説明

画像検査装置及び画像形成装置

【課題】複数の検査項目から適切な検査項目を自動的に選び出すことを可能とし、画質検査に係る時間を短縮すると共に、異常画像の発生を削減可能とした画像検査装置及び画像形成装置を提供する。
【解決手段】検査・制御装置は、制御部46、検査部52、解析部54、検査可能時間取得部56、印刷環境情報取得部60、領域分割部64、設定部66を備える。解析部54は、検査画像データに基づいて印刷画像の特徴を解析する。領域分割部64は、印刷画像の特徴に応じた領域に検査画像データを分割する。検査部52は、実施の必要性があると判断された検査項目について分割領域ごとに画質検査を行う。制御部46は、画質検査により異常画像と判定された領域がある場合、印刷環境情報に基づいて異常画像の発生原因を特定し、画像形成装置の動作に関わる補正を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷画像の撮像により得た検査画像データを用いて印刷画像の画質検査を行う場合に適用される画像検査装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プリンタや複写機等の画像形成装置により用紙に印刷した印刷画像を撮像して得た検査画像データに基づき、印刷画像の画質検査を行う技術がある。画質検査を行う場合、検査が可能な項目は様々であるが、全ての項目の検査を全ての印刷画像に対して行うと膨大な検査時間を要することになる。
【0003】
上記技術分野の関連技術としては、画像形成装置で行う印刷処理量に応じて検査項目を選択する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−232460号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記の特許文献1に記載された技術においては、画像形成装置で行う印刷処理量に応じて予め設定した画質検査を行っているに過ぎない。そのため、複数の検査項目から適切な検査項目を自動的に選び出すことはできないという問題がある。
【0006】
本発明の目的は、複数の検査項目から適切な検査項目を自動的に選び出すことを可能とし、画質検査に係る時間を短縮すると共に、異常画像の発生を削減可能とした画像検査装置及び画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は、画像形成手段により印刷材に形成された印刷画像を撮像して得た検査画像データを取得する第1の取得手段と、前記第1の取得手段により取得した検査画像データに基づいて印刷画像の特徴を解析する解析手段と、前記画像形成手段の消耗部品の使用履歴、前記画像形成手段の動作状況、前記画像形成手段の動作環境の少なくとも1つを含む印刷環境情報を取得する第2の取得手段と、前記解析手段により解析した印刷画像の特徴に応じた領域ごとに、前記第2の取得手段により取得した前記印刷環境情報に基づいた検査項目について画質検査を行う検査手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、解析した印刷画像の特徴に応じた領域ごとに、取得した印刷環境情報に基づいた検査項目について画質検査を行う。これにより、複数の検査項目から適切な検査項目を自動的に選び出すことが可能となり、画質検査に係る時間を短縮することが可能となると共に、異常画像の発生を削減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施の形態に係る画像処理システムの画像形成装置及び検査・制御装置の制御系の構成を示すブロック図である。
【図2】画像形成装置の構成を示す構成図である。
【図3】画像不良・原因・検査項目・顕在化しやすい印刷画像・顕在化しやすい動作環境・顕在化しやすい使用履歴・補正方法の対応関係の例を示す図である。
【図4】均一濃度の平坦画像領域と文字等のライン画像領域を有する画像パターンの例を示す図である。
【図5】原画像濃度と出力画像濃度を示す図である。
【図6】画像書き出し/画像読み取り/画像補正のタイミングを示す図であり、(a)は、従来のタイミングを示す図、(b)は、本実施の形態のタイミングを示す図である。
【図7】2次転写部の印加電圧の適正電圧と修正電圧を示す図である。
【図8】原画像線幅/ブラー発生線幅/ブラー判断ライン幅を示す図である。
【図9】検査・制御装置の画質検査処理を示すフローチャートである。
【図10】検査・制御装置の画像種別に応じた画像診断処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0011】
図1は、本発明の実施の形態に係る画像処理システムの画像形成装置及び検査・制御装置の制御系の構成を示すブロック図である。
【0012】
図1において、画像処理システム100は、画像形成装置101と、検査・制御装置102(画像検査装置)とがデータの入出力を可能に構成されている。画像形成装置101は、例えば複写機として構成され、印刷部22、検査画像データ生成部24、入出力部26、温度湿度センサ28、制御部30、ユーザ入力部32、記録部34、画質検査用コンタクトイメージセンサ(以下画質検査用センサ)36を備える。検査・制御装置102は、情報処理装置(PC)から構成され、入出力部42、制御部46、検査部52、設定処理部54を備える。
【0013】
まず、画像形成装置101の構成を説明する。印刷部22(画像形成手段)は、原稿から読み取った電子データである原画像データに基づいて用紙に画像を印刷する。検査画像データ生成部24(生成手段)は、印刷部22で用紙に印刷された画像を画質検査用センサ36(撮像手段)で撮像して得た画像信号を基に、電子データである検査画像データを生成する。入出力部26は、ケーブルにより接続された検査・制御装置102の入出力部42との間でデータの入出力を行うと共に、モニタ(不図示)に表示する情報を出力する。温度湿度センサ28は、印刷部22の温度/湿度を測定する。
【0014】
制御部30は、画像形成装置101の各部の制御を行うものであり、演算機能を有するハードウェアと、演算動作を規定するソフトウェアとから構成されている。また、制御部30は、検査・制御装置102からの指令によりも動作が規定される。ユーザ入力部32は、GUI(Graphical User Interface)等の入力装置を通じてユーザからの入力を受け付ける。記録部34は、各種の記録を残すためのメモリ機能を備えており、例えば印刷部22の印刷処理状況を温度湿度センサ28の測定状況と対応付けて記録することができる。画質検査用センサ36については下記で詳述する。
【0015】
次に、検査・制御装置102の構成を説明する。検査・制御装置102は、画像形成装置101の検査画像データ生成部24で生成された検査画像データに基づく画質検査と、画像形成装置101の制御を行う。入出力部42は、画像形成装置101の入出力部26との間でデータの入出力を行うと共に、モニタ(不図示)に表示する情報を出力する。入出力部42は、画像形成装置101の入出力部26とケーブルにより接続されると共に、LAN(Local Area Network)80にも接続されている。これにより、LAN200に接続された外部装置からの指令やデータ等を受け取ることも可能である。
【0016】
制御部46(第1の取得手段、補正手段、制御手段)は、検査・制御装置102の各部の制御を行うものであり、演算処理機能を有するMPU等のハードウェアと、その動作を規定するプログラム(ソフトウェア)とから構成されている。また、制御部46は、画像形成装置制御部48を備えており、画像形成装置101から検査画像データを取得すると共に画像形成装置101の制御も行う。また、制御部46は、プログラムに基づき図9・図10の各フローチャートに示す処理を実行する。
【0017】
検査部52(検査手段)は、検査画像データに基づいて対応する印刷画像の画質検査を行う。画質検査の具体的な内容は、設定処理部54により設定される。また、検査部52は、検査画像データと用紙における画像が転写される位置とに基づいて、分割された検査画像データの領域が異常画像の発生しやすい領域であるか否かを判断する。
【0018】
設定処理部54は、検査部52が行う画質検査の内容を決定するものであり、解析部56、検査可能時間取得部58、印刷環境情報取得部60、領域分割部64、設定部66、検査項目情報記憶部68を備える。印刷環境情報取得部60(第2の取得手段)は、印刷画像の印刷環境に関係した印刷環境情報を取得する。例えば、画像形成装置101の記録部34の記録に基づいて、印刷部22のトナーや感光体ドラム等がどのくらい利用されたか、いつ交換されたか等の情報を取得する。
【0019】
解析部56(解析手段)は、原画像データを用いて印刷画像の内容を解析し、印刷画像のどの領域にどのような特徴が存在するか(情報)を検出する。原画像データの形式は特に限定されるものではない。具体的には、印刷画像に存在する情報が、PDLの属性データを基にテキスト情報(ライン及び文字など)、イメージ情報、グラフィック情報であるかを判断する。イメージ情報及びグラフィック情報としては、一様度情報(均一濃度の平坦画像領域があるか否かを示す情報)等を挙げることができる。
【0020】
また、均一濃度の平坦画像(均一濃度の領域が続く画像)については、その均一濃度の平坦画像の濃度情報を取得し、検査するか否かを判断する。具体的には、印刷画像のイメージ部及びグラフィック部において、ある単位面積(例えば10×10画素(画像解像度に応じて変更可能にしてもよい))の輝度情報を平均化し、印刷画像の平均輝度情報を取得する。次に、制御部46において輝度情報を基に輝度濃度変換を行い、実際に出力する濃度情報を取得する。
【0021】
また、解析部56(判断手段)は、上記の解析結果と、温度湿度センサ28の測定結果と、印刷環境情報取得部60で取得した印刷環境情報に基づいて、各検査項目の検査実施の必要性を判断する。ここで、印刷環境情報は、画像形成装置の消耗部品(トナー、感光体ドラム等)の使用履歴、画像形成装置の動作状況(各部の動作の異常の有無等)、画像形成装置の動作環境(温度、湿度等)のいずれかを含む情報である。検査項目の詳細については図3で説明する。
【0022】
これにより、画像形成装置101の各構成(例えばトナー、感光ドラム等の消耗部品等)の使用頻度に関連した画質劣化の情報を取得することができる。この場合、画像形成装置101の記録部34の記録に基づいて温度湿度センサ28から情報(温度、湿度)を取得することができる。また、検査部52の検査結果に基づいて印刷画像に頻出する画像不良の種類、位置、大きさ等の情報を取得することもできる。
【0023】
検査可能時間取得部58(第3の取得手段)は、検査対象とする検査画像データの画質検査にかけることが可能な検査可能時間がどの程度であるかを取得する。検査可能時間は、検査部52が画質検査を実時間(画像形成装置の動作と並行して画質検査を行うための時間)で実施するために画質検査にかけることができる時間である。検査可能時間は、複数の検査画像データに対して画質検査を行う場合には、検査画像データごとに異なってもよい。
【0024】
検査可能時間の取得方法は特定の方法に限定されるものではない。例えば、画像形成装置101の制御部30や印刷部22から得た印刷処理タイミングに基づいて検査可能時間を取得してもよい。また、画像形成装置101の制御部30や検査画像データ生成部24から得た検査画像生成タイミングに基づいて検査可能時間を取得してもよい。
【0025】
また、入出力部42による画像形成装置101からの検査画像データの取得タイミングや、検査がまだなされていない取得済みの検査画像データの数量などに基づいて検査可能時間を取得してもよい。検査可能時間としては、通常、検査画像データを実時間(リアルタイム)で検査処理するために取りうる最大の時間が用いられる。これにより、印刷処理の速さと画質検査の速さをほぼ同じとすることが可能となり、画質検査によどみを生じさせない。実時間については後述する。
【0026】
また、検査時間は、各検査項目ごとに予め与えられる。検査時間は、検査画像データの内容に依存していてもよく、例えば検査処理量により検査時間が異なるような場合に単位処理量あたりの処理時間として与えられてもよい。尚、後述するように、全体の検査時間が検査可能時間を超えないように検査項目が決定される。
【0027】
また、複数の検査項目がある場合は、複数の検査項目について実施する優先順位を与え、優先順位に基づいて画質検査の検査項目を設定する。即ち、基本的には、各検査項目の合計の検査時間が検査可能時間内となる限度において、優先順位の高い順に検査項目を組み込んでいく。ただし、残り時間が多く余っている場合に、上位の検査項目の検査を行わずに、下位の検査項目を組み合わせて検査可能時間を有効に利用するなどしてもよい。これにより、優先順位が高い検査項目がまず検査されるため、適切な画質検査を行うことができる。
【0028】
領域分割部64(分割手段)は、解析部56の解析結果に基づいて、検査画像データを印刷画像に対応した部分領域に分割する。この場合、例えば、カラー領域、モノクロ領域、文字領域、図形領域、写真領域等の描画オブジェクトに基づいて領域分割を行う。そして、解析部56は、領域分割部64により分割された各部分領域の解析結果に基づいて、その部分領域毎に各検査項目について検査の必要性があるかどうかを判断する。
【0029】
設定部66は、検査部52による画質検査の内容を設定する。画質検査の内容の設定にあたっては、解析部56の解析内容に基づく検査項目、検査可能時間取得部58により取得した検査可能時間、印刷環境情報取得部60により取得した印刷環境情報等を参照する。設定部66は、各検査項目に係る検査時間と検査可能時間とに基づいて、検査可能な検査項目を画質検査の内容として設定する。検査項目情報記憶部68には、各検査項目及び各検査項目の検査時間が記憶されている。
【0030】
上記の実時間(リアルタイム)での検査とは、検査画像データを取得した後で速やかに検査を行っていくことを指す。勿論、複数の検査画像データの検査を行う場合は、取得した検査画像データが若干数量、検査待ち状態におかれていてもよいが、この場合にも、単位時間あたりに取得した数量と単位時間あたりに検査した数量とがほぼバランスするように処理される。これにより、取得した検査画像データに対し迅速に画質検査を行うことが可能となる。
【0031】
検査項目としては以下のような様々な例を挙げることができる。カラー画像の色調検査、モノクロ画像の濃度検査、文字抜けの検査、図や写真の鮮明度に対する検査、濃度のむらやコントラストの検査、解像度の再現性に対する検査、用紙に対する印刷画像の歪みに対する検査、濃度の一様度に対する検査などである。そして、このような各検査項目に対しては、目安となる検査時間が与えられている。設定部66(設定手段)は、全体の検査時間が検査可能時間を超えないように実施対象となる検査項目を決定(設定)する。
【0032】
図3に、画像不良・原因・検査項目・顕在化しやすい印刷画像・顕在化しやすい動作環境・顕在化しやすい使用履歴・補正方法の対応関係の例を示す。
【0033】
画像不良としては、ブラー(湿度が低い時等の転写時に発生するトナーの飛び散り)、用紙先端及び後端の異常放電画像1、異常放電画像2、異常放電画像3、中抜け、平坦画像斑点1、平坦画像斑点2、白抜け、がある。
【0034】
ブラーの原因は、湿度が低い時等における転写時の飛び散りのためである。異常放電画像1の原因は、転写部上流における異常放電より、トナー電荷が反転して転写されずに白抜けのためである。異常放電画像2の原因は、転写部において、帯電した用紙や中間体と周辺部材との異常放電のためである。異常放電画像3の原因は、転写部において、帯電した用紙や中間体が剥離する際に発生する異常放電のためである。中抜けの原因は、転写時にトナー像が押しつぶされることで、転写されずに像担持体に戻ってしまうためである。平坦画像斑点1の原因は、帯電ローラの抵抗ムラによる、像担持体との異常放電のためである。平坦画像斑点2の原因は、トナー電流が低くなることで、白地部に現像されてしまうためである。白抜けの原因は、現像剤劣化に伴うキャリア粒子付着のためである。
【0035】
ブラーの検査項目は、エッジ部ボケ検出である。異常放電画像1の検査項目は、用紙先端及び後端の平坦画像領域のパターンマッチングである。異常放電画像2の検査項目は、平坦画像領域のパターンマッチングである。異常放電画像3の検査項目は、平坦画像領域のパターンマッチングである。中抜けの検査項目は、ラインパターンマッチング検出である。平坦画像斑点1の検査項目は、平坦画像斑点(黒/白抜け)パターンマッチングである。平坦画像斑点2の検査項目は、白地部の輝度/濃度検出である。白抜けの検査項目は、平坦画像の白抜けパターンマッチングである。
【0036】
ブラーが顕在化しやすい印刷画像は、文字や線画である。異常放電画像1が顕在化しやすい印刷画像は、用紙先端及び後端のHT(ハーフトーン)平坦画像である。異常放電画像2が顕在化しやすい印刷画像は、HT平坦画像である。異常放電画像3が顕在化しやすい印刷画像は、HT平坦画像である。中抜けが顕在化しやすい印刷画像は、文字や線画である。平坦画像斑点1が顕在化しやすい印刷画像は、HT平坦画像である。平坦画像斑点2が顕在化しやすい印刷画像は、白地部である。白抜けが顕在化しやすい印刷画像は、平坦画像である。
【0037】
ブラーが顕在化しやすい動作環境は、低湿環境である。異常放電画像1が顕在化しやすい動作環境は、低湿環境である。異常放電画像2が顕在化しやすい動作環境は、全環境である。異常放電画像3が顕在化しやすい動作環境は、全環境である。中抜けが顕在化しやすい動作環境は、全環境である。平坦画像斑点1が顕在化しやすい動作環境は、低湿環境である。平坦画像斑点2が顕在化しやすい動作環境は、高湿環境である。白抜けが顕在化しやすい動作環境は、全環境である。
【0038】
ブラーが顕在化しやすい使用履歴は、特にない(使用履歴に依存しない)。異常放電画像1が顕在化しやすい使用履歴は、特にない。異常放電画像2が顕在化しやすい使用履歴は、特にない。異常放電画像3が顕在化しやすい使用履歴は、特にない。中抜けが顕在化しやすい使用履歴は、特にない。平坦画像斑点1が顕在化しやすい使用履歴は、初期段階である。平坦画像斑点2が顕在化しやすい使用履歴は、長期使用後である。白抜けが顕在化しやすい使用履歴は、長期使用後である。
【0039】
ブラーの補正方法は、転写バイアス変更(ダウン)、トナー像の載り量(ダウン)である。異常放電画像1の補正方法は、転写バイアス変更(ダウン)である。異常放電画像2の補正方法は、転写バイアス変更(アップ)又はトナー電荷アップである。異常放電画像3の補正方法は、転写バイアス変更(アップ)又はトナー電荷アップである。中抜けの補正方法は、トナー像の載り量(ダウン)である。平坦画像斑点1の補正方法は、帯電電流アップである。平坦画像斑点2の補正方法は、トナー吐き出し等によるトナー電荷アップである。白抜けの補正方法は、電位制御である。
【0040】
次に、本実施の形態の検査・制御装置による画質検査の対象となる画像形成装置の構成について図2を参照しながら説明する。
【0041】
図2は、画像形成装置の構成を示す構成図である。
【0042】
図2において、画像形成装置101は、印刷部22(画像形成部Pa、Pb、Pc、Pd)により4色フルカラー画像を用紙に形成する電子写真方式の画像形成装置として構成されている。画像形成部Paは、感光体ドラム5a、1次帯電器6a、クリーナ7a、現像器8a、光学部9aを備える。画像形成部Pbは、感光体ドラム5b、1次帯電器6b、クリーナ7b、現像器8b、光学部9bを備える。画像形成部Pcは、感光体ドラム5c、1次帯電器6c、クリーナ7c、現像器8c、光学部9cを備える。画像形成部Pdは、感光体ドラム5d、1次帯電器6d、クリーナ7d、現像器8d、光学部9dを備える。
【0043】
画像形成部Pa、Pb、Pc、Pdの下方には、感光体ドラム5a〜5dに当接する状態で中間転写ベルト2が配設されている。中間転写ベルト2は、駆動ローラ2a、2次転写内側ローラ2b、テンションローラ2cに張架されたエンドレス構造であり、矢印A方向に循環駆動される。中間転写ベルト2は、誘電体樹脂(例えばポリイミド樹脂、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート樹脂フィルム、ポリフッ化ビニリデン樹脂フィルム等)により形成されている。
【0044】
中間転写ベルト2は、感光体ドラム5a〜5dとの当接部において最も負荷が大きいことから、感光体ドラム5a〜5dとの当接部の下流側に駆動ローラ2aを配置する必要がある。仮に感光体ドラム5a〜5dとの当接部の上流側に駆動ローラ2aを配置すると、中間転写ベルト2に撓みが生じやすくなり、より大きな張力を中間転写ベルト2に与える必要が生じ、中間転写ベルト2へのダメージが大きくなる。
【0045】
そのため、感光体ドラム5との当接部より上流側にテンションローラ2cを配置し、中間転写ベルト2を清掃するクリーニング部11を、テンションローラ2cを対向ローラとして当接するよう配置している。テンションローラ2cは、直径Φ21〜60mm程度の円筒形であり、両端部を付勢手段であるバネ2dにより矢印B方向に加圧され、中間転写ベルト2に対する張架力を付与されている。バネ2dによる加圧力は片側2〜3kg程度であり、これにより中間転写ベルト2に適度な張力を発生させている。
【0046】
画像形成部Paの感光体ドラム5aは、回転可能に配置されたドラム状の像担持体である。感光体ドラム5aの周囲には、1次帯電器6a、クリーナ7a、現像器8a等のプロセス機器が配置されている。他の画像形成部Pb、Pc、Pdも画像形成部Paと同様の構成を有する。画像形成部Pa、Pb、Pc、Pdの現像器8a〜8dは、それぞれマゼンタ、シアン、イエロー、ブラックの各色のトナーを収容している。画像形成部Pa、Pb、Pc、Pdは、上記各色のトナー像を形成する。
【0047】
画像形成部Paにおいて光学部9aからマゼンタ成分色による画像信号が感光体ドラム5aに照射され、感光体ドラム5aに静電潜像が形成される。現像器8aからマゼンタトナーが供給され、感光体ドラム5aにマゼンタトナー像が形成される。マゼンタトナー像が感光体ドラム5aの回転に伴って、感光体ドラム5aと中間転写ベルト2とが当接する転写部位に到達すると、マゼンタトナー像が1次転写ローラ10aにより中間転写ベルト2上に転写される。同様に、画像形成部Pb〜dにおいて形成された各色のトナー像が、中間転写ベルト2上に重畳的に転写される。
【0048】
他方、用紙Sは、給紙カセット3から繰り出され、レジストローラ対4を経て、中間転写ベルト2の2次転写内側ローラ2bと、該ローラ2bに対し離間/接近される2次転写ローラ12との間のニップ部へ搬送される。これに伴い、用紙Sは、中間転写ベルト2上のトナー像が一括して転写された後、搬送ベルト13により定着部14に搬送される。定着部14は、定着ローラ14aによりトナーを熱と圧力で用紙Sに定着させる。定着部14は、用紙Sと定着ローラ14aとの離型性を高めるために、離型性オイル(例えばシリコンオイル等)を定着ローラ表面にコートする機構を備えており、用紙Sにもオイルが付着される。
【0049】
その後、用紙Sは、画質検査用センサ36の配設箇所の近傍を通過し、排紙トレイ15に排出される。ここで、画質検査用センサ36は、用紙Sの印字面に対向する位置に配設されており、用紙Sが通過するタイミングで用紙Sに定着されているトナー像(画像)を撮像する。画質検査用センサ36の出力信号は、制御部30を介して検査画像データ生成部24(図1)に出力される。
【0050】
検査画像データ生成部24は、検査画像データを生成し検査・制御装置102に出力する。検査・制御装置102は、設定された検査対象の画像領域に対し検査項目について画質検査を行い、用紙に形成された印刷画像に画像不良があると判断した場合その旨を画像形成装置101に通知する。これに伴い、画像形成装置101は、当該用紙をエスケープトレイ(不図示)に排出する。更に、検査・制御装置102は、画像不良に応じた補正方法(図3)で補正を行う。これに伴い、画像形成装置101は、給紙カセット3から用紙を再給紙し、再度画像形成を行う。
【0051】
次に、上記構成を有する本実施の形態の画像形成装置及び検査・制御装置からなる画像処理システムの動作を図4乃至図10を参照しながら説明する。
【0052】
まず、画像形成装置101により印刷処理した印刷画像について検査・制御装置102で画質検査を行う検査対象画像を選択する例について説明する。
【0053】
例えば図4に示すように領域Aに均一濃度の平坦画像を有し領域Bに文字等のライン画像を有する画像パターンを想定する。検査・制御装置102は、画像が印刷される用紙の搬送方向(印刷方向)に対して画像パターンがどの位置に配置されているかを判定する。例えば搬送方向の先端と後端に均一濃度の平坦画像がある場合は、画像抜けが発生しやすいと判断できるため、検査対象の画像パターンとしては搬送方向の先端と後端に均一濃度の平坦画像があるものを選択する。
【0054】
例えば搬送方向の先端から10mm内側(図3で左端部から右方向へ10mm以上:余白)、後端から10mm以上内側(図3で右端部から左方向へ10mm以上:余白)に均一濃度の平坦画像がある場合は、白抜けは発生しないと予想できる。そこで、本実施の形態では、搬送方向の先端から10mm以内(図3で左端部から10mm以内)、後端から10mm以内(図3で右端部から10mm以内)に均一濃度の平坦画像がある場合、即ち画像余白が10mm以下の場合について考える。
【0055】
検査・制御装置102は、均一濃度の平坦画像を印刷出力する際の濃度情報を取得し、濃度D=1.0以下と判断した場合のみ検査対象画像として選択する。尚、本実施の形態では検査対象画像を選択する際の判定対象濃度として濃度D=1.0を例に挙げているが、判定対象濃度は画像領域に応じて変更可能である。
【0056】
次に、検査対象画像が画像不良を有する異常画像であるか否かを判定する判定方法について説明する。
【0057】
検査・制御装置102は、原画像データの画像領域と検査画像データの画像領域との比率を算出し、印刷出力する出力画像データの印字領域が原画像データの画像領域の80%以下であれば、検査対象画像が異常画像であると判定する。画像領域の比率(面積比)についてのスレッシュレベルは変更可能であり、ユーザにより設定してもよい。
【0058】
また、画像が印刷される用紙の搬送方向(印刷方向)の先端及び後端からの画像濃度に基づき、検査対象画像が異常画像であるか否かを判定することも可能である。例えば先端余白が2mmある原画像データの場合で、原画像データを基に印刷出力した出力画像において先端4mmまで画像の白抜けが発生している場合は、図5に示すように原画像の濃度と出力画像の濃度との間に濃度差が発生する。図5で、縦軸は濃度(D)、横軸は用紙先端からの距離(mm)を示す。また、菱形で示す点は原画像濃度、角形で示す点は出力画像濃度である。濃度差が予め設定した判定スレッシュレベル以下の場合は異常画像と判定し(NG)、判定スレッシュレベル以下でない場合は適正と判断する(OK)。
【0059】
次に、画像形成装置で用紙に印刷した画像を画質検査用センサ36で読み取るタイミングと、読取画像を異常画像と判定した場合の画像補正を開始するタイミングについて、図6(a)及び図6(b)を用いて説明する。本実施の形態では画像形成装置の用紙搬送速度(画像形成速度)を例えば500mm/secとする。尚、以下ではsecをsと略記する。
【0060】
従来のように画像全体を読み取った結果を基に異常画像の発生の有無を判定する構成では、図6(a)に示す画像書き出し/画像読み取り/画像補正のタイミングとなる。図6(a)に示すように、画像形成装置の2次転写ローラ12により用紙に用紙先端が転写(画像書き出し)された時点から用紙が画質検査用センサ36に到達するまでに要する時間が400msである。
【0061】
画質検査用センサ36による用紙の画像読み取りは、用紙に用紙先端が転写されてから400msの時間が経過した時点で開始される。従って、画質検査用センサ36で画像全体を読み取る時間は、用紙先端を読み取って画質検査を開始してから840msの時間(用紙サイズがA3サイズの場合)が必要となる。用紙の画像の読み取りと画質検査が終了した時には、既に次の用紙に対し2次転写ローラ12により画像の転写が開始されており、画像補正のタイミングは用紙3枚目以降となる。
【0062】
本実施の形態では、例えば用紙先端の白抜けであれば、用紙先端10mm以内のみの読み取りと画質検査を行うことになるので、読み取り時間を20msにすることが可能となる。従って、図6(b)に示すように、従来の方式に対して820ms早く画像読み取りと画質検査を終了することが可能となる。例えば用紙1枚目の用紙先端の白抜けであれば、用紙2枚目以降に対して画像補正が可能であり、異常画像が印刷される用紙の発生枚数を少なく抑えることが可能となる。
【0063】
次に、画質検査により異常画像が発生したと判定した場合の画像の補正方法について説明する。
【0064】
検査・制御装置102で用紙先端及び用紙後端に白抜けがあるとパターンマッチングにより判定した場合、白抜けの発生原因としては、2次転写部(2次転写12を含む)における用紙の先端及び後端での異常放電であると推測することができる。そのため、画像の先端及び後端に均一濃度の平坦画像があると判定した場合、2次転写部の印加電圧(転写電圧)を下げる必要がある。この場合、2次転写部の印加電圧を下げ過ぎると用紙に画像が正常に転写されない転写不良が発生する。
【0065】
転写不良を防止する対策としては、画像の先端及び後端における均一濃度の平坦画像の位置に応じて2次転写部の印加電圧を変更可能とする。具体的には、異常画像が発生する用紙先端及び後端から10mmの位置までは、2次転写部の適正な印加電圧よりも低い印加電圧で転写を行い、10mmの位置以降は適正な印加電圧で転写を行う構成をとる。
【0066】
例えば用紙先端から2mmの位置より内側に均一濃度の平坦画像がある場合、2次転写部の印加電圧を、図7に示すように用紙先端から2mmの位置より10mmの位置にかけて転写不良が発生しない電圧に設定し、10mm以降は適正な印加電圧に設定する。これにより、転写不良が発生せず、用紙先端及び後端の異常画像の発生も防止することが可能となる。図7で、縦軸は2次転写部の印加電圧(V)、横軸は用紙先端からの距離(mm)を示す。また、菱形で示す点は適正な印加電圧、角形で示す点は修正した印加電圧である。
【0067】
本実施の形態では、2次転写部を定電圧で制御する場合について説明したが、2次転写部を定電流で制御する場合においても同様である。即ち、2次転写部に印加する印加電流(転写電流)を、用紙先端及び後端から10mmの位置までは適正な印加電流より低い印加電流に設定し、10mmの位置以降については適正な印加電流に設定する。
【0068】
ここで、画質検査に関わる検査項目について説明する。印刷出力する出力画像の中に文字等のラインパターンがある場合は、ライン部の白抜けやエッジ部からのトナーが飛び散り、画像が判断できるため、検査項目として文字等のラインパターンがある画像(ライン画像部)を選択する。例えば、文字や線画からなる印刷画像に対しては、湿度が低い時などの転写時にトナー像の飛び散りが起こるブラーが発生しやすい。そこで、検査項目としては、図3に示したように例えば低湿時におけるエッジ部のボケ検出を挙げることができる。
【0069】
ライン画像部のブラーを解析するパターンマッチングの手法としては、ライン画像部の濃度に基づきライン幅が再現されているかどうかを確認することで、ブラーの有無を判定することが可能である。具体的には、図8に示すように実際の原画像の線幅に対して、ブラーが発生しているライン画像部はエッジ部の濃度(縦軸)がなだらかに再現される。予め設定されたブラー判断ライン幅よりも広く再現されている場合は異常と判定する。ライン画像部のトナーの載り量を少なくする必要があるため、予め設定されたライン画像部でのみ、感光体ドラムを現像する際の現像電圧(Vcont)を小さくする。
【0070】
次に、図3に示した画像不良・原因・検査項目・顕在化しやすい印刷画像・顕在化しやすい動作環境・顕在化しやすい使用履歴・補正方法の対応関係に基づく画質検査について、図9及び図10に基づき説明する。
【0071】
図9は、検査・制御装置の画質検査処理を示すフローチャートである。図10は、検査・制御装置の画像種別に応じた画像診断処理を示すフローチャートである。図9及び図10のフローチャートの処理は、プリント出力に先立って、検査画像データを印刷し、検査画像について領域別に画像診断を行い、診断結果に応じて自動補正を行うものである。
【0072】
図9において、検査・制御装置102の制御部46は、画像形成装置101から印刷環境情報を入出力部42により取得する(ステップS101)。更に、制御部46は、画像形成装置101から印刷画像を撮像して得られた検査画像データ(原画像データ)を入出力部42により取得し、検査画像データが表す印刷画像における画質検査に関わる特徴を解析部56により解析する(ステップS102)。次に、制御部46は、解析部56の解析で得られた描画オブジェクトに基づいて領域分割部64により検査画像データを印刷画像の特徴に応じた領域に分割する。
【0073】
制御部46は、検査画像データを、例えば、文字や線を中心に構成される文字・線画領域(テキスト画像領域)と、同じ色で塗られたような平坦な階調からなる平坦画像領域(イメージ画像及びグラフィック画像領域)とに領域分割部64により分割する。そして、分割した領域ごとに、実施する検査項目を選択し画像診断を行う。
【0074】
制御部46は、各画像検査オブジェクト(各領域)に対して画像診断を実行するか否かを判定する(ステップS103)。画像診断を実行する場合は、図10のフローチャートの画像種別に応じた画像診断処理を実行し、ステップS104に移行する。画像診断を実行しない場合は、ステップS109に移行する。図10を用いて画像種別に応じた画像診断処理を説明する。
【0075】
図10において、制御部46は、ステップS102で画像形成装置101から取得した検査画像データ(原画像データ)におけるテキスト画像の有無を判定する(ステップS201)。検査画像データにテキスト画像が無いと判定した場合、ステップS202に移行する。検査画像データにテキスト画像が有ると判定した場合、ステップS203に移行する。
【0076】
検査画像データにテキスト画像が有ると判定した場合、制御部46は、画像形成装置101の温度湿度センサ28により検出された印刷部22の湿度に基づき算出した相対湿度がスレッシュレベル以下であるか否かを判定する(ステップS203)。
【0077】
相対湿度がスレッシュレベル以下であると判定した場合、制御部46は、ブラー及び中抜けの画像診断処理を実行する(ステップS204)。この後、図9のステップS104に移行する。相対湿度がスレッシュレベルを超えると判定した場合、制御部46は、中抜けの画像診断処理を実行する(ステップS205)。この後、図9のステップS104に移行する。尚、相対湿度は、温度湿度センサ28の検出値のバラツキを考慮して算出された湿度である。
【0078】
検査画像データにテキスト画像が無いと判定した場合、制御部46は、検査画像データにおけるイメージ画像及びグラフィック画像の有無を判定する(ステップS202)。検査画像データにイメージ画像及びグラフィック画像が無いと判定した場合、制御部46は、図9のステップS109に移行し、画像形成装置101に対しプリント出力を行うよう指示する。
【0079】
検査画像データにイメージ画像及びグラフィック画像が有ると判定した場合、制御部46は、イメージ画像及びグラフィック画像における均一濃度の平坦画像の有無を判定する(ステップS206)。均一濃度の平坦画像が無いと判定した場合、制御部46は、図9のステップS109に移行し、画像形成装置101に対しプリント出力を行うよう指示する。
【0080】
均一濃度の平坦画像が有ると判定した場合、制御部46は、その均一濃度の平坦画像が用紙先端から所定範囲(例えば10mm)以内にあるか否かを判定する(ステップS207)。均一濃度の平坦画像が用紙先端から所定範囲(例えば10mm)以内にあると判定した場合、制御部46は、用紙先端の異常放電による異常画像診断処理を実行する(ステップS208)。この後、図9のステップS104に移行する。均一濃度の平坦画像が用紙先端から所定範囲(例えば10mm)以外にあると判定した場合、制御部46は、異常画像及び平坦画像斑点診断処理を実行する(ステップS209)。この後、図9のステップS104に移行する。
【0081】
図9に戻り、制御部46は、図10のステップS208またはS209またはS210またはS211の画像診断処理の実行に伴い、検査画像データの検査画像オブジェクトに対し、検査部52に画像診断処理を行わせる(ステップS104)。更に、制御部46は、検査画像オブジェクトに異常画像が発生しているか否かを判定する(ステップS105)。検査画像オブジェクトに異常画像が発生していないと判定した場合(ステップS105)、制御部46は、入出力部42により画像形成装置101に対し印刷部22で印刷画像を形成した用紙を出力するプリント出力を行うよう指示する(ステップS109)。
【0082】
検査画像オブジェクトに異常画像が発生していると判定した場合(ステップS105)、制御部46は、画像形成装置101に対し異常画像が印刷された用紙をエスケープトレイに排出するよう指示する。更に、制御部46は、ステップS101で取得した印刷環境情報に基づいて異常画像の発生原因を特定し、異常画像に対応した補正(画像形成装置の動作に関わる補正)を行う(ステップS106)。
【0083】
異常画像に対応した補正とは、印刷画像を用紙に転写する際の転写電圧または転写電流に関わる補正、印刷画像を生成する際の現像に用いるトナーの量に関わる補正、帯電電流に関わる補正等である。補正方法の詳細は図3で説明した通りであり、ここでの説明は省略する。
【0084】
次に、制御部46は、検査画像オブジェクトの画像診断処理を再度行い(ステップS107)、検査画像オブジェクトに異常画像が発生しているか否かを再度判定する(ステップS108)。検査画像オブジェクトに異常画像が発生していないと判定した場合、制御部46は、入出力部42により画像形成装置101に対し印刷部22で印刷画像を形成した用紙を出力するプリント出力を行うよう指示する(ステップS109)。検査画像オブジェクトに異常画像が発生していると判定した場合、制御部46は、異常画像が発生しなくなるまでステップS106からの処理を繰り返す。
【0085】
尚、画像診断処理の結果が異常画像と判定された場合で補正が不可能な場合は、制御部46は、画像形成装置101に対し印刷画像が形成された用紙(印刷材)の出力を停止させる制御を行う。
【0086】
以上詳細に説明したように、本実施の形態によれば、検査画像データに基づいて印刷画像の特徴を解析し、印刷画像の特徴に応じた領域に検査画像データを分割し、実施の必要性があると判断された検査項目について分割領域ごとに画像診断処理を行う。画像診断処理により異常画像と判定された領域がある場合、印刷環境情報に基づいて異常画像の発生原因を特定し、画像形成装置の動作に関わる補正を行う。これにより、複数の検査項目から適切な検査項目を自動的に選び出すことが可能となり、画質検査に係る時間を短縮することが可能となると共に、異常画像の発生を削減することが可能となる。
【0087】
〔他の実施の形態〕
上記実施の形態では、検査・制御装置を情報処理装置から構成すると共に画像形成装置に対して通信可能に接続した場合を例に挙げたが、これに限定されるものではない。検査・制御装置の機能を画像形成装置に内蔵する構成とすることも可能である。
【符号の説明】
【0088】
24 検査画像データ生成部
30 制御部
46 制御部
52 検査部
56 解析部
58 検査可能時間取得部
60 印刷環境情報取得部
64 領域分割部
66 設定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成手段により印刷材に形成された印刷画像を撮像して得た検査画像データを取得する第1の取得手段と、
前記第1の取得手段により取得した検査画像データに基づいて印刷画像の特徴を解析する解析手段と、
前記画像形成手段の消耗部品の使用履歴、前記画像形成手段の動作状況、前記画像形成手段の動作環境の少なくとも1つを含む印刷環境情報を取得する第2の取得手段と、
前記解析手段により解析した印刷画像の特徴に応じた領域ごとに、前記第2の取得手段により取得した前記印刷環境情報に基づいた検査項目について画質検査を行う検査手段と、を備えることを特徴とする画像検査装置。
【請求項2】
前記第2の取得手段により取得した前記印刷環境情報に基づいて検査項目の実施の必要性を判断する判断手段と、
前記解析手段により解析した印刷画像の特徴に応じた領域に検査画像データを分割する分割手段と、
前記検査手段の画質検査により異常画像と判定された領域がある場合、前記第2の取得手段により取得した前記印刷環境情報に基づいて異常画像の発生原因を特定し、前記画像形成手段の動作に関わる補正を行う補正手段と、を更に備え、
前記検査手段は、前記判断手段により実施の必要性があると判断された検査項目について、前記分割手段により分割された前記解析手段により解析した印刷画像の特徴に応じた領域ごとに、前記第2の取得手段により取得した前記印刷環境情報に基づいた検査項目について画質検査を行うことを特徴とする請求項1記載の画像検査装置。
【請求項3】
前記画像形成手段の動作に関わる補正とは、印刷画像を印刷材に転写する際の転写電圧または転写電流に関わる補正、印刷画像を生成する際の現像に用いるトナーの量に関わる補正、のいずれかを含むことを特徴とする請求項1記載の画像検査装置。
【請求項4】
前記検査画像データの画質検査にかけることが可能な検査可能時間を取得する第3の取得手段と、
前記検査手段により画質検査を行う際の検査時間が前記第3の取得手段により取得した検査可能時間を超えないように実施対象となる検査項目を設定する設定手段と、を更に備えることを特徴とする請求項1記載の画像検査装置。
【請求項5】
前記検査手段は、前記画質検査を前記画像形成手段の動作と並行して行うことが可能な実時間で実施し、
前記検査可能時間は、前記検査手段が前記画質検査を実時間で実施するために前記画質検査にかけることができる時間であることを特徴とする請求項4記載の画像検査装置。
【請求項6】
前記検査手段により画質検査の結果が異常画像と判定された場合で前記補正手段による補正が不可能な場合、前記印刷画像が転写された印刷材の出力を停止させる制御を行う制御手段、を更に備えることを特徴とする請求項2記載の画像検査装置。
【請求項7】
前記検査手段は、前記検査画像データと、前記印刷材における画像が転写される位置とに基づいて、前記検査画像データが分割された領域が異常画像の発生しやすい領域であるか否かを判断することを特徴とする請求項1記載の画像検査装置。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれかに記載の画像検査装置との間でデータの入出力が可能に構成された画像形成装置であって、
印刷材に画像を形成する画像形成手段と、
前記画像形成手段により印刷材に形成された印刷画像を撮像する撮像手段と、
前記撮像手段により撮像された画像を基に検査画像データを生成する生成手段と、を備えることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−262220(P2010−262220A)
【公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−114508(P2009−114508)
【出願日】平成21年5月11日(2009.5.11)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】