説明

画像形成装置

【課題】画像データを形成しているページ記述言語とは異なるページ記述言語を用いて、画像データを展開して印刷すると、ごみ印刷を大量に行ってしまう。
【解決手段】画像データを外部装置100から受信し、画像データが複数のページ記述言語のいずれによって構成されているか特定し、設定されたページ記述言語として記憶すると共に、設定されたページ記述言語を用いて画像データを印刷する。画像データが複数のページ記述言語のいずれによって構成されているか特定できなかった場合には、複数の候補のページ記述言語を抽出し、そのうち1つを用いて画像データの一部を印刷してユーザに問いあわせる。印刷再開が指示されたならば画像データの残りを印刷して終了し、印刷中断が指示されたならば画像データの印刷を中断して複数の候補のページ記述言語すべてについて繰り返す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のページ記述言語に対応した画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、画像形成装置では、複数のページ記述言語の中からページ記述言語を選択し、画像データを展開して印刷するという技術が知られている。
【0003】
特許文献1には、複数のページ記述言語を用いて1つの画像データを構成する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−099734号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の画像形成装置において、プリンタドライバを介さずに受信した画像データは、画像データを形成しているページ記述言語が特定されていない。画像データを形成しているページ記述言語とは異なるページ記述言語を用いて、この画像データを展開して印刷すると、ごみ印刷を大量に行ってしまうという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の画像形成装置は、画像データを外部装置から受信するデータ受信部と、前記画像データを解析することにより、前記画像データが構成されている候補である候補ページ記述言語を特定する言語特定部と、前記候補ページ記述言語を用いて前記画像データを展開する画像データ展開部と、前記画像データ展開部によって展開された画像データを印刷する印刷部と、印刷再開情報又は印刷中断情報を取得する取得部と、前記言語特定部が前記候補ページ記述言語を1つに特定できなかった場合には、複数の前記候補ページ記述言語を順に現在のページ記述言語として、前記現在のページ記述言語を用いて前記画像データの一部を印刷することを繰り返し、前記取得部が前記印刷再開情報を取得した場合には、前記現在のページ記述言語を用いて前記画像データの残りの部分を印刷する印刷制御部とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の画像形成装置によれば、画像形成装置が受信した画像データのページ記述言語が確定できない場合であっても、画像データの一部を展開して印刷し、ユーザに正しい印字結果か否かを確認して印刷を再開する。よって、ごみ印刷を抑制し、且つ正しいページ記述言語で印刷を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、本発明の実施例1の画像形成装置を示す概略の構成図である。
【図2】図2は、図1の画像形成装置の動作を示すフローチャートである。
【図3】図3は、図2においてユーザ情報にページ記述言語が登録されていない場合の動作を示すフローチャートである。
【図4】図4は、図3においてページ記述言語が特定できないときのメッセージを示す図である。
【図5】図5は、図3において候補となるページ記述言語が無い場合のメッセージを示す図である。
【図6】図6は、コマンドとページ記述言語の組み合わせテーブルを示す図である。
【図7】図7は、本発明の実施例1のページ記述言語の特定方法を示す図である。
【図8】図8は、本発明の実施例1のページ記述言語の候補抽出方法を示す図である。
【図9】図9は、本発明の実施例2の画像形成装置を示す概略の構成図である。
【図10】図10は、本発明の実施例2においてユーザ情報にページ記述言語が登録されていない場合の動作を示すフローチャートである。
【図11】図11は、本発明の実施例2におけるページ記述言語の一致率算出方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明を実施するための形態は、以下の好ましい実施例の説明を添付図面と照らし合わせて読むと、明らかになるであろう。但し、図面はもっぱら解説のためのものであって、本発明の範囲を限定するものではない。
【実施例1】
【0010】
(実施例1の構成)
図1は、本発明の実施例1の画像形成装置を示す概略の構成図である。
【0011】
画像形成装置10は、外部装置100と有線又は無線の通信路によって相互に通信可能に接続されている。外部装置100は、パーソナルコンピュータ(PC)やワークステーション等であり、画像形成装置10の上位装置である。画像形成装置10は、外部装置100から有線又は無線の通信路を介して画像データを受信し、受信した画像データを画像処理して印刷する。
【0012】
画像形成装置10は、データ受信部12と、ユーザ情報抽出部13と、言語特定部14と、画像データ展開部15と、印刷部16と、取得部17と、ユーザ情報記憶部18と、印刷制御部19と、メッセージ生成部20と、送信制御部21と、記憶部22と、パネル表示部23とを有している。
【0013】
外部装置100の送信側は、データ受信部12に接続されている。データ受信部12の出力側は、ユーザ情報抽出部13と取得部17とに接続されている。ユーザ情報抽出部13の出力側は、言語特定部14とユーザ情報記憶部18とに接続されている。言語特定部14は、記憶部22とユーザ情報記憶部18とを読み書き可能に接続されていると共に、言語特定部14の出力側は、画像データ展開部15とメッセージ生成部20とに接続されている。画像データ展開部15の出力側は、印刷部16と接続されている。
【0014】
取得部17とユーザ情報記憶部18の出力側は、印刷制御部19に接続され、印刷制御部19の出力側は、印刷部16に接続されている。メッセージ生成部20の出力側は、送信制御部21を介して外部装置100の受信側に接続され、パネル表示部23を介して取得部17に接続されている。
【0015】
更に、画像データ展開部15は、Printer Control Language(以下、「PCL(登録商標)」という。)、PostScript(登録商標)(以下、「PS」という。)、IBMPPR、EPSONFXの4つのページ記述言語の解釈系を有している。
【0016】
(実施例1の動作)
図1を元に、本発明の実施例1の画像形成装置10の動作について説明する。
外部装置100は、ユーザ情報を含んでいる画像データ、印刷再開情報、又は印刷中断情報を画像形成装置10に送信する。ユーザ情報を含んでいる画像データは、画像形成装置10のデータ受信部12によって受信され、ユーザ情報抽出部13に渡される。印刷再開情報や印刷中断情報は、データ受信部12によって受信され、取得部17に渡される。
【0017】
ユーザ情報を含んでいる画像データは、ユーザ情報抽出部13によってユーザ情報を抽出されると共に、言語特定部14に渡される。ユーザ情報は、ユーザ情報記憶部18に登録される。
【0018】
ユーザ情報を含んでいる画像データは、言語特定部14によって解析されて候補となるページ記述言語が1つに特定され、1つに特定されたページ記述言語は、記憶部22に保存される。或いは、ユーザ情報記憶部18に登録されたページ記述言語が言語特定部14に参照されることよって、画像データを形成しているページ記述言語が特定され、特定されたページ記述言語は、記憶部22に保存される。1つに特定されたページ記述言語と画像データは、言語特定部14を介して画像データ展開部15に渡される。
【0019】
画像データは、画像データ展開部15において、特定されたページ記述言語の解釈系によって展開される。本実施例1の画像データ展開部15は、PS、PCL(登録商標)、IBMPPR、EPSONFXという4つのページ記述言語の解釈系を有し、これらのページ記述言語で構成された画像データを展開する。展開された画像データは、印刷部16によって印刷される。
【0020】
外部装置100からの印刷再開情報と印刷中断情報は、取得部17によって取得される。取得部17は、印刷制御部19を介して印刷部16に、印刷再開と印刷中断を指示する。
【0021】
更に、印刷再開情報は、データ受信部12とユーザ情報抽出部13とを介して言語特定部14に渡され、言語特定部14が特定した言語は、ユーザ情報記憶部18に登録される。
【0022】
言語が特定できなかった場合のメッセージ61,62は、メッセージ生成部20によって生成され、送信制御部21を介して外部装置100に送信されて表示される。外部装置100は、図示しない常駐アプリケーションが常時動作しており、画像形成装置10からのメッセージを待ち受けている。図示しない常駐アプリケーションは、画像形成装置10からのメッセージを受信すると、図示しない表示装置にメッセージを表示する。
【0023】
図2は、図1の画像形成装置の動作を示すフローチャートである。
ここでは、ページ言語が特定できなかった場合にデータを一部印刷させて、ユーザに印字結果の確認を促し、印刷するか否かを決めてもらう方法について詳細に説明する。
【0024】
処理が開始すると、ステップS1において、画像形成装置10内のデータ受信部12は、外部装置100から画像データを受信する。ユーザ情報抽出部13は、ステップS2において、画像データを解析してユ一ザ情報を抽出し、ステップS3において、抽出したユーザ情報をユーザ情報記憶部18に登録すると共に、画像データを言語特定部14に渡す。
【0025】
ステップS4において、言語特定部14は、画像データを解析し、画像データを構成するページ記述言語の候補である候補ページ記述言語の特定を試みる。ステップS5において、言語特定部14は、候補ページ記述言語が1つに特定できたか否かを判断する。候補ページ記述言語が1つに特定できた場合、ステップS6において、画像データ展開部15は、特定された候補ページ記述言語で画像データを展開し、ステップS9において、印刷部16は展開された画像データを印刷する。
【0026】
ステップS5において、言語特定部14が画像データを構成するページ記述言語の候補を1つに特定できず、複数の候補ページ記述言語が検出された場合には、ステップS7の処理を行う。ステップS7において、言語特定部14は、ページ記述言語がユーザ情報記憶部18に登録がされているか否かを判断する。すでにユーザ情報にページ記述言語が登録されている場合は、ステップS8において、登録されているページ記述言語で画像データを展開し、ステップS9において、印刷部16は展開された画像データを印刷し、図2の処理を終了する。
【0027】
図3は、図2においてユーザ情報にページ記述言語が登録されていない場合の動作を示すフローチャートである。
【0028】
ステップS20において、画像データを記憶部22に保存する。複数の候補ページ記述言語を順番に現在のページ記述言語として、ステップS21〜S31の処理を繰り返す。
【0029】
ステップS22において、画像データ展開部15は、現在のページ記述言語で画像データを展開する。ステップS23において、言語特定部14は、ページ記述言語を特定できなかった旨をメッセージ生成部20に通知する。
【0030】
ステップS24において、印刷制御部19は、印刷部16に展開された画像データの一部を印刷させ、一旦印刷を中断させる。ステップS25において、メッセージ生成部20は、ユーザに通知するメッセージ61を生成し、送信制御部21に渡す。
【0031】
ステップS26において、送信制御部21は、外部装置100にメッセージ61を送信する。外部装置100は、図示しない表示装置に、後述する図4に示すメッセージ61と「印刷続行する」ボタンと「再判定する」ボタンとを表示する。ユーザが「印刷続行する」ボタンをクリックしたならば、外部装置100は、印刷再開情報を画像形成装置10に送信する。ユーザが「再判定する」ボタンをクリックしたならば、外部装置100は、印刷中断情報を画像形成装置10に送信する。
【0032】
ステップS27において、取得部17は、データ受信部12を介して外部装置100からの情報を取得する。ステップS28において、取得部17は、外部装置100からの情報が印刷再開と印刷中断のいずれであるかを判断し、印刷再開ならばステップS51の処理を行う。ステップS29において、取得部17は、印刷制御部19に印刷中断を指示する。ステップS30において、印刷制御部19は、印刷部16に印刷中断を指示する。
【0033】
ステップS31において、画像データ展開部15が、全ての候補ページ記述言語を繰り返していないならば、ステップS21の処理に戻り、全ての候補ページ記述言語を繰り返したならば、ステップS41の処理を行う。
【0034】
ステップS51において、取得部17は、印刷制御部19に印刷再開を指示する。ステップS52において、印刷制御部19は、中断していたデータを再開するように印刷部16に指示し、ステップS53において、現在のページ記述言語を候補ページ記述言語としてユーザ情報記憶部18に登録する。ステップS54において、印刷部16は、中断していた画像データの残りを印刷し、ステップS55において、記憶部22から画像データを削除する。
【0035】
ステップS31において、画像データ展開部15は、全ての候補ページ記述言語を試したならば、ステップS41において、正しく印刷できるページ記述言語がない皆をメッセージ生成部20に通知する。
【0036】
ステップS42において、メッセージ生成部20は、ユーザに通知するメッセージ62を生成して送信制御部21に渡す。外部装置100は、後述する図5に示すメッセージ62を、図示しない表示装置に、メッセージ62とOKボタンを表示する。ステップS55において、記憶部22から画像データを削除する。
【0037】
図4は、図3においてページ記述言語が特定できないときのメッセージを示す図である。
【0038】
図3のステップS26において、送信制御部21は、外部装置100にメッセージ61を送信し、外部装置100は、図示しない表示装置にメッセージ61と「印刷続行する」ボタンと「再判定する」ボタンとを表示する。メッセージ61の内容は、「今送信されたジョブを印刷するページ記述言語が確定できませんでした。正しく印刷されない可能性があります。候補となるページ記述言語で処理し、1枚印刷しましたので、印刷物を確認し、印刷続行するか否かを判断してください。」である。ユーザは、印刷物を確認し、印刷の良否にもとづいて「印刷続行する」ボタン又は「再判定する」ボタンをクリックする。
【0039】
図5は、図3において候補となるページ記述言語が無い場合のメッセージを示す図である。
【0040】
図3のステップS41において、画像データ展開部15は、全ての候補ページ記述言語を試したならば、正しく印刷できるページ記述言語がない皆をメッセージ生成部20に送信し、外部装置100は、図示しない表示装置にメッセージ62と「OK」ボタンとを表示する。メッセージ62の内容は、「今送信されたジョブを印刷するページ記述言語がありません。このジョブは正しく印刷することができません。ドライバを経由して再度印刷してください。」である。その後ユーザは、「OK」ボタンをクリックする。
【0041】
図6は、コマンドとページ記述言語の組み合わせテーブルを示す図である。
PSとPCL(登録商標)とは、ドライバを介して画像データが送信されることが多い。ドライバは、画像データにページ記述言語を特定するコマンドを付与する。よって、ページ記述言語を特定するコマンドによって、画像データを構成するページ記述言語が特定されことが多い。それに対し、IBMPPRとEPSONFXとは、ドライバを介さずに画像データが直接に送信される。よって、ページ記述言語を特定するコマンドは付与されておらず、画像データを構成するページ記述言語を特定する処理が必要となる。
【0042】
IBMPPR、EPSONFX、PCL(登録商標)は、コマンド体系が同じである。よって、IBMPPR、EPSONFX、PCL(登録商標)で構成された画像データがドライバを介さずに送信された場合は、画像データを構成するページ記述言語を特定することは困難であるため、図6に示すようなコマンドとページ記述言語の組み合わせテーブルを用いる。
【0043】
図6に示す組み合わせテーブルは、行方向に各コマンドA〜Gが記載され、列方向に、ページ記述言語の種類が記載されている。テーブル中の「×」は、このコマンドは、このページ記述言語ではサポートされていないことを示している。テーブル中の「対応」は、このコマンドは、このページ記述言語でサポートされており、対応していることを示している。
【0044】
図7は、本発明の実施例1のページ記述言語の特定方法を示す図である。
言語特定部14は、画像データの先頭から1つ1つコマンドを抽出し、図6に示すコマンドとページ記述言語の組み合わせテーブルを使用して候補をあげていく。図7の左側のコマンドAはコマンド列の先頭であり、以降右側に向かってコマンド列が並んである。
【0045】
最初に、ワークフローW1のコマンドAの抽出において、このコマンドAは、PCL(登録商標)、EPSONFX、IBMPPRがサポートしていると判定する。このとき候補となるページ記述言語は、PCL(登録商標)、EPSONFX、IBMPPRである。
【0046】
ワークフローW2のコマンドBの抽出において、このコマンドBは、PCL(登録商標)、EPSONFX、IBMPPRがサポートしていると判定する。このとき、候補となるページ記述言語は、PCL(登録商標)、EPSONFX、IBMPPRである。
【0047】
ワークフローW3のコマンドCの抽出において、このコマンドCは、IBMPPRのみがサポートしていると判定する。このとき、当該画像データを構成する候補となるページ記述言語は、IBMPPRに特定される。ここで言語特定処理は完了し、コマンドD、コマンドEの抽出と判定は不要である。
【0048】
図8は、本発明の実施例1のページ記述言語の候補抽出方法を示す図である。
言語特定部14は、画像データの先頭から1つ1つコマンドを抽出し、図6に示すコマンドとページ記述言語の組み合わせテーブルを使用して候補をあげていく。図8の左側のコマンドAはコマンド列の先頭であり、以降右側に向かってコマンド列が並んである。
【0049】
最初にワークフローW11のコマンドAの抽出において、このコマンドAは、PCL(登録商標)、EPSONFX、IBMPPRがサポートしていると判定する。このとき候補となるページ記述言語は、PCL(登録商標)、EPSONFX、IBMPPRである。
【0050】
ワークフローW12のコマンドBの抽出において、このコマンドBは、PCL(登録商標)、EPSONFX、IBMPPRがサポートしていると判定する。このとき、候補となるページ記述言語は、PCL(登録商標)、EPSONFX、IBMPPRである。
【0051】
ワークフローW13のコマンドDの抽出において、このコマンドDは、EPSONFX、IBMPPRがサポートしていると判定する。このとき、候補となるページ記述言語は、EPSONFX、IBMPPRである。PCL(登録商標)は、候補から外れるが、まだ1つに特定できていないので、判定を続行する。
【0052】
コマンドD〜Fの抽出において、このコマンドD〜Fは、少なくともEPSONFXとIBMPPRはサポートしていると判定する。候補となるページ記述言語は、EPSONFX、IBMPPRである。
【0053】
図8に示すコマンドAからコマンドFまでのサイズは1024バイトであり、且つ本実施例1における言語特定サイズは1024バイトである。言語特定エリアは、コマンドA〜Fまでであり、次のコマンドGは言語特定エリアを超えているので、ワークフローW19以降は、コマンドの判定は行わない。よって、ページ記述言語は1つに特定されず、候補となるページ記述言語は、IBMPPRとEPSONFXである。
【0054】
(実施例1の効果)
本実施例1の画像形成装置10によれば、次の(A)のような効果がある。
【0055】
(A) 画像形成装置10の利用者が送信したジョブ(=画像データ)のページ記述言語が確定できない場合、画像データの一部を印刷し、ユーザに正しい印字結果か否かを確認することにより、印刷を再開する。よって、ごみ印刷を抑制し、且つ正しいページ記述言語で印刷を得ることができる。
【実施例2】
【0056】
(実施例2の構成)
図9は、本発明の実施例2の画像形成装置を示す概略の構成図であり、実施例1を示す図1中の要素と共通の要素には共通の符号が付されている。
【0057】
本実施例2の画像形成装置10Aは、実施例1の画像形成装置10の構成に加え、算出部31と設定部32とプレビュー表示部33とを備えている。算出部31は、ページ記述言語を特定する際に、それぞれのページ記述言語に対応するコマンドをカウントし、カウントされたコマンド数から一致率を算出する。設定部32は、算出部31が算出した一致率をもとに、一部印刷を行うか又はプレビュー表示を行うかを判断する。プレビュー表示部33は、展開された画像データをプレビュー表示できるよう加工して、送信制御部21に展開した画像データを渡す。
【0058】
本実施例2の言語特定部14の出力側は、実施例1の言語特定部14と同様に画像データ展開部15に接続されていると共に、算出部31と設定部32とを介して画像データ展開部15に接続されている。
【0059】
本実施例2の画像データ展開部15の出力側は、実施例1の画像データ展開部15と同様に印刷部16に接続されていると共に、プレビュー表示部33を介して送信制御部21とパネル表示部23に接続されている。
【0060】
本実施例2の印刷制御部19の出力側は、実施例1の印刷制御部19とは異なり、印刷部16に接続されている。
【0061】
(実施例2の動作)
図9を元に、本発明の実施例2の画像形成装置10Aの動作について説明する。
【0062】
本実施例2の画像形成装置10Aの動作は、外部装置100が、ユーザ情報を含んでいる画像データや印刷再開情報を画像形成装置10に送信したのち、画像データがデータ受信部12とユーザ情報抽出部13と言語特定部14とを介するまでの動作は、実施例1の画像形成装置10の動作と同様である。
【0063】
画像データは、算出部31によって、それぞれのページ記述言語に対応するコマンドがカウントされて一致率が算出される。設定部32は、算出部31が算出した一致率が所定値を超えているか否かによって、画像データの一部印刷又は画像データのプレビュー表示を、画像データ展開部15に指示する。
【0064】
画像データ展開部15は、特定されたページ記述言語でデータを展開すると共に、設定部32の画像データ処理方法の指示に従い、展開した画像データを印刷部16かプレビュー表示部33かのいずれかに渡す。
【0065】
展開された画像データは、プレビュー表示部33によってプレビュー表示可能な形式に変換され、送信制御部21を介して外部装置100に送信される。外部装置100からの印刷再開情報と印刷中断情報は、取得部17によって取得される。取得部17は、印刷再開又は印刷中断を、印刷制御部19を介して印刷部16に指示する。
【0066】
印刷再開情報は、データ受信部12とユーザ情報抽出部13とを介して言語特定部14に渡され、言語特定部14が特定した言語は、ユーザ情報抽出部13に登録される。言語が特定できなかった場合のメッセージ61は、メッセージ生成部20によって生成され、送信制御部21を介して外部装置100に送信されて表示される。
【0067】
本発明の実施例2の画像形成装置10Aは、実施例1の画像形成装置10の図2の処理と同様に、外部装置100から画像データを受信してページ記述言語の特定を試み、ページ記述言語を特定できたならば、特定されたページ記述言語で画像データを展開し、展開された受信データを印刷する。
【0068】
更に、ページ記述言語が特定できなかった場合、コマンド一致率に応じてデータを一部印刷、又はプレビュー表示させて、ユーザに印字結果の確認を促し、印刷する/しないを決めてもらう方法について詳細に説明する。
【0069】
図10は、本発明の実施例2においてユーザ情報にページ記述言語が登録されていない場合の動作を示すフローチャートであり、実施例1を示す図3中の要素と共通の要素には共通の符号が付されている。
【0070】
処理が開始したのち、ステップS20,S21の処理は実施例1と同様である。ステップS21の処理が終了すると、ステップS60の処理を行い、算出部31は、ページ記述言語の一致率を算出し、ステップS61において、一致率が80%以上であるか否かを判断する。一致率が80%以上ならば、ステップS62において設定部32に一部印刷する旨を通知し、一致率が80%未満ならば、ステップS63において設定部32にプレビュー表示する旨を通知する。
【0071】
ステップS22,S23の処理は、実施例1と同様である。ステップS64において、設定部32は、一部印刷が指示されていたならば、ステップS24〜S28の処理を行い、プレビュー表示が指示されていたならば、ステップS65〜S67の処理を行う。
【0072】
ステップS24〜S31の処理は、実施例1の処理と同様である。
ステップS65において、プレビュー表示部33は、展開された画像データをプレビューデータに変換し、送信制御部21に送信する。ステップS66において、メッセージ生成部20は、ユーザに通知するメッセージ61を送信制御部21に渡す。ステップS67において、送信制御部21は、外部装置100にメッセージ61とプレビューデータを送信し、ステップS27の処理を行う。
【0073】
ステップS51〜S55,S41,S42の処理は、実施例1と同様である。
図11(a)〜(c)は、本発明の実施例2におけるページ記述言語の一致率算出方法を示す図である。(a)はコマンド列の例を示す図であり、(b)はページ記述言語と対応するコマンドの例を示す図であり、(c)はページ記述言語と出現コマンド数と一致率の例を示す図である。(a)に示すコマンド列の例は、コマンドAが先頭であり、以降右側に順に7つのコマンド列が並んでいる。
【0074】
算出部31は、画像データの先頭から1つ1つコマンドを抽出し、図6に示すコマンドとページ記述言語の組み合わせテーブルを使用して一致したコマンド数をカウントしていく。
【0075】
最初にコマンドAの抽出において、このコマンドAは、PCL(登録商標)、EPSONFX、IBMPPRがサポートしていると判定する。
【0076】
コマンドBの抽出において、このコマンドBは、PCL(登録商標)、EPSONFX、IBMPPRがサポートしていると判定する。コマンドCの抽出において、このコマンドCは、IBMPPRのみがサポートしていると判定する。コマンドDの抽出において、このコマンドDは、EPSONFX、IBMPPRがサポートしていると判定する。
【0077】
これを、言語特定エリアの1024バイトに至るまで同様のことを繰り返し、それぞれのページ記述言語の出現コマンド数を全コマンド数で割って、一致率とする。算出部31は、一致率が所定値以上であるか否かによって、一部印刷するかプレビュー表示するかを判断する。一般的に、画像データとページ記述言語のコマンドの一致率が低い場合には、このページ記述言語は、この画像データを構成しているページ記述言語とは相違している可能性が高く、よって無駄な印刷となる可能性が高い。本実施例2では、画像データとページ記述言語のコマンドの一致率が低い場合には、画面へのプレビュー表示に留めることにより、無駄な印刷を更に抑制している。
【0078】
(実施例2の効果)
本実施例2の画像形成装置10Aによれば、実施例1の効果に加えて、次の(B)のような効果がある。
【0079】
(B) 画像データとページ記述言語とのコマンドの一致率を算出するようにしたので、一致率が少ない場合には一部印字せずプレビュー表示させることにより、無駄な印制を更に抑制できる。
【0080】
(変形例)
本発明は、上記実施例に限定されず、種々の利用形態や変形が可能である。この利用形態や変形例としては、例えば、次の(a)〜(c)のようなものがある。
【0081】
(a) 実施例1、2は、画像形成装置10,10Aの印刷機能に係るものであったが、ファックス機能や複写機能やコピー機能を含む複合機の印刷機能に適用してもよい。
【0082】
(b) 実施例1では、外部装置100にメッセージ61,62を送信し、ユーザに通知する方法を記述したが、画像形成装置10本体のパネル表示部23にメッセージ61,62を表示し、印刷を続行するか否かをボタン入力させてもよい。これにより、ユーザがプリンタに印刷物の確認に行った際にその場で、印刷を続行するか否かを選択可能という効果を奏する。
【0083】
(c) 実施例2では、外部装置100にプレビュー表示したが、画像形成装置10A本体のパネル表示部23にプレビュー表示すると共にメッセージ61,62を表示し、印刷を続行するか否かをボタン入力させてもよい。これにより、ユーザがプリンタに印刷物の確認に行った際、その場で印刷を続行するか否かを選択可能という効果を奏する。
【符号の説明】
【0084】
10,10A 画像形成装置
12 データ受信部
13 ユーザ情報抽出部
14 言語特定部
15 画像データ展開部
16 印刷部
17 取得部
18 ユーザ情報記憶部
19 印刷制御部
20 メッセージ生成部
21 送信制御部
22 記憶部
23 パネル表示部
31 算出部
32 設定部
33 プレビュー表示部
100 外部装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データを外部装置から受信するデータ受信部と、
前記画像データを解析することにより、前記画像データが構成されている候補である候補ページ記述言語を特定する言語特定部と、
前記候補ページ記述言語を用いて前記画像データを展開する画像データ展開部と、
前記画像データ展開部によって展開された画像データを印刷する印刷部と、
印刷再開情報又は印刷中断情報を取得する取得部と、
前記言語特定部が前記候補ページ記述言語を1つに特定できなかった場合には、複数の前記候補ページ記述言語を順に現在のページ記述言語として、前記現在のページ記述言語を用いて前記画像データの一部を印刷することを繰り返し、前記取得部が前記印刷再開情報を取得した場合には、前記現在のページ記述言語を用いて前記画像データの残りの部分を印刷する印刷制御部と、
を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記言語特定部は、更に、前記画像データを解析することにより前記候補ページ記述言語が1つに特定できたならば前記候補ページ記述言語を登録し、前記画像データを解析前に前記候補ページ記述言語が登録されていたならば前記候補ページ記述言語とすることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記印刷制御部は、前記取得部が前記印刷再開情報を取得した場合には、前記現在のページ記述言語を用いて前記画像データの残りの部分を印刷すると共に、前記現在のページ記述言語を前記候補ページ記述言語として登録することを特徴とする請求項2記載の画像形成装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の画像形成装置は、更に
ページ記述言語と前記画像データとのコマンドの一致率を算出する算出部を備え、
前記印刷制御部は、前記言語特定部が前記候補ページ記述言語を1つに特定できなかった場合には、複数の前記候補ページ記述言語を順に現在のページ記述言語とし、前記現在のページ記述言語と前記画像データとの一致率が所定値以上ならば前記現在のページ記述言語を用いて前記画像データの一部を印刷し、前記一致率が所定値未満ならば前記現在のページ記述言語を用いて前記画像データの一部をプレビューすることを繰り返し、前記取得部が前記印刷再開情報を取得した場合には、前記現在のページ記述言語を用いて前記画像データの残りの部分を印刷することを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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