画像形成装置
【課題】 本発明が解決しようとする課題は、感光体ドラムの転写処理中においても、除電ユニットの導光手段の清掃ができ、感光体ドラムから飛散、飛翔する現像剤が導光手段に付着することを抑制できる画像形成装置を提供することである。
【解決手段】 除電ユニットは、除電光を発生する発光手段と、感光体ドラムの表面に対峙される射出端面を有し、発光手段の除電光を導いて射出端面から感光体ドラムの表面に射出する導光手段を含んで構成され、導光手段の射出端面に空気を吹き付ける送風手段を備える画像形成装置に関する。
【解決手段】 除電ユニットは、除電光を発生する発光手段と、感光体ドラムの表面に対峙される射出端面を有し、発光手段の除電光を導いて射出端面から感光体ドラムの表面に射出する導光手段を含んで構成され、導光手段の射出端面に空気を吹き付ける送風手段を備える画像形成装置に関する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置において、感光体ドラム(画像担持体)の残留電位を除電する除電ユニットを備える画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置は、感光体ドラム(画像担持体)を一様に帯電して露光することで、静電潜像を形成する。この静電潜像は、感光体ドラムに付着される現像剤によってトナー像にされる。感光体ドラムのトナー像は、被転写体に転写される。
転写後、感光体ドラムの残留電位は、除電光によって除電される。残留電位の除電は、LED発光素子を使用して行われ、LED発光素子は感光体ドラムから離れた位置に配置される。
従って、LED発光素子の除電光を導光体で導いて、感光体ドラムに射出する構成が採用されている。
この導光体は、感光体ドラムに対峙される除電光射出面を有し、この除電光射出面から感光体ドラムに除電光を照射する。
【0003】
以上の通り、導光体は、除電光射出面を感光体ドラムに対峙して配置されるので、感光体ドラムから飛散・飛翔する現像剤等によって汚染される。この導光体(除電光射出面)の汚染は、感光体ドラムに照射する除電光量を低下させる。
このため、現像剤で汚染された導光体を清掃する必要があり、又は導光体に現像剤が付着するのを抑制する必要がある。
【0004】
例えば、導光体を清掃する技術として、特許文献1及び2に開示する技術がある。
【0005】
特許文献1に開示する技術は、像担持体(感光体ドラム)に対峙する除電導光体、及び像担持体の間に除電導光体を位置して配置されるクリーナを備えている。
除電導光体は、清掃するとき、像担持体からクリーナに回転させる。除電導光体をクリーナに回転させた後、清掃のため、クリーナを像担持体の軸線方向に移動することで、除電導光体(除電光出面)を清掃する。
【0006】
特許文献2に開示する技術は、感光体ドラムに対峙する除電導光ケース、及び感光体ドラムの軸線方向の一端側に配置されるクリーニングブレードを備えている。
クリーニングブレードは、除電導光ケースに当接されており、除電導光ケースを軸線方向に引出すことで、除電導光ケースを清掃する。
【0007】
また、現像剤の付着を抑制する技術として、特許文献3に開示する技術がある。
【0008】
特許文献3に開示する技術は、感光体ドラムに除電光を照射する導光部材を備え、導光部材は記録用紙の搬送側に突出する複数の突起を有している。
この特許文献3では、感光体ドラム及び転写ローラ間に記録用紙を搬送し、感光体ドラムのトナー像を記録用紙に転写する。トナー像が転写された記録用紙は、導光部材の各突起で案内されながら定着装置側に搬送される。
これにより、特許文献3は、記録用紙が導光部材に接触して、導光部材を傷つけ、記録用紙のトナーが導光部材に付着することを抑制している。
【0009】
しかしながら、特許文献1に開示する技術は、除電導光体を像担持体から離間するように回転させた後、クリーナによる清掃を実行している。
このため、特許文献1では、像担持体の転写処理を停止して、清掃を実行する必要があり、更に、像担持体の転写処理中においては、除電導光部材の清掃を実行できないため、像担持体の残留電位を充分に除電できない。
【0010】
特許文献2に開示する技術は、除電導光ケースを感光体ドラムの軸線方向に引出すことで、クリーニングブレードによる清掃を実行している。
このため、特許文献2では、感光体ドラムの転写処理を停止して、除電導光ケースの清掃を実行する必要があり、更に、感光体ドラムの転写処理中においては、除電導光ケースの清掃を実行できないため、感光体ドラムの残留電位を充分に除電できない。
【0011】
特許文献3に開示する技術は、導光部材の複数の突起によって記録用紙から導光部材を保護しているものの、感光体ドラム等から飛散する現像剤が導光部材に付着する。
このため、特許文献3では、現像剤の付着によって、導光部材から充分な除電光を感光体ドラムに照射できないので、感光体ドラムの残留電位を確実に除電できない。
【0012】
以上の通り、特許文献1乃至3に開示する技術では、除電導光部材(除電導光ケース、導光部材)によって、像担持体(感光体ドラム)の残留電位を確実に除電できないので、感光体ドラムによる画像形成(トナー像)に重大な影響を及ぼすことになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2006−47482号公報
【特許文献2】特開2002−196637号公報
【特許文献3】特開2003−66797号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明が解決しようとする課題は、上記の問題に鑑み、感光体ドラムの画像形成処理中においても、除電ユニットの導光手段の清掃ができ、感光体ドラム等から飛散する現像剤が導光手段に付着することを抑制できる画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
請求項1に係る発明は、感光体ドラムと、前記感光体ドラムの表面を帯電する帯電ユニットと、前記感光体ドラムを帯電した後、前記感光体ドラムの表面に形成される潜像を現像する現像ユニットと、前記感光体ドラムの現像を被転写体に転写した後、前記感光体ドラムの外周面の残留電位を除電光によって除電する除電ユニットを含んでなる画像形成装置において、前記除電ユニットは、前記除電光を発生する発光手段と、前記感光体ドラムの外周面に対峙される射出端面を有し、前記発光手段の除電光を導いて前記射出端面から前記感光体ドラムの外周面に照射する導光手段を含んで構成され、前記導光手段の前記射出端面に空気を吹き付ける送風手段を備えることを特徴とする画像形成装置に関する。
【0016】
請求項2に係る発明は、前記導光手段は、前記除電光を導いて前記射出端面から前記感光体ドラムの外周に照射する導光領域、及び前記導光領域以外の他の領域を有してなり、前記送風手段は、前記他の領域内に形成される送風流路と、前記送風流路に前記空気を送風する送風ファンを備えてなり、前記送風流路は、前記感光体ドラムの外周に照射される前記除電光に隣接して前記射出端面に開口していることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置に関する。
【0017】
請求項3に係る発明は、前記導光手段の射出端面は、前記感光体ドラムの中心軸に直交する法線、及び前記法線と前記感光体ドラムの外周との交点において、前記中心軸に直交する接線上又は前記接線に平行する配置線上に配置され、更に、前記法線から前記感光体ドラムの回転上流方向に間隔を隔てて配置されていることを特徴とする請求項1又は2記載の画像形成装置に関する。
【0018】
請求項4に係る発明は、前記法線と前記導光手段の射出端面の上面との間隔が前記感光体ドラムの半径を超えないことを特徴とする請求項3記載の画像形成装置に関する。
【0019】
請求項5に係る発明は、前記導光手段の射出端面は、前記感光体ドラムの中心軸に直交する法線から前記感光体ドラムの回転上流方向に向いつつ、前記感光体ドラムの外周から離間する方向に連続する形状に形成されていることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の画像形成装置に関する。
【0020】
請求項6に係る発明は、前記送風流路は、前記発光手段に連通されていることを特徴とする請求項2記載の画像形成装置に関する。
【発明の効果】
【0021】
請求項1に係る発明によれば、感光体ドラムと、前記感光体ドラムの表面を帯電する帯電ユニットと、前記感光体ドラムを帯電した後、前記感光体ドラムの表面に形成される潜像を現像する現像ユニットと、前記感光体ドラムの現像を被転写体に転写した後、前記感光体ドラムの外周面の残留電位を除電光によって除電する除電ユニットを含んでなる画像形成装置において、前記除電ユニットは、前記除電光を発生する発光手段と、前記感光体ドラムの外周面に対峙される射出端面を有し、前記発光手段の除電光を導いて前記射出端面から前記感光体ドラムの外周面に照射する導光手段を含んで構成され、前記導光手段の前記射出端面に空気を吹き付ける送風手段を備えるので、感光体ドラムの画像形成処理中においても、除電ユニットの導光手段の清掃ができ、感光体ドラム等から飛散する現像剤が導光手段に付着することも抑制できる。
これにより、感光体ドラムの残留電位を確実に除電できるので、画像形成(トナー像)を高画質で行うことができる。
【0022】
請求項2に係る発明によれば、前記導光手段は、前記除電光を導いて前記射出端面から前記感光体ドラムの外周に照射する導光領域、及び前記導光領域以外の他の領域を有してなり、前記送風手段は、前記他の領域内に形成される送風流路と、前記送風流路に前記空気を送風する送風ファンを備えてなり、前記送風流路は、前記感光体ドラムの外周に照射される前記除電光に隣接して前記射出端面に開口しているので、感光体ドラムに空気を吹き付けるための送風流路を、導光手段で兼用できるので、別途、送風流路を形成する部材を設ける必要がなくなる。
また、送風流路から直接的に、除電光を射出する射出端面に空気を吹き付けることができ、確実に射出端面の清掃を実行できる。
【0023】
請求項3に係る発明によれば、前記導光手段の射出端面は、前記感光体ドラムの中心軸に直交する法線、及び前記法線と前記感光体ドラムの外周との交点において、前記中心軸に直交する接線上又は前記接線に平行する配置線上に配置され、更に、前記法線から前記感光体ドラムの回転上流方向に間隔を隔てて配置されているので、導光手段の各空気射出口から射出する空気の流れによって、感光体ドラムの表層の空気流れを回転上流方向に押返すことで、感光体ドラムから飛散・飛翔する現像剤を射出端面側に流れるのを抑制できる。
これより、導光手段の射出端面に現像剤が付着することを抑制できる。
更に、各空気射出口から射出される空気の流れによって、空気は導光手段の射出端面に接触するので、射出端を清掃できる。
【0024】
請求項4に係る発明は、前記法線と前記導光手段の射出端面の上面との間隔が前記感光体ドラムの半径を超えないので、感光体ドラムの回転上流方向において、導入手段の射出端面を感光体ドラムの外周面に対峙して配置できる。
【0025】
請求項5に係る発明によれば、前記導光手段の射出端面は、前記感光体ドラムの中心軸に直交する法線から前記感光体ドラムの回転上流方向に向いつつ、前記感光体ドラムの外周から離間する方向に連続する形状に形成されているので、各送風流路から射出される空気を、射出端面の形状に沿って流出でき、確実に射出端面の清掃を行うことができる。
【0026】
請求項6に係る発明によれば、前記送風流路は、前記発光手段に連通されているので、発光手段を冷却することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明に係る画像形成装置を示す外観斜視図である。
【図2】本発明に係る画像形成装置を構成する各種機器を示す斜視図である。
【図3】図1及び図2の要部正面拡大図である。
【図4】除電ユニットの構成、及び除電ユニット、感光体ドラム、帯電ユニット及び現像ユニットとの配置関係を示す分解斜視図である。
【図5】除電ユニットの構成、及び除電ユニット、感光体ドラム、帯電ユニット及び現像ユニットとの配置関係を示す一部分解斜視図である。
【図6】除電ユニットを構成する送風ダクトを示す斜視図である。
【図7】除電ユニットを感光体ドラムに対峙して配置する図であって、送風ダクトを導光手段上に配置する前の斜視図である。
【図8】除電ユニットを感光体ドラムに対峙して配置する斜視図である。
【図9】本発明に係る画像形成装置の他の実施形態において、除電ユニットの射出端面の形状を示す要部拡大図である。
【図10】本発明に係る画像形成装置の他の実施形態において、送風流路から分岐される冷却流路を示す要部拡大図である。
【図11】実験条件おける除電ユニットの導光手段及び感光体ドラムの各種寸法、導光手段の配置態様を示す正面図である。
【図12】実験条件における除電ユニットの導光手段及び感光体ドラムの各種寸法、導光手段の配置態様を示す上面図である。
【図13】実験結果(実験データ)を示すグラフ図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明に係る画像形成装置について、図1乃至図13を参照して説明する。
以下、説明の便宜上、画像形成装置の構成、及び除電ユニットの構成の順に説明する。
【0029】
<画像形成装置の構成>
先ず、本発明に係る画像形成装置の構成について、図1乃至図3を参照して説明する。
図1乃至図3において、画像形成装置(X)は、フルカラー・タンデム式であって、装置本体(1)、複数の感光体ドラム(2:画像担持体)、複数の帯電ユニット(3)、複数の現像ユニット(5)及び複数の除電ユニット(6)を含んで構成される。
【0030】
各感光体ドラム(2)は、図1乃至図3に示すように、それぞれマゼンタ(M)、シアン(C)、イエロー(Y)及びブラック(B)の感光体ドラムとして構成され、装置本体(1)内に配置されている。
これら各感光体ドラム(2)は、図2に示すように、装置本体(1)の前後方向(FR)にわたって延設され、両端側が回転自在に軸支されている。
【0031】
各帯電ユニット(3)は、図1乃至図3に示すように、それぞれマゼンタ(M)、シアン(C)、イエロー(Y)及びブラック(B)の帯電ユニットとして構成され、装置本体(1)内に配置されている。
各帯電ユニット(3)は、各感光体ドラム(2)の下方側に位置して、各感光体ドラム(2)の夫々に対向配置されている。
これら各帯電ユニット(3)は、図3に示すように、帯電ローラ(7)と帯電ローラ(7)と当接するクリーニングローラ(8)で構成され、帯電ローラ(7)は感光体ドラム(2)に当接している。
【0032】
各現像ユニット(5)は、図1乃至図3に示すように、それぞれマゼンタ(M)、シアン(C)、イエロー(Y)及びブラック(B)の現像ユニットとして構成され、装置本体(1)内に配置されている。
各現像ユニット(5)は、各感光体ドラム(2)の回転方向において、各帯電ユニット(7)よりも下流側に位置して、各感光体ドラム(2)の夫々に対向配置されている。
これら各現像ユニット(5)は、マゼンタ(M)、シアン(C)、イエロー(Y)及びブラック(B)の現像補給コンテナ(図示しない)に接続され、これら各現像補給コンテナからマゼンタトナー、シアントナー、イエロートナー及びブラックトナー(現像剤)の補給を受ける。
各現像ユニット(5)は、図3に示すように、現像容器(9)、現像ローラ(10)及び搬送ローラ(11)を含んで構成され、現像容器(9)は各色の現像剤を収容している。
【0033】
現像ローラ(10)は、図3に示すように、現像容器(9)内に回転自在に配置され、現像容器(9)の開口から感光体ドラム(2)に近接対向されている。
搬送ローラ(11)は、現像容器(9)内に回転自在に配置され、現像ローラ(10)に対向配置されている。この搬送ローラ(11)は、現像容器(9)内の現像剤を現像ローラ(10)に搬送する。
【0034】
各除電ユニット(6)は、図1乃至図3に示すように、それぞれマゼンタ(M)、シアン(C)、イエロー(Y)及びブラック(B)の除電ユニットとして構成され、装置本体(1)内に配置されている。
各除電ユニット(6)は、各感光体ドラム(5)の回転方向において、帯電ユニット(3)よりも上流側に位置して、各感光体ドラム(5)に対向配置されている。
【0035】
上記構成の画像形成装置(X)は、図1乃至図3に示すように、マゼンタ(M)、シアン(C)、イエロー(Y)及びブラック(B)の感光体ドラム(2)を高速回転して、各感光体ドラム(2)を各帯電ユニット(3)によって一様に帯電する。
各帯電ユニット(3)は、各感光体ドラム(2)に当接する帯電ローラ(7)のバイアスによって各感光体ドラム(2)を帯電する。
【0036】
帯電された各感光体ドラム(2)には、図1及び図2に示すように、露光ユニット(12)によって露光されて、静電潜像が形成される。
【0037】
各現像ユニット(5)の現像ローラ(10)は、各感光体ドラム(2)に近接して回転しており、各感光体ドラム(2)の静電潜像に現像剤を転移させることで現像する。
これにより、各感光体ドラム(2)には、各色の現像剤のトナー像(マゼンタトナー像、シアントナー像、イエロートナー像及びブラックトナー像)が形成される。
各感光体ドラム(2)のトナー像は、図1及び図2に示すように、中間転写ベルト(14)に多重的に転写(一次転写)される。
【0038】
画像形成装置(X)は、図1に示すように、給紙カセット(15)から記録用紙を中間転写ベルト(14)及び二次転写ローラ(16)まで搬送する。
記録用紙は、中間転写ベルト(14)及び二次転写ローラ(16)でニップされ、中間転写ベルト(14)に多重的に転写(一次転写)された各種のトナー像が記録用紙に転写(二次転写)される。
二次転写された記録用紙は、定着装置(図示しない)に搬送され、この定着装置の加熱、加圧によって各種のトナー像を記録用紙に定着させる。トナー像が定着された記録用紙は、装置本体(1)外の排紙トレイ(17)に排紙される。
【0039】
一次転写後、各感光体ドラム(2)は、各除電ユニット(6)から除電光の照射を受けて、これにより、各感光体ドラム(2)の残留電位は、除電光によって除電される。
【0040】
<除電ユニット(6)の具体構成>
除電ユニット(6)の具体構成について、図3乃至図8を参照して説明する。
【0041】
図3乃至図8において、各除電ユニット(6)は、発光手段(22)、導光手段(23)及び送風手段(24)を含んで構成されている。
【0042】
発光手段(22)は、図4及び図5に示すように、発光基板(25)及び複数の発光体(26)を含んで構成される。発光基板(25)は、感光体ドラム(2)の中心軸(a)が延びる方向(以下、中心軸方向(CL)と称する)に延設されている。発光基板(25)は、電源(図示しない)に接続されている。
複数の発光体(26)は、図4、図7及び図8に示すように、LED発光素子で構成され、発光基板(25)上に配置されている。各発光体(26)は、感光体ドラム(2)の中心軸方向(CL)に間隔を隔てて配置されている。
【0043】
上記構成の発光基板(25)は、図3及び図5に示すように、各発光体(26)を感光体ドラム(2)側に向けて、感光体ドラム(5)から間隔を隔てて配置されている。
発光基板(25)は、図3に示すように、感光体ドラム(2)の中心軸(a)に直交する法線(d)から感光体ドラム(2)の回転上流方向に間隔を隔てて配置されている。
これにより、電源(図示しない)から発光基板(25)に電力を供給すると、複数の発光体(26)から発生する光(除電光)が感光体ドラム(2)に向けて照射される。
【0044】
導光手段(23)は、図3及び図7に示すように、光透過性の材料で板状に形成(導光板)され、感光体ドラム(2)及び各発光体(26)間に配置され、感光体ドラム(2)の外周表面及び各発光体(26)に対峙されている。
この導光手段(23)は、図4乃至図8に示すように、感光体ドラム(2)の中心軸方向(CL)にわたって延設されている。
【0045】
導光手段(23)は、図3に示すように、射出端面(23A)、導光領域(23B)及び導光領域以外の他の領域(23C)を備えて構成される。
【0046】
導光手段(23)の射出端面(23A)は、感光体ドラム(2)の外周面に対峙され、感光体ドラム(2)間に空気流入領域(P)を形成して配置されている。
導光領域(23B)は、図3に示すように、導光手段(23)の下方領域を形成し、複数の発光体(26)に対峙されている。
この導光領域(23B)は、各発光体(26:LED発光素子)が発生する光(除電光)を直線的に感光体ドラム(2)側に導いて、射出端面(23A)から感光体ドラム(2)の外周表面に照射する。
導入領域(23B)以外の他の領域(23C)は、図3に示すように、導光手段(23)の上方領域(導光領域(23B)上方側)を形成している。
【0047】
上記構成の導光手段(23)は、図3に示すように、複数の発光体(26)の除電光を導くための導光領域(23B)及び導光領域(23B)以外の他の領域(23C)に区画して、除電光を導光領域(23B)、射出端面(23A)から感光体ドラム(2)の外周面に導く構成である。
【0048】
送風手段(24)は、図3乃至図8に示すように、複数の空気射出口(31)、複数の送風流路(32)、送風ダクト(33)及び送風ファン(34)を含んで構成される。
複数の空気射出口(31)は、図3に示すように、導光手段(23)の他の領域(23C)側の射出端面(23A)に開口している。
各空気射出口(31)は、図4及び図5に示すように、感光体ドラム(2)の中心軸方向(CL)に間隔を隔てて形成されている。
複数の送風流路(32)は、図3乃至図5に示すように、各空気射出口(31)の夫々に連通されて、導光手段(23)の他の領域(23C)内に形成されている。
各送風流路(32)は、相互に独立して、各空気射出口(31)から発光基板(25)側に延設されており、発光基板(25)近傍から上方側に開口している。
上記構成の各送風流路(32)は、図3に示すように、導光手段(32)の他の領域(23C)内に形成され、更に、導光手段(23)の導光領域(32B)内の除電光を遮断しない状態で形成される。
各送風流路(32)は、感光体ドラム(2)に射出される除電光に隣接して、導光手段(23)の射出端面(23A)に開口している。
【0049】
送風ダクト(33)は、図4乃至図6、及び図8に示すように、中空状の流路を形成して、感光体ドラム(2)の中心軸方向(CL)に延設されている。
送風ダクト(33)の一側端は、送風ダクト(33)外に開口する流入口(33A)が形成され、送風ダクト(33)の下端は、図6に示すように、送風ダクト(33)外に開口する複数の導入口(33B)が形成されている。
複数の導入口(33B)は、感光体ドラム(2)の中心軸方向(CL)に間隔を隔てて形成されている。
送風ダクト(33)は、図4、図5及び図8に示すように、各導入口(33B)を各送風流路(32)に対峙させて、導光手段(23)上に配置される。
これにより、送風ダクト(33)と各送風流路(32)は、相互に連通される。
【0050】
送風ファン(34)は、図1及び図2に示すように、装置本体(1)内に配置されている。この送風ファン(34)は、図1及び図8に示すように、送風ダクト(33)の流入口(33A)に配管(37)を通して接続されている。
【0051】
上記構成の送風手段(24)は、送風ファン(34)を駆動することで、空気を配管(37)から送風ダクト(33)内に導入する。
送風ダクト(33)に導入された空気は、複数の導入口(33B)によって均一に分散されて、各送風流路(32)に流入する。空気は、各送風流路(32)内を流れて、各空気射出口(31)から感光体ドラム(2)の外周面に吹き付けられる。
【0052】
<除電ユニット(6)の配置態様>
次に、除電ユニット(6)の配置態様について、図3を参照して説明する。
【0053】
除電ユニット(6)において、導光手段(23)の射出端面(23A)は、図3に示すように、感光体ドラム(2)の間に空気流入領域(P)を形成して、感光体ドラム(2)の外周面に対峙する。
導光手段(23)の射出端面(23A)は、図3に示すように、感光体ドラム(2)の中心軸(a)に直交する法線(d)、及び法線(d)と感光体ドラム(2)の外周との交点(g)において、中心軸(a)に直交する接線(b)上又は接線(b)に平行な配置線(c)上に配置し、図3では配置線(c)上に配置している。
導光手段(23)の射出端面(23A)は、法線(d)から感光体ドラム(2)の回転上流方向に間隔(f)を隔てて配置する。
この間隔(f)は、法線(d)と導光手段(23)の射出端面(23A)の上面との間隔であって、感光体ドラム(2)の半径を超えないものである。
これにより、感光体ドラム(2)の回転上流方向において、導入手段(23)の射出端面(23A)を感光体ドラム(2)の外周面に対峙して配置できる。
これにより、除電ユニット(6)は、図3に示すように、感光体ドラム(2)の中心軸線(a)よりも上方側に配置される。
【0054】
画像形成処理において、感光体ドラム(2)は、図3に示すように、回転方向に高速回転される。高速回転する感光体ドラム(2)の線速に対して、各風速流路(32)内に送る空気流量(Q)は、図3に示すように、空気流入領域(P)の面積及び流速(V)により決定される(Q=P×V)。
感光体ドラム(2)の回転によって、感光体ドラム(2)の表層における空気流れは、回転方向に流動させられる。
【0055】
このとき、導光手段(23)の各空気射出口(23A)から射出する空気の流れによって、感光体ドラム(2)の表層の空気流れを回転上流方向に押返すことで、感光体ドラム(2)から飛散・飛翔する現像剤を、導光手段(23)の上方側開放(R)に流出する必要がある。
これにより、導光手段(23)の射出端面(23A)に現像剤が付着することを抑制できる。更に、各空気射出口(23A)から射出される空気の流れによって、空気を導光手段(23)の射出端面(23A)に接触しつつ、導光手段(23)の上方側開放(R)に流出させることができるので、射出端面(23A)を空気によって清掃できる。
【0056】
従って、除電ユニット(6)の配置態様は、感光体ドラム(2)の回転速度(線速)、送風ファン(34)の空気流速及び空気流入領域(R)の面積を考慮しつつ、射出端面(23A)の位置(配置する配置線(c)、及び間隔(f))を決定する。
【0057】
<除電ユニット(6)の清掃処理>
図1乃至図3において、複数の除電ユニット(6)は、一次転写後、感光体ドラム(2)の残留電位を除電するため、複数の発光体(26:LED発光素子)を発光させる。
各発光体(26)の除電光は、導光手段(23)の導光領域(23B)によって感光体ドラム(2)側に導かれ、射出端面(23A)から感光体ドラム(2)の外周表面に照射される。
これにより、感光体ドラム(2)の残留電位は、射出端面(23A)から照射される除電光によって除電される。
また、除電ユニット(6)は、図1及び図2に示すように、送風ファン(34)を駆動する。
送風ファン(34)から送風される空気は、配管(37)、送風ダクト(33)を通して複数の送風流路(32)内に流入し、各空気射出口(31)から感光体ドラム(2)の外周表面側の空気流入領域(P)に吹き出される。
【0058】
感光体ドラム(2)は、高速回転されているので、感光体ドラム(2)の表層の空気は、回転方向に流れて、感光体ドラム(2)及び導光手段(23)の射出端面(23A)間の空隙内に流れ込む。
【0059】
一方、導光手段(23)の各空気射出口(31)から空気流入領域(P)に吹き出される空気は、感光体ドラム(2)の表層の空気の流れを押返して(感光体ドラム(2)の回転上流方向の流れ)、導光手段(23)上方側開放(R)に流出される。
また、一部の空気は、除電光を射出する射出端面(23A)に流入して、導光手段(23)上方側開放(R)に流出される。
【0060】
このとき、各空気射出口(31)から吹き出される空気は、導光手段(23)の射出端面(23A)に接触しつつ、上部側開放(R)に流出されることになる。
【0061】
これにより、各空気射出口(31)から吹き出される空気は、感光体ドラム(2)から飛散・飛翔する現像剤(トナー)とともに上方側開放(R)へ流出するので、飛散・飛翔する現像剤が導光手段(23)の射出端面(23A)に接触、付着することを抑制できる。
また、導光手段(23)の射出端面(23A)に付着した現像剤は、射出端面(23A)に接触する空気によって除去(清掃)される。
以上の通り、除電ユニット(6)では、感光体ドラム(2)の画像形成処理中であっても、導光手段(23)から空気流入領域(P)に吹き出される空気(空気流れ)によって、現像剤が射出端面(23A)に付着することを抑制でき、射出端面(23A)を清掃できる。
【0062】
<他の実施形態>
以下、本発明に係る画像形成装置(X)の他の実施形態について、図9及び図10を参照して説明する。
【0063】
本発明に係る画像形成装置(X)は、複数の送風流路(32)を導光手段(23)内に形成する構成を採用する。
複数の送風経路(32)は、導光手段(23)内に形成することなく、別体形成して、導光手段(5)上に配置する構成も採用できる。
【0064】
本発明に係る画像形成装置(X)では、導光手段(23)の射出端面(23A)を、図3に示すように、配置線(c)上で上下に直線的に延びる平面形状に形成した構成を採用する。
導光手段(23)の射出端面(23A)を、図9に示すように、傾斜する平面形状(以下、傾斜平面形状(41)と称する)に形成する構成も採用できる。
射出端面(23A)の傾斜平面形状(41)は、図9に示すように、除電光が射出される導光領域(23B)以外の他の領域(23C)に形成される。
この傾斜平面形状(41)は、図9に示すように、感光体ドラムの中心軸(a)に直交する法線(d)から前記感光体ドラムの回転上流方向に向いつつ、感光体ドラム(2)の外周から離間する方向に連続して形成されている。
これにより、空気導入領域(P)の上方側開放(R)が広げられ、導光手段(23)の各空気射出口(32)から射出される空気(空気流れ)を、容易に上方側開放(R)に導くことができる。
【0065】
本発明に係る画像形成装置(X)では、図10に示すように、各送風流路(32)から分岐する冷却流路(45)を形成する構成も採用できる。
冷却流路(45)は、図10に示すように、導光手段(23)の送風領域(23C)内に形成され、発光基板(25)側で分岐している。
この冷却流路(45)は、射出端面(23A)に対峙する他端に開口している。
これにより、送風ダクト(33)から各送風流路(32)内に空気を送り込むと、空気は冷却流路(45)を通して発光基板(25)上に射出される。
発光基板(25)、及び発光体(26)は、冷却流路(45)からの空気によって冷却される。
【0066】
<実験データ>
次に、本発明に係る画像形成装置(X)において、除電ユニット(6)の導光手段(23)から射出される空気の流速、及び感光体ドラム(2)の回転速度(線速)の関係について、実験データ(実験結果)を開示する。
図11は、除電ユニットの導光手段及び感光体ドラムの各種寸法、導光手段の配置態様を示す正面図、図12は除電ユニットの導光手段及び感光体ドラムの各種寸法、導光手段の配置態様を示す上面図、図13は実験結果(実験データ)を示すグラフ図である。
【0067】
<実験条件>
以下、実験条件について、図11乃至図13を参照して説明する。
【0068】
i)感光体ドラム(2)寸法、導光手段(23)寸法(図11及び図12参照)
感光体ドラム(2)の直径:35mm
導光手段(23)の幅寸法:30mm(感光体ドラム(2)の中心軸(a)に直交する寸法)
導光手段(23)の厚さ寸法:5mm
導光手段(23)の長さ寸法:感光体ドラム(2)の長さ寸法−10mm(感光体ドラム(2)の軸線方向(CL)の寸法:図12参照)
複数の空気射出口(31)の直径:2.5mm
複数の送風流路(32)の幅寸法:23mm(感光体ドラム(2)の中心軸(a)に直交する長さ寸法)とする。
【0069】
ii)除電ユニット(6)の配置態様(図11参照)
導光手段(23)の射出端面(23A)は、空気流入領域(P)を形成して、感光体ドラム(2)の外周表面に対峙して配置し、感光体ドラム(2)の接線(b)上に配置し、更に、法線(d)から感光体ドラム(2)の回転上流方向への間隔(f)を7.5mmとして配置する。
なお、間隔(f)と感光体ドラム(2)の半径とは、図11に示すように、間隔(f)が感光体ドラム(2)の半径を超えない関係である(感光体ドラム(2)の半径=17.5mm>間隔(f)=7.5mmの関係)。
上記i)〜iii)によって、感光体ドラム(2)及び導光手段(23)間の空気流入領域(P)の面積は一義的に決定される。
【0070】
iii)感光体ドラム(2)の線速、図1に示す送風ファン(34)の空気流速(図13参照)
感光体ドラム(2)の線速:150、250、350、450(mm/sec)
送風ファンの空気流速:1000、500、250(mm/sec)
とする。
【0071】
iv)感光体ドラム(2)の各線速、及び図1に示す送風ファン(34)の各空気流速に対して、感光体ドラム(2)の表層の空気の流速及び流れ方向、及各空気射出口(31)の空気流速及び流れ方向を測定する(図13参照)。
【0072】
<実験データの考察>
図13において、送風ファン(34)の空気流速を250mm/secとして、感光体ドラム(2)の線速を250mm/sec,350mm/sec、又は450mm/secにすると、感光体ドラム(2)の表層の空気流速は、−100〜500mm/sec程度となり、各空気射出口(31)の空気の流速は、50mm/sec以下となる。
この結果は、感光体ドラム(2)の表層の空気の流れ方向は、感光体ドラム(2)の回転方向となり、各空気射出口(31)から吹き出される空気流速の差は大きくなる。
【0073】
この状態は、感光体ドラム(2)の表層の空気が回転方向に流れる流速は、各空気射出口(31)から射出される空気流速よりも大きくなり、各空気射出口(31)から射出される空気は、図3に示す上方側開放(R)に流れず、感光体ドラム(2)の回転方向に流れることを意味し、感光体ドラム(2)の表層の空気と同方向に流れる。
そうすると、感光体ドラム(2)から飛散・飛翔する現像剤は、感光体ドラム(2)の回転方向に流れることになり、導光手段(23)の射出端面(23A)に接触して、この射出端面(23A)を汚染する(射出端面(23A)に付着)。
【0074】
上記以外の条件では、感光体ドラム(2)の表層の空気は、各空気射出口(23A)から吹き出される空気によって、上方側に押し上げられ、上方側開放(R)へ流出されている。
即ち、感光体ドラム(2)の表層の空気及び各空気射出口(31)から吹き出される空気は、感光体ドラム(2)の回転上流方向に流れる。
従って、感光体ドラム(2)から飛散・飛翔する現像剤は、導光手段(23)の射出端面(23A)に接触することが抑制され、更に、各空気射出口(31)から吹き出される空気によって射出端面(23A)を清掃することができる。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明は、画像形成する複写機、プリンタ、FAX等の電子写真式の画像形成装置や他の印刷機等に対して好適に利用されるものである。
【符号の説明】
【0076】
X 画像形成装置
2 感光体ドラム
3 帯電ユニット
5 現像ユニット
6 除電ユニット
22 発光手段
23 導光手段
23A 射出端面
24送風手段
25 発光体
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置において、感光体ドラム(画像担持体)の残留電位を除電する除電ユニットを備える画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置は、感光体ドラム(画像担持体)を一様に帯電して露光することで、静電潜像を形成する。この静電潜像は、感光体ドラムに付着される現像剤によってトナー像にされる。感光体ドラムのトナー像は、被転写体に転写される。
転写後、感光体ドラムの残留電位は、除電光によって除電される。残留電位の除電は、LED発光素子を使用して行われ、LED発光素子は感光体ドラムから離れた位置に配置される。
従って、LED発光素子の除電光を導光体で導いて、感光体ドラムに射出する構成が採用されている。
この導光体は、感光体ドラムに対峙される除電光射出面を有し、この除電光射出面から感光体ドラムに除電光を照射する。
【0003】
以上の通り、導光体は、除電光射出面を感光体ドラムに対峙して配置されるので、感光体ドラムから飛散・飛翔する現像剤等によって汚染される。この導光体(除電光射出面)の汚染は、感光体ドラムに照射する除電光量を低下させる。
このため、現像剤で汚染された導光体を清掃する必要があり、又は導光体に現像剤が付着するのを抑制する必要がある。
【0004】
例えば、導光体を清掃する技術として、特許文献1及び2に開示する技術がある。
【0005】
特許文献1に開示する技術は、像担持体(感光体ドラム)に対峙する除電導光体、及び像担持体の間に除電導光体を位置して配置されるクリーナを備えている。
除電導光体は、清掃するとき、像担持体からクリーナに回転させる。除電導光体をクリーナに回転させた後、清掃のため、クリーナを像担持体の軸線方向に移動することで、除電導光体(除電光出面)を清掃する。
【0006】
特許文献2に開示する技術は、感光体ドラムに対峙する除電導光ケース、及び感光体ドラムの軸線方向の一端側に配置されるクリーニングブレードを備えている。
クリーニングブレードは、除電導光ケースに当接されており、除電導光ケースを軸線方向に引出すことで、除電導光ケースを清掃する。
【0007】
また、現像剤の付着を抑制する技術として、特許文献3に開示する技術がある。
【0008】
特許文献3に開示する技術は、感光体ドラムに除電光を照射する導光部材を備え、導光部材は記録用紙の搬送側に突出する複数の突起を有している。
この特許文献3では、感光体ドラム及び転写ローラ間に記録用紙を搬送し、感光体ドラムのトナー像を記録用紙に転写する。トナー像が転写された記録用紙は、導光部材の各突起で案内されながら定着装置側に搬送される。
これにより、特許文献3は、記録用紙が導光部材に接触して、導光部材を傷つけ、記録用紙のトナーが導光部材に付着することを抑制している。
【0009】
しかしながら、特許文献1に開示する技術は、除電導光体を像担持体から離間するように回転させた後、クリーナによる清掃を実行している。
このため、特許文献1では、像担持体の転写処理を停止して、清掃を実行する必要があり、更に、像担持体の転写処理中においては、除電導光部材の清掃を実行できないため、像担持体の残留電位を充分に除電できない。
【0010】
特許文献2に開示する技術は、除電導光ケースを感光体ドラムの軸線方向に引出すことで、クリーニングブレードによる清掃を実行している。
このため、特許文献2では、感光体ドラムの転写処理を停止して、除電導光ケースの清掃を実行する必要があり、更に、感光体ドラムの転写処理中においては、除電導光ケースの清掃を実行できないため、感光体ドラムの残留電位を充分に除電できない。
【0011】
特許文献3に開示する技術は、導光部材の複数の突起によって記録用紙から導光部材を保護しているものの、感光体ドラム等から飛散する現像剤が導光部材に付着する。
このため、特許文献3では、現像剤の付着によって、導光部材から充分な除電光を感光体ドラムに照射できないので、感光体ドラムの残留電位を確実に除電できない。
【0012】
以上の通り、特許文献1乃至3に開示する技術では、除電導光部材(除電導光ケース、導光部材)によって、像担持体(感光体ドラム)の残留電位を確実に除電できないので、感光体ドラムによる画像形成(トナー像)に重大な影響を及ぼすことになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2006−47482号公報
【特許文献2】特開2002−196637号公報
【特許文献3】特開2003−66797号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明が解決しようとする課題は、上記の問題に鑑み、感光体ドラムの画像形成処理中においても、除電ユニットの導光手段の清掃ができ、感光体ドラム等から飛散する現像剤が導光手段に付着することを抑制できる画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
請求項1に係る発明は、感光体ドラムと、前記感光体ドラムの表面を帯電する帯電ユニットと、前記感光体ドラムを帯電した後、前記感光体ドラムの表面に形成される潜像を現像する現像ユニットと、前記感光体ドラムの現像を被転写体に転写した後、前記感光体ドラムの外周面の残留電位を除電光によって除電する除電ユニットを含んでなる画像形成装置において、前記除電ユニットは、前記除電光を発生する発光手段と、前記感光体ドラムの外周面に対峙される射出端面を有し、前記発光手段の除電光を導いて前記射出端面から前記感光体ドラムの外周面に照射する導光手段を含んで構成され、前記導光手段の前記射出端面に空気を吹き付ける送風手段を備えることを特徴とする画像形成装置に関する。
【0016】
請求項2に係る発明は、前記導光手段は、前記除電光を導いて前記射出端面から前記感光体ドラムの外周に照射する導光領域、及び前記導光領域以外の他の領域を有してなり、前記送風手段は、前記他の領域内に形成される送風流路と、前記送風流路に前記空気を送風する送風ファンを備えてなり、前記送風流路は、前記感光体ドラムの外周に照射される前記除電光に隣接して前記射出端面に開口していることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置に関する。
【0017】
請求項3に係る発明は、前記導光手段の射出端面は、前記感光体ドラムの中心軸に直交する法線、及び前記法線と前記感光体ドラムの外周との交点において、前記中心軸に直交する接線上又は前記接線に平行する配置線上に配置され、更に、前記法線から前記感光体ドラムの回転上流方向に間隔を隔てて配置されていることを特徴とする請求項1又は2記載の画像形成装置に関する。
【0018】
請求項4に係る発明は、前記法線と前記導光手段の射出端面の上面との間隔が前記感光体ドラムの半径を超えないことを特徴とする請求項3記載の画像形成装置に関する。
【0019】
請求項5に係る発明は、前記導光手段の射出端面は、前記感光体ドラムの中心軸に直交する法線から前記感光体ドラムの回転上流方向に向いつつ、前記感光体ドラムの外周から離間する方向に連続する形状に形成されていることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の画像形成装置に関する。
【0020】
請求項6に係る発明は、前記送風流路は、前記発光手段に連通されていることを特徴とする請求項2記載の画像形成装置に関する。
【発明の効果】
【0021】
請求項1に係る発明によれば、感光体ドラムと、前記感光体ドラムの表面を帯電する帯電ユニットと、前記感光体ドラムを帯電した後、前記感光体ドラムの表面に形成される潜像を現像する現像ユニットと、前記感光体ドラムの現像を被転写体に転写した後、前記感光体ドラムの外周面の残留電位を除電光によって除電する除電ユニットを含んでなる画像形成装置において、前記除電ユニットは、前記除電光を発生する発光手段と、前記感光体ドラムの外周面に対峙される射出端面を有し、前記発光手段の除電光を導いて前記射出端面から前記感光体ドラムの外周面に照射する導光手段を含んで構成され、前記導光手段の前記射出端面に空気を吹き付ける送風手段を備えるので、感光体ドラムの画像形成処理中においても、除電ユニットの導光手段の清掃ができ、感光体ドラム等から飛散する現像剤が導光手段に付着することも抑制できる。
これにより、感光体ドラムの残留電位を確実に除電できるので、画像形成(トナー像)を高画質で行うことができる。
【0022】
請求項2に係る発明によれば、前記導光手段は、前記除電光を導いて前記射出端面から前記感光体ドラムの外周に照射する導光領域、及び前記導光領域以外の他の領域を有してなり、前記送風手段は、前記他の領域内に形成される送風流路と、前記送風流路に前記空気を送風する送風ファンを備えてなり、前記送風流路は、前記感光体ドラムの外周に照射される前記除電光に隣接して前記射出端面に開口しているので、感光体ドラムに空気を吹き付けるための送風流路を、導光手段で兼用できるので、別途、送風流路を形成する部材を設ける必要がなくなる。
また、送風流路から直接的に、除電光を射出する射出端面に空気を吹き付けることができ、確実に射出端面の清掃を実行できる。
【0023】
請求項3に係る発明によれば、前記導光手段の射出端面は、前記感光体ドラムの中心軸に直交する法線、及び前記法線と前記感光体ドラムの外周との交点において、前記中心軸に直交する接線上又は前記接線に平行する配置線上に配置され、更に、前記法線から前記感光体ドラムの回転上流方向に間隔を隔てて配置されているので、導光手段の各空気射出口から射出する空気の流れによって、感光体ドラムの表層の空気流れを回転上流方向に押返すことで、感光体ドラムから飛散・飛翔する現像剤を射出端面側に流れるのを抑制できる。
これより、導光手段の射出端面に現像剤が付着することを抑制できる。
更に、各空気射出口から射出される空気の流れによって、空気は導光手段の射出端面に接触するので、射出端を清掃できる。
【0024】
請求項4に係る発明は、前記法線と前記導光手段の射出端面の上面との間隔が前記感光体ドラムの半径を超えないので、感光体ドラムの回転上流方向において、導入手段の射出端面を感光体ドラムの外周面に対峙して配置できる。
【0025】
請求項5に係る発明によれば、前記導光手段の射出端面は、前記感光体ドラムの中心軸に直交する法線から前記感光体ドラムの回転上流方向に向いつつ、前記感光体ドラムの外周から離間する方向に連続する形状に形成されているので、各送風流路から射出される空気を、射出端面の形状に沿って流出でき、確実に射出端面の清掃を行うことができる。
【0026】
請求項6に係る発明によれば、前記送風流路は、前記発光手段に連通されているので、発光手段を冷却することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明に係る画像形成装置を示す外観斜視図である。
【図2】本発明に係る画像形成装置を構成する各種機器を示す斜視図である。
【図3】図1及び図2の要部正面拡大図である。
【図4】除電ユニットの構成、及び除電ユニット、感光体ドラム、帯電ユニット及び現像ユニットとの配置関係を示す分解斜視図である。
【図5】除電ユニットの構成、及び除電ユニット、感光体ドラム、帯電ユニット及び現像ユニットとの配置関係を示す一部分解斜視図である。
【図6】除電ユニットを構成する送風ダクトを示す斜視図である。
【図7】除電ユニットを感光体ドラムに対峙して配置する図であって、送風ダクトを導光手段上に配置する前の斜視図である。
【図8】除電ユニットを感光体ドラムに対峙して配置する斜視図である。
【図9】本発明に係る画像形成装置の他の実施形態において、除電ユニットの射出端面の形状を示す要部拡大図である。
【図10】本発明に係る画像形成装置の他の実施形態において、送風流路から分岐される冷却流路を示す要部拡大図である。
【図11】実験条件おける除電ユニットの導光手段及び感光体ドラムの各種寸法、導光手段の配置態様を示す正面図である。
【図12】実験条件における除電ユニットの導光手段及び感光体ドラムの各種寸法、導光手段の配置態様を示す上面図である。
【図13】実験結果(実験データ)を示すグラフ図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明に係る画像形成装置について、図1乃至図13を参照して説明する。
以下、説明の便宜上、画像形成装置の構成、及び除電ユニットの構成の順に説明する。
【0029】
<画像形成装置の構成>
先ず、本発明に係る画像形成装置の構成について、図1乃至図3を参照して説明する。
図1乃至図3において、画像形成装置(X)は、フルカラー・タンデム式であって、装置本体(1)、複数の感光体ドラム(2:画像担持体)、複数の帯電ユニット(3)、複数の現像ユニット(5)及び複数の除電ユニット(6)を含んで構成される。
【0030】
各感光体ドラム(2)は、図1乃至図3に示すように、それぞれマゼンタ(M)、シアン(C)、イエロー(Y)及びブラック(B)の感光体ドラムとして構成され、装置本体(1)内に配置されている。
これら各感光体ドラム(2)は、図2に示すように、装置本体(1)の前後方向(FR)にわたって延設され、両端側が回転自在に軸支されている。
【0031】
各帯電ユニット(3)は、図1乃至図3に示すように、それぞれマゼンタ(M)、シアン(C)、イエロー(Y)及びブラック(B)の帯電ユニットとして構成され、装置本体(1)内に配置されている。
各帯電ユニット(3)は、各感光体ドラム(2)の下方側に位置して、各感光体ドラム(2)の夫々に対向配置されている。
これら各帯電ユニット(3)は、図3に示すように、帯電ローラ(7)と帯電ローラ(7)と当接するクリーニングローラ(8)で構成され、帯電ローラ(7)は感光体ドラム(2)に当接している。
【0032】
各現像ユニット(5)は、図1乃至図3に示すように、それぞれマゼンタ(M)、シアン(C)、イエロー(Y)及びブラック(B)の現像ユニットとして構成され、装置本体(1)内に配置されている。
各現像ユニット(5)は、各感光体ドラム(2)の回転方向において、各帯電ユニット(7)よりも下流側に位置して、各感光体ドラム(2)の夫々に対向配置されている。
これら各現像ユニット(5)は、マゼンタ(M)、シアン(C)、イエロー(Y)及びブラック(B)の現像補給コンテナ(図示しない)に接続され、これら各現像補給コンテナからマゼンタトナー、シアントナー、イエロートナー及びブラックトナー(現像剤)の補給を受ける。
各現像ユニット(5)は、図3に示すように、現像容器(9)、現像ローラ(10)及び搬送ローラ(11)を含んで構成され、現像容器(9)は各色の現像剤を収容している。
【0033】
現像ローラ(10)は、図3に示すように、現像容器(9)内に回転自在に配置され、現像容器(9)の開口から感光体ドラム(2)に近接対向されている。
搬送ローラ(11)は、現像容器(9)内に回転自在に配置され、現像ローラ(10)に対向配置されている。この搬送ローラ(11)は、現像容器(9)内の現像剤を現像ローラ(10)に搬送する。
【0034】
各除電ユニット(6)は、図1乃至図3に示すように、それぞれマゼンタ(M)、シアン(C)、イエロー(Y)及びブラック(B)の除電ユニットとして構成され、装置本体(1)内に配置されている。
各除電ユニット(6)は、各感光体ドラム(5)の回転方向において、帯電ユニット(3)よりも上流側に位置して、各感光体ドラム(5)に対向配置されている。
【0035】
上記構成の画像形成装置(X)は、図1乃至図3に示すように、マゼンタ(M)、シアン(C)、イエロー(Y)及びブラック(B)の感光体ドラム(2)を高速回転して、各感光体ドラム(2)を各帯電ユニット(3)によって一様に帯電する。
各帯電ユニット(3)は、各感光体ドラム(2)に当接する帯電ローラ(7)のバイアスによって各感光体ドラム(2)を帯電する。
【0036】
帯電された各感光体ドラム(2)には、図1及び図2に示すように、露光ユニット(12)によって露光されて、静電潜像が形成される。
【0037】
各現像ユニット(5)の現像ローラ(10)は、各感光体ドラム(2)に近接して回転しており、各感光体ドラム(2)の静電潜像に現像剤を転移させることで現像する。
これにより、各感光体ドラム(2)には、各色の現像剤のトナー像(マゼンタトナー像、シアントナー像、イエロートナー像及びブラックトナー像)が形成される。
各感光体ドラム(2)のトナー像は、図1及び図2に示すように、中間転写ベルト(14)に多重的に転写(一次転写)される。
【0038】
画像形成装置(X)は、図1に示すように、給紙カセット(15)から記録用紙を中間転写ベルト(14)及び二次転写ローラ(16)まで搬送する。
記録用紙は、中間転写ベルト(14)及び二次転写ローラ(16)でニップされ、中間転写ベルト(14)に多重的に転写(一次転写)された各種のトナー像が記録用紙に転写(二次転写)される。
二次転写された記録用紙は、定着装置(図示しない)に搬送され、この定着装置の加熱、加圧によって各種のトナー像を記録用紙に定着させる。トナー像が定着された記録用紙は、装置本体(1)外の排紙トレイ(17)に排紙される。
【0039】
一次転写後、各感光体ドラム(2)は、各除電ユニット(6)から除電光の照射を受けて、これにより、各感光体ドラム(2)の残留電位は、除電光によって除電される。
【0040】
<除電ユニット(6)の具体構成>
除電ユニット(6)の具体構成について、図3乃至図8を参照して説明する。
【0041】
図3乃至図8において、各除電ユニット(6)は、発光手段(22)、導光手段(23)及び送風手段(24)を含んで構成されている。
【0042】
発光手段(22)は、図4及び図5に示すように、発光基板(25)及び複数の発光体(26)を含んで構成される。発光基板(25)は、感光体ドラム(2)の中心軸(a)が延びる方向(以下、中心軸方向(CL)と称する)に延設されている。発光基板(25)は、電源(図示しない)に接続されている。
複数の発光体(26)は、図4、図7及び図8に示すように、LED発光素子で構成され、発光基板(25)上に配置されている。各発光体(26)は、感光体ドラム(2)の中心軸方向(CL)に間隔を隔てて配置されている。
【0043】
上記構成の発光基板(25)は、図3及び図5に示すように、各発光体(26)を感光体ドラム(2)側に向けて、感光体ドラム(5)から間隔を隔てて配置されている。
発光基板(25)は、図3に示すように、感光体ドラム(2)の中心軸(a)に直交する法線(d)から感光体ドラム(2)の回転上流方向に間隔を隔てて配置されている。
これにより、電源(図示しない)から発光基板(25)に電力を供給すると、複数の発光体(26)から発生する光(除電光)が感光体ドラム(2)に向けて照射される。
【0044】
導光手段(23)は、図3及び図7に示すように、光透過性の材料で板状に形成(導光板)され、感光体ドラム(2)及び各発光体(26)間に配置され、感光体ドラム(2)の外周表面及び各発光体(26)に対峙されている。
この導光手段(23)は、図4乃至図8に示すように、感光体ドラム(2)の中心軸方向(CL)にわたって延設されている。
【0045】
導光手段(23)は、図3に示すように、射出端面(23A)、導光領域(23B)及び導光領域以外の他の領域(23C)を備えて構成される。
【0046】
導光手段(23)の射出端面(23A)は、感光体ドラム(2)の外周面に対峙され、感光体ドラム(2)間に空気流入領域(P)を形成して配置されている。
導光領域(23B)は、図3に示すように、導光手段(23)の下方領域を形成し、複数の発光体(26)に対峙されている。
この導光領域(23B)は、各発光体(26:LED発光素子)が発生する光(除電光)を直線的に感光体ドラム(2)側に導いて、射出端面(23A)から感光体ドラム(2)の外周表面に照射する。
導入領域(23B)以外の他の領域(23C)は、図3に示すように、導光手段(23)の上方領域(導光領域(23B)上方側)を形成している。
【0047】
上記構成の導光手段(23)は、図3に示すように、複数の発光体(26)の除電光を導くための導光領域(23B)及び導光領域(23B)以外の他の領域(23C)に区画して、除電光を導光領域(23B)、射出端面(23A)から感光体ドラム(2)の外周面に導く構成である。
【0048】
送風手段(24)は、図3乃至図8に示すように、複数の空気射出口(31)、複数の送風流路(32)、送風ダクト(33)及び送風ファン(34)を含んで構成される。
複数の空気射出口(31)は、図3に示すように、導光手段(23)の他の領域(23C)側の射出端面(23A)に開口している。
各空気射出口(31)は、図4及び図5に示すように、感光体ドラム(2)の中心軸方向(CL)に間隔を隔てて形成されている。
複数の送風流路(32)は、図3乃至図5に示すように、各空気射出口(31)の夫々に連通されて、導光手段(23)の他の領域(23C)内に形成されている。
各送風流路(32)は、相互に独立して、各空気射出口(31)から発光基板(25)側に延設されており、発光基板(25)近傍から上方側に開口している。
上記構成の各送風流路(32)は、図3に示すように、導光手段(32)の他の領域(23C)内に形成され、更に、導光手段(23)の導光領域(32B)内の除電光を遮断しない状態で形成される。
各送風流路(32)は、感光体ドラム(2)に射出される除電光に隣接して、導光手段(23)の射出端面(23A)に開口している。
【0049】
送風ダクト(33)は、図4乃至図6、及び図8に示すように、中空状の流路を形成して、感光体ドラム(2)の中心軸方向(CL)に延設されている。
送風ダクト(33)の一側端は、送風ダクト(33)外に開口する流入口(33A)が形成され、送風ダクト(33)の下端は、図6に示すように、送風ダクト(33)外に開口する複数の導入口(33B)が形成されている。
複数の導入口(33B)は、感光体ドラム(2)の中心軸方向(CL)に間隔を隔てて形成されている。
送風ダクト(33)は、図4、図5及び図8に示すように、各導入口(33B)を各送風流路(32)に対峙させて、導光手段(23)上に配置される。
これにより、送風ダクト(33)と各送風流路(32)は、相互に連通される。
【0050】
送風ファン(34)は、図1及び図2に示すように、装置本体(1)内に配置されている。この送風ファン(34)は、図1及び図8に示すように、送風ダクト(33)の流入口(33A)に配管(37)を通して接続されている。
【0051】
上記構成の送風手段(24)は、送風ファン(34)を駆動することで、空気を配管(37)から送風ダクト(33)内に導入する。
送風ダクト(33)に導入された空気は、複数の導入口(33B)によって均一に分散されて、各送風流路(32)に流入する。空気は、各送風流路(32)内を流れて、各空気射出口(31)から感光体ドラム(2)の外周面に吹き付けられる。
【0052】
<除電ユニット(6)の配置態様>
次に、除電ユニット(6)の配置態様について、図3を参照して説明する。
【0053】
除電ユニット(6)において、導光手段(23)の射出端面(23A)は、図3に示すように、感光体ドラム(2)の間に空気流入領域(P)を形成して、感光体ドラム(2)の外周面に対峙する。
導光手段(23)の射出端面(23A)は、図3に示すように、感光体ドラム(2)の中心軸(a)に直交する法線(d)、及び法線(d)と感光体ドラム(2)の外周との交点(g)において、中心軸(a)に直交する接線(b)上又は接線(b)に平行な配置線(c)上に配置し、図3では配置線(c)上に配置している。
導光手段(23)の射出端面(23A)は、法線(d)から感光体ドラム(2)の回転上流方向に間隔(f)を隔てて配置する。
この間隔(f)は、法線(d)と導光手段(23)の射出端面(23A)の上面との間隔であって、感光体ドラム(2)の半径を超えないものである。
これにより、感光体ドラム(2)の回転上流方向において、導入手段(23)の射出端面(23A)を感光体ドラム(2)の外周面に対峙して配置できる。
これにより、除電ユニット(6)は、図3に示すように、感光体ドラム(2)の中心軸線(a)よりも上方側に配置される。
【0054】
画像形成処理において、感光体ドラム(2)は、図3に示すように、回転方向に高速回転される。高速回転する感光体ドラム(2)の線速に対して、各風速流路(32)内に送る空気流量(Q)は、図3に示すように、空気流入領域(P)の面積及び流速(V)により決定される(Q=P×V)。
感光体ドラム(2)の回転によって、感光体ドラム(2)の表層における空気流れは、回転方向に流動させられる。
【0055】
このとき、導光手段(23)の各空気射出口(23A)から射出する空気の流れによって、感光体ドラム(2)の表層の空気流れを回転上流方向に押返すことで、感光体ドラム(2)から飛散・飛翔する現像剤を、導光手段(23)の上方側開放(R)に流出する必要がある。
これにより、導光手段(23)の射出端面(23A)に現像剤が付着することを抑制できる。更に、各空気射出口(23A)から射出される空気の流れによって、空気を導光手段(23)の射出端面(23A)に接触しつつ、導光手段(23)の上方側開放(R)に流出させることができるので、射出端面(23A)を空気によって清掃できる。
【0056】
従って、除電ユニット(6)の配置態様は、感光体ドラム(2)の回転速度(線速)、送風ファン(34)の空気流速及び空気流入領域(R)の面積を考慮しつつ、射出端面(23A)の位置(配置する配置線(c)、及び間隔(f))を決定する。
【0057】
<除電ユニット(6)の清掃処理>
図1乃至図3において、複数の除電ユニット(6)は、一次転写後、感光体ドラム(2)の残留電位を除電するため、複数の発光体(26:LED発光素子)を発光させる。
各発光体(26)の除電光は、導光手段(23)の導光領域(23B)によって感光体ドラム(2)側に導かれ、射出端面(23A)から感光体ドラム(2)の外周表面に照射される。
これにより、感光体ドラム(2)の残留電位は、射出端面(23A)から照射される除電光によって除電される。
また、除電ユニット(6)は、図1及び図2に示すように、送風ファン(34)を駆動する。
送風ファン(34)から送風される空気は、配管(37)、送風ダクト(33)を通して複数の送風流路(32)内に流入し、各空気射出口(31)から感光体ドラム(2)の外周表面側の空気流入領域(P)に吹き出される。
【0058】
感光体ドラム(2)は、高速回転されているので、感光体ドラム(2)の表層の空気は、回転方向に流れて、感光体ドラム(2)及び導光手段(23)の射出端面(23A)間の空隙内に流れ込む。
【0059】
一方、導光手段(23)の各空気射出口(31)から空気流入領域(P)に吹き出される空気は、感光体ドラム(2)の表層の空気の流れを押返して(感光体ドラム(2)の回転上流方向の流れ)、導光手段(23)上方側開放(R)に流出される。
また、一部の空気は、除電光を射出する射出端面(23A)に流入して、導光手段(23)上方側開放(R)に流出される。
【0060】
このとき、各空気射出口(31)から吹き出される空気は、導光手段(23)の射出端面(23A)に接触しつつ、上部側開放(R)に流出されることになる。
【0061】
これにより、各空気射出口(31)から吹き出される空気は、感光体ドラム(2)から飛散・飛翔する現像剤(トナー)とともに上方側開放(R)へ流出するので、飛散・飛翔する現像剤が導光手段(23)の射出端面(23A)に接触、付着することを抑制できる。
また、導光手段(23)の射出端面(23A)に付着した現像剤は、射出端面(23A)に接触する空気によって除去(清掃)される。
以上の通り、除電ユニット(6)では、感光体ドラム(2)の画像形成処理中であっても、導光手段(23)から空気流入領域(P)に吹き出される空気(空気流れ)によって、現像剤が射出端面(23A)に付着することを抑制でき、射出端面(23A)を清掃できる。
【0062】
<他の実施形態>
以下、本発明に係る画像形成装置(X)の他の実施形態について、図9及び図10を参照して説明する。
【0063】
本発明に係る画像形成装置(X)は、複数の送風流路(32)を導光手段(23)内に形成する構成を採用する。
複数の送風経路(32)は、導光手段(23)内に形成することなく、別体形成して、導光手段(5)上に配置する構成も採用できる。
【0064】
本発明に係る画像形成装置(X)では、導光手段(23)の射出端面(23A)を、図3に示すように、配置線(c)上で上下に直線的に延びる平面形状に形成した構成を採用する。
導光手段(23)の射出端面(23A)を、図9に示すように、傾斜する平面形状(以下、傾斜平面形状(41)と称する)に形成する構成も採用できる。
射出端面(23A)の傾斜平面形状(41)は、図9に示すように、除電光が射出される導光領域(23B)以外の他の領域(23C)に形成される。
この傾斜平面形状(41)は、図9に示すように、感光体ドラムの中心軸(a)に直交する法線(d)から前記感光体ドラムの回転上流方向に向いつつ、感光体ドラム(2)の外周から離間する方向に連続して形成されている。
これにより、空気導入領域(P)の上方側開放(R)が広げられ、導光手段(23)の各空気射出口(32)から射出される空気(空気流れ)を、容易に上方側開放(R)に導くことができる。
【0065】
本発明に係る画像形成装置(X)では、図10に示すように、各送風流路(32)から分岐する冷却流路(45)を形成する構成も採用できる。
冷却流路(45)は、図10に示すように、導光手段(23)の送風領域(23C)内に形成され、発光基板(25)側で分岐している。
この冷却流路(45)は、射出端面(23A)に対峙する他端に開口している。
これにより、送風ダクト(33)から各送風流路(32)内に空気を送り込むと、空気は冷却流路(45)を通して発光基板(25)上に射出される。
発光基板(25)、及び発光体(26)は、冷却流路(45)からの空気によって冷却される。
【0066】
<実験データ>
次に、本発明に係る画像形成装置(X)において、除電ユニット(6)の導光手段(23)から射出される空気の流速、及び感光体ドラム(2)の回転速度(線速)の関係について、実験データ(実験結果)を開示する。
図11は、除電ユニットの導光手段及び感光体ドラムの各種寸法、導光手段の配置態様を示す正面図、図12は除電ユニットの導光手段及び感光体ドラムの各種寸法、導光手段の配置態様を示す上面図、図13は実験結果(実験データ)を示すグラフ図である。
【0067】
<実験条件>
以下、実験条件について、図11乃至図13を参照して説明する。
【0068】
i)感光体ドラム(2)寸法、導光手段(23)寸法(図11及び図12参照)
感光体ドラム(2)の直径:35mm
導光手段(23)の幅寸法:30mm(感光体ドラム(2)の中心軸(a)に直交する寸法)
導光手段(23)の厚さ寸法:5mm
導光手段(23)の長さ寸法:感光体ドラム(2)の長さ寸法−10mm(感光体ドラム(2)の軸線方向(CL)の寸法:図12参照)
複数の空気射出口(31)の直径:2.5mm
複数の送風流路(32)の幅寸法:23mm(感光体ドラム(2)の中心軸(a)に直交する長さ寸法)とする。
【0069】
ii)除電ユニット(6)の配置態様(図11参照)
導光手段(23)の射出端面(23A)は、空気流入領域(P)を形成して、感光体ドラム(2)の外周表面に対峙して配置し、感光体ドラム(2)の接線(b)上に配置し、更に、法線(d)から感光体ドラム(2)の回転上流方向への間隔(f)を7.5mmとして配置する。
なお、間隔(f)と感光体ドラム(2)の半径とは、図11に示すように、間隔(f)が感光体ドラム(2)の半径を超えない関係である(感光体ドラム(2)の半径=17.5mm>間隔(f)=7.5mmの関係)。
上記i)〜iii)によって、感光体ドラム(2)及び導光手段(23)間の空気流入領域(P)の面積は一義的に決定される。
【0070】
iii)感光体ドラム(2)の線速、図1に示す送風ファン(34)の空気流速(図13参照)
感光体ドラム(2)の線速:150、250、350、450(mm/sec)
送風ファンの空気流速:1000、500、250(mm/sec)
とする。
【0071】
iv)感光体ドラム(2)の各線速、及び図1に示す送風ファン(34)の各空気流速に対して、感光体ドラム(2)の表層の空気の流速及び流れ方向、及各空気射出口(31)の空気流速及び流れ方向を測定する(図13参照)。
【0072】
<実験データの考察>
図13において、送風ファン(34)の空気流速を250mm/secとして、感光体ドラム(2)の線速を250mm/sec,350mm/sec、又は450mm/secにすると、感光体ドラム(2)の表層の空気流速は、−100〜500mm/sec程度となり、各空気射出口(31)の空気の流速は、50mm/sec以下となる。
この結果は、感光体ドラム(2)の表層の空気の流れ方向は、感光体ドラム(2)の回転方向となり、各空気射出口(31)から吹き出される空気流速の差は大きくなる。
【0073】
この状態は、感光体ドラム(2)の表層の空気が回転方向に流れる流速は、各空気射出口(31)から射出される空気流速よりも大きくなり、各空気射出口(31)から射出される空気は、図3に示す上方側開放(R)に流れず、感光体ドラム(2)の回転方向に流れることを意味し、感光体ドラム(2)の表層の空気と同方向に流れる。
そうすると、感光体ドラム(2)から飛散・飛翔する現像剤は、感光体ドラム(2)の回転方向に流れることになり、導光手段(23)の射出端面(23A)に接触して、この射出端面(23A)を汚染する(射出端面(23A)に付着)。
【0074】
上記以外の条件では、感光体ドラム(2)の表層の空気は、各空気射出口(23A)から吹き出される空気によって、上方側に押し上げられ、上方側開放(R)へ流出されている。
即ち、感光体ドラム(2)の表層の空気及び各空気射出口(31)から吹き出される空気は、感光体ドラム(2)の回転上流方向に流れる。
従って、感光体ドラム(2)から飛散・飛翔する現像剤は、導光手段(23)の射出端面(23A)に接触することが抑制され、更に、各空気射出口(31)から吹き出される空気によって射出端面(23A)を清掃することができる。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明は、画像形成する複写機、プリンタ、FAX等の電子写真式の画像形成装置や他の印刷機等に対して好適に利用されるものである。
【符号の説明】
【0076】
X 画像形成装置
2 感光体ドラム
3 帯電ユニット
5 現像ユニット
6 除電ユニット
22 発光手段
23 導光手段
23A 射出端面
24送風手段
25 発光体
【特許請求の範囲】
【請求項1】
感光体ドラムと、前記感光体ドラムの表面を帯電する帯電ユニットと、前記感光体ドラムを帯電した後、前記感光体ドラムの表面に形成される潜像を現像する現像ユニットと、前記感光体ドラムの現像を被転写体に転写した後、前記感光体ドラムの外周面の残留電位を除電光によって除電する除電ユニットを含んでなる画像形成装置において、
前記除電ユニットは、
前記除電光を発生する発光手段と、
前記感光体ドラムの外周面に対峙される射出端面を有し、前記発光手段の除電光を導いて前記射出端面から前記感光体ドラムの外周面に照射する導光手段を含んで構成され、
前記導光手段の前記射出端面に空気を吹き付ける送風手段を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記導光手段は、
前記除電光を導いて前記射出端面から前記感光体ドラムの外周に照射する導光領域、及び前記導光領域以外の他の領域を有してなり、
前記送風手段は、
前記他の領域内に形成される送風流路と、
前記送風流路に前記空気を送風する送風ファンを備えてなり、
前記送風流路は、
前記感光体ドラムの外周に照射される前記除電光に隣接して前記射出端面に開口していることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記導光手段の射出端面は、
前記感光体ドラムの中心軸に直交する法線、及び前記法線と前記感光体ドラムの外周との交点において、前記中心軸に直交する接線上又は前記接線に平行する配置線上に配置され、
更に、前記法線から前記感光体ドラムの回転上流方向に間隔を隔てて配置されていることを特徴とする請求項1又は2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記法線と前記導光手段の射出端面の上面との間隔が前記感光体ドラムの半径を超えないことを特徴とする請求項3記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記導光手段の射出端面は、
前記感光体ドラムの中心軸に直交する法線から前記感光体ドラムの回転上流方向に向いつつ、
前記感光体ドラムの外周から離間する方向に連続する形状に形成されていることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記送風流路は、
前記発光手段に連通されていることを特徴とする請求項2記載の画像形成装置。
【請求項1】
感光体ドラムと、前記感光体ドラムの表面を帯電する帯電ユニットと、前記感光体ドラムを帯電した後、前記感光体ドラムの表面に形成される潜像を現像する現像ユニットと、前記感光体ドラムの現像を被転写体に転写した後、前記感光体ドラムの外周面の残留電位を除電光によって除電する除電ユニットを含んでなる画像形成装置において、
前記除電ユニットは、
前記除電光を発生する発光手段と、
前記感光体ドラムの外周面に対峙される射出端面を有し、前記発光手段の除電光を導いて前記射出端面から前記感光体ドラムの外周面に照射する導光手段を含んで構成され、
前記導光手段の前記射出端面に空気を吹き付ける送風手段を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記導光手段は、
前記除電光を導いて前記射出端面から前記感光体ドラムの外周に照射する導光領域、及び前記導光領域以外の他の領域を有してなり、
前記送風手段は、
前記他の領域内に形成される送風流路と、
前記送風流路に前記空気を送風する送風ファンを備えてなり、
前記送風流路は、
前記感光体ドラムの外周に照射される前記除電光に隣接して前記射出端面に開口していることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記導光手段の射出端面は、
前記感光体ドラムの中心軸に直交する法線、及び前記法線と前記感光体ドラムの外周との交点において、前記中心軸に直交する接線上又は前記接線に平行する配置線上に配置され、
更に、前記法線から前記感光体ドラムの回転上流方向に間隔を隔てて配置されていることを特徴とする請求項1又は2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記法線と前記導光手段の射出端面の上面との間隔が前記感光体ドラムの半径を超えないことを特徴とする請求項3記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記導光手段の射出端面は、
前記感光体ドラムの中心軸に直交する法線から前記感光体ドラムの回転上流方向に向いつつ、
前記感光体ドラムの外周から離間する方向に連続する形状に形成されていることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記送風流路は、
前記発光手段に連通されていることを特徴とする請求項2記載の画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図3】
【図13】
【図2】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図3】
【図13】
【公開番号】特開2012−32664(P2012−32664A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−173113(P2010−173113)
【出願日】平成22年7月30日(2010.7.30)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年7月30日(2010.7.30)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】
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