説明

画像情報変換装置、判別係数学習装置、予測係数学習装置、および、これらにおける処理方法ならびに当該方法をコンピュータに実行させるプログラム

【課題】解像度の異なる画像を相互に変換する画像情報変換装置において、予測係数の増大を抑制しつつ、画像の変換精度を向上させる。
【解決手段】
タップ抽出部は、クラスタップおよび予測タップを第1の画像から抽出する。クラス分類部は、クラスタップを複数のクラスのうちのいずれかに分類する。判別係数選択部は、分類されたクラスに対応する判別係数群を選択する。判別演算部は、選択された判別係数群と予測タップ内の各画素の画素値とに基づいて予測タップが属する前記予測タップ種別を判別する。予測係数選択部は、複数の予測係数群の中から分類されたクラスと判別された予測タップ種別との組合せに対応する予測係数群を選択する。予測演算部は、選択された予測係数群と予測タップ内の各画素の画素値とに基づいて予測演算を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、画像情報変換装置、判別係数学習装置、予測係数学習装置、および、これらにおける制御方法ならびに当該方法をコンピュータに実行させるプログラムに関する。詳しくは、画像の解像度を変更する画像情報変換装置、および、その制御方法ならびに当該方法をコンピュータに実行させるプログラムに関する。また、解像度の変更において使用すべき判別係数および予測係数を学習する判別係数学習装置および予測係数学習装置、ならびに、これらにおける制御方法ならびに当該方法をコンピュータに実行させるプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像情報変換装置は、変換対象の画像内の画素群を複数のクラスに分類して、クラスごとに異なる演算により変換対象の画素値を求めるクラス分類適応処理を実行することにより、解像度の異なる画像を相互に変換していた(例えば、特許文献1参照。)。ここで、クラスとは、変換対象の画像内において注目した注目画素を含む画素群における各画素値の3次元分布の形状パターンに基づいて、その画素群が分類される各グループである。ここで、3次元分布の形状パターンに関して、1フレームを構成する2つのフィールドのそれぞれ属する時刻を時間軸とし、それぞれのフィールドにおける画素群内の各画素の位置を横軸とし、画素値の大きさを縦軸とした3次元の座標系を想定する。この座標系に各画素をプロットした3次元の分布図において、各プロットのなす形状が各画素値の3次元分布の形状パターンとされる。
【0003】
このクラス分類適応処理においては、変換対象の画像において注目画素を含む所定個(例えば、13個)の画素群内の各画素値を使用して所定の演算を行うことにより、変換後の画像の画素値が算出(予測)される。以下、この演算を予測演算と称し、この画素群を「予測タップ」と称する。注目画素を含む領域の3次元分布の形状パターンが、クラス分類の対象となる。注目画素を含む領域の形状パターンが、いずれのクラスに属するかを決定するために、注目画素を含む所定の画素群がクラスタップとして抽出される。ここで、例えば、各画素値を8ビットで量子化した場合、クラスタップの形状パターンは(2813パターンとなり、膨大な数となる。そこで、一般に、この膨大なグループ数の削減としてこれらの形状パターンに対してグループ化が行われる。3次元分布の形状パターンのグループ化は、各画素値の階調数に割り当てられた量子化ビット数をADRC等の圧縮手法で削減することにより行われることが多い。
【0004】
クラスタップがクラスに分類されると、画像情報変換装置は、クラスごとに異なる予測係数群を使用して変換対象の画像における画素値を予測演算する。具体的には、画像情報変換装置は、クラスに対応する予測係数群と予測タップ内の各画素値との積和を、予測した画素値として出力する。これにより、変換対象の画像が、その画像とは解像度の異なる画像に変換される。これらの予測係数群は、画像変換前にクラスごとに予め設定しておく。
【0005】
ここで、画像の変換前にクラスごとの予測係数を画像情報変換装置に設定しておくために、予め学習装置によって予測係数を学習して求めておく必要がある。具体的には、学習装置は、ある解像度の画像を教師画像として、その教師画像の解像度を変更した画像である生徒画像を生成する。学習装置は、その生徒画像の画素値から予測した予測値と、教師画像の画素値との誤差が最小になるように予測係数をクラスごとに算出しておく。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平7−79418号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述の従来技術では、入力された画像を、画像情報変換装置が予測係数を使用して変換する場合に画像が劣化することがあった。具体的には、変換した画像において、破綻が発生したり、高解像度感が不足したりすることがあった。これは、入力画像の特性の多様化が進み、入力された画像とあらかじめ作成する係数を作成した環境で使用した画像と特性的に差があるために、画像の変換精度が低下したためである。入力画像の多様化が進んだ背景としては、編集技術の進展やフォーマットの多様化、またデジタル放送やブルーレイディスク(Blu-ray Disc(登録商標))の普及といったことが考えられる。予測係数の数を削減せずに、多様な入力画像の特性すべてに考慮した形状パターンごとの予測係数を設定しておけば、変換精度は向上する。ところが、その構成では、形状パターンの数が膨大であるために多数の予測係数が必要となってしまう。このため、画像の変換精度の向上が困難であるという問題があった。
【0008】
本技術はこのような状況に鑑みて生み出されたものであり、解像度の異なる画像を相互に変換する画像情報変換装置において、予測係数の増大を抑制しつつ、画像の変換精度を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本技術は、上述の問題点を解消するためになされたものであり、その第1の側面は、第1の画像内のいずれかの画素を注目画素として当該注目画素を含む第1の画素群であるクラスタップと上記注目画素を含む第2の画素群である予測タップとを上記第1の画像から抽出するタップ抽出部と、上記クラスタップ内の各画素の画素値の3次元分布の形状パターンを複数のクラスのうちのいずれかに分類するクラス分類部と、複数の予測タップ種別のうちのいずれに上記予測タップが属するかを判別する判別演算において使用すべき係数群として上記予測タップ種別ごとに上記複数のクラスに対応付けて設定された複数の判別係数群の中から上記複数の予測タップ種別のそれぞれにおいて上記分類されたクラスに対応する上記判別係数群を選択する判別係数選択部と、上記選択された判別係数群と上記予測タップ内の各画素の画素値とに基づいて上記判別演算を実行した結果から上記予測タップが属する上記予測タップ種別を判別する判別演算部と、上記第1の画像の解像度を変更した画像である第2の画像内の画素の画素値を予測する予測演算において使用すべき係数群として上記複数のクラスと上記複数の予測タップ種別との各組合せに対応付けて設定された複数の予測係数群の中から上記分類されたクラスと上記判別された予測タップ種別との組合せに対応する上記予測係数群を選択する予測係数選択部と、上記選択された予測係数群と上記予測タップ内の各画素の画素値とに基づいて上記予測演算を実行する予測演算部とを具備する画像情報変換装置、および、その制御方法、ならびに当該方法をコンピュータに実行させるためのプログラムである。これにより、分類されたクラスおよび判別された予測タップ種別の組合せに対応する予測係数群と予測タップ内の各画素値とに基づいて予測演算が実行されるという作用をもたらす。
【0010】
また、この第1の側面において、前記クラス分類部は、前記クラスタップ内の各画素の画素値の階調数を減じて当該階調数を減じた前記画素値に基づいて前記形状パターンを前記複数のクラスのうちのいずれかに分類してもよい。これにより、階調数を減じた画素値に基づいて形状パターンが複数のクラスのうちのいずれかに分類されるという作用をもたらす。
【0011】
また、この第1の側面において、上記判別演算部は、上記選択された上記判別係数群内の各判別係数と上記予測タップ内の各画素の画素値との積和演算を上記判別演算として実行する判別演算実行部と、上記複数の予測タップ種別のそれぞれにおける上記積和演算の結果と所定の閾値とを比較して比較した結果の各々を比較結果として出力する比較部と、上記比較結果に基づいて上記予測タップが属する上記予測タップ種別を判別する予測タップ種別判別部とを備えてもよい。これにより、各判別係数と予測タップ内の各画素値との積和演算を閾値と比較した結果に基づいて予測タップ種別が判別されるという作用をもたらす。
【0012】
また、この第1の側面において、上記第2の画像の画質を調整する操作信号を記録する記録部をさらに具備し、上記予測タップ種別判別部は、上記記録された操作信号により行われる上記画質の調整に適した上記予測係数群が属する上記予測タップ種別を優先して上記複数の予測タップのうちのいずれかを選択してもよい。これにより、補正される第2の画像に適した予測係数群が属する予測タップ種別が優先して選択されるという作用をもたらす。
【0013】
また、この第1の側面において、上記第2の画像の視聴環境を示す視聴環境パラメータを検出する視聴環境検出部をさらに具備し、上記予測タップ種別判別部は、上記視聴環境パラメータの示す上記視聴環境に適した上記予測係数群が属する上記予測タップ種別を優先して上記複数の予測タップ種別のうちのいずれかを選択してもよい。これにより、視聴環境に適した予測係数群が属する予測タップ種別が優先して選択されるという作用をもたらす。
【0014】
また、この第1の側面において、上記視聴環境パラメータは、上記第2の画像を表示する表示装置が設置された室内の照明の照度を含むこととしてもよい。これにより、室内の照度に適した予測タップ種別を優先して予測タップ種別が判別されるという作用をもたらす。
【0015】
また、この第1の側面において、上記視聴環境パラメータは、上記第2の画像を表示する表示装置の種別を含むこととしてもよい。これにより、表示装置の種別に適した予測タップ種別を優先して予測タップ種別が判別されるという作用をもたらす。
【0016】
また、この第1の側面において、上記予測タップ内の各画素の画素値の平均値を演算する平均値演算部をさらに具備し、上記予測タップ種別判別部は、上記平均値が所定の範囲外である場合に前記上記平均値に適した上記予測係数群が属する上記予測タップ種別を優先して上記複数の予測タップ種別のうちのいずれかを選択してもよい。これにより、平均値に適した予測係数群が属する予測タップ種別が優先して選択されるという作用をもたらす。
【0017】
また、本技術の第2の側面は、複数の異なる画像のそれぞれを生徒画像として複数の上記生徒画像からなる生徒画像群を複数回入力する生徒画像入力部と、上記入力された生徒画像内のいずれかの画素を注目画素として当該注目画素を含む第1の画素群であるクラスタップと上記注目画素を含む第2の画素群である予測タップとを上記画像から抽出するタップ抽出部と、上記クラスタップ内の各画素の画素値の3次元分布の形状パターンを複数のクラスのうちのいずれかに分類するクラス分類部と、上記生徒画像群内のいずれかの上記生徒画像を判別画像として上記判別画像が入力された場合に第1の目標値を生成し、上記判別画像以外の上記生徒画像が入力された場合に第2の目標値を生成する目標値生成部と、画像の解像度を変更する場合において変更対象の上記画像が上記学習画像に類似するか否かを判別する判別演算において使用すべき判別係数群を上記第1および第2の目標値と上記予測タップ内の各画素の画素値とに基づいて上記クラスごとに演算する判別係数演算部とを具備する判別係数学習装置、および、その制御方法ならびに当該方法をコンピュータに実行させるためのプログラムである。これにより、複数の生徒画像においてクラスごとに判別係数が演算されるという作用をもたらす。
【0018】
また、この第2の側面において、上記生徒画像入力部は、上記生徒画像の解像度を変更した画像である教師画像を複数のフィルタに通過させることにより上記生徒画像群を生成するフィルタ部と、上記生成された複数の生徒画像群を複数回入力する生徒画像供給部とを備えてもよい。これにより、複数のフィルタにより生徒画像群が生成されるという作用をもたらす。
【0019】
また、この第2の側面において、上記判別演算は、上記判別係数群内の各判別係数と上記変更対象の画像内の上記予測タップ内の各画素値との積和演算であり、上記判別係数演算部は、上記学習画像における上記判別演算の結果と上記第1の目標値との間の差分の二乗和に上記学習画像以外の上記生徒画像における上記判別演算の結果と上記第2の目標値との間の差分の二乗和を加算した値を最小にする上記判別係数群を上記複数のクラスの各々について演算することもできる。これにより、判別演算の結果と第1の目標値との差分の二乗和に、判別演算の結果と第2の目標値との差分の二乗和を加算した値が最小になる判別係数群が演算されるという作用をもたらす。
【0020】
また、本技術の第3の側面は、複数の異なる画像のそれぞれを生徒画像として入力する生徒画像入力部と、上記入力された生徒画像内のいずれかの画素を注目画素として当該注目画素を含む第1の画素群であるクラスタップと上記注目画素を含む第2の画素群である予測タップとを上記第1の画像から抽出するタップ抽出部と、上記クラスタップ内の各画素の画素値の3次元分布の形状パターンを複数のクラスのうちのいずれかに分類するクラス分類部と、上記入力された生徒画像の解像度を変更した画像である教師画像内の1つ以上の画素を教師画素として抽出する教師画素抽出部と、上記教師画素の画素値を予測する予測演算において使用すべき予測係数群を上記予測タップ内の各画素の画素値と上記教師画素の画素値とに基づいて上記クラスごとに演算する予測係数演算部とを具備する予測係数学習装置、および、その制御方法ならびに当該方法をコンピュータに実行させるためのプログラムである。これにより、複数の生徒画像においてクラスごとに予測係数が演算されるという作用をもたらす。
【0021】
また、この第3の側面において、上記生徒画像入力部は、上記教師画像を複数のフィルタに通過させることにより上記複数の生徒画像を生成して入力してもよい。これにより、複数のフィルタにより生徒画像群が生成されるという作用をもたらす。
【発明の効果】
【0022】
本技術によれば、解像度の異なる画像を相互に変換する画像情報変換装置において、予測係数の増大が抑制され、画像の変換精度が向上するという優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】第1の実施の形態における画像情報変換システムの一構成例を示すブロック図である。
【図2】第1の実施の形態における画像情報変換装置の一構成例を示すブロック図である。
【図3】第1の実施の形態におけるHD(High Definition)信号の画素とSD(Standard Definition)信号の画素との間の位置関係の一例を示す図である。
【図4】第1の実施の形態における予測タップおよびクラスタップを構成する画素群の一例を示す図である。
【図5】第1の実施の形態における判別係数選択部の一構成例を示すブロック図である。
【図6】第1の実施の形態において判別係数記憶部に記憶される判別係数の一例を示す図である。
【図7】第1の実施の形態における判別演算部の一構成例を示すブロック図である。
【図8】第1の実施の形態における予測係数選択部の一構成例を示すブロック図である。
【図9】第1の実施の形態において予測係数記憶部に記憶される予測係数の一例を示す図である。
【図10】第1の実施の形態における判別係数学習装置の一構成例を示すブロック図である。
【図11】第1の実施の形態における判別係数学習装置のフィルタ部の一構成例を示すブロック図である。
【図12】第1の実施の形態における判別係数の学習方法の一例を示す図である。
【図13】第1の実施の形態における目標値の設定例を示す図である。
【図14】第1の実施の形態における判別係数演算部の一構成例を示すブロック図である。
【図15】第1の実施の形態における正規方程式生成部の一構成例を示すブロック図である。
【図16】第1の実施の形態における行列成分の統計量の一例を示す図である。
【図17】第1の実施の形態における予測係数学習装置の一構成例を示すブロック図である。
【図18】第1の実施の形態における予測係数学習装置のフィルタ部の一構成例を示すブロック図である。
【図19】第1の実施の形態における予測係数の学習方法の一例を示す図である。
【図20】第1の実施の形態における画像情報変換装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【図21】第1の実施の形態におけるクラス分類処理の一例を示すフローチャートである。
【図22】第1の実施の形態における予測タップ種別判別処理の一例を示すフローチャートである。
【図23】第1の実施の形態における判別係数学習装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【図24】第1の実施の形態における予測係数学習装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【図25】変形例における判別係数の学習方法の一例を示す図である。
【図26】第2の実施の形態における画像情報変換装置の一構成例を示すブロック図である。
【図27】第2の実施の形態における候補判定結果列の一例を示す図である。
【図28】第2の実施の形態におけるシフト量の設定例を示す図である。
【図29】第2の実施の形態における操作信号履歴情報記録部の一構成例を示すブロック図である。
【図30】第2の実施の形態における視聴環境検出部の一構成例を示すブロック図である。
【図31】第2の実施の形態における判別演算部の一構成例を示すブロック図である。
【図32】第2の実施の形態における予測タップ種別判別処理の一例を示すフローチャートである。
【図33】第3の実施の形態における画像情報変換装置の一構成例を示すブロック図である。
【図34】第3の実施の形態における平均波形演算部の一構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本技術を実施するための形態(以下、実施の形態と称する)について説明する。説明は以下の順序により行う。
1.第1の実施の形態(画像情報変換処理:クラスおよび予測タップ種別の組合せに対応付けられた予測係数群を使用する例)
2.第2の実施の形態(画像情報変換処理:候補判定結果列をシフトする例)
3.第3の実施の形態(画像情報変換処理:平均波形を算出する例)
【0025】
<1.第1の実施の形態>
[画像情報変換システムの構成例]
図1は、第1の実施の形態における画像情報変換システムの一構成例を示すブロック図である。この画像情報変換システムは、画像情報変換装置100、判別係数学習装置200、および、予測係数学習装置300を備える。
【0026】
画像情報変換装置100は、画像信号が入力されるたびに、その画像信号を、その画像信号の示す画像とは解像度の異なる画像の画像信号に変換して出力するものである。画像情報変換装置100は、例えば、画像をより解像度の高い画像にアップコンバートする。また、画像情報変換装置100は、画像信号の変換において、後述する判別係数および予測係数を使用する。画像情報変換装置100には、動画を構成する各画像を示す画像信号が入力される。画像信号は、画像内の各画素の画素値および座標を特定するためのデータを有する信号である。以下、低解像度の画像を示す画像信号を低解像度画像信号と称し、高解像度の画像を示す画像信号を高解像度画像信号と称する。低解像度画像信号は、例えば、SD(Standard Definition)信号であり、高解像度画像信号は、例えば、HD(High Definition)信号である。
【0027】
判別係数学習装置200は、高解像度画像信号および判別画像指定信号に基づいて判別係数を学習するものである。判別画像指定信号については後述する。判別係数学習装置200は、学習した判別係数を画像情報変換装置100に信号線209を介して出力する。
【0028】
予測係数学習装置300は、高解像度画像信号と学習画像指定信号に基づいて予測係数を学習するものである。学習画像指定信号については後述する。予測係数学習装置300は、学習した予測係数を画像情報変換装置100に信号線309を介して出力する。
【0029】
[画像情報変換装置の構成例]
図2は、画像情報変換装置100の一構成例を示すブロック図である。画像情報変換装置100は、タップ抽出部110、クラス分類部120、判別係数選択部130、判別演算部140、予測係数選択部150、および、予測演算部160を備える。
【0030】
タップ抽出部110は、低解像度画像信号からクラスタップおよび予測タップを抽出するものである。タップ抽出部110は、予測タップ抽出部111およびクラスタップ抽出部112を備える。予測タップ抽出部111およびクラスタップ抽出部112には、低解像度画像信号が入力される。
【0031】
予測タップ抽出部111は、入力された画像信号から予測タップを抽出するものである。予測タップは、高解像度画像の画素値を予測するために、低解像度画像から抽出される所定個(例えば、13個)の画素群である。予測タップは、低解像度画像における各画素を注目画素として注目画素ごとに抽出される。注目画素は、予測タップにおいて基準となる画素(例えば、中心の画素)である。低解像度画像の解像度が720×480画素である場合、各画素を注目画素とする720×480個の予測タップが抽出される。予測タップ抽出部111は、予測タップを抽出するたびに、抽出した予測タップ内の各画素の画素値を判別演算部140および予測演算部160に信号線118を介して出力する。
【0032】
クラスタップ抽出部112は、低解像度画像信号からクラスタップを抽出するものである。クラスタップとは、クラス分類のために、低解像度画像において注目画素を含む所定個(例えば、9個)の画素群である。クラスタップも、予測タップと同様に、画像内の画素ごとに抽出される。クラスタップ抽出部112は、クラスタップを抽出するたびに、抽出したクラスタップ内の各画素の画素値をクラス分類部120に信号線119を介して出力する。
【0033】
クラス分類部120は、クラスタップ内の各画素の画素値の3次元分布の形状パターンを複数のクラスのうちのいずれかに分類するものである。このクラス分類部120は、再量子化部121およびクラスコード決定部122を備える。
【0034】
再量子化部121は、クラスタップ内の各画素の画素値の階調数が減少するように各画素の再量子化を行うものである。具体的には、クラスタップ内の各画素の画素値を、ADRC(Adaptive Dynamic Range Coding)を使用して再量子化する。ADRCにおいては、再量子化部121は、クラスタップ内の各画素の画素値のうちの最大値MAXと最小値MINとの間の差分を、ダイナミックレンジDRとして算出する。再量子化部121は、クラスタップ内の各画素の画素値から最小値MINを減算した値を、DR/2(mは、1以上の整数)で除算する。再量子化部121は、各画素についての除算の結果を画素の位置に基づいて所定の順番で並べたデータを、ADRCコードとしてクラスコード決定部122に出力する。例えば、画素のx、y座標の合計値が小さい順に、それぞれの画素についての除算の結果が並べられる。変換前の画素値を表わすビット数と異なるビット数をmに設定して上述のADRCを実行することにより、画素値の階調数が変更される。このように、所定の階調数により画素値が表わされている(量子化されている)画素に対して、その階調数を変更する処理は、再量子化と呼ばれる。変換前の画素値を表わすビット数(例えば、8)より小さなビット数(例えば、1)をmに設定して再量子化を行うことにより、クラスタップ内の各画素値の階調数が削減される。階調数の削減により同一のADRCコードが生成されるクラスタップ同士を同じクラスに分類すると、クラスタップは、各ADRCコードの示す複数のクラスに分類される。例えば、クラスタップ内の9個の各画素の画素値の階調数を減じて2階調にした場合、クラスタップは、2=512クラスに分類される。
【0035】
クラスコード決定部122は、ADRCコードに基づいてクラスコードを決定するものである。クラスコードは、クラスタップが分類されたクラスを識別する情報である。ADRCコードとクラスコードとは、1対1に対応付けられる。例えば、クラスコード決定部122は、ADRCコードごとにクラスコードを記憶しておき、入力されたADRCコードに対応するクラスコードを読み出して、クラスタップのクラスコードとして決定する。クラスコード決定部122は、決定したクラスコードを判別係数選択部130および予測係数選択部150に信号線129を介して出力する。
【0036】
判別係数選択部130は、複数の判別係数群の中から、クラスコードに基づいて判別係数群を選択するものである。1つの判別係数群は、予測タップ内の画素数(例えば、13個)と同数の判別係数を含む。これらの判別係数は、抽出された予測タップが属すべき予測タップ種別を判別する判別演算において使用される係数である。予測タップ種別は2つ以上、定義されており、各予測タップは、これらの予測タップ種別のうちのいずれかに属する。
【0037】
ここで、予測タップ種別は、抽出された複数の予測タップを、クラス分類とは別の基準で分類したグループである。詳細には、予測タップは、予測係数の学習時に、その予測タップが抽出された画像の画像種別に基づいて、複数の予測タップ種別に分類される。例えば、各予測タップは、学習時における予測タップの抽出元の画像の圧縮率に応じて複数の予測タップ種別に分類される。
【0038】
判別係数選択部130においては、複数のクラスとN(Nは、2以上の整数)個の予測タップ種別との各組合せに対応付けて複数の判別係数群が予め設定される。例えば、クラス数が512クラスの場合、512×N個の判別係数群が設定される。判別係数選択部130は、512×N個の判別係数群の中から、クラスコードの示すクラスに対応する判別係数群をN個選択する。判別係数選択部130は、選択した各判別係数群を判別演算部140に信号線139を介して出力する。
【0039】
判別演算部140は、予測タップと判別係数群とに基づいて判別演算を実行することによりN個の予測タップ種別のうちのいずれに予測タップが属するかを判別するものである。判別演算の詳細については後述する。判別演算部140は、判別した予測タップ種別を示す種別コードを生成して予測係数選択部150に信号線149を介して出力する。
【0040】
予測係数選択部150は、クラスコードおよび種別コードに基づいて複数の予測係数群の中から、いずれかを選択するものである。予測係数選択部150においては、複数のクラスおよびN個の予測タップ種別の各組合せに対応付けて複数の予測係数群が予め設定される。例えば、クラスが512個の場合、512×N個の予測係数群が設定される。低解像度画像信号を高解像度画像信号に変換する場合、1つの低解像度画像信号から複数(例えば、4つ)の高解像度画像信号を生成する必要がある。このため、それぞれの予測係数群は、複数の予測係数からなるセットを、生成すべき高解像画像信号の数だけ含む。それぞれのセットは、予測タップ内の画素数(例えば、13個)と同数の予測係数を含む。例えば、予測タップ内の画素数が13個で、1つの低解像度信号から4つの高解像度画像信号を生成する場合、各予測係数群は、13個の予測係数からなるセットを4つ含む。これらの予測係数は、高解像度画像における画素の画素値を予測する予測演算において使用すべき係数である。予測係数選択部150は、種別コードの示す予測タップ種別とクラスコードの示すクラスとの組合せに対応する予測係数群を予測演算部160に信号線159を介して出力する。
【0041】
予測演算部160は、予測タップと予測係数群に基づいて、高解像度画像の画素値を予測する予測演算を実行するものである。この予測演算は、例えば、線形一次結合式である下記の式1により実行される。
【数1】

式1においてw(nは1乃至13の整数)は、予測係数群内の1つの高解像度画像信号に対応するセットにおける各予測係数である。xは、予測タップ内の各画素の画素値である。予測演算部160は、予測演算の結果であるyを、高解像度画像信号の画素値として出力する。1つの低解像度信号から4つの高解像度画像信号を生成する場合、予測演算部160は、13個の予測係数からなるセットを4つ使用して4つの画素値を求める。
【0042】
ここで、画像情報変換装置100による変換対象となるSD信号と、変換後のHD信号との関係について説明する。図3は、第1の実施の形態におけるHD信号の画素とSD信号の画素との間の位置関係の一例を示す図である。図3において、円形のマークはSD信号における画素であり、菱形のマークは、HD信号における画素である。また、網掛けのマークは、第1フィールドにおける画素であり、白抜きのマークは、第2フィールドにおける画素である。ここで、第1フィールドおよび第2フィールドは、時間軸において隣り合うフィールドであり、これらのフィールドにより1フレームの画像が構成される。
【0043】
図3(a)は、画像の垂直方向における各画素の位置関係の一例を示す図である。図3(a)の横軸は時間軸であり、縦軸は、画面の垂直方向の座標である。図3(a)に例示したように、各フィールドの垂直方向において隣り合うHD信号の画素間に、SD信号の画素が位置する。より詳細には、垂直方向に隣り合うHD信号の画素間の距離をdとした場合、例えば、上方のHD信号の画素とSD信号との間の距離が1/4×dになる位置に、そのSD信号の画素が位置する。
【0044】
図3(b)は、画像の水平方向における各画素の位置関係の一例を示す図である。図3(b)の画像は、第1フィールドおよび第2フィールドにより構成される1つのフレームである。図3(b)において縦軸は、画像の垂直方向の座標であり、横軸は、画像の水平方向の座標である。図3(b)に例示するように、フレームの水平方向において、隣り合うHD信号の画素間の中間にSD信号の画素が配置される。
【0045】
図4は、第1の実施の形態における予測タップおよびクラスタップの一例である。図4において、円形のマークはSD信号における画素であり、菱形のマークは、HD信号における画素である。また、網掛けのマークは、第1フィールドにおける画素であり、白抜きのマークは、第2フィールドにおける画素である。第1フィールドおよび第2フィールドは、時間軸において隣り合うフィールドであり、これらのフィールドにより1フレームの画像が構成される。
【0046】
さらに図4において左側の第1フィールドにおける×印は、注目画素の位置を示す。注目画素は、クラスタップおよび予測タップにおいて基準となる画素である。例えば、クラスタップおよび予測タップの中心にする画素が注目画素とされる。右側の第2フィールドにおける×印は、注目画素に対応する位置、すなわち、注目画像の座標と同じ座標を示す。ここで、前述したように第1フィールドおよび第2フィールドは1つのフレームを構成するフィールドであるため、画素が配置されるラインが各フィールドで異なる。例えば、第1フィールドにおいて奇数ラインに画素が配置される場合、第2フィールドにおいて偶数ラインに画素が配置される。このため、第2フィールドにおける×印を含むラインは、画素が配置されるラインではなく、実際には、第2フィールドの×印の位置に画素が配置されない。
【0047】
図4(a)は、抽出される予測タップの一例を示す図である。例えば、13個の画素p1乃至p13が、予測タップとして抽出される。画素p4は、注目画素である。画素p1およびp7は、画素p4の上下に位置する画素である。画素p3は、画素p4の左隣に位置する画素であり、画素p5は、画素p4の右隣に位置する画素である。画素p2は、画素p3の左隣に位置する画素であり、画素p6は、画素p5の右隣に位置する画素である。画素p8およびp9は、右側の第2フィールドにおける注目画素に対応する位置の上下に位置する画素である。画素p10およびp11は、画素p8の左右に位置する画素であり、画素p12およびp13は、画素p9の左右に位置する画素である。
【0048】
図4(b)は、抽出されるクラスタップの一例を示す図である。例えば、9個の画素p1乃至p9が、予測タップとして抽出される。クラスタップにおける画素p1乃至p9は、予測タップにおける画素p1乃至p9と同一座標の画素である。
【0049】
図5は、第1の実施の形態における判別係数選択部130の一構成例を示すブロック図である。判別係数選択部130は、判別係数記憶部131と、N個の予測タップ種別に対応づけられたN個の判別係数読出部133とを備える。
【0050】
判別係数記憶部131は、複数のクラスとN個の予測タップ種別との各組合せに対応付けて複数の判別係数群を記憶するものである。判別係数記憶部131は、N個の判別係数読出部133に対応するN個の判別係数メモリ132を備える。N個の判別係数メモリ132は、クラスごとに判別係数群を記憶するものである。
【0051】
判別係数読出部133は、クラスコードに対応する判別係数群を読み出すものである。N個の判別係数読出部133は、それぞれクラス分類部120からクラスコードを受け取る。そして、N個の判別係数読出部133のそれぞれは、対応する判別係数メモリ132から、クラスコードの示すクラスに対応する判別係数群を読み出す。この結果、N個の判別係数群が読み出される。N個の判別係数読出部133のそれぞれは、これらの判別係数群を判別演算部140へ信号線139を介して出力する。
【0052】
図6は、判別係数記憶部131に記憶される判別係数群の一例を示す図である。N個の判別係数メモリ132は、N個の予測タップ種別に、それぞれ1対1に対応付けられる。予測タップ種別は、予測係数の学習時に、予測タップが抽出された画像の圧縮率で分類されたものとする。例えば、判別係数メモリ#1は、圧縮率が最も高い画像から抽出された各予測タップが属する予測タップ種別に対応付けられ、以下、圧縮率の高い順に、判別係数メモリ#2乃至#Nに各予測タップ種別が対応付けられる。各判別係数メモリにおいて、クラスコード「000000000」乃至「111111111」の512個の各クラスに対応付けて判別係数v乃至v13からなる判別係数群が保存される。
【0053】
図7は、第1の実施の形態における判別演算部140の一構成例を示すブロック図である。判別係数演算部は、N個の判別演算器142、N個の閾値処理部143、候補判定結果列生成部144、および、予測タップ種別決定部146を備える。N個の判別演算器142は、N個の判別係数読出部133に1対1に対応付けられ、N個の判別演算器142は、N個の閾値処理部143に1対1に対応付けられている。
【0054】
N個の判別演算器142のそれぞれは、対応付けられた予測タップ種別に予測タップが属するか否かを判別するための判別演算を実行するものである。N個の判別演算器142のそれぞれには、タップ抽出部110により抽出された予測タップ内の各画素の画素値と、対応する判別係数読出部133からの判別係数群とが入力される。N個の判別演算器142のそれぞれは、これらの値を使用して判別演算を実行する。この判別演算は、例えば、線形一次結合式である次式により実行される。
【数2】

【0055】
上式においてv(nは1乃至13の整数)は、判別係数群内の各判別係数である。xは、予測タップ内の各画素の画素値である。判別演算器142は、判別演算の結果であるYを、対応する閾値処理部143へ出力する。
【0056】
N個の閾値処理部143のそれぞれは、判別演算の結果を閾値と比較するものである。N個の閾値処理部143のそれぞれは、所定の同一の閾値を、対応する判別演算器142からの演算結果と比較する。閾値の設定例については、後述する。比較した結果は、閾値処理部143に対応する予測タップ種別に予測タップが属しうるか否かを示す。属しうる場合は、その予測タップ種別は、最終的に1つに決定すべき予測タップ種別の候補とされる。この比較結果を、以下、候補判定結果と称する。例えば、演算結果が閾値以上である場合は、対応する予測タップ種別に予測タップが属する可能性が高いため、その予測タップ種別は候補に該当する。これに対して、演算結果が閾値未満である場合は、対応する予測タップ種別に予測タップが属する可能性は低いため、その予測タップ種別は候補に該当しない。N個の閾値処理部143のそれぞれは、対応する予測タップ種別についての候補判定結果を示すビットを生成する。例えば、N個の閾値処理部143のそれぞれは、演算結果が閾値以上である(すなわち、候補に該当する)場合には「1」を示すビットを生成し、演算結果が閾値未満である(すなわち、候補に該当しない)場合には「0」を示すビットを生成する。N個の閾値処理部143のそれぞれは、生成した1ビットを候補判定結果列生成部144へ出力する。
【0057】
候補判定結果列生成部144は、閾値処理部143からのN個の候補判定結果から候補判定結果列を生成するものである。候補判定結果列は、N個の候補判定結果を示すNビットを所定の順番で並べたビット列である。候補判定結果列生成部144は、予測係数群の抽出元の画像の画像種別に基づいて各候補判定結果を並べる。例えば、各画像の圧縮率に応じて各予測タップが複数の予測タップ種別に分類されている場合、候補判定結果列生成部144は、圧縮率の高い順に、各候補判定結果を並べる。候補判定結果列生成部144は、生成した候補判定結果列を予測タップ種別決定部146に出力する。
【0058】
予測タップ種別決定部146は、候補判定結果列に基づいて予測タップ種別が属する予測タップ種別を決定するものである。詳細には、予測タップ種別決定部146は、候補判定結果列の示す、予測タップ種別の候補の中から、1つの予測タップ種別を選択する。N個の予測タップ種別には、予め優先度が設定される。複数の予測タップ種別が候補となった場合、予測タップ種別決定部146は、優先度の最も高い予測タップ種別を選択する。例えば、予測タップの抽出元の画像の圧縮率が高いほど、その画像に係る予測タップ種別の優先度が高く設定される。圧縮率の高い順に候補判定結果が並べられた場合は、先頭から順に高い優先度が設定される。予測タップ種別決定部146は、選択した予測タップ種別を示す種別コードを予測係数選択部150に信号線149を介して出力する。
【0059】
図8は、第1の実施の形態における予測係数選択部150の一構成例を示すブロック図である。予測係数選択部150は、予測係数記憶部151と、N個の予測係数読出部153と、セレクタ154とを備える。
【0060】
予測係数記憶部151は、複数のクラスおよびN個の予測タップ種別の各組合せに対応付けて複数の予測係数群を記憶するものである。予測係数記憶部151は、N個の予測係数メモリ152を備える。N個の予測係数メモリ152には、N個の予測タップ種別が割り当てられる。N個の予測係数メモリ152のそれぞれは、割り当てられた予測タップ種別に対応する予測係数群をクラスごとに記憶するものである。
【0061】
予測係数読出部153は、クラスコードの示すクラスに対応する予測係数群を読み出すものである。N個の予測係数読出部153は、N個の予測係数メモリ152に対応付けられる。N個の予測係数読出部153のそれぞれは、クラス分類部120からクラスコードを受け取る。N個の予測係数読出部153のそれぞれは、対応する予測係数メモリ152から、クラスコードの示すクラスに対応する予測係数群を読み出す。N個の予測係数読出部153のそれぞれは、読み出した予測係数群をセレクタ154へ出力する。
【0062】
セレクタ154は、N個の予測係数群の中から、種別コードの示す予測タップ種別に対応する予測係数群を選択するものである。詳細には、セレクタ154は、N個の予測係数読出部153からN個の予測係数群を受け取り、判別演算部140から種別コードを受け取る。セレクタ154は、N個の予測係数群の中から、種別コードの示す予測タップ種別に対応する予測係数群を選択する。セレクタ154は、選択した予測係数群を予測演算部160に信号線159を介して出力する。
【0063】
図9は、予測係数記憶部151に記憶される予測係数群の一例を示す図である。N個の予測係数メモリ152には、それぞれ、N個の予測タップ種別に対応する予測係数群がクラス数の分、記憶される。例えば、予測係数メモリ#1には、最も高圧縮の画像における各予測タップが属する予測タップ種別に対応する予測係数群が記憶され、画像の圧縮率の高い順に、予測係数メモリ#2乃至#Nに、N個の予測タップ種別のそれぞれに対応する予測係数群が記憶される。N個の予測係数メモリのそれぞれにおいて、クラスコード「000000000」乃至「111111111」の512個の各クラスに対応付けて予測係数群が保存される。それぞれの予測係数群は、予測タップ内の画素数と同数の予測係数からなるセットを予測すべき画素値の数だけ含む。例えば、予測タップ内の画素数が13個で、左上、左下、右上、および、右下の位置の4つの画素の各画素値を予測する場合、それぞれの予測係数群は、13個の予測係数からなるセットを4つ含む。
【0064】
[判別係数学習装置の構成例]
図10は、第1の実施の形態における判別係数学習装置200の一構成例を示すブロック図である。判別係数学習装置200は、フィルタ部210、目標値供給部220、タップ抽出部230、クラス分類部240、および、判別係数演算部250を備える。
【0065】
フィルタ部210は、教師画像として入力された高解像度画像信号から、N個の異なる生徒画像を生成するものである。教師画像は、生徒画像を生成するために使用される画像である。生徒画像は、判別係数や予測係数を学習するために使用される画像である。フィルタ部210には、教師画像として入力された高解像度画像信号が入力される。フィルタ部210は、この教師画像を、解像度を変更するN個のフィルタに通過させることにより、N枚の異なる生徒画像を生成する。これらの生徒画像は、例えば、解像度が同一で圧縮率が互いに異なる画像である。フィルタ部210は、N枚の生徒画像からなる生徒画像群として低解像度画像信号をタップ抽出部230に信号線219を介してN回、出力する。
【0066】
目標値供給部220は、判別画像指定信号に従って、目標値Yを供給するものである。判別画像指定信号は、N枚の生徒画像のうちのいずれかを判別対象の生徒画像として指定するための信号である。判別対象の生徒画像とは、画像の変換において、入力された画像に類似する画像であると判別されるべき画像である。目標値Yは、上記式2の判別演算の結果の目標値として設定される値である。目標値供給部220には、判別画像指定信号がN回入力され、それぞれの判別画像指定信号において異なる生徒画像が判別対象として指定される。N枚の生徒画像において判別対象の指定の順番は任意であり、ユーザなどにより設定される。判別画像指定信号が入力されると、目標値供給部220は、各生徒画像に与える目標値Yを生成する。判別対象の生徒画像と、それ以外の生徒画像とに対しては、異なる目標値Yが生成される。目標値Yのうち、判別対象の生徒画像に対する目標値をY1とし、それ以外の目標値をY2とする。例えば、目標値供給部220は、判別対象の生徒画像に対してY1として「1」を生成し、それ以外の生徒画像に対してY2として「0」を生成する。目標値供給部220は、生成した目標値Yを判別係数演算部250に信号線221を介して出力する。
【0067】
タップ抽出部230の構成は、画像情報変換装置100におけるタップ抽出部110と同様の構成である。タップ抽出部230は、低解像度画像信号からクラスタップおよび予測タップを抽出する。タップ抽出部230は、抽出したクラスタップ内の各画素値をクラス分類部240に信号線238を介して出力し、抽出した予測タップ内の各画素値を判別係数演算部250に信号線239を介して出力する。
【0068】
クラス分類部240の構成は、画像情報変換装置100におけるクラス分類部120と同様の構成である。クラス分類部240は、抽出されたクラスタップを分類したクラスを示すクラスコードを判別係数演算部250に信号線249を介して出力する。
【0069】
判別係数演算部250は、判別係数を演算するものである。判別係数演算部250には、目標値供給部220からの目標値Yと、タップ抽出部230からの予測タップ内の各画素値と、クラス分類部240からのクラスコードとが入力される。判別係数演算部250は、目標値Yと予測タップ内の各画素値とから、クラスコードの示すクラスごとに判別係数群を演算する。判別係数演算部250は、演算した判別係数群を、判別対象の生徒画像に対応する判別係数群として出力する。
【0070】
ここで、タップ抽出部230は、正御画像群内のN枚の生徒画像のそれぞれにおいて、生徒画像内の画素数と同数の予測タップを抽出している。例えば、生徒画像の解像度が720×480画素である場合、N枚の生徒画像から720×480×N個の予測タップが抽出される。一方、クラス分類部240は、これらの予測タップの抽出と同期して、予測タップと注目画素が同一のクラスタップが属するクラスを示すクラスコードを求める。判別係数演算部250は、タップ抽出部230およびクラス分類部240から、予測タップ内の各画素値と、その予測タップが属するクラスとを受け取る。クラスコードが同一の各予測タップを以下、そのクラスの「サンプル」と称する。例えば、720×480×N個の予測タップのうち、クラスコード「000000000」に対応する予測タップが100個抽出された場合、それら100個の予測タップは、そのクラスコードの示すクラスのサンプルとされる。判別係数演算部250は、それぞれのサンプル内の画素値について、上記式2の判別演算を行った各演算結果Y'と、目標値Y(Y1またはY2)との差分の二乗和が最小になる判別係数群をクラスごとに演算する。kは、1以上の整数であり、各サンプルに割り当てられる番号である。例えば、判別係数演算部250は、後述する正規方程式を生成して、その正規方程式を解くことにより判別係数群を求める。
【0071】
正規方程式の導出方法について説明する。第k個目のサンプルにおける差分eは、次式により求められる。
【数3】

【0072】
上式の演算結果Y'は、上記式2により求められる。xを第kサンプル内の各画素値をxn_kで置き換えた上記式2を上記式3に代入すると、次式が得られる。
【数4】

【0073】
最小二乗法において、最適な判別係数群は、次式で表わされる二乗和Eを最小にすることで求められる。
【数5】

【0074】
上式において、Kは、統計対象のクラスに属するサンプルの総数である。二乗和Eを最小にする判別係数の値は、その判別係数による二乗和Eの偏微分が0になるときの値である。下記式6は、二乗和Eを判別係数v乃至v13のそれぞれで偏微分したものである。
【数6】

【0075】
上式を満たす判別係数群が最適な判別係数群である。上式から次式が得られる。
【数7】

【0076】
ここで、上記式4を判別係数v乃至v13のそれぞれで偏微分すると、次式が得られる。
【数8】

【0077】
上記式7に上記式8を代入することにより、次式が得られる。
【数9】

【0078】
そして、上記式9のeに上記式4を代入することにより、次式が得られる。
【数10】

【0079】
上式を変形することにより、次式が得られる。
【数11】

【0080】
上式は、行列を用いて、正規方程式である次式で表される。
【数12】

【0081】
上式は、例えば、掃き出し法(Gauss-Jordanの消去法)などを用いることにより、それぞれの判別係数について解くことができる。これにより、判別演算の結果と目標値との間の差分が最小となる判別係数が求められる。
【0082】
前述したように、判別対象の生徒画像に目標値Y1が与えられ、それ以外の生徒画像には、目標値Y2が与えられる。このため、画像情報変換装置100が、入力された画像に対して判別係数群を使用して判別演算を行うと、判別演算の結果は、その画像が判別対象の生徒画像と類似する場合にY1に近い値となり、判別対象の生徒画像と類似しない場合にY2に近い値となる。したがって、閾値をこれらの目標値Y1およびY2の間の値とし、この閾値と判別結果とを比較することにより、画像情報変換装置100は、入力された画像が、判別対象の生徒画像と類似するか否かを判別することができる。判別対象の生徒画像に目標値「1」が与えられ、それ以外の生徒画像に目標値「0」が与えられた場合において、閾値は、それらの間の値の「0.5」などに設定される。画像情報変換装置100は、判別結果が閾値以上であるか否かにより、入力された画像が判別対象の生徒画像と類似の画像であるか否かを判別することができる。
【0083】
なお、フィルタ部210は、特許請求の範囲に記載の生徒画像入力部の一例である。目標値供給部220は、特許請求の範囲に記載の目標値生成部の一例である。
【0084】
図11は、第1の実施の形態における判別係数学習装置のフィルタ部210の一構成例を示すブロック図である。フィルタ部210は、N枚の2次元フィルタ211と、生徒画像記憶部212と、生徒画像供給部213とを備える。
【0085】
2次元フィルタ211は、教師画像の解像度を変更して生徒画像を生成するものである。N枚の2次元フィルタ211には、同一の教師画像が入力される。N枚の2次元フィルタ211は、教師画像の解像度を変更するとともに、それぞれ異なる画像処理を行って、異なるN枚の生徒画像を生成する。例えば、N枚の2次元フィルタ211は、圧縮率の異なるN枚の生徒画像を生成する。N枚の生徒画像は、生徒画像記憶部212に保存される。
【0086】
生徒画像記憶部212は、N枚の生徒画像からなる生徒画像群を記憶するものである。生徒画像供給部213は、生徒画像記憶部212から生徒画像群を読み出してタップ抽出部230に供給するものである。生徒画像供給部213は、生徒画像群の供給をN回実行する。
【0087】
なお、2次元フィルタ211は、特許請求の範囲に記載のフィルタの一例である。
【0088】
図12は、第1の実施の形態における判別係数の学習方法の一例を示す図である。図12に例示するように全学習においてN行N列の生徒画像が生成される。各行の生徒画像は、N回の学習のそれぞれにおいて生成される生徒画像群内の生徒画像である。各行において、生徒画像は圧縮率の順に配列されている。各列の生徒画像は、N回の学習のそれぞれにおいて、同じ2次元フィルタから生成された生徒画像である。網掛けの生徒画像は、判別対象の生徒画像である。例えば、1回目の学習においては、2次元フィルタ#1から生成された生徒画像#1−1が判別対象として指定される。この場合、1回目に生成された生徒画像#1−1乃至#N−1のうち、生徒画像#1−1に目標値Y1が設定され、生徒画像#1−2乃至1−Nに目標値Y2が設定される。2回目の学習においては、生徒画像#2−2が判別対象として指定される。この場合、2回目に生成された生徒画像#2−1乃至#N−2のうち、生徒画像#2−2に目標値Y1が設定され、生徒画像2−1と生徒画像#2−3乃至2−Nに目標値Y2が設定される。このようにして、N回学習が行われ、N枚の生徒画像のそれぞれについて判別係数が学習される。
【0089】
図13は、第1の実施の形態における目標値の設定例を示す図である。生徒画像#1が判別対象に指定された場合、生徒画像#1に対して「1」の目標値Y1が設定され、それ以外の生徒画像に対して「0」の目標値Y2が設定される。生徒画像#2が判別対象に指定された場合、生徒画像#2に対して「1」の目標値Y1が設定され、それ以外の生徒画像に対して「0」の目標値Y2が設定される。このようにして、判別対象の生徒画像と、それ以外の生徒画像とには、異なる目標値が与えられる。
【0090】
図14は、判別係数演算部250の一構成例を示すブロック図である。判別係数演算部250は、正規方程式生成部260、判別係数決定部270、および、判別係数記憶部280を備える。判別係数決定部270は、統計処理部271、行列成分合計値記憶部272、および、判別係数演算器273を備える。
【0091】
正規方程式生成部260は、予測タップ内の各画素値と目標値とに基づいて、1つのサンプルにおける正規方程式の行列成分を生成するものである。正規方程式生成部260は、生成した各行列成分を統計処理部271に出力する。
【0092】
統計処理部271は、クラスごとに、そのクラスに属する各サンプルの行列成分に対して統計処理を実行するものである。統計処理部271は、正規方程式生成部260からの行列成分と、クラス分類部240からのクラスコードとを受け取る。統計処理部271は、クラスコードが同一の各行列成分を全て加算する。以下、加算後の行列成分を行列成分合計値と称する。例えば、統計処理部271は、クラスコードおよび行列成分を受け取ると、そのクラスコードに対応する行列成分合計値を、行列成分合計値記憶部から読み出し、受け取った行列成分を読み出した値に加算する。統計処理部271は、加算した値を、そのクラスコードにおける新たな行列成分合計値として、行列成分合計値記憶部272に格納する。N枚の生徒画像について統計処理が終了したとき、統計処理部271は、統計の終了を通知する統計終了通知を発行して判別係数演算器273に出力する。
【0093】
判別係数演算器273は、判別係数群をクラスごとに演算するものである。判別係数演算器273は、目標値Yおよび統計終了通知を受け取ると、クラスごとの行列成分合計値を行列成分合計値記憶部272から読み出す。判別係数演算器273は、クラスごとに、上記式12に例示した正規方程式を解くことにより、判別係数群を演算する。判別係数演算器273は、演算した各判別係数群を、目標値Yの示す判別対象の生徒画像に対応する判別係数群として判別係数記憶部280に格納する。
【0094】
判別係数記憶部280は、複数のクラスとN個の生徒画像との各組合せに対応付けて複数の判別係数群を記憶するものである。N個の生徒画像は、それぞれ、N個の予測タップ種別に1対1に対応付けられる。判別係数記憶部280に記憶された判別係数群は、画像情報変換装置100に信号線209を介して出力される。
【0095】
図15は、正規方程式生成部260の一構成例を示すブロック図である。正規方程式生成部260は、乗算器群261乃至273と、乗算器群274とを備える。それぞれの乗算器群は、13個の乗算器を備える。乗算器群261内の乗算器261−1乃至261−13は、それぞれ、画素値xと、x乃至x13とを乗算した結果であるx乃至x13を、正規方程式の左辺第1行ベクトルの行列成分として出力する。同様に、乗算器群262乃至273により、左辺第2行ベクトルから左辺第13行ベクトルまでの各行列成分が出力される。乗算器群274内の乗算器274−1乃至271−13は、それぞれ、目標値Yと、x乃至x13とを乗算した結果であるxY乃至x13Yを、正規方程式の右辺第1列ベクトルの行列成分として出力する。
【0096】
図16は、第1の実施の形態の行列成分合計値記憶部272における行列成分の統計量の一例を示す図である。図16に示すように、クラスコードごとに、各サンプルの行列成分が足しこまれて、行政成分の合計値が求められる。詳細には、上記式12の左辺第1行ベクトルから左辺第13行ベクトルまでと、右辺第1列ベクトルとについて行列成分の合計値が求められる。
【0097】
[予測係数学習装置の構成例]
図17は、第1の実施の形態における予測係数学習装置300の一構成例を示すブロック図である。予測係数学習装置300は、フィルタ部310、教師画素抽出部320、タップ抽出部330、および、クラス分類部340を備える。
【0098】
フィルタ部310は、教師画像として入力された高解像度画像信号から、N個の異なる生徒画像を生成するものである。フィルタ部310には、教師画像として高解像度画像信号が入力される。フィルタ部310は、この教師画像を、N個のフィルタに通過させることにより、N枚の異なる生徒画像を生成する。これらの生徒画像は、例えば、圧縮率が互いに異なる画像である。フィルタ部310は、N枚の生徒画像のうち、学習画像指定信号の指定する生徒画像を選択して、タップ抽出部330に信号線319を介して出力する。
【0099】
教師画素抽出部320は、教師画像として入力される高解像度画像信号から、学習対象の画素を教師画素として抽出するものである。1つの低解像度画像信号から画像情報変換装置100が生成すべき、複数の高解像度画像信号に対応する各画素が抽出される。例えば、生徒画像内の各画素に対して、4つの教師画素が教師画像から抽出される。教師画素抽出部320は、抽出した各教師画素の画素値を予測演算における目標値として予測係数演算部350に信号線321を介して出力する。
【0100】
タップ抽出部330の構成は、画像情報変換装置100におけるタップ抽出部110と同様の構成である。タップ抽出部330は、低解像度画像信号からクラスタップおよび予測タップを抽出する。タップ抽出部330は、抽出したクラスタップ内の各画素値をクラス分類部340に信号線338を介して出力し、抽出した予測タップ内の各画素値を予測係数演算部350に信号線339を介して出力する。
【0101】
クラス分類部340の構成は、画像情報変換装置100におけるクラス分類部120と同様の構成である。クラス分類部340は、抽出されたクラスタップを分類したクラスを示すクラスコードを予測係数演算部350に信号線349を介して出力する。
【0102】
予測係数演算部350は、予測係数を演算するものである。予測係数演算部350には、教師画素抽出部320からの各教師画素の画素値と、タップ抽出部330からの予測タップ内の各画素値と、クラス分類部340からのクラスコードと、学習画像指定信号とが入力される。予測係数演算部350は、目標値である教師画素の画素値と予測タップ内の各画素値とから、クラスコードの示すクラスごとに予測係数群を演算する。予測係数群内の各予測係数は、例えば、次式を使用して算出される。
【数13】

【0103】
上式において、kは、各サンプルに割り当てられた番号である。xn_kは、第kサンプル内の各画素値である。yは、第kサンプルに対応する教師画素のうちのいずれかの画素値である。Kは、1つのクラスに属するサンプルの総数である。予測係数w乃至w13は、予測係数群内の1つのセットにおける各予測係数である。上記式13は、上記式12と同様の方法により導出されたものである。判別係数演算部350は、演算した各予測係数群を、学習画像指定信号の指定する生徒画像に対応する予測係数群として出力する。
【0104】
なお、フィルタ部310は、特許請求の範囲に記載の生徒画像入力部の一例である。
【0105】
図18は、第1の実施の形態における予測係数学習装置のフィルタ部310の一構成例を示すブロック図である。フィルタ部310は、N枚の2次元フィルタ311およびセレクタ312を備える。
【0106】
2次元フィルタ311は、判別係数学習装置200における2次元フィルタ211と同様のフィルタである。セレクタ312は、N枚の2次元フィルタ311により生成されたN枚の生徒画像の中から、学習画像指定信号の指定する生徒画像を選択するものである。セレクタ312は、選択した生徒画像として低解像度画像信号をタップ抽出部330に信号線319を介して出力する。
【0107】
なお、2次元フィルタ311は、特許請求の範囲に記載のフィルタの一例である。
【0108】
図19は、第1の実施の形態における予測係数の学習方法の一例を示す図である。N回の学習のそれぞれにおいて、N枚の2次元フィルタのうちのいずれかにより、学習対象として指定された生徒画像が生成される。例えば、1回目の学習においては、生徒画像#1が学習対象として指定される。2回目の学習においては、生徒画像#2が指定される。このようにして、N回学習が行われ、N枚の生徒画像のそれぞれについて予測係数が学習される。
【0109】
[画像情報変換装置の動作例]
図20は、第1の実施の形態における画像情報変換装置100の動作の一例を示すフローチャートである。画像情報変換装置100は、低解像度画像信号が入力されたときに、画像の解像度を変換するための画像情報変換処理を開始する。
【0110】
画像情報変換装置100は、低解像度画像のいずれかの画素を注目画素として、その注目画素を中心とするクラスタップおよび予測タップを抽出する(ステップS905)。
【0111】
画像情報変換装置100は、クラスタップを複数のクラスのうちのいずれかに分類するためのクラス分類処理を実行する(ステップS910)。画像情報変換装置100は、予測タップが属する予測タップ種別を判別するための予測タップ種別判別処理を実行する(ステップS920)。
【0112】
そして、画像情報変換装置100は、分類されたクラスと判別された予測タップ種別との組合せに対応する予測係数群を選択する(ステップS930)。画像情報変換装置100は、選択した予測係数群を使用した予測演算の結果を高解像度画像の画素値として出力する(ステップS935)。
【0113】
画像情報変換装置100は、高解像度画像の全画素の演算が終了したか否かを判断する(ステップS940)。全画素の演算が終了していなければ(ステップS940:No)、画像情報変換装置100は、ステップS905に戻る。全画素の演算が終了したのであれば(ステップS940:Yes)、画像情報変換装置100は、画像情報変換処理を終了する。
【0114】
図21は、第1の実施の形態におけるクラス分類処理の一例を示すフローチャートである。クラス分類部120は、クラスタップ内の各画素を再量子化してADRCコードを生成する(ステップS911)。クラス分類部120は、ADRCコードに基づいてクラスコードを決定する(ステップS912)。ステップS912の後、クラス分類部120は、クラス分類処理を終了する。
【0115】
図22は、第1の実施の形態における予測タップ種別判別処理の一例を示すフローチャートである。判別係数選択部130は、クラスコードに対応するN個の判別係数群をN個の判別係数メモリ132から読み出す(ステップS921)。判別演算部140は、判別係数群を使用して、N個の判別演算を実行して候補判定結果列を生成する(ステップS922)。判別演算部140は、候補判定結果列から予測タップが属する予測タップ種別を判別する(ステップS924)。ステップS924の後、判別演算部140は、予測タップ種別判別処理を終了する。
【0116】
[判別係数学習装置の動作例]
図23は、第1の実施の形態における判別係数学習装置200の動作の一例を示すフローチャートである。判別係数学習装置200は、高解像度画像信号および判別画像指定信号が入力されたときに、判別係数を学習するための判別係数学習処理を開始する。
【0117】
判別係数学習装置200は、N個の2次元フィルタから生成したN枚の生徒画像をタップ抽出部230に供給する(ステップS950)。判別係数学習装置200は、判別対象の生徒画像の目標値を1、それ以外の目標値を0として、N枚の生徒画像に目標値を与える(ステップS955)。
【0118】
判別係数学習装置200は、いずれかの画素を注目画素としてクラスタップおよび予測タップを抽出する(ステップS960)。判別係数学習装置200は、クラス分類処理を実行する(ステップS965)。判別係数学習装置200は、クラスごとに、正規方程式の各行列成分を生成して、その統計処理を実行する(ステップS970)。判別係数学習装置200は、N枚の生徒画像の全画素において正規方程式の行列成分の統計が終了したか否かを判断する(ステップS975)。統計が終了していなければ(ステップS975:No)、判別係数学習装置200は、ステップS960に戻る。
【0119】
統計が終了したのであれば(ステップS975:Yes)、判別係数学習装置200は、クラスごとに正規方程式から判別係数群を演算する(ステップS980)。判別係数学習装置200は、演算した判別係数群を、指定の生徒画像に係る予測タップ種別に対応付ける(ステップS985)。
【0120】
判別係数学習装置200は、全2次元フィルタの学習が終了したか否かを判断する(ステップS990)。いずれかの2次元フィルタの学習が終了していなければ(ステップS990:No)、判別係数学習装置200は、ステップS950に戻る。学習が終了したのであれば(ステップS990:Yes)、判別係数学習装置200は、判別係数学習処理を終了する。
【0121】
[予測係数学習装置の動作例]
図24は、第1の実施の形態における予測係数学習装置300の動作の一例を示すフローチャートである。予測係数学習装置300は、高解像度画像信号および学習画像指定信号が入力されたときに、予測係数を学習するための予測係数学習処理を開始する。予測係数学習処理は、ステップS950、S955、および、S975の代わりにステップS951、S956、および、S976を実行する点以外は、図23に例示した判別係数学習処理と同様である。
【0122】
予測係数学習装置300は、指定された生徒画像を生成する(ステップS951)。予測係数学習装置300は、教師画像から教師画素を抽出する(ステップS956)。クラスごとに正規方程式を生成した後(ステップS970)、統計が終了していなければ(ステップS976:No)、判別係数学習装置200は、ステップS956に戻る。統計が終了したのであれば(ステップS976:Yes)、判別係数学習装置200は、クラスごとに正規方程式から判別係数群を演算する(ステップS980)。
【0123】
このように第1の実施の形態によれば、画像情報変換装置100は、クラスタップを画素値の削減によりクラスに分類するとともに、判別演算により予測タップが属する予測タップ種別を判別する。そして、画像情報変換装置100は、複数の予測係数群の中から分類されたクラスと判別された予測タップ種別との組合せに対応する予測係数群を選択して予測演算を実行する。クラス分類のみを行う場合よりも多い予測係数群を使用して画像が変換されるため、画像の変換精度が向上する。また、クラスおよび予測タップ種別の組合せの数だけ、予測係数群を設定しておくため、予測係数群の増大が抑制される。
【0124】
また、画像情報変換装置100は、複数の判別係数と予測タップ内の各画素の画素値との積和演算を行い、その演算結果と所定の閾値との比較結果に基づいて予測タップが属する予測タップ種別を判別する。演算が簡易であるため、予測タップ種別を判別する処理が高速となる。
【0125】
また、判別係数学習装置200は、生徒画像群を生成して、そのうちの判別対象の生徒画像に第1の目標値Y1を与え、それ以外の生徒画像に第2の目標値Y2を与え、これらの目標値と予測タップ内の各画素の画素値とに基づいてクラスごとに判別係数群を演算する。これにより、判別対象の生徒画像と類似の画像であるか否かを判別するための判別係数群が、N枚の生徒画像についてクラスごとに学習される。
【0126】
また、判別係数学習装置200は、教師画像を複数のフィルタに通過させることにより生徒画像群を生成する。このため、特性の異なる複数のフィルタの使用により、特徴の異なる複数の生徒画像が容易に生成される。
【0127】
また、判別係数学習装置200は、最小二乗法を使用した判別係数の演算において、判別対象の生徒画像に目標値Y1を与え、それ以外の生徒画像に目標値Y2を与える。このため、画像情報変換装置100は、判別演算の結果がY1およびT2のいずれに近いかを判断することにより、入力された画像が判別対象の生徒画像と類似するか否かを判別することができる。
【0128】
また、予測係数学習装置300は、複数の生徒画像のそれぞれにおいて、その生徒画像内の予測タップ内の予測タップ内の各画素の画素値と教師画素の画素値とに基づいてクラスごとに予測係数群を演算する。これにより、予測係数群が、N枚の生徒画像についてクラスごとに学習される。
【0129】
また、予測係数学習装置300は、教師画像を複数のフィルタに通過させることにより複数の生徒画像を生成する。このため、特性の異なる複数のフィルタの使用により、特徴の異なる複数の生徒画像が容易に生成される。
【0130】
なお、画像情報変換装置100は、低解像度画像信号を高解像度画像信号にアップコンバートしているが、高解像度画像信号を低解像度画像信号にダウンコンバートすることもできる。ダウンコンバートの場合、1つの予測タップ係数群は、予測タップ内の画素数と同数の予測係数からなるセットを1組のみ含む。
【0131】
また、クラスタップ内の画素数を予測タップ内の画素数と異なる値としているが、クラスタップ内の画素数を予測タップ内の画素数と同数としてもよい。
【0132】
また、クラスタップおよび予測タップの画素群は、図4に例示した画素群に限定されない。例えば、注目画素を中心とする3×3画素からなる正方形の画素群をクラスタップまたは予測タップとしてもよい。
【0133】
また、図4に例示したように低解像度画像をインターレス方式の動画における画像としているが、ノンインターレス方式の動画における画像としてもよい。
【0134】
また、クラス分類部120は、階調数を減じることによりクラス分類を行っているが、階調数の削減以外の手法を使用してクラス分類を行うこともできる。例えば、クラス分類部120は、クラスごとに予め定義しておいた3次元分布の形状パターンと、クラスタップの形状パターンとのマッチングをとった結果に基づいてクラスを分類することもできる。また、クラス分類部120は、ADRCにより階調数を減じているが、ADRC以外の処理により階調数を減じてもよい。例えば、クラス分類部120は、ダイナミックレンジを算出せず、クラスタップ内の各画素値を所定値(例えば、128)と比較することにより階調数を減じてもよい。
【0135】
また、予測タップ種別の分類において、学習時における予測タップの抽出元の画像の圧縮率に応じて各予測タップを複数の予測タップ種別に分類しているが、圧縮率以外の種類に基づいて、予測タップを分類してもよい。例えば、ぼかしや輪郭強調などの効果の異なる複数の2次元フィルタにより生成された生徒画像で学習することにより、画像に施されたぼかしや、輪郭強調の程度に基づいて予測タップを分類してもよい。
【0136】
また、画像情報変換装置100の判別演算部140は、上記式1に例示した線形一次結合式により、判別演算を行っているが、判別演算は上記式1に限定されない。例えば、判別係数と画素値の二乗との積を含む2次式による演算であってもよい。この場合、上記12式の正規方程式も変更される。
【0137】
また、画像情報変換装置100の予測演算部160は、上記式2に例示した線形一次結合式により、予測演算を行っているが、予測演算は、上記式2に限定されない。例えば、予測係数と画素値の二乗との積を含む2次式による演算であってもよい。この場合、上記13式の正規方程式も変更される。
【0138】
また、判別係数記憶部131は、N個の判別係数メモリ132を備えているが、判別係数記憶部131の構成は、この構成に限定されない。例えば、判別係数記憶部131は、N個の領域を有する1つのメモリを備える構成とすることもできる。
【0139】
予測係数記憶部151は、N個の予測係数メモリ152を備えているが、予測係数記憶部151の構成は、この構成に限定されない。例えば、予測係数記憶部151は、N個の領域を有する1つのメモリを備える構成とすることもできる。
【0140】
また、判別係数学習装置200は、N枚のフィルタを使用してN枚の生徒画像を生成しているが、N枚の生徒画像を供給できるのであれば、N枚のフィルタを備える構成に限定されない。例えば、判別係数学習装置200は、N枚のフィルタを備えず、予め生成されたN枚の生徒画像を外部から受け取る構成としてもよい。
【0141】
また、判別係数学習装置200は、1枚の教師画像を用いて判別係数を学習しているが、2以上の教師画像を使用することもできる。この場合、複数の教師画像から生成した生徒画像群をN回供給して判別係数を学習してもよいし、1枚の教師画像から生成した生徒画像群をN回供給する学習を複数回行ってもよい。予測係数学習装置300も、同様に2枚以上の教師画像を使用してもよい。
【0142】
<変形例>
[判別係数学習装置の動作例]
図25は、変形例における判別係数の学習方法の一例を示す図である。変形例の判別係数学習装置200は、2次元フィルタ211を1枚のみ備える点において、第1の実施の形態の判別係数学習装置200と異なる。判別係数学習装置200には、図25に示すように、N個の教師画像#1乃至#Nが供給される。教師画像#1は自然画であり、教師画像#NはCG(Computer Graphics)画像である。教師画像#2乃至N−1は、自然画に近い順に配列された画像である。教師画像#1乃至#Nを2次元フィルタ211に通過させて解像度を変更することにより、生徒画像#1乃至#Nが生成される。生徒画像供給部213は、生徒画像#1乃至Nの生徒画像群を複数回、タップ抽出部230に供給する。各学習において、N個の生徒画像のうちのいずれかが判別対象の生徒画像として指定される。予測係数の学習においても、同様の学習方法が用いられる。
【0143】
このように、変形例によれば、判別係数学習装置200は、自然画またはCG画像に近い各生徒画像において、判別係数を学習する。このため、画像情報変換装置100は、その判別係数を使用して入力された画像が、自然画またはCG画像のいずれに近い画像であるかを判別できる。
【0144】
<2.第2の実施の形態>
[画像情報変換装置の構成例]
図26は、第2の実施の形態における画像情報変換装置100の一構成例を示すブロック図である。第2の実施の形態の画像情報変換装置100は、判別演算部140の代わりに判別演算部141を備える点において第1の実施の形態の画像情報変換装置100と異なる。また、操作信号履歴情報記録部170、視聴環境検出部180、および、画質調整部190をさらに備える点において第1の実施の形態の画像情報変換装置100と異なる。
【0145】
画質調整部190は、予測演算部160により生成された高画質画像の画質を、操作信号に従って調整するものである。操作信号は、高解像度画像の画質に影響を与える画質パラメータの値の変更を指示する信号である。画質パラメータは、例えば、ブライトネス(すなわち、輝度)、ガンマ、コントラストなどである。画質調整部190は、調整後の高画質画像を示す高画質画像信号を、表示装置などに出力する。
【0146】
操作信号履歴情報記録部170は、画質調整部190に出力された操作信号により調整された画質パラメータの値を記録するものである。操作信号履歴情報記録部170は、調整後の画質パラメータの値の履歴を記録して、その履歴から、高解像度画像に行われる調整の内容を推定する。操作信号履歴情報記録部170は、推定した画質調整に基づいて候補判定結果列をシフトするシフト量Aを判別演算部141に信号線179を介して出力する。
【0147】
ここで、シフト量Aは、推定した調整に適した予測係数群が属する予測タップ種別を、適さない予測係数群が属する予測タップ種別よりも優先する方向に候補判定結果列をビットシフトする量である。各予測係数群が推定した画質調整に適するか否かは、その予測係数群を選択した場合に、調整後において適切な高解像度画像となるか否かにより判断される。例えば、輝度を高くする調整が推定される場合、入力された低解像度画像の実際の圧縮率よりも低い圧縮率の画像で学習した予測係数群を使用した方がよい。実際の圧縮率より低い圧縮率で学習した予測係数群を使用した予測演算により、より高画質の高解像度画像が生成される。このように高解像度感が強調された画像の方が、高輝度下において見易く、画質もよく見える。この傾向に基づいて、高輝度に調整される場合は、低圧縮の生徒画像で学習した予測係数群が属する予測タップ種別を優先する方向に候補判定結果列がシフトされる。逆に低輝度に調整される場合は、高圧縮の生徒画像に対応する予測タップ種別を優先する方向に候補判定結果列がシフトされる。
【0148】
視聴環境検出部180は、高解像度画像を視聴する視聴環境を示す視聴環境パラメータを検出するものである。視聴環境パラメータは、例えば、高解像度画像を表示する表示装置が設置された室内の照度や、その表示装置の種別である。表示装置の種別は、具体的には、表示装置の物理的な画面サイズや、液晶かプラズマディスプレイかなどの表示方式に基づいて分類される種類である。室内の照度は、光センサからのセンサ信号などにより取得される。視聴環境検出部は、視聴環境パラメータに基づいて候補判定結果列をシフトするシフト量Bを判別演算部141に信号線189を介して出力する。
【0149】
ここで、シフト量Bは、視聴環境パラメータの示す視聴環境に適した予測係数群が属する予測タップ種別を優先する方向に候補判定結果列をビットシフトする量である。各予測係数群が、ある視聴環境に適するか否かは、その予測係数群を選択した場合に、その視聴環境における視聴に適した高解像度画像が生成されるか否かによって判断される。例えば、明るい室内では、入力された低解像度画像の実際の圧縮率よりも低い圧縮率の画像で学習した予測係数群を使用した方が、見易い高解像度画像が得られる。この傾向に基づいて、照度が高い場合は、低圧縮の生徒画像で学習した予測係数群が属する予測タップ種別を優先する方向に候補判定結果列がシフトされる。逆に照度が低い場合は、高圧縮の生徒画像に対応する予測タップ種別を優先する方向に候補判定結果列がシフトされる。
【0150】
判別演算部141は、生成した候補判定結果列をシフト量AおよびBの分だけビットシフトする。シフト演算は、例えば、空いたビットに0を挿入する論理シフトにより実行される。そして、判別演算部141は、シフトした候補判定結果列に基づいて予測タップ種別を判別して、種別コードを出力する。
【0151】
なお、操作信号履歴情報記録部170は、特許請求の範囲に記載の記録部の一例である。
【0152】
図27は、候補判定結果列の構成例を示す図である。候補判定結果列において、圧縮率の高い順に、各候補判定結果が並べられる。より具体的には、先頭に圧縮率の最も高い画像に係る予測タップ種別についての候補判定結果bが配置され、以降は、圧縮率の高い順に候補判定結果b乃至bが並べられる。この候補判定結果列をシフトする方向は、シフト量の符号により設定される。例えば、圧縮率の高い方向へシフトさせる場合、シフト量の符号に−が設定され、圧縮率の低い方向へシフトさせる場合、シフト量の符号に+が設定される。シフトによって空いたビットには、0が挿入される。
【0153】
図28は、シフト量Aの設定例を示す図である。シフト量Aは、画質調整に適した予測係数群が使用されるように設定される。例えば、画質パラメータとしてコントラストの値が1乃至100の100段階で調整され、値が大きいほどコントラストが強くなる場合を考える。コントラストの強い画質調整が行われる場合、低圧縮の生徒画像で学習した予測係数群を使用した方が、調整後の画像の画質がよく見える。逆にコントラストが弱いと、高圧縮の生徒画像で学習した予測係数群を使用した方が、画質がよく見える。この傾向に基づいて、コントラストの統計量(例えば、平均値)が1乃至30の場合、高圧縮の画像に係る予測タップ種別の方へ1ビットシフトさせるシフト量−1が設定される。コントラストの平均値が31乃至70の場合、候補判定結果列をビットシフトさせる必要がなく、シフト量0が設定される。コントラストの平均値が71乃至100の場合、低圧縮の画像に係る予測タップ種別の方へ1ビットシフトさせるシフト量+1が設定される。シフト量Bについても、シフト量Aと同様に、視聴環境パラメータの統計量ごとに、予めシフト量が設定される。
【0154】
図29は、第2の実施の形態における操作信号履歴情報記録部170の一構成例を示すブロック図である。操作信号履歴情報記録部170は、操作信号解析部171、統計処理部172、および、シフト量出力部173を備える。
【0155】
操作信号解析部171は、検出された操作信号を解析するものである。操作信号の解析においては、調整された画質パラメータの値などが解析される。操作信号解析部171は、解析した結果を統計処理部172に出力する。
【0156】
統計処理部172は、操作信号の解析結果に対して統計処理を行うものである。統計処理部172は、例えば、所定期間内における画質パラメータの値の平均値や中央値などの統計量を演算する。統計処理部172は、統計処理の結果をシフト量出力部173に出力する。
【0157】
シフト量出力部173は、統計結果に基づいてシフト量Aを決定するものである。シフト量Aは、統計量ごとに予め設定されている。シフト量出力部173は、決定したシフト量を判別演算部141に信号線179を介して出力する。
【0158】
図30は、第2の実施の形態における視聴環境検出部180の一構成例を示すブロック図である。視聴環境検出部180は、センサ信号解析部181、統計処理部182、および、シフト量出力部183を備える。
【0159】
センサ信号解析部181は、センサ信号を解析するものである。センサ信号は、例えば、高解像度画像を視聴する表示装置が設置された室内において光センサが検出した、室内の照度を示す信号である。センサ信号解析部181は、解析結果を統計処理部182に出力する。
【0160】
統計処理部182は、センサ信号の解析結果に対して統計処理を行うものである。統計処理部182は、例えば、所定期間内における照度の平均値や中央値などの統計量を演算する。統計処理部182は、統計処理の結果をシフト量出力部183に出力する。
【0161】
シフト量出力部183は、統計結果に基づいてシフト量Bを決定するものである。シフト量Bは、統計量ごとに予め設定されている。シフト量出力部183は、決定したシフト量を判別演算部141に信号線189を介して出力する。
【0162】
図31は、第2の実施の形態における判別演算部141の一構成例を示すブロック図である。判別演算部141の構成は、シフト部145をさらに備える点において第1の実施の形態の判別演算部140と異なる。判別演算部141において候補判定結果列生成部144は、候補判定結果列をシフト部145に出力する。
【0163】
シフト部145は、候補判定結果列に対してシフト演算を行うものである。シフト部145は、候補判定結果列生成部144から候補判定結果列を受け取り、操作信号履歴情報記録部170および視聴環境検出部180からシフト量AおよびBを受け取る。シフト部145は、シフト量AおよびBに基づいて候補判定結果列に対するシフト演算を行う。シフト部145は、シフト演算後の候補判定結果列を予測タップ種別決定部146に出力する。
【0164】
[画像情報変換装置の動作例]
図32は、第2の実施の形態における予測タップ種別判別処理の一例を示すフローチャートである。第2の実施形態における予測タップ種別判別処理は、ステップS923をさらに実行する点において第1の実施の形態と異なる。
【0165】
判別演算部141は、候補判定結果列を生成した後(ステップS922)、候補判定結果列をシフト量に基づいてシフトする(ステップS923)。判別演算部141は、シフトした候補判定結果列から予測タップ種別を決定する(ステップS924)。
【0166】
このように第2の実施の形態によれば、判別演算部141は、画質調整に適した予測係数群が属する予測タップ種別を優先する方向に候補判定結果列をビットシフトする。このため、操作信号により画調整が行われる場合であっても、高い変換精度を維持できる。
【0167】
また、判別演算部141は、視聴環境に適した予測係数群が属する予測タップ種別を優先する方向に候補判定結果列をビットシフトする。このため、視聴環境に関りなく、高い変換精度を維持できる。
【0168】
なお、操作信号履歴情報記録部170は、操作信号から、操作したユーザを特定する情報をさらに取得することもできる。例えば、操作信号を発信するリモートコントロール装置において、操作時にユーザを特定するコードを入力することでユーザ認証を行う構成とし、操作信号から、操作信号履歴情報記録部170は、そのコードを取得してユーザを特定する。この場合、ユーザごとに統計処理が行われる。
【0169】
また、操作信号を発信できるリモートコントロール装置が複数ある場合、操作信号履歴情報記録部170は、いずれの装置からの操作信号であるかを解析してもよい。この場合、装置ごとに統計処理が行われる。
【0170】
また、視聴環境検出部180は、視聴環境を示すパラメータであれば、照度以外のパラメータを検出することもできる。例えば、視聴環境検出部180は、高解像度画像を表示する表示装置の物理的な画面サイズを検出してもよい。画面サイズが大きい表示装置での視聴に適した高解像度画像を予測する予測演算においては、低圧縮の生徒画像で学習した予測係数群が適している。この傾向に基づいてシフト量が決定される。
【0171】
また、予測タップ種別の分類において、学習時における予測タップの抽出元の画像の圧縮率で、各予測タップを複数の予測タップ種別に分類しているが、圧縮率以外の種類に基づいて、予測タップを分類してもよい。例えば、学習時の抽出元の画像が自然画またはCG画像のいずれに近いかにより予測タップ種別に分類してもよい。自然画またはCG画像のいずれに近いかにより予測タップ種別を分類した場合、コントラストが強いほど、CG画像に近い画像で学習した予測係数群が適している。この傾向に基づいてシフト量が決定される。
【0172】
<第3の実施の形態>
[画像情報変換装置の構成例]
図33は、第3の実施の形態における画像情報変換装置100の一構成例を示すブロック図である。第3の実施の形態の画像情報変換装置100は、平均波形演算部185をさらに備える点において第1の実施の形態の画像情報変換装置100と異なる。第2の変形例における予測タップ抽出部111は、予測タップ内の各画素値を平均波形演算部185にさらに出力する。
【0173】
平均波形演算部185は、予測タップ内の各画素の画素値の平均値を平均波形として演算するものである。平均波形演算部185は、演算した平均波形が学習時における平均波形の範囲外であった場合に、候補判定結果列をシフトするシフト量Cを判別演算部141に信号線189を介して出力する。
【0174】
シフト量Cは、その平均波形に適した予測係数群が属する予測タップ種別を優先する方向に候補判定結果列をビットシフトする量である。各予測係数群が、平均波形に適するか否かは、その予測係数群を選択した場合に、それ以外の予測係数群を選択する場合よりも、その低解像度画像から変換した高画質画像の画質がよく見えるか否かにより判断される。例えば、画素値を輝度値として、学習時の生徒画像よりも明るい低解像度画像が入力された場合、入力された低解像度画像の実際の圧縮率よりも低い圧縮率の画像で学習した予測係数群を使用した方が、比較的適切な高解像度画像が生成される。
【0175】
図34は、第3の実施の形態における平均波形演算部185の一構成例を示すブロック図である。平均波形演算部185は、平均波形演算器186およびシフト量出力部187を備える。
【0176】
平均波形演算器186は、予測タップ内の各画素値から平均波形を演算するものである。平均波形演算器186は、演算した平均波形をシフト量出力部187に出力する。
【0177】
シフト量出力部187は、平均波形に基づいてシフト量Cを決定するものである。シフト量出力部187は、決定したシフト量Cを判別演算部141に出力する。シフト量Cは、平均波形の値ごとに予め設定される。判別演算部141は、そのシフト量Cに基づいて候補判定結果列をシフトする。
【0178】
このように、第3の実施の形態によれば、画像情報変換装置100は、平均波形に適した予測係数群が属する予測タップ種別を優先する方向に候補判定結果列をシフトする。このため、学習時の平均波形の範囲外の低解像度画像が入力された場合であっても、適切な予測タップ係数群が選択され、画質が低下しにくい。
【0179】
なお、上述の実施の形態は本技術を具現化するための一例を示したものであり、実施の形態における事項と、特許請求の範囲における発明特定事項とはそれぞれ対応関係を有する。同様に、特許請求の範囲における発明特定事項と、これと同一名称を付した本技術の実施の形態における事項とはそれぞれ対応関係を有する。ただし、本技術は実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において実施の形態に種々の変形を施すことにより具現化することができる。
【0180】
また、上述の実施の形態において説明した処理手順は、これら一連の手順を有する方法として捉えてもよく、また、これら一連の手順をコンピュータに実行させるためのプログラム乃至そのプログラムを記憶する記録媒体として捉えてもよい。この記録媒体として、例えば、CD(Compact Disc)、MD(MiniDisc)、DVD(Digital Versatile Disk)、メモリカード、ブルーレイディスク(Blu-ray Disc(登録商標))等を用いることができる。
【0181】
なお、本技術は以下のような構成もとることができる。
(1)第1の画像内のいずれかの画素を注目画素として当該注目画素を含む第1の画素群であるクラスタップと前記注目画素を含む第2の画素群である予測タップとを前記第1の画像から抽出するタップ抽出部と、
前記クラスタップ内の各画素の画素値の3次元分布の形状パターンを複数のクラスのうちのいずれかに分類するクラス分類部と、
複数の予測タップ種別のうちのいずれに前記予測タップが属するかを判別する判別演算において使用すべき係数群として前記予測タップ種別ごとに前記複数のクラスに対応付けて設定された複数の判別係数群の中から前記複数の予測タップ種別のそれぞれにおいて前記分類されたクラスに対応する前記判別係数群を選択する判別係数選択部と、
前記選択された判別係数群と前記予測タップ内の各画素の画素値とに基づいて前記判別演算を実行した結果から前記予測タップが属する前記予測タップ種別を判別する判別演算部と、
前記第1の画像の解像度を変更した画像である第2の画像内の画素の画素値を予測する予測演算において使用すべき係数群として前記複数のクラスと前記複数の予測タップ種別との各組合せに対応付けて設定された複数の予測係数群の中から前記分類されたクラスと前記判別された予測タップ種別との組合せに対応する前記予測係数群を選択する予測係数選択部と、
前記選択された予測係数群と前記予測タップ内の各画素の画素値とに基づいて前記予測演算を実行する予測演算部と
を具備する画像情報変換装置。
(2)前記クラス分類部は、前記クラスタップ内の各画素の画素値の階調数を減じて当該階調数を減じた前記画素値に基づいて前記形状パターンを前記複数のクラスのうちのいずれかに分類する前記(1)の画像情報変換装置。
(3)前記判別演算部は、
前記選択された前記判別係数群内の各判別係数と前記予測タップ内の各画素の画素値との積和演算を前記判別演算として実行する判別演算実行部と、
前記複数の予測タップ種別のそれぞれにおける前記積和演算の結果と所定の閾値とを比較して比較した結果の各々を比較結果として出力する比較部と、
前記比較結果に基づいて前記予測タップが属する前記予測タップ種別を判別する予測タップ種別判別部と
を備える前記(1)または(2)記載の画像情報変換装置。
(4)前記第2の画像の画質を調整する操作信号を記録する記録部をさらに具備し、
前記予測タップ種別判別部は、前記記録された操作信号により行われる前記画質の調整に適した前記予測係数群が属する前記予測タップ種別を優先して前記複数の予測タップのうちのいずれかを選択する
前記(3)記載の画像情報変換装置。
(5)前記第2の画像の視聴環境を示す視聴環境パラメータを検出する視聴環境検出部をさらに具備し、
前記予測タップ種別判別部は、前記視聴環境パラメータの示す前記視聴環境に適した前記予測係数群が属する前記予測タップ種別を優先して前記複数の予測タップ種別のうちのいずれかを選択する
前記(3)記載の画像情報変換装置。
(6)前記視聴環境パラメータは、前記第2の画像を表示する表示装置が設置された室内の照明の照度を含む
前記(5)記載の画像情報変換装置。
(7)前記視聴環境パラメータは、前記第2の画像を表示する表示装置の種別を含む
前記(5)または(6)記載の画像情報変換装置。
(8)前記予測タップ内の各画素の画素値の平均値を演算する平均値演算部をさらに具備し、
前記予測タップ種別判別部は、
前記平均値が所定の範囲外である場合に前記平均値に適した前記予測係数群が属する前記予測タップ種別を優先して前記複数の予測タップ種別のうちのいずれかを選択する
前記(3)記載の画像情報変換装置。
(9)第1の画像内のいずれかの画素を注目画素として当該注目画素を含む第1の画素群であるクラスタップと前記注目画素を含む第2の画素群である予測タップとを前記第1の画像から抽出するタップ抽出ステップと、
前記クラスタップ内の各画素の画素値の3次元分布の形状パターンを複数のクラスのうちのいずれかに分類するクラス分類ステップと、
複数の予測タップ種別のうちのいずれに前記予測タップが属するかを判別する判別演算において使用すべき係数群として前記予測タップ種別ごとに前記複数のクラスに対応付けて設定された複数の判別係数群の中から前記複数の予測タップ種別のそれぞれにおいて前記分類されたクラスに対応する前記判別係数群を選択する判別係数選択ステップと、
前記選択された判別係数群と前記予測タップ内の各画素の画素値とに基づいて前記判別演算を実行した結果から前記予測タップが属する前記予測タップ種別を判別する判別演算ステップと、
前記第1の画像の解像度を変更した画像である第2の画像内の画素の画素値を予測する予測演算において使用すべき係数群として前記複数のクラスと前記複数の予測タップ種別との各組合せに対応付けて設定された複数の予測係数群の中から前記分類されたクラスと前記判別された予測タップ種別との組合せに対応する前記予測係数群を選択する予測係数選択ステップと、
前記選択された予測係数群と前記予測タップ内の各画素の画素値とに基づいて前記予測演算を実行する予測演算ステップと
を具備する画像情報変換装置の制御方法。
(10)第1の画像内のいずれかの画素を注目画素として当該注目画素を含む第1の画素群であるクラスタップと前記注目画素を含む第2の画素群である予測タップとを前記第1の画像から抽出するタップ抽出ステップと、
前記クラスタップ内の各画素の画素値の3次元分布の形状パターンを複数のクラスのうちのいずれかに分類するクラス分類ステップと、
複数の予測タップ種別のうちのいずれに前記予測タップが属するかを判別する判別演算において使用すべき係数群として前記予測タップ種別ごとに前記複数のクラスに対応付けて設定された複数の判別係数群の中から前記複数の予測タップ種別のそれぞれにおいて前記分類されたクラスに対応する前記判別係数群を選択する判別係数選択ステップと、
前記選択された判別係数群と前記予測タップ内の各画素の画素値とに基づいて前記判別演算を実行した結果から前記予測タップが属する前記予測タップ種別を判別する判別演算ステップと、
前記第1の画像の解像度を変更した画像である第2の画像内の画素の画素値を予測する予測演算において使用すべき係数群として前記複数のクラスと前記複数の予測タップ種別との各組合せに対応付けて設定された複数の予測係数群の中から前記分類されたクラスと前記判別された予測タップ種別との組合せに対応する前記予測係数群を選択する予測係数選択ステップと、
前記選択された予測係数群と前記予測タップ内の各画素の画素値とに基づいて前記予測演算を実行する予測演算ステップと
をコンピュータに実行させるためのプログラム。
(11)複数の異なる画像のそれぞれを生徒画像として複数の前記生徒画像からなる生徒画像群を複数回入力する生徒画像入力部と、
前記入力された生徒画像内のいずれかの画素を注目画素として当該注目画素を含む第1の画素群であるクラスタップと前記注目画素を含む第2の画素群である予測タップとを前記画像から抽出するタップ抽出部と、
前記クラスタップ内の各画素の画素値の3次元分布の形状パターンを複数のクラスのうちのいずれかに分類するクラス分類部と、
前記生徒画像群内のいずれかの前記生徒画像を判別画像として前記判別画像が入力された場合に第1の目標値を生成し、前記判別画像以外の前記生徒画像が入力された場合に第2の目標値を生成する目標値生成部と、
画像の解像度を変更する場合において変更対象の前記画像が前記学習画像に類似するか否かを判別する判別演算において使用すべき判別係数群を前記第1および第2の目標値と前記予測タップ内の各画素の画素値とに基づいて前記クラスごとに演算する判別係数演算部と
を具備する判別係数学習装置。
(12)前記生徒画像入力部は、前記生徒画像の解像度を変更した画像である教師画像を複数のフィルタに通過させることにより前記生徒画像群を生成するフィルタ部と、
前記生成された複数の生徒画像群を複数回入力する生徒画像供給部とを備える前記(11)記載の判別係数学習装置。
(13)前記判別演算は、前記判別係数群内の各判別係数と前記変更対象の画像内の前記予測タップ内の各画素値との積和演算であり、
前記判別係数演算部は、前記学習画像における前記判別演算の結果と前記第1の目標値との間の差分の二乗和に前記学習画像以外の前記生徒画像における前記判別演算の結果と前記第2の目標値との間の差分の二乗和を加算した値を最小にする前記判別係数群を前記複数のクラスの各々について演算する
前記(11)または(12)記載の判別係数学習装置。
(14)複数の異なる画像のそれぞれを生徒画像として複数の前記生徒画像からなる生徒画像群を複数回入力する生徒画像入力ステップと、
前記入力された生徒画像内のいずれかの画素を注目画素として当該注目画素を含む第1の画素群であるクラスタップと前記注目画素を含む第2の画素群である予測タップとを前記画像から抽出するタップ抽出ステップと、
前記クラスタップ内の各画素の画素値の3次元分布の形状パターンを複数のクラスのうちのいずれかに分類するクラス分類ステップと、
前記生徒画像群内のいずれかの前記生徒画像を判別画像として前記判別画像が入力された場合に第1の目標値を生成し、前記判別画像以外の前記生徒画像が入力された場合に第2の目標値を生成する目標値生成ステップと、
画像の解像度を変更する場合において変更対象の前記画像が前記学習画像に類似するか否かを判別する判別演算において使用すべき判別係数群を前記第1および第2の目標値と前記予測タップ内の各画素の画素値とに基づいて前記クラスごとに演算する判別係数演算ステップと
を具備する判別係数学習装置の制御方法。
(15)複数の異なる画像のそれぞれを生徒画像として複数の前記生徒画像からなる生徒画像群を複数回入力する生徒画像入力ステップと、
前記入力された生徒画像内のいずれかの画素を注目画素として当該注目画素を含む第1の画素群であるクラスタップと前記注目画素を含む第2の画素群である予測タップとを前記画像から抽出するタップ抽出ステップと、
前記クラスタップ内の各画素の画素値の3次元分布の形状パターンを複数のクラスのうちのいずれかに分類するクラス分類ステップと、
前記生徒画像群内のいずれかの前記生徒画像を判別画像として前記判別画像が入力された場合に第1の目標値を生成し、前記判別画像以外の前記生徒画像が入力された場合に第2の目標値を生成する目標値生成ステップと、
画像の解像度を変更する場合において変更対象の前記画像が前記学習画像に類似するか否かを判別する判別演算において使用すべき判別係数群を前記第1および第2の目標値と前記予測タップ内の各画素の画素値とに基づいて前記クラスごとに演算する判別係数演算ステップと
を実行させるためのプログラム。
(16)複数の異なる画像のそれぞれを生徒画像として入力する生徒画像入力部と、
前記入力された生徒画像内のいずれかの画素を注目画素として当該注目画素を含む第1の画素群であるクラスタップと前記注目画素を含む第2の画素群である予測タップとを前記第1の画像から抽出するタップ抽出部と、
前記クラスタップ内の各画素の画素値の3次元分布の形状パターンを複数のクラスのうちのいずれかに分類するクラス分類部と、
前記入力された生徒画像の解像度を変更した画像である教師画像内の1つ以上の画素を教師画素として抽出する教師画素抽出部と、
前記教師画素の画素値を予測する予測演算において使用すべき予測係数群を前記予測タップ内の各画素の画素値と前記教師画素の画素値とに基づいて前記クラスごとに演算する予測係数演算部と
を具備する予測係数学習装置。
(17)前記生徒画像入力部は、前記教師画像を複数のフィルタに通過させることにより前記複数の生徒画像を生成して入力する
前記(16)記載の予測係数学習装置。
(18)複数の異なる画像のそれぞれを生徒画像として入力する生徒画像入力ステップと、
前記入力された生徒画像内のいずれかの画素を注目画素として当該注目画素を含む第1の画素群であるクラスタップと前記注目画素を含む第2の画素群である予測タップとを前記第1の画像から抽出するタップ抽出ステップと、
前記クラスタップ内の各画素の画素値の3次元分布の形状パターンを複数のクラスのうちのいずれかに分類するクラス分類ステップと、
前記入力された生徒画像の解像度を変更した画像である教師画像内の1つ以上の画素を教師画素として抽出する教師画素抽出ステップと、
前記教師画素の画素値を予測する予測演算において使用すべき予測係数群を前記予測タップ内の各画素の画素値と前記教師画素の画素値とに基づいて前記クラスごとに演算する予測係数演算ステップと
を具備する予測係数学習装置の制御方法。
(19)複数の異なる画像のそれぞれを生徒画像として入力する生徒画像入力ステップと、
前記入力された生徒画像内のいずれかの画素を注目画素として当該注目画素を含む第1の画素群であるクラスタップと前記注目画素を含む第2の画素群である予測タップとを前記第1の画像から抽出するタップ抽出ステップと、
前記クラスタップ内の各画素の画素値の3次元分布の形状パターンを複数のクラスのうちのいずれかに分類するクラス分類ステップと、
前記入力された生徒画像の解像度を変更した画像である教師画像内の1つ以上の画素を教師画素として抽出する教師画素抽出ステップと、
前記教師画素の画素値を予測する予測演算において使用すべき予測係数群を前記予測タップ内の各画素の画素値と前記教師画素の画素値とに基づいて前記クラスごとに演算する予測係数演算ステップと
をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【符号の説明】
【0182】
100 画像情報変換装置
110、230、330 タップ抽出部
111 予測タップ抽出部
112 クラスタップ抽出部
120、240、340 クラス分類部
121 再量子化部
122 クラスコード決定部
130 判別係数選択部
131、280 判別係数記憶部
132 判別係数メモリ
133 判別係数読出部
140、141 判別演算部
142 判別演算器
143 閾値処理部
144 候補判定結果列生成部
145 シフト部
146 予測タップ種別決定部
150 予測係数選択部
151 予測係数記憶部
152 予測係数メモリ
153 予測係数読出部
154、312 セレクタ
160 予測演算部
170 操作信号履歴情報記録部
171 操作信号解析部
172、182、271 統計処理部
173、183、187 シフト量出力部
180 視聴環境検出部
181 センサ信号解析部
185 平均波形演算部
186 平均波形演算器
190 画質調整部
200 判別係数学習装置
210、310 フィルタ部
211、311 2次元フィルタ
212 生徒画像記憶部
213 生徒画像供給部
220 目標値供給部
250 判別係数演算部
260 正規方程式生成部
270 判別係数決定部
272 行列成分合計値記憶部
273 判別係数演算器
300 予測係数学習装置
320 教師画素抽出部
350 予測係数演算部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の画像内のいずれかの画素を注目画素として当該注目画素を含む第1の画素群であるクラスタップと前記注目画素を含む第2の画素群である予測タップとを前記第1の画像から抽出するタップ抽出部と、
前記クラスタップ内の各画素の画素値の3次元分布の形状パターンを複数のクラスのうちのいずれかに分類するクラス分類部と、
複数の予測タップ種別のうちのいずれに前記予測タップが属するかを判別する判別演算において使用すべき係数群として前記予測タップ種別ごとに前記複数のクラスに対応付けて設定された複数の判別係数群の中から前記複数の予測タップ種別のそれぞれにおいて前記分類されたクラスに対応する前記判別係数群を選択する判別係数選択部と、
前記選択された判別係数群と前記予測タップ内の各画素の画素値とに基づいて前記判別演算を実行した結果から前記予測タップが属する前記予測タップ種別を判別する判別演算部と、
前記第1の画像の解像度を変更した画像である第2の画像内の画素の画素値を予測する予測演算において使用すべき係数群として前記複数のクラスと前記複数の予測タップ種別との各組合せに対応付けて設定された複数の予測係数群の中から前記分類されたクラスと前記判別された予測タップ種別との組合せに対応する前記予測係数群を選択する予測係数選択部と、
前記選択された予測係数群と前記予測タップ内の各画素の画素値とに基づいて前記予測演算を実行する予測演算部と
を具備する画像情報変換装置。
【請求項2】
前記クラス分類部は、前記クラスタップ内の各画素の画素値の階調数を減じて当該階調数を減じた前記画素値に基づいて前記形状パターンを前記複数のクラスのうちのいずれかに分類する請求項1記載の画像情報変換装置。
【請求項3】
前記判別演算部は、
前記選択された前記判別係数群内の各判別係数と前記予測タップ内の各画素の画素値との積和演算を前記判別演算として実行する判別演算実行部と、
前記複数の予測タップ種別のそれぞれにおける前記積和演算の結果と所定の閾値とを比較して比較した結果の各々を比較結果として出力する比較部と、
前記比較結果に基づいて前記予測タップが属する前記予測タップ種別を判別する予測タップ種別判別部と
を備える請求項1記載の画像情報変換装置。
【請求項4】
前記第2の画像の画質を調整する操作信号を記録する記録部をさらに具備し、
前記予測タップ種別判別部は、前記記録された操作信号により行われる前記画質の調整に適した前記予測係数群が属する前記予測タップ種別を優先して前記複数の予測タップのうちのいずれかを選択する
請求項3記載の画像情報変換装置。
【請求項5】
前記第2の画像の視聴環境を示す視聴環境パラメータを検出する視聴環境検出部をさらに具備し、
前記予測タップ種別判別部は、前記視聴環境パラメータの示す前記視聴環境に適した前記予測係数群が属する前記予測タップ種別を優先して前記複数の予測タップ種別のうちのいずれかを選択する
請求項3記載の画像情報変換装置。
【請求項6】
前記視聴環境パラメータは、前記第2の画像を表示する表示装置が設置された室内の照明の照度を含む
請求項5記載の画像情報変換装置。
【請求項7】
前記視聴環境パラメータは、前記第2の画像を表示する表示装置の種別を含む
請求項5記載の画像情報変換装置。
【請求項8】
前記予測タップ内の各画素の画素値の平均値を演算する平均値演算部をさらに具備し、
前記予測タップ種別判別部は、
前記平均値が所定の範囲外である場合に前記平均値に適した前記予測係数群が属する前記予測タップ種別を優先して前記複数の予測タップ種別のうちのいずれかを選択する
請求項3記載の画像情報変換装置。
【請求項9】
第1の画像内のいずれかの画素を注目画素として当該注目画素を含む第1の画素群であるクラスタップと前記注目画素を含む第2の画素群である予測タップとを前記第1の画像から抽出するタップ抽出ステップと、
前記クラスタップ内の各画素の画素値の3次元分布の形状パターンを複数のクラスのうちのいずれかに分類するクラス分類ステップと、
複数の予測タップ種別のうちのいずれに前記予測タップが属するかを判別する判別演算において使用すべき係数群として前記予測タップ種別ごとに前記複数のクラスに対応付けて設定された複数の判別係数群の中から前記複数の予測タップ種別のそれぞれにおいて前記分類されたクラスに対応する前記判別係数群を選択する判別係数選択ステップと、
前記選択された判別係数群と前記予測タップ内の各画素の画素値とに基づいて前記判別演算を実行した結果から前記予測タップが属する前記予測タップ種別を判別する判別演算ステップと、
前記第1の画像の解像度を変更した画像である第2の画像内の画素の画素値を予測する予測演算において使用すべき係数群として前記複数のクラスと前記複数の予測タップ種別との各組合せに対応付けて設定された複数の予測係数群の中から前記分類されたクラスと前記判別された予測タップ種別との組合せに対応する前記予測係数群を選択する予測係数選択ステップと、
前記選択された予測係数群と前記予測タップ内の各画素の画素値とに基づいて前記予測演算を実行する予測演算ステップと
を具備する画像情報変換装置の制御方法。
【請求項10】
第1の画像内のいずれかの画素を注目画素として当該注目画素を含む第1の画素群であるクラスタップと前記注目画素を含む第2の画素群である予測タップとを前記第1の画像から抽出するタップ抽出ステップと、
前記クラスタップ内の各画素の画素値の3次元分布の形状パターンを複数のクラスのうちのいずれかに分類するクラス分類ステップと、
複数の予測タップ種別のうちのいずれに前記予測タップが属するかを判別する判別演算において使用すべき係数群として前記予測タップ種別ごとに前記複数のクラスに対応付けて設定された複数の判別係数群の中から前記複数の予測タップ種別のそれぞれにおいて前記分類されたクラスに対応する前記判別係数群を選択する判別係数選択ステップと、
前記選択された判別係数群と前記予測タップ内の各画素の画素値とに基づいて前記判別演算を実行した結果から前記予測タップが属する前記予測タップ種別を判別する判別演算ステップと、
前記第1の画像の解像度を変更した画像である第2の画像内の画素の画素値を予測する予測演算において使用すべき係数群として前記複数のクラスと前記複数の予測タップ種別との各組合せに対応付けて設定された複数の予測係数群の中から前記分類されたクラスと前記判別された予測タップ種別との組合せに対応する前記予測係数群を選択する予測係数選択ステップと、
前記選択された予測係数群と前記予測タップ内の各画素の画素値とに基づいて前記予測演算を実行する予測演算ステップと
をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項11】
複数の異なる画像のそれぞれを生徒画像として複数の前記生徒画像からなる生徒画像群を複数回入力する生徒画像入力部と、
前記入力された生徒画像内のいずれかの画素を注目画素として当該注目画素を含む第1の画素群であるクラスタップと前記注目画素を含む第2の画素群である予測タップとを前記画像から抽出するタップ抽出部と、
前記クラスタップ内の各画素の画素値の3次元分布の形状パターンを複数のクラスのうちのいずれかに分類するクラス分類部と、
前記生徒画像群内のいずれかの前記生徒画像を判別画像として前記判別画像が入力された場合に第1の目標値を生成し、前記判別画像以外の前記生徒画像が入力された場合に第2の目標値を生成する目標値生成部と、
画像の解像度を変更する場合において変更対象の前記画像が前記学習画像に類似するか否かを判別する判別演算において使用すべき判別係数群を前記第1および第2の目標値と前記予測タップ内の各画素の画素値とに基づいて前記クラスごとに演算する判別係数演算部と
を具備する判別係数学習装置。
【請求項12】
前記生徒画像入力部は、前記生徒画像の解像度を変更した画像である教師画像を複数のフィルタに通過させることにより前記生徒画像群を生成するフィルタ部と、
前記生成された複数の生徒画像群を複数回入力する生徒画像供給部とを備える請求項11記載の判別係数学習装置。
【請求項13】
前記判別演算は、前記判別係数群内の各判別係数と前記変更対象の画像内の前記予測タップ内の各画素値との積和演算であり、
前記判別係数演算部は、前記学習画像における前記判別演算の結果と前記第1の目標値との間の差分の二乗和に前記学習画像以外の前記生徒画像における前記判別演算の結果と前記第2の目標値との間の差分の二乗和を加算した値を最小にする前記判別係数群を前記複数のクラスの各々について演算する
請求項11記載の判別係数学習装置。
【請求項14】
複数の異なる画像のそれぞれを生徒画像として複数の前記生徒画像からなる生徒画像群を複数回入力する生徒画像入力ステップと、
前記入力された生徒画像内のいずれかの画素を注目画素として当該注目画素を含む第1の画素群であるクラスタップと前記注目画素を含む第2の画素群である予測タップとを前記画像から抽出するタップ抽出ステップと、
前記クラスタップ内の各画素の画素値の3次元分布の形状パターンを複数のクラスのうちのいずれかに分類するクラス分類ステップと、
前記生徒画像群内のいずれかの前記生徒画像を判別画像として前記判別画像が入力された場合に第1の目標値を生成し、前記判別画像以外の前記生徒画像が入力された場合に第2の目標値を生成する目標値生成ステップと、
画像の解像度を変更する場合において変更対象の前記画像が前記学習画像に類似するか否かを判別する判別演算において使用すべき判別係数群を前記第1および第2の目標値と前記予測タップ内の各画素の画素値とに基づいて前記クラスごとに演算する判別係数演算ステップと
を具備する判別係数学習装置の制御方法。
【請求項15】
複数の異なる画像のそれぞれを生徒画像として複数の前記生徒画像からなる生徒画像群を複数回入力する生徒画像入力ステップと、
前記入力された生徒画像内のいずれかの画素を注目画素として当該注目画素を含む第1の画素群であるクラスタップと前記注目画素を含む第2の画素群である予測タップとを前記画像から抽出するタップ抽出ステップと、
前記クラスタップ内の各画素の画素値の3次元分布の形状パターンを複数のクラスのうちのいずれかに分類するクラス分類ステップと、
前記生徒画像群内のいずれかの前記生徒画像を判別画像として前記判別画像が入力された場合に第1の目標値を生成し、前記判別画像以外の前記生徒画像が入力された場合に第2の目標値を生成する目標値生成ステップと、
画像の解像度を変更する場合において変更対象の前記画像が前記学習画像に類似するか否かを判別する判別演算において使用すべき判別係数群を前記第1および第2の目標値と前記予測タップ内の各画素の画素値とに基づいて前記クラスごとに演算する判別係数演算ステップと
を実行させるためのプログラム。
【請求項16】
複数の異なる画像のそれぞれを生徒画像として入力する生徒画像入力部と、
前記入力された生徒画像内のいずれかの画素を注目画素として当該注目画素を含む第1の画素群であるクラスタップと前記注目画素を含む第2の画素群である予測タップとを前記第1の画像から抽出するタップ抽出部と、
前記クラスタップ内の各画素の画素値の3次元分布の形状パターンを複数のクラスのうちのいずれかに分類するクラス分類部と、
前記入力された生徒画像の解像度を変更した画像である教師画像内の1つ以上の画素を教師画素として抽出する教師画素抽出部と、
前記教師画素の画素値を予測する予測演算において使用すべき予測係数群を前記予測タップ内の各画素の画素値と前記教師画素の画素値とに基づいて前記クラスごとに演算する予測係数演算部と
を具備する予測係数学習装置。
【請求項17】
前記生徒画像入力部は、前記教師画像を複数のフィルタに通過させることにより前記複数の生徒画像を生成して入力する
請求項16記載の予測係数学習装置。
【請求項18】
複数の異なる画像のそれぞれを生徒画像として入力する生徒画像入力ステップと、
前記入力された生徒画像内のいずれかの画素を注目画素として当該注目画素を含む第1の画素群であるクラスタップと前記注目画素を含む第2の画素群である予測タップとを前記第1の画像から抽出するタップ抽出ステップと、
前記クラスタップ内の各画素の画素値の3次元分布の形状パターンを複数のクラスのうちのいずれかに分類するクラス分類ステップと、
前記入力された生徒画像の解像度を変更した画像である教師画像内の1つ以上の画素を教師画素として抽出する教師画素抽出ステップと、
前記教師画素の画素値を予測する予測演算において使用すべき予測係数群を前記予測タップ内の各画素の画素値と前記教師画素の画素値とに基づいて前記クラスごとに演算する予測係数演算ステップと
を具備する予測係数学習装置の制御方法。
【請求項19】
複数の異なる画像のそれぞれを生徒画像として入力する生徒画像入力ステップと、
前記入力された生徒画像内のいずれかの画素を注目画素として当該注目画素を含む第1の画素群であるクラスタップと前記注目画素を含む第2の画素群である予測タップとを前記第1の画像から抽出するタップ抽出ステップと、
前記クラスタップ内の各画素の画素値の3次元分布の形状パターンを複数のクラスのうちのいずれかに分類するクラス分類ステップと、
前記入力された生徒画像の解像度を変更した画像である教師画像内の1つ以上の画素を教師画素として抽出する教師画素抽出ステップと、
前記教師画素の画素値を予測する予測演算において使用すべき予測係数群を前記予測タップ内の各画素の画素値と前記教師画素の画素値とに基づいて前記クラスごとに演算する予測係数演算ステップと
をコンピュータに実行させるためのプログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate

【図26】
image rotate

【図27】
image rotate

【図28】
image rotate

【図29】
image rotate

【図30】
image rotate

【図31】
image rotate

【図32】
image rotate

【図33】
image rotate

【図34】
image rotate


【公開番号】特開2012−248994(P2012−248994A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−117871(P2011−117871)
【出願日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】