説明

画像撮像装置

【課題】 デジタルカメラを持ち替えることなく一度の撮影で縦横両方の画像を記録でき、決定的瞬間を逃すこと無く、より良い構図の画像をユーザーに提供する。
【解決手段】 撮影レンズと、前記撮影レンズを介して入射する光を電気信号に変換する撮像素子と、撮影開始の指示を与える撮影操作部と、前記撮影操作部からの指示に応答して撮影された画像をデータ格納部に記録する記録手段と、前期撮影操作部からの指示に応答して撮影された画像を表示する表示部と、前記表示部に表示された画像情報を縦長、横長画像に変換する画像処理部とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、光電変換撮像素子により光学像を電気信号に変換する機能を備えた電子カメラに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1公報には、画面の縦横比を切り換え可能なカメラが開示されている。このカメラは、画面の上下部分をマスクすることにより、縦横比を変換する構造を有している。特許文献2公報では、CCDエリアセンサの全撮像領域を有効利用すべく、画像の縦横比を変換するための光学系を付加する方法が提案されている。
【0003】
また、特許文献3公報に開示されたデジタルカメラは、CCD撮像素子を移動させる機構を有し、CCD撮像素子を同一平面内で移動させることによりブレ補正を行うとともに画素ずらしを行っている。
【0004】
さらに、特許文献4公報によれば、現像済み写真フイルムの画像を撮像素子によって電気信号に変換するフイルム画像入力装置(フイルムスキャナー)の分野では、CCDを回転させてモニタ画像を正立させる手段が知られている。しかし、同公報には、カメラに関する記述はなく、カメラ特有の技術課題も述べられていない。そこで特許文献5公報に開示されたデジタルカメラは、CCDを回転させる回転機構を備え、縦横切換手段の選択操作に応じて回転機構が作動し、CCDの姿勢が縦長姿勢又は横長姿勢に変更することで、縦横両画像を撮影する方法が提案されている。
【特許文献1】実開平5−91074号公報
【特許文献2】特開平10−285474号公報
【特許文献3】特開平11−225284号公報
【特許文献4】特許第3023520号公報
【特許文献5】特開2002−64738号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1公報に示された方式は、マスクされる部分について、エリアセンサの撮像領域の損失が生じる。この点、特許文献2公報で提案されている方法は、エリアセンサの全撮像領域を活用するが、縦横比変換用の光学系を付加する構造のために、部品数が増加し、更には、再生時に縦横の変換処理時間が必要となるという欠点がある。
【0006】
また、特許文献4や特許文献5公報に開示されたデジタルカメラは縦横両画像を取得するためにCCDの回転機構を備える必要があり、ハードウェアの変更が大きく実現するのが困難であるという欠点がある。
【0007】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、デジタルカメラを持ち替えることなく一度の撮影で縦横両方の画像を記録でき、決定的瞬間を逃すこと無く、より良い構図の画像をユーザーに提供することができる、電子カメラを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために請求項1において、撮影レンズと、前記撮影レンズを介して入射する光を電気信号に変換する撮像素子と、撮影開始の指示を与える撮影操作部と、前記撮影操作部からの指示に応答して撮影された画像をデータ格納部に記録する記録手段と、前期撮影操作部からの指示に応答して撮影された画像を表示する表示部と、前記表示部に表示された画像情報を縦長、横長画像に変換する画像処理部とを備えることを特徴とする。
【0009】
また、請求項2において、前記撮像素子の撮像領域は長方形形状を有し、縦長姿勢で撮影した場合と横長姿勢で撮影した場合の両方の範囲を含む範囲を前記データ格納部に記録することを特徴とする。
【0010】
また、請求項3において、前記記録手段によって記録された画像を前記データ格納部に記録する際に、縦長画像、横長画像を選択する選択手段を有することを特徴とする。
【0011】
また、請求項4において、前記選択手段によって選択された構図を前記表示部でプレビューすることができることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
これまで説明したように、本発明によれば、電子カメラの撮像装置の表示部に表示された撮影範囲を超えた領域で画像情報を取得することにより、撮影後に縦長画像、横長画像を任意に選択することができ、一度の撮影で縦横両方の画像を取得することができるようになる。これにより、同じ被写体に対し、縦横両方の構図の画像を取得できユーザーにとってより良い構図を提供することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の実施形態の一例を詳細に説明する。
【0014】
図1に本発明における電子撮像装置の概略構成を表すブロック図を示す。
電源投入後、撮影動作モードにスイッチが切り換えられると、撮像部101と画像処理部102を含むカメラモジュールを初期化すると共に動作可能な状態にし、撮影時に被写体を確認するための電子ビューファインダである表示部109の動作が開始される。この表示部109に被写体が表示されるまでの流れを説明する。撮像部101から取り込んだ被写体の光情報を、全画素読み出し方式のCCDによって電気信号に変換する。変換されたアナログ信号はノイズ除去処理、およびゲイン処理を経て、デジタル信号へA/D変換された後画像処理部102へ送信される。画像処理部102ではオートホワイトバランス、AE、ストロボ撮影時の干せなどの処理あるいはY・Cb・Cr信号フォーマットへの変換処理を行う。Y・Cb・Cr信号変換された信号はCPU103により表示用の処理速度を上げるために表示解像度を変更し、表示画像データを格納するためにRAM106に書き込まれ、DMA転送によって定常的に表示部109に出力されている。なお、ROM105はCPU103の制御プログラムを格納するリード・オンリー・メモリであり、電源110から出力された電源電圧は各部品に適切な電圧に調整されて供給される。
【0015】
表示部109は表示駆動回路を制御し、所望の画像をLCD表示装置に表示させるLCD制御回路、LCD制御回路で制御されるVRAM、LCD表示装置を駆動する表示駆動回路、電子ビューファインダとなるLCD表示装置からなっている。さらに、シャッタレリーズ信号を発生するシャッタスイッチ(SW)108、単3電池やNi-cd電池等の電源を使用する電源110、外部装置と通信する為のI/F107を有している。画像を撮影する場合は、ユーザーが撮影動作モードで画像をモニタし任意の時点でシャッタスイッチ(SW)108を押す。CPU103はこのデータをJPEG規格に準拠した画像圧縮処理を行った後、任意の番号や日付データ等の数値データをファイル名として付加し、機器の任意のフォルダに書き込む。ここで撮影した画像を再生表示する場合は、JPEG規格に準拠したVGA画像分の圧縮データを元データ(Y・Cb・Cr信号)へ変換する処理を実行し、その解凍された元データを表示部109に表示する。
【0016】
図2を用いて一般的なデジタルカメラの液晶部に表示される画像情報と、実際の画像情報との概念図を示す。一般のデジタルカメラで撮影する場合、液晶部の表示画面に表示される範囲の風景は斜線で示された範囲である。同様に、図3に示すようにデジタルカメラを持ち替えて縦長画像を撮影する場合にデジタルカメラが取得する画像情報範囲は斜線のとおりになる。範囲携帯情報端末から無線接続しインクジェットプリンタから印刷する場合の構成例を示す。
【0017】
ここで、本実施案である、デジタルカメラの方向を変えることなく且つ、一度取得した画像情報で横長、縦長両方の構図を取得することを考える。図4には、従来画像情報で本提案を実施した再の画像情報不足部分を示す図である。点線の横長画像の情報を用いて縦長画像で取得できるであろう範囲を重ねてみると、網目の部分の画像情報が足りず、無理に伸縮を換えるなどして、縦長画像を作成しても本来目的とする画像と異なるため実現することはできない。
【0018】
そこで、図5に本提案を実施した場合の横長画像情報取得範囲を示す。表示画面に表示された範囲以外に、斜線で示す範囲までをマルチ画像情報として、デジタルカメラに記録しておく。こうすることで、図6に示すように、撮影後に縦長画像の構図に変換したい場合も、本来縦長画像で取得しようとしていた画像情報が予め取得できている為に伸縮など画像を編集することなく取得することが可能になる。
【0019】
もちろん、縦長画像を取得した場合も本来横長画像を取得するのに必要な範囲の画像情報までをマルチ画像情報として取得しておく。
【0020】
図7を用いて、本実施形態のデジタルカメラで撮影した画像を表示部でユーザーが操作する一般的な操作例を示す。ユーザーは本実施形態のデジタルカメラで撮影を行った後、切替スイッチのより再生画面に切り替える(702)。このとき撮影した画像がコンパクトフラッシュ(登録商標)等の記録媒体内に保存されていない場合は、再生画面に切り替えられない(701)。次に、ユーザーが所望する構図を縦画像、横画像から選択する(703)。このとき、表示部には撮影した画像が表示されており、縦画像を選択すると、表示部の画像が縦画像に変換されて再描画される(704)。もちろん、横画像を選択すると横画像が表示される(706)。画像選択が完了した画像データはデータ格納部に記録される。その後、縦画像を選択した場合は横画像を、横画像を選択した場合は縦画像を再度記録する場合は、703の構図選択に戻る(709)。このとき既に選択している構図はグレーアウトし、2度同じ構図を選択できないようにするなどしてもよい。全ての作業を終えて、次の撮影画像へ移動する場合や撮影画面に切り替える場合は、当該画像の情報を削除し終了する(710)。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の形態におけるデジタルカメラの構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の形態における一般的な横長画像情報の取得範囲を示す概念図である。
【図3】本発明の形態における一般的な縦長画像情報の取得範囲を示す概念図である。
【図4】本発明の形態における横長画像情報から縦長画像を取得しようとした場合の画像情報不足部分を示す概念図である。
【図5】本発明の形態における横長画像情報の取得範囲を示す概念図である。
【図6】本発明の形態における横長画像情報から縦長画像を取得しようとした場合の概念図である。
【図7】本発明の形態における再生画面におけるユーザーの動作処理フローである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影レンズと、前記撮影レンズを介して入射する光を電気信号に変換する撮像素子と、撮影開始の指示を与える撮影操作部と、前記撮影操作部からの指示に応答して撮影された画像をデータ格納部に記録する記録手段と、前期撮影操作部からの指示に応答して撮影された画像を表示する表示部と、前記表示部に表示された画像情報を縦長、横長画像に変換する画像処理部とを備えることを特徴とした電子撮像装置。
【請求項2】
前記撮像素子の撮像領域は長方形形状を有し、縦長姿勢で撮影した場合と横長姿勢で撮影した場合の両方の範囲を含む範囲を前記データ格納部に記録することを特徴とする請求項1に記載の電子撮像装置。
【請求項3】
前記記録手段によって記録された画像を前記データ格納部に記録する際に、縦長画像、横長画像を選択する選択手段を有することを特徴とする請求項1〜2に記載の電子撮像装置。
【請求項4】
前記選択手段によって選択された構図を前記表示部でプレビューすることができることを特徴とする請求項1〜3に記載の電子撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−60095(P2007−60095A)
【公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−241066(P2005−241066)
【出願日】平成17年8月23日(2005.8.23)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】