説明

画像表示装置および画像表示装置におけるオーバードライブ係数の最適化方法

【課題】表示パネルの温度を正確に予測してオーバードライブ係数を決定することを可能とする。
【解決手段】画像表示装置は、現在のフレーム映像と直前のフレーム映像によって決まるオーバードライブ係数に基づき、表示パネルのオーバードライブ駆動を行うルックアップテーブルを備えたオーバードライブ駆動部と、前記表示パネルの温度を検出する温度検出部と、前記検出された温度に適したオーバードライブ係数が複数記憶される記憶部と、起動や休止状態から復帰したときの前記表示パネルの動作経過時間を監視する時間監視部と、前記温度検出部から取得した温度情報に適した複数の前記オーバードライブ係数の中から、前記時間監視部から取得した動作経過時間情報を用いて最適なオーバードライブ係数を選択し、前記ルックアップテーブルに設定する制御部と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に、オーバードライブ駆動を行うLCD動画表示に用いて好適な、画像表示装置および画像表示装置におけるオーバードライブ係数の最適化方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、画像表示装置として、液晶(LCD)ディスプレイをはじめとするフラットパネルディスプレイが普及してきている。
また、PCの高速化に伴い、LCDで動画表示を扱うケースが増えてきた。また、LCDパネルの大型化と画質向上に伴い、一般家庭においてテレビジョン用途としても普及し、流通市場ではLCDパネルの動画表示品位に対する要求が高くなってきている。
【0003】
ところで、上記したLCDパネルは、LCDパネルを構成する各セル(画素)に印加される電界を変化させることで各セルの透過率を変化させ、画像を表示する。このとき、LCDセルの透過率は比較的ゆっくり変化するため、動画を表示したときに、現フレームの映像に直前のフレームの映像の一部が重なり、ぼやけて見えるといった応答速度に関する問題が発生する。
上記した応答速度を改善するために、一般のLCDパネルは、通常電圧よりも高い電圧を印加してオーバードライブ駆動を行う方法が採用され、そのために、入力データとその1フレーム前の入力データとから出力データを求めるルックアップテーブルが用いられる。
【0004】
しかしながら、上記したオーバードライブ駆動によりLCDパネルの応答速度は改善されるが、応答速度は温度依存性が大きく、ルックアップテーブルに書き込まれたオーバードライブ係数が固定の場合、温度変化が生じた場合には最適なオーバードライブ駆動とならず、画面のぼやけエッジが強調された映像になってしまう。
このため、周囲温度の変化に合わせてオーバードライブ係数の調節を行い、あるいは温度別のルックアップテーブルを複数種類設け、この中から最適なルックアップテーブルを選択して切り替え、オーバードライブ駆動を行うといったLCDディスプレイが従来から多数提案されてきた(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−241721号公報(段落「0022」、図1、図2 )
【特許文献2】特開2005−114955号公報(段落「0021」、図4)
【特許文献3】特開2005−272882号公報(段落「0019」)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記した特許文献1〜3に開示された技術によれば、LCDパネルの周囲温度に応じて最適なオーバードライブ係数を取得できるため、改善した画像品質を得ることができる。
しかしながら、LCDモニタを横置きから縦置きに回転させて使用する場合、あるいは、PC休止状態から復帰した場合等、LCDパネルの温度変化要因は様々であり、また、LCDパネル近傍に設けられた温度センサで測定された温度が必ずしもLCDパネルの温度になるとは限らないため、LCDパネルの温度をいかに正確に予測してオーバードライブ係数を決定するかが最重要設計事項になっていた。
【0007】
本発明は上記諸々の事情に基づいてなされたものであり、表示パネルの温度を正確に予測してオーバードライブ係数を決定する、画像表示装置および画像表示装置におけるオーバードライブ係数の最適化方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記した課題を解決するために本発明の画像表示装置は、現在のフレーム映像と直前のフレーム映像によって決まるオーバードライブ係数に基づき、表示パネルのオーバードライブ駆動を行うルックアップテーブルを備えたオーバードライブ駆動部と、前記表示パネルの温度を検出する温度検出部と、前記検出された温度に適したオーバードライブ係数が複数記憶される記憶部と、起動や休止状態から復帰したときの前記表示パネルの動作経過時間を監視する時間監視部と、前記温度検出部から取得した温度情報に適した複数の前記オーバードライブ係数の中から、前記時間監視部から取得した動作経過時間情報を用いて前記記憶部に記憶されたオーバードライブ係数を選択し、前記ルックアップテーブルに設定する制御部と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、現在のフレーム映像と直前のフレーム映像によって決まるオーバードライブ係数に基づき、表示パネルのオーバードライブ駆動を行うルックアップテーブルを備えた画像表示装置におけるオーバードライブ係数の最適化方法であって、前記表示パネルの温度を検出するステップと、前記画像表示装置の起動や休止状態から復帰したときの前記表示パネルの動作経過時間を監視するステップと、前記検出された温度情報と、前記監視された動作経過時間情報とを用い、記憶部にあらかじめ記憶されてある前記温度に適した複数のオーバードライブ係数の中から最適なオーバードライブ係数を選択し、前記ルックアップテーブルに設定するステップと、前記ルックアップテーブルに設定されたオーバードライブ係数に基づき表示パネルのオーバードライブ駆動を行うステップと、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、表示パネルの温度を正確に予測してオーバードライブ係数を決定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施の形態1にかかわる画像表示装置の内部構成を示すブロック図 である。
【図2】本発明の実施の形態1において使用されるルックアップテーブルのデータ構 造の一例を示す図である。
【図3】本発明の実施の形態1における画像表示装置のオーバードライブ駆動の応答 時間を説明するために引用した図である。
【図4】本発明の実施の形態1にかかわる画像表示装置の動作を説明するために引用 したフローチャートである。
【図5】本発明の実施の形態1における表示パネル12の温度特性を示すグラフであ る。
【図6】本発明の実施の形態1における応用例を説明するために引用したブロック図 である。
【図7】本発明の実施の形態1における応用例を説明するために引用したブロック図 である。
【図8】本発明の実施の形態2にかかわる画像表示装置の内部構成を示すブロック図 である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1にかかわる画像表示装置の内部構成を示すブロック図である。
本発明の実施の形態1にかかわる画像表示装置は、信号処理部10と、オーバードライブ駆動部11と、表示パネル12と、記憶部13と、温度検出部14と、時間監視部15と、制御部16とで構成される。
【0013】
信号処理部10は、入力される映像信号を表示パネル12の表示フォーマットに合わせた処理を実行してオーバードライブ駆動部11へ出力する。オーバードライブ駆動部11は、現在のフレーム映像と直前のフレーム映像とによって決まるオーバードライブ係数に基づき、表示パネル12のオーバードライブ駆動を行う。オーバードライブ駆動部11はまた、オーバードライブ係数が設定されるルックアップテーブル111を内蔵する。
表示パネル12は、ここでは、各セル(画素)に印加される電界を変えることで各セルの透過率を変化させて画像を表示するLCDパネルとする。
【0014】
一方、記憶部13には、温度検出部14において検出された温度に適したオーバードライブ係数が複数記憶される。また、温度検出部14は、温度センサ等により表示パネル12近傍の温度を検出して制御部16へ出力する。さらに、時間監視部15は、PC起動や休止状態から復帰したときの表示パネル12の動作経過時間を監視して制御部16へ出力する。
制御部16は、温度検出部14から取得した温度情報と、時間監視部15から取得した動作経過時間情報とを用いて、記憶部13に記憶されたオーバードライブ係数の中から最適なオーバードライブ係数を選択してオーバードライブ駆動部11に出力し、内蔵されるルックアップテーブル111に設定する機能を持つ。制御部16は、具体的にはマイクロコンピュータ等により構成され、内蔵のROMに記録されたプログラムを逐次読み出し実行することにより、上記した機能を実現するものとする。
【0015】
上記構成において、PCから出力される映像信号1aは、画像表示装置内の信号処理部10に入力され、ここで、色変換や画像拡大等の処理が行われる。処理結果出力される映像信号は、オーバードライブ駆動部11へ入力される。
オーバードライブ駆動部11は、直前のフレームで表示パネル12へ出力した映像信号と現在のフレームの映像信号とを基にルックアップテーブル111を用いた参照が行われ、このことにより映像信号が決定され表示パネル12へ映像信号が出力される。
【0016】
ルックアップテーブル111は、例えば、図2に示すデータ構造を有し、直前のフレーム(1フレーム前の映像)と現在フレーム(現在の映像)とから今回出力する映像信号を任意に設定することが可能になっている。ここで、表示パネル12の応答速度が遅い映像信号の変化に対して、現在のフレームの映像信号よりも強調した映像信号が出力されるようにオーバードライブ係数を設定することで、表示パネル12は、図3(c)に示されるオーバードライブ駆動を行う。このことにより、応答速度が向上する。
なお、図3は、画像表示装置のオーバードライブ駆動の応答時間を説明するために引用した図であり、(a)は、PCからの映像信号、(b)は、オーバードライブ駆動しない場合の映像信号に対する応答時間、(c)は、オーバードライブ駆動した場合の映像信号に対する応答時間を示す。
【0017】
図4は、制御部16の動作を説明するために引用したフローチャートである。以下、図4に示すフローチャートを参照しながら制御部16によるオーバードライブ最適化処理について詳細に説明する。
制御部16は、まず、画像表示装置内に設けられた温度検出部14から温度情報を取得する(ステップS41)。続いて取得した温度情報と、前回測定した温度情報とを比較し、変化の有無を判定する(ステップS42)。ここで、変化有りと判定された場合、制御部16は、オーバードライブ駆動部11内のルックアップテーブル111を参照して最適なオーバードライブ係数の参照先を決定する(ステップS43)。変化がない場合はオーバードライブ最適化処理を終了する。
【0018】
制御部16は、更に、参照先のオーバードライブ係数は、ルックアップテーブル111に既に設定済みか判定し(ステップS44)、設定されていない場合、温度検出部14により取得された温度情報に基づいて表示パネル12の温度を予測し、その温度に対応した複数のオーバードライブ係数が保持されている記憶部13から適当なオーバードライブ係数を選択して読み出す(ステップS45)。そして、読み出されたオーバードライブ係数をオーバードライブ駆動部11内のルックアップテーブル111へ設定して温度に適したオーバードライブ係数への切り替えを行い、オーバードライブ最適化処理を終了する(ステップS46)。
なお、ステップS44の処理において、参照先のオーバードライブ係数が既に設定されていると判定された場合は、上記したオーバードライブ最適化処理は終了する。
【0019】
上記した説明は、周知のオーバードライブ最適化のための基本的な構成であるが、上記したように、表示パネル12の応答速度は温度依存性が大きく、表示パネル12の温度変化は表示パネル12の稼動時間とともに変化する。
具体的に、図5に表示パネル12の温度特性が示されるように、表示パネル12は、起動直後(電源オン)から急激に温度が上昇し、電源オフ後は急激に温度が下降する。また、表示パネル12使用中、表示パネル12が接続されるPCが休止状態になった場合(電源オフ)、そして、休止状態から復帰した場合(再起動)も同様にも同様の温度変化が生じる。
【0020】
そこで、表示パネル12の温度を把握するために、表示パネル12に直接、温度センサ等の温度検出部14を設けることが望ましいが、製造面での技術的な課題があり、また、高コストとなるため、多くは制御基板などの表示パネル12とは別の近傍の場所に温度検出部14が設けられており、間接的に測定された温度情報から表示パネル12の温度を予測しなければならない。
しかしながら、間接的に測定している温度であるため、実際の表示パネル12との温度は必ずしも一致せず、オーバードライブ係数を最適化するための温度情報としては正確ではない。図5に示されるように、電源起動やPC休止状態から復帰した場合の温度上昇は、電源オフやPC休止状態といった動作経過時間に依存しているため、この動作経過時間情報を把握するための手段が必要となる。
【0021】
本発明の実施の形態1では、動作経過時間情報を監視するための手段として時間監視部15が設けられており、制御部16は、電源起動/オフ、および、PC休止状態/復帰を行う際に、それらの時間を時間監視部15から取得する。このことにより、制御部16は、オーバードライブ係数を選択する際に、温度検出部14から取得した温度情報と、時間監視部15から取得した時間情報とから、表示パネル12の温度を予測することが可能である。
具体的に、制御部16は、図4に示すフローチャートのステップS44の処理で、温度情報の他に、起動や休止状態から復帰したときの動作経過時間情報を時間監視部15から取得し、ステップS45、S46の処理で、制御部16は、その温度情報と、経過時間情報とを用い、記憶部13に記憶された複数のオーバードライブ係数のうち、最適なオーバードライブ係数を選択し、ルックアップテーブル111に設定する。
【0022】
図6、図7は、本発明の実施の形態1にかかわる画像表示装置の応用例である。具体的に、図6にその構成が示されるように、図1に示される構成に、更に、画像表示装置の外部に、外気温を測定するために温度センサ等からなる外気温検出部51を付加することにより、制御部16は、画像表示装置の使用環境下での温度(外気温)と、温度検出部14による制御基板上の温度との差分から、表示パネル12の正確な温度を予測することが容易となり、かつ、表示パネル12の温度予測の精度が向上するため、最適なオーバードライブ係数を求めることができ、時間監視部15による動作経過時間情報とを組み合わせることにより、電源起動時やPC休止状態からの復帰においても高品位な動画表示が実現できる。
なお、図6において、外気温検出部51以外の構成は、図1に示す構成と同様であるため、重複を回避する意味で説明を省略する。
【0023】
図7は、図1に示した画像表示装置に、回転方向検出部61が付加された画像表示装置の構成を示す図である。
表示パネル12の温度変化は動作経過時間に依存することについは上記したが、温度変化はさらに画像表示装置の使用状態にも依存する。例えば、画像表示装置を、機構部品を支点に表示パネル12を回転させ、縦置きから横置き状態に、あるいはその逆方向に切替えて使用可能な画像表示装置において、横置きの状態から縦置きの状態に変化させて使用する場合、表示パネル12を横方向から縦方向に回転させる必要があり、この場合、表示パネル12の温度は発熱する部品との位置関係が変わることから、横置きで使用した場合とは温度特性が異なる。また、温度検出部14で検出される温度も同様の理由により測定結果が異なるため、温度検出部14から出力される温度情報に対して補正が必要である。
【0024】
図7に示す応用例では、図1に示す構成に、更に、上記した画像表示装置(表示パネル12)の回転方向を検出するために、マイクロスイッチ等からなる回転方向検出部61が付加されている。このため、制御部16は、常時、回転方向検出部61から画像表示装置の回転状態を取得することができる。制御部16は、オーバードライブ係数を選択する際に、温度検出部14から取得した温度情報と、時間監視部15から取得した時間情報と、画像表示装置の回転状態情報とを用いて表示パネル12の温度をさらに正確に予測することが可能となり、さらに、図6に示した応用例の外気温検出部51から取得される外気温情報もパラメータとして付加することで一層表示パネル12の温度予測の精度が向上し、画像表示装置の使用状態に最も適したオーバードライブ係数を選択することにより、高品位の動画表示を実現できる。
なお、図7において、回転方向検出部61以外の構成は、図1に示す構成と同様であるため、重複を回避する意味で説明を省略する。
【0025】
上記した本発明の実施の形態1によれば、温度依存性を持った表示パネル12の応答速度に対し、様々な温度変化要因を把握し、温度情報の補正を行ってオーバードライブを最適化し、表示パネル12の応答速度を向上させることで、使用者へ安定した高品位の動画表示を行うオーバードライブ機能を搭載した画像表示装置を提供することが可能となる。
【0026】
実施の形態2.
図8は、本発明の実施の形態2にかかわる画像表示装置の内部構成を示すブロック図である。
図8において、符号70〜75は、図1に示す実施の形態1の信号処理部10、オーバードライブ駆動部11、表示パネル12、記憶部13、温度検出部14、時間監視部15のそれぞれに相当するため、ここでの構成および動作説明は省略する。本発明の実施の形態2によれば、上記構成に、さらに、テストパターン生成部77と、応答速度測定部78とが付加され、制御部76が、テストパターン生成部77と応答速度測定部78とを用いて、オーバードライブ係数を算出して最適化する。以下、詳細に説明する。
【0027】
制御部76は、テストパターン生成部77を用いて表示パネル72に映像信号を表示させることが可能であり、ここでは、例として、0〜255階調までの映像信号を発生させることができるものとする。また、応答速度測定部78は、表示パネル72の前面に設けられており、測定輝度値を電圧値に変換して制御部76へ出力することができる。このことにより、制御部76は、電圧値から輝度レベル情報を取り込むことができる。
【0028】
制御部76は、表示パネル72の応答速度を測定するモードに入ると、テストパターン生成部77を用いて、入力の映像信号が無い状態であっても表示パネル72へ映像信号を出力することができる。制御部76は、表示パネル72の応答速度を測定するため、テストパターン生成部77に対して、はじめに0階調の映像信号を出力するように指示し、応答速度測定部78を用いて輝度レベルのサンプリングを開始して取り込む。続いて、テストパターン生成部77から1階調の映像信号を出力し、応答速度測定部78により輝度レベルをサンプリングして取り込む。
次に、制御部76は、ルックアップテーブル711の0−1のオーバードライブ係数を変更して階調変化時の輝度レベルのサンプリングを行い、この動作を輝度レベルの安定時間が短くなるまで繰り返し、安定時間が短くなった時の係数を0−1階調変化時の最適係数とする。
【0029】
同様に、0−2、0−3、…、0−255階調まで上記動作を繰り返し測定してオーバードライブ係数を算出することにより、前フレームの映像が0、現在のフレームの映像が0〜255の組み合わせでオーバードライブ係数を最適化できたこととなる。
同様に、前フレームの映像を1〜255まで変化させながら、現在のフレームの映像を0〜255へ変化させたときの最適な全オーバードライブ係数を算出し、温度検出部74から取得した温度情報と時間監視部75から取得した時間情報とを基に、最適なオーバードライブ係数を記憶部73へ記憶する。なお、前フレームと現在のフレームの映像が同じ場合はオーバードライブ駆動させる必要がないため、測定を省略することとする。
【0030】
上記した本発明の実施の形態2によれば、画像表示装置の製造後であっても、高価な測定器やサービス、メンテナンス費用を発生させることなく、画像表示装置自身が表示パネル72の応答速度を測定してオーバードライブ係数を最適化することで、表示パネル72の特性、周囲温度、使用環境に適したオーバードライブ駆動を実現できることになり、使用者へ長期にわたり高品位の動画表示を行うオーバードライブ機能を搭載した画像表示装置を提供することができる。
【0031】
以上説明のように本発明は、内外に設けられた温度センサ等温度検出手段(温度検出部14、74)と、表示パネルの動作経過時間を監視する手段(時間監視部15、75)とを用いて表示パネルの温度予測を高精度化してオーバードライブ係数の最適化を可能とし、また、画像表示装置自身が応答速度を測定する手段(応答速度測定部78)を持つことによって自身でオーバードライブ係数を最適化し、長期に渡って使用者の環境に適したオーバードライブによる動画表示を行うことを可能とし、使用者へ高い動画表示品位と信頼性を持った液晶ディスプレイを提供するものである。
【符号の説明】
【0032】
10、70…信号処理部、11、71…オーバードライブ駆動部、12、72…表示パネル、13、73…記憶部、14、74…温度検出部、15、75…時間監視部、16、76…制御部、51…外気温検出部、61…回転方向検出部、77…テストパターン生成部、78…応答速度測定部、111…ルックアップテーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
現在のフレーム映像と直前のフレーム映像によって決まるオーバードライブ係数に基づき、表示パネルのオーバードライブ駆動を行うルックアップテーブルを備えたオーバードライブ駆動部と、
前記表示パネルの温度を検出する温度検出部と、
前記検出された温度に適したオーバードライブ係数が複数記憶される記憶部と、
起動や休止状態から復帰したときの前記表示パネルの動作経過時間を監視する時間監視
部と、
前記温度検出部から取得した温度情報に適した複数の前記オーバードライブ係数の中から、前記時間監視部から取得した動作経過時間情報を用いて最適なオーバードライブ係数を選択し、前記ルックアップテーブルに設定する制御部と、
を備えたことを特徴とする画像表示装置。
【請求項2】
外部に外気温を検出する外気温検出部を更に備え、
前記制御部は、前記温度検出部から取得した温度情報と前記外気温検出部から取得した外気温情報との差分と、前記時間監視部から取得した前記表示パネルの動作経過時間情報とを用いて前記記憶部に記憶されたオーバードライブ係数の中から最適なオーバードライブ係数を選択し、前記ルックアップテーブルに設定することを特徴とする請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項3】
前記表示パネルの使用状態における回転方向を検出する回転方向検出部を更に備え、
前記制御部は、前記温度検出部から取得した温度情報と、前記時間監視部から取得した前記表示パネルの動作経過時間情報と、前記回転方向検出部から取得した前記表示パネルの回転方向情報とを用いて前記記憶部に記憶されたオーバードライブ係数を選択し、前記ルックアップテーブルに設定する制御部と、
を備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の画像表示装置。
【請求項4】
現在のフレーム映像と直前のフレーム映像によって決まるオーバードライブ係数に基づき、表示パネルのオーバードライブ駆動を行うルックアップテーブルを備えた画像表示装置におけるオーバードライブ係数の最適化方法であって、
前記表示パネルの温度を検出するステップと、
前記画像表示装置の起動や休止状態から復帰したときの前記表示パネルの動作経過時間を監視するステップと、
前記検出された温度情報と、前記監視された動作経過時間情報とを用い、記憶部にあらかじめ記憶されてある前記温度に適した複数のオーバードライブ係数の中から最適なオーバードライブ係数を選択し、前記ルックアップテーブルに設定するステップと、
前記ルックアップテーブルに設定されたオーバードライブ係数に基づき表示パネルのオーバードライブ駆動を行うステップと、
を有することを特徴とする画像表示装置におけるオーバードライブ係数の最適化方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−37374(P2013−37374A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−203180(P2012−203180)
【出願日】平成24年9月14日(2012.9.14)
【分割の表示】特願2006−42461(P2006−42461)の分割
【原出願日】平成18年2月20日(2006.2.20)
【出願人】(300016765)NECディスプレイソリューションズ株式会社 (289)
【Fターム(参考)】