説明

画像形成装置

【課題】紙間がクリーニング部に到達するのに対応して、高いクリーニング能力をクリーニング手段に付与するように構成した画像形成装置を提供すること。
【解決手段】像担持体と、像担持体に押圧して設けられた可回転の転写部材と、第1の極性の転写バイアスと、第1の極性とは逆極性の第2の極性の転写バイアスを出力可能な転写バイアス電源と、像担持体の非画像領域にトナーパターンを形成する手段と、像担持体の表面をクリーニングするクリーニング手段と、クリーニング手段の能力を変更可能な変更手段と、制御手段と、を有し、制御手段は、非画像領域が転写部に到達するのに対応して、第2の極性の転写バイアスを転写部材に印加すべく転写バイアス電源の出力を切り換え、非画像領域がクリーニング領域に到達するのに対応して変更手段を制御して高いクリーニング能力をクリーニング手段に付与することを特徴とする画像形成装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、複写機、プリンタ等の電子写真方式を用いて画像形成する画像形成装置に関し、特に、制御用のトナーパターンを像担持体の非画像領域に形成する仕様の画像形成装置に係わる。
【背景技術】
【0002】
例えば、像担持体としての感光体ドラムの表面に画像データに従ったトナー画像を作製し、次いで、トナー画像を用紙等の転写材に転写するか、第2の像担持体としての中間転写体に転写した後に転写材に二次転写する構成の画像形成装置はよく知られている。
【0003】
また、斯様な画像形成装置においては、例えば、濃度ムラ等の画像不良の発生を防止して高画質を維持すべく下記のような技術を搭載しているものがある。即ち、像担持体の非画像領域、または、連続画像形成を想定したとき、像担持体上であって紙間に相当する非画像領域に制御用のトナーパターン(以下、単にトナーパターンという)を適宜に作成するとともに、当該トナーパターンの濃度を検出する。そして、その検出結果に基づいて、例えば、現像バイアスを変更し、或いは、現像剤中のトナー量を適量に維持させる制御を行うという技術がそれである。
【0004】
更に、1つの転写方式として、例えば、転写部材を像担持体に押圧させる構成の接触転写方式を取り入れたものがある。しかしながら、上述のような接触転写方式と、トナーパターンを形成する構成を組み合わせた場合、次のような問題があった。即ち、像担持体の非画像領域または像担持体上であって紙間に相当する非画像領域に形成されるトナーパターンが転写部材に転移して当該転写部材を汚染し、画像の転写不良やベルトクリーニング不良による転写材汚れ等を惹起させる危惧があった。
【0005】
以下、上述した「非画像領域」という語については、主として「紙間」と呼称し、必要に応じて非画像領域を使用する。
【0006】
上述の如くの現象を防止するために、紙間にトナーパターンを形成する場合には転写部材を像担持体から離すことが考えられるが、これは、画像形成の生産性を低下させる。
【0007】
換言すれば、生産性を維持しつつ安定した高品質の画像を提供するために、一連の画像形成中は少なくとも転写部材を像担持体に押圧しておくとともに、紙間に形成されるトナーパターンが転写部材に転移しないようにする必要がある。1つの方法として、例えば、トナーパターンが転写部に至った場合、画像領域に対応して印加される転写バイアスの極性とは逆極性のバイアスをベルト転写部材に付与することが考えられる。
【0008】
しかしながら、この方法では、像担持体に対する転写部材の押圧という物理的な力に加えて、転写バイアスの極性とは逆極性のバイアスという静電的な力が加わるので、像担持体に対する紙間のトナーパターンの付着力が強くなってしまう。そのため、像担持体に対して設けられる、例えば、ブレードからなるクリーニング手段ではトナーを除去しきれずに、トナー粒子がブレードをすり抜ける現象が生じ、クリーニング不良を起こすことがある。
【0009】
ここで、「転写バイアス」とは、作用的には、像担持体上に形成された通常のトナー画像を転写材上に転写させるために転写部材に印加される定電圧電源または定電流電源等の直流安定化電源から出力される定電圧または定電流を指す。一方、構成上から見れば、前述のトナーパターンの転写部材に対する転移を阻止するために印加される前述の転写バイアスとは逆極性の電圧または電流も同じ転写部材に印加されることから転写バイアスと言えなくもない。本願明細書においては、以下、前者を第1の極性の転写バイアスといい、後者を第2の極性の転写バイアスという。
【0010】
ところで、上述と同様に、紙間に測定用パターンを形成する工程を含み、その測定用パターンに係わる測定結果でクリーニング能力を変更させる構成を有する画像形成装置が提案されている。具体的な構成は、感光体上の画像領域外に形成された転写前の測定用パターンの顕像濃度と転写ベルトに測定用パターンを転写した後の感光体上に残る残像濃度とに基づいて得られる転写率と所定の基準値との偏差を演算により求める。そして、その偏差に応じて、感光体に対するクリーニングブレードの圧接力、あるいは、ブラシローラの回転数・回転力を制御するものである。例えば、転写率が基準値を越えたときには超過した偏差に応じてクリーニング能力を低くし、転写率が基準値に満たないときには不足した偏差に応じてクリーニング能力を高くする(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開平7−140848号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
特許文献1に開示された技術は、常に基準値に相当する所定のクリーニング状態を維持し、クリーニング手段に過剰なクリーニング能力がかかることを防止して寿命を保持することができるという効果を享受できる有用なものである。
【0013】
しかしながら、転写率に基づいてクリーニング能力を制御するものであり、測定用パターンを通常のトナー画像と同様に転写ベルトに転写させることを前提として成り立っている。そして、転写後の感光体上における画像領域と有効画像領域外とでクリーニング能力を変更するものではない。それがため、転写率によってはクリーニング能力が低い状態があり、画像領域に相当する転写残トナーは有効に除去できたとしても、有効画像領域外の測定用パターンを除去できずにクリーニング不良が起きる可能性がある。
【0014】
本願発明は、制御用のトナーパターンが形成された像担持体上の紙間が転写部に到達するのに対応して、通常の画像転写時に転写手段に印加される第1の極性の転写バイアスとは逆極性である第2の極性の転写バイアスを転写部材に付与する場合においても、確実に像担持体のクリーニングを行うことができるように構成した画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本願発明に係わる画像形成装置は下記の構成要件により達成することができる。
【0016】
1.像担持体と、
前記像担持体の表面にトナー画像を形成するトナー画像形成手段と、
前記像担持体に押圧して設けられた可回転の転写部材と、
前記像担持体上のトナー画像を転写材に転写させるとき使用される第1の極性の転写バイアスと、当該第1の極性とは逆極性である第2の極性の転写バイアスを出力可能な転写バイアス電源と、
前記像担持体の非画像領域に、前記トナー画像とは異なる制御用のトナーパターンを形成する手段と、
トナー画像が前記転写材に転写された後の前記像担持体の表面をクリーニングするクリーニング手段と、
前記クリーニング手段のクリーニング能力を変更可能な変更手段と、
制御手段と、
を有し、
前記制御手段は、前記トナーパターンが形成されている非画像領域が転写部に到達するのに対応して、前記第2の極性の転写バイアスを前記転写部材に印加すべく前記転写バイアス電源の出力を切り換え制御するとともに、前記非画像領域が前記クリーニング手段の作用する領域に到達するのに対応して前記変更手段を制御し、画像領域に対するクリーニング能力よりも高いクリーニング能力を前記クリーニング手段に付与する、
ことを特徴とする画像形成装置。
【0017】
2.前記クリーニング手段は、ブラシと、前記像担持体の回転方向において前記ブラシに対して下流に設けられたブレードと、を有し、
前記変更手段は、前記ブラシに電気的に接続された、所定極性のブラシバイアスを出力するブラシバイアス電源を有し、
前記制御手段は、前記非画像領域が前記ブラシの作用する領域に到達するのに対応して、前記ブラシバイアス電源を作動制御する、
ことを特徴とする前記1に記載の画像形成装置。
【0018】
3.前記クリーニング手段は、ブラシと、前記像担持体の回転方向において前記ブラシに対して下流に設けられたブレードと、を有し、
前記変更手段は、前記ブラシの回転数を可変とする駆動源を有し、
前記制御手段は、前記非画像領域が前記ブラシの作用する領域に到達するのに対応して、画像領域に対するブラシの回転数よりも高い回転数を付与すべく前記駆動源の回転数を制御する、
ことを特徴とする前記1に記載の画像形成装置。
【0019】
4.前記クリーニング手段は、画像領域に対する回転方向が像担持体との接触点で見て前記像担持体の回転方向と同方向に回転されるブラシと、前記像担持体の回転方向において前記ブラシに対して下流に設けられたブレードと、を有し、
前記変更手段は、前記ブラシの回転方向を正逆の両方向に回転させる駆動源を有し、
前記制御手段は、前記非画像領域が前記ブラシの作用する領域に到達するのに対応して、画像領域に対応した前記ブラシの回転方向を逆方向に回転させるべく前記駆動源の回転方向を制御する、
ことを特徴とする前記1に記載の画像形成装置。
【0020】
5.前記クリーニング手段は、前記像担持体に対して位置移動可能なブラシと、前記像担持体の回転方向において前記ブラシに対して下流に設けられたブレードと、を有し、
前記変更手段は、前記ブラシを変位させるブラシ変位手段を有し、
前記制御手段は、前記非画像領域が前記ブラシの作用する領域に到達するのに対応して、画像領域に対応した前記ブラシの食いこみ量よりも大きな食いこみ量を付与すべく前記ブラシ変位手段を駆動制御する、
ことを特徴とする前記1に記載の画像形成装置。
【0021】
6.前記クリーニング手段は、ブラシと、前記像担持体の回転方向において前記ブラシに対して下流に設けられた位置移動可能なブレードとを有し、
前記変更手段は、前記像担持体に対する前記ブレードの位置を変位させるブレード変位手段を有し、
前記制御手段は、前記非画像領域が前記ブレードの作用する領域に到達するのに対応して、画像領域に対応した前記ブレードの圧接力よりも高い圧接力を付与すべく前記ブレード変位手段を駆動制御する、
ことを特徴とする前記1に記載の画像形成装置。
【発明の効果】
【0022】
紙間に形成したトナーパターンの転写部材への移行を抑制できるので、転写部材を汚染から保護することができ、クリーニング不良による転写材汚れを極力抑制できるので、安定した高品質の画像形成が可能である。また、一連の画像形成の間中、転写部材と像担持体とは押圧状態に保たれるので、画像形成に係わる生産性を維持することができる。更に、紙間に対応してのクリーニング手段のクリーニング能力を画像領域に相当する場合よりも高くすることにより、像担持体に対してトナーパターンが強固に付着していても効率よく除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】デジタル画像形成装置の主要部を示す概念図である。
【図2】クリーニング能力を高める手段の動作等を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本願発明に係わる一実施の形態を図面に基づいて説明する。図1はデジタル画像形成装置の主要部を示す概念図である。
【0025】
図において、1は感光体ドラムからなる像担持体で、スタート釦が押されると矢示の時計方向に回転される。2はコロナワイヤ電極を備えた帯電手段で、画像形成プロセスに従って付勢され、像担持体1の表面に一様な帯電を施す。
【0026】
3は露光手段で像担持体表面にドット露光を行い、静電荷パターン(以下、潜像という)を形成する。換言すれば、露光手段3は、図示しない走査露光手段により照射された原稿からの反射光がライン状のCCD上に結像され、適宜の画像処理が施されて得られた画像データに基づいて付勢され、変調されたレーザ光を像担持体1に照射する。上述のレーザ光による像担持体1に対する主走査方向の走査と、像担持体1の副走査方向の回転に伴って像担持体1の表面に潜像が形成されることになるが、斯様な構成は公知であるので詳細な説明は省略する。なお、露光手段3は像担持体1上の紙間に制御用のトナーパターンを形成する手段としても使用される。トナーパターンは例えば数ミリ幅であり、現像剤担持体が作用する幅と等しい長さで形成することができる。また、連続して形成される画像領域間(紙間)の全てにトナーパターンを作ることができるが、これは適宜に決定できるものであり、例えば、画像形成100枚ごとでも朝一番であってもよく、所期目的を達成できる仕様で有ればよい。
【0027】
4は現像剤担持体(スリーブ)40を内蔵する現像手段であり、容器内には、例えば、磁性キャリアと、負帯電特性を示す非磁性のトナー(粉末)とを主要素とする二成分系の現像剤が備えられる。現像剤担持体40には現像バイアス電源(負極性の電圧を出力)が電気的に接続されており、現像処理時、現像剤担持体40と像担持体1との間に反転現像のための電界を形成するようになっている。露光手段3で形成された潜像は現像手段4により顕像化されてトナー画像(以下、トナー像という場合が有る)とされる。
【0028】
5は転写部を構成する接触転写方式からなる転写手段で、反時計方向に回転される転写部材としてのベルト50(以下、ベルト転写部材50という)と、ベルト転写部材50を像担持体1に可変に押圧する可回転ローラからなる押圧部材55を主要素とする。本実施の形態においては、前記押圧部材55は3つの位置を取る。即ち、標準位置(普通紙対応)、標準位置よりも像担持体に対するベルト転写部材の押圧力を高められる第2位置(厚紙対応)および、画像形成装置が休止状態にあるときの標準位置にあるときよりも低い押圧力でベルト転写部材が像担持体1に接触する位置である。これは、選択あるいは指定された転写材の紙種情報に基づいて、後述の制御手段Sの制御により適宜になされる。
【0029】
ベルト転写部材50は、給紙トレイ(不図示)から送出された転写材Pを所定区域にわたって搬送する搬送手段でもあり、公知の技術により転写材を安定して搬送することができる。51および53は、ベルト転写部材50を可回転に懸架する駆動ローラおよび従動ローラである。本実施の形態において、ベルト転写部材50はクロロプレンゴムで構成されている。押圧部材55には転写バイアス電源BSが電気的に接続されている。当該転写バイアス電源BSは、像担持体1の画像領域上に形成されたトナー画像を用紙等の転写材に転写せしめるときの第1の極性の転写バイアス(ここでは正極性)を、押圧部材55を介してベルト転写部材50に印加(付与)することができる。また、前記転写バイアス電源BSは、像担持体1上の紙間に形成されるトナーパターンがベルト転写部材50に転写しないように、第1の極性の転写バイアスとは逆極性である第2の極性の転写バイアスを、押圧部材55を介してベルト転写部材50に印加できる。換言すれば、転写バイアス電源BSは、互いに逆極性の転写バイアスを出力可能であり、その出力は、後述する制御手段Sにより自動的、かつ、選択的に切り換え制御される。
【0030】
57はベルト転写部材50の表面をクリーニングするためのベルトクリーニング手段であり、ベルト転写部材50の周面部位を挟んで駆動ローラ51と対向して設けられている。6は像担持体1の表面をクリーニングするクリーニング手段で、像担持体1の回転方向において上流側の位置に設けられた可回転のブラシ60と、下流側の位置において像担持体1の回転方向に対してカウンタ方向に設けられたブレード61とを主要素とする。63はブラシ60を駆動するためのモータからなる駆動源である。本実施の形態におけるブラシは、アクリルカーボンを含浸させた繊維径が15デニールの導電性繊維(SA−7)を芯金の周囲に植立させた態様に構成されている。ブラシ部外径は約19mm、繊維の長さは約4mm、密度は93本/mmである。65はブラシ60に電気的に接続されたブラシバイアス電源で、紙間がブラシの作用する領域に到達するのに対応して制御手段Sの制御の下に作動され、所定極性(ここでは正極性)のブラシバイアスを出力する。本実施の形態においては、画像領域に対してはブラシバイアスが印加されず、紙間に対してのみブラシバイアス(+100V)が印加される構成になっているが、バイアス値を含めて、この構成は変更可能である。上述の如くの制御により、クリーニング手段のクリーニング能力が高められる。換言すれば、ブラシバイアス電源65はブラシのクリーニング能力を変更する変更手段であり、制御手段Sは変更手段を制御する手段として機能する。なお、「ブラシバイアス」とは、定電圧電源または定電流電源等の直流安定化電源(ブラシバイアス電源)から出力される定電圧または定電流を指す。
【0031】
7は像担持体1上の紙間に形成されるトナーパターンを検出するためのセンサで、転写前の位置に設置されている。
【0032】
Sは制御手段で、機械作動のプログラムを内蔵し、一連の画像形成プロセスに係わる制御、給紙制御、現像バイアス制御、転写バイアス制御、ブラシバイアス制御を含むクリーニング能力の変更制御、紙間にトナーパターンを形成させるための制御等、全ての制御を行う。換言すれば、制御手段Sは、演算制御処理を行うCPUと、各種動作プログラムを記憶しているROM、演算結果データを記憶するRAM等を有する。そして、インターフェースを介して各種センサの出力をCPUに取り込むとともにモータ等を駆動制御する。
【0033】
上述の画像形成装置による画像形成動作につき説明する。
【0034】
画像形成開始に伴って回転される像担持体1に対して、制御手段Sの制御の下に帯電手段2、露光手段3、現像手段4等からなるトナー画像形成手段が適宜に作動され、像担持体1上には原稿画像に対応したトナー画像が形成される。一方、画像形成プロセスに従って給紙トレイから送られてきた転写材Pは先端部がレジストローラRに当接した状態で静止され、トナー画像と重畳するタイミングでレジストローラRにより送り出されるとともに、ベルト転写部材50で搬送されて転写部に至る。また、紙間に対応した像担持体1上には、トナー画像形成と同様の処理によりトナーパターンが形成される。前記トナー画像は、画像領域が転写部に到達するのに対応して作動される転写バイアス電源BSの第1出力、即ち、第1の極性の転写バイアスの作用で順次、転写材P上に転写され、転写材Pは図示しない定着装置により定着処理を施されて機外に排出される。転写バイアス電源BSの第1出力は、像担持体の回転方向における画像領域の後端に対応して遮断され、第2の極性の転写バイアスが出力されるように切り換えられる。換言すれば、トナーパターンが形成されている紙間が前記転写部に到達するのに対応して、第1の極性の転写バイアスとは逆極性である第2の極性の転写バイアスをベルト転写部材に印加すべく、制御手段を介して、転写バイアス電源の出力が切り換えられる。これにより、トナーパターンのベルト転写部材50に対する転移が抑制され、トナーパターンは像担持体1に付着した状態でクリーニング部に向けられる。
【0035】
クリーニング部において、画像領域に相当した像担持体1上の部位は回転しているブラシ60とブレード61の掻き取り作用によりクリーニングされ、次の画像形成に備えられる。一方、紙間に相当する非画像領域がクリーニング手段の作用する領域に到達するのに対応してブラシバイアス電源65が作動され、ブラシ60に印加されたブラシバイアスと、ブラシの接触回転力とにより、トナーパターンを形成しているトナーが除去される。
【0036】
また、ブラシバイアス電源65は、紙間に対応した非画像領域の後端がブラシ作用領域から離れるタイミングで非作動とされる。斯様な動作が必要とされる画像形成枚数分繰り返されることになる。
【0037】
上記の実施の形態においては、紙間に対応した像担持体1上の非画像領域のクリーニングに際して、画像領域におけるよりもクリーニング手段のクリーニング能力を高める手段としてブラシバイアスを印加させたが、他の方法も考えられる。
【0038】
1つは、例えば、ブラシ60の駆動源を可変速制御可能なDCモータとし、紙間に対しては、制御手段Sの駆動源制御を介してブラシ60の回転数を高めることでクリーニング能力を高めることができる。駆動源はクリーニング能力を変更する変更手段であり、制御手段Sは変更手段を制御する手段として機能する。
【0039】
1つは、可逆回転モータを駆動源とするとともに、ブラシ60の回転方向を画像領域に対する接触点でみて像担持体1と同方向に回転させ、紙間に対しては制御手段Sの駆動源制御を介してブラシの回転方向を逆方向に回転させることでクリーニング能力を高める。駆動源はクリーニング能力を変更する変更手段であり、制御手段Sは変更手段を制御する手段として機能する。
【0040】
1つは、例えば、ブラシ60が第1位置(標準位置)と第2位置(高押圧力位置)とを取りうるように、カム或いはソレノイド等の変位手段を関係づけて設置し、紙間に対しては制御手段Sの変位手段制御を介してブラシを第2位置に移動させる。この位置移動により、像担持体1に対するブラシ繊維の食いこみ量を増大させることでクリーニング能力を高めることができる。変位手段はクリーニング能力を変更する変更手段であり、制御手段Sは変更手段を制御する手段として機能する。
【0041】
1つは、例えば、ブレードが第1位置の位置(標準位置)と第2の位置(高押圧力位置)を取りうるようにカム或いはソレノイド等の変位手段を関係づけて設置し、紙間に対しては制御手段Sの変位手段制御を介してブレードを第2位置に移動させる。この位置移動により、像担持体1に対するブラシ繊維の食いこみ量を増大させることでクリーニング能力を高めることができる。変位手段はクリーニング能力を変更する変更手段であり、制御手段Sは変更手段を制御する手段として機能する。
【0042】
なお、上述のクリーニング能力を高める構成を適宜に組み合わせて実施することは実用性の点からも望ましく、クリーニングに係わる設計の自由度を広げることができる。
【0043】
図2はクリーニング能力を高める手段の動作等を説明するための模式図である。図2において、最上部の二点鎖線は像担持体1を展開して示すものであり、P1、P2は像担持体1上にトナー画像が形成された画像領域に重畳された普通紙(P1)および厚紙(P2)からなる転写材を示す。P1とP2を区分けして表示したのはベルト転写部材の押圧力が転写材の種類により異ならしめたことを示す。隣接する画像領域の間に形成された非画像領域(紙間)に対応する像担持体1上の部位には、転写材P1、P2別にそれぞれ1つの制御用のトナーパターンが形成されている。
【0044】
上段の(a)は比較例、下段の(b)は実施例を示す。
【0045】
表示項目7項目のうち転写押圧力の項目と、転写部において紙間に形成されたトナーパターンに対応して印加される第2の極性の転写バイアスの2項目については比較例(a)と実施例(b)とは条件が同じである。但し、紙間に対応してのブラシバイアス制御、ブラシ回転数制御、ブラシ回転方向制御、ブラシ押圧力制御、ブレード押圧力制御の残り5項目については、比較例(a)では制御無しである。この結果、比較例(a)における転写材P1を用いた時のクリーニング状態では軽微なクリーニング不良が見られたが、転写材P2では明らかなクリーニング不良が見られた。一方、実施例(b)においては、転写材P1、P2に関係なくクリーニング状態は良好であった。
【0046】
上記の結果は、bizhubPRO1200(コニカミノルタ社製)を改造して行った実験結果であり、諸条件は下記の如くである。
【0047】
プロセス速度:330mm/490mm/570mm/sec.の3段階。
【0048】
ベルト転写部材の押圧力:14N(標準:P1対応)/35N(高押圧:P2対応)。
【0049】
ベルト転写部材の素材:クロロプレンゴム
紙間対応の転写バイアス:電流制御方式でトナーパターンを形成したときだけ印加。
【0050】
ブラシバイアス:+100V印加、画像領域では接地に保持。
【0051】
ブラシ回転数:像担持体の回転数に対して1,5倍(標準)、2倍(高速)。
【0052】
ブラシ押圧力(食いこみ量):1mm(標準)、1.5mm(高押圧)。
【0053】
ブレード荷重:24N/m(標準)、28N/m(高荷重)
上記において、標準は、画像領域に対する条件、高速、高押圧、高荷重は紙間に対する条件を示す。
【0054】
上記実施の形態においては、転写部材としてベルト転写部材を例としたが、ローラの形態としてもよい。また、画像形成装置としては、フルカラー複写機或いはフルカラープリンタの如くのカラー画像形成装置であってもよい。この場合、中間転写体として、例えば中間転写ベルトが多用されるが、斯様な中間転写体は本願発明における像担持体として位置する。なお、本願発明は実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に属する応用、変形を包含するものである。
【符号の説明】
【0055】
1 像担持体
2 帯電手段
3 露光手段
4 現像手段
5 転写手段
50 ベルト転写部材
55 押圧部材
6 クリーニング手段
60 ブラシ
61 ブレード
63 駆動源
65 ブラシバイアス電源
BS 転写バイアス電源
S 制御手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体と、
前記像担持体の表面にトナー画像を形成するトナー画像形成手段と、
前記像担持体に押圧して設けられた可回転の転写部材と、
前記像担持体上のトナー画像を転写材に転写させるとき使用される第1の極性の転写バイアスと、当該第1の極性とは逆極性である第2の極性の転写バイアスを出力可能な転写バイアス電源と、
前記像担持体の非画像領域に、前記トナー画像とは異なる制御用のトナーパターンを形成する手段と、
トナー画像が前記転写材に転写された後の前記像担持体の表面をクリーニングするクリーニング手段と、
前記クリーニング手段のクリーニング能力を変更可能な変更手段と、
制御手段と、
を有し、
前記制御手段は、前記トナーパターンが形成されている非画像領域が転写部に到達するのに対応して、前記第2の極性の転写バイアスを前記転写部材に印加すべく前記転写バイアス電源の出力を切り換え制御するとともに、前記非画像領域が前記クリーニング手段の作用する領域に到達するのに対応して前記変更手段を制御し、画像領域に対するクリーニング能力よりも高いクリーニング能力を前記クリーニング手段に付与する、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記クリーニング手段は、ブラシと、前記像担持体の回転方向において前記ブラシに対して下流に設けられたブレードと、を有し、
前記変更手段は、前記ブラシに電気的に接続された、所定極性のブラシバイアスを出力するブラシバイアス電源を有し、
前記制御手段は、前記非画像領域が前記ブラシの作用する領域に到達するのに対応して、前記ブラシバイアス電源を作動制御する、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記クリーニング手段は、ブラシと、前記像担持体の回転方向において前記ブラシに対して下流に設けられたブレードと、を有し、
前記変更手段は、前記ブラシの回転数を可変とする駆動源を有し、
前記制御手段は、前記非画像領域が前記ブラシの作用する領域に到達するのに対応して、画像領域に対するブラシの回転数よりも高い回転数を付与すべく前記駆動源の回転数を制御する、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記クリーニング手段は、画像領域に対する回転方向が像担持体との接触点で見て前記像担持体の回転方向と同方向に回転されるブラシと、前記像担持体の回転方向において前記ブラシに対して下流に設けられたブレードと、を有し、
前記変更手段は、前記ブラシの回転方向を正逆の両方向に回転させる駆動源を有し、
前記制御手段は、前記非画像領域が前記ブラシの作用する領域に到達するのに対応して、画像領域に対応した前記ブラシの回転方向を逆方向に回転させるべく前記駆動源の回転方向を制御する、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記クリーニング手段は、前記像担持体に対して位置移動可能なブラシと、前記像担持体の回転方向において前記ブラシに対して下流に設けられたブレードと、を有し、
前記変更手段は、前記ブラシを変位させるブラシ変位手段を有し、
前記制御手段は、前記非画像領域が前記ブラシの作用する領域に到達するのに対応して、画像領域に対応した前記ブラシの食いこみ量よりも大きな食いこみ量を付与すべく前記ブラシ変位手段を駆動制御する、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記クリーニング手段は、ブラシと、前記像担持体の回転方向において前記ブラシに対して下流に設けられた位置移動可能なブレードとを有し、
前記変更手段は、前記像担持体に対する前記ブレードの位置を変位させるブレード変位手段を有し、
前記制御手段は、前記非画像領域が前記ブレードの作用する領域に到達するのに対応して、画像領域に対応した前記ブレードの圧接力よりも高い圧接力を付与すべく前記ブレード変位手段を駆動制御する、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−108405(P2012−108405A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−258625(P2010−258625)
【出願日】平成22年11月19日(2010.11.19)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】