画像形成装置
【課題】ロール紙の用紙部への記録位置の精度が高く、かつ、ロール紙を安定して搬送可能な画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置1は、ロール紙6のロール部6aから引き出された用紙部6bを間欠搬送する。画像形成装置1は、記録が行われるプラテンにおいて用紙部6bを吸引する吸引ファン30と、吸引ファン30によって用紙部6bのプラテン12への吸着力の大きさに基づいて、用紙部6bの張力を制御する制御部100と、を有する。
【解決手段】画像形成装置1は、ロール紙6のロール部6aから引き出された用紙部6bを間欠搬送する。画像形成装置1は、記録が行われるプラテンにおいて用紙部6bを吸引する吸引ファン30と、吸引ファン30によって用紙部6bのプラテン12への吸着力の大きさに基づいて、用紙部6bの張力を制御する制御部100と、を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロール紙に記録を行う画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置には、A2(JIS規格)以上の大判の記録媒体に画像の記録を行う大判画像形成装置がある。大判画像形成装置には、記録媒体として、単票紙以外にもロール紙などの連続紙が用いられるものがある。
【0003】
ロール紙は、長尺の用紙がロール状に巻かれたものである。一般的に、ロール紙の中心には、ロール紙の芯軸となるスプールが通される。このようなロール紙は、外周にある端部が引っぱられると、スプールを中心に回転し、1枚の用紙として引き出される。以下、ロール紙のロール状に巻かれた部分をロール部と呼び、該ロール部の外周から引き出された部分を用紙部と呼ぶこととする。
【0004】
大判のロール紙は、一般的なロール紙よりも重いため、回転させるために大きなトルクが付与される必要がある。したがって、大判のロール紙を回転させるためには、ロール紙のロール部から引き出された用紙部を強い力で引っ張る必要がある。この力により、当該用紙部が破れてしまう場合がある。
【0005】
このような不具合を解消するために、ロール紙に直接トルクを加えて回転駆動させるためのロールモータを設ける構成を採用することができる。ロールモータが設けられた画像形成装置では、ロールモータによってロール紙を回転させながらロール部から用紙部を引き出すことにより、ロール紙の用紙部に強い力が加わらないようにすることができる。
【0006】
特許文献1にロールモータが設けられた画像形成装置が開示されている。この画像形成装置は、ロール紙の用紙部を搬送ローラの回転によって間欠搬送するタイプのものである。この画像形成装置には、ロール紙のロール部を回転させるロールモータと、搬送ローラを回転させる搬送モータと、が設けられている。
【0007】
この画像形成装置には、用紙部の、ロール部から搬送ローラまでの間にある部分に生じる張力を測定する張力測定装置が設けられている。この画像形成装置は、張力測定装置の測定結果に基づいて、用紙部に所定の張力以上の張力がかからないような制御を行う。そのため、この画像形成装置では、用紙部に強い張力が加わらない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2009−263044号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1に開示された画像形成装置では、用紙部の、ロール部から搬送ローラまでの部分に常に張力が加わっているため、用紙部と搬送ローラとの接触部にて滑りが発生することがある。この滑りの要因は、用紙部に加わっている張力が、用紙部に、搬送方向とは反対方向に働くバックテンションとなることにある。この搬送ローラに対する用紙部の滑り量は、用紙部にバックテンションが加わっている時間や用紙部に加わるバックテンションの大きさなどによって変化する。
【0010】
特許文献1に開示された画像形成装置では、用紙部にバックテンションが加っている時間やそのバックテンションの大きさなどが制御されていない。そのため、用紙部の滑り量が変化することにより、搬送ローラによる用紙部の搬送量が変化してしまう。
【0011】
また、画像形成装置には、用紙部における記録ヘッドによる記録位置の精度を向上するために、記録を行う記録ヘッドに対向するプラテンに用紙部を固定するものがある。用紙部は、プラテンにおける吸引手段による吸引により、プラテンに吸着させられる。この画像形成装置では、用紙部のプラテンへの吸着力が、搬送ローラが用紙部を搬送する際の負荷となるため、搬送ローラによる用紙部の搬送量がさらに不安定になる。
【0012】
そこで、本発明は、ロール紙の用紙部への記録位置の精度が高く、かつ、ロール紙を安定して搬送可能な画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するため、本発明の画像形成装置は、シートがロール状に巻かれたロール部を回転させるとともに、搬送ローラを回転させることによって前記ロール部から引き出された前記被記録シート部の搬送を行う搬送期間を間欠的に繰り返して、該被記録シート部を、記録が行われるプラテンに搬送する画像形成装置であって、前記プラテンに前記被記録シート部を吸引する吸引手段と、前記吸引手段の吸引による前記被記録シート部の前記プラテンへの吸着力の大きさに基づいて、前記被記録シート部の、前記ロール部から前記搬送ローラまでの部分における張力を制御する制御部と、を有する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ロール紙の用紙部への記録位置の精度が高く、かつ、ロール紙を安定して搬送可能な画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る画像形成装置の斜視図である。
【図2】図1に示した画像形成装置のA−A’線に沿った断面図である。
【図3】スプールユニットによるロール紙の保持機構の説明図である。
【図4】図1に示した画像形成装置のB−B’線に沿った断面図である。
【図5】図1に示した画像形成装置のC−C’線に沿った断面図である。
【図6】図1に示した画像形成装置の機能ブロック図である。
【図7】ロール紙および搬送ローラの概略構成図である。
【図8】図1に示した画像形成装置の制御モードを示した図である。
【図9】ロール紙および搬送ローラの上面図である。
【図10】張力Tpapと動摩擦力Fpとの関係を示した図である。
【図11】図1に示した画像形成装置によるロール紙の搬送の流れを示したフローチャートである。
【図12】本発明の第2の実施形態に係る画像形成装置の機能ブロック図である。
【図13】図12に示した画像形成装置によるロール紙の搬送の流れを示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
(第1の実施形態)
図1および図2は発明の第1の実施形態に係る画像形成装置1の概略構成図であり、図1は斜視図であり、図2は図1のA−A’線に沿った断面図である。画像形成装置1は、たとえばA2(JIS規格)等の大判のロール紙を記録媒体として用いるものである。
【0017】
記録媒体は、紙で形成されたロール紙に限らず、長尺のシートがロール状に巻かれて形成されたロールシートであればよい。ロールシートは、たとえばプラスチック等の樹脂材料で形成される。ロールシートは、ロール部の外周から被記録シート部が引き出され、該被記録シート部に記録が行われる。
【0018】
画像形成装置1は、ロール紙6の被記録シート部である用紙部6bに記録を行う記録ヘッド2を搭載可能なキャリッジ3を備えている。キャリッジ3はキャリッジシャフト4に沿って図1の矢印D1方向に往復走査可能である。キャリッジ3の側面には、キャリッジ3に対向する位置におけるロール紙6の用紙部6bの有無や、ロール紙6の用紙部6bの端部を検出可能な用紙センサ13が設けられている。
【0019】
用紙センサ13は、搬送ローラ10によりロール紙6の用紙部6bについて所定距離(たとえば、300mm)の搬送を行った前後における、用紙部6bの搬送方向に直交する方向(図1のD1方向)における両側端を検知する。用紙部6bの両側端を検知は、キャリッジ3を用紙部6bの全幅にわたって往復走査することで行われる。ロール紙6の用紙部6bを搬送する前と所定距離搬送した後における用紙部6bの両側端の位置のズレにより、ロール紙6の用紙部6bの斜行を検出可能である。
【0020】
図3は、ロール紙6およびスプールユニット16の分解斜視図である。ロール紙6は、紙管15に長尺の用紙がロール状に巻き付けられたものである。以下、ロール紙6を保持するためのスプールユニット16について説明する。
【0021】
スプールユニット16は、ロール紙6の芯軸に通されて、ロール紙6の中心軸となるスプール5と、該スプール5の一方の端部に固定された基準側フランジ部材26と、スプール5の他方の端部を固定可能な非基準側フランジ部材27と、を備えている。各フランジ部材26,27は紙管15の両端に嵌め込み可能に形成されている。基準側フランジ部材26の、スプール5とは反対側にはロールギア17が設けられている。
【0022】
スプールユニット16にロール紙6を取り付けるには、まず、ロール紙6の紙管15にスプール5を通し、基準側フランジ部材26をロール紙6の紙管15の一方の端部に嵌め込む。すると、ロール紙6の他方の端部からスプール5が突出する。ロール紙6の他方の端部に突出したスプール5を非基準側フランジ部材27で固定するとともに、非基準側フランジ部材27をロール紙6の紙管15の他方の端部に嵌め込む。このように、ロール紙6はスプールユニット16に固定される。フランジ部材26,27に取り付けられたロール紙6の中心軸は、フランジ部材26,27の中心軸と一致する。
【0023】
ロール紙6が取り付けられたスプールユニット16は画像形成装置1に設けられた不図示の受け台に軸支され、図1および図2に示す位置に設置される。スプールユニット16とロール紙6とは一体として回転する。
【0024】
図4は図1のB−B’線に沿った断面における基準側フランジ部材26近傍を示した図である。画像形成装置1にスプールユニット16が設置されると、基準側フランジ部材26のロールギア17が画像形成装置1に設けられたロール入力ギア18と噛み合う。ロールギア17は、ロールモータ19に取り付けられたギア19aと噛み合っており、ロールモータ19の駆動力により回転する。したがって、ロールモータ19の駆動力は、ギア19a、ロール入力ギア18を介してロールギア17に伝達される。そして、ロールギア17の回転に伴ってロール紙6が回転駆動する。これにより、ロールモータ19はロール紙6のロール部6aから用紙部6bを繰り出す。
【0025】
ロール入力ギア18には、該ロール入力ギア18とともに回転するエンコーダフィルム20が設けられ、エンコーダフィルム20の下部に近接してエンコーダセンサ21が設けられている。エンコーダセンサ21はエンコーダフィルム20に設けられたマーキングを読み取ることにより、ロール入力ギア18の回転数や回転速度を検出可能である。
【0026】
図5は図1のC−C’線に沿った断面における基準側フランジ部材26側(図1における右側)を示した図である。搬送ローラ10の端部には搬送ローラギア22が設けられており、該搬送ローラギア22は搬送入力ギア23と噛み合っている。搬送入力ギア23は、搬送モータ24に取り付けられたギア24aと噛み合っており、搬送モータ24の駆動力により回転する。したがって、搬送モータ24の駆動力は、ギア24a、搬送入力ギア23を介して搬送ローラギア22に伝達される。そして、搬送ローラギア22の回転に伴って搬送ローラ10が回転する。
【0027】
図2に示すように搬送ローラ10はピンチローラ13とともにニップ部を形成し、ピンチローラ13は搬送ローラ10に従動する。搬送ローラ10は、搬送モータ24により間欠的に回転させられ、これによってロール紙6の用紙部6bが周期的に間欠搬送される。
【0028】
図5に示すように、搬送入力ギア23には、該搬送入力ギア23とともに回転するエンコーダフィルム28が設けられ、エンコーダフィルム28の下部に近接してエンコーダセンサ25が設けられている。エンコーダセンサ25はエンコーダフィルム28に設けられたマーキングを読み取ることにより、搬送入力ギア23の回転数や回転速度を検出可能である。
【0029】
ロール紙6から搬送ローラ10に給紙するために、画像形成装置1に保持されたロール紙6のロール部6aから用紙部6bがユーザによって引き出される。さらに、用紙部6bは、外ガイド7と内ガイド8との間の搬送路を経由して、搬送ローラ10とピンチローラ13により形成されたニップ部までユーザによって案内される。
【0030】
搬送ローラ10とピンチローラ13により形成されたニップ部まで用紙部6bがユーザによって案内されると、搬送ローラ10の手前にある不図示の用紙検出手段が用紙部6bを検出する。用紙検出手段が用紙部6bを検出すると、搬送モータ24の駆動が始まる。したがって、ユーザが搬送ローラ10とピンチローラ13との間に用紙部6bを挿入すると、用紙部6bは、搬送ローラ10とピンチローラ13とに挟持され、搬送ローラ10の回転によって搬送されるようになる。
【0031】
搬送ローラ10は、記録部である記録ヘッド2に対向する位置に設けられたプラテン12まで用紙部6bを搬送する。記録ヘッド2は、プラテン12まで搬送された用紙部6bに記録を行う。記録ヘッド2によって記録がなされた用紙部6bはさらにプラテン12上を搬送され、用紙カッタ29によって切断される。用紙カッタ29によって切断された用紙部6bは、排紙カバー14上を滑り、不図示の排紙バスケットに収納される。
【0032】
図6は画像形成装置1の機能の概略を示したブロック図である。キャリッジ3を往復走査させるキャリッジモータ9、ロールモータ19、搬送モータ24は、制御部100によって制御される。制御部100は、主制御部110を有し、該主制御部110に制御されるロールモータ制御部120および搬送モータ制御部130を備えている。また、制御部100は、不図示のCPU、ROM、RAM、モータドライバ等を具備している。
【0033】
主制御部110は、ユーザのオペレーションパネル31への入力内容に応じた吸引ファン30を駆動させるための情報や、温湿度センサ32による画像形成装置1の周囲の温湿度情報に基づいて、吸引ファン制御部140を制御する。
【0034】
吸引ファン制御部140の制御モードには、「強い」、「普通」、「弱い」、および「自動」の4種類のモードがある。本実施形態では、吸引ファン30は、吸引ファン制御部140によってPWM(Pulse Width Modulation)制御されている。吸引ファン30の駆動は、そのデューティー比が、「強い」の場合に100%で、「普通」の場合に80%、で、「弱い」の場合に60%になるように制御される。デューティー比とは、PWM制御で吸引ファン30が周期的に駆動される場合、各周期における吸引ファン30が駆動している時間の割合である。
【0035】
なお、吸引ファン制御部140の制御モードにおける「強い」、「普通」、「弱い」は、吸引ファン30の出力変更することによって変更してもよい。たとえば、吸引ファン30の制御モードでは、「強い」の場合に高出力、「普通」の場合に中出力、「弱い」のときに低出力としてもよい。
【0036】
吸引ファン制御部140による制御モードが「自動」である場合には、温湿度センサ32の情報に基づいて、「強い」、「普通」、「弱い」のいずれかが選択される。これにより、用紙部6bのプラテン12への吸着力を制御する。たとえば、低温低湿の環境下では、用紙部6bがカールしてプラテン12から浮いてしまう場合があるため、吸引ファン制御部140による制御モードは「強い」とする。
【0037】
エンコーダセンサ21,25からの情報を用い、ロールモータ19を制御するロールモータ制御部120と搬送モータ24を制御する搬送モータ制御部130とによってロールモータ19と搬送モータ24とを制御する。
【0038】
ロールモータ19の回転速度はエンコーダセンサ21によって検出され、その検出結果がロールモータ制御部120に送られる。搬送モータ24の回転速度はエンコーダセンサ25によって検出され、その検出結果が搬送モータ制御部130に送られる。
【0039】
図7はロール紙6と搬送ローラ10とを模式的に示した図である。ここで、搬送ローラ10によって用紙部6bを搬送する際の矢印で示した搬送方向における搬送速度をVlfとし、ロール紙6から用紙部6bを繰り出す際の矢印で示した繰り出し方向における繰り出し速度をVrollとする。また、ロール紙6の用紙部6bの、ロール部6aと搬送ローラ10との間にある部分の張力をTpapとし、ロール紙6の用紙部6bの、ロール部6aと搬送ローラ10との間にある部分の弛みの最大値(以下、「弛み量」という。)をSpapとする。また、プラテン12上における吸引ファン30の駆動によって生じる用紙部6bの搬送時の動摩擦力をFpとする。
【0040】
ロール紙6の用紙部6bの、ロール部6aと搬送ローラ10との間にある部分の弛みは、図7の破線で示すように、重力方向下側に発生する。弛み量Spapは、用紙部6bの弛んだ量の絶対値とし、弛みが無い状態(図7における実線で示した状態)を0とする。
【0041】
また、搬送速度Vlf、繰り出し速度Vroll、張力Tpap、動摩擦力Fpは、図7における矢印方向を正値とする。したがって、張力Tpapおよび動摩擦力Fpの方向は、搬送速度Vlf、繰り出し速度Vrollの方向とは反対方向である。張力Tpapおよび動摩擦力Fpは、搬送ローラ10による用紙部6bの搬送方向とは反対に働く。ここで、張力Tpapはバックテンションとも呼称することとする。
【0042】
図8(a)、図8(b)、図8(c)、図8(d)、図8(e)は、それぞれ搬送速度Vlf、繰り出し速度Vroll、弛みSpap、張力Tpap、電流Iの時間変化を示したグラフである。図8(e)における電流Iは、ロールモータ19に通電する電流値を示している。
【0043】
搬送ローラ10による1回の搬送期間において、図8(a)に示す搬送ローラ10の搬送速度Vlfのグラフにおける搬送期間は、加速期間(Ta−Tc)、定速期間(Tc−Te)、減速期間(Te−Tf)の3つの期間に分けられる。
【0044】
搬送ローラ10が回転を開始する時点Taと同時に、ロールモータ19に電流Iを正方向に流し始め、ロール紙6も回転を開始する。ロール紙6は搬送ローラ10より重く、ロール紙6の慣性モーメントは搬送ローラ10よりも大きいため、搬送ローラ10は回転速度を急に変更することができるのに対し、ロール紙6は回転速度を急に変更することができない。そのため、図8(b)に示すように、ロール紙6は搬送ローラ10に引っ張られながら回転する。
【0045】
したがって、ロール紙6による用紙部6bの繰り出し速度Vrollは、加速期間(Ta−Tc)のうちの初期の期間(Ta−Tb)では搬送ローラ10による搬送速度Vlfと等しい。また、期間(Ta−Tb)では、ロール紙6の用紙部6bの、ロール部6aと搬送ローラ10との間にある部分かかる張力はTpapがゼロより大きい。すなわち、期間(Ta−Tb)では、ロール紙6の用紙部6bの、ロール部6aと搬送ローラ10との間にある部分には、搬送ローラ10の用紙部6bの搬送方向とは反対方向にバックテンションTpapが働く。
【0046】
期間(Ta−Tb)で用紙部6bに働く張力Tpapの大きさは、電流値IAを変更することにより、変えることが可能である。張力Tpapを大きくする場合には電流値IAを小さくし、張力Tpapを小さくする場合には電流値IAを大きくする。
【0047】
加速期間(Ta−Tc)において、搬送速度Vlfは等加速度であるのに対し、繰り出し速度Vrollの加速度は徐々に高くなる。これに伴い、加速期間(Ta−Tc)の途中のTbの時点で、繰り出し速度Vrollが搬送速度Vlfを上回る。上述したように、ロール紙6の慣性モーメントは搬送ローラ10よりも大きいため、期間(Tb−Td)では、繰り出し速度Vrollが搬送速度Vlfを上回る状態が続く。
【0048】
期間(Tb−Td)では、弛みSpapが生じ、バックテンションTpapの値はゼロとなる。期間(Tc−Td)は、搬送速度Vlfの定速期間(Tc−Te)内にあり、弛みSpapを維持しつつ、繰り出し速度Vrollが搬送速度Vlfと等しくなるようにロールモータ19が制御される。これにより、時点Tdでは、繰り出し速度Vrollと搬送速度Vlfとが等しくなる。その後の定速期間(Tc−Te)および減速期間(Te−Tf)内の期間(Td−Tf)では、弛みSpap>0、かつ、バックテンションTpap=0となるように制御される。
【0049】
時点Tf以降では、ロールモータ19に電流Iを負方向に流し、弛みSpapをゼロとするとともに、次の搬送期間が始まる時点Taまで若干の張力Tpapを付与する。その後、同様の搬送期間が繰り返される。このように、画像形成装置1では、ロール紙6の用紙部6bが、一定の搬送期間で、間欠搬送される。
【0050】
ここで、期間(Ta−Tb)において、バックテンションTpapを発生させるのは、用紙部6bの斜行を補正するためである。
【0051】
図9を用いて、本実施形態におけるロール紙6の用紙部6bの斜行補正のメカニズムについて説明する。図9では、図の上側をP1と呼称し、図の下側をP2と呼称することとする。なお、図9では、吸引ファン30による作用を考慮せずに説明する。
【0052】
図9はロール紙6および搬送ローラ10を上方から見た概略構成図である。図9は搬送ローラ10によってロール紙6の用紙部6bがP2向きの斜行状態で搬送されているときの、搬送ローラ10による搬送力HとバックテンションTpapとの関係を示した図である。
【0053】
図9に示す矢印は、用紙部6bがP2向きの斜行状態で搬送されているときに用紙部6bに加わる搬送ローラ10の搬送力H、およびバックテンションTpapをベクトルで示している。用紙部6bに加わる搬送ローラ10の搬送力Hはいずれの位置においても等しい。これに対し、用紙部6bの、ロール部6aと搬送ローラ10との間にある部分の用紙部6bは、P1側ほど張り、P2側ほど弛む傾向にある。そのため、用紙部6bの、ロール部6aと搬送ローラ10との間にある部分に加わるバックテンションTpapは、P1側ほど大きくなり、P2側ほど小さくなる。
【0054】
したがって、用紙部6bがP2向きの斜行状態で搬送されている場合には、P1側ほど大きいバックテンションTpapが働くため、用紙部6bは搬送ローラ10に対してP1側ほど滑りが発生しやすくなる。用紙部6bは、搬送ローラ10に対してP1側が優先的に滑ることにより、用紙部6bの搬送方向は徐々にP1側に補正される。これにより、用紙部6bの斜行が解消されると、バックテンションTpapは、用紙部6bのP1側からP2側にわたって均一となり、用紙部6bの斜行補正が完了する。
【0055】
逆に、P1向きの斜行状態で搬送されているときには、用紙部6bの、ロール部6aと搬送ローラ10との間にある部分に加わるバックテンションTpapは、P2側ほど大きくなり、P1側ほど小さくなる。そのため、用紙部6bは搬送ローラ10に対してP2側ほど滑りが発生しやすくなる。用紙部6bは、搬送ローラ10に対してP2側が優先的に滑ることにより、用紙部6bの搬送方向は徐々にP2側に補正される。これにより、用紙部6bの斜行が解消されると、バックテンションTpapは、用紙部6bのP1側からP2側にわたって均一となり、用紙部6bの斜行補正が完了する。
【0056】
次に、張力Tpapと動摩擦力Fpとの関係について説明する。張力Tpapも動摩擦力Fpも用紙部6bに対して働く力として共通するが、張力Tpapは用紙部6bの搬送方向における搬送ローラ10の上流側で働き、動摩擦力Fpは用紙部6bの搬送方向における搬送ローラ10の下流側で働く。したがって、張力Tpapは用紙部6bを搬送方向とは反対側に引っ張るバックテンションであるが、動摩擦力Fpは用紙部6bを搬送方向とは反対側に押し返す力である。しかし、動摩擦力Fpも張力Tpapと同様にバックテンションと同様の力として働くことがわかっているため、動摩擦力Fpもバックテンションとして扱う。
【0057】
図10は張力Tpapと動摩擦力Fpとの関係を示した図である。上述したように、吸引ファン30のデューティー比は、100%、80%、60%のいずれかに設定される。吸引ファン30のデューティー比が60%、80%、100%のときそれぞれ生じる第1の吸着力、第2の吸着力、第3の吸着力はこの順番に強くなる。用紙部6bには、吸引ファン30のデューティー比に応じた動摩擦力Fpが発生する。上述したように、動摩擦力Fpは用紙部6bのバックテンションとして働く。
【0058】
用紙部6bに働くバックテンションが、各搬送期間ごとに変化すると、用紙部6bの搬送ローラ10に対する滑り量も各搬送期間ごとに変化してしまう。そのため、用紙部6bに働くバックテンションは一定であることが望ましい。
【0059】
そこで、画像形成装置1では、用紙部6bに働く2つの力である張力Tpapと動摩擦力Fpとの合計が一定になるように、張力Tpapが調整される。具体的には、図10に示すように、用紙部6bに働く動摩擦力Fpは、吸引ファン30のデューティー比が60%、80%、100%となる順に大きくなる。これに合わせて、張力Tpapの大きさが小さくなるように制御される。すなわち吸着力が順に大きくなる第1の吸着力、第2の吸着力、第3の吸着力のとき、順に小さくなる第1の張力、第2の張力、第3の張力が発生するようにロールモータ19に供給する電流値を制御する。
【0060】
図11は本実施形態に係る画像形成装置1のロール紙6の用紙部6bを搬送する流れを示したフローチャートである。まず、画像形成装置1の動作が開始し(S01)、ユーザによって記録情報が入力されると(S02)、該記録情報等に基づいて吸引ファン30の制御モードが決定される(S03)。
【0061】
ロールモータ制御部120は、吸引ファン30の制御モードが「弱い」の場合、制御パラメータ1にて張力Tpapの制御を行う(S04)。また、ロールモータ制御部120は、吸引ファン30の制御モードが「普通」の場合、制御パラメータ2にて張力Tpapの制御を行う(S07)。制御パラメータ1は制御パラメータ2よりも張力Tpapが大きくなるような、ロールモータ19に供給する電流値などの制御情報を有している。また、ロールモータ制御部120は、吸引ファン30の制御モードが「強い」の場合、制御パラメータ3にて張力Tpapの制御を行う(S10)。制御パラメータ3は制御パラメータ2よりも張力Tpapが小さくなるような制御情報を有している。
【0062】
そして、記録が開始され(S05、S08、S11)、記録が終了すると(S06、S09、S12)、記録が続行されるか否かが判断される(S13)。記録が続行される場合にはステップS01に戻り、記録が続行されない場合には記録が終了される(S14)。
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について図面を参照して説明する。なお、本実施形態は、以下に説明する構成以外、第1の実施形態と同様である。
【0063】
図12は画像形成装置の機能の概略を示したブロック図である。第1の実施形態に係る図6と異なる点は、吸引ファン30による用紙部6bの吸引圧力を測定し、その測定結果を主制御部110に送る負圧計33が設けられている点である。本実施形態では、吸引ファン30による吸引圧力により用紙部6bのプラテンへの吸着力を制御する。そして、負圧計33の測定結果に基づいて、用紙部6bの張力Tpapを決定することにより、全ての搬送期間において用紙部6bに働くバックテンションが一定となるようにしている。
【0064】
図13は本実施形態に係る画像形成装置のロール紙6の用紙部6bを搬送する流れを示したフローチャートである。まず、画像形成装置1の動作が開始し(S21)、ユーザによって記録情報が入力されると(S22)、負圧計33による吸引圧力の測定結果に基づいて吸引ファン30の制御モードを決定する(S33)。
【0065】
ロールモータ制御部120は、負圧計33によって測定された吸引ファン30の吸引圧力が0.5KPa未満の場合、用紙部6bのプラテンへの吸着力を「弱い」と判断し、制御パラメータ1にて張力Tpapの制御を行う(S24)。また、ロールモータ制御部120は、負圧計33によって測定された吸引ファン30の吸引圧力が0.5KPa以上0.7KPa未満の場合、用紙部6bのプラテンへの吸着力を「弱い」と判断し、制御パラメータ2にて張力Tpapの制御を行う(S27)。また、ロールモータ制御部120は、負圧計33によって測定された吸引ファン30の吸引圧力が0.7KPa以上の場合、制御パラメータ3にて張力Tpapの制御を行う(S30)。
【0066】
そして、記録が開始され(S25、S28、S31)、記録が終了すると(S26、S29、S32)、記録を続行するか否かが判断される(S33)。記録が続行される場合にはステップS21に戻り、記録が続行されない場合には記録が終了される(S34)。
【符号の説明】
【0067】
1 画像形成装置
6 ロール紙
6a ロール部
6b 用紙部
10 搬送ローラ
13 用紙センサ
19 ロールモータ
21、25 エンコーダセンサ
24 搬送モータ
30 吸引ファン
120 ロールモータ制御部
130 搬送モータ制御部
140 吸引ファン制御部
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロール紙に記録を行う画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置には、A2(JIS規格)以上の大判の記録媒体に画像の記録を行う大判画像形成装置がある。大判画像形成装置には、記録媒体として、単票紙以外にもロール紙などの連続紙が用いられるものがある。
【0003】
ロール紙は、長尺の用紙がロール状に巻かれたものである。一般的に、ロール紙の中心には、ロール紙の芯軸となるスプールが通される。このようなロール紙は、外周にある端部が引っぱられると、スプールを中心に回転し、1枚の用紙として引き出される。以下、ロール紙のロール状に巻かれた部分をロール部と呼び、該ロール部の外周から引き出された部分を用紙部と呼ぶこととする。
【0004】
大判のロール紙は、一般的なロール紙よりも重いため、回転させるために大きなトルクが付与される必要がある。したがって、大判のロール紙を回転させるためには、ロール紙のロール部から引き出された用紙部を強い力で引っ張る必要がある。この力により、当該用紙部が破れてしまう場合がある。
【0005】
このような不具合を解消するために、ロール紙に直接トルクを加えて回転駆動させるためのロールモータを設ける構成を採用することができる。ロールモータが設けられた画像形成装置では、ロールモータによってロール紙を回転させながらロール部から用紙部を引き出すことにより、ロール紙の用紙部に強い力が加わらないようにすることができる。
【0006】
特許文献1にロールモータが設けられた画像形成装置が開示されている。この画像形成装置は、ロール紙の用紙部を搬送ローラの回転によって間欠搬送するタイプのものである。この画像形成装置には、ロール紙のロール部を回転させるロールモータと、搬送ローラを回転させる搬送モータと、が設けられている。
【0007】
この画像形成装置には、用紙部の、ロール部から搬送ローラまでの間にある部分に生じる張力を測定する張力測定装置が設けられている。この画像形成装置は、張力測定装置の測定結果に基づいて、用紙部に所定の張力以上の張力がかからないような制御を行う。そのため、この画像形成装置では、用紙部に強い張力が加わらない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2009−263044号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1に開示された画像形成装置では、用紙部の、ロール部から搬送ローラまでの部分に常に張力が加わっているため、用紙部と搬送ローラとの接触部にて滑りが発生することがある。この滑りの要因は、用紙部に加わっている張力が、用紙部に、搬送方向とは反対方向に働くバックテンションとなることにある。この搬送ローラに対する用紙部の滑り量は、用紙部にバックテンションが加わっている時間や用紙部に加わるバックテンションの大きさなどによって変化する。
【0010】
特許文献1に開示された画像形成装置では、用紙部にバックテンションが加っている時間やそのバックテンションの大きさなどが制御されていない。そのため、用紙部の滑り量が変化することにより、搬送ローラによる用紙部の搬送量が変化してしまう。
【0011】
また、画像形成装置には、用紙部における記録ヘッドによる記録位置の精度を向上するために、記録を行う記録ヘッドに対向するプラテンに用紙部を固定するものがある。用紙部は、プラテンにおける吸引手段による吸引により、プラテンに吸着させられる。この画像形成装置では、用紙部のプラテンへの吸着力が、搬送ローラが用紙部を搬送する際の負荷となるため、搬送ローラによる用紙部の搬送量がさらに不安定になる。
【0012】
そこで、本発明は、ロール紙の用紙部への記録位置の精度が高く、かつ、ロール紙を安定して搬送可能な画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するため、本発明の画像形成装置は、シートがロール状に巻かれたロール部を回転させるとともに、搬送ローラを回転させることによって前記ロール部から引き出された前記被記録シート部の搬送を行う搬送期間を間欠的に繰り返して、該被記録シート部を、記録が行われるプラテンに搬送する画像形成装置であって、前記プラテンに前記被記録シート部を吸引する吸引手段と、前記吸引手段の吸引による前記被記録シート部の前記プラテンへの吸着力の大きさに基づいて、前記被記録シート部の、前記ロール部から前記搬送ローラまでの部分における張力を制御する制御部と、を有する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ロール紙の用紙部への記録位置の精度が高く、かつ、ロール紙を安定して搬送可能な画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る画像形成装置の斜視図である。
【図2】図1に示した画像形成装置のA−A’線に沿った断面図である。
【図3】スプールユニットによるロール紙の保持機構の説明図である。
【図4】図1に示した画像形成装置のB−B’線に沿った断面図である。
【図5】図1に示した画像形成装置のC−C’線に沿った断面図である。
【図6】図1に示した画像形成装置の機能ブロック図である。
【図7】ロール紙および搬送ローラの概略構成図である。
【図8】図1に示した画像形成装置の制御モードを示した図である。
【図9】ロール紙および搬送ローラの上面図である。
【図10】張力Tpapと動摩擦力Fpとの関係を示した図である。
【図11】図1に示した画像形成装置によるロール紙の搬送の流れを示したフローチャートである。
【図12】本発明の第2の実施形態に係る画像形成装置の機能ブロック図である。
【図13】図12に示した画像形成装置によるロール紙の搬送の流れを示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
(第1の実施形態)
図1および図2は発明の第1の実施形態に係る画像形成装置1の概略構成図であり、図1は斜視図であり、図2は図1のA−A’線に沿った断面図である。画像形成装置1は、たとえばA2(JIS規格)等の大判のロール紙を記録媒体として用いるものである。
【0017】
記録媒体は、紙で形成されたロール紙に限らず、長尺のシートがロール状に巻かれて形成されたロールシートであればよい。ロールシートは、たとえばプラスチック等の樹脂材料で形成される。ロールシートは、ロール部の外周から被記録シート部が引き出され、該被記録シート部に記録が行われる。
【0018】
画像形成装置1は、ロール紙6の被記録シート部である用紙部6bに記録を行う記録ヘッド2を搭載可能なキャリッジ3を備えている。キャリッジ3はキャリッジシャフト4に沿って図1の矢印D1方向に往復走査可能である。キャリッジ3の側面には、キャリッジ3に対向する位置におけるロール紙6の用紙部6bの有無や、ロール紙6の用紙部6bの端部を検出可能な用紙センサ13が設けられている。
【0019】
用紙センサ13は、搬送ローラ10によりロール紙6の用紙部6bについて所定距離(たとえば、300mm)の搬送を行った前後における、用紙部6bの搬送方向に直交する方向(図1のD1方向)における両側端を検知する。用紙部6bの両側端を検知は、キャリッジ3を用紙部6bの全幅にわたって往復走査することで行われる。ロール紙6の用紙部6bを搬送する前と所定距離搬送した後における用紙部6bの両側端の位置のズレにより、ロール紙6の用紙部6bの斜行を検出可能である。
【0020】
図3は、ロール紙6およびスプールユニット16の分解斜視図である。ロール紙6は、紙管15に長尺の用紙がロール状に巻き付けられたものである。以下、ロール紙6を保持するためのスプールユニット16について説明する。
【0021】
スプールユニット16は、ロール紙6の芯軸に通されて、ロール紙6の中心軸となるスプール5と、該スプール5の一方の端部に固定された基準側フランジ部材26と、スプール5の他方の端部を固定可能な非基準側フランジ部材27と、を備えている。各フランジ部材26,27は紙管15の両端に嵌め込み可能に形成されている。基準側フランジ部材26の、スプール5とは反対側にはロールギア17が設けられている。
【0022】
スプールユニット16にロール紙6を取り付けるには、まず、ロール紙6の紙管15にスプール5を通し、基準側フランジ部材26をロール紙6の紙管15の一方の端部に嵌め込む。すると、ロール紙6の他方の端部からスプール5が突出する。ロール紙6の他方の端部に突出したスプール5を非基準側フランジ部材27で固定するとともに、非基準側フランジ部材27をロール紙6の紙管15の他方の端部に嵌め込む。このように、ロール紙6はスプールユニット16に固定される。フランジ部材26,27に取り付けられたロール紙6の中心軸は、フランジ部材26,27の中心軸と一致する。
【0023】
ロール紙6が取り付けられたスプールユニット16は画像形成装置1に設けられた不図示の受け台に軸支され、図1および図2に示す位置に設置される。スプールユニット16とロール紙6とは一体として回転する。
【0024】
図4は図1のB−B’線に沿った断面における基準側フランジ部材26近傍を示した図である。画像形成装置1にスプールユニット16が設置されると、基準側フランジ部材26のロールギア17が画像形成装置1に設けられたロール入力ギア18と噛み合う。ロールギア17は、ロールモータ19に取り付けられたギア19aと噛み合っており、ロールモータ19の駆動力により回転する。したがって、ロールモータ19の駆動力は、ギア19a、ロール入力ギア18を介してロールギア17に伝達される。そして、ロールギア17の回転に伴ってロール紙6が回転駆動する。これにより、ロールモータ19はロール紙6のロール部6aから用紙部6bを繰り出す。
【0025】
ロール入力ギア18には、該ロール入力ギア18とともに回転するエンコーダフィルム20が設けられ、エンコーダフィルム20の下部に近接してエンコーダセンサ21が設けられている。エンコーダセンサ21はエンコーダフィルム20に設けられたマーキングを読み取ることにより、ロール入力ギア18の回転数や回転速度を検出可能である。
【0026】
図5は図1のC−C’線に沿った断面における基準側フランジ部材26側(図1における右側)を示した図である。搬送ローラ10の端部には搬送ローラギア22が設けられており、該搬送ローラギア22は搬送入力ギア23と噛み合っている。搬送入力ギア23は、搬送モータ24に取り付けられたギア24aと噛み合っており、搬送モータ24の駆動力により回転する。したがって、搬送モータ24の駆動力は、ギア24a、搬送入力ギア23を介して搬送ローラギア22に伝達される。そして、搬送ローラギア22の回転に伴って搬送ローラ10が回転する。
【0027】
図2に示すように搬送ローラ10はピンチローラ13とともにニップ部を形成し、ピンチローラ13は搬送ローラ10に従動する。搬送ローラ10は、搬送モータ24により間欠的に回転させられ、これによってロール紙6の用紙部6bが周期的に間欠搬送される。
【0028】
図5に示すように、搬送入力ギア23には、該搬送入力ギア23とともに回転するエンコーダフィルム28が設けられ、エンコーダフィルム28の下部に近接してエンコーダセンサ25が設けられている。エンコーダセンサ25はエンコーダフィルム28に設けられたマーキングを読み取ることにより、搬送入力ギア23の回転数や回転速度を検出可能である。
【0029】
ロール紙6から搬送ローラ10に給紙するために、画像形成装置1に保持されたロール紙6のロール部6aから用紙部6bがユーザによって引き出される。さらに、用紙部6bは、外ガイド7と内ガイド8との間の搬送路を経由して、搬送ローラ10とピンチローラ13により形成されたニップ部までユーザによって案内される。
【0030】
搬送ローラ10とピンチローラ13により形成されたニップ部まで用紙部6bがユーザによって案内されると、搬送ローラ10の手前にある不図示の用紙検出手段が用紙部6bを検出する。用紙検出手段が用紙部6bを検出すると、搬送モータ24の駆動が始まる。したがって、ユーザが搬送ローラ10とピンチローラ13との間に用紙部6bを挿入すると、用紙部6bは、搬送ローラ10とピンチローラ13とに挟持され、搬送ローラ10の回転によって搬送されるようになる。
【0031】
搬送ローラ10は、記録部である記録ヘッド2に対向する位置に設けられたプラテン12まで用紙部6bを搬送する。記録ヘッド2は、プラテン12まで搬送された用紙部6bに記録を行う。記録ヘッド2によって記録がなされた用紙部6bはさらにプラテン12上を搬送され、用紙カッタ29によって切断される。用紙カッタ29によって切断された用紙部6bは、排紙カバー14上を滑り、不図示の排紙バスケットに収納される。
【0032】
図6は画像形成装置1の機能の概略を示したブロック図である。キャリッジ3を往復走査させるキャリッジモータ9、ロールモータ19、搬送モータ24は、制御部100によって制御される。制御部100は、主制御部110を有し、該主制御部110に制御されるロールモータ制御部120および搬送モータ制御部130を備えている。また、制御部100は、不図示のCPU、ROM、RAM、モータドライバ等を具備している。
【0033】
主制御部110は、ユーザのオペレーションパネル31への入力内容に応じた吸引ファン30を駆動させるための情報や、温湿度センサ32による画像形成装置1の周囲の温湿度情報に基づいて、吸引ファン制御部140を制御する。
【0034】
吸引ファン制御部140の制御モードには、「強い」、「普通」、「弱い」、および「自動」の4種類のモードがある。本実施形態では、吸引ファン30は、吸引ファン制御部140によってPWM(Pulse Width Modulation)制御されている。吸引ファン30の駆動は、そのデューティー比が、「強い」の場合に100%で、「普通」の場合に80%、で、「弱い」の場合に60%になるように制御される。デューティー比とは、PWM制御で吸引ファン30が周期的に駆動される場合、各周期における吸引ファン30が駆動している時間の割合である。
【0035】
なお、吸引ファン制御部140の制御モードにおける「強い」、「普通」、「弱い」は、吸引ファン30の出力変更することによって変更してもよい。たとえば、吸引ファン30の制御モードでは、「強い」の場合に高出力、「普通」の場合に中出力、「弱い」のときに低出力としてもよい。
【0036】
吸引ファン制御部140による制御モードが「自動」である場合には、温湿度センサ32の情報に基づいて、「強い」、「普通」、「弱い」のいずれかが選択される。これにより、用紙部6bのプラテン12への吸着力を制御する。たとえば、低温低湿の環境下では、用紙部6bがカールしてプラテン12から浮いてしまう場合があるため、吸引ファン制御部140による制御モードは「強い」とする。
【0037】
エンコーダセンサ21,25からの情報を用い、ロールモータ19を制御するロールモータ制御部120と搬送モータ24を制御する搬送モータ制御部130とによってロールモータ19と搬送モータ24とを制御する。
【0038】
ロールモータ19の回転速度はエンコーダセンサ21によって検出され、その検出結果がロールモータ制御部120に送られる。搬送モータ24の回転速度はエンコーダセンサ25によって検出され、その検出結果が搬送モータ制御部130に送られる。
【0039】
図7はロール紙6と搬送ローラ10とを模式的に示した図である。ここで、搬送ローラ10によって用紙部6bを搬送する際の矢印で示した搬送方向における搬送速度をVlfとし、ロール紙6から用紙部6bを繰り出す際の矢印で示した繰り出し方向における繰り出し速度をVrollとする。また、ロール紙6の用紙部6bの、ロール部6aと搬送ローラ10との間にある部分の張力をTpapとし、ロール紙6の用紙部6bの、ロール部6aと搬送ローラ10との間にある部分の弛みの最大値(以下、「弛み量」という。)をSpapとする。また、プラテン12上における吸引ファン30の駆動によって生じる用紙部6bの搬送時の動摩擦力をFpとする。
【0040】
ロール紙6の用紙部6bの、ロール部6aと搬送ローラ10との間にある部分の弛みは、図7の破線で示すように、重力方向下側に発生する。弛み量Spapは、用紙部6bの弛んだ量の絶対値とし、弛みが無い状態(図7における実線で示した状態)を0とする。
【0041】
また、搬送速度Vlf、繰り出し速度Vroll、張力Tpap、動摩擦力Fpは、図7における矢印方向を正値とする。したがって、張力Tpapおよび動摩擦力Fpの方向は、搬送速度Vlf、繰り出し速度Vrollの方向とは反対方向である。張力Tpapおよび動摩擦力Fpは、搬送ローラ10による用紙部6bの搬送方向とは反対に働く。ここで、張力Tpapはバックテンションとも呼称することとする。
【0042】
図8(a)、図8(b)、図8(c)、図8(d)、図8(e)は、それぞれ搬送速度Vlf、繰り出し速度Vroll、弛みSpap、張力Tpap、電流Iの時間変化を示したグラフである。図8(e)における電流Iは、ロールモータ19に通電する電流値を示している。
【0043】
搬送ローラ10による1回の搬送期間において、図8(a)に示す搬送ローラ10の搬送速度Vlfのグラフにおける搬送期間は、加速期間(Ta−Tc)、定速期間(Tc−Te)、減速期間(Te−Tf)の3つの期間に分けられる。
【0044】
搬送ローラ10が回転を開始する時点Taと同時に、ロールモータ19に電流Iを正方向に流し始め、ロール紙6も回転を開始する。ロール紙6は搬送ローラ10より重く、ロール紙6の慣性モーメントは搬送ローラ10よりも大きいため、搬送ローラ10は回転速度を急に変更することができるのに対し、ロール紙6は回転速度を急に変更することができない。そのため、図8(b)に示すように、ロール紙6は搬送ローラ10に引っ張られながら回転する。
【0045】
したがって、ロール紙6による用紙部6bの繰り出し速度Vrollは、加速期間(Ta−Tc)のうちの初期の期間(Ta−Tb)では搬送ローラ10による搬送速度Vlfと等しい。また、期間(Ta−Tb)では、ロール紙6の用紙部6bの、ロール部6aと搬送ローラ10との間にある部分かかる張力はTpapがゼロより大きい。すなわち、期間(Ta−Tb)では、ロール紙6の用紙部6bの、ロール部6aと搬送ローラ10との間にある部分には、搬送ローラ10の用紙部6bの搬送方向とは反対方向にバックテンションTpapが働く。
【0046】
期間(Ta−Tb)で用紙部6bに働く張力Tpapの大きさは、電流値IAを変更することにより、変えることが可能である。張力Tpapを大きくする場合には電流値IAを小さくし、張力Tpapを小さくする場合には電流値IAを大きくする。
【0047】
加速期間(Ta−Tc)において、搬送速度Vlfは等加速度であるのに対し、繰り出し速度Vrollの加速度は徐々に高くなる。これに伴い、加速期間(Ta−Tc)の途中のTbの時点で、繰り出し速度Vrollが搬送速度Vlfを上回る。上述したように、ロール紙6の慣性モーメントは搬送ローラ10よりも大きいため、期間(Tb−Td)では、繰り出し速度Vrollが搬送速度Vlfを上回る状態が続く。
【0048】
期間(Tb−Td)では、弛みSpapが生じ、バックテンションTpapの値はゼロとなる。期間(Tc−Td)は、搬送速度Vlfの定速期間(Tc−Te)内にあり、弛みSpapを維持しつつ、繰り出し速度Vrollが搬送速度Vlfと等しくなるようにロールモータ19が制御される。これにより、時点Tdでは、繰り出し速度Vrollと搬送速度Vlfとが等しくなる。その後の定速期間(Tc−Te)および減速期間(Te−Tf)内の期間(Td−Tf)では、弛みSpap>0、かつ、バックテンションTpap=0となるように制御される。
【0049】
時点Tf以降では、ロールモータ19に電流Iを負方向に流し、弛みSpapをゼロとするとともに、次の搬送期間が始まる時点Taまで若干の張力Tpapを付与する。その後、同様の搬送期間が繰り返される。このように、画像形成装置1では、ロール紙6の用紙部6bが、一定の搬送期間で、間欠搬送される。
【0050】
ここで、期間(Ta−Tb)において、バックテンションTpapを発生させるのは、用紙部6bの斜行を補正するためである。
【0051】
図9を用いて、本実施形態におけるロール紙6の用紙部6bの斜行補正のメカニズムについて説明する。図9では、図の上側をP1と呼称し、図の下側をP2と呼称することとする。なお、図9では、吸引ファン30による作用を考慮せずに説明する。
【0052】
図9はロール紙6および搬送ローラ10を上方から見た概略構成図である。図9は搬送ローラ10によってロール紙6の用紙部6bがP2向きの斜行状態で搬送されているときの、搬送ローラ10による搬送力HとバックテンションTpapとの関係を示した図である。
【0053】
図9に示す矢印は、用紙部6bがP2向きの斜行状態で搬送されているときに用紙部6bに加わる搬送ローラ10の搬送力H、およびバックテンションTpapをベクトルで示している。用紙部6bに加わる搬送ローラ10の搬送力Hはいずれの位置においても等しい。これに対し、用紙部6bの、ロール部6aと搬送ローラ10との間にある部分の用紙部6bは、P1側ほど張り、P2側ほど弛む傾向にある。そのため、用紙部6bの、ロール部6aと搬送ローラ10との間にある部分に加わるバックテンションTpapは、P1側ほど大きくなり、P2側ほど小さくなる。
【0054】
したがって、用紙部6bがP2向きの斜行状態で搬送されている場合には、P1側ほど大きいバックテンションTpapが働くため、用紙部6bは搬送ローラ10に対してP1側ほど滑りが発生しやすくなる。用紙部6bは、搬送ローラ10に対してP1側が優先的に滑ることにより、用紙部6bの搬送方向は徐々にP1側に補正される。これにより、用紙部6bの斜行が解消されると、バックテンションTpapは、用紙部6bのP1側からP2側にわたって均一となり、用紙部6bの斜行補正が完了する。
【0055】
逆に、P1向きの斜行状態で搬送されているときには、用紙部6bの、ロール部6aと搬送ローラ10との間にある部分に加わるバックテンションTpapは、P2側ほど大きくなり、P1側ほど小さくなる。そのため、用紙部6bは搬送ローラ10に対してP2側ほど滑りが発生しやすくなる。用紙部6bは、搬送ローラ10に対してP2側が優先的に滑ることにより、用紙部6bの搬送方向は徐々にP2側に補正される。これにより、用紙部6bの斜行が解消されると、バックテンションTpapは、用紙部6bのP1側からP2側にわたって均一となり、用紙部6bの斜行補正が完了する。
【0056】
次に、張力Tpapと動摩擦力Fpとの関係について説明する。張力Tpapも動摩擦力Fpも用紙部6bに対して働く力として共通するが、張力Tpapは用紙部6bの搬送方向における搬送ローラ10の上流側で働き、動摩擦力Fpは用紙部6bの搬送方向における搬送ローラ10の下流側で働く。したがって、張力Tpapは用紙部6bを搬送方向とは反対側に引っ張るバックテンションであるが、動摩擦力Fpは用紙部6bを搬送方向とは反対側に押し返す力である。しかし、動摩擦力Fpも張力Tpapと同様にバックテンションと同様の力として働くことがわかっているため、動摩擦力Fpもバックテンションとして扱う。
【0057】
図10は張力Tpapと動摩擦力Fpとの関係を示した図である。上述したように、吸引ファン30のデューティー比は、100%、80%、60%のいずれかに設定される。吸引ファン30のデューティー比が60%、80%、100%のときそれぞれ生じる第1の吸着力、第2の吸着力、第3の吸着力はこの順番に強くなる。用紙部6bには、吸引ファン30のデューティー比に応じた動摩擦力Fpが発生する。上述したように、動摩擦力Fpは用紙部6bのバックテンションとして働く。
【0058】
用紙部6bに働くバックテンションが、各搬送期間ごとに変化すると、用紙部6bの搬送ローラ10に対する滑り量も各搬送期間ごとに変化してしまう。そのため、用紙部6bに働くバックテンションは一定であることが望ましい。
【0059】
そこで、画像形成装置1では、用紙部6bに働く2つの力である張力Tpapと動摩擦力Fpとの合計が一定になるように、張力Tpapが調整される。具体的には、図10に示すように、用紙部6bに働く動摩擦力Fpは、吸引ファン30のデューティー比が60%、80%、100%となる順に大きくなる。これに合わせて、張力Tpapの大きさが小さくなるように制御される。すなわち吸着力が順に大きくなる第1の吸着力、第2の吸着力、第3の吸着力のとき、順に小さくなる第1の張力、第2の張力、第3の張力が発生するようにロールモータ19に供給する電流値を制御する。
【0060】
図11は本実施形態に係る画像形成装置1のロール紙6の用紙部6bを搬送する流れを示したフローチャートである。まず、画像形成装置1の動作が開始し(S01)、ユーザによって記録情報が入力されると(S02)、該記録情報等に基づいて吸引ファン30の制御モードが決定される(S03)。
【0061】
ロールモータ制御部120は、吸引ファン30の制御モードが「弱い」の場合、制御パラメータ1にて張力Tpapの制御を行う(S04)。また、ロールモータ制御部120は、吸引ファン30の制御モードが「普通」の場合、制御パラメータ2にて張力Tpapの制御を行う(S07)。制御パラメータ1は制御パラメータ2よりも張力Tpapが大きくなるような、ロールモータ19に供給する電流値などの制御情報を有している。また、ロールモータ制御部120は、吸引ファン30の制御モードが「強い」の場合、制御パラメータ3にて張力Tpapの制御を行う(S10)。制御パラメータ3は制御パラメータ2よりも張力Tpapが小さくなるような制御情報を有している。
【0062】
そして、記録が開始され(S05、S08、S11)、記録が終了すると(S06、S09、S12)、記録が続行されるか否かが判断される(S13)。記録が続行される場合にはステップS01に戻り、記録が続行されない場合には記録が終了される(S14)。
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について図面を参照して説明する。なお、本実施形態は、以下に説明する構成以外、第1の実施形態と同様である。
【0063】
図12は画像形成装置の機能の概略を示したブロック図である。第1の実施形態に係る図6と異なる点は、吸引ファン30による用紙部6bの吸引圧力を測定し、その測定結果を主制御部110に送る負圧計33が設けられている点である。本実施形態では、吸引ファン30による吸引圧力により用紙部6bのプラテンへの吸着力を制御する。そして、負圧計33の測定結果に基づいて、用紙部6bの張力Tpapを決定することにより、全ての搬送期間において用紙部6bに働くバックテンションが一定となるようにしている。
【0064】
図13は本実施形態に係る画像形成装置のロール紙6の用紙部6bを搬送する流れを示したフローチャートである。まず、画像形成装置1の動作が開始し(S21)、ユーザによって記録情報が入力されると(S22)、負圧計33による吸引圧力の測定結果に基づいて吸引ファン30の制御モードを決定する(S33)。
【0065】
ロールモータ制御部120は、負圧計33によって測定された吸引ファン30の吸引圧力が0.5KPa未満の場合、用紙部6bのプラテンへの吸着力を「弱い」と判断し、制御パラメータ1にて張力Tpapの制御を行う(S24)。また、ロールモータ制御部120は、負圧計33によって測定された吸引ファン30の吸引圧力が0.5KPa以上0.7KPa未満の場合、用紙部6bのプラテンへの吸着力を「弱い」と判断し、制御パラメータ2にて張力Tpapの制御を行う(S27)。また、ロールモータ制御部120は、負圧計33によって測定された吸引ファン30の吸引圧力が0.7KPa以上の場合、制御パラメータ3にて張力Tpapの制御を行う(S30)。
【0066】
そして、記録が開始され(S25、S28、S31)、記録が終了すると(S26、S29、S32)、記録を続行するか否かが判断される(S33)。記録が続行される場合にはステップS21に戻り、記録が続行されない場合には記録が終了される(S34)。
【符号の説明】
【0067】
1 画像形成装置
6 ロール紙
6a ロール部
6b 用紙部
10 搬送ローラ
13 用紙センサ
19 ロールモータ
21、25 エンコーダセンサ
24 搬送モータ
30 吸引ファン
120 ロールモータ制御部
130 搬送モータ制御部
140 吸引ファン制御部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートがロール状に巻かれたロール部を回転させるとともに、搬送ローラを回転させることによって前記ロール部から引き出された前記被記録シート部の搬送を行う搬送期間を間欠的に繰り返して、該被記録シート部を、記録が行われるプラテンに搬送する画像形成装置であって、
前記プラテンに前記被記録シート部を吸引する吸引手段と、
前記吸引手段の吸引による前記被記録シート部の前記プラテンへの吸着力の大きさに基づいて、前記被記録シート部の、前記ロール部から前記搬送ローラまでの部分における張力を制御する制御部と、
を有する画像形成装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記吸引手段をPWM制御し、前記吸引手段のデューティー比を変更することにより前記吸着力の大きさを変更する、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記吸引手段による前記被記録シート部の吸引圧力を測定する負圧計を有し、
前記制御部は、前記負圧計が測定した前記吸引圧力に基づいて前記張力の大きさを制御する、請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記吸着力が第1の吸着力のとき前記張力が第1の張力となり、前記吸着力が前記第1の吸着力よりも大きな第2の吸着力のとき前記張力が前記第1の張力よりも小さな第2の張力となるように制御する請求項1から3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記ロール部を回転駆動するロールモータを有し、前記制御部は前記ロールモータを制御することによって前記張力を制御する請求項1から4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記被記録シート部の搬送において、前記ロール部から前記搬送ローラまでの部分に前記張力を付与しない期間が存在するように前記ロールモータの制御する請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項1】
シートがロール状に巻かれたロール部を回転させるとともに、搬送ローラを回転させることによって前記ロール部から引き出された前記被記録シート部の搬送を行う搬送期間を間欠的に繰り返して、該被記録シート部を、記録が行われるプラテンに搬送する画像形成装置であって、
前記プラテンに前記被記録シート部を吸引する吸引手段と、
前記吸引手段の吸引による前記被記録シート部の前記プラテンへの吸着力の大きさに基づいて、前記被記録シート部の、前記ロール部から前記搬送ローラまでの部分における張力を制御する制御部と、
を有する画像形成装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記吸引手段をPWM制御し、前記吸引手段のデューティー比を変更することにより前記吸着力の大きさを変更する、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記吸引手段による前記被記録シート部の吸引圧力を測定する負圧計を有し、
前記制御部は、前記負圧計が測定した前記吸引圧力に基づいて前記張力の大きさを制御する、請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記吸着力が第1の吸着力のとき前記張力が第1の張力となり、前記吸着力が前記第1の吸着力よりも大きな第2の吸着力のとき前記張力が前記第1の張力よりも小さな第2の張力となるように制御する請求項1から3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記ロール部を回転駆動するロールモータを有し、前記制御部は前記ロールモータを制御することによって前記張力を制御する請求項1から4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記被記録シート部の搬送において、前記ロール部から前記搬送ローラまでの部分に前記張力を付与しない期間が存在するように前記ロールモータの制御する請求項5に記載の画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2013−28116(P2013−28116A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−166682(P2011−166682)
【出願日】平成23年7月29日(2011.7.29)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月29日(2011.7.29)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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