説明

画像管理サーバ

【課題】複数のユーザ間において診断過程の透明性を確保し正確な診断を支援する。
【解決手段】画像と該画像を識別する画像識別情報とを対応付けて記憶する画像記憶手段13と、ネットワークを介して接続された端末3により画像に対して作成または編集された注釈およびその履歴を含む注釈情報をその画像の画像識別情報と対応付けて記憶する注釈記憶手段14と、端末3から画像の閲覧要求を受信する閲覧要求受信手段11と、閲覧要求に基づいて画像記憶手段13に記憶されている画像およびその画像識別情報と注釈記憶手段14に記憶されている注釈情報とを端末3に送信する送信手段11と、端末3により作成または編集された注釈を画像識別情報と共に端末から取得する注釈取得手段11と、該注釈取得手段11により取得された注釈に基づいて注釈記憶手段14に記憶されている注釈情報を更新する注釈更新手段15とを備える画像管理サーバ1を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像管理サーバに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、病理診断において病理標本を極めて高い分解能で撮影したバーチャルスライド画像(以下、VS画像という。)が用いられている。VS画像は、病理標本を小領域に分割して撮影し、取得された各小領域の画像を2次元に配列することにより構築された画像である。VS画像は、データ容量が非常に大きいため、閲覧用の端末とは別の画像サーバに保存され、端末からの配信要求に応じて画像サーバから端末に配信される。
【0003】
このような画像サーバとして、VS画像と注釈データとを対応づけて記憶し、VS画像と共に注釈データも端末に配信するものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。病理医等のユーザは、VS画像に重ね合わせて端末に表示された注釈を閲覧し、注釈を編集したり新規に作成したりすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2006−519443号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の場合、特に複数の医師によって診断するときに診断過程の透明性が確保されないという問題がある。例えば、1番目に診断した病理医が付した注釈が、2番目に診断した病理医によって変更または削除された場合に、3番目に診断した病理医は1番目の病理医が付した注釈の内容を正確に知ることができない。または、病理医が病変の疑いが有ると考えて付した注釈をその後病変の可能性が低いと判断して削除した場合、病理医の後にVS画像を閲覧した臨床医は、一度病変が疑われた部位が存在することを知ることができない。このように、病理診断は複数の医師が関って行われるものであり、より正確な診断結果を出すためには、診断に係る全ての注釈が診断に係る全ての医師によって共有されることが望ましい。
【0006】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、診断に係る画像を管理する画像管理サーバにおいて、複数のユーザ間において診断過程の透明性を確保し正確な診断を支援することができる画像管理サーバを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明は以下の手段を提供する。
本発明は、画像に対する注釈を作成および編集可能な端末とネットワークを介して接続され、画像と該画像を識別するための画像識別情報とを対応付けて記憶する画像記憶手段と、前記端末において画像に対して作成または編集された注釈およびその履歴を含む注釈情報をその画像の画像識別情報と対応付けて記憶する注釈記憶手段と、前記端末から画像の閲覧要求を受信する閲覧要求受信手段と、該閲覧要求受信手段により受信された閲覧要求に基づいて前記画像記憶手段に記憶されている画像およびその前記画像識別情報と、前記注釈記憶手段に記憶されている注釈情報とを前記端末に送信する送信手段と、前記端末によって画像に対し作成または編集された注釈をその画像の画像識別情報と対応付けて前記端末から取得する注釈取得手段と、該注釈取得手段により取得された注釈と前記注釈記憶手段に記憶されている注釈情報に含まれる注釈とが異なるか否かを判定し、異なる場合に前記注釈記憶手段に記憶されている注釈情報を更新する注釈更新手段とを備える画像管理サーバを提供する。
【0008】
本発明によれば、端末から送信された画像の閲覧要求を閲覧要求受信手段が受信し、閲覧要求に基づいて選択した画像を送信手段が画像記憶手段から読み出して端末に送信する。これにより、画像管理サーバに管理されている画像を端末に取得して閲覧することができる。
【0009】
この場合に、ユーザによる操作に基づいて端末が作成または編集した注釈を注釈取得手段が端末から取得し、取得された注釈が注釈記憶手段に記憶されている注釈と異なるか否かを注釈更新手段が判定し、異なる場合に、注釈更新手段が、注釈記憶手段に記憶されている注釈情報の内容を更新する。これにより、端末でなされた注釈の新規作成、変更、削除等の更新内容が注釈記憶手段に記憶される。
【0010】
このようにして注釈記憶手段に記憶された履歴を含む注釈情報は、該注釈情報と対応する画像の閲覧要求が受信されたときに送信手段によって画像と共に端末に送信される。したがって、端末のユーザは、画像に対して以前に作成、変更および削除された注釈が存在する場合にはそれらの全ての注釈の内容を注釈情報に含まれる履歴から確認することができる。これにより、複数のユーザ間において診断過程の透明性を確保し正確な診断を支援することができる。
【0011】
上記発明においては、前記注釈取得手段は、前記作成または編集された注釈およびの画像の画像識別情報と共に、前記注釈の作成または編集の日時と、前記端末のユーザを識別するためのユーザ識別情報を前記端末から取得し、前記注釈更新手段は、前記注釈情報において、前記作成または編集された注釈およびその履歴と、注釈の作成または編集の日時と、前記ユーザ識別情報とを対応付けることが好ましい。
このようにすることで、注釈情報には、各注釈の作成、変更、削除等の更新がいずれのユーザによっていつ行われたのかが記録される。これにより、注釈の更新の履歴をより厳密に管理することができる。
【0012】
また、上記発明においては、前記端末のユーザを識別するユーザ識別情報と前記注釈の作成および編集に対する権限とが対応付けられたユーザ認証データを保持し、前記端末から前記ユーザ識別情報を取得するとともに該ユーザ識別情報および前記ユーザ認証データに基づいて前記注釈更新手段による前記注釈情報の更新を許可または禁止するユーザ認証手段を備えることとしてもよい。
このようにすることで、画像に対して注釈を作成および編集できるユーザを制限し、注釈情報をより厳密に管理するとともに画像診断の信頼性を向上することができる。
【0013】
また、本発明は、画像と該画像を識別するための画像識別情報とを対応付けて記憶する画像記憶サーバおよび画像に対する注釈を作成および編集可能な端末とネットワークを介して接続され、前記端末において画像に対して作成または編集された注釈およびその履歴を含む注釈情報をその画像の画像識別情報と対応付けて記憶する注釈記憶手段と、前記端末から画像の閲覧要求を受信する閲覧要求受信手段と、該閲覧要求受信手段によって受信された閲覧要求に基づいて、前記画像記憶サーバから画像およびその前記画像識別情報を取得する画像取得手段と、該画像取得手段によって取得された画像および画像識別情報と、該画像識別情報と対応付けて前記注釈記憶手段に記憶されている注釈情報とを前記端末に送信する送信手段と、前記端末によって画像に対し作成または編集された注釈をその画像の画像識別情報と対応付けて前記端末から取得する注釈取得手段と、該注釈取得手段により取得された注釈と前記注釈記憶手段に記憶されている注釈情報に含まれる注釈とが異なるか否かを判定し、異なる場合に前記注釈記憶手段に記憶されている注釈情報を更新する注釈更新手段とを備える画像管理サーバを提供する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、診断に係る画像を管理する画像管理サーバにおいて、複数のユーザ間において診断過程の透明性を確保し正確な診断を支援することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態に係る画像配信システムの全体構成図である。
【図2】図1に示される端末が表示するビューアウィンドウの一例を示す図である。
【図3】図1に示される画像管理サーバの機能ブロック図である。
【図4】図1の画像管理サーバが備えるアノテーション記憶部に記憶されるアノテーションのアノテーションリストの一例を示す図である。
【図5】図1に示される端末が表示するアノテーション選択ウィンドウの一例を示す図である。
【図6】画像配信システムが画像記憶サーバを備える構成における図3の画像管理サーバの変形例を示す機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明の一実施形態に係る画像管理サーバ1およびこれを備える画像配信システム100について図面を参照して説明する。
本実施形態に係る画像配信システム100は、病院内に構築されたローカルシステムである検査情報システム(Laboratory Information System;LIS)の一部として構成され、図1に示されるように、病院内の検査に係る情報を管理するLISサーバ2と、病理標本のVS画像(画像)を管理する画像管理サーバ1と、該画像管理サーバ1からVS画像を取得して表示する端末3a,3b,…,3n(以下、まとめて端末3という。)とを備えている。
【0017】
画像管理サーバ1、LISサーバ2および端末3は、イントラネット等のローカルネットワーク(ネットワーク)4によって互いに接続されている。なお、画像管理サーバ1は、病院外の他の施設内に設置されてインターネットや電話回線等の広域ネットワーク(ネットワーク)を介してLISサーバ2および端末3と接続されていてもよい。
【0018】
LISサーバ2は、病院が各患者を識別するために各患者に付与した患者識別情報(以下、患者IDという。)と各患者の検査情報とが対応付けられた検査データベースを記憶している。検査情報は、患者から採取した検体の病理標本を識別する標本識別情報(以下、標本IDという。)や、検体の疾患名、採取部位等を含む。
【0019】
LISサーバ2は、後述するように端末3から受信した閲覧要求情報に含まれる標本IDと関連のある標本IDを検査データベースから検索し、該当した標本IDの画像の端末3への配信を指示する配信指示情報を画像管理サーバ1に送信する。受信した標本IDと関連のある標本IDとは、例えば、受信した標本IDと同一の患者IDや疾患名と対応付けられた標本IDである。すなわち、LISサーバ2は、ユーザが画像管理サーバ1に対して閲覧要求したVS画像を診断する際に参考となるVS画像を画像管理サーバ1から端末3に配信させる。
【0020】
端末3は、画面と、主記憶装置と、該主記憶装置に記憶されたプログラムを読み出して実行するCPU(中央演算処理装置)と、マウスやキーボード等の入力装置とを備えるコンピュータである。主記憶装置には、図2に示されるように、VS画像を表示する画像表示領域Aとユーザによって操作されるユーザインタフェース領域Bとが設定されたビューアウィンドウ5(以下、ビューア5という。)を画面に表示するビューアプログラムが記憶されている。ユーザが入力装置を使用してビューアプログラムの起動を指示することにより、CPUがビューアプログラムを実行し、ビューア5が画面に表示される。
【0021】
図2に示されるビューア5の一例を参照すると、ユーザインタフェース領域Bは、ユーザIDが入力されるユーザID入力欄Cと、ユーザが閲覧したい標本を示す標本IDが入力される標本ID欄Dと、VS画像Xに対するアノテーション(注釈)の入力操作が行われるアノテーション入力欄Eとを有する。アノテーションは、例えば、コメント、線や矩形等の描画、矢印等のマークである。
【0022】
端末3は、後に詳述するように、ユーザによってユーザインタフェース領域になされた操作に基づいて閲覧要求情報またはアノテーション更新情報を作成する。閲覧要求情報は、ユーザが閲覧したいVS画像の送信を画像管理サーバ1に要求する情報であり、ユーザIDおよび標本IDを含む。アノテーション更新情報は、画像表示領域Aに表示されているVS画像に対してユーザが新規に作成したまたは編集したアノテーションに関する情報であり、ユーザID、アノテーションの内容、作成または編集の日時、アノテーションが付されたVS画像内の位置を少なくとも含む。端末3は、閲覧要求情報を画像管理サーバ1およびLISサーバ2に送信し、アノテーション更新情報を画像表示領域Aに表示しているVS画像の画像IDを付して画像管理サーバ1に送信する。
【0023】
画像管理サーバ1は、図3に示されるように、LISサーバ2および端末3との間で通信する通信部(閲覧要求受信手段、送信手段、注釈取得手段)11と、端末3からアクセスしてきたユーザを認証するユーザ認証部(ユーザ認証手段)12と、VS画像作成装置6によって作成されたVS画像を記憶する画像記憶部(画像記憶手段)13と、各VS画像に対応するアノテーションリスト(注釈情報)を記憶するアノテーション記憶部(注釈記憶手段)14と、該アノテーション記憶部14に記憶されたアノテーションリストを更新するアノテーション更新部(注釈更新手段)15とを備えている。
【0024】
通信部11は、端末3から閲覧要求情報およびアノテーション更新情報を受信し、LISサーバ2から配信指示情報を受信する。通信部11は、閲覧要求情報および配信指示情報を受信したとき、これらの情報に含まれる標本IDに基づいて画像記憶部13からVS画像を読み出して端末3に送信する。このときに、通信部11は、画像記憶部13から読み出したVS画像に対応するアノテーションリストをアノテーション記憶部14から読み出して各VS画像に付して送信する。一方、通信部11は、アノテーション更新情報を受信したとき、該アノテーション更新情報をアノテーション更新部15に出力する。
【0025】
ユーザ認証部12は、ユーザIDおよび画像管理サーバ1との通信に対する権限が対応付けられたユーザ認証データを保持している。ユーザ認証部12は、通信部11から受け取ったユーザIDをユーザ認証データと照合する。照合の結果、ユーザ認証部12は、ユーザIDがユーザ認証データに未登録であった場合には通信を拒否する。
【0026】
一方、ユーザ認証部12は、ユーザ認証データに登録されているユーザIDであった場合には、該ユーザIDと対応付けられた権限についてのみ通信を許可する。例えば、一部のユーザに対しては閲覧要求情報のみを受理することによりVS画像の閲覧のみを許可し、他の一部のユーザに対しては閲覧要求情報に加えてアノテーション更新情報も受理することによりアノテーションリストの更新も許可する。ユーザ認証部12は、ユーザIDとともにパスワードの端末3への入力をユーザに対して要求することとしてもよい。
【0027】
画像記憶部13は、検査室内で作成された検体の病理標本を極めて高い分解能で撮像したデジタル画像であるVS画像を、該VS画像を識別する画像識別情報(以下、画像IDという。)および各病理標本に付与された標本IDと対応付けて記憶する。例えば、病理標本と標本IDが記録されたバーコードとが同一のスライドガラスに貼付され、VS画像作成装置6が病理標本とバーコードを続けて撮像することにより、VS画像に標本IDが対応付け、さらに画像IDを含むファイル名が付されて画像記憶部13に記憶される。
【0028】
アノテーション記憶部14は、例えば、画像記憶部13に新たなVS画像が記憶されたときに、該VS画像の画像IDと対応付けた、中身が空のアノテーションリストを作成して記憶する。該アノテーションリストは、少なくともアノテーションの内容、更新の種類(作成、変更、削除)、更新(作成、変更、削除)日時、アノテーションが付されたVS画像内の位置が項目として設けられ、これらの項目が対応付けられている。
【0029】
アノテーション更新部15は、通信部11が端末3から受信したアノテーション更新情報に付された画像IDと対応付けられたアノテーションリストをアノテーション記憶部14から読み出す。図4にアノテーションリストYの一例を示す。アノテーション更新部15は、アノテーション更新情報に含まれるアノテーションとアノテーションリストに含まれているアノテーションとが同一であるか否かを判定し、異なる場合にアノテーションリストを更新する。
【0030】
具体的には、アノテーション更新部15は同一の位置のアノテーション同士を比較する。比較の結果、2つのアノテーションが異なる場合に、該アノテーションが変更された判定する。一方、アノテーション更新情報のみに含まれるアノテーションについては新規に作成された判定し、アノテーションリストのみに存在するアノテーションについては削除されたと判定する。このように変更、作成または削除されたアノテーションについてアノテーション更新部15はアノテーションリストに追加することによりアノテーションをアノテーションリストに追加する。これにより、アノテーションリストにはアノテーションの内容とともに各アノテーションの作成および編集の履歴が記録されていくこととなる。
【0031】
次に、このように構成された画像管理サーバ1を備える画像配信システム100の作用について、図2に示されるビューア5の構成を例に説明する。
本実施形態に係る画像配信システム100を使用して病理標本の病理診断を行うには、まず、ユーザは端末3においてビューア5を起動し、ユーザID入力欄Cに自身が有するユーザIDを入力し、確定ボタンFをクリックする。これにより、端末3は、ユーザIDを画像管理サーバ1に送信する。送信されたユーザIDがユーザ認証部12によって認証された後、ユーザは自身に与えられた権限の範囲内でVS画像の閲覧やアノテーションの更新等の通信を画像管理サーバ1との間で行うことができる。
【0032】
次に、ユーザは、診断対象の標本の標本IDを標本ID欄Dに入力し、確定ボタンFをクリックする。これにより、端末3は閲覧要求情報を作成して画像管理サーバ1およびLISサーバ2に送信する。LISサーバ2は、受信した閲覧要求情報に基づいて検査データベースから病理診断の参考となる病理標本の標本IDを検索し、該当した標本IDのVS画像の配信を指示する配信指示情報を画像管理サーバ1に送信する。
【0033】
画像管理サーバ1は、端末3から閲覧要求された診断対象のVS画像をその画像IDとアノテーションリストと共に端末3に送信する。また、画像管理サーバ1は、LISサーバ2から配信指示された参考用のVS画像を端末3に送信する。
【0034】
端末3は、受信した診断対象のVS画像Xを画像表示領域Aに表示し、アノテーションリストYを履歴表示欄Gに表示し、さらに、アノテーションリストYに基づいてVS画像Xのアノテーションが付された位置にフラグHを重畳表示する。また、端末3は、受信した参考用のVS画像を、例えば、CPUが備えるキャッシュメモリに一時的に記憶するとともに当該VS画像のサムネイルZを作成して参考画像覧Iに表示する。
【0035】
ユーザは、参考画像覧IのサムネイルZをマウスでクリックすることにより、サムネイルZのVS画像を、例えば、新しいウィンドウに表示することができる。このように、病理診断の参考となり得るVS画像を予め画像管理サーバ1から端末3に配信してユーザに提示することによりユーザの診断を支援することができるとともに、これらのVS画像が必要となったときに速やかに端末3に表示して診断を効率的に進めることができる。
【0036】
続いて、ユーザは、画像表示領域Aに表示されているVS画像X内において、病変が疑われる部位や特徴的な部位などを発見したときに、その位置をマウスによって指定し、アノテーション入力欄E内のコメント欄Jにキーボードによってコメントを記入し、指定した位置に必要に応じて描画やマークを付し、確定ボタンFをクリックする。これにより、端末3は、マウスによって指定された位置をアノテーションの位置とし、コメントや描画、マークをアノテーションの内容とし、確定ボタンFがクリックされた時刻を更新日時とし、これらとユーザID欄に入力されたユーザIDとを対応付けたアノテーション更新情報を作成する。そして、端末3は、アノテーション更新情報をVS画像Xの画像IDを付して画像管理サーバ1に送信する。
【0037】
既にVS画像Xに付されているアノテーションを変更する場合には、ユーザは修正対象のフラグHを、例えば、マウスでクリックすることにより指定する。これにより、指定されたアノテーションが変更可能な状態となり、例えば、コメント欄J内のコメントを変更した後に確定ボタンFをクリックする。一方、既にVS画像に付されているアノテーションを削除する場合には、ユーザは削除対象のアノテーションを指定した後に図示しない削除ボタンをクリックし、確定ボタンFをクリックする。端末3は、アノテーションが変更または削除されて確定ボタンFがクリックされる度にアノテーション更新情報を作成して画像管理サーバ1に送信する。これにより、画像管理サーバ1は、編集されたアノテーションの内容を取得してアノテーションリストを更新する。
【0038】
以上のようにして、ユーザが診断過程においてアノテーションを新規に作成し、既に付されたアノテーションを編集することにより、VS画像X上のフラグHの数やアノテーションリストYの中身は増えていく。ビューア5は、ユーザによる指示によって、図5に示されるようなアノテーション選択ウィンドウ7を作成し、ユーザIDや更新日時等の指定された条件に該当するアノテーションのみをVS画像Xおよび履歴表示欄Gに表示し、それ以外のアノテーションを非表示とすることもできる。
【0039】
このように、本実施形態によれば、各VS画像に対して作成または編集されたアノテーションおよびその履歴は画像管理サーバ1が管理するアノテーションリストに記録され、端末3の操作によって新規に作成されたアノテーションならびにアノテーションの変更および削除の内容は逐次画像管理サーバ1に送信されてアノテーションリストに追加される。そして、次にVS画像が端末3に配信されるときには、それまでに作成・変更・削除されたアノテーションの内容を全て含むアノテーションリストがVS画像と共に送信される。
【0040】
したがって、例えば、1つのVS画像を複数の医師によって診断する場合などに、一の医師が付したアノテーションを他の医師が変更または削除した場合でも、アノテーションの過去の内容をアノテーションリストから確認することができる。このように全てのアノテーションの内容を全てのユーザによって共有することにより、複数のユーザ間において診断過程の透明化を図ることができ、また、一度付されたアノテーションが意図せずに削除されたりすることによる病変の見落とし等を防いでより正確な病理診断を支援することができる。
【0041】
さらに、アノテーションの作成および編集が許可されるユーザは画像管理サーバ1のユーザ認証部12によって制限される。したがって、例えば、病理医以外のユーザにはVS画像の閲覧のみを許可し、一部の病理医にはVS画像の閲覧とアノテーションの新規の作成のみを許可し、他の一部の病理医にはさらにアノテーションの変更・削除も許可するようにユーザ認証データを設定することにより、VS画像による病理診断の信頼性を一層向上することができる。
【0042】
なお、本実施形態においては、VS画像が画像管理サーバ1が備える画像記憶部13に記憶されることとしたが、これに代えて、画像管理サーバ1とは別体の画像記憶サーバ20にVS画像が記憶され、画像管理サーバ1が閲覧要求情報に基づいて画像記憶サーバ20からVS画像を取得することとしてもよい。この場合、図6に示されるように、画像管理サーバ1は、画像記憶部13に代えて画像記憶サーバ20からVS画像を取得する画像取得部(画像取得手段)16を備える。
【0043】
また、本実施形態においては、病理診断に用いられるVS画像について説明したが、VS画像に代えて他の診断に係る画像、例えば、CT画像やMRI画像などが採用されてもよい。
【符号の説明】
【0044】
1 画像管理サーバ
2 検査情報システムサーバ
3,3a,3b,…3n 端末
4 ローカルネットワーク(ネットワーク)
5 ビューアウィンドウ
6 バーチャルスライド画像作成装置
7 アノテーション選択ウィンドウ
11 通信部(閲覧要求受信手段、送信手段、注釈取得手段)
12 ユーザ認証部(ユーザ認証手段)
13 画像記憶部(画像記憶手段)
14 アノテーション記憶部(注釈記憶手段)
15 アノテーション更新部(注釈更新手段)
16 画像取得部(画像取得手段)
20 画像記憶サーバ
100 画像配信システム
A 画像表示領域
B ユーザインタフェース領域
C ユーザID入力欄
D 標本ID入力欄
E アノテーション入力欄
F 確定ボタン
G 履歴表示欄
H フラグ
I 参考画像欄
J コメント欄
X バーチャルスライド画像(画像)
Y アノテーションリスト
Z サムネイル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像に対する注釈を作成および編集可能な端末とネットワークを介して接続され、
画像と該画像を識別するための画像識別情報とを対応付けて記憶する画像記憶手段と、
前記端末において画像に対して作成または編集された注釈およびその履歴を含む注釈情報をその画像の画像識別情報と対応付けて記憶する注釈記憶手段と、
前記端末から画像の閲覧要求を受信する閲覧要求受信手段と、
該閲覧要求受信手段により受信された閲覧要求に基づいて前記画像記憶手段に記憶されている画像およびその前記画像識別情報と、前記注釈記憶手段に記憶されている注釈情報とを前記端末に送信する送信手段と、
前記端末によって画像に対し作成または編集された注釈をその画像の画像識別情報と対応付けて前記端末から取得する注釈取得手段と、
該注釈取得手段により取得された注釈と前記注釈記憶手段に記憶されている注釈情報に含まれる注釈とが異なるか否かを判定し、異なる場合に前記注釈記憶手段に記憶されている注釈情報を更新する注釈更新手段とを備える画像管理サーバ。
【請求項2】
前記注釈取得手段は、前記作成または編集された注釈およびの画像の画像識別情報と共に、前記注釈の作成または編集の日時と、前記端末のユーザを識別するためのユーザ識別情報を前記端末から取得し、
前記注釈更新手段は、前記注釈情報において、前記作成または編集された注釈およびその履歴と、注釈の作成または編集の日時と、前記ユーザ識別情報とを対応付ける請求項1に記載の画像管理サーバ。
【請求項3】
前記端末のユーザを識別するユーザ識別情報と前記注釈の作成および編集に対する権限とが対応付けられたユーザ認証データを保持し、前記端末から前記ユーザ識別情報を取得するとともに該ユーザ識別情報および前記ユーザ認証データに基づいて前記注釈更新手段による前記注釈情報の更新を許可または禁止するユーザ認証手段を備える請求項1または請求項2に記載の画像管理サーバ。
【請求項4】
画像と該画像を識別するための画像識別情報とを対応付けて記憶する画像記憶サーバおよび画像に対する注釈を作成および編集可能な端末とネットワークを介して接続され、
前記端末において画像に対して作成または編集された注釈およびその履歴を含む注釈情報をその画像の画像識別情報と対応付けて記憶する注釈記憶手段と、
前記端末から画像の閲覧要求を受信する閲覧要求受信手段と、
該閲覧要求受信手段によって受信された閲覧要求に基づいて、前記画像記憶サーバから画像およびその前記画像識別情報を取得する画像取得手段と、
該画像取得手段によって取得された画像および画像識別情報と、該画像識別情報と対応付けて前記注釈記憶手段に記憶されている注釈情報とを前記端末に送信する送信手段と、 前記端末によって画像に対し作成または編集された注釈をその画像の画像識別情報と対応付けて前記端末から取得する注釈取得手段と、
該注釈取得手段により取得された注釈と前記注釈記憶手段に記憶されている注釈情報に含まれる注釈とが異なるか否かを判定し、異なる場合に前記注釈記憶手段に記憶されている注釈情報を更新する注釈更新手段とを備える画像管理サーバ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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