画像符号化方法,画像復号方法,画像符号化装置,画像復号装置およびそれらのプログラム
【課題】イントラ予測において符号化条件に応じた適応的な参照画素生成処理を導入することで,イントラ予測誤差を低減し,符号化効率を向上させる。
【解決手段】イントラ予測ブロックサイズ読込み部505は,イントラ予測ブロックのサイズを読み込み,補間フィルタ選択部506は,そのイントラ予測ブロックのサイズに基づいて,参照画素の生成に必要な補間フィルタのタップ長を設定する。参照画素値生成部507は,設定されたタップ長の補間フィルタを用いて,ファイル処理を行い,イントラ予測信号の生成に用いるイントラ参照画素値を生成する。
【解決手段】イントラ予測ブロックサイズ読込み部505は,イントラ予測ブロックのサイズを読み込み,補間フィルタ選択部506は,そのイントラ予測ブロックのサイズに基づいて,参照画素の生成に必要な補間フィルタのタップ長を設定する。参照画素値生成部507は,設定されたタップ長の補間フィルタを用いて,ファイル処理を行い,イントラ予測信号の生成に用いるイントラ参照画素値を生成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,高能率画像信号符号化/復号方法に関し,特にイントラ予測を用いて画像を符号化または復号する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
動画像符号化のアルゴリズムは,フレーム間符号化(インター符号化)とフレーム内符号化(イントラ符号化)に大別される。フレーム間符号化は動画像内の時間方向の相関を利用して,情報圧縮を図るアプローチである。代表例は,動き補償を用いたフレーム間予測である。一方,フレーム内符号化は,フレーム内の相関を用いて,情報圧縮を図るアプローチである。JPEG,MPEG−2では,離散コサイン変換(DCT)を用いたアプローチが,JPEG2000では,離散ウェーブレット変換を用いたアプローチがとられている。
【0003】
H.264/AVCでは,前述の変換符号化に加えて,空間方向の予測が行われる(非特許文献1参照)。空間次元で同一の画面内から予測を行う画面内予測である。この画面内予測はブロック単位で行われ,H.264/AVCでは,輝度信号に対して,3種類のブロックサイズ(4×4,8×8,16×16)が利用可能となっている。また,各ブロックサイズでは,それぞれ複数の予測モードが選択可能である。4×4と8×8のブロックサイズの場合には9種類のモード,16×16のブロックサイズの場合には4種類のモードが用意されている。色差信号に対しては,8×8のブロックサイズのみが利用可能であり,予測方向に関しては輝度信号に対する16×16ブロックの場合と同じである。ただし,モード番号と予測方向の対応付けが異なる。
【0004】
これらの各種ブロックサイズとモードにおいて,どの場合でも例外なく,画面内予測で生成される画素は,隣接するブロック上の符号化対象ブロックに最近傍の画素の値を変化させずに,同じ値をコピーする。
【0005】
具体的な例として,符号化対象ブロックが輝度信号の4×4ブロック,垂直予測(予測モード0)の場合を,図12に示す。また,以下では特に断りがない場合には,輝度信号を前提として説明を行う。図12(A)に示されるように,符号化対象ブロックの左上にあるブロックからX,上にあるブロックからA,B,C,D,右上にあるブロックからE,F,G,H,そして左にあるブロックからI,J,K,Lに示す画素の値を予測に用いる。予測モード0は,垂直方向の予測のため,Aの値(73)を真下に続く4画素にコピーする。以下,同様にBの値(79),Cの値(86),Dの値(89)を,それぞれ真下に続く4画素にコピーする。この結果,符号化対象ブロックの予測画素値は,予測モード0の場合,図12(B)に示すようになる。
【0006】
符号化対象ブロックの存在する位置によっては,参照すべきブロックがない場合が存在する。その場合には128の値を代入するか,もしくは隣の画素の値を代入することで予測を可能としている。例えば,画面の一番上の行に存在するブロックでは,XからHまでの9画素は常に参照することができないため,128を用いる。また,左上と上のブロックは存在するが,右上が存在しない場合には,Dの有する値をE,F,G,Hに代入して予測画素を生成する。
【0007】
H.264/AVCのイントラ予測改善のアプローチとして,8方向の予測方向を細分化し,33方向の予測方向をサポートした手法が提案されている。この手法は,予測方向の粒度の粗さに起因する予測誤差(予測残差とも言う)を低減させることを狙ったものである。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】大久保榮, 角野眞也, 菊池義浩, 鈴木輝彦:“H.264/AVC教科書改訂三版”,インプレス, pp.110-116,2009
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
前述のイントラ予測は,参照画素の生成が予測性能に大きな影響を及ぼす。斜め方向の予測(水平・垂直・DC予測以外の予測)の場合,参照画素値は,小数画素位置の画素値となる。この画素値の生成には,2タップの双線形フィルタによる補間処理が用いられる。前記フィルタは,符号化条件(量子化ステップ幅など)によらず,タップ長およびフィルタ係数は固定値を用いる。しかし,参照画素値は当該ブロックの近傍に位置する復号画素値であるため,符号化条件によりその特性は変化する。このため,従来のイントラ予測では,符号化条件に応じた参照画素値の特性の変化が十分考慮されておらず,符号化効率の向上に改良の余地を残す。
【0010】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであって,イントラ予測に用いる参照画素に着目し,符号化条件に応じた適応的な参照画素生成処理を導入することで,イントラ予測誤差を低減し,高能率なイントラ符号化方法を確立することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
まず,用語を定義する。以下,イントラ予測を用いて符号化を行う領域をイントラ予測ブロックと呼び,イントラ予測に用いる参照画素をイントラ参照画素と呼ぶ。
【0012】
本発明では,イントラ参照画素に対して,適応的なフィルタ選択に基づき,イントラ予測の参照画素値を生成し,イントラ予測残差の低減を図る。
【0013】
まず,符号化対象のイントラ予測ブロックに対して,イントラ参照画素の存在領域(以後,イントラ参照画素領域と呼ぶ)を同定する。イントラ参照画素は,イントラ予測ブロックの近傍画素であり,イントラ予測ブロックのサイズとイントラ予測モードに応じて定まる。
【0014】
図1に,イントラ参照画素の例を示す。図1(A)は,イントラ予測モードが,垂直方向予測の場合のイントラ参照画素の例を示し,図1(B)は,イントラ予測モードが,水平方向予測の場合のイントラ参照画素の例を示している。
【0015】
図1において,正方領域が画素にあたる。また,P0が符号化対象ブロック内の画素,P1が符号化済みの画素,P2,P3が符号化対象ブロック内の画素群に対するイントラ参照画素を表している。このように,参照画素はイントラ予測モードによって異なる。準備された全てのイントラ予測モードを実現するために必要なイントラ参照画素が存在する領域をイントラ参照画素領域と呼ぶ。イントラ参照画素領域の例を,図1(C)に示す。
【0016】
斜め方向イントラ予測(水平方向予測・垂直方向予測・DC予測以外の予測)の場合,イントラ参照画素領域内の画素値に対して補間処理を行い,イントラ参照画素を生成する。この生成において,復号画像の特性に影響を与える符号化パラメータに基づき,補間に用いるフィルタを適応的に選択し,イントラ予測誤差の低減を図る。
【0017】
この補間フィルタの選択では,イントラ予測ブロックのサイズが大きいほど,短いタップ長の補間フィルタを選択し,また,イントラ予測ブロックの量子化パラメータが小さいほど長いタップ長の補間フィルタを選択する。
【0018】
これは,以下の理由による。イントラ予測ブロックのサイズが大きいほど,一般的に平坦なテクスチャを有している可能性が高く,イントラ参照画素の性質が一定となり得る。長いタップ長を用いなくても短いタップ長で十分な可能性がある。さらに,参照画素から予測対象となる画素までの距離が大きくなる(特に符号化対象ブロックの右下の画素ほど参照画素からの距離は遠くなり,ブロックサイズが大きいほどその傾向は顕著となる)ため,斜め方向イントラ予測のための補間フィルタを修正しても,予測誤差エネルギー低減の効果が期待できない。一方,イントラ予測ブロックのサイズが小さければ,複雑なテクスチャを有している領域内である可能性が高く,イントラ参照画素の性質が起伏に富み,フィルタのタップ長/形状を変えることで,より柔軟な予測画素を生成でき得る。また,参照画素から予測対象となる画素までの距離が小さいため,斜め方向イントラ予測のための補間フィルタを修正することで,予測誤差エネルギー低減の効果が期待できる。
【0019】
また,イントラ予測ブロックの量子化パラメータが小さい場合,復号画像は複雑な模様を有していることが多く,予測精度の高い参照画素の生成には,長いタップ長の補間フィルタが適切である。一方,イントラ予測ブロックの量子化パラメータが大きい場合,平坦な画像であることが多いため,短いタップ長の補間フィルタでも予測精度を維持することができる。
【0020】
詳しくは本発明は,空間的な画素間予測を用いて予測信号を生成し,その予測信号と原信号との残差信号を用いて画像符号化する画像符号化において,イントラ予測の参照画素に対して,符号化ないしは変換ないしは予測の処理単位であるブロックのサイズもしくは当該ブロックの量子化パラメータのいずれか一方,またはその双方に基づき,該参照画素の生成に必要な補間フィルタのタップ長を設定し,設定されたタップ長に対応する補間フィルタを用いて,参照画素を生成するフィルタ処理を行い,生成された参照画素を用いて,指定されたイントラ予測モードに対応するイントラ予測信号を生成し,生成されたイントラ予測信号と原信号との差分信号によりイントラ予測誤差信号を生成し,前記イントラ予測誤差信号を符号化することを特徴とする。
【0021】
また,本発明は,空間的な画素間予測を用いて予測信号を生成し,その予測信号と原信号との残差信号を用いて画像復号する画像復号において,入力した符号化ストリーム中のイントラ予測誤差信号,イントラ予測モードおよびイントラ予測ブロックのサイズを復号し,イントラ予測モードおよびイントラ予測ブロックのサイズに基づき,イントラ予測の参照画素を同定し,イントラ予測の参照画素に対して,符号化ないしは変換ないしは予測の処理単位であるブロックのサイズもしくは当該ブロックの量子化パラメータのいずれか一方,またはその双方に基づき,該参照画素の生成に必要な補間フィルタのタップ長を設定し,設定されたタップ長に対応する補間フィルタを用いて,参照画素を生成するフィルタ処理を行い,生成された参照画素を用いて,復号されたイントラ予測モードに対応するイントラ予測信号を生成し,生成されたイントラ予測信号と前記イントラ予測誤差信号とを用いて,復号対象領域の復号信号を生成することを特徴とする。
【0022】
また,本発明は,前記画像符号化または前記画像復号において,前記補間フィルタのタップ長を設定する場合に,前記ブロックのサイズが基準値以下の場合は長いタップ長を設定し,基準値よりも大きい場合は短いタップ長を設定することを特徴とする。または前記ブロックの量子化パラメータで示される量子化ステップサイズが基準値以下の場合は長いタップ長を設定し,基準値よりも大きい場合は短いタップ長を設定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
本発明により,予測対象画素値に近いイントラ参照画素値を生成することが可能となる。この結果,イントラ予測誤差エネルギーの低減を通して,符号量の低減が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】イントラ参照画素の例を示す図である。
【図2】本発明を適用する動画像符号化装置の一構成例を示す図である。
【図3】本発明を適用する動画像復号装置の一構成例を示す図である。
【図4】イントラ予測処理部の構成例を示す図である。
【図5】イントラ予測処理のフローチャートである。
【図6】参照画素生成部の第1の構成例を示す図である。
【図7】イントラ参照画素生成処理(例1)のフローチャートである。
【図8】参照画素生成部の第2の構成例を示す図である。
【図9】イントラ参照画素生成処理(例2)のフローチャートである。
【図10】動画像符号化装置をコンピュータとソフトウェアプログラムとを用いて実現する場合のシステムの構成例を示す図である。
【図11】動画像復号装置をコンピュータとソフトウェアプログラムとを用いて実現する場合のシステムの構成例を示す図である。
【図12】従来の画面内予測におけるイントラ予測画素生成方法の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明は,動画像符号化装置(図2)および動画像復号装置(図3)におけるイントラ予測処理部(図2の101および図3の202)に関する技術である。同イントラ予測処理部は,符号化装置・復号装置で共通する処理を行う。
【0026】
以下では,まず本発明が適用される動画像符号化装置および動画像復号装置の例を示し,その後に,本発明の改良箇所であるイントラ予測処理部の詳細な説明を行う。
【0027】
〔動画像符号化装置の構成例〕
図2は,本発明を適用する動画像符号化装置の一構成例を示す図である。動画像符号化装置100において,本実施形態は,特にイントラ予測処理部101の部分が従来技術と異なる部分であり,他の部分は,H.264/AVCなどのエンコーダとして用いられている従来の一般的な動画像符号化装置の構成と同様である。
【0028】
動画像符号化装置100は,符号化対象の映像信号を入力し,入力映像信号のフレームをブロックに分割してブロックごとに符号化し,そのビットストリームを符号化ストリームとして出力する。この符号化のため,予測残差信号生成部103は,入力映像信号とイントラ予測処理部101あるいはインター予測処理部102の出力である予測信号との差分を求め,それを予測残差信号として出力する。変換処理部104は,予測残差信号に対して離散コサイン変換(DCT)等の直交変換を行い,変換係数を出力する。量子化処理部105は,変換係数を量子化し,その量子化された変換係数を出力する。エントロピー符号化処理部113は,量子化された変換係数をエントロピー符号化し,符号化ストリームとして出力する。
【0029】
一方,量子化された変換係数は,逆量子化処理部106にも入力され,ここで逆量子化される。逆変換処理部107は,逆量子化処理部106の出力である変換係数を逆直交変換し,予測残差復号信号を出力する。
【0030】
復号信号生成部108では,この予測残差復号信号とイントラ予測処理部101あるいはインター予測処理部102の出力である予測信号とを加算し,符号化した符号化対象ブロックの復号信号を生成する。この復号信号は,イントラ予測処理部101あるいはインター予測処理部102において参照画像として用いるために,フレームメモリ109に格納される。なお,インター予測処理部102において参照する場合には,インループフィルタ処理部110において,フレームメモリ109に格納した画像を入力して,符号化歪を低減するフィルタリング処理を行い,このフィルタリング処理後の画像を参照画像として用いる。
【0031】
イントラ予測処理部101において設定された予測モード等の情報は,イントラ予測情報格納部112に格納され,さらに,エントロピー符号化処理部113においてエントロピー符号化され,符号化ストリームとして出力される。インター予測処理部102において設定された動きベクトル等の情報は,インター予測情報格納部111に格納され,さらに,エントロピー符号化処理部113においてエントロピー符号化され,符号化ストリームとして出力される。
【0032】
〔動画像復号装置の構成例〕
図3は,本発明を適用する動画像復号装置の一構成例を示す図である。動画像復号装置200において,本実施形態は,特にイントラ予測処理部202の部分が従来技術と異なる部分であり,他の部分は,H.264/AVCなどのデコーダとして用いられている従来の一般的な動画像復号装置の構成と同様である。
【0033】
動画像復号装置200は,図2に示す動画像符号化装置100により符号化された符号化ストリームを入力して復号することにより復号画像の映像信号を出力する。この復号のため,エントロピー復号処理部201は,符号化ストリームを入力し,復号対象ブロックの量子化変換係数をエントロピー復号するとともに,イントラ予測に関する情報およびインター予測に関する情報を復号する。インター予測に関する情報を復号した結果は,インター予測情報格納部209に格納され,イントラ予測に関する情報を復号した結果は,イントラ予測情報格納部210に格納される。
【0034】
逆量子化処理部204は,量子化変換係数を入力し,それを逆量子化して復号変換係数を出力する。逆変換処理部205は,復号変換係数に逆直交変換を施し,予測残差復号信号を出力する。復号信号生成部206は,予測残差復号信号とイントラ予測処理部202あるいはインター予測処理部203の出力である予測信号とを加算し,復号対象ブロックの復号信号を生成する。この復号信号は,イントラ予測処理部202あるいはインター予測処理部203において参照画像として用いるために,フレームメモリ207に格納される。なお,インター予測処理部203において参照する場合には,インループフィルタ処理部208において,フレームメモリ207に格納した画像を入力して,符号化歪を低減するフィルタリング処理を行い,このフィルタリング処理後の画像を参照画像として用いる。最終的にフィルタリング処理後の画像が,映像信号として出力される。
【0035】
〔イントラ予測処理部の構成例〕
本実施形態は,図2のイントラ予測処理部101または図3のイントラ予測処理部202におけるイントラ予測処理に関する技術である。
【0036】
図4に,イントラ予測処理部の構成例を示す。図4に示すイントラ予測処理部は,動画像符号化装置100および動画像復号装置200で共通する処理を行う。
【0037】
ブロック位置同定部301は,イントラ予測ブロックのフレーム内での位置を同定する。参照画素生成部302は,イントラ予測モード,イントラ予測ブロックのフレーム内での位置を入力として,同ブロックに対するイントラ参照画素を生成する。イントラ予測値生成部303は,イントラ予測モードおよびイントラ参照画素を入力として,同イントラ予測モードに対応する予測を行い,イントラ予測値を出力する。
【0038】
〔イントラ予測処理のフロー〕
図5は,図4に示すイントラ予測処理部が実行するイントラ予測処理のフローチャートである。
【0039】
まず,ステップS101では,イントラ予測ブロックのフレーム内での位置を同定する。次に,ステップS102では,イントラ予測モード,イントラ予測ブロックのフレーム内での位置を入力として,同ブロックに対するイントラ参照画素を生成する。次に,ステップS103では,イントラ予測モードおよびイントラ参照画素を入力として,同イントラ予測モードに対応する予測を行い,イントラ予測値を生成して出力する。
【0040】
〔参照画素生成部の構成例1〕
図6は,図4に示すイントラ予測処理部における参照画素生成部302の第1の構成例を示している。参照画素生成部302は,次のような構成によりイントラ参照画素生成処理を行う。
【0041】
復号画素値記憶部501は,参照画素生成に必要な復号画素値を記憶する。このとき,例えばH.264/AVCのように,復号画素値に対してローパスフィルタなどのノイズ低減のためのフィルタを施してから保存してもよい。具体的には,図12において,Aの値をそのままコピーするのではなく,(X+2×A+B)>>2,(A+2×B+C)>>2などの処理である(>>は右ビットシフト操作を示す)。復号画素値読込み部502は,イントラ予測モードを入力として,イントラ予測モードに応じて,復号画素値記憶部501で記憶した復号画素値を読み込む。予測モード判定部503は,イントラ予測モード,および,復号画素値読込み部502で読み込んだ復号画素値を入力として,同予測モードに用いる参照画素を生成するために小数画素位置の補間が必要かどうかを判定し,必要でない場合,同復号画素位置からイントラ予測に必要な参照画素値を選択する。そうでなければ,イントラ予測ブロックサイズ読込み部505の処理に移動する。
【0042】
本実施形態において,図6に点線枠で示したイントラ予測ブロックサイズ記憶部504,イントラ予測ブロックサイズ読込み部505,補間フィルタ選択部506の部分が,従来技術と異なる部分である。
【0043】
イントラ予測ブロックサイズ記憶部504は,イントラ予測の対象となっているブロック(イントラ予測ブロック)のサイズを記憶する。H.264/AVCの場合,ブロックサイズとしては,4×4,8×8,16×16の三種類がある。なお,本実施形態では,これらのサイズに限らず,例えば32×32というようなブロックサイズを対象としてもよい。m×n(mとnは異なる整数値)という正方形以外のブロックサイズも同様に対象としてよい。
【0044】
イントラ予測ブロックサイズ読込み部505は,イントラ予測ブロックサイズ記憶部504で記憶したイントラ予測ブロックのサイズを読み込む。
【0045】
補間フィルタ選択部506は,イントラ予測ブロックのサイズおよびイントラ予測モードを入力として,イントラ予測ブロックのサイズおよびイントラ予測モードに応じて,イントラ参照画素の生成に用いる補間フィルタを選択する。特に,この補間フィルタの選択では,予め与えられた基準値を読み込み,イントラ予測ブロックのサイズが大きいほど,短いタップ長の補間フィルタを選択し,サイズが小さいほど,長いタップ長を選択する。例えば,基準値のブロックサイズが8×8の場合,イントラ予測のブロックサイズが8×8より大きいサイズであれば,タップ長が2の補間フィルタを選択し,ブロックサイズが8×8以下の場合には,タップ長が4(4以上の6,8などでも可)のタップ長の補間フィルタを選択する。また,基準値は複数あってもよく,例えば,8×8,16×16と2種類の基準値があった場合,4×4と8×8の場合はタップ長が6,16×16の場合はタップ長が4,16×16より大きいサイズの場合はタップ長が2という形でもよい。さらに,予測処理であるイントラ予測ブロックのサイズ以外にも,処理中のブロックが含まれる符号化処理および変換処理のブロックのサイズを読み込み,そのサイズから予め与えられた基準値を用いて,タップ長を設定することもできる。
【0046】
基準値を与える以外にも,予め与えられたテーブルを読み込み,入力されたブロックのサイズに応じて,そのブロックのサイズに対応するタップ長を読み込むことでタップ長を設定することも可能である。上記テーブルは,ブロックサイズとタップ長が対応付けられており,ブロックサイズが大きいほど短いタップ長で,ブロックサイズが小さいほど長いタップ長となっているものとする。
【0047】
タップ長が定まった時に用いるフィルタ係数として,例えば,2つの整数位置にある画素をP(i,j),P(i+1,j)とする。ここで,iとjはそれぞれx(水平)方向およびy(垂直)方向の空間座標とする。P(i,j)から1/8画素位置シフトしたP(i+1/8,j)を補間することを想定する場合,2タップを用いる場合は[7/8,1/8]という係数を有するフィルタを用いて,
P(i+1/8,j)=P(i,j)×7/8+P(i+1,j)×1/8
とすればよい。また,4タップを用いる場合は[−5/64,55/64,17/64,−3/64]という係数を有するフィルタを用いて,
P(i+1/8,j)=
P(i−1,j)×(−5/64)+P(i,j)×55/64+
P(i+1,j)×17/64+P(i+2,j)×(−3/64)
とすればよい。符号化や画像処理に用いられる一般的な補間フィルタは,本発明に同様に適用できる。
【0048】
参照画素値生成部507は,イントラ予測モード,復号画素値読込み部502で読み込んだ復号画素値,および補間フィルタ選択部506で選択された補間フィルタを入力として,選択された補間フィルタを用いた補間処理により,イントラ予測に必要な参照画素値を生成する。
【0049】
なお,従来技術では,イントラ予測ブロックサイズの読込みなどを行うことなく,単に予測モード判定部503の出力するイントラ予測モードを入力として,イントラ予測モードに応じて,イントラ参照画素の生成に用いる補間フィルタを選択している点が,本実施形態と異なる。
【0050】
〔イントラ参照画素生成処理(例1)のフロー〕
図7は,イントラ参照画素生成処理(例1)のフローチャートである。以下,図4に示す参照画素生成部302が実行するイントラ参照画素生成処理の第1の例を,図7に従って詳細に説明する。
【0051】
まず,ステップS201では,イントラ予測モードを読み込む。次に,ステップS202では,イントラ予測モードを入力として,参照画素生成に必要な復号画素値を読み込む。ステップS203では,イントラ予測モードを入力として,同予測モードに用いる参照画素を生成するために小数画素位置の補間が必要かどうかを判定し,補間が必要な場合,ステップS205の処理に移動する。そうでなければ,ステップS204の処理に移動する。
【0052】
ステップS204では,イントラ予測モード,および,ステップS202で読み込んだ復号画素値を入力として,同復号画素値から,イントラ予測に必要な参照画素値を選択し,それをイントラ参照画素とする。
【0053】
一方,小数画素位置の補間が必要な場合,ステップS205では,イントラ予測の対象となっているブロック(イントラ予測ブロック)のサイズを読み込む。H.264/AVCの場合,ブロックサイズとしては,4×4,8×8,16×16の三種類があるが,それ以上,ないしはm×n(mとnは異なる整数)などの他のブロックサイズがあってもよい。
【0054】
ステップS206では,イントラ予測ブロックのサイズおよびイントラ予測モードを入力として,イントラ予測ブロックのサイズおよびイントラ予測モードに応じて,イントラ参照画素の生成に用いる補間フィルタを選択する。この補間フィルタの選択では,イントラ予測ブロックのサイズが大きい場合に短いタップ長の補間フィルタを選択し,小さい場合には長いタップ長の補間フィルタを選択する。前述の通り,予め与えられた基準値もしくはテーブルに基づいて,ブロックサイズに応じて設定されるタップ長の補間フィルタが選択可能である。
【0055】
ステップS207では,イントラ予測モード,ステップS202で読み込んだ復号画素値,およびステップS206で選択された補間フィルタを入力として,補間フィルタを用いた補間処理により,イントラ予測に必要な参照画素値を生成する。
【0056】
図7において従来技術と異なるのは,点線枠で示したステップS205,S206の部分であり,従来技術では,補間フィルタは,イントラ予測モードを入力として,単にイントラ予測モードに応じて,イントラ参照画素の生成に用いる補間フィルタを選択していた。本実施形態では,イントラ予測モードだけではなく,イントラ予測のブロックサイズを読み込み,イントラ予測ブロックのサイズおよびイントラ予測モードに応じて,イントラ参照画素の生成に用いる補間フィルタを選択する点が従来技術と異なる。なお,予測処理であるイントラ予測ブロックのサイズ以外にも,処理中のブロックが含まれる符号化処理および変換処理のブロックのサイズを読み込み,同様にしてそのサイズから予め与えられた基準値を用いて,タップ長を設定することもできる。
【0057】
〔参照画素生成部の構成例2〕
図8は,図4に示すイントラ予測処理部における参照画素生成部302の第2の構成例を示している。参照画素生成部302は,図8に示すような構成によりイントラ参照画素生成処理を行うこともできる。
【0058】
図8において,復号画素値記憶部511,復号画素値読込み部512,予測モード判定部513,参照画素値生成部517が行う処理は,図6で説明したものと同様である。
【0059】
本実施形態の場合,量子化ステップサイズ記憶部514は,イントラ予測の対象となっているブロック(イントラ予測ブロック)の量子化に用いる量子化ステップサイズを示すパラメータ(QPパラメータと呼ぶ)を記憶する。
【0060】
量子化ステップサイズ読込み部515は,量子化ステップサイズ記憶部514で記憶したQPパラメータを読み込む。補間フィルタ選択部516は,QPパラメータおよびイントラ予測モードを入力として,QPパラメータおよびイントラ予測モードに応じて,イントラ参照画素の生成に用いる補間フィルタを選択する。特に,この補間フィルタの選択では,あらかじめ定められたQPパラメータとタップ長との対応情報に従って,QPパラメータが小さいほど,長いタップ長の補間フィルタを選択する。
【0061】
〔イントラ参照画素生成処理(例2)のフロー〕
図9は,イントラ参照画素生成処理(例2)のフローチャートである。以下,図8に示す参照画素生成部302が実行するイントラ参照画素生成処理の第2の例を,図9に従って説明する。
【0062】
図9に示すステップS211〜S214,S217で行う処理は,図7で説明したステップS201〜S204,S207で行う処理と同様である。
【0063】
本実施形態の場合,ステップS215では,イントラ予測の対象となっているブロック(イントラ予測ブロック)の量子化に用いる量子化ステップサイズを示すパラメータ(QPパラメータと呼ぶ)を読み込む。
【0064】
次に,ステップS216では,QPパラメータおよびイントラ予測モードを入力として,QPパラメータおよびイントラ予測モードに応じて,イントラ参照画素の生成に用いる補間フィルタを選択する。この補間フィルタの選択では,QPパラメータが大きい場合に比べて小さい場合のほうが長いタップ長の補間フィルタを選択する。
【0065】
以上,イントラ予測ブロックのサイズに応じて補間フィルタを選択する例と,量子化パラメータに応じて補間フィルタを選択する例について説明したが,これらの双方を考慮して,補間フィルタのタップ長を設定することもできる。例えば,イントラ予測ブロックの量子化パラメータの大きさが同じ場合,イントラ予測ブロックのサイズが大きいほど,タップ長の短い補間フィルタを設定し,ブロックのサイズが小さいほど,タップ長の長い補間フィルタを設定する。また,イントラ予測ブロックのサイズが同じ場合,量子化パラメータが小さいほど,タップ長の長い補間フィルタを設定し,量子化パラメータが大きいほど,タップ長の短い補間フィルタを設定する。例えば,あらかじめ各イントラ予測ブロックのサイズと量子化パラメータ値との組み合わせに対して,どのタップ長のどのような補間フィルタを用いるかを示す対応情報を,イントラ予測モードごとにテーブル化して記憶しておき,このテーブルをもとに補間フィルタを選択することにより,適切な補間フィルタを適応的に選択する実施も可能である。
【0066】
以上の動画像符号化,復号の処理は,コンピュータとソフトウェアプログラムとによっても実現することができ,そのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録することも,ネットワークを通して提供することも可能である。
【0067】
図10に,動画像符号化装置をコンピュータとソフトウェアプログラムとによって構成する場合のハードウェア構成例を示す。本システムは,プログラムを実行するCPU700と,CPU700がアクセスするプログラムやデータが格納されるRAM等のメモリ701と,カメラ等からの符号化対象の映像信号を入力する映像信号入力部702(ディスク装置等による映像信号を記憶する記憶部でもよい)と,本発明の実施形態で説明した符号化処理をCPU700に実行させるソフトウェアプログラムである動画像符号化プログラム704が格納されたプログラム記憶装置703と,CPU700がメモリ701にロードされた動画像符号化プログラム704を実行することにより生成された符号化ストリームを,例えばネットワークを介して出力する符号化ストリーム出力部705(ディスク装置等による符号化ストリームを記憶する記憶部でもよい)とが,バスで接続された構成になっている。
【0068】
図11に,動画像復号装置をコンピュータとソフトウェアプログラムとによって構成する場合のハードウェア構成例を示す。本システムは,プログラムを実行するCPU800と,CPU800がアクセスするプログラムやデータが格納されるRAM等のメモリ801と,動画像符号化装置が本手法により符号化した符号化ストリームを入力する符号化ストリーム入力部802(ディスク装置等による符号化ストリームを記憶する記憶部でもよい)と,本発明の実施形態で説明した復号処理をCPU800に実行させるソフトウェアプログラムである動画像復号プログラム804が格納されたプログラム記憶装置803と,CPU800がメモリ801にロードされた動画像復号プログラム804を実行することにより,符号化ストリームを復号して得られた復号映像を,再生装置などに出力する復号映像データ出力部805(ディスク装置等による復号映像データを記憶する記憶部でもよい)とが,バスで接続された構成になっている。
【0069】
以上,図面を参照して本発明の実施形態を説明してきたが,上記実施形態は本発明の例示に過ぎず,本発明が上記実施形態に限定されるものではないことは明らかである。したがって,本発明の精神および技術的範囲を逸脱しない範囲での構成要素の追加,省略,置換,その他の変更を行ってもよい。
【符号の説明】
【0070】
100 動画像符号化装置
101,202 イントラ予測処理部
200 動画像復号装置
302 参照画素生成部
501,511 復号画素値記憶部
502,512 復号画素値読込み部
503,513 予測モード判定部
504 イントラ予測ブロックサイズ記憶部
505 イントラ予測ブロックサイズ読込み部
506,516 補間フィルタ選択部
507,517 参照画素値生成部
514 量子化ステップサイズ記憶部
515 量子化ステップサイズ読込み部
【技術分野】
【0001】
本発明は,高能率画像信号符号化/復号方法に関し,特にイントラ予測を用いて画像を符号化または復号する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
動画像符号化のアルゴリズムは,フレーム間符号化(インター符号化)とフレーム内符号化(イントラ符号化)に大別される。フレーム間符号化は動画像内の時間方向の相関を利用して,情報圧縮を図るアプローチである。代表例は,動き補償を用いたフレーム間予測である。一方,フレーム内符号化は,フレーム内の相関を用いて,情報圧縮を図るアプローチである。JPEG,MPEG−2では,離散コサイン変換(DCT)を用いたアプローチが,JPEG2000では,離散ウェーブレット変換を用いたアプローチがとられている。
【0003】
H.264/AVCでは,前述の変換符号化に加えて,空間方向の予測が行われる(非特許文献1参照)。空間次元で同一の画面内から予測を行う画面内予測である。この画面内予測はブロック単位で行われ,H.264/AVCでは,輝度信号に対して,3種類のブロックサイズ(4×4,8×8,16×16)が利用可能となっている。また,各ブロックサイズでは,それぞれ複数の予測モードが選択可能である。4×4と8×8のブロックサイズの場合には9種類のモード,16×16のブロックサイズの場合には4種類のモードが用意されている。色差信号に対しては,8×8のブロックサイズのみが利用可能であり,予測方向に関しては輝度信号に対する16×16ブロックの場合と同じである。ただし,モード番号と予測方向の対応付けが異なる。
【0004】
これらの各種ブロックサイズとモードにおいて,どの場合でも例外なく,画面内予測で生成される画素は,隣接するブロック上の符号化対象ブロックに最近傍の画素の値を変化させずに,同じ値をコピーする。
【0005】
具体的な例として,符号化対象ブロックが輝度信号の4×4ブロック,垂直予測(予測モード0)の場合を,図12に示す。また,以下では特に断りがない場合には,輝度信号を前提として説明を行う。図12(A)に示されるように,符号化対象ブロックの左上にあるブロックからX,上にあるブロックからA,B,C,D,右上にあるブロックからE,F,G,H,そして左にあるブロックからI,J,K,Lに示す画素の値を予測に用いる。予測モード0は,垂直方向の予測のため,Aの値(73)を真下に続く4画素にコピーする。以下,同様にBの値(79),Cの値(86),Dの値(89)を,それぞれ真下に続く4画素にコピーする。この結果,符号化対象ブロックの予測画素値は,予測モード0の場合,図12(B)に示すようになる。
【0006】
符号化対象ブロックの存在する位置によっては,参照すべきブロックがない場合が存在する。その場合には128の値を代入するか,もしくは隣の画素の値を代入することで予測を可能としている。例えば,画面の一番上の行に存在するブロックでは,XからHまでの9画素は常に参照することができないため,128を用いる。また,左上と上のブロックは存在するが,右上が存在しない場合には,Dの有する値をE,F,G,Hに代入して予測画素を生成する。
【0007】
H.264/AVCのイントラ予測改善のアプローチとして,8方向の予測方向を細分化し,33方向の予測方向をサポートした手法が提案されている。この手法は,予測方向の粒度の粗さに起因する予測誤差(予測残差とも言う)を低減させることを狙ったものである。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】大久保榮, 角野眞也, 菊池義浩, 鈴木輝彦:“H.264/AVC教科書改訂三版”,インプレス, pp.110-116,2009
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
前述のイントラ予測は,参照画素の生成が予測性能に大きな影響を及ぼす。斜め方向の予測(水平・垂直・DC予測以外の予測)の場合,参照画素値は,小数画素位置の画素値となる。この画素値の生成には,2タップの双線形フィルタによる補間処理が用いられる。前記フィルタは,符号化条件(量子化ステップ幅など)によらず,タップ長およびフィルタ係数は固定値を用いる。しかし,参照画素値は当該ブロックの近傍に位置する復号画素値であるため,符号化条件によりその特性は変化する。このため,従来のイントラ予測では,符号化条件に応じた参照画素値の特性の変化が十分考慮されておらず,符号化効率の向上に改良の余地を残す。
【0010】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであって,イントラ予測に用いる参照画素に着目し,符号化条件に応じた適応的な参照画素生成処理を導入することで,イントラ予測誤差を低減し,高能率なイントラ符号化方法を確立することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
まず,用語を定義する。以下,イントラ予測を用いて符号化を行う領域をイントラ予測ブロックと呼び,イントラ予測に用いる参照画素をイントラ参照画素と呼ぶ。
【0012】
本発明では,イントラ参照画素に対して,適応的なフィルタ選択に基づき,イントラ予測の参照画素値を生成し,イントラ予測残差の低減を図る。
【0013】
まず,符号化対象のイントラ予測ブロックに対して,イントラ参照画素の存在領域(以後,イントラ参照画素領域と呼ぶ)を同定する。イントラ参照画素は,イントラ予測ブロックの近傍画素であり,イントラ予測ブロックのサイズとイントラ予測モードに応じて定まる。
【0014】
図1に,イントラ参照画素の例を示す。図1(A)は,イントラ予測モードが,垂直方向予測の場合のイントラ参照画素の例を示し,図1(B)は,イントラ予測モードが,水平方向予測の場合のイントラ参照画素の例を示している。
【0015】
図1において,正方領域が画素にあたる。また,P0が符号化対象ブロック内の画素,P1が符号化済みの画素,P2,P3が符号化対象ブロック内の画素群に対するイントラ参照画素を表している。このように,参照画素はイントラ予測モードによって異なる。準備された全てのイントラ予測モードを実現するために必要なイントラ参照画素が存在する領域をイントラ参照画素領域と呼ぶ。イントラ参照画素領域の例を,図1(C)に示す。
【0016】
斜め方向イントラ予測(水平方向予測・垂直方向予測・DC予測以外の予測)の場合,イントラ参照画素領域内の画素値に対して補間処理を行い,イントラ参照画素を生成する。この生成において,復号画像の特性に影響を与える符号化パラメータに基づき,補間に用いるフィルタを適応的に選択し,イントラ予測誤差の低減を図る。
【0017】
この補間フィルタの選択では,イントラ予測ブロックのサイズが大きいほど,短いタップ長の補間フィルタを選択し,また,イントラ予測ブロックの量子化パラメータが小さいほど長いタップ長の補間フィルタを選択する。
【0018】
これは,以下の理由による。イントラ予測ブロックのサイズが大きいほど,一般的に平坦なテクスチャを有している可能性が高く,イントラ参照画素の性質が一定となり得る。長いタップ長を用いなくても短いタップ長で十分な可能性がある。さらに,参照画素から予測対象となる画素までの距離が大きくなる(特に符号化対象ブロックの右下の画素ほど参照画素からの距離は遠くなり,ブロックサイズが大きいほどその傾向は顕著となる)ため,斜め方向イントラ予測のための補間フィルタを修正しても,予測誤差エネルギー低減の効果が期待できない。一方,イントラ予測ブロックのサイズが小さければ,複雑なテクスチャを有している領域内である可能性が高く,イントラ参照画素の性質が起伏に富み,フィルタのタップ長/形状を変えることで,より柔軟な予測画素を生成でき得る。また,参照画素から予測対象となる画素までの距離が小さいため,斜め方向イントラ予測のための補間フィルタを修正することで,予測誤差エネルギー低減の効果が期待できる。
【0019】
また,イントラ予測ブロックの量子化パラメータが小さい場合,復号画像は複雑な模様を有していることが多く,予測精度の高い参照画素の生成には,長いタップ長の補間フィルタが適切である。一方,イントラ予測ブロックの量子化パラメータが大きい場合,平坦な画像であることが多いため,短いタップ長の補間フィルタでも予測精度を維持することができる。
【0020】
詳しくは本発明は,空間的な画素間予測を用いて予測信号を生成し,その予測信号と原信号との残差信号を用いて画像符号化する画像符号化において,イントラ予測の参照画素に対して,符号化ないしは変換ないしは予測の処理単位であるブロックのサイズもしくは当該ブロックの量子化パラメータのいずれか一方,またはその双方に基づき,該参照画素の生成に必要な補間フィルタのタップ長を設定し,設定されたタップ長に対応する補間フィルタを用いて,参照画素を生成するフィルタ処理を行い,生成された参照画素を用いて,指定されたイントラ予測モードに対応するイントラ予測信号を生成し,生成されたイントラ予測信号と原信号との差分信号によりイントラ予測誤差信号を生成し,前記イントラ予測誤差信号を符号化することを特徴とする。
【0021】
また,本発明は,空間的な画素間予測を用いて予測信号を生成し,その予測信号と原信号との残差信号を用いて画像復号する画像復号において,入力した符号化ストリーム中のイントラ予測誤差信号,イントラ予測モードおよびイントラ予測ブロックのサイズを復号し,イントラ予測モードおよびイントラ予測ブロックのサイズに基づき,イントラ予測の参照画素を同定し,イントラ予測の参照画素に対して,符号化ないしは変換ないしは予測の処理単位であるブロックのサイズもしくは当該ブロックの量子化パラメータのいずれか一方,またはその双方に基づき,該参照画素の生成に必要な補間フィルタのタップ長を設定し,設定されたタップ長に対応する補間フィルタを用いて,参照画素を生成するフィルタ処理を行い,生成された参照画素を用いて,復号されたイントラ予測モードに対応するイントラ予測信号を生成し,生成されたイントラ予測信号と前記イントラ予測誤差信号とを用いて,復号対象領域の復号信号を生成することを特徴とする。
【0022】
また,本発明は,前記画像符号化または前記画像復号において,前記補間フィルタのタップ長を設定する場合に,前記ブロックのサイズが基準値以下の場合は長いタップ長を設定し,基準値よりも大きい場合は短いタップ長を設定することを特徴とする。または前記ブロックの量子化パラメータで示される量子化ステップサイズが基準値以下の場合は長いタップ長を設定し,基準値よりも大きい場合は短いタップ長を設定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
本発明により,予測対象画素値に近いイントラ参照画素値を生成することが可能となる。この結果,イントラ予測誤差エネルギーの低減を通して,符号量の低減が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】イントラ参照画素の例を示す図である。
【図2】本発明を適用する動画像符号化装置の一構成例を示す図である。
【図3】本発明を適用する動画像復号装置の一構成例を示す図である。
【図4】イントラ予測処理部の構成例を示す図である。
【図5】イントラ予測処理のフローチャートである。
【図6】参照画素生成部の第1の構成例を示す図である。
【図7】イントラ参照画素生成処理(例1)のフローチャートである。
【図8】参照画素生成部の第2の構成例を示す図である。
【図9】イントラ参照画素生成処理(例2)のフローチャートである。
【図10】動画像符号化装置をコンピュータとソフトウェアプログラムとを用いて実現する場合のシステムの構成例を示す図である。
【図11】動画像復号装置をコンピュータとソフトウェアプログラムとを用いて実現する場合のシステムの構成例を示す図である。
【図12】従来の画面内予測におけるイントラ予測画素生成方法の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明は,動画像符号化装置(図2)および動画像復号装置(図3)におけるイントラ予測処理部(図2の101および図3の202)に関する技術である。同イントラ予測処理部は,符号化装置・復号装置で共通する処理を行う。
【0026】
以下では,まず本発明が適用される動画像符号化装置および動画像復号装置の例を示し,その後に,本発明の改良箇所であるイントラ予測処理部の詳細な説明を行う。
【0027】
〔動画像符号化装置の構成例〕
図2は,本発明を適用する動画像符号化装置の一構成例を示す図である。動画像符号化装置100において,本実施形態は,特にイントラ予測処理部101の部分が従来技術と異なる部分であり,他の部分は,H.264/AVCなどのエンコーダとして用いられている従来の一般的な動画像符号化装置の構成と同様である。
【0028】
動画像符号化装置100は,符号化対象の映像信号を入力し,入力映像信号のフレームをブロックに分割してブロックごとに符号化し,そのビットストリームを符号化ストリームとして出力する。この符号化のため,予測残差信号生成部103は,入力映像信号とイントラ予測処理部101あるいはインター予測処理部102の出力である予測信号との差分を求め,それを予測残差信号として出力する。変換処理部104は,予測残差信号に対して離散コサイン変換(DCT)等の直交変換を行い,変換係数を出力する。量子化処理部105は,変換係数を量子化し,その量子化された変換係数を出力する。エントロピー符号化処理部113は,量子化された変換係数をエントロピー符号化し,符号化ストリームとして出力する。
【0029】
一方,量子化された変換係数は,逆量子化処理部106にも入力され,ここで逆量子化される。逆変換処理部107は,逆量子化処理部106の出力である変換係数を逆直交変換し,予測残差復号信号を出力する。
【0030】
復号信号生成部108では,この予測残差復号信号とイントラ予測処理部101あるいはインター予測処理部102の出力である予測信号とを加算し,符号化した符号化対象ブロックの復号信号を生成する。この復号信号は,イントラ予測処理部101あるいはインター予測処理部102において参照画像として用いるために,フレームメモリ109に格納される。なお,インター予測処理部102において参照する場合には,インループフィルタ処理部110において,フレームメモリ109に格納した画像を入力して,符号化歪を低減するフィルタリング処理を行い,このフィルタリング処理後の画像を参照画像として用いる。
【0031】
イントラ予測処理部101において設定された予測モード等の情報は,イントラ予測情報格納部112に格納され,さらに,エントロピー符号化処理部113においてエントロピー符号化され,符号化ストリームとして出力される。インター予測処理部102において設定された動きベクトル等の情報は,インター予測情報格納部111に格納され,さらに,エントロピー符号化処理部113においてエントロピー符号化され,符号化ストリームとして出力される。
【0032】
〔動画像復号装置の構成例〕
図3は,本発明を適用する動画像復号装置の一構成例を示す図である。動画像復号装置200において,本実施形態は,特にイントラ予測処理部202の部分が従来技術と異なる部分であり,他の部分は,H.264/AVCなどのデコーダとして用いられている従来の一般的な動画像復号装置の構成と同様である。
【0033】
動画像復号装置200は,図2に示す動画像符号化装置100により符号化された符号化ストリームを入力して復号することにより復号画像の映像信号を出力する。この復号のため,エントロピー復号処理部201は,符号化ストリームを入力し,復号対象ブロックの量子化変換係数をエントロピー復号するとともに,イントラ予測に関する情報およびインター予測に関する情報を復号する。インター予測に関する情報を復号した結果は,インター予測情報格納部209に格納され,イントラ予測に関する情報を復号した結果は,イントラ予測情報格納部210に格納される。
【0034】
逆量子化処理部204は,量子化変換係数を入力し,それを逆量子化して復号変換係数を出力する。逆変換処理部205は,復号変換係数に逆直交変換を施し,予測残差復号信号を出力する。復号信号生成部206は,予測残差復号信号とイントラ予測処理部202あるいはインター予測処理部203の出力である予測信号とを加算し,復号対象ブロックの復号信号を生成する。この復号信号は,イントラ予測処理部202あるいはインター予測処理部203において参照画像として用いるために,フレームメモリ207に格納される。なお,インター予測処理部203において参照する場合には,インループフィルタ処理部208において,フレームメモリ207に格納した画像を入力して,符号化歪を低減するフィルタリング処理を行い,このフィルタリング処理後の画像を参照画像として用いる。最終的にフィルタリング処理後の画像が,映像信号として出力される。
【0035】
〔イントラ予測処理部の構成例〕
本実施形態は,図2のイントラ予測処理部101または図3のイントラ予測処理部202におけるイントラ予測処理に関する技術である。
【0036】
図4に,イントラ予測処理部の構成例を示す。図4に示すイントラ予測処理部は,動画像符号化装置100および動画像復号装置200で共通する処理を行う。
【0037】
ブロック位置同定部301は,イントラ予測ブロックのフレーム内での位置を同定する。参照画素生成部302は,イントラ予測モード,イントラ予測ブロックのフレーム内での位置を入力として,同ブロックに対するイントラ参照画素を生成する。イントラ予測値生成部303は,イントラ予測モードおよびイントラ参照画素を入力として,同イントラ予測モードに対応する予測を行い,イントラ予測値を出力する。
【0038】
〔イントラ予測処理のフロー〕
図5は,図4に示すイントラ予測処理部が実行するイントラ予測処理のフローチャートである。
【0039】
まず,ステップS101では,イントラ予測ブロックのフレーム内での位置を同定する。次に,ステップS102では,イントラ予測モード,イントラ予測ブロックのフレーム内での位置を入力として,同ブロックに対するイントラ参照画素を生成する。次に,ステップS103では,イントラ予測モードおよびイントラ参照画素を入力として,同イントラ予測モードに対応する予測を行い,イントラ予測値を生成して出力する。
【0040】
〔参照画素生成部の構成例1〕
図6は,図4に示すイントラ予測処理部における参照画素生成部302の第1の構成例を示している。参照画素生成部302は,次のような構成によりイントラ参照画素生成処理を行う。
【0041】
復号画素値記憶部501は,参照画素生成に必要な復号画素値を記憶する。このとき,例えばH.264/AVCのように,復号画素値に対してローパスフィルタなどのノイズ低減のためのフィルタを施してから保存してもよい。具体的には,図12において,Aの値をそのままコピーするのではなく,(X+2×A+B)>>2,(A+2×B+C)>>2などの処理である(>>は右ビットシフト操作を示す)。復号画素値読込み部502は,イントラ予測モードを入力として,イントラ予測モードに応じて,復号画素値記憶部501で記憶した復号画素値を読み込む。予測モード判定部503は,イントラ予測モード,および,復号画素値読込み部502で読み込んだ復号画素値を入力として,同予測モードに用いる参照画素を生成するために小数画素位置の補間が必要かどうかを判定し,必要でない場合,同復号画素位置からイントラ予測に必要な参照画素値を選択する。そうでなければ,イントラ予測ブロックサイズ読込み部505の処理に移動する。
【0042】
本実施形態において,図6に点線枠で示したイントラ予測ブロックサイズ記憶部504,イントラ予測ブロックサイズ読込み部505,補間フィルタ選択部506の部分が,従来技術と異なる部分である。
【0043】
イントラ予測ブロックサイズ記憶部504は,イントラ予測の対象となっているブロック(イントラ予測ブロック)のサイズを記憶する。H.264/AVCの場合,ブロックサイズとしては,4×4,8×8,16×16の三種類がある。なお,本実施形態では,これらのサイズに限らず,例えば32×32というようなブロックサイズを対象としてもよい。m×n(mとnは異なる整数値)という正方形以外のブロックサイズも同様に対象としてよい。
【0044】
イントラ予測ブロックサイズ読込み部505は,イントラ予測ブロックサイズ記憶部504で記憶したイントラ予測ブロックのサイズを読み込む。
【0045】
補間フィルタ選択部506は,イントラ予測ブロックのサイズおよびイントラ予測モードを入力として,イントラ予測ブロックのサイズおよびイントラ予測モードに応じて,イントラ参照画素の生成に用いる補間フィルタを選択する。特に,この補間フィルタの選択では,予め与えられた基準値を読み込み,イントラ予測ブロックのサイズが大きいほど,短いタップ長の補間フィルタを選択し,サイズが小さいほど,長いタップ長を選択する。例えば,基準値のブロックサイズが8×8の場合,イントラ予測のブロックサイズが8×8より大きいサイズであれば,タップ長が2の補間フィルタを選択し,ブロックサイズが8×8以下の場合には,タップ長が4(4以上の6,8などでも可)のタップ長の補間フィルタを選択する。また,基準値は複数あってもよく,例えば,8×8,16×16と2種類の基準値があった場合,4×4と8×8の場合はタップ長が6,16×16の場合はタップ長が4,16×16より大きいサイズの場合はタップ長が2という形でもよい。さらに,予測処理であるイントラ予測ブロックのサイズ以外にも,処理中のブロックが含まれる符号化処理および変換処理のブロックのサイズを読み込み,そのサイズから予め与えられた基準値を用いて,タップ長を設定することもできる。
【0046】
基準値を与える以外にも,予め与えられたテーブルを読み込み,入力されたブロックのサイズに応じて,そのブロックのサイズに対応するタップ長を読み込むことでタップ長を設定することも可能である。上記テーブルは,ブロックサイズとタップ長が対応付けられており,ブロックサイズが大きいほど短いタップ長で,ブロックサイズが小さいほど長いタップ長となっているものとする。
【0047】
タップ長が定まった時に用いるフィルタ係数として,例えば,2つの整数位置にある画素をP(i,j),P(i+1,j)とする。ここで,iとjはそれぞれx(水平)方向およびy(垂直)方向の空間座標とする。P(i,j)から1/8画素位置シフトしたP(i+1/8,j)を補間することを想定する場合,2タップを用いる場合は[7/8,1/8]という係数を有するフィルタを用いて,
P(i+1/8,j)=P(i,j)×7/8+P(i+1,j)×1/8
とすればよい。また,4タップを用いる場合は[−5/64,55/64,17/64,−3/64]という係数を有するフィルタを用いて,
P(i+1/8,j)=
P(i−1,j)×(−5/64)+P(i,j)×55/64+
P(i+1,j)×17/64+P(i+2,j)×(−3/64)
とすればよい。符号化や画像処理に用いられる一般的な補間フィルタは,本発明に同様に適用できる。
【0048】
参照画素値生成部507は,イントラ予測モード,復号画素値読込み部502で読み込んだ復号画素値,および補間フィルタ選択部506で選択された補間フィルタを入力として,選択された補間フィルタを用いた補間処理により,イントラ予測に必要な参照画素値を生成する。
【0049】
なお,従来技術では,イントラ予測ブロックサイズの読込みなどを行うことなく,単に予測モード判定部503の出力するイントラ予測モードを入力として,イントラ予測モードに応じて,イントラ参照画素の生成に用いる補間フィルタを選択している点が,本実施形態と異なる。
【0050】
〔イントラ参照画素生成処理(例1)のフロー〕
図7は,イントラ参照画素生成処理(例1)のフローチャートである。以下,図4に示す参照画素生成部302が実行するイントラ参照画素生成処理の第1の例を,図7に従って詳細に説明する。
【0051】
まず,ステップS201では,イントラ予測モードを読み込む。次に,ステップS202では,イントラ予測モードを入力として,参照画素生成に必要な復号画素値を読み込む。ステップS203では,イントラ予測モードを入力として,同予測モードに用いる参照画素を生成するために小数画素位置の補間が必要かどうかを判定し,補間が必要な場合,ステップS205の処理に移動する。そうでなければ,ステップS204の処理に移動する。
【0052】
ステップS204では,イントラ予測モード,および,ステップS202で読み込んだ復号画素値を入力として,同復号画素値から,イントラ予測に必要な参照画素値を選択し,それをイントラ参照画素とする。
【0053】
一方,小数画素位置の補間が必要な場合,ステップS205では,イントラ予測の対象となっているブロック(イントラ予測ブロック)のサイズを読み込む。H.264/AVCの場合,ブロックサイズとしては,4×4,8×8,16×16の三種類があるが,それ以上,ないしはm×n(mとnは異なる整数)などの他のブロックサイズがあってもよい。
【0054】
ステップS206では,イントラ予測ブロックのサイズおよびイントラ予測モードを入力として,イントラ予測ブロックのサイズおよびイントラ予測モードに応じて,イントラ参照画素の生成に用いる補間フィルタを選択する。この補間フィルタの選択では,イントラ予測ブロックのサイズが大きい場合に短いタップ長の補間フィルタを選択し,小さい場合には長いタップ長の補間フィルタを選択する。前述の通り,予め与えられた基準値もしくはテーブルに基づいて,ブロックサイズに応じて設定されるタップ長の補間フィルタが選択可能である。
【0055】
ステップS207では,イントラ予測モード,ステップS202で読み込んだ復号画素値,およびステップS206で選択された補間フィルタを入力として,補間フィルタを用いた補間処理により,イントラ予測に必要な参照画素値を生成する。
【0056】
図7において従来技術と異なるのは,点線枠で示したステップS205,S206の部分であり,従来技術では,補間フィルタは,イントラ予測モードを入力として,単にイントラ予測モードに応じて,イントラ参照画素の生成に用いる補間フィルタを選択していた。本実施形態では,イントラ予測モードだけではなく,イントラ予測のブロックサイズを読み込み,イントラ予測ブロックのサイズおよびイントラ予測モードに応じて,イントラ参照画素の生成に用いる補間フィルタを選択する点が従来技術と異なる。なお,予測処理であるイントラ予測ブロックのサイズ以外にも,処理中のブロックが含まれる符号化処理および変換処理のブロックのサイズを読み込み,同様にしてそのサイズから予め与えられた基準値を用いて,タップ長を設定することもできる。
【0057】
〔参照画素生成部の構成例2〕
図8は,図4に示すイントラ予測処理部における参照画素生成部302の第2の構成例を示している。参照画素生成部302は,図8に示すような構成によりイントラ参照画素生成処理を行うこともできる。
【0058】
図8において,復号画素値記憶部511,復号画素値読込み部512,予測モード判定部513,参照画素値生成部517が行う処理は,図6で説明したものと同様である。
【0059】
本実施形態の場合,量子化ステップサイズ記憶部514は,イントラ予測の対象となっているブロック(イントラ予測ブロック)の量子化に用いる量子化ステップサイズを示すパラメータ(QPパラメータと呼ぶ)を記憶する。
【0060】
量子化ステップサイズ読込み部515は,量子化ステップサイズ記憶部514で記憶したQPパラメータを読み込む。補間フィルタ選択部516は,QPパラメータおよびイントラ予測モードを入力として,QPパラメータおよびイントラ予測モードに応じて,イントラ参照画素の生成に用いる補間フィルタを選択する。特に,この補間フィルタの選択では,あらかじめ定められたQPパラメータとタップ長との対応情報に従って,QPパラメータが小さいほど,長いタップ長の補間フィルタを選択する。
【0061】
〔イントラ参照画素生成処理(例2)のフロー〕
図9は,イントラ参照画素生成処理(例2)のフローチャートである。以下,図8に示す参照画素生成部302が実行するイントラ参照画素生成処理の第2の例を,図9に従って説明する。
【0062】
図9に示すステップS211〜S214,S217で行う処理は,図7で説明したステップS201〜S204,S207で行う処理と同様である。
【0063】
本実施形態の場合,ステップS215では,イントラ予測の対象となっているブロック(イントラ予測ブロック)の量子化に用いる量子化ステップサイズを示すパラメータ(QPパラメータと呼ぶ)を読み込む。
【0064】
次に,ステップS216では,QPパラメータおよびイントラ予測モードを入力として,QPパラメータおよびイントラ予測モードに応じて,イントラ参照画素の生成に用いる補間フィルタを選択する。この補間フィルタの選択では,QPパラメータが大きい場合に比べて小さい場合のほうが長いタップ長の補間フィルタを選択する。
【0065】
以上,イントラ予測ブロックのサイズに応じて補間フィルタを選択する例と,量子化パラメータに応じて補間フィルタを選択する例について説明したが,これらの双方を考慮して,補間フィルタのタップ長を設定することもできる。例えば,イントラ予測ブロックの量子化パラメータの大きさが同じ場合,イントラ予測ブロックのサイズが大きいほど,タップ長の短い補間フィルタを設定し,ブロックのサイズが小さいほど,タップ長の長い補間フィルタを設定する。また,イントラ予測ブロックのサイズが同じ場合,量子化パラメータが小さいほど,タップ長の長い補間フィルタを設定し,量子化パラメータが大きいほど,タップ長の短い補間フィルタを設定する。例えば,あらかじめ各イントラ予測ブロックのサイズと量子化パラメータ値との組み合わせに対して,どのタップ長のどのような補間フィルタを用いるかを示す対応情報を,イントラ予測モードごとにテーブル化して記憶しておき,このテーブルをもとに補間フィルタを選択することにより,適切な補間フィルタを適応的に選択する実施も可能である。
【0066】
以上の動画像符号化,復号の処理は,コンピュータとソフトウェアプログラムとによっても実現することができ,そのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録することも,ネットワークを通して提供することも可能である。
【0067】
図10に,動画像符号化装置をコンピュータとソフトウェアプログラムとによって構成する場合のハードウェア構成例を示す。本システムは,プログラムを実行するCPU700と,CPU700がアクセスするプログラムやデータが格納されるRAM等のメモリ701と,カメラ等からの符号化対象の映像信号を入力する映像信号入力部702(ディスク装置等による映像信号を記憶する記憶部でもよい)と,本発明の実施形態で説明した符号化処理をCPU700に実行させるソフトウェアプログラムである動画像符号化プログラム704が格納されたプログラム記憶装置703と,CPU700がメモリ701にロードされた動画像符号化プログラム704を実行することにより生成された符号化ストリームを,例えばネットワークを介して出力する符号化ストリーム出力部705(ディスク装置等による符号化ストリームを記憶する記憶部でもよい)とが,バスで接続された構成になっている。
【0068】
図11に,動画像復号装置をコンピュータとソフトウェアプログラムとによって構成する場合のハードウェア構成例を示す。本システムは,プログラムを実行するCPU800と,CPU800がアクセスするプログラムやデータが格納されるRAM等のメモリ801と,動画像符号化装置が本手法により符号化した符号化ストリームを入力する符号化ストリーム入力部802(ディスク装置等による符号化ストリームを記憶する記憶部でもよい)と,本発明の実施形態で説明した復号処理をCPU800に実行させるソフトウェアプログラムである動画像復号プログラム804が格納されたプログラム記憶装置803と,CPU800がメモリ801にロードされた動画像復号プログラム804を実行することにより,符号化ストリームを復号して得られた復号映像を,再生装置などに出力する復号映像データ出力部805(ディスク装置等による復号映像データを記憶する記憶部でもよい)とが,バスで接続された構成になっている。
【0069】
以上,図面を参照して本発明の実施形態を説明してきたが,上記実施形態は本発明の例示に過ぎず,本発明が上記実施形態に限定されるものではないことは明らかである。したがって,本発明の精神および技術的範囲を逸脱しない範囲での構成要素の追加,省略,置換,その他の変更を行ってもよい。
【符号の説明】
【0070】
100 動画像符号化装置
101,202 イントラ予測処理部
200 動画像復号装置
302 参照画素生成部
501,511 復号画素値記憶部
502,512 復号画素値読込み部
503,513 予測モード判定部
504 イントラ予測ブロックサイズ記憶部
505 イントラ予測ブロックサイズ読込み部
506,516 補間フィルタ選択部
507,517 参照画素値生成部
514 量子化ステップサイズ記憶部
515 量子化ステップサイズ読込み部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空間的な画素間予測を用いて予測信号を生成し,その予測信号と原信号との残差信号を用いて画像符号化する画像符号化方法において,
イントラ予測の参照画素に対して,符号化ないしは変換ないしは予測の処理単位であるブロックのサイズもしくは当該ブロックの量子化パラメータのいずれか一方,またはその双方に基づき,該参照画素の生成に必要な補間フィルタのタップ長を設定するステップと,
設定されたタップ長に対応する補間フィルタを用いて,参照画素を生成するフィルタ処理を行うステップと,
生成された参照画素を用いて,指定されたイントラ予測モードに対応するイントラ予測信号を生成するステップと,
生成されたイントラ予測信号と原信号との差分信号によりイントラ予測誤差信号を生成するステップと,
前記イントラ予測誤差信号を符号化するステップとを有する
ことを特徴とする画像符号化方法。
【請求項2】
請求項1記載の画像符号化方法において,
前記補間フィルタのタップ長を設定するステップでは,
前記ブロックのサイズが基準値以下の場合は長いタップ長を設定し,基準値よりも大きい場合は短いタップ長を設定する
ことを特徴とする画像符号化方法。
【請求項3】
請求項2記載の画像符号化方法において,
前記ブロックサイズの基準値に応じてタップ長を設定するステップでは,予め定められた基準値を用いる
ことを特徴とする画像符号化方法。
【請求項4】
請求項1記載の画像符号化方法において,
前記補間フィルタのタップ長を設定するステップでは,
前記ブロックの量子化パラメータで示される量子化ステップサイズが基準値以下の場合は長いタップ長を設定し,基準値よりも大きい場合は短いタップ長を設定する
ことを特徴とする画像符号化方法。
【請求項5】
請求項4記載の画像符号化方法において,
前記ブロックの量子化パラメータの基準値に応じてタップ長を設定するステップでは,予め定められた基準値を用いる
ことを特徴とする画像符号化方法。
【請求項6】
請求項1記載の画像符号化方法において,
前記補間フィルタのタップ長を設定するステップでは,
当該ブロックのサイズが大きい場合に短いタップ長を用い,小さい場合に長いタップ長を用いるという情報を有する予め定められたテーブルから,当該ブロックのサイズに対応するタップ長を取得し,その得られたタップ長を設定する
ことを特徴とする画像符号化方法。
【請求項7】
請求項1記載の画像符号化方法において,
前記補間フィルタのタップ長を設定するステップでは,
当該ブロックの量子化パラメータが大きい場合に短いタップ長を用い,小さい場合に長いタップ長を用いるという情報を有する予め定められたテーブルから,当該ブロックの量子化パラメータに対応するタップ長を取得し,その得られたタップ長を設定する
ことを特徴とする画像符号化方法。
【請求項8】
空間的な画素間予測を用いて予測信号を生成し,その予測信号と原信号との残差信号を用いて画像復号する画像復号方法において,
入力した符号化ストリーム中のイントラ予測誤差信号,イントラ予測モードおよびイントラ予測ブロックのサイズを復号するステップと,
イントラ予測モードおよびイントラ予測ブロックのサイズに基づき,イントラ予測の参照画素を同定するステップと,
イントラ予測の参照画素に対して,符号化ないしは変換ないしは予測の処理単位であるブロックのサイズもしくは当該ブロックの量子化パラメータのいずれか一方,またはその双方に基づき,該参照画素の生成に必要な補間フィルタのタップ長を設定するステップと,
設定されたタップ長に対応する補間フィルタを用いて,参照画素を生成するフィルタ処理を行うステップと,
生成された参照画素を用いて,復号されたイントラ予測モードに対応するイントラ予測信号を生成するステップと,
生成されたイントラ予測信号と前記イントラ予測誤差信号とを用いて,復号対象領域の復号信号を生成するステップとを有する
ことを特徴とする画像復号方法。
【請求項9】
請求項8記載の画像復号方法において,
前記補間フィルタのタップ長を設定するステップでは,
前記ブロックのサイズが基準値以下の場合は長いタップ長を設定し,基準値よりも大きい場合は短いタップ長を設定する
ことを特徴とする画像復号方法。
【請求項10】
請求項9記載の画像復号方法において,
前記ブロックサイズの基準値に応じてタップ長を設定するステップでは,予め定められた基準値を用いる
ことを特徴とする画像復号方法。
【請求項11】
請求項8記載の画像復号方法において,
前記補間フィルタのタップ長を設定するステップでは,
前記ブロックの量子化パラメータで示される量子化ステップサイズが基準値以下の場合は長いタップ長を設定し,基準値よりも大きい場合は短いタップ長を設定する
ことを特徴とする画像復号方法。
【請求項12】
請求項11記載の画像復号方法において,
前記ブロックの量子化パラメータの基準値に応じてタップ長を設定するステップでは,予め定められた基準値を用いる
ことを特徴とする画像復号方法。
【請求項13】
請求項8に記載の画像復号方法において,
前記補間フィルタのタップ長を設定するステップでは,
当該ブロックのサイズが大きい場合に短いタップ長を用い,小さい場合に長いタップ長を用いるという情報を有する予め定められたテーブルから,当該ブロックのサイズに対応するタップ長を取得し,その得られたタップ長を設定する
ことを特徴とする画像復号方法。
【請求項14】
請求項8記載の画像復号方法において,
前記補間フィルタのタップ長を設定するステップでは,
当該ブロックの量子化パラメータが大きい場合に短いタップ長を用い,小さい場合に長いタップ長を用いるという情報を有する予め定められたテーブルから,当該ブロックの量子化パラメータに対応するタップ長を取得し,その得られたタップ長を設定する
ことを特徴とする画像復号方法。
【請求項15】
空間的な画素間予測を用いて予測信号を生成し,その予測信号と原信号との残差信号を用いて画像符号化する画像符号化装置において,
イントラ予測の参照画素に対して,符号化ないしは変換ないしは予測の処理単位であるブロックのサイズもしくは当該ブロックの量子化パラメータのいずれか一方,またはその双方に基づき,該参照画素の生成に必要な補間フィルタのタップ長を設定する手段と,
設定されたタップ長に対応する補間フィルタを用いて,参照画素を生成するフィルタ処理を行う手段と,
生成された参照画素を用いて,指定されたイントラ予測モードに対応するイントラ予測信号を生成する手段と,
生成されたイントラ予測信号と原信号との差分信号によりイントラ予測誤差信号を生成する手段と,
前記イントラ予測誤差信号を符号化する手段とを備える
ことを特徴とする画像符号化装置。
【請求項16】
空間的な画素間予測を用いて予測信号を生成し,その予測信号と原信号との残差信号を用いて画像復号する画像復号装置において,
入力した符号化ストリーム中のイントラ予測誤差信号,イントラ予測モードおよびイントラ予測ブロックのサイズを復号する手段と,
イントラ予測モードおよびイントラ予測ブロックのサイズに基づき,イントラ予測の参照画素を同定する手段と,
イントラ予測の参照画素に対して,符号化ないしは変換ないしは予測の処理単位であるブロックのサイズもしくは当該ブロックの量子化パラメータのいずれか一方,またはその双方に基づき,該参照画素の生成に必要な補間フィルタのタップ長を設定する手段と,
設定されたタップ長に対応する補間フィルタを用いて,参照画素を生成するフィルタ処理を行う手段と,
生成された参照画素を用いて,復号されたイントラ予測モードに対応するイントラ予測信号を生成する手段と,
生成されたイントラ予測信号と前記イントラ予測誤差信号とを用いて,復号対象領域の復号信号を生成する手段とを備える
ことを特徴とする画像復号装置。
【請求項17】
請求項1,請求項2,請求項3,請求項4,請求項5,請求項6または請求項7に記載の画像符号化方法をコンピュータに実行させるための画像符号化プログラム。
【請求項18】
請求項8,請求項9,請求項10,請求項11,請求項12,請求項13または請求項14に記載の画像復号方法をコンピュータに実行させるための画像復号プログラム。
【請求項1】
空間的な画素間予測を用いて予測信号を生成し,その予測信号と原信号との残差信号を用いて画像符号化する画像符号化方法において,
イントラ予測の参照画素に対して,符号化ないしは変換ないしは予測の処理単位であるブロックのサイズもしくは当該ブロックの量子化パラメータのいずれか一方,またはその双方に基づき,該参照画素の生成に必要な補間フィルタのタップ長を設定するステップと,
設定されたタップ長に対応する補間フィルタを用いて,参照画素を生成するフィルタ処理を行うステップと,
生成された参照画素を用いて,指定されたイントラ予測モードに対応するイントラ予測信号を生成するステップと,
生成されたイントラ予測信号と原信号との差分信号によりイントラ予測誤差信号を生成するステップと,
前記イントラ予測誤差信号を符号化するステップとを有する
ことを特徴とする画像符号化方法。
【請求項2】
請求項1記載の画像符号化方法において,
前記補間フィルタのタップ長を設定するステップでは,
前記ブロックのサイズが基準値以下の場合は長いタップ長を設定し,基準値よりも大きい場合は短いタップ長を設定する
ことを特徴とする画像符号化方法。
【請求項3】
請求項2記載の画像符号化方法において,
前記ブロックサイズの基準値に応じてタップ長を設定するステップでは,予め定められた基準値を用いる
ことを特徴とする画像符号化方法。
【請求項4】
請求項1記載の画像符号化方法において,
前記補間フィルタのタップ長を設定するステップでは,
前記ブロックの量子化パラメータで示される量子化ステップサイズが基準値以下の場合は長いタップ長を設定し,基準値よりも大きい場合は短いタップ長を設定する
ことを特徴とする画像符号化方法。
【請求項5】
請求項4記載の画像符号化方法において,
前記ブロックの量子化パラメータの基準値に応じてタップ長を設定するステップでは,予め定められた基準値を用いる
ことを特徴とする画像符号化方法。
【請求項6】
請求項1記載の画像符号化方法において,
前記補間フィルタのタップ長を設定するステップでは,
当該ブロックのサイズが大きい場合に短いタップ長を用い,小さい場合に長いタップ長を用いるという情報を有する予め定められたテーブルから,当該ブロックのサイズに対応するタップ長を取得し,その得られたタップ長を設定する
ことを特徴とする画像符号化方法。
【請求項7】
請求項1記載の画像符号化方法において,
前記補間フィルタのタップ長を設定するステップでは,
当該ブロックの量子化パラメータが大きい場合に短いタップ長を用い,小さい場合に長いタップ長を用いるという情報を有する予め定められたテーブルから,当該ブロックの量子化パラメータに対応するタップ長を取得し,その得られたタップ長を設定する
ことを特徴とする画像符号化方法。
【請求項8】
空間的な画素間予測を用いて予測信号を生成し,その予測信号と原信号との残差信号を用いて画像復号する画像復号方法において,
入力した符号化ストリーム中のイントラ予測誤差信号,イントラ予測モードおよびイントラ予測ブロックのサイズを復号するステップと,
イントラ予測モードおよびイントラ予測ブロックのサイズに基づき,イントラ予測の参照画素を同定するステップと,
イントラ予測の参照画素に対して,符号化ないしは変換ないしは予測の処理単位であるブロックのサイズもしくは当該ブロックの量子化パラメータのいずれか一方,またはその双方に基づき,該参照画素の生成に必要な補間フィルタのタップ長を設定するステップと,
設定されたタップ長に対応する補間フィルタを用いて,参照画素を生成するフィルタ処理を行うステップと,
生成された参照画素を用いて,復号されたイントラ予測モードに対応するイントラ予測信号を生成するステップと,
生成されたイントラ予測信号と前記イントラ予測誤差信号とを用いて,復号対象領域の復号信号を生成するステップとを有する
ことを特徴とする画像復号方法。
【請求項9】
請求項8記載の画像復号方法において,
前記補間フィルタのタップ長を設定するステップでは,
前記ブロックのサイズが基準値以下の場合は長いタップ長を設定し,基準値よりも大きい場合は短いタップ長を設定する
ことを特徴とする画像復号方法。
【請求項10】
請求項9記載の画像復号方法において,
前記ブロックサイズの基準値に応じてタップ長を設定するステップでは,予め定められた基準値を用いる
ことを特徴とする画像復号方法。
【請求項11】
請求項8記載の画像復号方法において,
前記補間フィルタのタップ長を設定するステップでは,
前記ブロックの量子化パラメータで示される量子化ステップサイズが基準値以下の場合は長いタップ長を設定し,基準値よりも大きい場合は短いタップ長を設定する
ことを特徴とする画像復号方法。
【請求項12】
請求項11記載の画像復号方法において,
前記ブロックの量子化パラメータの基準値に応じてタップ長を設定するステップでは,予め定められた基準値を用いる
ことを特徴とする画像復号方法。
【請求項13】
請求項8に記載の画像復号方法において,
前記補間フィルタのタップ長を設定するステップでは,
当該ブロックのサイズが大きい場合に短いタップ長を用い,小さい場合に長いタップ長を用いるという情報を有する予め定められたテーブルから,当該ブロックのサイズに対応するタップ長を取得し,その得られたタップ長を設定する
ことを特徴とする画像復号方法。
【請求項14】
請求項8記載の画像復号方法において,
前記補間フィルタのタップ長を設定するステップでは,
当該ブロックの量子化パラメータが大きい場合に短いタップ長を用い,小さい場合に長いタップ長を用いるという情報を有する予め定められたテーブルから,当該ブロックの量子化パラメータに対応するタップ長を取得し,その得られたタップ長を設定する
ことを特徴とする画像復号方法。
【請求項15】
空間的な画素間予測を用いて予測信号を生成し,その予測信号と原信号との残差信号を用いて画像符号化する画像符号化装置において,
イントラ予測の参照画素に対して,符号化ないしは変換ないしは予測の処理単位であるブロックのサイズもしくは当該ブロックの量子化パラメータのいずれか一方,またはその双方に基づき,該参照画素の生成に必要な補間フィルタのタップ長を設定する手段と,
設定されたタップ長に対応する補間フィルタを用いて,参照画素を生成するフィルタ処理を行う手段と,
生成された参照画素を用いて,指定されたイントラ予測モードに対応するイントラ予測信号を生成する手段と,
生成されたイントラ予測信号と原信号との差分信号によりイントラ予測誤差信号を生成する手段と,
前記イントラ予測誤差信号を符号化する手段とを備える
ことを特徴とする画像符号化装置。
【請求項16】
空間的な画素間予測を用いて予測信号を生成し,その予測信号と原信号との残差信号を用いて画像復号する画像復号装置において,
入力した符号化ストリーム中のイントラ予測誤差信号,イントラ予測モードおよびイントラ予測ブロックのサイズを復号する手段と,
イントラ予測モードおよびイントラ予測ブロックのサイズに基づき,イントラ予測の参照画素を同定する手段と,
イントラ予測の参照画素に対して,符号化ないしは変換ないしは予測の処理単位であるブロックのサイズもしくは当該ブロックの量子化パラメータのいずれか一方,またはその双方に基づき,該参照画素の生成に必要な補間フィルタのタップ長を設定する手段と,
設定されたタップ長に対応する補間フィルタを用いて,参照画素を生成するフィルタ処理を行う手段と,
生成された参照画素を用いて,復号されたイントラ予測モードに対応するイントラ予測信号を生成する手段と,
生成されたイントラ予測信号と前記イントラ予測誤差信号とを用いて,復号対象領域の復号信号を生成する手段とを備える
ことを特徴とする画像復号装置。
【請求項17】
請求項1,請求項2,請求項3,請求項4,請求項5,請求項6または請求項7に記載の画像符号化方法をコンピュータに実行させるための画像符号化プログラム。
【請求項18】
請求項8,請求項9,請求項10,請求項11,請求項12,請求項13または請求項14に記載の画像復号方法をコンピュータに実行させるための画像復号プログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−98957(P2013−98957A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−243041(P2011−243041)
【出願日】平成23年11月7日(2011.11.7)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月7日(2011.11.7)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】
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