説明

画像形成装置

【課題】印刷する画像の寸法と、媒体に画像を印刷することのできる領域の寸法とが異なる場合でも、第1面と第2面の印刷位置を近付けること。
【解決手段】媒体を搬送して、当該媒体に画像を形成する画像形成部170と、画像形成部170を制御して、媒体に画像を形成する処理を行う制御部150と、を備え、制御部150は、媒体に形成する画像の、媒体を搬送する搬送方向における長さが、媒体において画像を形成することのできる領域の、搬送方向における長さよりも短い場合に、媒体の両面に画像を形成するときには、媒体の搬送方向に交差する一辺から両面の内最初に処理される第1面に形成する画像までの距離が長いほど、この一辺から両面の内次に処理される第2面に形成する画像までの距離が長くなるように、画像形成部170を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
両面印刷機能を備えるプリンタ等の画像形成装置は、1枚の媒体に2画面分の印刷(例えば、媒体の第1面又は表面に第1画像を印刷し、該媒体の第2面又は裏面に第2画像を印刷する)を行うことができる。このため、事業所等で利用されるプリンタは、両面印刷を行うことで、紙の使用を抑制できる。
例えば、特許文献1に記載された画像形成装置は、データの再現性を優先する情報を持つ印刷データについては、片面印刷を行い、その他の印刷データについては、両面印刷を行うことで、紙の使用を抑制している。
従来の画像形成装置は、両面印刷を行う際に、画像形成装置に設定されている媒体の寸法が、ユーザが印刷時に指定する媒体の寸法と同じであり、両面に印刷される画像の寸法と、媒体に画像を印刷することのできる領域の寸法とが一致していることが前提となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008―221498号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の画像形成装置では、レターサイズの媒体が指定されている印刷データの画像をA4の用紙に印刷する等、印刷する画像の寸法と、媒体に画像を印刷することのできる領域の寸法が合致しない場合がある。このような場合において両面印刷を実行すると、当該媒体の搬送方向に沿って第1面に印刷される画像の位置と、第2面に印刷される画像の位置とがずれてしまうことがある。
【0005】
そこで、本発明は、印刷する画像の寸法と、媒体に画像を印刷することのできる領域の寸法とが異なる場合でも、第1面と第2面の印刷位置を近付けることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る画像形成装置は、媒体を搬送して、当該媒体に画像を形成する画像形成部と、前記画像形成部を制御して、前記媒体に画像を形成する処理を行う制御部と、を備え、前記制御部は、前記媒体に形成する画像の、前記媒体を搬送する搬送方向における長さが、前記媒体において画像を形成することのできる領域の、当該搬送方向における長さよりも短い場合に、前記媒体の両面に画像を形成するときには、前記媒体の当該搬送方向に交差する一辺から前記両面の内最初に処理される第1面に形成する画像までの距離が長いほど、前記一辺から前記両面の内前記第1面の次に処理される第2面に形成する画像までの距離が長くなるように、前記画像形成部を制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一態様によれば、印刷する画像の寸法と、媒体に画像を印刷することのできる領域の寸法とが異なる場合でも、第1面と第2面の印刷位置を近付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】実施の形態1に係るプリンタの構造を概略的に示す縦断面図である。
【図2】実施の形態1における印刷処理部の構成を概略的に示すブロック図である。
【図3】実施の形態1に係るプリンタでのメイン処理を示すフローチャートである。
【図4】実施の形態1における印刷処理を示すフローチャートである。
【図5】実施の形態1における調整有りの画像形成処理を示すフローチャートである。
【図6】(A)及び(B)は、実施の形態1において、印刷される画像と媒体との関係を示す概略図である。
【図7】実施の形態1に係るプリンタの搬送路を示す概略図である。
【図8】(A)〜(F)は、実施の形態1において、両面印刷する際の搬送路における媒体の動きを示す概略図である。
【図9】(A)〜(D)は、実施の形態1における両面印刷の結果を示す概略図である。
【図10】(A)〜(C)は、実施の形態1における、書き出しセンサと露光のON及びOFFの関係を示すタイムチャートである。
【図11】実施の形態2における印刷処理部の構成を概略的に示すブロック図である。
【図12】(A)〜(D)は、実施の形態2における印刷ジョブデータの一例を示す概略図である。
【図13】実施の形態2に係るプリンタでのメイン処理を示すフローチャートである。
【図14】実施の形態2における印刷処理を示すフローチャートである。
【図15】実施の形態2における調整無しの画像形成処理を示すフローチャートである。
【図16】(A)〜(D)は、実施の形態2において、搬送方向が媒体の縦方向である場合における、綴じ位置に対応した印刷結果を示す概略図である。
【図17】(A)〜(D)は、実施の形態2において、搬送方向が媒体の横方向である場合における、綴じ位置に対応した印刷結果を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態1.
(構成の説明)
図1は、画像形成装置としてのプリンタ100の構造を概略的に示す縦断面図である。プリンタ100は、用紙トレイ1と、搬送路2と、ピックアップローラ3と、搬送ローラ4A、4B(特に各々を区別する必要がないときは、搬送ローラ4という)と、レジストローラ5A、5B(特に各々を区別する必要がないときは、レジストローラ5という)と、画像形成装置6と、定着装置7と、書き出しセンサ8と、排紙センサ9と、排紙ローラ11―1A、11―1B、11―2A、11―2B、11―3A、11―3B(特に各々を区別する必要がないときは、排紙ローラ11という)と、排紙トレイ12と、両面搬送ローラ13―1A、13―1B、13―2A、13―2B、13―3A、13―3B(特に各々を区別する必要がないときは、両面搬送ローラ13という)と、データ受信部110とを備える。
【0010】
用紙トレイ1は、画像の出力に用いる媒体14を収納する。なお、媒体14は、不定形サイズの場合がある。
搬送路2は、媒体14を搬送する。媒体14の搬送は、後に説明する各種ローラが行う。
ピックアップローラ3は、用紙トレイ1に収納されている媒体14を1枚ずつピックアップして、媒体14を搬送路2に送り出す。
搬送ローラ4は、搬送路2上の媒体14を、図中の矢示方向D1に向けて搬送する。
レジストローラ5は、搬送路2上の媒体14の先頭位置にある辺を搬送方向に直交する方向に合わせて、媒体14を図中の矢示方向D1に向けて搬送する。
【0011】
画像形成装置6は、媒体14にトナーを転写する。画像形成装置6は、像担持体である感光体6Aと、感光体6Aを帯電させる帯電ローラ6Bと、感光体6Aに静電潜像を形成する露光装置6Cと、感光体6Aにトナー像を形成する現像ローラ6Dと、現像ローラ6D上にトナーを供給する供給ローラ6Eと、トナーを収容する収容部6Fと、感光体6A上のトナー像を媒体に転写する転写ローラ6Gとを備える。感光体6Aと転写ローラ6Gとの間が、トナーを媒体14に転写して画像を形成する画像形成位置TPとなる。
【0012】
定着装置7は、媒体14に転写されたトナーを定着させる。例えば、定着装置7は、熱定着により、媒体14にトナーを定着させる。
書き出しセンサ8及び排紙センサ9は、これらのセンサが設けられている位置を媒体14の先頭が通過するとON信号を出力し、媒体14の後端が通過するとOFF信号を出力する。
【0013】
排紙ローラ11は、それぞれ矢示方向に回転して、印刷後の媒体14を排紙トレイ12の方向に搬送する。また、排紙ローラ11は、両面印刷を行う場合には、媒体14の片面に印刷が終わった場合には、それぞれ矢示方向に回転して、媒体14を排紙ローラ11―3A、11−3Bが設けられている位置にまで搬送してから、それぞれ矢示方向とは反対方向に回転して、媒体14を両面搬送ローラ13が設けられている搬送路2に送り返す。
排紙トレイ12は、印刷が終了した媒体を載積する。
両面搬送ローラ13は、排紙ローラ11から送られてきた媒体14を、矢示方向D2に搬送する。
【0014】
なお、以上に記載された各ローラは、図示しない伝動機構によって駆動される。
【0015】
データ受信部110は、PC等の上位装置から印刷データを受信する。例えば、データ受信部110は、LAN等からデータを受信するネットワークインターフェースカード、USBインターフェース等により構成することができる。
【0016】
図2は、プリンタ100における印刷処理を行う印刷処理部120の構成を概略的に示すブロック図である。印刷処理部120は、データ解析部130と、イメージデータバッファ140と、制御部150とを備える。制御部150は、印刷制御部151と、時間計測部152と、書き出し制御部153とを備える。
【0017】
データ受信部110は、上位装置としてのPC500から印刷ジョブデータを受信し、この印刷ジョブデータをデータ解析部130に与える。
書き出しセンサ8は、媒体14の通過を検知して、ON信号及びOFF信号を制御部150に与える。
【0018】
データ解析部130は、データ受信部110から印刷ジョブデータを受け取り、この印刷ジョブデータを解析して、印刷画像データを生成して、この印刷画像データをイメージデータバッファに格納させる。また、データ解析部130は、受け取った印刷ジョブデータから、印刷画像データの画像長を特定する。ここで、画像長は、媒体14の搬送方向における画像の長さである。例えば、印刷ジョブデータで指定されている媒体の用紙サイズが、プリンタ100で使用される媒体14の用紙サイズと異なる場合には、印刷画像データの版面長が画像長となる。ここで、版面は、ユーザが指定した用紙サイズの媒体の内、画像を印刷可能な領域である。そして、版面長は、媒体14の搬送方向における版面の長さである。なお、版面は、用紙サイズ毎に予め定められているものとし、データ解析部130は、媒体14の搬送方向に応じて、予め定められている版面から版面長を特定する。データ解析部130は、印刷画像データを格納させたこと、及び、特定した画像長を制御部150に通知する。
イメージデータバッファ140は、印刷画像データを記憶する記憶部である。
【0019】
印刷制御部151は、プリンタ100における印刷処理の全体を制御する。例えば、印刷制御部151は、後述するように、調整有りの画像形成処理を制御する。
時間計測部152は、書き出しセンサ8から出力されるON信号及びOFF信号の間の時間を計測し、計測した時間を媒体通過時間として書き出し制御部153に与える。ここで、書き出しセンサ8が設けられている位置における媒体14の搬送速度と、画像形成位置TPにおける媒体14の搬送速度は等しいため、この媒体通過時間は、画像形成位置TPを媒体14が通過する時間と等しくなる。また、時間計測部152は、書き出しセンサ8からON信号が出力されている時間を計時して、書き出し制御部153に与える。
書き出し制御部153は、データ解析部130から与えられた画像長と、時間計測部152から与えられた媒体通過時間とに基づいて、媒体14へのデータの書き出しタイミングを特定する。ここで、書き出し制御部153は、両面印刷が施される媒体14の第1面(表面)及び第2面(裏面)での画像の位置を揃えるように、媒体14へのデータの書き出しタイミングを特定する。
【0020】
画像形成部170は、媒体14に印刷を実行する部分である。画像形成部170は、図1に示されている、ピックアップローラ3、搬送ローラ4、レジストローラ5、画像形成装置6、定着装置7、排紙ローラ11及び両面搬送ローラ13を含む。画像形成部170は、書き出し制御部153で特定された書き出しタイミングに従って、イメージデータバッファ140に記憶されている印刷画像データで示される画像を媒体14に印刷する。
【0021】
(動作の説明)
図3は、実施の形態1に係るプリンタ100でのメイン処理を示すフローチャートである。
【0022】
まず、PC500から印刷ジョブデータが送信されると、プリンタ100では、データ受信部110がこれを受信して、データ解析部130に転送する(S10)。
データ解析部130は、印刷ジョブデータから印刷画像データを生成して、この印刷画像データをイメージバッファ140に格納させる(S11)。
【0023】
また、データ解析部130は、ステップS10で受け取った印刷ジョブデータから画像長を特定する(S12)。
そして、データ解析部130は、印刷画像データを格納させたこと、及び、ステップS12で特定した画像長を制御部150に通知する(S13)。
【0024】
次に、プリンタ100の制御部150は、印刷処理を実行する(S14)。ステップS14での印刷処理については、図4を用いて詳細に説明する。
【0025】
図4は、図3のステップS14における印刷処理を示すフローチャートである。
【0026】
印刷制御部151は、イメージデータバッファ140にアクセスして印刷画像データを読み出す(S20)。
また、印刷制御部151は、定着装置7に昇温を指示する(S21)。
そして、印刷制御部151は、図3のステップS10で受信した印刷ジョブデータに対応する印刷画像データがイメージデータバッファ140に存在する間、以下のステップS23〜S26の処理を繰り返す(S22)。
【0027】
ステップS23では、印刷制御部151、時間計測部152及び書き出し制御部153は、調整有りの画像形成処理を行う。この調整有りの画像形成処理については、図5を用いて詳細に説明する。
ステップS24では、印刷制御部151は、ステップS23で調整有りの画像形成処理が施された媒体14の第2面に印刷すべき印刷画像データがあるか否かを確認する。そして、印刷制御部151は、第2面に印刷すべき印刷画像データがある場合(S24:Yes)には、ステップS25の処理に進み、第2面に印刷すべき印刷画像データがない場合(S24:No)には、ステップS26の処理に進む。
【0028】
ステップS25では、印刷制御部151は、排紙ローラ11を制御して、媒体14を両面搬送ローラ13側に搬送させる。
一方、ステップS26では、印刷制御部151は、排紙ローラ11を制御して、媒体14を排紙トレイ12に出力させる。
そして、印刷制御部151は、図3のステップS10で受信した印刷ジョブデータに対応する印刷画像データがイメージデータバッファ140に存在しなくなった場合(S27)には、印刷処理を終了する。
【0029】
図5は、図4のステップS23における調整有りの画像形成処理を示すフローチャートである。
【0030】
まず、印刷制御部151は、搬送ローラ4及びレジストローラ5に、媒体14の搬送を指示する(S30)。
搬送されてきた媒体14の先頭が、書き出しセンサ8を通過すると、書き出しセンサ8は、制御部150にON信号を出力し(S31でYes)、時間計測部152は、計時を開始する(S32)。
【0031】
次に、印刷制御部151は、搬送ローラ4及びレジストローラ5により搬送されてきた媒体14への印刷が、この媒体14に最初に印刷する面である第1面であるか否かを判断する(S33)。そして、印刷制御部151は、印刷するのが第1面である場合(S33:Yes)には、ステップS34の処理に進み、印刷するのが第2面である場合(S33:No)には、ステップS40の処理に進む。
【0032】
ステップS34では、書き出し制御部153は、ステップS31でON信号を受け取った時刻から規定時間を待機して(S34)、画像形成装置6にトナー像を媒体14に転写させる(S35)。ここで、規定時間は、媒体14が書き出しセンサ8から画像形成位置TPまで搬送され、媒体14の搬送方向の先頭側の余白が画像形成位置TPを追加するまでの時間である。
【0033】
そして、媒体14の後端が書き出しセンサ8を通過すると、書き出しセンサ8は、OFF信号を制御部150に出力し(S36:Yes)、時間計測部152は、計時を終了する(S37)。そして、時間計測部152は、ステップS32で計時を開始してから、ステップS37で計時を終了するまでの時間を、媒体通過時間として書き出し制御部153に与える。
【0034】
次に、書き出し制御部153は、下記の(1)式により露光時間を算出し、(2)式により余白通過時間を算出する(S38)。
(露光時間)=(画像長)÷(搬送速度) :(1)
(余白通過時間)=(余白長)÷(搬送速度) :(2)
ここで、画像長は、図3のステップS12でデータ解析部130より与えられたものであり、搬送速度は、予め定められているものとする。また、余白長は、媒体14の搬送方向において、媒体14の先端側及び後端側に設定された余白の、当該搬送方向における長さの合計である。媒体14のサイズ、媒体14の搬送方向及びユーザが設定した余白のサイズに基づいて、印刷制御部151がこの余白長を特定し、これを書き出し制御部153に通知するものとする。なお、媒体14の搬送方向において、媒体14の先端側及び後端側に余白が設定されていない場合には、余白長は「0」となり、余白通過時間も「0」となる。
【0035】
次に、書き出し制御部153は、媒体14の第2面を印刷する際に、搬送方向に沿って画像の位置合わせをするために必要な調整時間を下記の(3)式で算出する。
(調整時間)=(媒体通過時間)−(露光時間)−(余白通過時間) :(3)
【0036】
一方、ステップS33において、印刷するのが第2面であると判断された場合(S33:No)には、ステップS40の処理に進む。ステップS40では、書き出し制御部153は、ステップS31でON信号を受け取った時刻から、規定時間に、印刷する媒体14の第1面の印刷時にステップS39で算出された調整時間を加算した時間を待機する。そして、ステップS40での待機後、書き出し制御部153は、画像形成装置6にトナー像を媒体14に転写させる。
【0037】
上記の調整時間について、図6〜図10を用いて説明する。
図6(A)及び(B)は、印刷される画像と媒体14との関係を示す概略図である。ここでは、ユーザが、PC500において、実際にプリンタ100に格納されている媒体14の搬送方向における長さよりも短い媒体を選択して、両面に画像を印刷するジョブを示す印刷ジョブデータを作成し、プリンタ100に送信したものとする。例えば、ユーザが、Letterサイズ(横:215.9mm、縦:279.4mm)の媒体を選択した印刷ジョブデータの画像を、プリンタ100がA4サイズ(横:210mm、縦:297mm)の媒体14に印刷する場合等がこれにあたる。
【0038】
ユーザが作成した印刷ジョブデータは、媒体14の縦方向が搬送方向と平行となり、図6(A)に示すように、第1面に「招運来福」、図6(B)に示すように、第2面に「商売繁盛」の文字を含む画像印刷するものである。従って、媒体14の上方に「招」と「商」の文字が配置され、その下方に「福」と「盛」の文字が配置される。なお、例えば、第1面に印刷される画像のサイズと、第2面に印刷される画像のサイズとは、同じサイズになっている。
【0039】
次に、プリンタ100の搬送路2における媒体14の動きを説明する。図7は、プリンタ100の搬送路2を示す概略図である。図7は、図1に示されているプリンタ100の構成から、搬送路2及びその周辺のモジュールだけを取り出したものである。図8(A)〜(F)は、図6(A)及び(B)に示されている画像を両面印刷する際の、図7に示されている搬送路2における媒体14の動きを示す概略図である。なお、図8に示されている搬送路2及びその周辺モジュールは、図7に示されているものと同様であるため、図8においては、これらを示す符号が省略されている。また、図8においては、媒体14は、太線で示されている。
【0040】
図8(A)に示されているように、ピックアップローラ3が用紙トレイ1からピックアップした媒体14は、搬送路2を、矢示方向に進み、画像形成位置TPまで搬送される。媒体14の先頭が書き出しセンサ8を通過すると、媒体14に押された書き出しセンサ8は、ON信号を出力する。
【0041】
図8(B)に示されているように、書き出しセンサ8がON信号の出力を開始してからから規定時間経過後に、印刷制御部151から送られてきた印刷画像データに基づいて感光体6A上に形成されたトナー像が、媒体14に転写される。ここでは、第1面の印刷であるため、図6(A)に示されているように、媒体14の搬送方向の先頭側から「招」、「運」、「来」及び「福」の文字が、順番に媒体14に転写される。そして、定着装置7は、搬送されてきた媒体14にトナーを定着させる。
【0042】
図8(C)に示されているように、媒体14の後端が排紙センサ9を通過すると、排紙センサ9は、制御部150にOFF信号を出力する。印刷制御部151は、排紙センサ9からのOFF信号を受け取ってから、所定時間後に排紙ローラ11の回転を一旦停止して、媒体14の搬送を一時停止する。
【0043】
図8(D)に示されているように、印刷制御部151は、印刷ジョブデータで両面印刷が指示されている場合には、排紙ローラ11の回転方向を逆にすることで、媒体14は、「福」の文字が印刷されている側を先頭にして、両面搬送ローラ13により、矢示方向に搬送路2を進む。
【0044】
図8(E)に示されているように、媒体14は、搬送路2を、矢示方向に進み、画像形成位置TPまで搬送される。このとき、既に画像の形成が終了している第1面が感光体6Aに対向しない裏側になっており、媒体14は、「福」の文字が印刷されている側が先頭となって搬送される。
【0045】
図8(F)に示されているように、書き出しセンサ8がON信号の出力を開始してからから規定時間に調整時間を加算した時間の経過後に、印刷制御部151から送られてきた印刷画像データに基づいて感光体6A上に形成されたトナー像が、媒体14の第2面に転写される。ここでは、第2面の印刷であり、また、搬送方向が第1面と逆になっているため、図6(B)に示されているように、媒体14の搬送方向の先頭側から「盛」、「繁」、「売」及び「商」の文字が、順番に媒体14に転写される。そして、定着装置7は、搬送されてきた媒体14にトナーを定着させる。
【0046】
図9(A)〜(D)は、両面印刷の結果を示す概略図である。
図9(A)及び(B)は、媒体14の実際の長さを考慮せずに第2面を印刷した場合、言い換えると、調整時間を加算せずに、規定時間に基づいて第2面を印刷した場合の画像と媒体14との関係を示している。このような場合には、媒体14に印刷される画像の位置が、第1面と第2面とで異なっている。
【0047】
図9(C)及び(D)は、媒体14の実際の長さを考慮して第2面を印刷した場合、言い換えると、規定時間に調整時間を加算して第2面を印刷した場合の画像と媒体14との関係を示している。図9(C)に示されているように、第1面を印刷する際に、媒体長BLを搬送速度で除算した値に対応する媒体通過時間から、画像長ELを搬送速度で除算した値である露光時間、及び、余白長BL(=BL1+BL2)を搬送速度で除算した値である余白通過時間を減算することで、調整長ALを搬送速度で除算した値に対応する調整時間が算出される。そして、図9(D)に示されているように、第2面を印刷する際に、調整時間だけ、露光の開始を遅らせることで、調整長ALだけ画像が媒体14の上方に移動するため、媒体14における画像の位置が、第1面と第2面とで同じになっている。
【0048】
図10(A)〜(C)は、書き出しセンサ8と露光のON及びOFFの関係を示すタイムチャートである。
図10(A)は、印刷ジョブデータでユーザが指定したサイズの媒体に画像を印刷する場合を示している。
このような場合には、書き出しセンサ8がONになった時刻T11から調整時間t1が経過した時刻T12に、露光がONとなり、露光が開始される。そして、書き出しセンサ8がOFFになった時刻T13から、調整時間t1から、後端側の余白通過時間を減算した時間t2が経過した時刻T14において、露光がOFFとなり、露光が終了する。ここで、時刻T12から時刻T14までの間の時間は、露光時間toutであって、印刷画像データの画像長に応じた時間となっている。
【0049】
図10(B)は、印刷ジョブデータでユーザが指定した媒体の搬送方向のサイズよりも、搬送方向のサイズが大きな媒体14の第1面に画像を印刷する場合を示している。
このような場合には、書き出しセンサ8がONになった時刻T21から調整時間t1が経過した時刻T22に、露光がONになる。そして、時刻T22から露光時間toutが経過した時刻T24において、露光がOFFとなる。この場合には、媒体14の搬送方向におけるサイズが大きいので、図10(A)で書き出しセンサ8がOFFとなった時刻T23よりも、調整時間t3だけ長い時間が経過した時刻T25において、書き出しセンサ8がOFFになる。
【0050】
図10(C)は、印刷ジョブデータでユーザが指定した媒体の搬送方向のサイズよりも、搬送方向のサイズが大きな媒体14の第2面に画像を印刷する場合を示している。
このような場合には、書き出しセンサ8がONになった時刻T31から調整時間t1及び調整時間t3が経過した時刻T33に、露光がONになる。そして、書き出しセンサ8がOFFになった時刻T34から、時間t2が経過した時刻T35において、露光がOFFになる。この時間t2は、調整時間t1から後端側の余白通過時間を減算したものであり、図10(C)の場合は、図10(A)の場合と同様のタイミングで露光が終了し、第1面における画像形成終了位置と、第2面における画像形成終了位置とが一致する。
【0051】
以上のように、実施の形態1に係るプリンタ100によれば、両面印刷を行う際に、第1面を印刷する過程で、媒体14の搬送方向における画像のずれに対応する調整時間を取得して、第2面を印刷する際に、この調整時間を用いて媒体14の搬送方向における画像のずれを調整するため、第1面に印刷される画像と、第2面に印刷される画像との位置が適切に調整される。
【0052】
実施の形態2
(構成の説明)
実施の形態2に係るプリンタ200の全体的な構造は、図1に示されているプリンタ100の構造と同様である。
図11は、プリンタ200における印刷処理を行う印刷処理部220の構成を概略的に示すブロック図である。印刷処理部220は、データ解析部230と、イメージデータバッファ140と、制御部250とを備える。実施の形態2における印刷処理部220は、データ解析部230及び制御部250での処理において、実施の形態1における印刷処理部120と異なっている。
【0053】
実施の形態2におけるデータ解析部230は、実施の形態1におけるデータ解析部130と同様の処理を行う他、データ受信部110から与えられた印刷ジョブデータを解析することで、両面印刷指定、片面印刷指定、又は、両面印刷実行時の綴じ位置指定、を印刷モードとして取得し、この印刷モードを制御部250に通知する。例えば、両面印刷実行時の綴じ位置指定は、長辺綴じ及び短辺綴じの別を指定するものとする。
【0054】
図12(A)〜(D)は、印刷ジョブデータの一例を示す概略図である。図12(A)では、長辺綴じ両面印刷が指定されており、図12(B)では、短辺綴じ両面印刷が指定されており、図12(C)では、綴じ位置指定を有しない両面印刷が指定されており、図12(D)では、片面印刷が指定されている。
印刷ジョブデータは、ジョブデータの開始を示す第1の所定の文字列に続いて、両面印刷の指定、片面印刷の指定、両面印刷の場合における綴じ位置の指定、用紙指定、及び、版面指定等、印刷ジョブにかかわるプロパティを指定するプロパティデータを有している。そして、印刷ジョブデータは、そのプロパティデータに続いて、一ページ目の帳票データを備え、ページ区切りを示す第2の所定の文字列を挟んで、次のページの帳票データを備え、必要なページ分の帳票データが終わると、データ終了を示す第3の文字列で終了となる。
【0055】
図11の説明に戻り、制御部250は、印刷制御部251と、時間計測部152と、書き出し制御部153と、印刷モード取得部254とを備える。実施の形態2における制御部250は、印刷制御部251での処理の点及び印刷モード取得部254が備えられている点において、実施の形態1における制御部150と異なっている。
【0056】
印刷制御部251は、プリンタ200における印刷処理の全体を制御する。例えば、実施の形態2においては、印刷制御部251は、印刷モード取得部254での選択に従って、調整有りの画像形成処理、又は、調整無しの画像形成処理の制御を行う。
印刷モード取得部254は、データ解析部230から与えられた印刷モードを取得して、調整有りの画像形成処理を行うか、調整無しの画像形成処理を行うかを選択する。例えば、印刷モード取得部254は、両面印刷において綴じ方向が指示されていない場合には、調整有りの画像形成処理を行うことを選択する。また、印刷モード取得部254は、綴じ方向が媒体14の搬送方向と平行な方向である場合、即ち、媒体14の搬送方向と綴じ方向がともに縦方向である場合、又は、媒体14の搬送方向と綴じ方向がともに横方向である場合には、調整有りの画像形成処理を行うことを選択する。一方、印刷モード取得部254は、片面印刷の場合、及び、綴じ方向が媒体14の搬送方向と平行ではない場合には、調整無しの画像形成処理を行うことを選択する。
【0057】
(動作の説明)
図13は、実施の形態2に係るプリンタ200でのメイン処理を示すフローチャートである。
【0058】
まず、PC500から印刷ジョブデータが送信されると、プリンタ200では、データ受信部110がこれを受信して、データ解析部230に転送する(S50)。
データ解析部230は、印刷ジョブデータから印刷画像データを生成して、この印刷画像データをイメージバッファ140に格納させる(S51)。
【0059】
また、データ解析部230は、ステップS50で受け取った印刷ジョブデータから画像長を特定する(S52)。
次に、データ解析部230は、ステップS50で受け取った印刷ジョブデータから印刷モードを抽出する(S53)。
そして、データ解析部230は、印刷画像データを格納させたこと、ステップS12で特定した画像長、及び、ステップS53で抽出した印刷モードを制御部250に通知する(S54)。
【0060】
次に、プリンタ200の制御部250は、印刷処理を実行する(S55)。ステップS14での印刷処理については、図14を用いて詳細に説明する。
【0061】
図14は、図13のステップS55における印刷処理を示すフローチャートである。
【0062】
印刷制御部251は、イメージデータバッファ140にアクセスして印刷画像データを読み出す(S60)。
また、印刷制御部251は、定着装置7に昇温を指示する(S61)。
【0063】
次に、印刷モード取得部254は、図13のステップS54で通知されてきた印刷モードが両面印刷を指定するものであるか否かを判断する(S62)。そして、印刷モード取得部254は、印刷モードが両面印刷を指定するものである場合(S62:Yes)には、ステップS63の処理に進み、印刷モードが片面印刷を指定するものである場合(S62:No)には、ステップS71の処理に進む。
【0064】
ステップS63では、印刷モード取得部254は、図13のステップS54で通知されてきた印刷モードが綴じ位置を指定するものであるか否かを判断する。そして、印刷モード取得部254は、印刷モードが綴じ位置を指定するものである場合(S63:Yes)には、ステップS64の処理に進み、印刷モードが綴じ位置を指定するものではない場合(S63:No)には、ステップS65の処理に進む。
【0065】
ステップS64では、印刷モード取得部254は、綴じ位置として指定されている辺の延びる方向が、搬送方向と平行であるか否かを判断する。例えば、印刷モード取得部254は、綴じ位置が長辺で、搬送方向が媒体14の縦方向である場合、及び、綴じ方向が短辺で、搬送方向が媒体14の横方向である場合には、ステップS64でYesと判断する。そして、印刷モード取得部254は、ステップS64でYesと判断した場合には、ステップS65の処理に進み、ステップS64でNoと判断した場合には、ステップS71の処理に進む。
【0066】
ステップS65では、印刷制御部251は、図13のステップS50で受信した印刷ジョブデータに対応する印刷画像データがイメージデータバッファ140に存在する間、以下のステップS66〜S69の処理を繰り返す。
【0067】
ステップS66では、印刷制御部251、時間計測部152及び書き出し制御部153は、調整有りの画像形成処理を行う。この調整有りの画像形成処理については、図5に示されているフローと同様である。
ステップS67では、印刷制御部251は、ステップS66で調整有りの画像形成処理が施された媒体14の第2面に印刷すべき印刷画像データがあるか否かを確認する。そして、印刷制御部251は、第2面に印刷すべき印刷画像データがある場合(S67:Yes)には、ステップS68の処理に進み、第2面に印刷すべき印刷画像データがない場合(S67:No)には、ステップS69の処理に進む。
【0068】
ステップS68では、印刷制御部251は、排紙ローラ11を制御して、媒体14を両面搬送ローラ13側に搬送させる。
一方、ステップS69では、印刷制御部251は、排紙ローラ11を制御して、媒体14を排紙トレイ12に出力させる。
そして、印刷制御部251は、図13のステップS50で受信した印刷ジョブデータに対応する印刷画像データがイメージデータバッファ140に存在しなくなった場合(S70)には、印刷処理を終了する。
【0069】
一方、ステップS62でNoと判断された場合、及び、ステップS64でNoと判断された場合には、ステップS71の処理が行われる。ステップS71では、印刷制御部251は、図13のステップS50で受信した印刷ジョブデータに対応する印刷画像データがイメージデータバッファ140に存在する間、以下のステップS72〜S75の処理を繰り返す。
【0070】
ステップS72では、印刷制御部251、時間計測部152及び書き出し制御部153は、調整無しの画像形成処理を行う。この調整無しの画像形成処理については、図15を用いて詳細に説明する。
ステップS73では、印刷制御部251は、ステップS72で調整無しの画像形成処理が施された媒体14の第2面に印刷すべき印刷画像データがあるか否かを確認する。そして、印刷制御部251は、第2面に印刷すべき印刷画像データがある場合(S73:Yes)には、ステップS74の処理に進み、第2面に印刷すべき印刷画像データがない場合(S73:No)には、ステップS75の処理に進む。
【0071】
ステップS74では、印刷制御部251は、排紙ローラ11を制御して、媒体14を両面搬送ローラ13側に搬送させる。
一方、ステップS75では、印刷制御部251は、排紙ローラ11を制御して、媒体14を排紙トレイ12に出力させる。
そして、印刷制御部251は、図13のステップS50で受信した印刷ジョブデータに対応する印刷画像データがイメージデータバッファ140に存在しなくなった場合(S76)には、印刷処理を終了する。
【0072】
図15は、図14のステップS72における調整無しの画像形成処理を示すフローチャートである。
【0073】
まず、印刷制御部251は、搬送ローラ4及びレジストローラ5に、媒体14の搬送を指示する(S80)。
搬送されてきた媒体14の先頭が、書き出しセンサ8を通過すると、書き出しセンサ8は、制御部150にON信号を出力し(S81:Yes)、時間計測部152は、計時を開始する(S82)。
【0074】
次に、書き出し制御部153は、ステップS81でON信号を受け取った時刻から規定時間を待機して、時間計測部152に計時を終了させ(S83)、画像形成装置6にトナー像を媒体14に転写させる(S84)。
【0075】
図16(A)〜(D)は、実施の形態2において、搬送方向が媒体の縦方向である場合における、綴じ位置に対応した印刷結果を示す概略図である。
図16(A)及び(B)は、綴じ位置が媒体14の長辺に指定されているときの印刷結果である。このようなときには、媒体14の第1面に、「招」、「運」、「来」及び「福」の順にこれらの文字が印刷された後に、媒体14の搬送方向を反転して、その第2面に、「盛」、「繁」、「売」及び「商」の順にこれらの文字が印刷される。このときには、第2面の「盛」の文字を印刷する前に、調整時間の待機が行われるため、長辺の綴じ代14Aを軸にして媒体14をめくったとしても、両面に印刷された画像の位置が整合している。
一方、図16(C)及び(D)は、綴じ位置が媒体14の短辺に指定されているときの印刷結果である。このようなときには、媒体14の第1面に、「招」、「運」、「来」及び「福」の順にこれらの文字が印刷された後に、媒体14の搬送方向を反転して、その第2面に、「商」、「売」、「繁」及び「盛」の順にこれらの文字が印刷される。このときには、第2面の「商」の文字を印刷する前に、調整時間の待機が行われないため、短辺の綴じ代14Bを軸にして媒体14をめくったとしても、両面に印刷された画像の位置が整合している。
【0076】
図17(A)〜(D)は、実施の形態2において、搬送方向が媒体の横方向である場合における、綴じ位置に対応した印刷結果を示す概略図である。
図17(A)及び(B)は、綴じ位置が媒体14の短辺に指定されているときの印刷結果である。このようなときには、媒体14の第1面に、「招」、「運」、「来」及び「福」の順にこれらの文字が印刷された後に、媒体14の搬送方向を反転して、その第2面に、「盛」、「繁」、「売」及び「商」の順にこれらの文字が印刷される。このときには、第2面の「盛」の文字を印刷する前に、調整時間の待機が行われるため、短辺の綴じ代14Cを軸にして媒体14をめくったとしても、両面に印刷された画像の位置が整合している。
一方、図17(C)及び(D)は、綴じ位置が媒体14の長辺に指定されているときの印刷結果である。このようなときには、媒体14の第1面に、「招」、「運」、「来」及び「福」の順にこれらの文字が印刷された後に、媒体14の搬送方向を反転して、その第2面に、「商」、「売」、「繁」及び「盛」の順にこれらの文字が印刷される。このときには、第2面の「商」の文字を印刷する前に、調整時間の待機が行われないため、長辺の綴じ代14Dを軸にして媒体14をめくったとしても、両面に印刷された画像の位置が整合している。
【0077】
以上のように、実施の形態2によれば、プリンタ200が受信した印刷ジョブデータで指定されている綴じ位置の違いに基づいて、書出しタイミングの異なる画像形成処理が実行されるため、ユーザが指定した印刷媒体と実際に使用される印刷媒体との寸法が異なる場合でも、綴じ位置に応じた好適な位置に画像が形成される。
【0078】
以上に記載した実施の形態1及び2においては、電子写真方式のプリンタを用いたが、本発明は、複合機(MFP)、複写機及びファクシミリ装置にも適用できる。また、本発明は、両面印刷を行うインクジェット方式の画像形成装置にも適用することができる。
【0079】
以上に記載した実施の形態1及び2においては、プリンタ100に一つの用紙トレイ1が設けられている例を示したが、複数の用紙トレイが設けられていてもよい。このような場合には、用紙トレイに収納されている媒体14の方向から搬送方向を特定すればよい。また、ユーザから送られてくる印刷ジョブデータに搬送方向が特定されていてもよい。
【0080】
以上に記載した実施の形態においては、書き出しセンサ8からのON信号とOFF信号とに基づいて、媒体通過時間が特定されたが、例えば、搬送方向における媒体14の長さを搬送速度で除算することにより、媒体通過時間が算出されてもよい。
【0081】
以上に記載した実施の形態においては、第1面に印刷する画像の搬送方向における長さと、第2面に印刷する画像の搬送方向における長さと、が同じことを前提に説明したが、これらの長さが異なっていてもよい。このような場合、第1面に印刷する画像の搬送方向における長さが、第2面に印刷する画像の搬送方向における長さよりも短い場合には、(3)式で算出される調整時間を短くし、一方、第1面に印刷する画像の搬送方向における長さが、第2面に印刷する画像の搬送方向における長さよりも長い場合には、(3)式で算出される調整時間を長くすればよい。例えば、書き出し制御部153は、第1面に印刷する画像の搬送方向における長さから、第2面に印刷する画像の搬送方向における長さを減算した減算値を、媒体14の搬送速度で乗算することで補正値を算出し、この補正値を(3)式で算出される調整時間に加算すればよい。
【符号の説明】
【0082】
100,200:プリンタ、 1:用紙トレイ、 2:搬送路、 3:ピックアップローラ、 4:搬送ローラ、 5:レジストローラ、 6:画像形成装置、 7:定着装置、 8:書き出しセンサ、 9:排紙センサ、 11:排紙ローラ、 12:排紙トレイ、 13:両面搬送ローラ、 110:データ受信部、 120,220:印刷処理部、 130,230:データ解析部、 140:イメージデータバッファ、 150,250:制御部、 151,251:印刷制御部、 152:時間計測部、 153:書き出し制御部、 253:印刷モード取得部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体を搬送して、当該媒体に画像を形成する画像形成部と、
前記画像形成部を制御して、前記媒体に画像を形成する処理を行う制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記媒体に形成する画像の、前記媒体を搬送する搬送方向における長さが、前記媒体において画像を形成することのできる領域の、当該搬送方向における長さよりも短い場合に、前記媒体の両面に画像を形成するときには、前記媒体の当該搬送方向に交差する一辺から前記両面の内最初に処理される第1面に形成する画像までの距離が長いほど、前記一辺から前記両面の内前記第1面の次に処理される第2面に形成する画像までの距離が長くなるように、前記画像形成部を制御すること
を特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記一辺から前記第1面に形成する画像までの距離と、前記一辺から前記第2面に形成する画像までの距離とが同じになるように、前記画像形成部を制御すること
を特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記一辺は、前記第1面を処理する際の前記搬送方向における前記媒体の後端辺であることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記画像形成部は、前記第一面に画像を形成する際の搬送方向を反転して、前記第2面に画像を形成すること
を特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記制御部は、
前記画像形成部が前記媒体に画像を形成する画像形成位置を前記媒体が通過する時間を、媒体通過時間として計測する時間計測部と、
前記媒体通過時間から、前記第1面に画像を形成する際の露光時間と、前記第1面において、前記搬送方向の先端及び後端に設けられている余白が前記画像形成位置を通過する余白通過時間とを減算することにより調整時間を算出し、
前記第2面に画像を形成する際に、前記第2面において、前記搬送方向の先端に設けられている余白が前記画像形成位置を通過してから、前記調整時間が経過した後に、前記画像形成部に画像を形成させる書き出し制御部と、
を備えること
を特徴とする請求項1から4の何れか一項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記書き出し制御部は、前記第1面に形成する画像の前記搬送方向における長さを、前記媒体の搬送速度で除算することにより、前記露光時間を算出すること
を特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記書き出し制御部は、前記第1面において、前記搬送方向の先端及び後端に設けられている余白の長さを、前記媒体の搬送速度で除算することにより、前記余白通過時間を算出すること
を特徴とする請求項5又は6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記画像及び前記画像を形成する際の印刷モードを含む印刷ジョブデータに基づいて、前記一辺から前記第1面に形成する画像までの距離が長いほど、前記一辺から前記第2面に形成する画像までの距離が長くなるように画像形成すべきであるか否かを判断する印刷モード取得部をさらに備え、
前記制御部は、前記印刷モード取得部が、前記一辺から前記第1面に形成する画像までの距離が長いほど、前記一辺から前記第2面に形成する画像までの距離が長くなるように画像形成すべきであると判断した場合に、前記一辺から前記第1面に形成する画像までの距離が長くなるほど、前記一辺から前記第2面に形成する画像までの距離が長くなるように、前記画像形成部を制御すること
を特徴とする請求項1から7の何れか一項に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記印刷モードには、前記媒体の綴じ位置を示す情報が含まれており、
前記印刷モード取得部は、前記綴じ位置が配置されている辺の延びる方向が、前記搬送方向と平行である場合に、前記一辺から前記第1面に形成する画像までの距離が長いほど、前記一辺から前記第2面に形成する画像までの距離が長くなるように画像形成すべきであると判断すること
を特徴とする請求項8に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2013−37228(P2013−37228A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−173967(P2011−173967)
【出願日】平成23年8月9日(2011.8.9)
【出願人】(591044164)株式会社沖データ (2,444)
【Fターム(参考)】