説明

画像生成プログラムおよび画像生成装置

【課題】コンピュータを利用して、自然感にあふれた画像を簡単に自動生成する。
【解決手段】(a)生成すべき画像中に含まれる図形の図形属性パラメータを設定する。(b)図形属性パラメータの組を引数とし、当該図形の画像生成用データを出力する図形データ生成関数を設定する。(c)参照画像の画素の色データから当該参照画像の特徴パラメータの値を出力する参照画像特徴抽出関数を設定する。(d)参照画像の画像データを読み込み、その色データを取得する。(e)色データに基づき、参照画像特徴抽出関数を用いて参照画像の特徴パラメータの値を取得する。(f)特徴パラメータ値を用いて、図形属性パラメータの少なくとも1つのパラメータの値を変更する。(g)変更した図形属性パラメータの値を、他のパラメータの値とともに図形データ生成関数に入力し、出力された各図形の画像生成用データを用いて画像全体の画像データを生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンピュータを利用した画像生成プログラムおよび画像生成装置、特に、コンピュータを利用して自然感のある画像を生成するためのプログラム、およびコンピュータを利用して自然感のある画像を生成する装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年のコンピュータグラフィックス技術の発展により、コンピュータを利用して画像を描画したり、画像を自動生成することが広範囲になされている。
この場合、描画機能を備えた画像編集用ソフトウェアが用いられ、例えば、予めデジタルカメラやスキャナによって取り込まれた画像が編集され、必要に応じてフィルター機能が利用され、画像に対して「ぼかし」や「ノイズ」等の特殊な効果が付与され、生成される画像に自然な感じを与えることがなされている。しかしながら、フィルター機能は画像全体に影響を与え、全体的に単調な変化をもたらすにすぎず、自然感に溢れた画像を生成するには十分なものではなかった。また、より自然な感じを与える画像を生成するべく、かかる描画機能を備えた画像編集用ソフトウェアを用いて、マウスやタブレット等のコンピュータの入力装置を巧みに操作しながら、画像を直接生成することがなされている。しかし、この方法では、コンピュータの入力装置の操作に熟練を要し、画像を生成することは容易ではない(例えば、非特許文献1参照)。
【0003】
また、自然感に溢れた画像を自動的に効率良く生成することを意図して、フラクタルやカオス等の数学理論を応用した画像生成法がこれまでに知られている(例えば、非特許文献2、3参照)。そして、フラクタルを応用した方法では、マンデルブロー、ジュリア集合を用いる方法が、カオスを応用した方法では、エノン写像を用いる方法が良く知られている。
これらの方法では、漸化式と呼ばれる図形データ生成関数を用いて、係数(変数)と呼ばれる画像や図形を構成する要素を任意に変更することで、新たな画像を次々に生成することができるが、いずれも癖のある特定のカテゴリーに属する画像しか生成することができなかった。
【0004】
【非特許文献1】宮窪伸治、「はじめてのPhotoshop7.0 Windows(登録商標)版」、秀和システム発行、2002年
【非特許文献2】渕上季代絵、「CによるフラクタルCG」、サイエンス社発行、1993年
【非特許文献3】川上博、上田哲史、「CによるカオスCG」、サイエンス社発行、1994年
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、本発明の課題は、コンピュータを利用して、自然感にあふれた画像を簡単に自動生成することができるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、第1発明によれば、参照画像に基づいて、少なくとも1種類の図形を含む画像を生成するプログラムであって、コンピュータに
(a)生成すべき画像中に含まれる図形に関する図形属性パラメータを設定する手順と、
(b)前記図形属性パラメータの組を引数とし、当該図形の画像生成用データを出力する図形データ生成関数を設定する手順と、
(c)参照画像を構成する画素の色データから当該参照画像の特徴を規定する特徴パラメータの値を出力する参照画像特徴抽出関数を設定する手順と、
(d)入力装置または記憶装置から参照画像の画像データを読み込み、その色データを取得する手順と、
(e)前記手順(d)で取得した色データに基づき、前記参照画像特徴抽出関数を用いることによって前記参照画像の特徴パラメータの値を取得する手順と、
(f)前記手順(e)で取得した特徴パラメータの値を用いて、前記図形属性パラメータの組のうちの少なくとも1つのパラメータの値を変更する手順と、
(g)前記手順(f)で変更した図形属性パラメータの値を、前記図形属性パラメータの組における残りのパラメータの値とともに前記図形データ生成関数に入力し、それから出力された前記各図形の画像生成用データを用いて画像全体の画像データを生成する手順と、
を実行させることを特徴とする画像生成プログラムが提供される。
【0007】
第1発明の構成において、前記画像生成プログラムは、好ましくは、
(h)前記手順(g)で生成した前記画像全体の画像データに基づき画像をディスプレイ表示しまたはプリントアウトする手順
をさらにコンピュータに実行させる。
【0008】
また、好ましくは、前記参照画像特徴抽出関数は、前記参照画像中に図形が含まれている場合に、その図形に関する特徴を規定する特徴パラメータの値を出力する第1特徴抽出関数、または前記参照画像を構成する複数の画像領域毎の画素の色データの最大値および最小値および平均値のうちの少なくとも1つを特徴パラメータの値として出力する第2特徴抽出関数からなっている。
さらには、前記第1特徴抽出関数から出力される前記特徴パラメータの値は、前記参照画像中における各図形の大きさパラメータの値、または前記参照画像中における各図形の色パラメータの値、または前記参照画像中における各図形の傾きパラメータの値、または、前記参照画像中における図形の個数パラメータの値、または前記参照画像中における図形の位置パラメータの値、またはそれらの組合わせであることが好ましい。
【0009】
また好ましくは、前記図形属性パラメータの組は、各図形の形状パラメータ、色パラメータ、大きさパラメータおよび傾きパラメータ、画像中における図形の個数パラメータ、および各図形の画像中における位置パラメータのうちの少なくとも1つを含んでいる。
図形の形状パラメータとしては、例えば、予め選択された図形同志の交換、図形の縦横比、図形の各頂点位置、図形を構成する線の長さ、太さおよび曲がりの程度が挙げられる。図形の大きさパラメータとしては、例えば、図形の幅、高さおよびサイズ、線のみから構成される図形における線の太さおよび長さ、図形の拡大縮小率が挙げられる。
また、図形の色パラメータが用いられる場合には、色は数値化されている必要がある。この色の数値化については各種数値化法があり、本発明においては特に限定されるものではないが、例えば、各種色に番号を付したカラーナンバー、各種色を色の3要素である色相、明度、彩度について段階表示したもの、分光化学データであるスペクトルまたはスペクトル反射率で数値化したもの、さらには、RGB等の3原色の等色関数化したもの、あるいは、XYZ、Lab等に等色関数化したもの等であってもよい。
【0010】
また、前記手順(f)において、前記図形属性パラメータの組のうち、特定された図形の形状パラメータ、色パラメータ、大きさパラメータおよび傾きパラメータのうちの少なくとも1つが変更されることが好ましく、あるいは、前記手順(f)において、前記図形属性パラメータの組のうち、画像中における図形の個数パラメータおよび特定された図形の画像中における位置パラメータのうちの少なくとも1つが変更されることが好ましい。
【0011】
上記課題を解決するため、第2発明によれば、プログラムされたコンピュータにより、参照画像に基づいて、少なくとも1種類の図形を含んだ画像を生成する装置であって、生成すべき画像の基本属性パラメータの値、および前記生成すべき画像中に含まれる図形に関する図形属性パラメータの組の初期値の入力を受けるパラメータ初期値入力部と、前記パラメータの値を変更すべき図形の選択の入力を受ける変更図形選択部と、変更すべき図形属性パラメータの選択の入力を受ける変更パラメータ選択部と、参照画像の画像データの入力を受ける参照画像データ入力部と、前記参照画像データ入力部に入力された画像データから、前記参照画像を構成する画素の色データを取得する色データ取得部と、前記色データ取得部で取得された色データから、前記参照画像の特徴を規定する特徴パラメータの値を出力する参照画像特徴抽出関数部と、前記参照画像特徴抽出関数部から出力された特徴パラメータの値に基づき、前記変更図形選択部によって選択された図形に関して、前記変更パラメータ選択部によって選択された変更すべき図形属性パラメータの値を変更するパラメータ値変更部と、前記図形属性パラメータの組を引数とし、対応する図形の画像生成用データを出力する図形データ生成関数部と、前記パラメータ値変更部によって変更された前記図形属性パラメータの値を、前記図形属性パラメータの組における残りのパラメータの値とともに前記図形データ生成関数部に入力し、前記図形データ生成関数部から出力された画像生成用データ、および前記画像の基本属性パラメータの値に基づいて、画像全体の画像データを生成する画像データ生成部と、前記画像データ生成部から出力された前記画像全体の画像データに基づいて前記生成すべき画像をディスプレイ表示またはプリントアウトする画像出力部と、を備えていることを特徴とする画像生成装置が提供される。
【0012】
第2発明の構成において、好ましくは、前記参照画像特徴抽出関数部は、前記参照画像中に図形が含まれている場合に、その図形に関する特徴を規定する特徴パラメータの値を出力する第1特徴抽出関数部、または前記参照画像を構成する複数の画像領域毎の画素の色データの最大値および最小値および平均値のうちの少なくとも1つを特徴パラメータの値として出力する第2特徴抽出関数部からなっており、前記画像生成装置は、さらに、前記第1〜第2特徴抽出関数部の選択の入力を受ける特徴抽出関数選択部を備えている。
さらには、前記第1特徴抽出関数部から出力される前記特徴パラメータの値は、前記参照画像中における各図形の大きさパラメータの値、または前記参照画像中における各図形の色パラメータの値、または前記参照画像中における各図形の傾きパラメータの値、または前記参照画像中における図形の個数パラメータの値、または前記参照画像に中における図形の位置パラメータの値、またはそれらの組合わせであることが好ましい。
【0013】
また好ましくは、前記図形属性パラメータの組は、前記各図形の形状パラメータ、色パラメータ、大きさパラメータおよび傾きパラメータ、画像中における図形の個数パラメータ、および前記各図形の画像中における位置パラメータのうちの少なくとも1つを含んでいる。
また好ましくは、前記画像の基本属性パラメータは、生成すべき画像の縦横サイズ、前記画像中で使用される色の色数、前記画像中で使用される色の色テーブル、および前記画像の解像度からなっている。
【0014】
各図形の形状パラメータとしては、例えば、予め選択された図形同志の交換、図形の縦横比、図形の各頂点位置、図形を構成する線の長さ、太さおよび曲がりの程度が挙げられる。各図形の大きさパラメータとしては、例えば、図形の幅、高さおよびサイズ、線のみから構成される図形における線の太さおよび長さ、図形の拡大縮小率が挙げられる。
また、各図形の色パラメータが用いられる場合には、色は数値化されている必要がある。この色の数値化については各種数値化法があり、本発明においては特に限定されるものではないが、例えば、各種色に番号を付したカラーナンバー、各種色を色の3要素である色相、明度、彩度について段階表示したもの、分光化学データであるスペクトルまたはスペクトル反射率で数値化したもの、さらには、RGB等の3原色の等色関数化したもの、あるいは、XYZ、Lab等に等色関数化したもの等であってもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、コンピュータを用いて、例えば、自然界に存在する様々な景色や、自然物等の画像を参照画像として、この画像からその特徴を規定する種々のパラメータ値を抽出し、抽出したパラメータ値を用いることで、予め想定された生成すべき画像の特徴を規定する種々のパラメータ値を変更することにより、より自然感に溢れた画像を自動生成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、添付図面を参照して、本発明の好ましい実施例について説明する。図1は、本発明による画像生成プログラムのフロー図である。図1を参照して、本発明によるプログラムは、コンピュータに対し、まず最初に、生成すべき画像中に含まれる図形に関する図形属性パラメータを設定させ(図1の手順a)、図形属性パラメータの組を引数とし、当該図形の画像生成用データを出力する図形データ生成関数を設定させる(図1の手順b)。
【0017】
図形属性パラメータの組は、各図形の形状パラメータ、色パラメータ、大きさパラメータおよび傾きパラメータ、画像中における図形の個数パラメータ、および各図形の画像中における位置パラメータのうちの少なくとも1つを含んでいる。
図形の形状パラメータとしては、例えば、予め選択された図形同志の交換、図形の縦横比、図形の各頂点位置、図形を構成する線の長さ、太さおよび曲がりの程度が挙げられる。図形の大きさパラメータとしては、例えば、図形の幅、高さおよびサイズ、線のみから構成される図形における線の太さおよび長さ、図形の拡大縮小率が挙げられる。
また、図形の色パラメータが用いられる場合には、色は数値化されている必要がある。この色の数値化については各種数値化法があり、本発明においては特に限定されるものではないが、例えば、各種色に番号を付したカラーナンバー、各種色を色の3要素である色相、明度、彩度について段階表示したもの、分光化学データであるスペクトルまたはスペクトル反射率で数値化したもの、さらには、RGB等の3原色の等色関数化したもの、あるいは、XYZ、Lab等に等色関数化したもの等であってもよい。
【0018】
本発明のプログラムは、さらに、コンピュータに対し、参照画像を構成する画素の色データから当該参照画像の特徴を規定する特徴パラメータの値を出力する参照画像特徴抽出関数を設定させる(図1の手順c)。参照画像特徴抽出関数は、参照画像中に図形が含まれている場合に、その図形に関する特徴を規定する特徴パラメータの値を出力する第1特徴抽出関数、または参照画像を構成する複数の画像領域毎の画素の色データの最大値および最小値および平均値のうちの少なくとも1つを特徴パラメータの値として出力する第2特徴抽出関数からなっている。
【0019】
第1特徴抽出関数から出力される特徴パラメータの値は、参照画像中における各図形の大きさパラメータの値、または参照画像中における各図形の色パラメータの値、または参照画像中における各図形の傾きパラメータの値、または、参照画像中における図形の個数パラメータの値、または参照画像中における図形の位置パラメータの値、またはそれらの組合わせである。
【0020】
その後、本発明のプログラムは、コンピュータに対し、入力装置または記憶装置から参照画像の画像データを読み込ませて、その色データを取得させ(図1の手順d)、取得した色データに基づき、参照画像特徴抽出関数を用いることによって参照画像の特徴パラメータの値を取得させる(図1の手順e)。
【0021】
本発明のプログラムは、さらに、コンピュータに対し、手順eで取得した特徴パラメータの値を用いて、図形属性パラメータの組のうちの少なくとも1つのパラメータの値を変更させる(図1の手順f)。このとき、好ましくは、図形属性パラメータの組のうち、特定された図形の形状パラメータ、色パラメータ、大きさパラメータおよび傾きパラメータのうちの少なくとも1つが変更され、あるいは、図形属性パラメータの組のうち、画像中における図形の個数パラメータおよび特定された図形の画像中における位置パラメータのうちの少なくとも1つが変更される。
【0022】
次に、本発明のプログラムは、コンピュータに対し、手順fで変更した図形属性パラメータの値を、図形属性パラメータの組における残りのパラメータの値とともに図形データ生成関数に入力し、それから出力された各図形の画像生成用データを用いて画像全体の画像データを生成させる(図1の手順g)。さらに、本発明のプログラムは、コンピュータに対し、手順gで生成した画像全体の画像データに基づき画像をディスプレイ表示しまたはプリントアウトさせる(図1の手順h)。
【0023】
以下に、本発明による画像生成プログラムについて、具体例を用いてより詳細に説明する。第1の具体例では、図5に示される参照画像(以下、画像Mとする)に基づいて、図6に示される画像(以下、画像Dとする)が生成される。図4に示された画像(以下、画像D’とする)は、生成すべき画像Dの基本属性パラメータおよび図形属性パラメータの初期値によって表現された画像である。この場合、生成すべき画像には、各格子によって画成される四角形が図形として含まれている。
【0024】
図3は、この具体例によるプログラムのフローチャートである。図3を参照して、まず最初、画像D’に基づき、生成すべき画像中に含まれる図形(各格子によって画成される四角形)に関する図形属性パラメータの初期値が設定される(図3の手順S1)。この場合、図形属性パラメータとして、図形の個数(横方向の個数Nw(Nw≧1)と縦方向の個数Nh(Nh≧1))の初期値と、図形の個数を要素とする配列データとしての、図形の形状パラメータSozaiと、図形の幅パラメータHabaと、図形の高さパラメータTakaと、図形の傾きパラメータKakuと、図形のX座標パラメータXposと、図形のY座標パラメータYposの初期値が設定される。
【0025】
次に、変更すべき図形属性パラメータとして、図形のX座標パラメータXposが選択され(図3の手順S2)、さらに、生成するデータ範囲として最小値Dminおよび最大値Dmaxが設定される(図3の手順S3)。
【0026】
そして、参照画像Mとして、微細物の電子顕微鏡写真が入力される(図3の手順S4)。さらに、参照画像Mの一部が、特徴抽出用画像(以下、画像mとする。)として選択され(図3の手順S5)、第1特徴抽出関数を用いて、画像mに含まれている粒子の数NBと、各粒子の面積(画素数)Menseki(粒子の数NBを要素とする配列データを形成する)が抽出される(図3の手順S6)。
【0027】
その後、粒子の面積Mensekiが、手順S3で設定されたデータ範囲内においてスケーリングされ、図形のX座標パラメータXposに変換されて、図形属性パラメータを変更するためのデータが取得される(図3の手順S7)。ここで、参照画像M中に含まれる粒子の数NBが、生成画像に含まれる図形の数Nに対して過不足がある場合には、データのトリムまたはリピートによって調整がなされる。
そして、手順S7で変更された図形属性パラメータと、変更されなかった残りの図形属性パラメータ、および画像Dの幅および高さの画素数W、H等の基本属性パラメータを含むすべての図形生成用パラメータを用いて画像Dが生成される(図3の手順S8)。
【0028】
図7は、第2の具体例によるプログラムのフローチャートである。第2の具体例では、図9に示される参照画像(以下、画像Mとする)に基づいて、図10に示される画像(以下、画像Dとする)が生成される。図8に示された画像(以下、画像D’とする)は、生成すべき画像Dの基本属性パラメータおよび図形属性パラメータの初期値によって表現された画像である。この場合、生成すべき画像には、多数個の微小四角形が図形として含まれている。
【0029】
図7を参照して、まず最初に、画像D’に基づき、生成すべき画像中に含まれる図形(微小四角形)に関する図形属性パラメータの初期値が設定される(図7の手順S20)。この場合、図形属性パラメータとして、図形の個数(横方向の個数Nw(Nw≧1)と縦方向の個数Nh(Nh≧1))の初期値と、図形の個数を要素とする配列データとしての、図形の形状パラメータSozaiと、図形の幅パラメータHabaと、図形の高さパラメータTakaと、図形の傾きパラメータKakuと、図形のX座標パラメータXposと、図形のY座標パラメータYposの初期値が設定される。
【0030】
次に、変更すべき図形属性パラメータとして、図形の幅パラメータHabaおよび図形の高さパラメータTakaが選択され(図7の手順S21)、さらに、生成するデータ範囲として最小値Dminおよび最大値Dmaxが設定される(図7の手順S22)。
【0031】
そして、参照画像Mとして、砂漠の写真を8ビットグレースケールに変換した画像が入力される(図7の手順S23)。さらに、参照画像Mの一部が、特徴抽出用画像(以下、画像mとする。)として選択され(図7の手順S24)、第2特徴抽出関数を用いて、特徴抽出用画像の特徴パラメータの値が抽出される。この第2特徴抽出関数による特徴抽出用画像の特徴パラメータの抽出の手順は、次のとおりである。
【0032】
まず最初、画像Dおよび画像mを同じグリッド数の2次元仮想エリアに分割するために、横および縦の分割数がWm、Hmとして設定される(図7の手順S25)。次に、画像mについて、各仮想分割エリアに含まれる画素データの平均値がそれぞれ計算され、横および縦の分割数Wm、Hmを要素とする2次元配列データMosaicが取得される(図7の手順S26)。そして、画像Dについて、手順S1で設定された図形のX座標パラメータおよびY座標パラメータの初期値より、各図形が含まれる仮想分割エリアの横および縦の位置データが取得され(図7の手順S27)、特徴パラメータとされる。
【0033】
その後、手順S27で取得された位置データが、2次元配列データMosaicの配列要素の位置に対応付けされ、手順S22で設定されたデータ範囲内でスケーリングがなされ、図形の幅パラメータHabaおよび図形の高さパラメータTakaに変換されることで、図形属性パラメータ変更用データが取得される(図7の手順S28)。
そして、手順S28で変更された図形属性パラメータと、変更されなかった残りの図形属性パラメータ、および画像Dの幅および高さの画素数W、H等の基本属性パラメータを含むすべての図形生成用パラメータを用いて画像Dが生成される(図7の手順S30)。
【0034】
なお、上述の具体例1、2のプログラムを構成する手順は、この説明における順番に限定されず、例えば、参照画像の取り込みおよび特徴パラメータの抽出の手順を、図形属性パラメータの初期値の設定の手順よりも前に実行することもできる。
【0035】
図2は、本発明による画像生成装置の概略構成を示すブロック図である。本発明の画像生成装置は、プログラムされたコンピュータにより、参照画像に基づいて、少なくとも1種類の図形を含んだ画像を生成するものである。図2を参照して、本発明の画像生成装置においては、生成すべき画像の基本属性パラメータの値、および生成すべき画像中に含まれる図形に関する図形属性パラメータの組の初期値の入力を受けるパラメータ初期値入力部1と、パラメータの値を変更すべき図形の選択の入力を受ける変更図形選択部3と、変更すべき図形属性パラメータの選択の入力を受ける変更パラメータ選択部2が備えられる。
【0036】
画像の基本属性パラメータは、生成すべき画像の縦横サイズ、生成すべき画像中で使用される色の色数、生成すべき画像中で使用される色の色テーブル、および生成すべき画像の解像度からなっている。
図形属性パラメータの組は、各図形の形状パラメータ、色パラメータ、大きさパラメータおよび傾きパラメータ、画像中における図形の個数パラメータ、および各図形の画像中における位置パラメータのうちの少なくとも1つを含んでいる。
【0037】
また、参照画像の画像データの入力を受ける参照画像データ入力部5と、参照画像データ入力部5に入力された画像データから、参照画像を構成する画素の色データを取得する色データ取得部8と、色データ取得部8で取得された色データから、参照画像の特徴を規定する特徴パラメータの値を出力する参照画像特徴抽出関数部7が備えられる。
【0038】
参照画像特徴抽出関数部7は、参照画像中に図形が含まれている場合に、その図形に関する特徴を規定する特徴パラメータの値を出力する第1特徴抽出関数部7a、または参照画像を構成する複数の画像領域毎の画素の色データの最大値および最小値および平均値のうちの少なくとも1つを特徴パラメータの値として出力する第2特徴抽出関数部7bからなっている。
【0039】
第1特徴抽出関数部7aから出力される特徴パラメータの値は、参照画像中における各図形の大きさパラメータの値、または参照画像中における各図形の色パラメータの値、または参照画像中における各図形の傾きパラメータの値、または参照画像中における図形の個数パラメータの値、または参照画像に中における図形の位置パラメータの値、またはそれらの組合わせからなっている。
【0040】
各図形の形状パラメータとしては、例えば、予め選択された図形同志の交換、図形の縦横比、図形の各頂点位置、図形を構成する線の長さ、太さおよび曲がりの程度が挙げられる。各図形の大きさパラメータとしては、例えば、図形の幅、高さおよびサイズ、線のみから構成される図形における線の太さおよび長さ、図形の拡大縮小率が挙げられる。
また、各図形の色パラメータが用いられる場合には、色は数値化されている必要がある。この色の数値化については各種数値化法があり、本発明においては特に限定されるものではないが、例えば、各種色に番号を付したカラーナンバー、各種色を色の3要素である色相、明度、彩度について段階表示したもの、分光化学データであるスペクトルまたはスペクトル反射率で数値化したもの、さらには、RGB等の3原色の等色関数化したもの、あるいは、XYZ、Lab等に等色関数化したもの等であってもよい。
【0041】
そして、画像生成装置においては、さらに、第1〜第2特徴抽出関数部7a、7bの選択の入力を受ける特徴抽出関数選択部4が備えられる。
また、参照画像特徴抽出関数部7から出力された特徴パラメータの値に基づき、変更図形選択部3によって選択された図形に関して、変更パラメータ選択部2によって選択された変更すべき図形属性パラメータの値を変更するパラメータ値変更部6と、図形属性パラメータの組を引数とし、対応する図形の画像生成用データを出力する図形データ生成関数部9と、パラメータ値変更部6によって変更された図形属性パラメータの値を、図形属性パラメータの組における残りのパラメータの値とともに図形データ生成関数部9に入力し、図形データ生成関数部9から出力された画像生成用データ、および画像の基本属性パラメータの値に基づいて、画像全体の画像データを生成する画像データ生成部10と、画像データ生成部10から出力された画像全体の画像データに基づいて生成すべき画像をディスプレイ表示またはプリントアウトする画像出力部11が備えられる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明による画像生成プログラムのフロー図である。
【図2】本発明による画像生成装置の概略構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の第1の具体例によるプログラムのフロー図である。
【図4】本発明の第1の具体例における、生成すべき画像の基本属性パラメータおよび図形属性パラメータの初期値によって表現された画像である。
【図5】本発明の第1の具体例における参照画像である。
【図6】本発明の第1の具体例によるプログラムを用いることにより、図5の参照画像に基づいて生成された画像である。
【図7】本発明の第2の具体例によるプログラムのフロー図である。
【図8】本発明の第2の具体例における、生成すべき画像の基本属性パラメータおよび図形属性パラメータの初期値によって表現された画像である。
【図9】本発明の第2の具体例における参照画像である。
【図10】本発明の第2の具体例によるプログラムを用いることにより、図9の参照画像に基づいて生成された画像である。
【符号の説明】
【0043】
1 パラメータ初期値入力部
2 変更パラメータ選択部
3 変更図形選択部
4 特徴抽出関数選択部
5 参照画像データ入力部
6 パラメータ値変更部
7 参照画像特徴抽出関数部
7a 第1特徴抽出関数部
7b 第2特徴抽出関数部
8 色データ取得部
9 図形データ生成関数部
10 画像データ生成部
11 画像出力部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
参照画像に基づいて、少なくとも1種類の図形を含む画像を生成するプログラムであって、コンピュータに
(a)生成すべき画像中に含まれる図形に関する図形属性パラメータを設定する手順と、
(b)前記図形属性パラメータの組を引数とし、当該図形の画像生成用データを出力する図形データ生成関数を設定する手順と、
(c)参照画像を構成する画素の色データから当該参照画像の特徴を規定する特徴パラメータの値を出力する参照画像特徴抽出関数を設定する手順と、
(d)入力装置または記憶装置から参照画像の画像データを読み込み、その色データを取得する手順と、
(e)前記手順(d)で取得した色データに基づき、前記参照画像特徴抽出関数を用いることによって前記参照画像の特徴パラメータの値を取得する手順と、
(f)前記手順(e)で取得した特徴パラメータの値を用いて、前記図形属性パラメータの組のうちの少なくとも1つのパラメータの値を変更する手順と、
(g)前記手順(f)で変更した図形属性パラメータの値を、前記図形属性パラメータの組における残りのパラメータの値とともに前記図形データ生成関数に入力し、それから出力された前記各図形の画像生成用データを用いて画像全体の画像データを生成する手順と、
を実行させることを特徴とする画像生成プログラム。
【請求項2】
(h)前記手順(g)で生成した前記画像全体の画像データに基づき画像をディスプレイ表示しまたはプリントアウトする手順
をさらにコンピュータに実行させることを特徴とする請求項1に記載の画像生成プログラム。
【請求項3】
前記参照画像特徴抽出関数は、前記参照画像中に図形が含まれている場合に、その図形に関する特徴を規定する特徴パラメータの値を出力する第1特徴抽出関数、または前記参照画像を構成する複数の画像領域毎の画素の色データの最大値および最小値および平均値のうちの少なくとも1つを特徴パラメータの値として出力する第2特徴抽出関数からなっていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の画像生成プログラム。
【請求項4】
前記第1特徴抽出関数から出力される前記特徴パラメータの値は、前記参照画像中における各図形の大きさパラメータの値、または前記参照画像中における各図形の色パラメータの値、または前記参照画像中における各図形の傾きパラメータの値、または、前記参照画像中における図形の個数パラメータの値、または前記参照画像中における図形の位置パラメータの値、またはそれらの組合わせであることを特徴とする請求項3に記載の画像生成プログラム。
【請求項5】
前記図形属性パラメータの組は、各図形の形状パラメータ、色パラメータ、大きさパラメータおよび傾きパラメータ、画像中における図形の個数パラメータ、および各図形の画像中における位置パラメータのうちの少なくとも1つを含んでいることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の画像生成プログラム。
【請求項6】
前記手順(f)において、前記図形属性パラメータの組のうち、特定された図形の形状パラメータ、色パラメータ、大きさパラメータおよび傾きパラメータのうちの少なくとも1つが変更されることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の画像生成プログラム。
【請求項7】
前記手順(f)において、前記図形属性パラメータの組のうち、画像中における図形の個数パラメータおよび特定された図形の画像中における位置パラメータのうちの少なくとも1つが変更されることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の画像生成プログラム。
【請求項8】
プログラムされたコンピュータにより、参照画像に基づいて、少なくとも1種類の図形を含んだ画像を生成する装置であって、
生成すべき画像の基本属性パラメータの値、および前記生成すべき画像中に含まれる図形に関する図形属性パラメータの組の初期値の入力を受けるパラメータ初期値入力部と、
前記パラメータの値を変更すべき図形の選択の入力を受ける変更図形選択部と、
変更すべき図形属性パラメータの選択の入力を受ける変更パラメータ選択部と、
参照画像の画像データの入力を受ける参照画像データ入力部と、
前記参照画像データ入力部に入力された画像データから、前記参照画像を構成する画素の色データを取得する色データ取得部と、
前記色データ取得部で取得された色データから、前記参照画像の特徴を規定する特徴パラメータの値を出力する参照画像特徴抽出関数部と、
前記参照画像特徴抽出関数部から出力された特徴パラメータの値に基づき、前記変更図形選択部によって選択された図形に関して、前記変更パラメータ選択部によって選択された変更すべき図形属性パラメータの値を変更するパラメータ値変更部と、
前記図形属性パラメータの組を引数とし、対応する図形の画像生成用データを出力する図形データ生成関数部と、
前記パラメータ値変更部によって変更された前記図形属性パラメータの値を、前記図形属性パラメータの組における残りのパラメータの値とともに前記図形データ生成関数部に入力し、前記図形データ生成関数部から出力された画像生成用データ、および前記画像の基本属性パラメータの値に基づいて、画像全体の画像データを生成する画像データ生成部と、
前記画像データ生成部から出力された前記画像全体の画像データに基づいて前記生成すべき画像をディスプレイ表示またはプリントアウトする画像出力部と、を備えていることを特徴とする画像生成装置。
【請求項9】
前記参照画像特徴抽出関数部は、前記参照画像中に図形が含まれている場合に、その図形に関する特徴を規定する特徴パラメータの値を出力する第1特徴抽出関数部、または前記参照画像を構成する複数の画像領域毎の画素の色データの最大値および最小値および平均値のうちの少なくとも1つを特徴パラメータの値として出力する第2特徴抽出関数部からなっており、さらに、
前記第1〜第2特徴抽出関数部の選択の入力を受ける特徴抽出関数選択部を備えていることを特徴とする請求項8に記載の画像生成装置。
【請求項10】
前記第1特徴抽出関数部から出力される前記特徴パラメータの値は、前記参照画像中における各図形の大きさパラメータの値、または前記参照画像中における各図形の色パラメータの値、または前記参照画像中における各図形の傾きパラメータの値、または、前記参照画像中における図形の個数パラメータの値、または前記参照画像に中における図形の位置パラメータの値、またはそれらの組合わせであることを特徴とする請求項9に記載の画像生成装置。
【請求項11】
前記図形属性パラメータの組は、前記各図形の形状パラメータ、色パラメータ、大きさパラメータおよび傾きパラメータ、画像中における図形の個数パラメータ、および前記各図形の画像中における位置パラメータのうちの少なくとも1つを含んでいることを特徴とする請求項8〜請求項10のいずれかに記載の画像生成装置。
【請求項12】
前記画像の基本属性パラメータは、生成すべき画像の縦横サイズ、前記画像中で使用される色の色数、前記画像中で使用される色の色テーブル、および前記画像の解像度からなっていることを特徴とする請求項8〜請求項11のいずれかに記載の画像生成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図10】
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【図5】
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【図9】
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