説明

画像形成装置

【課題】コード画像を用いてコピーを行う画像形成装置における不適切なコピー処理を防止可能な画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置を搭載したネットワーク複合機1は、用紙に印刷されたQRコードを読み取る読取部13と、QRコードを解析し、ページデータファイル及びコマンドファイルを特定可能なユニークIDを取得するID取得部10Dと、ユニークIDと、ページデータファイルのファイル数を示す情報とに基づいて、保存フォルダに保存されたページデータファイル及びコマンドファイルに欠落があるか否かを確認する確認処理部10Fと、欠落のないことが確認された場合に、ページデータファイルを用いて印刷データを用紙に印刷する印刷部14とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的には、紙文書をコピーする際、紙文書がスキャナで読み取られ、その読み取られたデータが用紙に印刷される。この場合、コピーを繰り返すうちに、印刷される文字や画像が劣化する。そこで、スキャンしたデータを印刷するのではなく、保存された印刷データを印刷することにより、画像等の劣化を防止する画像形成装置がある(例えば、下記特許文献1参照)。
【0003】
下記特許文献1に記載の画像形成装置では、最初に印刷データを用紙へ印刷する際に、印刷データが保存され、保存された印刷データの保存場所を示すバーコードが印刷データと共に用紙に印刷される。そして、紙文書をコピーする際に、バーコードが読み取られ、このバーコードが示す保存場所に保存された印刷データが用紙に印刷される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−323688号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1の画像形成装置のようにバーコード等のコード画像を用いてコピーを行う画像形成装置では、用紙に印刷する印刷データを複数のファイルに分割して保存する場合がある。また、印刷データのファイルとは別に、印刷設定等の情報を含むファイルを印刷データのファイルと共に保存する場合もある。これらの場合、コード画像を用いてコピーを行うために保存する印刷情報は、複数のファイルによって構成される。
【0006】
印刷情報が複数のファイルで構成されている場合、保存フォルダのメモリ容量オーバーによる障害、ネットワーク障害等、保存中に何らかの障害が発生して、一部のファイルを保存できない場合がある。また、印刷情報を構成する全てのファイルが保存された後に、ユーザが削除操作を行うなど、なんらかの理由で一部のファイルが欠落する場合もある。
【0007】
印刷情報を構成する一部のファイルが欠落した状態で保存されていると、コード画像を用いてコピーを行う際に、文書の一部が欠落する虞がある。また、異なる印刷設定で印刷されることも考えられる。これらの場合、元の紙文書とは異なる文書が印刷されるので、コピー処理としては不適切である。
【0008】
本発明は、上記問題点を解消する為になされたものであり、コード画像を用いてコピーを行う画像形成装置における不適切なコピー処理を防止可能な画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る画像形成装置は、用紙に印刷されたコード画像を用いて保存フォルダに保存された印刷データを特定し、当該特定した印刷データを用紙に印刷する画像形成装置において、用紙に印刷されたコード画像を読み取る読取手段と、読取手段によって読み取られたコード画像を解析し、印刷データを少なくとも含む複数のファイルを特定可能な特定情報を取得する取得手段と、取得手段によって取得された特定情報と、当該特定情報によって特定されるファイル数情報であって上記複数のファイルに含まれる印刷データのファイル数を示すファイル数情報とに基づいて、保存フォルダに保存された上記複数のファイルに欠落があるか否かを確認する確認手段と、上記複数のファイルに欠落のないことが確認手段によって確認された場合に、コード画像を用いて特定された印刷データを用紙に印刷する印刷手段と、を備えることを特徴とする。
【0010】
本発明に係る画像形成装置によれば、用紙に印刷されたコード画像が読み取られ、該コード画像を解析することにより特定情報が取得される。この特定情報とファイル数情報とに基づいて、保存フォルダに保存された上記複数のファイルに欠落があるか否かが確認される。そして、上記複数のファイルに欠落のないことが確認された場合に、印刷データが用紙に印刷される。すなわち、上記複数のファイルに欠落があるか否かが印刷を行う前に確認され、例えば、上記複数のファイルに欠落がある場合は印刷が実行されない。従って、不適切なコピー処理を防止することが可能となる。
【0011】
本発明に係る画像形成装置は、外部から印刷指示と共に印刷データを受信し、当該受信した印刷データを用紙に印刷する画像形成装置において、印刷データを少なくとも含む複数のファイルを特定可能な特定情報を生成する第1の生成手段と、第1の生成手段によって生成された特定情報を含むコード画像を印刷データと共に用紙へ印刷する印刷手段と、上記複数のファイルを特定情報と関連付けて保存フォルダへ出力する出力手段と、上記複数のファイルに含まれる印刷データのファイル数を示すファイル数情報を特定情報と関連付けて生成する第2の生成手段と、特定情報とファイル数情報とに基づいて、保存フォルダに保存された上記複数のファイルに欠落があるか否かを確認する確認手段と、を備えることを特徴とする。
【0012】
本発明に係る画像形成装置によれば、印刷データを含む複数のファイルが特定情報と対応付けられて保存フォルダへ出力されるので、上記複数のファイルは、特定情報によって特定可能な状態で保存フォルダに保存される。また、特定情報を含むコード画像を印刷データと共に用紙に印刷するので、後から、用紙に印刷されたコード画像を用いて保存フォルダに保存された上記複数のファイルを特定して印刷することができる。一方、特定情報と上記複数のファイルのファイル数情報とに基づいて、保存フォルダに保存された上記複数のファイルに欠落があるか否かが確認される。これにより、画像形成装置において画像コードを用いたコピーを行う際に必要なファイルの欠落の有無を把握できるので、不適切なコピー処理を防止することが可能となる。
【0013】
本発明に係る画像形成装置では、上記複数のファイルに欠落があることが確認手段によって確認された場合に、上記複数のファイルのうち保存されているファイルを保存フォルダから削除する削除手段を更に備えることが好ましい。
【0014】
この場合、上記複数のファイルに欠落のあることが、確認手段によって確認されると、保存されているファイルが削除される。従って、不適切なコピー処理を防止することが可能となる。また、一部のファイルが欠落した場合に、残りの不完全なファイルが削除されるので、メモリ容量の圧迫を抑制することも可能となる。
【0015】
本発明に係る画像形成装置では、確認手段は、上記複数のファイルの全てが出力手段によって保存フォルダへ出力された場合に、上記複数のファイルに欠落があるか否かを確認することが好ましい。
【0016】
これにより、上記複数のファイルの全てについて保存処理が実行された後、保存フォルダ内に全てのファイルが保存されているか否かが確認される。従って、保存処理に失敗し、一部のファイルが欠落した場合に、残りの不完全なファイルを削除することができる。また、保存処理中に確認が実行されることを防止できる。
【0017】
本発明に係る画像形成装置では、印刷手段は、上記複数のファイルの全てが出力手段によって保存フォルダへ出力された場合に、確認手段による確認動作の進行に関わらず、印刷データ及びコード画像の印刷を開始することが好ましい。
【0018】
例えば、上記複数のファイルの全てが保存フォルダへ出力された後、確認動作の進行に関わらず確認動作と並行して、印刷データ及びコード画像の印刷を行うことにより、確認動作を待つことなく印刷を行う。これにより、印刷データ及びコード画像の印刷が、確認動作によって遅くなることを防止できる。
【0019】
本発明に係る画像形成装置では、確認手段は、自機が起動されるときに、上記複数のファイルに欠落があるか否かを確認することが好ましい。この場合、画像形成装置を起動する毎に、不完全なファイルを削除することができる。
【0020】
本発明に係る画像形成装置では、確認手段は、出力手段によって保存フォルダへ出力された複数組の上記複数のファイルについて欠落があるか否かを確認することが好ましい。これにより、保存フォルダへ出力された複数組の上記複数のファイルについて、ファイルの欠落の有無を確認することができる。
【0021】
また、上記複数のファイルは、印刷データを含むデータファイルと印刷設定情報を含むコマンドファイルとを有することが好ましい。これにより、データファイルとは別に印刷設定情報を含むコマンドファイルが存在する場合には、コマンドファイルの欠落の有無が判断される。従って、印刷設定情報が欠落した状態でコピー処理が実行されることを防止できる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、コード画像を用いてコピーを行う画像形成装置における不適切なコピー処理を防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】実施形態に係る画像形成装置が搭載されたネットワーク複合機を含むネットワークの構成を示す図である。
【図2】ネットワーク複合機の構成を示すブロック図である。
【図3】ネットワーク複合機の制御部の構成を説明するための図である。
【図4】ネットワーク複合機によるQRコードを印刷する際の処理手順を示すフローチャートである。
【図5】ネットワーク複合機によるQRコードを印刷する際の整合チェック処理の手順を示すフローチャートである。
【図6】ネットワーク複合機によるQRコードを用いたコピー処理及び整合チェック処理の手順を示すフローチャート(前半部分)である。
【図7】ネットワーク複合機によるQRコードを用いたコピー処理及び整合チェック処理の手順を示すフローチャート(後半部分)である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。ここでは、実施形態に係る画像形成装置が、ネットワーク複合機に搭載された場合を例にして説明する。
【0025】
図1〜図3を併せて用いて、ネットワーク複合機1の構成について説明する。図1は、ネットワーク複合機1を含むネットワークの構成を示す図である。図2は、ネットワーク複合機1の構成を示すブロック図である。図3は、ネットワーク複合機1の制御部10の構成を説明するための図である。
【0026】
ネットワーク複合機1は、紙文書をコピーする際、用紙60に印刷されたコード画像を読み取り、得られた情報を用いて保存された印刷データを特定し、特定した印刷データを用紙に印刷する機能を有する。なお、コード画像とは、数字、文字列などのコード情報を変換して得られる画像であり、例えば、バーコード等の1次元コード、QRコード(登録商標、以下同様)61等の2次元コードなどが含まれる。
【0027】
また、ネットワーク複合機1は、保存された印刷情報の整合性をチェックし、整合性が崩れている場合に、不完全な印刷情報を削除する機能を有する。印刷情報の整合性のチェックとは、印刷情報を構成するページデータファイル及びコマンドファイルの一部が欠落していないかどうかを確認することである。なお、ページデータファイルは印刷データを含み、コマンドファイルは印刷設定の情報を含むファイルである。
【0028】
図1に示されるように、ネットワーク複合機1は、LAN(ローカルエリアネットワーク)50に接続されている。LAN50には、PC(パーソナルコンピュータ)3及びファイルサーバ4が接続されている。PC3には、ネットワーク複合機1のプリンタドライバ31が搭載され、ネットワーク複合機1は、PC3内の印刷データを印刷可能に構成されている。また、ネットワーク複合機1は、LAN50を介してファイルサーバ4内のフォルダへアクセス可能に構成されている。
【0029】
図2に示されるように、ネットワーク複合機1は、制御部10、操作部11、表示部12、読取部13、印刷部14、コーデック15、画像記憶部16、モデム17、NCU(Network Control Unit)18、IFAX制御部19、及び、LANインターフェース20等を備えている。なお、各部は通信線21で相互に通信可能に接続されている。
【0030】
制御部10は、演算を行うマイクロプロセッサ、プログラム等を記憶するROM、演算結果などの各種データを一時的に記憶するRAM、及びバックアップRAM等により構成されている。制御部10は、ROMに記憶されているプログラムを実行することにより、以下に説明するネットワーク複合機1を構成する各部の機能を実現するとともに、ネットワーク複合機1を構成するハードウェアを統合的に制御する。なお、制御部10の詳細な説明については後述する。
【0031】
操作部11は、ネットワーク複合機1を操作するために用いられる複数の操作ボタンを備えている。表示部12は、設定内容等を表示するディスプレイである。ユーザは、表示部12の表示を参照しながら、操作部11を利用してQRコード(コード画像)を用いたコピーの指示をネットワーク複合機1に入力することができる。
【0032】
読取部13は、光源及びCCD等によって構成されており、紙文書等の原稿を読み取り、画像データを生成する。また、読取部13は、QRコードを用いたコピー指示があった場合には、読取対象となる紙文書に印刷されたQRコードを読み取る。なお、読取部13が、特許請求の範囲に記載の読取手段として機能する。
【0033】
印刷部14は、電子写真方式のプリンタであり、PC3又はファイルサーバ4等から入力された印刷データ、読取部13により読み取られた画像データ、及び、ファクシミリで受信された画像データ等を用紙に印刷する。印刷部14は、PC3から入力された印刷データを印刷する際、QRコードが生成されると、印刷データをQRコードと共に用紙に印刷する。また、印刷部14は、QRコードを用いたコピーの指示があると、QRコードにより特定される印刷データを用紙に印刷する。なお、印刷部14が、特許請求の範囲に記載の印刷手段として機能する。
【0034】
コーデック15は、読取部13で読み取られた画像データを符号化圧縮するとともに符号化圧縮されている画像データを復号する。画像記憶部16は、DRAM等で構成されており、コーデック15で符号化圧縮された画像データ、及びファクシミリ受信された画像データ等を記憶する。
【0035】
NCU18は、モデム17と公衆交換電話網(PSTN)51との接続を制御し、FAXの送受信機能を有する。IFAX制御部19は、インターネットFAX(IFAX)機能を司る部分である。LANインターフェース20は、LAN50に接続され、信号変換及びプロトコル変換等のインターフェース処理を実行し、PC3及びファイルサーバ4との間で、信号及びデータの送受信を行う。
【0036】
引き続いて、図3を参照して、制御部10の構成について詳細に説明する。なお、図3には、制御部10の説明に関わる構成要素を主に記載し、図2に記載したネットワーク複合機1の一部の構成要素を省略している。制御部10は、ID生成部10A、文書管理部10B、パス記憶部10C、ID取得部10D、データ検索部10E、確認処理部10F、及び削除部10Gを備えている。
【0037】
ID生成部10A及び文書管理部10Bは、印刷情報を後で特定可能な状態で保存フォルダ内に保存するための機能を有する。ID取得部10D及びデータ検索部10Eは、保存された印刷情報を特定するための機能を有する。確認処理部10F及び削除部10Gは、印刷情報の整合性を確認し、整合性が崩れている場合に、不完全な印刷情報を削除する機能を有する。以下、各構成要素について詳細に説明する。
【0038】
ID生成部10Aは、PC3から入力された印刷ジョブを識別するユニークIDを生成する。印刷ジョブとは、印刷を行う旨の指示と共に、印刷データ、印刷設定等を示す情報を含む。印刷ジョブを識別するユニークIDは、印刷データを識別可能なIDである。ここで印刷データは用紙に印刷されるデータであって、印刷データとしてGDIプリントデータ等が用いられる。なお、ID生成部10Aが、特許請求の範囲に記載の第1の生成手段として機能する。
【0039】
文書管理部10Bは、印刷データの用紙1ページ分のデータを1ファイルとしてページデータファイルを生成する。そして、文書管理部10Bは、各ページデータファイルのファイル名を生成規則に従って生成する。ファイル名は、ユニークIDを含んで生成される。例えば、文書管理部10Bは、ページデータである旨を示す「data」、ユニークID「XXXXXXXX」、ページ番号Nを示す「pageN」を組み合わせて、「dataXXXXXXXX_pageN.mmr」といったファイル名を生成する。
【0040】
また、文書管理部10Bは、印刷設定の情報を含むコマンドファイルを生成し、このファイル名を生成規則に従って生成する。コマンドファイル名は、ユニークIDとページデータファイルの数を示す情報を含み、ユニークIDとページデータファイルの数を対応付けている。すなわち、文書管理部10Bは、特許請求の範囲に記載の第2の生成手段として機能する。
【0041】
文書管理部10Bは、例えば、コマンドファイルであることを示す「cmd」、ユニークID「XXXXXXXX」、ページデータファイルのファイル数Nを示す「totalpageN」を組み合わせて、「cmdXXXXXXXX_totalpageN」といったコマンドファイル名を生成する。
【0042】
また、文書管理部10Bは、ネットワーク複合機1内のパス記憶部10Cに記憶された機器設定情報から、ページデータファイル及びコマンドファイルを保存する保存フォルダのパス情報を取得する。パス記憶部10Cは、予め設定された複数の保存フォルダを示すパス情報を記憶している。例えば、保存フォルダとして、ネットワーク複合機1内のフォルダ、又は、ファイルサーバ4内の保存フォルダ41を利用することができる。また、パス記憶部10Cは、複数の保存フォルダの優先順位を示す優先情報も併せて保存している。この優先順位は、印刷データを保存する際及び検索する際の優先順位を示している。
【0043】
文書管理部10Bは、パス記憶部10Cから取得した保存フォルダのパス情報と生成したファイル名とを連結して、各ページデータファイル及びコマンドファイルのフルパスを生成する。このフルパスにより保存フォルダが指定され、各ページデータファイル及びコマンドファイルが同一の保存フォルダに保存される。すなわち、1つの印刷ジョブに対して、ページ数分のページデータファイルと1つのコマンドファイルとによって構成される印刷情報が保存フォルダに保存される。
【0044】
より具体的に説明すると、保存フォルダがファイルサーバ4内のフォルダである場合、文書管理部10Bは、ページデータファイル及びコマンドファイルをLANインターフェース20へ出力する。LANインターフェース20は、フルパスを利用し、ページデータファイル及びコマンドファイルをファイル名と対応付けてファイルサーバ4へ出力する。すなわち、LANインターフェース20が、特許請求の範囲に記載の出力手段として機能する。
【0045】
保存フォルダがネットワーク複合機1内のフォルダである場合、文書管理部10Bは、該当する保存フォルダへページデータファイル及びコマンドファイルをファイル名と対応付けて出力する。すなわち、文書管理部10Bは、特許請求の範囲に記載の出力手段としても機能する。
【0046】
ID取得部10Dは、読取部13によって読み取られたQRコードの情報を解析し、ユニークIDを取得する。すなわち、ID取得部10Dは、特許請求の範囲に記載の取得手段として機能する。なお、QRコードには、QRコードを用いたコピー専用の識別文字列「QRCPID」を示す情報が含まれる。これにより、ユニークIDと形式が類似する別用途のユニークIDと区別することができる。
【0047】
データ検索部10Eは、検索対象となるファイルのファイル名を生成規則に従って生成する。データ検索部10Eが用いる生成規則は、文書管理部10Bがページデータファイル名又はコマンドファイル名を生成する際の生成規則と同じである。データ検索部10Eは、パス記憶部10Cから取得した保存フォルダのパス情報と生成したファイル名とを連結して、検索対象となるファイルのフルパスを生成する。このフルパスを用いて、データ検索部10Eは、ユニークIDを含むページデータファイル及びコマンドファイルの検索を行う。
【0048】
確認処理部10Fは、保存フォルダに保存された印刷情報の整合チェックを行う。すなわち、確認処理部10Fは、コマンドファイル名に含まれるユニークID及びページデータファイルの数を示すファイル数情報を用いて、印刷情報を構成するページデータファイル及びコマンドファイルに欠落があるか否か確認する。
【0049】
より具体的には、確認処理部10Fは、コマンドファイルが保存フォルダに保存されているか否か、ページデータファイルが保存フォルダに保存されているか否か、ファイル数情報によって示される数のページデータファイルが保存フォルダに保存されているか否かを確認する。
【0050】
また、確認処理部10Fは、PC3から印刷ジョブを入力すると、入力した印刷ジョブについてのページデータファイル及びコマンドファイルが保存フォルダへ出力された後、過去に保存した全ての印刷情報について整合チェックを行う。また、確認処理部10Fは、QRコードを用いたコピー指示があった場合に、印刷情報を特定して印刷を行う前に、対象となる印刷情報について整合チェックを行う。
【0051】
削除部10Gは、印刷情報を構成するファイルの一部に欠落があることが確認処理部10Fによって確認された場合に、その印刷情報を構成するファイルのうち保存されているページデータファイル又はコマンドファイルを保存フォルダから削除する。
【0052】
次に、図4及び図5を参照して、ネットワーク複合機1によるQRコードの印刷を行う際の処理について説明する。図4は、ネットワーク複合機1によるQRコードを印刷する際の処理手順を示すフローチャートである。図5は、ネットワーク複合機1によるQRコードを印刷する際の整合チェック処理の手順を示すフローチャートである。
【0053】
ユーザがPC3内に保存されたデータの印刷指示を行うと、印刷ジョブが、LANインターフェース20によって受信される(ステップS101)。印刷ジョブが受信されると、印刷ジョブを識別するユニークIDが、ID生成部10Aによって生成される(ステップS102)。続いて、ユニークIDを含むQRコードが生成される(ステップS103)。
【0054】
ステップS103と並行して、ステップS104〜S107の処理が行われる。ステップS104では、保存フォルダのパス情報が、文書管理部10Bによって取得される。そして、ページデータファイルが生成され、ページデータファイル名及びコマンドファイル名が、生成規則に従い文書管理部10Bによって生成される(ステップS105)。
【0055】
続いて、各ページデータファイル及びコマンドファイルが、保存フォルダへ出力される(ステップS106)。これにより、各ページデータファイル及びコマンドファイルの保存処理が行われる。印刷情報を構成する全てのページデータファイル及びコマンドファイルについて保存処理が完了すると、印刷処理を開始する旨の信号が、制御部10によって印刷部14へ出力される(ステップS107)。
【0056】
印刷部14では、印刷処理を開始する旨の信号が受信されるまで待機している(ステップS108でNO)。印刷処理を開始する旨の信号が受信されると(ステップS108でYES)、先頭ページにQRコードが付加され(ステップS109)、印刷データの全ページ及びQRコードが印刷部14によって用紙に印刷される(ステップS110)。
【0057】
一方、印刷処理を開始する旨の信号を通知した後、印刷処理と並行して整合チェック処理が、実行される(ステップS111)。この整合チェック処理は、ステップS101で入力した印刷ジョブに関する印刷情報だけでなく、過去に保存した全ての印刷情報について行う。
【0058】
図5に示すように、整合チェック処理では、過去に生成したユニークIDから1つのユニークIDを選択し、選択したユニークIDを含むファイル名の一覧が、取得される(ステップS121)。ファイル名の一覧中にコマンドファイル名が存在する場合(ステップS122でYES)、コマンドファイル名からページデータファイルのファイル数を示す情報が、取得される(ステップS123)。
【0059】
そして、取得されたファイル数分のページデータファイルが、保存フォルダ内に存在すること、すなわち、印刷データを構成するページデータファイルの欠落がないことが、確認処理部10Fによって確認される(ステップS124でNO)。そして、過去に生成した全てのユニークIDについて確認が終了していない場合(ステップS125でNO)は、ステップS121へ戻る。全てのユニークIDについて確認が終了した場合(ステップS125でYES)は、整合チェック処理を終了する。
【0060】
一方、ファイル名の一覧中にコマンドファイルが存在しない場合(ステップS122でNO)、及び、取得されたファイル数分のページデータファイルが保存フォルダ内に存在しないことが、確認処理部10Fによって確認された場合(ステップS124でYES)、ステップS121で選択したユニークIDをファイル名に含む全てのページデータファイル及びコマンドファイルが、削除部10Gによって削除される(ステップS126)。
【0061】
引き続いて、ネットワーク複合機1によるコピー処理及び整合チェック処理について、図6及び図7を参照して説明する。図6及び図7は、ネットワーク複合機1によるコピー処理及び整合チェック処理の手順を示すフローチャートである。
【0062】
ユーザが、QRコードの印刷された紙文書をネットワーク複合機1にセットし、操作部11を利用して、QRコードを用いたコピー指示を入力すると、当該コピー指示が、ネットワーク複合機1によって受け付けられる(ステップS131)。そして、QRコードの印刷されたページが、読取部13によって読み取られる(ステップS132)。
【0063】
読み取られた情報からQRコードが検出されなかった場合(ステップS133でNO)は、エラー通知が表示部12によって表示され(ステップS148)、処理が終了する。QRコードが検出された場合(ステップS133でYES)は、QRコードが、制御部10によって解析される(ステップS134)。
【0064】
解析の結果、QRコードに識別文字列「QRCPID」が含まれていない場合(ステップS135でNO)、エラー通知がなされ(ステップS148)、処理が終了する。識別文字列が含まれている場合(ステップS135でYES)、QRコードからユニークIDがID取得部10Dによって取得される(ステップS136)。続いて、検索対象となる保存フォルダのパス情報が、データ検索部10Eによって取得され(ステップS137)、保存フォルダ内からユニークIDが一致するファイルが検索される(ステップS138)。
【0065】
ユニークIDが一致するファイルが存在せず(ステップS139でNO)、検索対象となる保存フォルダのうち未検索の保存フォルダが存在する場合(ステップS140でNO)は、ステップS137へ戻り、次候補の検索対象となる保存フォルダ内の検索が行われる。ユニークIDが一致するファイルが存在せず(ステップS139でNO)、検索対象となる複数の保存フォルダ内の検索が全て終了している場合(ステップS140でYES)は、エラー通知がなされ(ステップS148)、処理が終了する。
【0066】
ユニークIDが一致するファイルが存在し(ステップS139でYES)、そのユニークIDをファイル名に含むコマンドファイルが存在する場合(ステップS141でYES)、コマンドファイル名からページデータファイルのファイル数を示す情報が、取得される(ステップS142)。
【0067】
そして、取得されたファイル数分のページデータファイルが、保存フォルダ内に存在すること、すなわちページデータファイルの欠落がないことが、確認処理部10Fによって確認される(ステップS143でNO)。そして、該当するユニークIDをファイル名に含むページデータファイルが、データ検索部10Eによって取得される(ステップS144)。全ページデータファイルが取得されると(ステップS145でYES)、印刷データの印刷が、印刷部14によって行われる(ステップS146)。
【0068】
一方、コマンドファイルが存在しない場合(ステップS141でNO)、及び、取得されたファイル数分のページデータファイルが保存フォルダ内に存在しないことが、確認処理部10Fによって確認された場合(ステップS143でYES)、該当するユニークIDをファイル名に含む全てのページデータファイル及びコマンドファイルが、削除部10Gによって削除される(ステップS147)。続いて、エラー通知がなされ(ステップS148)、印刷を行わずに処理が終了する。
【0069】
以上説明したように、本実施形態に係るネットワーク複合機1によれば、コマンドファイル名に含まれるユニークIDとページデータファイル数とに基づいて、印刷情報を構成するファイルの一部に欠落があるか否かが確認される。そして、欠落がある場合に、印刷情報が削除される。すなわち、保存処理に失敗した場合又は削除処理が行われた等の原因により、印刷情報を構成するファイルの一部が欠落した状態で保存されていると、不完全な残りのファイルが削除される。従って、用紙に印刷されたユニークIDにより印刷データを特定して印刷を行う場合に、不適切なコピー処理を防止することが可能となる。また、不完全な印刷情報によるメモリ容量の圧迫を抑制することも可能となる。
【0070】
また、ネットワーク複合機1では、印刷情報を構成する全てのファイルについて保存処理が実行された後、保存フォルダ内に全てのファイルが保存されているか否かが確認される。従って、保存処理に失敗し、一部のファイルが欠落した場合に、残りの不完全なファイルを削除することができる。また、保存処理中に確認が実行されることを防止できる。
【0071】
また、ネットワーク複合機1では、印刷情報を構成する全てのファイルが保存フォルダへ出力された後、整合チェックと並行して、印刷データおよびユニークIDの印刷を行う。従って、印刷データ及びユニークIDの印刷が、整合チェックにより遅くなることを防止できる。
【0072】
また、ネットワーク複合機1では、保存フォルダに保存された全ての印刷情報について、一部のファイルが欠落していないかどうかを確認できる。また、この整合チェックは、指示に応じて印刷情報の保存処理を行った後に行うので、保存処理時間に影響を与えず実行することができる。
【0073】
また、ネットワーク複合機1では、QRコードを用いてコピーを行う場合、コマンドファイル名に含まれるユニークIDとページデータファイル数とに基づいて、保存フォルダに保存された印刷情報を構成するファイルの一部に欠落があるか否かが確認される。そして、欠落のないことが確認された場合に、ユニークIDによって特定された印刷データが用紙に印刷される。すなわち、印刷情報を構成するファイルの一部が欠落している場合は、コピー処理を行わない。従って、不適切なコピー処理を防止することができる。
【0074】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく種々の変形が可能である。例えば、確認処理部10Fが整合チェックを行うタイミングは上記のタイミングに限られない。確認処理部10Fは、ネットワーク複合機1の起動をトリガーとして、印刷情報を構成するファイルの一部に欠落があるか否かを確認してもよい。この場合、ネットワーク複合機1を起動する毎に、不完全なファイルを削除することができる。
【符号の説明】
【0075】
1 ネットワーク複合機
3 PC
4 ファイルサーバ
10 制御部
10A ID生成部
10B 文書管理部
10C パス記憶部
10D ID取得部
10E データ検索部
10F 確認処理部
10G 削除部
13 読取部
14 印刷部
20 LANインターフェース
41 保存フォルダ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙に印刷されたコード画像を用いて保存フォルダに保存された印刷データを特定し、当該特定した印刷データを用紙に印刷する画像形成装置において、
用紙に印刷された前記コード画像を読み取る読取手段と、
前記読取手段によって読み取られたコード画像を解析し、前記印刷データを少なくとも含む複数のファイルを特定可能な特定情報を取得する取得手段と、
前記取得手段によって取得された特定情報と、当該特定情報によって特定されるファイル数情報であって前記複数のファイルに含まれる前記印刷データのファイル数を示すファイル数情報とに基づいて、前記保存フォルダに保存された前記複数のファイルに欠落があるか否かを確認する確認手段と、
前記複数のファイルに欠落のないことが前記確認手段によって確認された場合に、前記コード画像を用いて特定された印刷データを用紙に印刷する印刷手段と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
外部から印刷指示と共に印刷データを受信し、当該受信した印刷データを用紙に印刷する画像形成装置において、
前記印刷データを少なくとも含む複数のファイルを特定可能な特定情報を生成する第1の生成手段と、
前記第1の生成手段によって生成された特定情報を含むコード画像を前記印刷データと共に用紙へ印刷する印刷手段と、
前記複数のファイルを前記特定情報と関連付けて保存フォルダへ出力する出力手段と、
前記複数のファイルに含まれる前記印刷データのファイル数を示すファイル数情報を前記特定情報と関連付けて生成する第2の生成手段と、
前記特定情報と前記ファイル数情報とに基づいて、前記保存フォルダに保存された前記複数のファイルに欠落があるか否かを確認する確認手段と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
前記複数のファイルに欠落があることが前記確認手段によって確認された場合に、前記複数のファイルのうち保存されているファイルを前記保存フォルダから削除する削除手段を更に備えることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記確認手段は、前記複数のファイルの全てが前記出力手段によって前記保存フォルダへ出力された場合に、前記複数のファイルに欠落があるか否かを確認することを特徴とする請求項2又は3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記印刷手段は、前記複数のファイルの全てが前記出力手段によって前記保存フォルダへ出力された場合に、前記確認手段による確認動作の進行に関わらず、前記印刷データ及び前記コード画像の印刷を開始することを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記確認手段は、自機が起動されるときに、前記複数のファイルに欠落があるか否かを確認することを特徴とする請求項2〜5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記確認手段は、出力手段によって前記保存フォルダへ出力された複数組の前記複数のファイルについて欠落があるか否かを確認することを特徴とする請求項2〜6のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記複数のファイルは、印刷データを含むデータファイルと印刷設定情報を含むコマンドファイルとを有することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−53545(P2011−53545A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−203803(P2009−203803)
【出願日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】