説明

画像測定機用校正スケール

【課題】三次元測長系および落射照明を有する画像測定機の斜め検査において、一様かつ十分な明るさの画像データを得ることができ、校正スケールの複数点の座標値を明確に読み取ることができる画像測定機用校正スケールを提供する。
【解決手段】表面に所定のパターンで配置された光透過性の透過領域10Aと光を透過しない非透過領域10Bとを有するスケール本体10と、スケール本体10の裏面側に設けられスケール本体10の表面側から照射されスケール本体10を透過した透過光を再帰反射する再帰反射手段11と、を備える画像測定機用校正スケール1。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像測定機用校正スケールに関する。詳しくは、三次元測長系を有する画像測定機の斜め検査に好適に用いられる画像測定機用校正スケールに関する。
【背景技術】
【0002】
被測定物の形状などを測定する装置として画像測定機が知られている。画像測定機は、被測定物に対して光を照射する光源と、光源からの光や光源からの光が被測定物に反射または透過した光を集光する対物レンズと、対物レンズで集光された像を撮像するCCDカメラと、CCDカメラからの画像データに基づいて被測定物の輪郭形状やエッジ検出などの画像処理を施す画像処理部と、を備えている(たとえば、特許文献1、2)。
【0003】
画像測定機では、構造体の指示精度誤差をはじめとする様々な誤差要因が存在する。
このため、測定機の使用者は、その測定機か示す測定値に如何程の精度面での不確かさが存在するかを正確に把握する必要が在る。
このような誤差の評価には、座標値が既知である所定の複数点を有する校正スケールを撮像し、既知の所定の複数点の座標値と撮像した画像データ内の複数点に対応する座標値との差を基に、所定の複数点についての補正パラメータを算出する方法(たとえば、特許文献3)などが用いられる。
【0004】
そして、三次元測長系を有する画像測定機において、互いに直交するX、Y、Zの各方向の誤差を評価するための校正スケールの撮像方法の一つとして、斜め検査と呼ばれる方法が知られている。
斜め検査では、たとえば、図2に示すように、短冊状の透明部材であるスケール基板101と、スケール基板101上に互いに等間隔に配置された複数の金属薄層103と、を有する校正スケール100を、図4に示すようなXYZ測定空間の対角4方向に沿うように順次配置し、校正スケール100を上方から撮像する。そして、撮像した画像データから、原点P0となる金属薄層103と他の各金属薄層103との間の距離を実測値として算出し、この実測値と既知の原点P0となる金属薄層103と他の各金属薄層103との間の距離との差から、測定装置の誤差を求める。
【0005】
【特許文献1】特開2000−205822号公報
【特許文献2】特開2001−66112号公報
【特許文献3】特開2005−4391号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、斜め検査には、以下のような問題点があった。
図5(A)に示すように、画像測定機の光源が被測定物に対して対物レンズ21とは反対の側から被測定物に対して光を照射し、対物レンズ21と連動する透過照明25の場合、一様な明るさの画像データを得られないという問題点があった。
画像測定機の光源が透過照明25の場合、図5(A)に点線の矢印で示すように、金属薄層103が光を遮蔽するので、金属薄層103に照射された光は対物レンズ21に到達しない。一方、実線の矢印で示すように、スケール基板101は光を透過するので、スケール基板101に照射された光は、対物レンズ21に到達する。
【0007】
したがって、図5(B)に示すように、撮像された画像データには、校正スケール100の金属薄層103に対応する部分26は暗く、スケール基板101に対応する部分27は明るく映し出される。これにより、金属薄層103のエッジを画像データから読み取ることができるので、所定の原点となる金属薄層103と他の各金属薄層103との間の距離を実測値として算出することができる。
しかし、図5(A)に示すように、透過照明25は水平に移動されるため、斜めに配置された校正スケール100と透過照明25の光源との距離が場所によって異なり、校正スケール100全体にわたって一様な明るさの画像データを得ることが困難である。なお、対物レンズ21は、校正スケール100に対して平行に移動させることができる。
【0008】
一方、図6(A)に示すように、画像測定機の光源が被測定物に対して対物レンズ21と同じ側から被測定物に向けて光を照射する落射照明22の場合、対物レンズ21および落射照明22が校正スケール100に対して平行に移動されるので、落射照明22の光源と校正スケール100との距離が一定となり、校正スケール100全体にわたって一様な明るさの画像データを得ることができる。しかし、斜め検査においては、十分な明るさの画像データを得られないという問題点があった。
すなわち、図6(A)に点線の矢印で示すように、金属薄層103は光を反射するが、校正スケール100が斜めに配置されているので、金属薄層103に反射された光は対物レンズ21に到達しにくい。一方、実線の矢印で示すように、スケール基板101は光を反射せず透過するので、スケール基板101に照射された光は反射されず、対物レンズ21に到達しない。
したがって、図6(B)に示すように、撮像した画像データには、金属薄層103に対応する部分26と、スケール基板101に対応する部分27と、の両方が暗く映し出されるので、画像データから金属薄層103のエッジを読み取ることができない。このため、撮像した画像データから、所定の原点となる金属薄層103と他の各金属薄層103との間の距離を算出することができない。
【0009】
本発明の目的は、上述のような問題点を解消し、三次元測長系および落射照明を有する画像測定機の斜め検査において、一様かつ十分な明るさの画像データを得ることができる画像測定機用校正スケールを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の画像測定機用校正スケールは、表面に所定のパターンで配置された光透過性の透過領域と光を透過しない非透過領域とを有する板状のスケール本体と、前記スケール本体の裏面側に設けられ前記スケール本体の表面側から照射され前記スケール本体を透過した透過光を再帰反射する再帰反射手段と、を備えることを特徴とする。
【0011】
本発明によれば、画像測定機用校正スケールを三次元測長系および落射照明を有する画像測定機の斜め検査に適用した場合、落射照明からスケール本体の透過領域に照射された光は、スケール本体の透過領域を透過し、再帰反射手段により再帰反射され、再びスケール本体の透過領域を透過して画像測定機の対物レンズに集光される。一方、スケール本体の非透過領域に照射された光は、対物レンズとは異なる方向に反射されるか、非透過領域に吸収される。
したがって、撮像した画像データには、スケール本体の透過領域は一様かつ十分に明るく、非透過領域は暗く映し出される。これにより、透過領域と非透過領域との境界の座標値を画像データから明確に読み取ることができる。この実測した座標値と非透過領域の既知の座標値との差から、測定装置の誤差を求めることができる。
【0012】
本発明において、前記再帰反射手段は、前記スケール本体の裏面側に着脱可能に設けられることが好ましい。
このような構成によれば、再帰反射手段をスケール本体から取り外すことができるので、落射照明を有する画像測定機の斜め検査以外の誤差の評価方法にも、スケール本体を使用することができる。
すなわち、再帰反射手段を取り外したスケール本体は、透過照明を有する画像測定機の斜め検査に用いることができる。ただし、透過照明では、スケール本体の全体にわたって均一な光量を得ることが困難であり、スケール本体の画像の透過領域と非透過領域との境界が明確でなくなることがあり、その場合、測定精度が低くなる。
また、再帰反射手段を取り外したスケール本体を、透過照明を有する画像測定機のX方向またはY方向に沿って水平に配置すれば、X方向またはY方向の誤差を評価することができる。
【0013】
本発明において、前記再帰反射手段は、基板と、前記基板の表面に設けられた再帰反射材と、を有することが好ましい。
このような構成によれば、再帰反射性シートなどの一般的な再帰反射材を、適宜な基板の表面に設けることで、容易に再帰反射手段を得ることができる。また、再帰反射手段が基板と基板の表面に設けられた再帰反射材とを有する板状であるから、再帰反射手段をスケール本体から着脱可能な構成とした場合に、再帰反射手段の着脱時の取り扱いが容易である。
なお、再帰反射材としては、再帰反射性を有するものであれば特に限定されず、たとえば、ガラスビーズ型のものやキューブコーナ(立方体コーナ)型のものなどが使用できる。基板としては、板状で硬質のものであれば特に限定されず、たとえば、ガラスや合成樹脂などのものが使用できる。
【0014】
本発明において、前記再帰反射手段は、前記スケール本体の裏面に対して所定の間隔を隔てて配置されることが好ましい。
このような構成によれば、再帰反射手段は、スケール本体の裏面に対して所定の間隔を隔てて配置され、スケール本体の裏面と、再帰反射手段の表面が接触することがないので、再帰反射手段をスケール本体から着脱可能な構成とした場合、再帰反射手段の着脱時に、再帰反射手段とスケール本体の裏面とが接触して、その一方または双方の表面が破損し、透明性および/または再帰反射性が低下することを防止することができる。
【0015】
本発明において、前記スケール本体は、光透過性のスケール基板と、前記スケール基板の表面に所定パターンで配置され光を透過しない被覆層と、を有し、前記透過領域は、前記スケール本体表面の前記被覆層が設けられていない部分であり、前記非透過領域は、前記スケール本体表面の前記被覆層が設けられた部分であることが好ましい。
このような構成によれば、光透過性のスケール基板に、光を透過しない被覆層を適宜の手段によって設けることで、スケール本体を得ることができ、用途に合わせて、被覆層のパターンを変更することができる。
【0016】
なお、スケール基板としては、光透過性のものであれば特に限定されず、ガラスや合成樹脂などの透明基板が使用できる。
被覆層としては、光を透過しないものであれば特に限定されず、たとえば、金属や金属酸化物からなる薄層や、不透明な塗料からなる塗膜などを用いることができる。
【0017】
本発明において、前記スケール基板は、ガラス板であり、前記被覆層は、蒸着により形成される金属薄層であることが好ましい。
このような構成によれば、ガラス板に、薄層の形成方法として一般的な蒸着によって金属薄層を設けることでスケール本体を得ることができる。
また、このようなスケール本体は、従来使用されている画像測定機用校正スケールである。したがって、従来の画像測定機用校正スケールに、再帰反射手段を設けるだけで、三次元測長系および落射照明を有する画像測定機の斜め検査において、一様かつ十分な明るさの画像データを得ることができ、金属薄層のエッジの座標値を明確に読み取ることができる画像測定機用校正スケールを得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1(A)に示すように、本実施形態の画像測定機用校正スケール1は、表面に所定のパターンで配置された光透過性の透過領域10Aと光を透過しない非透過領域10Bとを有するスケール本体10と、スケール本体10の裏面に設けられスケール本体10の表面側から照射されスケール本体10を透過した透過光を再帰反射する再帰反射手段11と、内部に再帰反射手段11を支持しスケール本体10に対して着脱可能な略矩形状の校正ユニット12と、を備える。
【0019】
図2に示すように、スケール本体10は、短冊状で光透過性のスケール基板101と、スケール基板101の表面に互いに等間隔に配置され光を透過しない複数の被覆層102と、を有する。ここにおいて、スケール本体10表面の被覆層102が設けられていない部分は、スケール本体10の透過領域10Aを構成する。スケール本体10表面の被覆層102が設けられた部分は、スケール本体10の非透過領域10Bを構成する。
なお、スケール基板101は、短冊状の透明ガラス板であり、被覆層102は、クロムの蒸着により形成した長方形の金属薄層103である。金属薄層103は、隣接する金属薄層103のエッジ間の距離が等しくなるように配置されている。
【0020】
図1(A)に示すように、再帰反射手段11は、基板111と、基板111の表面に設けられた再帰反射材112とを有する。
再帰反射手段11の基板111は、スケール本体10のスケール基板101と略同形状の表面を有する短冊板状の部材である。再帰反射材112は、ガラスビーズ型の再帰反射性シートであり、基板111の表面に接着されている。
【0021】
校正ユニット12は、中空の略矩形状部材であり、一面にスケール本体10を着脱可能に支持し、内部に再帰反射手段11をスケール本体10と平行に支持する。これにより、再帰反射手段11は、スケール本体10の裏面側に着脱可能に構成されている。
ここで、スケール本体10は、被覆層102の設けられた側が校正ユニット12の外側に向くように支持され、再帰反射手段11は、再帰反射材112の設けられた側がスケール本体10の裏面と向かい合うように、スケール本体10の裏面に対して所定の間隔を隔てて配置されている。
【0022】
このような画像測定機用校正スケール1を用い、三次元測長系および落射照明を有する画像測定機の斜め検査を行う手順を説明する。
図1(A)に示すように、画像測定機用校正スケール1を、落射照明22を有する画像測定機の対物レンズ21の下方に、画像測定機のXYZ測定空間の対角4方向に沿うように順次配置し、対物レンズ21を画像測定機用校正スケール1に対して平行に移動させ、または、対物レンズ21と画像測定機用校正スケール1とを互いに平行に相対移動させつつ、各金属薄層103のエッジを撮像する。
この時、実線の矢印で示すように、画像測定機の落射照明22からスケール本体10の透過領域10Aに照射された光は、スケール本体10の透過領域10Aを透過し、再帰反射手段11により再帰反射され、再びスケール本体10の透過領域10Aを透過して画像測定機の対物レンズ21に集光される。一方、破線の矢印で示すように、スケール本体10の非透過領域10Bに照射された光は、対物レンズ21とは異なる方向に反射され、対物レンズ21による集光が困難となる。
したがって、図1(B)に示すように、撮像された画像データには、スケール本体10の透過領域10Aに対応する部分23は明るく、非透過領域10Bに対応する部分24は暗く映し出される。
ここで、画像測定機の画像処理部が、画像データから透過領域10Aと非透過領域10Bとの境界の座標値を読み取り、記憶する。そして、画像測定機の演算部は、各金属薄層103のエッジを撮像することにより記憶された複数の座標値から、原点となる金属薄層103と他の各金属薄層103との間の距離を実測値として算出する。この実測値と既知の原点となる金属薄層103と他の各金属薄層103との間の距離との差から、画像測定機の誤差が求められる。
【0023】
本実施形態によれば、以下に示すような効果がある。
(1) 撮像により、スケール本体10の透過領域10Aは一様かつ十分に明るく、非透過領域10Bは暗く映し出された画像データを得ることができるので、スケール本体10の画像の透過領域10Aと非透過領域10Bとの境界の座標値を画像データから明確に読み取ることができ、原点となる金属薄層103と他の各金属薄層103との間の距離を実測値として算出することができる。この実測値と既知の原点となる金属薄層103と他の各金属薄層103との間の距離との差から、画像測定機の誤差が求められる。
【0024】
(2)再帰反射手段11をスケール本体10から取り外すことができるので、落射照明22を有する画像測定機の斜め検査以外の誤差の評価方法にも、スケール本体10を使用することができる。
すなわち、再帰反射手段を取り外したスケール本体10は、透過照明を有する画像測定機の斜め検査に用いることができる。ただし、透過照明では、スケール本体10の全体にわたって均一な光量を得ることが困難であり、スケール本体10の画像データの透過領域10Aと非透過領域10Bとの境界が明確でなくなることがあり、その場合、測定精度が低くなる。
また、再帰反射手段11を取り外したスケール本体10を、画像測定機のX方向またはY方向に沿って水平に配置すれば、透過照明および落射照明22のいずれを有する画像測定機を用いた場合にも、X方向またはY方向の誤差を評価することができる。
【0025】
たとえば、図3(A)に示すように、落射照明22を有する画像測定機において、再帰反射手段11および校正ユニット12をスケール本体10から取り外し、スケール本体10のみを画像測定機のX方向またはY方向に沿って水平に配置して撮像した場合、実線の矢印で示すように、落射照明22からスケール本体10の透過領域10Aに照射された光は、スケール本体10の透過領域10Aを透過するので、画像測定機の対物レンズ21には集光されない。一方、破線の矢印で示すように、スケール本体10の非透過領域10Bに照射された光は、金属薄層103に反射され、画像測定機の対物レンズ21に集光される。
したがって、図3(B)に示すように、撮像された画像データには、スケール本体10の透過領域10Aに対応する部分23は暗く、非透過領域10Bに対応する部分24は明るく映し出される。これにより、画像データから透過領域10Aと非透過領域10Bとの境界を読み取ることができるので、原点となる金属薄層103と他の各金属薄層103との間の距離を実測値として算出することができる。この実測値と既知の原点となる金属薄層103と他の各金属薄層103との間の距離との差から、画像測定機の誤差が求められる。
【0026】
(3)再帰反射材112が一般的なガラスビーズ型の再帰反射性シートであるから、部材の調達が容易であり、再帰反射性シートを基板111に接着することで容易に再帰反射手段11を得ることができる。また、基板111が短冊板状の部材であり、再帰反射手段11が全体として板状であるから、軽量で取り扱いが容易である。特に、再帰反射手段11をスケール本体10から着脱可能な構成とした場合に、再帰反射手段11の着脱時の取り扱いが容易である。
(4)再帰反射手段11は、スケール本体10の裏面に対して所定の間隔を隔てて配置され、スケール本体10の裏面と、再帰反射手段11の表面が接触することがないので、再帰反射手段11の着脱時に、再帰反射手段11とスケール本体10の裏面とが接触して、その一方または双方の表面が破損し、透明性および/または再帰反射性が低下することを防止することができる。
【0027】
(5)光透過性のスケール基板101に、光を透過しない被覆層102を適宜の手段によって設けることで、スケール本体10を得ることができ、用途に合わせて、被覆層102のパターンを変更することができる。
(6)ガラス板に、薄層の形成方法として一般的な蒸着によって金属薄層103を設けることでスケール本体10を得ることができる。
(7)スケール本体10は、従来使用されている画像測定機用校正スケールである。したがって、従来の画像測定機用校正スケールに、再帰反射手段11および校正ユニット12を設けるだけで、三次元測長系および落射照明22を有する斜め検査において、一様かつ十分な明るさの画像データを得ることができ、金属薄層103のエッジの座標値を明確に読み取ることができる本実施形態の画像測定機用校正スケール1が得られる。
【0028】
なお、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる他の構成等を含み、以下に示すような変形等も本発明に含まれる。
(i)再帰反射材112は、本実施形態で示したガラスビーズ型の再帰反射性シートに限定されない。たとえば、キューブコーナ(立方体コーナ)型の再帰反射性シートでもよい。また、再帰反射性シートは軟質であっても硬質であってもよい。
【0029】
(ii)再帰反射手段11の構成は、本実施形態で示した基板111と再帰反射材112とからなるものに限定されない。たとえば、再帰反射手段11は、硬質樹脂からなる板状の基板111の表面に、再帰反射性を示すマイクロエンボスパターンが形成されたものであってもよい。この場合、基板111と再帰反射材112とを接着する工程を省くことができる。
【0030】
(iii)再帰反射手段11のスケール本体10への固定方法は、本実施形態で示した校正ユニット12を用いるものに限定されない。たとえば、ビスなどで再帰反射手段11をスケール本体10に固定するように構成してもよい。この場合、部品数が減り、コストを抑えることができる。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明は、三次元測長系および落射照明を有する画像測定機の斜め検査に好適に用いられる画像測定機用校正スケールとして利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本実施形態の画像測定機用校正スケールを用いて落射照明を有する画像測定機の斜め検査を行う場合の正面図。
【図2】本実施形態の画像測定機用校正スケールのスケール本体の図。
【図3】本実施形態の画像測定機用校正スケールを水平に配置して検査を行う場合の正面図。
【図4】画像測定機のXYZ測定空間を表す略図
【図5】本実施形態の画像測定機用校正スケールを用いて透過照明を有する画像測定機の斜め検査を行う場合の正面図。
【図6】従来の画像測定機用校正スケールを用いて落射照明を有する画像測定機の斜め検査を行う場合の正面図。
【符号の説明】
【0033】
1 画像測定機用校正スケール
10 スケール本体
10A 透過領域
10B 非透過領域
11 再帰反射手段
12 校正ユニット
21 対物レンズ
22 落射照明
101 スケール基板
102 被覆層
103 金属薄層
111 基板
112 再帰反射材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に所定のパターンで配置された光透過性の透過領域と光を透過しない非透過領域とを有する板状のスケール本体と、
前記スケール本体の裏面側に設けられ前記スケール本体の表面側から照射され前記スケール本体を透過した透過光を再帰反射する再帰反射手段と、を備えることを特徴とする画像測定機用校正スケール。
【請求項2】
請求項1に記載の画像測定機用校正スケールにおいて、
前記再帰反射手段は、前記スケール本体の裏面側に着脱可能に設けられることを特徴とする画像測定機用校正スケール。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の画像測定機用校正スケールにおいて、
前記再帰反射手段は、
基板と、
前記基板の表面に設けられた再帰反射材と、を有することを特徴とする画像測定機用校正スケール。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の画像測定機用校正スケールにおいて、
前記再帰反射手段は、前記スケール本体の裏面に対して所定の間隔を隔てて配置されることを特徴とする画像測定機用校正スケール。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載の画像測定機用校正スケールにおいて、
前記スケール本体は、
光透過性のスケール基板と、
前記スケール基板の表面に所定パターンで配置され光を透過しない被覆層と、を有し、
前記透過領域は、前記スケール本体表面の前記被覆層が設けられていない部分であり、
前記非透過領域は、前記スケール本体表面の前記被覆層が設けられた部分であることを特徴とする画像測定機用校正スケール。
【請求項6】
請求項5に記載の画像測定機用校正スケールにおいて、
前記スケール基板は、ガラス板であり、
前記被覆層は、蒸着により形成される金属薄層であることを特徴とする画像測定機用校正スケール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−96172(P2008−96172A)
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−275842(P2006−275842)
【出願日】平成18年10月6日(2006.10.6)
【出願人】(000137694)株式会社ミツトヨ (979)
【Fターム(参考)】