにより、ベルト部材としての中間転写ベルト8(像担持体)上に担持されたカラートナー像は、この2次転写ニップ部の位置に搬送された転写紙等の記録媒体P上に転写される。このとき、中間転写ベルト8には、記録媒体Pに転写されなかった未転写トナーが残存する。
【0030】
その後、中間転写ベルト8は、中間転写クリーニング部10の位置に達する。そして、この位置で、中間転写ベルト8上の未転写トナーが回収される。詳しくは、中間転写クリーニング部10には、ウレタンゴムからなるクリーニングブレードが中間転写ベルト8に対して所定の角度及び圧力で当接するように設置されている。そして、中間転写ベルト8上に残留した未転写トナー等の付着物が、中間転写クリーニング部10のクリーニングブレードによって機械的に掻き取られて、中間転写クリーニング部10内に回収される。なお、クリーニングブレードに対向する位置には、中間転写ベルト8を介して第1対向ローラ11が設置されていて、これにより中間転写ベルト8に対するクリーニングブレードの接触圧が安定化されている。
【0031】
その後、中間転写ベルト8は、潤滑剤供給部16(潤滑剤供給装置)の位置に達する。そして、この位置で、中間転写ベルト8の外周面に潤滑剤が供給(塗布)される。なお、潤滑剤供給部16の構成・動作については、後で図4及び図5を用いて詳しく説明する。
こうして、中間転写ベルト8上でおこなわれる、一連の転写プロセスが終了する。
【0032】
ここで、2次転写ニップ部の位置に搬送された記録媒体Pは、装置本体100の下方に配設された給紙部26から、給紙ローラ27やレジストローラ対28等を経由して搬送されたものである。
詳しくは、給紙部26には、転写紙等の記録媒体Pが複数枚重ねて収納されている。そして、給紙ローラ27が図1中の反時計方向に回転駆動されると、一番上の記録媒体Pがレジストローラ対28のローラ間に向けて給送される。
【0033】
レジストローラ対28に搬送された記録媒体Pは、回転駆動を停止したレジストローラ対28のローラニップの位置で一旦停止する。そして、中間転写ベルト8上のカラー画像にタイミングを合わせて、レジストローラ対28が回転駆動されて、記録媒体Pが2次転写ニップに向けて搬送される。こうして、記録媒体P上に、所望のカラー画像が転写される。
【0034】
その後、2次転写ニップ部の位置でカラー画像が転写された記録媒体Pは、定着部20(定着装置)の位置に搬送される。そして、この位置で、定着ローラ及び加圧ローラによる熱と圧力とにより、記録媒体Pの表面に転写されたカラー画像(トナー像)が記録媒体P上に定着される。
その後、記録媒体Pは、排紙ローラ対29のローラ間を経て、装置外へと排出される。排紙ローラ対29によって装置外に排出された記録媒体Pは、出力画像として、スタック部30上に順次スタックされる。
こうして、画像形成装置における、一連の画像形成プロセスが完了する。
【0035】
なお、本実施の形態1において、像担持体としての中間転写ベルト8(ベルト部材)は、PVDF(フッ化ビニルデン)、ETFE(エチレン−四フッ化エチレン共重合体)、PI(ポリイミド)、PC(ポリカーボネート)、等を単層又は複数層に構成して、カーボンブラック等の導電性材料を分散させた無端状のベルト部材である。中間転写ベルト8は、体積抵抗率が108〜1012Ωcm程度に、表面抵抗率が109〜1013Ωcm程度に、厚さが80〜100μm程度に設定されている。
なお、必要に応じて中間転写ベルト8の表面に離型層をコートすることもできる。その際、コートに用いる材料として、ETFE(エチレン−四フッ化エチレン共重合体)、PTFE(ポリ四フッ化エチレン)、PVDF(フッ化ビニルデン)、PEA(パーフルオロアルコキシフッ素樹脂)、FEP(四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合体)、PVF(フッ化ビニル)、等のフッ素樹脂を使用できるが、これに限定されるものではない。
また、中間転写ベルト8の製造方法としては、注型法、遠心成形法、等があり、必要に応じてその表面を研磨する工程がおこなわれる。
【0036】
また、中間転写ベルト8の内周面に当接する2次転写対向ローラ12は、中間転写ベルト8を介して2次転写ローラ19(回転部材)に当接している。図3を参照して、2次転写対向ローラ12の軸部には、第1駆動手段としての第1駆動モータ50のモータ軸に設置された駆動ギア51に噛合するギア52が設置されている。そして、第1駆動手段としての第1駆動モータ50から2次転写対向ローラ12に駆動力が伝達されて、2次転写対向ローラ12が図1の反時計方向に回転することで、2次転写対向ローラ12との摩擦抵抗によって中間転写ベルト8が図1の反時計方向に駆動(走行駆動)されることになる。
【0037】
ここで、図3を参照して、第1駆動モータ50(第1駆動手段)のモータ軸には、第1駆動モータ50(第1駆動手段)に生じる駆動負荷(駆動トルク)を検出する検出手段としてのトルク検知部60(トルク検出装置)が設置されている。トルク検知部60(検出手段)は、第1駆動モータ50(第1駆動手段)に生じる電流値から駆動負荷(駆動トルク)を検出するものである。
【0038】
また、回転部材としての2次転写ローラ19は、ステンレス鋼等からなる芯金上に、ウレタン材料(ウレタンゴム)からなる弾性層(導電性ゴム層)が形成されたローラ部材であって、抵抗が106〜1010Ω程度に設定されている。2次転写ローラ19は、中間転写ベルト8を介して2次転写対向ローラ12に当接して、2次転写ニップ部を形成している。
そして、上述したように、2次転写ローラ19と2次転写対向ローラ12(又は、中間転写ベルト8)との間に所望の電界が形成されることで、中間転写ベルト8上に担持されたトナー像が2次転写ニップ部の位置で記録媒体P上に転写(2次転写)されることになる。具体的に、本実施の形態1では、不図示の電源部から2次転写ローラ19に向けて所定の電圧(2次転写バイアス)が印加されて、転写工程(2次転写工程)がおこなわれる。
【0039】
また、本実施の形態1では、図3に示すように、2次転写ローラ19(回転部材)の軸部に、第2駆動手段としての第2駆動モータ40のモータ軸に設置された駆動ギア41に噛合するギア42が設置されている。そして、第2駆動手段としての第2駆動モータ40から2次転写ローラ19に駆動力が伝達されて、2次転写ローラ19が図1の時計方向に回転駆動されることになる。
ここで、第2駆動モータ40(第2駆動手段)は、回転数可変型のモータであって、2次転写ローラ19(回転部材)の回転速度(回転数)を任意に可変することができる。なお、通常時において、第2駆動モータ40(第2駆動手段)は、2次転写ローラ19の線速度(2次転写ニップ部における線速度である。)が中間転写ベルト8の走行速度(150mm/秒である。)と同等になるように、2次転写ローラ19の回転速度を制御している。そして、中間転写ベルト8の外周面の摩擦抵抗を測定(検出)するときに、第2駆動モータ40(第2駆動手段)によって2次転写ローラ19の回転速度が減速制御されることになるが、これについては後で詳しく説明する。
【0040】
以下、本実施の形態1における、潤滑剤供給部16(潤滑剤供給装置)の構成・動作について詳しく説明する。
図4は、潤滑剤供給部16を示す構成図であって、潤滑剤供給部16(ブラシ状回転部材16a)が中間転写ベルト8(像担持体)に当接した状態を示す図である。これに対して、図5は、潤滑剤供給部16(ブラシ状回転部材16a)が中間転写ベルト8(像担持体)から離間した状態を示す図である。
図4を参照して、潤滑剤供給部16は、固形潤滑剤16b、中間転写ベルト8と固形潤滑剤16bとに摺接するブラシ毛が外周面に周設されたブラシ状回転部材16a(ブラシ状ローラ)、固形潤滑剤16bをブラシ状回転部材16aに向けて付勢する付勢手段としての圧縮スプリング16c、固形潤滑剤16bを保持する保持部16d、ブラシ状回転部材16aと固形潤滑剤16bと圧縮スプリング16cと保持部16dとを保持するホルダ16e、等で構成される。
【0041】
ブラシ状回転部材16aは、長さ(毛足)が4mm程度のポリエステルからなるブラシ毛(密度が約10万本/平方インチである。)が基布上に植毛されたものを芯金上にスパイラル状に巻き付けたものであって、その外径が12mm程度に設定されている。
【0042】
ブラシ状回転部材16a(回転部材)は、駆動モータ70によって、図4の左方向に向けて走行する中間転写ベルト8に対して順方向で接触するように回転する(図4の時計方向の回転駆動である。)。また、ブラシ状回転部材16aは、そのブラシ毛が固形潤滑剤16bと中間転写ベルト8とに摺接するように配置されていて、ブラシ状回転部材16aが回転することによって固形潤滑剤16bから潤滑剤を掻き取り、その潤滑剤を中間転写ベルト8の外周面に塗布する。なお、本実施の形態1では、駆動モータ70によって、ブラシ状回転部材16aの線速度(中間転写ベルト8との当接位置における線速度である。)が165mm/秒になるように設定されている(プロセス線速の150mm/秒よりも若干速く設定されている)。
また、固形潤滑剤16bの後方部には,ブラシ状回転部材16aと固形潤滑剤16bとの接触ムラをなくすために圧縮スプリング16cが保持部16dを介して配置されていて、固形潤滑剤16bをブラシ状回転部材16aに向けて付勢している。
【0043】
本実施の形態1では、固形潤滑剤16bを主としてステアリン酸亜鉛で形成している。詳しくは、固形潤滑剤16bは、ステアリン酸亜鉛を主成分とする潤滑油添加剤を溶解したもので、塗りすぎによる副作用がなく、充分な潤滑性があるものが好適である。
ステアリン酸亜鉛は、代表的なラメラ結晶紛体である。ラメラ結晶は両親媒性分子が自己組織化した層状構造を有していて、せん断力が加わると層間にそって結晶が割れて滑りやすい。したがって、中間転写ベルト8表面を低摩擦係化することができる。すなわち、せん断力を受けて均一に中間転写ベルト8表面を覆っていくラメラ結晶によって、少量の潤滑剤によって効果的に中間転写ベルト8表面を覆うことができる。
【0044】
なお、固形潤滑剤16bとしては、ステアリン酸亜鉛の他にも、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸鉄、ステアリン酸ニッケル、ステアリン酸コバルト、ステアリン酸銅、ステアリン酸ストロンチュウム、ステアリン酸カルシウム等のステアリン酸基を有するものを用いることができる。また、同じ脂肪酸基であるオレイン酸亜鉛、オレイン酸バリウム、オレイン酸鉛、以下、ステアリン酸と同様の化合物や、パルチミン酸亜鉛、パルチミン酸バリウム、パルチミン酸鉛、以下、ステアリン酸と同様の化合物を使用して良い。他にも、脂肪酸基として、カプリル酸、リノレン酸、コリノレン酸等を使用することができる。さらに、カンデリラワックス、カンルナウバワックス、ライスワックス、木ろう、おおば油、みつろう、ラノリン等のワックスを使用することもできる。これらは有機系の固形潤滑剤となりやすく、トナーとの相性が良い。
【0045】
また、本実施の形態1では、ブラシ状回転部材16aに対向する位置に、中間転写ベルト8を介して第2対向ローラ17(外径が16mm程度に設定されている。)が設置されていて、これにより中間転写ベルト8に対するブラシ状回転部材16aの接触圧が安定化されている。なお、本実施の形態1では、ブラシ状回転部材16aのブラシ毛が、中間転写ベルト8に1mm程度食い込むように設定されている。また、第2対向ローラ17は、中間転写ベルト8との摩擦抵抗によって、図4の反時計方向に従動回転(連れ回り)する。
【0046】
ここで、本実施の形態1では、潤滑剤供給部16によって中間転写ベルト8(像担持体)の外周面に供給される潤滑剤の単位時間当りの供給量(潤滑剤供給量)を可変する可変手段75、76、78(接離機構)が設置されている。
詳しくは、可変手段(接離機構)は、ホルダ16e(潤滑剤供給部16)に当接するカム75、カム75の回転軸75aに接続されたカム駆動モータ78、ホルダ16e(潤滑剤供給部16)を中間転写ベルト8から離間する方向に付勢する引張スプリング76、等で構成されている。そして、可変手段75、76、78によって、中間転写ベルト8に対して潤滑剤供給部16が接離されることで、中間転写ベルト8に供給される潤滑剤供給量(単位時間当りの供給量)が可変されることになる。
【0047】
具体的に、制御部80によるカム駆動モータ78の制御によって、カム75の回転方向の姿勢が図4の状態にあるときには、引張スプリング76の付勢力に抗するように、カム75によってホルダ16e(潤滑剤供給部16)が下方に押動されて、ブラシ状回転部材16a(潤滑剤供給部16)が中間転写ベルト8に当接することになる。そして、図4の状態(当接状態)で、先に説明したように潤滑剤供給部16から中間転写ベルト8への潤滑剤の供給がおこなわれる。
これに対して、制御部80によるカム駆動モータ78の制御によってカム75が矢印方向に回転駆動されて、カム75の回転方向の姿勢が図5の状態にあるときには、引張スプリング76の付勢力によって、カム75の下死点に当接する位置までホルダ16e(潤滑剤供給部16)が上方に移動して、ブラシ状回転部材16a(潤滑剤供給部16)が中間転写ベルト8に対して離間することになる。そして、図5の状態(離間状態)で、潤滑剤供給部16から中間転写ベルト8への潤滑剤の供給が遮断される。
このように、可変手段75、76、78によって、中間転写ベルト8に対して潤滑剤供給部16が接離されることで、中間転写ベルト8に供給される潤滑剤供給量(単位時間当りの供給量)が可変されることになることになるが、これらの可変制御はトルク検知部60(検出手段)によって検出される検出値の変動の大きさに応じておこなわれる。
【0048】
以下、本実施の形態1における画像形成装置において、特徴的な構成・動作について詳述する。
上述したように、潤滑剤供給部16によって中間転写ベルト8上に潤滑剤が塗布されることで、中間転写ベルト8の摩擦係数が低下することになる。中間転写ベルト8上に潤滑剤が塗布されない場合には、記録媒体P上に転写されなかった未転写トナーによって、中間転写ベルト8の摩擦係数が増大してしまう。しかし、中間転写ベルト8の摩擦抵抗は、低下し過ぎても問題があって、所定の適正範囲(0.25〜0.35である。)に維持されない場合には種々の不具合が生じてしまう。
具体的に、中間転写ベルト8の摩擦抵抗が0.35よりも大きくなってしまうと、そして、中間転写クリーニング部10のクリーニングブレードの位置を未転写トナーがすり抜けてクリーニング不良が生じたり、クリーニングブレードのエッジが捲れたりしてしまう。これに対して、中間転写ベルト8の摩擦係数が0.25よりも低くなってしまうと、中間転写ベルト8から記録媒体Pへの転写効率が低下して、出力画像上にボソツキ画像や虫食い画像(いずれも、画像の一部が欠落してしまう現象である。)が発生してしまう。
【0049】
そこで、本実施の形態1では、中間転写ベルト8(像担持体)の摩擦係数を正確に検出して、その検出結果に応じて潤滑剤供給部16による中間転写ベルト8への潤滑剤供給量を調整している。詳しくは、第2駆動モータ40(第2駆動手段)によって2次転写ローラ19(回転部材)の回転速度を変化させたときにトルク検知部60(検出手段)によって検出される検出値の変動に応じて、可変手段75、76、78(接離機構)が制御される。
【0050】
さらに詳しくは、可変手段75、76、78(接離機構)は、第2駆動モータ40によって2次転写ローラ19の回転速度を所定の割合(本実施の形態1では、2%である。)だけ減速させたときの、トルク検知部60の検出値の増加率が所定の範囲(102〜104%である。)よりも小さい場合には、潤滑剤供給量が減少するように潤滑剤供給部16を中間転写ベルト8から離間させる(図5の状態である。)。これに対して、第2駆動モータ40によって2次転写ローラ19の回転速度を所定の割合(2%)だけ減速させたときの、トルク検知部60の検出値の増加率が所定の範囲(102〜104%である。)よりも大きい場合には、潤滑剤供給量が増加するように潤滑剤供給部16を中間転写ベルト8に当接させる(図4の状態である。)。
【0051】
このような制御をおこなうことにより、中間転写ベルト8の表面の摩擦係数の検出が正確におこなわれて、その検出値に基づいて中間転写ベルト8の表面への潤滑剤供給量が調整されて中間転写ベルト8の表面における摩擦係数が精度よく適正範囲(0.25〜0.35である。)に維持されることになる。
このような制御が成立するのは、中間転写ベルト8の摩擦係数の変動が、第2駆動モータ40によって2次転写ローラ19の回転速度を変化させたときにトルク検知部60によって検出される検出値の変動に比例するためである。
【0052】
図6は、中間転写ベルト8の摩擦係数と、中間転写ベルト8の駆動トルク増加率と、の関係を示すグラフであって、本願発明者が本実施の形態1における画像形成装置を用いておこなった実験の結果を示すものである。
図6に関る実験は、摩擦係数が0.17〜0.45の範囲で異なる数種類の中間転写ベルト8を用意して、第2駆動モータ40によって2次転写ローラ19の回転速度を通常時(線速度150mm/秒)から減速(線速度147mm/秒)させたときの中間転写ベルト8の駆動トルク増加率をそれぞれの中間転写ベルト8に対して測定したものである。2次転写ローラ19の回転速度が減速されると、中間転写ベルト8が2次転写ローラ19の表面をスリップしながら第1駆動モータ50によって駆動されることになるため、中間転写ベルト8の駆動トルク(トルク検知部60の検出値)が増加することになる。図6において、横軸は中間転写ベルト8の外周面の摩擦係数を示す。また、図6において、縦軸は中間転写ベルト8の駆動トルク増加率を示すものであって、トルク検知部60にて検知される検出値の増加率(通常時の検出値を100%としたときの減速時の検出値のパーセンテージである。)である。
図6に示すように、中間転写ベルト8の摩擦係数と、中間転写ベルト8の駆動トルク増加率(トルク検知部60の検出値の増加率)と、には比例関係があることがわかる。そして、このような比例関係は、環境変動やトナー像の画像面積等に影響されることなく成立するものであるため、中間転写ベルト8の表面の摩擦係数の検出が正確におこなわれることになる。
【0053】
最後に、図7に示すフローチャートによって、可変手段75、76、78(接離機構)による潤滑剤供給部16の接離制御について説明する。
まず、所定のタイミングで中間転写ベルト8の摩擦係数が検出される(ステップS0〜S1)。具体的には、先に説明したように、第2駆動モータ40によって2次転写ローラ19の回転速度を2%だけ減速させたときの、トルク検知部60の検出値の増加率が検出される。その結果、中間転写ベルト8の摩擦係数が適正範囲内(0.25〜0.35)であると判別された場合には、そのまま本フローを終了する(ステップS7)。
【0054】
これに対して、中間転写ベルト8の摩擦係数が適正範囲内(0.25〜0.35)でないと判別された場合には、さらに摩擦係数が下限値(0.25)より小さいかが判別される(ステップS2)。その結果、摩擦係数が下限値(0.25)より小さいものと判別された場合には、潤滑剤供給部16(ブラシ状回転部材16a)が当接状態であるかが判別される(ステップS3)。そして、潤滑剤供給部16が当接状態であると判別された場合には、可変手段75、76、78によって潤滑剤供給部16(ブラシ状回転部材16a)が離間状態になるように制御されて(ステップS4)、本フローが終了する(ステップS7)。
【0055】
これに対して、ステップS2にて、中間転写ベルト8の摩擦係数が下限値(0.25)より大きいものと判別された場合には、摩擦係数が上限値(0.35)より大きいものとして、さらに潤滑剤供給部16(ブラシ状回転部材16a)が当接状態であるかが判別される(ステップS5)。そして、潤滑剤供給部16が当接状態でないと判別された場合には、可変手段75、76、78によって潤滑剤供給部16(ブラシ状回転部材16a)が当接状態になるように制御されて(ステップS6)、本フローが終了する(ステップS7)。
【0056】
ここで、上述した制御は、2次転写ローラ19の減速制御をともなう中間転写ベルト8の駆動トルク増加率の検出によっておこなうものであるため、画像形成装置100における画像形成動作(画像形成プロセス)がおこなわれないとき(例えば、ウォーミングアップ時やジョブ開始直前等である。)におこなわれることが好ましい。
これにより、2次転写ローラ19の減速制御による2次転写ニップ部での記録媒体Pの搬送不良を抑止しつつ、クリーニング不良やクリーニングブレードの捲れや、ボソツキ画像や虫食い画像の発生を抑止することができる。
【0057】
以上説明したように、本実施の形態1では、中間転写ベルト8(像担持体)に当接する2次転写ローラ19(回転部材)の回転速度を変化させたときの、中間転写ベルト8を駆動する第1駆動モータ50(第1駆動手段)の駆動負荷の変動に応じて、中間転写ベルト8上に供給される潤滑剤供給量を可変制御している。これにより、中間転写ベルト8の表面の摩擦係数の検出が正確におこなわれて、その検出値に基づいて中間転写ベルト8の表面への潤滑剤供給量が調整されて中間転写ベルト8の表面における摩擦係数を精度よく適正化することができる。
【0058】
実施の形態2.
図8及び図9にて、この発明の実施の形態2について詳細に説明する。
図8は、実施の形態2における潤滑剤供給部16を示す構成図であって、前記実施の形態1における図4に相当する図である。また、図9は、潤滑剤供給部16における、ブラシ状回転部材16aの回転速度の制御を示すフローチャートであって、前記実施の形態1における図7に相当する図である。
本実施の形態2における画像形成装置は、潤滑剤供給量を可変する可変手段の構成が、前記実施の形態1のものと相違する。
【0059】
本実施の形態2における画像形成装置100も、前記実施の形態1のものと同様に、中間転写ベルト8(像担持体)、2次転写対向ローラ12、第1駆動モータ50(第1駆動手段)、トルク検知部60(検出手段)、2次転写ローラ19(回転部材)、回転数可変型の第2駆動モータ40(第2駆動手段)、潤滑剤供給部16、等が設けられている。
そして、本実施の形態2においても、第2駆動モータ40(第2駆動手段)によって2次転写ローラ19(回転部材)の回転速度を変化させたときにトルク検知部60(検出手段)によって検出される検出値の変動に応じて、中間転写ベルト8上に供給される潤滑剤供給量が可変制御される。
【0060】
ここで、図8を参照して、本実施の形態2において、中間転写ベルト8上に供給する潤滑剤供給量を可変する可変手段は、ブラシ状回転部材16aの回転数を可変する回転数可変型の駆動モータ70である。すなわち、可変手段としての駆動モータ70は、ブラシ状回転部材16aの回転数を可変して潤滑剤供給量(単位時間当りの供給量)を可変する。そして、第2駆動モータ40(第2駆動手段)によって2次転写ローラ19(回転部材)の回転速度を変化させたときにトルク検知部60(検出手段)によって検出される検出値の変動に応じて、駆動モータ70(可変手段)が制御される。
【0061】
具体的に、駆動モータ70によって、ブラシ状回転部材16aの回転数は2段階に可変できるように構成されている。そして、中間転写ベルト8に供給する潤滑剤供給量を増加させたいときにはブラシ状回転部材16aの回転数を増速して、中間転写ベルト8に供給する潤滑剤供給量を減少させたいときにはブラシ状回転部材16aの回転数を減速する。なお、ブラシ状回転部材16aの回転数を多段階で可変できるように構成した場合には、段階的に潤滑剤供給量を調整することができる。
【0062】
図9に示すフローチャートによって、駆動モータ70(可変手段)による潤滑剤供給部16(ブラシ状回転部材16a)の回転数制御について説明する。なお、前記実施の形態1において図7を用いて説明したフローと重複する部分については、その説明を省略する。
ステップS2にて、中間転写ベルト8の摩擦係数が下限値(0.25)より小さいものと判別された場合には、潤滑剤供給部16(ブラシ状回転部材16a)の回転数が減速状態であるかが判別される(ステップS13)。そして、潤滑剤供給部16が減速状態でないと判別された場合には、駆動モータ70(可変手段)によって潤滑剤供給部16(ブラシ状回転部材16a)が減速状態になるように制御されて(ステップS14)、本フローが終了する(ステップS7)。
【0063】
これに対して、ステップS2にて、中間転写ベルト8の摩擦係数が下限値(0.25)より大きいものと判別された場合には、摩擦係数が上限値(0.35)より大きいものとして、さらに潤滑剤供給部16(ブラシ状回転部材16a)が増速状態であるかが判別される(ステップS15)。そして、潤滑剤供給部16が増速状態でないと判別された場合には、駆動モータ70(可変手段)によって潤滑剤供給部16(ブラシ状回転部材16a)が増速状態になるように制御されて(ステップS16)、本フローが終了する(ステップS7)。
【0064】
以上説明したように、本実施の形態2でも、前記実施の形態1と同様に、中間転写ベルト8(像担持体)に当接する2次転写ローラ19(回転部材)の回転速度を変化させたときの、中間転写ベルト8を駆動する第1駆動モータ50(第1駆動手段)の駆動負荷の変動に応じて、中間転写ベルト8上に供給される潤滑剤供給量を可変制御している。これにより、中間転写ベルト8の表面の摩擦係数の検出が正確におこなわれて、その検出値に基づいて中間転写ベルト8の表面への潤滑剤供給量が調整されて中間転写ベルト8の表面における摩擦係数を精度よく適正化することができる。
【0065】
実施の形態3.
図10及び図11にて、この発明の実施の形態3について詳細に説明する。
図10は、実施の形態3における潤滑剤供給部16を示す構成図であって、前記実施の形態1における図4に相当する図である。また、図11は、潤滑剤供給部16における、ブラシ状回転部材16aに対する固形潤滑剤16bの当接圧の制御を示すフローチャートであって、前記実施の形態1における図7に相当する図である。
本実施の形態3における画像形成装置は、潤滑剤供給量を可変する可変手段の構成が、前記各実施の形態のものと相違する。
【0066】
本実施の形態3における画像形成装置100も、前記各実施の形態のものと同様に、中間転写ベルト8(像担持体)、2次転写対向ローラ12、第1駆動モータ50(第1駆動手段)、トルク検知部60(検出手段)、2次転写ローラ19(回転部材)、回転数可変型の第2駆動モータ40(第2駆動手段)、潤滑剤供給部16、等が設けられている。
そして、本実施の形態3においても、第2駆動モータ40(第2駆動手段)によって2次転写ローラ19(回転部材)の回転速度を変化させたときにトルク検知部60(検出手段)によって検出される検出値の変動に応じて、中間転写ベルト8上に供給される潤滑剤供給量が可変制御される。
【0067】
ここで、図10を参照して、本実施の形態3において、中間転写ベルト8上に供給する潤滑剤供給量を可変する可変手段は、ブラシ状回転部材16aに対する固形潤滑剤16bの当接圧を可変する圧力調整機構16f、75、78である。圧力調整機構は、圧縮スプリング16cの他端側に接続された加圧板16f、加圧板16fに当接するカム75、カム75の回転軸75aに接続されたカム駆動モータ78、等で構成されている。そして、第2駆動モータ40(第2駆動手段)によって2次転写ローラ19(回転部材)の回転速度を変化させたときにトルク検知部60(検出手段)によって検出される検出値の変動に応じて、圧力調整機構16f、75、78(可変手段)が制御される。
【0068】
具体的に、中間転写ベルト8に供給する潤滑剤供給量を減少させたいときには、制御部80によって制御されたカム駆動モータ78によって、カム75の回転方向の姿勢が図10の状態に維持されて、ブラシ状回転部材16aに対する固形潤滑剤16bの当接圧が減圧される。このような場合には、ブラシ状回転部材16aによって削られる固形潤滑剤16bの量が少なくなるため、中間転写ベルト8に供給する潤滑剤供給量も減少することになる。
これに対して、中間転写ベルト8に供給する潤滑剤供給量を減少させたいときには、制御部80によって制御されたカム駆動モータ78によって、カム75が図10の状態から180度回転駆動される。これにより、カム75に押動されて加圧板16fが下方に移動して、圧縮スプリング16cの使用長さが短くなるため、ブラシ状回転部材16aに対する固形潤滑剤16bの当接圧が増圧される。このような場合には、ブラシ状回転部材16aによって削られる固形潤滑剤16bの量が多くなるため、中間転写ベルト8に供給する潤滑剤供給量も増加することになる。
【0069】
図11に示すフローチャートによって、駆動モータ70(可変手段)による潤滑剤供給部16(固形潤滑剤16b)の圧力制御について説明する。なお、前記実施の形態1において図7を用いて説明したフローと重複する部分については、その説明を省略する。
ステップS2にて、中間転写ベルト8の摩擦係数が下限値(0.25)より小さいものと判別された場合には、潤滑剤供給部16(固形潤滑剤16b)が減圧状態であるかが判別される(ステップS23)。そして、潤滑剤供給部16が減圧状態でないと判別された場合には、圧力調整機構16f、75、78(可変手段)によって潤滑剤供給部16(固形潤滑剤16b)が減圧状態になるように制御されて(ステップS24)、本フローが終了する(ステップS7)。
【0070】
これに対して、ステップS2にて、中間転写ベルト8の摩擦係数が下限値(0.25)より大きいものと判別された場合には、摩擦係数が上限値(0.35)より大きいものとして、さらに潤滑剤供給部16(固形潤滑剤16b)が増圧状態であるかが判別される(ステップS25)。そして、潤滑剤供給部16が増圧状態でないと判別された場合には、圧力調整機構16f、75、78(可変手段)によって潤滑剤供給部16(固形潤滑剤16b)が増圧状態になるように制御されて(ステップS26)、本フローが終了する(ステップS7)。
【0071】
以上説明したように、本実施の形態3でも、前記各実施の形態と同様に、中間転写ベルト8(像担持体)に当接する2次転写ローラ19(回転部材)の回転速度を変化させたときの、中間転写ベルト8を駆動する第1駆動モータ50(第1駆動手段)の駆動負荷の変動に応じて、中間転写ベルト8上に供給される潤滑剤供給量を可変制御している。これにより、中間転写ベルト8の表面の摩擦係数の検出が正確におこなわれて、その検出値に基づいて中間転写ベルト8の表面への潤滑剤供給量が調整されて中間転写ベルト8の表面における摩擦係数を精度よく適正化することができる。
【0072】
なお、前記各実施の形態では、像担持体として中間転写ベルト8を用いて、回転部材として2次転写ローラ19を用いた画像形成装置100に対して本発明を適用した。これに対して、その他の像担持体(例えば、中間転写ドラム、感光体ベルト、感光体ドラム等である。)を用いた画像形成装置であっても、本発明を適用することができる。そして、そのような場合であっても、像担持体に当接する回転部材の回転速度を変化させたときの、像担持体を駆動する第1駆動手段の駆動負荷の変動に応じて、像担持体上に供給される潤滑剤供給量を可変制御することで、前記各実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0073】
また、前記各実施の形態では、中間転写ベルト8に当接する回転部材として2次転写ローラ19を用いた画像形成装置100に対して本発明を適用した。これに対して、これに対して、中間転写ベルト8に当接する回転部材として2次転写ベルト(中間転写ベルト8に当接して2次転写ニップ部を形成するベルト状の2次転写部材である。)を用いた画像形成装置に対しても、本発明を適用することができる。さらには、中間転写ベルト8に当接する回転部材として感光体ドラム1Y、1M、1C、1K(又は、感光体ベルト)を用いた画像形成装置に対しても、本発明を適用することができる。
そして、そのような場合であっても、中間転写ベルト8に当接する回転部材の回転速度を変化させたときの、中間転写ベルト8を駆動する第1駆動モータ50の駆動負荷の変動に応じて、中間転写ベルト8上に供給される潤滑剤供給量を可変制御することで、前記各実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0074】
なお、本発明が前記各実施の形態に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、前記各実施の形態の中で示唆した以外にも、前記各実施の形態は適宜変更され得ることは明らかである。また、前記構成部材の数、位置、形状等は前記各実施の形態に限定されず、本発明を実施する上で好適な数、位置、形状等にすることができる。
【符号の説明】
【0075】
1Y、1M、1C、1K 感光体ドラム、
8 中間転写ベルト(ベルト部材、像担持体)、
12 2次転写対向ローラ、
16 潤滑剤供給部(潤滑剤供給装置)、
16a ブラシ状回転部材、
16b 固形潤滑剤、
16c 圧縮スプリング(付勢部材)、
19 2次転写ローラ(回転部材)、
40 第2駆動モータ(第2駆動手段)、
50 第1駆動モータ(第1駆動手段)、
60 トルク検知部(検出手段)、
75 カム(可変手段)、
76 引張スプリング(可変手段)、
78 カム駆動モータ(可変手段)、
100 画像形成装置本体(装置本体)、 P 記録媒体、
【先行技術文献】
【特許文献】
【0076】
【特許文献1】特開2008−139800号公報
【特許文献2】特開2009−15287号公報
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定方向に走行するとともに、その外周面にトナー像を担持する像担持体と、
所定方向に回転するとともに、前記像担持体の外周面に当接する回転部材と、
前記像担持体を駆動する第1駆動手段と、
前記回転部材を回転駆動するとともに、前記回転部材の回転速度を可変できるように構成された第2駆動手段と、
前記第1駆動手段に生じる駆動負荷を検出する検出手段と、
前記像担持体の外周面に潤滑剤を供給する潤滑剤供給部と、
前記潤滑剤供給部によって前記像担持体の外周面に供給される潤滑剤の単位時間当りの供給量を可変する可変手段と、
を備え、
前記可変手段は、前記第2駆動手段によって前記回転部材の回転速度を変化させたときに前記検出手段によって検出される検出値の変動に応じて制御されることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記可変手段は、前記第2駆動手段によって前記回転部材の回転速度を減速させたときの前記検出値の増加率が所定の範囲よりも小さい場合には前記潤滑剤の単位時間当りの供給量が減少して、前記第2駆動手段によって前記回転部材の回転速度を減速させたときの前記検出値の増加率が所定の範囲よりも大きい場合には前記潤滑剤の単位時間当りの供給量が増加するように制御されることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記像担持体は、無端状のベルト部材であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記ベルト部材は、中間転写ベルトであって、
前記回転部材は、前記中間転写ベルトに当接して記録媒体が搬送される2次転写ニップ部を形成する2次転写ローラ又は2次転写ベルトであることを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記ベルト部材は、中間転写ベルトであって、
前記回転部材は、前記中間転写ベルトに当接して当該中間転写ベルト上にトナー像を1次転写するための1次転写ニップ部を形成する感光体ドラム又は感光体ベルトであることを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記可変手段は、前記像担持体に対して前記潤滑剤供給部を接離して前記潤滑剤の単位時間当りの供給量を可変することを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記潤滑剤供給部は、前記像担持体と固形潤滑剤とに摺接するとともに、外周面にブラシ毛が周設されたブラシ状回転部材を具備し、
前記可変手段は、前記ブラシ状回転部材の回転数を可変して前記潤滑剤の単位時間当りの供給量を可変することを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記潤滑剤供給部は、前記像担持体と固形潤滑剤とに摺接するとともに、外周面にブラシ毛が周設されたブラシ状回転部材を具備し、
前記可変手段は、前記ブラシ状回転部材に対する前記固形潤滑剤の当接圧を可変して前記潤滑剤の単位時間当りの供給量を可変することを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項1】
所定方向に走行するとともに、その外周面にトナー像を担持する像担持体と、
所定方向に回転するとともに、前記像担持体の外周面に当接する回転部材と、
前記像担持体を駆動する第1駆動手段と、
前記回転部材を回転駆動するとともに、前記回転部材の回転速度を可変できるように構成された第2駆動手段と、
前記第1駆動手段に生じる駆動負荷を検出する検出手段と、
前記像担持体の外周面に潤滑剤を供給する潤滑剤供給部と、
前記潤滑剤供給部によって前記像担持体の外周面に供給される潤滑剤の単位時間当りの供給量を可変する可変手段と、
を備え、
前記可変手段は、前記第2駆動手段によって前記回転部材の回転速度を変化させたときに前記検出手段によって検出される検出値の変動に応じて制御されることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記可変手段は、前記第2駆動手段によって前記回転部材の回転速度を減速させたときの前記検出値の増加率が所定の範囲よりも小さい場合には前記潤滑剤の単位時間当りの供給量が減少して、前記第2駆動手段によって前記回転部材の回転速度を減速させたときの前記検出値の増加率が所定の範囲よりも大きい場合には前記潤滑剤の単位時間当りの供給量が増加するように制御されることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記像担持体は、無端状のベルト部材であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記ベルト部材は、中間転写ベルトであって、
前記回転部材は、前記中間転写ベルトに当接して記録媒体が搬送される2次転写ニップ部を形成する2次転写ローラ又は2次転写ベルトであることを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記ベルト部材は、中間転写ベルトであって、
前記回転部材は、前記中間転写ベルトに当接して当該中間転写ベルト上にトナー像を1次転写するための1次転写ニップ部を形成する感光体ドラム又は感光体ベルトであることを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記可変手段は、前記像担持体に対して前記潤滑剤供給部を接離して前記潤滑剤の単位時間当りの供給量を可変することを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記潤滑剤供給部は、前記像担持体と固形潤滑剤とに摺接するとともに、外周面にブラシ毛が周設されたブラシ状回転部材を具備し、
前記可変手段は、前記ブラシ状回転部材の回転数を可変して前記潤滑剤の単位時間当りの供給量を可変することを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記潤滑剤供給部は、前記像担持体と固形潤滑剤とに摺接するとともに、外周面にブラシ毛が周設されたブラシ状回転部材を具備し、
前記可変手段は、前記ブラシ状回転部材に対する前記固形潤滑剤の当接圧を可変して前記潤滑剤の単位時間当りの供給量を可変することを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−242453(P2011−242453A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−112261(P2010−112261)
【出願日】平成22年5月14日(2010.5.14)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年5月14日(2010.5.14)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
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