画像形成装置
【課題】複雑な装置を使用することなく、安価な構成で液滴吐出ヘッドまわりの紙詰まりを予防し、かつ装置の高さ寸法を低く抑える。
【解決手段】液滴を記録媒体に吐出する液体吐出ヘッド7と、液体吐出ヘッドを主走査方向に移動するキャリッジ3と、を備え、液体吐出ヘッド7の液滴吐出方向を上向きに配置し、液体吐出ヘッド7の上方で搬送される用紙12に向けて液滴を吐出する画像形成装置において、キャリッジ3の主走査方向への移動時に上方に配置した用紙12を下方から支持し、用紙12が下方に向けて垂れて液体吐出ヘッド7と接触することを防止するベルト部材210を有する記録媒体支持体を備える。
【解決手段】液滴を記録媒体に吐出する液体吐出ヘッド7と、液体吐出ヘッドを主走査方向に移動するキャリッジ3と、を備え、液体吐出ヘッド7の液滴吐出方向を上向きに配置し、液体吐出ヘッド7の上方で搬送される用紙12に向けて液滴を吐出する画像形成装置において、キャリッジ3の主走査方向への移動時に上方に配置した用紙12を下方から支持し、用紙12が下方に向けて垂れて液体吐出ヘッド7と接触することを防止するベルト部材210を有する記録媒体支持体を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に係り、詳しくはインク滴を上向き吐出する液体吐出ヘッドからのインク滴で、この液体吐出ヘッドの上側で搬送される記録媒体に画像を形成する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置として、液滴としてインク滴を吐出する液体吐出ヘッドを備え、この液体吐出ヘッドからインク滴を用紙等の記録媒体に吐出して画像を形成するインクジェット式画像形成装置がある。このような画像形成装置の液体吐出ヘッドは、例えばイエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの各色インクを吐出する各色に対応する複数のノズルを備える。また、液体吐出ヘッドは、各ノズルに対応して設けられた個別液室及び個別流路、各個別液室内のインクを加圧する圧力発生手段、各個別液室にインクを供給する共通液室及び共通流路を備える。
【0003】
液体吐出ヘッドでは、個別液室内に配置した圧力発生手段でインクに圧力を作用させ、内部に詰められたインクを吐出口(ノズル)からインク滴として吐出する。圧力発生手段としては、圧電型アクチュエータ、サーマル型アクチュエータ、静電型アクチュエータなどが用いられる。
【0004】
そして、各個別液室にはインク供給路を介して共通液室からインクを供給し、共通液室に外部からインク供給口を介して供給されたインクは、共通液室から各独立した個別液室内及びノズルまで分配される。
【0005】
この液体吐出ヘッドでは、微小な異物や気泡が混入してもノズル詰まりがおこり、吐出不良が発生する。液体吐出ヘッド内に滞留した気泡の排出手段として、例えば弾性体で形成されたキャップを押し当てて、液体吐出ヘッドの内部を吸引する機構が採用される。このような気泡は、インク供給路内における空気のリーク、ノズルからの空気の逆流、インクに溶存していた空気の析出、液体吐出ヘッド内(共通液室、個別液室)での気泡の発生より発生する。
【0006】
ここで、インクジェット式の画像形成装置として、吐出口面(ノズル面)が下方を向け液体吐出ヘッドを備えたものがある。このタイプの画像形成装置では、液体吐出ヘッドは、主走査方向に駆動可能な走査キャリッジに搭載され、キャリッジの下側を搬送される用紙に画像形成を行う。用紙を搬送する用紙搬送装置として、用紙を挟んで搬送経路の上流及び下流に配置されたローラ対によるもの、静電吸着ベルトによるもの、エアー吸引によるものなどが採用される。
【0007】
特許文献1及び特許文献2は、液体吐出ヘッドのノズルを下方に向けて配置した画像形成装置を開示している。
【0008】
さらに、特許文献1に係る画像形成装置は、紙の浮きや折れ、コックリング等によるキャリッジジャムを防止することを目的として、ジャム防止用ベルトを備え、かつこのベルトがキャリッジ駆動のベルトと兼ねている。
【0009】
また、特許文献2に係る画像形成装置は、ベルトを柔軟なフィルムで形成し、かつ該フィルムをキャリッジに沿って設置し、キャリッジの走査時にフィルムが左右方向に動かないようにしたものを開示している。
【0010】
上述のように、液体吐出ヘッドを備える画像形成装置では、気泡によるインク吐出への悪影響を排除するため、気泡を排出する必要がある。インク滴を下方向へ吐出する液体吐出ヘッドでは、ノズルより液室が上方に位置しているため、気泡は浮力で液室の上面にたまる。このため、簡単には気泡を吸引排出できないことがあり、気泡を吐出するにはインクを多量に廃棄してしまわなければならない。
【0011】
そこで、液体吐出ヘッド内の気泡排出性を向上させるため、ノズルから上方向に向けインク滴を吐出する画像形成装置が提案されている。このタイプの画像形成装置では、ノズル内の気泡は浮力で上昇し、ノズルの吐出口の近くにたまるため、気泡排出のために消費されるインクの量は少なくてもよい。
【0012】
特許文献3及び特許文献4は、上方に向けてインク滴を吐出する液体吐出ヘッドを備えた画像形成装置を開示する。また、特許文献3は、空吐出からのインク垂れを防止することが目的として、空吐出受け面が排出口に向かって斜面を形成している構成を開示する。さらに、特許文献4は、空吐出からのインク垂れを防止することを目的として、空吐出受けにインクを蒸発させるヒーターを設けたものを開示する。
【0013】
ここで、液体吐出ヘッドのノズルを上向きに配置した画像形成装置では、用紙の下側をキャリッジが走行するため、用紙を液体吐出ヘッドの上側に安定して配置する必要がある。このため、用紙を上側に向けて吸引する吸引装置を採用する。このような吸引装置を備えないと、用紙が下方に移動したとき液体吐出ヘッドに引っ掛かり、用紙詰まり(ジャム)を発生してしまうこととなるからである。図22は用紙が液体吐出ヘッド装置に接触する状態を示す模式図である。
【0014】
この液体吐出ヘッド310は、上方に向けノズル320を配置している。液体吐出ヘッド310は、キャリッジ330に保持され、キャリッジ330は、ガイドロッド340に沿って主走査方向(図中矢印A)に沿って駆動される。用紙Sは、上流側搬送ローラ350及び下流側搬送ローラ360で案内され、液体吐出ヘッド310の上側を副走査方向に搬送される。ここで、用紙Sが、上流側搬送ローラ350で搬送されてきたとき、図22(b)に示すように、その先端Saが自重等で下側に垂れ、キャリッジ330に接触してしまうこととなる。
【0015】
用紙の垂れ下がりを防止する吸引装置として、静電吸引力を利用したものがある。図23は従来の画像形成装置における液体吐出ヘッドを示す断面図である。この例では、吸引装置として静電ベルト装置370を配置して用紙Sを上方に向け吸引しつつ(図23中矢印B)、副走査方向に搬送する(図中矢印C)。静電ベルト装置370は、2つのローラ372、373に掛け回され走行するベルト部材371を帯電ローラ374で所定の電圧に帯電させ、ベルト部材371に用紙を吸引する。
【0016】
この例では、用紙Sは静電ベルト装置370で上側へ吸着されるため、下側へ垂れてキャリッジに接触してジャムが発生するのを防止することができる。吸引装置として、帯電吸着ベルトに代えてエアー吸着装置なども使用される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
しかし、上述の吸引装置は、長期間の使用による吸着力の低下が発生することがある。また、吸引装置としてエアーを吸引する構成を採用した場合は、目詰まりによる吸引力の低下など、何らかの動作不良が発生することがあり、このような場合ジャムの発生を防止できなくなる。
【0018】
さらに、吸引装置を使用するとき、吸引装置を設置するために費用が掛かる。また、この吸引装置を制御する必要があり、画像形成装置の制御が複雑になってしまう。そして、用紙の上方の空間に吸引装置を配置しなければならず、画像形成装置の高さ寸法が大きくなるとともに、コストが上昇するという問題がある。
【0019】
本発明は上述の点にかんがみてなされたものであり、液体吐出ヘッドまわりの用紙詰まりを複雑な装置を使用することなく、安価な構成で予防し、かつ装置の高さ寸法を低く抑えることができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明に係る画像形成装置は、ノズルを備え液滴を記録媒体に吐出する液体吐出ヘッドと、前記液体吐出ヘッドを搭載し、該液体吐出ヘッドを記録媒体の搬送方向と直交する主走査方向に移動するキャリッジと、を備え、前記液体吐出ヘッドのノズルを上方に向けて配置し、前記液体吐出ヘッドの上方で搬送される前記記録媒体に向けて液滴を吐出する画像形成装置において、前記キャリッジの主走査方向への移動時に上方に配置した前記記録媒体を下方から支持し、前記記録媒体が下方に向けて垂れて前記液体吐出ヘッドと接触することを防止する記録媒体支持体を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、製造コストを低減するとともに、画像形成装置の高さ寸法を低減しつつ、液体吐出ヘッドによる用紙の詰まりを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】実施形態1に係る画像形成装置の断面を示す模式図である。
【図2】同画像形成装置の底面図である。
【図3】同画像形成装置の記録媒体支持体を示す斜視図である。
【図4】図3中のC−C線に相当する断面図である。
【図5】実施形態2に係る画像形成装置の記録媒体支持体を示すものであり、(a)は斜視図、(b)は(a)中のE−E線に相当する断面図である。
【図6】実施形態3に係る画像形成装置の記録媒体支持体を示すものであり、(a)は斜視図、(b)は(a)中のF−F線に相当する断面図である。
【図7】実施形態4に係る画像形成装置の記録媒体支持体を示す斜視図である。
【図8】図7に示した画像形成装置の記録媒体支持体を示すものであり、(a)は分解斜視図、(b)は(a)中のG−G線に相当する断面図である。
【図9】実施形態5に係る画像形成装置の記録媒体支持体を示すものであり、(a)は斜視図、(b)は(a)中H−H線に相当する断面図である。
【図10】実施形態6に係る画像形成装置の記録媒体支持体を示す斜視図である。
【図11】図10中のJ−J線に相当する断面図である。
【図12】本発明の実施形態に係る記録媒体支持体を搭載した画像形成装置の作画方法について説明する模式図である。
【図13】実施形態7に係る画像形成装置の記録媒体支持体を示すものであり、(a)は斜視図、(b)は(a)中のK−K線に相当する断面図である。
【図14】実施形態8に係る画像形成装置の記録媒体支持体を示すものであり、(a)は斜視図、(b)は(a)中のL−L線に沿う端面図である。
【図15】キャタピラ状の記録媒体支持体の形状例について説明する模式図である。
【図16】実施形態9に係る画像形成装置の記録媒体支持体を示す斜視図である。
【図17】図16のキャタピラ状の記録媒体支持体のキャリッジへの取り付け例を示すものであり、(a)は分解斜視図、(b)は(a)中のM−M線に相当する断面図である。
【図18】実施形態10に係る画像形成装置の記録媒体支持体を示すものであり、(a)は斜視図、(b)は(a)中N−N線に沿う端面図である。
【図19】実施形態11に係る画像形成装置の記録媒体支持体を示す斜視図である。
【図20】実施形態12に係る画像形成装置の記録媒体支持体を示す図であり、(a)は断面図、(b)は斜視図である。
【図21】実施形態13に係る画像形成装置の記録媒体支持体を示す図であり、(a)は斜視図、(b)は(a)中のP−P線に相当する拡大断面図である。
【図22】従来の画像形成装置における液体吐出ヘッドを示す斜視図である。
【図23】従来の画像形成装置における吸引装置を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明を実施するための形態に係る画像形成装置について説明する。
【0024】
<実施形態1>
以下、本発明の実施形態1に係る画像形成装置を図面に基づいて説明する。本実施形態に係る画像形成装置は、インク滴を上側に向けて吐出するインクジェット記録装置である。
【0025】
まず実施形態1に係る画像形成装置100の基本的構造について説明する。図1は実施形態1に係る画像形成装置の断面を示す模式図、図2は同じく画像形成装置の底面図である。画像形成装置100は、用紙12に画像形成を行う作像部110と、用紙12を格納した給紙部120と、用紙12を作像部110に搬送する搬送部130と、作像された用紙12が排出される排紙部140とを備える。
【0026】
作像部110は、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(Bk)の各色インクをインク滴として吐出する液体吐出ヘッド7Y、7C、7M、7Bkと、液体吐出ヘッド7Y、7C、7M、7Bkを搭載するキャリッジ3とを備える。作像部110は、主走査モータ4を備え、キャリッジ3を主走査方向(図2参照。図3等ではX方向)に駆動する。
【0027】
左右の側板101(図1には表示していない:図3参照)にかけ渡されたガイドロッド8がキャリッジ3を主走査方向に移動できるように保持する。また、作像部110には、搬入された用紙12を上側から押さえる搬送ガイド21を備える。さらに、作像部110には、キャリッジ3の主走査方向への移動時に上方に配置した用紙12を下方から支持し、用紙12が下方に向けて垂れて液体吐出ヘッド7と接触することを防止する記録媒体支持体200を備える。なお、以下、色を区別せず液体吐出ヘッド7Y、7C、7M、7Bkを説明するときには、単に、液体吐出ヘッド7と記載する。
【0028】
主走査モータ4は、駆動プーリ6Aと従動プーリ6B間にかけ渡したタイミングベルト5を駆動する。これにより、主走査モータ4は、タイミングベルト5に取り付けられたキャリッジ3を、紙面を貫く方向(主走査方向)に移動走査する。なお、キャリッジ3とガイドロッド8との間にはガイドブッシュ(軸受け)3a、3aを配置する。
【0029】
キャリッジ3には、4台の液体吐出ヘッド7Y、7C、7M、7Bkの各インク吐出口を主走査方向と交差する方向に並べて配列し、インク滴の吐出方向を鉛直上方とする。
【0030】
また、液体吐出ヘッド7は、インクを吐出するためのエネルギー発生手段として、圧電素子などの圧電アクチュエータ、発熱抵抗体などの電気熱変換素子を用いて液体の膜沸騰を利用するサーマルアクチュエータを使用できる。また、液体吐出ヘッド7は同じく、温度変化による金属相変化を用いる形状記憶合金アクチュエータ、静電力を用いる静電アクチュエータ等を使用できる。
【0031】
キャリッジ3には、各液体吐出ヘッド7Y、7C、7M、7Bkに各色のインクを供給するための各色の液体吐出ヘッドタンク(図示していない)を搭載している。この液体吐出ヘッドタンクには、インク供給チューブを介して図示しないメーンタンク(インクカートリッジ)からインクが補充供給される。
【0032】
なお、インク滴を吐出する液体吐出ヘッド7以外に、インクと反応することでインクの定着性を高める定着用処理液(定着用インク)を吐出する液体吐出ヘッドを備えることができる。
【0033】
液体吐出ヘッド7のノズルは乾燥によるノズル詰まりが発生し易い。このため、印字中のエラー等によるマシン停止中や電源OFF時等のキャリッジ3が動作していないときは、液体吐出ヘッド7のノズル面にキャップ(図示していない)をかぶせて保湿を図っている。キャップはクリーニング機構等に配置しており、クリーニング機構は装置の左右いずれかの端部に配置している。
【0034】
給紙部120には、用紙12を格納する給紙カセット10を備える。給紙カセット10は、用紙積載部(圧板)11と、給紙ローラ13と、分離パッド14とを備える。給紙ローラ13は、用紙積載部11から用紙12を搬送する。分離パッド14は、給紙ローラ13に対向して配置され、摩擦係数の大きな材質から構成される。この分離パッド14を給紙ローラ13側に押しつけ、給紙ローラ13で、用紙積載部11から用紙12を1枚ずつ分離して搬送する。
【0035】
搬送部130は、給紙部120から給紙された用紙12を作像部110に搬送し、さらに、用紙12を液体吐出ヘッド7のインク滴吐出ノズル面と垂直な副走査方向に搬送する。搬送部130は、搬送ローラ対26、27と、反転ガイド部15と、用紙12の先端を検知する用紙有無検知センサー45と、搬送ローラ対26、27とを備える。また、搬送部130は、用紙12に両面印刷を行うとき、用紙12を反転する用紙反転部16を備える。
【0036】
搬送部130では、副走査モータ31が、タイミングベルト32、タイミングローラ33で搬送ローラ27を駆動する。
【0037】
画像形成装置100において、用紙12の搬送状態をエンコーダ36で検出する。図2に示すように、エンコーダ36は、円板型エンコーダシート34とエンコーダセンサー35とからなる。円板型エンコーダシート34を搬送ローラ27の軸に配置する。円板型エンコーダシート34では、光を透過する透過部と透過しない非透過部とを交互に形成している。この円板型エンコーダシート34の透過部と非透過部をエンコーダセンサー35で検知し、この検知情報に基づいて用紙12の搬送を制御する。
【0038】
また、キャリッジ3の位置は、キャリッジ3の前方に配置したエンコーダシート42で検出する。エンコーダシート42、光を透過する透過部と透過しない非透過部とが交互に側面に形成し、この透過部と非透過部を透過型フォトセンサーからなるエンコーダセンサー(図示していない)で検出する。この検出情報に基づいてキャリッジ3の駆動を制御する。
【0039】
排紙部140は、液体吐出ヘッド7で記録された用紙12を排紙する。排紙部140は、排紙ローラ対52、53と、排紙される用紙12をストックする排紙トレイ54とで構成する。
【0040】
このように構成した画像形成装置100では、給紙部120から用紙12を1枚ずつ分離給紙し、水平方向に給紙された用紙12を反転ガイド部15で案内して方向を変更する。その後、用紙12の先端を用紙有無検知センサー45で検知したら、搬送ガイド21上に搬送する。
【0041】
画像形成装置100では、キャリッジ3を移動しつつ、上位装置から入力される画像信号に基づいて各液体吐出ヘッド7Y、7C、7M、7Bkを駆動する。これにより、停止している用紙12にインク滴を吐出して1行分を記録し、用紙12を所定量搬送後、次の行の記録を行う。記録終了信号または用紙12の後端が記録領域に到達した信号を受けることにより、記録動作を終了して、用紙12を排紙トレイ54に排紙する。
【0042】
なお、キャリッジ3の走査方向と印刷との関係では、一方向の走査時にだけ画像を形成する片方向記録モードと、両方向の走査時のいずれでも画像を形成する両方向記録モードがある。これをユーザーからの指定や印刷画像に応じて設定するか、あるいは、いずれかのモードだけを行うようにするかは適宜選択できる。
【0043】
次に実施形態1に係る画像形成装置100の記録媒体支持体200について説明する。図3は実施形態1に係る画像形成装置の記録媒体支持体を示す斜視図、図4は図3中のD−D線に相当する断面図である。記録媒体支持体200は、図3に示すように、ベルト状の薄板部材であるベルト部材210と、このベルト部材210が巻きかけられる2つのローラ270、280とを備える。ベルト部材210は、硬質の合成樹脂薄板材で構成することができる。
【0044】
ベルト部材210の両端部は、液体吐出ヘッド7Y、7C、7M、7Bkを挟んでキャリッジ3に固定されている。その結果、ベルト部材210は、キャリッジ3とともに環状となり、ベルト部材210は、キャリッジ3の両側方から下方を取り囲むこととなる(概略全体構造は、図7参照)。このため、ベルト部材210は、キャリッジ3が移動しても循環するように移動し、ベルト部材210はキャリッジ3の両側から主走査方向外側に常に配置される。
【0045】
このような構造を備えるため、ベルト部材210は、垂れ下がってきた用紙12をキャリッジ3や液体吐出ヘッド7に接触しないよう、上方で支持することができる。また、ベルト部材210の上面211に搬送される用紙12が接触して用紙12を案内する搬送部としての機能をなす。
【0046】
実施形態1に係る画像形成装置100では、図4に示すように、ベルト部材210の上面211に用紙12が接触したとき、液体吐出ヘッド7との間にベルト部材210の厚み寸法分の隙間Wが形成される。このため、挿入された用紙12の先端が垂れ下がったとしても、キャリッジ3や液体吐出ヘッド7に接触することはない。また、液体吐出ヘッド7からのインクの吐出力が強い場合でも、搬送ガイド21が支えるので、用紙12が不必要に浮き上がることはない。
【0047】
なお、ベルト部材210を歯付きのベルトとして構成し、ベルト部材210の内側に形成された歯にかみ合わせたスプロケットを配置し、ベルト部材210でキャリッジ3を駆動することができる。
【0048】
<実施形態2>
次に実施形態2に係る画像形成装置について説明する。実施形態2に係る画像形成装置は、以下の記録媒体支持体230を備える。図5は実施形態2に係る画像形成装置の記録媒体支持体を示すものであり、(a)は斜視図、(b)は(a)中のE−E線に相当する断面図である。
【0049】
記録媒体支持体230は、図5(a)に示すように、ベルト部材231の副走査方向(Y軸)の上流側端部を、下方(Z軸)すなわちキャリッジ3に向けて延ばし、傾斜面232を形成している。また、図5(b)に示すように、液体吐出ヘッド7を傾斜面232の先端より下流側方に配置する。なお、画像形成装置のその他の構成については、実施形態1に係る画像形成装置100と基本的に同一の構造を備える。
【0050】
実施形態2に係る画像形成装置によれば、記録媒体支持体230の傾斜面232は、搬送される用紙12の耳折れを抑制することができる。また、搬送ローラ対26、27から搬送される用紙12の先端が垂れ下がっていても、232先端をすくい上げ、紙詰まりを有効に防止できる。また、液体吐出ヘッド7が、傾斜面232より下流側に配置されているので、用紙12が液体吐出ヘッド7に接触することもない。
【0051】
<実施形態3>
次に実施形態3に係る画像形成装置について説明する。実施形態3に係る画像形成装置は、以下の記録媒体支持体240を備える。図6は実施形態3に係る画像形成装置の記録媒体支持体を示すものであり、(a)は斜視図、(b)は(a)中のF−F線に相当する断面図である。
【0052】
記録媒体支持体240は、図6(a)に示すように、ベルト部材241の副走査方向(Y軸)の上流側端部及び下流側端部を、下方(Z軸)すなわちキャリッジ3に向けて延ばして傾斜面242、243を形成している。なお、この例では、傾斜面242、243のY方向の幅寸法及び傾斜角度は同一のものとしている、また、用紙12が液体吐出ヘッド7に接触しないよう、図6(b)に示すように、液体吐出ヘッド7を2つの傾斜面242、243の内側に配置する。なお、画像形成装置のその他の構成については、実施形態1に係る画像形成装置100と基本的に同一の構造を備える。
【0053】
実施形態3に係る画像形成装置によれば、用紙12に両面印刷を行うとき、いったん画像形成した用紙12を用紙反転部16に搬送する(図6(b)の一点鎖線で示した)に際して、傾斜面243で戻る用紙12の先端をすくい上げることができる。このため、通常印刷時の外、両面印刷時の紙詰まりを有効に防止できる。
【0054】
<実施形態4>
次に実施形態4に係る画像形成装置について説明する。実施形態4に係る画像形成装置は、以下の記録媒体支持体250を備える。図7は実施形態4に係る画像形成装置の記録媒体支持体を示す斜視図、図8は図7に示した画像形成装置の記録媒体支持体を示すものであり、(a)は分解斜視図、(b)は(a)中のG−G線に相当する断面図である。
【0055】
記録媒体支持体250は、ベルト部材251をその両端部でキャリッジ3に取り付けるに際して、それぞれ傾斜面252、253を形成する。この傾斜面252、253は、主走査方向の液体吐出ヘッド7側に沿って下方に向け延ばしている。傾斜面252、253は、ベルト部材251をキャリッジ3の主走査方向の両端部に配置した傾斜面3b、3cに取り付けることにより形成する。
【0056】
ベルト部材251をキャリッジ3に取り付けは、ネジ255と押さえ部材256とによる。図8(a)、(b)に示すように、キャリッジ3のX方向両側には、傾斜面3b、3c及びネジ穴3dを形成する。そして、ネジ255と、押さえ部材256でベルト部材251をキャリッジ3で取り付ける。ネジ255をキャリッジ3に固定した状態において、液体吐出ヘッド7のノズル形成面7aがネジ255の上面より突出しないようにすることが好ましい。
【0057】
実施形態4に係る画像形成装置によれば、キャリッジ3が主走査方向に移動する際、用紙12とキャリッジ3との接触を防止することができる。これは、キャリッジ3が用紙12を越えて移動して戻ってくる際に有効である。キャリッジ3の戻り動作時、下方に垂れ下がった用紙12の端部を傾斜面252、253ですくい上げ、用紙12の詰まりを防止することができる。したがって、主走査時に用紙詰まり(キャリッジジャム)を防止知ることができる。
【0058】
<実施形態5>
次に実施形態5に係る画像形成装置について説明する。実施形態5に係る画像形成装置は、以下の記録媒体支持体260を備えるものである。図9は実施形態5に係る画像形成装置の記録媒体支持体を示すものであり、(a)は斜視図、(b)は(a)中H−H線に相当する断面図である。
【0059】
記録媒体支持体260は、ベルト部材261に、用紙接触部262と、傾斜面263と、傾斜面263とを設けている。用紙接触部262は、液体吐出ヘッド7のノズル形成面7aからの離間距離(図9(b)中矢印d)を最大としている。傾斜面263は、用紙接触部262より上流側に形成し、ガイド面264は、用紙接触部262より下流側に形成している。
【0060】
用紙接触部262は、図9(b)に示すように液体吐出ヘッド7の配置領域(図中領域K)より上流側に配置され、液体吐出ヘッド7のノズル形成面7aと平行に形成される。
【0061】
傾斜面263は、前述した各実施形態に係るベルト部材の傾斜面と同様の構成を備え、搬送されてくる用紙12が垂れ下がっているとき用紙12をすくい上げる。
【0062】
傾斜面263は、用紙接触部262から副走査方向上流側に向け、キャリッジ3側(下側)に傾斜するよう形成する。また、ガイド面264は、用紙接触部262から副走査方向下流側に向けキャリッジ3側(下側)に傾斜して形成する。ここで、ガイド面264の最下部の高さは、液体吐出ヘッド7のノズル形成面7aと同じ高さ、もしくは上にすることが望ましい。ガイド面264に接した用紙12が液体吐出ヘッド7に接触しないようにするためである。
【0063】
記録媒体支持体を配置した画像形成装置では、記録媒体支持体が用紙の作像面と接触すると、インクの乾燥が遅かったり、用紙へのインクの浸透が遅かったりする場合、記録媒体支持体でインクが擦れて、画像劣化が発生する。
【0064】
実施形態5に係る画像形成装置は、用紙接触部262がインクの塗布されていない未作像領域(図9(b)中領域L)で用紙12を支持する。このため、用紙12への作像時にベルト部材261が接触しても画像擦れが発生することがない。
【0065】
そして、用紙接触部262から排紙ローラ対52、53までの間、用紙12は、ガイド面264に支持され、仮に用紙12が垂れ下がっても主走査方向での紙詰まりを防止できる。
【0066】
なお、液体吐出ヘッド7と対向する位置での用紙の搬送路は斜めでもかまわない。すなわち、用紙が常に水平方向に搬送される構成でなくてもよい。
【0067】
<実施形態6>
図10は、実施形態6に係る画像形成装置の記録媒体支持体を示す斜視図、図11は、図10中のJ−J線に相当する断面図である。基本的な構成は、図3、図4に示した形態とほぼ同様のものであるが、本実施形態では、キャリッジ3のヘッド脇が端部となるようにキャタピラ状の記録媒体支持体300が固定されている。図3の例と同一ないし類似の部分には共通する符号を付すにとどめる(以下の実施形態でも同様とする)。用紙12はキャタピラ状の記録媒体支持体300上に自重で乗り、その面が作像面になる。液体吐出ヘッド7からのインクの吐出力が強い場合は、図1に示したように、搬送ガイド21(液体吐出ヘッド7及びキャタピラ状の記録媒体支持体300と対向する位置に配置される)が支えてくれるので、用紙12が不必要に浮くことはない。
【0068】
本実施形態のように記録媒体支持体300がキャタピラ状の構成になっていると、長さを変更する際の対応が容易となる。また専用部品が増加しないため、初期投資金額を抑えることもできる。さらに、傷などのアクシデントが発生した場合においても、不具合の発生したキャタピラ部材のみ取り外して交換すればよく、さらには交換部分だけにアクセスすればよいので分解作業も容易になる。もちろんキャタピラは成型品で構成可能なため、拍車のような別部品を接続すること(後述する)も容易になる。
【0069】
図12は、本実施形態に係るキャタピラ状の記録媒体支持体300が搭載された画像形成装置における作画方法について説明するための模式図である。
一般的なシリアル型の画像形成装置は、(a)→(b)のように、主走査方向(図12では左右方向となるX方向)にキャリッジ3が動く(図2参照)と同時に液体吐出ヘッド7が用紙12に対してインクを吐出して画像pを印刷する。次に、(b)→(c)のように副走査方向(図12では上下方向となるY方向)に用紙12が動き、再度(c)→(d)のように作画する。用紙12が動く(副走査方向)ときはキャリッジ3が止まっており、キャリッジ3が動く(主走査方向)ときは用紙12は止まっている。
【0070】
<実施形態7>
図13は、実施形態7に係る画像形成装置の記録媒体支持体を示すものであり、(a)は斜視図、(b)は(a)中のK−K線に相当する断面図である。本実施形態は、高さ方向におけるキャタピラ状の記録媒体支持体300の最頂部の位置が作像面(作像位置)となり、液体吐出ヘッド7と作像面とのギャップを確保するため、キャタピラ状の記録媒体支持体300の最頂部を液体吐出ヘッド7のノズル面よりも上方に位置させてある。
【0071】
本実施形態でも、記録媒体支持体300は、図5(a)に示す実施形態と同様に、各キャタピラ331の副走査方向(Y軸)の上流側端部を、下方(Z軸)すなわちキャリッジ3に向けて延ばし、傾斜面332を形成している。そして、図13(b)に示すように、液体吐出ヘッド7を傾斜面332の先端より下流側方に配置している。
【0072】
この実施形態7によれば、記録媒体支持体300の傾斜面332は、搬送される用紙12の耳折れを抑制することができる。また、搬送ローラ対26、27から搬送される用紙12の先端が垂れ下がっていても、傾斜面232が垂れ下がった先端をすくい上げ、紙詰まりを有効に防止できる。また、液体吐出ヘッド7が、傾斜面332より下流側に配置してあるので、用紙12が液体吐出ヘッド7に接触することもない。
【0073】
<実施形態8>
図14は、実施形態8に係る画像形成装置の記録媒体支持体を示すものであり、(a)は斜視図、(b)は(a)中のL−L線に沿う端面図である。
【0074】
本実施形態のキャタピラ状の記録媒体支持体300は、各キャタピラ331の用紙12の搬送方向上流側と下流側、両方側の端面を、下方向に傾斜する傾斜面332a、332bとして形成してある。傾斜角度は、傾斜面332a、332bともに同じ角度、幅(Y方向の幅)とすることが好ましい。両面印刷時、片面印刷時の最終行を印字したあと、片面搬送時の用紙12の後端がキャリッジ3の搬送方向(図中、Y方向)の下流側へ搬送され、その後スイッチバックする場合、傾斜面332bによりスイッチバック後の搬送方向における用紙12の先端をすくうことができる。したがって、通常印刷時や両面印刷時の紙詰まりを防止できる。なお、液体吐出ヘッド7は、用紙12先端との干渉を防ぐため、傾斜面332a、332bから突出しないように配置する。
【0075】
図15は、本実施形態で使用し得るキャタピラ331の例について説明するための模式図である。各キャタピラ331の主走査方向(X方向)の両端側には上述のように傾斜面332a、332bが形成してあり、また隣り合うキャタピラ331同士を連結し易くするために、主走査方向での中央部に凸部333と凹部334が形成してある。図15(a)〜(c)に示すキャタピラ331は基本的な形状を示しているが、図15(d)〜(f)は、キャタピラ331の最外縁部(外周を構成するすべての縁あるいはエッジ)には面取り331aを施し、用紙12が引っ掛からないようにしてある。すなわち、主走査動作時には用紙の下面をキャタピラ状の記録媒体支持体300が動き、また副走査動作時にはキャタピラ状の記録媒体支持体300の上を用紙12が動くため、いずれの場合でも各キャタピラ331の各縁において用紙12が引っ掛からないようにすることが好ましい。例えば、主走査方向、副走査方向で最外周となるエッジだけではなく、凸部333と凹部334の主走査方向中央の縁なども面取りしてある。
【0076】
<実施形態9>
図16は、実施形態9に係る画像形成装置の記録媒体支持体を示す斜視図、図17は、図16のキャタピラ状の記録媒体支持体のキャリッジ3への取り付け例を示す斜視図である。本実施形態では、キャリッジ3の液体吐出ヘッド7を搭載する部位が主走査方向(X方向)と副走査方向(Y方向)とが作る面に対して垂直なZ方向で下向き凹ませてあり、その主走査方向の端部がキャタピラ状の記録媒体支持体300の取り付け部としてあり、かつ凹ませた部位の主走査方向で両端に傾斜面3a、3aが形成してある。
【0077】
キャリッジ3が主走査方向に移動するときに、用紙12における主走査方向端部が液体吐出ヘッド7の近傍に位置する場合があり、そのとき、用紙12の端面は下方に垂れ下がるため、キャリッジ3が逆方向に走査されるときに傾斜面3a、3aが用紙12の端面をすくうことができる。したがって、主走査時に用紙12の主走査方向(X方向)の左右端をすくうことができ、主走査方向での用紙詰まり(キャリッジジャム)を防止することができる。
【0078】
図17に示すように、キャリッジ3へキャタピラ状の記録媒体支持体300を取り付けるための固定部材350には、ネジ等の締結部材351を挿通して固定するための固定孔352が形成してある。もちろん、記録媒体支持体300の固定部材350を締結部材351で固定した状態において、液体吐出ヘッド7の上面よりも締結部材351の上面が突出しないようにすることが好ましい。また、図17では固定部材350を専用部品としているが、キャタピラ状の記録媒体支持体300を構成する他のキャタピラ331の一つに穴を設けて固定部材350に代えてもよい。
【0079】
<実施形態10>
図18は、実施形態10に係る画像形成装置の記録媒体支持体を示すものであり、(a)は斜視図、(b)は(a)中のN−N線に沿う端面図である。本実施形態では、キャタピラ状の記録媒体支持体300が変形の台形断面形状を有し、頂面360aが作像時に用紙12の作像面と摺動するようになっている。そのため、用紙12へ吐出されたインクの乾燥、浸透が遅い場合は画像擦れにつながってしまう(図12及び図12についての説明参照)。そこで、キャタピラ状の記録媒体支持体300の頂面360aを液体吐出ヘッド7と作像面とのギャップを確保するためのギャップ確保支持部(以下、符号360aを付す)とし、ギャップ確保支持部360aよりも用紙12の搬送方向(図18(b)では右から左方向)で上流側に設けた傾斜面360bよりも下流側に設けた傾斜面を用紙12の搬送方向で長くし、傾斜も緩くして、ガイド面部360cとして形成してある。
【0080】
したがって、液体吐出ヘッド7のY方向上流側(未作像部側)では、ギャップ確保支持部360aによりギャップが確保(用紙支持)されるので、作像時に記録媒体支持体300が摺動しても画像擦れが発生することを防止できる。また、ギャップ確保支持部360aから排紙ローラ52及び排紙コロ53への間は、紙の垂れを防止するためのガイド面部360cにより、万が一、用紙12が垂れたとしても、主走査方向の紙詰まりを防止できる。なお、この実施例の場合のガイド面部360cの最下部の高さは、液体吐出ヘッド7のノズル面と同高さ、もしくは上とすることが好ましい。
【0081】
<実施形態11>
図19は、実施形態11に係る画像形成装置の記録媒体支持体を示す斜視図である。本実施形態のキャタピラ状の記録媒体支持体300は、キャリッジ3が主走査方向(X方向)で動くときに用紙12と擦れる状態を想定し、上述してきた各種キャタピラ状の記録媒体支持体300を構成するキャタピラ331の用紙と摺接する面に、主走査方向に回転する拍車状のコロ370を配置したものである。すなわち、例えば図18に示したギャップ確保支持部360aの位置は作画前の領域を擦れるために印字が擦れることはないが、用紙12との摩擦による異音や、ギャップ確保支持部360aの面自体の摩耗が懸念される。そこで、異音や摩耗防止を主な目的として、用紙12との接触面積をより小さくするためにコロ370aを配置したものである。なお、コロ370aは、拍車状でなくて円板状のものなどでもよい。また、回転方向の規制をなくすために、図19(b)、(c)に示すように球状のコロ370bとしたり、さらには図19(d)に示すように表面に突起の付いた球状のコロ370cとしたりしてもよい。
【0082】
<実施形態12>
図20は、実施形態12に係る画像形成装置の記録媒体支持体を示す図であり、(a)は断面図、(b)は斜視図である。本実施形態では、用紙12がローラ対26、27から排紙ローラ52及び排紙コロ53へ搬送される間は、キャタピラ状の記録媒体支持体300上を擦れっていく(特に、作画された液体吐出ヘッド7よりも用紙搬送下流側においては、用紙12のいわゆるコシで搬送されることになる。薄い紙などのように下方に垂れ易い用紙では、例えば図18(b)で示した実施形態の構成では液体吐出ヘッド7の下流側で、排紙ローラ52及び排紙コロ53の対の間に挟まることができない可能性もある。そこで、より用紙面を支え得るように、液体吐出ヘッド7の用紙搬送方向(Y方向)で上、下流側両方に紙支えコロ370a、370bを配置してある。なお、用紙搬送方向下流側の紙支えコロ370bに関しては、搬送された用紙が印字された直後のもののため、用紙に吐出されたインクが乾いていない場合もあり得るので、図示のように拍車状のものにすることが望ましい。
【0083】
なお本実施形態の構成では、液体吐出ヘッド7と作像面とのギャップを決定するのはコロ370a、370bの突出量であり、キャタピラ状の記録媒体支持体300は、垂れた用紙の支持、コロ370a、370bの保持が主な役割となる。またなお、本実施形態は、用紙12が記録媒体支持体300とこすれるのを防止することが目的であるため、用紙12のコシが強い場合には不要としてもかまわない。薄い紙などのように下方に垂れ易い用紙に印刷することを主とする画像形成装置にとって有効な構成の実施態様である。また、図20(b)に示すように、拍車状の紙支えコロ370bだけとしてもよい。
【0084】
<実施形態13>
図21は、実施形態13に係る画像形成装置の記録媒体支持体を示す図であり、(a)は斜視図、(b)は(a)中のP−P線に相当する拡大断面図である。本実施形態は、実施形態11、12の両方の機能を備えたものであり、各キャタピラ331に、球状のコロ380a、球状で拍車のような突起物を設けたコロ380bをY方向に連接させて設け、かつ主走査方向、副走査方向の別なく、すなわち回転方向の規制がなく回転できるようにしてある。なお、コロの配置に関しては、液体吐出ヘッド7の上、下流側それぞれに配置するのが望ましく、かつ下流側のコロを拍車状などのほうが用紙との摩擦が急になっていることが望ましい。
【符号の説明】
【0085】
3 :キャリッジ
7 :液体吐出ヘッド
7Y、7C、7M、7Bk:液体吐出ヘッド
7a :ノズル形成面
8 :ガイドロッド
10 :給紙カセット
11 :用紙積載部
12 :用紙
26、27:搬送ローラ対
52、53:排紙ローラ対
54 :排紙トレイ
100 :画像形成装置
110 :作像部
120 :給紙部
130 :搬送部
140 :排紙部
200 :記録媒体支持体
210 :ベルト部材
230 :記録媒体支持体
231 :ベルト部材
232 :傾斜面
240:記録媒体支持体
241 :ベルト部材
242、243:傾斜面
250 :記録媒体支持体
251 :ベルト部材
252、253:傾斜面
260 :記録媒体支持体
261 :ベルト部材
262 :用紙接触部
263 :傾斜面
264 :ガイド面
270 :ローラ
300 :記録媒体支持体
331 :キャタピラ
332 :傾斜面
332a :傾斜面
332b :傾斜面
333 :凸部
334 :凹部
350 :固定部材
351 :締結部材
352 :固定孔
360a :頂面(ギャップ確保支持部)
360b :傾斜面
360c :ガイド面部
370、370a〜370c:コロ
380a、380b:コロ
p :画像
【先行技術文献】
【特許文献】
【0086】
【特許文献1】実開平05−041816号公報
【特許文献2】特開2010−006603公報
【特許文献3】特開2001−341321公報
【特許文献4】特開2002−011893公報
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に係り、詳しくはインク滴を上向き吐出する液体吐出ヘッドからのインク滴で、この液体吐出ヘッドの上側で搬送される記録媒体に画像を形成する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置として、液滴としてインク滴を吐出する液体吐出ヘッドを備え、この液体吐出ヘッドからインク滴を用紙等の記録媒体に吐出して画像を形成するインクジェット式画像形成装置がある。このような画像形成装置の液体吐出ヘッドは、例えばイエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの各色インクを吐出する各色に対応する複数のノズルを備える。また、液体吐出ヘッドは、各ノズルに対応して設けられた個別液室及び個別流路、各個別液室内のインクを加圧する圧力発生手段、各個別液室にインクを供給する共通液室及び共通流路を備える。
【0003】
液体吐出ヘッドでは、個別液室内に配置した圧力発生手段でインクに圧力を作用させ、内部に詰められたインクを吐出口(ノズル)からインク滴として吐出する。圧力発生手段としては、圧電型アクチュエータ、サーマル型アクチュエータ、静電型アクチュエータなどが用いられる。
【0004】
そして、各個別液室にはインク供給路を介して共通液室からインクを供給し、共通液室に外部からインク供給口を介して供給されたインクは、共通液室から各独立した個別液室内及びノズルまで分配される。
【0005】
この液体吐出ヘッドでは、微小な異物や気泡が混入してもノズル詰まりがおこり、吐出不良が発生する。液体吐出ヘッド内に滞留した気泡の排出手段として、例えば弾性体で形成されたキャップを押し当てて、液体吐出ヘッドの内部を吸引する機構が採用される。このような気泡は、インク供給路内における空気のリーク、ノズルからの空気の逆流、インクに溶存していた空気の析出、液体吐出ヘッド内(共通液室、個別液室)での気泡の発生より発生する。
【0006】
ここで、インクジェット式の画像形成装置として、吐出口面(ノズル面)が下方を向け液体吐出ヘッドを備えたものがある。このタイプの画像形成装置では、液体吐出ヘッドは、主走査方向に駆動可能な走査キャリッジに搭載され、キャリッジの下側を搬送される用紙に画像形成を行う。用紙を搬送する用紙搬送装置として、用紙を挟んで搬送経路の上流及び下流に配置されたローラ対によるもの、静電吸着ベルトによるもの、エアー吸引によるものなどが採用される。
【0007】
特許文献1及び特許文献2は、液体吐出ヘッドのノズルを下方に向けて配置した画像形成装置を開示している。
【0008】
さらに、特許文献1に係る画像形成装置は、紙の浮きや折れ、コックリング等によるキャリッジジャムを防止することを目的として、ジャム防止用ベルトを備え、かつこのベルトがキャリッジ駆動のベルトと兼ねている。
【0009】
また、特許文献2に係る画像形成装置は、ベルトを柔軟なフィルムで形成し、かつ該フィルムをキャリッジに沿って設置し、キャリッジの走査時にフィルムが左右方向に動かないようにしたものを開示している。
【0010】
上述のように、液体吐出ヘッドを備える画像形成装置では、気泡によるインク吐出への悪影響を排除するため、気泡を排出する必要がある。インク滴を下方向へ吐出する液体吐出ヘッドでは、ノズルより液室が上方に位置しているため、気泡は浮力で液室の上面にたまる。このため、簡単には気泡を吸引排出できないことがあり、気泡を吐出するにはインクを多量に廃棄してしまわなければならない。
【0011】
そこで、液体吐出ヘッド内の気泡排出性を向上させるため、ノズルから上方向に向けインク滴を吐出する画像形成装置が提案されている。このタイプの画像形成装置では、ノズル内の気泡は浮力で上昇し、ノズルの吐出口の近くにたまるため、気泡排出のために消費されるインクの量は少なくてもよい。
【0012】
特許文献3及び特許文献4は、上方に向けてインク滴を吐出する液体吐出ヘッドを備えた画像形成装置を開示する。また、特許文献3は、空吐出からのインク垂れを防止することが目的として、空吐出受け面が排出口に向かって斜面を形成している構成を開示する。さらに、特許文献4は、空吐出からのインク垂れを防止することを目的として、空吐出受けにインクを蒸発させるヒーターを設けたものを開示する。
【0013】
ここで、液体吐出ヘッドのノズルを上向きに配置した画像形成装置では、用紙の下側をキャリッジが走行するため、用紙を液体吐出ヘッドの上側に安定して配置する必要がある。このため、用紙を上側に向けて吸引する吸引装置を採用する。このような吸引装置を備えないと、用紙が下方に移動したとき液体吐出ヘッドに引っ掛かり、用紙詰まり(ジャム)を発生してしまうこととなるからである。図22は用紙が液体吐出ヘッド装置に接触する状態を示す模式図である。
【0014】
この液体吐出ヘッド310は、上方に向けノズル320を配置している。液体吐出ヘッド310は、キャリッジ330に保持され、キャリッジ330は、ガイドロッド340に沿って主走査方向(図中矢印A)に沿って駆動される。用紙Sは、上流側搬送ローラ350及び下流側搬送ローラ360で案内され、液体吐出ヘッド310の上側を副走査方向に搬送される。ここで、用紙Sが、上流側搬送ローラ350で搬送されてきたとき、図22(b)に示すように、その先端Saが自重等で下側に垂れ、キャリッジ330に接触してしまうこととなる。
【0015】
用紙の垂れ下がりを防止する吸引装置として、静電吸引力を利用したものがある。図23は従来の画像形成装置における液体吐出ヘッドを示す断面図である。この例では、吸引装置として静電ベルト装置370を配置して用紙Sを上方に向け吸引しつつ(図23中矢印B)、副走査方向に搬送する(図中矢印C)。静電ベルト装置370は、2つのローラ372、373に掛け回され走行するベルト部材371を帯電ローラ374で所定の電圧に帯電させ、ベルト部材371に用紙を吸引する。
【0016】
この例では、用紙Sは静電ベルト装置370で上側へ吸着されるため、下側へ垂れてキャリッジに接触してジャムが発生するのを防止することができる。吸引装置として、帯電吸着ベルトに代えてエアー吸着装置なども使用される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
しかし、上述の吸引装置は、長期間の使用による吸着力の低下が発生することがある。また、吸引装置としてエアーを吸引する構成を採用した場合は、目詰まりによる吸引力の低下など、何らかの動作不良が発生することがあり、このような場合ジャムの発生を防止できなくなる。
【0018】
さらに、吸引装置を使用するとき、吸引装置を設置するために費用が掛かる。また、この吸引装置を制御する必要があり、画像形成装置の制御が複雑になってしまう。そして、用紙の上方の空間に吸引装置を配置しなければならず、画像形成装置の高さ寸法が大きくなるとともに、コストが上昇するという問題がある。
【0019】
本発明は上述の点にかんがみてなされたものであり、液体吐出ヘッドまわりの用紙詰まりを複雑な装置を使用することなく、安価な構成で予防し、かつ装置の高さ寸法を低く抑えることができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明に係る画像形成装置は、ノズルを備え液滴を記録媒体に吐出する液体吐出ヘッドと、前記液体吐出ヘッドを搭載し、該液体吐出ヘッドを記録媒体の搬送方向と直交する主走査方向に移動するキャリッジと、を備え、前記液体吐出ヘッドのノズルを上方に向けて配置し、前記液体吐出ヘッドの上方で搬送される前記記録媒体に向けて液滴を吐出する画像形成装置において、前記キャリッジの主走査方向への移動時に上方に配置した前記記録媒体を下方から支持し、前記記録媒体が下方に向けて垂れて前記液体吐出ヘッドと接触することを防止する記録媒体支持体を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、製造コストを低減するとともに、画像形成装置の高さ寸法を低減しつつ、液体吐出ヘッドによる用紙の詰まりを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】実施形態1に係る画像形成装置の断面を示す模式図である。
【図2】同画像形成装置の底面図である。
【図3】同画像形成装置の記録媒体支持体を示す斜視図である。
【図4】図3中のC−C線に相当する断面図である。
【図5】実施形態2に係る画像形成装置の記録媒体支持体を示すものであり、(a)は斜視図、(b)は(a)中のE−E線に相当する断面図である。
【図6】実施形態3に係る画像形成装置の記録媒体支持体を示すものであり、(a)は斜視図、(b)は(a)中のF−F線に相当する断面図である。
【図7】実施形態4に係る画像形成装置の記録媒体支持体を示す斜視図である。
【図8】図7に示した画像形成装置の記録媒体支持体を示すものであり、(a)は分解斜視図、(b)は(a)中のG−G線に相当する断面図である。
【図9】実施形態5に係る画像形成装置の記録媒体支持体を示すものであり、(a)は斜視図、(b)は(a)中H−H線に相当する断面図である。
【図10】実施形態6に係る画像形成装置の記録媒体支持体を示す斜視図である。
【図11】図10中のJ−J線に相当する断面図である。
【図12】本発明の実施形態に係る記録媒体支持体を搭載した画像形成装置の作画方法について説明する模式図である。
【図13】実施形態7に係る画像形成装置の記録媒体支持体を示すものであり、(a)は斜視図、(b)は(a)中のK−K線に相当する断面図である。
【図14】実施形態8に係る画像形成装置の記録媒体支持体を示すものであり、(a)は斜視図、(b)は(a)中のL−L線に沿う端面図である。
【図15】キャタピラ状の記録媒体支持体の形状例について説明する模式図である。
【図16】実施形態9に係る画像形成装置の記録媒体支持体を示す斜視図である。
【図17】図16のキャタピラ状の記録媒体支持体のキャリッジへの取り付け例を示すものであり、(a)は分解斜視図、(b)は(a)中のM−M線に相当する断面図である。
【図18】実施形態10に係る画像形成装置の記録媒体支持体を示すものであり、(a)は斜視図、(b)は(a)中N−N線に沿う端面図である。
【図19】実施形態11に係る画像形成装置の記録媒体支持体を示す斜視図である。
【図20】実施形態12に係る画像形成装置の記録媒体支持体を示す図であり、(a)は断面図、(b)は斜視図である。
【図21】実施形態13に係る画像形成装置の記録媒体支持体を示す図であり、(a)は斜視図、(b)は(a)中のP−P線に相当する拡大断面図である。
【図22】従来の画像形成装置における液体吐出ヘッドを示す斜視図である。
【図23】従来の画像形成装置における吸引装置を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明を実施するための形態に係る画像形成装置について説明する。
【0024】
<実施形態1>
以下、本発明の実施形態1に係る画像形成装置を図面に基づいて説明する。本実施形態に係る画像形成装置は、インク滴を上側に向けて吐出するインクジェット記録装置である。
【0025】
まず実施形態1に係る画像形成装置100の基本的構造について説明する。図1は実施形態1に係る画像形成装置の断面を示す模式図、図2は同じく画像形成装置の底面図である。画像形成装置100は、用紙12に画像形成を行う作像部110と、用紙12を格納した給紙部120と、用紙12を作像部110に搬送する搬送部130と、作像された用紙12が排出される排紙部140とを備える。
【0026】
作像部110は、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(Bk)の各色インクをインク滴として吐出する液体吐出ヘッド7Y、7C、7M、7Bkと、液体吐出ヘッド7Y、7C、7M、7Bkを搭載するキャリッジ3とを備える。作像部110は、主走査モータ4を備え、キャリッジ3を主走査方向(図2参照。図3等ではX方向)に駆動する。
【0027】
左右の側板101(図1には表示していない:図3参照)にかけ渡されたガイドロッド8がキャリッジ3を主走査方向に移動できるように保持する。また、作像部110には、搬入された用紙12を上側から押さえる搬送ガイド21を備える。さらに、作像部110には、キャリッジ3の主走査方向への移動時に上方に配置した用紙12を下方から支持し、用紙12が下方に向けて垂れて液体吐出ヘッド7と接触することを防止する記録媒体支持体200を備える。なお、以下、色を区別せず液体吐出ヘッド7Y、7C、7M、7Bkを説明するときには、単に、液体吐出ヘッド7と記載する。
【0028】
主走査モータ4は、駆動プーリ6Aと従動プーリ6B間にかけ渡したタイミングベルト5を駆動する。これにより、主走査モータ4は、タイミングベルト5に取り付けられたキャリッジ3を、紙面を貫く方向(主走査方向)に移動走査する。なお、キャリッジ3とガイドロッド8との間にはガイドブッシュ(軸受け)3a、3aを配置する。
【0029】
キャリッジ3には、4台の液体吐出ヘッド7Y、7C、7M、7Bkの各インク吐出口を主走査方向と交差する方向に並べて配列し、インク滴の吐出方向を鉛直上方とする。
【0030】
また、液体吐出ヘッド7は、インクを吐出するためのエネルギー発生手段として、圧電素子などの圧電アクチュエータ、発熱抵抗体などの電気熱変換素子を用いて液体の膜沸騰を利用するサーマルアクチュエータを使用できる。また、液体吐出ヘッド7は同じく、温度変化による金属相変化を用いる形状記憶合金アクチュエータ、静電力を用いる静電アクチュエータ等を使用できる。
【0031】
キャリッジ3には、各液体吐出ヘッド7Y、7C、7M、7Bkに各色のインクを供給するための各色の液体吐出ヘッドタンク(図示していない)を搭載している。この液体吐出ヘッドタンクには、インク供給チューブを介して図示しないメーンタンク(インクカートリッジ)からインクが補充供給される。
【0032】
なお、インク滴を吐出する液体吐出ヘッド7以外に、インクと反応することでインクの定着性を高める定着用処理液(定着用インク)を吐出する液体吐出ヘッドを備えることができる。
【0033】
液体吐出ヘッド7のノズルは乾燥によるノズル詰まりが発生し易い。このため、印字中のエラー等によるマシン停止中や電源OFF時等のキャリッジ3が動作していないときは、液体吐出ヘッド7のノズル面にキャップ(図示していない)をかぶせて保湿を図っている。キャップはクリーニング機構等に配置しており、クリーニング機構は装置の左右いずれかの端部に配置している。
【0034】
給紙部120には、用紙12を格納する給紙カセット10を備える。給紙カセット10は、用紙積載部(圧板)11と、給紙ローラ13と、分離パッド14とを備える。給紙ローラ13は、用紙積載部11から用紙12を搬送する。分離パッド14は、給紙ローラ13に対向して配置され、摩擦係数の大きな材質から構成される。この分離パッド14を給紙ローラ13側に押しつけ、給紙ローラ13で、用紙積載部11から用紙12を1枚ずつ分離して搬送する。
【0035】
搬送部130は、給紙部120から給紙された用紙12を作像部110に搬送し、さらに、用紙12を液体吐出ヘッド7のインク滴吐出ノズル面と垂直な副走査方向に搬送する。搬送部130は、搬送ローラ対26、27と、反転ガイド部15と、用紙12の先端を検知する用紙有無検知センサー45と、搬送ローラ対26、27とを備える。また、搬送部130は、用紙12に両面印刷を行うとき、用紙12を反転する用紙反転部16を備える。
【0036】
搬送部130では、副走査モータ31が、タイミングベルト32、タイミングローラ33で搬送ローラ27を駆動する。
【0037】
画像形成装置100において、用紙12の搬送状態をエンコーダ36で検出する。図2に示すように、エンコーダ36は、円板型エンコーダシート34とエンコーダセンサー35とからなる。円板型エンコーダシート34を搬送ローラ27の軸に配置する。円板型エンコーダシート34では、光を透過する透過部と透過しない非透過部とを交互に形成している。この円板型エンコーダシート34の透過部と非透過部をエンコーダセンサー35で検知し、この検知情報に基づいて用紙12の搬送を制御する。
【0038】
また、キャリッジ3の位置は、キャリッジ3の前方に配置したエンコーダシート42で検出する。エンコーダシート42、光を透過する透過部と透過しない非透過部とが交互に側面に形成し、この透過部と非透過部を透過型フォトセンサーからなるエンコーダセンサー(図示していない)で検出する。この検出情報に基づいてキャリッジ3の駆動を制御する。
【0039】
排紙部140は、液体吐出ヘッド7で記録された用紙12を排紙する。排紙部140は、排紙ローラ対52、53と、排紙される用紙12をストックする排紙トレイ54とで構成する。
【0040】
このように構成した画像形成装置100では、給紙部120から用紙12を1枚ずつ分離給紙し、水平方向に給紙された用紙12を反転ガイド部15で案内して方向を変更する。その後、用紙12の先端を用紙有無検知センサー45で検知したら、搬送ガイド21上に搬送する。
【0041】
画像形成装置100では、キャリッジ3を移動しつつ、上位装置から入力される画像信号に基づいて各液体吐出ヘッド7Y、7C、7M、7Bkを駆動する。これにより、停止している用紙12にインク滴を吐出して1行分を記録し、用紙12を所定量搬送後、次の行の記録を行う。記録終了信号または用紙12の後端が記録領域に到達した信号を受けることにより、記録動作を終了して、用紙12を排紙トレイ54に排紙する。
【0042】
なお、キャリッジ3の走査方向と印刷との関係では、一方向の走査時にだけ画像を形成する片方向記録モードと、両方向の走査時のいずれでも画像を形成する両方向記録モードがある。これをユーザーからの指定や印刷画像に応じて設定するか、あるいは、いずれかのモードだけを行うようにするかは適宜選択できる。
【0043】
次に実施形態1に係る画像形成装置100の記録媒体支持体200について説明する。図3は実施形態1に係る画像形成装置の記録媒体支持体を示す斜視図、図4は図3中のD−D線に相当する断面図である。記録媒体支持体200は、図3に示すように、ベルト状の薄板部材であるベルト部材210と、このベルト部材210が巻きかけられる2つのローラ270、280とを備える。ベルト部材210は、硬質の合成樹脂薄板材で構成することができる。
【0044】
ベルト部材210の両端部は、液体吐出ヘッド7Y、7C、7M、7Bkを挟んでキャリッジ3に固定されている。その結果、ベルト部材210は、キャリッジ3とともに環状となり、ベルト部材210は、キャリッジ3の両側方から下方を取り囲むこととなる(概略全体構造は、図7参照)。このため、ベルト部材210は、キャリッジ3が移動しても循環するように移動し、ベルト部材210はキャリッジ3の両側から主走査方向外側に常に配置される。
【0045】
このような構造を備えるため、ベルト部材210は、垂れ下がってきた用紙12をキャリッジ3や液体吐出ヘッド7に接触しないよう、上方で支持することができる。また、ベルト部材210の上面211に搬送される用紙12が接触して用紙12を案内する搬送部としての機能をなす。
【0046】
実施形態1に係る画像形成装置100では、図4に示すように、ベルト部材210の上面211に用紙12が接触したとき、液体吐出ヘッド7との間にベルト部材210の厚み寸法分の隙間Wが形成される。このため、挿入された用紙12の先端が垂れ下がったとしても、キャリッジ3や液体吐出ヘッド7に接触することはない。また、液体吐出ヘッド7からのインクの吐出力が強い場合でも、搬送ガイド21が支えるので、用紙12が不必要に浮き上がることはない。
【0047】
なお、ベルト部材210を歯付きのベルトとして構成し、ベルト部材210の内側に形成された歯にかみ合わせたスプロケットを配置し、ベルト部材210でキャリッジ3を駆動することができる。
【0048】
<実施形態2>
次に実施形態2に係る画像形成装置について説明する。実施形態2に係る画像形成装置は、以下の記録媒体支持体230を備える。図5は実施形態2に係る画像形成装置の記録媒体支持体を示すものであり、(a)は斜視図、(b)は(a)中のE−E線に相当する断面図である。
【0049】
記録媒体支持体230は、図5(a)に示すように、ベルト部材231の副走査方向(Y軸)の上流側端部を、下方(Z軸)すなわちキャリッジ3に向けて延ばし、傾斜面232を形成している。また、図5(b)に示すように、液体吐出ヘッド7を傾斜面232の先端より下流側方に配置する。なお、画像形成装置のその他の構成については、実施形態1に係る画像形成装置100と基本的に同一の構造を備える。
【0050】
実施形態2に係る画像形成装置によれば、記録媒体支持体230の傾斜面232は、搬送される用紙12の耳折れを抑制することができる。また、搬送ローラ対26、27から搬送される用紙12の先端が垂れ下がっていても、232先端をすくい上げ、紙詰まりを有効に防止できる。また、液体吐出ヘッド7が、傾斜面232より下流側に配置されているので、用紙12が液体吐出ヘッド7に接触することもない。
【0051】
<実施形態3>
次に実施形態3に係る画像形成装置について説明する。実施形態3に係る画像形成装置は、以下の記録媒体支持体240を備える。図6は実施形態3に係る画像形成装置の記録媒体支持体を示すものであり、(a)は斜視図、(b)は(a)中のF−F線に相当する断面図である。
【0052】
記録媒体支持体240は、図6(a)に示すように、ベルト部材241の副走査方向(Y軸)の上流側端部及び下流側端部を、下方(Z軸)すなわちキャリッジ3に向けて延ばして傾斜面242、243を形成している。なお、この例では、傾斜面242、243のY方向の幅寸法及び傾斜角度は同一のものとしている、また、用紙12が液体吐出ヘッド7に接触しないよう、図6(b)に示すように、液体吐出ヘッド7を2つの傾斜面242、243の内側に配置する。なお、画像形成装置のその他の構成については、実施形態1に係る画像形成装置100と基本的に同一の構造を備える。
【0053】
実施形態3に係る画像形成装置によれば、用紙12に両面印刷を行うとき、いったん画像形成した用紙12を用紙反転部16に搬送する(図6(b)の一点鎖線で示した)に際して、傾斜面243で戻る用紙12の先端をすくい上げることができる。このため、通常印刷時の外、両面印刷時の紙詰まりを有効に防止できる。
【0054】
<実施形態4>
次に実施形態4に係る画像形成装置について説明する。実施形態4に係る画像形成装置は、以下の記録媒体支持体250を備える。図7は実施形態4に係る画像形成装置の記録媒体支持体を示す斜視図、図8は図7に示した画像形成装置の記録媒体支持体を示すものであり、(a)は分解斜視図、(b)は(a)中のG−G線に相当する断面図である。
【0055】
記録媒体支持体250は、ベルト部材251をその両端部でキャリッジ3に取り付けるに際して、それぞれ傾斜面252、253を形成する。この傾斜面252、253は、主走査方向の液体吐出ヘッド7側に沿って下方に向け延ばしている。傾斜面252、253は、ベルト部材251をキャリッジ3の主走査方向の両端部に配置した傾斜面3b、3cに取り付けることにより形成する。
【0056】
ベルト部材251をキャリッジ3に取り付けは、ネジ255と押さえ部材256とによる。図8(a)、(b)に示すように、キャリッジ3のX方向両側には、傾斜面3b、3c及びネジ穴3dを形成する。そして、ネジ255と、押さえ部材256でベルト部材251をキャリッジ3で取り付ける。ネジ255をキャリッジ3に固定した状態において、液体吐出ヘッド7のノズル形成面7aがネジ255の上面より突出しないようにすることが好ましい。
【0057】
実施形態4に係る画像形成装置によれば、キャリッジ3が主走査方向に移動する際、用紙12とキャリッジ3との接触を防止することができる。これは、キャリッジ3が用紙12を越えて移動して戻ってくる際に有効である。キャリッジ3の戻り動作時、下方に垂れ下がった用紙12の端部を傾斜面252、253ですくい上げ、用紙12の詰まりを防止することができる。したがって、主走査時に用紙詰まり(キャリッジジャム)を防止知ることができる。
【0058】
<実施形態5>
次に実施形態5に係る画像形成装置について説明する。実施形態5に係る画像形成装置は、以下の記録媒体支持体260を備えるものである。図9は実施形態5に係る画像形成装置の記録媒体支持体を示すものであり、(a)は斜視図、(b)は(a)中H−H線に相当する断面図である。
【0059】
記録媒体支持体260は、ベルト部材261に、用紙接触部262と、傾斜面263と、傾斜面263とを設けている。用紙接触部262は、液体吐出ヘッド7のノズル形成面7aからの離間距離(図9(b)中矢印d)を最大としている。傾斜面263は、用紙接触部262より上流側に形成し、ガイド面264は、用紙接触部262より下流側に形成している。
【0060】
用紙接触部262は、図9(b)に示すように液体吐出ヘッド7の配置領域(図中領域K)より上流側に配置され、液体吐出ヘッド7のノズル形成面7aと平行に形成される。
【0061】
傾斜面263は、前述した各実施形態に係るベルト部材の傾斜面と同様の構成を備え、搬送されてくる用紙12が垂れ下がっているとき用紙12をすくい上げる。
【0062】
傾斜面263は、用紙接触部262から副走査方向上流側に向け、キャリッジ3側(下側)に傾斜するよう形成する。また、ガイド面264は、用紙接触部262から副走査方向下流側に向けキャリッジ3側(下側)に傾斜して形成する。ここで、ガイド面264の最下部の高さは、液体吐出ヘッド7のノズル形成面7aと同じ高さ、もしくは上にすることが望ましい。ガイド面264に接した用紙12が液体吐出ヘッド7に接触しないようにするためである。
【0063】
記録媒体支持体を配置した画像形成装置では、記録媒体支持体が用紙の作像面と接触すると、インクの乾燥が遅かったり、用紙へのインクの浸透が遅かったりする場合、記録媒体支持体でインクが擦れて、画像劣化が発生する。
【0064】
実施形態5に係る画像形成装置は、用紙接触部262がインクの塗布されていない未作像領域(図9(b)中領域L)で用紙12を支持する。このため、用紙12への作像時にベルト部材261が接触しても画像擦れが発生することがない。
【0065】
そして、用紙接触部262から排紙ローラ対52、53までの間、用紙12は、ガイド面264に支持され、仮に用紙12が垂れ下がっても主走査方向での紙詰まりを防止できる。
【0066】
なお、液体吐出ヘッド7と対向する位置での用紙の搬送路は斜めでもかまわない。すなわち、用紙が常に水平方向に搬送される構成でなくてもよい。
【0067】
<実施形態6>
図10は、実施形態6に係る画像形成装置の記録媒体支持体を示す斜視図、図11は、図10中のJ−J線に相当する断面図である。基本的な構成は、図3、図4に示した形態とほぼ同様のものであるが、本実施形態では、キャリッジ3のヘッド脇が端部となるようにキャタピラ状の記録媒体支持体300が固定されている。図3の例と同一ないし類似の部分には共通する符号を付すにとどめる(以下の実施形態でも同様とする)。用紙12はキャタピラ状の記録媒体支持体300上に自重で乗り、その面が作像面になる。液体吐出ヘッド7からのインクの吐出力が強い場合は、図1に示したように、搬送ガイド21(液体吐出ヘッド7及びキャタピラ状の記録媒体支持体300と対向する位置に配置される)が支えてくれるので、用紙12が不必要に浮くことはない。
【0068】
本実施形態のように記録媒体支持体300がキャタピラ状の構成になっていると、長さを変更する際の対応が容易となる。また専用部品が増加しないため、初期投資金額を抑えることもできる。さらに、傷などのアクシデントが発生した場合においても、不具合の発生したキャタピラ部材のみ取り外して交換すればよく、さらには交換部分だけにアクセスすればよいので分解作業も容易になる。もちろんキャタピラは成型品で構成可能なため、拍車のような別部品を接続すること(後述する)も容易になる。
【0069】
図12は、本実施形態に係るキャタピラ状の記録媒体支持体300が搭載された画像形成装置における作画方法について説明するための模式図である。
一般的なシリアル型の画像形成装置は、(a)→(b)のように、主走査方向(図12では左右方向となるX方向)にキャリッジ3が動く(図2参照)と同時に液体吐出ヘッド7が用紙12に対してインクを吐出して画像pを印刷する。次に、(b)→(c)のように副走査方向(図12では上下方向となるY方向)に用紙12が動き、再度(c)→(d)のように作画する。用紙12が動く(副走査方向)ときはキャリッジ3が止まっており、キャリッジ3が動く(主走査方向)ときは用紙12は止まっている。
【0070】
<実施形態7>
図13は、実施形態7に係る画像形成装置の記録媒体支持体を示すものであり、(a)は斜視図、(b)は(a)中のK−K線に相当する断面図である。本実施形態は、高さ方向におけるキャタピラ状の記録媒体支持体300の最頂部の位置が作像面(作像位置)となり、液体吐出ヘッド7と作像面とのギャップを確保するため、キャタピラ状の記録媒体支持体300の最頂部を液体吐出ヘッド7のノズル面よりも上方に位置させてある。
【0071】
本実施形態でも、記録媒体支持体300は、図5(a)に示す実施形態と同様に、各キャタピラ331の副走査方向(Y軸)の上流側端部を、下方(Z軸)すなわちキャリッジ3に向けて延ばし、傾斜面332を形成している。そして、図13(b)に示すように、液体吐出ヘッド7を傾斜面332の先端より下流側方に配置している。
【0072】
この実施形態7によれば、記録媒体支持体300の傾斜面332は、搬送される用紙12の耳折れを抑制することができる。また、搬送ローラ対26、27から搬送される用紙12の先端が垂れ下がっていても、傾斜面232が垂れ下がった先端をすくい上げ、紙詰まりを有効に防止できる。また、液体吐出ヘッド7が、傾斜面332より下流側に配置してあるので、用紙12が液体吐出ヘッド7に接触することもない。
【0073】
<実施形態8>
図14は、実施形態8に係る画像形成装置の記録媒体支持体を示すものであり、(a)は斜視図、(b)は(a)中のL−L線に沿う端面図である。
【0074】
本実施形態のキャタピラ状の記録媒体支持体300は、各キャタピラ331の用紙12の搬送方向上流側と下流側、両方側の端面を、下方向に傾斜する傾斜面332a、332bとして形成してある。傾斜角度は、傾斜面332a、332bともに同じ角度、幅(Y方向の幅)とすることが好ましい。両面印刷時、片面印刷時の最終行を印字したあと、片面搬送時の用紙12の後端がキャリッジ3の搬送方向(図中、Y方向)の下流側へ搬送され、その後スイッチバックする場合、傾斜面332bによりスイッチバック後の搬送方向における用紙12の先端をすくうことができる。したがって、通常印刷時や両面印刷時の紙詰まりを防止できる。なお、液体吐出ヘッド7は、用紙12先端との干渉を防ぐため、傾斜面332a、332bから突出しないように配置する。
【0075】
図15は、本実施形態で使用し得るキャタピラ331の例について説明するための模式図である。各キャタピラ331の主走査方向(X方向)の両端側には上述のように傾斜面332a、332bが形成してあり、また隣り合うキャタピラ331同士を連結し易くするために、主走査方向での中央部に凸部333と凹部334が形成してある。図15(a)〜(c)に示すキャタピラ331は基本的な形状を示しているが、図15(d)〜(f)は、キャタピラ331の最外縁部(外周を構成するすべての縁あるいはエッジ)には面取り331aを施し、用紙12が引っ掛からないようにしてある。すなわち、主走査動作時には用紙の下面をキャタピラ状の記録媒体支持体300が動き、また副走査動作時にはキャタピラ状の記録媒体支持体300の上を用紙12が動くため、いずれの場合でも各キャタピラ331の各縁において用紙12が引っ掛からないようにすることが好ましい。例えば、主走査方向、副走査方向で最外周となるエッジだけではなく、凸部333と凹部334の主走査方向中央の縁なども面取りしてある。
【0076】
<実施形態9>
図16は、実施形態9に係る画像形成装置の記録媒体支持体を示す斜視図、図17は、図16のキャタピラ状の記録媒体支持体のキャリッジ3への取り付け例を示す斜視図である。本実施形態では、キャリッジ3の液体吐出ヘッド7を搭載する部位が主走査方向(X方向)と副走査方向(Y方向)とが作る面に対して垂直なZ方向で下向き凹ませてあり、その主走査方向の端部がキャタピラ状の記録媒体支持体300の取り付け部としてあり、かつ凹ませた部位の主走査方向で両端に傾斜面3a、3aが形成してある。
【0077】
キャリッジ3が主走査方向に移動するときに、用紙12における主走査方向端部が液体吐出ヘッド7の近傍に位置する場合があり、そのとき、用紙12の端面は下方に垂れ下がるため、キャリッジ3が逆方向に走査されるときに傾斜面3a、3aが用紙12の端面をすくうことができる。したがって、主走査時に用紙12の主走査方向(X方向)の左右端をすくうことができ、主走査方向での用紙詰まり(キャリッジジャム)を防止することができる。
【0078】
図17に示すように、キャリッジ3へキャタピラ状の記録媒体支持体300を取り付けるための固定部材350には、ネジ等の締結部材351を挿通して固定するための固定孔352が形成してある。もちろん、記録媒体支持体300の固定部材350を締結部材351で固定した状態において、液体吐出ヘッド7の上面よりも締結部材351の上面が突出しないようにすることが好ましい。また、図17では固定部材350を専用部品としているが、キャタピラ状の記録媒体支持体300を構成する他のキャタピラ331の一つに穴を設けて固定部材350に代えてもよい。
【0079】
<実施形態10>
図18は、実施形態10に係る画像形成装置の記録媒体支持体を示すものであり、(a)は斜視図、(b)は(a)中のN−N線に沿う端面図である。本実施形態では、キャタピラ状の記録媒体支持体300が変形の台形断面形状を有し、頂面360aが作像時に用紙12の作像面と摺動するようになっている。そのため、用紙12へ吐出されたインクの乾燥、浸透が遅い場合は画像擦れにつながってしまう(図12及び図12についての説明参照)。そこで、キャタピラ状の記録媒体支持体300の頂面360aを液体吐出ヘッド7と作像面とのギャップを確保するためのギャップ確保支持部(以下、符号360aを付す)とし、ギャップ確保支持部360aよりも用紙12の搬送方向(図18(b)では右から左方向)で上流側に設けた傾斜面360bよりも下流側に設けた傾斜面を用紙12の搬送方向で長くし、傾斜も緩くして、ガイド面部360cとして形成してある。
【0080】
したがって、液体吐出ヘッド7のY方向上流側(未作像部側)では、ギャップ確保支持部360aによりギャップが確保(用紙支持)されるので、作像時に記録媒体支持体300が摺動しても画像擦れが発生することを防止できる。また、ギャップ確保支持部360aから排紙ローラ52及び排紙コロ53への間は、紙の垂れを防止するためのガイド面部360cにより、万が一、用紙12が垂れたとしても、主走査方向の紙詰まりを防止できる。なお、この実施例の場合のガイド面部360cの最下部の高さは、液体吐出ヘッド7のノズル面と同高さ、もしくは上とすることが好ましい。
【0081】
<実施形態11>
図19は、実施形態11に係る画像形成装置の記録媒体支持体を示す斜視図である。本実施形態のキャタピラ状の記録媒体支持体300は、キャリッジ3が主走査方向(X方向)で動くときに用紙12と擦れる状態を想定し、上述してきた各種キャタピラ状の記録媒体支持体300を構成するキャタピラ331の用紙と摺接する面に、主走査方向に回転する拍車状のコロ370を配置したものである。すなわち、例えば図18に示したギャップ確保支持部360aの位置は作画前の領域を擦れるために印字が擦れることはないが、用紙12との摩擦による異音や、ギャップ確保支持部360aの面自体の摩耗が懸念される。そこで、異音や摩耗防止を主な目的として、用紙12との接触面積をより小さくするためにコロ370aを配置したものである。なお、コロ370aは、拍車状でなくて円板状のものなどでもよい。また、回転方向の規制をなくすために、図19(b)、(c)に示すように球状のコロ370bとしたり、さらには図19(d)に示すように表面に突起の付いた球状のコロ370cとしたりしてもよい。
【0082】
<実施形態12>
図20は、実施形態12に係る画像形成装置の記録媒体支持体を示す図であり、(a)は断面図、(b)は斜視図である。本実施形態では、用紙12がローラ対26、27から排紙ローラ52及び排紙コロ53へ搬送される間は、キャタピラ状の記録媒体支持体300上を擦れっていく(特に、作画された液体吐出ヘッド7よりも用紙搬送下流側においては、用紙12のいわゆるコシで搬送されることになる。薄い紙などのように下方に垂れ易い用紙では、例えば図18(b)で示した実施形態の構成では液体吐出ヘッド7の下流側で、排紙ローラ52及び排紙コロ53の対の間に挟まることができない可能性もある。そこで、より用紙面を支え得るように、液体吐出ヘッド7の用紙搬送方向(Y方向)で上、下流側両方に紙支えコロ370a、370bを配置してある。なお、用紙搬送方向下流側の紙支えコロ370bに関しては、搬送された用紙が印字された直後のもののため、用紙に吐出されたインクが乾いていない場合もあり得るので、図示のように拍車状のものにすることが望ましい。
【0083】
なお本実施形態の構成では、液体吐出ヘッド7と作像面とのギャップを決定するのはコロ370a、370bの突出量であり、キャタピラ状の記録媒体支持体300は、垂れた用紙の支持、コロ370a、370bの保持が主な役割となる。またなお、本実施形態は、用紙12が記録媒体支持体300とこすれるのを防止することが目的であるため、用紙12のコシが強い場合には不要としてもかまわない。薄い紙などのように下方に垂れ易い用紙に印刷することを主とする画像形成装置にとって有効な構成の実施態様である。また、図20(b)に示すように、拍車状の紙支えコロ370bだけとしてもよい。
【0084】
<実施形態13>
図21は、実施形態13に係る画像形成装置の記録媒体支持体を示す図であり、(a)は斜視図、(b)は(a)中のP−P線に相当する拡大断面図である。本実施形態は、実施形態11、12の両方の機能を備えたものであり、各キャタピラ331に、球状のコロ380a、球状で拍車のような突起物を設けたコロ380bをY方向に連接させて設け、かつ主走査方向、副走査方向の別なく、すなわち回転方向の規制がなく回転できるようにしてある。なお、コロの配置に関しては、液体吐出ヘッド7の上、下流側それぞれに配置するのが望ましく、かつ下流側のコロを拍車状などのほうが用紙との摩擦が急になっていることが望ましい。
【符号の説明】
【0085】
3 :キャリッジ
7 :液体吐出ヘッド
7Y、7C、7M、7Bk:液体吐出ヘッド
7a :ノズル形成面
8 :ガイドロッド
10 :給紙カセット
11 :用紙積載部
12 :用紙
26、27:搬送ローラ対
52、53:排紙ローラ対
54 :排紙トレイ
100 :画像形成装置
110 :作像部
120 :給紙部
130 :搬送部
140 :排紙部
200 :記録媒体支持体
210 :ベルト部材
230 :記録媒体支持体
231 :ベルト部材
232 :傾斜面
240:記録媒体支持体
241 :ベルト部材
242、243:傾斜面
250 :記録媒体支持体
251 :ベルト部材
252、253:傾斜面
260 :記録媒体支持体
261 :ベルト部材
262 :用紙接触部
263 :傾斜面
264 :ガイド面
270 :ローラ
300 :記録媒体支持体
331 :キャタピラ
332 :傾斜面
332a :傾斜面
332b :傾斜面
333 :凸部
334 :凹部
350 :固定部材
351 :締結部材
352 :固定孔
360a :頂面(ギャップ確保支持部)
360b :傾斜面
360c :ガイド面部
370、370a〜370c:コロ
380a、380b:コロ
p :画像
【先行技術文献】
【特許文献】
【0086】
【特許文献1】実開平05−041816号公報
【特許文献2】特開2010−006603公報
【特許文献3】特開2001−341321公報
【特許文献4】特開2002−011893公報
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液滴を記録媒体に吐出する液体吐出ヘッドと、
前記液体吐出ヘッドを搭載し、該液体吐出ヘッドを前記記録媒体の搬送方向と直交する主走査方向に移動するキャリッジと、を備え、
前記液体吐出ヘッドの液滴吐出方向を上向きに配置し、前記液体吐出ヘッドの上方で搬送される前記記録媒体に向けて液滴を吐出する画像形成装置において、
前記キャリッジの主走査方向への移動時に上方に配置した前記記録媒体を下方から支持し、前記記録媒体が下方に向けて垂れて前記液体吐出ヘッドと接触することを防止する記録媒体支持体を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記記録媒体支持体が、ベルト状の部材であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記記録媒体支持体が、前記記録媒体が搬送されるとき接触する搬送面部としての機能を有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記記録媒体支持体が、前記キャリッジを主走査方向に駆動する駆動ベルトの機能を有することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記記録媒体支持体の副走査方向の寸法が、前記液体吐出ヘッドの副走査方向の寸法より大きいことを特徴とする請求項2から請求項4のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記記録媒体支持体の上側面を、前記液体吐出ヘッドの液滴吐出口の設置位置より上側に配置したことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記記録媒体支持体の副走査方向の上流側端部を、下方に向け傾斜させたことを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記記録媒体支持体の副走査方向の上流側端部及び下流側端部を、下方に向け傾斜させたことを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記記録媒体支持体を前記液体吐出ヘッドに接合する2つの接合箇所を、主走査方向の前記液体吐出ヘッド側に沿って下方に向け傾斜させたことを特徴とする請求項1から請求項8のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記記録媒体支持体が、前記液体吐出ヘッドの配置領域より副走査方向上流側に形成され、前記液滴吐出ヘッドのノズル形成面からの離間距離を最大とした用紙接触部と、
この用紙接触部から副走査方向下流方向に沿って前記液体吐出ヘッドに向けて傾斜するガイド面と、を備えたことを特徴とする請求項1から請求項9のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項1】
液滴を記録媒体に吐出する液体吐出ヘッドと、
前記液体吐出ヘッドを搭載し、該液体吐出ヘッドを前記記録媒体の搬送方向と直交する主走査方向に移動するキャリッジと、を備え、
前記液体吐出ヘッドの液滴吐出方向を上向きに配置し、前記液体吐出ヘッドの上方で搬送される前記記録媒体に向けて液滴を吐出する画像形成装置において、
前記キャリッジの主走査方向への移動時に上方に配置した前記記録媒体を下方から支持し、前記記録媒体が下方に向けて垂れて前記液体吐出ヘッドと接触することを防止する記録媒体支持体を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記記録媒体支持体が、ベルト状の部材であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記記録媒体支持体が、前記記録媒体が搬送されるとき接触する搬送面部としての機能を有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記記録媒体支持体が、前記キャリッジを主走査方向に駆動する駆動ベルトの機能を有することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記記録媒体支持体の副走査方向の寸法が、前記液体吐出ヘッドの副走査方向の寸法より大きいことを特徴とする請求項2から請求項4のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記記録媒体支持体の上側面を、前記液体吐出ヘッドの液滴吐出口の設置位置より上側に配置したことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記記録媒体支持体の副走査方向の上流側端部を、下方に向け傾斜させたことを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記記録媒体支持体の副走査方向の上流側端部及び下流側端部を、下方に向け傾斜させたことを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記記録媒体支持体を前記液体吐出ヘッドに接合する2つの接合箇所を、主走査方向の前記液体吐出ヘッド側に沿って下方に向け傾斜させたことを特徴とする請求項1から請求項8のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記記録媒体支持体が、前記液体吐出ヘッドの配置領域より副走査方向上流側に形成され、前記液滴吐出ヘッドのノズル形成面からの離間距離を最大とした用紙接触部と、
この用紙接触部から副走査方向下流方向に沿って前記液体吐出ヘッドに向けて傾斜するガイド面と、を備えたことを特徴とする請求項1から請求項9のいずれかに記載の画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【公開番号】特開2013−59998(P2013−59998A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−243953(P2011−243953)
【出願日】平成23年11月7日(2011.11.7)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月7日(2011.11.7)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
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