説明

画像形成装置

【課題】廃トナー容器が廃トナーで満杯になったことをより確実に判定することができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】プリンター1は、トナーによる画像を被転写材に形成する画像形成部30と、画像形成部30から排出されたトナーを廃トナーとして回収する廃トナー容器22と、廃トナー容器22に回収された廃トナー23の堆積量に応じた検出信号を出力する磁気センサー100と、磁気センサー100から出力された検出信号が予め設定された閾値以上となり、且つ予め設定された許容範囲よりも変動した場合には、廃トナー容器22が満杯であると判定する判定部91と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンター、ファクシミリ等の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、トナーを用いる電子写真方式の画像形成装置では、感光体ドラム上にトナー像を形成し、このトナー像を用紙等の被転写材に転写させ、更に定着させることにより、画像を被転写材に形成する。このとき、被転写材に転写されなかったトナー(以下、「廃トナー」という)は、廃トナー容器に回収される。そして、廃トナー容器が廃トナーで満杯になると、廃トナーは、ユーザーにより装置本体から廃トナー容器ごと取り出され、廃棄又は再利用のための処理に回される。
【0003】
このような廃トナー容器に関する従来技術として、廃トナー容器の開口部付近に光センサーを配置し、この光センサーの出力に基づいて廃トナー容器が満杯となったことを検知する画像形成装置が提案されている(特許文献1参照)。また、トナー容器内に平面アンテナを設け、この平面アンテナの電極間における静電容量の変化を観測することにより、トナー容器内に収容されたトナーの残量を検知する画像形成装置が提案されている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−152252号公報
【特許文献2】特開2002−328520号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した特許文献1のように、廃トナーの位置の変化を光学的に検知する方式では、LED等の光源が必要となる。一方、特許文献2のように、廃トナーの増加による静電容量の変化を検知する方式では、光源が不要なため、光源の寿命を考慮する必要がないという利点がある。また、静電容量の変化を検知する方式では、廃トナー容器を光透過性の部材にしなくてもよいという利点もある。
【0006】
しかし、磁気の変化を検知する方式において、磁気センサーの近傍に金属片や磁石等の磁性体が置かれた場合には、廃トナー容器が満杯になっていないにも関わらず、堆積した廃トナーの磁気に大きな変化が生じ、廃トナー容器が満杯であると誤判定されるおそれがある。
【0007】
本発明は、廃トナー容器が満杯になったことをより確実に判定することができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、トナーによる画像を被転写材に形成する画像形成部と、前記画像形成部から排出されたトナーを廃トナーとして回収する廃トナー容器と、前記廃トナー容器に回収された廃トナーの堆積量に応じた検出信号を出力する磁気センサーと、前記磁気センサーから出力された検出信号が予め設定された閾値以上となり且つ予め設定された許容範囲よりも変動した場合には、前記廃トナー容器が満杯であると判定する制御部と、を備える画像形成装置に関する。
【0009】
また、画像形成装置の前記制御部は、前記磁気センサーから出力された検出信号が予め設定された閾値以上となり且つ予め設定された許容範囲よりも変動しない場合には、前記廃トナー容器が満杯でないと判定することが好ましい。
【0010】
また、画像形成装置は、使用者に対し情報を報知する報知部と、前記磁気センサーから出力された検出信号が予め設定された閾値以上となり且つ予め設定された許容範囲よりも変動しないことが前記判定部により判定された場合に、前記磁気センサー近傍の検査を促す情報を前記報知部に報知させる報知制御部と、を備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、廃トナー容器が満杯になったことをより確実に判定することができる画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施形態のプリンター1の全体構成を説明するための図である。
【図2】プリンター1における廃トナー回収機構20の構成を示す概略断面図である。
【図3】プリンター1の機能構成を示すブロック図である。
【図4】(A)、(B)は廃トナー容器22が満杯となる前の状態を示す説明図である。
【図5】(A)、(B)は廃トナー容器22が満杯となった時の状態を示す説明図である。
【図6】磁気センサー100で検出される電圧波形を示す図である。
【図7】磁気センサー100から出力される検出信号を示す図である。
【図8】判定部91及び報知制御部92が廃トナー容器22の満杯を検知する動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本発明の画像形成装置の一実施形態に係るプリンター1について説明する。まず、プリンター1の全体構成について説明する。図1は、本実施形態におけるプリンター1の全体構成を説明するための図である。
図1に示すように、プリンター1は、用紙搬送部10と、画像形成部30と、定着部40と、を備える。また、プリンター1は、後述する廃トナー回収機構20を備える(図1には不図示)。
【0014】
用紙搬送部10は、第1送りローラー11と、第2送りローラー12と、レジストローラー対13と、第1ローラー対14と、第2ローラー対15と、用紙排出部16と、を備える。また、用紙Tが搬送される搬送路Lは、第1送りローラー11又は第2送りローラー12から画像形成部30(後述の転写ニップN)までの第1搬送路L1と、画像形成部30(後述の転写ニップN)から定着部40までの第2搬送路L2と、定着部40から用紙排出部16までの第3搬送路L3と、定着部40から排出された用紙Tをレジストローラー対13に戻す第4搬送路L4と、を備える。
【0015】
第1送りローラー11は、給紙カセット17に収容される用紙T(被転写材)を第1搬送路L1に供給する。第2送りローラー12は、手差トレイ18に載置される用紙Tを第1搬送路L1に供給する。レジストローラー対13は、第1搬送路L1を搬送されてきた用紙Tを感光体ドラム31と転写ローラー38との間に形成される転写ニップNに供給すると共に、感光体ドラム31に形成されたトナー画像を用紙Tに転写させるために、用紙Tの搬送又は用紙Tの搬送停止を行う。また、レジストローラー対13は、用紙Tのスキュー(斜め給紙)補正を行う。
【0016】
第1ローラー対14は、第3搬送路L3に設けられ、定着部40から排出された用紙Tを用紙排出部16側に搬送する。第2ローラー対15は、第1ローラー対14により用紙排出部16側に搬送された用紙Tを第4搬送路L4に搬入させる。用紙排出部16は、トナー画像が定着された用紙Tをプリンター1の外部に排出する。用紙排出部16におけるプリンター1の外側には、排紙集積部19が形成される。排紙集積部19には、用紙排出部16から排出された用紙Tが積層して集積される。
【0017】
画像形成部30は、トナー画像を形成する部分である。画像形成部30は、感光体ドラム31と、帯電部32と、レーザースキャナーユニット33と、現像器34と、除電器35と、クリーニング部36と、トナーカートリッジ37と、転写ローラー38と、を備える。
【0018】
感光体ドラム31は、トナー画像を形成するために、感光体又は像担持体として機能する。感光体ドラム31の周囲には、感光体ドラム31の回転方向に沿って上流側から下流側へ順に、帯電部32と、レーザースキャナーユニット33と、現像器34と、クリーニング部36とが配置される。
【0019】
帯電部32は、感光体ドラム31の表面を帯電させる。レーザースキャナーユニット33は、感光体ドラム31の表面から離れて配置され、外部に配置される外部機器(例えば、パーソナルコンピュータ等)により送信された画像データに基づいて感光体ドラム31の表面を走査露光する。これにより、感光体ドラム31の表面には、露光された部分の電荷が除去されて静電潜像が形成される。
【0020】
現像器34は、感光体ドラム31の表面に形成された静電潜像にトナーを付着させてトナー画像を形成する。除電器35は、感光体の表面に光を照射することにより、転写が行われた後の感光体ドラム31の表面を除電する(電荷を除去する)。
【0021】
クリーニング部36は、除電器35によって感光体ドラム31の表面が除電された後のその表面に残るトナーや付着物を廃トナーとして除去する。クリーニング部36は、クリーニング筐体36dと、清掃ローラー36aと、廃トナー搬送部材36bと、を備える。清掃ローラー36a及び廃トナー搬送部材36bは、クリーニング筐体36dの内部において、それぞれ感光体ドラム31の軸線方向と平行な方向に延出して配置される。
【0022】
清掃ローラー36aは、トナー画像の形成時、例えば、感光体ドラム31と同じ方向に回転し、感光体ドラム31の表面を擦って残トナーを取り除く。廃トナー搬送部材36bは、清掃ローラー36aに隣接して配置されている。廃トナー搬送部材36bは、スクリュー状、螺旋状の羽根等を備える。廃トナー搬送部材36bは、トナー画像の形成時に回転し、清掃ローラー36aにより感光体ドラム31から除去された廃トナーを、感光体ドラム31と反対方向に向けて搬送する。この廃トナーは、最終的に、廃トナー容器22(後述)に回収される。
【0023】
トナーカートリッジ37は、現像器34に供給されるトナーを収容する。トナーカートリッジ37と現像器34とは、トナー供給路(図示せず)により接続されている。転写ローラー38は、感光体ドラム31との間に用紙Tを挟み込むことにより、感光体ドラム31の表面に形成されたトナー画像を用紙Tに転写させる。
【0024】
定着部40は、加熱回転体41と、加圧回転体42とを備える。加熱回転体41と加圧回転体42とは、トナー画像が転写された用紙Tを挟み込んで、トナーを溶融及び加圧し、そのトナーを用紙Tに定着させる。
【0025】
次に、本実施形態のプリンター1における廃トナー回収機構20について説明する。図2は、本実施形態のプリンター1における廃トナー回収機構20の構成を示す概略断面図である。図2に示すように、廃トナー回収機構20は、クリーニング部36の下方に設けられている。
【0026】
図2に示すように、クリーニング筐体36dの底面には、穴部36cが設けられている。穴部36cは、クリーニング部36から廃トナーを排出するための開口である。穴部36cには、搬送管21が接続されている。搬送管21は、廃トナーをクリーニング部36から廃トナー容器22(後述)に搬送するための管である。搬送管21は、上端側において穴部36cと接続され、下端側において廃トナー容器22と接続されている。
【0027】
廃トナー容器22は、クリーニング部36から排出されたトナーを、廃トナーとして回収する容器である。廃トナー容器22の上部には、首部22aが形成されている。首部22aには、搬送管21の下端側が接続されている。
【0028】
クリーニング部36において、廃トナー搬送部材36bにより感光体ドラム31と反対方向に搬送された廃トナーは、穴部36cから搬送管21に向けて排出された後、搬送管21から廃トナー容器22の首部22aに向けて投入される。感光体ドラム31から除去された廃トナーは、ほぼ粉体である。そのため、図2に示すように、廃トナー容器22の首部22aに向けて投入された廃トナー23は、廃トナー容器22の内部において、搬送管21の下方を頂点とするように山状に堆積する。
【0029】
また、廃トナー容器22の首部22aの外側には、磁気センサー100が設けられている。磁気センサー100は、廃トナー容器22に回収された廃トナー23の堆積量に応じた電圧波形を検出すると共に、その電圧波形を検出信号に変換して判定部91(後述)に送信する。
【0030】
次に、プリンター1の機能構成について説明する。図3は、プリンター1の機能構成を示すブロック図である。
プリンター1は、上述した構成要素(用紙搬送部10、画像形成部30、定着部40及び磁気センサー100)を備える。これらの構成要素については、その説明を省略する。プリンター1は、上述した機能構成に加えて、更に、操作部50と、報知部としての表示部60と、インターフェイス部70と、記憶部80と、制御部90とを備える。
【0031】
操作部50は、複数のキー(不図示)を備える。操作部50は、例えば、プリンター1の設定を変更する場合やジョブをリセットする場合等に操作される。操作部50は、いずれかのキーが操作されることにより、このキーが操作されたことを表す信号を制御部90へ送信する。
【0032】
表示部60は、プリンター1の機能等を表すアイコンやメッセージ(文字列)を表示可能な表示パネルにより構成される。表示部60は、例えば、トナーカートリッジ37に収容されるトナーの残量が少ないこと、給紙カセット17内に用紙Tが収容されていないこと、廃トナー容器22が満杯になったこと、磁気センサー100の近傍を検査する必要があること等のメッセージを表示することができる。表示部60におけるメッセージの表示(報知)は、後述する報知制御部92(制御部90)により制御される。
【0033】
インターフェイス部70は、プリンター1の外部に設置された外部機器(例えば、パーソナルコンピュータ等)に接続される。
【0034】
記憶部80は、ハードディスクや半導体メモリー等から構成される。記憶部80は、上述した外部機器から送信された画像データを記憶する。また、記憶部80は、プリンター1において利用される制御プログラム、及びこの制御プログラムによって利用されるデータ等を記憶する。
【0035】
制御部90は、用紙搬送部10、画像形成部30、定着部40及び表示部60等の動作を制御する。
ここで、制御部90の基本的な機能(動作)について、用紙Tの片面にトナー画像を形成する場合を例として説明する。まず、制御部90は、インターフェイス部70を介して上記の外部機器から入力された画像データを記憶部80に一時的に記憶させる。制御部90は、記憶部80に一時的に記憶された画像データに基づいて、用紙Tにトナー画像を形成するために、用紙搬送部10と、画像形成部30と、定着部40とをそれぞれ制御する。すなわち、制御部90は、第1送りローラー11又は第2送りローラー12を駆動させて、用紙Tを画像形成部30に搬送させる。
【0036】
また、制御部90は、画像データに基づいて生成されたトナー画像を形成するためのデータをレーザースキャナーユニット33に供給し、レーザースキャナーユニット33から照射されるレーザー光により感光体ドラム31に静電潜像を形成させる。制御部90は、現像器34より感光体ドラム31にトナー画像を形成させ、このトナー画像を転写ローラー38によって用紙Tに転写させる。
【0037】
制御部90は、加熱回転体41が所定の温度に加熱されるよう制御して、その加熱回転体41により用紙Tに転写されたトナー画像のトナーを溶融させると共に、加熱回転体41に圧接される加圧回転体42によりトナーを用紙Tに定着させる。更に、制御部90は、トナー画像が定着された用紙Tを用紙搬送部10により用紙排出部16から排出させる。
【0038】
また、制御部90は、判定部91と、報知制御部92と、を備える(図3参照)。
判定部91は、磁気センサー100から出力された検出信号の電圧Vが予め設定された閾値電圧Vth以上となり、且つ予め設定された許容範囲よりも変動した場合には、廃トナー容器22が満杯であると判定する。
【0039】
また、判定部91は、磁気センサー100から出力された検出信号の電圧Vが予め設定された閾値電圧Vth未満の場合、及び磁気センサー100から出力された検出信号の電圧Vが予め設定された閾値電圧Vth以上となり、且つ予め設定された許容範囲よりも変動しない場合には、廃トナー容器22が満杯でないと判定する。
【0040】
報知制御部92は、プリンター1の状態等に応じて、表示部60に各種メッセージを表示させる。報知制御部92は、磁気センサー100から出力された検出信号の電圧Vが予め設定された閾値電圧Vth以上となり、且つ予め設定された許容範囲よりも変動しないことが判定部91により判定された場合に、磁気センサー100の近傍を検査する必要があることを知らせるメッセージを表示部60に表示(報知)させる。
【0041】
次に、判定部91(制御部90)において、廃トナー容器22が満杯になったことを判定する場合の機能について説明する。
図4(A)、(B)は、廃トナー容器22が満杯となる前の状態を示す説明図である。図5(A)、(B)は、廃トナー容器22が満杯となった時の状態を示す説明図である。図4及び図5において、(A)は廃トナー23が山状に堆積した状態を示し、(B)は廃トナー23の山が崩れた状態を示す。
【0042】
図6は、磁気センサー100で検出される電圧波形を示す図である。図7は、磁気センサー100から出力される検出信号を示す図である。なお、図7に示す検出信号は、図6に示す電圧波形を所定の周期でサンプリングしたときのパルス波形を模式的に示している。
【0043】
図6において、符号101は廃トナー容器22が満杯となる前に検出される電圧波形、符号102は廃トナー容器22が満杯となった時に検出される電圧波形、符号103は磁気センサー100の近傍に金属片や磁石等の磁性体がある場合(後述)に検出される電圧波形を示す。
【0044】
図7において、符号201は廃トナー容器22が満杯となる前に出力される検出信号、符号202は廃トナー容器22が満杯となった時に出力される検出信号、符号203は磁気センサー100の近傍に金属片や磁石等の磁性体がある場合に出力される検出信号を示す。図6及び図7は、トナー画像の形成が連続して行われ、廃トナー23の堆積と崩れとが所定の時間間隔で発生した場合の電圧波形や検出信号を示す。
【0045】
図4(A)及び図5(A)に示すように、廃トナー容器22の首部22aに向けて投入された廃トナー23は、廃トナー容器22の内部において、搬送管21の下方を頂点とするように山状に堆積する。しかし、堆積した廃トナー23の山は、プリンター1の振動や、新たに廃トナー23が投入される等の要因により、図4(B)及び図5(B)に示すように、頂点が崩れてしまう。廃トナー容器22に回収された廃トナー23は、山状の堆積と崩れとを繰り返しながら、やがて満杯となる。このような廃トナー23の堆積と崩れが繰り返されると、廃トナー23の堆積量も繰り返し変化(増減)する。廃トナー23の堆積量が繰り返し変化すると、磁気センサー100では、図6に示すように、周期的に変化する電圧波形が検出される。
【0046】
廃トナー23が満杯となる前は、図4に示すように、堆積した廃トナー23と磁気センサー100との距離が離れている。また、回収された廃トナー23の体積も小さい。このため、図6に示すように、磁気センサー100で検出される電圧波形101の電圧V(最大値)は、閾値電圧Vth未満となる。この場合、図7に示すように、磁気センサー100から出力される検出信号201の電圧Vも閾値電圧Vth未満となる。閾値電圧Vthは、廃トナー23の満杯と判定するために設定された電圧値である。
【0047】
一方、廃トナー23が満杯となった時は、図5に示すように、堆積した廃トナー23と磁気センサー100との距離が近くなる。また、回収された廃トナー23の体積も大きくなる。このため、図6に示すように、磁気センサー100で検出される電圧波形102の電圧Vは、廃トナー23が山状に堆積した時点で閾値電圧Vth以上となる。この場合、図7に示すように、磁気センサー100から出力される検出信号202の電圧Vも閾値電圧Vth以上となる。
【0048】
このように、廃トナー容器22が満杯となる前は、磁気センサー100から判定部91に出力される検出信号の電圧Vが閾値電圧Vth未満となる。一方、廃トナー容器22が満杯となった時には、磁気センサー100から判定部91に出力される検出信号の電圧Vが閾値電圧Vth以上となる。従って、この時点で廃トナー容器22が満杯であると判定することもできる。
【0049】
しかし、磁気センサー100の近傍に金属片や磁石等の磁性体が置かれた場合には、この磁性体の影響により、堆積した廃トナー23の磁気に変化が生じる。このような磁気の変化が生じた場合に、廃トナー容器22が満杯になっていないにも関わらず、図6に示すように、磁気センサー100で検出される電圧波形103の電圧Vが閾値電圧Vth以上となることがある。この場合、図7に示すように、磁気センサー100から判定部91に出力される検出信号203の電圧Vも閾値電圧Vth以上となる。
【0050】
従って、磁気センサー100から判定部91に出力される検出信号の電圧Vが閾値電圧Vth以上の場合に、廃トナー容器22が満杯であると判定すると、廃トナー容器22が満杯でないのも関わらず、満杯であると誤判定するおそれがある。
【0051】
そこで、本実施形態の判定部91では、磁気センサー100から出力された検出信号の電圧Vが閾値電圧Vth以上となり、且つその電圧Vが予め設定された許容範囲よりも変動した場合に、廃トナー容器22が満杯になったと判定する。
【0052】
ここで、予め設定された許容範囲としては、例えば、図7に示す検出信号の最大電圧値から、その40%〜60%程度の電圧値までを設定することができる。例えば、図7において、検出信号の最大電圧値を5V(閾値電圧を4Vとする)とし、その50%の電圧値までを許容範囲とした場合、5V〜2.5Vが許容範囲となる。従って、磁気センサー100から出力された検出信号202の電圧Vが、最大電圧値の5Vから1.5Vに変動した場合には、検出信号202の電圧Vが、閾値電圧の4V以上となり、且つ許容範囲の5V〜2.5Vよりも変動したことになる。なお、上述した許容範囲は、磁気センサー100の検出感度や、廃トナー23の発生する磁力により適宜に設定することができる。
【0053】
なお、磁気センサー100から出力された検出信号が、予め設定された許容範囲よりも変動したか否かの判定は、例えば、次のような手法により実施することができる。
一つは、磁気センサー100から判定部91に出力される検出信号が閾値電圧Vth以上となった時点から、所定時間が経過する間に、予め設定された許容範囲よりも変動したか否かを判定するというものである。
【0054】
この場合の所定時間は、一般的な使用状況において、廃トナー23の堆積と崩れが発生する周期に基づいて設定することができる。この周期は、例えば、シミュレーションや統計的な処理により算出することができる。
【0055】
もう一つは、磁気センサー100から判定部91に出力される検出信号が閾値電圧Vth以上となった時点から所定時間前まで遡り、その間に、予め設定された許容範囲よりも変動したか否かを判定するというものである。磁気センサー100から判定部91に出力される検出信号の電圧に関するデータは、記憶部80に時系列に記憶される。記憶部80では、所定時間が経過した検出信号の電圧に関するデータを順次消去することにより、必要なデータのみを残すことができる。この場合、判定部91は、磁気センサー100から判定部91に出力される検出信号の電圧が閾値電圧Vth以上となった時点から所定時間前まで遡って検出信号のデータを検査し、その間に、予め設定された許容範囲よりも変動していれば、廃トナー容器22が満杯になったと判定する。
【0056】
更に、上述した手法以外にも、例えば、磁気センサー100から判定部91に出力される検出信号が閾値電圧Vth以上となった時点において、廃トナー容器22に意図的に振動を与えて、予め設定された許容範囲よりも変動するか否かを判定してもよい。
【0057】
また、判定部91は、図7に示すように、磁気センサー100から出力された検出信号201の電圧Vが、閾値電圧Vthを超えていない場合には、廃トナー容器22が満杯になっていないと判定する。
【0058】
一方、図7において、磁気センサー100から出力された検出信号203のように、磁気センサー100から出力された検出信号の電圧Vが閾値電圧Vth以上であっても、予め設定された許容範囲よりも変動しない場合には、磁気センサー100の近傍に置かれた金属片や磁石等の磁性体の影響により、廃トナー23の磁気に変化が生じたと考えられる。このような磁性体の影響による磁気の変化は定常的なものとなるため、時間経過に伴って大きく変動することは極めて少ない。従って、判定部91は、磁気センサー100から出力された検出信号の電圧Vが閾値電圧Vth以上であっても、その電圧Vが予め設定された許容範囲よりも変動しない場合には、廃トナー容器22が満杯になっていないと判定する。
【0059】
上述したように、磁気センサー100から出力された検出信号の電圧Vが閾値電圧Vth以上となり、且つその電圧Vが予め設定した許容範囲よりも変動した場合には、廃トナー23の堆積と崩れとが繰り返し発生することにより廃トナー容器22が満杯になったと考えられる。従って、このような場合に、判定部91は、廃トナー容器22が満杯になったと判定する。報知制御部92は、判定部91において、磁気センサー100から出力された検出信号の電圧Vが閾値電圧Vth以上となり、且つその電圧Vが予め設定した許容範囲よりも変動したことが判定された場合に、廃トナー容器22が満杯になったことを知らせるメッセージを表示部60(図3参照)に表示させる。
【0060】
一方、磁気センサー100から出力された検出信号の電圧Vが閾値電圧Vth未満の場合は、廃トナー23が磁気センサー100に接近する位置まで堆積していないと考えられる。このため、判定部91は、廃トナー容器22が満杯になっていないと判定する。この場合に、メッセージは表示されない。
【0061】
更に、判定部91は、磁気センサー100から出力された検出信号の電圧Vが閾値電圧Vth以上となっても、その電圧Vが予め設定された許容範囲よりも変動しない場合には、磁気センサー100の近傍に置かれた磁性体の影響により、堆積した廃トナー23の磁気に大きな変化が生じたために検出信号の電圧Vが大きくなったと判定する。報知制御部92は、判定部91において、磁気センサー100から出力された検出信号の電圧Vが閾値電圧Vth以上となり、且つその電圧Vが予め設定された許容範囲よりも変動しないことが判定された場合に、磁気センサー100の近傍を検査することを促すメッセージを表示部60に表示(報知)させる。
【0062】
次に、本実施形態のプリンター1において、廃トナー容器22が満杯になるのを検知する動作について説明する。図8は、判定部91及び報知制御部92が、廃トナー容器22の満杯を検知する動作を示すフローチャートである。
図8のステップST101において、判定部91は、磁気センサー100から出力された検出信号を取得する。
【0063】
ステップST102において、判定部91は、取得した検出信号の電圧Vが閾値電圧Vth以上か否かを判定する。このステップST102において、判定部91により、検出信号の電圧V≧閾値電圧Vthである(YES)と判定された場合には、処理はステップST103へ移行する。また、ステップST102において、判定部91により、検出信号の電圧V<閾値電圧Vthである(NO)と判定された場合には、廃トナー容器22が満杯になっていないため、本フローチャートの処理は終了する。
【0064】
ステップST103(ステップST102でYES)において、判定部91は、磁気センサー100から出力された検出信号の電圧Vが、予め設定された許容範囲よりも変動したか否かを判定する。このステップST103において、判定部91により、検出信号の電圧Vが予め設定された許容範囲よりも変動した(YES)と判定された場合には、処理はステップST104へ移行する。また、ステップST103において、判定部91により、検出信号の電圧Vが予め設定された許容範囲よりも変動しない(NO)と判定された場合には、処理はステップST105へ移行する。
【0065】
ステップST104(ステップST103でYES)において、判定部91は、廃トナー容器22が満杯になったと判定する。そして、報知制御部92は、廃トナー容器22が満杯であることを知らせるメッセージを表示部60に表示させる。これにより、本フローチャートの処理は終了する。
【0066】
ステップST105(ステップST103でNO)において、判定部91は、磁気センサー100の近傍に置かれた磁性体の影響により、堆積した廃トナー23の磁気に大きな変化が生じたと判定する。そして、報知制御部92は、磁気センサー100の近傍を検査することを促すメッセージを表示部60に表示させる。これにより、本フローチャートの処理は終了する。
【0067】
以上説明したように、本実施形態のプリンター1によれば、以下の効果が奏される。
本実施形態のプリンター1において、判定部91は、磁気センサー100から出力された検出信号の電圧Vが予め設定された閾値電圧Vth以上となり、且つその電圧Vが予め設定された許容範囲よりも変動した場合には、廃トナー容器22が満杯であると判定する。
【0068】
磁気センサー100から出力される検出信号が磁性体の影響を受けている場合、廃トナー23の堆積と崩れとが繰り返し発生しても、検出信号の電圧Vはほとんど変動しない。しかし、磁気センサー100から出力される検出信号が磁性体の影響を受けていない場合、廃トナー23の堆積と崩れとが繰り返し発生することにより、検出信号の電圧Vは大きく変動する。
【0069】
従って、磁気センサー100から出力された検出信号の電圧Vが予め設定された閾値電圧Vth以上となり、且つその電圧Vが予め設定された許容範囲よりも変動したことを満杯の要件とすることにより、廃トナー容器22の満杯をより確実に判定することができる。
【0070】
また、判定部91は、磁気センサー100から出力された検出信号の電圧Vが予め設定された閾値電圧Vth以上となり、且つその電圧Vが予め設定された許容範囲よりも変動しない場合には、廃トナー容器22が満杯になっていないと判定する。従って、磁気センサー100の近傍に置かれた磁性体の影響により、廃トナー容器22が満杯になっていないにも関わらず、満杯であると誤判定することが少なくなる。
【0071】
また、報知制御部92は、磁気センサー100から出力された検出信号の電圧Vが予め設定された閾値電圧Vth以上となり、且つその電圧Vが予め設定された許容範囲よりも変動しないことが判定部91により判定された場合に、磁気センサー100の近傍を検査することを促すメッセージを表示部60に表示させる。
【0072】
このため、ユーザーは、磁気センサー100の近傍に金属片や磁石等の磁性体が置かれていることを容易に知ることができる。この後、ユーザーは、磁気センサー100の近傍に置かれた磁性体を取り除くことにより、磁気センサー100の本来の機能を回復させることができる。
【0073】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されることはなく、種々の形態で実施することができる。
本実施形態で説明した報知部としての表示部60は、表示パネルに各種のメッセージを表示する形態である。しかし、本発明の報知部は、この形態に限定されることはなく、例えば、ユーザーに対し情報をメッセージ音又は警告音により報知させる形態でもよいし、情報をランプの点滅/点灯により報知させる形態であってもよい。すなわち、報知部は、ユーザーに必要な情報を報知可能な機能を備えていればよく、その形態は本実施形態に限定されない。
【0074】
本実施形態で説明したプリンター1は、モノクロプリンターである。しかし、本発明は、この形態に限定されることはなく、カラープリンターであってもよい。
本実施形態において使用されるトナーは、磁性トナーからなる磁性一成分現像剤でもよいし、磁性キャリアと非磁性トナーとを含む二成分現像剤でもよい。
【0075】
また、本実施形態で説明したプリンター1は、感光体ドラム31に形成されたトナー画像を直接に用紙Tに転写する形態(直接転写方式)である。しかし、本発明は、この形態に限定されることはなく、中間転写ベルトを介して用紙にトナー画像を転写する形態(間接転写方式)であってもよい。
【0076】
また、本実施形態で説明したプリンター1は、用紙Tの両面を印刷可能な形態である。しかし、本発明は、この形態に限定されることはなく、用紙の片面のみを印刷する形態であってもよい。
【0077】
また、本発明に係る画像形成装置は、上述したプリンター1に限定されることはない。すなわち、本発明に係る画像形成装置は、コピー機能、ファクシミリ機能、プリンター機能及びスキャナ機能を備える複合機であってもよく、ファクシミリであってもよい。
【0078】
また、本発明に係る画像形成装置によってトナー画像が定着される被転写材は、用紙Tに限定されない。例えば、OHP(オーバーヘッドプロジェクター)シート等のフィルムシートであってもよい。また、被転写材は、シート状のものに限定されることはなく、ロール状のものであってもよい。
【符号の説明】
【0079】
1…プリンター(画像形成装置)、20…廃トナー回収機構、22…廃トナー容器、23…廃トナー、30…画像形成部、60…表示部(報知部)、90…制御部、91…判定部、92…報知制御部、100…磁気センサー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナーによる画像を被転写材に形成する画像形成部と、
前記画像形成部から排出されたトナーを廃トナーとして回収する廃トナー容器と、
前記廃トナー容器に回収された廃トナーの堆積量に応じた検出信号を出力する磁気センサーと、
前記磁気センサーから出力された検出信号が予め設定された閾値以上となり且つ予め設定された許容範囲よりも変動した場合には、前記廃トナー容器が満杯であると判定する判定部と、
を備える画像形成装置。
【請求項2】
前記判定部は、
前記磁気センサーから出力された検出信号が予め設定された閾値以上となり且つ予め設定された許容範囲よりも変動しない場合には、前記廃トナー容器が満杯でないと判定する、
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
使用者に対し情報を報知する報知部と、
前記磁気センサーから出力された検出信号が予め設定された閾値以上となり且つ予め設定された許容範囲よりも変動しないことが前記判定部により判定された場合に、前記磁気センサー近傍の検査を促す情報を前記報知部に報知させる報知制御部と、
を備える請求項2に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−25295(P2013−25295A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−163184(P2011−163184)
【出願日】平成23年7月26日(2011.7.26)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】