説明

画像形成装置

【課題】廃トナーボトルに収容されている廃トナーの量を従来よりも正確に検出することができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置は、記録媒体上に形成すべき画像のトナー像を担持する像担持体と、像担持体から回収された廃トナーを収容する廃トナー収容部と、廃トナー収容部に照射する検出光Lを発光する発光部61と、廃トナー収容部を介した検出光Lを受光する受光部62とを有する光検出部60と、光検出部60の受光部62に接続される抵抗回路80と、光検出部60の検出結果に応じて、抵抗回路80の抵抗値を変化させる制御を行う制御部50とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンター、複写機、複合機等の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンター、複写機、複合機等の画像形成装置は、形成すべき画像のトナー像を感光ドラム等の像担持体上に担持し、このトナー像を印刷用紙等の記録媒体に転写して定着させることにより記録媒体上に画像を形成する。このような画像形成装置は、像担持体上に残留したトナーを除去して清浄化するクリーニング装置を備えており、クリーニング装置によって除去されたトナー(廃トナー)を廃トナーボトルに回収している。
【0003】
ここで、廃トナーボトルが満杯になると、廃トナーボトルから溢れ出た廃トナーによって画像形成装置の故障が生ずる可能性が考えられる。このため、画像形成装置は、廃トナーボトルに収容された廃トナーの量を検出する廃トナー量検出装置を備えている。この廃トナー量検出装置の代表的なものとして、LED(Light Emitting Diode:発光ダイオード)等の発光素子とフォトトランジスター等の受光素子とを備えており、廃トナーボトルの透過光量の変化によって廃トナーの量を検出する光学式の廃トナー量検出装置がある。
【0004】
以下の特許文献1には、作用する圧力によって抵抗値が変化する感圧導電性部材を用いて廃トナーボトルに収容された廃トナーの量を検出する技術が開示されている。また、以下の特許文献2には、具体的な構成は明確ではないが、廃トナーボトルに収容された廃トナーの量を光学的に検出するトナー量検出装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平2−251874号公報
【特許文献2】特開平7−121078号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上述した光学式の廃トナー量検出装置は、LED等の発光素子及びフォトトランジスター等の受光素子の特性により、廃トナーボトルに収容されている廃トナーの量に応じて検出信号の変化が小さくなる場合がある。具体的には、空の廃トナーボトルを設けた直後のように廃トナーの量が極端に少なくて透過光量が多い場合、或いは、廃トナーボトルが満杯になったときのように廃トナーの量が極端に多くて透過光量が少ない場合である。
【0007】
このような場合には、廃トナーボトルに収容されている廃トナーの量と廃トナー量検出装置の検出結果との関係が線形(リニア)にはならないため、廃トナーボトルに収容されている廃トナーの量を正確に求めることはできないという問題がある。特に、廃トナーボトルが満杯に近い状態である場合には、廃トナー量検出装置の検出結果に基づいて行われる廃トナーボトルが満杯であるか否かの判断に誤りが生じやすいという問題がある。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、廃トナーボトルに収容されている廃トナーの量を従来よりも正確に検出することができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の画像形成装置は、記録媒体上に形成すべき画像のトナー像を担持する像担持体と、該像担持体から回収された廃トナーを収容する廃トナー収容部とを備える画像形成装置において、前記廃トナー収容部に照射する検出光を発光する発光部と、前記廃トナー収容部を介した前記検出光を受光する受光部とを有する光検出部と、前記光検出部の前記受光部或いは前記発光部に接続される抵抗回路と、前記光検出部の検出結果に応じて、前記抵抗回路の抵抗値を変化させる制御を行う制御部とを備えることを特徴としている。
また、本発明の画像形成装置は、前記抵抗回路が、抵抗素子とスイッチとが直列接続された回路を並列接続してなる回路であり、前記制御部が、前記スイッチの開閉状態を制御することによって前記抵抗回路の抵抗値を変化させることを特徴としている。
また、本発明の画像形成装置は、前記抵抗回路が、抵抗値が可変である可変抵抗素子を備えており、前記制御部が、前記可変抵抗素子を制御することによって前記抵抗回路の抵抗値を変化させることを特徴としている。
また、本発明の画像形成装置は、前記制御部が、前記光検出部の検出結果が予め設定された閾値を超える度に、前記抵抗回路の抵抗値を変化させる制御を行うことを特徴としている。
また、本発明の画像形成装置は、前記制御部が、前記光検出部の検出結果が前記閾値を超える度に、前記抵抗回路の抵抗値を大きくする制御を行うことを特徴としている。
また、本発明の画像形成装置は、前記閾値が、前記廃トナー収容部に収容される廃トナーの量と前記光検出部の検出結果との関係の線形度を考慮して設定されることを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、光検出部の受光部或いは発光部に抵抗回路を接続し、光検出部の検出結果に応じて抵抗回路の抵抗値を変化させる制御を行っているため、廃トナーボトルに収容されている廃トナーの量と光検出部の検出結果との関係を極力線形(リニア)にすることができ、廃トナーの量を従来よりも正確に検出することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第1実施形態による画像形成装置としての複合機の要部構成を示す正面透視図である。
【図2】本発明の第1実施形態による画像形成装置としての複合機の電気的な構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の第1実施形態において、光検出部と廃トナーボトルとの位置関係を示す模式図である。
【図4】本発明の第1実施形態において、廃トナーの量を検出する検出系の具体的構成を示す回路図である。
【図5】本発明の第1実施形態において、抵抗回路の抵抗値を変えた場合における廃トナーの量と光検出部の検出結果との関係を示す図である。
【図6】本発明の第1実施形態において、廃トナーの量を検出する動作を示すフローチャートである。
【図7】本発明の第2実施形態において、廃トナーの量を検出する検出系の具体的構成を示す回路図である。
【図8】本発明の第2実施形態において、抵抗回路の抵抗値を変えた場合における廃トナーの量と光検出部の検出結果との関係を示す図である。
【図9】本発明の第2実施形態において、廃トナーの量を検出する動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態による画像形成装置について詳細に説明する。尚、以下では、画像形成装置が複合機である場合を例に挙げて説明する。
〔第1実施形態〕
図1は、本発明の第1実施形態による画像形成装置としての複合機の要部構成を示す正面透視図である。図1に示す通り、複合機1は、本体部10、原稿読取部20、操作表示部30、及びフィニッシャー部40等を備えており、コピー機能、プリント機能、ファクシミリ送信/受信機能を併せ持っている。
【0013】
本体部10は、給紙部11、画像形成部12、定着部13、及び排紙トレイ14等を備えており、画像データに応じた画像を所定の印刷用紙(記録媒体)に印刷する。ここで、上記の画像データは、例えば原稿読取部20で読み取られた原稿の原稿データ、外部の端末装置(図示省略)から送信されてきた印刷データ、或いは受信したファクシミリデータ等である。
【0014】
給紙部11は、定型の印刷用紙を複数枚(例えば、数十枚程度)収容可能な給紙カセット11aを複数備える。この給紙カセット11aは、本体部10の正面から引き出し可能なように本体部10の底部に配置されている。給紙カセット11aの各々に収容された印刷用紙のうちの最上位の印刷用紙は、ピックアップローラー11bの駆動によって繰り出されて画像形成部12に向けて搬送される。
【0015】
画像形成部12は、感光ドラム12a(像担持体)、露光部12b、現像部12c、及び転写部12d等を備えており、印刷すべき画像に応じたトナー像を形成して搬送されてきた印刷用紙に転写する。感光ドラム12aは、印刷すべき画像に応じた静電潜像が形成されるとともに、現像されたトナー像を担持する円筒形の感光体である。露光部12bは、画像データに応じた静電潜像を形成するためのレーザー光を感光ドラム12aに照射する。現像部12cは、静電潜像が形成された感光ドラム12aにトナーを供給することにより、静電潜像を現像してトナー像にする。転写部12dは、感光ドラム12aに担持されているトナー像を、給紙部11から搬送されてきた印刷用紙に転写する。
【0016】
定着部13は、印刷用紙に転写されたトナー像を加熱及び加圧して印刷用紙に定着させる。これにより、印刷用紙には、画像データに応じた画像が印刷される。排紙トレイ14は、定着部13によって画像が印刷された印刷用紙のうち、フィニッシャー部40に送られない印刷用紙が載置される部位であり、本体部10の上部に設けられている。
【0017】
原稿読取部20は、ADF(自動原稿送り装置)21、キャリッジ22、原稿台23、及び原稿読取スリット24等を備えており、ADF21によって順次給紙される原稿、或いは原稿台23に載置された原稿を読み取って原稿データを出力する。ADF21は、読み取りを行うべき原稿を順次給紙する装置である。キャリッジ22は、露光ランプ及びCCD(Charge Coupled Device)センサー等を搭載しており、ADF21によって順次給紙される原稿、或いは原稿台23に載置された原稿を読み取る。
【0018】
具体的に、原稿台23に載置された原稿を読み取る場合には、キャリッジ22は、原稿台23の長手方向に移動しながらCCDセンサーにより原稿を読み取る。これに対し、ADF21から給紙される原稿を読み取る場合には、キャリッジ22は、原稿読取スリット24に対向する位置(原稿読取スリット24の下方の位置)において、ADF21から順次給紙される原稿を、原稿読取スリット24を介してCCDセンサーにより読み取る。
【0019】
操作表示部30は、操作キー部31と表示部32とを備えており、ユーザーの操作に応じた指示を入力するとともに、複合機1の状態を示す情報等の各種情報を表示する。操作キー部31は、スタートキー、ストップ/クリアキー、電源キー、テンキー(数値入力キー)、及び機能切替キー等のハードキーを備える。尚、機能切替キーとは、複合機1で実現されるコピー機能、プリント機能、スキャン機能、及びファクシミリ機能の各々をユーザーが使用する場合に、各機能の動作モードへ複合機1を切り替える為のキーである。表示部32は、タッチパネル機能を有しており、ソフトキーを含む画面が表示される。
【0020】
フィニッシャー部40は、用紙搬入口41、用紙搬送部42、用紙搬出口43、及びスタックトレイ44等を備えており、本体部10で画像が印刷された印刷用紙に対して、ソート、ステープル、パンチ、中綴じ等の後処理を行う。具体的に、フィニッシャー部40は、用紙搬入口41から搬入される印刷済の印刷用紙を順次搬送し、後処理を行った印刷用紙を用紙搬出口43からスタックトレイ44に搬出する。スタックトレイ44は、用紙搬出口43から搬出された印刷用紙の枚数に応じて図中矢印方向に上下動可能である。
【0021】
図2は、本発明の第1実施形態による画像形成装置としての複合機の電気的な構成を示すブロック図である。図2に示す通り、複合機1は、本体部10、原稿読取部20、操作表示部30、フィニッシャー部40、制御部50、光検出部60、及び通信部70がバスによって相互に接続された構成である。尚、本体部10、原稿読取部20、操作表示部30、及びフィニッシャー部40については既に説明をしているため説明を省略する。
【0022】
制御部50は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、及び画像メモリ等を備えており、複合機1の動作を統括して制御する。CPUは、ROMに記憶されている制御プログラムに基づいて、図2に示す各ブロックを制御する。RAMは、制御プログラムを実行する上で必要なデータ等の一時的な記憶に用いられる。画像メモリは、画像データ(原稿読取部20で読み取られた原稿の原稿データ、外部の端末装置(図示省略)から送信されてきた印刷データ、或いは受信したファクシミリデータ等)を一時的に記憶する。
【0023】
この制御部50は、記憶部51、切替制御部52、及び判定部53を備える。記憶部51は、光検出部60に接続される抵抗回路(詳細は後述する)の抵抗値を変化させる際に用いられる閾値を記憶する。切替制御部52は、光検出部60の検出結果が記憶部51に記憶された閾値を超える度に、光検出部60に接続される抵抗回路の接続を切り替えて抵抗値を変化させる制御を行う。具体的に、切替制御部52は、光検出部60の検出結果が閾値を超える度に、光検出部60に接続される抵抗回路の抵抗値を大きくする制御を行う。
【0024】
判定部53は、光検出部60の検出結果に基づいて、廃トナーボトルBT(図3参照)が満杯に近い状態(ニアフル状態)に達したか否かを判定する。ここで、廃トナーボトルBTは、画像形成部12に設けられる不図示のクリーニング装置によって感光ドラム12aから除去されたトナー(廃トナー)が収容されるボトルであって、廃トナー収容部として機能するものである。
【0025】
光検出部60は、廃トナーボトルBTに収容される廃トナーの量を検出するために用いられるセンサーである。尚、この光検出部60の詳細については後述する。通信部70は、ファクシミリ通信部71及びネットワークI/F部72を備える。ファクシミリ通信部71は、公衆電話回線に接続されて相手先ファクシミリとの間で通信を行う。ネットワークI/F部72は、例えばLAN(Local Area Network)に接続されて、同じくLANに接続されたパーソナルコンピュータ等の端末装置との間で通信を行う。
【0026】
次に、光検出部60及び廃トナーボトルBTについて説明する。図3は、本発明の第1実施形態において、光検出部と廃トナーボトルとの位置関係を示す模式図である。図3に示す通り、廃トナーボトルBTは、その上部に廃トナー入口部E1を備えており、画像形成部12に設けられる廃トナー排出口12eの下方に廃トナー入口部E1が位置するように、廃トナー入口部E1が透明ホルダーHによって保持された状態で複合機1内にセットされる。この廃トナーボトルBTは、少なくとも透明ホルダーHによって保持される部分が透明な容器である。尚、上記の廃トナー排出口12eは、画像形成部12に設けられる不図示のクリーニング装置によって除去された廃トナーが画像形成部12から排出される排出口である。
【0027】
光検出部60は、発光部61と受光部62とを備える。発光部61は、透明ホルダーHの一側方に配置され、廃トナーボトルBT(正確には、廃トナーボトルBTの廃トナー入口部E1)に照射する検出光Lを発光する。受光部62は、透明ホルダーHの他側方に配置され、廃トナーボトルBTを介した検出光L(正確には、廃トナーボトルBTの廃トナー入口部E1を介した検出光L)を受光する。つまり、発光部61及び受光部62は、発光部61で発光された検出光Lが透明ホルダーH及び廃トナー入口部E1を通過して受光部62で受光されるように、透明ホルダーHの周囲にそれぞれ配置される。
【0028】
図4は、本発明の第1実施形態において、廃トナーの量を検出する検出系の具体的構成を示す回路図である。図4に示す通り、光検出部60は、発光部61として発光ダイオードDを備えるとともに、受光部62としてフォトトランジスターTを備えるフォトインタラプターで実現される。発光ダイオードDは、アノード電極が抵抗R1を介して電源(Vcc)に接続されるとともにカソード電極が接地され、例えば波長940nmの赤外光を発光する。フォトトランジスターTは、コレクター電極が抵抗回路80を介して電源(Vcc)に接続されるとともにエミッタ電極が接地され、発光ダイオードDからの赤外光を受光する。
【0029】
尚、フォトトランジスターTのコレクター電極は制御部50に接続されており、このコレクター電極に現れる電圧が光検出部60の検出電圧とされている。従って、フォトトランジスターTで受光される検出光L(図3に示す透明ホルダーH及び廃トナー入口部E1を通過した検出光L)に応じてフォトトランジスターTに流れる電流が変化し、これによりコレクター電極に現れる検出電圧が変化する。
【0030】
抵抗回路80は、抵抗素子とスイッチとが直列接続された回路を並列接続してなる回路である。具体的に、図4に示す抵抗回路80は、抵抗素子81aとスイッチ82aとが直列接続された回路、抵抗素子81bとスイッチ82bとが直列接続された回路、抵抗素子81cとスイッチ82cとが直列接続された回路、及び抵抗素子81dとスイッチ82dとが直列接続された回路の4つの回路を並列接続してなる回路である。
【0031】
抵抗素子81a〜81dは、フォトトランジスターTのコレクター電極に接続されており、抵抗値が互いに異なる値に設定された抵抗素子である。例えば、抵抗素子81aの抵抗値は10[kΩ]に設定され、抵抗素子81bの抵抗値は15[kΩ]に設定され、抵抗素子81cの抵抗値は20[kΩ]に設定され、抵抗素子81dの抵抗値は50[kΩ]に設定されている。
【0032】
スイッチ82a〜82dは、例えばトランジスター等の電子的なスイッチ、リレー等の機械的なスイッチ等であり、制御部50(正確には、制御部50の切替制御部52)によってオン状態・オフ状態(開閉状態)が制御される。具体的には、光検出部60の検出結果に応じて、スイッチ82a〜82dの何れか1つのみがオン状態となるように制御される。スイッチ82a〜82dのオン状態・オフ状態が制御部50によって制御されることにより、抵抗回路80の抵抗値RLが変化する。
【0033】
このように、抵抗値が異なる複数の抵抗素子82a〜82dを設け、スイッチ82a〜82bの制御によってフォトトランジスター62のコレクター電極に接続される抵抗回路80の抵抗値RLを変化させるのは、廃トナーボトルBTに収容されている廃トナーの量を従来よりも正確に検出するためである。つまり、抵抗回路80の抵抗値RLを変化させ、廃トナーボトルBTに収容されている廃トナーの量と光検出部60の検出結果との関係を極力線形(リニア)にすることで、廃トナーの量を従来よりも正確に検出することとしている。
【0034】
図5は、本発明の第1実施形態において、抵抗回路の抵抗値を変えた場合における廃トナーの量と光検出部の検出結果との関係を示す図である。尚、図5では、横軸に廃トナーの量をとり、縦軸に光検出部60の検出結果をとってある。但し、図5では、廃トナーの量をNDフィルターの透過率で表しており、文字「ND」に続く数値が大きくなるにつれて透過率が低くなる(廃トナーの量が多くなる)ことを意味している。例えば、横軸の「ND0」は、透過率が高いこと(廃トナーが殆ど無いこと)を意味しており、横軸の「ND∞」は、透過率がほぼ零であること(廃トナーボトルBTが廃トナーが満杯であること)を意味している。
【0035】
図5においては、抵抗回路80の抵抗値RLを10[kΩ],15[kΩ],20[kΩ],50[kΩ]に設定した場合における、廃トナーの量と光検出部の検出結果との関係をそれぞれ図示している。図5を参照すると、抵抗回路80の抵抗値RLが低い値に設定された場合には、NDフィルターの透過率が高いときに検出電圧がほぼ直線的に変化し、逆に抵抗回路80の抵抗値RLが高い値に設定された場合には、NDフィルターの透過率が低いときに検出電圧がほぼ直線的に変化する傾向があることが分かる。
【0036】
具体的に、抵抗回路80の抵抗値RLが10[kΩ]に設定された場合には、「ND2.5」〜「ND5.5」付近のときに検出電圧がほぼ直線的に変化し、抵抗回路80の抵抗値RLが15[kΩ]に設定された場合には、「ND3.5」〜「ND6.5」付近のときに検出電圧がほぼ直線的に変化する。また、抵抗回路80の抵抗値RLが20[kΩ]に設定された場合には、「ND4.5」〜「ND7.5」付近のときに検出電圧がほぼ直線的に変化する。
【0037】
これに対し、抵抗回路80の抵抗値RLが50[kΩ]に設定された場合には、「ND8.5」以上のときに検出電圧がほぼ直線的に変化する。このため、抵抗回路80の抵抗値RLを変化させる際に用いられる閾値(図2中の記憶部51に記憶される閾値)は、廃トナーの量と光検出部60の検出結果との関係の線形度を考慮して、例えば2[V]に設定される。
【0038】
次に、上記構成における複合機1の動作について説明する。図6は、本発明の第1実施形態において、廃トナーの量を検出する動作を示すフローチャートである。図6に示すフローチャートは、例えば廃トナーボトルBTの交換が行われる度に開始される。処理が開始されると、制御部50は、まず光検出部60の検出結果を参照し、その時点における検出レベルを確認する(ステップS11)。そして、確認した検出レベルに応じて、光検出部60に設けられる発光部61(発光ダイオードD)及び受光部62(フォトトランジスターT)の特性のバラツキを調整する(ステップS12)。
【0039】
以上の調整を終えると、制御部50は、抵抗回路80に設けられるスイッチ82a〜82dを制御して、初期抵抗値の設定を行う(ステップS13)。例えば、スイッチ82aのみをオン状態にし、残りのスイッチ82b〜82dをオフ状態にする制御を行って、抵抗素子81aの抵抗値(例えば、10[kΩ])を抵抗回路80の初期抵抗値に設定する。
【0040】
初期抵抗値の設定を終えると、制御部50の切替制御部52は、光検出部60の検出結果が記憶部51に記憶された閾値を超えたか否かを判断する(ステップS14)。閾値を超えていないと判断した場合(判断結果が「NO」の場合)には、切替制御部52はステップS14の判断を継続する。これに対し、閾値を超えたと判断した場合(判断結果が「YES」の場合)には、切替制御部52は、次に設定すべき抵抗値があるか否かを判断する(ステップS15)。
【0041】
次に設定すべき抵抗値があると判断した場合(ステップS15の判断結果が「YES」の場合)には、切替制御部52は、抵抗回路80に設けられるスイッチ82a〜82dを制御して、次の抵抗値の設定を行う(ステップS16)。例えば、スイッチ82bのみをオン状態にし、残りのスイッチ82a,82c,82dをオフ状態にする制御を行って、抵抗素子81bの抵抗値(例えば、15[kΩ])を抵抗回路80の抵抗値に設定する。かかる設定を行うと、切替制御部52はステップS14の判断を継続する。このように、切替制御部52は、光検出部60の検出結果が閾値を超える度に、光検出部60に接続される抵抗回路の抵抗値を大きくする制御を行う。
【0042】
これに対し、次に設定すべき抵抗値が無いと判断した場合(ステップS15の判断結果が「NO」の場合)には、図6に示す一連の処理が終了する。そして、例えば制御部50が備える判定部53によって、光検出部60の検出結果に基づいて廃トナーボトルBTが満杯に近い状態(ニアフル状態)に達したか否かが判定される。尚、ニアフル状態が判定された場合には、例えばニアフル状態になった旨のメッセージ及び廃トナーボトルBTの交換を促すメッセージが操作表示部30に表示される。
【0043】
以上説明した通り、本第1実施形態では、廃トナーボトルBTに収容される廃トナーの量を検出するために用いられるセンサーである光検出部60の受光部62(フォトトランジスターT)に抵抗回路80を接続し、光検出部60の検出結果に応じて抵抗回路80の抵抗値を変化させる制御を行っている。かかる制御により、廃トナーボトルBTに収容されている廃トナーの量と光検出部60の検出結果との関係を極力線形(リニア)にすることができるため、廃トナーの量を従来よりも正確に検出することができる。
【0044】
〔第2実施形態〕
続いて、本発明の第2実施形態について説明する。本第2実施形態は、上記第1実施形態と比較して、廃トナーの量を検出する検出系の具体的構成が異なるのみであり、他の構成は同じであるので、以下ではその相違点のみに着目して説明する。
【0045】
図7は、本発明の第2実施形態において、廃トナーの量を検出する検出系の具体的構成を示す回路図である。なお、図7において、図4と同一の構成要素には同一の符号を付している。この図7からわかるように、本第2実施形態における廃トナーの量を検出する検出系の具体的構成は、上記第1実施形態の構成(図4参照)と比較して、発光部61である発光ダイオードDのアノード電極が抵抗回路80を介して電源(Vcc)に接続されると共に、受光部62であるフォトトランジスターTのコレクター電極が固定抵抗RLを介して電源(Vcc)に接続される点で異なる。
【0046】
以下では、第1実施形態と区別するために、本第2実施形態における抵抗回路80の符号を80Aとする。本第2実施形態における抵抗回路80Aも、第1実施形態と同様に、抵抗素子81aとスイッチ82aとが直列接続された回路、抵抗素子81bとスイッチ82bとが直列接続された回路、抵抗素子81cとスイッチ82cとが直列接続された回路、及び抵抗素子81dとスイッチ82dとが直列接続された回路の4つの回路を並列接続してなる回路である。
【0047】
本第2実施形態において、抵抗素子81a〜81dは、発光ダイオードDのアノード電極に接続されており、抵抗値が互いに異なる値に設定された抵抗素子である。例えば、抵抗素子81aの抵抗値は80[Ω]に設定され、抵抗素子81bの抵抗値は85[Ω]に設定され、抵抗素子81cの抵抗値は90[Ω]に設定され、抵抗素子81dの抵抗値は100[Ω]に設定されている。
【0048】
スイッチ82a〜82dは、例えばトランジスター等の電子的なスイッチ、リレー等の機械的なスイッチ等であり、制御部50(正確には、制御部50の切替制御部52)によってオン状態・オフ状態(開閉状態)が制御される。具体的には、光検出部60の検出電圧(フォトトランジスターTのコレクター電極に現れる電圧)に応じて、スイッチ82a〜82dの何れか1つのみがオン状態となるように制御される。スイッチ82a〜82dのオン状態・オフ状態が制御部50によって制御されることにより、抵抗回路80Aの抵抗値Rが変化する。
【0049】
図8は、本発明の一実施形態において、抵抗回路80Aの抵抗値Rを変えた場合における廃トナーの量と光検出部の検出結果との関係を示す図である。尚、図8では、横軸に廃トナーの量をとり、縦軸に光検出部60の検出電圧をとってある。但し、図8では、廃トナーの量をNDフィルターの透過率で表しており、文字「ND」に続く数値が大きくなるにつれて透過率が低くなる(廃トナーの量が多くなる)ことを意味している。例えば、横軸の「ND0」は、透過率が高いこと(廃トナーが殆ど無いこと)を意味しており、横軸の「ND∞」は、透過率がほぼ零であること(廃トナーボトルBTが廃トナーが満杯であること)を意味している。
【0050】
図8においては、抵抗回路80Aの抵抗値Rを80[Ω],85[Ω],90[Ω],100[kΩ]に設定した場合における、廃トナーの量と光検出部の検出結果との関係をそれぞれ図示している。図8を参照すると、抵抗回路80Aの抵抗値Rが低い値に設定された場合には、NDフィルターの透過率が高いときに検出電圧がほぼ直線的に変化し、逆に抵抗回路80Aの抵抗値Rが高い値に設定された場合には、NDフィルターの透過率が低いときに検出電圧がほぼ直線的に変化する傾向があることが分かる。
【0051】
具体的に、抵抗回路80Aの抵抗値Rが80[Ω]に設定された場合には、「ND2.5」〜「ND5.5」付近のときに検出電圧がほぼ直線的に変化し、抵抗回路80Aの抵抗値Rが85[Ω]に設定された場合には、「ND3.5」〜「ND6.5」付近のときに検出電圧がほぼ直線的に変化する。また、抵抗回路80Aの抵抗値Rが90[Ω]に設定された場合には、「ND4.5」〜「ND7.5」付近のときに検出電圧がほぼ直線的に変化する。
【0052】
これに対し、抵抗回路80Aの抵抗値Rが100[Ω]に設定された場合には、「ND8.5」以上のときに検出電圧がほぼ直線的に変化する。このため、抵抗回路80Aの抵抗値Rを変化させる際に用いられる閾値(図2中の記憶部51に記憶される閾値)は、廃トナーの量と光検出部60の検出結果との関係の線形度を考慮して、例えば2[V]に設定される。
【0053】
図9は、本発明の第2実施形態において、廃トナーの量を検出する動作を示すフローチャートである。図9に示すフローチャートは、例えば廃トナーボトルBTの交換が行われる度に開始される。処理が開始されると、制御部50は、まず光検出部60の検出結果を参照し、その時点における検出レベルを確認する(ステップS21)。そして、確認した検出レベルに応じて、光検出部60に設けられる発光部61(発光ダイオードD)及び受光部62(フォトトランジスターT)の特性のバラツキを調整する(ステップS22)。
【0054】
以上の調整を終えると、制御部50は、抵抗回路80Aに設けられるスイッチ82a〜82dを制御して、抵抗回路80Aの初期抵抗値の設定を行う(ステップS23)。例えば、スイッチ82aのみをオン状態にし、残りのスイッチ82b〜82dをオフ状態にする制御を行って、抵抗素子81aの抵抗値(例えば、80[Ω])を抵抗回路80Aの初期抵抗値に設定する。
【0055】
初期抵抗値の設定を終えると、制御部50の切替制御部52は、光検出部60の検出結果が記憶部51に記憶された閾値を超えたか否かを判断する(ステップS24)。閾値を超えていないと判断した場合(判断結果が「NO」の場合)には、切替制御部52はステップS24の判断を継続する。これに対し、閾値を超えたと判断した場合(判断結果が「YES」の場合)には、切替制御部52は、次に設定すべき抵抗値があるか否かを判断する(ステップS25)。
【0056】
次に設定すべき抵抗値があると判断した場合(ステップS15の判断結果が「YES」の場合)には、切替制御部52は、抵抗回路80Aに設けられるスイッチ82a〜82dを制御して、次の抵抗値の設定を行う(ステップS26)。例えば、スイッチ82bのみをオン状態にし、残りのスイッチ82a,82c,82dをオフ状態にする制御を行って、抵抗素子81bの抵抗値(例えば、85[Ω])を抵抗回路80Aの抵抗値に設定する。かかる設定を行うと、切替制御部52はステップS24の判断を継続する。このように、切替制御部52は、光検出部60の検出結果が閾値を超える度に、光検出部60に接続される抵抗回路80Aの抵抗値を大きくする制御を行う。
【0057】
これに対し、次に設定すべき抵抗値が無いと判断した場合(ステップS25の判断結果が「NO」の場合)には、図9に示す一連の処理が終了する。そして、例えば制御部50が備える判定部53によって、光検出部60の検出結果に基づいて廃トナーボトルBTが満杯に近い状態(ニアフル状態)に達したか否かが判定される。尚、ニアフル状態が判定された場合には、例えばニアフル状態になった旨のメッセージ及び廃トナーボトルBTの交換を促すメッセージが操作表示部30に表示される。
【0058】
以上説明した通り、本第2実施形態では、廃トナーボトルBTに収容される廃トナーの量を検出するために用いられるセンサーである光検出部60の発光部61(発光ダイオードD)に抵抗回路80Aを接続し、光検出部60の検出結果に応じて抵抗回路80Aの抵抗値Rを変化させる制御を行っている。かかる制御により、廃トナーボトルBTに収容されている廃トナーの量と光検出部60の検出結果との関係を極力線形(リニア)にすることができるため、廃トナーの量を従来よりも正確に検出することができる。
また、本第2実施形態では、廃トナー濃度に応じて発光ダイオードDの発光量を調整するので、第1実施形態と比べて省電力効果を得ることができる。
【0059】
以上、本発明の第1及び第2実施形態による画像形成装置について説明したが、本発明は上記第1及び第2実施形態に制限されることなく、本発明の範囲内で自由に変更が可能である。例えば、上記第1及び第2実施形態では、説明を簡単にするために、抵抗値が互いに異なる抵抗素子81a〜81dを抵抗回路80(或いは80A)に設け、スイッチ82a〜82dの何れか1つのみをオン状態として抵抗回路80(或いは80A)の抵抗値を変化させる例について説明した。しかしながら、例えば抵抗値が同じ抵抗素子を複数設け、スイッチ82a〜82dのオン状態・オフ状態の組み合わせに応じて抵抗回路80(或いは80A)の抵抗値を変化させるようにしても良い。
【0060】
また、上記第1及び第2実施形態では、抵抗値が互いに異なる抵抗素子81a〜81dを備える抵抗回路80(或いは80A)を例に挙げて説明したが、抵抗回路80(或いは80A)は、抵抗値を連続的に変化させることができる可変抵抗素子を備えるものであってもよい。かかる可変抵抗素子を備える場合には、制御部50は、光検出部60の検出結果に応じて、可変抵抗素子を制御することによって抵抗回路80(或いは80A)の抵抗値を変化させることになる。
【0061】
また、上記実施形態では、本発明に係る画像形成装置が複合機である場合を例に挙げて説明したが、本発明は、プリンター、複写機、ファクシミリ等の画像形成装置にも適用することができる。
【符号の説明】
【0062】
1 複合機
12a 感光ドラム
50 制御部
60 光検出部
61 発光部
62 受光部
80,80A 抵抗回路
81a〜81d抵抗素子
82a〜82dスイッチ
BT 廃トナーボトル
L 検出光

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体上に形成すべき画像のトナー像を担持する像担持体と、該像担持体から回収された廃トナーを収容する廃トナー収容部とを備える画像形成装置において、
前記廃トナー収容部に照射する検出光を発光する発光部と、前記廃トナー収容部を介した前記検出光を受光する受光部とを有する光検出部と、
前記光検出部の前記受光部或いは前記発光部に接続される抵抗回路と、
前記光検出部の検出結果に応じて、前記抵抗回路の抵抗値を変化させる制御を行う制御部と
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記抵抗回路は、抵抗素子とスイッチとが直列接続された回路を並列接続してなる回路であり、
前記制御部は、前記スイッチの開閉状態を制御することによって前記抵抗回路の抵抗値を変化させる
ことを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記抵抗回路は、抵抗値が可変である可変抵抗素子を備えており、
前記制御部は、前記可変抵抗素子を制御することによって前記抵抗回路の抵抗値を変化させる
ことを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記光検出部の検出結果が予め設定された閾値を超える度に、前記抵抗回路の抵抗値を変化させる制御を行うことを特徴とする請求項1から請求項3の何れか一項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記光検出部の検出結果が前記閾値を超える度に、前記抵抗回路の抵抗値を大きくする制御を行うことを特徴とする請求項4記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記閾値は、前記廃トナー収容部に収容される廃トナーの量と前記光検出部の検出結果との関係の線形度を考慮して設定されることを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−83967(P2013−83967A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−213002(P2012−213002)
【出願日】平成24年9月26日(2012.9.26)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】