説明

画像編集装置及び画像編集方法

【課題】 少なくとも各レイヤーにおける各画像の重なり具合を容易に認識できるようにし、画像の編集を容易にする。
【解決手段】 分解斜視表示手段11は、表示手段41に表示された、各レイヤーに係る画像が重ね合された画像を各レイヤーごとに分解して斜視表示する。注視点変更手段12は、注視点を変更する。レイヤー間距離変更手段13は、分解して斜視表示された各レイヤーを注視点を中心として接近/離反させる。ズーム変更手段14は、分解して斜視表示された各レイヤーをズームイン/アウトさせる。画像回転手段15は、分解して斜視表示された各レイヤーを注視点を中心として回転させる。選択指示手段26は、画像編集手段16に、編集の対象たるレイヤーを選択指示する。画像編集手段16は、分解斜視表示手段11により分解して斜視表示された各レイヤーのうち、選択指示手段26により選択されたレイヤーに係る画像の編集を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像編集装置及び画像編集方法に関し、特に、各種画像データを個別独立的に作成した複数(レイヤー)の重なりで構成された全体画像の編集を行う画像編集装置及び画像編集方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ゲーム機やパチンコ機等の遊技機においては、静止画像や動画像などの画像が複雑なものとなっており、そのため画像データをレイヤーでそれぞれ作成し、これら複数のレイヤーの重なりで全体画像を構成することが行われている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来、この種全体画像を編集するには、個々のレイヤーを個別に編集すればよいとの考えであったが、重ね合わせた状態で従来の方法で表示装置に表示した場合、各レイヤー相互の関係が画面上では把握しづらいために、全体画像の修正などの編集作業を行うことが困難であるので、どのレイヤーの画像を修正すると全体画像が所望のものになるかの認識ができないために、経験的な予測の元で編集作業を行わざるを得ないので、編集作業に要する効率が悪かった。
【0004】
また、パチンコ機等の遊技機の場合、より遊興性を高めるために、上述の各レイヤーが、複雑に絡み合い、また短時間で劇的に変化するようなものが多いために、動画の場合には、個々のレイヤーの画像が短いタイミングで変化しているので、どのタイミングの画像を修正したら所望の全体画像が作れるのかなどの編集を行うことが困難になっていた。そのような複雑な全体画像の例としては、例えば、a)背景、b)ルーレット数字の移動・回転、c)瞬時の新たに現れる移動物体(例えば、斜め方向からルーレット数字にめがけて飛来してくるミサイルのようなものなど)の画像を各レイヤーに割り当てられる場合がある。このような場合でも、従来は、画像の作成、及び修正などの編集作業は、各レイヤーごとに行い、全体画像の確認は、重ね合わせ表示することで初めて行われることになっていた。
【0005】
しかしながら、画像の全体像は、重ね合わせて初めて分かるものであり、所望の画像となっていない場合がある。特に、複雑で変化が激しく、時間的なタイミングによって微妙に画像が変化するような厳格性が要求される画像であればあるほど、各レイヤーの画像の重ね合わせで、早期に所望の画像を得ることは殆ど不可能に近い。例えば、突然飛来するような移動物体(例えばミサイルのような画像)が回転しているルーレットの数字に衝突する瞬間を背景画像とともに描く場合には、ミサイルの飛来状態を動画表示するレイヤー、ルーレット数字を回転させるレイヤー、そして時間タイミングで変化する背景画像を示すレイヤーなどを重ね合わせた1つの全体画像が動画として表示される場合には、完成した全体画像が所望のものでなかった場合に、或る画素の変化が一つのレイヤーだけの問題なのか、他のレイヤーも含んだ複数のレイヤーの重ね合わせによりもたらされたのか分からない場合もある。
【0006】
従って、このような場合、再びレイヤーごとの画像の修正作業(従来においては、レイヤーごとに別々に再生したり、不要なレイヤーを一時的に非表示状態とする)となるが、かかる形態では、前述のように全てのレイヤーを重ね合わせた状態でしか確認できないため、確認と修正の試行錯誤を繰り返すことが必要となる。また、従来においては、画像の修正はレイヤー単位で個別に行うので、任意のレイヤーの画像を修正しているときに、重ね合わせられる他のレイヤーの画像がどのような状態なのかなどの相関関係を把握することができなかった。
【0007】
更に、動画像の場合には、時間軸上でのタイミング合わせも必要であるが、修正する必要があっても、どのタイミングでいずれのレイヤーの画像を修正すればよいのかすら判別ないし選択することは容易ではなかった。特に、遊興性をいっそう高めるために、レイヤーの数がより多くなる傾向にある現状においては、その編集作業にかかる工数は極めて甚大となっていた。
【0008】
本発明は上述のような事情から為されたものであり、本発明の目的は、複数のレイヤーの重なりで構成された画像の編集の際に、各レイヤーにおける各画像の重なり具合を容易に認識できるように表示することにより、編集すべき画像を容易に選択できると共に、重なり合わせられる他の画像との相関関係及び、編集すべき画像と同じタイミングで表示される他のレイヤーの画像他の画像との関係を把握でき、ひいては全体画像の編集を容易に短時間で行える画像編集装置及び画像編集方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明の画像編集装置は、それぞれが独立の画像データを含む複数のレイヤーで構成される画像であって遊技機に表示されるべき画像を、表示編集する画像編集装置であって、画像が表示される表示手段と、前記表示手段に表示された、各レイヤーに係る画像が重ね合された画像を、分解して各レイヤーを3次元状に斜視表示するように変換する分解斜視表示手段と、前記分解斜視表示手段により分解して斜視表示された画像を各レイヤーごとに編集する画像編集手段と、を備えたことを要旨とする。
【0010】
ここで、好適には、前記画像が表示される表示手段を介して、前記分解斜視表示手段に、前記分解して斜視表示する処理を指示する分解斜視表示指示手段を更に備える。また、好適には、前記画像が表示される表示手段を介して、前記画像編集手段に、前記表示手段に分解して斜視表示された各レイヤーのうち、前記編集の対象たるレイヤーを選択指示する選択指示手段を更に備える。
【0011】
また、好適には、前記分解して斜視表示された各レイヤーを、注目する画像点たる注視点を中心として回転させる画像回転手段を更に備える。このとき、前記画像が表示される表示手段を介して、前記画像回転手段に回転処理を指示する回転指示手段を更に備える。
【0012】
また、好適には、前記分解して斜視表示された各レイヤーを、注目する画像点たる注視点を中心として接近/離反させる距離変更手段を更に備える。このとき、前記画像が表示される表示手段を介して、前記距離変更手段に各レイヤーを接近/離反させる処理を指示する距離変更指示手段を更に備える。
【0013】
また、好適には、前記分解して斜視表示された各レイヤーを、注目する画像点たる注視点を中心としてズームイン/アウトさせるズーム変更手段を更に備える。このとき、前記画像が表示される表示手段を介して、前記ズーム変更手段に各レイヤーをズームイン/アウトさせる処理を指示するズーム変更指示手段を更に備える。
【0014】
また、好適には、前記注視点を変更する注視点変更手段を更に備える。このとき、前記画像が表示される表示手段を介して、前記注視点変更手段に前記注視点の変更処理を指示する注視点変更指示手段を更に備える。
【0015】
また、上記目的を達成するため、本発明の画像編集方法は、それぞれが独立の画像データを含む複数のレイヤーで構成される画像であって遊技機に表示されるべき画像を、表示編集する画像編集方法であって、表示手段に表示された、各レイヤーに係る画像が重ね合された画像を、各レイヤーごとに分解して3次元状に斜視表示し、前記分解して斜視表示された画像を各レイヤーごとに編集することを要旨とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明の画像編集装置及び画像編集方法によれば、各レイヤーに含まれる画像を分解して3次元状に斜視表示し、また、その分解斜視表示の状態で、画像を回転させたり、レイヤー間を拡縮させたり、ズーム変更したり、注視点を変更したりすることにより、各レイヤーにおける各画像の重なり具合や大きさを直感的に認識できるようにし、それにより画像の選択を容易にできると共に任意の画像を編集し易いような位置関係で各画像を表示でき、しかして編集作業を短時間で容易に行える。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の画像編集装置における一実施形態の概略構成ブロック図である。
【図2】本発明の画像編集方法における一実施形態の処理手順を示すフローチャートである。
【図3】本発明の画像編集方法における一実施形態を説明するための図である。
【図4】本発明の画像編集方法における一実施形態を説明するための図である。
【図5】本発明の画像編集方法における一実施形態を説明するための図である。
【図6】本発明の画像編集方法における一実施形態を説明するための図である。
【図7】本発明の画像編集方法における一実施形態を説明するための図である。
【図8】本発明の画像編集方法における一実施形態を説明するための図である。
【図9】本発明の画像編集方法における一実施形態を説明するための図である。
【図10】動画像のあるタイミングでの分解斜視表示を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本発明の画像編集装置における一実施形態の概略構成ブロック図である。同図に示す画像編集装置は、表示手段41と、それにすべて接続された分解斜視表示手段11、注視点変更手段12、レイヤー間距離変更手段13、ズーム変更手段14、画像回転手段15、画像編集手段16、分解斜視表示指示手段21、注視点変更指示手段22、距離変更指示手段23、ズーム変更指示手段24、回転指示手段25、及び選択指示手段26と、画像編集手段16に接続された画像格納手段31と、を備えている。
【0019】
表示手段41は、制御部と、固定プログラム及び固定データ等が格納されるROMと、プログラムないしデータの一時格納のためのRAMと、本発明に係る画像表示プログラムや静止画、動画像のデータ等が格納されるハードディスクと、ディスプレイ装置などで構成される汎用的なコンピュータシステムによって構成される。その表示操作は、キーボード及び/又はマウスによって実行される。
【0020】
画像格納手段31には、それぞれが独立の画像データを含む複数のレイヤーで構成される画像が格納されている。また、その画像は、遊技機に表示されるための画像であり、2次元画像の他に、3次元画像であってもよい。画像編集手段16は、画像格納手段31に格納された画像データを初期的に読み出し、各レイヤーに係る画像が重ね合された画像として、表示手段41に表示する。
【0021】
分解斜視表示指示手段21は、表示手段41を介して、分解斜視表示手段11に、分解して斜視表示する処理を指示する。分解斜視表示指示手段21により指示された分解斜視表示手段11は、表示手段41に表示された、各レイヤーに係る画像が重ね合された画像を、前記マウスなどで注視点を位置設定した箇所において、そこで重なる各レイヤーごとを分解して斜視表示する。
【0022】
注視点変更指示手段22は、前記のように最初に位置設定した注視点を表示手段41を介して別の位置にある注視点へ変更指示するもので、その指示を受けて注視点変更手段12は、注目する画像点である注視点をディスプレイ画面上の任意の位置への変更処理を指示する。注視点変更指示手段22により指示された注視点変更手段12は、分解斜視表示すべき中心点となる注視点を変更して、表示手段41に表示させる。
【0023】
距離変更指示手段23は、表示手段41を介して、レイヤー間距離変更手段13に各レイヤーを接近/離反させる処理を指示する。距離変更指示手段23により指示されたレイヤー間距離変更手段13は、分解して斜視表示された各レイヤーを、注視点を中心として接近/離反させる。
【0024】
ズーム変更指示手段24は、表示手段41を介して、ズーム変更手段14に画像のズーム変更処理を指示する。ズーム変更指示手段24により指示されたズーム変更手段14は、カメラ位置に相当する視点から見た画角(FOV:field of view)を変化させて、いわゆる拡大縮小率を示すズームを変化させる処理をする。
【0025】
回転指示手段25は、表示手段41を介して、画像回転手段15に画像の回転処理を指示する。回転指示手段25により指示された画像回転手段15は、分解して斜視表示された各レイヤーを、注視点を中心として回転させる。
【0026】
選択指示手段26は、表示手段41を介して、画像編集手段16に、表示手段41に分解して斜視表示された各レイヤーのうち、編集の対象たるレイヤーを選択指示する。選択指示手段26により指示された画像編集手段16は、分解斜視表示手段11により分解して斜視表示された各レイヤーのうち、選択指示手段26により選択されたレイヤーに係る画像の編集を行う。ここでの編集は、一旦分解斜視された各レイヤーの時間変化を表示手段41のディスプレイ装置上で目視しながら、全体画像を確認しながら、所望の画像となっていないレイヤーと探し、そのレイヤーの表示画面を修正したり、また当該レイヤーの時間変化率を修正したりの様々な手法がある。
【0027】
分解斜視表示指示手段21は、表示手段41を介して、分解斜視表示手段11に、分解斜視表示を終了する処理を指示する。分解斜視表示指示手段21により終了指示された分解斜視表示手段11は、表示手段41に表示された3次元状に表示されていた分解斜視表示を終了して、それらのレイヤーが重ね合わさった2次元の通常表示に戻す。
【0028】
ここで、分解斜視表示指示手段21、注視点変更指示手段22、距離変更指示手段23、ズーム変更指示手段24、回転指示手段25、選択指示手段26の各手段は、典型的には、後述するようにマウスやタッチパネルである。また、変形例として、表示手段41を介するものではないが、後述するようにキーボードであってもよい。その他、各指示手段については、当業者であれば、各種想到できるであろう。
【0029】
図2は、本発明の画像編集方法における一実施形態の処理手順を示すフローチャートである。図3乃至図9は、本発明の画像編集方法における一実施形態を説明するための図である。図10は、動画像のあるタイミングでの分解斜視表示を説明するための図である。以下、図1と、図3乃至図10を参照しつつ、図2に沿って、本発明の画像編集方法における一実施形態の処理手順を説明する。
【0030】
まず、画像編集手段16は、画像格納手段31に格納された画像データにつき、静止画像、又は動画像の任意の時点での画像を表示手段41に表示させる(ステップS1)。この初期段階においては、画像は、各レイヤーが重なって通常の正面から観た(つまり正視)2次元的な状態(以下、「通常表示」と称す)で表示手段41に表示される。
【0031】
次に、分解斜視表示手段11は、分解斜視表示指示手段21により、表示手段41を介して、分解斜視コマンドが入力されたか否かを判断する(ステップS2)。分解斜視表示指示手段21としては、各種考えらえる。例えば、マウスであり、それにより、ツールバー等に表示された斜視表示のためのボタンや、ドロップダウンリストに表示される文字をクリックしたりできる。また、変形例としては、キーボードであり、それに対して特定のキー入力(例えば、コントロールキーを押しながらのキーP(Perspective)の押下)を行うことで実現できる。その他これに限らず当業者であれば各種考えられるであろう。
【0032】
上述のように各種手段により分解斜視コマンドが入力されたと判断すると、分解斜視表示手段11は、それまで複数のレイヤーが重なって1つの画面として表示されていた全体画像を、レイヤーごとに分解して斜視的に表示手段41に表示する(ステップS3)。詳細には、図3に示すように、まず、重なったレイヤーを斜視的に表示し(同図の中央)、次に、それらのレイヤーを互いに離反させる(同図の右)。このとき、分解斜視表示手段11は、かかる遷移処理を、表示手段41上におけるマウス操作などによって、連続的に滑らかに行う。この連続的な滑らかな動作というのは、分解表示された各レイヤーを目視にて確認し、その中で時間的に変化する各レイヤー単位の画像を確認するためである。ここで、斜視的な表示は、詳細には、各レイヤーが2次元画像であるのを、統合して3次元オブジェクトに変換することであり、具体的には各2次元画像を3次元ポリゴンとそのテクスチャデータとして再構成することにより行う。なお、図3に示す例では、当該画像は、レイヤー[1]〜レイヤー[3]の3層から成っている。
【0033】
ここで、通常表示から分解斜視表示への移行は、「注視点に対する視点ベクトルの移動」と捉えることができる。「注視点」とは、視点(この視点とは、撮影を意味するとカメラが配置されている位置に相当する)から注目している画像情報の一点であり、典型的には、表示手段41の画面の中心位置を初期的には常に置くことが考えられるが、もとより初期値であるので、それには限られない。また、画像データに対しては、初期的には、各レイヤーの画像面の中心であって、積層方向でも真ん中(例えば、3枚のレイヤーであれば、2枚目のレイヤー(図3の右側の図を参照))に設定する。そこで、「注視点に対する視点ベクトルの移動」を説明するため、図4の左の図に表したように、注視点を原点とし、各レイヤーの画像面に平行な面をx−y平面とし、画像面に鉛直な方向をz軸方向とする3次元座標(以下、「画像3次元座標」と称す)を仮想的に設定する。しかして、図3に示すような通常表示から分解斜視表示への遷移は、注視点を変えずに、z軸上にある視点を、z軸から外れるようにずらすことと捉えることができる。
【0034】
次に、編集に係る画像が動画像データである場合には、画像が時間軸で変化しているので、編集したいタイミングを選択する(ステップS4)。但し、この編集したいタイミングの選択操作は、当該処理手順のこの段で行われる必要はなく、当該処理手順の任意の段で行うことができる。また、編集に係る画像が静止画像データの場合は、このステップは不要となる。
【0035】
そこで、当該画像編集装置においては、以下のように、分解斜視表示の状態で、編集に適した様々な表示形態をとることができるようになっている。その第一が、注視点の変更による表示状態の変更である。また、第二に、各レイヤーの接近/離反または画角の変更による表示状態の変更である。更に、その第三が、注視点を中心とした、画像を含む各レイヤーの回転による表示状態の変更である。かかる3つの動作処理は、好適には、画像編集者が各レイヤーの画像を編集する際に、目視して当該注視点での各レイヤー自身の画像ないし各レイヤー相互の関係を画面上で目視して分かりやすいようにするためであり、引いては、編集し易いようにするために実行される。
【0036】
まず、注視点変更手段12は、注視点変更指示手段22により、表示手段41を介して、注視点変更コマンドが入力されたか否かを判断する(ステップS5)。注視点変更指示手段22により、注視点変更コマンドが入力されたと判断すると、注視点変更手段12は、注視点の変更処理を行う(ステップS6)。
【0037】
この注視点の変更は、例えば編集したい画像(特にレイヤー)を変更したい場合に行われる。そこで、例えば、図5に示すように、注視点を初期位置からレイヤー[3]内にある星の画像に移動させる場合、注視点の変更は、分解斜視表示の状態においては、図4の左の図から右の図への遷移となる。つまり、前述の画像3次元座標の原点を移動する処理と等価である。なお、図4の遷移も好適には滑らかに行われる。
【0038】
注視点変更指示手段22については、様々なものが考えられる。最も典型的には、マウスで任意のレイヤーをクリックすることにより、当該レイヤーを選択状態とし、その選択状態の当該レイヤー内の所望の位置(画像)を更にクリックすることが考えられる。また、上記クリック動作をタッチパネルに対するタッチ動作で行うことも考えられる。その他、当業者であれば、各種考えられるであろう。
【0039】
次に、レイヤー間距離変更手段13は、距離変更指示手段23により、表示手段41を介して、接近/離反コマンドが入力されたか否かを判断する(ステップS7)。距離変更指示手段23により接近/離反コマンドが入力されたと判断すると、レイヤー間距離変更手段13は、図6に示すように、分解斜視表示された画像の各レイヤーを離反させたり、接近させたりする(レイヤー間距離変更)(ステップS8)。
【0040】
このレイヤー間距離変更の処理は、各レイヤーの画像が、表示画面41上で重ならない適当な位置に表示させる場合に行われ、例えば3次元空間における各レイヤー間の距離を変更するか、またはレイヤーの奥行きを示す方向ベクトルのスケールを変更することにより可能な処理である。具体的には、この処理は、画像3次元座標におけるz軸のスケールの変更となる。また、注視点に対して視点(カメラ)が接近/離反する動作とも捉えることができる。つまり、図7(a)に示すように、前述の画像3次元座標を球面座標とすると、原点から視点までの距離rを増減する処理である。
【0041】
距離変更指示手段23については、様々なものが考えられる。例えば、マウスのホイールを操作することにより実現できる。ここで、例えば、ホイールを前方に回転させると、分解斜視表示された画像の各レイヤーが離反し、一方、ホイールを後方に回転させると、各レイヤーが接近するように構成する。また、例えば、表示手段41の片隅にプラスとマイナスのボタンを用意しておき、それらをマウスでクリックするごとに一定量、各レイヤーが離反又は接近するように構成もできる。また、タッチパネルを有している表示手段であれば、2本の指の間隔を広げるように画面を擦ると、各レイヤーが離反し、その間隔が狭まるように画面を擦ると、各レイヤーが接近するように構成することもできる。また、変形例として、例えば、キーボードの特定のキー(例えば、コントロールキーを押しながらのキーS(Separate))を押下すると押下の間、各レイヤーが離反し続け、他の特定のキー(例えば、コントロールキーを押しながらのキーA(Approach))を押下すると押下の間、各レイヤーが接近し続けるようにも構成できる。その他これに限らず当業者であれば各種考えられるであろう。
【0042】
次に、ズーム変更手段14は、ズーム変更指示手段24により、表示手段41を介して、ズーム変更コマンドが入力されたか否かを判断する(ステップS9)。ズーム変更指示手段24によりズーム変更コマンドが入力されたと判断すると、ズーム変更手段14は、図7(b)に示すように、カメラ位置に相当する視点から見た画角(FOV:field of view)を変化させて、いわゆる拡大縮小率を示すズームを変化させる処理をする(ズーム変更)(ステップS10)。
【0043】
ズーム変更指示手段24については、様々なものが考えられる。例えば、マウスのホイールを操作することにより実現できる。ここで、例えば、ホイールを前方に回転させると、いわゆるズームインし、一方、ホイールを後方に回転させると、いわゆるズームアウトするように構成する。また、例えば、表示手段41の片隅にプラスとマイナスのボタンを用意しておき、それらをマウスでクリックするごとに一定量、ズームイン又はズームアウトするように構成もできる。また、タッチパネルを有している表示手段であれば、2本の指の間隔を広げるように画面を擦ると、ズームインし、その間隔が狭まるように画面を擦ると、ズームアウトするように構成することもできる。また、変形例として、例えば、キーボードの特定のキー(例えば、コントロールキーを押しながらのキーI(Zoom-In))を押下すると押下の間、ズームインし続け、他の特定のキー(例えば、コントロールキーを押しながらのキーO(Zoom-Out))を押下すると押下の間、ズームアウトし続けるようにも構成できる。その他これに限らず当業者であれば各種考えられるであろう。
【0044】
次に、画像回転手段15は、回転指示手段25により、表示手段41を介して、回転コマンドが入力されたか否かを判断する(ステップS11)。回転指示手段25により回転コマンドが入力されたと判断すると、画像回転手段15は、分解斜視表示された画像を注視点に対して回転させる(ステップS12)。この画像の回転処理は、視点を注視点に向けたまま注視点に対して旋回させる処理と捉えることができる。このとき、前述の注視点を原点とした画像3次元座標において、旋回の軸は、図8(a)に示すように、各x、y、z軸とすることができることは無論、任意のx軸成分、y軸成分、z軸成分により決定される任意のベクトルの方向とすることができる。この旋回軸を連続的に変化させれば、図8(b)に示すように、注視点から距離rにある視点は、半径rの球面上をくまなく移動できることとなる。
【0045】
画像の回転、すなわち視点の旋回は、一方においては、視点の移動と、視点(カメラ)の向きの変更(カメラローテーション)の組合せ動作とも捉えることができる。つまり、カメラを平行移動させ、その後、カメラの向きを注視点に向けることと等価である。このとき、カメラの向きの変更は、図8(c)に示すように、カメラ中心(視点)を原点とした3次元空間における座標軸の任意の回転という処理で実現できる。
【0046】
回転指示手段25については、様々なものが考えられる。例えば、典型的には、マウスで実現できる。つまり、マウスで表示手段41を任意の方向にドラッグすると、視点が前述の球面上を移動する。例えば、マウスで表示手段41を上又は下方向にドラッグすると、球面の経線に沿って移動する。また、左又は右方向にドラッグすると、球面の緯線方向に移動する。斜めにドラッグすると、球面の斜め方向に移動する。このマウスによるドラッグ動作は、タッチパネルに対して指で擦る操作で同様に実現できる。また、表示手段41上に4方向ボタンや8方向ボタンを備えておき、それらのボタンの押下の組合せでも実現できる。更に、変形例として、キーボードの矢印キーの上下方向キーと左右方向キーの押下動作の組合せでも実現できる。
【0047】
図9は、画像の回転の例であるが、基本的な理解の便宜のため、x軸、y軸、z軸のそれぞれを単独の回転軸とした場合を示している。しかしながら、前述のように、任意の方向ベクトルを回転軸として回転可能である。
【0048】
ステップS4におけるタイミング選択、ステップS6における注視点変更、ステップS8におけるレイヤー間距離変更、ステップS10におけるズーム変更、ステップS12における画像回転の各処理により、編集し易い表示状態が形成されると、次に、画像編集手段16による編集処理が行われる(ステップS13)。
【0049】
そこで、図10を参照して、具体的な動画像で説明する。図10(a)は、ルーレット数字にミサイルが命中するタイミングの動画像である。分解斜視表示前の通常表示の状態である。このように通常表示でもタイミングを選択できる。この画像を分解斜視表示すると、例えば、図10(b)に示すようになる。この具体例から明確なように、各レイヤーに含まれる各画像の重なり構成が容易に把握できることが分かる。そこで、図10(b)に示す分解斜視表示された画像に対し、選択指示手段25により所望のレイヤーを選択する。同図においては、レイヤー[2]を選択しようとしている。ここで、選択指示手段25については、様々なものが考えられる。例えば、典型的には、マウスによるポインティング操作で実現できる。または、タッチパネルに対するタッチでも同様である。図10(c)は、レイヤー[2]が選択されている状態の例である。このように、分解斜視表示の状態では、選択状態も明確に把握できる。このように選択指示手段25により所望のレイヤーが選択されると、画像編集手段15は、選択されたレイヤーに含まれる画像の編集処理を行う。なお、補足的に、図10(d)は、全てのレイヤーが選択された状態を示す図である。
【0050】
最後に、分解斜視表示指示手段21により分解斜視終了コマンドが入力されたか否かを判断する(ステップS14)。編集が終了して、分解斜視表示指示手段21により分解斜視終了コマンドが入力されると、分解斜視表示手段11は、画像の分解斜視表示を終了し、通常表示に戻す(ステップS15)。なお、通常表示から分解斜視表示への遷移と同様、分解斜視表示から通常表示への遷移も、表示手段41上において、連続的に滑らかに行われる。
【0051】
分解斜視表示指示手段21による分解斜視終了コマンドを与える方法についても、分解斜視コマンドと同様である。つまり、マウスにより、ツールバーに表示された斜視表示終了のためのボタンや、ドロップダウンリストに表示される文字をクリックしたりできる。また、変形例として、キーボードに対して特定のキー入力(例えば、コントロールキーを押しながらのキーQ(Quit)の押下)を行ったりすることで実現できる。その他これに限らず当業者であれば各種考えられるであろう。
【0052】
以上のように、本発明の画像編集装置及び画像編集方法の一実施形態によれば、各レイヤー[1]〜[3]に含まれる画像を分解斜視表示し、また、その分解斜視表示の状態で、画像を回転させたり、レイヤー間を拡縮させたり、ズームイン/アウトしたり、注視点を変更したりすることにより、各レイヤーにおける各画像の重なり具合や大きさを視覚的に認識できると共に、任意の画像を編集し易いような位置関係で各画像を表示できる。従って、編集作業を短時間で容易に行える。
【0053】
なお、上述の実施形態においては、注視点変更コマンドの入力の判断、接近/離反コマンドの入力の判断、ズーム変更コマンドの入力の判断、回転コマンドの入力の判断は、その順で行っているが、当業者であれば、例えば画像編集の進行に応じて、それらは通常は順不同であり、各指示手段を介して編集者から任意の時点及び回数で与えられるコマンドによるものであることが理解できるであろう。
【0054】
また、上述の実施形態においては、とりわけ図面表示の便宜のため、レイヤーを3層としたが、これに限られることなく、より多くのレイヤー数でも可能である。特にその数が比較的大きいときに効果を大きい。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明の画像編集装置及び画像編集方法は、例えばパチンコ機やゲーム機のような遊技機で表示される画像の編集に利用できる。
【符号の説明】
【0056】
11 分割斜視表示手段
12 注視点変更手段
13 レイヤー間距離変更手段
14 ズーム変更手段
15 画像回転手段
16 画像編集手段
21 分解斜視表示指示手段
22 注視点変更指示手段
23 距離変更指示手段
24 ズーム変更指示手段
25 回転指示手段
26 選択指示手段
31 画像格納手段
41 表示手段


【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれが独立の画像データを含む複数のレイヤーで構成される画像であって遊技機に表示されるべき画像を、表示編集する画像編集装置であって、
画像が表示される表示手段と、
前記表示手段に表示された、各レイヤーに係る画像が重ね合された画像を、分解して各レイヤーを3次元状に斜視表示するように変換する分解斜視表示手段と、
前記分解斜視表示手段により分解して斜視表示された画像を各レイヤーごとに編集する画像編集手段と、
を備えたことを特徴とする画像編集装置。
【請求項2】
前記画像が表示される表示手段を介して、前記分解斜視表示手段に、前記分解して斜視表示する処理を指示する分解斜視表示指示手段を更に備えたことを特徴とする請求項1に記載の画像編集装置。
【請求項3】
前記画像が表示される表示手段を介して、前記画像編集手段に、前記表示手段に分解して斜視表示された各レイヤーのうち、前記編集の対象たるレイヤーを選択指示する選択指示手段を更に備えたことを特徴とする請求項1に記載の画像編集装置。
【請求項4】
前記分解して斜視表示された各レイヤーを、注目する画像点たる注視点を中心として回転させる画像回転手段を更に備えたことを特徴とする請求項1に記載の画像編集装置。
【請求項5】
前記画像が表示される表示手段を介して、前記画像回転手段に回転処理を指示する回転指示手段を更に備えたことを特徴とする請求項4に記載の画像編集装置。
【請求項6】
前記分解して斜視表示された各レイヤーを、注目する画像点たる注視点を中心として接近/離反させる距離変更手段を更に備えたことを特徴とする請求項1に記載の画像編集装置。
【請求項7】
前記画像が表示される表示手段を介して、前記距離変更手段に各レイヤーを接近/離反させる処理を指示する距離変更指示手段を更に備えたことを特徴とする請求項6に記載の画像編集装置。
【請求項8】
前記分解して斜視表示された各レイヤーを、注目する画像点たる注視点を中心としてズームイン/アウトさせるズーム変更手段を更に備えたことを特徴とする請求項1に記載の画像編集装置。
【請求項9】
前記画像が表示される表示手段を介して、前記ズーム変更手段に各レイヤーをズームイン/アウトさせる処理を指示するズーム変更指示手段を更に備えたことを特徴とする請求項8に記載の画像編集装置。
【請求項10】
前記注視点を変更する注視点変更手段を更に備えたことを特徴とする請求項4乃至9のいずれかに記載の画像編集装置。
【請求項11】
前記画像が表示される表示手段を介して、前記注視点変更手段に前記注視点の変更処理を指示する注視点変更指示手段を更に備えたことを特徴とする請求項10に記載の画像編集装置。
【請求項12】
それぞれが独立の画像データを含む複数のレイヤーで構成される画像であって遊技機に表示されるべき画像を、表示編集する画像編集方法であって、
表示手段に表示された、各レイヤーに係る画像が重ね合された画像を、各レイヤーごとに分解して3次元状に斜視表示し、
前記分解して斜視表示された画像を各レイヤー単位で編集することを特徴とする画像編集方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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