説明

画像表示装置及びその表示制御方法

【課題】コンテンツの中身に応じたインパクトのある表示が簡単にできるようにする。
【解決手段】複数の画像の各画素に対応する画素部を特殊配列した画素部群を有する画像部材と、透過部が形成されたピンホールパネルとをモータを用いた駆動手段の駆動により相対移動させ、複数の画像を所定の順で表示する。駆動手段による画像部材とピンホールパネルとの相対移動制御に必要な制御コードデータを画像部材とピンホールパネルの少なくともいずれか一方に印刷し、制御コードデータをコントローラ側に設けたセンサで検出する。コントローラは、センサで読み取った制御コードデータに基づいて駆動手段を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の画像を連続して表示する画像表示装置及び画像表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の画像の各画素に対応する画素部を特殊配列した画素部群を有する画像部材と、透過部が形成されたピンホールパネルとをモータを用いた駆動手段の駆動により相対移動させ、複数の画像を所定の順で表示するようにした画像表示装置が知られている(例えば特許文献1参照)。
また、表示する媒体側に情報を付加し、装置側で情報を読み取って対応する技術も知られている(例えば特許文献2,3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−132959号公報
【特許文献2】特開2002−244687号公報
【特許文献3】特開2002−358034号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記画像表示装置では、画像部材と透過部が形成されたピンホールパネルとを相対移動させることにより、複数枚の画像から構成される画像部材を連続画像として表示することができる。しかし上記画像表示装置においては、単に移動させるというものであるので、その製品の制御方法の提案はされていない。一般的な表示装置の表示方法の指定は装置側のパネルやパソコンなどをつないで制御するものであるが、どちらも装置やパソコンなどにより後に設定を行う事になるため作業が面倒である。また媒体に情報を付加する事により表示装置に情報を受け渡す技術はあるが、装置の表示方法の制御を直接しているものではない。
そこで本発明は、簡単な構造を用いることにより表示装置への制御方法の入力ができる構造を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明は、複数の画像の各画素に対応する画素部を特殊配列した画素部群を有する画像部材と、透過部が形成されたピンホールパネルとをモータを用いた駆動手段の駆動により相対移動させ、複数の画像を所定の順で表示するようにした画像表示装置において、前記駆動手段による前記画像部材とピンホールパネルとの相対移動制御に必要な制御コードデータを前記画像部材とピンホールパネルの少なくともいずれか一方に印刷し、該制御コードデータをコントローラ側に設けたセンサで検出し、該データに基づいて前記駆動手段を制御するようにしたものである。
また本発明は、前記駆動手段を、装置本体の左右に前記画像部材とピンホールパネルごとに回転自在に配置されたローラと、該ローラを回転方向に駆動するモータとより構成し、前記画像部材とピンホールパネルとが、それぞれ対応する左右のローラの一方から繰り出され、他方のローラに巻き取られるようにしたものである。
また本発明は、前記駆動手段を装置本体の左右に前記画像部材とピンホールパネルごとに回転自在に配置されたローラと、該ローラを回転方向に駆動するモータとより構成し、前記画像部材とピンホールパネルの中の少なくとも一方がエンドレス状に前記左右のローラに掛け渡されていることを特徴とする。
また本発明は、前記センサを光反射型のセンサで構成し、前記センサを前記画像部材とピンホールパネルの少なくともいずれか一方の面に対向するように装置本体側に設けたことを特徴とする。
また本発明は、前記画像部材とピンホールパネルの各シートに画像や透過部の印字位置を示す位置情報を印字し、該位置情報をセンサで読み取るようにしたことを特徴とする。
また本発明は、前記画像部材とピンホールパネルの各シートに画像と透過部との組み合わせを示すマッチング情報を印字したことを特徴とする。
また本発明は、前記制御コードデータが、画像部材とピンホールパネルとの相対移動モードのモード情報、モータスピード情報、画像表示繰り返し回転数情報、表示時間の少なくとも1つを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、画像部材またはピンホールパネルを最初に作成するときに一緒に制御コードを印字しておくだけで、装置での相対移動を種々のパターンに容易に設定ができる。
また装置側に複雑な構造やパソコンなどをつなぐ必要がなく装置の構造をシンプルにできる。
また印字した時にどの程度の速度で搬送して表示したいかなどの情報も最初に設定させておく事ができるので、細かい指示も簡単に指定ができる.
また画像部材とピンホールパネルとの組み合わせ構造を書き込んでおく事により、装置に取り付けるときの間違いを無くす事もできる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】画像表示装置の説明図である。
【図2】同、説明図である。
【図3】同、制御ブロック図である。
【図4】本発明の説明図である。
【図5】制御コードデータの説明図である。
【図6】本発明の説明図である。
【図7】画素データ配列説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に本発明の構成を添付した図面を参照して詳細に説明する。
図1,2は、画像表示装置の基本構造を示す説明図である。本装置は、光源2と、画像部材4と、ピンホールパネル6と、スクリーン5と、画像部材4とピンホールパネル6を図1中、左右方向に移動させる駆動手段であるモータ(図示省略)とにより構成されている。画像部材4とピンホールパネル6との互いの平坦部分の対向面間距離は均一であることが望ましい。そのため、本実施形態では、画像部材4とピンホールパネル6とをガラス板(図示省略)などの透明部材で規制し、前記距離が均一に保持されるように構成されている。
【0009】
シート状の画像部材4は、装置本体の左右に回転自在に配置されたローラ8,8間に装着され、シート状のピンホールパネル6は、装置本体の左右に配置されたローラ10,10間に装着されている。画像部材4とピンホールパネル6は、ローラ8,8と10,10の回転によって、図1中、左右方向に移動することができるように、ローラ8,8と10,10に支持されている。
【0010】
ローラ8,8とローラ10,10は、それぞれモータが連結され、各モータは、図3に示すコントローラ12に、モータドライバ14を介して接続し、コントローラ12によって制御されるように構成されている。画像部材4とピンホールパネル6の平坦領域をローラの回転により移動自在とする構成は、一対のローラの一方を巻き取りローラ、他方を供給ローラとする方式、あるいは一対のローラ間にエンドレス式で取り付ける方式、あるいはこれらの方式の組み合わせ等各種の移動の方式を採用することができ、画像部材4とピンホールパネル6を移動自在に支持する構成は、特定の構成に限定されるものではない。
【0011】
画像部材4のシートに印刷される画像データは、図4に示すように、ディジタルカメラ14等で作成した動画やコンピュータグラフィックスなどの画像データを画像編集ソフトを格納したパソコン16などにより編集し、編集した最大32フレームの画像の各画素を、画素特殊配列手段を構成するプログラムを用いて特殊な配列とする。なお、フレーム数は特に限定されない。
【0012】
即ち、複数の画像をそれぞれ縦M分割、横N分割することで各画素を形成し、この各画素に対応する画素部26を配列手段により特殊配列して、印刷用の画素部郡28を生成する。また各画像に対応した画素部ごとに観察者側に光を透過させる透過部が形成されるマスクデータを作成し、このマスクデータに基づいて、ピンホールパネル6用の印刷データを生成する。図7に示すように、画素部28は、フレーム(画像)数に対応した分割エリアEごとに特殊配列され、例えばフレーム数が32個の場合、分割エリアE内は32個設定され、各分割エリアEごとに、各フレームの構成要素である画素の中の1つの分割された画素26が配置される。
【0013】
本実施形態では、1つの分割エリアEに32個の各フレームの分割画素26が図示するように、32個配置されている。各分割エリアE内の32個の画素26はフレーム毎に1つの画素26がピンホールパネル6の透過部30によって選択され、表示されるように構成されている。画素部26の特殊配列の技術は公知技術であり、特許文献1の特開2007−132959号公報に詳細に記述されているので、その詳細な説明は省略する。
【0014】
また、画像部材4とピンホールパネル6の相対移動による画像表示方法を制御コードデータとして生成する。画像部材4用の特殊配列画素部群データと、ピンホールパネル6用のマスクデータを、それぞれ、シート等にインクジェットプリンタ18などを用いて印刷し、図1,2に示す、特殊配列画素部群28を有する画像部材4と、透過部30が形成されるピンホールパネル6を作成する。
【0015】
このとき、インクジェットプリンタ18によって、画像部材4又はピンホールパネル6の表面又は裏面の適所に制御コードデータ20を一緒に印刷する。この制御コードデータは、本実施形態では、図5に示すように、PPM(Pulse−position modulation)のデータ形式を使用している。制御コードデータ20の印字形式は、バーコードその他何でも良く、特に特定の形式に限定されるものではない。
【0016】
また、ピンホールパネル6のマスクと画像媒体との組み合わせの情報21もそれぞれ、ピンホールパネル6のシートや画像部材4のシートに一緒に印字しておけば、装置に設置する時に組み合わせを間違える事がなくなる。
また、上記制御コードデータ20とは別に画像部材4とピンホールパネル6の各シートに、搬送方向に位置のマーク情報23a,23bを印字し、画像部材4の画像エリアと、ピンホールパネル6のマスクエリアの位置をコントローラ12が認識できるようにしている。尚、図6中、マーク情報23aは始点位置を示し、マーク情報23bは終点位置を示している。
【0017】
これら制御コードデータ20等の印刷データは、装置本体側に設置され、コントローラ12に接続する光反射型のフォトセンサ22によって検出できるように構成されている。その読み取った位置情報などは媒体を装置に設置した時に初期表示の位置や搬送をしている場合の制御位置、媒体の終わりなどのエンド位置の情報などに使用する事が出来る。コントローラ12は、図3に示すように、制御部12aと、コントロールデータデコード部12bから成り、フォトセンサ22で読み取ったコードデータは、デコード12bによりデコードされ、制御部12aで処理される。
【0018】
コントローラ12には、操作キー32、フォトダイオード34が接続している。尚、画像部材4に印刷される特殊画素配列の画像データ及びこの画像データに対応するマスクデータの生成原理は、特開2007−132959号公報などに開示されている従来技術を用いたものであり、その詳細な説明を省略する。 次に本実施形態の動作について説明する。
【0019】
まず装置本体に、画像部材4とピンホールパネル6を設置する。コントローラ12の操作キー32の中のスタートスイッチを押すと、コンピュータ12は、画像部材4又はピンホールパネル6中の、制御コードデータ20が印字されているシートを駆動し、その制御コードデータ20をセンサ22によって読み取る。読み取られた制御コードデータ20は、デコーダ12bによってデコードされる。
【0020】
コントローラ12は、メモリに予め、制御コードデータに対応する画像部材とピンホールパネルとの相対移動モードのモード情報、モータスピード情報、画像表示繰り返し回転数情報、表示時間等の情報が対照表のような形式で格納されており、コントローラ12は、読み取った制御コードデータから、該制御コードデータに対応するモード情報、モータスピード情報、画像表示繰り返し回転数情報、表示時間等の対照表に記入された情報を認識する。
下記の表1はモード情報のモータ制御パターンの一例を示している。
【0021】
【表1】

【0022】
モード情報は、画像部材4を左右に移動する駆動部をA、ピンホールパネル6を左右に移動する駆動部をBとするとき、パターン1は、AとBともにオンとする。このパターンは静止画をスクロール方向に移動させて表示する。パターン2は、Aをオン、Bをオフとする。これは32フレームで画像を動かしながら、連続画像7をスクロール方向に移動させて表示する。
【0023】
パターン3は、Aをオフ、Bをオンとして、画像部材4を任意の位置で停止させ、32フレームで画像を動かし、連続画像7を任意の位置に表示する。パターン4は、AとBの両方をオフとして静止画像を任意の位置で表示する。コントローラ12は制御コードデータ20のコード化データに基づいて、これらのパターンを選択し、駆動部A,Bを制御する。
【0024】
一例として、Aをオフ、Bをオンとしてモータを制御するパターン3の表示動作について説明すると、ピンホールパネル6が画像部材4に対して図1中、右方向に移動する。これにより、ピンホールパネル6の透過部30が右方向に移動し、各透過部30に対向する画像部材4の画素部26を透過する光が透過部30を通過して観察者24側に届き、観察者24は、画像7を視認する。図6は、画像7とピンホールパネル6との関係を示すものであり、ピンホールパネル6が相対的に移動していく事により画像7の画素を繰り返し選択表示してフレーム数分の動画表示を行うため、ピンホールパネル6が画像7よりも長く印刷されている事を示すものである。なお、図6(C)に記載の画像7はそれぞれが別のものであり、位置マーク情報23a,23bにより画像7を選択することにより次々と違う表示をさせる事も可能である。
【0025】
またモータスピードの情報、画像の繰り返し情報、表示時間の情報などは、媒体の表示方法を制御するものであり、早く回転させる場合や遅い場合など、どの程度の速さで表示するかなど、印字されたものに対して最良の表示ができるように情報を装置に供給する。また初期移動させる時や巻き戻す場合などは、バックライトを消して移動させる事により、不快な映像を表示させる事が無いようにしても良い。
【符号の説明】
【0026】
2 光源
4 画像部材
5 スクリーン
6 ピンホールパネル
7 画像
8 ローラ
10 ローラ
12 コントローラ
14 ビデオカメラ
16 パソコン
18 インクジェットプリンタ
20 制御コードデータ
22 センサ
24 観察者
26 画素部
28 画素部群
30 透過部
32 操作キー
34 フォトダイオード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の画像の各画素に対応する画素部を特殊配列した画素部群を有する画像部材と、透過部が形成されたピンホールパネルとをモータを用いた駆動手段の駆動により相対移動させ、複数の画像を所定の順で表示するようにした画像表示装置において、前記駆動手段による前記画像部材とピンホールパネルとの相対移動制御に必要な制御コードデータを前記画像部材とピンホールパネルの少なくともいずれか一方に印刷し、該制御コードデータをコントローラ側に設けたセンサで検出し、該データに基づいて前記駆動手段を制御するようにしたことを特徴とする画像表示方法。
【請求項2】
複数の画像の各画素に対応する画素部を特殊配列した画素部群を有する画像部材と、透過部が形成されたピンホールパネルとをモータを用いた駆動手段の駆動により相対移動させ、複数の画像を所定の順で表示するようにした画像表示装置において、前記駆動手段による前記画像部材とピンホールパネルとの相対移動制御に必要な制御コードデータを前記画像部材とピンホールパネルの少なくともいずれか一方に印刷し、該制御コードデータをコントローラ側に設けたセンサで検出し、該データに基づいて前記駆動手段を制御するようにしたことを特徴とする画像表示装置。
【請求項3】
前記駆動手段を、装置本体の左右に前記画像部材とピンホールパネルごとに回転自在に配置されたローラと、該ローラを回転方向に駆動するモータとより構成し、前記画像部材とピンホールパネルとが、それぞれ対応する左右のローラの一方から繰り出され、他方のローラに巻き取られるようにしたことを特徴とする請求項2に記載の画像表示装置。
【請求項4】
前記駆動手段を装置本体の左右に前記画像部材とピンホールパネルごとに回転自在に配置されたローラと、該ローラを回転方向に駆動するモータとより構成し、前記画像部材とピンホールパネルの中の少なくとも一方がエンドレス状に前記左右のローラに掛け渡されていることを特徴とする請求項2に記載の画像表示装置。
【請求項5】
前記センサを光反射型のセンサで構成し、前記センサを前記画像部材とピンホールパネルの少なくともいずれか一方の面に対向するように装置本体側に設けたことを特徴とする請求項2に記載の画像表示装置。
【請求項6】
前記画像部材とピンホールパネルの各シートに画像や透過部の印字位置を示す位置情報を印字し、該位置情報をセンサで読み取るようにしたことを特徴とする請求項2に記載の画像表示装置。
【請求項7】
前記画像部材とピンホールパネルの各シートに画像と透過部との組み合わせを示すマッチング情報を印字したことを特徴とする請求項2に記載の画像表示装置。
【請求項8】
前記制御コードデータが、画像部材とピンホールパネルとの相対移動モードのモード情報、モータスピード情報、画像表示繰り返し回転数情報、表示時間の少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項2に記載の画像表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−217621(P2010−217621A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−65459(P2009−65459)
【出願日】平成21年3月18日(2009.3.18)
【出願人】(307015301)武藤工業株式会社 (27)
【Fターム(参考)】