説明

画像形成装置

【課題】 電子写真方式の画像形成部とインクジェット方式の画像形成部の両方を備えたものは、装置が大きかった。
【解決手段】 電子写真方式でトナー像を形成し、中間転写ベルト31を有する第1画像形成部99と、インクジェット方式である第2画像形成部100と、トナーを融解してシートに圧着させる定着部5とを画像形成装置は有する。中間転写ベルト31の外周面に対向するように第2画像形成部100の記録ヘッドが設けられていて、中間転写ベルト31によって搬送されているシートに第2画像形成部100が画像を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートに画像を形成する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プリンタ、複写機、ファックスなどのカラー画像を形成する方法として、代表的に電子写真方式やインクジェット方式が用いられている。そして、電子写真方式とインクジェット方式の画像形成の両方を行う画像形成装置が提案されている。
【0003】
特許文献1には、電子写真方式の画像形成部と、シートの両面に画像形成するために搬送路の両サイドに設けられているインクジェット方式の画像形成部を備えた構成が開示されている。特許文献2では、ロール紙に対して画像形成する場合、搬送路の両サイドに電子写真方式の画像形成部とインクジェット方式の画像形成部が設けた構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−166624号公報
【特許文献2】特開2002−049186号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の従来技術では、電子写真方式による画像形成部を行うためにシートを搬送する領域外に、インクジェット方式の画像形成部を設けているので、装置が大型化している。また、電子写真方式で形成された画像とインクジェット方式で形成された画像の相対位置の精度を高くすることが難しかった。なぜなら、電子写真方式とインクジェット方式の一方の方式で画像形成を行った後に、他方の方式で画像形成を行うためにシートを搬送していく過程で、シートの位置ずれが生じる恐れがあるからである。
【0006】
そこで、本発明は、電子写真方式とインクジェット方式の両方を用いて画像形成を行う装置においてコンパクトで且つ精度高く画像を形成することが可能な画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の画像形成装置は、電子写真方式で形成されたトナー像を担持する中間転写ベルトもしくは感光体ベルトと、前記中間転写ベルトもしくは感光体ベルトに担持されたトナー像をシートに転写する転写手段とを有する第1画像形成部と、インクヘッドからインクを吐出してシートに画像を形成する第2画像形成部と、前記中間転写ベルトもしくは感光体ベルトよりもシート搬送方向の下流に設けられ、シートに転写されたトナー像をシートに定着する定着部と、を有し、前記中間転写ベルトもしくは感光体ベルトの外周面に対向するように前記第2画像形成部のインクヘッドが設けられ、前記中間転写ベルトもしくは感光体ベルトによって搬送中のシートに前記第2画像形成部が画像を形成する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、中間転写ベルトもしくは感光体ベルトによってシートを搬送中にインクによって第2画像形成部が画像を形成するように構成されているので、コンパクトで且つトナー像とインク画像の相対位置の精度が高い装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明に係る実施形態の一例である画像形成装置の概略断面図(第1実施形態)
【図2】本発明に係る実施形態の一例である画像形成装置におけるIJ画像形成部の上視図。
【図3】本発明に係る実施形態の一例である画像形成装置のフローチャート。
【図4】本発明に係る実施形態の一例である画像形成装置の制御ブロック図
【図5】本発明に係る実施形態の一例である画像形成装置の概略断面図(第2実施形態)
【発明を実施するための形態】
【0010】
[第1実施形態]
図1は、本発明に係る画像形成装置の断面図である。まず図1によって画像形成装置の概略構成について説明する。
【0011】
画像形成装置1000は、シートを給送する給送部1100と、給送部1100によって給送されたシートに、電子写真方式でトナー画像を形成するEP画像形成部99、及び、インクジェット方式でシートに画像を形成するIJ画像形成部100を備える。画像形成装置1000は、更に、画像が形成されたシートを定着部6へ搬送するベルト搬送ユニット42と、定着部6によってトナー像が定着されたシートを搬送する後搬送部903を備える。画像形成装置1000の各部の動作はコントローラ90によって制御される。
【0012】
<給送部>
給送部1100は、シートを収納する収納庫61〜64、収納庫61〜64からシートをピックアップするピックアップローラ71〜74、ピックアップローラ71〜74のいずれかによってピックアップされたシートを、給送パス81内で搬送する送り出しローラ75、77ならびにレジストローラ対76を備える。なお、レジストローラ対76は、シートの先端を倣わせ斜行を修正する機能と、EP画像形成部99やIJ画像形成部100による画像形成のタイミングと合わせてシートを送りだす機能を合わせもっている。つまり、レジストローラ対76は、シートの斜行補正のために、シートにループが作成されるようにシートの先端が停止状態で突き当てられる。また、レジストローラ対76は、シート上の所望位置にEP画像形成部99のトナー像やIJ画像形成部100のインクによる画像が形成されるようにシートを送りだしていく。
【0013】
<EP画像形成部>
第1画像形成部としてのEP画像形成部99には、Y(イエロー),M(マゼンタ),C(シアン),K(ブラック)の各色に対応する画像形成ステーション200Y,200M,200C,200Kが直列に配置されている。
【0014】
各画像形成ステーション200Y,200M,200C,200Kは、感光ドラム11(11Y、11M、11C、11K)、帯電装置12(12Y、12M、12C、12K)、露光装置13(13Y、13M、13C、13K)を備える。また、各画像形成ステーション200Y,200M,200C,200Kは、更に、現像装置14(14Y、14M、14C、14K)、一次転写装置35(35Y、35M、35C、35K)を備える。
【0015】
EP画像形成部99は、更に、各画像形成ステーション200Y,200M,200C,200Kによって可視化されたトナー像が1次転写される中間転写ベルト31を備える。中間転写ベルト31は、各画像形成ステーション200Y,200M,200C,200Kによって電子写真方式で形成されトナー画像を担持しながら回転する。中間転写ベルト31は、駆動ローラ33、テンションローラ34、36および2次転写内ローラ32によって張架され、図中矢印Bの方向へと回転するように駆動される。
【0016】
41は、2次転写内ローラ32によって内側から支持された中間転写ベルト31に圧接して、中間転写ベルト31との間に2次転写ニップを形成する2次転写ローラである。転写手段の一例である2次転写ローラ41は、中間転写ベルト31に担持されたトナー像をシートに転写する。
【0017】
<IJ画像形成部>
第2画像形成部としてのIJ画像形成部100は、インクを吐出してシートに画像を形成するインクジェット方式の画像形成部である。IL画像形成部100では、シート搬送方向の副走査のみで記録するライン型方式を採用している。なお、図2は、IJ画像形成部100の上視図である。
【0018】
図1に示されているようにIJ画像形成部100の記録ヘッド(インクヘッド)101〜104は、中間転写ベルト31の上面に対向するように配置されている。よって、IJ画像形成部100は、2次転写ニップよりもシート搬送方向の下流であって中間転写ベルト31の上面を略水平にシートが搬送されているときに、インクジェット方式でシートに画像形成を行う。IJ画像形成部100は、EP画像形成部99が画像を形成するシートの面と反対側の面に、インクを塗布して画像を形成する。
【0019】
中間転写ベルト31の上面における2次転写内ローラ32とテンションローラ36との間の搬送領域は、概ね平面(平坦)である。中間転写ベルト31の上面の搬送領域を搬送中にIJ画像形成部100は画像の形成を行う。中間転写ベルト31の上面の搬送領域のおいては、平面となっている中間転写ベルト31の上面にシートが倣うのでシートは平らな形状で搬送されている。2次転写内ローラ32とテンションローラ36との間の平面形状となった搬送領域においてIJ画像形成部100が画像を形成するので印字精度が高い。2次転写内ローラ32とテンションローラ36との間の平面形状となった搬送領域はシートのばたつき等が少なく安定した搬送状態であるからである。
【0020】
IJ画像形成部100は、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、及びイエロー(Y)の各色用の記録ヘッド(インクヘッド)101〜104を有する。図1に示されているように複数の記録ヘッド101〜104の其々は中間転写ベルト31の上方に設けられていて、シートの搬送方向に並んでいる。
【0021】
また、図2に示すように各々の記録ヘッド101〜104はシートSの幅分のノズル長を持ったインクジェット方式のラインヘッドである。記録ヘッド101〜104は固定されていて、搬送されているシートにインクを吐出して画像を形成するように構成されている。
【0022】
これら4本の記録ヘッド101〜104からそれぞれブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、及びイエロー(Y)のインクを選択的に吐出し、シートに対しカラー記録する。吐出されるインクは、中間転写ベルト31で囲われた領域内に配設されたインク貯蔵部としてのインクカートリッジ(K)105、(C)106、(M)107、及びインクカートリッジ(Y)108に貯蔵されている。インクカートリッジ(K)105、(C)106、(M)107、及びインクカートリッジ(Y)108から、図示しないポンプ、チューブによってそれぞれ対応する記録ヘッド101〜104にインクが供給される。なお、色数は4色に限定されるものではなく、また色の並び順もこの限りではない。
【0023】
<定着部周辺ならびに後搬送部>
中間転写ベルト31よりもシート搬送方向の下流側には、ベルト搬送ユニット42が配置されている。このベルト搬送ユニット42は、下面にシートを吸引しながらシートを定着部5へ搬送する。ベルト搬送ユニット42は、ファンと、ファンによって下面にシートが吸着され、回転することでシートを搬送する吸引ベルトとを備えている。
【0024】
ベルト搬送ユニット42よりもシート搬送方向の下流側に配置された定着部5は、熱と圧力によってシートにトナー像を定着する。
【0025】
定着部5によって画像が定着されたシートは後搬送部903で搬送する。後搬送部903は、排出ローラ911へと通じる排紙搬送パス82と、シートを下方へ案内する反転誘導パス83と、排紙搬送パス82と反転誘導パス83との間に設けられた揺動ガイド909とを備える。揺動ガイド909は、排紙搬送パス82と反転誘導パス83とのいずれかに選択的にシートを案内する。
【0026】
排紙搬送パス82は、定着部5から排出されたシートを排紙トレイ65に排出する排出ローラ911へシートを搬送する。反転誘導パス83は、縦パス912に接続されている。縦パス912はその下方でスイッチバックパス84に接続されている。縦パス912には正逆転可能であってシートを反転搬送可能な第1反転ローラ913が設けられている。スイッチバックパス84には、正逆転可能であってシートを反転搬送する第2反転ローラ79が設けられている。後搬送部903は、更に、第2反転ローラ79によって反転されたシートが搬送され、下流側において給送パス81に合流する両面搬送路85を備えている。
【0027】
<制御構成>
図4のブロック図で示したようにコントローラ90は、IJ画像形成部100、EP画像形成部99、給送部1100、後搬送部903、ユーザが入力設定を行うための操作部が接続されている。コントローラ90には、外部装置からプリント信号や画像データが入力されてそれらに基づいてIJ画像形成部100、EP画像形成部99、給送部1100、後搬送部903の動作をコントローラ90が制御する。
【0028】
<シートへの画像形成に係る動作の概略>
(シート給送動作)
ピックアップローラ71〜74によりシートは給送される。ピックアップローラ71〜74により送り出されたシートは給送パス81を通過し、レジストローラ対76へと搬送される。レジストローラ対76は搬送されてくるシートの先端が突き当てられて斜行を修正する。レジストローラ対76は、斜行修正を行った後に、所望のタイミングにて2次転写ニップへシートを送りだす。
【0029】
(EP画像形成部での作像動作)
帯電装置12により表面を一様に帯電され、回転する感光ドラム11に対し、送られてきた画像情報の信号に基づいて露光装置13が駆動され潜像が形成される。感光ドラム11上に形成された静電潜像は、現像装置14によるトナー現像を経て、感光ドラム11上にトナー像として顕在化する。
【0030】
その後、一次転写装置35により所定の加圧力および静電的負荷バイアスが与えられ、中間転写ベルト31上にトナー像が転写される。
【0031】
各画像形成ステーション200Y,200M,200C,200Kのそれぞれが中間転写ベルト31にトナー像を転写する。ここで、各画像形成ステーション200Y,200M,200C,200Kにより並列処理される各色毎の画像形成プロセスは、中間転写ベルト31上に一次転写された上流色のトナー像上に重ね合わせるタイミングで行われる。その結果、最終的にはフルカラーのトナー像が中間転写ベルト31上に形成され、2次転写ニップへとトナー像は搬送される。2次転写ニップでは、所定の加圧力と静電的負荷バイアスを与えることで、レジストローラ対76によって搬送されてきたシート上に、中間転写ベルト31に担持されたフルカラーのトナー像を転写する。
【0032】
(IJ画像形成部での作像動作)
シートは2次転写ニップを通過後に、中間転写ベルト31によって略水平に搬送されながらトナー像が転写された面と反対側の面に対してIJ画像形成部100によりインク塗布される。即ちIJ画像形成部100の各記録ヘッド101〜104によって、回転する中間転写ベルト31によって搬送されているシートの上面に画像が形成される。4本の記録ヘッド101〜104からそれぞれブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、及びイエロー(Y)のインクを選択的に吐出し、シートに対しカラー画像を形成するする。
【0033】
(画像形成後のシート搬送動作)
EP画像形成部99の2次転写部とIJ画像形成部100の記録ヘッド101〜104の両方若しくはどちらか一方によって画像が形成された後のシートの搬送動作について説明する。
【0034】
画像が形成されたシートは、ベルト搬送ユニット42により定着部5へと搬送される。該定着部5は、対向するローラによる所定の加圧力と、一般的にはヒータ等の熱源による加熱効果を加えて、トナー像をシートに溶融固着させる。
【0035】
その後、シートの搬送動作は、電子写真方式とインクジェット方式の両方を使用するかどちらか一方のみを使用するかで異なるので、以下では、シート搬送動作の概略を、場合分けして説明する。なお、EP画像形成部99とIJ画像形成部100の使い分け関する制御の詳細については後で説明する。
【0036】
EP画像形成部99とIJ画像形成部100の両方を用いて両面に画像を形成する場合には、排紙トレイ65上に排出する排紙搬送パス82にそのまま搬送される。即ち、EP画像形成部99によってシートの一方の面に画像形成を行いIJ画像形成部100によってシートの他方の面に画像形成を行うことで両面に画像形成されたシートは排紙トレイ65上に排出する排紙搬送パス82に搬送される。本実施形態では、EP画像形成部99によってシートの下面に1面目の画像を形成し、シートの下面にIJ画像形成部100によって2面目の画像を形成する。よって、排紙トレイ65上にフェイスダウン(1面目の画像が下の状態)の状態でシートは排出される。
【0037】
次に、EP画像形成部99のみで画像形成する場合について説明する。
【0038】
片面にだけEP画像形成部99で画像形成を行ってシートを出力するときには、EP画像形成部99で一方の面に画像形成されたシートは、そのまま排紙搬送パス82へ案内される。この動作によって、排紙トレイ65上にフェイスダウン(画像が形成された面が下の状態)の状態でシートは排出される。
【0039】
EP画像形成部99のみで両面に画像形成を行う場合には、EP画像形成部99で一方の面に画像が形成されたシートを再度EP画像形成部99に後搬送部903によって搬送する。即ち、一方の面に画像が形成されたシートは、湾曲した反転誘導パス83に搬送される。シートは反転誘導パス83から縦パス912を経てスイッチバックパス84へと引き込まれ、第2反転ローラ対79の回転方向を正逆転させること(反転搬送)を行うことで先後端を入れ替え、両面搬送パス85へと搬送される。その後、各ピックアップローラ71〜74より搬送されてくる後続ジョブのシートとのタイミングを合わせて給送パス81に合流する。給送パス81に案内されたシートはレジストローラ対76を経て2次転写ニップへと送られる。そして、他方の面に電子写真方式によって画像が形成される。両面に画像が形成されたシートは、そのまま排紙搬送パス82へ案内されて排紙トレイ65上に排出される。なお、最初に画像を形成するときには2面目の画像を形成し、後搬送部903によって反転搬送された後に2回目の画像形成の際に1面目の画像を形成する。したがって、フェイスダウン(1面の画像が下になった状態)で、排紙トレイ65上に排出される。
【0040】
次に、IJ画像形成部100のみで画像形成する場合について説明する。
【0041】
片面にだけIJ画像形成部100で画像形成を行ってシートを出力するときには、IJ画像形成部100で片面に画像形成されたシートは、そのまま排紙搬送パス82へ案内される。そして、排紙トレイ65上にフェイスアップ(画像が形成された面が上になった状態)で排出される。なお、ページ順が連続するシートを連続して排紙トレイ65上に出力する場合には、フェイスダウン(画像が形成された面が下になった状態)で排紙させるために以下のように動作する。即ち、反転誘導パス83から縦パス912へと引き込まれ後、第1反転ローラ対913の逆転により、送り込まれた際の後端を先頭にして、送り込まれた方向と反対向きに退出させ、排紙搬送パス82を通過させて排紙トレイ65に排紙される。
【0042】
IJ画像形成部100のみで両面に画像形成を行う場合にはIJ画像形成部100で一方の面に画像が形成されたシートを再度IJ画像形成部100に後搬送部903によって搬送する。即ち、一方の面に画像が形成されたシートは、反転誘導パス83に搬送される。シートは反転誘導パス83から縦パス912を介してスイッチバックパス84へと引き込まれ、第2反転ローラ対79が反転搬送を行うことで先後端を入れ替え、両面搬送パス85へと搬送される。給送パス81に案内されたシートはレジストローラ対76によって中間転写ベルト31の上面へと搬送される。中間転写ベルト31の上面において中間転写ベルト31によって搬送されているシートの他方の面に、IJ画像形成部100によって画像が形成される。両面に画像が形成されたシートは、そのまま紙搬送パス82へ案内されて排紙トレイ65上に排出される。なお、最初に画像を形成するときには1面目の画像を形成し、後搬送部903によって反転搬送された後に2回目の画像形成を行う際に2面目の画像を形成する。この画像形成順によって、フェイスダウン(1面目の画像が下になった状態)で、排紙トレイ65上に排出される。
【0043】
<電子写真方式とインクジェット方式の使い分けに関する制御>
画像形成装置1000のコントローラ90は、収納庫61〜64に収納されているシートが、電子写真方式による画像形成部99に適合するのか、インクジェット方式による画像形成部100に適合するのか、EP画像形成部99及びIL画像形成部100のどちらにも適合するのかを、あらかじめ記録されている。シートの種類および画像データに応じてEP画像形成部99及びIJ画像形成部100を選択して画像形成を行うフローチャートを図3に示す。
【0044】
画像形成装置1に対して、外部装置からプリント信号、及び画像データが入力されたときのコントローラ90の動作を以下に説明する。
【0045】
入力された信号が片面画像であるかどうかをコントローラ90が判断する(ステップ11。以下ステップをSと記す)片面画像であれば(S11でYES)、S12に移行して、S12において、画像形成を電子方式で行うかインクジェット方式で行うかをコントローラ90が選択する。そして、選択された画像形成方式で、即ちEP画像形成部99とIJ画像形成部100のいずれかで画像形成を行う(S13,S14)。
【0046】
ここで、S12において画像形成を電子方式で行うかインクジェット方式で行うかの選択は、操作部からの指定入力に従う。なお、特に操作部に指定がない場合は電子方式で行い、ユーザがインクジェット方式で画像形成を行いたい場合に操作部に入力するように構成してもよい。
【0047】
また、S12において画像形成を電子写真方式で行うかインクジェット方式で行うかの選択に関して以下のようにしてもよい。ユーザは複数の収納庫61〜64のいずれかを選択するように操作部に入力する。選択された収納庫に収納されたシートの種類が、電子写真方式に適合するのかインクジェット方式に適合するかによってコントローラ90が画像形成を電子写真方式で行うかインクジェット方式で行うかを選択する。シートが電子写真方式に適合するのかインクジェット方式に適合するかは既述のようにコントローラ90に情報として予め格納されているので、この格納されている情報に応じて電子写真方式で行うかインクジェット方式で行うかをコントローラ90が自動的に選択する。また、S12において入力された画像データに基づいて、画像形成を電子写真方式で行うかインクジェット方式で行うかをコントローラ90が選択するように構成してもよい。例えば、入力された画像データがモノクロ画像であれば電子写真方式をコントローラ90が選択し、入力された画像データがカラー画像であればインクジェット方式をコントローラ90が選択するように構成する。
【0048】
入力された信号が片面画像でない場合(S11でNO)、即ち両面画像の場合には、S15に移行する。そして、S15において、画像形成方法の指定(電子写真方式で行うかインクジェット方式で行うかの指定)が、操作部に行われているかどうかをコントローラ90が判断する。画像形成方法についての指定が無い場合(S15のYES)、EP画像形成部99に対しては、プリント信号と表面(1面目)の画像データを送り、一方、IL画像形成部100に対しては、プリント信号と裏面(2面目)の画像データを送り,両方の画像形成部で画像形成を行う(S16,S17)。
【0049】
S15の判断において、画像形成方法についての指定がある場合には、S18に移行する。S18において指定された画像形成方法が電子写真方式であるかどうかをコントローラ90が判断する。電子写真方式が指定されている場合は(S18でYES)、EP画像形成部99に対して、プリント信号と1回目の画像形成に対して2面目の画像データを送り、2回目の画像形成に対して1面目の画像データを送り、両面の画像形成を行う(S19,S20)。なお、シートの両面に対する画像形成をEP画像形成部99だけで行う場合の動作は、既述した通りであって、片面に画像が形成されたシートを後搬送部903において反転搬送して裏面に画像を形成させるべく再度EP画像形成部99に送る。
【0050】
また、S18において指定された画像形成方法が電子写真方式でない場合(S18でNO)、IJ画像形成部100に対して、プリント信号と1回目の画像形成に対して1面目の画像データを送り、2回目の画像形成に対して2面目の画像データを送り、両面の画像形成を行う(S21,S22)。なお、シートの両面に対する画像形成をIJ画像形成部100だけで行う場合の動作は、既述した通りであって、片面に画像が形成されたシートを後搬送部903において反転搬送して裏面に画像を形成させるべく再度EP画像形成部100に送る。
【0051】
以上説明した実施形態では以下の効果を奏する。
【0052】
両面画像形成時に電子写真方式及びインクジェット方式の両方の画像形成部を使用することで、高い生産性で両面の画像形成を行うことができる。
【0053】
中間転写ベルト体31上でシートを搬送しながらインクジェット方式による画像形成を行うことで装置の小型化ができる。また、中間転写ベルト体31上でシートを搬送しながらインクジェット方式による画像形成を行うので、表裏の画像の相対位置ズレが少ない画像形成を行うことができる。
【0054】
また、画像形成部を選択できるため、シートに対して最適な画像形成を実現できる。
【0055】
[第2実施形態]
図5は、本発明に係る第2の実施形態の一例である画像形成装置の概略断面図である。本第2実施形態は、第1実施形態で説明した実施形態に対して、電子写真方式の画像形成部の構成のみが異なる。この第2の実施形態では、感光体ベルト21を用いた直接転写方式を採用している。以下では、第1実施形態と異なる点を詳述して、第1実施形態と同様な事項については詳細な説明は省略する。
【0056】
EP画像形成部98は、矢印C方向に回転される感光体ベルト21を備える。感光体ベルト21は、ローラ22、23、24、25に張架されている。感光体ベルト21の外周面に対向するように、帯電チャージャ10、ブラックのトナーを有する現像装置26、転写手段の一例である転写チャージャ27が配置されている。また、感光体ベルト21の下方には、レーザ光を感光体ベルトに照射する露光装置25が設けられている。
【0057】
画像形成部98は、以下のプロセスにより作像及び転写を行う。矢印C方向に回転されている感光体ベルト21は、帯電チャージャ10によって表面を帯電される。そして、露光装置25からのレーザ光を照射され、感光体ベルト21上に静電潜像が形成される。この潜像は、ブラックのトナーを有する現像装置26を通るとき現像装置26のトナーによって可視像化され、トナー像が形成される。感光体ベルト21上に形成され、感光体ベルト21によって担持されているトナー像は、転写チャージャ27の作用によって、感光体ベルト21の外周に搬送されてきたシートに転写される。その後、シートは感光体ベルト21上を搬送される。感光体ベルト21の上面を搬送されているときに、IJ画像形成部100が画像を形成する。なお。EP画像形成部98によって形成される画像の色をブラックとして説明したがこれに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0058】
11 感光体
31 中間転写ベルト
5 定着部
90 コントローラ
98 感光体ベルトを用いたEP画像形成部
99 中間転写ベルトを用いたEP画像形成部
100 IJ画像形成部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子写真方式で形成されたトナー像を担持する中間転写ベルトもしくは感光体ベルトと、前記中間転写ベルトもしくは感光体ベルトに担持されたトナー像をシートに転写する転写手段とを有する第1画像形成部と、
インクヘッドからインクを吐出してシートに画像を形成する第2画像形成部と、
前記中間転写ベルトもしくは感光体ベルトよりもシート搬送方向の下流に設けられ、シートに転写されたトナー像をシートに定着する定着部と、を有し、
前記中間転写ベルトもしくは感光体ベルトの外周面に対向するように前記第2画像形成部のインクヘッドが設けられ、前記中間転写ベルトもしくは感光体ベルトによって搬送中のシートに前記第2画像形成部が画像を形成することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記中間転写ベルトもしくは感光体ベルトはシートを上面に載せた状態でシートを搬送し、
前記中間転写ベルトもしくは感光体ベルトの上面に対向するように前記第2画像形成部のインクヘッドが配置されていて、前記中間転写ベルト若しくは感光体ベルトによって搬送されているシートの上面に前記第2画像形成部が画像を形成することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記中間転写ベルトもしくは感光体ベルトで囲まれた領域に、前記第2画像形成部のインク貯蔵部を配設することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記第2画像形成部のインクヘッドは、シート幅分の長さのノズル長を有する記録ヘッドであって、シート搬送方向に複数並んで設けられ、
前記複数の記録ヘッドは固定されていて、搬送されているシートに対して画像形成を行うことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−128208(P2012−128208A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−279898(P2010−279898)
【出願日】平成22年12月15日(2010.12.15)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】