説明

画像形成装置

【課題】画像の品質に対する搬送ベルト上の付着物による影響を排除することができながら、電力の消費量の低減を図ることができる、画像形成装置を提供する。
【解決手段】制御部21により、感光ドラム3および搬送ベルト9を駆動する第1モータM1およびクリーニングローラ17にクリーニングバイアスを印加するバイアス印加回路25が制御されて、感光ドラム3が第1速度で駆動されるとともに、搬送ベルト9が第1速度に応じた速度で駆動されるときには、クリーニングローラ17にクリーニングバイアスが印加される。一方、感光ドラム3が第1速度よりも低速である第2速度で駆動されるとともに、搬送ベルト9が第2速度に応じた速度で駆動されるときには、クリーニングローラ17にクリーニングバイアスが印加されない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラープリンタなどの画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、イエロー、マゼンタ、シアンおよびブラックの各色に対応した感光ドラムが並列に配置される、いわゆるタンデム型の画像形成装置が知られている。このタンデム型の画像形成装置では、各感光ドラムにトナー像がほぼ同時に形成される。そして、ダイレクト転写方式を採用したものでは、搬送ベルトが各感光ドラムと接触するように設けられており、搬送ベルトにより搬送される用紙に各感光ドラム上のトナー像が色重ねして転写される。その結果、用紙にカラー画像が形成される。
【0003】
搬送ベルトには、感光ドラムからトナーが転移して付着する。そのため、搬送ベルト上からトナー(廃トナー)を除去するためのクリーニングユニットが設けられている。クリーニングユニットは、たとえば、搬送ベルトに接触する1次クリーニングローラと、この1次クリーニングローラに接触する2次クリーニングローラとを備えている。そして、1次クリーニングローラおよび2次クリーニングローラには、それぞれ所定のクリーニングバイアスが印加され、搬送ベルトと1次クリーニングローラとの間の電位差および1次クリーニングローラと2次クリーニングローラとの間の電位差により、搬送ベルト上のトナーが1次クリーニングローラおよび2次クリーニングローラの順に転移する。これにより、搬送ベルト上からトナーが除去される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−3377号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
搬送ベルトには、トナー以外にも、用紙から生じる紙粉が付着する。搬送ベルトへの紙粉の付着は、用紙の搬送中に生じるので、用紙に形成される画像の品質に対する紙粉による影響を排除するためには、画像の形成のための動作(画像形成動作)中にも、1次クリーニングローラおよび2次クリーニングローラにクリーニングバイアスが印加される必要がある。
【0006】
しかしながら、用紙への画像の形成が終了した後のクリーニングモード時だけでなく、画像形成動作中にも、1次クリーニングローラおよび2次クリーニングローラにクリーニングバイアスを印加し続けることは、電力の消費の面から好ましくない。
【0007】
本発明の目的は、画像の品質に対する搬送ベルト上の付着物による影響を排除することができながら、電力の消費量の低減を図ることができる、画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記の目的を達成するため、本発明は、用紙に現像剤像からなる画像を形成する画像形成装置において、現像剤像を担持する像担持体と、用紙を前記像担持体と対向する位置を経由して搬送するための搬送ベルトと、前記搬送ベルト上に付着している付着物を除去するベルトクリーナと、前記像担持体および前記搬送ベルトを駆動する駆動手段と、前記ベルトクリーナにクリーニングバイアスを印加するバイアス印加手段と、前記像担持体が第1速度で駆動されるとともに、前記搬送ベルトが前記第1速度に応じた速度で駆動されるときに、前記ベルトクリーナに前記クリーニングバイアスが印加され、前記像担持体が第1速度よりも低速である第2速度で駆動されるとともに、前記搬送ベルトが前記第2速度に応じた速度で駆動されるときに、前記ベルトクリーナに前記クリーニングバイアスが印加されないように、前記駆動手段および前記バイアス印加手段を制御する制御手段とを備えることを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、搬送ベルトにより、用紙が像担持体と対向する位置を経由して搬送される。そのため、搬送ベルトには、像担持体から現像剤が転移して付着したり、用紙から生じる紙粉が付着したりする。この搬送ベルト上に付着した現像剤や紙粉などの付着物を除去するために、ベルトクリーナが備えられている。
【0010】
そして、制御手段が備えられている。制御手段により、像担持体および搬送ベルトを駆動する駆動手段およびベルトクリーナにクリーニングバイアスを印加するバイアス印加手段が制御されて、像担持体が第1速度で駆動されるとともに、搬送ベルトが第1速度に応じた速度で駆動されるときには、ベルトクリーナにクリーニングバイアスが印加される。一方、像担持体が第1速度よりも低速である第2速度で駆動されるとともに、搬送ベルトが第2速度に応じた速度で駆動されるときには、ベルトクリーナにクリーニングバイアスが印加されない。
【0011】
像担持体が相対的に高速な第1速度で駆動されるとともに、搬送ベルトが第1速度に応じた速度で駆動されて、装置内を用紙が高速で搬送されるときには、用紙から生じる紙粉の量が多く、搬送ベルトに付着する紙粉の量も多い。このとき、ベルトクリーナにクリーニングバイアスが印加されるので、その付着した紙粉を良好に除去することができる。
【0012】
一方、像担持体が相対的に低速な第2速度で駆動されるとともに、搬送ベルトが第2速度に応じた速度で駆動されて、装置内を用紙が低速で搬送されるときには、用紙から生じる紙粉の量が少なく、搬送ベルトに付着する紙粉の量も少ない。このとき、ベルトクリーナへのクリーニングバイアスの印加が停止されることにより、電力の消費量の低減を図ることができる。
【0013】
よって、画像の品質に対する搬送ベルト上の付着物による影響を排除することができながら、電力の消費量の低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係るカラープリンタの模式的な断面図である。
【図2】図2は、図1に示されるカラープリンタの電気的構成を示すブロック図である。
【図3】図3は、図2に示される制御部により実行されるクリーニングバイアス制御(クリーニングバイアス決定処理)の内容を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下では、本発明の実施の形態について、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
1.カラープリンタの全体構成
図1に示されるように、画像形成装置の一例としてのカラープリンタ1は、タンデム型のカラーレーザプリンタである。
【0016】
カラープリンタ1は、本体ケーシング2を備えている。
【0017】
本体ケーシング2内には、4つの像担持体の一例としての感光ドラム3がブラック(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)およびシアン(C)の各色用として設けられている。4つの感光ドラム3は、本体ケーシング2内の中央部において、後述の搬送ベルト9による用紙Pの搬送方向の上流側からブラック、イエロー、マゼンタおよびシアンの順に、その搬送方向に等間隔で並列に配置されている。
【0018】
各感光ドラム3に対応づけて、現像器4が設けられている。現像器4は、筐体5と、筐体5の下端部に保持される現像ローラ6とを備えている。筐体5内には、トナーが収容されている。現像ローラ6は、感光ドラム3の回転軸線と平行な回転軸線を中心に回転可能に設けられている。そして、現像ローラ6の表面の一部は、筐体5の下端部から露出して、感光ドラム3の表面に接触している。
【0019】
また、本体ケーシング2内の最上部には、4つの感光ドラム3に向けてレーザビームを出射する露光器7が配置されている。
【0020】
感光ドラム3の回転に伴って、感光ドラム3の表面は、図示されない帯電器からの放電によって一様に帯電された後、露光器7からのレーザビームにより選択的に露光される。この露光によって、感光ドラム3の表面から電荷が選択的に除去され、感光ドラム3の表面に静電潜像が形成される。静電潜像が現像ローラ6に対向すると、現像ローラ6から静電潜像にトナーが供給される。これにより、感光ドラム3の表面にトナー像が担持される。
【0021】
なお、露光器7に代えて、4つのLEDアレイが各感光ドラム3に対応して設けられてもよい。
【0022】
本体ケーシング2内の最下部には、用紙Pを収容する給紙カセット8が配置されている。
【0023】
また、給紙カセット8の上方には、搬送ベルト9が配置されている。搬送ベルト9は、駆動ローラ10および従動ローラ11の間に掛け渡されている。駆動ローラ10および従動ローラ11は、感光ドラム3の並び方向に間隔を空けて配置され、それぞれ感光ドラム3の回転軸線と平行な回転軸線を中心に回転可能に設けられている。そして、搬送ベルト9における駆動ローラ10および従動ローラ11の各上端間に延びる部分(以下「上側部分」という。)は、4つの感光ドラム3の表面に下方から接している。
【0024】
給紙カセット8に収容されている用紙Pは、各種ローラにより、搬送ベルト9上に搬送される。搬送ベルト9は、4つの感光ドラム3に下方から対向して配置されている。感光ドラム3に対して搬送ベルト9の上側部分を挟んで対向する各位置には、転写ローラ12が配置されている。転写ローラ12は、感光ドラム3の回転軸線と平行な回転軸線を中心に回転可能に設けられている。搬送ベルト9上に搬送された用紙Pは、搬送ベルト9の走行により、搬送ベルト9と各感光ドラム3との間を順次に通過する。そして、感光ドラム3の表面上のトナー像は、感光ドラム3と転写ローラ12との間で用紙Pと対向したときに、用紙Pに転写される。
【0025】
搬送ベルト9に対して用紙Pの搬送方向における下流側には、定着器13が設けられている。トナー像が転写された用紙Pは、定着器13に搬送される。定着器13では、加熱および加圧により、トナー像が用紙Pに定着される。トナー像が定着した用紙Pは、各種ローラにより、本体ケーシング2の上面の排紙トレイ14に排出される。
【0026】
給紙カセット8と搬送ベルト9との間には、ベルトクリーナユニット15が配置されている。ベルトクリーナユニット15は、ユニットケース16と、ユニットケース16に保持されたベルトクリーナの一例としてのクリーニングローラ17とを備えている。
【0027】
クリーニングローラ17は、その回転軸線が感光ドラム3の回転軸線と平行をなし、搬送ベルト9における駆動ローラ10および従動ローラ11の各下端間に延びる部分(以下「下側部分」という。)に下方から接するように配置されている。
【0028】
また、搬送ベルト9の下側部分を挟んでクリーニングローラ17と対向する位置には、バックアップローラ18が配置されている。バックアップローラ18は、感光ドラム3の回転軸線と平行な回転軸線を中心に回転可能に設けられ、搬送ベルト9の下側部分に上方(内側)から接している。
【0029】
搬送ベルト9とクリーニングローラ17との接触部分において、搬送ベルト9の表面とクリーニングローラ17の表面とが互いに逆方向に移動するように、クリーニングローラ17は、搬送ベルト9の周回方向と同方向に回転(アゲンスト回転)される。また、クリーニングローラ17には、所定のクリーニングバイアス(たとえば、−1400V)が印加される。一方、バックアップローラ18は、接地されている。これにより、クリーニングローラ17とバックアップローラ18との間に電位差が生じる。この電位差により、搬送ベルト9上のトナーや紙粉などの付着物がクリーニングローラ17に転移し、搬送ベルト9上からの付着物の除去が達成される。
【0030】
なお、ユニットケース16内には、たとえば、クリーニングローラ17に接する2次クリーニングローラと、この2次クリーニングローラに当接するブレードとが設けられている。そして、クリーニングローラ17に転移した付着物は、クリーニングローラ17と2次クリーニングローラとの間の電位差により、クリーニングローラ17から2次クリーニングローラへと転移する。2次クリーニングローラに転移した付着物は、ブレードにより掻き取られて、2次クリーニングローラから脱落し、ユニットケース16内に貯留される。
2.カラープリンタの電気的構成
図2に示されるように、カラープリンタ1は、カラープリンタ1の各部を制御するための制御手段の一例としての制御部21を備えている。制御部21は、CPU、RAMおよびROMなどを含むマイクロコンピュータで構成される。
【0031】
制御部21には、制御対象として、第1モータM1、第2モータM2および第3モータM3がそれぞれ第1モータドライバ22、第2モータドライバ23および第3モータドライバ24を介して接続されている。
【0032】
駆動手段の一例としての第1モータM1は、感光ドラム3および駆動ローラ10の駆動源である。制御部21により、第1モータドライバ22を介して、第1モータM1の駆動が間接的に制御される。すなわち、第1モータドライバ22に含まれる駆動素子(たとえば、FET:Field Effect Transistor)のオン/オフが制御され、そのオン/オフの割合に応じた駆動電力が第1モータドライバ22から第1モータM1に供給されることにより、第1モータM1の駆動が制御される。
【0033】
第2モータM2は、イエロー、マゼンタおよびシアンの現像器4ならびに定着器13の駆動源である。制御部21により、第2モータドライバ23を介して、第2モータM2の駆動が間接的に制御される。すなわち、第2モータドライバ23に含まれる駆動素子のオン/オフが制御され、そのオン/オフの割合に応じた駆動電力が第2モータドライバ23から第2モータM2に供給されることにより、第2モータM2の駆動が制御される。
【0034】
第3モータM3は、ブラックの現像器4ならびにクリーニングローラ17の駆動源である。制御部21により、第3モータドライバ24を介して、第3モータM3の駆動が間接的に制御される。すなわち、第3モータドライバ24に含まれる駆動素子のオン/オフが制御され、そのオン/オフの割合に応じた駆動電力が第3モータドライバ24から第3モータM3に供給されることにより、第3モータM3の駆動が制御される。
【0035】
さらに、制御部21には、クリーニングローラ17にクリーニングバイアスを印加するためのバイアス印加手段の一例としてのバイアス印加回路25が制御対象として接続されている。制御部21がバイアス印加回路25を制御することにより、バイアス印加回路25からクリーニングローラ17にクリーニングバイアスが印加される。
【0036】
また、制御部21は、たとえば、LAN(Local Area Network)に接続されており、そのLANに接続されたパーソナルコンピュータから設定情報および画像データなどを受信することができる。制御部21が設定情報および画像データなどを受信すると、これに基づいて、制御部21によりカラープリンタ1の各部が制御されて、画像データに応じた画像(カラー画像またはモノクロ画像)が用紙Pに形成される。
3.クリーニングバイアス制御
カラープリンタ1は、動作モードとして、第1画像形成モードの一例としての全速モードと、第2画像形成モードの一例としての半速モードと、クリーニングモードとを有している。
【0037】
全速モードでは、感光ドラム3が所定の第1速度(たとえば、105rpm)で回転される。また、現像器4(現像ローラ6)、駆動ローラ10、定着器13およびクリーニングローラ17などがそれぞれ第1速度に応じた速度で駆動される。駆動ローラ10が第1速度に応じた速度で駆動されることにより、搬送ベルト9は、第1速度に応じた速度、つまり搬送ベルト9における感光ドラム3との接触部分の移動速度が感光ドラム3の周速と一致する速度で周回(走行)する。そして、本体ケーシング2内を用紙Pが第1速度に応じた速度で搬送され、用紙Pに所定の第1プロセススピード(たとえば、28枚/min)で画像が形成される。
【0038】
半速モードでは、感光ドラム3が第1速度の半分の速度である第2速度で回転される。また、現像器4(現像ローラ6)、駆動ローラ10、定着器13およびクリーニングローラ17などがそれぞれ第2速度に応じた速度で駆動される。駆動ローラ10が第2速度に応じた速度で駆動されることにより、搬送ベルト9は、第2速度に応じた速度、つまり全速モードにおける搬送ベルト9の速度の半分の速度で周回(走行)する。そして、本体ケーシング2内を用紙Pが第2速度に応じた速度で搬送され、用紙Pに第1プロセススピードの半分の第2プロセススピードで画像が形成(出力)される。
【0039】
クリーニングモードでは、感光ドラム3が第1速度で回転されるとともに、駆動ローラ10が第1速度に応じた速度で駆動され、搬送ベルト9が第1速度に応じた速度で周回(走行)する。
【0040】
なお、感光ドラム3の回転速度は、第1モータドライバ22に含まれる駆動素子のオン/オフの割合が変更されることにより、第1速度と第2速度とに切り替えられる。これに伴って、駆動ローラ10の回転速度は、第1速度に応じた速度と第2速度に応じた速度とに切り替わる。また、イエロー、マゼンタおよびシアンの現像器4ならびに定着器13の駆動速度は、第2モータドライバ23に含まれる駆動素子のオン/オフの割合が変更されることにより、第1速度に応じた速度と第2速度に応じた速度とに切り替えられる。さらにまた、ブラックの現像器4およびクリーニングローラ17の駆動速度は、第3モータドライバ24に含まれる駆動素子のオン/オフの割合が変更されることにより、第1速度に応じた速度と第2速度に応じた速度とに切り替えられる。
【0041】
カラープリンタ1では、図3に示されるように、動作モードに応じて、クリーニングローラ17へのクリーニングバイアスの印加が制御される。
【0042】
パーソナルコンピュータから設定情報および画像データに先行してプリントの開始を指示するコマンドが送信され、このコマンドが制御部21に受信されたことをトリガとして、カラープリンタ1における用紙Pへの画像の形成(プリント)のための動作が開始されるとともに、図3に示される処理が開始される。
【0043】
制御部21がコマンドに引き続いて設定情報および画像データを受信すると、まず、設定情報に基づいて、動作モードが全速モードであるか否かが判断される(S1)。また、画像データは、図示されないビットマップメモリに展開される。
【0044】
カラープリンタ1では、カラープリンタ1用のプリンタドライバがインストールされているパーソナルコンピュータの画面(ディスプレイ)上に表示される設定ボックスにおいて、たとえば、画像が出力される用紙Pの種別、用紙Pに出力される画像の解像度(品質)などを設定することができる。使用者により用紙Pの種別および画像の解像度などが設定されると、その設定された内容が設定情報としてパーソナルコンピュータからカラープリンタ1に送信される。
【0045】
たとえば、用紙Pの種別として普通紙(コピー用紙)が設定され、画像の解像度としてノーマル(たとえば、600dpi)が設定された場合、その設定情報が制御部21に受信されると、制御部21により、動作モードが全速モードであると判断される。また、用紙Pの種別として厚紙が設定された場合、または、画像の解像度としてファイン(たとえば、1200dpi)が設定された場合、その設定情報が制御部21に受信されると、制御部21により、動作モードが半速モードであると判断される。
【0046】
動作モードが全速モードであると判断された場合(S1:YES)、バイアス印加回路25からクリーニングローラ17にクリーニングバイアスが印加される(S2)。そして、全速モードにて、用紙Pに画像が第1プロセススピードで形成される。
【0047】
一方、動作モードが全速モードではないと判断された場合、つまり半速モードであると判断された場合には(S1:NO)、バイアス印加回路25からクリーニングローラ17にクリーニングバイアスが印加されない。そして、クリーニングローラ17にクリーニングバイアスが印加されていない状態で、半速モードにて、用紙Pに画像が第2プロセススピードで形成される。
【0048】
全速モードまたは半速モードでの一連の画像形成動作(プリント)が終了すると(S4:YES)、動作モードがクリーニングモードに移行する。クリーニングモードでは、バイアス印加回路25からクリーニングローラ17にクリーニングバイアスが印加される(S5)。これにより、クリーニングローラ17とバックアップローラ18との間に電位差が生じ、搬送ベルト9上のトナーや紙粉などの付着物がクリーニングローラ17に転移して除去される。
【0049】
そして、クリーニングモードでの動作が所定時間にわたって続けられると、搬送ベルト9のクリーニングが終了したと判断され(S6:YES)、バイアス印加回路25からクリーニングローラ17へのクリーニングバイアスの印加が停止されて(S7)、図3に示される処理が終了する。
4.作用効果
(1)作用効果1
以上のように、カラープリンタ1では、搬送ベルト9により、用紙Pが感光ドラム3と対向する位置を経由して搬送される。そのため、搬送ベルト9には、感光ドラム3からトナーが転移して付着したり、用紙Pから生じる紙粉が付着したりする。この搬送ベルト9上に付着したトナーや紙粉などの付着物を除去するために、クリーニングローラ17が備えられている。
【0050】
そして、カラープリンタ1には、制御部21が備えられている。制御部21により、感光ドラム3および搬送ベルト9を駆動する第1モータM1およびクリーニングローラ17にクリーニングバイアスを印加するバイアス印加回路25が制御されて、感光ドラム3が第1速度で駆動されるとともに、搬送ベルト9が第1速度に応じた速度で駆動されるときには、クリーニングローラ17にクリーニングバイアスが印加される。一方、感光ドラム3が第1速度よりも低速である第2速度で駆動されるとともに、搬送ベルト9が第2速度に応じた速度で駆動されるときには、クリーニングローラ17にクリーニングバイアスが印加されない。
【0051】
感光ドラム3が相対的に高速な第1速度で駆動されるとともに、搬送ベルト9が第1速度に応じた速度で駆動されて、装置内を用紙Pが高速で搬送されるときには、用紙Pから生じる紙粉の量が多く、搬送ベルト9に付着する紙粉の量も多い。このとき、クリーニングローラ17にクリーニングバイアスが印加されるので、その付着した紙粉を良好に除去することができる。
【0052】
一方、感光ドラム3が相対的に低速な第2速度で駆動されるとともに、搬送ベルト9が第2速度に応じた速度で駆動されて、装置内を用紙Pが低速で搬送されるときには、用紙Pから生じる紙粉の量が少なく、搬送ベルト9に付着する紙粉の量も少ない。このとき、クリーニングローラ17へのクリーニングバイアスの印加が停止されることにより、電力の消費量の低減を図ることができる。
【0053】
よって、画像の品質に対する搬送ベルト9上の付着物による影響を排除することができながら、電力の消費量の低減を図ることができる。
(2)作用効果2
カラープリンタ1は、動作モードとして、全速モード、半速モードおよびクリーニングモードを有している。全速モードでは、感光ドラム3が第1速度で駆動されるとともに、搬送ベルト9が第1速度に応じた速度で駆動されて、第1プロセススピードで用紙Pに画像が形成される。また、クリーニングローラ17にクリーニングバイアスが印加される。半速モードでは、感光ドラム3が第2速度で駆動されるとともに、搬送ベルト9が第2速度に応じた速度で駆動されて、第2プロセススピードで用紙Pに画像が形成される。クリーニングモードでは、クリーニングローラ17にクリーニングバイアスが印加されて、搬送ベルト9上に付着している付着物が除去される。
【0054】
クリーニングモードは、全速モードおよび半速モードの終了後に行われる。これにより、次の全速モードまたは半速モードが開始されるまでに、搬送ベルト9上から付着物が除去され、搬送ベルト9を清浄な状態にすることができる。
(3)作用効果3
クリーニングモードでは、感光ドラム3が第1速度で駆動されるとともに、搬送ベルト9が第1速度に応じた速度で駆動される。これにより、搬送ベルト9を1周させるのに要する時間の短縮を図ることができ、搬送ベルト9の全周から付着物を除去するのに要する時間の短縮を図ることができる。
5.変形例
以上、本発明の一実施形態を説明したが、その実施形態には、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
【0055】
また、本発明は、タンデム型のカラープリンタ1に限らず、モノクロプリンタに適用されてもよい。
【符号の説明】
【0056】
1 カラープリンタ
3 感光ドラム
9 搬送ベルト
17 クリーニングローラ
21 制御部
25 バイアス印加回路
M1 第1モータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙に現像剤像からなる画像を形成する画像形成装置であって、
現像剤像を担持する像担持体と、
用紙を前記像担持体と対向する位置を経由して搬送するための搬送ベルトと、
前記搬送ベルト上に付着している付着物を除去するベルトクリーナと、
前記像担持体および前記搬送ベルトを駆動する駆動手段と、
前記ベルトクリーナにクリーニングバイアスを印加するバイアス印加手段と、
前記像担持体が第1速度で駆動されるとともに、前記搬送ベルトが前記第1速度に応じた速度で駆動されるときに、前記ベルトクリーナに前記クリーニングバイアスが印加され、前記像担持体が第1速度よりも低速である第2速度で駆動されるとともに、前記搬送ベルトが前記第2速度に応じた速度で駆動されるときに、前記ベルトクリーナに前記クリーニングバイアスが印加されないように、前記駆動手段および前記バイアス印加手段を制御する制御手段とを備える、画像形成装置。
【請求項2】
前記像担持体が前記第1速度で駆動されて、第1プロセススピードで用紙に画像が形成される第1画像形成モードと、前記像担持体が前記第2速度で駆動されて、第2プロセススピードで用紙に画像が形成される第2画像形成モードと、前記第1画像形成モードおよび前記第2画像形成モードの終了後に前記搬送ベルト上に付着している付着物を除去するクリーニングモードとを有し、
前記制御手段は、前記第1画像形成モードおよび前記クリーニングモード時に、前記ベルトクリーナに前記クリーニングバイアスが印加され、前記第2画像形成モード時に、前記ベルトクリーナに前記クリーニングバイアスが印加されないように、前記バイアス印加手段を制御する、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記クリーニングモード時に、前記像担持体が前記第1速度で駆動されるとともに、前記搬送ベルトが前記第1速度に応じた速度で駆動されるように、前記駆動手段を制御する、請求項2に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−37835(P2012−37835A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−180317(P2010−180317)
【出願日】平成22年8月11日(2010.8.11)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】