説明

画像形成装置

【課題】詰まった用紙を見やすい位置まで移動させることにより、用紙の除去を容易に行えるようにする。
【解決手段】用紙搬送路Sを開放するカバー20が移動自在に設けられ、カバー20にラック30が設けられる。カバー20が引き出されて移動すると、ラック30がギア24に噛み合って搬送ローラ12が回転する。詰まった用紙Pが搬送方向の下流側に向かって送り出される。さらにカバー20が移動すると、従動ローラ21を搬送ローラ12に押し付けるためのレバー34にリブ37が当接する。レバー34が移動して、スプリング33の付勢力が弱まり、従動ローラ21が搬送ローラ12から離れる。カバー20が取り外れると、用紙搬送路Sが開放され、詰まった用紙Pが見やすくなる。ユーザは、容易に用紙Pを引っ張り出せる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送された用紙に画像を印刷する複写機、複合機、ファクシミリ装置等の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置では、給紙カセットから用紙が供給され、用紙は用紙搬送路を搬送ローラによって搬送される。画像が印刷された用紙は、さらに搬送されて、排紙トレイに排出される。この搬送中に、用紙のジャムが発生することがある。用紙のジャムでは、搬送ローラとこれに相対する従動ローラとに用紙が挟まれる。
【0003】
詰まった用紙を容易に取り除くために、特許文献1では、ドア部材を開くと、用紙搬送路が開放されるとともに、搬送ローラ対のニップを解除せず、両ローラがフリーに回転するようになっている。特許文献2では、カバーを開くことにより、用紙搬送路の開放と、搬送ローラのニップの解除とが行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−191163号公報
【特許文献1】特開2005−138970号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のように、用紙搬送路が開放され、搬送ローラから用紙を取り除きやすくされている。しかし、詰まった用紙が見づらい位置にあるとき、用紙搬送路が開放されていても、ユーザは用紙を探して、引き出さなければならない。そのため、用紙を容易に取り除けるとは言い難い。
【0006】
そこで、本発明は、上記に鑑み、詰まった用紙を見やすい位置まで移動させることにより、用紙の除去を容易に行えるようにした画像形成装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、用紙が通る用紙搬送路に、用紙を搬送するため搬送ローラが設けられ、用紙搬送路を開放するカバーが移動自在に設けられ、カバーの移動に連動して搬送ローラを回転させる連動機構が設けられたものである。カバーの移動に伴って用紙を送り出すように搬送ローラが回転する。
【0008】
連動機構により搬送ローラが回転するので、詰まった用紙が送り出される。見えにくい位置にあった用紙が外部から見える位置まで移動して、用紙を容易に見つけることができる。
【0009】
用紙を挟んで搬送ローラに相対する案内部材が設けられ、カバーの移動に連動して案内部材を搬送ローラから離す離間機構が設けられる。カバーの移動に伴って案内部材が搬送ローラから離れる。
【0010】
離間機構により案内部材が搬送ローラから離れるので、搬送ローラと案内部材とに挟みつけられていた用紙が解放される。ユーザは、用紙を容易に引っ張り出すことができる。
そして、カバーの移動に応じて、先に連動機構が作動した後、離間機構が作動する。用紙は見やすい位置まで確実に送り出される。その後、案内部材が搬送ローラから離され、用紙にかかっていた抵抗が解除され、用紙を除去するのに力をかけなくてすみ、用紙を破らずに取り除くことができる。
【0011】
連動機構は、搬送ローラに設けられたギアと、カバーに設けられたラックとからなる。カバーの移動に伴ってラックがギアに噛み合うことにより、搬送ローラが回転する。また、案内部材を搬送ローラに押し付ける押付部材が移動可能に設けられ、離間機構は、押付部材を移動させる当接部材を有し、当接部材は、カバーに設けられる。カバーの移動に伴って、当接部材が押付部材に当接して押付部材を移動させる。押付部材が搬送ローラから離れる方向に移動することにより、案内部材が搬送ローラから離れる。
【0012】
カバーはキャビネットに着脱自在に設けられ、カバーが取り外されたとき、搬送ローラよりも下流側の用紙搬送路が外部に露出する。用紙は、搬送ローラよりも下流側に向かって送り出される。カバーが取り外されることにより、搬送ローラから大きく突出した用紙がみやすくなる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によると、ユーザがカバーを移動させることにより、用紙搬送路が解放され、詰まった用紙が見やすい位置まで移動され、用紙にかかっていた抵抗が解除される。したがって、ユーザは、詰まった用紙を容易に見つけることができ、しかも用紙を破ることなく、容易に除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の画像形成装置の全体構成図
【図2】連動機構および離間機構を示す平面図
【図3】連動機構および離間機構を示す正面図
【図4】カバーの移動に連動して搬送ローラが回転するときの連動機構および離間機構を示す正面図
【図5】カバーの移動に連動して従動ローラが搬送ローラから離れるときの連動機構および離間機構を示す正面図
【図6】カバーが取り外されたときの連動機構および離間機構を示す側面図
【図7】カバーが取り外されたときの連動機構および離間機構を示す正面図
【発明を実施するための形態】
【0015】
本実施形態の画像形成装置を図1に示す。画像形成装置100は、コピー、プリント、ファクシミリ通信のように、外部から入力された画像データに応じて、所定の用紙に対して多色及び単色の画像を形成する複合機である。画像形成装置100は、キャビネット110と、自動原稿送り装置120とから構成されている。キャビネット110は、露光部1、現像器2、感光体ドラム3、クリーナ部4、帯電器5、中間転写ベルト部6、定着部7からなる画像形成部を内装している。
【0016】
キャビネット110の上部には、原稿を載置する透明ガラスからなる原稿載置台92が設けられ、原稿載置台92の上側に自動原稿送り装置120が取り付けられている。自動原稿送り装置120は、原稿載置台92上に自動的に原稿を搬送する。また、自動原稿送り装置120は矢印M方向に回動自在とされ、自動原稿送り装置120を開くことにより、原稿載置台92の上に原稿を手置きで置くことができる。
【0017】
原稿載置台92の下方に、読取部90が配置される。読取部90は、光源、ミラー、レンズ、CCD等から構成される。読取部90は、原稿載置台90上の原稿の画像を読み取り、画像データを入力する。
【0018】
本画像形成装置100において扱われる画像データは、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色を用いたカラー画像に応じたものである。従って、現像器2、感光体ドラム3、帯電器5、クリーナ部4は、ブラック、シアン、マゼンタ、イエローの各色に応じた4種類の潜像を形成するようにそれぞれ4個ずつ設けられ、これらによって4つの画像ステーションが構成される。
【0019】
帯電器5は、感光体ドラム3の表面を所定の電位に均一に帯電させる。露光部1は、レーザ出射部及び反射ミラー等を備えたレーザスキャニング部(LSU)とされる。すなわち、露光部1は、レーザビームを走査するポリゴンミラーと、ポリゴンミラーによって反射されたレーザ光を感光体ドラム3に導くためのレンズやミラー等の光学要素を有する。
【0020】
露光部1は、入力された画像データに応じて、帯電された感光体ドラム3を露光する。感光体ドラム3の表面に、画像データに応じた静電潜像が形成される。現像器2はそれぞれの感光体ドラム3上に形成された静電潜像を4色(YMCK)のトナーにより顕像化する。また、クリーナ部4は、現像、画像転写後における感光体ドラム3上の表面に残留したトナーを除去、回収する。
【0021】
感光体ドラム3の上方に配置される中間転写ベルト部6は、中間転写ベルト61、中間転写ベルト駆動ローラ62、中間転写ベルト従動ローラ63、中間転写ローラ64、及び中間転写ベルトクリーニング部65を備えている。上記中間転写ローラ64は、YMCK用の各色に対応して4本設けられている。
【0022】
中間転写ベルト駆動ローラ62、中間転写ベルト従動ローラ63、及び中間転写ローラ64は、中間転写ベルト61を張架して回転駆動させる。各中間転写ローラ64は、感光体ドラム3のトナー像を中間転写ベルト61上に転写するための転写バイアスを与える。
【0023】
中間転写ベルト61は、各感光体ドラム3に接触するように設けられている、そして、感光体ドラム3に形成された各色のトナー像を中間転写ベルト61に順次的に重ねて転写することによって、中間転写ベルト61上にカラーのトナー像(多色トナー像)が形成される。中間転写ベルト61は、例えば厚さ100μm〜150μm程度のフィルムを用いて、無端状に形成されている。
【0024】
感光体ドラム3から中間転写ベルト61へのトナー像の転写は、中間転写ベルト61の裏側に接触している中間転写ローラ64によって行われる。中間転写ローラ64には、トナー像を転写するために高電圧の転写バイアス(トナーの帯電極性(−)とは逆極性(+)の高電圧)が印加されている。中間転写ローラ64は、直径8〜10mmの金属(例えばステンレス)製の軸をベースとし、その表面が導電性の弾性材(例えばEPDM,発泡ウレタン等)により覆われているローラである。この導電性の弾性材により、中間転写ベルト61に対して均一に高電圧を印加することができる。本実施形態では転写電極としてローラを使用しているが、それ以外にブラシなども用いることが可能である。
【0025】
各感光体ドラム3上で各色に応じて顕像化された静電像は中間転写ベルト61上に積層される。このように、積層された画像は、中間転写ベルト61の回転によって、中間転写ベルト61に対向する転写ローラ10の位置に搬送される。中間転写ベルト61と転写ローラ10との接触位置に用紙が搬送されると、転写ローラ10によって用紙上にトナー像が転写される。
【0026】
中間転写ベルト61と転写ローラ10は所定ニップで圧接されると共に、転写ローラ10には、トナーを用紙に転写させるための電圧、すなわちトナーの帯電極性(−)とは逆極性(+)の高電圧が印加される。さらに、上記ニップを定常的に得るために、転写ローラ10もしくは中間転写ベルト駆動ローラ62の何れか一方が硬質材料(金属等)とされ、他方が弾性ローラ等の軟質材料(弾性ゴムローラ、または発泡性樹脂ローラ等)とされる。
【0027】
感光体ドラム3に接触することにより中間転写ベルト61に付着したトナー、もしくは転写ローラ10によって用紙上に転写が行われず中間転写ベルト61上に残存したトナーは、次工程でトナーの混色を発生させる原因となるので、中間転写ベルトクリーニング部65によって除去、回収される。中間転写ベルトクリーニング部65は、中間転写ベルト61に接触する、例えばクリーニング部材としてクリーニングブレードを備えている。クリーニングブレードが接触する中間転写ベルト61は、裏側から中間転写ベルト従動ローラ63で支持されている。
【0028】
給紙カセット81は、画像形成に使用する用紙を収容するためのトレイであり、キャビネット110の露光部1の下側に設けられている。手差し給紙カセット82にも画像形成に使用する用紙を置くことができる。排紙トレイ91が、キャビネット110の上部に設けられる。排紙トレイ91は、印刷済みの用紙をフェイスダウンで集積するためのトレイである。フェイスダウンの場合、片面印刷された用紙の印刷面が下向きになるように、用紙が排出される。
【0029】
キャビネット110には、給紙カセット81及び手差し給紙カセット82の用紙を転写ローラ10や定着部7を経由させて排紙トレイ91に送るための用紙搬送路Sが形成されている。給紙カセット81および手差し給紙カセット82から排紙トレイ91に至る用紙搬送路Sは、キャビネット110内を略鉛直方向に形成され、用紙搬送路Sに沿って、ピックアップローラ11a,11b、複数の搬送ローラ12a〜12d、レジストローラ13、転写ローラ10、定着部7等が配されている。
【0030】
搬送ローラ12a〜12dは、用紙の搬送を促進、補助するための駆動ローラであり、用紙搬送路Sに沿って複数設けられている。ピックアップローラ11aは、給紙カセット81の端部近傍に配され、給紙カセット81から用紙を1枚ずつピックアップして用紙搬送路Sに供給する。同様に手差し用のピックアップローラ11bは、手差し給紙カセット82の端部近傍に配され、手差し給紙カセット82から用紙を1枚ずつピックアップして用紙搬送路Sに供給する。
【0031】
レジストローラ13は、用紙搬送路Sを搬送されている用紙を一旦保持するものである。そして、感光体ドラム3上のトナー像の先端と用紙の先端を合わせるタイミングで用紙を転写ローラ10に搬送する。
【0032】
定着部7は、ヒートローラ71及び加圧ローラ72を備えており、ヒートローラ71及び加圧ローラ72は、用紙を挟んで回転する。ヒートローラ71は、図示しない温度検出器からの信号に基づいて制御部によって所定の定着温度となるように設定されている。用紙が定着部7を通過するとき、用紙上の未定着トナーが熱で溶融・固着され、用紙に転写された多色トナー像が熱定着される。また、ヒートローラ71を外部から定着するための外部定着ベルト73が設けられている。
【0033】
なお、画像形成装置100は、LAN等のネットワークに接続されるとともに、電話回線にも接続されている。画像形成装置100は、ネットワークを通じてパソコン、他の画像形成装置といった外部機器とデータ通信を行う通信部を備えている。また、電話回線を通じてファクシミリ通信を行うモデムも備えている。
【0034】
画像形成装置100では、給紙カセットから供給された用紙が用紙搬送路Sを通って、画像形成部に搬送される。搬送途中に用紙が詰まると、用紙のジャムが発生する。ユーザが詰まった用紙を取り除けるように、用紙搬送路Sは開放可能とされる。
【0035】
図2,3に示すように、キャビネット110に、カバー20が移動自在に設けられる。用紙搬送路Sは、キャビネット110内を下側から上側に向かって形成される。キャビネット110の側面に、用紙搬送路Sに沿って開口が形成され、開口を塞ぐカバー20が移動自在に設けられる。カバー20は、キャビネットに水平方向にスライド自在に支持される。カバー20がキャビネット110の外側に向かって引き出されると、キャビネット110の側面の開口が現れ、開口を通じて用紙搬送路Sが外部に露出する。カバー20はキャビネット110に着脱可能とされ、カバー20が取り外されると、用紙搬送路Sが開放されたことになる。
【0036】
ユーザが用紙をさらに容易に取り除けるように、本画像形成装置では、用紙搬送路Sにおいて詰まった用紙Pを見やすい位置まで移動させる機構を備えている。すなわち、カバー20の移動に連動して搬送ローラ12を回転させる連動機構と、カバー20の移動に連動して案内部材を搬送ローラ12から離す離間機構とを備えている。案内部材を搬送ローラ12に押し付ける押付部材が移動可能に設けられ、離間機構は、案内部材を搬送ローラ12から離すために、押付部材を移動させる当接部材を有する。
【0037】
用紙Pのジャムが発生したとき、カバー20の移動に伴って用紙Pを送り出すように搬送ローラ12が回転する。さらに、カバー20の移動に伴って案内部材が搬送ローラ12から離れる。案内部材は、用紙Pを挟んで搬送ローラ12に対向する従動ローラ21である。
【0038】
搬送ローラ12の回転軸22の一端に駆動ギア23が取り付けられ、駆動ギア23に噛み合う中間ギア24が設けられる。中間ギア24の支軸25は、キャビネット110に回転自在に支持される。カバー20に、ラック30が一体的に設けられる。ラック30は、カバー20から内側に向かって水平方向に延設された棒31に形成される。ラック30は、用紙搬送路Sの幅方向の一端側に位置するとともに、中間ギア24よりも上側、すなわち搬送ローラ12の下流側に位置する。中間ギア24は、ラック30の移動方向に応じて、搬送ローラ12と一体的に回転する駆動ギア23を正回転させるために設けられる。搬送ローラ12が用紙Pを下流側、ここでは下側から上側に向かって送り出すように回転する方向が正回転とされる。カバー20のラック30、搬送ローラ12に設けられた駆動ギア23によって、連動機構が構成される。なお、中間ギア24は必要に応じて設けられる。
【0039】
カバー20が外側に向かって移動して、ラック30が中間ギア24と噛み合うことにより、駆動ギア23が回転する。これに伴って回転軸22が回転し、搬送ローラ12が正回転する。なお、回転軸22は、モータの軸にギアを介して連結され、モータにより回転されるが、モータの停止中は、回転軸22は連動機構によって回転可能とされる。
【0040】
従動ローラ21は、支軸32に回転自在に支持される。支軸32はキャビネット110に移動自在に支持される。従動ローラ21を搬送ローラ12に圧接させるために、第1スプリング33が設けられる。第1スプリング33の一端が支軸32に取り付けられ、他端がレバー34に保持される。第1スプリング33は、支軸32の両端にそれぞれ配される。この圧縮スプリング33が支軸32を押すことにより、従動ローラ21が搬送ローラ12に圧接され、両ローラ12、21間にニップが形成される。
【0041】
レバー34は、平板状に形成され、レバー34の内面側に各第1スプリング33が当接している。そして、レバー34は、カバー20の移動に伴って移動可能とされる。すなわち、レバー34の下端に支点35が形成され、支点35がキャビネット110に回転自在に保持される。レバー34は、支点35周りに回転する。レバー34を押圧する第2スプリング36が設けられる。第2スプリング36の一端は、レバー34の外面側に取り付けられ、他端は、カバー20に当接している。カバー20が閉じているとき、この圧縮スプリング36により、レバー34は従動ローラ21の方向に押され、第1スプリング33からも逆方向に押されて、レバー34は定位置に静止する。このレバー34が、従動ローラ21を搬送ローラ12に押し付ける押付部材とされる。
【0042】
カバー20の棒31に、レバー34に当接するリブ37が設けられる。リブ37は、カバー20の移動に伴ってレバー34に当接して、レバー34を第2スプリング36の付勢力に抗して移動させる。すなわち、リブ37が当接部材とされる。レバー34が搬送ローラ12から離れる方向に回転することにより、支軸32に対する第1スプリング33の付勢力が弱まり、従動ローラ21が搬送ローラ12から離れる。これによって、搬送ローラ12と従動ローラ21とのニップが解除される。
【0043】
次に、用紙Pのジャムを解消するときの手順を説明する。用紙Pが搬送されるとき、図3に示すように、カバー20は閉じており、従動ローラ21は、第1、第2スプリング33、36によって搬送ローラ12に押し付けられる。用紙Pは、搬送ローラ12の回転により用紙搬送路Sを下側から上側に向かって搬送される。この搬送中、用紙Pのジャムが発生すると、搬送ローラ12の回転が停止し、用紙Pは搬送ローラ12と従動ローラ21とに挟まれて詰まる。
【0044】
ユーザはカバー20を引き出す。図4に示すように、カバー20は外側に向かって移動する。カバー20の移動によって、ラック30が中間ギア24に噛み合う。このとき、リブ37は、まだレバー34に当接していない。さらに、カバー20が移動すると、中間ギア24を介して駆動ギア23が回転し、搬送ローラ12が正回転する。搬送ローラ12と従動ローラ21とに挟み込まれた用紙Pは、搬送方向の下流側に向かって送り出される。
【0045】
さらに、カバー20が移動すると、図5に示すように、ラック30が中間ギア24を通過し、搬送ローラ12は回転しなくなる。リブ37がレバー34に当接する。カバー20の移動に伴って、レバー34が押され、レバー34は支点35周りに回転する。レバー34が従動ローラ21から離れる方向に移動すると、第1スプリング33の付勢力が弱まって、従動ローラ21は搬送ローラ12から離れる。
【0046】
図6、7に示すように、カバー20が取り外されると、第2スプリング36の他端の支持がなくなる。レバー34は、フリーとなって、外側に向かって大きく傾く。搬送ローラ12の下流側において、用紙搬送路Sは開放され、詰まった用紙Pをキャビネット110の開口から臨むことができる。しかも、先に用紙Pが送り出され、その後に搬送ローラ12のニップが解除される。用紙Pは搬送ローラ12から大きく突出して、ユーザは用紙Pを容易に見つけることができる。そして、挟み付けられている用紙Pを引っ張り出すのに抵抗がかかるが、ニップが解除されているので、用紙Pにかかっていた抵抗がなくなり、用紙Pを除去するのに力をかけなくてすみ、ユーザが用紙Pを掴んで引っ張り出しやすくなる。したがって、用紙Pを破らずに取り除くことができ、用紙Pの除去を容易に行うことができる。
【0047】
用紙Pが除去された後、カバー20がキャビネット110に装着される。カバー20が押し込まれ、リブ37がレバー34の上を通り過ぎると、カバー20が第2スプリング36の他端に当接する。カバー20が内側に向かって移動すると、第2スプリング36が押されて、レバー34が起き上がり、レバー34が第1スプリング33に当接する。カバー20が完全に閉じると、レバー34は定位置に停止し、第1スプリング33の付勢力によって従動ローラ21は搬送ローラ12に押し付けられ、用紙Pの搬送が可能となる。
【0048】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で上記実施形態に多くの修正および変更を加え得ることは勿論である。カバーが水平方向にスライド自在とされているが、カバーを軸周りに回転自在としてもよい。カバーに円弧状のアームを設け、アームにラックを形成するとともに、リブを形成する。カバーの開放に伴って、アームが円周上を移動するとき、中間ギアと噛み合い、その後リブがレバーに当接する。
【0049】
案内部材として、従動ローラの代わりに、搬送ローラに相対するガイド板であってもよい。用紙搬送路の形状に応じて、ガイド板は、平坦に形成されたり、湾曲して形成される。このガイド板が、離間機構により搬送ローラから離される。
【符号の説明】
【0050】
12 搬送ローラ
20 カバー
21 従動ローラ
23 駆動ギア
24 中間ギア
30 ラック
33 第1スプリング
34 レバー
36 第2スプリング
37 リブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙が通る用紙搬送路に、用紙を搬送するため搬送ローラが設けられ、用紙搬送路を開放するカバーが移動自在に設けられ、カバーの移動に連動して搬送ローラを回転させる連動機構が設けられ、カバーの移動に伴って用紙を送り出すように搬送ローラが回転することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
用紙を挟んで搬送ローラに相対する案内部材が設けられ、カバーの移動に連動して案内部材を搬送ローラから離す離間機構が設けられ、カバーの移動に伴って案内部材が搬送ローラから離れることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
カバーの移動に応じて、先に連動機構が作動した後、離間機構が作動することを特徴とする請求項2記載の画像形成装置。
【請求項4】
連動機構は、搬送ローラに設けられたギアと、カバーに設けられたラックとからなり、カバーの移動に伴ってラックがギアに噛み合うことにより、搬送ローラが回転することを特徴とする請求項2または3記載の画像形成装置。
【請求項5】
案内部材を搬送ローラに押し付ける押付部材が移動可能に設けられ、離間機構は、押付部材を移動させる当接部材を有し、当接部材は、カバーに設けられ、カバーの移動に伴って当接部材が押付部材に当接し、押付部材が搬送ローラから離れる方向に移動して、案内部材が搬送ローラから離れることを特徴とする請求項2または3記載の画像形成装置。
【請求項6】
カバーはキャビネットに着脱自在に設けられ、カバーが取り外されたとき、搬送ローラよりも下流側の用紙搬送路が外部に露出することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−35942(P2012−35942A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−175674(P2010−175674)
【出願日】平成22年8月4日(2010.8.4)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】