説明

画像形成装置

【課題】廃トナー容器の満杯検出に用いられる光センサーの発光素子の寿命を延ばすと共に、消費電力を削減する。
【解決手段】トナー画像の転写後の残留トナーを廃トナーとして廃トナーボトル46に回収し、光センサーである満杯検出センサー47を用いて廃トナーボトル46の満杯検出を実行する画像形成装置であって、トナー像のドットカウント値に基づいて廃トナーボトル46内の廃トナー量を推定し、推定された廃トナー量が多くなる程に満杯検出の実行頻度を高くする演算制御部6を具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置には、感光体ドラム上に残留したトナーを廃トナーとして収容するボトル形状の廃トナー容器(廃トナーボトル)と、該廃トナー容器の首部に赤外LED(Light Emitting Diode)等の発光素子により光を照射すると共に、首部を透過する光をフォトトランジスター等の受光素子により受光する光センサーとを備え、当該光センサーの検出結果に基づいて上記首部の光透過量を判定することにより廃トナー容器の満杯検出を行うものがある。例えば、下記特許文献1には、このような画像形成装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−128345号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年、環境意識の高まりにより可能な限り電子部品の寿命を延ばすと共にその消費電力を削減することが望まれている。しかしながら、上記従来技術では、廃トナー容器が空に近い状態であったとしても、廃トナー容器が満杯に近い状態と同じ頻度で発光素子に発光させて満杯検出を行うので、電力を無駄に消費すると共に、発光素子の寿命が短くなってしまう。例えば、発光素子が、比較的寿命が長くかつ消費電力が小さいLEDであったとしても、発光回数が多くなってしまうと、寿命及び消費電力への影響は避けられない。
【0005】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、廃トナー容器の満杯検出に用いられる光センサーの発光素子の寿命を延ばすと共に、消費電力を削減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明では、第1の解決手段として、トナー画像の転写後の残留トナーを廃トナーとして廃トナー容器に回収し、光センサーを用いて廃トナー容器の満杯検出を実行する画像形成装置であって、画像形成の処理情報に基づいて廃トナー容器内の廃トナー量を推定する推定手段と、推定手段により推定された廃トナー量が多くなる程に満杯検出の実行頻度を高くする制御手段とを具備するという手段を採用する。
【0007】
本発明では、第2の解決手段として、上記第1の解決手段において、制御手段は、廃トナー量の取り得る範囲を複数の領域に区分し、各領域に異なる実行頻度を割り当てることにより満杯検出の実行頻度を決定するという手段を採用する。
【0008】
本発明では、第3の解決手段として、上記第2の解決手段において、各領域は、廃トナー量が多いほど狭く設定されているという手段を採用する。
【0009】
本発明では、第4の解決手段として、上記第1〜第3のいずれかの解決手段において、推定手段は、画像形成におけるトナー像のドットカウント値に基づいて廃トナー容器内の廃トナー量を推定するという手段を採用する。
【0010】
本発明では、第5の解決手段として、上記第1〜第3のいずれかの解決手段において、推定手段は、画像形成における印字率に基づいて廃トナー容器内の廃トナー量を推定するという手段を採用する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、光センサーを用いて廃トナー容器内の満杯検出を実行する画像形成装置であって、画像形成の処理情報に基づいて廃トナー容器内の廃トナー量を推定し、推定された廃トナー量が多くなる程に満杯検出の実行頻度を高くする。つまり、本発明によれば、廃トナー容器内の廃トナー量が少ない状態では満杯検出の実行頻度を低くすることができる。したがって、本発明によれば、従来のように廃トナー容器内の廃トナー量に関係なく常に一定頻度で満杯検出を実行していた場合に比べて、満杯検出に使用される光センサーの発光素子の点灯回数を少なくして、その寿命を延ばすことができると共に、消費電力を削減することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態に係る複合機Aの概略構成を示す図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る複合機Aの動作を示すフローチャートである。
【図3】本発明の一実施形態における廃トナー領域と満杯検出の実行間隔との関係を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
本実施形態に係る複合機Aは、電子写真方式に基づいて画像形成を行う画像形成装置であり、図1に示すように、操作表示部1、画像読取部2、画像データ記憶部3、画像形成部4、通信部5及び演算制御部6を備える。
【0014】
操作表示部1は、操作キー及びタッチパネルを備えており、ユーザーと複合機Aとを関係付けるマンマシンインターフェイスとして機能する。操作表示部1は、操作キーまたはタッチパネルに表示された操作ボタンに対するユーザーの操作指示を操作信号として演算制御部6に出力するとともに、演算制御部6から入力される制御信号に基づいてタッチパネルに種々の情報を表示する。
【0015】
画像読取部2は、演算制御部6から入力される制御信号に基づいてADF(Automatic document feeder:自動原稿送り装置)により自動給紙される原稿またはプラテンガラス上に載置された原稿の表面画像(原稿画像)をラインセンサーで読み取って原稿画像データに変換し、この原稿画像データを画像データ記憶部3に出力する。
【0016】
画像データ記憶部3は、半導体メモリーまたはハードディスク装置等であり、演算制御部6から入力される制御信号に基づいて、原稿画像データ、通信部5が外部のクライアントコンピューターから受信するプリント画像データ及び通信部5が外部のファクシミリ装置から受信するファクシミリ画像データを記憶すると共にこれら画像データを読み出して画像形成部4に出力する。
【0017】
画像形成部4は、演算制御部6から入力される制御信号に基づいて、給紙カセット48から取り出した記録紙Pに画像データ記憶部3から読み出した画像データに基づくトナー像を画像形成するものである。このような画像形成部4は、図1に示すように、ベルトローラー41、中間転写ベルト42、トナーの各色(Y,M,C,K)に対応する4つの画像形成ユニット43Y,43M,43C,43K、1次転写ローラー44Y,44M,44C,44K、廃トナー搬送部45、廃トナーボトル46、満杯検出センサー47、給紙カセット48、ピックアップローラー49、搬送ローラー50、レジストローラー51、2次転写ローラー52、定着ローラー53、排紙ローラー54及び排紙トレイ55を備えている。なお、廃トナーボトル46は、本実施形態における廃トナー容器である。
【0018】
ベルトローラー41は、図示するように、離間して配設された3つのローラー、つまり駆動ローラー41a、従動ローラー41b及びテンションローラー41cからなる。すなわち、駆動ローラー41aと従動ローラー41bとは水平方向に一定距離を空けて配置され、テンションローラー41cは、このような駆動ローラー41aと従動ローラー41bとの間かつ若干上方に変位した位置に配置されている。中間転写ベルト42は、このようなベルトローラー41(駆動ローラー41a、従動ローラー41b、テンションローラー41c)に架け渡された無端ベルトであり、駆動ローラー41aによって矢印で示す方向に走行する。
【0019】
すなわち、中間転写ベルト42は、駆動ローラー41aと従動ローラー41bとの間においては水平方向に走行する。また、上述した駆動ローラー41aは、駆動力を発生するモーターが軸結合されたローラーであり、モーターの動力によって中間転写ベルト42を矢印方向に走行させる。上記従動ローラー41bは、自由回転するように設けられたフリーローラーであり、中間転写ベルト42を駆動ローラー41aの動力に従って案内する。また、上記テンションローラー41cは、回転軸が可動可能に設けられ、所定の付整力で中間転写ベルト42を押圧することにより一定のテンション(張力)を中間転写ベルト42に付与するローラーである。
【0020】
画像形成ユニット43Y,43M,43C,43Kは、図示するように、上述した中間転写ベルト42の水平走行部位に所定間隔を空けて設けられている。これら画像形成ユニット43Y,43M,43C,43Kのうち、画像形成ユニット43Yは、イエロー(Y)のトナー画像を形成するユニットであり、従動ローラー41bに最も近い位置に設けられている。画像形成ユニット43Mは、マゼンダ(M)のトナー画像を形成するユニットであり、上記画像形成ユニット43Yの次に従動ローラー41bに近い位置に設けられている。画像形成ユニット43Cは、シアン(C)のトナー画像を形成するユニットであり、上記画像形成ユニット43Mの次に従動ローラー41bに近い位置に設けられている。画像形成ユニット43Kは、ブラック(K)のトナー画像を形成するユニットであり、駆動ローラー41aに最も近い位置に設けられている。
【0021】
このような画像形成ユニット43Y,43M,43C,43Kは、図示するように、感光体ドラム43a、帯電部43b、レーザースキャニングユニット43c、現像ユニット43d及びクリーナー43eを構成要素としている。なお、画像形成ユニット43Y,43M,43C,43Kは、トナー画像の色のみが異なっているだけであり、構成要素は同一である。
【0022】
感光体ドラム43aは、周面が所定の感光体材料(例えばアモルファスシリコン)で形成された円筒部材である。帯電部43bは、感光体ドラム43aの周面(感光面)を均一に帯電させるものである。レーザースキャニングユニット43cは、帯電状態の上記感光面にレーザー光を照射することにより、感光面に静電潜像を形成するものである。現像ユニット43dは、感光面にトナーを供給することにより当該感光面に形成された静電潜像をトナー画像として現像するものである。クリーナー43eは、トナー画像の転写後の感光面に残留するトナー(残留トナー)を掻き落として除去するものである。
【0023】
1次転写ローラー44Y,44M,44C,44Kは、図示するように画像形成ユニット43Y,43M,43C,43Kに対応して4つ設けられており、各々に中間転写ベルト42を挟んだ状態で各画像形成ユニット43Y,43M,43C,43Kの感光体ドラム43aに対向配置されている。また、各1次転写ローラー44Y,44M,44C,44Kには1次転写バイアス(高電圧)が印加されており、各1次転写ローラー44Y,44M,44C,44Kは、この1次転写バイアスの作用によって各画像形成ユニット43Y,43M,43C,43Kの記感光体ドラム43aにそれぞれ形成された各色のトナー像を中間転写ベルト42に転写(1次転写)させる。
【0024】
廃トナー搬送部45は、搬送スクリューや該搬送スクリューを収容する搬送路等から構成されており、各画像形成ユニット43Y,43M,43C,43Kのクリーナー43eにより感光面から掻き落とされた残留トナーを回収し、廃トナーTとして廃トナーボトル46に搬送するものである。廃トナーボトル46は、上記廃トナー搬送部45から供給された廃トナーTを収容・貯留する容器であり、複合機本体に着脱自在に取り付けられている。
【0025】
この廃トナーボトル46は、図示するように、首部46aの上部に設けられた収容口46b(開口)が上向きとなるように複合機本体に装着されており、廃トナー搬送部45の後端部から落下する廃トナーTを収容口46bから収容する。なお、このような廃トナーボトル46は、満杯状態まで廃トナーTを収容すると、ユーザーによって取り外されて内容物である廃トナーTが取り出され、空状態となって再装着される。また、満杯状態まで廃トナーが収容された廃トナーボトル46は、ユーザーによって取り外されて、新たな廃トナーボトル46が装着されてもよい。
【0026】
満杯検出センサー47は、このような廃トナーボトル46の首部46aに所定の光(検査光)を照射することにより廃トナーボトル46の満杯検出を行う光センサーである。すなわち、満杯検出センサー47は、図1に示すように、廃トナーボトル46の首部46aに対応する位置に設けられた赤外LED(Light Emitting Diode)47a(発光素子)と、当該赤外LED47aに首部46aを挟んで対向配置されたフォトトランジスタ47b(受光素子)とから構成されており、赤外LED47aから首部46aに照射された検査光の透過強度をフォトトランジスタ47bで検出することによって、廃トナーボトル46内の廃トナーTが首部46aに差し掛かるまで増えたか、つまり廃トナーボトル46が満杯状態になったかを検出する。
【0027】
廃トナーボトル46において廃トナーTが首部46aに差し掛かるまで増えると、廃トナーTによって検査光が遮られるので、フォトトランジスタ47bで検出される検査光の透過強度は低下する。満杯検出センサー47は、このような検査光の透過強度を示す信号を検出信号として演算制御部6に出力する。
【0028】
給紙カセット48は、A4サイズやB5サイズ等、所定形状の記録紙Pを複数枚重ねた状態で収容する容器である。ピックアップローラー49は、給紙カセット48の上部において記録紙Pに圧接するように設けられ、給紙カセット48内の記録紙Pを1枚づつ取り出して搬送ローラー50に送り出すローラーである。搬送ローラー50は、ピックアップローラー49から給紙された記録紙Pをレジストローラー51に向けて搬送するローラーである。レジストローラー51は、搬送ローラー50から供給された記録紙Pを所定のタイミングで2次転写ローラー52に供給するローラーである。
【0029】
2次転写ローラー52は、中間転写ベルト42を挟んで駆動ローラー41aに対向配置されたローラーであり、中間転写ベルト42上のトナー画像を記録紙Pに転写(2次転写)させるものである。この2次転写ローラー52には、2次転写バイアス(高電圧)が印加されており、2次転写ローラー52は、この2次転写バイアスの作用によって中間転写ベルト42上のトナー画像を記録紙Pに転写(2次転写)させる。
【0030】
定着ローラー53は、内部にヒータを備えた加熱ローラー53aと、当該加熱ローラー53aに圧接する加圧ローラー53bとから構成されている。この定着ローラー53は、加熱ローラー53aと加圧ローラー53bとで各色のトナー画像が転写された記録紙Pを挟み込むことにより記録紙Pを加熱及び加圧して、各色のトナー画像を記録紙P上に定着させる。排紙ローラー54は、定着ローラー53から供給された記録紙Pを排紙トレイ55に向けて搬送するローラーである。排紙トレイ55は、排紙ローラー54から供給された記録紙Pを収容・保持する収容部である。
【0031】
通信部5は、演算制御部6から入力される制御信号に基づいて、電話回線を介して外部の複合機あるいはファクシミリ装置と通信を行うと共に、LAN(Local Area Network)を介してクライアントコンピューター等と通信を行うものである。すなわち、この通信部5は、G3等のファクシミリ規格に準拠した通信機能とイーサネット(登録商標)等のLAN規格に準拠した通信機能とを兼ね備えたものである。
【0032】
演算制御部6は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)及び電気的に相互接続された各部と各種信号の送受信を行うインターフェイス回路等から構成されている。この演算制御部6は、上記ROMに記憶された制御プログラムに基づいて各種の演算処理を行うと共に各部と通信を行うことにより複合機Aの全体動作を制御する。
【0033】
詳細については後述するが、演算制御部6は、上記各種の演算処理の一環として上記廃トナーボトル46の満杯判定処理を行う。すなわち、演算制御部6は、画像形成ユニット43Y,43M,43C,43Kにおける各色の画像形成の処理情報に基づいて廃トナーボトル46内の廃トナーTの量(廃トナー量)を推定すると共に、自らが推定した廃トナー量が多くなる程に満杯検出の実行頻度を高くするように満杯検出センサー47を制御する。このような演算制御部6は、本実施形態における推定手段及び制御手段である。
【0034】
次に、このように構成された複合機Aの動作について説明する。
最初に本複合機Aの全体動作を説明する。例えばユーザーがADFに原稿をセットし、また操作表示部1を操作することによって原稿の複写(コピー)を指示すると、当該指示に関する指示信号は操作表示部1から演算制御部6に入力される。この結果、演算制御部6は、画像読取部2に原稿の頁毎に原稿画像を順次読み取らせると共に、当該原稿画像の原稿画像データを画像データ記憶部3に記憶させる。そして、演算制御部6は、上記原稿画像データに基づいて各トナー色に対応するビットマップ画像データをそれぞれ生成し、これらビットマップ画像データに基づいて原稿画像の画像形成処理を画像形成部4に実行させる。
【0035】
すなわち、演算制御部6は、ピックアップローラー49を駆動させて給紙カセット48内の記録紙Pを1枚づつ取り出して搬送ローラー50に送り出させると共に当該搬送ローラー50を駆動させて記録紙Pをレジストローラー51に向けて搬送させる。また、演算制御部6は、駆動ローラー41aを駆動させて中間転写ベルト42を走行状態とすると共に、各画像形成ユニット43Y,43M,43C,43Kを駆動させ、上述した各ビットマップ画像データに基づいて各色のトナー像を各感光体ドラム43aの感光面(周面)に形成させる。そして、演算制御部6は、各1次転写ローラー44Y,44M,44C,44Kに1次転写バイアスを印加させることによって、各感光体ドラム43aのトナー像を中間転写ベルト42上に1次転写させる。
【0036】
そして、演算制御部6は、画像形成ユニット43Y,43M,43C,43Kにおける各色の画像形成の処理タイミングに合わせてレジストローラー51を駆動させると共に2次転写ローラー52に2次転写バイアスを印加させることによって、記録紙Pの所望位置に中間転写ベルト42上のトナー画像(原稿画像)を2次転写させる。そして、演算制御部6は、定着ローラー53及び排紙ローラー54を駆動させて、記録紙P上のトナー画像を定着させると共に排紙トレイ55に排出させる。
【0037】
このような画像形成部4の画像形成処理においては、1枚の記録紙Pに対する画像形成の度に、廃トナーTが各画像形成ユニット43Y,43M,43C,43Kから廃トナー搬送部45を介して廃トナーボトル46に収容される。演算制御部6は、図2のフローチャートに示すように、各ビットマップ画像データに基づいて、廃トナーボトル46が空になってから各画像形成ユニット43Y,43M,43C,43Kが今までに形成したトナー像のドットカウント値を記録紙P毎かつ各トナー色毎に算出する(ステップS1)。
【0038】
そして、演算制御部6は、当該各ドットカウント値の積算値と予め記憶している1ドットあたりのトナー消費量とを乗算することによって、各トナー色毎にトナー消費量を算出する(ステップS2)。そして、演算制御部6は、各トナー色のトナー消費量を合計することにより、廃トナーボトル46が一旦取り外されて空状態になってから今までに、画像形成によって消費された総トナー消費量を算出する(ステップS3)。
【0039】
そして、演算制御部6は、例えば上記総トナー消費量に所定の係数(推定係数)を乗算することによって、廃トナーボトル46が一旦空状態になってから今までに廃トナーボトル46に収容された廃トナー量を算出(推定)する(ステップS4)。すなわち、各画像形成ユニット43Y,43M,43C,43Kの現像ユニット43dから感光体ドラム43aに供給されるトナー量(つまりトナー消費量)のうち、中間転写ベルト42に転写されずに感光体ドラム43aに残留するトナー量(残留トナー量)は、個々の画像形成において多少のばらつきがあるものの多数回の画像形成について見ると、ある一定の割合(トナー残留率)となる。
【0040】
演算制御部6は、このような推定係数を制御用パラメーターの1つとして予め記憶しており、当該推定係数と上記ステップS3によって計算された総トナー消費量とに基づいて廃トナー量を算出(推定)する。なお、ステップS4において算出された廃トナー量は、廃トナーボトル46が一旦取り外されて空状態になる度にリセットされて「0」になる。
【0041】
続いて、演算制御部6は、ステップS4の処理の後に、自らが推定した廃トナー量に基づいて満杯検出の実行頻度を設定する(ステップS5)。この実行頻度の設定方法については、図3を参照して以下に詳しく説明する。
【0042】
演算制御部6は、廃トナー量の取り得る範囲を複数の領域(廃トナー領域)に区分し、当該廃トナー領域の各々に満杯検出の実行頻度を割り当てている。このような廃トナー領域と満杯検出の実行頻度との関係は、例えば制御テーブルとして演算制御部6に予め記憶されている。
【0043】
図3は、廃トナー量における廃トナー領域と満杯検出の実行頻度との関係の一例を示しており、3つの廃トナー領域R1〜R3が設定されている状態を示している。これら3つの廃トナー領域R1〜R3は、図示するように廃トナー量が多いほど狭い領域、つまり廃トナー領域R1→廃トナー領域R2→廃トナー領域R3の順で狭く設定されている。また、廃トナー量は時間経過と共に徐々に増加するが、図3では、一番少ない廃トナー量に対応する廃トナー領域R1には満杯検出の実行頻度として100ms間隔が割り当て、次に少ない廃トナー量に対応する廃トナー領域R2には満杯検出の実行頻度として70ms間隔が割り当て、一番多い廃トナー量に対応する廃トナー領域R3には満杯検出の実行頻度として50ms間隔が割り当てることを示している。
【0044】
演算制御部6は、ステップS4で計算された廃トナー量が比較的少ない廃トナー領域R1に属する場合には、最も長い間隔である100ms間隔を満杯検出の実行頻度として割り当て、廃トナー量が中くらいの廃トナー領域R2に属する場合には、中くらいの間隔である70ms間隔を満杯検出の実行頻度として割り当て、廃トナー量が比較的多い廃トナー領域R3に属する場合には、最も短い間隔である50ms間隔を満杯検出の実行頻度として割り当てる。すなわち、演算制御部6は、自らが推定した廃トナー量が多くなる程に満杯検出の実行頻度を高くするように満杯検出センサー47を制御する。
【0045】
このように、演算制御部6は、画像形成部4が記録紙Pの1頁分の画像形成を行う度に、上記ステップS1〜S5の処理を実行して満杯検出の実行頻度を決定する。そして、演算制御部6は、当該決定された頻度で赤外LED47aに発光信号を出力すると共にフォトトランジスタ47bの検出信号を取り込むことにより廃トナーボトル46の満杯検出を行う(ステップS6)。例えばステップS4で計算される廃トナー量が廃トナー領域R1に属する場合、100ms間隔で赤外LED47aに発光信号を出力すると共にフォトトランジスタ47bの検出信号を100ms間隔で取り込むことにより廃トナーボトル46が満杯状態になったか否かを判定する。
【0046】
このような本実施形態によれば、廃トナーボトル46内の廃トナー量を推定し、推定された廃トナー量が多くなる程に満杯検出の実行頻度を高くする。つまり、本実施形態によれば、廃トナーボトル46内の廃トナー量が少ない状態では満杯検出の実行頻度を低くすることができる。これにより、本実施形態によれば、従来のように廃トナーボトル46内の廃トナー量に関係なく常に一定頻度で満杯検出を実行していた場合に比べて、満杯検出に使用される満杯検出センサー47の赤外LED47aの点灯回数を少なくして、その寿命を延ばすことができると共に、消費電力を削減することが可能である。
【0047】
また、本実施形態によれば、3つの廃トナー領域R1〜R3が廃トナー領域R1→廃トナー領域R2→廃トナー領域R3の順で狭く設定されているので、廃トナー量が多くなるほどに満杯検出の実行頻度が高くなる。したがって、これによっても従来よりも満杯検出センサー47の寿命を延ばすことができると共に、消費電力を削減することが可能である。
【0048】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されることなく、例えば以下のような変形が考えられる。
(1)上記実施形態において、演算制御部6は、ドットカウント値をトナー消費量に関連性を有する画像形成の処理情報として用いて廃トナーボトル46内の廃トナー量を推定したが、本発明はこれに限定されず、トナー消費量に関連性を有する画像形成の処理情報であればドットカウント値以外の情報を用いてもよい。例えばトナー消費量に関連性を有する原稿画像の印字率に基づいて廃トナーボトル46内の廃トナー量を推定するようにしてもよい。すなわち、演算制御部6は、画像データに基づいて原稿画像の印字率を頁毎に算出し、該印字率に基づいて原稿画像の画像形成に要するトナー消費量を各トナー色毎に算出し、廃トナーボトル46を一旦空状態にしてから今までの総トナー消費量を上記各トナー色毎のトナー消費量に基づいて算出し、該総トナー消費量と推定係数とに基づいて廃トナーボトル46内の廃トナー量を推定する。
【0049】
また、演算制御部6は、実行ジョブ数に基づいて廃トナーボトル46内の廃トナー量を推定してもよい。例えば、演算制御部6は、1つのジョブあたりのトナー消費量の平均値を予め記憶し、廃トナーボトル46を一旦空状態にしてから今までに実行されたジョブ数と1つのジョブあたりのトナー消費量の平均値とに基づいて総トナー消費量を算出し、該総トナー消費量に基づいて廃トナーボトル46内の廃トナー量を推定する。
【0050】
(2)上記実施形態では、図3に示すように廃トナー量の取り得る範囲を3つの廃トナー領域R1〜R3に区分することにより100ms間隔、70ms間隔及び50ms間隔という3つの満杯検出の実効頻度の何れかを設定したが、廃トナー領域の区分数は3つ以外でも良く、また満杯検出の実効頻度も3つの間隔に限定されない。また、上記実施形態では、廃トナー量が多いほど狭い領域となるように3つの廃トナー領域R1〜R3を設定したが、廃トナー領域R1〜R3を全て同一の広さに設定しても良い。
【0051】
(3)上記実施形態では、廃トナーボトル46に満杯検出センサー47が設けられ、当該満杯検出センサー47が用いられる廃トナーボトル46の満杯検出における実行頻度を制御しているが、本発明はこれに限定されない。つまり、ボトル形状ではない廃トナー容器に満杯検出センサーが設けられ、当該満杯検出センサーを用いて廃トナー容器の満杯検出を行う画像形成装置に本発明を適用する。これによって、ボトル形状ではない廃トナー容器の満杯検出における実行頻度を制御するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0052】
A…複合機、1…操作表示部、2…画像読取部、3…画像データ記憶部、4…画像形成部、5…通信部、6…演算制御部(推定手段、制御手段)、41…ベルトローラー、42…中間転写ベルト、43Y,43M,43C,43K…画像形成ユニット、44Y,44M,44C,44K…1次転写ローラー、45…廃トナー搬送部、46…廃トナーボトル(廃トナー容器)、47…満杯検出センサー、48…給紙カセット、49…ピックアップローラー、50…搬送ローラー、51…レジストローラー、52…2次転写ローラー、53…定着ローラー、54…排紙ローラー、55…排紙トレイ、41a…駆動ローラー、41b…従動ローラー、41c…テンションローラー、43a…感光体ドラム、43b…帯電部、43c…レーザースキャニングユニット、43d…現像ユニット、43e…クリーナー、46a…首部、46b…収容口、47a…赤外LED、47b…フォトトランジスタ、53a…加熱ローラー、53b…加圧ローラー、P…記録紙、T…廃トナー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナー画像の転写後の残留トナーを廃トナーとして廃トナー容器に回収し、光センサーを用いて前記廃トナー容器の満杯検出を実行する画像形成装置であって、
画像形成の処理情報に基づいて前記廃トナー容器内の廃トナー量を推定する推定手段と、
前記推定手段により推定された廃トナー量が多くなる程に前記満杯検出の実行頻度を高くする制御手段とを具備することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記廃トナー量の取り得る範囲を複数の領域に区分し、各領域に異なる実行頻度を割り当てることにより満杯検出の実行頻度を決定することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記各領域は、廃トナー量が多いほど狭く設定されていることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記推定手段は、画像形成におけるトナー像のドットカウント値に基づいて前記廃トナー容器内の廃トナー量を推定することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記推定手段は、画像形成における印字率に基づいて前記廃トナー容器内の廃トナー量を推定することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−25237(P2013−25237A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−162070(P2011−162070)
【出願日】平成23年7月25日(2011.7.25)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】