説明

画像表示装置

【課題】フレーム間あるいはフィールド間における物体の動き量が大きい動画像を表示する際に発生する画像破綻を防止して画質劣化を低減し、かつ、消費電力の増加を抑える動き補償型のFRC機能を備えた画像処理装置を提供する。
【解決手段】FRC部10は、判定部13が、大きさの絶対値が所定値以上の動きベクトルの数が所定数以上と判定した場合、出力画像信号のフレーム周波数を、入力画像信号のフレーム周波数を基準として2倍(第1所定倍)に変換し、大きさの絶対値が所定値以上の動きベクトルの数が所定数以上でないと判定した場合、出力画像信号のフレーム周波数を、入力画像信号のフレーム周波数を基準として4倍(第2所定倍)に変換する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶パネルを用いて画像を表示する画像表示装置に関し、特に、動き補償型のFRC機能を備えた画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
動画像を表示する用途に従来から用いられてきた陰極線管(CRT:Cathode Ray Tube)に対して、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)には、動画像を表示すると、動き部分の輪郭がぼけて視聴者に知覚されてしまうという、いわゆる動きぼけの欠点がある。動きぼけは、LCDの表示方式そのものに起因することが指摘されている(例えば、特許文献1、非特許文献1参照)。
【0003】
電子ビームを走査して蛍光体を発光させて表示を行うCRTでは、各画素の発光は、若干の残光はあるものの概ねインパルス状になる。これをインパルス型表示方式という。
【0004】
一方、LCDでは、液晶に電界を印加することによりこの液晶に蓄えられた電荷は、次に電界が印加されるまで比較的高い割合で保持される。特に、TFT方式の場合、画素を構成するドット毎にTFTスイッチが設けられており、さらに、通常は各画素に補助容量が設けられているため、蓄えられた電荷の保持能力が極めて高い。このため、画素が次のフレームあるいはフィールド(以下、フレームで代表する)の画像情報に基づく電界印加により書き換えられるまで、この画素が発光し続ける。これをホールド型表示方式という。
【0005】
上記のようなホールド型表示方式においては、画像表示光のインパルス応答が時間的な広がりを持つため、時間周波数特性が劣化して、それに伴い空間周波数特性も低下し、動きぼけが生じる。すなわち、人の視線は動くものに対して滑らかに追従するため、ホールド型のように発光時間が長いと、時間積分効果により画像の動きがぼけて不自然に見えてしまう。
【0006】
上記のホールド型表示方式における動きぼけを改善するために、フレーム間に画像を内挿することにより、フレームレート(フレーム数とも言う)を変換する技術が知られている。この技術は、FRC(Frame Rate Converter)と呼ばれ、液晶表示装置等において実用化されている。
【0007】
従来、フレームレートを変換する方法には、単に同一フレームを複数回繰り返し読み出す方法や、フレーム間の直線内挿(線形補間)によるフレーム内挿を行う方法等、各種の方法がある(例えば、非特許文献2参照)。
しかしながら、直線内挿によるフレーム内挿処理の場合、フレームレート変換に伴う動きの不自然さ、いわゆるジャーキネス、ジャダーが発生するとともに、上述したホールド型表示方式に起因する動きぼけを十分に改善することができず、画質的には不十分なものであった。
【0008】
そこで、ジャーキネス等の影響をなくして動画質を改善するために、動きベクトルを用いた動き補償型の補間フレーム内挿処理(動き補償処理とも言う)が提案されている。この動き補償処理によれば、動画像そのものをとらえて補償するため、解像度の劣化や、ジャーキネスの発生もなく、自然な動画を得ることができる。また、補間フレームは動き補償されて生成されるので、上述したホールド型表示方式に起因する動きぼけを十分に改善することが可能となる。
【0009】
特許文献1には、いわゆる動き適応的に補間フレームを生成することにより、表示画像のフレーム周波数を上げて、動きぼけの原因となる空間周波数特性の低下を改善する技術が開示されている。これは、フレーム間に内挿する少なくとも1つの補間フレームを、前後のフレームから動き適応的に生成し、生成した補間フレームをフレーム間に内挿して順次表示するものである。
【0010】
図7は、FRC機能を備えた画像表示装置の概略構成を示す要部機能ブロック図である。
画像表示装置100は、主に、FRC部101、電極駆動部102、液晶表示パネル103を備えて構成される。
FRC部101は、入力画像信号のフレーム間に動き補償処理を施した補間フレームを所定枚数分内挿することで出力画像信号のフレーム周波数を入力画像信号のフレーム周波数を基準として所定倍に変換し、電極駆動部102に出力する。
電極駆動部102は、FRC部101によりフレーム周波数が変換された画像信号に基づいて、液晶表示パネル103の走査電極およびデータ電極を駆動する。
液晶表示パネル103は、液晶層とこの液晶層に走査信号およびデータ信号を印加する電極(走査電極、データ電極)とを備えたアクティブマトリクス型の液晶表示パネルである。
【0011】
FRC部101は、入力画像信号のフレームから動きベクトル情報を検出する動きベクトル検出部101aと、動きベクトル検出部101aが検出した動きベクトル情報に基づいて補間フレームを生成する補間フレーム生成部101bとを備える。
上記構成において、動きベクトル検出部101aは、例えば、後述するブロックマッチング法や勾配法等を用いて動きベクトル情報を求める。
【0012】
図8は、図7に示したFRC部101が実行するフレームレート変換処理を説明する図である。
FRC部101は、動きベクトル検出部101aが出力した動きベクトル情報を用いた動き補償により、原フレーム(入力画像信号のフレーム)間の補間フレーム(図8のグレーに色付けされたフレーム)を生成し、この生成された補間フレームを原フレームとともに、順次出力することで、入力画像信号のフレーム周波数を例えば毎秒60フレーム(60Hz)から毎秒120フレーム(120Hz)に変換する。
【0013】
図9は、図7における動きベクトル検出部101aおよび補間フレーム生成部101bが実行する補間フレーム生成処理について説明する図である。
動きベクトル検出部101aは、図8に示したフレーム#1とフレーム#2から勾配法等により、例えば、フレーム#1に表示されている自動車104の動きベクトル105を検出する。すなわち、動きベクトル検出部101aは、フレーム#1とフレーム#2の1/60秒間に、自動車104がどの方向にどれだけ動いたかを測定することにより自動車104の動きベクトル105を求める。
【0014】
次に、補間フレーム生成部101bは、動きベクトル検出部101aが検出した動きベクトル105を用いて、自動車104に対する内挿ベクトル106を生成する。
そして、フレーム#1の自動車104に対してこの内挿ベクトル106を割り付けて、補間フレーム107を生成する。この補間フレーム107における自動車の表示位置は、フレーム#1における自動車104の表示位置とフレーム#2における自動車の表示位置との中間にある。
【0015】
このように、動きベクトル情報を用いて動き補償型の補間フレーム内挿処理を行い、表示フレーム周波数を上げることで、LCD(ホールド型表示方式)の表示状態を、CRT(インパルス型表示方式)の表示状態に近づけることができ、動画表示の際に生じる動きぼけによる画質劣化を改善することが可能となる。
【0016】
また、近年、補間フレームを3枚生成し、原フレーム間に内挿してフレーム数を4倍に変換して表示するいわゆる4倍速表示機能を備えたTV製品が実用化されている。この場合も図10のように、計3枚の補間フレームを生成し、原フレーム間に内挿することで、図8で説明したように原フレーム間に1枚の補間フレームを内挿するよりもさらに動きぼけを改善して動画性能の向上を図っている。
【0017】
なお、補間フレームの生成は、図9で説明したように、原フレーム内の物体(オブジェクトとも言う)の動きベクトルを検出し、1/240秒毎に移動する物体に対応する内挿ベクトルを生成し、この物体に割り付ければよい。
【0018】
ここで、上記動き補償型の補間フレーム内挿処理においては、動き補償のために動きベクトルの検出が不可欠となる。この動きベクトル検出の代表的な手法として、例えば、ブロックマッチング法、勾配法等が提案されている。
これらの手法においては、連続した2つのフレーム間において、フレーム内の画素毎または複数画素からなるブロック毎に動きベクトルを検出し、この動きベクトルを用いて補間フレームを生成し、この2つのフレーム間に内挿することにより、フレーム数の変換を行う。
【0019】
ハードウェアによるリアルタイム処理や、コンピュータによるシミュレーション処理等によりFRC処理を実行することを考えた場合、特許文献2に開示されているように、ハードウェアでの回路構成、メモリ領域、コンピュータでの処理速度等の制約から、現実的には動きベクトルの正確性を評価する際に、いわゆる動きベクトル評価演算範囲を制限する必要がある。
【0020】
例えば、上記の勾配法演算によって求められた動きベクトルの正確性を、あるフレームにおける被検出ブロックBの画像情報Fと、被検出ブロックBの動きベクトルが指し示す先である次フレームにおけるブロックBの画像情報Fとの差分値(DFD:Displaced Field Difference)等を算出して評価する場合、メモリ領域の制約上、この動きベクトル評価演算範囲を制限する必要がある。なお、動きベクトル評価演算範囲の詳細については、特許文献2に開示されている。
【0021】
DFDは、候補ベクトルの正確さの程度を示す指標であり、DFDの値が小さいほど、被検出ブロックBと被検出ブロックBの動きベクトルが指し示す先であるブロックBとのマッチングが良く、候補ベクトルの正確性が高いことを示すものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0022】
【特許文献1】特許第3295437号明細書
【特許文献2】特開2009−71842公報
【非特許文献】
【0023】
【非特許文献1】石黒秀一、栗田泰市郎、「8倍速CRTによるホールド発光型ディスプレイの動画質に関する検討」、信学技報、社団法人電子情報通信学会、EID96−4(1996−06)、p.19−26
【非特許文献2】山内達郎、「テレビジョン方式変換」、テレビジョン学会誌、Vol.45、No.12、pp.1534−1543(1991)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0024】
ところが、上述の勾配法においては、例えば動きベクトルの絶対値が大きい場合(物体の移動量が大きい場合)、勾配法演算によって求められた動きベクトルが、制限された動きベクトル評価演算範囲を超えてしまうことがある。すなわち、勾配法演算は、前後フレームの画像情報の勾配の違いを基に数学的な計算によって動きベクトルを求めるため、制限された動きベクトル評価演算範囲を超えた動きベクトルが算出される場合がある。
【0025】
動きベクトル検出時において、動きベクトル評価演算範囲を超える動きベクトルが算出されると、後の内挿ベクトル評価時における画像情報のメモリ制約等のため、この動きベクトルの値等を制限する必要がある。
【0026】
このように、勾配法演算によって求められた動きベクトルが、動きベクトル評価演算範囲を超えると、動きベクトルに対して特殊な処理が施され、何らかの動きベクトルが出力される。しかし、この出力された動きベクトルは勾配法等の演算結果が忠実に反映されたものではなく、正確な動きベクトルではない。このため、このような特殊な処理が施された動きベクトルを用いて動き補償型の補間フレーム内挿処理を行うと、補間画像に破綻が生じることがある。
【0027】
また、仮に動きベクトル評価演算範囲を十分に広く設定した場合には、上記のような特殊な処理は不要となる。しかし、動きベクトル評価演算範囲が広くなった分、被検出ブロックと同一の図柄(画像情報)が、演算範囲内の他の複数のブロックに存在する可能性が高くなり、動きベクトルの候補が多くなるため、正確な動きベクトルを検出することが難しくなる。
【0028】
なお、動きベクトルの検出方法として、反復勾配法のみならず、例えばブロックマッチング法を用いた場合も、ベクトル探索範囲等に制限を加える必要があり、上記と同様、物体の動きベクトルの大きさの絶対値が大きい場合には、この物体の正確な動きベクトルを検出することが困難になる。
【0029】
すなわち、早い動きの物体が画面全体で多い場合、検出されるこの物体の動きベクトルは、正確性に欠ける。そして、このような正確性に欠ける動きベクトルを使用して生成した補間画像は、多くの場合破綻している。
【0030】
上記のような正確でない動きベクトルを使用することによる補間画像の破綻は、原画に対する補間画像の割合が多いほど顕著になる。すなわち、フレーム間に1枚の補間フレームを内挿することによりフレームレートを2倍にする2倍速表示を実行したときよりも、フレーム間に3枚の補間フレームを内挿することによりフレームレートを4倍にする4倍速表示を実行したときの方が、画像破綻が顕著に現れることになる。また、4倍速表示を実行すると、動画表示性能は向上するが、パネルの駆動処理が高速になることで、発熱、消費電力が大きくなるという課題がある。
【0031】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、フレーム間あるいはフィールド間における物体の動き量が大きい動画像を表示する際に発生する画像破綻を防止して画質劣化を低減し、かつ、消費電力の増加を抑える動き補償型のFRC機能を備えた画像処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0032】
第1の技術手段は、入力画像信号のフレーム間あるいはフィールド間に、フレームあるいはフィールドの動きベクトルに基づき補間処理を施した補間フレームあるいは補間フィールドを所定枚数分内挿することで出力画像信号のフレーム周波数あるいはフィールド周波数を入力画像信号のフレーム周波数あるいはフィールド周波数を基準として所定倍に変換するフレームレート変換部を備えた画像表示装置であって、入力画像信号のフレームあるいはフィールドにおける、画素または複数画素からなるブロックの動きベクトルを検出する動きベクトル検出部と、当該動きベクトル検出部が検出した入力画像信号のフレームあるいはフィールドにおける動きベクトルのうち、大きさの絶対値が所定値以上の動きベクトルの数が所定数以上か否かを判定する判定部とを備え、前記フレームレート変換部は、前記判定部が、大きさの絶対値が所定値以上の動きベクトルの数が所定数以上と判定した場合、出力画像信号のフレーム周波数あるいはフィールド周波数を入力画像信号のフレーム周波数あるいはフィールド周波数を基準として第1所定倍に変換し、大きさの絶対値が所定値以上の動きベクトルの数が所定数以上でないと判定した場合、出力画像信号のフレーム周波数あるいはフィールド周波数を入力画像信号のフレーム周波数あるいはフィールド周波数を基準として前記第1所定倍より大きい第2所定倍に変換することを特徴とする画像表示装置である。
【0033】
第2の技術手段は、入力画像信号のフレーム間あるいはフィールド間に、フレームあるいはフィールドの動きベクトルに基づき補間処理を施した補間フレームあるいは補間フィールドを所定枚数分内挿することで出力画像信号のフレーム周波数あるいはフィールド周波数を入力画像信号のフレーム周波数あるいはフィールド周波数を基準として所定倍に変換するフレームレート変換部を備えた画像表示装置であって、入力画像信号のフレームあるいはフィールドにおける、画素または複数画素からなるブロックの動きベクトルを検出する動きベクトル検出部と、当該動きベクトル検出部が検出した入力画像信号のフレームあるいはフィールドにおける動きベクトルのうち、大きさの絶対値が所定値以下の動きベクトルの数が所定数以上か否かを判定する判定部とを備え、前記フレームレート変換部は、前記判定部が、大きさの絶対値が所定値以下の動きベクトルの数が所定数以上と判定した場合、出力画像信号のフレーム周波数あるいはフィールド周波数を入力画像信号のフレーム周波数あるいはフィールド周波数を基準として第1所定倍に変換し、大きさの絶対値が所定値以下の動きベクトルの数が所定数以上でないと判定した場合、出力画像信号のフレーム周波数あるいはフィールド周波数を入力画像信号のフレーム周波数あるいはフィールド周波数を基準として前記第1所定倍より大きい第2所定倍に変換することを特徴とする画像表示装置である。
【0034】
第3の技術手段は、入力画像信号のフレーム間あるいはフィールド間に、フレームあるいはフィールドの動きベクトルに基づき補間処理を施した補間フレームあるいは補間フィールドを所定枚数分内挿することで出力画像信号のフレーム周波数あるいはフィールド周波数を入力画像信号のフレーム周波数あるいはフィールド周波数を基準として所定倍に変換するフレームレート変換部を備えた画像表示装置であって、入力画像信号のフレームあるいはフィールドにおける、画素または複数画素からなるブロックの動きベクトルを検出する動きベクトル検出部と、当該動きベクトル検出部が検出した入力画像信号のフレームあるいはフィールドにおける動きベクトルのうち、大きさの絶対値が第1所定値以下の動きベクトルの数が第1所定数以上か否か、および、大きさの絶対値が前記第1所定値より大きい第2所定値以上の動きベクトルの数が第2所定数以上か否かを判定する判定部とを備え、前記フレームレート変換部は、前記判定部が、大きさの絶対値が第1所定値以下の動きベクトルの数が第1所定数以上と判定した場合、または、大きさの絶対値が第2所定値以上の動きベクトルの数が第2所定数以上と判定した場合、出力画像信号のフレーム周波数あるいはフィールド周波数を入力画像信号のフレーム周波数あるいはフィールド周波数を基準として第1所定倍に変換し、前記判定部が、大きさの絶対値が第1所定値以下の動きベクトルの数が第1所定数以上でないと判定した場合であって、かつ、大きさの絶対値が第2所定値以上の動きベクトルの数が第2所定数以上でないと判定した場合、出力画像信号のフレーム周波数あるいはフィールド周波数を入力画像信号のフレーム周波数あるいはフィールド周波数を基準として前記第1所定倍より大きい第2所定倍に変換することを特徴とする画像表示装置である。
【0035】
第4の技術手段は、第1〜第3の何れかの技術手段において、前記第1所定倍は2倍であり、前記第2所定倍は4倍であることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0036】
本発明によれば、フレーム間あるいはフィールド間における物体の動き量に基づいて、フレーム間あるいはフィールド間に内挿する補間フレーム数あるいは補間フィールド数を決定するので、フレーム間あるいはフィールド間における物体の動き量が大きい動画像を表示する際に発生する画像破綻を防止して画質劣化を低減することができ、かつ、消費電力の増加を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】第1の実施形態に係る画像表示装置の要部機能ブロック図である。
【図2】第1の実施形態に係る画像表示装置で実行される入力画像信号のフレーム周波数の変換処理について説明するフロー図である。
【図3】第2の実施形態に係る画像表示装置の要部機能ブロック図である。
【図4】第2の実施形態に係る画像表示装置で実行される入力画像信号のフレーム周波数の変換処理について説明するフロー図である。
【図5】第3の実施形態に係る画像表示装置の要部機能ブロック図である。
【図6】第3の実施形態に係る画像表示装置で実行される入力画像信号のフレーム周波数の変換処理について説明するフロー図である。
【図7】従来の画像表示装置の概略構成を示す要部機能ブロック図である。
【図8】フレームレート変換処理を説明する図である。
【図9】補間フレーム生成処理について説明する図である。
【図10】フレームレート変換処理を説明する他の図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、図面に沿って、本発明に係る画像表示装置の実施形態の一例について説明する。
本発明に係る画像表示装置は、前述した2倍速表示機能、および、4倍速表示機能を有し、画像フレーム表示において、いわゆる画像フレームの動き量に応じて2倍速表示機能、4倍速表示機能を適宜切り替える。
【0039】
本発明は、フィールド(信号)および補間フィールド(信号)、フレーム(信号)および補間フレーム(信号)のいずれに対しても適用できるものであるが、フィールドとフレームは互いに類似の関係にあるため、フレームおよび補間フレームを代表例として説明するものとする。
【0040】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る画像表示装置の要部機能ブロック図である。
第1の実施形態に係る画像表示装置は、入力画像信号のフレーム内において、例えばフレーム一端から他端まで動くような移動量の大きいオブジェクト数が多い場合には、動きベクトルの検出エラー、動き補償のエラー等が発生しやすくなるので、これらのエラー発生を抑制するため、2倍速表示処理を実行する。一方、移動量の大きいオブジェクト数が少ない場合には、4倍速表示処理を実行する。
【0041】
画像表示装置1は、主に、FRC部(フレームレート変換部)10、電極駆動部20、液晶表示パネル30を備えて構成される。
FRC部10は、入力画像信号のフレーム間に、フレームの動きベクトルに基づき補間処理を施した補間フレームを所定枚数分内挿することで出力画像信号のフレーム周波数を入力画像信号のフレーム周波数を基準として所定倍に変換する。すなわち、入力画像信号のフレーム間に動き補償処理を施した補間フレームを所定枚数分内挿することにより入力画像信号のフレーム数を変換する。
【0042】
電極駆動部20は、FRC部10が出力した画像信号に基づいて液晶表示パネル30の走査電極およびデータ電極を駆動する表示ドライバである。
液晶表示パネル30は、液晶層とこの液晶層に走査信号およびデータ信号を印加する電極とを備えたアクティブマトリクス型の液晶表示パネルである。
【0043】
FRC部10は、フレーム抽出部11、動きベクトル検出部12、判定部13、補間フレーム生成部14、補間フレーム内挿部15(タイムベース変換部とも言う)を備えて構成される。
フレーム抽出部11は、入力される画像信号から、連続する2つのフレームである第Nフレーム、第N+1フレームを抽出し、動きベクトル検出部12、補間フレーム生成部14、および、補間フレーム内挿部15に出力する。
【0044】
動きベクトル検出部12は、入力された第Nフレーム、第N+1フレームに対して、前述した勾配法、ブロックマッチング法等による動きベクトル検出処理を実行し、第Nフレームにおける、各画素または複数画素からなる各ブロックの動きベクトルを検出する。
そして、動きベクトル検出部12は、各ブロックの動きベクトルの検出結果を、判定部13および補間フレーム生成部14に出力する。以下の説明では、複数画素からなる各ブロックの動きベクトルを検出する場合を例示して説明するが、画素毎でも同様である。
【0045】
なお、入力画像信号に何らかの形で動きベクトル情報が含まれている場合、動きベクトル検出部12は、これを利用して動きベクトルを検出してもよい。例えば、MPEG方式を用いて圧縮符号化された画像データには、符号化時に算出された動画像の動きベクトル情報が含まれており、この動きベクトル情報を取得することで、各ブロックの動きベクトルを検出する。
【0046】
判定部13は、動きベクトル検出部12が出力した第Nフレームにおけるブロック毎の動きベクトルを記憶し、大きさの絶対値が所定値以上の動きベクトルの数が所定数以上か否かを判定する。そして、判定結果を補間フレーム生成部14に出力する。
【0047】
補間フレーム生成部14は、判定部13の判定結果に基づき、第Nフレーム、第N+1フレーム間に内挿する補間フレームの数を決定し、決定した数の補間フレームを生成する。
ここでは、判定部13が、大きさの絶対値が所定値以上の動きベクトルの数が所定数以上と判定した場合、補間フレーム生成部14は、第Nフレーム、第N+1フレーム間に内挿する補間フレームの数を1と決定し、2倍速用補間フレーム生成部14aは、図8で説明したように、動きベクトル検出部12が検出した動きベクトルに基づき、第Nフレーム、第N+1フレーム間に内挿する1枚の補間フレームを生成する。
【0048】
一般的に、大きさの絶対値が大きい動きベクトルの数が多い場合には、移動量の大きいオブジェクト数が多く(画像フレームの動き量が大きい)、動きベクトルの検出エラー、動き補償のエラー等が発生しやすくなるので、2倍速表示処理を実行する。
【0049】
また、判定部13が、大きさの絶対値が所定値以上の動きベクトルの数が所定数以上でないと判定した場合、補間フレーム生成部14は、第Nフレーム、第N+1フレーム間に内挿する補間フレームの数を3と決定し、4倍速用補間フレーム生成部14bは、図10で説明したように、動きベクトル検出部12が検出した動きベクトルに基づき、第Nフレーム、第N+1フレーム間に内挿する3枚の補間フレームを生成する。
【0050】
補間フレーム内挿部15は、補間フレーム生成部14が生成した補間フレームを、第Nフレーム、第N+1フレーム間に内挿し、電極駆動部20に出力する。
【0051】
すなわち、FRC部10は、判定部13が、大きさの絶対値が所定値以上の動きベクトルの数が所定数以上と判定した場合、出力画像信号のフレーム周波数あるいはフィールド周波数を、入力画像信号のフレーム周波数あるいはフィールド周波数を基準として2倍(第1所定倍)に変換し、大きさの絶対値が所定値以上の動きベクトルの数が所定数以上でないと判定した場合、出力画像信号のフレーム周波数あるいはフィールド周波数を、入力画像信号のフレーム周波数あるいはフィールド周波数を基準として第1所定倍よりも大きい4倍(第2所定倍)に変換し、電極駆動部20に出力する。
【0052】
前記所定値、および、前記所定数は、補間フレームを4枚生成してフレーム間に内挿する4倍速表示処理を実行する場合に、動きベクトル誤検出による画像破綻が目立たない数値に調整(チューニング)する。他にも、前記所定値、および、前記所定数を、補間フレームを1枚生成してフレーム間に内挿する2倍速表示処理を実行する場合に、動きぼけが目立たない数値に調整してもよい。
【0053】
電極駆動部20は、第Nフレーム、補間フレーム、第N+1フレームの画像信号に基づいて、液晶表示パネル30の走査電極およびデータ電極を駆動し、これらフレームの映像を液晶表示パネル30に順次表示する。なお、液晶表示パネル30の駆動周波数は、FRC部10が変換したフレーム周波数である。従って、60Hzのフレーム周波数でFRC部10に入力された画像信号が、FRC部10で120Hzのフレーム周波数に変換された場合、液晶表示パネル30の駆動周波数は120Hzとなる。また、60Hzのフレーム周波数でFRC部10に入力された画像信号が、FRC部10で240Hzのフレーム周波数に変換された場合、液晶表示パネル30の駆動周波数は240Hzとなる。
【0054】
図2は、図1で説明した入力画像信号のフレーム周波数の変換処理について説明するフロー図である。
まず、FRC部10のフレーム抽出部11が、入力画像信号から連続する2つのフレームである第Nフレーム、第N+1フレームを抽出する(ステップS1)。なお、Nの初期値は1であるとする。
【0055】
動きベクトル検出部12は、フレーム抽出部11が出力した第Nフレーム、第N+1フレームに対して、動きベクトル検出処理を実行し、第Nフレームにおける、全ブロックの動きベクトルを検出する(ステップS2)。
【0056】
次に、判定部13は、大きさの絶対値が所定値以上の動きベクトルの数が所定数以上か否かを判定する(ステップS3)。
判定部13が、大きさの絶対値が所定値以上の動きベクトルの数が所定数以上と判定した場合(ステップS3/YES)、補間フレーム生成部14の2倍速用補間フレーム生成部14aは、第Nフレーム、第N+1フレーム間に内挿する1枚の補間フレームを生成する(ステップS4)。
【0057】
判定部13が、大きさの絶対値が所定値以上の動きベクトルの数が所定数以上でないと判定した場合(ステップS3/NO)、補間フレーム生成部14の4倍速用補間フレーム生成部14bは、第Nフレーム、第N+1フレーム間に内挿する3枚の補間フレームを生成する(ステップS5)。
【0058】
補間フレーム内挿部15は、補間フレーム生成部14が生成した補間フレームを、第Nフレーム、第N+1フレーム間に内挿し、電極駆動部20に出力する(ステップS6)。
【0059】
そして、画像信号の入力が終了するまで、ステップS1〜ステップS6の処理を繰り返す(ステップS7/NO)。なお、このとき、“N”の値を1つカウントアップする(ステップS8)。画像信号の入力が終了すると(ステップS7/YES)、処理を終了する。
【0060】
以上、説明したように、第1の実施形態に係る画像表示装置1は、入力画像信号のフレーム内において、例えばフレーム一端から他端まで動くような移動量の大きいオブジェクト数が多い場合には、2倍速表示処理を実行し、このような移動量の大きいオブジェクト数が少ない場合には、4倍速表示処理を実行する。
このようにすることで、フレーム内において、移動量の大きいオブジェクト数が多い場合に発生しやすくなる、動きベクトルの検出エラー、動き補償のエラー等を抑制し、動き補償型のFRC処理に起因する画質劣化を効果的に防止することができる。
【0061】
(第2の実施形態)
第2の実施形態に係る画像表示装置は、入力画像信号のフレーム内において、殆ど移動しない移動量の小さいオブジェクト数が多い場合には、動画ぼけを改善する必要性が少ないので、4倍速表示処理を実行せず、2倍速表示処理を実行する。一方、移動量の小さいオブジェクト数が少ない場合には、4倍速表示処理を実行する。
【0062】
図3は、第2の実施形態に係る画像表示装置の要部機能ブロック図である。
画像表示装置2は、主に、FRC部40、電極駆動部50、液晶表示パネル60を備えて構成される。なお、電極駆動部50、液晶表示パネル60の機能については、図1で説明した電極駆動部20、液晶表示パネル30の機能と同様なのでその説明を省略する。
【0063】
FRC部40は、入力画像信号のフレーム間に、フレームの動きベクトルに基づき補間処理を施した補間フレームを所定枚数分内挿することで出力画像信号のフレーム周波数を入力画像信号のフレーム周波数を基準として所定倍に変換する。
【0064】
FRC部40は、フレーム抽出部41、動きベクトル検出部42、判定部43、補間フレーム生成部44、補間フレーム内挿部45を備えて構成される。なお、フレーム抽出部41、動きベクトル検出部42、補間フレーム内挿部45は、図1で説明した、フレーム抽出部11、動きベクトル検出部12、補間フレーム内挿部15の機能と同様なのでその説明を省略する。
【0065】
判定部43は、動きベクトル検出部42が出力した第Nフレームにおけるブロック毎の動きベクトルを記憶し、大きさの絶対値が所定値以下の動きベクトルの数が所定数以上か否かを判定する。そして、判定結果を補間フレーム生成部44に出力する。
【0066】
補間フレーム生成部44は、判定部43の判定結果に基づき、第Nフレーム、第N+1フレーム間に内挿する補間フレームの数を決定し、決定した数の補間フレームを生成する。
ここでは、判定部43が、大きさの絶対値が所定値以下の動きベクトルの数が所定数以上と判定した場合、補間フレーム生成部44は、第Nフレーム、第N+1フレーム間に内挿する補間フレームの数を1と決定し、2倍速用補間フレーム生成部44aは、図8で説明したように、動きベクトル検出部42が検出した動きベクトルに基づき、第Nフレーム、第N+1フレーム間に内挿する1枚の補間フレームを生成する。
【0067】
一般的に、大きさの絶対値が小さい動きベクトルの数が多い場合には、移動量の小さいオブジェクト数が多く(画像フレームの動き量が小さい)、動画ぼけを改善する必要性が少ないので、2倍速表示処理を実行する。
【0068】
また、判定部43が、大きさの絶対値が所定値以下の動きベクトルの数が所定数以上でないと判定した場合、補間フレーム生成部44は、第Nフレーム、第N+1フレーム間に内挿する補間フレームの数を3と決定し、4倍速用補間フレーム生成部44bは、図10で説明したように、動きベクトル検出部42が検出した動きベクトルに基づき、第Nフレーム、第N+1フレーム間に内挿する3枚の補間フレームを生成する。
【0069】
すなわち、FRC部40は、判定部43が、大きさの絶対値が所定値以下の動きベクトルの数が所定数以上と判定した場合、出力画像信号のフレーム周波数あるいはフィールド周波数を、入力画像信号のフレーム周波数あるいはフィールド周波数を基準として2倍(第1所定倍)に変換し、大きさの絶対値が所定値以下の動きベクトルの数が所定数以上でないと判定した場合、出力画像信号のフレーム周波数あるいはフィールド周波数を、入力画像信号のフレーム周波数あるいはフィールド周波数を基準として第1所定倍よりも大きい4倍(第2所定倍)に変換し、電極駆動部50に出力する。
【0070】
前記所定値、および、前記所定数は、補間フレームを1枚生成してフレーム間に内挿する2倍速表示処理を実行する場合に、動きぼけが目立たない数値に調整する。他にも、前記所定値、および、前記所定数を、補間フレームを3枚生成してフレーム間に内挿する4倍速表示処理を実行する場合に、動きベクトル誤検出による画像破綻が目立たない数値に調整してもよい。
【0071】
図4は、図3で説明した入力画像信号のフレーム周波数の変換処理について説明するフロー図である。
まず、FRC部40のフレーム抽出部41が、入力画像信号から連続する2つのフレームである第Nフレーム、第N+1フレームを抽出する(ステップS11)。なお、Nの初期値は1であるとする。
【0072】
動きベクトル検出部42は、フレーム抽出部41が出力した第Nフレーム、第N+1フレームに対して、動きベクトル検出処理を実行し、第Nフレームにおける、全ブロックの動きベクトルを検出する(ステップS12)。
【0073】
次に、判定部43は、大きさの絶対値が所定値以下の動きベクトルの数が所定数以上か否かを判定する(ステップS13)。
判定部43が、大きさの絶対値が所定値以下の動きベクトルの数が所定数以上と判定した場合(ステップS13/YES)、補間フレーム生成部44の2倍速用補間フレーム生成部44aは、第Nフレーム、第N+1フレーム間に内挿する1枚の補間フレームを生成する(ステップS14)。
【0074】
判定部43が、大きさの絶対値が所定値以下の動きベクトルの数が所定数以上でないと判定した場合(ステップS13/NO)、補間フレーム生成部44の4倍速用補間フレーム生成部44bは、第Nフレーム、第N+1フレーム間に内挿する3枚の補間フレームを生成する(ステップS15)。
【0075】
補間フレーム内挿部45は、補間フレーム生成部44が生成した補間フレームを、第Nフレーム、第N+1フレーム間に内挿し、電極駆動部20に出力する(ステップS16)。
【0076】
そして、画像信号の入力が終了するまで、ステップS11〜ステップS16の処理を繰り返す(ステップS17/NO)。なお、このとき、“N”の値を1つカウントアップする(ステップS18)。画像信号の入力が終了すると(ステップS17/YES)、処理を終了する。
【0077】
以上説明したように、第2の実施形態に係る画像表示装置2は、入力画像信号のフレーム内において、殆ど移動しない移動量の小さいオブジェクト数が多い場合には、2倍速表示処理を実行する。一方、移動量の小さいオブジェクト数が少ない場合には、4倍速表示処理を実行する。
このように、フレーム内において、移動量の小さいオブジェクト数が多い場合には、動画ぼけを改善する必要性が少ないので、4倍速表示処理を実行せず、2倍速表示処理を実行する。その結果、4倍速表示処理による無駄な発熱や、消費電力の増加を抑えることができる。
【0078】
(第3の実施形態)
第3の実施形態では、第1の実施形態の画像表示装置1のFRC機能、および、第2の実施形態の画像表示装置2のFRC機能を備えた画像表示装置について説明する。
【0079】
図5は、第3の実施形態に係る画像表示装置の要部機能ブロック図である。
画像表示装置3は、主に、FRC部70、電極駆動部80、液晶表示パネル90を備えて構成される。なお、電極駆動部80、液晶表示パネル90の機能については、図1で説明した電極駆動部20、液晶表示パネル30の機能と同様なのでその説明を省略する。
【0080】
FRC部70は、入力画像信号のフレーム間に、フレームの動きベクトルに基づき補間処理を施した補間フレームを所定枚数分内挿することで出力画像信号のフレーム周波数を入力画像信号のフレーム周波数を基準として所定倍に変換する。
【0081】
FRC部70は、フレーム抽出部71、動きベクトル検出部72、判定部73、補間フレーム生成部74、補間フレーム内挿部75を備えて構成される。なお、フレーム抽出部71、動きベクトル検出部72、補間フレーム内挿部75は、図1で説明した、フレーム抽出部11、動きベクトル検出部12、補間フレーム内挿部15の機能と同様なのでその説明を省略する。
【0082】
判定部73は、動きベクトル検出部72が出力した第Nフレームにおけるブロック毎の動きベクトルを記憶し、大きさの絶対値が第1所定値以下の動きベクトルの数が第1所定数以上か否か、および、大きさの絶対値が第1所定値よりも大きい第2所定値以上の動きベクトルの数が第2所定数以上か否かを判定する。そして、判定結果を補間フレーム生成部74に出力する。
【0083】
補間フレーム生成部74は、判定部73の判定結果に基づき、第Nフレーム、第N+1フレーム間に内挿する補間フレームの数を決定し、決定した数の補間フレームを生成する。
【0084】
ここでは、判定部73が、大きさの絶対値が第1所定値以下の動きベクトルの数が第1所定数以上と判定した場合、または、大きさの絶対値が第2所定値以上の動きベクトルの数が第2所定数以上と判定した場合、補間フレーム生成部74は、第Nフレーム、第N+1フレーム間に内挿する補間フレームの数を1と決定し、2倍速用補間フレーム生成部74aは、図8で説明したように、動きベクトル検出部72が検出した動きベクトルに基づき、第Nフレーム、第N+1フレーム間に内挿する1枚の補間フレームを生成する。
【0085】
一般的に、大きさの絶対値が小さい動きベクトルの数が多い場合には、移動量の小さいオブジェクト数が多く(画像フレームの動き量が小さい)、動画ぼけを改善する必要性が少ない。また、大きさの絶対値が大きい動きベクトルの数が多い場合には、移動量の大きいオブジェクト数が多く(画像フレームの動き量が大きい)、動きベクトルの検出エラー、動き補償のエラー等が発生しやすくなる。それ故、2倍速表示処理を実行する。
【0086】
判定部73が、大きさの絶対値が第1所定値以下の動きベクトルの数が第1所定数以上でないと判定した場合であって、かつ、大きさの絶対値が第2所定値以上の動きベクトルの数が第2所定数以上でないと判定した場合、補間フレーム生成部74は、第Nフレーム、第N+1フレーム間に内挿する補間フレームの数を3と決定し、4倍速用補間フレーム生成部74bは、図10で説明したように、動きベクトル検出部72が検出した動きベクトルに基づき、第Nフレーム、第N+1フレーム間に内挿する3枚の補間フレームを生成する。
【0087】
すなわち、FRC部70は、判定部73が大きさの絶対値が第1所定値以下の動きベクトルの数が第1所定数以上と判定した場合、または、大きさの絶対値が第2所定値以上の動きベクトルの数が第2所定数以上と判定した場合、出力画像信号のフレーム周波数あるいはフィールド周波数を、入力画像信号のフレーム周波数あるいはフィールド周波数を基準として2倍(第1所定倍)に変換し、電極駆動部80に出力する。また、判定部73が、大きさの絶対値が第1所定値以下の動きベクトルの数が第1所定数以上でないと判定した場合であって、かつ、大きさの絶対値が前記第1所定値より大きい第2所定値以上の動きベクトルの数が第2所定数以上でないと判定した場合、出力画像信号のフレーム周波数あるいはフィールド周波数を、入力画像信号のフレーム周波数あるいはフィールド周波数を基準として第1所定倍よりも大きい4倍(第2所定倍)に変換し、電極駆動部80に出力する。
【0088】
第1所定値、第2所定値、および、第1所定数、第2所定数は、補間フレームを1枚生成してフレーム間に内挿する2倍速表示処理を実行する場合に、動きぼけが目立たない数値に調整し、同時に、補間フレームを3枚生成してフレーム間に内挿する4倍速表示処理を実行する場合に動きベクトル誤検出による画像破綻が目立たない数値に調整することが好ましい。
【0089】
図6は、図5で説明した入力画像信号のフレーム周波数の変換処理について説明するフロー図である。
まず、FRC部70のフレーム抽出部71が、入力画像信号から連続する2つのフレームである第Nフレーム、第N+1フレームを抽出する(ステップS21)。なお、Nの初期値は1であるとする。
【0090】
動きベクトル検出部72は、フレーム抽出部71が出力した第Nフレーム、第N+1フレームに対して、動きベクトル検出処理を実行し、第Nフレームにおける、全ブロックの動きベクトルを検出する(ステップS22)。
【0091】
次に、判定部73は、大きさの絶対値が第1所定値以下の動きベクトルの数が第1所定数以上か否かを判定する(ステップS23)。
判定部73が、大きさの絶対値が第1所定値以下の動きベクトルの数が第1所定数以上と判定した場合(ステップS23/YES)、補間フレーム生成部74の2倍速用補間フレーム生成部74aは、第Nフレーム、第N+1フレーム間に内挿する1枚の補間フレームを生成する(ステップS24)。
【0092】
大きさの絶対値が第1所定値以下の動きベクトルの数が第1所定数以上でないと判定した場合(ステップS23/NO)、さらに、判定部73は、大きさの絶対値が第2所定値以上の動きベクトルの数が第2所定数以上であるか否かを判定する(ステップS25)。判定部73が、大きさの絶対値が第2所定値以上の動きベクトルの数が第2所定数以上と判定した場合(ステップS25/YES)、ステップS24の処理を実行する。
【0093】
判定部73が、大きさの絶対値が第2所定値以上の動きベクトルの数が第2所定数以上でないと判定した場合(ステップS25/NO)、補間フレーム生成部74の4倍速用補間フレーム生成部74bは、第Nフレーム、第N+1フレーム間に内挿する3枚の補間フレームを生成する(ステップS26)。
【0094】
補間フレーム内挿部75は、補間フレーム生成部74が生成した補間フレームを、第Nフレーム、第N+1フレーム間に内挿し、電極駆動部20に出力する(ステップS27)。
【0095】
そして、画像信号の入力が終了するまで、ステップS21〜ステップS27の処理を繰り返す(ステップS28/NO)。なお、このとき、“N”の値を1つカウントアップする(ステップS29)。画像信号の入力が終了すると(ステップS28/YES)、処理を終了する。
【0096】
以上説明したように、第3の実施形態に係る画像表示装置3は、入力画像信号のフレーム内において、移動量の小さいオブジェクト数が多い場合には、4倍速表示処理を実行せず、2倍速表示処理を実行することで、4倍速表示処理による無駄な発熱や、消費電力の増加を抑える。また、フレーム内において、移動量の大きいオブジェクト数が多い場合には、4倍速表示処理を実行せず、2倍速表示処理を実行することで、4倍速表示処理実行時に発生しやすい動きベクトルの検出エラー、動き補償のエラー等を抑制し、動き補償型のFRC処理に起因する画質劣化を効果的に防止する。
【0097】
なお、本発明に係る画像表示装置は、この実施形態に限定されるものでなく、様々なバリエーションに変形できる。例えば、実施形態1、2および3において示した入力画像信号のフレーム内の動きベクトル数(動き量)の判定方法は、上記した方法に限定されるものではなく、適切に動き量を判別するパラメータを用いればどのような方法でもよい。
また、実施形態1、2および3において示した補間フレーム生成部14、補間フレーム生成部44、補間フレーム生成部74が生成する補間フレームの枚数は、1枚(2倍速表示用補間フレーム)又は3枚(4倍速表示用補間フレーム)だけでなく、様々な枚数に変更することができる。
【符号の説明】
【0098】
1,2,3…画像表示装置、10,40,70…FRC部、11,41,71…フレーム抽出部、12,42,72…ベクトル検出部、13,43,73…判定部、14,44,74…補間フレーム生成部、14a,44a,74a…2倍速用補間フレーム生成部、14b,44b,74b…4倍速用補間フレーム生成部、15,45,75…補間フレーム内挿部、20,50,80…電極駆動部、30,70,90…液晶表示パネル、100…画像表示装置、101…FRC部、101a…ベクトル検出部、101b…補間フレーム生成部、102…電極駆動部、103…液晶表示パネル、104…自動車、105…ベクトル、106…内挿ベクトル、107…補間フレーム。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力画像信号のフレーム間あるいはフィールド間に、フレームあるいはフィールドの動きベクトルに基づき補間処理を施した補間フレームあるいは補間フィールドを所定枚数分内挿することで出力画像信号のフレーム周波数あるいはフィールド周波数を入力画像信号のフレーム周波数あるいはフィールド周波数を基準として所定倍に変換するフレームレート変換部を備えた画像表示装置であって、
入力画像信号のフレームあるいはフィールドにおける、画素または複数画素からなるブロックの動きベクトルを検出する動きベクトル検出部と、
当該動きベクトル検出部が検出した入力画像信号のフレームあるいはフィールドにおける動きベクトルのうち、大きさの絶対値が所定値以上の動きベクトルの数が所定数以上か否かを判定する判定部とを備え、
前記フレームレート変換部は、前記判定部が、大きさの絶対値が所定値以上の動きベクトルの数が所定数以上と判定した場合、出力画像信号のフレーム周波数あるいはフィールド周波数を入力画像信号のフレーム周波数あるいはフィールド周波数を基準として第1所定倍に変換し、大きさの絶対値が所定値以上の動きベクトルの数が所定数以上でないと判定した場合、出力画像信号のフレーム周波数あるいはフィールド周波数を入力画像信号のフレーム周波数あるいはフィールド周波数を基準として前記第1所定倍より大きい第2所定倍に変換することを特徴とする画像表示装置。
【請求項2】
入力画像信号のフレーム間あるいはフィールド間に、フレームあるいはフィールドの動きベクトルに基づき補間処理を施した補間フレームあるいは補間フィールドを所定枚数分内挿することで出力画像信号のフレーム周波数あるいはフィールド周波数を入力画像信号のフレーム周波数あるいはフィールド周波数を基準として所定倍に変換するフレームレート変換部を備えた画像表示装置であって、
入力画像信号のフレームあるいはフィールドにおける、画素または複数画素からなるブロックの動きベクトルを検出する動きベクトル検出部と、
当該動きベクトル検出部が検出した入力画像信号のフレームあるいはフィールドにおける動きベクトルのうち、大きさの絶対値が所定値以下の動きベクトルの数が所定数以上か否かを判定する判定部とを備え、
前記フレームレート変換部は、前記判定部が、大きさの絶対値が所定値以下の動きベクトルの数が所定数以上と判定した場合、出力画像信号のフレーム周波数あるいはフィールド周波数を入力画像信号のフレーム周波数あるいはフィールド周波数を基準として第1所定倍に変換し、大きさの絶対値が所定値以下の動きベクトルの数が所定数以上でないと判定した場合、出力画像信号のフレーム周波数あるいはフィールド周波数を入力画像信号のフレーム周波数あるいはフィールド周波数を基準として前記第1所定倍より大きい第2所定倍に変換することを特徴とする画像表示装置。
【請求項3】
入力画像信号のフレーム間あるいはフィールド間に、フレームあるいはフィールドの動きベクトルに基づき補間処理を施した補間フレームあるいは補間フィールドを所定枚数分内挿することで出力画像信号のフレーム周波数あるいはフィールド周波数を入力画像信号のフレーム周波数あるいはフィールド周波数を基準として所定倍に変換するフレームレート変換部を備えた画像表示装置であって、
入力画像信号のフレームあるいはフィールドにおける、画素または複数画素からなるブロックの動きベクトルを検出する動きベクトル検出部と、
当該動きベクトル検出部が検出した入力画像信号のフレームあるいはフィールドにおける動きベクトルのうち、大きさの絶対値が第1所定値以下の動きベクトルの数が第1所定数以上か否か、および、大きさの絶対値が前記第1所定値より大きい第2所定値以上の動きベクトルの数が第2所定数以上か否かを判定する判定部とを備え、
前記フレームレート変換部は、前記判定部が、大きさの絶対値が第1所定値以下の動きベクトルの数が第1所定数以上と判定した場合、または、大きさの絶対値が第2所定値以上の動きベクトルの数が第2所定数以上と判定した場合、出力画像信号のフレーム周波数あるいはフィールド周波数を入力画像信号のフレーム周波数あるいはフィールド周波数を基準として第1所定倍に変換し、前記判定部が、大きさの絶対値が第1所定値以下の動きベクトルの数が第1所定数以上でないと判定した場合であって、かつ、大きさの絶対値が第2所定値以上の動きベクトルの数が第2所定数以上でないと判定した場合、出力画像信号のフレーム周波数あるいはフィールド周波数を入力画像信号のフレーム周波数あるいはフィールド周波数を基準として前記第1所定倍より大きい第2所定倍に変換することを特徴とする画像表示装置。
【請求項4】
前記第1所定倍は2倍であり、前記第2所定倍は4倍であることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の画像表示装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2011−151438(P2011−151438A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−8712(P2010−8712)
【出願日】平成22年1月19日(2010.1.19)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】