説明

画像表示体

【課題】スムーズな疑似的動画像を実現し、かつ違和感を減縮させて観察することが可能な画像表示シートを備えた画像表示体を提供する。
【解決手段】複数のシリンドリカルレンズの配列により構成されたレンチキュラーシートと画像形成層が積層して構成され、シリンドリカルレンズの凸形状を有する側から画像形成層に形成された画像を移動、又は、移動及び変形を伴う虚像として観察可能に構成した画像表示シート1001と、基材1002とからなる画像表示体1000であって、画像形成層にはシリンドリカルレンズと作用して虚像を表示させるための複数の虚像観察用画像が形成されており、シリンドリカルレンズの配列ピッチ長と、虚像観察用画像のピッチ長の差が、シリンドリカルレンズの配列ピッチ長又は虚像観察用画像のピッチ長に対して0%乃至10%の範囲である。基材1002と画像表示シート1001が積層して構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像表示体に関し、特に、シリンドリカルレンズ又は平凸レンズと画像に基づいた移動、又は、移動及び変形を伴う虚像を観察可能な画像表示シートを備える画像表示体に関する。
【背景技術】
【0002】
観察者の視覚を利用することによって、画像を移動、又は、移動及び変形を伴うムービング、チェンジング等の虚像として観察できる画像表示シートがある。画像表示シートは、複数のシリンドリカルレンズの配列により構成されたレンチキュラーシートと、画像形成層により構成される。
【0003】
図23は、従来公知の画像表示シートの説明図である。(A)はレンチキュラーの基本特性を示す説明図であり、(B)はレンチキュラーの基本原理を示す概略説明図である。シリンドリカレンズの凸形状を有する面と反対の面に画像形成層を配し、レンズの側から画像を疑似動的に観察可能としている。右目用画像と左目用画像をストライプ状に配置することにより、立体視画像や観察者が見る角度を変えることにより画像を動いているように見せるチェンジング画像が観察できる。図24は従来公知の画像表示シートの説明図である。(A)は従来公知の画像表示シートの断面説明図であり、(B)は画像形成層の平面図である。画像形成層には複数の原画A,B,C,Dをストライプ状に分割した画像が形成されている。図24は、右眼用画像と左眼用画像を各レンズに対して所定幅で分割した例である。視線を移動させていくと、ある位置ではA画像が見え、ある位置ではB画像が見え、ある位置ではC画像がみえ、ある位置ではD画像が見えるというように、観察者が見る角度を変えることにより画像を動いているように見える。
【0004】
また、特許文献1には、複数の原画をストライプ状に分割して一枚の画像とし、見る角度によって異なる絵柄が見えるよう構成する際に、凸レンズのピッチの境界と画像の分割境界を一致させる技術が開示されている。特許文献2には、左眼用画像と右眼用画像を、各レンズに対して所定幅の短冊状切片に分割し、インターレース状に並べることにより疑似的可変画像を観察する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−344807号公報
【特許文献2】特開2010−044213号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
レンチキュラーを使用したムービング、チェンジング等の視覚効果は、一定範囲の観察視点内では、単一の画像を観察し、次に観察視点の角度を変えて一定範囲を超えると次の画像が観察される。このように、観察角度変化に応じて、次々と異なる画像を観察させる構成となっている。このとき、角度変化に応じて順次観察される画像が、人物、動物などの動作、拡大、縮小、変形を伴う適宜の動画的表現をデザインすることにより、あたかも動画を観察しているかのような視覚効果を得ることが可能になる。図25は、従来技術による実際の画像表示シートである。図25のシートでは目玉の虚像が観察できる。見る角度を変えて視線を移動していくと、画像がコマ送り画像のように移動して見える。観察者にとっては、スムーズな動きではなく、角度変化に応じて虚像が飛び飛びで見えるため、違和感を持つという問題がある。特に、このような画像表示シートをパッケージ、パネル、ポスター等の画像表示体に貼り付ける等して利用する場合、飛び飛びに動くため違和感が大きい。なお、図25は本願出願人による特許出願(特願2010−96476)の添付図面(図21)に相当し、鮮明な印刷物を物件提出している。
【0007】
本発明の目的は、このような問題等に鑑みて、スムーズな疑似的動画像を実現し、かつ違和感を減縮させて観察することが可能な画像表示シートを備えた画像表示体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の画像表示体は、複数のシリンドリカルレンズの配列により構成されたレンチキュラーシートと画像形成層が積層して構成され、前記レンチキュラーシートの前記シリンドリカルレンズの凸形状を有する側から前記画像形成層に形成された画像を移動、又は、移動及び変形を伴う虚像として観察可能に構成した画像表示シートと、基材とからなる画像表示体であって、前記画像表示シートの前記画像形成層には前記シリンドリカルレンズと作用して前記虚像を表示させるための複数の虚像観察用画像が、各前記シリンドリカルレンズと略一対一に対応するよう繰り返し形成されており、前記シリンドリカルレンズの配列ピッチ長と、前記画像形成層に繰り返し形成された前記虚像観察用画像のピッチ長の差が、前記シリンドリカルレンズの配列ピッチ長又は前記虚像観察用画像のピッチ長に対して0%乃至10%の範囲であり、前記基材と前記画像表示シートが積層して構成されることを特徴とする。
【0009】
本発明の画像表示体は、複数の平凸レンズの配列により構成された平凸レンズシートと画像形成層が積層して構成され、前記平凸レンズシートの前記平凸レンズの凸形状を有する側から前記画像形成層に形成された画像を移動、又は、移動及び変形を伴う虚像として観察可能に構成した画像表示シートと、基材とからなる画像表示体であって、前記画像表示シートの前記画像形成層には前記平凸レンズと作用して前記虚像を表示させるための複数の虚像観察用画像が、各前記平凸レンズと略一対一に対応するよう繰り返し形成されており、前記平凸レンズの水平方向の配列ピッチ長と、前記画像形成層に繰り返し形成された前記虚像観察用画像の水平方向のピッチ長の差が、前記平凸レンズの水平方向の配列ピッチ長又は前記虚像観察用画像の水平方向のピッチ長に対して0%乃至10%の範囲であって、かつ、前記平凸レンズの垂直方向の配列ピッチ長と、前記画像形成層に繰り返し形成された前記虚像観察用画像の垂直方向のピッチ長の差が、前記平凸レンズの垂直方向の配列ピッチ長又は前記虚像観察用画像の垂直方向のピッチ長に対して0%乃至10%の範囲であり、前記基材と前記画像表示シートが積層して構成されることを特徴とする。
【0010】
前記基材が有する凹部に前記画像表示シートが取り付けられるよう構成してもよい。
【0011】
本発明の画像表示体は、複数のシリンドリカルレンズの配列により構成されたレンチキュラーシートと画像形成層が積層して構成され、前記レンチキュラーシートの前記シリンドリカルレンズの凸形状を有する側から前記画像形成層に形成された画像を移動、又は、移動及び変形を伴う虚像として観察可能に構成した画像表示シートと、基材とからなる画像表示体であって、前記画像表示シートの前記画像形成層には前記シリンドリカルレンズと作用して前記虚像を表示させるための複数の虚像観察用画像が、各前記シリンドリカルレンズと略一対一に対応するよう繰り返し形成されており、前記シリンドリカルレンズの配列ピッチ長と、前記画像形成層に繰り返し形成された前記虚像観察用画像のピッチ長の差が、前記シリンドリカルレンズの配列ピッチ長又は前記虚像観察用画像のピッチ長に対して0%乃至10%の範囲であり、前記基材は切抜き加工された取付け部を有し、前記取付け部に前記画像表示シートが取り付けられることを特徴とする。
【0012】
本発明の画像表示体は、複数の平凸レンズの配列により構成された平凸レンズシートと画像形成層が積層して構成され、前記平凸レンズシートの前記平凸レンズの凸形状を有する側から前記画像形成層に形成された画像を移動、又は、移動及び変形を伴う虚像として観察可能に構成した画像表示シートと、基材とからなる画像表示体であって、前記画像表示シートの前記画像形成層には前記平凸レンズと作用して前記虚像を表示させるための複数の虚像観察用画像が、各前記平凸レンズと略一対一に対応するよう繰り返し形成されており、前記平凸レンズの水平方向の配列ピッチ長と、前記画像形成層に繰り返し形成された前記虚像観察用画像の水平方向のピッチ長の差が、前記平凸レンズの水平方向の配列ピッチ長又は前記虚像観察用画像の水平方向のピッチ長に対して0%乃至10%の範囲であって、かつ、前記平凸レンズの垂直方向の配列ピッチ長と、前記画像形成層に繰り返し形成された前記虚像観察用画像の垂直方向のピッチ長の差が、前記平凸レンズの垂直方向の配列ピッチ長又は前記虚像観察用画像の垂直方向のピッチ長に対して0%乃至10%の範囲であり、前記基材は切抜き加工された取付け部を有し、前記取付け部に前記画像表示シートが取り付けられることを特徴とする。
【0013】
前記画像表示シートの剥離を防止する剥離防止層を有し、前記画像表示シートの一部又は全部と前記剥離防止層が積層されるよう構成してもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、スムーズに移動し、又は、スムーズに移動及び変形をする疑似的動画像を実現し、かつ違和感を減縮させて観察することが可能な画像表示シートを備えた画像表示体を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】(A)は第一実施形態による画像表示体の断面図である。(B)は第二実施形態による画像表示体の断面図である。(C)は第三実施形態による画像表示体の断面図である。(D)は第四実施形態による画像表示体の断面図である。(E)は第五実施形態による画像表示体の断面図である。(F)は第六実施形態による画像表示体の断面図である。(G)は第七実施形態による画像表示体の断面図である。(H)は第八実施形態による画像表示体の断面図である。(I)は第九実施形態による画像表示体の断面図である。(J)は第十実施形態による画像表示体の断面図である。(K)は第十一実施形態による画像表示体の断面図である。
【図2】(A)第四実施形態による基材の説明図である。(B)第七実施形態による基材の説明図である。
【図3】(A)ブロー成形による画像表示体の成形方法を示す図である。図3(B)射出成形による画像表示体の成形方法を示す図である。
【図4】本発明の画像表示体の使用例図である。
【図5】画像表示体に備える画像表示シートの断面図である。
【図6】画像表示体に備える画像表示シートの構成説明図である。(A)はレンチキュラーシートの断面説明図であり、(B)は画像形成層の平面図である。
【図7】画像表示体に備える画像表示シートの平面図である。
【図8】虚像の説明図である。
【図9】実際の画像表示シートである。
【図10】他の実施形態1による画像表示シートの構成説明図である。(A)はレンチキュラーシートの各シリンドリカルレンズ5aと、画像6a及び6bの対応説明図であり、(B)は画像6bのピッチ長計測の説明図である。
【図11】他の実施形態1による虚像の説明図である。
【図12】他の実施形態1による実際の画像表示シートである。
【図13】他の実施形態2による画像表示シートの断面図である。
【図14】他の実施形態3による画像表示シートの構成説明図である。(A)は画像表示シートの断面図であり、(B)は画像形成層の平面図である。
【図15】他の実施形態4による画像表示シートの断面図である。
【図16】他の実施形態4による画像表示シートの構成説明図である。(A)は平凸レンズシートの平面図であり、(B)は画像形成層の平面図である。
【図17】他の実施形態4による虚像の構成説明図である。
【図18】他の実施形態4による虚像の構成説明図である。
【図19】他の実施形態5による画像表示シートの画像形成層の平面図である。
【図20】他の実施形態6による画像表示シートの画像形成層の平面図である。
【図21】他の実施形態7による画像表示シートの構成説明図である。(A)は画像表示シートの断面図であり、(B)はレンチキュラーシートのフォーカスの様子を示す要部断面図であり、(C)は平凸レンズの配置が異なる画像表示シートの例である。
【図22】他の実施形態8による画像表示シートの構成説明図である。(A)は画像表示シートの断面図であり、(B)は平凸レンズの配置が異なる画像表示シートの例である。
【図23】従来公知の画像表示シートの説明図である。
【図24】従来公知の画像表示シートの説明図である。
【図25】従来技術による実際の画像表示シートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の画像表示体について、図面を参照して説明する。なお、画像表示体に備える画像表示シートについては、後に図面を用いて詳述する。
【0017】
図1(A)は、第一実施形態による画像表示体の断面図である。
【0018】
第一実施形態による画像表示体1000は、画像表示シート1001と、基材1002を必須の構成として形成される。
【0019】
画像表示シート1001は、複数のシリンドリカルレンズから成るレンチキュラーシート又は複数の平凸レンズの配列により構成された平凸レンズシートと、画像形成層を必須の構成とし、シリンドリカルレンズ又は平凸レンズと、画像形成層に形成された虚像観察画像と、に基づいて、スムーズな虚像を観察可能にするものである。基材1002上に、画像表示シート1001の凸形状を有する面と反対側の面、すなわち、シリンドリカルレンズ又は平凸レンズを有する面と反対側の面が接着又は粘着等により貼り付けられる。ただし、基材1002上に画像表示シート10012を取り付けることができれば貼付には限定されない。
【0020】
基材1002は、画像表示シート1001を貼り付けるためのものである。基材1002の材料は、例えば、コート紙、合成紙、上質紙、中質紙、含浸紙、ラミネート紙、金属蒸着紙、印刷用塗工紙、記録用塗工紙等の紙、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリカーボネートフィルム等のプラスチックフィルム、金属箔、木材、金属あるいはそれらの複合体等が用いられる。基材1002の材料は、従来からパンフレット、ポスター、パッケージ、人形、おもちゃ、雑貨、機械器具等に用いられている材料であれば特に限定されない。基材1002の材料は、画像表示シート100に要求される強度や用途等に応じて適宜選択することができる。
【0021】
画像表示シート1001と、基材1002との積層方法は、画像表示シート1001及び基材1002の材料に応じて、周知の接着又は粘着などの方法を用いて行われる。観察者が画像表示シート10001の凸形状を有する側(図1(A)において上方)から画像表示シート1001の虚像を観察できればよい。
【0022】
図1(B)は、第二実施形態による画像表示体の断面図である。
【0023】
第二実施形態による画像表示体2000は、画像表示シート2001と、基材2002と剥離防止層2003を必須の構成として形成される。なお、上述した実施形態と同様の構成については記載を省略する。
【0024】
画像表示シート2001は、基材2002上の予め位置決めされた箇所に、画像表示シート2001の凸形状を有する面と反対側の面、すなわち、シリンドリカルレンズ又は平凸レンズを有する面と反対側の面が接着又は粘着等により貼り付けられる。ただし、基材2002上の決められた位置に画像表示シート2001を取り付けることができれば貼付には限定されない。また、基材2002上の決められた位置に画像表示シート2001を単に載置するだけでもよい。画像表示シート2001のその他の構成は上述した画像表示シート1001と同様であるため説明を省略する。
【0025】
基材2002は、画像表示シート2001を貼り付けるためのものである。基材2002上には画像表示シート2001の貼り付け位置が予め決められている。基材2002のその他の構成は上述した基材1002と同様であるため説明を省略する。
【0026】
剥離防止層2003は、画像表示シート2001が基材2002から剥がれることを防止するためのものである。画像表示シート2001の端部を画像表示シート2001の上方から覆うよう構成されている。剥離防止層2003の材料は、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリカーボネートフィルム等のプラスチックフィルム、木材、金属あるいはそれらの複合体等が用いられる。画像表示シート2001の端部も観察できるようにするためには、剥離防止層2003は透明であることが好ましい。画像表示シート2001の端部が見えないようにするためには、剥離防止層2003は少なくとも暗色であるか又は不透明であることが好ましい。
【0027】
画像表示シート2001と、基材2002と、剥離防止層2003の積層方法は、画像表示シート2001、基材2002、剥離防止層2003の材料に応じて、周知の接着又は粘着などの方法を用いて行われる。観察者が画像表示シート2001の凸形状を有する側(図1(B)において上方)から画像表示シート2001の虚像を観察できればよい。
【0028】
図1(C)は、第三実施形態による画像表示体の断面図である。
【0029】
第三実施形態による画像表示体3000は、画像表示シート3001と、基材3002と剥離防止層3003を必須の構成として形成される。なお、上述した実施形態と同様の構成については記載を省略する。
【0030】
画像表示シート3001は、基材3002上の予め位置決めされた箇所に、画像表示シート3001の凸形状を有する面と反対側の面、すなわち、シリンドリカルレンズ又は平凸レンズを有する面と反対側の面が接着又は粘着等により貼り付けられる。ただし、基材3002上の決められた位置に画像表示シート3001を取り付けることができれば貼付には限定されない。また、基材3002上の決められた位置に画像表示シート3001を単に載置するだけでもよい。画像表示シート3001のその他の構成は上述した画像表示シート1001と同様であるため説明を省略する。
【0031】
基材3002は、画像表示シート3001を貼り付けるためのものである。基材3002上には画像表示シート3001の貼り付け位置が予め決められている。基材3002のその他の構成は上述した基材1002と同様であるため説明を省略する。
【0032】
剥離防止層3003は、画像表示シート3001が基材3002から剥がれることを防止するためのものである。画像表示シート3001の端部を画像表示シート3001の上方から覆うよう構成されている。剥離防止層3003の画像表示シート3001を覆う部分以外の部分は、基材3002上に貼り付けられる。これにより、剥離防止層3003を安定的に構成することができるので、画像表示シート3001の安定性も向上する。剥離防止層3003の材料は、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリカーボネートフィルム等のプラスチックフィルム、木材、金属、あるいはそれらの複合体等が用いられる。画像表示シート3001の端部も観察できるようにするためには、剥離防止層3003は透明であることが好ましい。画像表示シート3001の端部が見えないようにするためには、剥離防止層3003は少なくとも暗色であるか又は不透明であることが好ましい。
【0033】
画像表示シート3001と、基材3002と、剥離防止層3003の積層方法は、画像表示シート3001、基材3002、剥離防止層3003の材料に応じて、周知の接着又は粘着などの方法を用いて行われる。観察者が画像表示シート3001の凸形状を有する側(図1(C)において上方)から画像表示シート3001の虚像を観察できればよい。
【0034】
図1(D)は、第四実施形態による画像表示体の断面図である。
【0035】
第四実施形態による画像表示体4000は、画像表示シート4001と、基材4002と剥離防止層4003を必須の構成として形成される。なお、上述した実施形態と同様の構成については記載を省略する。
【0036】
画像表示シート4001は、基材4002の取付け部4002aに、画像表示シート4001の凸形状を有する面と反対側の面、すなわち、シリンドリカルレンズ又は平凸レンズを有する面と反対側の面が接着又は粘着等により貼り付けられる。基材4002の取付け部4002aに、画像表示シート4001の側面部を接着又は粘着等により貼り付けてもよい。ただし、基材4002上の取付け部4002aに画像表示シート4001を取り付けることができれば貼付には限定されない。また、取付け部5002aの凹部に画像表示シート4001を単に載置するだけでもよい。画像表示シート4001のその他の構成は上述した画像表示シート1001と同様であるため説明を省略する。
【0037】
基材4002は、画像表示シート4001を貼り付けるためのものである。基材4002のその他の構成は上述した基材1002と同様であるため説明を省略する。
【0038】
剥離防止層4003は、画像表示シート4001が基材4002から剥がれることを防止するためのものである。画像表示シート4001の端部を画像表示シート4001の上方から覆うよう構成されている。剥離防止層4003の画像表示シート4001を覆う部分以外の部分は、基材4002上に貼り付けられる。これにより、剥離防止層4003を安定的に構成することができるので、画像表示シート4001の安定性も向上する。画像表示シート4001の端部も観察できるようにするためには、剥離防止層4003は透明であることが好ましい。画像表示シート4001の端部が見えないようにするためには、剥離防止層4003は少なくとも暗色であるか又は不透明であることが好ましい。剥離防止層4003のその他の構成は上述した剥離防止層3003と同様であるため説明を省略する。
【0039】
図2(A)は基材4002の説明図である。基材4002は凹部を備える。具体的には、基材4002はエンボス加工等により凹形状に成形された取付け部4002aを備える。取付け部4002aに画像表示シート4001が載置される。取付け部4002aに画像表示シート4001を貼り付けてもよい。
【0040】
画像表示シート4001と、基材4002と、剥離防止層4003の積層方法は、画像表示シート4001、基材4002、剥離防止層4003の材料に応じて、周知の接着又は粘着などの方法を用いて行われる。観察者が画像表示シート4001の凸形状を有する側(図1(D)において上方)から画像表示シート4001の虚像を観察できればよい。
【0041】
図1(E)は、第五実施形態による画像表示体の断面図である。
【0042】
第五実施形態による画像表示体5000は、画像表示シート5001と、基材5002と剥離防止層5003を必須の構成として形成される。なお、上述した実施形態と同様の構成については記載を省略する。
【0043】
画像表示シート5001は、基材5002の取付け部5002aに、画像表示シート5001の凸形状を有する面と反対側の面、すなわち、シリンドリカルレンズ又は平凸レンズを有する面と反対側の面が接着又は粘着等により貼り付けられる。画像表示シート5001の側面部を貼り付けてもよい。ただし、基材5002上の取付け部5002aに画像表示シート5001を取り付けることができれば貼付には限定されない。また、取付け部5002aの凹部に画像表示シート5001を単に載置するだけでもよい。画像表示シート5001のその他の構成は上述した画像表示シート1001と同様であるため説明を省略する。
【0044】
基材5002は、画像表示シート5001を貼り付けるためのものである。基材5002は凹部を備える。具体的には、基材5002は、エンボス加工等により凹形状に成形された取付け部5002aを備え、取付け部5002aに画像表示シート5001が載置される。取付け部5002aに画像表示シート5001を貼り付けてもよい。基材5002の構成等については、図2(A)に図示した基材4002と同様であるため図示及び説明を省略する。また、基材5002の材料等その他の構成は上述した基材1002と同様であるため説明を省略する。
【0045】
剥離防止層5003は、画像表示シート5001が基材5002から剥がれることを防止するためのものである。剥離防止層5003は、画像表示シート5001上を覆うよう構成されている。剥離防止層5003の端部は基材5002上に張り付けられる。これにより、剥離防止層5003を安定的に構成することができるので、画像表示シート5001の安定性も向上する。剥離防止層5003は、画像表示シート5001の虚像の観察を妨げてはならないため透明である。剥離防止層5003の材料は、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリカーボネートフィルム等のプラスチックフィルム、あるいはそれらの複合体等が用いられる。
【0046】
画像表示シート5001と、基材5002と、剥離防止層5003の積層方法は、画像表示シート5001、基材5002、剥離防止層5003の材料に応じて、周知の接着又は粘着などの方法を用いて行われる。観察者が画像表示シート5001の凸形状を有する側(図1(E)において上方)から画像表示シート5001の虚像を観察できればよい。
【0047】
図1(F)は、第六実施形態による画像表示体の断面図である。
【0048】
第六実施形態による画像表示体6000は、画像表示シート6001と基材6002を必須の構成として形成される。なお、上述した実施形態と同様の構成については記載を省略する。
【0049】
画像表示シート6001は、基材6002の取付け部6002aに、画像表示シート6001の凸形状を有する面と反対側の面、すなわち、シリンドリカルレンズ又は平凸レンズを有する面と反対側の面が接着又は粘着等により貼り付けられる。画像表示シート6001の側面部を貼り付けてもよい。ただし、基材6002上の取付け部6002aに画像表示シート6001を取り付けることができれば貼付には限定されない。画像表示シート6001のその他の構成は上述した画像表示シート1001と同様であるため説明を省略する。
【0050】
基材6002は、画像表示シート6001を貼り付けるためのものである。基材6002の構成等については、図2(A)に図示した基材4002と同様であるため図示及び説明を省略する。また、基材6002の材料等その他の構成は上述した基材1002と同様であるため説明を省略する。
【0051】
画像表示シート6001と、基材6002との積層方法は、画像表示シート6001、基材6002の材料に応じて、周知の接着又は粘着などの方法を用いて行われる。観察者が画像表示シート6001の凸形状を有する側(図1(F)において上方)から画像表示シート6001の虚像を観察できればよい。また、図1(F)に示すように、エンボス加工により凹形状に成形された取付け部6002aの深度は、画像表示シート6001の高さよりも浅い深度となるよう構成しても、深い深度となるよう構成してもよい。
【0052】
図1(G)は、第七実施形態による画像表示体の断面図である。
【0053】
第七実施形態による画像表示体7000は、画像表示シート7001と基材7002を必須の構成として形成される。なお、上述した実施形態と同様の構成については記載を省略する。
【0054】
画像表示シート7001は、基材7002の取付け部7002aに、画像表示シート7001の側面が接着又は粘着等により貼り付けられる。ただし、基材7002上の取付け部7002aに画像表示シート7001を取り付けることができれば貼付には限定されない。画像表示シート7001のその他の構成は上述した画像表示シート1001と同様であるため説明を省略する。
【0055】
基材7002は、画像表示シート7001を貼り付けるためのものである。基材7002のその他の構成は上述した基材1002と同様であるため説明を省略する。図2(B)は基材7002の説明図である。基材7002は、画像表示シート7001の貼り付け位置が切抜き加工された取り付け部7002aを備える。取付け部7002aに画像表示シート7001の側面が貼り付けられる。
【0056】
観察者が画像表示シート7001の凸形状を有する側(図1(G)において上方)から画像表示シート7001の虚像を観察できれば、画像表示シート7001の側面と基材7002をどのように貼り付けてもよい。
【0057】
図1(H)は、第八実施形態による画像表示体の断面図である。
【0058】
第八実施形態による画像表示体8000は、画像表示シート8001と基材8002と剥離防止層8003を必須の構成として形成される。なお、上述した実施形態と同様の構成については記載を省略する。
【0059】
画像表示シート8001は、剥離防止層8003に、画像表示シート8001の凸形状を有する面と反対側の面が接着又は粘着等により貼り付けられる。ただし、剥離防止層8003に画像表示シート8001を取り付けることができれば貼付には限定されない。画像表示シート8001のその他の構成は上述した画像表示シート1001と同様であるため説明を省略する。
【0060】
基材8002は、画像表示シート8001が配置される箇所が切抜き加工された取り付け部8002aを備える。取付け部8002aに画像表示シート8001の側面が貼り付けられても良い。基材8002の構成等については、図2(B)に図示した基材7002と同様であるため図示を省略する。また、基材8002の材料等その他の構成は上述した基材1002と同様であるため説明を省略する。
【0061】
剥離防止層8003は、画像表示シート8001が基材8002から剥がれることを防止するためのものである。剥離防止層8003上に、画像表示シート8001の凸形状を有する面と反対側の面が積層される。剥離防止層8003の端部は基材8002に貼り付けられる。これにより、剥離防止層8003を安定的に構成することができるので、画像表示シート8001の安定性も向上する。剥離防止層8003の材料は、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリカーボネートフィルム等のプラスチックフィルム、木材、金属あるいはそれらの複合体等が用いられる。剥離防止層8003は透明でも不透明でもよい。
【0062】
観察者が画像表示シート8001の凸形状を有する側(図1(H)において上方)から画像表示シート8001の虚像を観察できれば、画像表示シート8001の側面と基材8002、剥離防止層8003と画像表示シート8001をどのように貼り付けてもよい。また、基材8002の取付け部8002aに、画像表示シート8001の側面を接着又は粘着等により貼り付け、その後に剥離防止層8003を、画像表示シート8001の凸形状を有する面と反対側の面から画像表示シート8001を覆うように積層してもよい。ただし、基材8002の取付け部8002aに画像表示シート8001を取り付けることができれば貼付には限定されない。
【0063】
図1(I)は、第九実施形態による画像表示体の断面図である。
【0064】
第九実施形態による画像表示体9000は、画像表示シート9001と基材9002と剥離防止層9003を必須の構成として形成される。なお、上述した実施形態と同様の構成については記載を省略する。
【0065】
画像表示シート9001は、基材9002の取付け部9002aに、画像表示シート9001の側面が接着又は粘着等により貼り付けられる。ただし、基材9002上の取付け部9002aに画像表示シート9001を取り付けることができれば貼付には限定されない。画像表示シート9001のその他の構成は上述した画像表示シート1001と同様であるため説明を省略する。
【0066】
基材9002は、画像表示シート9001を貼り付けるためのものである。基材9002は、画像表示シート9001の貼り付け位置が切抜き加工された取り付け部9002aを備える。取付け部9002aに画像表示シート9001の側面が貼り付けられる。基材9002の構成等については、図2(B)に図示した基材7002と同様であるため図示を省略する。また、基材9002の材料等その他の構成は上述した基材1002と同様であるため説明を省略する。
【0067】
剥離防止層9003は、画像表示シート9001が基材9002から剥がれることを防止するためのものである。剥離防止層9003は、画像表示シート9001上を覆うよう構成されている。剥離防止層9003の端部は基材9002上に貼り付けられる。これにより、剥離防止層9003を安定的に構成することができるので、画像表示シート9001の安定性も向上する。剥離防止層9003は、画像表示シート9001の虚像の観察を妨げてはならないため透明である。剥離防止層9003の材料は、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリカーボネートフィルム等のプラスチックフィルム、あるいはそれらの複合体等が用いられる。
【0068】
観察者が画像表示シート9001の凸形状を有する側(図1(H)において上方)から画像表示シート9001の虚像を観察できれば、画像表示シート9001の側面と基材9002、剥離防止層9003と画像表示シート9001と基材9002をどのように貼り付けてもよい。
【0069】
図1(J)は、第十実施形態による画像表示体の断面図である。
【0070】
第十実施形態による画像表示体10000は、画像表示シート10001と基材10002A及び基材10002Bを必須の構成として形成される。なお、上述した実施形態と同様の構成については記載を省略する。
【0071】
本実施形態の基材は、例えば合紙等であって、画像表示シート10001を備えた基材11002Aと、基材11002Bが貼り合せられて構成される。基材10002Aは、切抜き加工された取り付け部10002Aaを備える。
【0072】
基材10002Aの構成等については、図2(B)に図示した基材7002と同様であるため図示を省略する。基材10002B上に取付け部10002Aaを備えた基材10002Aが積層されて構成される。なお、基材10002A及び基材10002Bの材料等その他の構成は上述した基材1002と同様であるため説明を省略する。基材10002A及び基材10002Bは同一材料で構成されてもよく、異なる材料で構成されてもよい。
【0073】
画像表示シート10001の凸形状を有する面と反対側の面、すなわち、シリンドリカルレンズ又は平凸レンズを有する面と反対側の面が基材10002B上に積層されて接着又は粘着等により貼り付けられる。ただし、画像表示シート10001を取り付けることができれば貼付には限定されない。画像表示シート10001のその他の構成は上述した画像表示シート1001と同様であるため説明を省略する。
【0074】
観察者が画像表示シート10001の凸形状を有する側(図1(H)において上方)から画像表示シート10001の虚像を観察できれば、基材10002Aの取付け部10002Aaに、画像表示シート10001の側面が接着又は粘着等により貼り付けられてもよい。また、画像表示シート10001と基材10002B、又は画像表示シート10001の側面と基材10002Aをどのように貼り付けてもよい。また、取付け部10002Aaを備える基材11002Aと基材10002Bとを積層させて合成させた後、画像表示シート10001を取付け部10002Aaに備えてもよい。さらに、基材11002Aと基材10002Bとを積層させて合成させた後、基材11002Aに切抜き加工を行って取付け部10002Aaを設け、取付け部10002Aaに画像表示シート10001を取り付けてもよい。さらに、画像表示シート10001は、基材10002Aの取付け部10002Aa又は基材10002Bの何れか一方のみと貼り付けてもよい。
【0075】
図1(K)は、第十一実施形態による画像表示体の断面図である。
【0076】
第十一実施形態による画像表示体11000は、画像表示シート11001と基材11002を必須の構成として形成される。なお、上述した実施形態と同様の構成については記載を省略する。
【0077】
画像表示シート11001は、基材11002の取付け部11002aに、画像表示シート11001の凸形状を有する側、すなわち、シリンドリカルレンズ又は平凸レンズを有する側の端部が接着又は粘着等により貼り付けられる。ただし、基材11002の取付け部11002aに画像表示シート11001を取り付けることができれば貼付には限定されない。画像表示シート11001のその他の構成は上述した画像表示シート1001と同様であるため説明を省略する。
【0078】
基材11002は、画像表示シート11001を貼り付けるためのものである。基材11002は、画像表示シート11001の貼り付け位置が切抜き加工された取り付け部11002aを備える。取付け部11002aに画像表示シート11001の端部が貼り付けられる。基材11002の構成等については、図2(B)に図示した基材7002と同様であるため図示を省略する。また、基材11002の材料等その他の構成は上述した基材1002と同様であるため説明を省略する。
【0079】
観察者が画像表示シート11001の凸形状を有する側(図1(K)において上方)から画像表示シート11001の虚像を観察できれば、画像表示シート11001の端部と基材11002をどのように貼り付けてもよい。また、基材11002自体を透明材料で構成すれば、基材11002と貼り付けられた画像表示シート10001の端部も基材11002上から確認することができる。
【0080】
上述した第一実施形態から第十一実施形態による画像表示体1000〜11000によれば、画像表示シート1001〜11001を位置決め精度よく安定的に基材1002〜11002に取り付けることができる。パンフレット、ポスター、パッケージ、人形、おもちゃ、雑貨、機械器具等を基材として画像表示シートを取り付ける場合に有用である。特に、基材に画像表示シートを貼り付けた時に全体が一つの絵柄や文字等になるように絵柄や文字等の画像が印刷等によって構成されている場合に、画像表示シートのズレを防止して正確な位置に貼り付けることができる。例えば、スムーズに動く目玉を虚像として観察可能に構成した画像表示シートを、他のパーツ(眉毛、鼻、口等)が印刷された基材に取り付ける場合、目玉の位置が少しでもずれると福笑いのように違和感を覚える。画像表示体1000〜11000によれば、画像表示シート1001〜11001のサイズに合わせて位置決め、エンボス加工、切抜き加工、をすることで、正確に位置を合わせることができる。
【0081】
第四実施形態から第十一実施形態による画像表示体4000〜11000によれば、基材4002〜11002にエンボス加工、切抜き加工による取付け部4002a〜11002aを設けた。これにより、画像表示シートを精度良く設置(貼り付け)することができ、基材4002〜11002に正確に位置を合わせることができる。
【0082】
なお、画像表示体は、画像表示シートが基材(又は基材と剥離防止層)に取り付けられればどのように成形してもよい。従って、単に画像表示シートを基材(又は基材と剥離防止層)に糊で貼り付けるだけでもよい。また、以下に説明する方法で画像表示体を成形してもよい。
【0083】
図3は、画像表示体の成形方法の説明図である。図3(A)はブロー成形による画像表示体の成形方法を示す図であり、図3(B)は射出成形による画像表示体の成形方法を示す図である。ここでは、第四実施形態の画像表示シート4001と基材4002を例に説明する。
【0084】
ブロー成形による場合、まず、合わせ型20000内に画像表示シート4001を載置する(A−1)。基材4002の材料となるプラスチック等の熱可塑性樹脂を、パイプ状に成形し、合わせ型20000内で空気注入により膨らませ、合わせ型20000の内面に密着させる(A−2)。熱可塑性樹脂を冷却硬化させたのちに、合わせ型20000を外す(A−3)。以上の工程により、画像表示シート4001と基材4002とを取り付けることができる。基材4002の凹部に画像表示シート4001が備えられた画像表示体4000を実現できる。
【0085】
射出成形による場合、まず、固定型30000に対して移動型30001が型締めされ、基材4002の材料である加熱溶融された熱可塑性樹脂がシリンダー30002から射出される(B−1、B−2)。熱可塑性樹脂を冷却硬化させたのちに、固定型30000及び移動型30001を外す(B−3)。以上の工程により、画像表示シート4001と基材4002とを取り付けることができる。基材4002の凹部に画像表示シート4001が備えられた画像表示体4000を実現できる。
【0086】
この後、画像表示シート4001の端部を覆うように剥離防止層4003を貼り付ければ、第四実施形態で説明した画像表示体4000を成形することができる。
【0087】
図4は、本発明の画像表示体の使用例図である。図4の例では箱型パッケージを画像表示体とした場合の例である。ここでは、パッケージの基材を基材6002とし、人物絵柄の目玉部分を2つの画像表示シート6001とする場合を図示した。図1(F)に示す画像表示体6000の断面図が図4のA−A断面図に相当する。
【0088】
図4に示すように、両眼の部分を、目玉の虚像を観察可能な画像表示シート6001で構成すれば、他のパーツ(眉毛、鼻、口等)が描かれた基材6002に対して正確な位置に目玉を配置し、かつ、目玉がスムーズに動く画像表示体を実現することができる。
【0089】
続いて、本発明の画像表示体に備える画像表示シートの例について説明する。なお、上述した本発明の画像表示体1000〜11000に使用される画像表示シートは、レンチキュラーシート又は平凸レンズシートに後述する画像形成層を設けてもよく、後述する紙等の画像形成媒体に画像形成層を形成し、画像形成媒体をレンチキュラーシート又は平凸レンズシートに設けてもよい。
【0090】
図5は、画像表示体に備える画像表示シートの断面図である。
【0091】
画像表示シート100は、レンチキュラーシート1と、画像形成層3を必須の構成として形成される。本実施形態では、紙等の画像形成媒体2に画像形成層3を形成した例について説明する。以下に、画像表示シート100を構成する各層について説明する。
【0092】
レンチキュラーシート1は、複数のシリンドリカルレンズ1aを並列配置して構成される。レンチキュラーシート1に構成されたシリンドリカルレンズ1aは図面上方に示す。レンチキュラーシート1の材料は、従来から画像表示シートに用いられているレンズシートであれば特に限定されないが、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PP、PETG(グリコール変性ポリエチレンテレフタレート)、アクリルなどの透明な樹脂材料が用いられる。
【0093】
画像形成媒体2はレンチキュラーシート1のシリンドリカルレンズ1aの凸形状を有しない側に設けられ、レンチキュラーシート1側に画像形成層3が形成される。画像形成媒体2の材料は、従来から画像表示シートに用いられている画像形成媒体であれば特に限定されないが、コート紙、合成紙、上質紙、中質紙、含浸紙、ラミネート紙、金属蒸着紙、印刷用塗工紙、記録用塗工紙等の紙、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリカーボネートフィルム等のプラスチックフィルム、金属箔、木材、金属、あるいはそれらの複合体等が用いられる。画像形成媒体2の材料は、画像表示シート100に要求される強度や用途等に応じて適宜選択することができる。
【0094】
画像形成層3は、虚像観察用画像である絵柄や文字等の画像3aが印刷又は転写等により形成された層である。画像形成層3は、画像形成媒体2のレンチキュラーシート1の側に設けられる。画像形成層3の材料は、画像形成媒体2に密着できる材料であれば特に限定されないが、例えば、従来公知のインキ材等が用いられる。インキ材は蓄光インキ、蛍光インキ等でもよい。
【0095】
また、レンチキュラーシート1と、画像形成層3を設けた画像形成媒体2との積層方法は、画像形成媒体2及び画像形成層3の材料に応じて、周知の接着又は粘着などの方法を用いて行われる。レンチキュラーシート1と画像形成層3が透明性を保って積層できればよい。つまり、観察者がレンチキュラーシート1のシリンドリカルレンズ1aの凸形状を有する側から画像形成層3に形成された画像3aを観察できればよい。具体的には、画像形成層3に形成された画像3aに基づく移動、又は、移動及び変形を伴う虚像を観察できればよい。
【0096】
図6は、画像表示体に備える画像表示シートの構成説明図である。図6(A)はレンチキュラーシートの断面説明図であり、図6(B)は画像形成層の平面図である。図7は、画像表示体に備える画像表示シートの平面図である。
【0097】
図6(A)の例では、観察者が見る角度を変えて視線移動させる際、観察者が各シリンドリカルレンズ1aの真上から観察したときの各シリンドリカルレンズ1aによるフォーカスの様子を示した。シリンドリカルレンズ1aのピント面は画像形成層3にある。言い換えれば、シリンドリカルレンズ1aは、画像3aに焦点が合うように構成されている。なお、実際には観察者は真上からだけに限らず、見る角度を変えることにより、スムーズな虚像の移動又は、移動及び変形を確認できる。
【0098】
図6(B)に示すように、画像形成層3には複数の画像3aが形成されている。図6(A)及び図6(B)の例では、画像3aは、シリンドリカルレンズ1aと略一対一に対応するよう繰り返し形成されている。6つの目玉の画像3aがそれぞれシリンドリカルレンズ1aに対応している。
【0099】
シリンドリカルレンズ1aの配列ピッチ長Aと、画像3aのピッチ長Bの差が、シリンドリカルレンズ1aの配列ピッチ長A又は画像3aのピッチ長Bに対して0%乃至10%の範囲となるよう構成する。つまり、シリンドリカルレンズ1aの配列ピッチ長Aと、画像3aのピッチ長Bが等しい場合(A=B)には、その差は0%となり、異なる場合(A<B、又は、A>B)には、その差は0%より大きく10%以下の範囲となる。
【0100】
図6に示す例では、シリンドリカルレンズ1aの配列ピッチ長Aと、画像3aのピッチ長Bが異なるよう構成し、かつ、シリンドリカルレンズ1aの配列ピッチ長Aと画像3aのピッチ長Bの差が、シリンドリカルレンズ1aの配列ピッチ長A又は画像3aのピッチ長Bに対して10%以下となるよう構成する。
【0101】
画像3aのピッチ長Bがシリンドリカルレンズ1aの配列ピッチ長Aよりも小さい場合(A>B)には、観察者は、シリンドリカルレンズ1aと画像3aに基づく虚像4がレンチキュラーシート1の下方に沈んで立体的にみえる。そして、視線を右に移動すると虚像4も右に移動してみえ、左に移動すると虚像4も左に移動して見える。つまり、視線移動と同じ方向に虚像4が動いてみえる。
【0102】
画像3aのピッチ長Bがシリンドリカルレンズ1aの配列ピッチ長Aよりも大きい場合(A<B)には、観察者は、シリンドリカルレンズ1aと画像3aに基づく虚像4がレンチキュラーシート1の上方に浮いて立体的にみえる。そして、視線を右に移動すると虚像4は左に移動してみえ、視線を左に移動すると虚像4は右に移動して見える。つまり、視線移動と逆の方向に虚像4が動いてみえる。
【0103】
図7に示す虚像4のピッチ長xは、式(1)に基づいて決定される。虚像4のシリンドリカルレンズ1aの配列方向の幅yは、式(2)に基づいて決定される。なお、Aはシリンドリカルレンズ1aの配列ピッチ長であり、Bは画像3aのピッチ長であり、Cは画像3aのシリンドリカルレンズ1aの配列方向の幅(横サイズ)である。また、虚像4のシリンドリカルレンズ1aの配列方向に直行する方向の高さz(縦サイズ)は、画像3aのシリンドリカルレンズ1aの配列方向に直行する方向の高さD(縦サイズ)と同一である(式(3))。

【数1】

【0104】
このように、シリンドリカルレンズ1aの配列ピッチ長A、画像3aのピッチ長B、画像3aのシリンドリカルレンズ1aの配列方向の幅C、画像3aの高さDを適宜調整、変更することにより、上記式(1)乃至式(3)に基づいて観察される虚像4のサイズを自在に設定することができる。
【0105】
図8は、虚像の説明図である。観察者が見る角度を変えて視線移動していくと、画像形成層3に形成された画像3aとシリンドリカルレンズ1aに基づいた虚像4が疑似動的画像としてレンチキュラーシート1の上方から観察できる。
【0106】
具体的には、画像3aのピッチ長Bがシリンドリカルレンズ1aの配列ピッチ長Aよりも小さい場合(A>B)には、虚像4がレンチキュラーシート1の下方に沈んで立体的にみえる。さらに、観察者の視線移動に伴い、虚像4がスムーズに動く虚像として観察される。
【0107】
一方、画像3aのピッチ長Bがシリンドリカルレンズ1aの配列ピッチ長Aよりも大きい場合(A<B)には、虚像4がレンチキュラーシート1の上方に浮いて立体的にみえる。さらに、観察者の視線移動に伴い、虚像4がスムーズに動く虚像として観察される。
【0108】
なお、式(1)及び式(2)において、|A−B|の値が小さくなるほど、観察者の視線移動に対する動きの速度が速くなる。したがって、画像表示シート100の使用状態に応じて、つまり、実際の観察者の視線移動の速度等を鑑みて、|A−B|の値を設定することが好ましい。言い換えると、観察者が視線移動をして虚像4を観察するときに、虚像4の移動速度が視線移動の速度に合うように設定することが望ましい。
【0109】
本実施形態によれば、画像形成層3にシリンドリカルレンズ1aと作用して虚像を表示させるための複数の画像3aを、レンチキュラーシート1のシリンドリカルレンズ1aと略一対一に対応するよう繰り返し形成した。そして、シリンドリカルレンズ1aの配列ピッチ長Aと、画像3aのピッチ長Bの差が、シリンドリカルレンズ1aの配列ピッチ長A又は画像3aのピッチ長Bに対して0%乃至10%の範囲となるよう構成したので、スムーズな移動、又は、移動及び変形を伴う虚像4を観察することが可能な画像表示シートを実現できる。また、画像3aのサイズ(幅C、高さD)はいずれも数百μm〜数十mm程度のため、専用の設備等を用いることなく、汎用の設備(例えば、汎用の印刷装置、転写装置、汎用の画像ソフトウェア)等を用いて、画像形成媒体2に画像形成層3を印刷、転写できる。
【0110】
また、このような画像表示シート100を備えた第一実施形態乃至第六実施形態の画像表示体によれば、複数のシリンドリカルレンズ1aの配列により構成されたレンチキュラーシート1と画像形成層3が積層して構成され、レンチキュラーシート1のシリンドリカルレンズ1aの凸形状を有する側から画像形成層3に形成された画像を移動、又は、移動及び変形を伴う虚像として観察可能に構成した画像表示シート100と、基材とからなる画像表示体であって、画像表示シート100の画像形成層3にはシリンドリカルレンズ1aと作用して虚像を表示させるための複数の画像3aが、各シリンドリカルレンズ1aと略一対一に対応するよう繰り返し形成されており、シリンドリカルレンズの配列ピッチ長Aと、画像3aのピッチ長Bの差が、シリンドリカルレンズ1aの配列ピッチ長A又は画像3aのピッチ長Bに対して0%乃至10%の範囲となるよう構成し、基材と画像表示シート100が積層して構成されるよう構成したので、スムーズな疑似的動画像を実現し、かつ違和感を減縮させて観察することが可能な画像表示シートが取り付けられた画像表示体を実現できる。
【0111】
また、このような画像表示シート100を備えた第七実施形態乃至第十一実施形態の画像表示体によれば、複数のシリンドリカルレンズ1aの配列により構成されたレンチキュラーシート1と画像形成層3が積層して構成され、レンチキュラーシート1のシリンドリカルレンズ1aの凸形状を有する側から画像形成層3に形成された画像を移動、又は、移動及び変形を伴う虚像として観察可能に構成した画像表示シート100と、基材とからなる画像表示体であって、画像表示シート100の画像形成層3にはシリンドリカルレンズ1aと作用して虚像を表示させるための複数の画像3aが、各シリンドリカルレンズ1aと略一対一に対応するよう繰り返し形成されており、シリンドリカルレンズの配列ピッチ長Aと、画像3aのピッチ長Bの差が、シリンドリカルレンズ1aの配列ピッチ長A又は画像3aのピッチ長Bに対して0%乃至10%の範囲でとなるよう構成し、基材は切抜き加工された取付け部を有し、取付け部に画像表示シート100が取り付けられるよう構成したので、スムーズな疑似的動画像を実現し、かつ違和感を減縮させて観察することが可能な画像表示シートが取り付けられた画像表示体を実現できる。
【0112】
なお、画像3aは、シリンドリカルレンズ1aと略一対一に対応するよう繰り返し形成されているが、シリンドリカルレンズ1aの配列ピッチ長Aと画像3aのピッチ長Bが異なる場合、徐々に対応位置がずれていく。したがって一部のシリンドリカルレンズ1aと画像3aは一対一に対応していない。シリンドリカルレンズ1aの配列ピッチ長Aと画像3aのピッチ長Bが異なることによってスムーズな虚像が観察できる。
【0113】
また、上述した実施例では、画像3aを全て開いている目玉の画像としたが、画像3aを開いている目の画像、少し閉じている目の画像、さらに少しだけ閉じている目の画像、・・・、閉じている目の画像、少しだけ開いている目の画像、さらに少し開いている目の画像、・・・、開いている目の画像と画像を変えることにより、移動と変形を伴った虚像を観察することができる。
【0114】
(画像表示シートの実施例)
図9は、実際の画像表示シートである。図9の例では、異なるデザインの2種類の目玉の虚像が観察できる。本願出願人による特許出願(特願2010−96476)の添付図面(図5)に相当し、鮮明な印刷物を物件提出している。
【0115】
図9に示す画像表示シートの各構成部の寸法は下記の通りである。なお、デザイン(画像の絵柄)が異なる2種の目玉の画像は同じ寸法である。
●レンチキュラーシート1の厚さ:0.45 mm
●シリンドリカルレンズ1aの配列ピッチ長A:336 μm
●図9中上の目玉の画像3aのピッチ長B:330 μm(図9中下の目玉の画像3aのピッチ長Bも同様である)
ピッチ長Aとピッチ長Bの差:6 μm
●図9中上の目玉の画像3aの幅C:225 μm(図9中下の目玉の画像3aの幅Cも同様である)
●図9中上の目玉の画像3aの高さD:12.7 mm(図9中下の目玉の画像3aの高さDも同様である)
●図9中上の目玉の虚像4のピッチ長x:19 mm(図9中下の目玉の虚像4のピッチ長xも同様である)
●図9中上の目玉の虚像4の幅y:12.7 mm(図9中下の目玉の虚像4の幅yも同様である)
●図9中上の目玉の虚像4の高さz:12.7 mm(図9中下の目玉の虚像4の高さzも同様である)
【0116】
(他の実施形態1)
他の実施形態1による画像表示シートは、1つの虚像を観察可能にする構成である。なお、上述した実施形態と同様の構成については記載を省略する。
【0117】
図10は他の実施形態1による画像表示シートの構成説明図である。図11は他の実施形態1による虚像の説明図である。
【0118】
図10(A)はレンチキュラーシート5の各シリンドリカルレンズ5aと、画像6a及び6bの対応説明図であり、図10(B)は画像6bのピッチ長計測の説明図である。レンチキュラーシート5の構成は上述したレンチキュラーシート1と同様であるため説明を省略する。
【0119】
画像形成層6には、虚像観察用画像群である所定数の画像が形成されている。画像群の中央付近の画像6aは、欠けの無い画像であり、中央付近の画像6aを除く他の画像6bは中央付近の画像6a側に欠き部6cを有する。画像6a及び6bは、シリンドリカルレンズ5aと略一対一に対応するよう形成されている。
【0120】
図10の例では、画像群は、中央付近の画像6aと、欠き部6cを有する10個の画像6bの合計11個の画像により構成される。画像6bの欠き部6cは、画像6aから図中左右に遠ざかるほど大きくなる。なお、図10では中央付近の画像6aは1つの場合を示したが、中央付近の画像6aの数は複数でもよい。
【0121】
画像6a及び6bは、上述した実施形態と同様にシリンドリカルレンズ5aと略一対一に対応するよう形成されている。そして、シリンドリカルレンズ5aの配列ピッチ長Aと、画像6a及び6bのピッチ長Bの差が、シリンドリカルレンズ5aの配列ピッチ長A又は画像6a及び6bのピッチ長Bに対して0%乃至10%の範囲となるよう構成する。なお、画像6aと画像6b間のピッチ長B及び画像6b間のピッチ長Bは、画像6bに欠き部6cが無いと仮定したときの画像6b間のピッチ長Bとする(図10(B))。
【0122】
また、観察される虚像7の幅y及びzは、上述した式(2)及び式(3)に基づいて決定される。幅C及びDは、画像6bに欠き部6cが無いと仮定したときの幅C及びDとする(図10(B))。欠けの無い画像6aから幅C及びDを求める場合、画像6aの横サイズを幅C、縦サイズを高さDとする。
【0123】
なお、画像形成層6は、画像形成媒体(不図示)に形成してもよく、後述する他の実施形態2のようにレンチキュラーシート5に直接形成してもよい。画像形成層6を画像形成媒体に形成する場合、画像形成媒体の構成は上述した画像形成媒体2に準じる。
【0124】
以上説明した構成により、図11に示すように1つだけの虚像7を観察することができる画像表示シート200を実現できる。観察者が見る角度を変えて視線移動していくと、画像形成層6に形成された画像6a及び6bとシリンドリカルレンズ5aに基づいて、中央の画像が際立って表現された1つの虚像7が疑似動的画像として観察できる。
【0125】
(画像表示シートの実施例)
図12は、他の実施形態1による実際の画像表示シートである。図12の例では、異なるデザインの2種類の目玉の虚像がそれぞれ1つだけ観察できる。本願出願人による特許出願(特願2010−96476)の添付図面(図8)に相当し、鮮明な印刷物を物件提出している。
【0126】
図12に示す画像表示シートの各構成部の寸法は下記の通りである。なお、デザイン(画像の絵柄)が異なる2種の目玉の画像は同じ寸法である。
●レンチキュラーシートの厚さ:0.45 mm
●シリンドリカルレンズ5aの配列ピッチ長A:336 μm
●図12中上の目玉の画像6aと画像6b間(及び画像6b間)のピッチ長B:330 μm(図12中下の目玉の画像6aと画像6b間(及び画像6b間)のピッチ長Bも同様である)
ピッチ長Aとピッチ長Bの差:6 μm
●図12中上の目玉の画像6a(及び6b)の幅C:225 μm(図12中下の目玉の画像6a(及び6b)の幅Cも同様である)
●図12中上の目玉の画像6a(及び6b)の高さD:12.7 mm(図12中下の目玉の画像6a(及び6b)の高さDも同様である)
●図12中上の目玉の虚像7の幅y:12.7 mm(図12中下の目玉の虚像7の幅yも同様である)
●図12中上の目玉の虚像7の高さz:12.7 mm(図12中下の目玉の虚像7の高さzも同様である)
【0127】
(他の実施形態2)
図13は他の実施形態2による画像表示シートの断面図である。
【0128】
他の実施形態2による画像表示シート300は、レンチキュラーシートに画像形成層を設ける構成である。
【0129】
図13に示すように、画像表示シート300は、レンチキュラーシート8と、画像形成層9が必須の構成として設けられる。レンチキュラーシート8の構成は上述したレンチキュラーシート1と同様であるため説明を省略する。
【0130】
画像形成層9は、虚像観察用画像である絵柄や文字等の画像9aが印刷又は転写等により形成された層である。画像形成層9は、レンチキュラーシート8のシリンドリカルレンズ8aの凸形状を有する面と反対側の面に設けられる。画像形成層9の材料は、レンチキュラーシート8に密着できる材料であれば特に限定されないが、例えば、従来公知のインキ材等が用いられる。インキ材は蓄光インキ、蛍光インキ等でもよい。
【0131】
画像形成層9には、複数の画像9aがシリンドリカルレンズ8aと略一対一に対応するよう繰り返し形成されている。シリンドリカルレンズ8aの配列ピッチ長と、画像9aのピッチ長の差が、シリンドリカルレンズ8aの配列ピッチ長又は画像9aのピッチ長に対して0%乃至10%の範囲となるよう構成する。その他の構成は上述した画像形成層3又は画像形成層6と同様であるため説明を省略する。
【0132】
このように、レンチキュラーシート8に画像形成層3又は画像形成層6を直接形成してもよい。
【0133】
(他の実施形態3)
本発明の画像表示体に備える画像表示シート画像表示シートを立体視シートと組み合わせることも可能である。他の実施形態3として、画像表示シートを立体視シートと組み合わせた場合の実施形態を説明する。
【0134】
図14は、他の実施形態3による画像表示シートの構成説明図である。(A)は画像表示シートの断面図であり、(B)は画像形成層の平面図である。
【0135】
画像表示シート400は、虚像表示部40aと被観察像表示部40bにより構成される。
【0136】
虚像表示部40aは、被観察像表示部40bと共通のレンチキュラーシート10と、被観察像表示部40bと共通の画像形成媒体11と、画像形成層12により構成される。被観察像表示部40bは、虚像表示部40aと共通のレンチキュラーシート10と、虚像表示部40aと共通の画像形成媒体11と、画像形成層13により構成される。
【0137】
レンチキュラーシート10の構成は上述したレンチキュラーシート1と同様であり、画像形成媒体11の構成は上述した画像形成媒体2と同様であり、画像形成層12の構成は上述した画像形成層3又は画像形成層6と同様であるため説明を省略する。図14の例では、画像形成層12には、虚像観察用画像としての画像12aが形成されている。
【0138】
画像形成媒体11は、虚像表示部40aと被観察像表示部40b共通の画像形成媒体である。レンチキュラーシート10の側に画像形成層12及び13を形成して構成される。画像形成媒体11のその他の構成は上述した画像形成媒体2と同様であるため説明を省略する。
【0139】
被観察像表示部40bは、従来公知のレンチキュラー表示体の構成及び効果を有する。被観察像表示部40bの画像形成層13は、虚像観察用画像(本実施形態では画像12a)とは異なる単数又は複数の他の画像が印刷又は転写等により形成された層である。他の画像とは、立体視用画像、チェンジング用画像、アニメーション用画像等である絵柄や文字等の画像である。図14(B)の例では、レンチキュラーシート10のシリンドリカルレンズ10aと作用して被観察像を表示する左目用画像13aと右眼用画像13bがストライプ状に配置されている。画像形成層13の材料は、画像形成媒体11に密着できる材料であれば特に限定されないが、例えば、従来公知のインキ材等が用いられる。
【0140】
レンチキュラーシート10と、画像形成媒体11との積層方法は、画像形成媒体11及び画像形成層12及び13の材料に応じて、周知の接着又は粘着などの方法を用いて行われる。レンチキュラーシート10と画像形成層12及び13が透明性を保って積層できればよい。
【0141】
観察者は、レンチキュラーシート10の上方から見る角度を変えて視線移動すると、虚像表示部40aでは画像形成層12の画像とシリンドリカルレンズ10aとが作用して虚像を観察でき、被観察像表示部40bでは画像形成層13の画像とシリンドリカルレンズ10aとが作用して被観察像を観察できる。
【0142】
以上説明したように、虚像を観察可能な虚像表示部40aと、被観察像を観察可能な被観察像表示部40bを組み合わせた画像表示シート400を構成することができる。なお、図14では説明及び図示を簡単にするため2つの虚像表示部40aと3つの被観察像表示部40bによる場合を例に説明したが、画像表示シートのデザインに応じて所望の数の(複数又は単数の)虚像表示部40aと所望の数の(複数又は単数の)被観察像表示部40bを組み合わせてもよい。
【0143】
他の実施形態3の画像表示シート400によれば、虚像表示部40aと被観察像表示部40bを同一の画像形成媒体11にて構成したので、より簡易かつ安定したシートを実現できる。例えば、歌舞伎役者の面(顔)を表現した画像表示シートを作成する際、両眼の部分を虚像表示部40aにより形成し、両眼以外の部分を被観察像表示部40bにより形成することにより、両眼のみがスムーズに移動する立体的な歌舞伎役者の面を表現することができる。
【0144】
(他の実施形態4)
平凸レンズシートを用いて本発明の画像表示体に備える画像表示シートを構成することも可能である。他の実施形態3として、平凸レンズシートを用いた場合の実施形態を説明する。
【0145】
図15は、他の実施形態4による画像表示シートの断面図である。
【0146】
画像表示シート500は、平凸レンズシート15と、画像形成層17を必須の構成として形成される。ここでは、紙等の画像形成媒体に画像形成層16を形成した例について説明する。以下に、画像表示シート500を構成する各層について説明する。
【0147】
平凸レンズシート15は、複数の平凸レンズ15aのハニカム配列又はスクウェア配列により構成される。平凸レンズシート15に構成された平凸レンズ15aは図面上方に示す。平凸レンズシート15の材料は、従来から画像表示シートに用いられているレンズシートであれば特に限定されないが、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PP、PETG(グリコール変性ポリエチレンテレフタレート)、アクリルなどの透明な樹脂材料が用いられる。
【0148】
画像形成媒体16は平凸レンズシート15の平凸レンズ15aの凸形状を有しない側に設けられ、平凸レンズシート15側に画像形成層16が形成される。画像形成媒体16のその他の構成は上述した画像形成媒体2と同様であるため説明を省略する。
【0149】
画像形成層17は、虚像観察用画像である絵柄や文字等の画像17aが印刷又は転写等により形成された層である。画像形成層17は、画像形成媒体16の平凸レンズシート15の側に設けられる。画像形成層3の材料は、画像形成媒体2に密着できる材料であれば特に限定されないが、例えば、従来公知のインキ材等が用いられる。インキ材は蓄光インキ、蛍光インキ等でもよい。画像形成層17のその他の構成は上述した画像形成層3と同様であるため説明を省略する。
【0150】
平凸レンズ15aのピント面は画像形成層17にある。言い換えれば、平凸レンズ15aは、画像17aに焦点が合うように構成されている。また、平凸レンズシート15と、画像形成層17を設けた画像形成媒体16との積層方法は、画像形成媒体16及び画像形成層17の材料に応じて、周知の接着又は粘着などの方法を用いて行われる。平凸レンズシート15と画像形成層17が透明性を保って積層できればよい。つまり、観察者が平凸レンズシート15の平凸レンズ15aの凸形状を有する側から画像形成層17に形成された画像17aを観察できればよい。具体的には、画像形成層17に形成された画像17aに基づく移動、又は、移動及び変形を伴う虚像を観察できればよい。
【0151】
図16は、他の実施形態4による画像表示シートの構成説明図である。(A)は平凸レンズシートの平面図であり、(B)は画像形成層の平面図である。図17及び図18は、他の実施形態4による虚像の構成説明図である。
【0152】
平凸レンズシート15には、複数の平凸レンズ15aが形成されている。図16(A)は、ハニカム配列による平凸レンズシート15の例である。図16(B)に示すように、画像形成層17には複数の画像17aが形成されている。画像17aは、平凸レンズ15aと略一対一に対応するよう繰り返し形成されている。図16(A)及び図16(B)の例では、30個の目玉の画像17aがそれぞれ平凸レンズ15aに対応している。
【0153】
平凸レンズ15aの配列ピッチ長と画像17aのピッチ長が異なるよう構成し、かつ、平凸レンズ15aの配列ピッチ長と画像17aのピッチ長の差が、平凸レンズ15aの配列ピッチ長又は画像17aのピッチ長に対し10%以下となるよう構成する。図16の例では、平凸レンズ15aの図中横(水平方向)の配列ピッチ長Aと画像17aの図中横のピッチ長Bが異なるよう構成し、かつ、その差が平凸レンズ15aの配列ピッチ長A又は画像17aのピッチ長Bに対し10%以下となるよう構成し、平凸レンズ15aの図中縦(垂直方向)の配列ピッチ長Aと画像17aの図中横のピッチ長Bが異なるよう構成し、かつ、その差が平凸レンズ15aの配列ピッチ長A又は画像17aのピッチ長Bに対し10%以下となるよう構成する。
【0154】
画像17aのピッチ長B(B)が、平凸レンズ15aの配列ピッチ長A(A)よりも小さい場合(A>B、及び、A>B)には、観察者は、平凸レンズ15aと画像17aに基づく虚像18が平凸レンズシート15の下方に沈んで立体的にみえる。そして、図17に示すように視線を右に移動すると虚像18も右に移動してみえ、左に移動すると虚像18も左に移動して見える。つまり、視線移動と同じ方向に虚像18が動いてみえる。
【0155】
画像17aのピッチ長B(B)が、平凸レンズ15aの配列ピッチ長A(A)よりも大きい場合(A<B、及び、A<B)には、観察者は、平凸レンズ15aと画像17aに基づく虚像18が平凸レンズシート15の上方に浮いて立体的にみえる。そして、視線を右に移動すると虚像18は左に移動してみえ、視線を左に移動すると虚像18は右に移動して見える。つまり、視線移動と逆の方向に虚像18が動いてみえる。
【0156】
図17及び図18に示すように、観察者が見る角度を変えて視線移動していくと、画像形成層17に形成された画像17aと平凸レンズ15aに基づいた虚像18が平凸レンズシート15の上方から観察できる。図17は水平方向に視線移動した場合の虚像18の様子を示す。図17は垂直方向に視線移動した場合の虚像18の様子を示す。
【0157】
図18に示す虚像18のピッチ長xは、式(1)に基づいて決定される。虚像18の水平方向の幅yは、式(2)に基づいて決定される。このとき、Aは平凸レンズ15aの配列ピッチ長Aであり、Bは画像17aの水平方向のピッチ長Bであり、Cは画像17aの水平方向の幅C(横サイズ)である。
【0158】
図18に示す虚像18のピッチ長xは、式(1)に基づいて決定される。虚像18の垂直方向の幅yは、式(2)に基づいて決定される。このとき、Aは平凸レンズ15aの配列ピッチ長Aであり、Bは画像17aの垂直方向のピッチ長Bであり、Cは画像17aの垂直方向の高さC(縦サイズ)である。
【0159】
なお、式(1)及び式(2)において、|A−B|の値が小さくなるほど、観察者の視線移動に対する動きの速度が速くなる。したがって、画像表示シート500の使用状態に応じて、つまり、実際の観察者の視線移動の速度等を鑑みて、|A−B|の値を設定することが好ましい。言い換えると、観察者が視線移動をして虚像18を観察するときに、虚像18の移動速度が視線移動の速度に合うように設定することが望ましい。
【0160】
以上説明した構成により、平凸レンズシートを用いてもスムーズに移動する虚像を観察することができる画像表示シート500を実現できる。観察者が見る角度を変えて視線移動していくと、画像形成層17に形成された画像17aと平凸レンズ15aに基づく虚像18が観察できる。
【0161】
なお、画像形成層17は、画像形成媒体16に形成したが、上述した他の実施形態2に準じて平凸レンズシート15の平凸レンズを有する面と反対側の面に直接形成してもよい。また、画像表示シート500は、上述した他の実施形態3に準じて従来公知の立体視シートと組み合わせ、立体画像又はチェンジング画像又はアニメーション画像又はこれらの組み合わせの作用により被観察像を観察可能に構成することもできる。この場合、本発明の虚像観察用画像として画像17aが機能する。
【0162】
さらにまた、画像表示シート500は、上述した他の実施形態1に準じて1つだけの虚像を観察する画像表示シートを構成することもできる。以下、他の実施形態5として詳細に説明する。
(他の実施形態5)
平凸レンズシートを用いて1つだけの虚像を観察する際の画像形成層について説明する。なお、平凸レンズシート及び画像形成媒体は、他の実施形態4と同一の構成とする。
【0163】
図19は、他の実施形態5による画像表示シートの画像形成層の平面図である。
【0164】
画像形成層19には、虚像観察用画像群である所定数の画像19a及び19bが形成されている。画像群の中央付近の画像19aは、欠けの無い画像であり、中央付近の画像19aを除くそのほかの画像19bは中央付近の画像19a側に欠き部19cを有する。画像19a及び19bは、平凸レンズ(不図示)と略一対一に対応するよう形成されている。
【0165】
図19の例では、画像群は、中央付近の画像19aと、欠き部19cを有する複数の画像19bにより構成される。画像19bの欠き部19cは、画像19aから遠ざかるほど大きくなる。なお、図19では中央付近の画像19aは1つの場合を示したが、中央付近の画像19aの数は複数でもよい。
【0166】
平凸レンズの配列ピッチ長と、画像19a及び19bのピッチ長が異なるよう構成し、かつ、平凸レンズの配列ピッチ長と画像19a及び19bのピッチ長の差が、平凸レンズの配列ピッチ長又は画像19a及び19bのピッチ長に対し10%以下となるよう構成する。具体的には、平凸レンズの水平方向の配列ピッチ長Aと画像19aの水平方向のピッチ長Bが異なるよう構成し、その差が平凸レンズの水平方向の配列ピッチ長A又は画像19aの水平方向のピッチ長Bに対し10%以下となるよう構成する。また、平凸レンズの垂直方向の配列ピッチ長Aと画像19aの垂直方向のピッチ長Bが異なるよう構成し、その差が平凸レンズの垂直方向の配列ピッチ長A又は画像19aの垂直方向のピッチ長Bに対し10%以下となるよう構成する。なお、画像19aと画像19b間のピッチ長B及びB、画像19b間のピッチ長B及びBは、画像19bに欠き部19cが無いと仮定したときの画像19b間のピッチ長B及びBとする。
【0167】
虚像(不図示)の水平方向のピッチ長xは、式(1)に基づいて決定される。虚像の水平方向の幅yは、式(2)に基づいて決定される。このとき、Aは平凸レンズの配列ピッチ長Aであり、Bは画像19a及び19bの水平方向のピッチ長Bであり、Cは画像19aの水平方向の幅C(横サイズ)である。
【0168】
また、虚像(不図示)の垂直方向のピッチ長xは、式(1)に基づいて決定される。虚像の垂直方向の幅yは、式(2)に基づいて決定される。このとき、Aは平凸レンズの配列ピッチ長Aであり、Bは画像19a及び19bの垂直方向のピッチ長Bであり、Cは画像19a及び19bの垂直方向の高さC(縦サイズ)である。
【0169】
以上説明した構成により、平凸レンズシートを用いてもスムーズに移動する1つだけの虚像を観察することができる画像表示シートを実現できる。観察者が見る角度を変えて視線移動していくと、画像形成層19に形成された画像19a及び19bと平凸レンズに基づき、中央の画像が際立って表現された1つの虚像が観察できる。
【0170】
なお、上述した実施形態はそれぞれ組み合わせて実施することができる。例えば、他の実施形態3について、他の実施形態2に準じて画像形成層をレンチキュラーシートのシリンドリカルレンズの凸形状を有する面と反対側の面に直接設けてもよい。また、他の実施形態4、他の実施形態5について、他の実施形態2に準じて平凸レンズシートの平凸レンズの凸形状を有する面と反対側の面に画像形成層を直接設けてもよい。
【0171】
上述した実施形態では、目玉を虚像観察用画像とした例に沿って説明したが、目玉に限らず様々な絵柄や文字等の画像に基づく虚像を観察することができる。特に、虚像観察用画像として、閉じている目玉の画像と開いている目玉の画像を用いれば、眼が開閉するような変形を伴った虚像を観察することができる。他にも、開いている口の画像と閉じている口の画像、又は、開いている花の画像と閉じている花の画像等を虚像観察用画像とすれば移動と変形を伴う多種多様の虚像を実現できる。以下、図20を用いて矢印の画像を虚像観察用画像とした場合について説明する。
【0172】
(他の実施形態6)
図20は、他の実施形態6による画像表示シートの画像形成層の平面図である。図20(A)及び図20(B)は矢印を虚像観察用画像とした画像形成層の例である。
【0173】
図20(A)に示す画像形成層20には、虚像観察用画像としての複数の画像20aが形成されている。画像20aは、レンチキュラーシートのシリンドリカルレンズ(不図示)と略一対一に対応するよう繰り返し形成されている。シリンドリカルレンズの配列ピッチ長と、画像20aのピッチ長Bは異なるよう構成し、その差がシリンドリカルレンズの配列ピッチ長又は画像20aのピッチ長Bに対して10%以下となるよう構成する。なお、画像形成層20は、画像形成媒体(不図示)に形成してもよく、他の実施形態2のようにレンチキュラーシートに直接形成してもよい。画像形成層20を画像形成媒体に形成する場合、画像形成媒体の構成は上述した画像形成媒体2と同様でよい。
【0174】
画像20aとシリンドリカルレンズに基づいた矢印を示す虚像が疑似動的画像としてレンチキュラーの上方から観察できる。また、シリンドリカルレンズの配列ピッチ長、画像20aのピッチ長B、画像20aのシリンドリカルレンズの配列方向の幅C、画像20aの高さDを適宜調整、変更することにより、上記式(1)乃至式(3)に基づいて観察される虚像のサイズを自在に設定することができる。
【0175】
図20(B)に示す画像形成層21には、虚像観察用画像としての複数の画像21aが形成されている。画像21aの構成は画像20aの構成と同様であるため説明を省略する。
【0176】
画像21aとシリンドリカルレンズ(不図示)に基づいた矢印を示す虚像が疑似動的画像としてレンチキュラーの上方から観察できる。また、シリンドリカルレンズの配列ピッチ長、画像20aのピッチ長B、画像21aのシリンドリカルレンズの配列方向の幅C、画像21aの高さDを適宜調整、変更することにより、上記式(1)乃至式(3)に基づいて観察される虚像のサイズを自在に設定することができる。
【0177】
画像20a(又は画像21a)のピッチ長Bがシリンドリカルレンズの配列ピッチ長A(不図示)よりも小さい場合(A>B)には、観察者は、シリンドリカルレンズと画像20a(又は画像21a)に基づく矢印を示す虚像がレンチキュラーシートの下方に沈んで立体的にみえる。そして、視線を右に移動すると矢印を示す虚像も右に移動してみえ、左に移動すると矢印を示す虚像も左に移動して見える。つまり、視線移動と同じ方向に矢印を示す虚像が動いてみえる。人の進行方向と共に矢印を示す虚像も同じ方向に動いて見えるので、進行方向誘導に効果的に使用することができる。
【0178】
一方、画像20a(又は画像21a)のピッチ長Bがシリンドリカルレンズの配列ピッチ長A(不図示)よりも大きい場合(A<B)には、観察者は、シリンドリカルレンズと画像20a(又は画像21a)に基づく矢印を示す虚像がレンチキュラーシートの上方に浮いて立体的に見える。このとき、観察者には、画像20a(又は画像21a)が180度回転した形状の虚像が見える。そして、視線を右に移動すると矢印を示す虚像は左に移動してみえ、視線を左に移動すると矢印を示す虚像は右に移動して見える。つまり、視線移動と逆の方向に矢印を示す虚像が動いて見える。人を進行方向と逆の方向への誘導に効果的に使用することができる。
【0179】
レンチキュラーシートの上方に平凸レンズ、メニスカスレンズ等の凸状体を備えて構成することもできる。以下、図面を参照して説明する。
【0180】
(他の実施形態7)
他の実施形態7による画像表示シートは、レンチキュラーシートの上方に平凸レンズを備えた構成である。なお、上述した実施形態と同様の構成については記載を省略する。
【0181】
図21は他の実施形態7による画像表示シートの構成説明図である。図21(A)に示す画像表示シート600は、レンチキュラーシート61と、画像形成層63と、他の凸レンズとしての平凸レンズ64が必須の構成として設けられる。
【0182】
レンチキュラーシート61は、複数のシリンドリカルレンズ61aを並列配置して構成される。画像形成媒体62はレンチキュラーシート61のシリンドリカルレンズ61aの凸形状を有しない側に設けられ、レンチキュラーシート61側に画像形成層63が形成される。画像形成層63は、虚像観察用画像である絵柄や文字等の画像63aが印刷又は転写等により形成された層である。画像形成層63は、画像形成媒体62のレンチキュラーシート61の側に設けられる。
【0183】
平凸レンズ64は、レンチキュラーシート61のシリンドリカルレンズ61aの凸形状を有する側に設けられる。平凸レンズ64は、レンチキュラーシート61と反対側(図中上方)に凸形状を有する。平凸レンズ64の材料は、特に限定されないが、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PP、PETG(グリコール変性ポリエチレンテレフタレート)、アクリルなどの透明な樹脂材料が用いられる。
【0184】
図21(B)はレンチキュラーシートのフォーカスの様子を示す要部断面図である。シリンドリカルレンズ61a単独での焦点は、画像形成層63の下方に収束するように構成されている。このようなシリンドリカルレンズ61aと平凸レンズ64の作用により、平凸レンズ64の上方からの焦点が、画像形成層63に形成された画像63aに合うよう構成される。
【0185】
レンチキュラーシート61のその他の構成は上述したレンチキュラーシート1と同様である。また、画像形成媒体62の構成は上述した画像形成媒体2と同様であり、画像形成層63の構成は上述した画像形成層3又は画像形成層6と同様である。
【0186】
以上説明したように、レンチキュラーシート61のシリンドリカルレンズ61aの凸形状を有する側に他の凸レンズとしての平凸レンズ64を設け、平凸レンズ64とシリンドリカルレンズ61aを通して画像63に焦点が合うよう構成した。これにより、平凸レンズ64とシリンドリカルレンズ61aを用いてもスムーズに移動する虚像を観察することができる。観察者が、レンチキュラーシート61のシリンドリカルレンズ61a表面に直接触れることを防止できる。また、目玉の虚像の場合には、平凸レンズ64の形状により、視覚的及び触感的に眼球に近い画像表示シート600を構成することができる。
【0187】
なお、図21(A)の例では、画像表示シート600の平凸レンズ64は、レンチキュラーシート61のシリンドリカルレンズ61aから所定距離離れて構成されるが、本発明の画像表示体に備える画像表示シートは、平凸レンズがシリンドリカルレンズ上に接して配置されてもよい。
【0188】
図21(C)は、平凸レンズの配置が異なる画像表示シートの例である。図21(C)に示す画像表示シート700は、レンチキュラーシート71と、画像形成層73と、他の凸レンズとしての平凸レンズ74が必須の構成として設けられる。レンチキュラーシート71の構成は上述したレンチキュラーシート61と同様であり、画像形成媒体72の構成は上述した画像形成媒体62と同様であり、画像形成層73の構成は上述した画像形成層63と同様であり、画像73aの構成は上述した画像形成層63aと同様である。
【0189】
平凸レンズ74は、レンチキュラーシート71を構成するシリンドリカルレンズ71a上に、当該シリンドリカルレンズ71aに接して設ける。
【0190】
以上、説明したように、他の凸レンズとしての平凸レンズ74は、レンチキュラーシート71のシリンドリカルレンズ71aの凸形状を有する側に、シリンドリカルレンズ71aと所定距離離れて構成してもよく(図21(A))、又は、シリンドリカルレンズ71aに接して構成してもよい(図21(C))。
【0191】
(他の実施形態8)
他の実施形態8による画像表示シートは、レンチキュラーシートの上方にメニスカスレンズを備えた構成である。なお、上述した実施形態と同様の構成については記載を省略する。
【0192】
図22は他の実施形態8による画像表示シートの構成説明図である。図22(A)に示す画像表示シート800は、レンチキュラーシート81と、画像形成層83と、他の凸レンズとしてのメニスカスレンズ84が必須の構成として設けられる。
【0193】
レンチキュラーシート81は、複数のシリンドリカルレンズ81aを並列配置して構成される。画像形成媒体82はレンチキュラーシート81のシリンドリカルレンズ81aの凸形状を有しない側に設けられ、レンチキュラーシート81側に画像形成層83が形成される。画像形成層83は、虚像観察用画像である絵柄や文字等の画像83aが印刷又は転写等により形成された層である。画像形成層83は、画像形成媒体82のレンチキュラーシート81の側に設けられる。
【0194】
メニスカスレンズ84は、レンチキュラーシート81のシリンドリカルレンズ81aの凸形状を有する側に設けられる。メニスカスレンズ84は、レンチキュラーシート81と反対側(図中上方)に凸形状を有する。メニスカスレンズ84の材料は、特に限定されないが、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PP、PETG(グリコール変性ポリエチレンテレフタレート)、アクリルなどの透明な樹脂材料が用いられる。
【0195】
シリンドリカルレンズ81a単独での焦点は、画像形成層83の下方に収束するように構成されている。シリンドリカルレンズ81a単独でのフォーカスの様子は図21(B)のシリンドリカルレンズ71aと同様のため図示を省略する。このようなシリンドリカルレンズ81aとメニスカスレンズ84の作用により、メニスカスレンズ84の上方からの焦点が、画像形成層83に形成された画像83aに合うよう構成される。
【0196】
レンチキュラーシート81のその他の構成は上述したレンチキュラーシート61と同様である。また、画像形成媒体82の構成は上述した画像形成媒体62と同様であり、画像形成層83の構成は上述した画像形成層63と同様である。
【0197】
以上説明したように、レンチキュラーシート81のシリンドリカルレンズ81aの凸形状を有する側に他の凸レンズとしてのメニスカスレンズ84を設け、メニスカスレンズ84とシリンドリカルレンズ81aを通して画像83に焦点が合うよう構成した。これにより、メニスカスレンズ84とシリンドリカルレンズ81aを用いてもスムーズに移動する虚像を観察することができる。観察者が、レンチキュラーシート81のシリンドリカルレンズ81a表面に直接触れることを防止できる。また、目玉の虚像の場合には、メニスカスレンズ84の形状により、視覚的及び触感的に眼球に近い画像表示シート800を構成することができる。
【0198】
図22(A)の例では、画像表示シート800のメニスカスレンズ84は、レンチキュラーシート81のシリンドリカルレンズ81aから所定距離離れて構成されるが、本発明の画像表示体に備える画像表示シートは、メニスカスレンズがシリンドリカルレンズ上に接して配置されてもよい。
【0199】
図22(B)は、平凸レンズの配置が異なる画像表示シートの例である。図22(B)に示す画像表示シート900は、レンチキュラーシート91と、画像形成層93と、他の凸レンズとしてのメニスカスレンズ94が必須の構成として設けられる。レンチキュラーシート91の構成は上述したレンチキュラーシート81と同様であり、画像形成媒体92の構成は上述した画像形成媒体82と同様であり、画像形成層93の構成は上述した画像形成層83と同様であり、画像93aの構成は上述した画像形成層83aと同様である。
【0200】
メニスカスレンズ94は、レンチキュラーシート91を構成するシリンドリカルレンズ91a上に、当該シリンドリカルレンズ91aに接して設ける。
【0201】
以上、説明したように、他の凸レンズとしてのメニスカスレンズ94は、レンチキュラーシート91のシリンドリカルレンズ91aの凸形状を有する側に、シリンドリカルレンズ91aと所定距離離れて構成してもよく(図22(A))、又は、シリンドリカルレンズ91aに接して構成してもよい(図22(B))。
【0202】
他の実施形態7、他の実施形態8では、平凸レンズとメニスカスレンズを用いた例について説明したが、本発明の画像表示体に備える画像表示シートは平凸レンズとメニスカスレンズに限定されない。シリンドリカルレンズと共に作用して画像形成層の画像に焦点を合わせることができれば、例えば、凸形状のガラス板、プラスチック板等でもよい。また、上述した他の実施形態2に準じて画像形成層をレンチキュラーシートに直接形成してもよい。また、上述した他の実施形態3に準じて従来公知の立体視シートと組み合わせ、立体画像又はチェンジング画像又はアニメーション画像又はこれらの組み合わせの作用により被観察像を観察可能に構成することもできる。さらに、上述した他の実施形態4及び5に準じて平凸レンズシートを用いてもよい。さらに、他の実施形態7及び他の実施形態8では、平凸レンズ又はメニスカスレンズの凸面がレンチキュラーシートと反対側(図中上方)となるよう構成したが、シリンドリカルレンズと共に作用して画像形成層の画像に焦点を合わせることができれば、平凸レンズ又はメニスカスレンズの凸面がレンチキュラーシート側(図中下方)となるように構成してもよい。上述した他の実施形態4及び5に準じて平凸レンズシートを用いる場合も、平凸レンズ又はメニスカスレンズの凸面は、平凸レンズシートと反対側に位置させても平凸レンズシート側に位置させてもよい。
【0203】
本発明の適用範囲は上記実施形態に限定されることはない。本発明は、疑似動画像を表現する画像表示シートを備えた画像表示体に対し、広く適用することができる。例えば、包装紙、ポスター、パンフレット、ポスター、パッケージ、人形、おもちゃ、雑貨、機械器具、さらには屋内外で展示される広告パネル、案内表示板、デジタルサイネージ、等に本発明の画像表示体を適用することもできる。
【符号の説明】
【0204】
1000、2000、3000、4000、5000、6000、7000、8000、9000、10000、11000 ・・・画像表示体
1001、2001、3001、4001、5001、6001、7001、8001、9001、10001、11001 ・・・画像表示シート
1002、2002、3002、4002、5002、6002、7002、8002、9002、10002A、10002B、11002 ・・・基材
2003、3003、4003、5003、8003、9003 ・・・剥離防止層
20000 ・・・合わせ型
30000 ・・・固定型
30001 ・・・移動型
30002 ・・・シリンダー
100、200、300、400、500、600、700、800、900 ・・・画像表示シート
1、5、8、10、61、71、81、91 ・・・レンチキュラーシート
1a、5a、8a、10a、61a、71a、81a、91a ・・・シリンドリカルレンズ
2、8、11、16、62、72、82、92 ・・・・画像形成媒体
3、6、9、12、13、17、19、20、21、63、73、83、93 ・・・画像形成層
3a、6a、6b、12a、17a、19a、19b、20a、21b、63a、73a、83a、93a ・・・画像(虚像観察用画像)
13a、13b ・・・画像(他の画像)
6c、19c ・・・欠き部
4、7、18 ・・・虚像
15 ・・・平凸レンズシート
15a ・・・平凸レンズ
64、74 ・・・平凸レンズ(他の凸レンズ)
84、94 ・・・メニスカスレンズ(他の凸レンズ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のシリンドリカルレンズの配列により構成されたレンチキュラーシートと画像形成層が積層して構成され、前記レンチキュラーシートの前記シリンドリカルレンズの凸形状を有する側から前記画像形成層に形成された画像を移動、又は、移動及び変形を伴う虚像として観察可能に構成した画像表示シートと、基材とからなる画像表示体であって、
前記画像表示シートの前記画像形成層には前記シリンドリカルレンズと作用して前記虚像を表示させるための複数の虚像観察用画像が、各前記シリンドリカルレンズと略一対一に対応するよう繰り返し形成されており、
前記シリンドリカルレンズの配列ピッチ長と、前記画像形成層に繰り返し形成された前記虚像観察用画像のピッチ長の差が、前記シリンドリカルレンズの配列ピッチ長又は前記虚像観察用画像のピッチ長に対して0%乃至10%の範囲であり、
前記基材と前記画像表示シートが積層して構成されることを特徴とする画像表示体。
【請求項2】
複数の平凸レンズの配列により構成された平凸レンズシートと画像形成層が積層して構成され、前記平凸レンズシートの前記平凸レンズの凸形状を有する側から前記画像形成層に形成された画像を移動、又は、移動及び変形を伴う虚像として観察可能に構成した画像表示シートと、基材とからなる画像表示体であって、
前記画像表示シートの前記画像形成層には前記平凸レンズと作用して前記虚像を表示させるための複数の虚像観察用画像が、各前記平凸レンズと略一対一に対応するよう繰り返し形成されており、
前記平凸レンズの水平方向の配列ピッチ長と、前記画像形成層に繰り返し形成された前記虚像観察用画像の水平方向のピッチ長の差が、前記平凸レンズの水平方向の配列ピッチ長又は前記虚像観察用画像の水平方向のピッチ長に対して0%乃至10%の範囲であって、かつ、
前記平凸レンズの垂直方向の配列ピッチ長と、前記画像形成層に繰り返し形成された前記虚像観察用画像の垂直方向のピッチ長の差が、前記平凸レンズの垂直方向の配列ピッチ長又は前記虚像観察用画像の垂直方向のピッチ長に対して0%乃至10%の範囲であり、
前記基材と前記画像表示シートが積層して構成されることを特徴とする画像表示体。
【請求項3】
前記基材が有する凹部に前記画像表示シートが取り付けられることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像表示体。
【請求項4】
複数のシリンドリカルレンズの配列により構成されたレンチキュラーシートと画像形成層が積層して構成され、前記レンチキュラーシートの前記シリンドリカルレンズの凸形状を有する側から前記画像形成層に形成された画像を移動、又は、移動及び変形を伴う虚像として観察可能に構成した画像表示シートと、基材とからなる画像表示体であって、
前記画像表示シートの前記画像形成層には前記シリンドリカルレンズと作用して前記虚像を表示させるための複数の虚像観察用画像が、各前記シリンドリカルレンズと略一対一に対応するよう繰り返し形成されており、
前記シリンドリカルレンズの配列ピッチ長と、前記画像形成層に繰り返し形成された前記虚像観察用画像のピッチ長の差が、前記シリンドリカルレンズの配列ピッチ長又は前記虚像観察用画像のピッチ長に対して0%乃至10%の範囲であり、
前記基材は切抜き加工された取付け部を有し、
前記取付け部に前記画像表示シートが取り付けられることを特徴とする画像表示体。
【請求項5】
複数の平凸レンズの配列により構成された平凸レンズシートと画像形成層が積層して構成され、前記平凸レンズシートの前記平凸レンズの凸形状を有する側から前記画像形成層に形成された画像を移動、又は、移動及び変形を伴う虚像として観察可能に構成した画像表示シートと、基材とからなる画像表示体であって、
前記画像表示シートの前記画像形成層には前記平凸レンズと作用して前記虚像を表示させるための複数の虚像観察用画像が、各前記平凸レンズと略一対一に対応するよう繰り返し形成されており、
前記平凸レンズの水平方向の配列ピッチ長と、前記画像形成層に繰り返し形成された前記虚像観察用画像の水平方向のピッチ長の差が、前記平凸レンズの水平方向の配列ピッチ長又は前記虚像観察用画像の水平方向のピッチ長に対して0%乃至10%の範囲であって、かつ、
前記平凸レンズの垂直方向の配列ピッチ長と、前記画像形成層に繰り返し形成された前記虚像観察用画像の垂直方向のピッチ長の差が、前記平凸レンズの垂直方向の配列ピッチ長又は前記虚像観察用画像の垂直方向のピッチ長に対して0%乃至10%の範囲であり、
前記基材は切抜き加工された取付け部を有し、
前記取付け部に前記画像表示シートが取り付けられることを特徴とする画像表示体。
【請求項6】
前記画像表示シートの剥離を防止する剥離防止層を有し、
前記画像表示シートの一部又は全部と前記剥離防止層が積層されることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の画像表示体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2013−25043(P2013−25043A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−159236(P2011−159236)
【出願日】平成23年7月20日(2011.7.20)
【出願人】(511102745)グラパックジャパン株式会社 (1)
【Fターム(参考)】