説明

画像表示装置及びその制御方法

【課題】バックライトのLEDの輝度劣化のばらつきを低減でき、かつ画像の静止領域を好適に表示できる画像表示装置を提供する。
【解決手段】LEDライトの発光輝度値を分割領域毎に設定する設定手段と、発光輝度値の変動幅が所定期間以上継続して閾値以下である静止分割領域を検出する検出手段と、静止分割領域のLEDライトの発光輝度値を設定手段により当初設定されていた値より前記閾値以上異なる値に変更するとともに、当該静止分割領域に隣接し検出手段により静止分割領域として検出されていない隣接分割領域のLEDライトの発光輝度値を設定手段により当初その静止分割領域のLEDライトに設定されていた値に変更する変更手段と、静止分割領域及び隣接分割領域のLEDライトを前記変更手段により変更された発光輝度値で発光させ、それ以外の分割領域のLEDライトを設定手段により設定された発光輝度値で発光させる発光制御手段と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LEDバックライトを用いた画像表示装置及びその制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ローカルディミング制御が可能なバックライトを有する画像表示装置において、ローカルディミング制御によるLEDライトの輝度劣化のばらつきを低減する方法が提案されている。例えば、特許文献1には、表示装置に照度センサを設けて、照度が高いときはローカルディミングの制御をオフすることによりLEDライトの輝度劣化のばらつきが発生しないようにする技術が記載されている。また、特許文献2には、上側バックライトと下側バックライトの累積発光時間の差がしきい値を越えないように、バックライトの発光制御を行うことが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−204825号公報
【特許文献2】特開2008−261993号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の画像表示装置には次のような課題がある。この画像表示装置が常に室内で使用されるような場合においては、照度センサで検出する輝度は常に低くなる可能性があり、この場合ローカルディミング制御をオフすることがほとんどできなくなってしまう。
つまり前述した特許文献1に記載の画像表示装置では、照度が低い場所で使用された場合、ローカルディミング制御をオフできる機会がほとんど無くLEDライトの輝度劣化のばらつきを低減できない場合があった。
また、特許文献2に記載の技術では、静止領域を含む画像を表示しているときに、上側バックライトと下側バックライトの点灯状態を切り替えると、静止領域の表示輝度が変化してしまい、画像の見え方に違和感を生じる場合があった。
【0005】
そこで、本発明の目的は、ローカルディミング制御が可能なバックライトを有する画像表示装置において、LEDライトの輝度劣化のばらつきを低減するとともに、画像の静止領域を好適に表示することが可能な技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、複数のLEDライトを有するバックライトと、
前記バックライトからの光の透過率を変化させる複数の画素を有する表示パネルと、
を有し、前記バックライトは、前記表示パネルの表示領域を分割する複数の分割領域のそれぞれに対応して1以上のLEDライトが配置されて構成されている画像表示装置であって、
入力される映像信号に応じて前記LEDライトの発光輝度値を前記分割領域毎に設定する設定手段と、
前記設定手段で設定される前記分割領域毎のLEDライトの発光輝度値の履歴に基づき、発光輝度値の変動幅が所定の閾値以下である状態が所定期間以上継続したLEDライトに対応する分割領域である静止分割領域を検出する検出手段と、
静止分割領域のLEDライトの発光輝度値を、前記設定手段が当該静止分割領域のLE
Dライトに設定していた発光輝度値との差異が前記閾値より大きい発光輝度値に変更するとともに、当該静止分割領域に隣接する分割領域であって前記検出手段により静止分割領域として検出されていない分割領域のLEDライトの発光輝度値を、前記設定手段が当該静止分割領域のLEDライトに設定した発光輝度値に変更する変更手段と、
前記検出手段により静止分割領域が検出された場合、当該静止分割領域及びそれに隣接する前記分割領域のLEDライトを前記変更手段により変更された発光輝度値で発光させるとともに、それ以外の分割領域のLEDライトを前記設定手段により設定された発光輝度値で発光させる発光制御手段と、
を有する画像表示装置である。
【0007】
本発明は、複数のLEDライトを有するバックライトと、
前記バックライトからの光の透過率を変化させる複数の画素を有する表示パネルと、
を有し、前記バックライトは、前記表示パネルの表示領域を分割する複数の分割領域のそれぞれに対応して1以上のLEDライトが配置されて構成されている画像表示装置の制御方法であって、
入力される映像信号に応じて前記LEDライトの発光輝度値を前記分割領域毎に設定する設定工程と、
前記設定工程で設定される前記分割領域毎のLEDライトの発光輝度値の履歴に基づき、発光輝度値の変動幅が所定の閾値以下である状態が所定期間以上継続したLEDライトに対応する分割領域である静止分割領域を検出する検出工程と、
静止分割領域のLEDライトの発光輝度値を、前記設定工程が当該静止分割領域のLEDライトに設定していた発光輝度値との差異が前記閾値より大きい発光輝度値に変更するとともに、当該静止分割領域に隣接する分割領域であって前記検出工程により静止分割領域として検出されていない分割領域のLEDライトの発光輝度値を、前記設定工程で当該静止分割領域のLEDライトに設定した発光輝度値に変更する変更工程と、
前記検出工程により静止分割領域が検出された場合、当該静止分割領域及びそれに隣接する前記分割領域のLEDライトを前記変更工程により変更された発光輝度値で発光させるとともに、それ以外の分割領域のLEDライトを前記設定工程により設定された発光輝度値で発光させる発光制御工程と、
を有する画像表示装置の制御方法である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ローカルディミング制御が可能なバックライトを有する画像表示装置において、LEDライトの輝度劣化のばらつきを低減するとともに、画像の静止領域を好適に表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施例1における画像表示装置の構成を示したブロック図
【図2】入力映像信号とBL制御エリアの輝度制御値の時間変化を示す図
【図3】BL制御エリアの輝度制御値を変更する処理のフローチャート
【図4】BL制御エリアの輝度制御値を1エリアずつ変更した場合の輝度変化の図
【図5】BL制御エリアの輝度制御値を複数エリア同時変更した場合の輝度変化の図
【図6】実施例2における画像表示装置の構成を示したブロック図
【図7】BL制御エリアの輝度制御値を変更する処理のフローチャート
【図8】点灯しているBL制御エリアの光拡散状態を計算するための模式図
【図9】BL制御エリア点灯状態及びBL制御エリアの輝度値の変化を示す模式図
【図10】BL制御エリア点灯状態及びBL制御エリアの輝度値の変化を示す模式図
【図11】BL制御エリア点灯状態及びBL制御エリアの輝度値の変化を示す模式図
【発明を実施するための形態】
【0010】
(実施例1)
第1の実施形態について説明する。図1は本発明を適用した画像表示装置の構成を示したブロック図である。以下の説明において「バックライト」を「BL」(Back Lightの略)と記すことがある。
図1の画像表示装置1は、ローカルディミング制御部101、静止BL制御エリア検出部102、BLエリア移動制御計算部103、LED制御部104、LED部105、表示部106で構成される。
LED部105は、複数のLEDライトを有するバックライトを構成する。表示部106はバックライトからの光の透過率を変化させることで階調を表現する画素(液晶素子)がマトリクス状に配置された液晶パネル(表示パネル)を構成する。
【0011】
LEDライトの発光輝度は、一又は複数のLEDライトの集合である「BL制御エリア」単位で制御される。本実施例では、図2(b)に示すように、表示部106の表示領域をマトリクス状に分割し、各分割領域内の画素を照射するLEDライトの集合として「BL制御エリア」を定める。すなわち、LED部105(バックライト)は、表示パネルの表示領域を分割する複数の分割領域のそれぞれに対応して1以上のLEDライトが配置されて構成されている。
【0012】
図2(b)に示す例では、表示部106の表示領域を横9×縦6の54個の分割領域に分割しているため、LED部105を構成する複数のLEDライトは54個のBL制御エリアにグループ分けされる。1つのBL制御エリアに属するLEDライトは同一の輝度で発光するよう制御される。
【0013】
図1においてローカルディミング制御部101が入力映像信号からBL制御エリア点灯情報を算出する説明を行う。BL制御エリア点灯情報とはBL制御エリア毎(分割領域毎)のLEDライトの発光輝度を制御する輝度制御値(発光輝度値)を示す情報である。
【0014】
図2にローカルディミング制御部101に入力される映像信号及びBL制御エリアの点灯状態の時間変化の例を示す。図2(a)は、入力される映像信号に基づくフレーム画像を異なる3つの時刻について示した図である。図2(a)のフレーム画像1011、フレーム画像1012、及びフレーム画像1013に示すように、ここでは、暗い背景の画面中央部に明るい風車が映っており、この風車の羽の部分が時間と共に変化する映像を例に説明する。
【0015】
この映像信号が入力された場合、ローカルディミング制御部101は、フレーム画像1011、1012、及び1013において明るい風車の映像が存在する位置に対応するBL制御エリアのみを点灯させるように、BL制御エリア点灯情報を算出する。また、ローカルディミング制御部101は、暗い背景に対応するBL制御エリアを消灯させるように、BL制御エリア点灯情報を算出する。
【0016】
図2(b)は、このようにして算出されたBL制御エリア点灯情報に基づき各BL制御エリアを発光させた場合のBL制御エリアの点灯状態を示す図である。図2(b)のBL制御エリア点灯状態1014、1015、及び1016は、それぞれフレーム画像1011,1012,及び1013を表示する際のBL制御エリアの点灯状態を示す。
図2(b)のBL制御エリア点灯状態1014,1015,及び1016において、斜線で塗りつぶされた一つの四角い枠は点灯しないBL制御エリアを示し、白色で塗りつぶされた一つの四角い枠は点灯するBL制御エリアを示す。
【0017】
図2(b)のBL制御エリア点灯状態1014、1015,及び1016に示されるように、ローカルディミング制御部101は、風車の映像がある位置に対応する4つのBL
制御エリアA,B,C,及びDのみ点灯するようにBL制御エリア点灯情報を計算する。
ローカルディミング制御部101は、入力映像信号から算出したBL制御エリア点灯情報を、静止BL制御エリア検出部102へ出力する。ローカルディミング制御部101は、本発明の設定手段として機能している。
【0018】
図2(a)に示すようなフレーム画像内の明るい部分と暗い部分の位置や大きさがほとんど変化しない映像信号が入力されると、図2(b)に示すようにBL制御エリア点灯状態は変化しない。そのため、そのような映像信号の入力が継続する期間中、特定のBL制御エリアがほとんど変化しない輝度値で点灯し続けるような制御が行われることになる。
【0019】
図2に示す例では、点灯するBL制御エリアA,B,C,及びDの輝度制御値は、図2(b)に示すような風車の映像信号が入力される期間中、ほとんど時間変化しない。輝度制御値の時間変化が小さいBL制御エリアに属するLEDライトは、長期間同一又はほとんど変化しない発光輝度で発光し続けることになるため、輝度劣化が平均的な輝度劣化よりも早くなるか又は遅くなり、輝度劣化にばらつきが生じる原因となりやすい。
【0020】
静止BL制御エリア検出部102は、ローカルディミング制御部101で計算されたBL制御エリア点灯情報の履歴に基づき、輝度制御値がほとんど時間変化しないBL制御エリア(以下、静止BL制御エリアという)を検出する。静止BL制御エリア検出部102は、BL制御エリア毎に、輝度制御値の変化量(変動幅)と所定の閾値Ta(以下、変動輝度差判定値という)とを比較することにより、静止BL制御エリアの検出を行う。
【0021】
静止BL制御エリア検出部102は、輝度制御値の変動幅が変動輝度差判定値Ta以下(閾値以下)の状態が所定期間以上継続したBL制御エリアを、静止BL制御エリアであると判定し、そのBL制御エリアの静止判定値Shを1とする。一方、輝度制御値の変動幅が変動輝度差判定値Ta以下の状態が所定期間以上継続しないBL制御エリアについては、静止判定値Shを0とする。
【0022】
このように、輝度制御値の変動幅が変動輝度差判定値Ta以下の状態が所定期間以上継続したか否かを判定することで、LEDライトの発光輝度の変化が小さく、LEDライトの輝度劣化ばらつきが発生しやすいBL制御エリアを抽出することが可能となる。
【0023】
所定期間は、輝度劣化のばらつきが発生し易くなると判断できる同一輝度制御値の継続時間の基準値であり、画像表示装置1の構成に応じて、例えばフレームオーダー、秒オーダー、分オーダー等の値になる。静止BL制御エリアは、本発明の静止分割領域に対応する。静止BL制御エリア検出部102は、本発明の検出手段として機能している。
【0024】
静止BL制御エリア検出部102は、このBL制御エリア毎の静止判定値Shと、ローカルディミング制御部101から入力されたBL制御エリア点灯情報と、をBLエリア移動制御計算部103へ出力する。
【0025】
なお、静止BL制御エリア検出部102が静止BL制御エリアを検出する方法は、上記の方法に限らない。
例えば、所定の時間間隔でBL制御エリア点灯情報をサンプリングして保存する。そして、BL制御エリア点灯情報の保存を行うたびに、当該保存したBL制御エリア点灯情報を前回保存したBL制御エリア点灯情報と比較することにより、BL制御エリア毎に輝度制御値の変動幅を取得する。そして、取得したBL制御エリア毎の輝度制御値の変動幅に基づき、静止BL制御エリアを検出することができる。また、保存された時刻が一定時間離れているBL制御エリア点灯情報を読み出し、読み出したBL制御エリア点灯情報を比較することにより、BL制御エリア毎に輝度制御値の変動幅を取得しても良い。その他、
BL制御エリア毎の輝度制御値の変化に基づく種々の方法により静止BL制御エリアを検出することができる。
【0026】
BLエリア移動制御計算部103は、静止BL制御エリア検出部102から入力されるBL制御エリア毎の静止判定値Shとローカルディミング制御部101が算出したBL制御エリア点灯情報とに基づき、BL制御エリア点灯変更情報を算出する。BL制御エリア点灯変更情報とは、ローカルディミング制御部101が算出したBL制御エリア点灯情報に示されるBL制御エリア毎の輝度制御値のうち、静止BL制御エリアの輝度制御値の変更を示す情報である。
【0027】
BLエリア移動制御計算部103は、静止BL制御エリアの存在に起因するBL制御エリアのLEDライトの輝度劣化のばらつきを軽減することができるように、BL制御エリア点灯変更情報を計算する。以下、BL制御エリア点灯変更情報の計算方法について説明する。BLエリア移動制御計算部103が算出するBL制御エリア点灯変更情報に基づき、静止BL制御エリアの発光輝度を変化させる制御を、本実施例では、静止BL制御エリア移動制御と称する。BLエリア移動制御計算部103は、本発明の変更手段として機能している。
【0028】
<静止BL制御エリア移動制御(その1)>
まず、静止BL制御エリアが複数存在する場合に、静止BL制御エリアの輝度制御値を1エリアずつ順次変化させていく静止BL制御エリア移動制御について図3及び図4に基づいて説明する。
図3は静止BL制御エリアの輝度制御値を変更する計算手順を示したフローチャートである。
図4は静止BL制御エリアの輝度制御値を変更した場合の、BL制御エリア点灯状態の変化を示す模式図である。
【0029】
図3のステップS1021にて、BLエリア移動制御計算部103は、静止BL制御エリア(静止BL制御エリア検出部102にて静止判定値Shが1に設定されたBL制御エリア)の輝度制御値が所定の閾値Jh(以下、明るさ判定値という)以上か否かを判定する。
LEDライトは高輝度で発光するほど輝度劣化が生じ易い。このステップS1021は、静止BL制御エリアのうち、高輝度で発光しておりLEDライトの輝度劣化が発生し易いと判断できる静止BL制御エリアを抽出するためのステップである。
BLエリア移動制御計算部103の処理は、輝度制御値が明るさ判定値Jh以上(明るさ判定値以上)である静止BL制御エリア(以下、高輝度静止BL制御エリアという)を抽出した後、ステップS1022の処理に移行する。
【0030】
ステップS1022では、BLエリア移動制御計算部103は、ステップS1021で抽出した高輝度静止BL制御エリア毎に、隣接するBL制御エリア(以下、隣接BL制御エリアという)との輝度制御値の差分が所定の閾値Kh以上か否かを判定する。所定の閾値Khを、以下、隣接輝度差判定値という。
高輝度静止BL制御エリアの輝度制御値と隣接BL制御エリアの輝度制御値との差異が大きいほど、これら2つのBL制御エリアにおいてLEDライトの輝度劣化のばらつきが発生し易い(顕著になり易い)。このステップS1022は、高輝度静止BL制御エリアのうち、隣接BL制御エリアとの輝度制御値の差異が大きい高輝度静止BL制御エリアを抽出するためのステップである。
【0031】
BLエリア移動制御計算部103は、隣接BL制御エリアとの輝度制御値の差異が隣接輝度差判定値Kh以上(隣接輝度差判定値以上)の高輝度静止BL制御エリアを、静止B
L制御エリア移動制御において輝度制御値を変化させる対象として決定する。静止BL制御エリア移動制御において輝度制御値を変化させる対象となる高輝度静止BL制御エリアを、以下、変更対象BL制御エリアという。
BLエリア移動制御計算部103は、変更対象BL制御エリアを抽出した後、ステップS1023の処理へ移行する。
【0032】
なお、高輝度静止BL制御エリアに隣接するBL制御エリアが複数ある場合、いずれか一の隣接BL制御エリアとの間で上記の条件が満たされる場合に、その高輝度静止BL制御エリアを変更対象BL制御エリアとしても良い。或いは、全ての隣接BL制御エリアとの間で上記の条件が満たされる場合に、その高輝度静止BL制御エリアを変更対象BL制御エリアとしても良い。
【0033】
変更対象BL制御エリアの例を、図4のBL制御エリア点灯状態1041に示す。図4のBL制御エリア点灯状態1041において、白色で塗りつぶされた4つのBL制御エリアA,B,C,及びDが、変更対象BL制御エリアである。
すなわち、この4つのBL制御エリアは、輝度制御値の変化量が変動輝度差判定値Ta以下の状態が所定期間継続しており、且つ、その輝度制御値が明るさ判定値Jh以上であり、且つ、隣接BL制御エリアとの輝度制御値の差分が隣接輝度差判定値Kh以上である。
以下、この4つの変更対象BL制御エリアA,B,C,及びDの輝度制御値を、ローカルディミング制御部101が算出した輝度制御値(BL制御エリア点灯情報に定められた輝度制御値)から変更する。
【0034】
ステップS1023では、BLエリア移動制御計算部103は、ステップS1022で抽出した変更対象BL制御エリアの輝度制御値を隣接BL制御エリアに設定する。これにより、変更対象BL制御エリアに設定されていた輝度制御値が隣接BL制御エリアに移動する。
すなわち、変更対象BL制御エリアに設定されていた輝度制御値で、その変更対象BL制御エリアに隣接するBL制御エリアが点灯するように、BL制御エリア点灯状態を変更する。また、変更対象BL制御エリアには、当該隣接BL制御エリアに設定されていた輝度制御値を設定する。或いは、変更対象BL制御エリアには、当初設定されていた輝度制御値との差異が変動輝度差判定値Taを超える任意の輝度制御値を設定しても良い。或いは、変更対象BL制御エリアを単に消灯させても良い。
【0035】
ステップS1022で複数の変更対象BL制御エリアが抽出された場合には、BLエリア移動制御計算部103は、上記のような変更対象BL制御エリアの輝度制御値の移動を、1つの変更対象BL制御エリアずつ順々に行う。
BLエリア移動制御計算部103は、このような変更対象BL制御エリアの輝度制御値の移動を実現するためのBL制御エリア点灯変更情報を計算し、LED制御部104に出力する。
【0036】
図4のBL制御エリア点灯状態1042,1043,1044,及び1045は、BL制御エリア点灯状態1041を起点として変更対象BL制御エリアの輝度制御値を1エリアずつ順々に隣接BL制御エリアに移動させた場合のBL制御エリア点灯状態の変化を示す。
【0037】
まず、BL制御エリア点灯状態1041の白色で塗りつぶされた4つの変更対象BL制御エリアのうち、右下の変更対象BL制御エリアAを非点灯状態とし、非点灯状態とした変更対象BL制御エリアAの一つ下の隣接BL制御エリアA'を点灯状態とする。これに
より、BL制御エリア点灯状態1041はBL制御エリア点灯状態1042に変化する。
隣接BL制御エリアA'には、ローカルディミング制御部101により計算されたBL制
御エリア点灯情報において変更対象BL制御エリアAに設定されていた輝度制御値が設定される。
【0038】
次に、上述した変更対象BL制御エリアA及びその隣接BL制御エリアA'の輝度制御
値の変更を元に戻す。さらに、BL制御エリア点灯状態1041の白色で塗りつぶされた4つの変更対象BL制御エリアのうち、左下の変更対象BL制御エリアBを非点灯状態とし、非点灯状態とした変更対象BL制御エリアBの一つ下の隣接BL制御エリアB'を点
灯状態とする。
【0039】
これにより、BL制御エリア点灯状態1042はBL制御エリア点灯状態1043に変化する。隣接BL制御エリアB'には、ローカルディミング制御部101により計算され
たBL制御エリア点灯情報において変更対象BL制御エリアBに設定されていた輝度制御値が設定される。
【0040】
次に、上述した変更対象BL制御エリアB及びその隣接BL制御エリアB'の輝度制御
値の変更を元に戻す。さらに、BL制御エリア点灯状態1041の白色で塗りつぶされた4つの変更対象BL制御エリアのうち、左上の変更対象BL制御エリアCを非点灯状態とし、非点灯状態とした変更対象BL制御エリアCの一つ上の隣接BL制御エリアC'を点
灯状態とする。
【0041】
これによりBL制御エリア点灯状態1043はBL制御エリア点灯状態1044に変化する。隣接BL制御エリアC'には、ローカルディミング制御部101により計算された
BL制御エリア点灯情報において変更対象BL制御エリアCに設定されていた輝度制御値が設定される。
【0042】
次に、上述した変更対象BL制御エリアC及びその隣接BL制御エリアC'の輝度制御
値の変更を元に戻す。さらに、BL制御エリア点灯状態1041の白色で塗りつぶされた4つの変更対象BL制御エリアのうち、右上の変更対象BL制御エリアDを非点灯状態とし、非点灯状態とした変更対象BL制御エリアDの一つ上の隣接BL制御エリアD'を点
灯状態とする。
【0043】
これによりBL制御エリア点灯状態1044はBL制御エリア点灯状態1045に変化する。隣接BL制御エリアD'には、ローカルディミング制御部101により計算された
BL制御エリア点灯情報において変更対象BL制御エリアDに設定されていた輝度制御値が設定される。
【0044】
次に、上述した変更対象BL制御エリアD及びその隣接BL制御エリアD'の輝度制御
値の変更を元に戻すと共に、再び上述したBL制御エリア点灯状態1042にする。これにより、BL制御エリア点灯状態1045はBL制御エリア点灯状態1042に変化する。
【0045】
以下同様に、BL制御エリア点灯状態を図4に示すBL制御エリア点灯状態1042→1043→1044→1045→1042の順に変更する。これにより、変更対象BL制御エリアの輝度制御値を隣接BL制御エリアに移動させる制御を、1つの変更対象BL制御エリアずつ順々に行う。
BLエリア移動制御計算部103は、BL制御エリア点灯状態がこのように変化するような静止BL制御エリア移動制御を実現するためのBL制御エリア点灯変更情報を計算し、LED制御部104に出力する。
BL制御エリア点灯状態1042,1043,1044,及び1045の間の遷移は、
例えば、1フレーム毎、数フレーム毎、一定期間おき等に行う。
【0046】
変更対象BL制御エリアが、変更対象BL制御エリアの条件を満たす間、上述した静止BL制御エリア移動制御は継続して行われる。変更対象BL制御エリアの条件は、静止判定値Shが1、且つ、輝度制御値が明るさ判定値Jh以上、且つ、隣接BL制御エリアとの輝度制御値の差異が隣接輝度差判定値Kh以上、という条件である。
【0047】
なお、変更対象BL制御エリアに隣接するBL制御エリアが複数存在する場合、変更対象BL制御エリアの輝度制御値の移動先とする隣接BL制御エリアを、当該複数の隣接BL制御エリアのうちのいずれかに固定しても良い。或いは、変更対象BL制御エリアの輝度制御値の移動先とする隣接BL制御エリアを、当該複数の隣接BL制御エリア内で順次変更しても良い。或いは、変更対象BL制御エリアの輝度制御値の移動先とする隣接BL制御エリアを、輝度制御値の差異が隣接輝度差判定値Kh以上という条件を満たす隣接BL制御エリアに限定しても良い。
【0048】
このようにLEDライトの輝度劣化のばらつきが顕著になると判定されたBL制御エリアの輝度制御値を隣接するBL制御エリアに移動させて発光させることで、LEDライトの輝度劣化を複数のBL制御エリアで平均化させることが可能となる。これにより、LEDライトの輝度劣化のばらつきを低減することが可能となる。
【0049】
<静止BL制御エリア移動制御(その2)>
次に、静止BL制御エリアが複数存在する場合に、静止BL制御エリアの輝度制御値を複数エリア同時に変化させる静止BL制御エリア移動制御について図3及び図5に基づいて説明する。
図5は静止BL制御エリアの輝度制御値を変更した場合の、BL制御エリア点灯状態の変化を示す模式図である。
【0050】
ステップS1021及びステップS1022の処理内容は上述の静止BL制御エリア移動制御の場合と同じである。
ステップS1022で複数の変更対象BL制御エリアが抽出された場合、BLエリア移動制御計算部103は、ステップS1023に関して前述した変更対象BL制御エリアの輝度制御値の移動を、複数の変更対象BL制御エリアについて同時に行う。
【0051】
これにより、複数の変更対象BL制御エリアに設定されていた輝度制御値が、それぞれの変更対象BL制御エリアに隣接するBL制御エリアに、それぞれ同時に移動する。すなわち、複数の変更対象BL制御エリアそれぞれに設定されていた輝度制御値で、それぞれの変更対象BL制御エリアに隣接するBL制御エリアが点灯するように、BL制御エリア点灯状態を変更する。
BLエリア移動制御計算部103は、このような変更対象BL制御エリアの輝度制御値の移動を実現するためのBL制御エリア点灯変更情報を計算し、LED制御部104に出力する。
【0052】
図5のBL制御エリア点灯状態1052,1053,1054,及び1055はBL制御エリア点灯状態1051を起点として変更対象BL制御エリアの輝度制御値を2エリアずつ順々に隣接BL制御エリアに移動させた場合のBL制御エリアの点灯状態の変化を示す。
【0053】
まず、BL制御エリア点灯状態1051の白色で塗りつぶされた4つの変更対象BL制御エリアのうち、右上の変更対象BL制御エリアDと右下の変更対象BL制御エリアAを非点灯状態とする。また、右上の非点灯状態とした変更対象BL制御エリアDの一つ上の
隣接BL制御エリアD'を点灯状態とし、右下の非点灯状態とした変更対象BL制御エリ
アAの一つ下の隣接BL制御エリアA'を点灯状態とする。
【0054】
これにより、BL制御エリア点灯状態1051はBL制御エリア点灯状態1052に変化する。隣接BL制御エリアA',D'には、ローカルディミング制御部101により計
算されたBL制御エリア点灯情報において変更対象BL制御エリアA,Dに設定されていた輝度制御値がそれぞれ設定される。
【0055】
次に、上述した変更対象BL制御エリアA,D及びその隣接BL制御エリアA',D'
の輝度制御値の変更を元に戻す。さらに、BL制御エリア点灯状態1051の白色で塗りつぶされた4つの変更対象BL制御エリアのうち、左上の変更対象BL制御エリアCと左下の変更対象BL制御エリアBを非点灯状態とする。
また、左上の非点灯状態とした変更対象BL制御エリアCの一つ上の隣接BL制御エリアC'を点灯状態とし、左下の非点灯状態とした変更対象BL制御エリアBの一つ下の隣
接BL制御エリアB'を点灯状態とする。
【0056】
これにより、BL制御エリア点灯状態1052はBL制御エリア点灯状態1053に変化する。隣接BL制御エリアB',C'には、ローカルディミング制御部101により計
算されたBL制御エリア点灯情報において変更対象BL制御エリアB,Cに設定されていた輝度制御値がそれぞれ設定される。
【0057】
次に、上述した変更対象BL制御エリアB,C及びその隣接BL制御エリアB',C'
の輝度制御値の変更を元に戻す。さらに、BL制御エリア点灯状態1051の白色で塗りつぶされた4つの変更対象BL制御エリアのうち、左上の変更対象BL制御エリアCと右上の変更対象BL制御エリアDを非点灯状態とする。
また、左上の非点灯状態とした変更対象BL制御エリアCの一つ左の隣接BL制御エリアC''を点灯状態とし、右上の非点灯状態とした変更対象BL制御エリアDの一つ右の
隣接BL制御エリアD''を点灯状態とする。
【0058】
これにより、BL制御エリア点灯状態1053はBL制御エリア点灯状態1054に変化する。隣接BL制御エリアC'',D''には、ローカルディミング制御部101によ
り計算されたBL制御エリア点灯情報において変更対象BL制御エリアC,Dに設定されていた輝度制御値がそれぞれ設定される。
【0059】
次に、上述した変更対象BL制御エリアC,D及びその隣接BL制御エリアC'',D
''の輝度制御値の変更を元に戻す。さらに、BL制御エリア点灯状態1051の白色で
塗りつぶされた4つの変更対象BL制御エリアのうち、左下の変更対象BL制御エリアBと右下の変更対象BL制御エリアAを非点灯状態とする。
また、左下の非点灯状態とした変更対象BL制御エリアBの一つ左の隣接BL制御エリアB''を点灯状態とし、右下の非点灯状態とした変更対象BL制御エリアAの一つ右の
隣接BL制御エリアA''を点灯状態とする。
【0060】
これにより、BL制御エリア点灯状態1054はBL制御エリア点灯状態1055に変化する。隣接BL制御エリアB'',A''には、ローカルディミング制御部101によ
り計算されたBL制御エリア点灯情報において変更対象BL制御エリアB,Aに設定されていた輝度制御値がそれぞれ設定される。
【0061】
次に、上述した変更対象BL制御エリアB,A及びその隣接BL制御エリアB'',A
''の輝度制御値の変更を元に戻すと共に、再び上述したBL制御エリア点灯状態105
2にする。これにより、BL制御エリア点灯状態1055はBL制御エリア点灯状態10
52に変化する。
【0062】
以下同様に、BL制御エリア点灯状態を図5に示すBL制御エリア点灯状態1052→1053→1054→1055→1052の順に変更する。これにより、変更対象BL制御エリアの輝度制御値を隣接BL制御エリアに移動させる制御を、複数の変更対象BL制御エリアについて同時に行う。
BLエリア移動制御計算部103は、BL制御エリア点灯状態がこのように変化するような静止BL制御エリア移動制御を実現するためのBL制御エリア点灯変更情報を計算し、LED制御部104に出力する。
BL制御エリア点灯状態1052,1053,1054,及び1055の間の遷移は、例えば、1フレーム毎、数フレーム毎、一定期間おき等に行う。
【0063】
変更対象BL制御エリアが、変更対象BL制御エリアの条件を満たす間、上述した静止BL制御エリア移動制御は継続して行われる。変更対象BL制御エリアの条件は、静止判定値Shが1、且つ、輝度制御値が明るさ判定値Jh以上、且つ、隣接BL制御エリアとの輝度制御値の差異が隣接輝度差判定値Kh以上、という条件である。
【0064】
なお、変更対象BL制御エリアに隣接するBL制御エリアが複数存在する場合、変更対象BL制御エリアの輝度制御値の移動先とする隣接BL制御エリアを、当該複数の隣接BL制御エリアのうちのいずれかに固定しても良い。或いは、変更対象BL制御エリアの輝度制御値の移動先とする隣接BL制御エリアを、当該複数の隣接BL制御エリア内で順次変更しても良い。或いは、変更対象BL制御エリアの輝度制御値の移動先とする隣接BL制御エリアを、輝度制御値の差異が隣接輝度差判定値Kh以上という条件を満たす隣接BL制御エリアに限定しても良い。
【0065】
このように変更対象BL制御エリアが複数ある場合に、複数のうちの一部(上記の例では4つのうち2つ)の変更対象BL制御エリアからなるグループ(静止分割領域群に対応する)を規定する。そして、輝度制御値を変更する変更対象BL制御エリアのグループを、複数の変更対象BL制御エリアに基づき規定可能な複数のグループのうちで1つずつ順次変更していく。
【0066】
静止BL制御エリア移動制御において複数個の変更対象BL制御エリアの輝度制御値を同時に隣接BL制御エリアに移動して発光させることにより、LEDライトの輝度劣化を複数のBL制御エリアで平均化させることが可能となる。これにより、LEDライトの輝度劣化のばらつきを低減することが可能となる。
【0067】
LED制御部104は、BLエリア移動制御計算部103から入力されたBL制御エリア点灯変更情報に基づき、LED部105に対して電流を流しLEDライトを発光させる。LED制御部104は、本発明の発光制御手段として機能している。
【0068】
LED部105は、LED制御部104から出力されるBL制御エリア毎に決められた電流値で発光する。
【0069】
表示部106は、入力された映像信号の表示を行う。表示部106は、映像信号と、BLエリア移動制御計算部103から入力されるBL制御エリア点灯変更情報と、に基づき、各BL制御エリアに対応する液晶素子に印加する駆動電圧を調節する。
【0070】
以上のように、実施例1の画像表示装置1は、BL制御エリア毎の輝度制御値の変化に基づき、輝度制御値の時間変化が小さく輝度劣化ばらつきが発生し易い静止BL制御エリアを検出する。そして、検出した静止BL制御エリアの輝度制御値を隣接するBL制御エ
リアの輝度制御値として設定することで、静止BL制御エリアの輝度制御値を隣接BL制御エリアに移動させる。
【0071】
これにより、静止BL制御エリアと隣接BL制御エリアとの輝度劣化が平均化されるので、LEDライトの輝度劣化のばらつきの発生を低減することが可能となる。
また、変更対象BL制御エリアは当初設定されていた輝度制御値と異なる輝度制御値で発光することになるものの、当該変更対象BL制御エリアに隣接するBL制御エリアが当該変更対象BL制御エリアに当初設定されていた輝度制御値で発光する。そのため、変更対象BL制御エリアに対応する表示領域に表示される画像(静止領域)の表示輝度の変化が抑制され、画像の見え方に違和感を生じることを抑制することが可能になる。本実施例の静止BL制御エリア移動制御によれば、高輝度かつ輝度変動が小さくかつ低輝度領域に隣接する静止領域を含む画像を、例えば全画面表示する場合も、画像の見え方に違和感を生じることを抑えつつバックライトの輝度劣化のばらつきを抑制できる。従って、ローカルディミング制御が可能なバックライトを有する画像表示装置において、輝度むらや色むらを抑えることができるとともに、画像の静止領域を好適に表示することが可能になる。
【0072】
なお、静止BL制御エリアの輝度制御値を隣接BL制御エリアへ移動させる方法は、上述した方法に限らない。輝度制御値の時間変化が小さい静止BL制御エリアを非点灯状態とし、それに隣接するBL制御エリアを点灯状態とする制御であれば、静止BL制御エリアと隣接BL制御エリアとで輝度劣化が平均化されるため、本発明の課題が解決される。
【0073】
静止BL制御エリアに隣接するBL制御エリアに当初設定されていた発光状態が非点灯状態ではない場合は、静止BL制御エリアを非点灯状態とする代わりに、当該隣接BL制御エリアの点灯状態で静止BL制御エリアを点灯させるようにしても良い。
【0074】
(実施例2)
実施例2では、BL制御エリア点灯状態を変化させる前後での変更対象BL制御エリアの輝度値の差異を所定の閾値Nh(以下、輝度変動許容値という)以下(許容値以下)にすることができる静止BL制御エリア移動制御について説明する。輝度変動許容値Nhは、ユーザにとって許容可能な輝度値の変化量の基準値であり、実験等により予め定められる固定値であっても良いし、ユーザによって調整可能な可変値であっても良い。また、実施例2では、あるBL制御エリアの発光が周辺のBL制御エリアの輝度値に与える影響(拡散光の影響)を考慮して静止BL制御エリア移動制御を行う方法について説明する。
【0075】
図6は本実施例の画像表示装置の構成を示したブロック図である。
図6の画像表示装置2と実施例1の画像表示装置1との違いは、BL拡散発光エリア計算部107が追加された点と、BLエリア拡散移動制御計算部108がLED制御部104及び表示部106へのBL制御エリア点灯変更情報の出力を行う点である。
【0076】
以上のように構成された画像表示装置2について、以下で実施例1の画像表示装置1との違いを中心に説明する。本実施例では、ローカルディミング制御部101には、実施例1と同様の図2に示す映像信号が入力されるものとする。またローカルディミング制御部101、静止BL制御エリア検出部102は実施例1と同じ動作のため説明を省略する。
【0077】
BL拡散発光エリア計算部107は、ローカルディミング制御部101で計算されたBL制御エリア点灯情報に基づき、点灯するBL制御エリアの拡散光輝度値情報を計算する。拡散光輝度値情報とは、点灯しているBL制御エリアからの拡散光が周辺のBL制御エリアに及ぼす影響を加味して計算されるBL制御エリア毎の輝度値の情報である。BL拡散発光エリア計算部107は、本発明の算出手段として機能している。
【0078】
点灯しているBL制御エリアからの拡散光の影響を加味してBL制御エリア毎の輝度値を計算する方法について、図7のフローチャート及び図8の模式図を用いて説明する。
図7は点灯しているBL制御エリアからの拡散光の影響を加味してBL制御エリア毎の輝度値を計算する手順を示したフローチャートである。
図8は点灯しているBL制御エリアからの拡散光の影響を加味してBL制御エリア毎の輝度値を計算する方法を表す模式図である。
【0079】
まず、ステップS2001にて、BL拡散発光エリア計算部107は、ローカルディミング制御部101から入力されたBL制御エリア点灯情報に基づき、点灯しているBL制御エリア(以下、点灯BL制御エリアという)を抽出し、ステップS2002に移行する。ここでは、図4のBL制御エリア点灯状態1041に示すBL制御エリアA,B,C,及びDが、BL拡散発光エリア計算部107により抽出された点灯BL制御エリアであるとする。
【0080】
次に、ステップS2002にて、BL拡散発光エリア計算部107は、ステップS2001で抽出した点灯BL制御エリア毎に隣接BL制御エリアに影響を与える拡散光の輝度値を計算する。
点灯BL制御エリア毎に拡散光の輝度値を計算する方法について図8を用いて説明する。
【0081】
図8(b)は抽出した4つの点灯BL制御エリアのうち左上のBL制御エリアCのみが点灯しているBL制御エリア点灯状態を示す模式図である。
図8(a)は、点灯BL制御エリアCからの拡散光の影響を加味してBL拡散発光エリア計算部107が計算した、図8(b)の破線2011上のBL制御エリアの輝度値を示した図である。
図8(a)に示すように、点灯BL制御エリアCからの拡散光を加味したBL制御エリアの輝度値は、点灯BL制御エリアCが最も大きく、点灯BL制御エリアCから離れるほど小さくなる。図8(b)に示すように、点灯BL制御エリアCの周辺のBL制御エリアは、非点灯状態だが、点灯BL制御エリアCからの拡散光の影響で輝度値はゼロではない。
【0082】
このようにして、BL拡散発光エリア計算部107は、1つのBL制御エリアのみが点灯しているBL制御エリア点灯状態(以下、単点灯状態という)を仮定して、当該点灯BL制御エリアからの拡散光の影響を加味して、各BL制御エリアの輝度値を計算する。このようにして計算されたBL制御エリアの輝度値を、以下、拡散光輝度値という。図8(a)は図8(b)の破線2011上のBL制御エリアの輝度値のみを示しているが、BL拡散発光エリア計算部107は、全てのBL制御エリアの輝度値を計算する。
【0083】
点灯BL制御エリアが複数存在する場合、BL拡散発光エリア計算部107は、各点灯BL制御エリアについて単点灯状態を仮定した拡散光輝度値の計算を行う。ここでは、BL拡散発光エリア計算部107は、上述した点灯BL制御エリアC以外の残り3つの点灯BL制御エリアA,B,及びDについても同様に、各点灯BL制御エリアの単点灯状態を仮定して拡散光輝度値の計算を行う。
【0084】
図8(d)は、4つの点灯BL制御エリアのうち右上のBL制御エリアDのみが点灯している単点灯状態を示す模式図である。図8(c)は、図8(d)に示す単点灯状態を仮定して、点灯BL制御エリアDからの拡散光の影響を加味して計算された、破線2012上のBL制御エリアの拡散光輝度値を示した図である。
【0085】
図8(f)は、4つの点灯BL制御エリアのうち左下のBL制御エリアBのみが点灯し
ている単点灯状態を示す模式図である。図8(e)は、図8(f)に示す単点灯状態を仮定して、点灯BL制御エリアBからの拡散光の影響を加味して計算された、破線2013上のBL制御エリアの拡散光輝度値を示した図である。
【0086】
図8(h)は、4つの点灯BL制御エリアのうち右下のBL制御エリアAのみが点灯している単点灯状態を示す模式図である。図8(g)は、図8(h)に示す単点灯状態を仮定して、点灯BL制御エリアAからの拡散光の影響を加味して計算された、破線2014上のBL制御エリアの拡散光輝度値を示した図である。
【0087】
全ての点灯BL制御エリアについて、単点灯状態を仮定した拡散光輝度値を計算したら、BL拡散発光エリア計算部107は、ステップS2003に移行する。
【0088】
次に、ステップS2003では、BL拡散発光エリア計算部107は、ステップS2002で計算した全ての点灯BL制御エリアの拡散光輝度値をBL制御エリア毎に加算する。これにより、4つの点灯BL制御エリアが同時に点灯したBL制御エリア点灯状態での各BL制御エリアの輝度値を計算する。
【0089】
図8(j)は4つの点灯BL制御エリアが全て点灯しているBL制御エリア点灯状態を示す模式図である。図8(i)は、図8(j)に示すBL制御エリア点灯状態における破線2015上のBL制御エリアの拡散光輝度値を示した図である。
図8(i)に示すように、図8(a),(c),(e),及び(g)に示す、4つのBL制御エリアのそれぞれの単点灯状態を仮定して計算した拡散光輝度値を加算したものが、4つのBL制御エリア全てが点灯した場合の各BL制御エリアの輝度値となる。
【0090】
次にステップS2004では、BL拡散発光エリア計算部107は、ステップS2003で計算した各BL制御エリアの輝度値の情報をBLエリア拡散移動制御計算部108へ出力する。
【0091】
BLエリア拡散移動制御計算部108は、BL拡散発光エリア計算部107から入力された各BL制御エリアの輝度値の情報と、静止BL制御エリア検出部102から入力された各BL制御エリアの静止判定値Shと、に基づきBL制御エリア点灯変更情報を計算する。
BLエリア拡散移動制御計算部108は、静止BL制御エリア移動制御によりBL制御エリア点灯情報を変化させる前後での変更対象BL制御エリアの輝度値の差異が輝度変動許容値Nh以下となるように、BL制御エリア点灯変更情報を計算する。
【0092】
このBL制御エリア点灯変更情報の計算方法について図9の模式図を用いて説明する。ここでは、図4のBL制御エリア点灯状態1041に示す4つのBL制御エリアA,B,C,及びDが変更対象BL制御エリアと判定されたBL制御エリアであるとする。
【0093】
図9は、ローカルディミング制御部101が計算したBL制御エリア点灯情報に基づきBL制御エリアを点灯させた場合と、そのBL制御エリア点灯情報を変化させてBL制御エリアを点灯させた場合と、の点灯状態及び輝度値の変化を示す図である。
【0094】
図9(e),(k),及び(q)は、ローカルディミング制御部101が計算したBL制御エリア点灯情報に基づくBL制御エリア点灯状態(以下、変更前BL制御エリア点灯状態という)を示す図である。
図9(f),(l),及び(r)は、ローカルディミング制御部101が計算したBL制御エリア点灯情報を変化させた場合のBL制御エリア点灯状態(以下、変更後BL制御エリア点灯状態という)を示す図である。
【0095】
まず、図9(e)に示す変更前BL制御エリア点灯状態におけるBL制御エリアの輝度値を計算する。
図9(a)は、図9(e)に示す変更前BL制御エリア点灯状態における破線2031上のBL制御エリアの輝度値を示す。
図9(c)は、図9(e)に示す変更前BL制御エリア点灯状態における破線2032上のBL制御エリアの輝度値を示す。
【0096】
次に、図9(e)に示す4つの変更対象BL制御エリアのうち右上の変更対象BL制御エリアDを非点灯状態とした場合の、この4つの変更対象BL制御エリアの輝度値の変化を計算する。
図9(f)は、4つの変更対象BL制御エリアのうち右上の変更対象BL制御エリアDを非点灯状態とした場合の変更後BL制御エリア点灯状態を示す図である。
図9(b)は、図9(f)に示す変更後BL制御エリア点灯状態における破線2033上のBL制御エリアの輝度値を示す。
図9(d)は、図9(f)に示す変更後BL制御エリア点灯状態における破線2034上のBL制御エリアの輝度値を示す。
【0097】
図9(b)及び(d)に示すように、変更後BL制御エリア点灯状態を図9(f)のようにすると、BL制御エリア点灯状態の変更前後での変更対象BL制御エリアA,C,及びDの輝度値の変化が輝度変動許容値Nhを超えることになる。
【0098】
そこで、以下に示すBL制御エリア点灯計算処理を行い、BL制御エリア点灯状態の変更前後での4つの変更対象BL制御エリアの輝度値の変化が輝度変動許容値Nh以下となるような変更後BL制御エリア点灯状態を求める。
【0099】
まず、図9(f)に示すBL制御エリア点灯状態に対し、点灯するBL制御エリアを一つ追加したBL制御エリア点灯状態について計算する。
図9(l)は、図9(f)に示すBL制御エリア点灯状態において非点灯状態とした右上のBL制御エリアDの一つ上の隣接BL制御エリアD'を点灯させたBL制御エリア点
灯状態を示す。
【0100】
図9(k)に示す変更前BL制御エリア点灯状態を、図9(l)に示す変更後BL制御エリア点灯状態に変化させた場合の、4つの変更対象BL制御エリアの輝度値の変化を計算する。
図9(h)は、図9(l)に示す変更後BL制御エリア点灯状態における破線2037上のBL制御エリアの輝度値を示す。
図9(j)は、図9(l)に示す変更後BL制御エリア点灯状態における破線2038上のBL制御エリアの輝度値を示す。
【0101】
図9(h)及び(j)に示すように、変更後BL制御エリア点灯状態を図9(l)のようにすると、BL制御エリア点灯状態の変更前後での変更対象BL制御エリアDの輝度値の変化が輝度変動許容値Nhを超えることになる。
【0102】
そこで、さらにBL制御エリア点灯計算処理を行い、BL制御エリア点灯状態の変更前後での4つの変更対象BL制御エリアの輝度値の変化が輝度変動許容値Nh以下となるような変更後BL制御エリア点灯状態を求める。
【0103】
次に、図9(l)に示すBL制御エリア点灯状態に対し、点灯するBL制御エリアを一つ追加したBL制御エリア点灯状態について計算する。
図9(r)は、図9(l)に示すBL制御エリア点灯状態において非点灯状態とした右上のBL制御エリアDの一つ右の隣接BL制御エリアD''を点灯させたBL制御エリア
点灯状態を示す。
【0104】
図9(q)に示す変更前BL制御エリア点灯状態を、図9(r)に示す変更後BL制御エリア点灯状態に変化させた場合の、4つの変更対象BL制御エリアの輝度値の変化を計算する。
図9(n)は、図9(r)に示す変更後BL制御エリア点灯状態における破線2041上のBL制御エリアの輝度値を示す。
図9(p)は、図9(r)に示す変更後BL制御エリア点灯状態における破線2042上のBL制御エリアの輝度値を示す。
【0105】
図9(n)及び(p)に示すように、変更後BL制御エリア点灯状態を図9(r)のようにすると、BL制御エリア点灯状態の変更前後での4つの変更対象BL制御エリアすべての輝度値の変化が輝度変動許容値Nh以下となる。
【0106】
従って、BL制御エリア点灯状態を図9(q)から図9(r)に変化させるように静止BL制御エリア移動制御を行うことにより、BL制御エリア点灯状態の変更前後での変更対象BL制御エリアの輝度値の変化が許容範囲内になるようにすることができる。
このようにして、BL制御エリア点灯状態の変更前後での変更対象BL制御エリアの輝度値の変化が輝度変動許容値Nh以下となるような変更後BL制御エリア点灯状態が求まる。
以上で、変更対象BL制御エリアDを非点灯状態とし、且つ、全ての変更対象BL制御エリアの輝度値の変化を許容範囲内にすることができるBL制御エリア点灯変更情報の計算が終了する。
【0107】
BLエリア拡散移動制御計算部108は、以上のようにして計算した、BL制御エリア点灯変更情報を、LED制御部104に対して出力する。
【0108】
BLエリア拡散移動制御計算部108は、4つの変更対象BL制御エリアそれぞれについて、変更対象BL制御エリアを非点灯状態とし、且つ、全ての変更対象BL制御エリアの輝度値の変化を許容範囲内にすることができるBL制御エリア点灯変更情報を計算する。
【0109】
図10及び図11は、ローカルディミング制御部101が計算したBL制御エリア点灯情報に基づきBL制御エリアを点灯させた場合と、そのBL制御エリア点灯情報を変化させてBL制御エリアを点灯させた場合と、の点灯状態及び輝度値の変化を示す図である。
【0110】
図10(e),(k),図11(q),(w)は、ローカルディミング制御部101が計算したBL制御エリア点灯情報に基づくBL制御エリア点灯状態(変更前BL制御エリア点灯状態)を示す図である。
図10(f),(l),図11(r),(x)は、ローカルディミング制御部101が計算したBL制御エリア点灯情報を変化させた場合のBL制御エリア点灯状態(変更後BL制御エリア点灯状態)を示す図である。
【0111】
まず、4つの変更対象BL制御エリアのうち右上の変更対象BL制御エリアDを消灯させる静止BL制御エリア移動制御を行う場合について説明する。
図10(e)に示す変更前BL制御エリア点灯状態におけるBL制御エリアの輝度値を計算する。
図10(a)は、図10(e)に示す変更前BL制御エリア点灯状態における破線20
51上のBL制御エリアの輝度値を示す。
図10(c)は、図10(e)に示す変更前BL制御エリア点灯状態における破線2052上のBL制御エリアの輝度値を示す。
【0112】
図10(f)に示す変更後BL制御エリア点灯状態におけるBL制御エリアの輝度値を計算する。図10(f)に示す変更後BL制御エリア点灯状態は、図9で説明したような計算過程によりBLエリア拡散移動制御計算部108により算出されたBL制御エリア点灯変更情報により実現されるBL制御エリア点灯状態である。
図10(b)は、図10(f)に示す変更後BL制御エリア点灯状態における破線2053上のBL制御エリアの輝度値を示す。
図10(d)は、図10(f)に示す変更後BL制御エリア点灯状態における破線2054上のBL制御エリアの輝度値を示す。
【0113】
図10(b)及び(d)に示すように、変更後BL制御エリア点灯状態を図10(f)のようにすると、BL制御エリア点灯状態の変更前後での4つの変更対象BL制御エリアすべての輝度値の変化が輝度変動許容値Nh以下となる。
従って、変更対象BL制御エリアDを消灯させる場合、BL制御エリア点灯状態を図10(e)から図10(f)に変化させるように静止BL制御エリア移動制御を行う。これにより、BL制御エリア点灯状態の変更前後での変更対象BL制御エリアの輝度値の変化が許容範囲内になるようにすることができる。
【0114】
次に、4つの変更対象BL制御エリアのうち右下の変更対象BL制御エリアAを消灯させる静止BL制御エリア移動制御を行う場合について説明する。
図10(k)に示す変更前BL制御エリア点灯状態におけるBL制御エリアの輝度値を計算する。
図10(g)は、図10(k)に示す変更前BL制御エリア点灯状態における破線2055上のBL制御エリアの輝度値を示す。
図10(i)は、図10(k)に示す変更前BL制御エリア点灯状態における破線2056上のBL制御エリアの輝度値を示す。
【0115】
図10(l)に示す変更後BL制御エリア点灯状態におけるBL制御エリアの輝度値を計算する。図10(l)に示す変更後BL制御エリア点灯状態は、図9で説明したような計算過程によりBLエリア拡散移動制御計算部108により算出されたBL制御エリア点灯変更情報により実現されるBL制御エリア点灯状態である。
図10(h)は、図10(l)に示す変更後BL制御エリア点灯状態における破線2057上のBL制御エリアの輝度値を示す。
図10(j)は、図10(l)に示す変更後BL制御エリア点灯状態における破線2058上のBL制御エリアの輝度値を示す。
【0116】
図10(h)及び(j)に示すように、変更後BL制御エリア点灯状態を図10(l)のようにすると、BL制御エリア点灯状態の変更前後での4つの変更対象BL制御エリアすべての輝度値の変化が輝度変動許容値Nh以下となる。
従って、変更対象BL制御エリアAを消灯させる場合、BL制御エリア点灯状態を図10(k)から図10(l)に変化させるように静止BL制御エリア移動制御を行う。これにより、BL制御エリア点灯状態の変更前後での変更対象BL制御エリアの輝度値の変化が許容範囲内になるようにすることができる。
【0117】
次に、4つの変更対象BL制御エリアのうち左下の変更対象BL制御エリアBを消灯させる静止BL制御エリア移動制御を行う場合について説明する。
図11(q)に示す変更前BL制御エリア点灯状態におけるBL制御エリアの輝度値を
計算する。
図11(m)は、図11(q)に示す変更前BL制御エリア点灯状態における破線2059上のBL制御エリアの輝度値を示す。
図11(o)は、図11(q)に示す変更前BL制御エリア点灯状態における破線2060上のBL制御エリアの輝度値を示す。
【0118】
図11(r)に示す変更後BL制御エリア点灯状態におけるBL制御エリアの輝度値を計算する。図11(r)に示す変更後BL制御エリア点灯状態は、図9で説明したような計算過程によりBLエリア拡散移動制御計算部108により算出されたBL制御エリア点灯変更情報により実現されるBL制御エリア点灯状態である。
図11(n)は、図11(r)に示す変更後BL制御エリア点灯状態における破線2061上のBL制御エリアの輝度値を示す。
図11(p)は、図11(r)に示す変更後BL制御エリア点灯状態における破線2062上のBL制御エリアの輝度値を示す。
【0119】
図11(n)及び(p)に示すように、変更後BL制御エリア点灯状態を図11(r)のようにすると、BL制御エリア点灯状態の変更前後での4つの変更対象BL制御エリアすべての輝度値の変化が輝度変動許容値Nh以下となる。
従って、変更対象BL制御エリアBを消灯させる場合、BL制御エリア点灯状態を図11(q)から図11(r)に変化させるように静止BL制御エリア移動制御を行う。これにより、BL制御エリア点灯状態の変更前後での変更対象BL制御エリアの輝度値の変化が許容範囲内になるようにすることができる。
【0120】
次に、4つの変更対象BL制御エリアのうち左下の変更対象BL制御エリアCを消灯させる静止BL制御エリア移動制御を行う場合について説明する。
図11(w)に示す変更前BL制御エリア点灯状態におけるBL制御エリアの輝度値を計算する。
図11(s)は、図11(w)に示す変更前BL制御エリア点灯状態における破線2063上のBL制御エリアの輝度値を示す。
図11(u)は、図11(w)に示す変更前BL制御エリア点灯状態における破線2064上のBL制御エリアの輝度値を示す。
【0121】
図11(x)に示す変更後BL制御エリア点灯状態におけるBL制御エリアの輝度値を計算する。図11(x)に示す変更後BL制御エリア点灯状態は、図9で説明したような計算過程によりBLエリア拡散移動制御計算部108により算出されたBL制御エリア点灯変更情報により実現されるBL制御エリア点灯状態である。
図11(t)は、図11(x)に示す変更後BL制御エリア点灯状態における破線2065上のBL制御エリアの輝度値を示す。
図11(v)は、図11(x)に示す変更後BL制御エリア点灯状態における破線2066上のBL制御エリアの輝度値を示す。
【0122】
図11(t)及び(v)に示すように、変更後BL制御エリア点灯状態を図11(x)のようにすると、BL制御エリア点灯状態の変更前後での4つの変更対象BL制御エリアすべての輝度値の変化が輝度変動許容値Nh以下となる。
従って、変更対象BL制御エリアCを消灯させる場合、BL制御エリア点灯状態を図11(w)から図11(x)に変化させるように静止BL制御エリア移動制御を行う。これにより、BL制御エリア点灯状態の変更前後での変更対象BL制御エリアの輝度値の変化が許容範囲内になるようにすることができる。
【0123】
BLエリア拡散移動制御計算部108は、変更対象BL制御エリアA,B,C,及びD
のそれぞれを消灯させる場合のBL制御エリア点灯変更情報を、変更後BL制御エリア点灯状態が図10(l)、図11(r)、(x)、及び図10(f)になるように計算する。
このようにして計算されるBL制御エリア点灯変更情報に基づき静止BL制御エリア移動制御を行うことにより、変更対象BL制御エリアの輝度変化を許容範囲に抑えながら、LEDライトの輝度劣化のばらつきを低減することが可能となる。
【0124】
実施例2の画像表示装置2は、BL制御エリア毎の輝度制御値の変化に基づき、輝度制御値の時間変化が小さく輝度劣化ばらつきが発生し易い静止BL制御エリアを検出する。そして、検出した静止BL制御エリアの輝度制御値を隣接するBL制御エリアの輝度制御値として設定することで、静止BL制御エリアの輝度制御値を隣接BL制御エリアに移動させる。これにより、静止BL制御エリアと隣接BL制御エリアとの輝度劣化が平均化されるので、LEDライトの輝度劣化のばらつきの発生を低減することが可能となる。また、検出した静止BL制御エリアの輝度制御値は変更されるものの、それに隣接するBL制御エリアが静止BL制御エリアに当初設定されていた輝度制御値で発光するので、静止BL制御エリアに対応する表示領域の画像(静止領域)の表示輝度の変化を抑制できる。従って、静止領域を含む画像の見え方に違和感を生じることを抑制することが可能になる。
【0125】
なお、変更後BL制御エリア点灯状態は前述した図10及び図11の例に限らない。BL制御エリア点灯状態の変更前後での変更対象BL制御エリアの輝度値の変化が輝度変動許容値Nh以下となるような変更後BL制御エリア点灯状態であれば、本実施例と同様の効果を奏する。
【符号の説明】
【0126】
101 ローカルディミング制御部、102 静止BL制御エリア検出部、103 BLエリア移動制御計算部、104 LED制御部、105 LED部、106 表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のLEDライトを有するバックライトと、
前記バックライトからの光の透過率を変化させる複数の画素を有する表示パネルと、
を有し、前記バックライトは、前記表示パネルの表示領域を分割する複数の分割領域のそれぞれに対応して1以上のLEDライトが配置されて構成されている画像表示装置であって、
入力される映像信号に応じて前記LEDライトの発光輝度値を前記分割領域毎に設定する設定手段と、
前記設定手段で設定される前記分割領域毎のLEDライトの発光輝度値の履歴に基づき、発光輝度値の変動幅が所定の閾値以下である状態が所定期間以上継続したLEDライトに対応する分割領域である静止分割領域を検出する検出手段と、
静止分割領域のLEDライトの発光輝度値を、前記設定手段が当該静止分割領域のLEDライトに設定していた発光輝度値との差異が前記閾値より大きい発光輝度値に変更するとともに、当該静止分割領域に隣接する分割領域であって前記検出手段により静止分割領域として検出されていない分割領域のLEDライトの発光輝度値を、前記設定手段が当該静止分割領域のLEDライトに設定した発光輝度値に変更する変更手段と、
前記検出手段により静止分割領域が検出された場合、当該静止分割領域及びそれに隣接する前記分割領域のLEDライトを前記変更手段により変更された発光輝度値で発光させるとともに、それ以外の分割領域のLEDライトを前記設定手段により設定された発光輝度値で発光させる発光制御手段と、
を有する画像表示装置。
【請求項2】
前記変更手段は、前記検出手段により検出された静止分割領域のうち、その静止分割領域のLEDライトに設定される発光輝度値が所定の明るさ判定値以上、且つ、その静止分割領域のLEDライトに設定される発光輝度値とその静止分割領域に隣接する分割領域のLEDライトに設定される発光輝度値との差分が所定の隣接輝度差判定値以上、という条件を満たす静止分割領域のLEDライトの発光輝度値を変更する請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項3】
前記変更手段は、前記条件を満たす静止分割領域のLEDライトを消灯させるよう前記静止分割領域のLEDライトの発光輝度値を変更する請求項2に記載の画像表示装置。
【請求項4】
ある分割領域のLEDライトの発光が他の分割領域へ拡散することによる他の分割領域の輝度値への影響を加味して分割領域毎の輝度値を算出する算出手段を有し、
前記変更手段は、前記設定手段により設定される各分割領域のLEDライトの発光輝度値に基づき前記算出手段が算出する前記静止分割領域の輝度値と、前記静止分割領域及びそれに隣接する分割領域のLEDライトの発光輝度値を変更した場合の各分割領域のLEDライトの発光輝度値に基づき前記算出手段が算出する前記静止分割領域の輝度値と、の差異が所定の許容値以下になるように、前記静止分割領域及びそれに隣接する分割領域の変更後の発光輝度値を決定する請求項1から3のいずれか1項に記載の画像表示装置。
【請求項5】
前記検出手段により検出された静止分割領域が複数ある場合、前記変更手段は、複数のうちいずれか一の静止分割領域に対応するLEDライトについてのみ前記発光輝度値の変更を行うとともに、前記発光輝度値の変更の対象となるLEDライトに対応する静止分割領域を前記複数のうちで1つずつ順次変更していく請求項1から4のいずれか1項に記載の画像表示装置。
【請求項6】
前記検出手段により検出された静止分割領域が複数ある場合、前記変更手段は、複数のうち一部の静止分割領域からなる静止分割領域群に対応するLEDライトについてのみ前
記発光輝度値の変更を行うとともに、前記発光輝度値の変更の対象となるLEDライトに対応する静止分割領域群を前記複数の静止分割領域に基づき規定可能な複数の静止分割領域群のうちで1つずつ順次変更していく請求項1から4のいずれか1項に記載の画像表示装置。
【請求項7】
前記検出手段は、前記設定手段により設定される分割領域毎の発光輝度値の情報を所定の時間間隔で保存し、発光輝度値の保存を行うたびに、当該保存した発光輝度値の情報を前回保存した発光輝度値の情報と比較することにより、分割領域毎に発光輝度値の変動幅を取得する請求項1から6のいずれか1項に記載の画像表示装置。
【請求項8】
前記検出手段は、前記設定手段により設定される分割領域毎の発光輝度値の情報を所定の時間間隔で保存し、保存された時刻が一定時間離れている発光輝度値の情報を読み出し、読み出した発光輝度値の情報を比較することにより、分割領域毎に発光輝度値の変動幅を取得する請求項1から6のいずれか1項に記載の画像表示装置。
【請求項9】
複数のLEDライトを有するバックライトと、
前記バックライトからの光の透過率を変化させる複数の画素を有する表示パネルと、
を有し、前記バックライトは、前記表示パネルの表示領域を分割する複数の分割領域のそれぞれに対応して1以上のLEDライトが配置されて構成されている画像表示装置の制御方法であって、
入力される映像信号に応じて前記LEDライトの発光輝度値を前記分割領域毎に設定する設定工程と、
前記設定工程で設定される前記分割領域毎のLEDライトの発光輝度値の履歴に基づき、発光輝度値の変動幅が所定の閾値以下である状態が所定期間以上継続したLEDライトに対応する分割領域である静止分割領域を検出する検出工程と、
静止分割領域のLEDライトの発光輝度値を、前記設定工程が当該静止分割領域のLEDライトに設定していた発光輝度値との差異が前記閾値より大きい発光輝度値に変更するとともに、当該静止分割領域に隣接する分割領域であって前記検出工程により静止分割領域として検出されていない分割領域のLEDライトの発光輝度値を、前記設定工程で当該静止分割領域のLEDライトに設定した発光輝度値に変更する変更工程と、
前記検出工程により静止分割領域が検出された場合、当該静止分割領域及びそれに隣接する前記分割領域のLEDライトを前記変更工程により変更された発光輝度値で発光させるとともに、それ以外の分割領域のLEDライトを前記設定工程により設定された発光輝度値で発光させる発光制御工程と、
を有する画像表示装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−145640(P2012−145640A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−2115(P2011−2115)
【出願日】平成23年1月7日(2011.1.7)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】