説明

画像形成装置

【課題】ユーザが操作パネルに設けられた操作スイッチや表示部を操作することで画像形成装置を操作するときに、表示部に静電気が流れることによる表示部の故障を防止する。
【解決手段】表示部と対向する位置に開口を有する表示部を覆うカバーを備え、開口の表示部が設けられている側に設けられる第1シートと、開口を挟んで表示部が設けられていない側に設けられる第2シートを有し、第1シートと第2シートとで開口の縁を覆う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報を表示する表示部を備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ユーザは、カバー部材に覆われた操作スイッチや表示パネルを操作することで画像形成装置を動作させている。しかし、ユーザが操作スイッチや表示パネルに触れるときに発生する静電気がカバー部材の裏面に設けられている電気基板に流れることで、電気基板が故障してしまう恐れがあった。そこで、カバー部材と電気基板との間に電気基板の大部分を覆う大きさの絶縁シートを備え、電気基板を静電気から保護する画像形成装置が知られている。
【0003】
特許文献1では、操作パネルから電気基板に静電気が侵入するのを防ぐために、電気基板と操作パネルとの間に絶縁シートを備えている。操作パネルの操作スイッチなどが設けられる穴が開けられた位置の近くに配置される絶縁シートには、切欠き部が備えられており、その切欠部を絶縁壁で覆うというものが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000-252093号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、カバーに備えられる表示パネルには、表示部と対向する位置に開口が設けられている。ユーザが表示パネル周辺に触れたときに発生する静電気が開口を通って表示部に放電されることで、表示部が故障してしまう恐れがある。このため、表示部を静電気から保護するための機構が必要である。
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の画像形成装置では、絶縁シートに設けられた切欠き部周辺を絶縁壁で覆わなければならず絶縁シートの構造が複雑になってしまっていた。
【0007】
そこで、本願発明は簡単な構成で表示パネルや操作スイッチが設けられている開口から進入する静電気から表示部を保護することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために請求項1に記載の発明は、表示部と、前記表示部に情報を表示するための電気基板と、前記表示部と対向する位置に開口を有するカバーと、前記開口を覆うための絶縁性材料からなり、前記カバーを挟んでそれぞれ配置される第1シートと第2シートと、を備え、前記第1シートは、前記カバーの前記表示部側に配置され、前記第2シートは、前記カバーの前記表示部の反対側に配置されていることを特徴とすることを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の画像形成装置において、前記第1シートまたは前記第2シートの縁から前記開口の縁までの距離は、前記第1シートの前記表示部側の表面から前記第2シートの前記表示部の反対側の表面までの距離よりも長いことを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の発明によれば、請求項1または請求項2のいずれかに記載の画像形成装置において、前記開口の縁から前記第1シートの縁までの距離は、前記開口の縁から前記表示部の縁に最も近い第1シート上の点までの距離よりも長いことを特徴する。
【0011】
請求項4に記載の発明によれば、請求項1から請求項3のいずれかに記載の画像形成装置において、前記第1シートの縁から前記表示部の縁に最も近い第1シート上の点までの距離は、前記開口の縁から前記表示部の縁に最も近い第1シート上の点までの距離より長いことを特徴とする。
【0012】
請求項5に記載の発明によれば、請求項1から請求項4のいずれかに記載の画像形成装置において、前記表示部の一端には前記電気基板に接続される電気ケーブルが備えられており、一端側の前記開口の縁から前記第1シートの縁までの距離は、他端側の前記開口の縁から前記第1シートの縁までの距離よりも長いことを特徴とする。
【0013】
請求項6に記載の発明によれば、請求項1から請求項5のいずれかに記載の画像形成装置において、前記カバーの前記開口の周りに設けられ、前記画像形成装置を操作するための操作スイッチを配置させるための孔と、前記カバーの前記表示部側の面に設けられ、前記カバーから前記表示部側に突出する壁面と、を有し、前記壁面は、前記第1シートの縁よりも外側に位置することを特徴とする。
【0014】
請求項7に記載の発明によれば、請求項1から請求項6のいずれかに記載の画像形成装置において、前記開口の縁から前記第1シートの縁までの距離と、前記開口の縁から前記第2シートの縁までの距離が等しいことを特徴とする。
【0015】
請求項8に記載の発明によれば、請求項1から請求項7のいずれかに記載の画像形成装置において、前記カバーの前記第2シートが設けられている側の前記開口の周りには、前記表示部側に向けて凹んだ凹部が備えられており、前記第2シートは前記凹部内に配置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に記載の発明によれば、カバーに設けられた開口の表示部側に第1シートを配置し、表示部の反対側のカバーを挟んで第1シートと対向する位置に第2シートを配置している。これにより、ユーザが開口周辺に触れたときに発生する静電気を表示部まで流さないようにするための沿面距離を長くすることができるので、表示部を静電気から保護することができ、表示部の故障を抑制することができる。
【0017】
請求項2に記載の発明によれば、第1シートまたは第2シートの縁から開口までの距離を第1シートの表示部側の面から第2シートの表示部の反対側の面までの距離よりも長くしている。これにより、開口の深さ方向の長さを抑制しながら、開口周辺から表示部までの沿面距離を長くすることができ、省スペース化を図りながら、表示部の故障を抑制することができる。
【0018】
請求項3に記載の発明によれば、第1シートの縁が第1シート上の表示部の縁に最も近い点よりも開口から離れているので、開口から第1シートの縁までの距離が開口から第1シート上の表示部の縁に最も近い点までの距離以下のときに比べて、沿面距離を長くすることができ表示部の故障を抑制することができる。
【0019】
請求項4に記載の発明によれば、開口の縁から前記表示部の縁に最も近い第1シート上の点までの距離よりも第1シートの縁から前記表示部の縁に最も近い第1シート上の点までの距離の方が長くなっている。第1シートの縁から前記表示部の縁に最も近い第1シート上の点までの距離を長くすることができるので、ユーザが触れた開口周辺から表示部までの沿面距離を長くすることができ表示部の故障を抑制することができる。
【0020】
請求項5に記載の発明によれば、電気ケーブルが設けられている一端側の第1シートの縁から開口の縁までの距離は他端側の第1シートの縁から開口の縁までの距離よりも長くなっている。電気ケーブルが設けられると、表示部の縁よりも電気ケーブルの方が第1シートの縁から近い位置に配置されるため、沿面距離が短くなってしまうが、第1シートを長くすることで沿面距離を長くし、電気ケーブルおよび表示部の故障を抑制している。
【0021】
請求項6に記載の発明によれば、カバーの開口の周りには操作スイッチを配置させるための孔が形成されており、カバーの表示部側の面には表示部側に向けて延出する壁面が設けられている。ユーザが操作スイッチを操作したときに孔から静電気が侵入してしまう恐れがあるが、壁面を有することで孔から表示部までの沿面距離を長くすることができ、表示部の故障を抑制する。また、壁面で沿面距離を長くすることができるので、開口と孔とを近づけて配置させることができ、スペースの有効に利用することができる。
【0022】
請求項7に記載の発明によれば、開口の縁から第1シートの縁までの距離と開口の縁から第2シートの縁までの距離とを等しくした。これによって、第1シートもしくは第2シートのどちらかが長いときに比べて、同じ長さの沿面距離を稼ごうとするときに、第1シートもしくは第2シートを配置するために必要なスペースを削減することができ、開口の周りのスペースを有効に利用することができる。
【0023】
請求項8に記載の発明によれば、第2シートが設けられる側の開口の周りには表示部側に凹んだ凹部が備えられており、第2シートは凹部内に配置されている。これによって、第2シートの表面がカバーから突出することを防止することができるので、第2シートをカバーからはがれにくくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本実施形態に係る複合機の斜視図である。
【図2】本実施形態に係る操作パネルの斜視図である。
【図3】図2に係る操作パネルのカバーの裏面の斜視図である。
【図4】本実施形態に係る複合機のブロック図である。
【図5】図3の開口周辺の拡大図である。
【図6】本実施形態に係る表示部の固定方法を示す図である。
【図7】図5に表示部を取り付けたときの斜視図である。
【図8】図7における開口周辺のA−A‘線における各部品の配置関係を説明するための図である。
【図9】図7における開口周辺のB−B‘線における各部品の配置関係を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
次に、本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
【0026】
<実施形態1>
本発明の実施形態を図1ないし図9を利用して説明する。
【0027】
<画像形成装置の外観構成>
図1は、スキャナ機能、プリンタ機能、コピー機能、ファクシミリ機能等を有する画像形成装置1の斜視図である。ここで、画像形成装置1の概略構成の説明において、方向は、画像形成装置1を使用するユーザを基準にした方向で説明する。すなわち、図1における右手前側を「前」、左奥側を「後」とし、左手前側を「左」、右奥側を「右」とする。また、図1における上下方向を「上下」とする。
【0028】
画像形成装置1は、用紙等の被記録媒体に画像を形成するための画像形成部18(図4参照)を備えたプリンタ部10の上部に、原稿を読み取るための読取部11を備えている。読取部11はいわゆるフラットベッド方式のものであって、図示しない原稿台に載置された原稿を図示しないCIS等のイメージセンサで読み取ることで原稿画像を入力し、入力した原稿画像の画像データを生成する。
【0029】
原稿台の上方には、原稿カバー12が原稿台に対して開閉可能に設けられている。また、原稿カバー12には自動原稿搬送装置であるADF13(Auto Document Feeder)が一体に設けられている。ADF13は給紙台14にセットされた原稿をイメージセンサにより読み取り可能な位置へ搬送する。
【0030】
<操作パネルの概略構成>
画像形成装置1の上部前面には、ユーザによる各種の入力操作が可能な操作パネル30が設けられている。図2に操作パネル30を上面から見た斜視図を示す。操作パネル30は、カバー50(請求項に記載のカバーの一例)と、表示パネル32と、入力操作を行える複数の操作スイッチ34(請求項に記載の操作スイッチの一例)と、カバー50の裏面側に表示部43(請求項に記載の表示部の一例、詳細は後述する)と、表示部43に接続されている電気基板36(請求項に記載の電気基板の一例、図8参照)と、を備えている。
【0031】
図3にカバー50と表示パネル32を裏面から見た斜視図を示す。カバー50には、複数の孔52(請求項に記載の孔の一例)と開口54(請求項に記載の開口の一例)とが設けられている。
【0032】
表示パネル32は、カバー50の略中央に左右方向に長い長方形形状になっている。表示パネル32は、開口54と、開口54の上面と下面に備えられる一対の絶縁シート40(詳細は後述する)とから構成され、表示部43と対向して配置されている。
【0033】
操作スイッチ34(図2では、1つのみに番号を付している)は、樹脂製のシートに形成された突起であって、突起の下面に導電性部材が配置されたものである。操作スイッチ34を押すことで導電性部材が電気基板36上の接点に接触し、スイッチのオン/オフを行っている。
【0034】
操作スイッチ34は、孔52と対応する位置に設けられており、孔52からカバー50の表面側に露出されている。複数の操作スイッチ34は、1枚の樹脂シート上に形成されており、樹脂シートが孔52と電気基板36の間に配置されている。これによって、孔52と電気基板36とは絶縁されており、ユーザが操作スイッチ34に触れたときに発生する静電気によって電気基板36が故障することを抑制している。
【0035】
<複合機の電気的構成>
図4は、画像形成装置1の電気的構成を概略的に示すブロック図である。画像形成装置1は、CPU19、ROM20、RAM21、NVRAM22、読取部11、画像形成部18、表示部43、操作スイッチ34などが電気的に接続されている。
【0036】
ROM20には、画像形成装置1の動作を制御するための各種のプログラムが記憶されており、CPU19はROM20から読み出したプログラムに従って、その処理結果をRAM21またはNVRAM22に記憶させながら、各部の制御を行う。
【0037】
画像形成部18は、用紙カセットにセットされた紙などの被記録媒体を搬送する搬送機構などを有し、画像データに基づいて被記録媒体上にレーザー方式やインクジェット方式などで画像を形成することにより画像を出力する。
【0038】
<開口周辺の具体的な構成>
開口54の周りには、図5に示すように、壁面56(請求項に記載の壁面の一例)が形成されている。壁面56は、右面56A、左面56B、前面56C、後面56Dによって長方形形状になっており、カバー50の裏面から下方に向けて突出されている。前面56Cには、壁面56の外側に向けて凹形状の位置決め部58が設けられている。後面56Dには後面56Dの下端から前方に向けて突出されている突起60が設けられている。位置決め部58と突起60によって、表示部43を固定する固定台70(後述する)をカバー50に固定する。さらに、右面56Aと左面56Bと後面56Dとにはリブ62が設けられており、リブ62が固定台70と接触するようになっている。
【0039】
図6に示すように、表示部43は、ディスプレイ44と回路部46を備えた液晶ディスプレイであり、回路部46の上面にディスプレイ44が重ねられている。回路部46とディスプレイ44の左右方向の長さは等しく、回路部46とディスプレイ44の左右の縁は上下方向において同じ位置に配置されている。回路部46とディスプレイ44の前後方向の長さは、ディスプレイ44より回路部46の方が長くなっている。回路部46とディスプレイ44の前側の縁は、上下方向において同じ位置に配置されており、回路部46の後方はディスプレイ44よりも後ろ側に突出している。回路部46の突出している部分には、電気ケーブル38(請求項に記載の電気ケーブルの一例)が接続されており、電気ケーブル38によって、表示部43と電気基板36とが接続されている。表示部43は、電気ケーブル38を通して電気基板36から送信された画像などの情報をディスプレイ44に表示する。
【0040】
また、表示部43は、固定台70に固定されている。
【0041】
固定台70には、後方が開いた長方形形状に右壁72A、左壁72B、前壁72Cからなる壁72が設けられている。この壁72に表示部43の縁である右縁43A、左縁43B、前縁43Cをあわせることで、固定台70に対して表示部43を位置決めすることができる。
【0042】
壁72A〜72Cには、それぞれ壁72A〜72Cの上端から突出するフック74A〜74Cが設けられている。これによって、表示部43が上に抜けないように固定している。さらに、表示部43が固定台70に位置決めされたときの表示部43の後側の縁(回路部46の後側の縁)である後縁43Dの位置には、固定台70から上向きに突出するフック76が左右方向に並んで設けられている。このフック76によって、表示部43が前後方向に動かないように固定される。
【0043】
固定台70の前方には、前方に向けて突起を有する係合部78が備えられている。係合部78は、固定台70と接続され、固定台70から上方に延出されており、延出されている部分を後方に向けて撓ませることができる。
【0044】
図7は、固定台70に固定された表示部43をカバー50に取り付けた図である。係合部78は、カバー50に設けられた位置決め部58と対応する位置に配置されている。固定台70は、固定台70をカバー50に取り付けるときに位置決め部58と係合部78とを係合させることでカバー50に固定される。
【0045】
固定台70の後方には、固定台70の後端から後方に向けて突出する突出部80が備えられている。突出部80は、フック76よりも内側に左右方向に並んで壁面56下方の突起60と対応する位置に配置されている。固定台70は、カバー50に取り付けられるときに、突出部80が突起60の上方に配置されることで、カバー50から抜けないように固定され、表示部43が開口54と対向する位置に配置される。
【0046】
固定台70の表示部43を固定している位置の下方には、表示部43と平行な開口である照射口82が備えられている。照射口82は、電気基板36上に配置されるLEDライトから表示部43に向けて光を照射するために備えられている。LEDライトは、表示部43に光を照射することで表示部43に表示される文字や画像などの情報の視認性をよくしている。
【0047】
<絶縁シートの構成>
開口54周辺の左右方向の部品の位置関係について説明する。図8に図7のA−A‘線の部品の位置関係に表示部43の下に配置されている電気基板36を追加した図を示す。開口54には、絶縁シート40として、開口54の表示部43が設けられている側(下側)に接着剤で隙間なく貼り付けられている第1シート41(請求項に記載の第1シートの一例)と、開口54の表示部が設けられている側の反対側(上側)に接着剤で隙間なく貼り付けられている第2シート42(請求項に記載の第2シートの一例)とが備えられている。
【0048】
第2シート42は、開口54の周りに備えられる下側に凹んだ凹部64(請求項に記載の凹部の一例)内に配置されている。第2シート42の右側の縁である第2シート縁42Aは、凹部64の右側の縁である凹部縁64Aよりも開口54の右側の縁である開口縁54Aに近い位置に配置されている。また、第2シート42の上下方向の厚さは、凹部64の上下方向の深さよりも薄くなっており、カバー50の表面から第2シート42が突出しないようになっている。このため、ユーザが操作パネル30を操作するときに第2シート縁42Aに接触しにくくなるため、第2シート42がはがれにくくなる。
【0049】
第1シート41は、カバー50を挟んで第2シート42と対向する位置であって、表示部43の上方に備えられている。第1シート41の右側の縁である第1シート縁41Aは、壁面56と凹部縁64Aより開口縁54Aに近い位置に配置されている。さらに、第1シート縁41Aは、表示部43の右側の縁である右縁43Aから最も近い第1シート41上の点である近接点41Eよりも開口縁54Aから離れた位置に配置されている。また、近接点41Eから第1シート縁41Aまでの距離は、開口縁54Aから近接点41Eまでの距離よりも長くなっている。これによって、凹部縁64Aと第2シート縁42Aの隙間から静電気が侵入したとしても、開口縁54Aから第1シート縁41Aを経由して右縁43Aまで静電気は流れないように十分な沿面距離をとることができる。
【0050】
ここで沿面距離とは、二つの導電性部材間を絶縁するために必要な距離のことをいい、本実施形態では凹部64の縁から第2シート42の下面を通って開口54を経由し、第1シート41の上面を通って、第1シート41の縁から表示部43の縁までの距離をいう(電気ケーブル38までの沿面距離という場合は、凹部64の縁から第1シート41の縁を通って電気ケーブルまでの距離のことである)。ディスプレイ44は絶縁性のガラスであるため、ディスプレイ44の表面に静電気が流れたとしても回路部46に与える影響は少ない。そのため、ディスプレイ44と回路部46とを接続している点である表示部43の縁までの距離を沿面距離としている。沿面距離を長くすると、ユーザの手からカバー50と第2シート42の隙間およびカバー50と第1シートの隙間を流れて表示部43に至る静電気放電が起き難くなる。これにより、操作パネル30を操作するときに発生する静電気が表示部43に放電される可能性を低減できる。
【0051】
第1シート41と第2シート42の左右方向の長さはほぼ同じ長さのものを使用しており、開口縁54Aから第1シート縁41Aまでの距離と開口縁54Aから第2シート縁42Aまでの距離はほぼ等しくなっている。また、開口縁54Aから凹部縁64Aまでの距離と、開口縁54Aから右面56までの距離はほぼ等しくなっている。さらに、第1シート41の表示部43が設けられている側の面である下面から第2シート42の表示部43が設けられている側の反対側の面である上面までの距離は、開口縁54Aから第1シート縁41Aまでの距離よりも短くなっている。そのため、左右方向で沿面距離を長くとっているため、上下方向に操作パネル30が大きくなってしまうことを防止している。
【0052】
次に、開口54周辺の前後方向の部品の位置関係について説明する。図9に図7のB−B‘線における部品の位置関係であって、表示部43の下に配置され、電気ケーブル38によって表示部43と接続される電気基板36を追加した図を示す。図8に示す左右方向の開口54の幅と凹部64の幅より図9に示す上下方向の開口54の幅と凹部64の幅の方が狭くなっており、表示部43には電気ケーブル38が接続されている。
【0053】
第2シート42は、凹部64内に配置されており、第2シート42の後側の縁である第2シート縁42Dは凹部64の後側の縁である凹部縁64Dよりも開口54の後側の縁である開口縁54Dに近い位置に配置されている。
【0054】
第1シート41の後側の縁である第1シート縁41Dは表示部43の後側の縁である後縁43Dと凹部縁64Dよりも開口縁54Dから離れた位置に配置されている。また、第1シート41の前側の縁である第1シート縁41Cは、開口54の前側の縁である開口縁54Cよりも後側であって、壁面56の後側に配置されている。
【0055】
電気ケーブル38が設けられている側に配置されている開口縁54Dから第1シート縁41Dまでの距離は、開口54を挟んで反対側に配置されている開口縁54Cと第1シート縁41Cとの距離よりも長くなっている。これは、凹部縁64Dから電気ケーブル38までの沿面距離を長くするための構成である。第1シート縁41Dから後縁43Dまでの距離よりも第1シート縁41Dから電気ケーブル38までの距離の方が短くなっているため、電気ケーブル38までの沿面距離が十分に取れない可能性がある。そのため、電気ケーブル38が配置されている側に配置されている第1シート縁41Dから開口縁54Dまでの距離は、電気ケーブル38が配置されていない側に配置されている第1シート縁41Cから開口縁54Cまでの距離よりも長くしている。これによって、凹部縁64Dから電気ケーブル38までの沿面距離を長くしている。
【0056】
また、後縁43Dに最も近い第1シート41上の点である近接点41Fから第1シート縁41Dまでの距離は、近接点41Fから開口縁54Dまでの距離よりも長くなっている。これによって、沿面距離を長くとることができ表示部43の故障を抑制している。
【0057】
<本実施形態の作用・効果>
以上説明した画像形成装置によれば、以下のような作用効果を得ることができる。
【0058】
本実施形態では、カバー50に設けられた開口54の表示部43側である下面に絶縁部材の第1シート41を備え、開口54の表示部43が設けられていない側である上面に絶縁部材の第2シート42を備え、第1シート41と第2シート42とは対向して開口54の縁を覆うように配置されている。本構成によって、ユーザが操作パネル30を操作する際に静電気が発生したとしても、第1シート41と第2シート42が備えられているため、開口54を流れる静電気の沿面距離を長くすることができ、開口54と対向して配置されている表示部43を静電気から保護し、表示部43の故障を抑制することができる。
【0059】
さらに、第1シートの縁から開口54の縁までの距離を第1シートの表示部43側である下面から第2シートの表示部43の反対側である上面までの距離よりも長くしている。本構成では、開口54と第1シート41の接触している距離と第2シート42と開口54の接触している距離を左右方向に伸ばすことで、カバー50表面から表示部43までの沿面距離を長くとっている。そのため、第1シート41と第2シート42と開口54の上下方向の長さを長くしなくても十分な沿面距離をとることができるので、十分な沿面距離をとりながら、画像形成措置1の小型化を図ることができる。
【0060】
さらに、第1シート縁41Aが第1シート上の右縁43Aに最も近い近接点41Eよりも開口縁54Aから離れているので、開口縁54Aから第1シート縁41Aまでの距離が開口縁54Aから近接点41Eまでの距離以下のときに比べ、カバー50表面から表示部43までの沿面距離を長くすることができ、表示部の故障を抑制することができる。
【0061】
さらに、開口縁54Aから近接点41Eまでの距離よりも第1シート縁41Aから近接点41Eまでの距離の方を長くしている。本構成によると、第1シート縁41Aを表示部43からさらに離れた位置に配置することができるので、より沿面距離を長くすることができる。
【0062】
さらに、電気ケーブル38が設けられている前側の第1シート縁41Dから開口縁54Dまでの距離は、電気ケーブル38が設けられていない後側の第1シート縁41Cから開口縁54Cまでの距離よりも長くなっている。本構成によると、電気ケーブル38は、表示部43よりも第1シート縁41Dに近い位置に配置されているため、十分な沿面距離がとれない恐れがあったが、第1シート縁41Cよりも第1シート縁41Dを長くすることで、電気ケーブル38が設けられているときでも、十分な沿面距離を取ることができる。
【0063】
さらに、開口54の周りには孔52が設けられており、カバー50の表示部43側の面には壁面56が形成されている。これによって、開口54から侵入する静電気のみでなく、孔52から侵入する静電気に対しても表示部43までの沿面距離を十分に取ることができる。また、沿面距離を十分に取ることができるので、開口54と孔52を近い位置に配置することができ、操作パネル30のスペースを有効に利用することができる。
【0064】
さらに、開口縁54Aから第1シート縁41Aまでの距離と開口縁41Aから第2シート縁42Aまでの距離を等しくした。絶縁シート40が配置されている場所には、孔52を設けられないため操作スイッチ34を配置することができない。したがって、本構成により、同じ沿面距離をとるために第1シート縁41Aもしくは第2シート縁42Aのどちらかのみを開口縁54Aから離して配置させるのに比べて、操作パネル30のスペースを有効に利用することができる。
【0065】
さらに、第2シート42は、開口54の周りに設けられた凹部64内に配置されている。本構成によって、第2シート縁42A,42Dは、カバー50の表面から突出しないため、ユーザが作業中に第2シート縁42A,42Dに触れてしまうことを抑制し、第2シート42がはがれることを抑制することができる。
【0066】
さらに、開口縁54Aから凹部縁64Aまでの距離を開口縁54Aから壁面56までの距離とほぼ等しくした。本構成によって、凹部64および壁面56を同じスペースに設けることができるので、凹部64および壁面56の周りのスペースを有効に利用することができる。
【符号の説明】
【0067】
1 画像形成装置
10 プリンタ部
30 操作パネル
32 表示パネル
34 操作スイッチ
36 電気基板
38 電気ケーブル
40,41,42 絶縁シート
43 表示部
44 ディスプレイ
46 回路部
50 カバー部材
54 開口
56 壁面
64 凹部
70 固定台


【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示部と、
前記表示部に情報を表示するための電気基板と、
前記表示部と対向する位置に開口を有するカバーと
前記開口を覆うための絶縁性材料からなり、前記カバーを挟んでそれぞれ配置される第1シートと第2シートと、を備え、
前記第1シートは、前記カバーの前記表示部側に配置され、
前記第2シートは、前記カバーの前記表示部の反対側に配置されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記第1シートまたは前記第2シートの縁から前記開口の縁までの距離は、前記第1シートの前記表示部側の表面から前記第2シートの前記表示部の反対側の表面までの距離よりも長いことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記開口の縁から前記第1シートの縁までの距離は、前記開口の縁から前記表示部の縁に最も近い第1シート上の点までの距離よりも長いことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記第1シートの縁から前記表示部の縁に最も近い第1シートの上の点までの距離は、前記開口の縁から前記表示部の縁に最も近い第1シート上の点までの距離より長いことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記表示部の一端には前記電気基板に接続される電気ケーブルが備えられており、
一端側の前記開口の縁から前記第1シートの縁までの距離は、他端側の前記開口の縁から前記第1シートの縁までの距離よりも長いことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記カバーの前記開口の周りに設けられ、前記画像形成装置を操作するための操作スイッチを配置させるための孔と、
前記カバーの前記表示部側の面に設けられ、前記カバーから前記表示部側に突出する壁面と、を有し、
前記壁面は、前記第1シートの縁よりも外側に位置することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記開口の縁から前記第1シートの縁までの距離と、前記開口の縁から前記第2シートの縁までの距離が等しいことを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記カバーの前記第2シートが設けられている側の前記開口の周りには、前記表示部側に向けて凹んだ凹部が備えられており、
前記第2シートは前記凹部内に配置されていることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれかに記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−138246(P2012−138246A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−289455(P2010−289455)
【出願日】平成22年12月27日(2010.12.27)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】