説明

画像投射装置

【課題】様々な場所に簡単に設置することが可能な画像投射装置を提供する。
【解決手段】画像投射装置本体150と、画像投射装置本体150を被設置体に固定する固定部材102と、画像投射装置本体150の筐体101に取付けられ、画像投射装置本体150と固定部材102との間に介在し、画像投射装置本体150と固定部材102との間隔を調整する間隔調整部材111とを備えた画像投射装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力された画像信号に応じた画像を被投射面に投射する画像投射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像投射装置は、入力された画像信号に応じた拡大画像を被投射面に投射するものであり、テレビジョン等の表示装置と比べると、画面表示用パネルの設置が不要であるため、対象物を問わずに画像を表示でき、且つ表示画面サイズを自由に変化させることができるという利点がある。したがって、画像投射装置は、油汚れが多い台所のガスコンロ付近や湿度の高い浴室内の壁面等、環境が悪条件な場所でも設置が容易であると共に、大きなサイズの画面表示が可能である。
【0003】
このような画像投射装置として、例えば、浴槽又はその近辺に配置され、給湯器を遠隔操作するリモコンと、当該リモコンからの信号に基づいて、該給湯器の運転状態及び該リモコンによる操作状態を浴室の壁面又は天井に拡大縮小可能に投影して表示するプロジェクタと、を備えた浴室用表示装置が紹介されている。(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、調理の状態を監視するセンサにより検出された検出情報と、この調理の状態が適正であるときに当該センサが示す適正情報とを用いて調理者に対する指示を出力する出力手段として画像投射装置を用いる調理システムも紹介されている。この調理システムでは、フライパンの温度をフライパン上に表示することが可能である。(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−162107号公報
【特許文献2】特開2011−58782号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1及び2には、画像投射装置を設置するための具体的な構成や方法が記載されていない。また、特許文献1に記載の発明は浴室用として構成され、特許文献2に記載の発明は調理システムとして構成されており、両者共、他の用途として使用することについては何ら記載がなされていない。
【0007】
本発明は、以上の点を考慮してなされたものであり、様々な場所に簡単に設置することが可能な画像投射装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的を達成するため、本発明は、被設置体に設置可能な画像投射装置であって、画像投射装置本体と、前記画像投射装置本体を前記被設置体に固定する固定部材と、前記画像投射装置本体に取付けられ、当該画像投射装置本体と前記固定部材との間に介在し、当該画像投射装置本体と固定部材との間隔を調整する間隔調整部材と、を備えた画像投射装置を提供するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、様々な場所に簡単に設置することが可能な画像投射装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施形態1に係る画像投射装置の構成図である。
【図2】図1に示す画像投射装置の使用例を示す概略図である。
【図3】図1に示す画像投射装置の操作方法の一例を示す概略図である。
【図4】図1に示す画像投射装置の操作方法の一例を示す概略図である。
【図5】図1に示す画像投射装置の使用方法の一例を示す概略図である。
【図6】本発明の実施形態2に係る画像投射装置の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に、本発明の実施形態に係る画像投射装置について図面を参照して説明する。なお、以下に記載される実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明をこれらの実施形態にのみ限定するものではない。したがって、本発明は、その要旨を逸脱しない限り、様々な形態で実施することができる。
【0012】
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係る画像投射装置の構成図、図2は、図1に示す画像投射装置の使用例を示す概略図である。なお、前記各図では、説明を判り易くするため、各部材の厚さやサイズ、拡大・縮小率等は、実際のものとは一致させずに記載した。
【0013】
図1に示すように、実施形態1に係る画像投射装置100は、画像投射装置本体150と、画像投射装置本体150を、壁、天井、家具、換気扇等の各種機器等、様々な被設置体に固定する固定部材102と、画像投射装置本体150と固定部材102との間に介在し、画像投射装置本体150と固定部材102との間隔を調整する間隔調整部材111とを有している。
【0014】
固定部材102は電磁石から構成されており、間隔調整部材111の上部に配設されている。このように、固定部材102を電磁石から構成することで、画像投射装置100を被設置体にワンタッチで簡単に取付けることができ且つ取外すことができる。なお、この固定部材102は、間隔調整部材111に対しても電磁石にて簡単に取付け・取外しができる構成としてもよい。
【0015】
ここで、通常、電磁石は、電磁石を通過する電流の大きさによって磁力の強度を任意に変化することができる。したがって、固定部材102を被設置体に取付ける際、電磁石に供給する電流量を大きくすると、磁石の強度が大きくなり、被設置体に強固に固定される。一方、固定部材102を被設置体から取り外す際は、電磁石に供給する電流量を小さくすると磁力の強度が小さくなり、被設置体から取外し易くなる。なお、固定部材102には、後に詳述する画像投射装置本体150に配設されている電磁石制御部112が接続されており、固定部材102に供給される電流量が電磁石制御部112によって制御されるようになっている。
【0016】
間隔調整部材111は、表面に螺子溝(雄螺子)が形成されており、後に詳述する画像投射装置本体150の筐体101の天井面に貫通形成された螺子穴115の螺子溝(雌螺子)と螺合することで、回転運動を直線運動に変換する。この間隔調整部材111には、モータ110が接続されており、このモータ110の駆動に応じて所定の方向に回転し、固定部材102と画像投射装置本体150との間隔を調整するようになっている。なお、この間隔調整部材111は、画像投射装置本体150の筐体101に対し、簡単に取付け・取外しができる構成としてもよい。具体的には、例えば、間隔調整部材111を回転することにより、筐体101の螺子穴から間隔調整部材111を抜取れるように構成してもよい。
【0017】
画像投射装置本体150は筐体101を有しており、この筐体101内には、画像投射素子104と、センサ106と、通信装置108と、モータ110と、これら画像投射素子104、センサ106、通信装置108及びモータ110に接続された中央処理装置120とが内蔵されている。
【0018】
筐体101は、内部に水、油、粉塵等の汚れが侵入しない構成となっており、例えば、アルミニウム等の金属やプラスチックで構成される。筐体101の側面の下方には、画像投射素子104が生成した画像を投射するための開口103が設けられており、底面には、センサ106が情報を取り込むための開口105が設けられている。これらの開口103及び105には、ガラスやプラスチック等の透明な平板が取付けられており、筐体101内部に水や油、粉塵等の汚れが侵入することが防止されている。また、筐体101の天井面には、間隔調整部材111の外周面に形成されている雄螺子が螺合する雌螺子を有する螺子穴115が貫通形成されている。
【0019】
画像投射素子104は、筐体101に設けられた開口103から外部に向けて画像を投射することが可能な位置に配設されている。この画像投射素子104は、入力された画像信号に応じた画像生成信号を生成し、開口103に対して垂直方向に画像を投射するものである。実施形態1では、この画像投射素子104として、例えば、光源に赤緑青の3色の光ビームをそれぞれ発射する3個の半導体レーザと、半導体レーザから出射した光ビームをMicro Electro Mechanical Systems(MEMS)ミラーやガルバノミラー等の偏向ミラーでスクリーン上に走査する方式で構成されるレーザ走査方式の画像投射素子を採用した。
【0020】
レーザ走査方式の画像投射素子を採用した画像投射装置は、一般的な画像投射装置である液晶画像投射装置と比較すると、格段に小型化することができる。さらに、レーザ走査方式は、スクリーン位置によらずに投射画像のピントが合う、即ちフォーカスフリーとなる利点もある。また、光源に半導体レーザを用いているので、広い色再現範囲を得ることができる。
【0021】
また、画像投射素子104は、後に詳述する中央処理装置120に接続されており、中央処理装置120の中央演算装置107から送信される信号に応じて現在表示されている画像から次に表示されるべき画像に切り替えることができるようになっている。この中央演算装置107から送信される信号は、例えば、センサ106がユーザの所定動作を検知し、この検知信号を中央演算装置107に送信することによって得られる信号に基づいている。
【0022】
センサ106は、筐体101に設けられた開口105から情報を取り込むことが可能な位置に配設されている。このセンサ106は、開口105と垂直な所定範囲内にいるユーザ自身あるいはユーザの体の所定部位が所定動作速度以上で動作した際に、その所定動作方向を検知し、この検知信号を後に詳述する中央処理装置120の中央演算装置107に送信するようになっている。このセンサ106は、例えば、カメラや特表2009−531655号公報に記載されているスペックルパターンを用いた三次元検出等で実現することができる。
【0023】
通信装置108は、外部とのコミュニケーション手段であり、例えば無線LANやBlue tooth通信方式等で実現することができる。
【0024】
モータ110は正転及び逆転が可能なモータであり、間隔調整部材111に接続され、このモータ110の駆動に応じて間隔調整部材111を時計回りまたは反時計回りに回転させる。例えば、モータ110が正転すると間隔調整部材111が時計回りに回転し、固定部材102と画像投射装置本体150との間隔が長くすることができ、モータ110が逆転すると間隔調整部材111が反時計回りに回転し、固定部材102と画像投射装置本体150との間隔が短くすることができる。
【0025】
中央処理装置120は、電磁石制御部112と、モータ制御部113と、メモリ109と、中央演算装置107とを有している。
【0026】
電磁石制御部112は、固定部材102(電磁石)に接続されており、中央演算装置107から送信される信号に応じて固定部材102に供給する電流量を制御する。この中央演算装置107から送信される信号は、例えば、センサ106がユーザの所定動作を検知し、この検知信号を中央演算装置107に送信することによって得られる信号に基づいている。
【0027】
モータ制御部113は、モータ110に接続されており、中央演算装置107から送信される信号に応じてモータ110の回転方向及び回転数を制御する。この中央演算装置107から送信される信号は、例えば、センサ106がユーザの所定動作を検知し、この検知信号を中央演算装置107に送信することによって得られる信号に基づいている。
【0028】
メモリ109は、各種データを記憶するものであり、例えば、ハードディスクドライブ、光ディスクドライブ、フラッシュメモリ等で実現される。
【0029】
中央演算装置107は、画像投射素子104、センサ106、通信装置108、モータ110、電磁石制御部112と、モータ制御部113と、メモリ109に接続され、これらを制御する。
【0030】
次に、画像投射装置100の具体的動作について、図2を参照して説明する。なお、実施形態1では、画像投射装置100をキッチンの換気扇の筐体201(被設置体:金属等からなる)に設置し、画像投射装置100の下方に立つユーザの前面にある壁202に画像を投射する場合について説明する。
【0031】
画像投射装置100を換気扇の筐体201に取付けるには、先ず、取付け前の固定部材102に弱電流を流しておく。このためには、例えば、画像投射装置100の所望位置に、図示しないボタン型スイッチ等の電源入力素子を設けておき、電源が入った際に固定部材102に弱電流が流れるような構成にすればよい。この固定部材102を換気扇の筐体201に近づける、あるいは接触させることで、固定部材102が電磁石の吸引力により換気扇の筐体201に固定される。
【0032】
このとき、センサ106は、画像投射装置100を換気扇の筐体201に取付ける作業をしているユーザの動作をモニタ(検知)しており、固定部材102を換気扇の筐体201に固定させた後、ユーザの手がセンサ106から所定距離(例えば十数センチ)以上離れたことを検知すると、この検知信号を中央演算装置107に送信する。検知信号を受信した中央演算装置107は、この検知信号に基づいて固定部材102(電磁石)に供給する電流量を決定し、この結果を示す信号を電磁石制御部112に送信する。電磁石制御部112は、受信した信号に基づいて、固定部材102(電磁石)に供給する電流量を増加させ、固定部材102が換気扇の筐体201に確実に固定される。このとき、供給する電流量は、画像投射装置100をユーザの手で容易に外せない程度の磁力を保持するよう調整するとよい。
【0033】
このように、画像投射装置100は、電磁石の吸引力によって被設置体に固定されるため、ユーザはワンタッチで画像投射装置100を被設置体に簡単且つ確実に固定することができる。また、被設置体は、磁石に引き付けられる材質から構成されていれば特に限定されないため、画像投射装置100を様々な場所に固定することができる。
【0034】
次に、画像投射装置100の高さ(即ち、画像投射装置100と固定部材102との間隔)の調整について説明する。この間隔の調整は、センサ106がユーザの所定動作を検知し、この検知信号を中央演算装置107に送信することによって得られる信号に基づいて行われる。具体的には、例えば、ユーザが所定速度以上で右手を右回転(時計回り)する動作をセンサ106が検知すると、センサ106は中央演算装置107に右回転の命令信号を送信する。検知信号を受信した中央演算装置107は、この検知信号に基づいてモータ110の回転方向及び回転数を決定し、この結果を示す信号をモータ制御部113に送信する。モータ制御部113は、受信した信号に基づいてモータ110を駆動させ、間隔調整部材111を右回転させる。この動作により、固定部材102と画像投射装置本体150との間隔が長くなり、画像投射装置本体150の設置位置が低くなる。
【0035】
一方、ユーザが右手を左回転(時計回り)する動作をセンサ106が検知すると、センサ106は中央演算装置107に左回転の命令信号を送信する。検知信号を受信した中央演算装置107は、この検知信号に基づいてモータ110の回転方向及び回転数を決定し、この結果を示す信号をモータ制御部113に送信する。モータ制御部113は、受信した信号に基づいてモータ110を駆動させ、間隔調整部材111を左回転させる。この動作により、固定部材102と画像投射装置本体150との間隔が短くなり、画像投射装置本体150の設置位置が高くなる。
【0036】
このように、ユーザは、手を回転させるだけで画像投射装置本体150の設置高さを簡単に調整することができる。また、固定部材102は、換気扇の筐体201に固定されているため、固定部材102と画像投射装置本体150との距離を変化させることは、壁202(画像が投射される面)と画像投射装置本体150との間の距離を調整することに相当する。
【0037】
ここで、通常、画像投射装置100は、画像が投射される面との距離が変化すると、フォーカスがずれ、画像がぼやけてしまう。そのため、画像投射装置100を初期的に設置した際、同時にピントを合わせるためのフォーカス調整が必要となる。実施形態1に係る画像投射装置100に搭載されている画像投射素子104は、上述したように、レーザ走査方式を想定しており、画像投射装置100と壁202との間の距離が変化してもフォーカス調整なくピントが合う。そのため、画像投射装置100を換気扇の筐体201に取り付けるだけで、フォーカス調整しなくてもピントが合う画像を投影することが可能である。また、仮にフォーカス調整が必要な画像投射装置であっても、上述したように、ユーザは、手を回転させるだけで壁202と画像投射装置本体150との間の距離を調整することができるため、簡単にフォーカス調整を行うことができる。
【0038】
次に、画像投射方法について説明する。画像投射素子104は、中央演算装置107から送信された画像信号に基づき、画像を投射する。中央演算装置107は、通信装置108にて画像を外部から読み込み、メモリ109に格納しておく。また、センサ106がユーザまたはユーザの体の所定部位が所定速度以上で所定の動作したことを検知すると、センサ106は中央演算装置107にこの検知信号を送信する。検知信号を受信した中央演算装置107は、メモリ109に格納されている所定の画像を示す画像信号を画像投射素子104に送信する。
【0039】
具体的には、例えば、センサ106が画像の投射を開始する動作を検知すると、中央演算装置107は、メモリ109の最初のアドレスに格納した画像を示す画像信号を画像投射素子104に送信する。画像の投射を開始する動作とは、例えば、ユーザが右手を壁202(画像が投射される面)方向に所定速度以上で近づける等である。また、例えば、ユーザが所定速度以上で右手を上または下に振る動作を検知すると、センサ106は中央演算装置107にこの検知信号を送信する。検知信号を受信した中央演算装置107は、メモリ109の前記とは異なる所定アドレスに格納されている画像を示す画像信号を画像投射素子104に送信する。
【0040】
このように、ユーザは、手を所定速度以上で移動させる、あるいは手を上または下に振る等の動作を行うだけで、画像を壁202に投射し、現在表示されている画像から次に表示されるべき画像に切り替えることができる。
【0041】
画像投射装置100のより具体的な操作例として、図3は、右手を所定速度以上で下に振った場合の例を示している。図3に示すように、現在表示されている画像をNとする。ユーザが所定速度以上で右手を下に振ると、センサ106は、メモリ109に格納された画像Nの次に格納されている画像N+1を表示する命令信号を中央演算装置107に送信する。中央演算装置107は、センサ106から送信された命令信号を受信すると、画像N+1の画像信号を生成し、画像投射素子104に送信する。画像投射素子104は、中央演算装置107から命令信号を受信すると、壁202に投射する画像を画像Nから画像N+1に切り替える。さらに手を所定速度以上で下に振ると、上記と同様、画像投射素子104は、画像N+1から画像N+2に切り替える。このように、右手を所定速度以上で下に振るという簡単な動作を行うだけで、現在表示されている画像から、次に表示される画像に切り替えることができる。
【0042】
また、図4は、右手を所定速度以上で上に振った場合の例を示している。図4に示すように、現在表示されている画像をNとする。右手を所定速度以上で上に振ると、センサ106は、メモリ109に格納された画像Nの前に格納されている画像N−1を表示する命令信号を中央演算装置107に送信する。中央演算装置107は、センサ106から送信された命令信号を受信すると、画像N−1の画像信号を生成し、画像投射素子104に送信する。画像投射素子104は、投射する画像を画像Nから画像N−1に切り替える。さらに手を所定速度以上で下に振ると、上記と同様、画像投射素子104は、画像N−1から画像N−2に切り替える。このように、右手を所定速度以上で上に振るという簡単な動作を行うだけで、現在表示されている画像から、前に表示されていた画像に切り替えることができる。
【0043】
ここで、センサ106は所定の速度以上の動作を認識しない構成となっているため、例えば、右手を下に速く振り、右手をゆっくり上に戻すようにすれば、下に振った動作のみを認識する。これより、右手を上に戻す動作による誤作動を防ぐことができる。
【0044】
このように、ユーザの動作で画像を切り替える機能があることで、例えば、通信装置108により予め外部のパソコン等から、レシピ等を調理工程順にメモリ109に記録しておけば、ある料理の工程が終わると、右手を上下に振ることで次の工程の画像を投射することができる。ユーザは工程順に画像を投射しながら調理をすることができる。
【0045】
また、メモリ109に映画等の画像を記録しておけば、映画等の内容を投射することもできる。さらにまた、通信装置108にワンセグのアンテナを搭載すれば、ワンセグの画像を投射しながら料理することも可能である。
【0046】
次に、画像投射装置100を換気扇の筐体201から取外す際は、ユーザが画像投射装置100に手を近づけると、センサ106がユーザの動作をモニタ(検知)しており、センサ106がユーザの手がセンサ106から所定距離(例えば十数センチ)以内に近づいたことを検知すると、この検知信号を中央演算装置107に送信する。検知信号を受信した中央演算装置107は、この検知信号に基づいて固定部材102(電磁石)に供給する電流量を決定し、この結果を示す信号を電磁石制御部112に送信する。電磁石制御部112は、受信した信号に基づいて、固定部材102(電磁石)に供給する電流量を低下させる。この動作により、ユーザは、画像投射装置100を換気扇の筐体201から容易に取外すことが可能となる。
【0047】
なお、図2では、ユーザは、右手で画像投射装置100を操作し、左手で鍋203内の具材を混ぜていることを想定しているが、画像投射装置100は、上記したように、筐体101により油汚れが中に進入しないような構成であるため、中央処理装置120等が油汚れ等で故障することはない。
【0048】
また、図2における一点鎖線内は、画像投射装置100が画像を投射することが可能な領域である。
【0049】
一般的に、換気扇の筺体201は金属製である。固定部材102には電磁石を用いているため、画像投射装置100を換気扇の筺体201に簡単に取付けることができる。また、ネジ等で固定する必要がないため、被設置体(取付ける側)に穴をあける必要がない。画像投射装置100の取付け位置をずらすことで簡単に画像投射位置の調整も可能である。
【0050】
また、図2における波線内は、画像投射装置100が人の所定動作を認識できる領域である。センサ106は、破線内で示すように、画像投射装置100の下方にいるユーザの動作を認識し、認識範囲外にいる人の動作を認識しないようになっている。したがって、認識範囲外にいる人や動物等が動いた際に、画像投射装置100が誤操作されることを防ぐことができる。
【0051】
そしてまた、センサ106は、上述したように、ユーザの体の所定部位が所定速度以上で動作した際に、その動作方向を認識するものである。例えば、ユーザの右手が所定動作をしたとき、センサ106は、ユーザの右手の動作のみを認識し、左手が鍋203内の具材を混ぜる動作を認識しないようになっている。したがって、料理をする動作によって画像投射装置100が誤操作されることを防ぐ構成となっているため、左手で料理を続けながら、右手で画像投射装置100を操作する等も可能である。もちろん、右手で料理を続けながら、左手で所定の動作により画像投射装置を操作することも可能である。さらにまた、ユーザが操作するとき、操作用のリモコンは不要である。
【0052】
なお、実施形態1では、被設置体が金属製の筐体201であるため、固定部材102を電磁石から構成したが、これに限らず、固定部材102は、磁石、吸盤、面ファスナ等、画像投射装置100を被設置体にワンタッチで設置可能であれば、特に限定されるものではない。
【0053】
具体的には、図5は、画像投射装置300の使用方法の他の一例を示す概略図であり、画像投射装置300を浴室の壁402に(被設置体:プラスチックやタイル等からなる)に設置し、画像投射装置300の下方にいるユーザの前面にある壁403に画像を投射している状態を示している。なお、画像投射装置300と画像投射装置100との違いは、筐体101の側面に、間隔調整部材111と固定部材102としての吸盤を配設した点である。
【0054】
被設置体が、プラスチックやタイル等のように磁石に引き付けられない材料から構成されている場合、固定部材102を吸盤から形成することができる。したがって、画像投射装置100を螺子で留める構成ではないので、壁402に穴を開ける必要がない。また、画像投射装置100は、筐体101によって内部に水分が浸入しない構成になっているため、浴室内のように、湿度が高く且つ直接水が掛かりやすい場所に設置しても、内部の中央処理装置120等が故障することはない。
【0055】
図5における一点鎖線内は、画像投射装置100が画像を投射することが可能な領域である。また、図5における破線内は、センサ106が感知可能な範囲である。ここでは、センサ106が感知可能な範囲は、浴槽401内にいるユーザを対象としている。画像投射装置300は、上述したように、ユーザの体の所定部位が所定速度以上で所定動作をしたときのみ感知する。そのため、ユーザが顔を洗う等の動作には反応せず、誤動作を防ぐことができる。
【0056】
なお、間隔調整部材111と固定部材102としての吸盤を、画像投射装置100と同様に筐体の天井面に配設すれば、画像投射装置300を天井に取り付け、壁403に画像を投射することもできる。
【0057】
このように、画像投射装置100は、被設置体の材質に合った固定部材102を選択することで、キッチンや浴室の他、リビング、寝室、外部の壁や塀、車体等、様々な場所にワンタッチで簡単に設置することができる。
【0058】
また、画像投射装置100は、例えば、筐体101の内部にスピーカを設置し、中央処理装置120にスピーカ制御部を設け、センサ106が検知した検知信号に応じて、スピーカから出力される音量を調整してもよい。
【0059】
そしてまた、実施形態1では、センサ106として、カメラまたはスペックルパターンを用いた三次元検出を行う装置を配設した場合について説明したが、これに限らず、例えば、音声認識機能を有し、音声に応じた検出信号を中央処理装置に送信するセンサ等を使用してもよい。この場合、センサが検知するユーザの所定動作は、ユーザの音声発生である。
【0060】
さらにまた、実施形態1では、画像投射素子104として、レーザ走査型投射装置を配設した場合について説明したが、これに限らず、画像投射素子104は、例えば、光源にランプないし白色発光ダイオードを用い、Liquid crystal on silicon(LCOS)で画像を生成し、調整レンズによりフォーカスを調整し画像のピントを合わせる方式等であってもよい。
【0061】
また、実施形態1では、電磁石制御部112を画像投射装置本体150に配置した場合について説明したが、これに限らず、電磁石制御部112は、固定部材102の内部等に配置してもよい。
【0062】
(実施形態2)
次に、本発明の実施形態2に係る画像投射装置600について、図面を参照して説明する。図6は、本発明の実施形態2に係る画像投射装置の構成図である。なお、前記各図では、説明を判り易くするため、各部材の厚さやサイズ、拡大・縮小率等は、実際のものとは一致させずに記載した。
【0063】
図6に示すように、実施形態2に係る画像投射装置600の実施形態1に係る画像投射装置100と異なる主な点は、画像投射素子104の投射方向及びセンサ106の感知範囲を任意に変化できるよう、画像投射装置本体150が画像投射装置本体150の角度を調整する角度調整部材160を有している点である。なお、実施形態2では、実施形態1に係る画像投射装置100と同様の部材には同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0064】
図6に示すように、実施形態2に係る画像投射装置600は、画像投射装置本体150の筐体101の上部外面に角度調整部材160が設けられており、この角度調整部材160の上面に間隔調整部材111が設けられ、間隔調整部材111の上部に固定部材102が設けられている。
【0065】
角度調整部材160は、画像投射装置本体150が、任意方向に回転できるような回転機構によって画像投射装置本体150の角度を調整するものである。具体的には、角度調整部材160は、間隔調整部材111に接続され、間隔調整部材111を回転させるモータ601と、第1の水平方向(図6でいう矢印X方向)を軸とした回転を行うことが可能な第1ステージ603と、第1ステージ603に接続され、第1ステージ603を回転させるモータ602と、第2の水平方向(図6でいう矢印Z方向)を軸とした回転を行うことが可能な第2ステージ605と、第2ステージ605に接続され、第2ステージ605を回転させるモータ604と、角度調整部材160を垂直方向(図6でいう矢印Y方向)を軸として回転させるモータ606と、を備えている。
【0066】
モータ601、602、604及び606は、中央処理装置120のモータ制御部113に接続されており、モータ制御部113によって各々の回転方向及び回転数が制御されるようになっている。即ち、モータ制御部113は、中央演算装置107から送信される信号に応じてモータ601、602、604及び606の各々の回転方向及び回転数を制御し、第1の水平方向(図6でいう矢印X方向)を軸とした回転、第2の水平方向(図6でいう矢印Z方向)を軸とした回転、垂直方向(図6でいう矢印Y方向)を軸として回転は、各々独立して行うことができるようになっている。この中央演算装置107から送信される信号は、例えば、センサ106がユーザの所定動作を検知し、この検知信号を中央演算装置107に送信することによって得られる信号に基づいている。
【0067】
角度調整部材160には、間隔調整部材111の外周面に形成されている雄螺子が螺合する雌螺子を有する螺子穴(図示せず)が貫通形成されており、間隔調整部材111は画像投射装置100と同様に固定部材102と角度調整部材160との間隔(即ち、固定部材102と画像投射装置本体150との間隔)を調整するようになっている。また、この間隔調整部材111は、角度調整部材160に対し、簡単に取付け・取外しができる構成としてもよい。具体的には、例えば、間隔調整部材111を回転することにより、角度調整部材160の螺子穴から間隔調整部材111を抜取れるように構成してもよい。
【0068】
なお、画像投射装置600には、画像投射装置100において筐体101に内蔵されていたモータ110は配設されておらず、筐体101の天井面には、螺子穴115が形成されていない。
【0069】
このように、画像投射装置600は、ユーザが所定動作を行い、この動作をセンサ106が検知することで、画像投射装置本体150をユーザの所定動作に応じた方向及び回転数で回転させ、投射画面の位置を調整することができる。なお、ユーザの所定動作と、画像投射装置本体150の回転との関係は、予めメモリ109に登録しておけば、ユーザの自由に決定することができる。
【0070】
また、本発明に係る画像投射装置は、複数の間隔調整部材111と、各々の間隔調整部材111にそれぞれ設けられた固定部材102と、間隔調整部材111の各々を個別に回転させるモータとを有してもよい。このように構成することで、例えば、一方の間隔調整部材111と固定部材102との間隔と、他方の間隔調整部材111と固定部材102との間隔とを変えることで、画像投射装置本体150を斜めに傾けることが可能となり、画像を壁等の設置面に対して斜め下に投射することもできる。
【符号の説明】
【0071】
100、300、600…画像投射装置、101…筐体、102…固定部材、104…画像投射素子、106…センサ、107…中央演算装置、110、601、602、604、606…モータ、111…間隔調整部材、112…電磁石制御部、113…モータ制御部、120…中央処理装置、150…画像投射装置本体、160…角度調整部材、603…第1ステージ、604…第2ステージ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被設置体に設置可能な画像投射装置であって、
画像投射装置本体と、
前記画像投射装置本体を前記被設置体に固定する固定部材と、
前記画像投射装置本体に取付けられ、当該画像投射装置本体と前記固定部材との間に介在し、当該画像投射装置本体と固定部材との間隔を調整する間隔調整部材と、
を備えた画像投射装置。
【請求項2】
前記固定部材は、前記画像投射装置本体を前記被設置体にワンタッチで固定する請求項1記載の画像投射装置。
【請求項3】
前記間隔調整部材は、回転運動を直線運動に変換可能であり、当該間隔調整部材が回転することで、前記画像投射装置本体と固定部材との間隔を調整する請求項1記載の画像投射装置。
【請求項4】
前記間隔調整部材は、前記画像投射装置本体に着脱可能に取付けられてなる請求項1記載の画像投射装置。
【請求項5】
前記固定部材は、前記間隔調整部材に着脱可能に取付けられてなる請求項1記載の画像投射装置。
【請求項6】
前記固定部材は、前記画像投射装置本体を前記被設置体に吸着固定する請求項1記載の画像投射装置。
【請求項7】
前記画像投射装置本体は、
画像投射素子と、
前記画像投射素子を制御する中央処理装置と、
ユーザの所定動作を検知し、当該検知信号を前記中央処理装置に送信するセンサと、
を有し、
前記中央処理装置は、前記検知信号に基づいて、現在表示されている画像から次に表示されるべき画像に切り替えるよう前記画像投射素子を制御する請求項1記載の画像投射装置。
【請求項8】
前記中央処理装置は、前記センサが、前記ユーザまたは前記ユーザの体の所定部位が所定速度以上で動作したことを検知した際に、前記画像投射素子を制御する請求項7記載の画像投射装置。
【請求項9】
前記中央処理装置は、前記センサが、前記ユーザの手が所定速度以上で上または下に振ったことを検知した際に、前記画像投射素子を制御する請求項8記載の画像投射装置。
【請求項10】
前記画像投射装置本体は、
前記間隔調整部材を回転させるモータと、
前記モータの駆動を制御する中央処理装置と、
ユーザの所定動作を検知し、当該検知信号を前記中央処理装置に送信するセンサと、
を有し、
前記中央処理装置は、前記検知信号に基づいて前記モータの回転方向及び回転数を制御する請求項3記載の画像投射装置。
【請求項11】
前記中央処理装置は、前記センサが、前記ユーザまたは前記ユーザの所定部位が、所定速度以上で回転したことを検知した際に、前記検知信号に基づいて前記モータの回転方向及び回転数を制御する請求項10記載の画像投射装置。
【請求項12】
前記画像投射装置本体の角度を調整する角度調整部材をさらに備え、
前記画像投射装置本体は、
前記角度調整部材を駆動させるモータと、
前記モータの駆動を制御する中央処理装置と、
ユーザの所定動作を検知し、当該検知信号を前記中央処理装置に送信するセンサと、
を有し、
前記中央処理装置は、前記検知信号に基づいて前記モータを制御する請求項1記載の画像投射装置。
【請求項13】
前記固定部材は電磁石を有し、当該電磁石の吸引力により前記画像投射装置本体を前記被設置体に固定し、
前記画像投射装置本体は、
前記電磁石に供給される電流量を制御する中央処理装置と、
ユーザの所定動作を検知し、当該検知信号を前記中央処理装置に送信するセンサと、
を有し、
前記中央処理装置は、前記センサから送信された検知信号に基づいて前記電磁石に供給される電流量を制御する請求項1記載の画像投射装置。
【請求項14】
前記中央処理装置は、前記センサが、前記ユーザの手が当該センサから所定距離以上離れたことを検知した際に、前記検知信号に基づいて前記電磁石に供給される電流量を制御する請求項13記載の画像投射装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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