説明

画像形成装置

【課題】消費電力が小さい画像形成装置を提供する。
【解決手段】駆動手段60,62,64に駆動されてシートSを搬送するローラ24,36,26と、該ローラ24,36,26近傍位置でのシートSの存在を検出するセンサ44,42,46とを備える画像形成装置であって、駆動中のローラ24,36,26の振動によって発電し、発電した電力をセンサ44,42,46に供給する振動発電手段80,82,84を有する。これにより、センサ44,42,46に必要な電力を外部から取り込む必要がなくなり、画像形成装置の消費電力が小さくなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関し、画像形成装置の電力制御の分野に属する。
【背景技術】
【0002】
近年、消費電力が小さい画像形成装置が望まれている。その要望に応えるために、稼動中に発生する振動を電力に変換し、該電力を一部の構成要素の作動に使用する画像形成装置が提案されている。例えば、特許文献1に記載されている画像形成装置の場合、稼動中に発生する振動を圧電素子によって電力に変換し、その電力を二次電池に蓄電し、蓄電電力を画像形成装置の電源OFF時の余熱やスタートボタンの点灯などに利用している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−121417号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の画像形成装置の場合、二次電池と、圧電素子が発電した電力を二次電池に充電し、二次電池の蓄電電力をヒータなどに放電する手段、例えば回路を必要とする。そのため、画像形成装置が高価になる。また、二次電池は、時間の経過とともに性能が低下するので、いずれは新品との交換が必要である。そのため、画像形成装置の維持コストも高くなる。
【0005】
そこで、本発明は、製造コストや維持コストが高くなる二次電池等の構成要素がなくても、稼動中に発生する振動から変換された電力を有効利用することができ、消費電力が小さい画像形成装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の課題を解決するために、本願の請求項1に記載の発明は、駆動手段に駆動されてシートを搬送するローラと、該ローラ近傍位置でのシートの存在を検出するセンサとを備える画像形成装置であって、
駆動中のローラの振動によって発電し、発電した電力をセンサに供給する振動発電手段を有することを特徴とする。
【0007】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の画像形成装置において、
駆動手段は、センサがローラ近傍位置でのシートの存在を検出しなくなると、該ローラの駆動を停止することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
請求項1に記載の発明によれば、ローラ近傍位置でのシートの存在を検出するセンサが、駆動中の該ローラの振動によって発電する振動発電手段から供給された電力によって作動する。そのため、画像形成装置の外部からセンサに必要な電力を取り込む必要がない。その結果、画像形成装置の消費電力が小さくなる。また、振動発電手段が発電した電力が、発電後すぐにセンサに使用されるので、二次電池と該二次電池に対して充電するまたは放電する手段、例えば回路を必要としない。
【0009】
また、請求項2に記載の発明によれば、センサがローラ近傍位置でのシートの存在を検出しなくなると、該ローラの駆動が停止される。すなわち、しばらくの間シートを搬送しないローラは停止される。それとともに、センサも停止する。その結果、ローラを駆動する駆動手段の電力消費が抑制され、センサの作動も必要最低限に抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の構成を概略的に示す図である。
【図2】図1に示す画像形成装置の動力系と制御系とを概略的に示す図である。
【図3】振動発電部の構成を概略的に示す図である。
【図4】定着ローラに対する制御のフローチャートである。
【図5】循環搬送ローラに対する制御のフローチャートである。
【図6】片面印刷における排出/反転ローラに対する制御のフローチャートである。
【図7】両面印刷における排出/反転ローラに対する制御のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置の構成を概略的に示している。また、図2は、画像形成装置の制御系と動力系とが概略的に示されている。図において符号10に示される画像形成装置は、シートS(用紙)の両面に画像形成可能に構成されている。
【0012】
画像形成装置10は、図1に示すように、シートSの主搬送路MPの上流側から順に説明すると、複数のシートSを重ねて収容するストッカ12と、ストッカ12に収容されているシートSを下流側に送る給紙ローラ14と、給紙ローラ14から送られたシートSを所定のタイミングで下流側に送るタイミングローラ16と、タイミングローラ16から送られたシートSに画像を形成する画像形成部18と、画像形成部18によって形成された画像をシートSに定着させる定着部20と、定着部20による定着が完了したシートSを排出口22方向に送る排出/反転ローラ24とを有する。
【0013】
また、画像形成装置10は、シートSの両面に画像を形成するために、定着部20下流側の主搬送路MPの部分からタイミングローラ16上流側の部分に、片面に画像が形成されたシートSを循環搬送するための循環搬送路CPを備えている。この循環搬送路CPには、シートSを搬送するための2つの循環搬送ローラ26、28が配置されている。また、排出/反転ローラ24が、この循環搬送路CPにシートSを送れるように、反転可能(排出口22方向に送るときの回転(正転)と逆方向に回転可能)に構成されている。
【0014】
画像形成部18は、中間転写ベルト30と、中間転写ベルト30の像担持面にトナー画像を形成する4つの現像ユニット32K,32C,32M,32Yと、中間転写ベルト30上のトナー画像をシートSに転写する二次転写ローラ34とを有する。現像ユニット32Kは、黒トナーを使用してトナー画像を形成する。現像ユニット32Cはシアン、32Mはマゼンタ、32Yはイエローのトナーを使用する。中間転写ベルト30の像担持面には、現像ユニット32K,32C,32M,32Yそれぞれが順番に各色のトナー画像を重ねて形成することにより、フルカラーのトナー画像が形成される。中間転写ベルト30の像担持面に形成されたフルカラーのトナー画像は、該ベルト30と二次転写ローラ34との間に搬送されたシートSに転写される。
【0015】
定着部20は、シートSを下流側に送りつつ、該シートSを加熱する定着ローラ36を有する。この定着部20により、画像形成部18によって形成されたトナー画像がシートSに定着される。
【0016】
このような画像形成装置10によれば、ストッカ12に収容されているシートSは、給紙ローラ14によってタイミングローラ16に送られる。タイミングローラ16に送られたシートSは、該ローラ16によって一度止められ、該ローラ16により所定のタイミングに下流側の画像形成部18に向かって送られる。画像形成部18に送られたシートSは、その面にトナー画像が形成される。画像形成部18によってトナー画像が形成されたシートSは、そのトナー画像がシートSに定着部20によって定着される。
【0017】
定着部20によってトナー画像が定着されたシートSは、定着ローラ36によって排出/反転ローラ24に送られる。排出/反転ローラ24に送られたシートSは、片面印刷の場合または両面印刷において両面への画像形成が完了している場合は、該ローラ24によって排出口22に送られ、該排出口22を介して装置外部に排出される。一方、両面印刷において片面のみ画像形成が完了している場合、シートSは、排出/反転ローラ24によって循環搬送路CPに送られる。
【0018】
循環搬送路CPに送られたシートSは、2つの循環搬送ローラ26,28によって順に送られ、タイミングローラ16の上流側に戻される。そして、画像形成部18によって残りの面にトナー画像が形成され、定着部20を経て、排出口22から排出される。
【0019】
ここからは、本発明の特徴に係る、画像形成装置10の構成について説明する。
【0020】
図2に示すように、画像形成装置10の制御部50は、該装置10の構成要素に対する電力供給を制御するとともに、該構成要素に対して制御信号を送信したり、該構成要素からの検出信号を受信するように構成されている。図では、電力を実線矢印によって示し、駆動力を一点鎖線によって示し、信号を点線によって示している。
【0021】
具体的には、制御部50は、主電源52から電力の供給を受け、自身が作動するとともに、画像形成部18、定着部20、給紙ローラ14を回転させるモータ(駆動手段)54、タイミングローラ16を回転させるモータ56、二次転写ローラ34を回転させるモータ58、排出/反転ローラ24を回転させるモータ60、定着ローラ36を回転させるモータ62、循環搬送ローラ26を回転させるモータ64、および循環搬送ローラ28を回転させるモータ66に対して電力供給制御を実行するように構成されている。この主電源52は、主電源スイッチ68を介してAC電源70に接続されている。
【0022】
また、制御部50は、複数のセンサ40〜46それぞれからの信号に基づいて、複数のモータ54〜66それぞれを制御するように構成されている。
【0023】
複数のセンサ40〜46それぞれは、その検出領域におけるシートSの詰まり(滞留)やシートSの未到着を検出するためのセンサであって、それぞれ所定の位置に配置されている。
【0024】
タイミングセンサ40は、図1に示すように、その検出領域がタイミングローラ16の上流側近傍に位置するように配置され、該ローラ16を通過するシートSを検出するように構成されている。また、タイミングセンサ40は、その検出領域にシートSが存在している間、図2に示すように、制御部50にシート検出信号を出力するように構成されている。
【0025】
定着後センサ42は、図1に示すように、その検出領域が定着部20の下流側近傍に位置するように配置され、定着部20の定着ローラ36を通過するシートSを検出する。また、定着後センサ42は、その検出領域にシートSが存在している間、タイミングセンサ40と同様に、制御部50にシート検出信号を出力する。
【0026】
排出センサ44は、図1に示すように、その検出領域が排出/反転ローラ24の排出口22側近傍に位置するように配置され、該ローラ24を通過するシートSを検出する。また、排出センサ44は、その検出領域にシートSが存在している間、タイミングセンサ40と同様に、制御部50にシート検出信号を出力する。
【0027】
循環搬送センサ46は、図1に示すように、その検出領域が循環搬送ローラ26の下流側近傍に位置するように配置され、該ローラ26を通過するシートSを検出する。また、循環搬送センサ46は、その検出領域にシートSが存在している間、タイミングセンサ40と同様に、制御部50にシート検出信号を出力する。
【0028】
これら4つのセンサ40〜46は、当然ながら電力の供給を受けて作動するが、その電力供給元がそれぞれ異なっている。
【0029】
タイミングセンサ40は、図2に示すように、制御部50を介して主電源52から電力の供給を受けている。
【0030】
一方、定着後センサ42、排出センサ44、循環搬送センサ46は、図2に示すように、主電源52から電力の供給を受けず、振動発電部80〜84から電力の供給を受けている。
【0031】
これら振動発電部80〜84は、対応するローラの振動を電力に変換するように構成されている。振動発電部80は排出/反転ローラ24の振動を電力に変換し、その電力を排出センサ44に供給するように構成されている。また、振動発電部82は、定着ローラ36の振動を電力に変換し、その電力を定着後センサ42に供給するように構成されている。さらに、振動発電部84は、循環搬送ローラ26の振動を電力に変換し、その電力を循環搬送センサ46に供給するように構成されている。
【0032】
これらの振動発電部80〜84の詳細について、図3を参照しながら説明する。
【0033】
振動発電部80〜84それぞれは、対応するローラ24,26,36の振動によって発電する圧電素子(ピエゾ素子)90と、圧電素子90が発電した電力を整流、平滑、および変圧(電圧変換)して対応するセンサ42,44,46に供給する整流・平滑・変圧部92とから構成されている。
【0034】
圧電素子90は、一方向に圧縮されるまたは引張されると発電する圧電効果を利用したものであって、該一方向がローラの振動方向(最大振幅の振動方向)とほぼ一致するように、且つローラの振動によって発電できるように配置されている。例えば、図3に示すように、ローラは支持部材94に支持され、該支持部材94は圧電素子90を介して画像形成装置10の筐体96に支持されている。
【0035】
整流・平滑・変圧部92は、圧電素子90が発電する不安定で一定でない電力(振動が不安定で一定でないことによる)を、安定したほぼ一定のセンサの作動に必要な電力に調整するためのものであって、例えば回路によって構成されている。
【0036】
したがって、定着後センサ42、排出センサ44、循環搬送センサ46それぞれは、対応するローラ24,26,36が駆動し始めると作動し始め、該ローラの駆動中は作動し続け、該ローラの駆動が停止するとその作動が停止する。言い換えると、対応するローラが停止しているときはシートSの詰まりや未到着を検出する必要がないので、センサ42〜46は停止している。
【0037】
図2に戻り、さらに制御部50は、画像形成の実行が決定されると、例えば画像形成装置10が複写機である場合は「コピー」ボタンが操作されると、複数のモータ54〜66を始動させるように構成されている。ただし、循環搬送ローラ用モータ64,66は、ユーザによって「両面印刷」に設定されているときのみ始動させる。
【0038】
加えて、制御部50は、複数のセンサ40〜46それぞれからの信号に基づいて、複数のモータ54〜66それぞれを停止させるように構成されている。その詳細は、以下のローラに対する制御とともに説明する。
【0039】
ここからは、本発明に係るローラに対して制御部50が実行する制御について説明する。定着ローラ36、循環搬送ローラ26、排出/反転ローラ24の順に説明する。
【0040】
図4は、定着ローラ36に対する一例の制御の流れを示すフローチャートである。
【0041】
図4に示すように、ステップS100において印刷実行条件(画像形成実行条件)が成立すると、本フローチャートに示す制御が開始される。印刷実行条件は、例えば、画像形成装置10が複写機である場合は、「コピー」ボタンが操作されると成立する。なお、ここでの印刷実行条件は、片面印刷と両面印刷とを区別しない。
【0042】
ステップS100で印刷実行条件が成立すると、ステップS110において、制御部50は、定着ローラ用モータ62を始動させる。これにより、定着ローラ36が回転し始め(振動し始め)、振動発電部82が定着後センサ42に対して電力を供給し始める(定着後センサ42の作動が開始する)。
【0043】
ステップS120において、制御部50は、定着後センサ42からのシート検出信号が入力されているか否か、すなわちシートSが定着ローラ36を通過中か否かを判定する。定着後センサ42からのシート検出信号が入力されている場合は、ステップS130に進む。そうでない場合はステップS150に進む。
【0044】
ステップS130において、制御部50は、定着後センサ42からのシート検出信号の入力がなくなったか否か、すなわちシートSの定着ローラ36(厳密には定着後センサ42の検出領域)の通過が完了したか否かを判定する。定着後センサ42からのシート検出信号の入力がなくなると、ステップS140に進む。そうでない場合はステップS170に進む。
【0045】
ステップS140において、制御部50は、定着ローラ用モータ62を停止させる。これにより、定着後センサ42が停止する。そして、リターンに進み、スタートに戻る。
【0046】
一方、ステップS120で定着後センサ42からのシート検出信号の入力がない、すなわち定着ローラ36にシートSが到着していないと判定した場合、ステップS150において、制御部50は、タイムアウトか否かを判定する。例えば、ステップS100で印刷実行条件が成立してから予め決められたタイムアウト時間経過したか否かが判定される。タイムアウトの場合、定着ローラ36にシートSが到着しない異常が発生しているとみなして、ステップS160に進み、エラーを報知する(例えば、警告灯を点灯する)。そして、ステップS140に進む。タイムアウトでない場合は、ステップS120に戻る。
【0047】
また、一方、ステップS130で定着後センサ42からのシート検出信号の入力がなくならない、すなわちシートSの定着ローラ36の通過が完了していないと判定した場合、ステップS170において、制御部50は、タイムアウトか否かを判定する。例えば、定着後センサ42がシートSを検出し始めてから予め決められたタイムアウト時間経過したか否かが判定される。タイムアウトの場合、定着ローラ36からシートSが移動しない異常(シートSの詰まり)が発生しているとみなして、ステップS180に進み、エラーを報知する。そして、ステップS140に進む。タイムアウトでない場合は、ステップS130に戻る。
【0048】
次に、循環搬送ローラ26に対する制御について説明する。図5は、循環搬送ローラ26に対する一例の制御の流れを示すフローチャートである。
【0049】
図5に示すように、ステップS300において両面印刷実行条件が成立すると、本フローチャートに示す制御が開始される。両面印刷実行条件は、例えば、画像形成装置10が複写機である場合は、ユーザがタッチパネルを操作して「両面印刷」に設定した後、「コピー」ボタンが操作されると成立する。なお、両面印刷実行条件は、両面印刷において1つの面に対する画像形成が完了すると、例えば、循環搬送路CP上の循環搬送センサ46をシートSが通過すると、不成立となる。
【0050】
ステップS300で両面印刷実行条件が成立すると、ステップS310において、制御部50は、循環搬送ローラ用モータ64を始動させる。これにより、循環搬送ローラ26が回転し始め(振動し始め)、振動発電部84が循環搬送センサ46に対して電力を供給し始める(循環搬送センサ46の作動が開始する)。
【0051】
ステップS320において、制御部50は、循環搬送センサ46からのシート検出信号が入力されているか否か、すなわちシートSが循環搬送ローラ26を通過中か否かを判定する。循環搬送センサ46からのシート検出信号が入力されている場合は、ステップS330に進む。そうでない場合はステップS350に進む。
【0052】
ステップS330において、制御部50は、循環搬送センサ46からのシート検出信号の入力がなくなったか否か、すなわちシートSの循環搬送ローラ26(厳密には循環搬送センサ46の検出領域)の通過が完了したか否かを判定する。循環搬送センサ46からのシート検出信号の入力がなくなると、ステップS340に進む。そうでない場合はステップS370に進む。
【0053】
ステップS340において、制御部50は、循環搬送ローラ用モータ64を停止させる。これにより、循環搬送センサ46が停止する。そして、リターンに進み、スタートに戻る。
【0054】
一方、ステップS320で循環搬送センサ46からのシート検出信号の入力がない、すなわち循環搬送ローラ26にシートSが到着していないと判定した場合、ステップS350において、制御部50は、タイムアウトか否かを判定する。例えば、ステップS300で両面印刷実行条件が成立してから予め決められたタイムアウト時間経過したか否かが判定される。タイムアウトの場合、循環搬送ローラ26にシートSが到着しない異常が発生しているとみなして、ステップS360に進み、エラーを報知する。そして、ステップS340に進む。タイムアウトでない場合は、ステップS320に戻る。
【0055】
また、一方、ステップS330で循環搬送センサ46からのシート検出信号の入力がなくならない、すなわちシートSの循環搬送ローラ26の通過が完了していないと判定した場合、ステップS370において、制御部50は、タイムアウトか否かを判定する。例えば、循環搬送センサ46がシートSを検出してから予め決められたタイムアウト時間経過したか否かが判定される。タイムアウトの場合、循環搬送ローラ26からシートSが移動しない異常(シートSの詰まり)が発生しているとみなして、ステップS380に進み、エラーを報知する。そして、ステップS340に進む。タイムアウトでない場合は、ステップS330に戻る。
【0056】
続いて、排出/反転ローラ24に対する制御について説明する。なお、排出/反転ローラ24に対する制御は、片面印刷用と両面印刷用とがある。
【0057】
図6は、片面印刷用の排出/反転ローラ24に対する一例の制御の流れを示すフローチャートである。
【0058】
図6に示すように、ステップS500において片面印刷実行条件が成立すると、本フローチャートに示す制御が開始される。片面印刷実行条件は、例えば、画像形成装置10が複写機である場合は、ユーザがタッチパネルを操作して「片面印刷」に設定した後、「コピー」ボタンが操作されると成立する。または、「両面印刷」に設定されていても、両面印刷において1つの面に対する画像形成が完了すると成立する。
【0059】
ステップS500で片面印刷実行条件が成立すると、ステップS510において、制御部50は、排出/反転ローラ用モータ60を正転方向に回転始動する。正転方向は、シートSを排出口22に向かって送る方向である。これにより、搬出/反転ローラ24が正転し始め(振動し始め)、振動発電部80が排出センサ44に対して電力を供給し始める(排出センサ44の作動が開始する)。
【0060】
ステップS520において、制御部50は、排出センサ44からのシート検出信号が入力されているか否か、すなわちシートSが排出/反転ローラ24を通過中か否かを判定する。排出センサ44からのシート検出信号が入力されている場合は、ステップS530に進む。そうでない場合はステップS550に進む。
【0061】
ステップS530において、制御部50は、排出センサ44からのシート検出信号の入力がなくなったか否か、すなわちシートSの排出/反転ローラ24(厳密には排出センサ44の検出領域)の通過が完了したか否かを判定する。排出センサ44からのシート検出信号の入力がなくなると、ステップS540に進む。そうでない場合はステップS570に進む。
【0062】
ステップS540において、制御部50は、排出/反転ローラ用モータ60を停止させる。これにより、排出センサ44が停止する。そして、リターンに進み、スタートに戻る。
【0063】
一方、ステップS520で排出センサ44からのシート検出信号の入力がない、すなわち排出/反転ローラ24にシートSが到着していないと判定した場合、ステップS550において、制御部50は、タイムアウトか否かを判定する。例えば、ステップS500で片面印刷実行条件が成立してから予め決められたタイムアウト時間経過したか否かが判定される。タイムアウトの場合、排出/反転ローラ24にシートSが到着しない異常が発生しているとみなして、ステップS560に進み、エラーを報知する。そして、ステップS540に進む。タイムアウトでない場合は、ステップS520に戻る。
【0064】
また、一方、ステップS530で排出センサ44からのシート検出信号の入力がなくならない、すなわちシートSの排出/反転ローラ24の通過が完了していないと判定した場合、ステップS570において、制御部50は、タイムアウトか否かを判定する。例えば、排出センサ44がシートSを検出してから予め決められたタイムアウト時間経過したか否かが判定される。タイムアウトの場合、排出/反転ローラ24からシートSが移動しない異常(シートSの詰まり)が発生しているとみなして、ステップS580に進み、エラーを報知する。そして、ステップS540に進む。タイムアウトでない場合は、ステップS530に戻る。
【0065】
図7は、両面印刷用の排出/反転ローラ24に対する一例の制御の流れを示すフローチャートである。
【0066】
図7に示すように、ステップS700において両面印刷実行条件が成立すると、本フローチャートに示す制御が開始される。両面印刷実行条件は、例えば、画像形成装置10が複写機である場合は、ユーザがタッチパネルを操作して両面印刷に設定した後、「コピー」ボタンが操作されると成立する。なお、両面印刷実行条件は、両面印刷において1つの面に対する画像形成が完了すると、例えば、循環搬送路CP上の循環搬送センサ46をシートSが通過すると、不成立となる。
【0067】
両面印刷実行条件が成立すると、ステップS710において、制御部50は、排出/反転ローラ用モータ60を正転方向に回転始動させる。これにより、搬出/反転ローラ24が正転し始め(振動し始め)、振動発電部80が排出センサ44に対して電力を供給し始める(排出センサ44の作動が開始する)。
【0068】
ステップS720において、制御部50は、排出センサ44からのシート検出信号が入力されているか否か、すなわち排出/反転ローラ24をシートSが通過中か否かを判定する。なお、このときのシートSの通過方向は、排出口22に向かう方向である。排出センサ44からのシート検出信号が入力されている場合は、ステップS730に進む。そうでない場合はステップS780に進む。
【0069】
ステップS730において、制御部50は、排出センサ44からのシート検出信号の入力が開始されてから所定時間T1経過したか否かを判定する。所定時間T1経過した場合は、ステップS740に進む。
【0070】
この所定時間T1は、排出センサ44がシート検出信号を出力し始めたタイミングから該シートSの後端(反排出口22側端)が排出/反転ローラ24を通過し終わるタイミングまでの時間に比べて短い時間に設定されている。
【0071】
すなわち、後述するように所定時間T1経過後に排出/反転ローラ24が反転開始したときに(ステップS740)、該ローラ24がシートSを挟持しているように、該所定時間T1は設定されている(所定時間T1経過後にシートSを挟持していないと、反転したときにローラ24は循環搬送路CPにシートSを送れない)。この所定時間T1は、排出/反転ローラ24と排出センサ44との間の距離、シートSの搬送方向長さ、搬送速度に基づいて算出される。
【0072】
ステップS740において、制御部50は、排出/反転ローラ用モータ60を反転させ、正転している排出/反転ローラ24を反転させる。
【0073】
ステップS750において、制御部50は、排出センサ44からのシート検出信号の入力がなくなったか否か、すなわちシートSの排出/反転ローラ24の通過(排出口22から循環搬送路CPに向かう方向)が完了したか否かを判定する。排出センサ44からのシート検出信号の入力がなくなると、ステップS760に進む。そうでない場合はステップS800に進む。
【0074】
ステップS760において、制御部50は、排出センサ44からのシート検出信号の入力がなくなってから所定時間T2経過したか否かを判定する。所定時間T2経過した場合は、ステップS770に進む。
【0075】
この所定時間T2は、排出センサ44がシート検出信号の出力を停止したタイミングから該シートSの後端(排出口22側端)が排出/反転ローラ24を通過し終わるタイミングまでの時間に比べて長い時間に設定されている。
【0076】
これは、排出/反転ローラ24が反転した場合、排出センサ44が該ローラ24の搬送方向上流側に位置することによる。すなわち、排出センサ44の検出領域からシートSが完全に脱去するとほぼ同時(シート検出信号の出力停止と同時)に該ローラ24を停止させることができないからである(同時にローラ24を停止すると、該ローラ24にシートSが残る)。この所定時間T2は、排出/反転ローラ24と排出センサ44との間の距離、シートSの搬送方向長さ、搬送速度に基づいて算出される。
【0077】
ステップS770において、制御部50は、排出/反転ローラ用モータ60を停止させる。これにより、排出センサ44が停止する。そして、リターンに進み、スタートに戻る。
【0078】
一方、ステップS720で排出センサ44からのシート検出信号の入力がない、すなわち排出/反転ローラ24にシートSが到着していないと判定した場合、ステップS780において、制御部50は、タイムアウトか否かを判定する。例えば、ステップS700で両面印刷実行条件が成立してから予め決められたタイムアウト時間経過したか否かが判定される。タイムアウトの場合、排出/反転ローラ24にシートSが到着しない異常が発生しているとみなして、ステップS790に進み、エラーを報知する。そして、ステップS770に進む。タイムアウトでない場合は、ステップS720に戻る。
【0079】
また、一方、ステップS750で排出センサ44からのシート検出信号の入力がなくならない、すなわちシートSの排出/反転ローラ24の通過が完了していないと判定した場合、ステップS800において、制御部50は、タイムアウトか否かを判定する。例えば、排出センサ44がシートSを検出してから予め決められたタイムアウト時間経過したか否かが判定される。タイムアウトの場合、排出/反転ローラ24からシートSが移動しない異常(シートSの詰まり)が発生したとみなして、ステップS810に進み、エラーを報知する。そして、ステップS770に進む。タイムアウトでない場合は、ステップS750に戻る。
【0080】
なお、定着ローラ36、循環搬送ローラ26、排出/反転ローラ24以外のローラは、例えば、「コピー」ボタンが押されてから所定の時間経過すると、制御部50によって停止される。
【0081】
本実施形態によれば、排出センサ44、循環搬送センサ46、定着後センサ42が、駆動中の対応するローラ24,26,36の振動によって発電する対応する振動発電手段80〜84から供給された電力によって作動する。そのため、画像形成装置10の外部からセンサ42〜46に必要な電力を取り込む必要がない。その結果、画像形成装置10の消費電力が小さくなる。また、振動発電手段80〜84それぞれが発電した電力が、発電後すぐに対応するセンサ42〜46に使用されるので、二次電池と該電池に対して充電するまたは放電する手段、例えば回路を必要としない。
【0082】
また、センサ42〜46が対応するローラ24,26,36近傍位置でのシートSの存在を検出しなくなると、該ローラの駆動が停止される。すなわち、しばらくの間シートSを搬送しないローラ24,26,36は停止される。それとともに、センサ42〜46も停止する。その結果、ローラ24,26,36を駆動する排出/反転ローラ用モータ60、循環搬送ローラ用モータ64、定着ローラ用モータ62の電力消費が抑制され、センサ42〜46の作動も必要最低限に抑制される。
【0083】
以上、上述の一実施形態を挙げて本発明を説明したが、本発明はこれに限定されない。
【0084】
例えば、上述の実施形態の場合、ローラの振動によってセンサの作動電力を発電する振動発電手段は、圧電素子、すなわち圧電式であるが、これに限らず、例えば静電式であってもよく、またはこれらの組み合わせであってもよい。
【0085】
静電式を採用する場合、例えば、2つの平板状の電極を用意し、ローラを支持する支持部(例えば、画像形成装置の筐体の一部であってローラとともに振動する部分)に一方の電極を取り付け、他方の電極を一方の電極と平行に対向配置させる。また、いずれか一方の電極の対向面にはエレクトレット材(半永久的に電荷を保持する部材)を貼りつける。この場合、ローラの振動によって両電極間の距離が変動することにより、すなわち静電容量が変化することにより、両電極間に電圧が発生する(電力が発生する)。この発生した電力をセンサに供給する。
【0086】
また、上述の実施形態の場合、振動から変換された電力によって作動するセンサ(42〜46)のシート検出信号の出力が停止すると、その停止をトリガにして対応するローラ(24,26,36)が停止されるが、本発明は、これに限らない。発生する振動が電力に変換されてセンサに供給されるローラ(24,26,36)の停止条件は、別にあってもよい。例えば、画像形成装置が複写機である場合、「コピー」ボタンが操作されてから所定時間経過後を停止条件としてもよい。
【符号の説明】
【0087】
24 ローラ(排出/反転ローラ)
26 ローラ(循環搬送ローラ)
36 ローラ(定着ローラ)
42 定着後センサ
44 排出センサ
46 循環搬送センサ
60 駆動手段(排出/反転ローラ用モータ)
62 駆動手段(定着ローラ用モータ)
64 駆動手段(循環搬送ローラ用モータ)
80〜84 振動発電手段(振動発電部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動手段に駆動されてシートを搬送するローラと、該ローラ近傍位置でのシートの存在を検出するセンサとを備える画像形成装置であって、
駆動中のローラの振動によって発電し、発電した電力をセンサに供給する振動発電手段を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像形成装置において、
駆動手段は、センサがローラ近傍位置でのシートの存在を検出しなくなると、該ローラの駆動を停止することを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−65015(P2011−65015A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−216786(P2009−216786)
【出願日】平成21年9月18日(2009.9.18)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】